IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カティーバ, インコーポレイテッドの特許一覧

特許7525921印刷および製造システムにおける精密な位置合わせ、較正および測定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】印刷および製造システムにおける精密な位置合わせ、較正および測定
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240724BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240724BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240724BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
B05C11/00
B41J2/01 451
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022128995
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2019543026の分割
【原出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2022184836
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】62/459,402
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/851,419
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【弁理士】
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】ダロー, デイヴィド シー.
(72)【発明者】
【氏名】ビュヒナー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ローランス, ロバート ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, ケビン ジョン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-510517(JP,A)
【文献】特開2014-148110(JP,A)
【文献】特開2010-044037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に電子製品の層を製造する装置であって、
前記装置は、
プリントヘッドを有するプリンタと、
基板支持機構およびグリッパを有する搬送機構と、
視覚的なアライメントマークとして機能可能なレチクルと、
前記プリントヘッドに結合され、前記レチクルを検出可能な第1のセンサと、
前記グリッパに結合され、前記レチクルを検出可能な第2のセンサと、
プロセッサと、を備え、
前記プリントヘッドおよび前記グリッパは、前記第1のセンサと前記第2のセンサとが前記レチクルを間に挟んで高さ方向に互いに対向する位置関係に配置可能であり、
前記プロセッサは、
前記第1のセンサを制御し、前記第1のセンサから前記基板支持機構上に配置された前記基板までの第1の高さを検出するステップと、
前記位置関係のもと、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサを制御して、前記第1のセンサから前記レチクルまでの高さと前記第2のセンサから前記レチクルまでの高さとの合計である第2の高さを検出するステップと、
前記第2のセンサを制御して、前記第2のセンサから前記プリントヘッドまでの第3の高さを検出するステップと、
前記プリントヘッドから前記基板までの高さを、前記第1の高さ、前記第2の高さ、および前記第3の高さに基づいて算出するステップと、を実行するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第1のセンサは、前記プリントヘッドに対して固定位置に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のセンサは、カメラであり、
前記プロセッサは、前記レチクルまたは前記基板の目標に焦点が合うまで前記第1のセンサを移動させ、前記第1のセンサの焦点距離から前記レチクルまたは前記目標の距離を測定することによって、前記第1の高さおよび前記第2の高さを検出するように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のセンサは、カメラであり、
前記プロセッサは、前記レチクルまたは前記プリントヘッドの目標に焦点が合うまで前記第2のセンサを移動させ、前記第2のセンサの焦点距離から前記レチクルまたは前記目標の距離を測定することによって、前記第2の高さおよび前記第3の高さを検出するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記搬送機構は、
第1の方向に延びる第1の支持ガイドと、
第2の方向に延びる第2の支持ガイドと、
前記第1の支持ガイドに沿って前記プリントヘッドを含むプリントヘッドアセンブリを搬送する搬送キャリッジと、をさらに備え、
記グリッパは、前記第2の支持ガイドに沿って移動し
前記第2のセンサは、カメラであり、
前記プロセッサは、さらに、
前記第2のセンサを使用して、前記プリントヘッドおよび前記第1のセンサの画像を撮像するステップと、
前記プリントヘッドアセンブリの位置、画像撮像時の前記第2の支持ガイドに沿った前記グリッパの位置、および前記撮像された画像内の吐出オリフィスまたは前記第1のセンサの位置に応じて、前記プリントヘッドの少なくとも1つの前記吐出オリフィスと前記第1のセンサとの相対位置を特定するステップと、
前記特定された相対位置に基づいて、前記プリントヘッドの少なくとも2つのノズルの吐出パラメータを調整するステップと、を実行するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記グリッパは、フレームと真空バーを備え、
前記第2のセンサは、前記フレームに結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第3の高さは、前記第2のセンサから前記プリントヘッドのノズルプレートまでの高さであり、
前記プロセッサは、前記第1のセンサから前記ノズルプレートまでの第4の高さを計算し、前記第4の高さをコンピュータシステムに格納するステップを実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第1のセンサを制御して前記第2のセンサの位置を検出し、前記第2のセンサを制御して前記第1のセンサの位置を検出するステップを実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「印刷および製造システムにおける精密な位置合わせ、較正および測定」について、第一発明者であるDavid C.Darrowを代理して2017年12月21日付けの出願として提出された米国特許出願第15/851419号の優先権を主張し、本願はまた、先に参照した米国特許出願と同様に、「印刷および製造システムにおける精密な位置合わせ、較正および測定」について、第一発明者であるDavid C.Darrowを代理して2017年 2月15日付けの出願として提出された米国仮特許出願第62/459402号の優先権を主張する。これらの先行出願は、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。本明細書はまた、以下の書類を参照により組み込む。(1)「正確な誤差の範囲内で流体を堆積させるための、印刷インク液滴の測定および制御に関する技術」について、第一発明者であるNahid Harjeeを代理して2014年 7月24日付けの出願として提出された米国特許第9352561号(USSN14/340403)、(2)「改善された速度および精度で永久層を整列印刷する技術」について、第一発明者であるMichael Bakerを代理して2015年 6月30日付けの出願として提出された米国特許出願公開第20150298153号(USSN14/788609)および(3)「厚さを制御するためのハーフトーン化を用いたインクベース層の製造」について、第一発明者であるEliyahu Vronskyを代理して2014年 8月12日付けの出願として提出された米国特許第8995022号である。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、液体が基板上に印刷され、その後、硬化され、乾燥させられまたは他の方法で処理されて、この「インク」を具体的に意図された厚さを有する完成層に変換し、さらに、製造後の製品に構造的、電気的、光学的または他の特性を付与する、広範な工業製造プロセスに用いることが可能である。これらの製造プロセスのなかには、要件が非常に精密なものがあり、例えば、堆積させた材料の位置について、ミクロンオーダまたはそれ以下の精度を要求する。一例として、「室内サイズ」の工業インクジェットプリンタは、液体の液滴を、1メートルを超える長さおよび1メートルを超える幅で基板上に印刷するのに用いることができ、その場合の処理は、高精細(HD)スマートフォンディスプレイの一部を形成する、何百万もの個々の「ピクセル」からなる特定層を堆積させる。この方法で製造されたそれぞれの層は、体積仕様が厳格な場合があり(例えば、1ピクセル当たり50ピコリットル)、厳密に接着されていないと、完成品に欠陥を生じさせることがある。この処理はまた、非常に一貫した厚さ(および単位面積当たりの体積の制御)も求められる、そのような多くの微細な電子または光学要素を覆う封入または他のマクロスケール層を堆積させるのに用いることも可能である。製造される具体的な製品に応じ、1または多数の製品を形成するために単一の大きな基板を製造すること、例えば、単一の大きな基板を用いて、1つの大型の電子ディスプレイ(例えば、巨大なHDテレビスクリーン)を作製したり、製造中に基板に配列され、切断される多数のより小型の製品(例えば、「100の」スマートフォンHDディスプレイ)を作製したりすることができる。
【0003】
多くの設計に求められる高い精度を提供するため、プリンタおよび他の種類の精密製造装置は、意図されたとおりの材料の堆積を確実に生じさせるように設計された、厳密な較正および位置合わせ手順が課される。一例として、軸分割プリンタは、基板を移動させる「y軸」搬送系と、プリンタヘッド(または他のアセンブリ、例えば、1以上の検査ツール、硬化に用いられる紫外線ランプまたは他の種類のもの)を移動させる「x軸搬送系」と、を特徴するのが一般的である。典型的には、これらの多様な搬送経路は、プリンタの基準系に対し、しばしば人間であるオペレータの主観的な解釈に基づき、手動により入念に較正される。各基板が装填されると、その基板はまた、プリンタの位置基準系に対して個別に位置合わせされなければならないのが一般的である。時間が経つのに従い、搬送経路および位置基準系は、例えば、様々なドリフトの原因のため、再度較正され、再度位置合わせされなければならないのが一般的である。典型的には、製造装置は、ラインから外され、これが生じるように物理的に侵襲されなければならず、ここでも再び入念で、高度であるのが一般的である手動による手順が求められる。分割軸プリンタの例が単なる例示に過ぎない一方で、それは、微細構造製品の製造における精度を達成する際に伴う幾つかの困難を呈示する。休止時間および求められる手動手順は、製品の処理量を制限するが、一般的には、必要であり、換言すれば、仮に製造に意図された位置からのミクロンオーダのずれがあっただけでも、それが原因で、動作不能であるかまたは低品質の最終製品となり得る。
【0004】
用途に応じ、基板上での堆積源の高さ(例えば、典型的には、「z軸」)等の追加の寸法を正確に測定しおよび較正することが、非常に重要であり得る。一的に記載される種類の製造装置は、(正確性を維持しながら)できるだけ迅速に堆積を実行するように操作される。軸分割プリンタの場合は、典型的には、「オンザフライ」で堆積が生じ、換言すれば、インク液滴が吐出されている間に、プリントヘッドと基板とが互いに対して移動し、高さの誤差が、液滴の着弾位置における位置的なずれとなる。高さの誤差は、些細なこと以上であり、例えば、幾つかの工業用印刷システムは、それぞれが非常に正確な着弾位置を有するように意図されたピコリットルスケールの液滴を生成する、何千ものノズルを集合的に支持する1ダースまたはそれを超えるプリントヘッドにより特徴付けることが可能である。各プリントヘッドが、僅かに異なる高さまたは横ばいの位置にノズル吐出プレートを有し得ることを考慮すると、ノズルのz軸高さにおける変化性が、液滴の着弾位置に対する精密な制御を妨げる可能性があり、例えば、そのようなシステムでは、各ノズルの高さ距離の誤差が、当該ノズルから生成される液滴の高さ距離の20%以上である液滴の着弾位置のずれとなることもしばしばである。
【0005】
必要とされるのは、製造システムの較正能力を改善するための技術である。理想的には、そのような技術は、より正確な較正を容易なものとし、よって、これらのシステムに極めて高い精度をもたらす。なお理想的には、これらの技術は、より迅速にまたは完全に自動化されて実行され、較正に必要とされる時間と労力とを大幅に削減する。工業用印刷システムでは、これらの種類の改善により製造システムの稼働時間が改善され、これにより、スループットが増大し、全体的な製造コストが減少する。本発明は、これらの要請を考慮するとともに、更なる関連の利点を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、一連の基板105が、堆積設備103によりその上に堆積させられて精密電気構造を形成する材料の、1以上の層を有する組立ライン形式の製造プロセスを示す。一組の堆積設備103のみが示されているが、実際は、多数(例えば、プロセスのより早くまたはより遅くに、他の処理を実行したり、他の種類の材料、構造または膜を堆積させたりするため)であってもよい。完成した各基板(基板107等)は、1以上の電子製品の一部(限定的では例示として、携帯電話109、HDTV111、太陽光パネル113または他の構造の一部)を形成するのに用いることが可能である。
図1B図1Bは、図1Aからの堆積装置として用いられ得る堆積装置の1つのレイアウトまたは構成の平面概略図である。印刷モジュール125は、グラフィックスインクとは異なり、図1Aに関して参照される精密電子構造を構成する層の1つとなる薄膜の形成のために処理される(例えば、処理モジュール127による)、液体(つまり、「インク」)を堆積させるのに用いられる。
図1C図1Cは、図1Bからの印刷モジュール内でのプリンタ151の基本動作を示す平面図である。このプリンタは、「分割軸」機械システムの例示である。図示のように、第1搬送システム(例えば、「グリッパ」システム159)が、第1二重矢印161により示す「y軸」方向に基板157を搬送する一方で、第2搬送システムが、第2二重矢印169により示す「x軸」方向にプリントヘッド165を搬送する。
図1D図1Dは、例示的な基板181およびそれぞれがミクロンまたはより小さなスケールの電気的、光学的または他の構造を有する4つの電子製品183(個別には見えない)の裏付けのある製造を示す。例示的な基板181の表面全体にインクの「スワス」を印刷するように、プリントヘッド191がそのような「走査」の間で動かされる(つまり、矢印195により示されるように)のと同時に、基板は、その長軸に沿って前後に動かされる。
図2A図2Aは、分割軸プリンタ等の分割軸システムにおいて、精密な位置を提供するのに用いられる機構および技術の一実施形態を示す。
図2B図2Bは、分割軸システムにおいて、精密な位置を提供するのに用いられる機構および技術の他の実施形態を示す。
図3A図3Aは、製造装置における位置合わせおよび較正のための技術を示すフローチャートである。
図3B図3Bは、分割軸プリンタにおける位置合わせおよび較正のための技術を示すフローチャートである。
図4A図4Aは、電子製品の層を形成する材料を堆積させるインクジェットプリンタの動作を示すフローチャート401である。
図4B図4Bは、分割軸システムにおいて、改善された精密位置較正および位置合わせを提供するのに用いられる機械および電気機械要素の一実施形態を示す。
図4C図4Cは、分割軸製造および/または印刷システムにおいて、自動および/または動的位置決定を提供するのに図4Bに示される要素と提携して用いられる技術を示すフローチャートである。
図5A図5Aは、グリッパシステムおよびグリッパが載る支持テーブル(またはチャック)の一実施形態の斜視図である。
図5B図5Bは、プリントヘッドアセンブリに関連して用いられるカメラアセンブリの斜視図である。
図5C図5Cは、図5Aおよび5Bからのアセンブリのカメラにより用いられるレチクルの拡大斜視図である。
図5D図5Dは、一実施形態におけるレーザ高さ測定に用いられる較正基準または「ゲージブロック」の拡大斜視図である。
図5E図5Eは、グリッパシステムまたはプリントヘッドアセンブリに取り付けられる位置合わせプレートまたは目標の拡大斜視図である。
【0007】
列挙されたクレームにより規定される主題は、添付の図面とともに読まれるべき以下の詳細な説明を参照することにより、よりよく理解される。クレームに記載される技術の様々な実装を構築しおよび使用するのを可能とするために以下に述べられる1以上の特定の実施形態に関する説明は、列挙されたクレームを限定することが意図されておらず、その適用を例示する。上記を限定することを伴わず、本開示は、精密製造に用いられる位置検知サブシステムの位置決定、および、較正および位置合わせのための技術の幾つかの異なる例を提供する。このような技術は、基板の1以上の製品用の薄膜の自動生成に、統合された反復可能な印刷プロセスの一部として採用することが可能である。様々な技術を、これらの技術を実行するソフトウェアとして、コンピュータ、プリンタまたはそのようなソフトウェアを実行する他の装置またはそれらの要素の形態で、製造装置として、工業印刷および/または製造システム(またはそのようなシステムの要素)の形態で、または、これらの技術を用いた結果として製造される(例えば、記載された技術に従って生成された1以上の層を有する)電子または他のデバイスの形態で具現することが可能である。特定の例が提示されるが、本明細書に記載される原理は、他の方法、装置およびシステムに適用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.イントロダクション
本開示は、製造装置および/またはプリンタの要素を較正しおよび位置合わせする、そのような装置またはプリンタにおける1以上の寸法の精密位置測定のための、および、電子製品の1以上の層の関連する製造のための改善された技術を提供する。より具体的には、本明細書に開示される装置、方法およびシステムは、製造システムおよび/またはプリンタにおける位置システムを較正しおよび位置合わせする際に、精度および速度の改善をもたらし、これにより、製造された製品における構造の堆積または処理において、ミクロンスケールまたはより高い精度の実現を容易にする。本明細書に開示される技術は、遥かに高速で、高度に自動化され、反復可能な較正および位置合わせ処理をもたらし、これにより、システムの休止時間を短縮し、製造スループットを大幅に改善する。一実施形態では、これらの技術は、基板上方の堆積源の正確な高さ(例えば、「z軸」高さ)を測定する、改善された高精度で動的な手段を提供し、これにより、堆積された材料の位置精度をさらに改善する。そのような精度を提供することで、本開示の技術は、装置をより小型で、密度が高く、より信頼性の高いものとし、もって、より小型で、信頼性の高い、完全装備の電子製品へ向かう傾向をさらに増進させる。本開示の技術は、更なる関連した利点をも提供する。
【0009】
一実施形態では、本開示の技術は、分割軸搬送システムを位置合わせする、改善された方法として提示される。各搬送経路に取り付けられた撮像システムまたは他のセンサは、互いに位置合わせされ(および/または製造チャック等の共通の基準フレーム)、各搬送経路に位置フィードバックシステムが用いられて、システムを駆動する際に正確な位置精度を提供し、ミクロンまたはより細かな位置判別を可能にする。本開示の技術は、堆積基板と堆積材料の供給源との間で、ミクロンまたはより細かな高さ判定(例えば、z軸判定)を付加的に容易にするという利点をも有し、位置精度をさらに向上させる。
【0010】
第2実施形態では、本開示の技術は、正確な「z軸」高さ較正および/または位置判定システムを提供し、これは、製造装置を手動で侵襲することを必要とせずに使用することが可能である。そのようなシステムは、共通の基準フレームを識別しおよび基板上方の堆積源の絶対位置を正確に測定するのに、堆積プレートの上方および下方で「z軸」センサを付加的に使用する。一実施形態では、基板上方の第1センサが、センサの基板に対する絶対高さを測定し、基板下方の第2センサが、第1センサと堆積源(例えば、プリンタの1以上のプリントヘッド)との高さにおける差を測定するのに用いられる。これらの技術は、自動化することが可能であり、さらに、潜在的な誤差の発生源をなくすように、プリントヘッドレベルおよび/または高さを調整し、そうでなければ、印刷またはシステムパラメータを調整するなど、広範な目的に用いることができる。
【0011】
これらの様々な技術の要素は、所望に組み合わせまたは並べ替えることが可能である。
【0012】
印刷システム、特に相互交換可能なプリントヘッドおよび/または複数のプリントヘッドに特徴を有するものでは、高さの判定は、些細ではないことがあり得ることに留意すべきである。つまり、精密製造システムでは、ノズルオリフィス(例えば、プリントヘッド射出プレート)と基板表面との間の高さは、様々な要因により、数十ミクロンまたは潜在的にはそれ以上、変動する場合がある。液滴の吐出は、典型的には、プリントヘッドと基板との間の相対運動を用いて実行されることから、この変動が、液滴の着弾位置に数十ミクロン以上の誤差を生じさせ、所望の位置精度を損なわせる可能性がある。本明細書で提供される技術のうち幾つかの、一つの注目すべき利点は、基板表面に対するノズル高さの遥かに正確で、迅速な判定が可能となることで、この誤差が是正され、遥かに正確な液滴配置が可能となることである(これにより、先に述べた製造上の利点が増進される)。そのようなシステムでは、高さとその変動とを理解することで、多くの技術を用いて誤差を軽減することが可能であり、例えば、プリントヘッドの高さを手動または自動で調整したり、水平にしたりすることができることに留意すべきである。さらに、幾つかの実施形態では、例えば、ノズルタイミング、液滴速度、液滴波形、そして、プリントヘッド上の多くのノズルのうちどれを各液滴の印刷に用いるか等の予め計画された印刷パラメータを調整することで、誤差をソフトウェアで補償することが可能である。基板に対するノズル位置、ノズル高さの誤差、基板位置の誤差、スケールの誤差、製品歪みの誤差(せん断)等を、開示の位置合わせ、較正および高さ測定の技術を用いて提供された高さおよび/または位置の理解に基づき軽減するための技術が、本明細書に開示される。開示される技術は、堆積物質の精密な形状形成および/または堆積を可能とするのに、顕微鏡レベルでの微細な粒子位置精度(例えば、10ミクロンまたはより細かな分解能に至る)を有することが重要となる、工業的な製造および/または印刷の用途に、特に便利である。
【0013】
一実施形態では、基板および/または製造チャックに対するミクロンまたはその近傍の分解能でのx、y位置精度を提供するため、少なくとも2つの異なる搬送経路方向の位置合わせおよび較正に、少なくとも1つの光学手段が用いられ、そのような手段には、例えば、共通の基準点に至る各搬送経路を較正するのに用いられる、高解像度デジタル画像を生成する1以上のカメラが含まれる。付加的には、各搬送経路方向に亘ってミクロンまたはその近傍の分解能での位置精度を提供するように、各搬送軸方向に搬送経路駆動補正を可能とするため、位置フィードバックシステム(イメージングまたは非イメージング)も用いられる(例えば、以下に述べられる例示的な印刷システム等の分割軸システムでは、2つの搬送経路が、原点に対して光学的に整列させられ、位置フィードバックシステムが、各搬送経路について、正確な搬送経路の前進を確実にするのに使用される)。そこで、z軸較正および位置検出に、第2の手段も付加的に用いられ、第2のそのような手段の較正後のx、y位置に対するあらゆる位置オフセットが判別され、基板を製造するチャックに対するあらゆる点でのz高さの判定が許容される。一実施形態では、堆積源が第2の手段に対して異なる高さにある(または位置がずれている)場合があるため、適切な処理、例えば、(a)製造面上方にある第1のz軸測定システムとの間の高さの違いを測定し、(b)測定面下方の第2のz軸測定システムを用いて、第1のz軸測定システムと堆積材料の供給源(例えば、プリントヘッドまたは特定のプリントヘッドノズル)との間のあらゆる高さの差を測定しおよび(c)第1のz軸高さ判定システムを、既知の基準座標系に合致させ、つまり、「ゼロ合わせ」するように較正することで、高さが得られる。暗示されるように、この機能およびシステム動作の間に非侵襲的な方法で高さを再度測定する機能は、動的な高さ測定を、広範囲に及ぶ効果とともに提供するのに役立たせることが可能である。例えば、プリントヘッドまたは他の製造ツールを交換する場合に、堆積源の高さを直ちに、自動で、動的に再度測定し、これにより、システムの稼働時間を実質的に改善することができる。これらの測定値を正確な座標系に自動的に結び付けることができるという事実は、人間の操作の主観から生じた誤差をも低減させ、もって、遥かに正確な結果が提供される。
【0014】
堆積源と基板表面との間の高さに関する正確な認識は、堆積位置を微細な精度で補正するのに用いることが可能である。先に述べたように、様々な誤差/変動を緩和する対策には、供給源(例えば、プリントヘッド)の高さ、配列またはレベルを変化させること、基板の高さまたは位置を変化させること、供給源の駆動信号(例えば、ノズル駆動信号)を、吐出速度を変える(つまり、それにより、着弾位置を是正する)ように変化させること、吐出時間を変化させること(つまり、それにより、着弾位置を是正して、誤差を相殺する)、どの供給源を堆積に用いるかを変更すること(例えば、所望の位置により近い着弾位置への置換を提供する、異なるノズルを使用する)および/または他の堆積および/または機械パラメータを、ソフトウェアまたはそれ以外で潜在的に変えることが含まれる。
【0015】
開示の技術から利点を受ける製造システムの一例は、基板への液体の液滴を堆積させること、例えば、他の製造プロセスによっては容易に堆積させることができない有機材料を堆積させるのを、インクジェットプリンタに依拠する工業製造システムである。(多数のプリントヘッドのうちの1つから)文字通り何千ものノズルから並列に吐出される液滴は、基板上に着弾し、融合して、連続的な液状コートまたは液状フィルムを形成する。しかし、液体は、塗膜の厚さに液滴の密度および/または他の形式の体積制御に応じた局所的なばらつきを生じ得る粘性を有する(先に述べた、参照により組み込まれた特許および公開公報を参照)。フィルムは、電子微細構造(例えば、カプセル化、バリア、円滑化、誘電体または多数のそのような微細構造に亘る他の層を提供可能である)に対して大きくても、例えば、単一のピクセルまたは発光構造の層を形成するように、多くのそのような構造の同一の層が同時に製造された状態で、流体ダムに含まれてもよい領域の「全体的な」液状被覆を提供することが可能である。例えば、先に述べた製造システムは、同一の有機発光層を、HDTVを形成する何百万ものピクセルのそれぞれにつき、1回の堆積プロセスで印刷するのに用いることができ、そのような製造プロセスでは、何百万もの対応する微視的ウェルが存在し、典型的には、これらのウェルにちょうど収まる正確な液体量を堆積させることが望まれる。製造中の層がいかなるものであっても、連続的な液状コートは、印刷および安定化の後、硬化させ、乾燥させ、硬変させ、固化させ、安定化させ、そうでなければ、堆積させた液状コートを処理して永久的または半永久的な形態(例えば、処理後の層)に変換させるように、処理される。微視的スケールで正確な量のインクを堆積させるか、そうでなければ、均質な層または特定のエッジ形状とするのに必要な精密さが与えられるとすれば、開示の位置合わせ、較正および測定技術は、非常に精密な液滴配置を容易にするのに強力なツールを提供し、そうでなければ、極めて微細な堆積制御を提供する。これらのおよび他の例は、以下にさらに説明される。
【0016】
更なる説明に移る前に、本明細書で使用される幾つかの用語についてまず紹介することが有用である。
【0017】
具体的には、本開示では、「インク」について、様々な参照がなされる。概して支持媒体に吸収され、色(色調)および明度を通じて画像を伝達するグラフィックスの用途で用いられる色付きの液体とは異なり、概して本開示で述べられるプリンタにより堆積させられる「インク」は、典型的には、それ自体におよびそれ自体の顕著な色または画像特性を有していない。代わりに、その液体は、一度堆積させられ、処理されると、意図された層厚さと、所望の構造的、光学的、電気的および/または他の特性を提供する構造要素と、を提供する材料を担持する。理論的には、この処理を用いて多くの材料を堆積させることができる一方で、幾つかの期待される用途において、「インク」は、本来的には、堆積後にポリマーに(つまり、所望のコンダクタンス、光学特性または他の特性を有するプラスチックに)変換される液体モノマーである。堆積後の層が有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの一部を形成する一つの特定の用途では、堆積後の層は、電磁作動を通じて色および画像に寄与することが可能であるが、重要なのは、定められた画像の一部として液体の固有の色を基板に移す目的のために液体自体が堆積させられておらず、むしろ、構造を構築するために用いられていることである。一般的な用途では、液体は、限られた範囲に広がり、融合し、少なくとも流体ウェルの境界内で「全体的な」被覆(つまり、典型的には、被覆に孔または隙間がない)を提供する個別の液滴の形態で堆積させられる。
【0018】
具体的には、意図された実装形態には、非一過性の機械読取可能媒体に保存された命令を有する装置が含まれる。そのような命令ロジックは、命令が最終的に実行されたときに、1または複数の一般目的の機械(例えば、プロセッサ、コンピュータまたは他の機械)に対し、入力項の記述された仕事を命令に従って必然的に実行して、特定の動作を行うか、そうでなければ、特定の出力を生成する構造を有する特定目的の機械として振る舞わせるような、特定の構造(アーキテクチャの特徴)を有する態様で書かれまたは設計される。例えば、本明細書で述べられる技術は、非一過性の機械読取可能媒体に保存された制御ソフトウェアとして具現することが可能であり、実行されたときに、1以上のプロセッサおよび/または他の設備に、本明細書で述べられる較正、位置合わせおよび位置判定の機能を実行させる。本明細書で使用される「非一過性の」機械読取可能またはプロセッサアクセス可能「媒体」または「ストレージ」とは、当該媒体にデータを保存するのに用いられる技術を問わず、あらゆる実体的な(つまり、物理的な)記憶媒体を意味し、限定を伴わず、例えば、ランダムアクセスメモリ、ハードディスクメモリ、光学メモリ、フロッピー(登録商標)ディスクまたはCD、サーバストレージ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、コンピュータ内メモリ、着脱可能ストレージおよび命令を機械により引き続いて取出可能な他の実体的な機構を含む。媒体またはストレージは、独立型の形態(例えば、プログラムディスクまたはソリッドステート装置)であることが可能であるし、より大規模な機構、例えば、ラップトップコンピュータ、ポータブル装置、サーバ、ネットワーク、プリンタまたは1以上の装置からなる他のセットの一部として具現することも可能である。命令は、異なるフォーマット、例えば、呼び出された場合に特定の動作を効果的に誘発するメタデータとして、Java(登録商標)コードまたはスクリプトとして、特定のプログラム言語で記述されたコードとして(例えば、C++コードとして)、プロセッサに特有の命令セットとしてまたは他の何らかの態様で、実装することが可能である。命令は、実施の態様に応じて同一のプロセッサによっても異なるプロセッサまたはプロセッサコアによっても実行することが可能である。本開示全体を通じ、様々な処理が記載されるが、それらのいずれのものも、非一過性の機械読取可能媒体に保存される命令として実装可能であるのが一般的であり、それらのいずれのものも、製品を製造するのに使用することが可能である。製品デザインに応じ、そのような製品は、販売可能な態様となるように製造することが可能であり、販売、流通、輸出または輸入用の最終製品を最終的に生み出すこととなる他の印刷、硬化、製造または他の処理ステップの準備ステップとして作成することも可能であり、それらの製品は、製造後の層を組み込む。再び一例を挙げると、電子ディスプレイの層を作製するのに、考慮された一実装例が用いられることについては既に言及した。他の層を、他の処理により、本明細書に記載された精密プロセスにより作製された層を損なうことなく(実質的に変化させることなく)、付加的に追加することが可能である。結果として得られるディスプレイは、本明細書に記載された精密プロセスにより作製された層を実質的に変化させることなく、(例えば、実用的なテレビまたは他の電子デバイスを形成するように、)他の要素と組み合わせることも可能である。実装次第で、本明細書に記載される命令または方法を、単一のコンピュータにより実施することも可能であり、さもなくば、例えば、1以上のサーバ、ウェブクライアントまたはアプリケーション固有の装置を用いて、分散的に保存しおよび/または実行することも可能である。本明細書で様々な図面を参照して言及されるそれぞれの機能は、結合プログラムの一部としてまたは独立型のモジュールとして実装することが可能であり、いずれも単一のメディア表現(例えば、単一のフロッピーディスク)に一緒に保存することも、複数の個別ストレージ装置に一緒に保存することも可能である。同様のことが、本明細書に記載される処理に従って生成された誤差訂正情報についても該当し、つまり、予め定められた印刷動作を示すテンプレートまたは「レシピ」を、位置の誤差またはフィードバックを組み込むように修正し、さらに、同一の機械での現在または将来における使用か、1以上の他の機械での使用かのいずれのためであっても非一過性の機械読取可能媒体に保存することが可能である。例えば、そのようなデータは、第1の機械を用いて生成し、その後、プリンタまたは製造装置への伝送のため、例えば、インターネット(または他のネットワーク)を介したダウンロードのため、保存することが可能であり、他の機械での使用に備え、手動による搬送(例えば、ポータブルドライブ等の可搬媒体による)のため、保存することも可能である。本明細書で使用される「ラスタ」または「スキャンパス」は、プリントヘッドまたはカメラの基板に対する動きの進行を示し、つまり、これは、あらゆる実施形態において、線形的である必要も、連続的である必要もない。層の「硬化」、「固化」、「処理」および/または「レンダリング」は、その用語が本明細書で使用されるときは、堆積させたインクを液体の状態から作製中の対象物の永久的または半永久的な構造(例えば、仮のマスク等の一時的な構造と対比して)に変換させるのに当該インクに適用される処理を示す。本開示を通じて様々な処理が記載されるが、それらのいずれもが、実施の具体的態様または特定の設計に応じ、命令ロジックとして(例えば、非一過性の機械読取可能媒体に保存される命令または他のソフトウェアロジックとして)、ハードウェアロジックとしてまたはこれらの組み合わせとして、一般的に実装することが可能である。本明細書で使用される「モジュール」は、特定の機能に専用の構造をいい、例えば、「第1のモジュール」というときは、第1の特定の機能を実行することを示し、「第2のモジュール」をいうときは、第2の特定の機能を実行することを示し、命令(例えば、コンピュータコード)の文脈で使用された場合に、相互に排他的なコードセットを示す。機械的または電気機械的な構造(例えば、暗号化モジュール)の文脈で使用された場合は、モジュールという用語は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを含み得る要素の専用の組み合わせを示す。あらゆる場合において、「モジュール」という用語は、主題が属する技術の分野における当業者により、掲げられた機能を実行するための「何らかの構造」(例えば、「数頭立ての牛車」)に関する包括的なプレースホルダまたは「手段」としてではなく、特定の技術に使用される一般的な構造(例えば、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュール)として理解されるであろう機能または動作を実行するのに専用の構造をいうのに用いられる。
【0019】
同様に、本明細書では、検出機構に加え、各基板上に認識されるか、プリンタプラテンまたは搬送経路の一部としてまたはプリントヘッドの一部として認識される、位置合わせ用のマークまたは基準と、が参照される。多くの実施形態では、検出機構は、基板上に(および/またはプリンタ内の物理的な構造上に)認識可能な形状またはパターンを検出するのにセンサアレイ(例えば、カメラ)を用いた光学的な検出機構である。他の実施形態では、センサ「アレイ」が前提とされず、例えば、プリンタに基板が装填されまたはプリンタ内で前進させられる際の基準を検出するのに、ラインセンサが用いられる。幾つかの実施形態では、他がより複雑で、認識可能な特徴(以前に堆積させられた基板上の何らかの層またはプリンタ、プリントヘッドにおける物理的な特徴の幾何形状を含む)に依拠する一方で、パターン(例えば、単純な位置合わせ用のガイド、線またはマーク)に依拠することに留意すべきであり、これらのそれぞれが、「基準」となる。可視光を用いることに加え、他の実施形態では、紫外線または他の目に見えない光、磁気、無線周波数または期待される印刷位置に対する基板の特徴部位の他の形態の検出に依拠することもあり得る。さらに、本明細書の様々な実施形態では、プリントヘッド(1つか、複数)またはプリントヘッドアセンブリについて言及するが、本明細書に記載される印刷システムは、モジュール式で取り付けられるかどうかに拘わらず、一般的には、1以上のプリントヘッドとともに使用可能であることを理解すべきことについても留意すべきである。一つの考えられる適用において、例えば、工業用プリンタは、3つのプリントヘッドアセンブリ(それぞれは、「インクスティック」マウントと呼ばれることもある)により特徴付けられ、そのようなそれぞれのアセンブリまたはマウントは、構成のプリントヘッド(例えば、プリントヘッドアセンブリの)および/またはプリントヘッドアセンブリおよび/またはそれらのノズルが所望のグリッドシステムに対する精度をもって位置合わせ可能なように、位置および/または回転調整を許容する機械式の取付システムを有する3つの別々のプリントヘッドを備える。1以上のプリントヘッドによる他の構成もまた、可能である。一般的にいえば、本明細書では、「フィルム」または「コート」とは、未加工の堆積材料(例えば、液体)をいうのに用いられるが、「層」とは、概して、処理後の構造、例えば、固化後、硬化後、重合後のまたは他の永久的ないし半永久的な形態に変換させられたものをいうのに用いられる。一般的にいえば、「x軸」および「y軸」とは、堆積の平面をいうのに用いられ、他方で、「z軸」とは、この表面に垂直な方向をいうのに用いられるが、これらの参照は、動作の自由について、いかなる各個の度合をも示し得ることを理解すべきである。様々な他の用語が以下に定義されるか、文脈から明らかな意味で用いられる。
【0020】
以下の説明では、分割軸工業プリンタの基本的な構成が、図1Aから図1Dを参照して初めに説明され、続いて、精密な液滴配置に関する課題の幾つか、さらに、そのような分割軸工業プリンタにより用いられる新規な構造がどのようにしてこれらの課題に対処するか、が説明される。図2Aから図2Bは、第1および第2実施形態の構造を示すものとして説明され、図3Aから3Bは、これらの実施形態の運用に関する例示的な工程または方法を夫々示すものとして説明される。一般的にいえば、実施形態について、x、y位置の較正および位置合わせが実行されることが初めに説明され、続いて、z軸の測定が、その増加分についてさらに説明される。図4Aから図4Cは、絶対z軸(つまり、高さ)測定の高分解能測定および製造装置座標系に関連した位置合わせを提供する実施形態を説明するのに用いられる。それ以降の図面は、更なるより具体的な実施形態を説明するのに用いられる。そのようなデザインは、例えば、感受性の高い電子要素をカプセル封入した受動層に限らず、光の生成に寄与する「活性層」を含む発光製品の層を作製するのに使用される有機材料を堆積させるように設計された印刷システムにおいて、具現することが可能であり、そのような製造装置は、「OLED」テレビおよび他のディスプレイスクリーンの製造に使用することが可能である。
【0021】
B.例示的な環境-プリンタを備えた分割軸システム
図1Aは、参照符号101により全体的に示される製造プロセスの概観を提供し、同図はまた、本明細書に導入される技術の、多くの個別的な可能実施形態を表示する。同図の左手にみられるように、一続きの基板105が処理され、各基板は、その上に層が堆積させられている。ここで、堆積プロセスは、本明細書に記載される技術の助力を受けることで、それらの技術がない場合と比較して、その続きについて、処理がより正確および/または迅速なものとなる。図1Aの右手には、完成した形態にある、一続きの基板のうちの1つ(107)が示されており、その基板107は、多数の製品(基板107の点線が付された部分により示されるような)への切断の準備が整っており、例えば、完成した基板107は、1以上の携帯電話ディスプレイ109、HDTVディスプレイ111またはソーラパネル113を形成するのに使用することが可能である。
【0022】
問題となる層を形成するため、製造装置103が、材料を堆積させ、加工しおよび/または処理するのに使用される。以下にさらに述べるように、一実施形態では、製造装置は、個別の液滴の状態にある材料を印刷するプリンタ(119)を備えることが可能であり、液滴は、限られた範囲に広がって、(少なくとも局所的に)途切れのない液体コートを形成し、製造装置または他の装置は、その後、その液体コートを処理して、材料を永久的または半永久的な形態に転換させる。一実施形態では、液体は、有機材料(例えば、モノマー)であり、硬化され、乾燥させられ、焼成されまたは他の方法で処理されて、有機材料の形態および/または物理特性を、最終装置の層として存続する形態に変化させる。考えられる製造プロセスは、モノマーをポリマーに転換させ、本質的には、モノマーを導電性の、電気的に活性の、発光性のまたは他の形態のプラスチックに転換させるのに、紫外線(UV)ランプを使用することがあり得る。本明細書に記載される技術は、これらの種類の材料に限定されるものではない。先行の処理ステップ(例えば、基板105上に既にある微細構造から構成される、現行の、基礎をなす表面ジオメトリが存在する)および/または後続の処理ステップ(例えば、製造装置103により生成される層および/または膜の完成後、他の層および/または処理が適用される)が存在する場合もあることに、留意すべきである。図1Aはまた、第1のコンピュータアイコン115および関連する非一過性の機械読取可能媒体アイコン117を表示し、製造装置が、命令ロジックの制御のもとで動作する1以上のプロセッサにより制御可能であり、例えば、そのようなソフトウェアおよび/またはプロセッサが、本明細書に記載される較正、位置合わせおよび測定技術を制御しまたは指示することが可能であることを示す。図1Aはまた、第2の非一過性の機械読取可能媒体アイコン118を表示し、その続きにおける各基板105への堆積が、予め定められた印刷プロセス、つまり、「レシピ」に関する命令、例えば、その続きにおける各基板105に適用されることが意図された共通の設計に従って実行可能であることを示す。本明細書に記載される技術は、共通のレシピに従ってより正確に印刷するように、プリンタ要素および/または印刷プロセスパラメータを調整するのに使用可能であり、または、個々の印刷動作(例えば、ノズルに印加される発射信号等)が本明細書に記載される較正、位置合わせおよび測定に応じて調整されるように、レシピ自体を(例えば、潜在的には、基板ごとに)変換しまたは調整するのに使用することができる。後者の処理は、誤差/変動を低減し、そのような誤差または変動にも拘わらず、所望の印刷結果が得られるように、設計を効果的に調整する。
【0023】
よって、本開示で導入された技術は、任意に、非一過性の機械読取可能媒体117に保存された命令の形態、例えば、制御ソフトウェアであることが可能である。コンピュータアイコン115ごとに、これらの技術は、任意に、コンピュータまたはネットワークの一部、例えば、製品を製造する企業により使用されるコンピュータシステムの一部として実装することも可能である。第3に、符号103を用いて例示されるように、先に導入された技術は、製造装置またはその構成要素、例えば、製造装置の位置測定システムか、本明細書に記載される技術を用いて生成される位置信号および/または較正に従って制御されるプリンタか、の形態をとることも可能である。第4に、本明細書に記載される技術は、修正された「レシピ」(例えば、位置合わせ、比率、歪みまたは他の誤差を軽減するように修正されたプリンタ制御命令)の形態をとることも可能である。最後に、上で導入された技術は、製造される製品またはモノ自体として具現することも可能である。図1Aでは、例えば、幾つかのそのような要素が、半仕上げのフラットパネル装置のアレイ107の形態で示されており、最終消費者製品への組み込みのため、分離され、販売される。図示の装置は、例えば、上で導入された方法に従って作製された1以上の発光層、カプセル化層または他の層を備えることが可能である。例えば、本明細書に記載される技術は、改良されたデジタル装置109/111/113(例えば、電子パッドまたは携帯電話、テレビ表示スクリーン、ソーラパネル等)または他の種類の装置の形態で実現することが可能である。
【0024】
図1Bは、本明細書に開示される技術を適用するのに使用可能な、1つの考えられた多室型の製造装置121を示している。概して、図示の装置121は、移送モジュール123、印刷モジュール125および処理モジュール127を有する、幾つかの一般的なモジュールまたはサブシステムを備える。この例における各モジュールは、周囲に空気に対する制御された環境を維持する。制御された環境は、製造装置121全体に亘って同じであってもよいし、各室ごとに異なっていてもよい。移送モジュール123は、基板を積み降ろすか、そうでなければ、基板を他の製造装置に載せ換えるのに用いられる。受容された各基板は、印刷モジュール125により、第1の制御された雰囲気で印刷することが可能であり、さらに、(望まれる場合は、)他の処理、例えば、他の堆積プロセスまたは(例えば、印刷された材料のための)硬化、乾燥または焼成プロセスを、処理モジュール127により、第1または第2の制御された雰囲気で実行することが可能である。製造装置121は、1以上の機械ハンドラを使用して、非制御状態の雰囲気(つまり、周囲の空気であり、微粒子、湿気等の異物を含み得る)に基板を晒すことなく、基板をモジュール同士の間で移動させることが可能である。任意の所与のモジュールのなかで、他の基板処理システムおよび/またはそのモジュールについて実行される処理に適合させた特定の装置および制御システムを使用することが可能である。印刷モジュール125のなかで、機械的な処理は、上記におよび以下に述べるような、浮揚テーブル、グリッパ、位置合わせ/微細誤差訂正機構の(制御された雰囲気のなかでの)使用を含み得る。幾つかの実施形態では、(プリンタ以外に)他の種類の堆積装置が使用されてもよい。
【0025】
様々な実施形態に係る移送モジュール123は、入力ロードロック129(つまり、制御された雰囲気を維持しながら、異なる環境の間でのバッファリングを提供するチャンバ)、移送チャンバ131(基板を搬送するためのハンドラも有する)および大気バッファチャンバ133を備えることが可能である。印刷モジュール125では、先に述べたように、印刷時における基板の安定した支持のための浮揚テーブルを使用することが可能である。さらに、分割軸またはガントリー動作システム等のxyz移動システムを、基板に対する少なくとも1つのプリントヘッドの精密な位置合わせのために使用することが可能であり、そればかりでなく、印刷モジュール125を介する基板の電動によるy軸移送および1以上のプリントヘッドの電動によるx軸、z軸運搬を提供ことができる。印刷チャンバでは、例えば、2つの異なる種類の堆積プロセスを制御された雰囲気にある印刷モジュールのなかで実行することができるように、例えば、個別のプリントヘッドまたはプリントヘッドアセンブリを用いて、印刷に複数のインクを使用することもまた可能である。印刷モジュール125は、不活性雰囲気(例えば、窒素または希ガス)を導入するか、そうでなければ、環境調節(例えば、温度および圧力)、ガスの組成および微粒子の存在のために雰囲気を制御するための手段とともに、インクジェット印刷システムを収容する、ガス封入部135を備えることが可能である。
【0026】
様々な実施形態に係る処理モジュール127は、例えば、移送チャンバ136を備えることが可能であり、この移送チャンバは、基板を搬送するためのハンドラをも有する。さらに、処理モジュールは、他の製造装置と基板を載せ換えるか、そうでなければ、基板を降ろすための出力ロードロック137、窒素スタックバッファ139および硬化チャンバ141をも備えることが可能である。幾つかの用途では、硬化チャンバは、モノマー膜を硬化させて、それを均一なポリマー膜に転換させるのに使用することが可能である。他の適用では、硬化チャンバは、乾燥オーブンまたは他の処理チャンバに置き換えることが可能である。例えば、2つの特に挙げられる処理は、加熱処理と紫外線照射硬化処理とを含む。
【0027】
1つの適用において、装置121は、液晶ディスプレイスクリーンまたはOLEDディスプレイスクリーンの大量生産、例えば、単一の大型基板上で、一度に8つのスクリーンからなるアレイを製造するのに適合させられる。これらのスクリーンは、テレビ用におよび他の形態の電子装置のディスプレイスクリーンとして使用することが可能である。第2の適用では、装置は、ソーラパネルまたは他の電子装置の大量生産に、ほぼ同じ方法で使用される。例示的な組立ライン式のプロセスでは、一連の基板における各基板は、入力ロードロック129を介して供給され、移送チャンバ131に機械的に進入させられる。必要に応じ、基板は、その後、印刷モジュールへ移送され、そこで、非常に詳細な位置パラメータに従って、既に導入された方法で液体コートが堆積させられる。液滴が溶解し、局所的に均一な液体コートを確立するのを可能とする静定時間に続き、基板は、処理モジュール127に送り込まれ、そこで、適切な硬化または層を完成させるための他の処理に適したチャンバ(例えば、硬化チャンバ141)へ様々に移送され、さらに、その層は、出力ロードロック137を介して送り出される。これらのモジュールのうち、様々なものを、構成に応じて交換し、省略しまたは変更することが可能であり、換言すれば、どのような処理であっても、最小限の製造装置が、最終製品の所望の層を「構築」するのに使用される何らかの材料を堆積させることに留意すべきである。先に述べたように、典型的なプロセスにおいて、堆積パラメータは、厳格であり、各「ピコリットル」スケールの液滴が、基板上の特定の位置に、1または数ミクロンまでの精度で、特に望まれた目的のために液滴の大きさおよび/また配置をときに故意に変えながらも、配置すべきことを要求する場合がある。参照による組み込まれた先に述べた特許および特許出願を参照されたい。
【0028】
後続の層の制御された厚さでの繰り返しの堆積により、光生成構造の発光層、電子微細構造要素の層またはブラケット層(例えば、カプセル化)を、いかなる所望の用途にも適するように構築することが可能である。一実施形態では、層のうちの1以上が異なっていてもよいが、一連のマイクロ層(例えば、それぞれが20ミクロン厚未満である)を製造して、集合的でより厚い層を構築することもまた可能である。図示の製造装置のモジュール形式は、製造装置を異なる多様な用途に特化させるのに使用することが可能であり、例えば、先に述べたように、一つに用途では、「印刷された」液体コートが、その層を焼成して、永久的または半永久的な構造とすることにより処理されるので、焼成チャンバを採用する場合がある。異なる実施形態では、堆積させた層を硬化させるのにUV光を使用し、さらに、同様の処理を実行するのが望ましい場合がある。よって、明らかなように、装置121の構成を変化させて、様々なモジュール123、125および127を異なる並びに置いたり、追加の、より少ない数のまたは異なるモジュール用いたりすることが可能であり、その多くは、製造される製品の種類および設計、所望の堆積材料、形成される層の特定の種類、最終製品の用途および潜在的な他の因子に依存する。一連の基板のうち、各基板が完成すると、一連の基板の次が導入され、ほぼ同じようにして処理される。
【0029】
図1Bが一組の関連チャンバまたは製造要素の一例を提供する一方で、明らかに多くの他の可能性が存在する。上で導入された技術は、図1Bに示される装置とともに使用するか、あらゆる他の種類の堆積設備により実行される製造プロセスを制御するために使用することが可能である。
【0030】
図1Cは、分割軸プリンタ151を上からみた概略図である。このプリンタは、製造装置の1つの、非限定的な例として使用することが可能である。同図は、基本的な機構および概念の説明を助けるため、一般的な部分表現を用いて縮尺外で描かれていることに留意すべきである。例えば、プリントヘッド165は、5つだけ描かれているノズル167よりも多くを有するのが一般的であり、潜在的には、下にある基板157に、できるだけ正確かつ迅速に、現実的である限り幅の広いスワスを印刷するように、数千から数万のノズルを有する。同様に、動作の原理を説明するため、一般的な詳細および要素のみが提示される。組立ライン式の製造の文脈では、メートル長かつメートル幅であり得るパネルに対し、印刷が60から90秒未満で達成されること、つまり、製造プロセスが、品質を犠牲にすることなく、できるだけ低い価格であることが、一般的に望まれる。
【0031】
プリンタは、基板157上にインクを堆積させるのに用いられるプリントヘッドアセンブリ165を備える。先に述べたように、製造プロセスでは、インクは、限られた範囲にのみ拡がる粘性を有するのが一般的であり、何らかの処理がなされて液体コートが永久的または半永久的な構造に転換された場合に層の厚さとなる、厚さを保持する。液体インクの堆積により形成される層の厚さは、適用されるインクの体積、例えば、所定の位置に堆積せられた液滴の密度および/または液滴の体積に依存する。インクは、一般的には、モノマー、ポリマー、または、溶媒または他の輸送媒体により担持される材料として形成された、最終層の部分を形成する1以上の材料に特徴を有する。一実施形態では、これらの材料は、有機物である。インクの堆積に続き、インクは、乾燥させられ、硬化され、固化されまたは他の方法により処理されて、永久的または半永久的な層を形成する。例えば、幾つかの用途では、他の処理によりインクを乾燥させて、溶媒を除去しおよび被輸送材料を所望の部位に残しながら、紫外線(UV)硬化処理を使用して、液体モノマーを固体ポリマーに転換させる。他の処理も、採用可能である。図示の印刷プロセスを典型的なグラフィックスまたはテキスト用途とは異ならせる、他の多くの特徴が存在することに留意されたい。例えば、本明細書の他の個所に記載されるように、一実施形態では、湿気および他の望ましくない微粒子を排除すべく、制御された雰囲気の存在下で印刷を実行することができるように、プリンタ151をガスチャンバに封入する製造装置が使用される。
【0032】
図1Cにさらに見られるように、プリントヘッド165は、双方向矢印169により概略的に示される方法で、支持テーブルまたはチャック153に対し、支持バーまたはガイド155上を、「x軸」寸法において、前後に移動する。軸の解釈を助けるため、寸法の凡例163が図中に置かれている。支持バー155により隠されており、つまり、インク液滴を排出し、これが個々のノズル167から重力により落下して、予め予測され、計画された基板157上面の位置に着地するように、基板157に向かって下向きであることを示すため、同図におけるプリントヘッド165が、破線で描かれていることについても留意されたい。単一のプリントヘッド165およびノズル167の単一の列のみが図示されているが、典型的には、複数のプリントヘッドが存在し、それらのそれぞれが数百のノズルを有し、全体で数千のノズルが存在することが理解されるべきである。プリントヘッドは通常、幾つかの実施形態におけるプリントヘッドが、(a)有効「クロススキャン」ピッチを変更するための、動力によるプリントヘッド回転、(b)基板上での(より正確に述べると、クラスタプリントヘッドのための支持プリントヘッドキャリッジまたは「インクスティック」マウントに対する)動力によるプリントヘッド高さ調整、(c)動力によるかまたは手動によるプリントヘッドレベリング、つまり、ノズルオリフィスプレートが受容された基板に対して平行となるようにするレベリングおよび/または(d)他のプリントヘッドまたは「インクスティック」マウントとのモジュールの交換、さらに、あり得る他の動作のうち、1以上を許容するモーションアセンブリに搭載された状態で、ノズル同士の間に、数十ミクロンのオーダの有効ピッチを提供するように、それらの「x軸」位置に関して互い違いにされる。プリントヘッドが符号169により示されるように前後に動かされる際に、基板(例えば、紙)が「y軸」に沿ってゆっくりと前進させられる典型的なグラフィックスプリンタとは違い、工業用プリンタにおいて、「y軸」に沿う基板の輸送は、高速移動軸であるのが一般的であり、一方で、プリントヘッドは通常、走査(基板とプリントヘッドとの間の相対的な動作)の間でのみ、双方向矢印161により示される方向に、位置を変化させられることに留意されたい。よって、この例では、「y軸」が、高速軸または「走査方向(in scan)」寸法と呼ばれ、一方で、「x軸」が、「低速軸」または「走査横断(cross scan)」寸法と呼ばれる。この例では、各製品層に対する走査の回数を低減させ、製造/印刷速度を上昇させることができるように、堆積させた液滴の微視的なクロススキャンピッチを提供するとともに、現実的である限り一度にできるだけ広いスワスを覆うとの同時の目的をもって、各プリントヘッドは、(例え複数のプリントヘッドが存在するとしても)どの時点においても通常は同じインクを堆積させる。基板は、典型的には、超薄ガラスシートであり、支持テーブルまたはチャック153は、典型的には、エア(または他の雰囲気ガス)クッション上に各基板を支持する浮揚テーブルである。図示のシステムにおいて、基板が導入されると、真空グリッパ159は、一つの縁に沿って基板と係合し、印刷の間に、基板をy軸に沿って前後に動かす。グリッパは、トラックまたは経路(図1Cでは、図示せず)に沿って進み、図示の分割軸システムにおいて、1つの移送軸を提供し、その一方で、バーまたはガイド155は、他の移送軸を提供する。この例から明らかであるように、基板157上のいかなる所望の印刷位置も、グリッパ159を用いて基板を走査方向寸法内でy軸に沿って、さらに、プリントヘッド165を走査横断寸法内で(つまり、x軸に沿って)、夫々注意深く制御しながら動かすことにより、達成することが可能である。
【0033】
クロススキャンノズルピッチがミクロンスケールである場合に明らかなように、僅かな較正の誤差でさえも理論的にはインク液滴が基板上の誤った位置に配置される結果を招く可能性がある。よって、そのようなシステムにおける液滴配置の正確な制御のため、本明細書に記載されるような較正技術を採用して、液滴を、それらの想定される正確な位置に、つまり、数ミクロン以下の誤差、理想的には、これよりもずっと小さな誤差をもって、確実に配置されるようにする。本明細書にある他の説明の多くと同様に、この種のシステム(プリンタ/分割軸)は、代表に過ぎず、記載された詳細は、1つの可能な実施形態を理解するように提示された、任意付加的な実装の例として考慮されるべきである。
【0034】
図1Dは、基板がプリンタを通過する際の、一連の基板における1つ(181)を示している。特定の設計についてもそうであるように、破線で示す幾つかのボックスは、個々のパネル製品183を示している。この例における図は、丁度4つのそのようなパネル製品を示している。図1Dに示される基板181のような、(一連の基板における)各基板は、一実施形態では、多数のアライメントマークを有する。図示の実施形態では、3つ(またはそれ以上)のそのようなマーク187が、基板全体について用いられ、製造装置に対する(例えば、チャック、分割軸輸送経路または他の基準フレームに対する)基板の位置オフセットおよび/または回転の誤差の測定を可能とする。歪みの誤差(例えば、製品の底面が、プリンタ軸に対して非直線的な主軸を有する)および/または基板と印刷画像との間のスケールの誤差(つまり、x寸法、y寸法またはそれらの両方における)等の他の誤差もまた、検出することが可能である。これらの様々な誤差を検出するため、1以上のカメラアセンブリ185が、アライメントマークを撮像するのに用いられる。1つの考慮される実施形態では、単一のカメラアセンブリ(例えば、プリントヘッドアセンブリに取り付けられる)が使用される。既に述べたように、分割軸システムは、2つの搬送システムの協調的な作動により、基板上の任意の位置の上方におけるプリントヘッドの配置を可能とするものであり、本実施形態におけるカメラアセンブリの相互関連は、異なるものではない。つまり、プリンタの搬送機構(例えば、ハンドラおよび/またはエア浮揚機構)は、基板およびカメラを動かして、各アライメントマークをカメラアセンブリの視野に順に配置する。一実施形態では、アセンブリは、高解像度カメラと低解像度カメラとの双方を備え、一方で、他の実施形態では、単一のカメラまたは異なる種類のセンサ(動きのない、光回線センサ等)を、プリンタの基準軸に対する基板の実際の位置を検出するのに使用することが可能である。この例におけるカメラアセンブリは、暗に示されるように、実施形態に応じ、プリントヘッドキャリッジか、プリントヘッドのアセンブリ、つまり、第2のアセンブリか、に取り付けることが可能であり、異なるキャリッジ(またはブリッジまたはガイド)に取り付けることも可能である。2-カメラシステムでは、低倍率および高倍率の画像、つまり、高解像度倍率のための基準を大まかに位置決めするための低倍率画像と、プリンタ座標系に従って正確な基準位置を特定するための高倍率画像と、が撮影される。図1Dに関し、これらの様々な構造が、基板の整列、配向、配置、捻れおよびスケールを正規化して、堆積に因子として組み込み、製造により各基板について正確に同じ位置に(つまり、アライメントマークに対して)材料を堆積させることができるように、個々の基板と製造装置の座標系との間の関係を検出するのに使用される。
【0035】
先に述べた構造に反映させて、1つの考えられる実施形態では、カメラアセンブリを、プリントヘッドアセンブリ(つまり、上で述べたプリントヘッドキャリッジ)と一体に作製することが可能であり、各基板を、プリンタ座標系と整列させるか、印刷パラメータを、各基板の実際の位置/配向/歪みおよび/またはスケールと整合するように適合させるため、製造装置の位置基準系を較正し(つまり、基板の導入前における、2つの搬送経路の位置較正および有効位置合わせである)、さらに、図1Dに関連して示されるように、個々の基板の基準位置を検出することが可能である。他の記載された要素と同様に、カメラアセンブリは、モジュール式のユニットであってもよく、このユニットは、プリンタのメンテナンスステーションにおいて、他のモジュールと交換可能であり、上で述べたインクスティックマウントについても同様である。しかし、一実施形態では、プリントヘッド搬送経路により使用されるカメラは、プリンタヘッドアセンブリの一体のかつ永久的な一部として作製される。
【0036】
典型的な実施形態では、印刷は、一度で(つまり、複数の製品用の基板に対する各走査または一組の走査で層を提供する、単一の印刷プロセスにより)基板全体に所与の材料層を堆積させるように実行される。そのような堆積は、個々の画素ウェル(図1Dでは、図示されておらず、つまり、典型的には、数百万のそのようなウェルが存在する)のなかで実行可能であり、そのようなウェル内に光生成層を堆積させるか、全体的にみれば、バリア層またはカプセル化層等のバリアないし保護層を堆積させることに留意されたい。どの堆積プロセルが問題であるにせよ、図1Dは、基板の長軸に沿ったプリントヘッドの2つの例示的な走査189および191を示し、分割軸プリンタにおいて、基板は、典型的には、走査の間でプリンタがプリントヘッドを位置的に(つまり、「x軸」方向または図の紙面に対して垂直な方向に)前進させながら、前後に(例えば、図1Dに示される矢印および図1Cからの双方向矢印161の方向に)動かされる。走査経路が直線的に示されているものの、このことは、あらゆる実施形態について要求されるものではないことに留意されたい。走査経路(つまり、189および191)は、隣接させて、管轄領域に関して互いに他を排するように示されているが、このこともまた、あらゆる実施形態について要求されるものではない(例えば、プリントヘッドは、必要に応じ、印刷スワスに関して分画させた状態で適用することが可能である)。最後に、いかなる所与の走査経路も、典型的には、基板の印刷可能な長さ全体に亘って通過し、(潜在的に)複数の製品のための層を、単一のパスで印刷することに留意されたい。各パスは、各走査における各液滴を、基板および/または製品/パネルの境界に対してあるべきところに正確に堆積させるという目的が確実に達せられるように、「印刷画像」またはノズルビットマップに応じたノズル発射決定を使用する。示されるように、基板181がプリンタに対して「高速軸」または「走査(in-scan)」方向(つまり、図1Cでいうy軸)に沿って動かされる第1の走査189の間に、プリントヘッドアセンブリは、第1の位置193に配置される。他方で、基板が「高速軸」または「走査」方向に沿って逆向きに動かされる第2の走査191の間に、プリントヘッドアセンブリは、位置193に代えて、(矢印195により示されるように、)「低速軸」または「走査横断(cross-scan)」方向に沿って位置194に再配置され、これにより、符号191により示されるスワスを形成する。
【0037】
問題の層または膜に関して全ての印刷が完了すると、基板および湿ったインク(つまり、液状コートに安定した堆積後の液体)は、その後、堆積後の液体の永久的または半永久的な層への硬化または処理に向けて搬送することが可能である。例えば、図1Bの説明に簡単に戻ると、基板は、印刷モジュール125で「インク」が塗布され、その後、処理後の層が形成されるまで制御された雰囲気を全く破壊することなく(つまり、この処理は、湿気、酸素または微粒子による汚染を防ぐのに有利に用いられる)、硬化チャンバ141へ搬送することが可能である。異なる実施形態では、UVスキャナまたは他の処理機構を、例えば、分割軸トラベラで使用する等、その場で、上で述べたプリントヘッド/カメラアセンブリとほぼ同じ方法で使用することが可能である。
【0038】
C.第1の実施形態-分割軸システムにおける較正、位置合わせおよび位置検出
図2Aは、先に紹介されたように、精密な較正、位置合わせおよび/または検出を利用する分割軸システム201の説明図である。実装は、図示のものとは、僅かに異なる場合があることに留意されたい(例えば、プリントヘッド223は、図示のようである代わりに、液滴を図面ページに向けて出射するように、典型的には、図面ページに向けて「下向き」に面する。さらに、図示された高さは、図示のようであるというよりも、むしろ、図面ページの中へおよび外へ及んでおり、センサ229は、画面ページ外へ向けて上向きに面する)。それにも拘わらず、説明と読み手の理解とを助けるうえで、この図では、図示された例が信頼される。
【0039】
分割軸システムは、第1の搬送経路203(例えば、双方向矢印207により示される方向におけるプリントヘッドアセンブリ205の搬送に用いられる)および第2の搬送経路209(例えば、双方向矢印213により示される方向におけるグリッパ211の搬送に用いられる)に特徴を有する。双方向矢印207および213は、往復動作を表し(例えば、図1Dに往復のスワス189および191により示されるような、走査経路方向の反転)、これらの種類のシステムは、それらの要素が動かされる際の、実質的な並進慣性に特徴を有するのが一般的であることに留意されたい。この理由および他の理由のため、符号215および219により示されるように、搬送経路毎に位置フィードバックシステムもまた使用される。つまり、プリントヘッドアセンブリを支持するのに使用されるブリッジまたはガイドは、位置マークに特徴を有し、正確な位置判定を支援する。これらのマークは、典型的には、1ミクロンまたは数ミクロン毎にマークの間隔が空けられた(つまり、「定規」標示215により示されるような)粘着テープの形態である。プリントヘッドアセンブリ205のセンサ217は、これらのマークを撮像し、光学的に検出しまたは他の方法により感知し、実際のプリントヘッドアセンブリ位置に基づくフィードバックを提供する。これにより、電子制御および駆動システム(図2Aには、図示せず)が、慣性、ジッタまたは他の誤差の発生源の影響にも拘わらず、プリントヘッドキャリッジを正確に位置決めすることを可能とする。同様に、第2の搬送経路(例えば、プリンタ支持テーブルまたはチャック231により提供されるガイド)もまた、典型的には、マーク付きの粘着テープ219等、同様のセットの位置マークを装備し、位置マークは、それらのマークが位置情報を提供することを示すため、定規マークにより再度示される。これらのマークは、同様に撮像されおよび/またはグリッパ211のセンサ221により検出されまたは感知される。そして、同様に、このフィードバックシステムは、電子制御または駆動システム(図2Aには、図示せず)が、並進慣性、ジッタおよび位置決めに影響を及ぼす他の潜在的な誤差の発生源にも拘わらず、グリッパを正確に配置することを可能とする。
【0040】
このようなシステムには、これら2つの経路およびそれらの関連システムを連係させ、位置合わせすることに関する課題が存在する。つまり、第1および第2の搬送経路は、例えば、座標系を定め、印刷可能な位置と直接的に関連付けることができるように、互いに関連していることを要する。
【0041】
この目的のため、プリントヘッドアセンブリ205およびグリッパ211のそれぞれが到達し、検出することのできる、ある種の基準が提供される。この基準は、基準235により図示されている。第1の搬送経路と関連付けられた第1のセンサ227と、第2の搬送経路と関連付けられた第2のセンサ229と、が、この基準を見出して、各搬送経路に共通の座標点を確立するのに夫々使用される。プリントヘッド223の、プリンタの印刷可能領域に対する任意の特定の座標位置での位置決めに際し、各搬送経路に関する各位置フィードバックシステムの位置(例えば、アライメントテープまたは「定規」表示215および219により示される)に基づくことが可能である。図2Aは、説明および理解の容易さを想定して描かれたものであり、つまり、プリントヘッド223およびセンサ227は、基準235を撮像するように、図面ページに向けて下向きに面するのが典型的であることに、再度留意されたい。これに対し、センサ229は、この基準235を下方から撮像するように、典型的には、図面ページ外へ向けて上向きに面する。この趣旨により、グリッパ211は、プリントヘッドアセンブリ205が水平方向にのみ、移動するのに対し、本実施形態では、垂直(「y軸」)方向にのみ、移動することが可能である。基準235の迅速な位置特定および識別を可能とするため、一実施形態において、基準235は、グリッパ211またはプリントヘッドアセンブリ205のうち、一方に直接的に取り付けられる。これにより、基準235は、センサ227かセンサ229かの一方に対し、既知の位置にあることになる。この例では、点線237により示されるように、基準235は、プリントヘッドアセンブリ205に結合される。例えば、以下の実施形態で述べるように、センサ227および229がいずれもカメラである場合に、基準235は、光学的なレチクルの形態をとり得る。そのようなシステムでは、各搬送経路により動かされるキャリッジまたはアセンブリは、各搬送経路を重ね合わせた画像がレチクルの一致を特徴とするまで調整され、その後、位置フィードバックシステムが、各搬送経路の位置を正規化するのに用いられる。そのような位置識別は、共通の座標点(例えば、座標系の原点)を識別し、x、y搬送システムが、この原点に対して較正される。これにより、位置フィードバックは、原点に対する単位前進量を提供する。レチクルは、この較正後に光学的に取り外される、光学的な付属物であってもよい。共通の参照点を見出すための多くの代替例が存在することに留意されたい(例えば、センサ227および229は、それらの間での正確な位置合わせを可能とする感知システムの協働要素として構成することが可能である。そして、この記載が暗に示すように、多くの異なる種類のセンサおよび/または位置決め方法を、このコロケーションを実現するのに使用することが可能である)。記載されたコロケーションにより、プリンタ/製造装置のための完全なx、y座標参照系を確立することが可能である。
【0042】
印刷が開始される際に、基板239がシステム201に導入され、グリッパ211の真空要素225に係合させられる。図に示されるように、基板239は、意図しない並進オフセットおよび/または回転の誤差、さらに、歪みおよび/またはスケールの誤差等の潜在的な他の誤差を有する場合がある。よって、この誤差を訂正するか、さもなくば、プリントヘッドからの液滴が基板および/またはその上に作製される任意の製品に対して意図された位置に正確に配置されるように、少なくともこれを削減することが概して望まれる。この誤差を訂正するための多くの機構が存在することに留意されたい。例えば、基板を再配置するのに、機械式のハンドラを使用することが可能である。これに代え、参照により組み込まれる特許および特許公報(例えば、米国特許公報第20150298153号を参照)に記載されるように、ノズルの割り当て、発射時間、印刷グリッドの定義、走査経路の位置および/または他のパラメータが、基板の誤差に合致するようにソフトウェアで調整され、微細な基板の位置合わせ、配向、歪みおよび/またはスケールの誤差の仮想的な訂正を本質的に可能とするように、印刷パラメータを調整することが可能である。機構如何に拘わらず、訂正を行うため、この場合は、アライメントマーク243(つまり、他の基準)を用いて、基板の位置、スケールおよび/または歪みの誤差が初めに識別される。典型的な用途では、基板は、透明ガラスであるのが一般的であることを思い出し、この誤差の検出は、センサ227を用いて基準243を発見しおよび撮像するように、2つの搬送経路を制御することにより実行することが可能である。プリンタの座標系における基準243の位置がいまや測定可能であるため、各搬送経路について位置フィードバックシステムから知られた位置と関連付けられた画像処理技術(基準243の認識)を、プリンタに対する基板(つまり、基準)の座標を正確に判定するのに使用することが可能である。上で触れたように、複雑な基準または複数の基準を用いて、画像処理システムはまた、基板の回転配向の誤差等、他の不整合を識別することも可能である。基板の基準(例えば、243)に対して(所望の装置の全ての層の)層堆積を行うことにより、基板の位置および/または配向、さらに、基板エッジの非線形性、歪みおよび/またはスケールの誤差等の他の誤差にも拘わらず、層位置合わせを達成することが可能である。
【0043】
これらの様々な開示されたプロセスのそれぞれは、オペレータの関与により実行するか、(特に本明細書で導入された技術の助けをもって)プロセッサによる制御のもとで完全に自動化することが可能である。例えば、一実施形態では、共通の座標点は、オペレータにより確立され、オペレータは、各カメラにより提供される画像を見て、各カメラにより撮像されたレチクルを手動で位置合わせするように、各搬送システムを手動で係合させる。これに代え、一実施形態では、この位置合わせ動作は、画像処理プロセッサにより完全に実行され、画像処理プロセッサは、例えば、各搬送経路に対し、画像処理、検索アルゴリズムおよび関連する電子制御を使用する。画像処理ソフトウェアは、1以上のプロセッサに、カメラにより生成された画像の間でのレチクルの並びおよび/またはずれを検出させ、このずれを低減しまたは解消するように、搬送動作システムを駆動させ、フィードバックシステム215/219から位置データを読み込ませ、さらに、システムを共通の参照点に「ゼロ」合わせさせる。各カメラからの画像データは、各カメラに対するフレーム読取回路に保存される。そして、共通の座標点に関する定義情報が、位置検出での使用に備え、プロセッサアクセス可能な非一過性メモリに保存される。
【0044】
基板の位置および/または印刷パラメータが、1以上の基板の基準243から逸脱する、測定された位置および/または配向の誤差に応じて訂正されると、基板は、一実施形態では、印刷に必要な場合に、グリッパにより、例えば、双方向矢印241により示されるように、走査方向に前後に搬送することで、前進させることが可能である。
【0045】
しかし、図2Aに示されるシステムはまた、プリントヘッド223(およびプリントヘッドの各ノズル)の基板上方の高さが注意深く制御されない場合に、潜在的に誤差を生じさせる。これは、プリントヘッド223、関連して示された吐出後の液滴および関連する液滴の見かけの速度インジケータ「v」の隣に図示される高さインジケータ「h」、「h」および「h」に関して説明される。これらのことは、説明を助けるためだけのものであり、基板が双方向矢印241の方向に「高速軸」に沿って移動する状態で、液滴および基板は、互いに対して相対的に移動し、液滴は、基板および図面ページに向けてプリントヘッドの下方に射出されることに、再度留意されたい。走査中、射出された液滴が落下する際に、基板の途切れない動きは、液滴が、(a)基板の速度、(b)液滴の射出速度および(c)プリントヘッドと基板との間の距離または高さに応じた位置で、基板上に着弾することを意味し、一定の速度のもとでの高さの変動は、基板上での液滴の着弾位置の変動に、直接的に転換される。実際は、着弾位置の変動は、高さの変動の5分の1のオーダであるのが一般的であり、例えば、プリントヘッドノズルの基板上方の典型的な高さが2ミリメートルであり、高さの誤差および/または変動が100ミクロンのオーダである場合に、この変動は、意図された液滴の着弾位置に関し、約20ミクロンの違いに転換される。誤差は、高さが理解されないか、有効な高さ変動がより大きい場合に、より顕著に大きくなり得ることに留意されたい。
【0046】
この誤差の潜在的な発生源を考慮するため、一実施形態では、基板上方の堆積源の高さもまた較正され、測定されおよび堆積の間に制御される。一実施形態では、この較正は、センサ227および229と、さらに、位置合わせシステムの基準(例えば、レチクル235)と、を用いて実行される。(図4Aから図4Cに関連して以下で導入される)他の実施形態では、高さを測定するのに、他のセンサシステム(つまり、絶対位置センサ)を使用することが可能である。図示のシステムの場合は、プリントヘッドアセンブリ上のカメラに対するプリントヘッド高さの違いが正確に知られていない場合があり、結果として、センサ227を用いて測定された高さ「h」から高さ「h」を推測することができるように(つまり、h=h-hによる)、高さ「h」および「h」の双方を測定することに利点がある。プリンタの実施形態では、一部の例において、プリントヘッドについて1つの高さを単に「知る」ことができれば充分であり得るが(例えば、プリンタヘッドノズルプレートに対するレベル制御が妥当な精度を可能にするならば)、他の実施形態では、各プリントヘッドの各ノズルオリフィスの絶対的な高さを測定することが望ましい場合があり、つまり、これにより、ノズルからノズルへの液滴の見かけの速度の違いを正確に理解し、そうでなければ、軽減することが可能となる。参照により組み込まれる特許および特許出願公開、例えば、特に米国特許第9352561号に記載されているように、各ノズルは、製造プロセスコーナ(corner)により、ノズルの位置(「ノズルの撓み」)、液滴の射出体積、液滴の軌道および/または液滴の速度に誤差を生じ得ること、さらに、この誤差が、統計的な変動を示し得ることにも留意されたい。よって、1つの考えられる実施形態では、各ノズルに関し、液滴について展開させた(つまり、米国特許第9352561号で説明されるような)統計モデルを設定することが可能であり、この統計モデルでは、測定されたノズル毎の高さが、期待される液滴の着弾位置の計算に組み入れられ、ノズルの高さおよび特定のノズルに影響を及ぼすプロセスコーナに関し、各ノズルからの液滴がどこに着弾するかの正確な予測を展開する。先に導入されたように、そのような情報は、実装に応じた望ましい高さからのズレを、例えば、プリントヘッド高さを調整することによるか(一実施形態では、プリントヘッド、プリントヘッドキャリッジまたは「インクスティック」は、電子的に作動させられるz軸モータを有する)
)、液滴に速度、射出時間、基板の位置、堆積に用いられるノズル、液滴タイミング、クロススキャンピッチおよび/または他の印刷パラメータを調整することにより、訂正するのに使用することが可能である。
【0047】
図2Bは、一実施形態における高さ較正および関連する測定に関する更なる詳細を提供する。より具体的には、図2Bは、プリントヘッドキャリッジ205およびグリッパ211を再度示すシステム251を示す。この図では、グリッパは、図面ページの内外へ進む一方で(つまり、寸法の凡例により示されるように、支持ガイド261に支えられて動く)、プリントヘッドキャリッジ205は、符号207により示されるように、x軸に対して平行に前後に進む。前述のように、プリントヘッドキャリッジは、(定規マークとして示される)位置基準系215を使用し、グリッパは、位置基準系219(図面ページの内外に延び、グリッパが移動する際に、センサ221により検出される)を使用する。レチクル(つまり、分割軸のための座標参照を関連付けるための基準)が、xy平面にあるように示され、符号255により参照されている。このレチクルは、カメラ253の光路251内に直に存在するように、機械マウント(つまり、「Lバー」または等価物)257により所定の位置に保持されている。一実施形態では、このマウントは、動的マウントであることが可能であり、一度だけ(または非周期的に)調整され、カメラ253の視野に対する一貫した位置を繰り返しかつ正確に採用しながら、手動によるかまたは自動的な、要求に応じた結合および分離を可能とする。カメラは、カメラの焦点合わせ(円錐状の光路259により示される)を可能とする電子オートフォーカスシステムを備え、レチクルを正確に結像するように調整される。この場合に、レチクルは、透明プレート上における一組の十字線であることが可能である。説明と記載とを助けるために項目がこの図に示されているが、実装における詳細は、異なる場合があることに再度留意されたい。
【0048】
カメラとレチクルとの間の距離は、正確な焦点を得るようにカメラの焦点を調整することにより計算され、これにより、カメラの焦点に、関連する特定の焦点距離(つまり、「焦点深度」)を与える。ここで、高さ(h)が、この焦点距離または焦点深度から、プロセッサ(画像処理ソフトウェアの指示のもとで動作する)により直接的に計算される。
【0049】
プリントヘッドアセンブリと同様に、グリッパ211もまた、カメラ263(上向きに面する)を搭載し、下方からレチクルを探し、撮像する。この場合も、カメラにより生成された画像は、(図示の光の円錐265毎に)焦点が合わせられ、焦点距離およびこの第2の焦点距離からのプロセッサによる高さ「h」の計算結果に再度基づき、このカメラからレチクルまでの高さを導出するのに用いられる。カメラ253、263同士の間の距離(基板がない場合、つまり、較正中である)は、よって、これら2つの高さの合計により与えられ、これも同様にソフトウェア制御のプロセッサにより算出される。ここに、上方ないし下向きのカメラ、つまり、プリントヘッドアセンブリのカメラ253は、「第1のセンサ」を構成し、下方ないし上向きのカメラ、つまり、グリッパのカメラ263は、「第2のセンサ」を構成する。
【0050】
基板の導入前に、プリントヘッドキャリッジは、プリントヘッド223(つまり、当該プリントヘッドの底部上のアライメントマークまたは特徴)が下方のカメラ263により撮像可能であるように搬送され、やはり、焦点合わせがなされるとともに、新たな焦点距離および関連する高さ「h」を得るのに使用され、この高さ「h」は、上向きに面する(第2の)カメラの上方でのプリントヘッドの高さを示す。これにより、プリントヘッド(またはその上の特定の特徴)の、上方のカメラ253に対する高さ「h」が判定可能であり、つまり、これは、値h=(h+h)-hとの計算によるものであり、将来における使用のため、プロセッサアクセス可能メモリに保存された状態にある。
【0051】
印刷が望まれる場合は、レチクル255および関連するマウントが動かされ(手動によるか、機械的にか、ロボットによるか)、基板239がシステムに導入される。上で述べた高さ判定プロセスと同様に、下向きに面するプリントヘッドアセンブリのカメラが、この場合は、基板上の特徴(例えば、図2Aの基板のアライメントマーク243)を撮像することにより、位置を検出するのに用いられ、その後、カメラの適切な焦点が識別され、上方のカメラと基板との間の距離「h」の、新たな焦点距離からの直接的なプロセッサによる計算を可能とする。しかし、堆積源(つまり、プリントヘッドまたはそのいずれか特定のノズル)は、hと同じ高さにある必要はなく、この値から数十ミクロンだけ異なっていてもよい。このことに対処するため、保存されている高さ「h」がプロセッサアクセス可能メモリから検索され、新たに計算された高さ「h」から減算されて、液滴が基板に衝突する前に落下することが予測される実測高さ「h」が与えられる。
【0052】
このシステムおよび関連する計算は、人間であるオペレータの関与があってもなくても実行可能であることに留意されたい。つまり、一実施形態では、様々なカメラの焦点がモニタに表示され、鮮明な画像が表示されるまで、電子フォーカスシステムが人間のオペレータにより制御される。これに代え、フォーカスシステムは、既知の画像処理技術を用いるソフトウェアにより自動的に制御されて、正確な焦点を得て、焦点距離および関連する高さを生成することも可能である。これは、幾つかの実施形態において、処理速度を上げ、潜在的な人的誤差を排除するうえで好ましいことがあり得る。
【0053】
多くの測定を、今まさに述べたシステムを用いて実行可能であることに留意されたい。例えば、プリントヘッド同士の間の高さのズレおよび/または個々のプリントヘッドの傾き/レベルを検出するのに、グリッパにより取り付けられる、上向きのカメラを使用して、各プリントヘッドのノズルオリフィスプレートの、当該上向きのカメラの上方での高さを測定することが可能である。上向きのカメラはまた、(画像処理を介して)各ノズルのxy位置を識別し、その位置における誤差を訂正するのに使用することも可能である(例えば、参照により組み込まれる特許および公開公報に記載の技術を再度参照されたい)。
【0054】
図示の実施形態は、多くの較正手順に適したものであるが、依然として、測定される高さの達成可能な精度および分解能を制限する、不確実性の主体であり、例えば、温度の変化、レチクル255の屈折率および正確なカメラフォーカスを客観的に設定することの困難さは、機械制御の支援のもとで実行される場合でさえ、いずれも潜在的な誤差の発生源である。さらに、要求される精密な焦点合わせは、特に人間のオペレータにより実行される場合に、時間を要する場合がある。最後に、記載されたシステムは、意図的に提供された基板の基準の高さを容易に測定することが可能である一方で、高さを基板の任意の位置で動的に測定することは(つまり、難易に基づくか、潜在的に未知の特徴に対する画像処理および様々な焦点合わせに依拠する)、より困難であり得る。これら全ての理由により、幾つかの考えられる実施形態では、図4Aから図4Cに関連して以下に述べる例を採用するのが有利である。この例では、特に高さ測定に適用された場合に、より迅速で、よりロバストな較正、位置合わせおよび測定が提供される。そのようなシステムは、高さ測定を、以上で参照された画像フォーカス法から分離するが、往復式の高さ測定システムを、依然として採用して、より高い精度および速度で結果を得るものである。図4Aから図4Cを参照して、このことについて以下にさらに説明する。
【0055】
図3Aおよび3Bは、図2Aおよび図2Bを参照して上で述べた例示的な動作に関連する方法ステップのフローチャート301および341を提供する。
【0056】
図3Aにより示されるように、第1の方法が、符号301を用いて全体が示されたフローチャートとして提示される。一組の位置合わせプロセスを初めに実行して、例えば、堆積源からの材料の堆積に用いられる製造装置302の1以上の軸を関連付けることが可能である。例えば、上に述べた分割軸システムに関し、1以上の動作システムについて、これらのシステムを「x軸」寸法、「y軸」寸法および「z軸」寸法の1以上で関連付けるように、較正を実行することが可能である。一実施形態では、xおよびy搬送機構が修正されるべきであると仮定されるが、他の寸法についても既に述べた技術を用いて較正可能である。2つの異なる搬送パスにおける各アセンブリは、初めに、予め定められた位置、例えば、2つの搬送パスが交差する予測原点にまで動かされる(303)。各パスのための搬送後のアセンブリは、共通の参照フレームを識別する(304)のに用いられる一体型のセンサを備える。必要であれば、大まかな位置合わせに続き、参照点を正確に設定するため、符号S305により、検索アルゴリズムを付加的に働かせることが可能である。必要に応じ、搬送パスまたは複数の軸のそれぞれについて、符号309により位置フィードバックを得て、共通点での軌道またはガイド位置を測定する。符号310により示されるように、このフィードバックは、各搬送パスに関連付けられたアライメントマークにより付加的に提供することも可能である。任意に、符号311、312および313により示されるように、位置合わせ処理は、中間点(例えば、製造テーブルと関連付けられた固定基準または先に述べたレチクル)への各センサの独立した位置合わせ、1つのセンサの他のセンサへの位置合わせ(例えば、レチクルが、センサの1つにより取り付けられ、または逆に、画像技術が、他のセンサを検出するのに用いられる)または同軸の光学位置合わせ(例えば、共通の光軸を定義するため、2つのセンサのそれぞれにより生成された画像が、それらが整合するまで重ね合わされる)を特徴とし得る。他の技術もまた、可能である。位置合わせが達成された時点で、各搬送パス上のアセンブリの位置が、堆積/製造用の座標系を確立するのに用いられ、つまり、符号315により、搬送パスが、共通軸に対して位置合わせされる。符号316により示されるように、この処理は、追加の軸を一緒にまたは必要に応じて既存の座標系(例えば、z軸高さまたは他の寸法または寸法のセット)に対して関連付けまたは整合させるように、実行することが可能である。所望のまたは必要な数の位置合わせ処理が達成されると、システムは、較正済みの状態となる(317)。
【0057】
符号318は、オンライン/オフライン処理の分離線を示し、つまり、この線よりも上側のステップは、典型的には、オフラインで実行され、他方で、この線よりも下側のステップは、典型的には、製造時にオンラインで実行される。例えば、符号321により示されるように、分離線よりも下側のステップは、製造装置に導入された新しい基板のそれぞれについて、組立ライン式のプロセスの一部として、オンラインで実行することができる。各基板が導入される際に(322)、搬送機構が、基板の基準の1つを検出するのに用いられ(323)、その個々の基板(またはその上の製品)の、プリンタの座標系に対するおよび意図されたレシピ情報に対する位置合わせを可能とする。これにより、補正またはオフセット情報の導出(325)が可能となる。例えば、基板の位置、配向、スケールおよび/または歪みの誤差が識別されると、補正およびオフセットを保存しおよび/または使用して、基板の位置/配向を補正するか、そうでなければ、印刷パラメータを調整することが可能である(326)。最後に、採用された補正ストラテジをもって、製造(例えば、印刷327)が行われ、材料を、精密な製造プロセスに関連した所望の位置に精密に堆積させる。楕円328により示されるように、方法を継続させることができる(例えば、堆積させた材料の層を仕上げるため、印刷後の処理ステップを適用する)。
【0058】
図3Bは、より詳細な位置合わせ処理341を示す。符号343により示されるように、一実施形態では、プリントヘッド(PH)カメラが、初めに、メンテナンスベイまたは整備位置(例えば、印刷が実施される第1の容積または構内に隣接する「第2の容積」または構内)に停止させられ、レチクルが、手動によるか、ロボットにより、PHカメラに搭載される。これは、全ての実施形態については要求されず、つまり、異なる実装では、レチクルは、所定の位置に搭載することが可能であるし、ロボットにより旋回させるかまたは係合させて、任意の時点で適時に正しい位置に動かすことも可能であることに留意されたい。具体的な係合機構に拘わらず、レチクルが所定の位置にある状態で、PHカメラは、第2の(グリッパ)カメラシステムによる同軸の光学位置合わせの準備が整った位置に動かされる。PHカメラは、カメラおよび/またはレチクルの位置がレチクルのほぼ中心に合わせて調整されることにより(347)、それが明確にPHカメラの視野内に存在し、さらに、焦点合わせが調整された状態で(351)、レチクルを撮像/検知する(345)ように係合させられる。先に述べたように、焦点距離の判定により、PHカメラに対するレチクルの高さ測定(356)を可能とする。第2の(グリッパ)カメラシステムもまた、その後、この指示された位置に動かされ(357)、レチクルを下方から撮像する(359)のに用いられる。先に述べたように、レチクルは、印刷/製造が行われることになる雰囲気とほぼ同じ屈折率を有するのが好ましい、透明なスライド上の一組の十字線であることが可能である。ここで、グリッパカメラシステム(つまり、グリッパの位置および/またはPHカメラの位置)が、各カメラシステムにより生成された画像が正確に重なり合うように(例えば、オペレータによりまたは画像処理ソフトウェアにより判断される)調整される(361)。この位置で、グリッパカメラシステムの焦点が、符号361により調整されて、グリッパカメラシステムに対するレチクルの高さの、焦点深度からの導出を可能とする。先に述べたように、これにより、PHカメラとグリッパカメラシステムとの間の垂直寸法(z軸間隔)の識別が可能となる。図3Bは、これらの処理の関連した幾つかの選択肢を強調していることに留意されたい。例えば、一実施形態では、この高さ判定処理は、PHカメラおよびグリッパカメラシステムについて同軸である(346)。一実施形態では、PHカメラおよびグリッパカメラシステムのそれぞれは、2つのカメラ、例えば、レチクルを大よそに検出する低解像度カメラと、位置合わせの精度および焦点の判別(348/362)を改善する高精度カメラと、を備える。先に述べたように、人間のオペレータは、例えば、1以上のモニタで画像を見ることによるか(352/364)、システムおよび/または焦点を応答可能に制御することにより、位置合わせおよび/または焦点合わせを目的としたシステムの制御を提供することが可能である。他の実施形態では、そのような調整は、ソフトウェアにより自動的に実行しおよび制御する(353/365)ことが可能である。
【0059】
カメラ同士の間の距離が識別されると(つまり、図2Bにラベルにより示されるように、「h」+「h」)、符号369において、グリッパカメラシステムが使用されて、プリントヘッド自体または基板上の基準等のレファレンスを撮像する。焦点調整371が再度実行されるか、符号372において、グリッパカメラシステムからプリントヘッドレファレンスまでの高さ(つまり、図2Bにおけるh)を測定するのに、他の技術が使用される。プロセッサ/ソフトウェアは、プリントヘッドリファレンスとPHカメラとの間の高さの違い「h」を計算する(つまり、カメラ同士の間の測定された距離「h」+「h」を取得し、それからこの新しい値「h」を減じて、結果を保存する)。必要に応じ、そのような測定を、例えば、複数のプリントヘッドを同じ高さに調整したり、各プリントヘッドを、レベルがより低いプレート(つまり、ノズルオリフィスプレート)を有するように調整したりするのに採用することが可能である。例えば、各ノズルの位置を較正するため、必要に応じてグリッパカメラシステムを用いた他の測定を実行することも可能である。
【0060】
印刷の間に、新たな基板が導入されると、システムは、符号373において、その新たな基準について、PHカメラを用いて視覚的なレファレンス(基板の基準)を検出する処理に進み、さらに、システムは、焦点を再度調整し(374)、結果として得られる焦点距離を識別し、符号376において、この位置でのPHカメラと基板との間の垂直方向の間隔「h」を導き出すのに、これを使用する。この距離が識別されたことをもって、プロセッサは、符号378において、以前に保存された値「h」を「h」から減じることにより(ここで、以前に保存された値「h」は、「h」+「h」-「h」に等しい)、プリントヘッドと基板との間の垂直方向の間隔を計算する。一組の補正手順381により様々に示されるように、識別された高さに対してあり得る対応には、自動的なまたは手動による(a)プリントヘッドの高さまたはレベルの調整(383)、(b)液滴の速度を上げまたは下げるための、駆動電圧の調整(384)、(c)ノズルの発射トリガの時期の調整(385)、つまり、液滴がそれら本来の有効軌道で早いかまたは遅く射出され、所望の着弾位置に到達するようにすること、(d)どのノズルを印刷に用いるかの調整(386)、つまり、所望の着弾位置を再現するように、他のノズルからの液滴が使用されることが含まれる。先に示したように、他の技術を採用することも可能である。
【0061】
記載された動作に反映させて、共通の基準点に対して2以上の搬送システムを同じ位置に配置するのに、一組の位置合わせ技術を採用することが可能である。製造装置が、堆積基板の任意の所与の部位で材料を所望に堆積させるように、堆積材料源および/または基板を配置することができるように、位置フィードバックシステムを付加的に使用することが可能である。高さ較正システムを使用して、堆積基板に対する堆積源の高さを較正することが可能であり、この較正システムは、2つの搬送システムの位置決めのためのシステムにより用いられるのと同じ要素に、必要に応じて依存する。最後に、基板の位置、供給源の高さおよび/または堆積に関する詳細を、堆積後の材料の正確な堆積点に対するより正確な制御を提供するように調整することが可能である。様々な実施形態において、搬送パス同士の間の位置合わせを実行するシステムおよび供給源の高さ較正を実行するシステムは、独立であり、互いに独立に採用することが可能であり、さらに、それらのシステムは、夫々他の種類の較正システムとともに使用することも可能である。
【0062】
C.第2の実施形態-供給源の高さ判定の精度および動的測定
上に述べたように、図2Aから図3Bを参照して述べた実施形態は、多くの実装に適したものではあるが、依然として意図しない誤差の発生源であり得る。図4Aから図4Cは、動的な高さ測定ばかりでなく、より正確かつ迅速な高さ測定を提供する他の代替実施形態を導入するのに採用される。
【0063】
製造装置は、符号403において、基板の導入に先立ってまず初期化される。この初期化プロセスの一部として、以上でおよび以下に述べる較正および位置合わせステップを実行する自動較正ルーチンが、ソフトウェアおよび少なくとも1つのプロセッサの制御のもとに、実行される(405)。これらのステップは、システムがその搬送軸を基準フレームと関連付け、結果として、材料が基板のいかなる所望の位置にも堆積させられるように、堆積源および基板を互いに対して搬送可能とするのを許容する。上に述べたように、レチクル等の要素を取り付けおよび取り外す実施形態またはプリントヘッドカートリッジに取り付けられおよびプリントヘッドカートリッジから取り外されるカメラアセンブリを特徴とする実施形態では、システムは、プリントヘッドキャリッジを、適切なツールが自動ロボット制御のもとで様々なツールマウントと自動的に交換されるメンテナンスベイに転向させるように、付加的に制御される。メンテナンスベイの使用、つまり、プリントヘッドキャリッジのメンテナンスベイへの搬送は、全ての実施形態に要求されるものではない。他の実施形態では、適切なツールをその場で係合させることが可能であり、オンライン印刷と干渉しない方法で、永久的に取り付けることも可能である。各ツール(およびプリントヘッドカートリッジ)は、これを可能とする電子的、磁気的および/または機械的インタフェースにより構成され、適切なインタフェースの選択は、実装上の変更である。この目的のため、一実施形態では、動的マウントが採用され、このマウントは、レチクルまたは他の適切なツールの磁気的係合を、例えば、数ミクロンに収まる高い信頼性および再現性をもって提供する。ツールを係合させるため、プリントヘッドキャリッジは、ロボットによるかまたは他の方法で、ツール(レチクル)を精密に正しい位置で、ツールを所定の位置に最大でミクロンスケールのずれをもって磁気的に定着させた状態で、付加的に係合させることが可能である。その後、搬送軸同士の間の光学的な位置合わせが、このツールを用いて先の実施形態で述べたようにして、例えば、一方または双方の搬送パスを、各カメラ画像が位置合わせされた同軸のレチクルを特徴とする位置へ動かすことにより、さらに、各搬送軸に関する位置情報/位置フィードバック情報を用いて、共通の座標点を定義し、これにより、印刷/製造/処理に関するxy座標系を確立することにより、実行される。以下で述べるように、この較正プロセスは、プリントヘッドのz軸高さおよび/またはプリントヘッドに関連する1以上の特徴を非常に速やかに測定するのに、別の組のレーザセンサを使用する。幾つかのプロセスが、これらのレーザ/センサを用いて実行され、(a)各レーザ/センサについて近似xyレーザ測定位置座標を識別するのにカメラを使用すること、(b)各レーザ/センサについて正確にxy座標位置を確立するのに目標(例えば、ボアまたは突起)を使用すること、(c)各プリントヘッド(および必要に応じて各ノズル)についてプリントヘッドの高さまたは水平度を測定すること、(d)(後述の)プリントヘッド基準の高さを測定することおよび(e)ドリフトを考慮し、レーザ/センサを、精度を求めて互いに対するかまたはxy位置に対して定期的に再較正することを含む。これらの様々な動作について後述する。任意に、先に触れたように、これらのプロセスの1以上はまた、ロボットによるかまたは他の方法で必要に応じて係合させられおよび解放される1以上のツールを使用することが可能である。自動較正ルーチンの一部として、多くの他のシステム測定、例えば、各ノズル位置を測定すること、プリントヘッドの、他のプリントヘッドに対する高さを測定しおよび/または比較すること等を任意に実行可能であることに、再度留意されたい。一実施形態での自動較正ルーチン405は、初めのシステムインストール時に1度だけ実行されることにもまた留意されたい。他の実施形態では、これは、断続的に(例えば、毎日または毎時等、周期的に)実行される。更に別の実施形態では、較正ルーチンは、システムイベントに応じて、例えば、起動に応じて、ソフトウェアにより実行される定期的な品質テストに応じて実行され、この品質テストは、プリントヘッドまたは「インクスティック」が変更されるたびにまたは臨機応変に(例えば、オペレータにより起動させられる)、固定された目標からの閾値を超えるずれを戻す。例示的なシステムは、設計または較正イベントに関連して、上で述べた測定プロセスの様々な組み合わせまたはサブセットを採用する、複数の異なる較正ルーチンにより特徴付けることも可能であることにもまた留意されたい。較正に関していかなる選択肢が採用されたとしても、初めの(オフライン)自動較正シーケンスは、システムが一連の基板を受け取ることができるようにするために計画されるのが一般的である。
【0064】
組立ライン式の処理では、一連の基板のそれぞれは、全く同じ製造設計パターンまたは「レシピ」を受け取るのが一般的であり、システムは、各基板に存在する基準を用いて、正しく整列させ/配置させようと試みる。所与の製造プロセスは、ミクロン単位の厚さ(例えば、1から20ミクロンの間の厚さである)であるのが典型的な単層を形成するのに使用することが可能である。OLEDディスプレイの製造プロセスの場合は、例えば、材料を使用して、限定を伴わずに、アノード層、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)およびカソード層を含む、個々の発光素子の動作に寄与する層を構築することが可能である。正孔阻止層、電子阻止層、偏光子、障壁層等の追加の層を、追加的または代替的に製造することが可能であり、プライマまたは他の材料をも含み得る。発光素子の設計は、これらの層の1以上を、複数のそのような要素を包囲する「ブラケット」状の区画を確立するように(例えば、共通の障壁、カプセル化層または電極、他の種類の層を提供する)、堆積させることができる一方で、これらの層の1以上の領域が、単一の画素(例えば、単一の赤、緑または青色の発光要素)のための単一の発光領域を確立するように、制限されるようであってもよい。動作中、順方向バイアス電圧の印可により(カソードに対してアノードが正となる)、アノード層からの正孔注入およびカソード層からの電子注入が生じる。これらの電子および正孔の再結合により、発光層材料の励起状態が形成され、これは、その後、光の光子の放出をもって基底状態に緩和する。「ボトムエミッション」構造の場合は、光は、正孔注入層の下方に形成される透明アノード層を介して出る。共通のアノード材料は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)から形成することが可能である。ボトムエミッション構造では、カソード層は通常、反射性で、不透明である。共通のボトムエミッションカソード材料には、100nmよりも厚いのが一般的な、AlおよびAgがある。トップエミッション構造では、放出された光は、カソード層を介して装置を出る。そして、最適な性能のため、アノード層は、反射性が高く、カソード層は、透明性が高い。共通に使用される反射性アノード構造は、透明導電層(例えば、ITO)が高反射性金属(例えば、AgまたはAl)上に形成され、効果的な正孔注入を提供する階層構造を有する。良好な電子注入を提供する、共通使用の透明なトップエミッションカソード層材料には、Mg:Ag(約10~15nm、原子比が約10:1)、ITOおよびAg(約10~15nm)がある。HILは、一般的には、透明で、仕事関数が高い材料であり、アノード層から正孔を容易に受け取り、正孔をHTL層へ注入する。HTLは、HIL層から受け取った正孔をEML層へ受け渡す、別の透明層である。電子は、カソード層から電子注入層(EIL)に提供される。電子輸送層への電子注入に続き、電子輸送層からEMLへの注入が行われ、ここで、正孔との再結合が生じ、これに発光が続く。発光色は、EML層材料に依存し、フルカラーディスプレイの場合は、典型的には、赤、緑または青である。発光強度は、電子-正孔再結合の速度により制御され、この速度は、装置にかけられる駆動電圧に依存する。
【0065】
システム実行時に所望の層を構築するため、基板は、製造装置に順に導入される。有機材料の堆積のため、製造装置は、制御された環境の存在下で液膜を堆積させるプリンタを備えることが可能である。図4Aにおいて、符号407は、第1の制御環境での層印刷および/または製造を示し、符号490は、第1または第2制御環境のいずれかでの後続処理、つまり、いずれも、それらの材料が硬化させられるか、そうでなければ、他の方法で処理されて、永久的または半永久的となるまで、堆積させた感光材料を酸素、湿気および他の汚染物への暴露による劣化から保護するように維持される。基板は、導入されると、初めに、本明細書の他の箇所で述べたように、プリンタ基準系に対して整列させられ、そして、任意に、高さ測定がなされて、符号411において、基板ごとの変動を補正する。例えば、並びを外れた基板は、機械ハンドラにより再配置することが可能であり、精密位置トランスデューサを、基板の位置および/または配向を調整するのに使用することができる。さらに、プリントレシピまたはプリントパラメータをソフトウェアで調整して、印刷をxyzのずれに適合させるように補正することが可能である。任意に、高さの変動を、堆積パラメータ(基板の位置および/またはプリントヘッドの高さおよび/またはソフトウェアパラメータおよびノズル制御を含む)に織り込むことが可能であり、堆積パラメータは、その後、印刷のより正確な制御を提供するように、(符号413/414において)特定の基板について個々に調整することができる。オンラインプロセスと同様に、符号415および416により示されるように、一実施形態では、この調整は、印刷が開始される前に、自動化され、他では、高さが、動的に測定されおよび動的に補正に用いられる。その後、符号417により示されるように、印刷が、所望のパラメータに従って行われる。印刷に続き、堆積後のフィルム(例えば、連続的な液状コート)が、符号424により示されるように、乾燥または硬化させられること等により、処理される。一実施形態では、これは、プリントヘッド搬送機構により運ばれるツール、例えば、搬送される紫外線光源により、直接的に実行することが可能である。他の実施形態では、そのような処理は、異なるチャンバ(例えば、先に述べたように、同一のまたは異なる大気含有物を含む)で実行される。
【0066】
符号420および421により示されるように、これらの層の任意のものについて、制御環境、つまり、望まれていない物質または微粒子を排除する何らかの方法で制御された大気での堆積を実行することが可能である。そのような状況では、プリンタは、ガスチャンバに完全に封入し、そのような制御のもとで印刷を実行するように制御することが可能である。一実施形態では、大気含有物は、通常の空気のものとは相違し、例えば、雰囲気に対してより増大した量の窒素および希ガスを含有する。本明細書に記載された、自動較正、位置合わせおよび測定技術は、そのような制御された大気のなかで付加的に実行される(つまり、人間のオペレータの関与を必要としない自動化された態様による)。符号425、426、427、428および429は、多くの更なるプロセス選択肢、例えば、2つの異なる制御大気の使用(425)(例えば、1つは、印刷用で、1つは、処理用である)、堆積(印刷)プロセスにおける液状インクの使用(426)、堆積が、基礎的な幾何形状(例えば、堆積構造)を有する基板か、湾曲しまたは他の輪郭が付与された基板(427)かで生じ得るという事実、カプセル化および/または印刷が、基板の特定の個所、例えば、電極(428)で選択層を露出させたままに残すという事実、層の境界の領域で印刷パラメータを調整するための、例えば、特定のエッジプロファイル(例えば、これは、カプセル化または他の「ブランケット」層の縁部を仕立てるに特に有利である)を印刷するための付加的なプロセス制御(429)を示す。他の付加的な技術を、これらのものと組み合わせることも可能である。
【0067】
所望の層が永久的または半永久的な形態に処理されると、特定の基板を、プリンタまたは接続された製造装置に戻して、追加の層を受容させるか(または処理させる)、符号431により示されるように、それを、更なる処理または仕上げのため、制御環境から取り去ることが可能である。
【0068】
先に述べたように、ちょうど記載されたような精密環境では、特に画素の製造のため(例えば、ピコリットルスケールの液滴が、ミクロンスケール(例えば、数十ミクロンの幅および長さ)の流体「ウェル」に精密に配置され、計画された量の堆積液(例えば、50ピコリットル)が、さしたる変動なしにそのウェルに送り込まれなければならない場合)、高さを正確に較正し、高さの変動を(静的または動的に)測定および補正することが重要であり得る。例えば、ノズルまたはプリントヘッドの、他のノズルまたはプリントヘッドに対する高さが数十から数百ミクロンだけ変動するシステムでは、高さの変動により生じる位置の誤差は、高さの誤差または変動の20%以上のオーダになり得る。これは、多くの用途において、受け入れ難いものであり得る。このことを考慮し、図4Bは、高精度センサの使用に基づく代替的な高さ較正および測定システム441を示す。そのようなシステムは、概して、より高い精度を提供し、完全に自動化された制御により適合し、さらに、高速測定とオンザフライ測定との双方を実行して、高さの変動の動的な把握を提供することを可能とする。図4Bには、プリントヘッド(PH)カメラアセンブリ443、グリッパカメラアセンブリ445、プリントヘッド455、プリントヘッドアセンブリに固定された基準ブロック471、プリントヘッドレーザセンサ461、グリッパレーザセンサ463および(較正に使用される)ゲージブロック467を含む、幾つかの要素が示されている。
【0069】
図4Bに示される多様な要素の動作は、次のようである。第1に、PHカメラ443およびグリッパカメラアセンブリ445が、先に述べた方法で夫々光学的に整列させられる。つまり、各カメラは、それぞれの光路449および450に沿ってレチクル(451/451’)を撮像するのに使用される。符号451および451’は、同じ共通の基準マーク(例えば、共通のレチクルに対する)を示すことも、それぞれの基準マーク(例えば、既知の位置関係を有する)を示すことも可能である。しかし、先に述べた実施形態の幾つかとは異なり、正確な焦点および光路の正確な焦点距離449/450は、較正の結果と密接には関連していない。つまり、前述のように、各カメラのデジタル画像出力は、フレームグラバに供給され、比較されるが、画像処理ソフトウェアは、単に各画像からレチクルの位置的なオーバーラップ(例えば、十字線)を識別し、2つの搬送経路を、それらの各位置が整列するまで調整するだけである(例えば、レチクルは、PHカメラ443に固定され、グリッパカメラアセンブリ445は、レチクルをその視野の中心に合わせるように動かされる)。図示のカメラは、同軸の光源447と、光を光源からレチクルを照らしかつカメラ443/445の撮像センサに戻り光を提供するように向けるビームスプリッタ448と、を夫々備えることに留意されたい。前述のように、各カメラアセンブリは、二重の低および高解像度撮像機能と、画像処理ソフトウェア(または他のソフトウェア)により制御されて、レチクルの鮮明な画像を取得する、電子制御式のオートフォーカス機構446と、を特徴とすることも可能である。画像処理ソフトウェアは、前述のように、カメラの正しい位置合わせを検出し、測定システムは、この位置合わせに対応する各搬送経路の正確な位置を捉えて、「ゼロ」とするか、そうでなければ、座標系の原点を定義する。
【0070】
xy方向の位置合わせが達成されると、製造装置の搬送システムは、PHカメラ443を動かして、xy座標に関し、グリッパのz軸高さ高精度センサ463を大まかに「検出する」ように制御され、反対に、搬送システムはまた、xy座標に関し、グリッパカメラシステム445に、プリントヘッドアセンブリのz軸高さ高精度センサ461を「検出させる」ように、動かされる。先に述べたように、本実施形態では、各高精度センサは、距離を測定する、例えば、高さを測定するように方向付けられたレーザセンサとすることが可能である。位置特定機能を実行するため、検出可能な高さプロファイルを示す位置合わせの特徴(ボア、突起または他の検出可能な高さの特徴)が、カメラおよびz軸レーザセンサの双方により撮像可能なように、各カメラに対して配置される。例えば、一実施形態では、低解像度カメラまたはグリッパカメラシステム445からの画像が、認識可能な開口または突起(例えば、プリントヘッドアセンブリに取付可能であるが、代わりに、グリッパカメラシステムとグリッパのz軸レーザセンサ463との双方により撮像可能ないずれの個所に取り付けられてもよい)を、自動化された画像処理を介して探索しまたは発見するのに使用される。この特徴が発見され、中心に合わせられると、認識可能な特徴または突起の位置をより正確に判別するのに、同じカメラシステム(例えば、グリッパカメラシステム)用の高解像度カメラまたは画像が使用され、その後、画像処理ソフトウェアが、そのxy座標を保存する。プリンタのための座標系が既に確立されているため、搬送システムが、グリッパのz軸レーザセンサ463を、認識可能な開口または突起を走査することのできる位置に大まかに配置し、その認識可能な開口または突起の正確な中間点を確立するのに使用される。正確なxy座標点がこの点に関連付けられ、そして、認識可能な開口の、カメラにより判別されるxy座標点と、z軸レーザセンサにより提供される、その認識可能な開口または突起の中心点のxy座標と、の間の差に基づき、グリッパのz軸レーザセンサ463とグリッパカメラシステム445との間の正確なxy距離が導き出され、様々な較正での使用に備えて保存される。反対に、同じ処理が、その後、PHカメラ443およびプリントヘッドのz軸レーザセンサ461を用いて実行されて、共通の特徴および突起を検出し、プリントヘッドのz軸レーザセンサ461とプリントヘッドのカメラシステム445との間の正確な相対xy距離を求めおよび記憶する。この距離の較正を使用することで、先に示した動的なおよび他の測定を容易にすることが可能である。例えば、ランタイム中に、基板の任意の部分における高さを測定するため、製造装置の搬送システムが、基板の任意の点上にプリントヘッドのz軸レーザセンサ461を配置するように、単純に駆動され、高さの読み値を取得する。反対に、所望に応じ(つまり、典型的には、オフライン処理におけるかまたは基板の間で)、システムは、プリントヘッドと関連する任意の所望の特徴を撮像するように、グリッパのz軸レーザセンサ463を配置することが可能である。
【0071】
レーザセンサについて説明したが、当業者の能力の範囲内での、問題である検知技術に関連した適切な適用を条件として、いかなる高精度センサも使用可能であることに留意されたい。上記に関連した、レーザに基づくセンサの例に関し、記載の目的に適することが見出された1つのセンサは、ノースカロライナ州、ローリに事務所を有するMICRO-EPSILON、米国から入手可能なレーザセンサである。適切なセンサは、サブミクロンの測定精度をもって、3ミリメートル以下の範囲内の高さの変動を測定することができるものである。
【0072】
図4Bの右側は、各レーザセンサ461/463が、角度464/465に向けられたビームを用いて高さ(「h」/「h10」)を検出することを示すことに留意されたい。これに関し、言及されたセンサは、反射率測定法を用いて動作するのが好ましい。例えば、堆積は、一実施形態では、ガラスまたは透明基板上に行われるので、「正面からの」測定は、撮像された材料の屈折率により生じる、望ましくない反射ノイズを潜在的に導入する。これに対処するため、各検知レーザは、後方散乱および望ましくない反射を最小にするように、光を角度(例えば、「α」)に向ける種類のものであるのが好ましい。図4Bの右側はまた、較正に用いられるゲージブロック467を示す。ゲージブロック467は、典型的には、システムに取り付けることが可能な本体468ばかりでなく、正確に厚さ(「h」)が知られた突出部469をも特徴とする。これに関し、オフライン較正の間に、特定の較正を目的として、特定のツールを選択的に使用可能であることは(例えば、手動によりおよび/または関節式のおよび/またはロボット式の係合により係合されるか、オンライン製造に干渉しない固定位置に取り付けられる)、先に触れたとおりある。ゲージブロック467は、1つのそのようなツールである。一実施形態では、このツールは、プリンタ支持テーブルまたはチャックに対する既知の個所、例えば、基板搬送経路の恒久的に外側(例えば、いずれのレーザセンサ461/463によっても依然到達可能なxy位置)か、例えば、他の動的マウントを介して、選択的にロボット式に係合しおよび解放することができる位置か、にも取り付けられる。これに関し、正確な厚さが、「1.00ミクロン」のような既知の値であり、各レーザセンサにより検知可能な位置に配置される。各レーザは、ソフトウェアにより、較正ルーチンの一部として、連続して適切な位置へ動かされ、レーザセンサと対応する側の突出部との間の高さを測定するのに、例えば、高さ「h」および「h10」を測定するのに用いられる。突出部の厚さ「h」が正確に分かっているので、較正ソフトウェアは、2つのレーザセンサの間の距離、例えば、「h」+「h10」+1.00ミクロンをすぐに算出することが可能である(これは、レーザセンサが正しい位置に動かされれば、ほぼ即座に実行可能なことを除き、図2Bでいう「h」+「h」の計算に近い。実際は、本明細書における他の測定と同様に、これらの測定は、温度その他の駆動に影響を及ぼすいかなる可能性のある測定をも最小限に抑えるため、非常に緊密に連続して取得されるのが好ましい)。この測定スキームは、「正確な焦点」の達成(つまり、これは、主観的であり、時間がかかり、そうでなければ、潜在的に誤差を受ける場合がある)に依存しないため、典型的には、先に述べたスキームよりも実質的により正確であることにもまた、留意されたい。
【0073】
実行される測定の多くが、その後、先に述べたのと近似する。例えば、グリッパのレーザセンサが、プリントヘッド455の底面に載るオリフィス板457を撮像するのに使用され、高さ測定(例えば、グリッパのレーザセンサ463から得られた測定値であることを除き、図2Bでいう「h」)を展開する。しかし、レーザセンサ同士の間の距離が正確に分かっているので、較正ソフトウェアは、プリントヘッドのレーザセンサ461に対するプリントヘッドオリフィス板457の高さの差を即座に、つまり、センサ同士の間の距離からプリントヘッドオフィフィス板457までの高さを減じることにより、つまり、「h」+「h10」+1.00ミクロンの式から、算出することが可能である。この値は、その後、保存され、先と同様に、例えば、所望のxy座標点で、プリントヘッドレーザセンサ461を用いて基板を単純に測定することにより、さらに、プリントヘッドのレーザセンサ461に対するプリントヘッドオリフィス板457の保存された高さの差を減算することにより、基板459上方のプリントヘッドオリフィス板457の高さの、任意の時点での(例えば、動的に、印刷中に、自動で)正確な測定を可能とするのに使用される。この場合も、動的な焦点は、高さの測定には使用されず、さらに、採用されるセンサが、精密な装置であり、即座の読み値を提供することから、測定は、即時である。
【0074】
図4Bは、プリントヘッドアセンブリに固定された基準ブロック471と、関連する基準472と、を示す。簡単にいえば、これらの項目は、プリントヘッドアセンブリに対する固定基準点を提供するのに、付加的に使用される。初期時および/またはゲージブロック467を特徴とする他のオリフィス較正時に、グリッパのレーザセンサ463から基準472までの距離もまた、この時点でグリッパのレーザセンサ463により測定され、保存されるのが有利である。この測定値および記憶値は、後の測定時におけるプロセスショートカットを提供するのに使用することが可能である。例えば、インクジェットプリンタに基づく製造装置に関し、プリントヘッドおよび/またはインクスティックは、頻繁に交換されまたは変更される場合があり、それぞれが、測定され、さらに、その後、印刷、プリンタの調整および印刷処理の調整に盛り込まれるべきである、新たな高さの差およびあり得る誤差を潜在的に示す。固定された基準ブロック471および関連する基準の使用は、例えば、ちょうど述べた工程の全てを繰り返すのではなく、第2の短縮された較正処理の使用を可能とする。交換時に、グリッパのレーザセンサ463は、新たなプリントヘッドオリフィス板のそれぞれおよび基準472の双方を撮像して、高さの差を導き出すのに使用することが可能である。この高さの差は、その後、基準(および基準に対して異なる前のプリントヘッドの高さ)に対する差を参照して、新たなプリントヘッドの高さを直ちに導き出すのに使用することが可能である。よって、システムは、ゲージブロックまたは他の測定値を必要とせずに、短縮された較正シーケンスに基づき、新たなプリントヘッド高さの値を直ちに導き出し、装置の使用可能時間をさらに向上させることができる。全ての実施形態がこの付加的な技術を必要とするわけではないことに留意されたい。
【0075】
図4Cは、ちょうど述べた測定および他の工程の幾つかを特徴とする方法471を示す。初めに、符号473により示されるように、2つの搬送経路を、例えば、既に述べたように、プリントヘッドおよびグリッパカメラおよびレチクルを用いて共通の基準点に対して整列させる。これにより、符号475において、座標系が確立され、システムは、第1の高精度センサ、例えば、第1のレーザについて、xy座標を探索する。この情報が判明すると、その高精度センサが、その後、基準(例えば、図4Bでいうゲージブロック467)に対して正確に配置され、符号477において、その基準に対する高さの測定値を取得するのに使用される。システムはまた、符号478において、第2の高精度センサ、例えば、第2のレーザ(例えば、異なる搬送経路に対して取り付けられる)について、xy座標を探索する。この情報が判明すると、第2の高精度センサは、基準(例えば、図4Bでいうゲージブロック467)に対して正確に配置され、符号480により示されるように、その基準に対する高さの測定値を取得するのに用いられる。これらの測定値に基づき、較正ソフトウェアの支援のもとで動作するプロセッサは、2つの高精度センサ(例えば、第1のレーザから第2のレーザ)の間の高さの差を計算し(481)、2つの高精度センサからの高さの測定値を、互いに正確に関連付けることを可能とする。前述のように、これは、式「htotal」=「h」+「h」+「h10」により求めることができる(483)。先に示したように、基準472等の固定基準を付加的に設けて測定し、結果として得られる測定高さを、符号485、487および488により示されるように、将来の使用に備えて記憶することが可能である。高精度センサのうちの1つ(例えば、グリッパ等の1つの搬送軸またはカメラ等の他のセンサに関連する)が、符号491に示されるように、堆積源を検出するのに使用され、第2の高精度センサが、(符号492により示されるように)それと堆積源との間の距離を測定するのに使用される。堆積源により呈される高さの差は、これにより、例えば、2つのセンサの間の距離または固定基準に対して判定される(493)。必要に応じ、ここで、符号495において、第1の高精度カメラを(例えば、動的にまたは他の方法により)使用して、基板等の堆積目標に対する高さを測定する。最後に、符号497により示されるように、システムは、堆積源および堆積目標の間の高さの差を測定しおよび保存し、適切な補正/調整動作を、符号498により示されるように行う。
【0076】
ちょうど述べた要素および構造の幾つかを反映させて、一実施形態では、z軸測定を、先に述べた実施形態による場合よりも精密に、高い精度で直ちに実行することが可能である。任意に、製造システムは、初めに、xyまたは同様な座標系を識別するため、較正される。各搬送経路に関連付けられた高精度センサが、その後、係合され、2つの高精度センサ同士の間の高さの差を測定するのに使用される。これら2つのセンサは、先に述べたように、一連の測定を通じ、特定の特徴の付加的な使用を介して、いずれも製造システムにおける堆積源と目標との間の(例えば、またはツールと目標との間の)高さの差の迅速で、正確な測定を提供するのに使用することが可能である。この処理は、完全に自動化することができ、潜在的に主観的で、時間のかかる処理を回避するとともに、正確な焦点の判断に基づく解像度に対する潜在的な制限を回避する。任意のxy座標の較正および位置合わせスキームと結合されるとともに、xy座標に関するセンサ位置の正確な識別と結合された場合に、開示の技術は、即時かつ動的の双方である自動による、正確なz軸測定を可能とし、堆積目標(または他の製造または生産装置の要素)のいかなる部分の測定にも使用することができる。
【0077】
図5Aから図5Eは、さらにより詳細な実施形態に関する幾つかの追加の情報を提供するのに使用される。
【0078】
第1に、図5Aは、真空バー503(基板を係合させるのに使用される)およびプリンタ支持テーブルまたはチャック505を備える製造装置501の一部を示す。真空バーは、グリッパの一部を形成し、グリッパ(例えば、グリッパフレーム506)および真空バー503の双方は、双方向矢印507の大まかな方向に前後に移動して、基板を搬送する。真空バーは、一組の線形トランスデューサ(図には、1つ(509)のみが示されている)により、グリッパフレーム506に結合され、線形トランスデューサは、真空バーおよび基板を、双方向矢印510の方向への線形駆動を介して関節動作させる。これらのトランスデューサの差分モードの駆動により、基板を浮揚ピボット点511(例えば、これは、先に述べた選択的な基板位置補正を実行するのに使用される)、周りに回転させることができる一方で、これらのトランスデューサの共通モードの駆動により、基板を双方向矢印510の方向に線形オフセットさせることができる。図示の製造装置501はまた、カメラ513、光源515および関連するヒートシンク517を備える、上方に向いたカメラまたはグリッパカメラシステムを示す。光源および先に触れたビームスプリッタ(図示しないが、ほぼ光軸の位置521で、カメラの光路内に設けられる)は、先に触れた光学測定を提供することを目的として、光源からの光を、グリッパフレームのアパーチャ523を介して上方に向けるのに使用される。グリッパフレーム506はまた、MICRO-EPSILONによる、先に述べたレーザセンサ等の高精度センサ525を据え付け、このセンサは、上方を向くように方向付けられ、アパーチャブロック527を通じて対象物の高さを測定する。このアパーチャブロックは、ゲージブロック528の選択的な取り付け(ロボットによるかまたは他の方法による)に使用することが可能であり、例えば、先に参照された目的のための動的マウントの一部を形成する磁気プレートを提供する。中でも特に、グリッパフレーム506はまた、プリントヘッドカメラ(図5Aには、図示せず)によるおよびプリントヘッドに取り付けられた高精度カメラ(同様に、図5Aに示さず)による撮像のための認識可能な開口/突起530を提供する較正ブロック529を取り付けるように示されている。先に述べた、この較正ブロックおよび関連する参照構成(基準)は、xy座標に関し、プリントヘッドに取り付けられた高精度センサの、プリントヘッドに取り付けられたカメラに対する位置を正確に識別するのに使用される。
【0079】
図5Bは、プリントヘッドキャリッジ(図示せず)により取り付けられるカメラアセンブリ541を示す。このアセンブリは、下方を向くように方向付けられたカメラ543、光源545および関連するヒートシンク547を備える。前述のように、カメラの光路内のビームスプリッタ(大まかには、位置549)は、光源からの光を、レンズ551を通じて下方に向け、カメラ543により検知される戻りの画像光を受ける。永久的に取り付けられた「Lバー」554を備える動的マウント553もまた、示されており、Lバーは、取外可能なキャリア555との反復性の高い接続を提供する。この取外可能なキャリアは、先に参照されたように、レンズが取り付けられたレチクル556を支持する。較正の間に、カメラは、レチクルを撮像する(同時に、図5Aのアセンブリの、上方に向いたカメラ513は、これと同じレチクル556を下方から撮像する)。先に述べたように、動的マウントは、先に参照されたように、xy座標系の定義ばかりでなく、他の測定タスクをも目的とした、レチクルのレンズアセンブリの反復性の高い取り付けおよび取り外しを可能とする。一実施形態では、動的マウントは、時おり、人間のオペレータによるかまたは(一実施形態では)撮像された目標に対するレチクルの位置を較正する際に実行される電子的な作動により、調整ネジ557を用いて再較正することが可能である。図5Bは、グリッパカメラシステムによる(つまり、図5Aのカメラ513による)およびグリッパに取り付けられた高精度センサ(つまり、図5Aの高精度カメラ)による撮像に際し、他の認識可能な開口/突起559を提供するのに用いられる較正ブロック558も示す。この較正ブロックおよび関連する基準は、先に述べたように、グリッパに取り付けられた、その精密センサの、グリッパに取り付けられたカメラに対する位置を、xy座標に関して正確に識別するのに使用される。
【0080】
図5Cは、図5Bにも見られるレチクルのレンズアセンブリ561の拡大斜視図を提供する。このアセンブリは、上述のキャリア555を備え、キャリアは、迅速かつ正確な(例えば、手動によるかまたはロボットによる)取り付けおよび取り外しまたはレチクルのレンズアセンブリの他の位置決め/係合を提供するための動的マウントの一部をも提供する。このアセンブリはまた、レチクル556が設けられた光学レンズ563を備え、レンズの正確な位置決めが、整列/取り付け用のネジ567の手動調整により、まれに微調整される。先に述べたように、レチクル(アセンブリ)は、迅速な(例えば、ロボットによる)取り付けおよび取り外しまたは他の自動的な位置決め/係合のために設計されて、完全に自動化された較正および測定処理を提供するのが有利である。
【0081】
図5Dは、ゲージブロック581の拡大図を提供する。このブロックは、本体583からなり、本体は、同様に、簡単で、反復可能な取り付けおよび取り外しおよび/または他の選択的な係合または使用に適合された動的マウントの半分を提供する。より具体的には、このアセンブリは、例えば、図5Aのアパーチャブロック527により形成される動的マウントの相互メモリに対する選択的な取り付けまたは取り外しのため、突出部585をグリッパの高さセンサの光路にじかに配置するように、選択的に係合させられる。当然に、多くの代替設計が存在する。図5Dはまた、突出部用の2つのクランプネジ587を示す。図5Dには示されていないが、動的マウントは、調整可能なサイドプレートを特徴とし、サイドプレートは、グリッパフレームによるゲージブロックの取り付けに対し、正確な突出部位置の手動によるまれな微調整を提供するのに使用することが可能である。
【0082】
最後に、図5Eは、様々なカメラおよび高精度センサ用の較正ブロックの一例を提供するのに使用される基準ブロック591の一例を示す。この特定の例では、較正ブロックは、図5Aに符号529によりまさに示される装置であり得る。(図4Bの較正ブロック472の設計もまた、同様である。)較正ブロックは、「L字状」であり、取付プレートおよび目標プレート部分592、593を備え、後者は、カメラと関連する高精度センサとの間のxy距離に関する較正基準を提供する。研磨された薄鋼板のプレート(例えば、ステンレス鋼または他の表面)594は、高精度センサにより撮像するための反射性の高い表面を提供するのに使用される。簡単にいえば、先に述べたように、突起/開口(本実施形態では、開口)595は、第1に、低解像度カメラにより、第2に、高解像度カメラにより、そして、最後に、搬送軸のうち、所与の1つと関連付けられた高精度センサにより撮像される。搬送軸と関連付けられた位置フィードバックシステムからの位置が、カメラおよびその関連の高精度カメラがこの開口596の中心を検出する位置で読み取られる。これらの位置は、その後、これら2つの測定装置の間のxyオフセットを計算するのに用いられる。開口595は、目標プレート部分を貫通する完全なボアを示すものではないのが有利であることに留意されたい。完全なボアは、一貫性のない(つまり、ノイズがある)センサ読み値を与える場合がある。むしろ、必要なのは、この目標プレート部分が、鮮明な高精度センサ信号の判別を、ボアの位置付けとボア中心の識別とを可能とする方法で提供する目標を提供することである。符号597および598により示されるように、目標プレート部分は、追加の、多様な大きさの開口を、追加の較正機能のために提供することが可能である。
【0083】
較正および測定基準を上に述べた方法で提供することにより、図5Aから図5Eに示される要素は、高精度製造システムにおいて、多軸(例えば、x、yおよびz)の位置較正および測定を判定する、効果的で、高精度な手段を提供する。先に示したように、これは、堆積材料の意図された着地位置等の堆積パラメータに対するより細かな制御を提供する。一実施形態では、これらの技術を適用して、工業用分割軸印刷システムによる正確な液滴配置を容易にすることが可能である。
【0084】
開示の技術は、多くの選択肢を提供することに留意されたい。第1に、プリンタ(例えば、インクジェットプリンタ)を基本とする幾つかの実施形態が記載されたが、本明細書に記載される技術は、そのように限定されるものではない。一例を挙げるならば、記載の技術は、プリンタを含まない製造システム(例えば、その他の点で正確な位置制御を必要とする)に適用することが可能である。本明細書に記載される教示は、ツール、処理装置、堆積源、検査装置および同様の装置の位置決めを行う装置を含む、例えば、高い精度が望まれまたは必要な、いかなる種類の生産または製造装置に適用することも可能である。本明細書に記載される技術は、軸分割システムに限定されるものでもなく、例えば、上で述べた幾つかの実施形態が、xおよびy寸法に関する別々の搬送機構を特徴とする一方で、本明細書に記載の技術を、他の種類の位置関節システム(例えば、ジンバルまたは他の非線形搬送経路によるものか、多次元にわたる搬送を提供するシステム)または異なる自由度が問題となる個所に適用することが可能である。第3に、記載の技術は、組立ライン式のプロセスの文脈で提示されたが、記載された技術の用途は、この環境に限定されるものでもない。例えば、それらは、いかなる種類の製造システム、位置決めシステム、非工業用プリンタにおいても実施することが可能であり、潜在的には、他の種類のシステムまたは装置に適用することも可能である。
【0085】
以上を制限することなく、一実施形態では、調整は、生産または製造装置またはプリンタに対して一度、オフラインで行われる。他の実施形態では、調整は、位置合わせの不良または歪みを補正するため、基板ごとにまたは製品ごとに行うことが可能である。更に別の実施形態では、測定値は、動的に取得し、リアルタイムでの調整を行うために使用することが可能である。本明細書に記載される発明原理から逸脱せずに、多くの変形例が存在することが明らかである。
【0086】
以上の記載および添付の図面では、開示された実施形態の完全な理解を提供するため、特定の用語および図面の記号が記載された。幾つか例では、用語および記号は、それらの実施形態を実施するのに必要ではない特定の詳細を暗に示す場合がある。「例示」または「実施形態」との用語は、好みまたは要求ではなく、一例を表すのに使用される。
【0087】
以上に示されたように、本明細書に提示された実施形態に対し、本開示のより広い精神および範囲から逸脱することなく、多様な修正および変更を施すことが可能である。例えば、いかなる実施形態の特徴または態様も、実施可能であるならば、任意の他の実施形態との組み合わせによるかまたはそれらの対応する特徴または態様に代えて、適用することが可能である。よって、例えば、全ての図面のそれぞれに全ての特徴が示されたわけではなく、例えば、1つの図面の実施形態に従って示された特徴または技術は、例え本明細書に具体的な言及がないとしても、任意の他の図面または実施形態の特徴の要素としてまたはそれらとの組み合わせにより、任意に採用可能なものとして仮定されるべきである。よって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で理解される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E