(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】家具またはその他の調度品の肩部と棚部との改良された接合箇所の操作および係止システム
(51)【国際特許分類】
F16B 12/20 20060101AFI20240724BHJP
F16B 12/32 20060101ALI20240724BHJP
A47B 96/06 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F16B12/20 B
F16B12/32 B
A47B96/06 B
A47B96/06 H
A47B96/06 E
(21)【出願番号】P 2021521467
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 IB2019058939
(87)【国際公開番号】W WO2020084434
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】102018000009818
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516162951
【氏名又は名称】レオナルド エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カッタネオ カルオ
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/001419(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03111804(EP,A1)
【文献】特表2018-529892(JP,A)
【文献】国際公開第2018/007315(WO,A1)
【文献】実開昭59-020010(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/00-12/60
A47B 96/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの肩部(11)と少なくとも1つの棚部または基部(12)または最上部(13)とを有する、1つの家具またはその他の調度品(M)での使用に適した
、接合箇所(G,G’)と、操作および係止組と、を備える改良され
た操作および係止システ
ムであって、
前記操作および係止システ
ムは、互いに垂直に配置された前記少なくとも1つの肩部(11)と少なくとも1つの棚部または基部(12)または最上部(13)とを前記接合箇所(G,G’)によって安定的に相互接続するよう配置可能であり、
前記接合箇所(G,G’)は、
ピン(17)を備え、前記ピン(17)には、前記少なくとも1つの肩部(11)と少なくとも1つの棚部または基部(12)または最上部(13)と
を固定するためのネジ端(16)
が設けられるとともに、前記ピン(17)は、前記肩部(11)と前記棚部または基部(12)または最上部(13)とに設けられた複数の穴(14,23)に少なくとも部分的に挿入され
、
前記ピン(17)
は、前記接合箇所
(G,G’)の前記操作および係止組(27)から延出す
る軸(30)を受容するのに適し
た側孔(31)を備え、
前記ピン(17)は、第1の90度動力伝達装置を画成するピニオン-クラウンベベルギアを収容するケーシング(81,82)を備え、前記ケーシング(81,82)は、前記軸(30)の成形端部(30b)を受け入れるとともに、前記ピン(17)の前記ケーシング(81,82)に備えられた、前記ピン(17)の前記ネジ端(16)を回転させるための動力操作機構を形成し、
前記接合箇所(G,G’)の前記操作および係止組(27)は、床(P)または天井(S)に平行な前記棚部、または基部(12)、または最上部(13)に配置され
、
前記床(P)または前記天井(S)は、前記家具またはその他の調度品(M)が組み立てられたときに、ともに前記家具またはその他の調度品(M)に近接
する、システムであって、
前記接合箇所(G,G’)の前記操作および係止組(27)は、前記家具の前方からアクセス可能な操作箇所(A)と、前記ピン(17)の前記側孔(31)に挿入された前記
軸(30)との間に
第2の90度動力伝達装置を備え、前記ピン(17)を前記棚部または基部(12)または最上部(13)の前記ピン(17)を収容する穴(23)に保持するための相互保持手段(63,64)が、前記ピン(17)と前記接合箇所(G,G’)の前記操作および係止
組(27)との間に設けられていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記
相互保持手段(63,64)は、前記接合箇所
(G,G’)の前記操作および係止組(27)が前記ピン(17)を収容する
前記棚部または基部(12)または最上部(13)の穴(22)に挿入されたときの、前記ピン(17)と前記接合箇所(G,G’)の前記操作および係止組(27)との相互係止手段であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記
相互保持手段
(63,64)は柔軟性または弾性を有するタイプの保持手段であることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記
相互保持手段
(63,64)はスナップ式の保持手段であることを特徴とする、前述の請求項1から3の
いずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記
相互保持手段
(63,64)は、前記ピン(17)に係合する、前記接合箇所
(G,G’)の前記操作および係止組(27)の筐体(61,62)の付属部(63,64)であることを特徴とする、
請求項1から3の
いずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記付属部(63,64)は、互いに向い合う面において窪んで内部が丸みをおびており、組み立てられたときに少なくとも部分的に前記ピン(17)の外面を取り囲むことを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記付属部(63,64)は、前記ピン(17)の筐体(81,82)の外側に形成された凹溝(72)に係合することを特徴とする、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記付属部(63,64)には、互いに向かい合い前記ピン(17)の前記筐体における前記凹溝(72)に挿入されるのに適したキー溝延長部(71)が設けられていることを特徴とする、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ピン(17)は
、前記肩部(11)、前記棚部または前記基部(12)、および前記最上部(13)の少なくとも何れかに対して固定式のピンであることを特徴とする、前述の請求項1から8の
いずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ピン(17)は
、前記肩部(11)、前記棚部または前記基部(12)、および前記最上部(13)の少なくとも何れかに対して格納式のピンであることを特徴とする、前述の請求項1から8の
いずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ピン(17)および前記接合箇所
(G,G’)の前記操作および係止組(27)は、互いに垂直な方向に設けられた穴(22,23)に配置されていることを特徴とする、前述の請求項1から10の
いずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ケーシング
(81,82)は、前記棚部または基部(12)または最上部(13)の穴(23)に収容されるのに適した、1対の半円筒形のハーフシェル(81,82)を備えることを特徴とする、請求項
1から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ピン(17)の前記ケーシング(81,82)は、前記ケーシング(81,82)において回転可能に配置されたピニオン(85)と内部に空洞(93)が設けられた軸部(92)の一端に配置されたクラウンギア(84)とによって画定された90度動力伝達装置を画成する1組のピニオン-クラウンベベルギアを備え、ロッド(94)の
第1端は前記空洞(93)内をスライド可能であり、前記ロッド
(94)は、中間部分に外向きに突出する放射状のフランジ(95)が設けられ、
前記ロッド(94)の第2端は
ネジ端(16)として構成されており、圧縮バネ(96)が前記放射状のフランジ(95)と前記軸部(92)
の端部との間に配置され、前記圧縮バネ
(96)は静止位置において、前記ネジ端(16)が前記ケーシング(81,82)から突出した状態を保持し、前記フランジは(95)、前記ケーシング(81,82)の内部に形成されたストップ(97)の内側で、他端において近接する前記
圧縮バネ(96)の伸びとは反対に作用することを特徴とする、請求項
1から12のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一点の家具または他の調度品の肩部と棚部との接合箇所を操作および係止するためのシステムに関する。
家具の複数の羽目と他の調度品との間、例えば、具体的には肩部と棚部との間、の係止システムとしては、様々な種類のものが知られている。本明細書において、「棚部」という総称は、1つの家具の基部、最上部、または任意の中間の棚を指す。
【0002】
接合箇所の係止は、当業者に周知の数々の方法および幅広い種類の装置を用いて操作される。しかしながら、一般的には、接続組と係止組とが備えられ、これらが相互に作用することによって、部品間の安定した位置決めが可能になっている。これらの組は、家具自体の部品間で、特定の要望や要件に応じて下方や上方等から操作される。
【0003】
実際には、組み立てられたときの家具等の最終的な美的側面と、部品の組み立てに関する側面と、の両方が重要である。
これらの用途の一部には、家具の部品または調度品が、高さや幅が非常に狭い空間に配置され、肩部と棚部とを接合する作業が困難な場合がある。
【0004】
特定の条件としては、肩部と肩部に平行な側壁との間に非常に限られた空間しかない窪みに1つの家具を配置する必要がある、といったものである。
このような特定の状況のために、非常に適切な解決策が検討され用いられてきたが、このような解決策は、組み立てに関する問題、および、一方ではコストがかかり他方では繊細で常に十分に機能するとは限らないという特有の構造の複雑さの問題、の両方がある。
【0005】
したがって、本発明の全体的な目的は、上述した既知の技術の欠点を、単純、経済的、かつ機能的な方法で解決することが可能な、家具の肩部および棚部とその他の調度との間の接合箇所を操作および係止するためのシステムを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、床と1つの家具または調度品との間、または最上部と天井との間、または家具が配置され取り付けられなければならない窪みにおける肩部と側壁の間であっても、非常に限られたスペースから容易にアクセス可能でありながら、最小の負担で2つの羽目を接合するシステムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、肩部と、基部または棚部との間、および肩部と最上部との間の両方で使用可能な接合システムを提供することである。
上記の目的は、独立請求項1およびそれに続く従属請求項に従って製造された、家具またはその他の調度品の肩部と棚部との間の接合箇所を操作および係止するためのシステムによって達成される。
【0008】
本発明の構造的、機能的特徴、ならびに既知の技術に対する利点は、同一の発明のすべて同じ革新的な概念を有する実施形態の例を示す添付の概略図を参照している以下の説明から、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明によって製造された1つの家具または他の調度品の接合箇所を操作および係止するためのシステムが備えられた家具の基部または最上部の、部分的に分割された斜視図である。
【
図1b】
図1bは、壁の窪みに収容された1つの家具を概略的に示した立面図である。
【
図2】
図2~4は、ピンを操作組に取り付け、本発明に係る操作システムを提供する組み立て順序の斜視図であり、
図3bおよび4bは
図3および4を上方から見た断面図である。
【
図3】
図2~4は、ピンを操作組に取り付け、本発明に係る操作システムを提供する組み立て順序の斜視図であり、
図3bおよび4bは
図3および4を上方から見た断面図である。
【
図3b】
図2~4は、ピンを操作組に取り付け、本発明に係る操作システムを提供する組み立て順序の斜視図であり、
図3bおよび4bは
図3および4を上方から見た断面図である。
【
図4】
図2~4は、ピンを操作組に取り付け、本発明に係る操作システムを提供する組み立て順序の斜視図であり、
図3bおよび4bは
図3および4を上方から見た断面図である。
【
図4b】
図2~4は、ピンを操作組に取り付け、本発明に係る操作システムを提供する組み立て順序の斜視図であり、
図3bおよび4bは
図3および4を上方から見た断面図である。
【
図5】
図5は、分割および切断された
図4の表示に類似したものを示している。
【
図6b】
図6bおよび6cは、操作および係止ユニットのみを2つの異なる向きから斜視図で示している。
【
図6c】
図6bおよび6cは、操作および係止ユニットのみを2つの異なる向きから斜視図で示している。
【
図7b】
図7bおよび7cは、部品が2つの異なるまたは反対の方向に突出している同一の組を示している。
【
図7c】
図7bおよび7cは、部品が2つの異なるまたは反対の方向に突出している同一の組を示している。
【
図8】
図8~11は、
図6bおよび6cの組を4つの異なる向きから立面図で示している。
【
図9】
図8~11は、
図6bおよび6cの組を4つの異なる向きから立面図で示している。
【
図10】
図8~11は、
図6bおよび6cの組を4つの異なる向きから立面図で示している。
【
図11】
図8~11は、
図6bおよび6cの組を4つの異なる向きから立面図で示している。
【
図12】
図12および13は、
図6bおよび6cの組をそれぞれ上方および下方から示している。
【
図13】
図12および13は、
図6bおよび6cの組をそれぞれ上方および下方から示している。
【
図16】
図16~19は、本発明のシステムのピンの第1実施例を、4つの異なる向きから側面の立面図で示している。
【
図17】
図16~19は、本発明のシステムのピンの第1実施例を、4つの異なる向きから側面の立面図で示している。
【
図18】
図16~19は、本発明のシステムのピンの第1実施例を、4つの異なる向きから側面の立面図で示している。
【
図19】
図16~19は、本発明のシステムのピンの第1実施例を、4つの異なる向きから側面の立面図で示している。
【
図20】
図20および21は、
図16~19のピンをそれぞれ一端および他端から見た図を示している。
【
図21】
図20および21は、
図16~19のピンをそれぞれ一端および他端から見た図を示している。
【
図24b】
図24bおよび24cは、本発明のシステムの
図16~23の1つのピンを2つの異なる向きから斜視図で示している。
【
図24c】
図24bおよび24cは、本発明のシステムの
図16~23の1つのピンを2つの異なる向きから斜視図で示している。
【
図25b】
図25bおよび25cは、部品が突出し部分的に組み立てられた同一のピンを示している。
【
図25c】
図25bおよび25cは、部品が突出し部分的に組み立てられた同一のピンを示している。
【
図26】
図26~29は、本発明のシステムのピンの第2実施例を4つの異なる向きから立面側面図で示している。
【
図27】
図26~29は、本発明のシステムのピンの第2実施例を4つの異なる向きから立面側面図で示している。
【
図28】
図26~29は、本発明のシステムのピンの第2実施例を4つの異なる向きから立面側面図で示している。
【
図29】
図26~29は、本発明のシステムのピンの第2実施例を4つの異なる向きから立面側面図で示している。
【
図30】
図30および31は、
図26~29のピンをそれぞれ一端および他端から見た図を示している。
【
図31】
図30および31は、
図26~29のピンをそれぞれ一端および他端から見た図を示している。
【
図34b】
図34bおよび34cは、本発明のシステムの
図26~33の1つのピンを2つの異なる向きから斜視図で示している。
【
図34c】
図34bおよび34cは、本発明のシステムの
図26~33の1つのピンを2つの異なる向きから斜視図で示している。
【
図35b】
図35bおよび35cは、部品が突出し部分的に組み立てられた同一のピンを示している。
【
図35c】
図35bおよび35cは、部品が突出し部分的に組み立てられた同一のピンを示している
【発明を実施するための形態】
【0010】
図および本発明を全般的に参照すると、一般的な家具または他の調度品の少なくとも1つの肩部11と、基部または最上部12または棚部との間の接合箇所Gを、必要に応じて操作および係止するための改良されたシステムが示されている。
【0011】
具体的には、
図1および
図1bには、本発明によって製造された家具または他の調度品の接合箇所の操作および係止システムが、1つの家具の基部12または最上部13に適用された場合を部分的に分割された斜視図に示している。具体的には
図1bの配置は、このようなシステムがいかに1つの家具Mに、その肩部11また基部12と最上部13とにおいて示されるように、適用および使用されるのに特に適しているかを示しており、家具Mとは、設置されると家具Mにかなり近くに接する床Pと天井Sとの間に、とりわけ居住空間またはオフィス空間の窪みの縦方向の壁Vの間に収容される必要がある家具である。
【0012】
基部12および最上部13、ならびにその他の任意の中間の棚部(
図1では図示なし)は、複数の接合箇所Gがそれぞれ本発明に係る改良されたシステムを形成する複数の操作および係止組27に接続されることによって、互いに強固に一体化される。
【0013】
また
図2~
図4は、例えば肩部11が、全体が17として示されたピンのネジ端16を受け入れるための内ネジ式の軸受け筒15が配置されたシートを画成する、水平な止まり穴14を有することを示している。あるいは、ピン17のネジ端16は、止まり穴14に直接螺入されている。
【0014】
ピン17は、家具の基部12または最上部13に設けられた内穴23に配置され、肩部11の止まり穴14に合わせられている。基部12または最上部13の穴23は、上記の第1の穴23に垂直な方向に形成された別の穴22と交差している。
【0015】
この別の穴22は、実際には、1つの接合箇所Gの操作および係止組27の上部を受け入れるために設けられている。
この穴22には、本発明のシステムの一部を形成する接合箇所の操作および係止組27の成形された筐体61,62の上方延長部が配置されている。
【0016】
2つの半割部分(
図7bおよび7c)として作製された接合箇所の操作および係止組27の成形された筐体61,62は、基部12の下方(
図2~
図4の例において)、または最上部13の上方から挿入され、ピン17と交差している。
【0017】
図1bからわかるように、基部12または最上部13は、床Pまたは天井Sに平行であり、
図1、
図1bに明確に示されているように、床Pまたは天井Sは、家具または他の調度品Mが設置されたときに、ともに当該家具または他の調度品Mに近接している。家具の肩部11は、窪みまたは別の種類の空間の縦方向の壁Vに近接している。
【0018】
接合箇所の操作および係止組27の成形された筐体61,62の上方延長部はそれぞれ、互いに向い合う面において内側に丸みを帯びている窪んだ付属部63,64によって形成され、組み立てられたときにそれぞれピン17の外面を少なくとも部分的取り巻くようになっている。
【0019】
したがってこれらの付属部63,64は、ピン17と接合箇所の操作および係止組27との間を相互に強固に係止する保持手段を形成している。具体的には、付属部63,64は、これらの部品がスナップ係合するように、一定の柔軟性および弾性を有していてもよい。
【0020】
図から分かるように、接合箇所Gの操作および係止組27は、Aで示される操作箇所に、家具に対して前面からアクセス可能な90度動力伝達装置を備える。つまり、接合箇所の操作および係止組27は、筐体61,62の内部に1組のピニオンとクラウンベベルギアとを備える。
【0021】
したがって、接合箇所の操作および係止組27は、軸受け筒15またはどのような場合でも肩部11の穴14への螺入に適したピン17のネジ端16を回転させるための、動作操作機構を備える。
【0022】
より具体的には、ピニオン28は、筐体61,62に形成された下方ハウジング65,66において回転可能であり、操作箇所Aにおいてツール(図示なし)を受け入れるためのシート29を備える。当該シート29は家具Mの前方を向いている。
【0023】
成形された自由端30bを有する軸30のヘッドとして形成されたクラウンギア39は、上記のピニオン28と係合する。
軸30の成形端部30bは、接合箇所Gとして機能するよう係合するピン17の孔31に挿入されている。
【0024】
これらの部品が接合箇所の操作および係止組27内に配置されると、クランプリング67が取り付けられ、筐体を形成する2つの部品61,62を、当該2つの部品61,62の下端のより小さな直径を有する部分で、合わせて係止する(
図7b、
図7cおよび
図6b、
図6c参照)。筐体の部品62は、側部の下方に、ピニオン28を回転させるツールのための貫通孔69を備える。
【0025】
さらに、接合箇所の操作および係止組27の部品61,62は、一方の部品62のセンタリングピン68を介して互いに接合され、当該センタリングピン68は、筐体の他方の部品61の止まり穴70に挿入される。
【0026】
図2~
図5は、付属部63,64の内側には、ピン17の本体の外側に形成された凹溝72に挿入するのに適した、窪んで内部が丸みをおびたキー溝延長部71が提供されることを想定して、当該システムの上記部品がどのように配置されているかを示している。
【0027】
このようにして、ピン17と接合箇所の操作および係止組27との間をほぼ自動的に、かつ確実に係止する保持手段が作製される。
さらに、接合箇所の操作および係止組27の筐体61,62の両部品は、フランジ73および74の形状の放射状の延長部を備え、これらは、作動位置において、基部12の下方または最上部13の上方で隣接するように配置されている。
【0028】
具体的には、2つの放射状のフランジ状の延長部73および74の少なくとも一方は、基部12または最上部13の穴22に挿入されたときに接合箇所の操作および係止組27の固定ネジ76を受け入れるための貫通状のシート75を備える。
【0029】
図1に示されるように、前方接合箇所Gおよび後方接合箇所G’が描画され、接合箇所G,G’の操作を容易にする更なる任意の仕組みを備えた例が挙げられている。
つまり、まず、回転を伝達するための伝達および操作ロッド77
’が後方接合箇所G’に設けられている。当該伝達および操作ロッド77
’は、その一方の端部が、貫通孔69を通り、後方接合箇所G’のピニオン28の操作シート29に係合することに注目されたい。
【0030】
さらに短い伝達および操作ロッド77が設けられていてもよい。当該伝達および操作ロッド77は、前方接合箇所Gの貫通孔69に挿入され、前方接合箇所G自体のピニオン28の操作シート29に係合している。さらに、C字形に形成され、下方に開いて上記の伝達および操作ロッド77,77’の両方を回転可能に収容してこれらの操作を容易にする複数の弾性支持体79が設けられた、ブラケット78が設けられていてもよい。ブラケット78は、基部または底部12、あるいは最上部13にネジ80で固定されていてもよい。
【0031】
また
図1~
図5に示されるピン17は、
図16~
図25cで説明される第1実施例にも示されている点についても注目されたい。
上記のピン17は、接合されてケーシングが形成されたときに穴23に収容されるのに適した、半円筒の形状を有する一対のハーフシェル81,82を備える。ケーシングのハーフシェル81,82の内部は部分的に窪んでおり、片側がネジ端16で終端している軸83を回転可能に収容する。軸83のヘッドとして形成されたクラウンギア84は、ピニオン85と係合する軸83の他端と一体となっている。クラウンギア84およびピニオン85は、軸30の成形端部30bを受け入れる90度動力伝達装置を画成する、1組のピニオン-クラウンベベルギアを形成している。
【0032】
したがって、ピン17は、ネジ端16を回転させるための動作操作機構も備える。
つまり、軸30の上記の成形端部30bは、ピン17の内側に配置されたこのさらなるベベルギアの上記のピニオン85に形成された孔またはシート31に挿入される。
【0033】
したがって、ツール(図示なし)を使用して、または伝達および操作ロッド77,77’を介して、前方接合箇所Gおよび後方接合箇所G’の接合箇所における2つの操作および係止組27のピニオン28に作用することによって、軸83の回転がネジ端16の1つまたは複数の肩部に設けられた止まり穴14への螺入とともに促進されることがわかる。
【0034】
2つのベベルギアが存在することにより、
図1bに示すような窪みに配置された家具の基部12および/または最上部13と一体となった肩部の位置決め作業が容易になる。
図5はこれまで説明したことを図示し、
図16~
図25cはピン17の第1実施例を詳細に図示している。
【0035】
これら後者の詳細な図によって、ピン17を構成する部品についての理解がより深まる。
具体的には、軸83は2つのハーフシェル81,82の内部の支持用シート86に収容され、ピニオン85のピン87はハーフシェル81のシート88内で回転するように収容されることが分かる。
【0036】
2つのハーフシェル81,82は、ハーフシェル82のセンタリングプラグ89によって接合され、当該センタリングプラグ89は貫通孔90に配置および収容され、91にリベット留めされることによってこれらの部品を合わせて係止する。
【0037】
凹溝72は、2つのハーフシェル81,82のそれぞれに半分ずつ設けられ、一直線に並べられ、ともに接合されたときにピン17の本体の外側に形成される。
最後に、ピン17は、
図26~
図35cに示される第2実施例において、以下のように格納式のネジ端16を備えていてもよいということに注目されたい。
【0038】
同様の、または非常によく似た要素は、同じ参照番号で示されている。
またこの場合も、2つのハーフシェル81,82があり、当該ハーフシェル81,82は、1つの接合箇所G,G’の操作および係止組27に設けられた軸30の成形端部30bを受け入れる90度動力伝達装置を画成する、1組のピニオン-クラウンベベルギアを収容する。
【0039】
ピニオン85は、第1の例と同様に配置され、一方でクラウンギア84は、内部に空洞93が設けられた軸92の一端に配置される。ロッド94の一端は、空洞93内でスライド可能であり、その中間部分には、外向きに突出する放射状のフランジ95が設けられている。ロッド94の他端は、前の例と同様に16に通されている。圧縮バネ96は、放射状のフランジ95と軸92の端部との間に配置され、静止位置においてロッド94のネジ端16がハーフシェル81,82から突出した状態を保つ。またフランジ95は、ハーフシェル81,82内の空洞に形成されたストップ97に隣接するため、ばね96の伸びとは反対に作用する。
【0040】
バネ96を設けることによって、ネジ端16がピン17の2つのハーフシェル81,82に戻ることが可能となり、非常に狭い空間においても、基部12または最上部13と肩部11との間の連結が容易になっていることがわかる。
【0041】
この機能は十分に直感的に理解できるものであり、また図が明確であるため、詳細には説明されていない。
記載および図示された例から、1つの家具またはその他の調度品の肩部と棚部、または基部、または最上部との接合箇所に本発明に係る接合箇所の操作および係止組27を備える改良された操作および係止システムを用いることにより、非常に狭いスペースであっても、家具またはその他の調度品を非常に簡単に設置可能であるということがわかる。
【0042】
実際に、基部12または最上部13に必要な穴22,23が形成されると、接合ピン17と、接合箇所G,G’の操作および係止組27の両方を速やかに配置することが可能である。
【0043】
図2~
図5は、これらの作業が行われるときの状態を示している。
実際、ピン17と操作および係止組27との両方が用意され、
図3および
図3bに示されるように、ピン17は、ピン17の本体の外部に形成された凹溝72が穴22の内側と同じ側にくるように、関連する穴23に挿入される。
【0044】
次に、接合箇所の操作および係止組27は、
図3の矢印Fに沿って、
図4および
図4bに示される完全挿入位置に達するまで挿入される。
この位置、すなわち操作および係止組27と接合ピン17とが安定的に係止された状態は、組み立てられたときにピン17の外面を少なくとも部分的に取り囲み、窪んで内部に丸みをおびた付属部63,64があることによって、容易かつ確実にもたらされる。付属部63,64の内側に配置されたキー溝延長部71は、ピン17の本体の外部に形成された凹溝72に挿入され、操作および係止組27と接合ピン17とを合わせて係止し、安定した相互位置を確保する。
【0045】
このようにして保持手段が機能し、ピン17および接合箇所の操作および係止組27が自動的に確実に係止される。
ピンが第1実施例における
図5によるものである場合、基部12または最上部13に収容されるピン17のネジ端16を、肩部11に設けられた穴14と合わせるための最小限のスペースが必要である。
【0046】
次に、穴14内のピン17のネジ端16は、接合箇所の操作および係止組27と、組27およびピン17の両方に配置された2つのベベルギアとによって回転する。
この回転によって、基部12または最上部13と肩部11とを一緒に移動させて締め付けることができ、部品間が係止および完全に締め付けられる。
【0047】
家具を配置するためのスペースが非常に狭く、
図5のように基部12または最上部13から突出している軸方向に固定されたネジ端16が使用できない場合は、ピンの本体内で軸方向に移動可能な格納式のネジ端16を備えた、
図26~
図35cによる上記の第2実施例を用いることが可能である。
【0048】
この場合、ネジ端16を保持するための工具等を用いて、ネジ端16が基部12または最上部13から突出しないようにし、基部12または最上部を肩部11に合わせることが可能である。
【0049】
その後、ネジ端16が肩部11に形成された穴14に合わせられると、上記のようにして、ネジ端16を肩部11の穴14に螺入する工程に進むことが可能である。
接合箇所の操作および係止組27があることによって、家具の前方から作業を行うことが常に可能である点にも注目されたい。
【0050】
格納式のネジ端または固定式のネジ端が、本発明のシステムにおいてどのように設けられているかがわかる。
したがって、本発明によるシステムは非常に単純で機能的であることに注目されたい。
【0051】
また、上記の操作システムは前方にあり、家具と窪みの床または天井と側壁との間の非常に限られたスペースに配置可能である。
さらに、例えば
図1に示されるように、家具Mの後方接合箇所G’(また前方接合箇所Gも)のために、動作の操作および伝達するためのロッド77,77’を備え、上記および図示のように配置することが可能である。
【0052】
本発明によるシステムを実施するための形態および構造、ならびに材料および組み立ての状態は、当然のことながら、図面に非限定的な例として示されているものとは異なる可能性がある。
【0053】
これにより、明細書の冒頭に記載の目的が達成される。
本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されている。