(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A63F5/04 611A
A63F5/04 651
(21)【出願番号】P 2022112039
(22)【出願日】2022-07-12
【審査請求日】2023-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 繁樹
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリールと、
複数のストップボタンと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
所定の報知態様になることでボーナスに当選したことを報知可能な報知手段と、を備え、
前記ボーナスに当選し少なくとも前記複数のストップボタンのいずれか1つが操作された以降の所定の契機において、前記報知手段を前記所定の報知態様にでき、
前記ボーナスに当選し且つ前記報知手段が前記所定の報知態様となっておらず且つ前記複数のストップボタンのいずれか1つが操作された
時点において、前記ボーナスの当選を判別できない図柄が停止した状態においては、前記ボーナスに当選したことを
遊技者が判別不能な状態となっており、
前記ボーナスに当選し且つ前記報知手段が前記所定の報知態様となっておらず且つ前記複数のストップボタンのいずれか1つが操作された
時点において、前記ボーナスの当選を判別できない図柄が停止した状態において、
電断が発生しない場合には、前記所定の契機となるまで前記報知手段が前記所定の報知態様にならず、
前記電断が発生した場合には、該電断から復帰したことを契機として前記報知手段が前記所定の報知態様になる、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述した遊技機においては、有利状態へ移行することが決定された遊技で遊技の進行を遅延するフリーズが発生し、該フリーズ中に遊技機への電力の供給が遮断される電断が発生した場合に、電断の復旧後に有利状態への移行を報知する報知演出を実行する構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遊技機のように、一般に、遊技機においては、フリーズが発生する際に遊技者にとって有利な制御が実行される可能性が高いことから、フリーズ中に電断が発生した場合であっても、電断によって遊技者の遊技への意欲が低下する可能性が低く、電断後も遊技を継続して実行し、有利な制御による利益を遊技者が享受できる傾向にある。
【0006】
しかしながら、有利な制御の実行が決定されていることが遊技者に判別されない状態で電断が発生した場合には、電断によって遊技者の遊技への意欲が低下することで、電断から復帰した後に遊技者が遊技を終了してしまい、本来受けることができた有利な制御による利益を遊技者が獲得できなくなってしまう虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、遊技者が本来受けることができた遊技利益の逸失を防ぐことができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のリールと、
複数のストップボタンと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
所定の報知態様になることでボーナスに当選したことを報知可能な報知手段と、を備え、
前記ボーナスに当選し少なくとも前記複数のストップボタンのいずれか1つが操作された以降の所定の契機において、前記報知手段を前記所定の報知態様にでき、
前記ボーナスに当選し且つ前記報知手段が前記所定の報知態様となっておらず且つ前記複数のストップボタンのいずれか1つが操作された時点において、前記ボーナスの当選を判別できない図柄が停止した状態においては、前記ボーナスに当選したことを遊技者が判別不能な状態となっており、
前記ボーナスに当選し且つ前記報知手段が前記所定の報知態様となっておらず且つ前記複数のストップボタンのいずれか1つが操作された時点において、前記ボーナスの当選を判別できない図柄が停止した状態において、
電断が発生しない場合には、前記所定の契機となるまで前記報知手段が前記所定の報知態様にならず、
前記電断が発生した場合には、該電断から復帰したことを契機として前記報知手段が前記所定の報知態様になる、とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技者が本来受けることができた遊技利益の逸失を防ぐことができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態の遊技機の外観構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の遊技機における内部抽選で当選可能な当選エリアと、各当選エリアに含まれる当選役と、を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の遊技機におけるリールの図柄配列を説明する図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の遊技機における役の入賞図柄組合せと配当とを示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図である。
【
図7】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機において当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技が開始された状態を示す図、(B)は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において左リール~右リールが停止し、当該遊技が終了された状態を示す図、(C)は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技が終了し、次遊技以降のRBBを入賞可能な遊技が開始された状態を示す図である。
【
図8】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機において当選エリア「RBB&チェリー」に当選し且つストップボタンB1が第1停止操作された状態を示す図、(B)は、
図8(A)に示す状態において電断が発生した場合における表示装置とボーナス報知部とを示す図、(C)は、
図8(B)に示す状態から電力の供給が再開され電断から復帰した場合における表示装置とボーナス報知部とを示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の遊技機において当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合における先報知の実行確率と、後報知の実行確率と、を説明する図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態の遊技機の下パネル部を分解して示す斜視図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態の遊技機の下パネル部の上部を示す断面図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態の遊技機の前パネルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第1の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、第1の実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す正面図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0013】
第1の実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての左リールR1~右リールR3からなるリールユニット310(
図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(
図2参照)が収められている。また、第1の実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0014】
図1に示す左リールR1~右リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0015】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種映像や画像から構成された演出を行うための表示手段としての表示装置330が設けられている。また、表示装置330は、画像を表示する表示領域330aのうち左リールR1~右リールR3と対向する特定領域330bが透過液晶ディスプレイから構成されており、表示装置330の特定領域330bを介して左リールR1~右リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能に構成されている。左リールR1~右リールR3の停止状態では、左リールR1~右リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示装置330を通じて観察できるようになっている。
【0016】
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、表示装置330を通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。第1の実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると左リールR1~右リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0017】
そして、遊技結果は、有効ラインL1上(有効ライン上)に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0018】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報の表示等の各種遊技情報が表示される。また、第1の実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面上扉UDと前面下扉DDとに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0019】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、左リールR1~右リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている左リールR1~右リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
【0020】
また、前面下扉DDには、ボーナスに当選した場合において、ボーナスに当選したこと報知するランプであるボーナス報知部410が設けられている。ボーナス報知部410は、ボーナスに当選したことを報知していない状態では消灯しており、ボーナスに当選した遊技において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が停止操作され、左リールR1~右リールR3が停止し遊技が終了した場合に、所定の確率で点灯し、ボーナスに当選したことを報知する。
【0021】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0022】
図2は、第1の実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての主制御部10によって制御される。主制御部10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチ250及びリセットスイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット320及びボーナス報知部410等の出力手段の動作を制御する。
【0023】
また、主制御部10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、主記憶手段190及び主報知制御手段400を含む。主制御部10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、主記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0024】
設定変更手段100は、主記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態において、電源装置に設けられているリセットスイッチ260から出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値を設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させ、スタートレバーSLが操作されスタートスイッチ230から出力されるスタート信号を受信したことに基づいて設定値を確定させる。スロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0025】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されて通常区間が設定されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、主制御部10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されている。
【0026】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、メダル投入口MI(
図1参照)にメダルが投入されてメダル投入スイッチ210が作動した場合には、投入されたメダルを投入状態に設定し、メダルがクレジットされた状態でマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されるベットスイッチ220が作動した場合と、には、規定投入数(3枚)を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定することで、規定投入数に相当するメダルが投入状態に設定されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。
【0027】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、左リールR1~右リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0028】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、第1の実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0029】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0030】
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に記憶されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0031】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0032】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0033】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。第1の実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に記憶される。
【0034】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、左リールR1~右リールR3の回転駆動を開始し左リールR1~右リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、左リールR1~右リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する左リールR1~右リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0035】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって左リールR1~右リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
【0036】
第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
【0037】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0038】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、主記憶手段190のリール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0039】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0040】
入賞判定手段140は、左リールR1~右リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、主記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0041】
第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0042】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0043】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0044】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、第1の実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0045】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0046】
主報知制御手段400は、内部抽選手段120による内部抽選でボーナスに当選し、ボーナス報知部410によってボーナスに当選したことを報知すると決定された場合に、消灯しているボーナス報知部410を左リールR1~右リールR3が停止したことを契機に点灯させる。ボーナス報知部410による点灯態様と、点灯する確率と、については、後述する。
【0047】
副制御部20は、主制御部10からコマンドを含む各種情報を受信可能で且つ主制御部10には情報を送信不能となるように、単方向通信可能に主制御部10と通信接続されており、主制御部10から送信される各種信号(コマンド)に基づき、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて表示装置330、音響装置340を含む演出装置300等の出力手段の動作を制御する。
【0048】
副制御部20の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRWMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。第1の実施形態の副制御部20は、プロセッサとして、CPU(以下、副制御部20のCPUを「サブCPU」とも記載)を有している。また、副制御部20は、副制御部20のROM上に、演出制御手段180及び副記憶手段181を設けている。副制御部20を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、副記憶手段181に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0049】
演出制御手段180は、副記憶手段181の演出制御データ記憶手段182に記憶されている演出データに基づいて、例えば、表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。
【0050】
2.第1の実施形態における遊技機が備える構成
次に、
図3~
図9を参照して、第1の実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0051】
<内部抽選の対象となる当選エリア>
図3は、第1の実施形態のスロットマシン1における内部抽選の対象となる当選エリアと、各当選エリアに対応付けられている当選番号及び当選役と、を示す図である。
【0052】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を有している。また、スロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態として、RBBが成立状態に設定されておらず、かつRBBが作動していない一般中としての非RT状態と、RBBが成立状態に設定された場合に移行され、RBBが作動するまで内部でRBBの成立状態が維持されているボーナス内部中(内部中)としてのボーナス成立状態と、RBBが作動した場合に移行され、RBBが作動しているボーナス作動中(作動中)としてのボーナス状態と、を有している。
【0053】
図3に示すように、第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の対象となる当選エリアとして、当選エリア「全小役」、当選エリア「チェリー」、当選エリア「小役A」~当選エリア「小役C」、当選エリア「リプレイ」、当選エリア「RBB&チェリー」及び当選エリア「RBB」を有しており、当選番号1番~当選番号8番の番号がそれぞれ対応付けらえている。また、スロットマシン1では、内部抽選の結果として不当選(ハズレ)に当選番号0番が対応付けられている。
【0054】
内部抽選手段120は、乱数判定処理において、当選番号8番に対応付けられた当選エリアから当選番号0番に対応付けられた不当選に向かう順番で、各当選エリアの当否を決定していく。
【0055】
第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役として、小役1~小役8を有しており、内部抽選で当選可能なリプレイとして、リプレイ1を有している。各小役及び各リプレイは、それぞれ
図3に示す組合せで各当選エリアに対応付けられている。
【0056】
また、
図3に示すように、スロットマシン1では、ボーナスと小役とを含む当選エリアとして、当選エリア「RBB&チェリー」が設定され、ボーナスのみを含み当選エリアとして、当選エリア「RBB」が設定されている。
【0057】
スロットマシン1では、当選エリア「チェリー」と、当選エリア「RBB&チェリー」と、について、当選エリア「小役A」~当選エリア「小役C」の小役を含む各当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。
【0058】
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0059】
<内部抽選テーブル>
第1の実施形態のスロットマシン1は、内部抽選手段120による内部抽選で用いられる抽選テーブルである内部抽選テーブルとして、非RT状態(一般中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルAと記載)と、ボーナス成立状態(内部中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルBと記載)と、ボーナス状態(作動中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルCと記載)と、を内部抽選テーブル記憶手段192に記憶させている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCの各内部抽選テーブルにおいては、抽選の対象となる各当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0060】
具体的には、内部抽選テーブルAにおいては、抽選の対象となる当選エリアとして、当選番号2番の当選エリア「チェリー」~当選番号8番の当選エリア「RBB」に抽選値数が対応付けられている。また、内部抽選テーブルBにおいては、抽選の対象となる当選エリアとして、当選番号2番の当選エリア「チェリー」~当選番号6番の当選エリア「リプレイ」に抽選値数が対応付けられている。そして、内部抽選テーブルCにおいては、抽選の対象となる当選エリアとして、当選番号1番の当選エリア「全小役」に抽選値数が対応付けられている。
【0061】
<乱数判定処理>
第1の実施形態の内部抽選手段120は、乱数判定処理において、乱数生成手段110から取得した乱数を、内部抽選テーブル記憶手段192から取得した内部抽選テーブルにおいて各当選エリアに対応付けられている抽選値数で順次減算していき、減算した結果が負の値となった場合に、当該減算した抽選値数に対応する当選エリアに当選したと判定する。また、内部抽選手段120は、内部抽選テーブルに記憶されているすべての抽選値数で減算し終えた時点で減算した結果が正の値である場合、いずれの役にも当選しなかった不当選であると判定する。
【0062】
内部抽選テーブルAと、内部抽選テーブルBと、においては、小役、リプレイ又はボーナスを含む当選エリアに対応付けられた抽選値数の総数が、65536よりも少ない数となっており、内部抽選の結果が不当選となりうる構成となっている。一方、内部抽選テーブルCにおいては、当選エリア「全小役」に65536個の抽選値数が対応付けられており、内部抽選テーブルCを用いた内部抽選の結果が当選エリア「全小役」の当選となるように構成されている。
【0063】
<図柄の配列>
図4は、本実施形態のスロットマシン1における左リールR1~右リールR3の周面に配列された各図柄を示す図である。第1の実施形態では、
図4に示すように、左リールR1~右リールR3の外周面に、赤7図柄「赤7」、青7図柄「青7」、BAR図柄「BAR」、リプレイ図柄「RP」、ベルA図柄「BLA」、ベルB図柄「BLB」、スイカ図柄「WM」、チェリー図柄「CH」、ブランクA図柄「BKA」及びブランクB図柄「BKB」が配列されている。また、左リールR1~右リールR3の周面には、それぞれ21コマの図柄が配列されている。
【0064】
<リール制御手段>
第1の実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>ボーナス>小役」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先してリプレイを入賞させる停止制御を実行し、ボーナスと小役が重複して当選している場合、小役に優先してボーナスを入賞させる停止制御を実行する。
【0065】
<小役の配当>
本実施形態において、小役1の配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(15枚)に設定されている。また、小役2~小役5の配当は、規定投入数よりも多い枚数の払出数(4枚)に設定されている。また、小役6~小役8の配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(1枚)に設定されている。
【0066】
<小役の入賞図柄組合せ>
図5は、RBB、リプレイ、小役1~小役8の入賞図柄組合せを示す図である。
図4、
図5に示すように、RBBの入賞図柄組合せ「赤7-赤7-赤7」は、左リールR1~右リールR3のそれぞれにおいて21コマ中1コマに配列された赤7図柄「赤7」から入賞図柄組合せが構成されており、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングが赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示可能なタイミングである場合に入賞可能となるように構成されている。
【0067】
リプレイ1、小役1、小役2、小役6の入賞図柄組合せを構成する図柄は、左リールR1~右リールR3のそれぞれにおいて4コマ以内の間隔で配列されている。このため、リプレイ1、小役1、小役2、小役6のそれぞれは、有効ラインL1上に停止表示可能にするリール停止制御が実行される場合において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングによらず有効ラインL1上に停止表示されるように構成されている。
【0068】
小役3の入賞図柄組合せ「CH-ANY-ANY」は、有効ラインL1を構成する左リールR1~右リールR3の中段に停止表示された場合において、左リールR1の中段にチェリー図柄「CH」が停止表示されるように構成されている。
図5に示すように、スロットマシン1は、小役2以外の役の入賞図柄組合せを構成する図柄のうち左リールR1の図柄について、チェリー図柄「CH」を含まないように構成されている。
【0069】
このため、スロットマシン1は、左リールR1の中段にチェリー図柄「CH」が停止するタイミングでストップボタンB1が操作された場合、小役3が入賞可能であればチェリー図柄「CH」を左リールR1の中段に停止表示し、当該遊技において入賞可能な小役が小役3であることを遊技者が判別可能な構成となっている。
【0070】
<遊技状態移行制御手段>
図6は、第1の実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0071】
図6に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8978/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0072】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&チェリー」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8982/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0073】
ボーナス状態は、RBBが入賞しRBBが作動することで移行される遊技状態である。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、285枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態である非RT状態へ移行させる。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
【0074】
上述したように、ボーナス状態における内部抽選で用いられる内部抽選テーブルCでは、小役1~小役8のすべての小役に当選する当選エリア「全小役」に65536個のすべての抽選値数が対応付けられており、ボーナス状態における毎回の遊技において当選エリア「全小役」に当選するように構成されている。また、スロットマシン1では、当選エリア「全小役」に当選した場合、リール停止制御として枚数優先制御が実行され、15枚の配当に設定された小役1が入賞するように構成されている。
【0075】
このような構成であることから、第1の実施形態のボーナス状態は、285枚のメダルが払い出された遊技の次の遊技が実行され、15枚の払い出しがなされることで、計300枚のメダルが払い出されることで終了する構成となっている。また、スロットマシン1は、ボーナス状態に移行することでメダルを容易に獲得可能となる構成となっており、ボーナス状態に係る制御が遊技者にとって有利な制御として機能する構成となっている。
【0076】
<当選エリアごとに入賞可能となる小役>
次に、第1の実施形態のスロットマシン1において、複数の小役が重複当選する当選エリア「小役A」~当選エリア「小役C」に当選した場合に入賞可能となる小役について説明する。
【0077】
当選エリア「小役A」に当選した場合、スロットマシン1では、1枚の配当に設定された小役6、小役7のいずれかが入賞可能となる。スロットマシン1では、遊技状態が非RT状態で当選エリア「小役A」に当選した場合、個数優先制御が実行されることで小役6の入賞図柄組合せ「BLA(BLB)-CH(BKA)-赤7(CH,WM,BKB)」を構成する図柄が有効ラインL1上に停止表示される。
【0078】
また、スロットマシン1では、遊技状態がボーナス成立状態である場合、当選エリア「小役A」において重複当選している小役2、小役4~小役7と、RBBと、が重複当選している。このため、スロットマシン1では、第1停止操作においてRBBの入賞図柄組合せ「赤7-赤7-赤7」を構成する赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができないタイミングでストップボタンB1~ストップボタンB3のいずれかが操作された場合に、小役6の入賞図柄組合せを構成する図柄が有効ラインL1上に停止表示され、左リールR1の赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができるタイミングでストップボタンB1が第1停止操作され、第2停止操作において赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができないタイミングでストップボタンB2又はストップボタンB3が操作された場合に、小役7の入賞図柄組合せ「赤7-BAR(BLA)-BAR(RP)」を構成する図柄が有効ラインL1上に停止表示される。
【0079】
当選エリア「小役B」に当選した場合、スロットマシン1では、遊技状態が非RT状態である場合には、個数優先制御が実行されて1枚の配当に設定された小役6が入賞し、遊技状態がボーナス成立状態である場合には、枚数優先制御が実行されて4枚の配当に設定された小役2又は小役5が入賞可能となる。
【0080】
スロットマシン1では、遊技状態がボーナス成立状態である場合、当選エリア「小役B」において重複当選している小役2、小役4~小役8と、RBBと、が重複当選している。このため、スロットマシン1では、第1停止操作においてRBBの入賞図柄組合せ「赤7-赤7-赤7」を構成する赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができないタイミングでストップボタンB1~ストップボタンB3のいずれかが操作された場合に、小役2の入賞図柄組合せ「BLA(BLB)-BLA-BLA」を構成する図柄が有効ラインL1上に停止表示される。
【0081】
また、スロットマシン1では、遊技状態がボーナス成立状態である場合、左リールR1の赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができるタイミングでストップボタンB1が第1停止操作され、第2停止操作において赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができないタイミングで且つブランク図柄「BKA」を有効ラインL1上に停止表示させることができるタイミングでストップボタンB2又はストップボタンB3が操作された場合に、小役5の入賞図柄組合せ「赤7-BKA-BKA」を構成する図柄が有効ラインL1上に停止表示され、第2停止操作において赤7図柄「赤7」及びブランクA図柄「BKA」を有効ラインL1上に停止表示させることができないタイミングでストップボタンB2又はストップボタンB3が操作された場合に、小役7の入賞図柄組合せを構成する図柄が有効ラインL1上に停止表示され1枚の払い出しがなされる。
【0082】
当選エリア「小役C」に当選した場合、スロットマシン1では、枚数優先制御が実行されて4枚の配当に設定された小役2又は小役5が入賞可能となる。スロットマシン1では、遊技状態が非RT状態である場合、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらず小役2が入賞する。また、スロットマシン1では、遊技状態がボーナス成立状態である場合、ボーナス成立状態において当選エリア「小役B」に当選した場合と略同様の停止制御が実行され、RBBが入賞しない場合には、小役2、小役6、小役7のいずれかの入賞と、取りこぼし(非入賞)と、のいずれかの結果となる。
【0083】
なお、スロットマシン1では、ボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「小役A」~当選エリア「小役C」のいずれかに当選し、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができるタイミングで第1停止操作、第2停止操作され、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示させることができないタイミングで第3停止操作された場合、いずれの役の入賞図柄組合せともことなる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示され、取りこぼし(非入賞)となる。
【0084】
3.RBB当選時における演出の詳細
次に、第1の実施形態のスロットマシン1がRBBに当選した場合に実行する演出の詳細について説明する。
【0085】
<RBBに当選した場合における演出の流れ>
第1の実施形態において、スロットマシン1は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」又は当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合に、RBBの抽選フラグが成立状態となる。上述したように、リール制御手段130は、有効ラインL1上に停止させる役の優先順序として、ボーナスの方が小役よりも優先される構成となっている。このため、スロットマシン1は、RBBを含む当選エリアに当選した遊技において、RBBを入賞可能な構成となっている。
【0086】
第1の実施形態の演出制御手段180は、当選エリア「RBB」に当選した場合には、RBBに当選したことを報知するボーナス当選報知演出を当選エリア「RBB」に当選したことに基づき表示装置330に表示する。
【0087】
図7を用いて、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合における演出の流れについて説明する。
図7(A)は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技が開始された状態を示す図である。
図7(A)に示すように、演出制御手段180は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において、表示装置330にボーナス当選報知演出を表示しないように構成されている。また、主報知制御手段400は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において、ボーナス報知部410を消灯した状態に維持するように構成されている。
【0088】
このため、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において、RBBが入賞可能となっていることが遊技者に判別されない構成となっている。スロットマシン1では、当該遊技において、ストップボタンB1の操作タイミングがチェリー図柄「CH」を有効ラインL1上に停止表示可能なタイミングである場合には、小役3が入賞し4枚の払い出しがなされる。
【0089】
図7(B)は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において左リールR1~右リールR3が停止し、当該遊技が終了された状態を示す図である。
図7(B)に示すように、演出制御手段180は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技が終了した時点において、表示装置330にボーナス当選報知演出を表示しないように構成されている。一方、主報知制御手段400は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合に、所定の確率として約1/32の確率で、ボーナス報知部410を点灯態様にすることでRBBに当選したことを報知する演出を実行可能に構成されている。主報知制御手段400は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において、ボーナス報知部410を点灯させるか否かを決定する報知抽選を実行し、報知抽選で「ボーナス報知部410の点灯」に当選した場合に、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において左リールR1~右リールR3が停止したことを契機として、ボーナス報知部410を点灯させる。
図7(B)に示す例においては、報知抽選に当選しボーナス報知部410が点灯態様となった状態を示している。
【0090】
このように、第1の実施形態のスロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において、チェリー図柄「CH」が左リールR1の中段に停止表示され、小役2が入賞することで遊技者に4枚のメダルが払い出された場合に、ボーナス報知部410を点灯可能に構成されることで、当該遊技においてRBBに当選したと遊技者が判別できるとともに、左リールR1の中段にチェリー図柄「CH」が停止表示されることに対し遊技者が期待感を持つことができる遊技性を実現できる。
【0091】
図7(C)は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技が終了し、次遊技以降のRBBを入賞可能な遊技が開始された状態を示す図である。上述したように、リール制御手段130は、有効ラインL1上に停止させる役の優先順序として、リプレイの方がボーナスよりも優先される構成となっている。このため、スロットマシン1は、RBBの抽選フラグが成立状態となっていても、内部抽選で当選エリア「リプレイ」に当選した遊技において、RBBを入賞不能な構成となっている。
【0092】
このような構成であることから、演出制御手段180は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合には、当該遊技が終了し次遊技以降の遊技のうち当選エリア「リプレイ」に当選しなかった遊技において、当選エリア「リプレイ」に当選しなかったことに基づきRBBに当選したことを報知するボーナス当選報知演出を表示装置330に表示する。換言すると、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合、当該遊技においてはボーナス当選報知演出を実行せず、次遊技以降のRBBを入賞可能な遊技において、スタートレバーSLへの操作に基づきボーナス当選報知演出を実行するように構成されている。
【0093】
図7(C)に示す例においては、内部抽選で当選エリア「リプレイ」に当選せず、RBBを入賞可能な遊技が開始されたことに基づき、表示装置330に「ボーナス当選!」と表示されるボーナス当選報知演出331aを表示している。
【0094】
このように、スロットマシン1は、当選エリア「RBB」に当選した場合には、当該遊技で入賞可能な役が確定するよりも先となる左リールR1~右リールR3が回転開始する時点でボーナス当選報知演出が実行され、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合には、当該遊技が終了した後となる次遊技以降の左リールR1~右リールR3が回転開始する時点でボーナス当選報知演出が実行される。この、当選エリア「RBB」に当選した場合に演出制御手段180によって実行されるボーナス当選報知演出を、先報知とも記載し、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合に演出制御手段180によって実行されるボーナス当選報知演出を、後報知とも記載する。
【0095】
ここで、第1の実施形態の主報知制御手段400は、報知抽選で「ボーナス報知部410の点灯」に当選しなかった場合、以降の遊技においても電断が発生しない場合にはボーナス報知部410を消灯した状態に維持するように構成されている。上述したように、スロットマシン1では、演出制御手段180によるボーナス当選報知演出によってRBBに当選しRBBを入賞可能であることが報知される構成となっており、ボーナス報知部410による報知が行われないことによる遊技の進行への影響が軽微となる構成となっている。また、主報知制御手段400は、プログラムの容量に限りのある主制御部10で機能しており、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した次遊技以降においても報知抽選を実行するように構成した場合、報知抽選の実行の都度報知抽選の実行に係るプログラムの呼び出しが必要となり、プログラムの容量が増大してしまう。
【0096】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において左リールR1~右リールR3が停止した時点でボーナス報知部410が点灯しない場合には、以降の遊技において電断が発生しない場合にはボーナス報知部410を消灯した状態に維持するように構成することで、報知抽選と報知抽選の結果に基づくボーナス報知部410の点灯制御とに係るプログラムの容量が増大することを防ぐことができる。
【0097】
<RBBに当選した遊技において電断が発生した場合の演出の流れ>
次に、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し且つ電断が発生した場合について説明する。
図8は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し且つストップボタンB1が第1停止操作された時点で電断が発生した場合におけるボーナスの当選に係る演出の流れについて説明する図である。
【0098】
図8(A)は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し且つストップボタンB1が第1停止操作された状態を示す図である。
図8(A)に示す例においては、左リールR1に配列された図柄のうち停止番号11番、停止番号12番の図柄が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングでストップボタンB1が操作されることで、ベルA図柄「BLA」が左リールR1の中段に停止表示されている状態を示している。
【0099】
図8(A)に示すように、第1の実施形態のスロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し且つストップボタンB1が操作された時点において、表示装置330にRBBの当選を報知する演出が表示されていないとともに、ボーナス報知部410も消灯した状態に維持されている。
【0100】
このため、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し且つチェリー図柄「CH」を停止させることができない操作タイミングでストップボタンB1が第1停止操作された時点において、RBBに当選していることが遊技者には判別できない状態となっている。
【0101】
図8(B)は、
図8(A)に示す状態において電断が発生した場合における表示装置330とボーナス報知部410とを示す図である。
図8(B)に示すように、表示装置330は、電断により電力の供給が遮断されることで消灯する。上述したように、表示装置330は、透過液晶ディスプレイから構成されていることから、白色画像を表示することで透過していた特定領域330bの視認性も消灯によって低下する。
【0102】
図8(C)は、
図8(B)に示す状態から電力の供給が再開され電断から復帰した場合における表示装置330とボーナス報知部410とを示す図である。
図8(C)に示すように、スロットマシン1では、電断から復帰した時点で表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示される。また、スロットマシン1では、ボーナス報知部410も点灯される。
【0103】
上述したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、
図8(A)に示す状態において、RBBに当選していることが遊技者に判別できない状態となっている。また、スロットマシン1では、
図8(A)に示す状態においてRBBに当選しており、遊技者にとって有利な制御として、285枚を超える払い出しが実行されるまで毎回の遊技で15枚の払い出しが実行されるボーナス状態に係る制御について、RBBが入賞することで実行されると決定されている。
【0104】
このため、スロットマシン1では、仮に、電断から復帰したことを契機としてボーナス当選報知演出331aの表示やボーナス報知部410の点灯が実行されない構成であった場合、
図8(A)に示す状態から電断によって
図8(B)に示す状態となり、電断によってRBBに当選していることに気付いていない遊技者の遊技への意欲が低下してしまった場合、電断から復帰した後に遊技者が遊技を終了してしまい、報知抽選でボーナス報知部410が消灯した状態に維持されると決定されてしまうと、次遊技の開始操作が実行されないとボーナス当選報知演出331aが表示されないことから、RBBの当選に気付くことなく遊技を終了してしまい、本来受けることができたボーナス状態でのメダルの獲得といった遊技利益を逸失してしまう虞がある。
【0105】
これらを踏まえ、第1の実施形態のスロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、且つ表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示されておらず、且つボーナス報知部410が消灯している状態で、且つストップボタンB1~ストップボタンB3のうちいずれか1つが第1停止操作された状態において、電断が発生した場合には、該電断から復帰したことを契機としてボーナス当選報知演出331aが表示装置330に表示されるとともにボーナス報知部410が点灯する。
【0106】
この構成により、スロットマシン1は、RBBに当選したことでRBBを入賞させることでボーナス状態に移行可能となっていることが遊技者に判別されない状態で電断が発生した場合であっても、電断から復帰した時点でRBBに当選していることが遊技者に報知されるため、電断から復帰した後も遊技者が遊技を継続する可能性を高くすることができ、遊技者が本来受けることができた遊技利益の逸失を防ぐことができる。
【0107】
また、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、且つ表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示されておらず、且つボーナス報知部410が消灯している状態で、且つストップボタンB1~ストップボタンB3のうちいずれか1つが第1停止操作された状態において、遊技場の閉店時間となり遊技の電源がOFF状態にされることで電断が発生した場合に、遊技場の回転準備に伴い電源がON状態にされた際にRBBに当選していることが報知されることで、遊技場が開店した時点で既にボーナスに当選した状態にしておく、いわゆるモーニングと呼ばれる遊技の公平性に影響を与えるサービスとなってしまっていることに遊技場のスタッフが気付くことができ、設定変更等の初期化を行いボーナスに当選した状態を解除し、遊技の公平性を維持することができる。
【0108】
この、表示装置330が、第1の実施形態における報知手段を構成し、表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示された状態が、第1の実施形態における報知手段が所定の報知態様となった状態を構成し、表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示される当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技の次遊技以降で且つ当選エリア「リプレイ」に当選しなかった遊技が開始されたタイミングが、第1の実施形態における所定の契機を構成する。
【0109】
なお、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、且つ表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示されておらず、且つボーナス報知部410が消灯している状態で、且つストップボタンB1~ストップボタンB3のうちいずれか1つが第1停止操作された以降から、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技が終了した次遊技以降において、内部抽選で当選エリア「リプレイ」に当選せず、RBBを入賞可能な遊技が開始されたことに基づき、ボーナス当選報知演出331aを表示されるまでにおいて、電断が発生した場合には、該電断から復帰した契機としてボーナス当選報知演出331aが表示装置330に表示されるとともにボーナス報知部410が点灯する。
【0110】
<先報知と後報知の実行確率>
図9は、当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合における先報知の実行確率と、後報知の実行確率と、を説明する図である。
図9に示すように、スロットマシン1では、当選エリア「RBB」に当選した場合、約100%の確率で先報知を実行し、約0%の確率で後報知を実行する。また、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合、約0%の確率で先報知を実行し、約100%の確率で後報知を実行する。
【0111】
つまり、第1の実施形態のスロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合におけるボーナス当選報知演出の実行確率について、先報知である確率(0%)よりも後報知である確率(100%)の方が高い構成となっている。また、スロットマシン1では、当選エリア「RBB」に当選した場合における先報知の実行確率(100%)の方が、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合における先報知の実行確率(0%)よりも高い確率となっている。そして、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合における後報知の実行確率(100%)の方が、当選エリア「RBB」に当選した場合における後報知の実行確率(0%)よりも高い確率となっている。
【0112】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、小役が当選せずボーナスのみが当選する当選エリア「RBB」に当選した場合には、小役とボーナスとが重複当選する当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合よりも高い確率で先報知を実行することで、先報知によってRBBに当選した遊技においてRBBの入賞を促すことができ、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合には、当選エリア「RBB」に当選した場合よりも後報知を実行することで、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技においてはRBBが入賞可能であることが遊技者に判別されず、小役2が入賞可能となることで遊技者がメダルを獲得可能となるとともに、左リールR1の中段にチェリー図柄「CH」が停止表示された次遊技以降の開始時にボーナス当選報知演出が実行されることで、チェリー図柄「CH」が左リールR1の中段に停止表示された遊技でRBBが当選したと遊技者が推察でき、左リールR1の中段にチェリー図柄「CH」が停止表示されることに対し遊技者が期待感を持つことができる遊技性を実現できる。
【0113】
4.第1の実施形態のまとめ
以上のように、第1の実施形態のスロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、且つ表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示されておらず、且つボーナス報知部410が消灯している状態で、且つストップボタンB1~ストップボタンB3のうちいずれか1つが第1停止操作され、ボーナス状態に移行可能となっていることが遊技者に判別されない状態で電断が発生した場合であっても、電断から復帰した時点でRBBに当選していることが遊技者に報知されるため、電断から復帰した後も遊技者が遊技を継続する可能性を高くすることができ、遊技者が本来受けることができた遊技利益の逸失を防ぐことができる。
【0114】
また、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、且つ表示装置330にボーナス当選報知演出331aが表示されておらず、且つボーナス報知部410が消灯している状態で、且つストップボタンB1~ストップボタンB3のうちいずれか1つが第1停止操作された状態において、遊技場の閉店時間となり遊技の電源がOFF状態にされることで電断が発生した場合に、遊技場の回転準備に伴い電源がON状態にされた際にRBBに当選していることが報知されることで、遊技場が開店した時点で既にボーナスに当選した状態にしておく、いわゆるモーニングと呼ばれる遊技の公平性に影響を与えるサービスとなってしまっていることに遊技場の店員が気付くことができ、設定変更等の初期化を行いボーナスに当選した状態を解除し、遊技の公平性を維持することができる。
【0115】
[第2の実施形態]
次に、第1の実施形態を一部変更した第2の実施形態のスロットマシンについて説明する。第2の実施形態のスロットマシンは、前面下扉に設けられた下パネル部を介して遊技機の内部をできない構成となっている。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と共通する構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0116】
1.第2の実施形態における遊技機が備える構成
図10~
図12を参照して、第2の実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0117】
<下パネル部の構成>
第2の実施形態に係るスロットマシン1は、箱型の筐体BXに対して開閉可能な前扉FDを備えている。前扉FDは、それぞれ個別に開閉可能で、開口の上半部を閉じることが可能な前面上扉UDと、開口の下半部を閉じることが可能な前面下扉DDと、に上下に分割して構成されている。前面下扉DDは、下パネル部UP(
図11参照)を有する。
【0118】
図10は、下パネル部UPの分解斜視図であり、
図11は、下パネル部UPの上部を示す断面図である。
図10に示すように、下パネル部UPは、前扉FDの一部を構成すると共にスロットマシン1の外装を構成する下パネル枠81と、スロットマシン1の外装を構成する前パネル82と、この前パネル82の裏面側に配置された画像85(
図11参照)を有するシートとしての装飾シート83と、前パネル82と共に装飾シート83を挟持する後パネル88と、が設けられている。
【0119】
下パネル枠81は、有色の合成樹脂によって形成されて、遮光性を有するように外面に塗装、めっき加工、金属蒸着等が施されて、つまり遮光カバーとして構成されており、前扉FDの前面下扉DDに取付けられ、前扉FDと一体的に固定されて前面下扉DDの外観を構成している。下パネル枠81は、前パネル82を外部に対して露出させる開口81aを有しており、前パネル82を介して後述の装飾シート83の画像85を視認可能にする。開口81aは、前パネル82よりも小さくなるように構成されており、つまり下パネル枠81は、前パネル82、装飾シート83、後パネル88を前方から押えて、かつ後方に板状に延びる規制板81b(
図11参照)によって前パネル82を左右及び上下方向に位置を規制し、前扉FDと一体的に固定する機能を有する。なお、下パネル枠81は、前扉FDの前面下扉DDにおける他の外装部品と一体に形成され、前パネル82、装飾シート83、後パネル88を後方から挿入して取付ける構成でもよく、この場合、前扉FDの前面下扉DDに装飾シート83の画像85を視認可能にする開口が形成されていてもよい。
【0120】
下パネル枠81は、概ね矩形状となるメインフレーム81mfを有しており、このメインフレーム81mfの内側には、左右方向にそれぞれ突出するサイド突出部81si,81siと、下方から上方に突出するアンダー突出部81unとが形成されている。このため、開口81aは、複雑な形状である非矩形状に構成されている。なお、サイド突出部81si,81siやアンダー突出部81unは、前後方向において下パネル部UPに配置された音響装置と重ならないように形成されている。
【0121】
前パネル82は、透光性が高い(第2の実施形態では透明な)合成樹脂で構成され、矩形状の板状部材によって形成されている。また、前パネル82は、その前面82FS(
図11参照)の縁(周縁、外縁)に、詳しくは後述するシボ(皺)が形成されたシボ部として、シボ加工が施されたシボ加工部82Sを有している。この前パネル82は、装飾シート83の前方に対向配置されて、装飾シート83の前面側を覆って保護している。また、
図11に示すように、前パネル82の後面の外縁部分には、前方に突出する外縁突起82aと、後方から視て矩形状となる位置に配置された突起部82bとが形成されている。前パネル82は、下パネル枠81の後方側に外縁突起82aが嵌め込まれることで下パネル枠81に位置決めされていると共に、装飾シート83及び後述の後パネル88の表面88aは、前パネル82の突起部82bの内側に挿入されて嵌め込まれることで前パネル82に対して位置決めされている。
【0122】
また、前パネル82には、
図10に示すように、前方から視て下パネル部UPに設けられた音響装置に重なる位置に、多数の孔82hが形成されており、音響装置から出力される音が前方(外部)に聞こえ易くなるように構成されている。なお、これら多数の孔82hの後方にある後述の装飾シート83や後パネル88にも前後方向に重なる位置に孔を設けて、音響装置から出力される音がさらに聞こえ易くなるようにしてもよい。
【0123】
装飾シート83は、
図10に示すように、透光性が高い(第2の実施形態では透明な)合成樹脂によって略矩形のシート状に形成された基材83aを有しており、その基材83aの裏面に、スロットマシン1の製品名や関連するキャラクタ等の画像、スロットマシン1の外面を装飾する画像等の画像85(
図11参照)が有色塗料によって印刷される(施される)ことで、装飾性を有する画像面を構成している。
【0124】
装飾シート83は、裏面側に配置された後パネル88と前パネル82との間に挟まれた状態で挟持されており、前パネル82を介して前方から遊技者が装飾シート83の画像85を視認可能となっている。後パネル88は、透光性が高い(本実施形態では透明な)合成樹脂によって、表面88aが滑面状となるように板状に形成されており、この後パネル88の表面88aは、装飾シート83(画像85)と略同サイズに形成されている。即ち、後パネル88の表面88a及び装飾シート83(画像85)は、前パネル82のサイズよりも小さく、詳しくは後述するシボ加工部82Sの内縁(透明領域82T)よりも大きいサイズに構成されている。なお、後パネル88は、透明であるものに限らず、例えば、表面又は裏面に光を拡散する凹凸等が施され、透過する光が拡散するように形成されていてもよい。
【0125】
また、後パネル88は、
図11に示すように、表面88aの外縁よりも外側に板状に延ばされた突起板88bを有しており、この突起板88bによって、下パネル枠81の規制板81bに対して後パネル88が左右及び上下方向に位置が規制されていると共に、前パネル82を下パネル枠81との間に挟み込んで挟持している。また、
図11に示すように、後パネル88の裏側には、脚部88cが後方に向けて延ばされるように形成されており、前面下扉DDの構成部品に突き当たって、下パネル枠81との間で前後方向に位置決めされるように規制されている。さらに、後パネル88の表面88aの外縁なる側面88dは、上記前パネル82の突起部82bの内側に挿入され、前パネル82に対する後パネル88の左右及び上下方向の位置が規制されている。従って、これらの構成によって、前パネル82、装飾シート83、及び後パネル88は、前面下扉DDに対して左右及び上下方向に位置決めされている。
【0126】
そして、後パネル88の裏面側には、複数のLED95aを有するバックライト基板95と、LED95aからの光を反射するリフレクタ89と、が設けられている。第2の実施形態においては、リフレクタ89の裏面側にバックライト基板95が配置されており、リフレクタ89の開口からLED95aの光が前方に照射されるように構成されている。なお、前面下扉DDには、LEDを有するバックライト基板の代わりに、冷陰極管等の蛍光灯やランプ等の発光源が設けられていてもよい。リフレクタ89は、遮光性を有すると共に光を反射しやすい材料、例えば白色の合成樹脂で形成されている。
【0127】
従って、以上のように構成された前面下扉DDにおける下パネル部UPは、後パネル88を介してバックライト基板95のLED95aの光によって照明された装飾シート83を、前パネル82を介して、下パネル枠81の開口81aから視認可能となっている。これら後パネル88、装飾シート83、前パネル82は、上述した各種の内部機器(特にリールユニット310、ホッパーユニット320、バックライト基板95、リフレクタ89、バックライト基板95の周辺部材等)の前方となるように前扉FDの前面下扉DDに配置されているので、特に装飾シート83の画像85によって内部機器を視認不能にする機能を有していることになる。
【0128】
[シボ加工部の詳細]
続いて、第2の実施形態に係るシボ加工部82Sの詳細について説明する。
図12は、前パネル82を示す正面図である。第2の実施形態に係る前パネル82は、
図10~
図12に示すように、前面82FSの縁(周縁、外縁)にシボ加工部82Sを有している。詳細には、シボ加工部82Sは、前パネル82の前面82FSにおける外縁から上記下パネル枠81の開口81aの内側へ所定距離d1(
図11及び
図12参照)がはみ出る形となる範囲にシボ加工が施されていることで形成されている。換言すると、シボ加工部82Sは、前方から視て上記装飾シート83の画像85の縁(周縁、外縁)と少なくとも一部が重なって画像85の縁を覆いつつ画像85の外側まで位置する範囲となるように、前面82FSに形成されている。なお、本実施形態におけるシボ加工は、前パネル82を製造する際の金型の形状によって前パネル82の前面82FSに皺(細かい凹凸)を付すことにより形成されているものであるが、これに限らず、前パネル82の前面82FS全体を平滑に形成してから、エッチングによる化学処理やサンドブラスト等を後工程で形成するものでもよい。
【0129】
シボ加工部82Sは、
図12に示すように、前方側から視て下パネル枠81の後側に重なって視認不能に隠れる第1領域82Shと、前方側から視て下パネル枠81の開口81aの内側にはみ出して視認可能に露出する第2領域82Sxと、の2つの領域を有している。従って、シボ加工部82Sは、開口81aの内側に上記画像85を鮮明に視認可能にさせる透明領域82Tを確保した状態で、その透明領域82Tの外周に配置されていることになる。この透明領域82Tは上記画像85の外縁よりも小さいことになる。
【0130】
また、第1領域82Shは、下パネル枠81のメインフレーム81mf(
図10参照)の後方となる領域82Shmfと、下パネル枠81のサイド突出部81si,81si(
図10参照)の後方となる2つの領域82Shsi,82Shsiと、下パネル枠81のアンダー突出部81un(
図10参照)の後方の領域82Shunと、を有している。
【0131】
そして、第2領域82Sxは、開口81aにおける上方部分にメインフレーム81mfよりも下に所定距離d1はみ出す領域82Sxupと、開口81aにおける側方部分にサイド突出部81si,81siよりも左右方向の内側に所定距離d1はみ出す領域82Sxsi,82Sxsiと、開口81aにおける下方部分にアンダー突出部81unよりも上に所定距離d1はみ出す領域82Sxunと、を有している。
【0132】
このようにシボ加工部82Sが形成されていることで、第2領域82Sxの内縁は、開口81aと相似形でかつ開口81aよりも小さく、開口81aよりもいずれの部位でも内側に所定距離d1突出している位置にあり、つまり開口81aの内側に概ね所定距離d1の幅となる帯状でシボ加工部82Sが突出していることになる。なお、上述したように前パネル82には、音響装置の前方に対応する位置に複数の孔82h(
図10参照)が形成されているが、シボ加工部Sは、これらの孔82hと重ならないように形成され、換言すると、複数の孔82hは開口81aの内側から所定距離d1以上離れて配置されている。
【0133】
図11に示すように、前パネル82の厚みd2は、外部からの衝撃等に耐え得るように例えば3mm程度の厚みに形成されている。一方、上記シボ加工部82Sは、開口81aからはみ出している所定距離d1が例えば5mm程度となるように形成されていて、つまりシボ加工部82Sの開口81aからはみ出す距離を、前パネル82の厚みd2よりも長い距離となるように形成している。特に本実施形態では、例えば遊技者が前パネル82を介して内部を覗こうとした場合であっても、前パネル82の光の屈折率等を考慮しつつ、シボ加工部82Sに対して45度~60度の角度の視線でも画像85の外縁まで見えないように所定距離d1を設定している。従って、前パネル82の厚みd2よりも長い所定距離d1のシボ加工部82Sによって画像85の外縁よりも外側が見えることがないように遮られ、後パネル88やそれよりも奥の内部機器(特にリールユニット310、ホッパーユニット320、バックライト基板95、リフレクタ89、バックライト基板95の周辺部材等)が見えることがない。
【0134】
以上説明したように、第2の実施形態に係るスロットマシン1では、下パネル枠81の開口81aにおいて、その開口81aの内側から所定距離d1ではみ出すように、開口81aから、開口81aよりも内側に所定距離d1まで、の範囲にシボ加工部82Sが形成されている。換言すると、シボ加工部82Sは、前パネル82の前面82FSの縁に形成され、装飾シート83の画像85の縁を覆うように形成されている。従って、シボ加工部82Sは、開口81aと画像85の縁との間に跨るように配置されている。
【0135】
すなわち、遊技機は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に取り付けられた前扉と、を備え、
前記前扉は、透光性を有するパネル部を備え、
前記パネル部は、
画像を有するシートと、
前記シートの前方に配置された前パネルと、を有し、
前記前パネルは、前面の縁にシボが形成されたシボ部を有し、
前記シボ部は、前記画像の縁を覆うように配置されている。
【0136】
これにより、第2の実施形態のスロットマシン1は、前パネル82を介して前扉FDの内部(内部機器)を視認することを不能にすることができる。
【0137】
また、このような構成により、第2の実施形態に係るスロットマシン1は、シボ加工部82Sによって前扉FDの内部(内部機器)を視認不能にすることで、前扉FDの内部に配設された主制御部10を有する主制御基板や主制御基板に接続される中継基板に対する不正改造といったいわゆるゴト行為の発生を防ぐことで、ボーナスの当選の有無がボーナス当選報知演出の実行の有無によらず判別可能になってしまったり、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技において第1停止操作がされる以前に主制御部10の主報知制御手段400によって制御されるボーナス報知部410が点灯してしまったりするゴト行為が行われることを防ぐことができ、遊技機の商品性が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0138】
ところで、下パネル枠81の開口81aよりも装飾シート83に形成された画像85の大きさが例えば5mm程度大きければ(相対的に、画像85よりも開口81aを小さくしても同様である)、シボ加工部82Sが無くても内部機器が見えないようにすることができる。しかしながら、装飾シート83を大きくすることは周囲の部品との位置関係から困難であり、下パネル枠81の開口81aを小さくすれば画像85の視認範囲が小さくなり、スロットマシン1の意匠性としてインパクトに欠けるものになる虞がある。従って、本実施形態のようにシボ加工部82Sを設けることで、画像85と周囲の部品との干渉を避けることができ、かつスロットマシン1の意匠性も向上することができる。
【0139】
また、シボ加工部82Sの代わりに不透過性の部分を設けることで、内部機器が見えないようにすることができる。しかしながら、上記バックライト基板95のLED95aからの光が透過しなくなるため、下パネル部UPに暗い部分が生じてしまい、見栄えが良くなくなる虞がある。従って、本実施形態のように透過性を有するシボ加工部82Sを設けることで、バックライト基板95のLED95aからの光が透過し、下パネル部UPの明るさを確保して見栄えを良好にすることができる。
【0140】
[他の実施形態]
なお、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、報知手段として透過液晶ディスプレイから構成された表示装置330を有し、表示装置330に演出用の画像としてボーナス当選報知演出331aを表示する表示態様になることで、RBBの当選を報知するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、液晶ディスプレイを有さず、ボーナスの当選を報知可能な構成として、ボーナス報知部410のみを有するように構成されていてもよい。
【0141】
このように構成される場合において、主報知制御手段400は、ボーナス報知部410を点灯させる契機として、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技の次遊技以降で且つ当選エリア「リプレイ」に当選しなかった遊技が開始されたタイミングを契機とすることが好ましい。また、このように構成される場合、ボーナス報知部410が報知手段を構成し、ボーナス報知部410が点灯した態様になることが、所定の報知態様を構成する。
【0142】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合に、当該遊技の次遊技以降で且つ当選エリア「リプレイ」に当選しなかった遊技が開始されたタイミングでボーナス当選報知演出を実行するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、少なくとも第1停止操作が実行された以降にボーナス当選報知演出を実行可能に構成されていればよく、例えば、ボーナス報知部410を点灯させるタイミングである当選エリア「RBB&チェリー」に当選した遊技が終了したタイミングにおいてボーナス当選報知演出を実行するように構成されていてもよい。
【0143】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、当選エリア「RBB」に当選した場合に、約100%の確率で先報知を実行するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、当選エリア「RBB」に当選した場合に、先報知を実行するか否かを抽選により決定することで、抽選によって「先報知を実行しない」と決定された場合には、先報知を実行しない構成であってもよく、当選エリア「RBB」に当選した場合における先報知の実行確率は、いずれの確率であってもよい。なお、スロットマシン1は、当選エリア「RBB」に当選し、且つ先報知を実行しないと決定された場合には、後報知を実行するように構成されることが好ましい。
【0144】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合に、約100%の確率で後報知を実行するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合に、後報知を実行するか否かを抽選により決定することで、抽選によって「後報知を実行しない」と決定された場合には、後報知を実行しない構成であってもよく、当選エリア「RBB&チェリー」に当選した場合における後報知の実行確率は、いずれの確率であってもよい。なお、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、且つ後報知を実行しないと決定された場合には、先報知を実行するように構成されることが好ましい。
【0145】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、電断が発生しない場合には、後報知においてボーナス当選報知演出331aを表示装置330に表示するように構成され、第1停止操作が実行された後に電断が発生した場合には、該電断から復帰したことを契機としてボーナス当選報知演出331aを表示装置330に表示するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、後報知においてボーナスの当選を報知する場合と、電断から復帰したことに基づきボーナスの当選を報知する場合と、で表示装置330に表示するボーナスの当選を報知する演出の表示態様として、それぞれ異なる表示態様から構成されていてもよい。
【0146】
具体的には、スロットマシン1は、当選エリア「RBB&チェリー」に当選し、電断が発生しない場合には、後報知においてボーナス当選報知演出331aを表示装置330に表示し、第1停止操作が実行された後に電断が発生した場合には、該電断から復帰したことを契機としてボーナス当選報知演出331aとは異なる表示態様として、赤7図柄「赤7」を表示装置330に表示する第2ボーナス当選報知演出を実行するように構成されていてもよい。
【0147】
このように構成された場合、ボーナス当選報知演出331aが、第1報知態様を構成し、第2ボーナス当選報知演出が、第2報知態様を構成する。
【0148】
また、このように構成される場合で、且つ報知手段としてボーナス報知部410を有するように構成される場合においては、ボーナス報知部410の点灯態様として、所定の契機で点灯する場合と、電断からの復帰を契機として点灯する場合と、で異なる色で点灯するように構成されていてもよい。
【0149】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、各カウンタや記憶手段の記憶値に初期値として値をセットし、毎回の遊技の実行時に1ずつ減算するデクリメント更新や、毎回の遊技の実行時に1ずつ加算するインクリメント更新を実行するように構成されているが、これに限らず、各カウンタや記憶手段の更新方法については乗算や除算等を実行するように構成されていてもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0150】
1 スロットマシン(遊技機)
120 内部抽選手段
330 表示装置(報知手段)
331a ボーナス当選報知演出(所定の報知態様、第1報知態様)
410 ボーナス報知部(報知手段)
B1 ストップボタン
B2 ストップボタン
B3 ストップボタン
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール