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  • 特許-乾燥海苔製造システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】乾燥海苔製造システム
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20240724BHJP
【FI】
A23L17/60 103A
A23L17/60 103B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022045143
(22)【出願日】2022-03-22
(65)【公開番号】P2023139561
(43)【公開日】2023-10-04
【審査請求日】2023-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505454203
【氏名又は名称】株式会社フジックス
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】原口 武大
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-201654(JP,A)
【文献】特開2013-192494(JP,A)
【文献】特開2018-094541(JP,A)
【文献】特開2014-083033(JP,A)
【文献】特開2007-151500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水中に貯留された海苔原藻と真水とを調合して海苔原料とする前処理機と、海苔原料を抄製した海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を製造する海苔製造機とからなる乾燥海苔製造システムにおいて、
海水又は真水にオゾン又は酸素のナノバブルを含有させるためのナノバブル処理装置を、海水又は真水を貯留するための海水タンク又は真水タンクと前処理機との間に設け
海水タンク又は真水タンクに貯留した海水又は真水にナノバブル処理装置によってオゾン又は酸素のナノバブルを含有させた状態で前処理機に供給することを特徴とする乾燥海苔製造システム。
【請求項2】
前記ナノバブル処理装置は、海水及び真水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させることを特徴とする請求項1に記載の乾燥海苔製造システム。
【請求項3】
前記ナノバブル処理装置は、海苔生地を抄製するための抄製装置から回収した抄き水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させることを特徴とする請求項1に記載の乾燥海苔製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水中に貯留された海苔原藻と真水とを調合して海苔原料とし、海苔原料を抄製した海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥海苔は、概ね次のような過程を経て製造される。
【0003】
まず、海中で養殖した海苔原藻を貯留装置の内部で海水中に貯留しておく。
【0004】
その後、貯留装置から取出した海苔原藻を細断装置で細断するとともに真水(塩分を含まない水)と混合して海苔原料を生成する。
【0005】
その後、海苔原料を海苔製造機の抄製装置で抄製して海苔生地を形成する。
【0006】
その後、海苔生地を海苔製造機の乾燥装置で乾燥することによって乾燥海苔を製造する(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-325142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の乾燥海苔の製造過程においては、海苔原藻や海苔原料や海苔生地が海水や真水と混合された状態となって処理される。
【0009】
そのため、海苔原藻や海苔原料や海苔生地と混合される海水や真水の品質が劣化していると、製造される乾燥海苔の品質が低下してしまい、乾燥海苔の商品価値を損なうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に係る本発明では、海水中に貯留された海苔原藻と真水とを調合して海苔原料とする前処理機と、海苔原料を抄製した海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を製造する海苔製造機とからなる乾燥海苔製造システムにおいて、海水又は真水にオゾン又は酸素のナノバブルを含有させるためのナノバブル処理装置を、海水又は真水を貯留するための海水タンク又は真水タンクと前処理機との間に設け、海水タンク又は真水タンクに貯留した海水又は真水にナノバブル処理装置によってオゾン又は酸素のナノバブルを含有させた状態で前処理機に供給することにした。
【0011】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記ナノバブル処理装置は、海水及び真水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させることにした。
【0012】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記ナノバブル処理装置は、海苔生地を抄製するための抄製装置から回収した抄き水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させることにした。
【発明の効果】
【0013】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0014】
すなわち、本発明では、海水中に貯留された海苔原藻と真水とを調合して海苔原料とし、海苔原料を抄製した海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムにおいて、海水又は真水にオゾン又は酸素のナノバブルを含有させるためのナノバブル処理装置を設けることにしているために、海苔原藻や海苔原料や海苔生地と混合される海水や真水の品質が劣化してしまうのを抑制し、製造される乾燥海苔の品質が低下してしまうのを防止し、乾燥海苔の商品価値を向上させることができる。
【0015】
特に、ナノバブル処理装置で海水及び真水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させることにした場合には、殺菌や溶存酸素濃度の向上によってより一層乾燥海苔の商品価値を向上させることができる。
【0016】
また、ナノバブル処理装置で海苔生地を抄製するための抄製装置から回収した抄き水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させることにした場合には、抄製で使用する抄き水を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る乾燥海苔製造システムを示す説明図。
図2】海水に用いるナノバブル処理装置を示す説明図。
図3】真水に用いるナノバブル処理装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る乾燥海苔製造システムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0019】
海中で養殖された海苔原藻から乾燥海苔を製造するために、図1図3に示す乾燥海苔製造システム1が使用される。
【0020】
この乾燥海苔製造システム1では、主に、海水中に貯留された海苔原藻と真水とを調合して海苔原料を生成する前処理機2と、海苔原料を抄製した海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を製造する海苔製造機3とを順に接続している。なお、乾燥海苔製造システム1は、コンピュータ(CPU)やメモリやインターフェイスなどから構成される制御装置を有しており、制御プログラムに基づいて制御装置で制御されている。
【0021】
前処理機2は、貯留装置4と異物除去装置5と細断装置6と調合装置7と原料タンク8とを順に接続している。
【0022】
貯留装置4では、海中で養殖した後に収穫した海苔原藻が海水とともに一時的に貯留される。
【0023】
異物除去装置5では、貯留装置4から海苔原藻が海水とともに搬入され、海苔原藻に付着した異物や海中に含まれる異物が除去される。
【0024】
細断装置6では、異物除去装置5から海苔原藻が海水とともに搬入され、海水が絞り落とされ、海苔原藻が真水と混合されるとともに、海苔原藻が所定サイズに細断される。
【0025】
調合装置7では、細断装置6から細断された海苔原藻が真水とともに搬入され、真水が絞り落とされ、海苔原料が予め設定された混合比率で真水と混合(調合)され、海苔原料が生成される。
【0026】
原料タンク8では、調合装置7で調合した海苔原料が一時的に貯留される。
【0027】
このように、前処理機2では、収穫した海苔原藻を貯留装置4、異物除去装置5、細断装置6、調合装置7の順で処理することによって、収穫した海苔原藻を用いて所定濃度の海苔原料を生成している。生成された海苔原料は、原料タンク8に一時的に貯留され、必要に応じて原料タンク8から海苔製造機3に供給される。
【0028】
海苔製造機3は、海苔簀を循環搬送する搬送経路上に抄製装置9と脱水装置10と乾燥装置11と剥離装置12とを順に配設している。
【0029】
抄製装置9では、原料タンク8から供給された海苔原料を海苔簀の上に吐出するとともに海苔簀で抄いて海苔簀上に多量に水分を含んだ矩形薄板状の海苔生地を形成する。
【0030】
脱水装置10では、海苔簀上で多量の水分を含んだ海苔生地にスポンジ等の吸水具を押圧して脱水を行う。
【0031】
乾燥装置11では、水分を含んだ海苔生地を海苔簀ごと乾燥空気(温風)に所定時間晒して海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を海苔簀上に生成する。
【0032】
剥離装置12では、海苔簀から乾燥海苔を剥離する。
【0033】
このように、海苔製造機3では、前処理機2から供給された海苔原料を抄製装置9、脱水装置10、乾燥装置11、剥離装置12の順で処理することによって、海苔原料から所定形状の乾燥海苔を連続して製造している。
【0034】
以上に説明したように、乾燥海苔製造システム1では、前処理機2(貯留装置4、異物除去装置5、細断装置6、調合装置7、原料タンク8)と海苔製造機3(抄製装置9、脱水装置10、乾燥装置11、剥離装置12)とを用いて連続して処理することで、収穫した海苔原藻から出荷する乾燥海苔を連続して製造する。
【0035】
そして、上記乾燥海苔製造システム1では、前処理機2と海苔製造機3とを用いて処理する際に使用される海水又は真水にオゾン又は酸素のナノバブルを含有させている。なお、ここで、海水とは、塩分を適度に含んだ水を指し、真水とは、塩分を全く含んでいないか又は適度な塩分を含んでいない水を指す。
【0036】
乾燥海苔製造システム1で使用される海水は、海から汲み上げて海水タンク13に貯留され、海水タンク13から海水が使用される貯留装置4や異物除去装置5や細断装置6に供給される。
【0037】
乾燥海苔製造システム1では、海水タンク13に海水中にオゾン及び酸素のナノバブルを噴出して海水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させるためのナノバブル処理装置14を接続するとともに、ナノバブル処理装置14に貯留装置4と異物除去装置5と細断装置6とをそれぞれ接続している。
【0038】
そして、乾燥海苔製造システム1では、海水タンク13に貯留した海水にナノバブル処理装置14によってオゾン及び酸素のナノバブルを含有させた状態で貯留装置4と異物除去装置5と細断装置6とにそれぞれ供給し、貯留装置4や異物除去装置5や細断装置6での処理に使用するようにしている。
【0039】
なお、海水にオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させることができればよく、図1及び図2(a)に示すように、海水タンク13にナノバブル処理装置14を接続して、ナノバブル処理装置14からオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させた海水を貯留装置4や異物除去装置5や細断装置6に供給する構成に限られず、図2(b)に示すように、海水タンク13とナノバブル処理装置14との間に循環流路を設けて、海水タンク13に貯留された海水を循環させながらナノバブル処理装置14で海水中にオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させるとともに、海水タンク13からオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させた海水を貯留装置4や異物除去装置5や細断装置6に供給する構成としてもよい。
【0040】
このように、乾燥海苔製造システム1で使用される海水にオゾン又は酸素のナノバブルを含有させることによって、海水中の有機物を処理することができて海苔原藻からの細胞の溶出を減少させることができるとともに、海水中の溶存酸素量が増大して海水を活性化させることができて海苔原藻の劣化を防止することができ、さらに、海水が流れる配管に付着する汚れを防止することができ、これにより、海苔原藻の品質を向上させ乾燥海苔の商品価値を向上させることができるとともに、配管等の清掃に要する手間や時間やコストを低減させることができる。
【0041】
一方、乾燥海苔製造システム1で使用される真水は、水道水(上水)が水道源15から供給されて真水タンク16に貯留されるとともに、海苔製造機3の抄製装置9で抄製に使用された余剰の抄き水(海苔原料に含まれていた真水)が抄製装置9から抄き水回収タンク17に回収され抄き水浄化装置18によって浄化されて真水タンク16に貯留され、真水タンク16から真水が使用される細断装置6や調合装置7に供給される。
【0042】
乾燥海苔製造システム1では、真水タンク16に真水中にオゾン及び酸素のナノバブルを噴出して真水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させるためのナノバブル処理装置19を接続するとともに、ナノバブル処理装置19に細断装置6と調合装置7とをそれぞれ接続している。
【0043】
そして、乾燥海苔製造システム1では、真水タンク16に貯留した真水にナノバブル処理装置19によってオゾン及び酸素のナノバブルを含有させた状態で細断装置6と調合装置7とにそれぞれ供給し、細断装置6や調合装置7での処理に使用するようにしている。
【0044】
このように、乾燥海苔製造システム1で使用される真水にオゾン又は酸素のナノバブルを含有させることによって、真水中の溶存酸素量が増大して真水を活性化させることができて海苔原藻の劣化を防止することができ、加圧することなくオゾンや酸素を溶解させることができ、真水が流れる配管に付着する汚れを防止することができ、さらに、回収した抄き水の脱色作用を増大させることができ、これにより、海苔原藻の品質を向上させ乾燥海苔の商品価値を向上させることができるとともに、配管等の清掃に要する手間や時間やコストを低減させることができる。
【0045】
なお、真水にオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させることができればよく、図1及び図3(a)に示すように、真水タンク16にナノバブル処理装置19を接続して、ナノバブル処理装置19からオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させた真水を細断装置6や調合装置7に供給する構成に限られず、図3(b)に示すように、真水タンク16とナノバブル処理装置19との間に循環流路を設けて、真水タンク16に貯留された真水を循環させながらナノバブル処理装置19で真水中にオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させるとともに、真水タンク16からオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させた真水を細断装置6や調合装置7に供給する構成としてもよく、また、図3(c)に示すように、水道源15と真水タンク16との間と抄き水浄化装置18と真水タンク16との間にそれぞれナノバブル処理装置19を介設して、水道源15から供給される水道水中や抄き水浄化装置18から供給される浄化された抄き水中にナノバブル処理装置19でオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させて真水タンク16に供給し、真水タンク16からオゾン又は/及び酸素のナノバブルを含有させた真水を細断装置6や調合装置7に供給する構成としてもよい。
【0046】
以上に説明したように、上記乾燥海苔製造システム1は、海水中に貯留された海苔原藻と真水とを調合して海苔原料とし、海苔原料を抄製した海苔生地を乾燥させて乾燥海苔を製造する際に、海水又は真水にオゾン又は酸素のナノバブルを含有させるためのナノバブル処理装置14,19を設けた構成となっている。
【0047】
そのため、上記構成の乾燥海苔製造システム1では、海苔原藻や海苔原料や海苔生地と混合される海水や真水の品質が劣化してしまうのを抑制し、製造される乾燥海苔の品質が低下してしまうのを防止し、乾燥海苔の商品価値を向上させることができる。
【0048】
また、上記乾燥海苔製造システム1は、ナノバブル処理装置14で海水及び真水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させる構成となっている。
【0049】
そのため、上記構成の乾燥海苔製造システム1では、殺菌や溶存酸素濃度の向上によってより一層乾燥海苔の商品価値を向上させることができる。
【0050】
また、上記乾燥海苔製造システム1は、ナノバブル処理装置19で海苔生地を抄製するための抄製装置9から回収した抄き水にオゾン及び酸素のナノバブルを含有させる構成となっている。
【0051】
そのため、上記構成の乾燥海苔製造システム1では、抄製で使用する抄き水を有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 乾燥海苔製造システム 2 前処理機
3 海苔製造機 4 貯留装置
5 異物除去装置 6 細断装置
7 調合装置 8 原料タンク
9 抄製装置 10 脱水装置
11 乾燥装置 12 剥離装置
13 海水タンク 14 ナノバブル処理装置
15 水道源 16 真水タンク
17 抄き水回収タンク 18 抄き水浄化装置
19 ナノバブル処理装置
図1
図2
図3