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特許7525934ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム内におけるフィルタ検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム内におけるフィルタ検出
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20240724BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F16D65/00 C
B60T17/22 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022551715
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021054609
(87)【国際公開番号】W WO2021170680
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】2002020
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514287580
【氏名又は名称】タラノ・テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロイク・アダムザック
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ロッカ-セラ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/224034(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262633(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第03081781(FR,A1)
【文献】特表2019-529840(JP,A)
【文献】国際公開第2016/188809(WO,A1)
【文献】特開2001-286717(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0069079(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/00
B60T 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦ブレーキシステム(10)からのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)であって、該システムは、真空源(20)と、前記摩擦ブレーキシステム(10)を前記真空源(20)に接続した空気圧回路(30)と、該空気圧回路(30)に配置され且つサポート(41)に装着されたフィルタ(40)と、を備え、
前記ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)は、制御ユニット(60)、および前記フィルタ(40)のための検出デバイス(50)を備え、該検出デバイスは、前記制御ユニット(60)に少なくとも1つの信号を送信、前記制御ユニット(60)は、この少なくとも1つの信号に基づいて、前記空気圧回路(30)における前記フィルタ(40)の欠如を特定して、前記フィルタ(40)のこの欠如を、自動車のダッシュボードの表示画面、ロゴ、表示灯、および/または振動システムを通じて、使用者に通知
前記検出デバイス(50)は、前記フィルタ(40)の上流において前記空気圧回路(30)に配置された1つのみの圧力センサ(51)を備え、該圧力センサ(51)は、前記フィルタ(40)の上流における前記空気圧回路内の圧力Pの測定値を、前記制御ユニット(60)に圧力信号として送信
前記制御ユニット(60)は、前記圧力信号を受信した場合に、前記圧力Pの測定値を基準圧力Pと比較、前記基準圧力Pは、前記圧力センサ(51)による前記圧力Pの測定の際の前記真空源(20)の基準運転状態Eに関して、前記フィルタ(40)が欠如した状態における前記空気圧回路(30)内の圧力であり、前記制御ユニット(60)は、前記圧力Pの測定値が、前記基準圧力Pにほぼ等しいかまたは大気圧にほぼ等しい場合に、前記空気圧回路(30)における前記フィルタ(40)の欠如を、前記自動車のダッシュボードの表示画面、ロゴ、表示灯、および/または前記振動システムを通じて、使用者に通知する、ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)。
【請求項2】
前記検出デバイス(50)は、前記フィルタ(40)と前記サポート(41)との間の接触を検出する接触検出器(53)を備え、該接触検出器(53)は、前記フィルタ(40)と前記サポート(41)との間の接触がない場合、前記制御ユニット(60)に信号を送信、前記制御ユニット(60)は、前記信号を受信した場合に、前記フィルタ(40)の欠如を、前記自動車のダッシュボードの表示画面、ロゴ、表示灯、および/または前記振動システムを通じて、前記使用者に通知する、請求項1に記載のブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)。
【請求項3】
前記検出デバイス(50)は、前記サポート(41)と前記回路(30)との間の接触を検出する接触検出器(53)を備え、該接触検出器(53)は、前記サポート(41)と前記回路(30)との間の接触がない場合に、前記制御ユニット(60)に信号を送信、前記制御ユニット(60)は、前記信号を受信した場合に、前記サポート(41)の欠如を、前記自動車のダッシュボードの表示画面、ロゴ、表示灯、および/または前記振動システムを通じて、前記使用者に通知する、請求項1に記載のブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)。
【請求項4】
前記検出デバイス(50)は、前記フィルタ(40)によりまたは前記サポート(41)により担持された識別子(42)と、前記サポート(41)に接近して固定され且つ前記識別子(42)の存在を検出する非接触検出器(54)と、を備え、該非接触検出器(54)は、前記識別子(42)が前記非接触検出器(54)により検出されない場合に、前記制御ユニット(60)に信号を送信、前記制御ユニット(60)は、前記信号を受信した場合に、前記フィルタ(40)の欠如を、前記自動車のダッシュボードの表示画面、ロゴ、表示灯、および/または前記振動システムを通じて、前記使用者に通知する、請求項1に記載のブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)。
【請求項5】
前記識別子(42)は前記サポート(41)により担持されている、請求項4に記載のブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)。
【請求項6】
摩擦ブレーキシステム(10)からのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)内におけるフィルタ(40)の欠如を検出するための方法であって、前記ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)は、真空源(20)と、前記摩擦ブレーキシステム(10)を前記真空源(20)に接続した空気圧回路(30)と、該空気圧回路(30)に配置され且つサポート(41)に装着されたフィルタ(40)と、を備え、前記方法は、
(a) 制御ユニット(60)、および前記フィルタ(40)のための検出デバイス(50)が、前記ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)の一部を形成するように設けられるステップであって、前記検出デバイス(50)は、前記フィルタ(40)の上流において前記空気圧回路(30)に配置された1つのみの圧力センサ(51)を備える、ステップと、
(b) 前記圧力センサ(51)が、前記フィルタ(40)の上流における前記空気圧回路(30)内の圧力Pの測定値を、前記制御ユニット(60)に圧力信号として送信するステップと、
(c) 前記制御ユニット(60)が、前記圧力信号を受信した場合に、前記圧力Pの測定値を基準圧力Pと比較、前記基準圧力Pは、前記圧力センサ(51)による前記圧力Pの測定の際の前記真空源(20)の基準運転状態Eに関して、前記フィルタ(40)が欠如した状態における前記空気圧回路(30)内の圧力であり、前記制御ユニット(60)が、前記圧力Pの測定値が、前記基準圧力Pにほぼ等しいかまたは大気圧にほぼ等しい場合に、前記空気圧回路(30)における前記フィルタ(40)の欠如を、自動車のダッシュボードの表示画面、ロゴ、表示灯、および/または振動システムを通じて、使用者に通知するステップと、
を含んでいる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦ブレーキシステムからのブレーキ粒子を捕捉するためのシステムに関し、このシステムは、真空源、摩擦ブレーキシステムを真空源に接続した空気圧回路、および空気圧回路に配置されて且つサポートに装着されたフィルタ、を備えている。
【背景技術】
【0002】
そのような摩擦ブレーキシステムは、道路車両または鉄道車両に装備され得る。そのような摩擦ブレーキシステムは、風力タービンまたは産業機械等の固定された回転機械にも装備され得る。
【0003】
そのようなシステムには、(例えばモータにより駆動される吸引タービン等の)真空源が設けられており、この真空源は、空気圧回路により摩擦ブレーキシステム、およびブレーキシステムにより発生した粒子を収集するためのフィルタに接続されている。このフィルタは真空源の上流に配置され、真空源を通じた粒子の移動および大気中への粒子の放出を防止している。しかしながら、ある状況において、例えば自動車の修理の際に交換されなかったために、このフィルタを喪失し得る。その場合、粒子が真空源内へと通過し、大気中に放出されるために、フィルタの欠如は有害である。フィルタ機能は、その場合もはや保証されない。
【0004】
本発明は、これらの欠点を改善することを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はブレーキ粒子を捕捉するためのシステムを提案することを目的としており、このシステムは、捕捉システムのフィルタの欠如を車両の使用者に通知して、これにより使用者がそれに応じて行動する、特にシステム内にフィルタを載置することを可能にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、制御ユニットおよびこの制御ユニットに少なくとも1つの信号を送信することが可能な検出デバイスを備えた捕捉システムにより達成され、制御ユニットは、この信号に基づいて、空気圧回路におけるフィルタの欠如を特定し、フィルタのこの欠如を使用者に通知することが可能である。
【0007】
これらの手段により、空気圧回路におけるフィルタの欠如が検出および決定され、使用者は制御ユニットを通じて直接通知される。制御ユニットは、サポートにおけるフィルタの欠如および配管における(フィルタを備えた)サポートの欠如の両方を特定することが可能であることが、理解されるだろう。実際に、ある場合において、サポートおよびフィルタから成るアセンブリを交換することが、より実用的である。その場合、使用者はそれに応じて、サポートにフィルタを配置するか、または配管に(フィルタを備えた)サポートを配置して、有害な粒子が大気中に放出されるのを防ぐことが可能である。
【0008】
有利には、検出デバイスは、フィルタの上流において空気圧回路に配置された圧力センサを備え、この圧力センサは、フィルタの上流の空気圧回路内における圧力Pの測定値を、制御ユニットに信号として送信することが可能であり、制御ユニットは、この信号を受信した場合に、圧力Pの測定値を基準圧力Pと比較することが可能であり、基準圧力Pは、圧力センサによる圧力Pの測定の際の真空源の基準運転状態Eに関して、フィルタが欠如した状態における空気圧回路の圧力であり、制御ユニットは、圧力Pの測定値が、基準圧力Pにほぼ等しいかまたは大気圧にほぼ等しい場合に、空気圧回路におけるフィルタの欠如を使用者に通知することが可能である。
【0009】
したがって、回路またはフィルタサポートがすでに圧力センサを含んでいる場合、追加の検出デバイスを設置する必要がない。
【0010】
有利には、検出デバイスは、フィルタの上流において空気圧回路に配置された第1の圧力センサを備え、この第1の圧力センサは、フィルタの上流の空気圧回路内における第1の圧力Pの測定値を、制御ユニットに信号として送信することが可能であり、検出デバイスは、フィルタの下流において空気圧回路に配置された第2の圧力センサを備え、この第2の圧力センサは、フィルタの下流の空気圧回路内における第2の圧力Pの測定値を、制御ユニットに信号として送信することが可能であり、制御ユニットは、少なくとも1つのこの信号を受信した場合、第1の圧力Pの測定値および第2の圧力Pの測定値を比較することが可能であり、制御ユニットは、第1の圧力Pの測定値および第2の圧力Pの測定値がほぼ等しいか、または第1の圧力Pの測定値が大気圧にほぼ等しい場合に、空気圧回路におけるフィルタの欠如を使用者に通知することが可能である。
【0011】
したがって、回路またはフィルタサポートがすでに2つの圧力センサを含んでいる場合、追加の検出デバイスを設置する必要がない。
【0012】
有利には、検出デバイスは、フィルタとサポートとの間の接触を検出することが可能な接触検出器を備え、この接触検出器は、フィルタとサポートとの間の接触がない場合に、制御ユニットに信号を送信することが可能であり、制御ユニットは、信号を受信した場合に、フィルタの欠如を使用者に通知することが可能である。
【0013】
フィルタ検出の信頼性は、これにより改善される。
【0014】
有利には、検出デバイスは、サポートと回路との間の接触を検出することが可能な接触検出器を備え、この接触検出器は、サポートと回路との間の接触がない場合、制御ユニットに信号を送信することが可能であり、制御ユニットは、信号を受信した場合に、フィルタの欠如を使用者に通知することが可能である。
【0015】
フィルタ検出の信頼性は、これにより改善される。
【0016】
有利には、検出デバイスは、フィルタによりまたはサポートにより担持された識別子と、サポートに接近して固定され且つ識別子の存在を検出することが可能な非接触検出器と、を備え、この非接触検出器は、識別子が非接触検出器により検出されない場合に、制御ユニットに信号を送信することが可能であり、制御ユニットは、信号を受信した場合に、フィルタの欠如を使用者に通知することが可能である。
【0017】
したがって、フィルタがサポートに配置されていることをきわめて精密に立証する必要はなく、フィルタがサポートに装着されていれば十分である。
【0018】
例えば、識別子はサポートにより担持され、非接触検出器は配管に固定されている。
【0019】
例えば、識別子はフィルタにより担持され、非接触検出器はサポートに固定されている。
【0020】
本発明は、摩擦ブレーキシステムからのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム内におけるフィルタの欠如を検知するための方法にも関し、この捕捉システムは、真空源と、摩擦ブレーキシステムを真空源に接続した空気圧回路と、空気圧回路に配置され且つサポートに装着されたフィルタと、を備えている。
【0021】
本発明によれば、この方法は以下の、
(a) 制御ユニットおよびフィルタのための検出デバイスが、捕捉システムの一部を形成するように設けられるステップと、
(b) 検出デバイスが、制御ユニットに少なくとも1つの信号を送信するステップと、
(c) この信号に基づいて、制御ユニットが、空気圧回路のフィルタの欠如を特定し、フィルタの欠如を使用者に通知するステップと、
を含んでいる。
【0022】
非限定的な例として示される実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、本発明はよりよく理解され、その利点がより明らかになるであろう。記載は添付図を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による捕捉システムを概略的に示した図である。
図2図1の捕捉システムにおける、フィルタを担持した筐体およびこのフィルタを検出するためのデバイスを示した斜視図である。
図3図2の捕捉システム内の、フィルタを担持した筐体およびこのフィルタを検出するためのデバイスの実施形態の変形を示した斜視図である。
図4図1の捕捉システム内の、フィルタを担持した筐体およびこのフィルタを検出するためのデバイスの第2の実施形態を示した斜視図である。
図5図1の捕捉システム内の、フィルタを担持した筐体およびこのフィルタを検出するためのデバイスの第2の実施形態の変形を示した斜視図である。
図6図1の捕捉システム内の、フィルタを担持した筐体およびこのフィルタを検出するためのデバイスの第3の実施形態を示した斜視図である。
図7図1の捕捉システム内の、フィルタを担持した筐体およびこのフィルタを検出するためのデバイスの第3の実施形態の変形を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明による粒子捕捉システム1を概略的に表しており、これらの粒子は、摩擦ブレーキシステム10により放出される。
【0025】
この摩擦ブレーキシステム10は、車両を制動するためのブレーキパッド11を備えている。このパッド11は、背面板12、および背面板12に固定された摩擦材料製のライニング13を備えている。図1においては、パッド11は後ろから見られており、プレート12は前面にある。
【0026】
パッド11(第1のパッド)は、車両の車輪により駆動されるディスク9に向いている。同一の第2のパッド(不可視)はディスク9の反対側に配置され、第1のパッド11に対向しており、これによりこれら2つのパッドはディスク9を挟んでいる。ディスク9の制動は、これら2つのパッドがディスク9に接近した場合に、ディスク9に接触する2つのライニング(13)の摩擦により達成される。
【0027】
捕捉システム1は、空気圧回路30および真空源20を備えている。パッド11および第2のパッドは、この空気圧回路30を通じて真空源20に接続されている。例えば、真空源20は、電気モータ21、およびこの電気モータ21により駆動される吸引タービン22を備えている。
【0028】
運転の際、真空源20は、空気圧回路30を通じて、ライニング(13)による粒子の放出の際に粒子を吸引することが可能である。通常運転の際の空気および粒子の循環方向は、図1中の矢印Fにより示されている。したがって、矢印Fは上流から下流への流れを示している。捕捉システム1は、回路30に配置されたフィルタ40をさらに備えており、これは回路30内を循環する空気が横断することを意味している。フィルタ40は、配管30に固定されたサポート41に装着されている。例えばサポート41は、図示されたように、自身の内部にフィルタ40を収容した筐体である。したがってフィルタ40は、筐体41を上流部分および下流部分に分離している。回路30の上流部分から流入する空気は、筐体41の上流端部において筐体41に進入し、フィルタ40を通過して、筐体41の下流端部に流出して、回路30の下流部分に進入する。
【0029】
捕捉システム1は、制御ユニット60、およびフィルタ40を検出するための検出デバイス50をさらに備えている。この制御ユニット60およびこの検出デバイス50は、サポート41のフィルタ40の欠如または配管30のサポート40の欠如(およびそれに続いてフィルタ40の欠如)を特定するために使用される。制御ユニット60は、(信号を生成しおよびこれらの信号を送信するための要素を備えた)検出デバイス50からの信号を受信し、真空源20を制御することおよびそこからの情報を受信することも可能である。制御ユニット60、検出デバイス50、および真空源20の間のこれらの相互作用は、実線により図1に概略的に示されている。これらの相互作用は、電線により実行され得る。この制御ユニット60およびこの検出デバイス50の運転は、以下に記載されている。
【0030】
捕捉システム1の運転の際、検出デバイス50は制御ユニット60に少なくとも1つの信号を送信する。「少なくとも1つの信号」は、サポート41からフィルタ40が欠如していることが初期的に検出された場合に、連続的な信号、または均一な間隔の信号、もしくは単一の信号の送信を意味していると理解される。制御ユニット60は、この信号に基づいてフィルタ40の欠如を認定し、次に使用者にフィルタ40の欠如を通知する。この情報は任意の手段により、例えば車両のダッシュボードに「フィルタ欠如」等の文字、もしくはロゴ、もしくは表示灯等を表示することにより、および/または例えば座席内に配置された振動システムを通じた振動による使用者への刺激により提供され、且つ制御ユニット60により制御され得る。
【0031】
加えて、この情報は、制御ユニット60により制御されたリミッタ70を使用して、車両の速度の制限を伴い得る(図1)。ブレーキの際の粒子の発生は連続的に減少し、これらの有害な粒子の真空源20内への放出も減少する。
【0032】
フィルタ40を検出するための検出デバイス50の第1の実施形態は、図2を参照して以下に記載されている。図2は、サポート41、フィルタ40、および検出デバイス50をより詳細に示している。
【0033】
検出デバイス50は、フィルタ40の上流において空気圧回路30に配置された(第1の)圧力センサ51を備えている。理想的に、圧力センサ51はフィルタ40に十分に接近して配置され、これにより圧力センサ51により測定された圧力は、フィルタ40の位置の、またはフィルタが存在していた場合の位置の圧力と同一である。したがって、圧力センサ51は、フィルタ40のサポート41に接近した空気圧回路30(サポート41の欠如の特定を可能にする)、または図2に示されたようにフィルタ40のためのサポート41内のいずれかに配置されている。「サポート41内に配置されている」とは、圧力センサがサポート上に配置されているか、またはこのサポートが筐体である場合には、サポート内に配置されていることを意味していると理解され、すべての場合において、このセンサはこのサポート41の位置において圧力を測定する。
【0034】
圧力センサ51は、フィルタ40の上流において、空気圧回路30内の(第1の)圧力Pを測定することが可能であり、検出デバイス50は、この測定値を信号により制御ユニット60に送信することが可能である。この測定の際、真空源20は基準運転状態Eと称される運転状態にしたがって作動する。この運転状態は、例えば吸引タービン22の回転速度Vであるパラメータにより特徴付けられている。したがって、基準運転状態Eにおいては、吸引タービン22は回転速度Vで回転している。制御ユニット60は、メモリ内に基準圧力Pを有し、この圧力は、真空源20の基準運転状態Eに関してフィルタ40が欠如した場合に空気圧回路30内に生じる圧力である。この基準圧力Pは、この基準運転状態Eの関数として変化することが理解される。したがって、基準圧力Pは、タービン22の回転速度Vの関数として変化する。制御ユニット60は、空気圧回路30内で測定された圧力Pを有する信号を受信した際に、圧力Pのこの測定値を基準圧力Pと比較する。この基準圧力Pは、真空源20の基準運転状態Eに関してフィルタ40が欠如した場合の空気圧回路30内の圧力と一致しており、圧力センサ51による第1の圧力Pの測定は、基準運転状態ERの際に実行される。結果的に、第1の圧力Pが基準圧力Pにほぼ等しい場合、このことは、フィルタ40がそのサポート41から欠如して(もしくはフィルタ40が裂けて)いるか、または回路30の上流部分および回路30の下流部分が、サポート41が配置されるべき位置に接続されているが、サポート41(したがってフィルタ40)が欠如していることを意味している。実際に、フィルタ40が存在している場合、フィルタ40の上流の圧力は、基準圧力Pよりも高く、これは、フィルタ40が詰まっていない場合でも、空気の通過を妨げることに寄与するためであることに気付くだろう。したがって、PがPにほぼ等しい状況においては、制御ユニット60は、フィルタ40の欠如を使用者に通知する。「ほぼ等しい」とは、圧力が基準圧力周辺の制限された範囲内にあることを意味していると理解される。例えば、この範囲は、基準圧力値の±1%、または±2%、または±5%、または±10%である。
【0035】
基準運転状態Eに関して、サポート41は欠如しており、且つ回路30の上流部分および回路30の下流部分は接続されていないといった特別な状況において、圧力Pの測定値は大気圧にほぼ等しい。この場合においても、制御ユニット60は、フィルタ40の欠如を使用者に通知する。
【0036】
第1の実施形態の変形は以下に記載されており、その実施形態では、検出デバイス50は、第1の圧力センサ51に加えて第2の圧力センサ52を備えている。この変形は、図3に示されている。第1の圧力センサ51は、回路30のフィルタ40の上流に配置されている。第2の圧力センサ52は、回路30のフィルタ40の下流に配置されている。第1の圧力センサ51がサポート41の上流に配置され且つ第2の圧力センサ52がサポート41の下流に配置された構成は、サポート41の欠如を特定することを可能にしている。例えば、第1のセンサ51および第2のセンサ52は、図3に示されたように、サポート41内に配置されている。第1の圧力センサ51は、フィルタ40の上流側の空気圧回路30内の第1の圧力Pを測定することが可能であり、検出デバイス50は、この測定値を信号により制御ユニット60へ送信することが可能である。並列して、例えば同時に、第2の圧力センサ52は、フィルタ40の下流側の空気圧回路30内の第2の圧力Pを測定することが可能であり、検出デバイス50は、この測定値を信号により制御ユニット60へ送信することが可能である。例えば、第1の圧力Pの測定値および第2の圧力Pの測定値は、同じ信号により送信される。制御ユニット60は、このまたはこれらの信号を受信した場合に、第1の圧力Pを第2の圧力Pと比較することが可能である。第1の圧力Pが第2の圧力Pにほぼ等しい場合、このことは、フィルタ40がそのサポート41から欠如している(もしくはフィルタ40が裂けている)か、または回路30の上流部分および回路30の下流部分は、サポート41が配置されるべき位置に接続されているが、サポート41(したがってフィルタ40)が欠如していることを意味している。実際に、フィルタ40が存在している場合、フィルタ40の上流の圧力は、フィルタ40の下流の圧力よりも大きいことが理解される。したがって、PがPにほぼ等しい状況においては、制御ユニット60はフィルタ40の欠如を使用者に通知する。
【0037】
捕捉システムの作動の際にサポート41が欠如しており、ならびに回路30の上流部分および回路30の下流部分が接続されていないといった特別な状況においては、圧力P1の測定値は大気圧にほぼ等しい。この場合においても、制御ユニット60はフィルタ40の欠如を使用者に通知する。
【0038】
フィルタ40を検出するための検出デバイス50の第2の実施形態は、図4および図5を参照して以下に記載されている。
【0039】
検出デバイス50は、接触検出器53を備えている。図4に示された第1の変形においては、この接触検出器53はサポート41に装着され、これによりフィルタ40がサポート41内(または上)に配置された場合、フィルタ40が接触検出器53と物理的に接触している。この物理的接触は、例えばフィルタ40が接触検出器53の一部の要素に接触することにより達成される。例えばこの要素は、戻り機能を有する(ばね付勢式)伸縮式接触子であり、伸縮動作によって信号が生成される。代替的に、この物理的接触は、例えば接触検出器53に(個々にフィルタ40に)装着された雄要素と、フィルタ40に(個々に接触検出器53に)装着された雌要素と、の間の協働により達成される。これにより、接触検出器53は、フィルタ40とサポート41との間の接触の検出、したがってサポート41内(または上)のフィルタ40の存在の検出が可能である。フィルタ40とサポート41との間の接触がない場合、フィルタ40がサポート41から欠如していることを意味しており、検出デバイス50は、制御ユニット60へ信号を送信する。例えばこの信号は、フィルタ40がサポート41から欠如している限り、一定間隔で送信される。制御ユニット60は、この信号を受信した場合、フィルタ40の欠如を使用者に通知する。
【0040】
図5に示された第2の変形においは、接触検出器53は、サポート41の上流または下流において回路30に装着され、これによりサポート41が回路30に配置された場合、サポート41は接触検出器53と物理的に接触する。この物理的接触は、例えばサポート41が接触検出器53の一部である要素に接触することにより達成される。代替的に、この物理的接触は例えば接触検出器53に(個々にサポート41に)装着された雄要素と、サポート41に(個々に接触検出器53に)装着された雌要素と、の間の係合により達成される。サポート41と配管30との間の接触がない場合、サポート41が配管30に装着されていない(したがってフィルタ40が欠如している)ことを意味しており、検出デバイス50は制御ユニット60へ信号を送信する。例えばこの信号は、サポート41が配管30から欠如している限り、均一な間隔の信号として送信される。制御ユニット60は、この信号を受信した場合に、フィルタ40の欠如を使用者に通知する。
【0041】
フィルタ40を検出するための検出デバイス50の第3の実施形態が、図6および図7を参照して以下に記載されている。
【0042】
検出デバイス50は、非接触検出器54、およびフィルタ40またはサポート41により担持された識別子(タグ)42を備えている。非接触検出器54は、この検出器54の周囲の所定の空間V内の識別子42の存在を検出することが可能である。この検出は、例えばRFID技術により実行される。PFID技術は、識別子が検出器により遠隔給電される技術をグループ化している。非接触検出器54はサポート41に接近して固定されており、これは、(フィルタ40によりまたはサポート41により担持された)識別子42が、非接触検出器54の周囲の空間V内に配置されていることを意味している。
【0043】
図6に示された第1の変形においては、非接触検出器54はサポート41の上流または下流において配管30に固定されており、識別子42はサポート41により担持されている。したがって、サポート41が配管30に装着された場合、非接触検出器54は識別子42から距離Dの位置に配置されて、非接触検出器54は較正され、これにより非接触検出器自身と識別子42との間の距離が距離Dよりも大きくなった場合、サポート41(したがってフィルタ40)が配管30から欠如し、識別子42が検出されないことを意味している。この場合、検出装置50は制御ユニット60に信号を送信する。例えばこの信号は、サポート41が配管30から欠如している限り、均一な間隔で送信される。この信号を受信した場合、制御ユニット60は、フィルタ40の欠如を使用者に通知する。この変形においては、識別子42は、非接触検出器54が識別子42からの距離Dの位置に配置されている限り、フィルタ40により担持され得る。
【0044】
図7に示された第2の変形においては、非接触検出器54はサポート41に固定されており(例えば、サポート41が筐体である場合、非接触検出器は筐体内に配置されている)、識別子42はフィルタにより担持されており、これにより非接触検出器54は、フィルタ40がサポート41に装着された場合、識別子42から距離Dの位置に配置されている。非接触検出器54は較正され、これにより非接触検出器54自身と識別子42との間の距離が、距離Dよりも大きい場合、フィルタ40がサポート41から欠如し、識別子42が検出されないことを意味している。この場合、検出デバイス50は制御ユニット60に信号を送信する。例えばこの信号は、フィルタ40がサポート41から欠如している限り、均一な間隔で送信される。この信号を受信した場合、制御ユニット60は、フィルタ40の欠如を使用者に通知する。
【0045】
前述の多様な実施形態は、単独でまたは2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0046】
前述のある実施形態、フィルタ40と特にサポート41に装着された接触検出器53との間の雄雌係合部を備えた第3の実施形態においては、サポート41は例えば所定のタイプのフィルタ40のみを受容することが可能である(それらのフィルタ40の雄(個々に雌)要素は、接触検出器53の雌(個々に雄)要素と係合可能である)。したがって、所定のフィルタ40(例えば所与の品質またはブランド)のみが、サポート41に装着されることを確実にしている。それと同様に、サポート41と配管30に装着された接触検出器53との間の雄雌係合の場合、配管30は、例えば所定のタイプのサポート41を受容することのみが可能である。したがって、所定のフィルタ40(例えば所与の品質またはブランド)を担持した所定のサポート41のみが、配管30に装着されることを確実にし得る。
【0047】
第4の実施形態においては、識別子42はフィルタ40またはサポート41ごとに個別とされてもよく、この場合、この識別子42は、フィルタ40が回路30にあるかないかを決定することのみに寄与している。代替的に、識別子42は、(自身が含んだコードを通じて)各フィルタ40(もしくは各サポート41)または各フィルタ40のタイプ(もしくは各サポート41のタイプ)を区別し得る。後者の場合、非接触検出器54は、所定のタイプのフィルタ40(またはこのタイプのフィルタ40を担持したサポート41)に対応した識別子42のみを検出するように構成されてもよく、このことは、このタイプのフィルタ40のみが配管30に装着されていることを保証にすることを可能にしている。
【0048】
本発明は、摩擦ブレーキシステム10からのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム1内におけるフィルタ40の欠如を検出するための方法にも関する。前述のとおり、この捕捉システム1は、真空源20、摩擦ブレーキシステム10を真空源20に接続した空気圧回路30、および空気圧回路30に配置されてサポート41に装着されたフィルタ40を備えている。この方法は、
(a) 制御ユニット60およびフィルタ40を検出するための検出デバイス50が、捕捉システム1の一部として設けられるステップと、
(b) 検出デバイス50が、制御ユニット60に少なくとも1つの信号を送信するステップと、
(c) この信号に基づいて、制御ユニット60が、空気圧回路30のフィルタ40の欠如を特定し、このフィルタ40の欠如を使用者に通知するステップと、
を含んでいる。
【符号の説明】
【0049】
1 ・・・粒子捕捉システム
9 ・・・ディスク
10 ・・・摩擦ブレーキシステム
11 ・・・ブレーキパッド
12 ・・・背面板
13 ・・・ライニング
20 ・・・真空源
21 ・・・電気モータ
22 ・・・吸引タービン
30 ・・・空気圧回路
40 ・・・フィルタ
41 ・・・サポート
42 ・・・識別子
50 ・・・検出デバイス
51 ・・・(第1の)圧力センサ
52 ・・・第2の圧力センサ
53 ・・・接触検出器
54 ・・・非接触検出器
60 ・・・制御ユニット
70 ・・・リミッタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7