(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー及び前記工具ロッドのアンロック方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/157 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
B23Q3/157 E
(21)【出願番号】P 2023101152
(22)【出願日】2023-06-20
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】515207329
【氏名又は名称】聖杰國際股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sanjet International Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.288-1,Desheng Rd. Daya District Taichung City 428,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 慶三
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-186949(JP,A)
【文献】特開昭63-251105(JP,A)
【文献】特開平10-315086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/67536(US,A1)
【文献】中国実用新案第219703529(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155 - 3/157
B23B 31/00 - 31/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具カバーと工具ロック手段を含み、
前記工具カバーは、工具ロッドを収納可能な工具収納空間、軸穴及び少なくとも一つの貫通穴を有しており、ただし、前記軸穴が軸方向に前記工具収納空間と連通し、前記少なくとも一つの貫通穴が径方向に前記軸穴と連通し、そのうち、前記工具収納空間と前記軸穴の中心を通過する軸線を定義しており、
前記工具ロック手段は、摺動管と少なくとも一つのロック部品を含み、ただし、前記摺動管が前記軸穴に設置されると共に前記軸線において第一位置と第二位置との間を移動可能であり、前記摺動管が少なくとも一つの側方開口を有し、前記少なくとも一つの側方開口の開口壁に第一臼状面と第二臼状面が含まれており、そのうち、前記軸線と平行する仮想線、前記第一臼状面より伸びると共に前記仮想線と挟んで第一角度を形成する第一伸び線、及び、前記第二臼状面より伸びると共に前記仮想線と挟んで第二角度を形成する第二伸び線を定義すると、前記第一角度が前記第二角度よりも大きく、
前記少なくとも一つのロック部品は、前記工具カバーにおける前記少なくとも一つの貫通穴に移動可能に設置され、
前記摺動管が前記第一位置に位置する場合には、前記少なくとも一つのロック部品が前記摺動管の第一臼状面と接触し、前記工具ロッドがロックされて前記工具収納空間に位置しており、
前記摺動管が前記第二位置に位置する場合には、前記少なくとも一つのロック部品が前記摺動管の第二臼状面と接触し、前記工具ロッドがアンロックされて前記工具収納空間から離れる、ことを特徴とする工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項2】
前記工具ロック手段は、少なくとも一つの閉鎖部と少なくとも一つの押し上げ部を含み、
前記少なくとも一つの閉鎖部は、前記工具カバーにおける前記少なくとも一つの貫通穴を遮蔽し、
前記少なくとも一つの押し上げ部は、前記工具カバーにおける前記少なくとも一つの貫通穴に設置されると共に、前記少なくとも一つの押し上げ部における両端が、それぞれ、前記少なくとも一つの閉鎖部と前記少なくとも一つのロック部品と抵接する、ことを特徴とする請求項1に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項3】
前記工具ロッドは、一方端に引き頭を有し、前記少なくとも一つのロック部品は、円弧状凸部を有し、
前記摺動管が前記第一位置に位置する場合には、前記少なくとも一つのロック部品における円弧状凸部が前記摺動管における第一臼状面と前記引き頭と接触すると共に、前記第一臼状面と前記引き頭との間に位置する、ことを特徴とする請求項2に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項4】
前記摺動管は、ざぐり穴を有し、前記ざぐり穴は、前記軸線に位置すると共に解放端と閉鎖端を有し、
前記少なくとも一つの側方開口は、前記ざぐり穴と連通し、
前記引き頭は、前記解放端を介して前記ざぐり穴に出入する、ことを特徴とする請求項3に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項5】
前記工具ロック手段は、少なくとも一つの弾性部を含み、前記少なくとも一つの弾性部の弾力により、前記摺動管が前記第一位置へ移動するように維持することを促進する、ことを特徴とする請求項1に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項6】
前記工具カバーにおける前記少なくとも一つの貫通穴は、両側に、それぞれ、第一当接面と第二当接面を有し、
前記摺動管は、一方端に第一囲いを有し、他方端に第二囲いを有し、
前記第一囲いが前記第一当接面と当接する場合には、前記摺動管が前記第一位置に位置し、前記少なくとも一つの弾性部が前記摺動管を周設すると共に、一方端が前記第二当接面と抵接し、他方端が前記第二囲いと抵接する、ことを特徴とする請求項5に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項7】
前記第一角度は、45~80度にあり、前記第二角度は、10~40度にある、ことを特徴とする請求項1に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項8】
前記摺動管における第一臼状面は、R角を有した円弧面であり、前記ロック部品は、鋼球であり、前記R角は、前記鋼球の半径以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項9】
前記R角は、2mm~7mmにある、ことを特徴とする請求項8に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項10】
前記工具カバーは、前記少なくとも一つの貫通穴の両側に、それぞれ、第一当接面と第二当接面を有し、
前記摺動管は、一方端に第一囲いを有し、前記摺動管の胴体部に位置制限部が設置され、
前記第一囲いが前記第一当接面と当接する場合に、前記摺動管が前記第一位置に位置し、前記位置制限部が前記第二当接面と当接し、前記摺動管が前記第二位置に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー。
【請求項11】
請求項1に記載の工具ホルダーに基づいて、前記工具ロッドをアンロックするように実現する方法であって、
前記摺動管に外力を掛けることにより、前記摺動管が前記第一位置より前記第二位置に移動し、前記摺動管の第二臼状面が前記少なくとも一つのロック部品を径方向に外へ押すステップ、
前記工具ロッドを前記工具ホルダーに対して引き出すステップ、及び、
前記外力を解除することにより、前記摺動管が前記第二位置から前記第一位置に回復するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具機械の工具マガジンに工具ロッドを収納するための構成に関し、特に、工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー、及び、前記工具ロッドをアンロックする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工具機の工具マガジンシステムは、自動化で加工をしている過程に工具を収納したり交換したりするニーズに応じる裝置である。よく見られる工具マガジンシステムは、円盤式工具マガジン又はチェーン式工具マガジンがある。前記工具マガジンは、共に、複数の工具カバーを配置することにより、異なる様式を有した工具と組み合わせた工具ロッドが挿入するように供する。工具ロッドを安定にさせ、工具ロッドが不当的に工具カバーから抜けてしまい、工具ロッドや工具が破壊されてしまい、或いは、作業の際の安全問題が招致されてしまうという問題を避けるためには、工具カバーの内部に係合構成が設置されるという既知の形態がある。例えば、台湾特許第M477934号である「工具カバー裝置」、及び、M439538号である「加工機械の工具マガジンにおける工具カバー構成への改良」という実用新案がある。前記の特許技術としての係合構成は、複数のばねと複数の鋼球で構成される。ただし、ばねの弾力により鋼球を押し上げることにより、鋼球が工具ロッドと当接して工具カバーの一方端へ挿入する。それにより、係合という役割を図り、工具ロッドが不当的に抜けてしまうのを防ぐ目的を達成できる。しかしながら、工具ロッドを工具カバーにしっかりと挿入する効果を強めるためには、従来の係合構成について、一般的に、素材に剛性が比較的に大きいばねを選んで、工具ロッドとしっかりと当接する鋼球の力を増やすことが一般的である。故に、工具ロッドを工具カバーから取り出して工具を片手で把握しようとする場合に、比較的大きい引き力を掛けてばねの弾力を克服することが必要になる。それにより、作業員の手が工具の刃物により傷つけられてしまう恐れがあり、ひいては、工具を取る力を制御することが不当になると作業員が傷つけられてしまう問題がよく知られる。
【0003】
それにより、作業員は、工具を取る過程に、補助工具を工具ロッドと工具カバーとの間に位置する隙間に挿入してから、引くという形態により、工具ロッドが工具カバーから離れるように強いることが一般的である。しかし、前記形態は、作業が不便になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このことに鑑み、本発明は、工具ロッドを挿入した安定性を高めると共に工具ロッドを便宜に取り出す効果を有する、工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー及び前記工具ロッドのアンロック方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するためには、本発明が、工具マガジンに工具ロッドを収納してロックする工具ホルダー及び前記工具ロッドのアンロック方法を提供する。前記工具ホルダーは、工具カバーと工具ロック手段を含む。前記工具カバーは、前記工具ロッドを収納可能な工具収納空間、軸穴及び少なくとも一つの貫通穴を有しており、ただし、前記軸穴が軸方向に前記工具収納空間と連通し、前記少なくとも一つの貫通穴が径方向に前記軸穴と連通し、そのうち、前記工具収納空間と前記軸穴の中心を通過する軸線を定義しており、前記工具ロック手段は、摺動管と少なくとも一つのロック部品を含み、ただし、前記摺動管が前記軸穴に設置されると共に前記軸線において第一位置と第二位置との間を移動可能であり、前記摺動管が少なくとも一つの側方開口を有し、前記少なくとも一つの側方開口の開口壁に第一臼状面と第二臼状面が含まれており、そのうち、前記軸線と平行する仮想線、前記第一臼状面より伸びると共に前記仮想線と挟んで第一角度を形成する第一伸び線、及び、前記第二臼状面から伸びると共に前記仮想線と挟んで第二角度を形成する第二伸び線を定義すると、前記第一角度が前記第二角度よりも大きく、前記少なくとも一つのロック部品は、前記工具カバーにおける前記少なくとも一つの貫通穴に移動可能に設置され、前記摺動管が前記第一位置に位置する場合には、前記少なくとも一つのロック部品が前記摺動管の第一臼状面と接触し、前記工具ロッドがロックされて前記工具収納空間に位置しており、前記摺動管が前記第二位置に位置する場合には、前記少なくとも一つのロック部品が前記摺動管の第二臼状面と接触し、前記工具ロッドがアンロックされて前記工具収納空間から離れる。
【0006】
前記工具ロッドをアンロックする方法は、外力を前記摺動管に掛けることにより、前記摺動管が前記第一位置より前記第二位置に移動し、前記摺動管の第二臼状面が前記少なくとも一つのロック部品を径方向に外へ押すステップ、前記工具ロッドを前記工具ホルダーに対して引き出すステップ、及び、前記外力を解除することにより、前記摺動管が前記第二位置から前記第一位置に回復するステップを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明による効果は、前記摺動管における側方開口により、傾きが異なる第一臼状面と第二臼状面を備えるように設計されることから、ロックを安定的に行うこと、及び、アンロックを容易にする目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好ましい実施例に係る工具ホルダー及び工具ロッドを示す分解図である。
【
図2】本発明の上記好ましい実施例に係る工具ホルダーを示す斜視図である。
【
図5】本発明の上記好ましい実施例に係る工具ホルダーにおける摺動管を示す斜視図である。
【
図10】
図1に示される工具ホルダーに工具ロッドをロックする模式図である。
【
図12】
図11における12-12方向の断面図と一部の拡大図である。
【
図13】
図1に示される工具ロッドを工具ホルダーからアンロックする状態を示す模式図である。
【
図15】
図14における15-15方向の断面図と一部の拡大図である。
【
図16】
図15と同様に、本発明の他の好ましい実施例に係る工具ホルダーにおける摺動管の胴体部に位置制限部が設置されている図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明をより明確に説明するためには、好ましい実施例に基づいて、図面を参照しながら以下に詳しく説明する。本発明の好ましい実施例に係る工具ホルダーは、工具機に適用され、工具ロッドを収納してロックするための工具マガジンである。前記工具マガジンは、タイプとして、円盤式工具マガジンであってもよいし、チェーン式工具マガジンであってもよい。前記工具ロッドは、加工の際に使用される工具を組み合わせるためのものである。
【0010】
図1に示すように、本発明の好ましい実施例に係る工具ホルダー100は、工具カバー10と工具ロック手段20を含み、前記工具カバー10は、工具ロッド200を収納する。
図2乃至
図4に示すように、前記工具カバー10は、前端10a及び後端10bを有すると共に、前記前端10aより窪んで形成された錐形状穴11を有する。前記錐形状穴11は、開口壁により工具収納空間Sを囲んで形成する。前記工具カバー10は、前記後端10bと近接する箇所に、前記工具収納空間Sと軸方向に連通する軸穴12を設置し、そこで、前記工具収納空間Sと前記軸穴12の中心とを通過する軸線L1を定義する。また、前記工具カバー10は、径方向に前記軸穴12と連通する少なくとも一つの個貫通穴13をさらに有する。本実施例に係る貫通穴13は、その数が四つであるが、他の適用例において貫通穴の数が必要に応じて加減してもよく、偶数に限らない。また、前記工具カバー10は、内部における前記工具収納空間Sと前記軸穴12とを連接する箇所に凸状肩部14を形成する。前記凸状肩部14は、一面が第一当接面15を構成し、前記工具カバー10における外側面が第二当接面16を構成する。前記第一当接面15と前記第二当接面16は、それぞれ、貫通穴13の両側に位置すると共に、互いに背中合わせになるように設置される。
【0011】
本実施例に係る工具ロック手段20は、摺動管21、少なくとも一つのロック部品22、少なくとも一つの押し上げ部23、少なくとも一つの閉鎖部24、少なくとも一つの弾性部25、ガスケット26及びC型掛け部27を含み、それぞれ以下に説明する。
【0012】
図5乃至
図9に示すように、前記摺動管21、ざぐり穴211と少なくとも一つの側方開口212を有した円筒体である。前記ざぐり穴211は、両端に、それぞれ解放端211aと閉鎖端211bである。前記少なくとも一つの側方開口212は、前記ざぐり穴211と連通する。前記摺動管21は、前記解放端211aの周縁に、径方向に沿って外へ伸びて形成された第一囲い213を有すると共に、前記ざぐり穴211における前記閉鎖端211bの一方側に位置するソリッド部214を有する。前記摺動管21は、外周面における前記ソリッド部214と対応する箇所に段階面215及び凹溝216を窪んで設置する。前記少なくとも一つの側方開口212は、本実施例における数量が上記の貫通穴13の数と同じであるとともに前記第一囲い213と近接する箇所に設置する。各側方開口212は、開口壁がボールエンドミルにより加工して形成されるものであって、第一臼状面212aと第二臼状面212bを有するものである。
図7及び
図8に示すように、側方開口212は、底部の開口幅について、第一臼状面212aと対応する開口幅が第二臼状面212bと対応する開口幅よりも大きい。
図9に示すように、前記ざぐり穴211の開口壁より伸びると共に前記軸線L1と平行する仮想線L2、前記第一臼状面212aより伸びると共に前記仮想線L2と挟んで第一角度θ1を形成する第一伸び線L3、及び、前記第二臼状面212bより伸びると共に前記仮想線L2と挟んで第二角度θ2を形成する第二伸び線L4を定義し、一層詳しく説明すると、前記第一伸び線L3が前記第一臼状面212aと、前記摺動管21の外管面及び前記ざぐり穴211の開口壁との交差点を通過したものであり、前記第二伸び線L4は、前記第二臼状面212bと、前記摺動管21の外管面及び前記ざぐり穴211の開口壁との交差点を通過したものであり、前記第一角度θ1が前記第二角度θ2よりも大きい。好ましくは、前記第一角度θ1は、45~80度にあり、前記第二角度θ2は、10~40度にある。本実施例では、ボールエンドミルにおける工具を引き上げる高さと移動経路を制御することにより、外に面する前記第一臼状面212aと前記第二臼状面212bを形成し、第一角度θ1が77.88度、第二角度θ2が25度である。
図9に示す断面の構成から見れば、第一臼状面212aがR角を有した円弧面であり、第二臼状面212bがボールエンドミルの次第に引き上げることに規制されるとともに移動経路に影響され傾斜面になる。なお、前記第一臼状面を円弧面として例に説明したが、実際適用において、ボールエンドミルが工具を引き上げること及び移動経路により傾斜面を形成することもある。
【0013】
上記の摺動管21は、前記軸線L1を移動可能に前記軸穴12に設置され、前記軸線L1が同時に前記ざぐり穴211の中心を通過する。前記摺動管21は、第一囲い213が前記第一当接面15に当接することにより、摺動管21が前記工具カバー10の後端10bより前記工具カバー10から離れないようになる。
【0014】
前記少なくとも一つのロック部品22は、移動可能に前記工具カバー10における貫通穴13に設置される。本実施例に係るロック部品22は、鋼球により構成され、数が上記の貫通穴13のほうと同じである。各貫通穴13には、それぞれロック部品22が置かれている。前記少なくとも一つの押し上げ部23は、前記工具カバー10における貫通穴13に設置され、前記ロック部品22の数と同じであり、各貫通穴13に押し上げ部23が置かれる。本実施例には、押し上げ部23が巻きばねであってもよい。前記少なくとも一つの閉鎖部24は、前記工具カバー10における貫通穴13を遮蔽して、前記ロック部品22及び押し上げ部23が不当に貫通穴13から抜けてしまうのを避ける。本実施例では、閉鎖部24は、止めねじとされ、貫通穴13の上部に螺合穴13aを製作し、前記螺合穴13aに対して螺合したり退避したりするという形態に従って、工具カバー10と組み合わせたり工具カバー10から離れたりする。
【0015】
上記のロック部品22、押し上げ部23及び閉鎖部24は、それらの数が複数であるように例示したが、実際に使用される数がニーズに応じて増減してもよい。上記のロック部品22、押し上げ部23及び閉鎖部24は、組み立てられたら、閉鎖部24によりロック部品22及び押し上げ部23が貫通穴13に位置するように保持される。押し上げ部23は、両端に、それぞれロック部品22と閉鎖部24に当接しており、押し上げ部23による弾力により、ロック部品22が摺動管21の中心方向へ維持して移動するように押す。ロック部品22は、一部が貫通穴13に位置する一方、他部分が、摺動管21の側方開口212を通過してざぐり穴211に露出する。それにより、ロック部品22における側方開口212を通過する部分及びざぐり穴211に露出する部分を円弧状凸部22aとして定義する。ロック部品22は、円弧状凸部22aが前記第一臼状面212a又は前記第二臼状面212bと接触する。本実施例に係るロック部品22が鋼球とされる。故に、前記円弧状凸部22aが鋼球の一部になる。しかしながら、他の適用例において、ロック部品は、半球形としての首部がロット本体に繋げるように構成されてもよい。この時、半球形としての首部が前記円弧状凸部を構成する。上記のロック部品22が鋼球とされるという例を説明する場合には、鋼球の直径の大きさが前記第一臼状面212aのR角の設計に影響を与え、つまり、R角が鋼球の直径の半分よりも小さくならず、R角が少なくとも鋼球の半径以上でなければならない。前記摺動管21を工具機にける工具ホルダーの分野に適用する場合には、前記摺動管21における第一臼状面212aのR角が2mm乃至7mmにあることが好ましい。この本実施例では、鋼球の直径が9.5mmである。前記第一臼状面212aのR角が鋼球の半径であって、4.75mmである。説明するべきことは、異なる仕様とされる構成において、前記第一臼状面を必要に使用すると、そのR角値が前記2mm乃至7mmの範囲に限らない。
【0016】
前記少なくとも一つの弾性部25を設置することは、その弾力を用いて前記摺動管21が所定方向に沿って維持して移動するように促進することを目的とする。この実施例では、弾性部25が、巻きばねとされ、前記摺動管21に周設され、前記工具カバー10における軸穴12の一方端の外部から貫く。前記ガスケット26は、前記段階面215に周設され本発明に定義される第二囲いを構成する。前記C型掛け部27は、前記凹溝216に周設されることから、前記ガスケット26を制限してそれが前記摺動管21より抜けてしまうことができないようにする。そして、前記弾性部25は、一方端が前記第二当接面16と抵接する一方、の他方端が前記ガスケット26と抵接する場合に、弾性部25による弾力がガスケット26に掛かることから、前記摺動管21を外へ押すように形成する。前記摺動管21は、第一囲い213が前記第一当接面15と当接する場合に、それ以上外へ移動することができない。この状態に摺動管21が第一位置P1(
図4に示すように)に位置すると定義すると、ロック部品22の円弧状凸部22aは、その一部が前記摺動管21の第一臼状面212aと接触する。それにより、弾性部25は、反対方向における圧縮力を受けない通常の状態に、その弾力により、前記摺動管21が前記第一位置P1へ維持して移動するように促進する。
【0017】
上記の実施例では、弾性部25についてその内径が摺動管21の外径よりも大きいことにより摺動管21の外部に周設されるという一つのばねを例にして説明したが、他の実施例において、直径が比較的小さい複数のばねを摺動管21の周縁に分布して設置されてもよいという形態を排除することがない。同様に、ばねの両端が第二当接面16とガスケット26と当接することにより、摺動管21を外へ移動するように押す目的を達成することができる。
【0018】
以上、本発明における好ましい実施例に係る工具ホルダー100の構成について説明したが、以下、工具ロッド200との組み合わせに適用される場合に、ロックを安定化にしてアンロックを容易にすることができることについて説明する。ただし、前記工具ロッド200は、ロット本体201、頚部202及び引き頭203を含み、ロット本体201の前端が工具(不図示)を固定して接続するためのものである。引き頭203は、外径が頚部202の外径よりも大きい。工具ロッド200は、引き頭203を有した一方端が前記工具カバー10の工具収納空間Sに挿入して前記工具カバー10と組み合わせる。
【0019】
図1、
図10乃至
図12を参照すると、係る工具ロッド200が工具をロックした状態にある。この時、工具ロッド200におけるロット本体201の錐形状胴体部201aは、前記錐形状穴11に挿入して取り付けられる。工具ロッド200における引き頭203は、前記解放端211aを通過して、前記摺動管21のざぐり穴211に伸び出す。前記弾性部25は、反対方向の圧縮力を受けず伸ばしている状態に、前記摺動管21が前記第一位置P1に止める。それと当時に、前記ロック部品22は、押し上げ部23の押しにより、その円弧状凸部22aが前記摺動管21の第一臼状面212aと前記引き頭203の一傾斜面203aとの間に位置するように接触することから、前記工具ロッド200が安定に前記工具収納空間Sに位置し、工具ロッド200をロックする目的を達成することができる。なお、工具をロックしている状態においては、第一臼状面212aについて、円弧面がロック部品22の円弧状凸部22aと面接触することから、単点で接触する場合に応力が集中しすぎることにより早期破壊されてしまうということを避けることができる。なお、前記第二臼状面212bがロック部品22と接触せず、或いは、小さい面積だけロック部品22と接触する。
【0020】
図13乃至
図15を参照すると、前記工具ロッド200を前記工具ホルダー100から離れて取り出そうとする場合に、外力Fを前記摺動管21に掛けて、前記摺動管21が前記軸線L1に沿って前記工具収納空間Sへ移動するようにすれば、傾角が25度である第二臼状面212bを用いてロック部品22を容易に引き上げて径方向に沿って外へ押すことにより、ロック部品22が前記引き頭203の移動経路を離れるとよい。故に、前記工具ロッド200を容易に取り出してアンロックを容易にすることができるという目的を達成する。このように定義すると、ロック部品22が前記引き頭203の移動経路から離れる場合に、前記摺動管21が第二位置P2(
図15を参照)に位置する。つまり、前記摺動管21が第二位置P2に位置する場合には、弾性部25が圧縮され、ロック部品22が前記摺動管21の第二臼状面212bと接触する。前記工具ロッド200は、アンロックされるため、前記工具収納空間Sから離れる。前記外力Fは、人力により押して発生してもよいし、工具機械における特定する位置に位置する工具ホルダーの後方に、引き上げ装置を取り付けるように選んでもよい(不図示)。前記引き上げ裝置は、気圧や油圧を変化させるように制御することにより、引き上げ棒が前方へ前記摺動管21におけるソリッド部214の端面214aを伸びるように引き上げ、前記摺動管21を前記工具収納空間Sへ移動するように押す目的を達成する。また、前記摺動管21におけるソリッド部214は、ソリッドのような構成であることから、外力により繰り返して引き上げても変形が無い。好ましくは、前記ソリッド部214に予め熱処理や表面硬化処理を行っておいて、前記ソリッド部214に耐衝撃性や耐摩耗性を高めることができる。
【0021】
上記のロック部品22は、外へ移動するように強いられる場合に、押し上げ部23を圧縮することから、前記外力Fが解除されると、押し上げ部23が直ぐに圧縮により溜めてきたエネルギーを解放してロック部品22を前記摺動管21の中心方向へ押す。前記第二臼状面212bが外に面するものであって傾角を有する上で、前記弾性部25による弾力が役立つことから、前記摺動管21が前記工具収納空間Sへ背離する方向に移動する。摺動管21は、第一囲い213が前記第一当接面15と再度当接する場合に、
図4に示すように第一位置P1に戻る。
【0022】
上記の説明から分かるように、前記工具ホルダー100に前記工具ロッド200をロックする上で、前記工具ロッド200をアンロックする方法は、外力Fを前記摺動管21に掛けて、前記摺動管21が前記第一位置P1から前記第二位置P2に移動し、前記摺動管21の第二臼状面212bによりロック部品22を径方向に外へ押す。この場合に、前記工具ロッド200が前記工具ホルダー100に対して引き出すことが易い。前記外力Fを解除すると、前記摺動管21は、前記弾性部25が圧縮により溜めてきたエネルギーを解放することにより前記第二位置P2から自動的に前記第一位置P1に戻って、工具ロッド200を再度挿入して取り付けるように供する。同様に、工具ロッド200を前記工具ホルダー100に取り付けようとする場合には、外力Fだけを掛けて前記摺動管21を第二位置P2に移行するように押すと、前記工具ロッド200の引き頭203を前記摺動管21のざぐり穴211に容易に挿入することができる。前記外力Fを解除すると、前記工具ロッド200が前記工具ロック手段20を再度ロックする。
【0023】
上記の実施例では、前記弾性部25が圧縮により溜めてきたエネルギーを解放して変形する形態により、前記摺動管21が第二位置P2より前記第一位置P1に移動する。しかしながら、他の実施例では、前記押し上げ部23による弾力の総計が、ロック部品22を、前記傾角を具備した第二臼状面212bにしっかりと当接するために十分である場合であって、前記摺動管21が前記第一位置P1に移動するように押す場合に、前記弾性部25を設置せず、合わせて、前記ガスケット26と前記C型掛け部27を設置しないように省略すると、
図16に示す構成になる。また、
図16は、係る摺動管21Aの胴体部の外周面において、所定の部位に位置制限部28を設置する。前記位置制限部28が前記第二当接面16と当接する場合に、前記外力Fにより、前記摺動管21Aをそれ以上前記工具収納空間Sへ移動することができない。この設計によると、摺動管21Aを移動させすぎることを避けることができ、ロック部品22と前記第二臼状面212bとが理想的に接触位置に位置するように確保することができる。前記位置制限部28は、C型掛け部であって、前記摺動管21Aにおける外周面の係合溝217に係合される。同様に、前記位置制限部28は、上記の
図1乃至
図15に示す構成とされる摺動管21に適用される。
【0024】
なお、上記摺動管21における側方開口212は、第一臼状面212aと第二臼状面212bの具備する第一角度θ1及び第二角度θ2を設計する目的について、前記摺動管21と対応する構成に所定の厚さを有させ、その厚さが浅すぎることから移動されるロック部品22により破壊されてしまうことが無いように確保する。また、ロック部品22、押し上げ部23及び閉鎖部24は、一緒に貫通穴13に置かれることから、急速に着脱可能であると共に便宜に交換して保守可能であるという効果がある。
【0025】
以上は、本発明における好ましい実施可能実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許の範囲に基づいた如何なる均等置換が本発明の特許範囲に含まれるとは言うまでもない。
【符号の説明】
【0026】
100 工具ホルダー
10 工具カバー
10a 前端
10b 後端
11 錐形状穴
12 軸穴
13 貫通穴
13a 螺合穴
14 凸状肩部
15 第一当接面
16 第二当接面
20 工具ロック手段
21 摺動管
21A 摺動管
211 ざぐり穴
211a 解放端
211b 閉鎖端
212 側方開口
212a 第一臼状面
212b 第二臼状面
213 第一囲い
214 ソリッド部
214a 端面
215 段階面
216 凹溝
217 係合溝
22 ロック部品
22a 円弧状凸部
23 押し上げ部
24 閉鎖部
25 弾性部
26 ガスケット
27 C型掛け部
28 位置制限部
200 工具ロッド
201 ロット本体
201a 錐形状胴体部
202 頚部
203 引き頭
203a 傾斜面
L1 軸線
L2 仮想線
L3 第一伸び線
L4 第二伸び線
F 外力
θ1 第一角度
θ2 第二角度
P1 第一位置
P2 第二位置
S 工具収納空間
【要約】 (修正有)
【課題】安定した工具保持と、取り出し作業の容易さを両立させた工具ロッドのアンロック方法を提供する。
【解決手段】工具ホルダーは、工具カバーと工具ロック手段を含む。工具カバーは、工具ロッドを収納することに用いられる。工具ロック手段は、摺動管と少なくとも一つのロック部品を有する。摺動管は、前記工具カバーに移動可能に設置されると共に、少なくとも一つの側方開口を有する。側方開口は、開口壁が第一臼状面と第二臼状面で構成されると共に、第一臼状面と第二臼状面が、異なる傾きを有する方式で設計される。ただし、ロック部品が第一臼状面と接触する場合には、工具ロッドにロックを形成し、摺動管に外力を掛ける場合には、摺動管が移動することにより第二臼状面が前記ロック部品と接触すると工具ロッドにアンロックを形成する。
【選択図】
図1