(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】ガラス製品の生産を目的とした炉の蓄熱室を洗浄するための機械
(51)【国際特許分類】
B08B 5/00 20060101AFI20240724BHJP
B08B 9/093 20060101ALI20240724BHJP
B08B 9/087 20060101ALI20240724BHJP
F27D 25/00 20100101ALI20240724BHJP
【FI】
B08B5/00 A
B08B9/093
B08B9/087
F27D25/00
(21)【出願番号】P 2021546855
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2020051968
(87)【国際公開番号】W WO2020183323
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】102019000003401
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521354020
【氏名又は名称】フェア エス.アール.エル.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ブーニョ,リッカルド
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/060322(WO,A1)
【文献】特開2001-334223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 5/00
B08B 9/093
B08B 9/087
F27D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製品の生産を目的とした炉の蓄熱室(56)を洗浄するための機械(2)であって、中空の耐火性要素が積み重なることで前記炉からの燃焼ガスのための垂直通路すなわち煙突が区切られ、前記機械(2)は、
洗浄の対象である前記蓄熱室(56)の下にあり、前記蓄熱室(56)と連通するコンパートメント(55)に導入される自走式支持構造と、
前記自走式支持構造に適用されるとともに、洗浄材の粉末と洗浄の対象である前記蓄熱室(56)の外部に位置決めされることを意図した圧縮機(50)によって発生した圧縮空気との流れを、前記垂直通路内へ送るように構成された少なくとも1つのランス(24)と、
前記支持構造に適用されるとともに、洗浄材と吸収可能な材料の塵芥を地面から吸い取って、洗浄稼働中にこの塵芥を地面から取り除くように構成された少なくとも1つの吸引口(8)と、
前記支持構造に取り付けられた少なくとも1つのビデオカメラ(30)、(32)、(34)と、
外部から前記少なくとも1つのビデオカメラ(30)、(32)、(34)を通じて、前記機械の正確な稼働を制御する、少なくとも1つのモニター(60)と、
を含むことを特徴とする、機械(2)。
【請求項2】
前記自走式支持構造は動作部材(4)と(4’)を駆動させるための少なくとも1つのモニターを含むことを特徴とする、請求項1に記載の機械(2)。
【請求項3】
前記動作部材が車輪(4)から成ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の機械(2)。
【請求項4】
前記動作部材がトラック(4’)によって構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項5】
駆動するモータが空気圧または油圧型のものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項6】
前記ランス(24)が伸縮式のものであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項7】
前記ランス(24)が少なくとも1つの遠隔制御可能なアクチュエータによって制御される、方向づけ可能な種類の支持部(28)によって支持されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項8】
粉砕機(66)を備えていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項9】
粉砕も吸引口(8)による吸取りもできないより大きな物体を蓄熱室(56)の外部へ持ち運ぶように構成された持ち上げ装置を備えていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項10】
外部から前記コンパートメント(55)の内部に位置した機械自体に接続された制御コンソール(22)を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項11】
機械の稼働部を動作させるための複数の空気圧式アクチュエータが設けられていることを特徴とする、請求項1から10いずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項12】
外部から前記コンパートメント(55)の内部に位置した機械自体に接続された制御コンソール(22)が、前記空気圧式アクチュエータの稼働を対象とする圧縮空気の供給を制御するための空気ダクトにより、前記空気圧式アクチュエータに接続されていることを特徴とする、請求項11に記載の機械(2)。
【請求項13】
前記ランス(24)にはその位置を検知するための少なくとも1つのレーザーセンサ(64)が設けられていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項14】
外部から前記コンパートメント(55)の内部に位置した機械自体に接続された制御コンソール(22)を前記自走式支持構造と接続する電気および空気ダクトが、圧縮空気冷却の流れによって内側で影響を受けるシース(20)の内部に収容されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項15】
前記自走式支持構造が動作部材(4)と(4’)との間に置かれた本体(3)を含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項16】
前記
自走式支持構造の動作部材(4)と(4’)との間に置かれた本体(3)は2つのケーシング(3’)と(3”)とを含み、前記2つのケーシングのうち一方は、該ケーシング間の空洞(5)を区切るように、他方の内部に包含されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項17】
前記
自走式支持構造の動作部材(4)と(4’)との間に置かれた本体(3)が含む2つのケーシング(3’)と(3”)の間の空洞(5)は冷却圧縮空気の流れが中を通るように構成されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項18】
前記
自走式支持構造の動作部材(4)と(4’)との間に置かれた本体(3)に関連付けられる圧縮空気容器(45)を含み、前記圧縮空気容器は、タンク内部にある圧縮空気を機械(2)の方へ逃すために、機械(2)の本体(3)の方に向いた複数のノズル(46)に接続されている、および/または該複数のノズル(46)が設けられていることを特徴とする、請求項1から17のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項19】
前記
自走式支持構造の動作部材(4)と(4’)との間に置かれた本体(3)が含む2つのケーシング(3’)と(3”)の間の空洞(5)、前記
本体(3)に関連付けられる圧縮空気容器(45)、および
電気および空気ダクトを収容するシース(20)が同じ圧縮機(54)によって圧縮空気を供給されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項20】
少なくとも1つのビデオカメラ(30)が本体(3)の前部に位置決めされ、
少なくとも1つのカメラ(32)が本体(3)の後部に位置決めされ、
少なくとも1つのビデオカメラ(34)がランス(24)と一体化されていることを
特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載の機械(2)。
【請求項21】
ガラス製品の生産を目的とした炉の蓄熱室(56)を洗浄するための方法であって、中空の耐火性要素が積み重なることでこれら炉からの燃焼ガスのための垂直通路すなわち煙突が区切られ、前記方法は、
蓄熱室(56)の状態を確かめるべく床に存在する残留物の種類とそれらの位置を検知し、任意の故障および/またはそれに関連する重大性を診断するために、洗浄の対象である蓄熱室(56)の下部のコンパートメント(55)の内部にすでに存在するデブリを吸引する第1の段階と、
前記蓄熱室の煙突をサンドブラストする第2の段階と、
サンドブラストする前記第2の段階によって発生したデブリを吸引する第3の段階と、を提供し、
前記方法はさらに、吸引する前記第1の段階、サンドブラストする前記第2の段階、および吸引する前記第3の段階を実行するために、請求項1から20のいずれか1項に記載の機械の使用を提供することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にガラス製品の生産を目的とした炉の蓄熱室を洗浄するための機械に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス製品の現在の生産技術は、燃焼ガスの予熱や温度維持のために、そして一般的に、省エネを推進するために使用される熱風の蓄熱室を備えた炉の使用を含む。
【0003】
従来の蓄熱室の稼働は、穿孔されたかまたは胞巣状の構造を一般的に呈し、積み重なっている耐火性材料の層を含む蓄熱室内部に炉からのガスを運ぶことを必要とする。ガスはこれらの層の間を通過し、レンガとの接触においてそれらを熱することで、蓄熱室は蓄熱体の機能を果たす。
【0004】
この段階において、ガスは1200-1300°Cから約400°Cまで冷却され、その後回収され炉または排気装置に戻される。この段階の間、ガスはガラスの溶融による煤や他の揮発性生成物を放つ。
【0005】
耐火性材料の層は、積み重ねられた容器を作るために千鳥状に配置された穿孔されたレンガでできており、実際には垂直通路(煙突)から構成され、ガスはそれに沿って通過することができ、それらが通過するとき、それらは時間の経過とともに垂直通路の閉塞を引き起こす可能性がある煤、硫酸塩および他の生成物を壁に堆積させる。従って、これらの煙突を定期的に洗浄すること、すなわちグラスの溶融による煤と他の揮発性生成物を取り除くことが必要である。
【0006】
WO2014/060322には蓄熱室を洗浄するための既知の方法が記載されており、ここに本明細書の一部を構成するものとしてそれを援用する。それはオペレータが蓄熱室自体の上下のコンパートメントに設けられたアクセス開口部を通して、蓄熱室の煙突に圧縮空気と石英粉塵の流れを運ぶランスを導入し、このようにしてランスのみによって煙突を洗浄することを提供する。
【0007】
この方法は蓄熱室を効果的に洗浄することを可能にしたため、満足できるものであることが証明されたが、同時に、その中で発見されたある制限を除くことで改良されることが分かっている。
【0008】
第1の制限は、温度が100°Cにまでも達することのある蓄熱室の上部で作業をするオペレータの不快な作業条件に関連する。
【0009】
別の制限は、狭い空間内で相当な長さのあるランスを扱える必要のあるオペレータへ与えられた限られた空間に関連する。
【0010】
別の制限は、洗浄の対象である蓄熱室の下のコンパートメントと上のコンパートメントへのアクセス開口部から熱風が逃げるため温度が下がり、炉内部に大気が入ることによって、燃焼混合物中の酸素が過剰になり、炉自体の最適な稼働環境を維持することを可能にするために、関連するパラメータを再調整する必要があるということに関連する。
【0011】
別の制限は、蓄熱室を冷却することはまた、炉を冷却することを含み、加熱システムの電力やそれ故の設置コストや稼働コストを増加させない限り、結果として生産上の問題が生じるということに関連する。練習。この欠点は、炉が最適な温度に戻るようにドアを閉じての中断を作業期間にたびたびする場合、避けられる可能性があるが、これはこれら中断の間は作業されない炉の生産力の減少を伴うだろう。
【0012】
別の制限は、一方ではランスは煙突の最も内部の部分にも到達することができるように十分に長い必要があり、他方では特に垂直方向の展開が限られているアクセス室の場合、それらは洗浄の対象である垂直通路への導入のじゃまにならないように十分に短い必要があるということに関連する。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、炉の蓄熱室を洗浄するため、特にガラス製品を生産するために適切である改良された機械を提案することであるが、本発明はこれら全ての制限を解消する。
特に、本発明の目的は、蓄熱室の垂直方向に展開される狭い空間を洗浄するために改良された機械を提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、自動化されたやり方または人間オペレータに取って代わるようないかなる場合において、これら狭い空間の洗浄を可能にする機械を提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、外部との多くの接続を必要とすることなしに垂直方向の空間の洗浄を可能にする機械を提案することである。
【0016】
本発明の別の目的は、24時間以上の連続作業を可能にする機械を提案することである。
【0017】
本発明の別の目的は、蓄熱室の状態を確かめることや、任意の故障および/またはそれに関連する重大性を診断することを可能にする、煙突を洗浄するための方法を提案することである。
【0018】
本発明に係る、これら全ての目標および以下説明から生じる他の目標は、請求項1で定義されたとおり、特にガラス製品の生産を目的とした炉の蓄熱室を洗浄するための機械、および請求項19に係るガラス製品の生産を目的とした炉の蓄熱室を洗浄するための方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付の図面を参照して、純粋に非限定的な例として与えられた実施形態のその好ましい形態のいくつかにおいて、以下でさらに明確にされ、
【
図3】通常稼働環境に挿入された機械を概略的に示し、
【
図5】電気および/または空気ダクトを通して接続された、前方の粉砕機、その制御コンソール、および外側の圧縮空気発生機を備えた特定のセットアップにおける上からの斜視図において、機械を示し、
【
図6】本発明に係る、機械のさらなる実施形態の側断面を示し、
【
図7】第1の実施形態において機械のヘッドの詳細の斜視図を示し、
【
図8a】さらなる実施形態において機械のヘッドの詳細の斜視図を示し、
【
図9】機械のヘッドに固定されることのできる空気圧ハンマーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面から分かるように、本発明にかかる洗浄機械(2)はガラス製品の生産を目的とした炉の蓄熱室(56)を洗浄するための機械(2)であって、該機械(2)は中空の耐火性要素が積み重なることで前記炉からの燃焼ガスのための垂直通路(煙突)が区切られ、本体(3)および駆動モータに関連付けられる動作部材を備えた自走式支持構造を含む。
【0021】
便利に、前記動作部材は、それらが独立した動作をするために、それぞれのモータに関連付けられた少なくとも2つの電動式車輪(4)を含む。後によく分かるように、これらのモータはいかなる型のものでも良いが、機械はその通常稼働のために圧縮空気をすでに使用していることを考慮すると、空気圧モータがより好ましい。代わりに、モータは油圧式のものでも良い。
【0022】
有利に、2つの電動式車輪(4)に加えて、自在式の2つの遊動輪(6)はまた、機械(2)の本体(3)に適用され、機械を移動させなければならない表面に沿った表面上の支持部の安定性を確保すると同時に、それらはまた縦軸の周りを回転することができるため、それは容易な操縦性を可能にする。
【0023】
便利に、別の実施形態において、動作部材は1以上のトラック(4’)を含む。
【0024】
適切に、本体(3)は動作部材の間に位置し、動作部材は車輪(4)および/または小さい車輪(6)、もしくはトラック(4’)であり得る。
【0025】
機械(2)の本体(3)は、2つの箱状のケーシング(3’)、(3”)で作られ、1つの内側のケーシング(3’)および1つの外側のケーシング(3”)であって、少なくとも外側のケーシングは、全体で平行六面体の形状を有する。便利に、2つのケーシング(3’)および(3”)はそれらの間の空洞(5)を区切り、これにより機械自体の機能性の指令制御要素を収容する本体(3)の内側の部分(特に内側のケーシング(3’)の中身)の温度を、作業中により高温になることのある外側の部分に対して、低く保つことができる。
【0026】
好ましくは、空洞(5)は相当量の空気を収容するために、内側のケーシング(3’)と同等の容積を有することができる。便利に、内側のケーシング(3’)および外側のケーシング(3”)は、複数の支持部(7)によって互いに一体化となって作られることができ、例えば、薄板状の形状を有することができ、空気通路(9)を定義し、以下で明確になるように、空洞(5)の内部の空気の循環を可能にするため、局所的な加熱のリスクを避けるか、または少なくとも制限する。
【0027】
本発明に係る機械(2)はまた、吸引ダクト(12)を取り付けるためのスリーブ(10)と後方で連通する前方の吸引口(8)を備えた吸引装置を含み、次に外側の吸引ユニット(14)に接続され、好ましくは、機械の洗浄中に得られる固形物のバグフィルター(16)が介在する。
【0028】
1以上のアクチュエータ(図面に示さず)であって、好ましくは空気圧式のものを、吸引口(8)に有利に関連付けることができ、これにより口自体を上下動させる垂直の動作および/または本体(3)に対して横の動作を引き起こすことができる。
【0029】
吸引ダクト(12)のためのカップリングスリーブ(10)の上の位置で、圧縮空気供給ダクト(20)を取り付けるための第2のスリーブ(18)は機械の本体に設けられる。
【0030】
さらに詳細に、シースとしてより適切に定義されることのできるこのダクト(20)の内部には、複数の電気ケーブルと複数の空気ダクトが収容され、これらは以下でより良く示されるような複数の機能を実行するため、機械(2)の内部に異なる圧縮空気の流れを運ぶ。
【0031】
機械(2)の稼働は機械自体の本体(3)の内部に収容されているバルブの群によって管理され、外側の制御コンソール(22)を通して空気圧で制御される。代わりに、機械(2)の稼働を管理するバルブは、例えば、Bluetooth(登録商標)などのWPAN技術を通して、またはWLAN技術を介して、無線周波数で稼働することのできるリモートコントロールによって遠隔で制御することができる。
【0032】
より具体的には、以下でより良く説明されるように、圧縮空気および石英粉末の流れのための制御バルブがあり、2つの車輪(4)を駆動させるための空気圧モータを供給する空気流制御バルブ、吸引口(8)を移動させるためのアクチュエータを供給する空気流制御バルブ、および1以上の洗浄ランス(24)の動作を実行する他の空気流制御バルブがある。
【0033】
上述されたように、これらのバルブは、コンソール自体を機械の本体(3)に接続し、一部がシース(20)の内部を通る空気ダクトを通して、そこに設けられた適切なレバー(26)を備えた制御コンソール(22)によって制御される。
【0034】
本説明では、制御レバー(26)についてのみ言及されるが、それらはボタンまたはジョイスティックやその同様のものなどのような他の制御要素によって有利に置き換えられることもあり得る。
【0035】
既に言及されたように、洗浄ランス(24)は、機械(2)の本体(3)に取り付けられており、これにより機械は洗浄の対象である表面およびより具体的には煙突の内面に、圧縮空気と石英粉塵の流れを送ることができる。
【0036】
図示された例において、機械(2)は単一のランス(24)を備えるが、本発明は機械がいくつかのランスを備えることができ、好ましくは互いに独立して稼働可能なことを提供する。
【0037】
各ランス(24)は有利に伸縮式のものであり、支持部(28)を通して機械(2)の本体(3)に拘束され、これによってランス自体が縦軸と横軸の両方の周りを回転することを可能にし、それは空間でどのような方向にも向くことができるようになる。
【0038】
ランス(24)の様々な動作、すなわち縦軸の周りでの回転動作と横軸の周りでの回転動作の両方および伸長と伸縮の短縮動作は、適切な空気圧式アクチュエータで有利に得られ、圧縮空気の供給および制御コンソール(22)が備える対応するレバー(26)を用いて制御される。
【0039】
1以上のカメラはまた、機械(2)の本体(3)に有利に適用され、例えば、前方カメラ(30)と後方カメラ(32)は、機械の作業エリアの前と後ろの広いエリアの画像を撮影することができ、第3のカメラ(34)はランス(24)の上端に有利に取り付けられ、ランス(24)が洗浄作業中に導入される煙突の内側のエリアを撮影することができる。後者のカメラ(34)はランス自体と一体となることができ、従ってその動作に合わせて方向付けすることができるか、またはそれをランス(24)に対して移動することを可能にするそれ自体の支持部に取り付けることができる。有利に、カメラ(30)、(32)は機械(2)の本体(3)の内部、および好ましくは、空洞(5)の内部へ挿入することができ、落下するデブリや電気に損傷を与えることもあり得る高温から保護されるようになる。機械(2)の本体に設けられたスリーブ(18)と接続された一方の端を有するシース(20)は、複数の結合金具(36)と接続された他方の端を有し、それはまた、コンソール(22)と、圧縮空気を供給し石英粉末を洗浄するための第1のダクト(40)と、冷却圧縮空気を供給するための第2のダクト(42)と、に接続するための第2のシース(38)を含む。
【0040】
複数の結合金具(36)およびシース(38)を通してコンソール(22)に機械(2)を接続するシース(20)は、上で言及されたように、複数の空気ダクトおよび複数の電気ケーブルを収容する。空気ダクトは、第3のダクト(46)を通してコンソール自体に接続される第1の圧縮機(44)によって発生する圧縮空気を機械(2)に供給し、そうすることで圧縮空気は機械(2)の本体内に包含されるバルブ群に供給できるようになり、コンソール(22)のレバー(26)を通して与えられた指令に基づいて、それは車輪(4)と機械自体が様々な機能を果たすために備えられている他の機関の動作のために機械自体に取り付けられた対応するアクチュエータを制御する方法で供給することができる。
【0041】
電気ケーブルはコンソール(22)に、機械に搭載された電子機器、特にカメラ(30)、(32)、(34)および様々な型のセンサを接続する。
【0042】
第1のダクト(40)は複数の結合金具(36)に供給し、そこから機械(2)に圧縮空気と石英粉塵の流れを供給する。圧縮空気は第2の圧縮機(50)によって発生し、タンク(52)に送られ、そこから流れ自体が投与された量の石英粉末を取り、シース(20)を通してランス(24)にそれを送る。好ましくは、石英粉末には0.9と2.1mmの間の粒子サイズを有している。
【0043】
複数の結合金具36はまた、第2のダクト(42)を通して、第3の圧縮機(54)によって発生し、シース(20)によって外側におよび空気ダクトとその内部に置かれた電気ケーブルによって内側に区切られた空間へ導入される圧縮空気の流れに到達し、洗浄の対象である蓄熱室(56)に近接していることを考慮して、部分的に高温環境内に位置している前記ダクトおよびケーブルを冷却することを目的としている。便利に、前記第3の圧縮機(54)によって発生した空気の流れはまた、機械の内部を冷却するため、第2のダクト(42)を通して空洞(5)に到達することができる。
【0044】
機械(2)の本体(3)に有利に、好ましくは本体自体に対してより高い位置に、圧縮空気供給回路に接続された容器(45)を、例えば、第3の圧縮機(54)によって発生した冷却圧縮空気を供給するための第2のダクト(42)と関連付けることができる。
有利に、前記容器(45)は、その内部に存在する圧縮空気を逃すことを可能にする機械(2)の本体(3)の方へ向けられた複数のノズル(46)を含む。この方法において適切に、機械(2)および/またはカメラ(30)、(32)の外側のケーシングを、効率的に冷却および/または洗浄することを可能にする圧縮空気の流れを作ることが可能である。便利に、容器(45)はその内部の圧力がその爆発を防ぐために事前定義された値を越える場合に、作動させることができる安全バルブ(47)を含むことができる。有利には、さらに、容器には、好ましくはその下部に位置する、その内部に形成された可能性のあるいかなる凝縮物の排出を可能にする、さらなるバルブ(48)を設けることができる。
【0045】
本発明に係る機械の稼働は、それが洗浄の対象である蓄熱室(56)の下部のコンパートメント(55)に入るまで、それはコンソール(22)を介して移動させられ、アクセスドア(58)を閉じた後、それはシース(20)と吸引ダクト(12)によってのみ外側に接続されたままになるようになることを提供する。オペレータはコンソール(22)を通して、コンパートメント(55)の内部の機械(2)の様々な稼働および運ぶ動作を外部から制御することができ、それはまたコンソール自体が設けているモニター(60)を通して、洗浄機械の正しい動作および正しい稼働を制御することができる。この目的のため、それはこのモニター(60)が、様々なカメラ(30)、(32)、(34)によって撮影された画像を同時に表示することのできる異なるエリア、または1以上のカメラによって撮影された画像を選択的に表示することのできる単一のエリアを有することを有利に提供できる。他方のカメラで。
【0046】
また、ランス(24)には、その洗浄機能を果たすために挿入する必要がある蓄熱室(56)の煙突に対してランスの中心を確保する機能を有するセンサが設けられる。
図1と2において、レーザーセンサ(64)には、例としてランス(24)が適用される。
【0047】
実用的な理由から、コンソール(22)には、オペレータがそれを肩で支え易いように1組のショルダーストラップ(62)が設けられる。
【0048】
有利な実施形態において、
図5において示される本発明に係る洗浄機械はまた、その前方部に、そうでなければ吸引口(8)から取り外されることができないより大きな一体型部品の粉砕機(66)を含む。洗浄作業中に煙突から落ちてきたより大きないかなる固形残渣を粉砕し、吸引口(8)で吸引するのに適切な大きさにするために適した硬い素材の刃や突起を備えた回転部材を含む型のものが好ましい。また、この粉砕機(66)は、その動作のために、コンソール(22)に取り付けられた特定のレバー(26)を通してオペレータが制御可能な、好ましくは空気圧モータを備えることができる。
【0049】
粉砕には適さないより大きな物体の除去をするために、機械(2)はまた、粉砕も吸引口(8)による吸取りもできないより大きな物体を蓄熱室(56)の外部へ持ち運ぶように構成された持ち上げ装置を含むことができる。好ましくは、前記持ち上げ装置は従来のリフティングブレード(図面に示さず)で構成されており、コンソール(22)を通してオペレータによって制御可能でもある、それ自体のアクチュエータによって稼働される。
【0050】
有利には、さらなる実施形態において、機械(2)の前方、および好ましくは粉砕機(66)と吸引口(8)との間に、好ましくは機械(2)の前進方向に垂直な回転軸を有する螺旋(57)を位置決めすることができ、デブリを周辺から吸引口(8)に運ぶように構成される。螺旋(57)は、最小のデブリも運ぶことができるように適したブラシを適切に備えることができる。
【0051】
有利には、さらなる実施形態において、空気圧ハンマー(67)を機械(2)の前方、および好ましくは粉砕機(66)の前または代わりに、1以上の支持部(68)によって機械(2)に関連付けて位置決めすることができる。好ましくは、前記空気圧ハンマー(67)は大きなブロックにも到達して粉砕することができるように旋回することができる。
好ましくはまた、前記空気圧ハンマー(67)は圧縮空気供給回路によって供給されることができる。
【0052】
機械が蓄熱室(56)の下部のコンパートメント(55)へ持ち込まれると、オペレータはコンソール(22)のレバー(26)を操作して、この段階では伸縮式ランス(24)を垂直または好ましくは水平の状態に保ちながらそれを移動させ、格納すると同時にコンソール(22)のモニター(60)を通して動作自体を制御する。有利に、煙突の洗浄を開始する前に、床に存在する残留物の種類とそれらの位置を検知するために、蓄熱室(56)の下部のコンパートメント(55)の完全な洗浄を実行することができる。これにより、構造のいかなる弱点を診断して崩壊または破損を防ぐことができ、ガラス溶融工程の全体の効率性を確認することも可能にする。
【0053】
その後、オペレータはコンソール(22)のレバー(26)を操作して、洗浄の対象である煙突の下端の下に機械を位置決めする。
【0054】
ランス(24)がこの煙突の下に位置決めされると、オペレータは常にモニター(60)で動作の正確さを確かめながら、それが煙突に入り、煙突自体に沿ってその稼働頭部が上がるまで、ランス(24)を伸縮自在に伸長させる。この段階において、レーザーセンサ(64)のランス(24)の端にあるということは、ランスを煙突に対してセンタリングする機能を有し、場合によっては煙突自体の内部でランスを伸長させる間、そのセンタリングを確保するために機械(2)の小さな調整動作を自動的に行うことができる。
【0055】
続いて、オペレータはコンソール(22)のレバー(26)を常に適切に操作してランス(24)を作動させ、実行の対象である作業の特定の性質に応じて、圧縮空気と石英粉塵の流れを調整し、同時にランス(24)を導入した煙突に沿ってランス(24)を伸縮自在に動作させ、その完全な洗浄を実行する。
【0056】
この段階において、暖炉の内面から取り除かれた残留炭素と混合された石英粉末は、蓄熱室(56)の床に落下し、吸引口(8)から取り除くことができる。
【0057】
炉が完全に洗浄された時、ランスは格納され、機械は別の煙突の稼働を繰り返すために移動させられる。
【0058】
石英粉塵と残留炭素の取り除きは、各煙突の洗浄の最後またはある一定数の煙突の洗浄が実行された後に行われることができる。
【0059】
別の特徴は、機械(2)の本体(3)の内側の箱状のケーシングと外側の箱状のケーシングの両方に、2つのケーシングの温度を検知するセンサを有利に設けることができるという点であり、それらは機械の稼働中に使用されるのではなく、その使用前の開発過程において使用される。より詳細には、機械が稼働する環境条件によって、それらが内側および外側の2つの囲いの温度値が、プリセット値(例えば内側の囲いが+50°C、外側のケーシングが+70°C)の外部にある場合、オペレータは機械(2)の本体(3)に設けられた、第2のダクト(42)からの圧縮冷却空気の排出口を多少開くことができ、従って、機械の本体に入るこの流れを減少または増加させることができ、様々な部分の最適な温度を全容量で確保することができるようになる。
【0060】
異なる実施形態において、図面では示されていないが、ランス(24)は伸長式のものでないが、煙突の上部にも到達することができるような圧縮空気および石英粉塵が噴出することが提供される。
【0061】
さらに、機械は自動ガイドシステムを備えており、オペレータの継続的な支援を必要とせずに蓄熱室(56)の下部のコンパートメント(55)内を移動可能であることが提供される。
【0062】
述べてきたことから、本発明に係る機械は、上述の目標を完全に達成することは明確であり、特に、
オペレータが高温の蓄熱室のエリアから離れ、従って不快な条件で作業をすることを可能にし、
ランスを移動させるためにオペレータが手間のかかる操作をすることを必要とせず、
蓄熱室の下のコンパートメントを実質的に閉じておくことを可能にし、熱風を逃すことを防ぎ、これに伴う否定的な結果を排除し、
炉のいかなる冷却も伴わないため、常に高い効率性、低い設置コストと低い稼働コストで作業することができ、
煙突の直線的な展開に関わらず、蓄熱室の完全な洗浄を可能にし、
炉の24時間以上の連続稼働を可能にし、
適切にプログラムされている場合、自動的に稼働することが可能である。
【0063】
特に、本発明に係る機械は、WO2014/060322に記載されている方法と比較して、作業者は洗浄の対象である蓄熱室の外部に留まることができるため、高温にさらされたり、洗浄対象の塵芥やがれきにさらされることがないという点で有利である。