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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】比濁測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20240724BHJP
   G01N 15/075 20240101ALI20240724BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
G01N15/075
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023519053
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2020058578
(87)【国際公開番号】W WO2022093286
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】517094345
【氏名又は名称】ティントメーター・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Tintometer GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】パルンボ,ペリー
(72)【発明者】
【氏名】グラバート,エルマー
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-292328(JP,A)
【文献】特開2000-097841(JP,A)
【文献】特表2009-531660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0198761(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0277733(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0248795(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0248740(US,A1)
【文献】特開昭50-159776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01N 15/00 - G01N 15/1492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁液の散乱光値を測定するための比濁測定装置であって、
出力部を有する電磁放射線源であって、前記出力部からの光線経路に沿って光を放射するように構成された電磁放射線源と、
前記光線経路に沿った前記光を受けるように配置されたビームサンプラーであって、入射光を部分的に透過させるとともに部分的に反射させるビームサンプラーと、
前記ビームサンプラーによって反射された光を受けるように配置された第1電磁放射線検出器と、
前記懸濁液が収容された容器であって、前記ビームサンプラーを透過した光を受けるように配置された容器と、
前記懸濁液において散乱された光から第1の散乱光線経路に沿って伝わってくる散乱電磁放射線を受けるように配置された第2電磁放射線検出器と、
前記懸濁液において散乱された光から第2の散乱光線経路に沿って伝わってくる散乱電磁放射線を受けるように配置された第3電磁放射線検出器と、を備え、
前記第1の散乱光線経路は、前記電磁放射線源の前記出力部からの前記光線経路に対して約85~110度の角度で方向づけられており、
前記第2の散乱光線経路は、前記電磁放射線源の前記出力部からの前記光線経路に対して約85~110度の角度で方向づけられ、且つ、前記第1の散乱光線経路に対して略垂直に方向づけられており、
散乱電磁放射線を受ける前記第2電磁放射線検出器と前記第3電磁放射線検出器とに基づく前記散乱光値の変化は、100NTU未満の低濁度値における前記懸濁液中の粒子の濃度の変化に実質的に等しい、比濁測定装置。
【請求項2】
前記電磁放射線源は、発光ダイオードである、請求項1に記載の比濁測定装置。
【請求項3】
前記第3電磁放射線検出器は、前記第2電磁放射線検出器に比べて、前記電磁放射線源からより遠くに配置されている、請求項1に記載の比濁測定装置。
【請求項4】
前記第1電磁放射線検出器は、前記ビームサンプラーに隣接して配置され、且つ、前記電磁放射線源からの電磁放射線のビームのパワーを特定するために使用される、請求項1に記載の比濁測定装置。
【請求項5】
前記第2電磁放射線検出器は、容器の底部に隣接して配置され、
前記第3電磁放射線検出器は、前記容器の側面に隣接して配置されている、請求項に記載の比濁測定装置。
【請求項6】
視野レンズと視野絞りとを更に備え、
前記第3電磁放射線検出器、前記視野レンズ、および前記視野絞りは、1つの軸上に方向付けられている、請求項に記載の比濁測定装置。
【請求項7】
前記視野レンズは、容器の最も近くに配置され、
前記第3電磁放射線検出器は、前記容器から最も遠くに配置され、
前記視野絞りは、前記視野レンズと前記第3電磁放射線検出器との間に配置されている、請求項に記載の比濁測定装置。
【請求項8】
前記第2電磁放射線検出器および前記第3電磁放射線検出器のそれぞれの応答は、下記の式1によって定義される一群の非線形方程式から選択される1つの方程式に従い、
前記式1において、
「n」は、0よりも大きい整数であり、
「x」は、前記懸濁液の濁度値であり、
「y」は、前記第2電磁放射線検出器および前記第3電磁放射線検出器のそれぞれの前記応答に相当し、
「a 」は、較正係数である、請求項1に記載の比濁測定装置。
【数1】
【請求項9】
前記第2電磁放射線検出器および前記第3電磁放射線検出器の最大応答は、散乱電磁放射線の経路長に依存する前記懸濁液の散乱光値で生じる、請求項に記載の比濁測定装置。
【請求項10】
前記第2電磁放射線検出器は、前記第3電磁放射線検出器とは異なる経路長で散乱電磁放射線を受ける、請求項1に記載の比濁測定装置。
【請求項11】
前記第2電磁放射線検出器は、第1の経路長の散乱電磁放射線を受け、
前記第3電磁放射線検出器は、第2の経路長の散乱電磁放射線を受け、
前記第1の経路長は、前記第2の経路長とは異なる、請求項1に記載の比濁測定装置。
【請求項12】
前記散乱光値の前記変化は、少なくとも前記懸濁液内の粒子の濃度の変化に基づいており、
前記散乱光値の前記変化は、粒子濃度と散乱光値との関係が知られている比濁法濁度単位に関連付けられている、請求項1に記載の比濁測定装置。
【請求項13】
懸濁液の散乱光値を測定するための比濁測定装置であって、
出力部を有する電磁放射線源であって、前記出力部からの光線経路に沿って光を放射するように構成された電磁放射線源と、
前記光線経路に沿った前記光を受けるように配置されたビームサンプラーであって、入射光を部分的に透過させるとともに部分的に反射させるビームサンプラーと、
前記ビームサンプラーによって反射された光を受けるように前記ビームサンプラーに隣接して配置された第1電磁放射線検出器と、
前記懸濁液が収容された容器であって、前記ビームサンプラーを透過した光を受けるように配置された容器と、
前記懸濁液において散乱された光から第1の散乱光線経路に沿って伝わってくる散乱電磁放射線を受けるように前記容器の底部に隣接して配置された第2電磁放射線検出器と、
前記懸濁液において散乱された光から第2の散乱光線経路に沿って伝わってくる散乱電磁放射線を受けるように前記容器の側面に隣接して配置された第3電磁放射線検出器と、を備え、
前記第1の散乱光線経路は、前記電磁放射線源の前記出力部からの前記光線経路に対して約85~110度の角度で方向づけられており、
前記第2の散乱光線経路は、前記電磁放射線源の前記出力部からの前記光線経路に対して約85~110度の角度で方向づけられ、且つ、前記第1の散乱光線経路に対して略垂直に方向づけられており、
散乱電磁放射線を受ける前記第2電磁放射線検出器と前記第3電磁放射線検出器とに基づく前記散乱光値の変化は、100NTU未満の低濁度値における前記懸濁液中の粒子の濃度の変化に実質的に等しい、比濁測定装置。
【請求項14】
前記第2電磁放射線検出器および前記第3電磁放射線検出器のそれぞれの応答は、下記の式1によって定義される一群の非線形方程式から選択される1つの方程式に従い、
前記式1において、
「n」は、0よりも大きい整数であり、
「x」は、前記懸濁液の濁度値に相当し、
「y」は、前記第2電磁放射線検出器および前記第3電磁放射線検出器のそれぞれの前記応答に相当し、
「a 」は、較正係数である、請求項13に記載の比濁測定装置。
【数3】
【請求項15】
前記第2電磁放射線検出器は、前記第3電磁放射線検出器とは異なる経路長で散乱電磁放射線を受ける、請求項13に記載の比濁測定装置。
【請求項16】
前記第2電磁放射線検出器は、第1の経路長の散乱電磁放射線を受け、
前記第3電磁放射線検出器は、第2の経路長の散乱電磁放射線を受け、
前記第1の経路長は、前記第2の経路長とは異なる、請求項13に記載の比濁測定装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
粒子の濃度、懸濁媒質の濁度、ヘーズ(曇価)、若しくは混濁度、又は、懸濁媒質中の粒子の純度若しくは非存在の特定(測定)において、比濁分析(濁度検定)がしばしば実施される。比濁分析では、媒質に光ビームが通され、散乱光の量が測定され、参照基準と同等とみなされる。比濁分析中、懸濁媒質を通って伝わる光ビームに対して約90度で検出器に入射する散乱光の量は、粒子径分布(PSD)とは実質的に無関係である。したがって、比濁分析は、粒子径分布が分からない懸濁媒質の分析に好適な方法である。
【0002】
懸濁媒質中の粒子の濃度の特定には、比濁ではない測定の結果としての先行技術の機器の分析が含まれるが、当該分析におけるエラーを排除可能な装置が必要である。
【0003】
例えばホルマジン濁度標準液などの液体媒質中に粒子が含まれる懸濁液を収容した直径24mmのガラス製バイアル内の標本(サンプル)が用意され、懸濁媒質を通って伝わる光ビームの光線経路に対して85~110度の比濁角度で観察される場合、懸濁媒質中の粒子濃度の変化に対する比濁分析検出器の応答は、低濁度値において実質的にリニア(直線的)である。ここで、低濁度値は、100NTU(比濁法濁度単位)未満の値としてさらに定義される。より高い濁度値、つまり100NTUを超える濁度値では、濁度値の増大とは不釣り合いに、比濁分析検出器に衝突する散乱光の量が減少する。散乱光の波長にもよるが、800~10,000NTUの濁度値で、懸濁媒質中の粒子濃度の変化に対する比濁分析検出器の応答が最大に達する。懸濁媒質中の粒子の濃度がさらに増大すると、比濁分析検出器の応答は低下し、曖昧さをもたらす。つまり、検出器の応答は、最大値よりも大きい濁度値、及び、比濁分析検出器の最大応答よりも小さい濁度値、という2つの濁度値で等しくなる。先行技術の装置は、入射光ビームの光線経路に対して1つまたは複数の追加の角度での光の非比濁測定を含むことによって、この曖昧さを回避する。例えば、後方散乱では5~85度、前方散乱では110~175度乱、透過では180度である。先行技術の装置は、懸濁媒質中の粒子サイズとは無関係に、懸濁媒質中の高濃度の粒子を正確に測定することができない。未知の粒子成分の非比濁角度での散乱光の検出における不正確さは、較正基準内または参照基準内での粒子径分布と比較したサンプル内の粒子径分布の変化に対する非比濁角度での検出器の高い固有感度の結果である。
【0004】
一例として、特許文献1(米国特許第7491366号、Tokhtuev他)に開示された先行技術の装置は、サンプルの濁度を測定するために90度および180度の両方の光学ジオメトリを使用する。特許文献1の光学配置は、2つの発光体と4つの検出器で構成される4つの光線経路に沿って濁度をさらに測定する。特許文献1の先行技術は、90度と180度の両方での散乱光測定の融合に依存しており、180度での測定は、サンプルの粒子サイズへの応答を導入する。その結果、他の粒子径分布または単一の粒子径分布の較正基準と比較して、未知の粒子径分布のサンプルの分析に誤差が生じる。さらに、特許文献1の線形方程式は、比濁項(ネフェロメトリック項)と透過率項の両方に依存するため、5つの較正基準を必要とし、その結果、較正がより複雑で、時間と費用がかかる。また、特許文献1の先行技術の装置では、バイアルの円筒形表面へ光の入射ビームが鋭角に入射することに起因して測定誤差が生じるという制限がある。入射ビームの入射角が鋭角であることは、バイアル壁の表面での反射やその他の偏光効果により、サンプルバイアルの位置の小さな変化に対して検出器で受けられる散乱光の量が大幅に変化する状況を作り出す。特許文献1には、この他にも、光学的構成の感度の増加、すなわち、バイアルの壁に近いシフトされた分析領域を有する第2の平行な入射光線経路が濁度分析の感度の増加をもたらすことが教示されている。
【0005】
未知の濁度値および未知の粒子径分布のサンプルの分析において、懸濁媒質を通って伝わる光線の単一の光線経路に沿って測定する場合、2つ以上の散乱光路長の比濁法観測者に対して実質的に同等の感度を示し得る装置が必要である。
【0006】
非比濁散乱角度での粒子サイズ依存性による誤差の導入に加えて、例えば特許文献3(米国特許第5506679号明細書、Cooper他)の先行技術において、隣接する非比濁検出器の応答の結果として、相関誤差も存在する。隣接する非比濁検出器の応答に急激な変化は、後方散乱角度位置での低濁度値での弱い検出器応答と、前方散乱および透過検出器位置での強い応答とに起因して存在する。これとは逆のことが、高濁度値か観測角度かの対比に当てはまる。このことは、隣接する非比濁検出器応答の遷移点で特に顕著であり、その感度は、入射ビーム光線経路に対して非比濁法角度で配置された検出器では大幅に異なる。さらに、隣接する応答の遷移点では、第1の非比濁角度で測定する第1の散乱光検出器が濁度値の決定に寄与しなくなり、第2の非比濁角度の第2の検出器が分析に寄与し始める。キャリブレーション条件と比較して分析の動作条件がわずかに変動すると、隣接する検出器応答の遷移点付近で報告される濁度値に顕著な不連続性が生じる。
【0007】
先行技術の装置におけるさらに別の問題と考えられるのは、濁度値か観測者の応答かを、拡張された濁度範囲にわたる定義するために必要なキャリブレータ(較正器)の数である。この濁度範囲は、所与の観察角度のいずれかの散乱光検出器の最大応答に近いか、またはこれを超える濁度範囲としてさらに説明される。従来技術の装置は、典型的には、拡張された濁度範囲にわたる濁度値の決定において4つ以上の較正器を必要とする。キャリブレーションの実行に使用されるキャリブレータの数を減らすと、手順エラーのリスク、時間、労力、およびデバイスの生涯所有コストが削減される。
【0008】
前述のように、非比濁法観測角度の検出器を含えて、従来技術の装置は、サンプルの粒子径分布に敏感な複数の検出器応答の組み合わせまたは隣接により、任意の1つの検出器の最大応答を超えるように濁度の分析を拡張できる。
【0009】
サンプルの光路長や粒子径分布に関係なく、懸濁媒質を伝わるビームから散乱された光の量に対する比濁分析検出器の応答を記述するために、新しい多項式を利用できる装置が必要である。新しい多項式は、0~4000NTUの範囲の濁度値の測定に3つ以下のキャリブレータ(較正器)を必要とすることがあり、その結果、所有コストが削減され、較正プロセスの品質が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第7491366号明細書
【文献】米国特許第5506679号明細書
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置の側面図である。
図1B】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置の底面図である。
図1C】本発明の一実施形態に係る、断面線A-Aを含む比濁測定装置の正面図である。
図1D】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置のA-A線断面図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置の側面図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置の底面図である。
図2C】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置のハウジングの平面図である。
図2D】本発明の一実施形態に係る、断面線B-Bを含む比濁測定装置のハウジングの側面図である。
図2E】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置のハウジングのB-B線断面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置の側面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置の底面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る比濁測定装置の底面図である。
図5】2つの散乱光路長からの2つの比濁分析検出器の調整された応答曲線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、比濁測定装置を備え、該比濁測定装置は、散乱光検出器を用いて散乱光値を測定し、散乱光値の変化を懸濁液中の粒子濃度の変化と相関させる。より具体的に、本発明の実施形態は、散乱光検出器を用いてサンプル(標本)の散乱光を測定し、サンプルの散乱光値を計算する比濁測定装置を備えてもよい。サンプル内の粒子濃度の変化は、散乱光値の変化をもたらす可能性があり、粒子濃度と散乱光値との関係が知られている標準的な懸濁液ユニットに関連付けることができる。典型的には、比濁測定装置は、懸濁液(例えば、水)を通って伝わる光線から散乱光を受け取ることができる。比濁測定装置は、懸濁媒質中の粒子の濃度の変化に対する感度の点で検出器の感度が実質的に等しい場合に、異なる長さを有する2つ以上の散乱光路からの光を検出することができる。各散乱光の光路長は、対応する濁度値で最大の応答を引き起こし得る。比濁測定装置は、サンプルの粒径分布の変化に対して実質的に鈍感であり得る。懸濁液の濁度値の変化に対する比濁測定装置の応答は、経路長に関係なく、単一の多項式との高い相関関係で説明され得る。
【0013】
比濁測定装置は、散乱光値を測定するように構成され得る。例えば、比濁測定装置は、懸濁液中の粒子からの散乱光を測定し、散乱光値をホルマジン などの光散乱懸濁液標準と関連付けることができる(例えば、NTU)。サンプル中の粒子のアルベド(すなわち、白さ)が、装置が較正された基準に比べて低い場合、報告される粒子濃度の値は、予想よりも低く報告されるか、又は誤って報告される。懸濁液中の粒子の未知のサンプルから散乱される光の量は、較正(キャリブレーション)用懸濁液と同等の相対応答(NTUでの濁度値など)を生成し得る。
【0014】
本実施形態に係る比濁測定装置によれば、サンプルの粒子径分布における較正基準または参照基準の粒子径分布からの変化による誤差の導入なしに、低濁度サンプルおよび高濁度サンプルの両方の分析が達成され得る。さらに、本実施形態に係る比濁測定装置によれば、分析に含まれる光路長の個数に関係なく、非比濁散乱光観測者の排除による誤差の低減と、比濁分析検出器の応答を表現するために必要な較正器の個数の減少とが可能になる。
【0015】
重要な注目すべき点として、2つ以上の散乱光路長から懸濁液を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で散乱光を受け取る2つ以上の光検出器の応答の変化と、懸濁媒質中の粒子の濃度の変化とは実質的に同等であり得る。例えば、懸濁液を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で2つ以上の波長の散乱光を受け取る光検出器の感度は、懸濁液中の粒子の濃度の増分変化と実質的に同等であり得る。
【0016】
懸濁媒質を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で散乱光を受け取る光検出器の応答は、一群の非線形方程式から選択される方程式(下記の「式1」参照)に従い得る。
【0017】
【数1】
ここで、「n」は「0」よりも大きい整数であり、「x」は懸濁液の濁度値に相当し、「y」は散乱光検出器の応答に相当し、「an」は較正係数である。
【0018】
懸濁液を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で散乱光を受け取る光検出器の較正係数「an」は、一群の同じ次数の非線形多項式から選択される方程式(上記の「式1」参照)に従い得るものであり、選択された方程式の項数以上の量の1組の光散乱較正器から決定可能である。
【0019】
本実施形態に係る比濁測定装置は、非限定的ではあるが、次の特徴(i)~(iv)を示し得る。
(i)懸濁液を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で2つ以上の散乱光路長から散乱光を受け取る1つ以上の光検出器の最大応答は、散乱光の光路長に依存し得る濁度値で生じ得る。
(ii)1つまたは複数の波長の粒子を含む懸濁液を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で散乱光を受け取る1つまたは複数の光検出器の応答は、1つまたは複数の散乱光路長に対応する比濁検出器応答を引き起こし得る。
(iii)第1の散乱光経路長の懸濁液を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で散乱光を受け取る散乱光検出器の応答に適用されるスカラーは、選択された濁度値での第2の散乱光路長における散乱光検出器の同等の応答をもたらし得る。
(iv)光線経路に沿って伝搬する入射ビームの強度の変動は、2つ以上の散乱光路長の粒子を含む懸濁液を通って伝搬する光のビームから85~110度の比濁角度で散乱光を受け取る光検出器の応答比の変化を引き起こさない。
【0020】
一実施形態において、比濁測定装置は、懸濁液の散乱光値を測定するために設けられてもよい。比濁測定装置は、電磁放射線源、ビームサンプラー、第1電磁放射線検出器、第2電磁放射線検出器、および第3電磁放射線検出器を備えてもよいが、これらに限定されない。第2電磁放射線検出器は、(i)散乱電磁放射線を受け取るように構成されてもよく、(ii)電磁放射線源の出力部の光線経路に対して約85~約110度の角度で方向づけられてもよい。第3電磁放射線検出器は、(i)散乱電磁放射線を受け取るように構成されてもよく、(ii)電磁放射線源の出力部の光線経路に対して約85~約110度の角度で方向づけられてもよい。散乱電磁放射線を受け取る第2電磁放射線検出器および第3電磁放射線検出器に基づいて比濁測定装置によって測定される散乱光値の変化は、低濁度値における懸濁液中の粒子の濃度の変化と実質的に等しくなり得る。
【0021】
一実施形態において、比濁測定装置は、懸濁液の散乱光値を測定するために設けられてもよい。比濁測定装置は、電磁放射線源、ビームサンプラー、ビームサンプラーに隣接(近接)して配置された第1電磁放射検出器、第2の電磁放射検出器、および第3の電磁放射検出器を備えてもよいが、これらに限定されない。第2電磁放射線検出器は、(i)散乱電磁放射線を受け取るように構成されてもよく、(ii)容器の底部に隣接(近接)して配置されてもよく、(iii)電磁放射線源の出力部の光線経路に対して約85~約110度の角度で方向づけられてもよい。第3電磁放射線検出器は、(i)散乱電磁放射線を受け取るように構成されてもよく、(ii)容器の底部に隣接(近接)して配置されてもよく、(iii)電磁放射線源の出力部の光線経路に対して約85~約110度の角度で方向づけられてもよい。散乱電磁放射線を受け取る第2電磁放射線検出器および第3電磁放射線検出器に基づいて比濁測定装置によって決定される散乱光値の変化は、低濁度値における懸濁液中の粒子の濃度の変化と実質的に等しくなり得る。
【0022】
一実施形態において、比濁測定装置は、懸濁液の散乱光値を測定するために設けられてもよい。比濁測定装置は、電磁放射線源、ビームサンプラー、ビームサンプラーに隣接(近接)して配置された第1電磁放射検出器、第2電磁放射検出器、および第3電磁放射検出器を備えてもよいが、これらに限定されない。第2電磁放射線検出器は、(i)散乱電磁放射線波を受け取るように構成されてもよく、(ii)容器の底部に隣接(近接)して配置されてもよく、(iii)電磁放射線源の光線経路に対して約85~約110度の角度で方向づけられてもよい。第3電磁放射線検出器は、(i)散乱電磁放射線波を受け取るように構成されてもよく、(ii)容器の側面に隣接(近接)して配置されてもよく、(iii)(a)電磁放射線源の出力部の光線経路に対して約85~約110度の角度で、且つ、(b)第2電磁放射線検出器に対して実質的に垂直に、方向づけられてもよい。散乱電磁放射線を受け取る第2電磁放射線検出器および第3電磁放射線検出器に基づいて比濁測定装置によって測定される散乱光値の変化は、低濁度値における懸濁液中の粒子の濃度の変化と実質的に等しくなり得る。
【0023】
一実施形態において、比濁測定装置は、懸濁液の散乱光値を測定するために設けられてもよい。比濁測定装置は、第1の波長で電磁放射線を放出する第1電磁放射線源と、第2の波長で電磁放射線を放出する第2電磁放射線源と、第1電磁放射線源および第2電磁放射線源の出力部の光線経路に対して85~110度の比濁角度で散乱光を受け取るように構成された電磁放射線検出器とを備えてもよいが、これらに限定されない。第1の波長および第2の波長の電磁放射線を受け取る電磁放射線検出器に基づく比濁測定装置によって測定される散乱光値の変化は、懸濁液中の粒子の濃度の変化と実質的に等しくなり得る。
【0024】
一実施形態において、懸濁液の散乱光値を測定するために比濁測定装置を実装することができる。比濁測定装置は、バイアル(容器)、発光体、ビームサンプラー、第1光検出器、第2光検出器、レンズ、視野絞り、光トラップ面、および暗基準面(dark reference surface)を備えてもよいが、これらに限定されない。バイアル(容器)は、懸濁液の封入のために設けられてもよい。発光体は、第1の光線経路に沿って懸濁液を通して所定の波長の光ビームを投射するように構成されてもよい。ビームサンプラーは、光ビームの一部を参照光検出器に方向転換させる(向け直す)ように構成されてもよい。第1光検出器は、第1の散乱光経路長を有する散乱光を受光するように構成されてもよく、懸濁液を通って伝搬する光ビームの第1の光線経路に対して85~110度の比濁角度に配置されてもよい。第2光検出器は、第2の散乱光経路長を有する散乱光を受光するように構成されてもよく、懸濁液を通って伝搬する光ビームの第1の光線経路に対して85~110度の比濁角度に配置されてもよい。レンズは、懸濁液内に第2光検出器の像を形成するように第2光検出器とバイアルとの間に配置されてもよい。視野絞りは、レンズと第2光検出器との間に配置されてもよい。視野絞りは、入射光ビームが界面を通って伝搬する際に入射光ビームからの光散乱を排除するように第2光検出器の像の視野角を制限し得る開口(アパーチャ)を有してもよい。光トラップ面は、懸濁液によって散乱されない光ビームのエネルギーを減衰させるように構成されてもよい。第1の散乱光路長上の散乱光を受光する第1光検出器と、第2の散乱光路長上の散乱光を受光する第2光検出器とに基づいて比濁測定装置によって測定される散乱光値の変化は、懸濁液中の粒子の濃度の変化と実質的に同等であり得る。
【0025】
一実施形態において、比濁測定装置は、懸濁液の散乱光値を測定するために用いられてもよい。比濁測定装置は、バイアル(容器)、発光器、ビームサンプラー、第1光検出器、および第2光検出器を備えてもよいが、これらに限定されない。バイアル(容器)は、懸濁液を収容するように構成されてもよい。発光体は、第1の光線経路に沿って懸濁液を通して所定の波長の光ビームを投射するように構成されてもよい。ビームサンプラーは、光ビームの一部を参照検出器に向けるように構成されてもよい。第1光検出器は、第1の散乱光経路長を有する散乱光を受け取ることができ、懸濁液を通って伝搬する光ビームの第1の光線経路に対して85~110度の比濁角度で配置されてもよい。第2光検出器は、第2の散乱光経路長を有する散乱光を受け取ることができ、懸濁液を通って伝搬する光ビームの第1の光線経路に対して85~110度の比濁角度で配置されてもよい。第1の散乱光路長上の散乱光を受光する第1光検出器と、第2の散乱光路長上の散乱光を受光する第2光検出器とに基づいて比濁測定装置によって測定される散乱光値の変化は、懸濁液中の粒子濃度の変化と実質的に同等であり得る。
【0026】
一実施形態において、比濁測定装置は、懸濁液の散乱光値を測定するために設けられてもよい。比濁測定装置は、バイアル(容器)、第1発光体、第2発光体、ビームサンプラー、光検出器、レンズ、視野絞り、光トラップ面、および暗基準面を備えてもよいが、これらに限定されない。バイアル(容器)は、懸濁液の封入のために設けられてもよい。第1発光体は、懸濁液を通して第1の光線経路に沿って第1の波長で第1の光ビームを投射するように構成されてもよい。第2発光体は、懸濁液を介して第1の光線経路に沿って第2の波長で第2の光ビームを投射するように構成されてもよい。ビームサンプラーは、第1の光ビームおよび第2の光ビームの一部を参照光検出器に方向転換させる(向け直す)ように構成されてもよい。光検出器は、(i)第1の光ビームおよび第2の光ビームから散乱光を受け取るように構成されてもよく、(ii)第1の光線経路に対して85~110度の比濁角度で配置されてもよい。レンズは、懸濁液内に光検出器の像を形成するために、光検出器とバイアルとの間に配置されてもよい。視野絞りは、レンズと光検出器との間に配置されてもよい。視野絞りは、入射光ビームからの光散乱を排除するように光検出器の像の視野角を制限する開口(アパーチャ)を有してもよい。光トラップ面は、懸濁液によって散乱されない第1の光ビームおよび第2の光ビームのエネルギーを減衰させるように構成されてもよい。第1の光ビームからの散乱光および第2の光ビームからの散乱光を受光する光検出器に基づいて比濁測定装置によって測定される散乱光値の変化は、懸濁液中の粒子の濃度の変化と実質的に等しくなり得る。
【0027】
一実施形態において、比濁測定装置は、懸濁液の散乱光値を測定するために設けられてもよい。比濁測定装置は、バイアル(容器)、広帯域発光体、散乱光検出器、レンズ、視野絞り、第1帯域通過フィルタ、および第2帯域通過フィルタを備えてもよいが、これらに限定されない。バイアル(容器)は、懸濁液の封入のために設けられてもよい。広帯域発光体は、サスペンションを介して第1の光線経路に沿って光線を投射するように構成されてもよい。散乱光検出器は、散乱光を受け取るように構成されてもよく、懸濁液を通って伝搬する光ビームの第1の光線経路に対して85~110度の比濁角度で配置されてもよい。レンズは、懸濁液内に散乱光検出器の像を形成するように散乱光検出器とバイアルとの間に配置されてもよい。視野絞りは、レンズと散乱光検出器との間に配置されてもよい。第1の帯域通過フィルタおよび第2の帯域通過フィルタは、それぞれ視野絞りと散乱光検出器との間に配置されてもよい。第1の帯域通過フィルタは、第1の波長の散乱光を通過させるように構成されてもよい。第2の帯域通過フィルタは、第2の波長の散乱光を通過させるように構成されてもよい。懸濁液を通って伝搬する光ビームからの2つ以上の波長の散乱光を受け取る散乱光検出器に基づく比濁測定装置によって測定される散乱光値の変化は、懸濁液中の粒子の濃度の漸進的変化に対して、粒子の低濃度において実質的に等しくなり得る。
【0028】
本発明は、装置(デバイス)、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)において具現化され得る。さらに、本発明は、コンピュータ使用可能媒体上またはコンピュータ可読媒体上のコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。当該媒体は、命令実行システムによる使用、または、該命令実行システムに関連した使用のために媒体に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードまたはコンピュータ可読プログラムコードを有する。一実施形態において、本発明は、非一時的なコンピュータ可読媒体として具現化され得る。本明細書の文脈において、「コンピュータ使用可能媒体(computer-usable medium)」または「コンピュータ可読媒体(computer-readable medium)」には、命令実行システム、命令実行装置、若しくは命令実行デバイスによって使用するか、又は、これらに関連して使用するために、プログラムを格納、保存、通信、伝搬、または転送することができる任意の媒体が含まれ得るが、これらに限定されるものでない。
【0029】
コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置、デバイス、または伝搬媒体であってもよいが、これらに限定されない。
【0030】
[用語]
以下の用語説明において引用符が付された用語および語句は、文脈の中で別途明示されていない限り、当該用語説明で定義された意味を有することが意図されており、このことは、本明細書全体および特許請求の範囲に適用される。さらに、ここで述べられる定義は、単語またはフレーズの文法上の形式に関係なく、定義された単語またはフレーズの単数形および複数形のバリエーションに適用される。
【0031】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「又は(若しくは、或いは)」という用語は、排他的であることを意味するものではなく、むしろ、この用語は包括的であり、「どちらか一方、又は、両方」を意味する。
【0032】
本明細書における「一実施形態」、「別の実施形態」、「好ましい実施形態」、「代替の実施形態」、「一変形例」、「変形例(バリエーション)」、および同様の語句への言及は、これらの実施形態または変形例に関連して説明された特定の構成、特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態または変形例に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所で使用される「一実施形態において」、「一変形例において」という語句、または同様の語句は、必ずしも同じ実施形態または同じ変形例を指すことを意味するものではない。
【0033】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「接続」又は「結合」という用語は、特定された要素、部品(コンポーネント)、または物体(オブジェクト)間の間接的または直接的な物理的接続(物理的結合)を指す。多くの場合、接続(結合)の方法は、特に、2つの結合された要素が相互作用する方法に関係する。
【0034】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「直接接続」又は「直接結合」という用語は、他の部品(コンポーネント)、または物体(オブジェクト)が介在しないような、特定された要素、部品(コンポーネント)、または物体(オブジェクト)間の物理的接続(物理的結合)を指す。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「約(approximately)」という用語は、与えられた値のプラスマイナス10%を指す。
【0036】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「概ね(about)」という用語は、与えられた値のプラスマイナス20%を指す。
【0037】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「概して」および「実質的に」という用語は、「ほとんど」、「大部分」、または「ほぼ」を意味する。
【0038】
左、右、底、頂、上、下、垂直(鉛直)、水平、後、前、横(側)などの方向および/または位置関係を示す用語は、相互に関連しており、該当する要素または物品の特定の向きに依存するものであり、様々な実施形態の説明を補助するために適宜使用されるものであり、限定的に解釈されることを必ずしも意図されていない。
【0039】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「光検出器(photodetector)」、「光センサー(photosensor)」、「比濁法検出器(nephelometric detector)」、「比濁法観測者(nephelometric observer)」、「観測者(observer)」、「光検出器(light detector)」、「散乱光検出器(scattered-light detector)」、および「電磁放射線検出器(electromagnetic radiation detector)」という用語は、互換的に使用可能であり、光放射または他の電磁放射を検出するように構成された装置(デバイス)を指す。
【0040】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「濁度」、「ヘーズ(曇価)」、「曇り度」、および「散乱光値」という用語は、媒質内の浮遊粒子による標本懸濁液または標準懸濁液の光散乱特性を指す。
【0041】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「ソフトウェア」という用語は、システムの動作に関連するプログラム、処理、規則、命令、および任意の関連ドキュメンテーションを指す。
【0042】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「ファームウェア」という用語は、ハードウェアデバイスに永続的に含まれるコンピュータプログラム、処理、規則、命令、および関連ドキュメンテーションを指し、フラッシュウェア(flashware)であってもよい。
【0043】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「ハードウェア」という用語は、システムの物理的、電気的、および機械的な部分(部品)を指す。
【0044】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「コンピュータ使用可能媒体」または「コンピュータ可読媒体」という用語は、命令実行システム、命令実行装置、または命令実行デバイスによって使用されるか、またはこれらに関連して使用されるプログラムを格納、保存、通信、伝搬、または転送することができる任意の媒体を指す。コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置、デバイス、または伝搬媒体であってもよいが、これらに限定されない。非限定的な一例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を備えてもよい。
【0045】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「信号」という用語は、信号内の情報をエンコードするような方法で設定または変更される1つまたは複数の特性を有する信号を指す。信号を送信する無線手段が設けられてもよく、無線手段は、例えば、Bluetooth、Wi-Fi、音響、RF、赤外線、および他の無線手段を含むが、これらに限定されない。
【0046】
[第1の実施形態に係る比濁測定装置]
図1A図1Dを参照すると、第1の実施形態に係る比濁測定装置100の詳細図が示されている。第1の実施形態に係る比濁測定装置100は、媒質中の懸濁粒子の濃度を測定するために用いられ得る。
【0047】
図1A図1Dに全体的に示されるように、比濁測定装置100は、非限定的ではあるが、電磁放射線源102、ビームサンプラー104、第1光検出器(第1電磁放射線検出器)106、第2光検出器(第2電磁放射線検出器)108、及び、第3光検出器(第3電磁放射線検出器)110を備え得る。比濁測定装置100は、キャップ162を有するバイアル(容器)160内に保存(格納)されたサンプル(標本)150中の浮遊粒子の濃度を測定するために用いられ得る。第1光検出器106は、参照光検出器として用いられ得る。光検出器106、108、110のそれぞれは、電磁放射線源102によって生成された電磁放射線を検出するように構成され得る。
【0048】
電磁放射線源102は、発光ダイオード(発光体)であってもよい。比濁測定装置100の入射ビームは、2.5度以下の発散に制限されつつ発光体(電磁放射線源)102から発する電磁放射線のコリメーション(視準)から構成され得る。入射ビームの波長は、しばしば、特定の用途のための規制要件または標準的な慣行によって決定され得る。飲料水中の特定の物質を測定するために、米国環境保護庁(USEPA)の様々な方法では、入射ビームが400~700nmの可視スペクトル内の波長で構成されることが優先的に要求される。一方、ISO7027メソッドへの準拠では、入射ビームが830~890nmの近赤外線波長で構成されている必要がある。他の規制要件によっても、散乱光検出器によって規定される収集角度と、調査ビームの光線経路に対する測定角度とが規定される。飲料水の規制遵守のために、通常、入射ビームの光線経路に対して90度を中心とする比濁角度が指定される。他の規制および非規制の用途のうち、散乱光の分析には85~110度の比濁角度が適切であり、懸濁媒質中のさまざまなサイズの粒子に無関心であるという特性が共有される。
【0049】
図1Bに示されるように、対象となる波長(例えば、所定の波長)からなる光は、発光体102から放射され、第1の光線経路111に沿って伝わることができる。発光体102からの放射光は、ビームサンプラー104の凸状光学面104aでの屈折によって視準が合わせられ得る(コリメートされ得る)。凸状光学面104aは、対象の波長の少なくとも一部を透過し得る光学材料(例えば、Schott N-BK7)から構成され得る。ビームサンプラー104を通って伝搬する光は、ビームサンプラー104の斜辺104bで部分的に反射され得る。その後、当該反射された光の一部は、内部で光線経路(放射線経路)111aに沿って方向転換され、参照光検出器(第1光検出器)106に入射する。一例において、参照光検出器106は、光学接着剤112によってビームサンプラー104の反対側の面104cに接合(接着)されてもよい。参照光検出器106に入射する光の量は、視準が合わされた(コリメートされた)ビームのパワーに比例し得る。
【0050】
環境の影響または入力電力の変動による発光体102から放射される光の量の変化は、(例えば、参照光検出器106がフォトダイオードである場合に)参照光検出器106で生成される電気信号の変化として特定され得る。参照信号は、該参照信号の変化に比例して散乱光信号を調整することにより、サンプル150の濁度値の特定に適用され得る。ビームサンプラー104の内部において斜辺104bで反射されない光は、第1の入射光線経路111bに沿って屈折されて、サンプル150を通るように方向付けられ得る。サンプル150の容積は、バイアル160およびキャップ162内の容積に制限され得る。バイアル160の円筒形の側面および底部は、対象の波長の少なくとも一部の透過を可能にし、サンプル150を通って伝搬する入射ビームからの散乱光の観察を許容する。典型的には、バイアル160はガラスから製造され得る。例えば、液体媒質の懸濁剤の分析で一般的に使用されるホウケイ酸ガラスが用いられてもよい。
【0051】
第2の光検出器108および第3の光検出器110はそれぞれ、散乱光検出器として用いられ得る。散乱光検出器108,110(第1の散乱光検出器108及び第2の散乱光検出器110)は、バイアル160の透明な底部の下に配置され、第1の入射光線経路111bに沿って並べて配置され、第1の入射光線経路111bに対して約90度の比濁角度で、中心間距離「D」を空けて空間的に離れて配置されてもよい。
【0052】
図1Cを参照すると、比濁測定装置100の正面図が示されている。図1Cには、断面線A-Aが付されている。
【0053】
図1Dを参照すると、図1Cの断面線A-Aに沿った断面図が示されている。第1の光線経路111、第2の光線経路113、第3の光線経路115、第1の入射光線経路111b、第2の入射光線経路113b、第3の入射光線経路115b、第1の散乱光線経路113c、および第2の散乱光線経路115cが示されている。注目すべきは、第1の光線経路111と同様に、第2の光線経路113および第3の光線経路115の一部は、参照光検出器106に向かって方向転換され得ることである。第2の入射光線経路113bおよび第3の入射光線経路115bに沿ってサンプル150を透過した光線が、サンプル150内の粒子114、116との遭遇により光散乱にさらされると、入射光の少なくとも一部は、第1の散乱光線経路113cおよび第2の散乱光線経路115cに沿って散乱され得る。第2の散乱光線経路115cに沿って第1の散乱光検出器108によって受け取られる散乱光は、第1の散乱光線経路113cに沿って第2の散乱光検出器110によって受け取られる散乱光の経路長よりも短い経路長を有し得る。散乱光の経路長(散乱光路長)は、散乱光がサンプル150内を移動して散乱光検出器108,110の1つに衝突するまでの総距離として定義され得る。
【0054】
また、図1Dに、光散乱勾配の仮想ゾーン(A、B、およびC)が示されている。光がサンプル150を通って伝搬するとき、光は曲がりくねった経路に沿って散乱され、入射ビームの強度を減少させる。ゾーンAは、ゾーンBおよびゾーンCと比較して、分散経路長が短いゾーンである。入射ビームの強度は、光の散乱により、入射ビームがゾーンAからゾーンCへ伝搬するにつれて減少し得る。サンプル150内の粒子の濃度が増加するにつれて、散乱光検出器108,110の応答は、実質的に同じ速度で増加し得る。第1の散乱光路長L1および第2の散乱光路長L2のそれぞれについての図5のグラフに示されるように、散乱光検出器108,110は、低い濁度値に対して実質的に同じ感度を有することを特徴とし得る。サンプルの濁度がさらに増加すると、散乱光検出器108,110ごとに最大濁度値に達することができ、これよりもさらにサンプル150の濁度が増加すると、散乱光検出器108,110の応答が低下する可能性がある。
【0055】
散乱光検出器108,110の最大応答は一意的であってもよい。散乱光路長に沿って散乱光を受け取る比濁検出器の応答は、短い散乱光路長の比濁検出器の応答と比較して、より大きな信号値を生成し、より低い濁度値で最大応答に達することができる。本発明の実施において自明ではないが、比濁散乱光検出器の応答は、散乱光の光路長に関係なく、一群の非線形方程式に対する懸濁媒質の濁度と強い相関関係で説明され得る。ここで、下記の非線形方程式(「式13」の一般式など)において、「x/y」は多項式に相当する。下記の非線形方程式において、「n」は「0」よりも大きく、「x」は濁度値に相当し、「y」は検出器の応答に相当し、「an」は較正係数である。本発明のイノベーションにおける原則として、本明細書には、1次、2次、およびn次の比濁応答式が次のように開示される。
【0056】
【数2】
【0057】
【数3】
【0058】
【数4】
【0059】
異なる散乱光路長の散乱光を受け取る1つまたは複数の比濁分析検出器の較正係数「an」は、同じ次数の非線形多項式(式13)のグループから選択された式に従って、共通の特性応答をもたらす。これは、 選択された式の項数以上の量の1組のキャリブレータ(較正器)から特定可能である。
【0060】
一実施例において、非線形の一次多項式(式11)は、サンプルの準線形濁度範囲における比濁分析の検出器応答を特性評価するのに有用であり、二次多項式(式12)または高次多項式(式13)は、 準線形濁度範囲を超える濃度に対する比濁分析検出器応答の特性評価により適している。準線形濁度範囲は、24mmバイアル(容器)内に収容されて白色発光ダイオード(LED)から放射される光のビームによって調べられるサンプルについての、100NTU以下の比濁法濁度単位(NTU)の値としてさらに説明される。応答曲線を説明する際に使用される式の次数は、応答関数の係数を定義するために必要な較正点または較正器の最小数に直接関係する。2次式の場合、式の係数を定義するには、少なくとも3つの較正点が必要である。「式12」の最大応答(ピーク応答)の発生は、次の「式14」に示される。
【0061】
【数5】
【0062】
散乱光検出器108,110の応答曲線の交点は、サンプル150の濁度値の報告における基準として有用であり得る。散乱光検出器108,110の応答曲線の交点以上の報告された濁度値は、第2の散乱光検出器(例えば、長光路長検出器)110の応答の代わりに、第1の散乱光検出器(例えば、短光路長検出器)108の応答から特定され得る。懸濁媒質を通って伝搬する光のビームから85~110度の比濁角度で散乱光を受け取る散乱光検出器108,110の感度は、低濁度値での懸濁媒質中の粒子の濃度の増分変化と実質的に同等であり得る。したがって、応答曲線の交点を調整することは、第1の散乱光検出器108と第2の散乱光検出器110とのゲインの差の制御、又は、サンプル150の濁度値の報告に利用される散乱光経路長の選択のために有用であり得る。異なる光路長の1つまたは複数の比濁分析検出器の応答と散乱光の量との交点は、他方の応答曲線に対する一方の応答曲線に適用されるスケーリング (またはゲイン係数) の積として選択される濁度値に調整可能である。スケーリング係数は、2つ以上の分散光路長の最低ピーク濁度値未満の値で選択される濁度値で評価される2つの応答曲線の比率によって特定され得る。
【0063】
比濁測定装置100は、単一の光線経路に沿ってサンプル150を通って伝搬するビームから異なる散乱光経路長のターバリー(turbaries)の散乱光を受け取る2つ以上の比濁法観察器(例えば、光検出器)の動作の共通モードを有する。図1Bの入射光線経路111bに沿って散乱光検出器108,110を配置することによって、改良が実現され得る。ここで、散乱光を受け取る各散乱光検出器は、バイアル160およびサンプル150を通って伝搬する光ビームの強度の比例的変化にさらされる。光ビームの強度の変化は、バイアル160とサンプル150のばらつきの結果である可能性がある。バイアル160のばらつきには、入射ビームの光線経路に対するバイアル160の位置、バイアル160の材料の欠陥(例えば、線条)、バイアル160の壁内の気泡および封入物、傷、指紋、ほこり、汚れなどの表面異常などが含まれ得るが、これらに限定されない。サンプル150のばらつきには、懸濁媒質中の粒子の重量成層、異なる速度での異なる比重の懸濁媒質中の粒子の沈殿、及び/又
は、混合によりサンプルに導入された気泡による干渉などが含まれ得るが、これらに限定されない。入射ビームの強度の変化は、2つ以上の散乱光路長のサンプル内の懸濁剤からの散乱光を受け取る1つ以上の比濁分析検出器に共通の影響を与える可能性があり、種々の入射ビームの共通性により、光路長に関係なく、濁度値のほぼ一致した特定が可能になる。対照的に、1つ以上の別個の放射体からの別個の光線経路の2つ以上の入射ビームに沿って実行される分析では、2つの異なる光線経路に沿った入射ビームの強度の違いにより、報告される2つの濁度値の間で不一致が生じやすくなる。
【0064】
[第2の実施形態に係る比濁測定装置]
懸濁媒質中の粒子濃度の分析において低い量子化限界を達成するために、比濁観測者は、濃度の増分変化に対する応答(反応)を無関係な応答(反応)から区別できなければならない。光応答に関係のない散乱光検出器の応答(反応)はノイズである。入射ビームからのサンプルの光散乱とは無関係の応答を引き起こす散乱光検出器に衝突する光は、迷光である。迷光応答の原因には、サンプル内の入射ビームの観察範囲を超える散乱光検出器の視野と、散乱光検出器の視野内の外部光または周囲光の存在とが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
図2A図2Bを参照すると、第2の実施形態に係る比濁測定装置200の詳細図が示されている。第2の実施形態に係る比濁測定装置200は、迷光を軽減して低い量子化限界を達成するように構成され得る。図2Aを参照すると、比濁測定装置200の側面図が示されている。図2Bを参照すると、比濁測定装置200の底面図が示されている。
【0066】
全体的に示されるように、比濁測定装置200は、電磁放射線源202、ビームサンプラー204、第1の光検出器(または光検出器)206、第2の光検出器(または光検出器)208、 レンズ210、視野絞り212、第3の光検出器(または光検出器)214、球体216、および光トラップ218を備え得るが、これらに限定されない。比濁測定装置200は、キャップ262を有するバイアル(容器)260内に格納されたサンプル250中の浮遊粒子の濃度を測定し、迷光を軽減するように構成され得る。
【0067】
第1の光検出器206は、参照光検出器として用いられ得る。第2の光検出器208および第3の光検出器214はそれぞれ、散乱光検出器(第1の散乱光検出器208及び第2の散乱光検出器214)として用いられ得る。光トラップ218は、入射ビーム光トラップとして用いられ得る。球体216は暗基準面として用いられ得る。
【0068】
第1の光線経路211、第2の光線経路213、第3の光線経路215、第1の入射光線経路211b、第2の入射光線経路213b、第3の入射光線経路215b、第1の散乱光線経路215c、および第2の散乱光線経路213cが示されている。注目すべきは、第1の光線経路211と同様に、第2の光線経路213および第3の光線経路215の一部は、参照光検出器(第1の光検出器)206に向かって方向転換され得ることである。第2の入射光線経路213bおよび第3の入射光線経路215bに沿ってサンプル250を透過した光線が、サンプル250内の粒子220,222との遭遇による光散乱にさらされると、入射光の少なくとも一部は、第1の散乱光線経路215cおよび第2の散乱光線経路213cに沿って散乱され得る。
【0069】
レンズ210、視野絞り212、第2の散乱光検出器(第3の光検出器)214、および球体216は、(i)第2の入射光線経路213bに対して85~110度の比濁角度で光軸223に沿って、且つ、(ii)第1の散乱光検出器(第2の光検出器)208に直交するように、位置合わせされ得る。レンズ210は、第2の散乱光検出器214のアクティブ領域の像をバイアル260の中心に投影し得る。第2の散乱光検出器214およびバイアル260に対するレンズ210および視野絞り212の位置および直径は、界面での光散乱を排除するように第2の散乱光検出器214の映像の画角を制限し得る。その結果、バイアル260およびサンプル250を通って伝搬する入射ビームは、屈折率の変化を受け、入射ビームの光散乱を引き起こしている。第2の入射光線経路213bに沿った入射ビームとサンプル250との相互作用による光散乱は、比濁分析光線経路(第2の散乱光線経路)213cに沿って第2の散乱光検出器214に衝突され得る。
【0070】
球体216の暗基準面216bは、対象の波長に対して吸収性を有し、暗基準面216bに衝突する吸収されていない残留光の複数の内部反射によって、サンプル250からの迷光または散乱光から球体の開口(アパーチャ)216aに入る光を減衰させるように作用し得る。暗基準面216bの表面組成、構造、および仕上げは、球体の開口216aに入る光を減衰させるために、多種多様な材料および表面特性から選択され得る。例えば、黒色のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂で構成された半研磨球面が用いられてもよい。暗基準面216bの吸収率は、レンズ210および視野絞り212を通して第2の散乱光検出器214によって観察されるように、表面照度を必要な量子化限界未満に低減するように選択され得る。球体216の開口(球体アパーチャ)216aの直径は、周辺光線221a,221b,221cとして示されるように、視野絞り212の像を取り囲むのに実用的で十分な程度に小さく維持され得る。サンプル250の懸濁媒質中に光散乱粒子が存在しない場合、第2の散乱光検出器214の信号は、迷光および暗基準面216bの表面輝度(表面放射輝度)の結果である可能性がある。迷光が十分に低いことを保証するために、光トラップ218は、第1の入射光線経路211bに沿ってバイアル260およびサンプル250を通る入射ビームの伝搬から散乱されない光を吸収して、バイアル260に接する表面への光の再入射を防止し得る。
【0071】
図示のように、光トラップ218は、2つ以上の光吸収面を有し得る。第1の入射光線経路211bに沿って光トラップアパーチャ(光トラップ開口)218aに入る光は、図2Aに示されるように、光吸収面218b,218c,218dに順次伝搬し得る。光吸収面218bで吸収されない残りの光は、第1の反射光線経路211cに沿って光吸収面218cに向けて方向づけられ得る。続いて、光吸収面218cで吸収されない光は、第2の反射光線経路211dに沿って光吸収面218dに向けて方向づけられ得る。光吸収面218dで吸収されない残りの光は、反射光線経路211d,211cに沿って後方に反射され、バイアル260に接する表面への光の再入射を実質的に防止し、迷光が散乱光検出器208,214に衝突するのを防止し得る。光トラップ218の表面の組成、構造、および仕上げは、光トラップアパーチャ218aに入る光を減衰させるために、多種多様な材料および表面特性から選択され得る。一例において、半研磨された黒色のABS樹脂からなる平面が設けられ得る。光トラップ218の表面(すなわち、光吸収面218b,218c,218d)の吸収率は、反射光の量を10%未満に制限するように選択されてもよい。この結果、吸収されずに第1の入射光線経路211bに沿って後方に反射される光の量は、光トラップ218に入射した光の約0.10倍(または約1/10,000)に減少され得る。光トラップ218の表面(すなわち、光吸収面218b,218c,218d)の吸収率は、光トラップ218の表面に衝突する光の各入射について、入射角での表面の反射率の積に従って、光トラップ218の減衰に影響を与え得る。
【0072】
散乱光検出器208,214は、サンプル250の濁度値の変化に対して、第1の実施形態の散乱光検出器108,110について説明した比濁分析の応答および感度と同じ特性を有し得る。散乱光検出器208,214は、それぞれ懸濁液中の粒子220,222との遭遇から散乱光線経路213c,215cに沿って散乱された光を受け取ることができる。散乱光路長に関わらず、懸濁媒質を通って伝搬する光ビームからの散乱光検出器208,214の応答は、一群の非線形方程式との相関において、懸濁媒質の濁度と強い関係で説明され得る。一群の非線形方程式において、「x/y」は、前述の「式13」の形式における多項式に相当する。
【0073】
図2C図2Eを参照すると、第2の実施形態に係る比濁測定装置200がハウジング270内に示されている。ハウジング270は、比濁測定装置200の構成要素(部品)を組み立てるための構造の一例であり、これに限定することを意図されていない。ハウジング270は、その変形例として、本明細書に記載された比濁測定装置のそれぞれを収容するように適宜変更され得る。図2Cを参照すると、ハウジング270の上面図が示されている。図2Dを参照すると、ハウジング270およびバイアル260の側面図が示されている。図2Dは、断面線B-Bをさらに含む。図2Eを参照すると、断面線B-Bに沿ったハウジング270の断面図が示されている。図2C図2Eを全体的に参照すると、ハウジング270は、その内部に収容された比濁測定装置200の構成要素と結合するように構成され得る上側部材272および下側部材274を備え得る。ハウジング270は、ビームサンプラー取付部276、電磁放射線源取付部278、半球体280、光トラップ取付部282、散乱光検出器取付部284、バイアル収容部286、フィールドレンズ(視野レンズ)288、及びフィールドレンズ取付部(視野レンズ取付部)290を更に備え得る。ただし、フィールドレンズ288およびフィールドレンズ取付部290がハウジング270から取り外し可能に構成された変形例も考えられる。例えば、発光体(電磁放射線源)202がレーザーダイオードである場合である。場合によっては、フィールドレンズ取付部290は、フィールドレンズ288がフィールドレンズ取付部290に取り付けられていないとき、アパーチャ(またはバッフル)として使用されてもよい。一例において、フィールドレンズ取付部290は、フィールドレンズ288がハウジング270内に向けて設置される場合、取り除かれてもよい。フィールドレンズ取付部290は、フィールドレンズ288を入射ビーム内の中心に置くように構成されてもよい。フィールドレンズ288は、ビームの範囲が光トラップアパーチャ218a内に収まるようにビームの発散を低減するように構成されてもよい。
【0074】
図示のように、ハウジング270は、図2A図2Bを参照して上述したように比濁測定装置200の構成要素を配置するように構成され得る。なお、同様のハウジングが、図1A図1Dに示すような第1の実施形態に係る比濁測定装置100の構成要素を構成するために用いられてもよい。さらに、同様のタイプのハウジングが、第1の実施形態および第2の実施形態の比濁測定装置100,200と同様に、以下に説明される実施形態の構成要素を構成するために用いられてもよい。
【0075】
[第3の実施形態に係る比濁測定装置]
本発明の他の実施形態によれば、85~110度の比濁角度で懸濁媒質を通って伝搬する光ビームからの異なる経路長の散乱光を受け取る散乱光検出器の感度は、低い濁度値で実質的に同じであり、懸濁媒質の異なる濁度値で最大応答に達する。光散乱理論によれば、懸濁媒質中の粒子サンプルを伝搬するビームからの散乱光の経路長は、入射光の波長と粒子のサイズに依存する。また、入射ビームの光線経路に対して85~110度で散乱する光は、懸濁媒質内の粒子のサイズにほとんど依存しないことも知られている。
【0076】
比濁分析観測者に衝突する散乱光の波長の変化に対する比濁分析観測者の応答は、懸濁媒質中の粒子の光散乱特性、懸濁媒質の吸収、および比濁分析観測者に対する波長応答に依存する。水性媒質中の粒子の分析における一次標準として、ホルマジンベースの懸濁剤は単一の粒子サイズではなく、0.1~10マイクロメートルの範囲であり、飲料水中の病原体の対象となる粒子サイズに一致する。ホルマジンの波長依存性は、λ-2にほぼ等しく、レイリー散乱とミー散乱の光散乱理論の領域に収まる。換言すれば、ホルマジン懸濁液の散乱光路長は、散乱光の波長が長くなるほど短くなり、波長が短くなるほど長くなる。例えば、波長660nmの光では、波長470nmの光に比べて、散乱光路長が約半分になる。
【0077】
前述の実施形態の原理と一致するのは、懸濁媒質を通って伝搬する光のビームから85~110度の角度で比濁法観測者によって受け取られる散乱光の量であり、懸濁媒質内の粒子濃度の変化に対する観測者の応答(反応)は、次の(i)~(iv)の通りである。
(i)異なる散乱光路長の2つ以上の比濁観測について、低濁度値において実質的に同等であってもよい。
(ii)一群の非線形方程式から選択される式に従ったものであってもよい。非線形方程式において、「x/y」は、上記の「式13」の形式の多項式に相当する。ここで、「n」は「0」よりも大きい整数であり、「x」は懸濁媒質の濁度値に相当し、「y」は比濁検出器の応答に相当し、「an」は較正係数である。
(iii)異なる散乱光路長で異なる濁度値で最大応答に達してもよい。
(iV)異なる散乱光路長の観測者に対して同等の応答値にスケーリング可能(scalable)である。
【0078】
図2A図2Bを参照すると、第3の実施形態に係る比濁測定装置300の詳細図が示されている。第3の実施形態の比濁測定装置300は、散乱光検出器が、一致する光線経路に沿って懸濁媒質を通って伝搬する2つ以上の異なる波長からなる光ビームから2つ以上の経路長の光散乱を受け取るように構成され得る。光散乱は、異なる時間間隔で、第1の経路長の第1の波長および第2の経路長の第2の波長の散乱光検出器に衝突し得る。2つ以上の散乱光経路長から散乱光を受け取る1つ以上の散乱光検出器は、散乱光検出器に衝突する散乱光波長の選択から達成され得る。図示されるように、比濁測定装置300は、第1の電磁放射線源301、第2の電磁放射線源302、ビームサンプラー304、第1の光検出器(または光検出器)2、第2の光検出器( または光検出器)308、レンズ310、視野絞り312、球体316、および光トラップ318を備え得るが、これらに限定されるものでない。第1の電磁放射線源301および第2の電磁放射線源302は、発光ダイオード(発光体)で構成されてもよい。第1の光検出器306は、参照光検出器として設けられてもよい。第2の光検出器308は、散乱光検出器として設けられてもよい。レンズ310、視野絞り312、球体316、および光トラップ318は、第2の実施形態の構成要素と同様に設けられてもよい。
【0079】
第1の発光体(第1の電磁放射線源)301は、第1の光線経路320に沿って放射することができ、第2の発光体(第2の電磁放射線源)302は、第2の光線経路322に沿って放射することができる。電気制御において、第1の発光体301および第2の発光体302は、第1の光線経路320および第2の光線経路322に沿って異なる時間間隔で光を放出するように選択可能である。第1の発光体301および第2の発光体302からの光は、ビームサンプラー304によって視準が合わされ(コリメートされ)、部分的に反射され得る。部分的に反射されたビームは、第1の反射光線経路320aおよび第2の反射光線経路322aに沿って参照光検出器(第1の光検出器)306に入射し得る。球体316の球体アパーチャの直径は、周辺光線321a,321b,321cとして示されるように、視野絞り312の像を取り囲むのに十分な程度に可能な限り小さく維持され得る。迷光が十分に低いことを保証するために、光トラップ318は、一致する光線経路320b,322bに沿ってバイアル(容器)360およびサンプル350を通過する入射ビームの伝搬から散乱されない光を吸収し、バイアル360接する表面への光の再入射を防止し得る。
【0080】
ビームサンプラー304によって内部反射されない光は、屈折の結果として、一致する光線経路に沿って伝搬し得る。例えば、第1の入射光線経路320bと第2の入射光線経路322bは一致し得る。第1の発光体301および第2の発光体302からの光は、光が放出されない隔離帯域(isolation band)によって隔てられた異なる波長を有し得る。第1の散乱光線経路320cおよび第2の散乱光線経路322cに沿って粒子315から散乱された光の一部は、レンズ310および視野絞り312を通して散乱光検出器(第2の光検出器)308によって受け取られ得る。レンズ310によって形成された散乱光検出器308の像は、光軸323に沿ってサンプル350内に入ることができる。視野絞り312の像(すなわち、レンズ310によって形成される散乱光検出器308の視野の範囲)は、第1の入射光線経路320bおよび第2の入射光線経路322bに対して85~110度の比濁角度で光軸323に沿って球体アパーチャ316aを通って球体316内に入ることができる。サンプル350を通って伝搬する入射ビームの相互作用によって散乱されない光は、光トラップアパーチャ318aを通って光トラップ318に入ることができ、その中の光吸収表面で減衰されて、バイアル360に接する表面を照らす光の再入射を防止し得る。
【0081】
本発明の第3の実施形態は、一人の比濁観測者と1つの入射光線経路からなり、最初の2つ(第1及び第2)の実施形態における空間的に分離された散乱光経路を廃止することによって、共通モード誤差をさらに低減する。バイアル360およびサンプル350を通過する一致する光線経路320b,322bに沿って伝搬する入射ビームは、サンプル350からの光散乱とは関係なく、比濁法観測者と実質的に同じ光学効果を経験し得る。散乱光検出器308は、異なる時間間隔で第1の発光体301および第2の発光体302から放射された一致する光線経路320b,322bに沿って、サンプル350を通って伝搬する異なる波長の各ビームからの散乱光の量の尺度として、異なる経路長の散乱光を識別し得る。懸濁媒質を通って伝搬する光ビームから85~110度の比濁角度で2つ以上の波長の散乱光を受け取る光検出器の感度は、低濃度の粒子では、懸濁媒質中の粒子の濃度の漸進的変化と実質的に同等であり得る。
【0082】
一致する光線経路320b,322bに沿って伝搬する光の波長の選択は、ビームサンプラー304または参照光検出器306の存在に関係なく、本発明の範囲内の様々な代替手段で達成され得る。例えば、波長選択手段は、広帯域発光体およびモノクロメータ、波長可変キャビティ、または、他の波長可変発光体から構成される。
【0083】
[第4の実施形態に係る比濁測定装置]
図4を参照すると、第4の実施形態の比濁測定装置400の底面図が示されている。第4の実施形態の比濁測定装置400は、第2の実施形態および第3の実施形態の比濁測定装置200,300と同様の構成要素を備え得る。
【0084】
図示されるように、比濁測定装置400は、電磁放射線源402、ビームサンプラー404、第1の光検出器(または光検出器)406、第2の光検出器(または光検出器)408、レンズ410、視野絞り412、球体416、光トラップ418、第1のバンドパスフィルタ420、および第2のバンドパスフィルタ422を備え得るが、これらに限定されない。電磁放射線源402は、広帯域発光体(または広帯域発光ダイオード)であってもよい。広帯域発光体(電磁放射線源)402は、第1の光線経路430に沿って放射し得る。第1の光検出器406は、参照光検出器として設けられてもよい。第2の光検出器408は、散乱光検出器として設けられてもよい。
【0085】
図示されるように、光ビームは、第1の光線経路430に沿って広帯域発光体402から放射し得る。該発光体402からの放射光は、ビームサンプラー404の凸状光学面での屈折によって視準が合わされ(コリメートされ)得る。ビームサンプラー404を通って伝搬する光は、ビームサンプラー404の斜辺で部分的に反射され得る。その後、この光の一部は、ビームサンプラー404の内部で光線経路430aに沿って方向転換され、参照光検出器(第1の光検出器)406に入射し得る。光学面の斜辺で内部反射されない光は、入射光線経路430bに沿って屈折されて、サンプル450を通して方向付けられ得る。球体416の球体アパーチャの直径は、周辺光線421a,421b,421cとして示されるように、視野絞り412の像を取り囲むのに十分な程度に可能な限り小さく維持され得る。迷光が十分に低いことを保証するために、光トラップ418は、入射光線経路430bに沿ってバイアル(容器)460およびサンプル450を通過する入射ビームの伝搬から散乱されない光を吸収し、バイアル460に接する表面への照射を引き起こす光の再入射を防ぐことができる。
【0086】
散乱光線経路430cに沿って粒子415から散乱された光の一部は、レンズ410、視野絞り412、および一方のバンドパスフィルタ420,422を通して、散乱光検出器308によって受け取られ得る。レンズ410によって形成された散乱光検出器(第2の光検出器)408の像は、光軸423に沿ってサンプル450内に入ることができる。視野絞り412の像(すなわち、レンズ410によって形成される散乱光検出器408の視野の範囲)は、入射光線経路430bに対して85~110度の比濁角度で光軸423に沿って球体アパーチャ416aを通って球体416内に入ることができる。
【0087】
散乱光検出器408は、2つ以上の散乱光経路長のサンプル450を通って伝搬する広帯域光の入射ビームから、2つ以上のバンドパスフィルタ420,422を約85~110度で透過した散乱光を受け取ることができる。一例において、広帯域発光体は、450~700nmの可視スペクトルの光を放出する白色光LEDであってもよい。注目すべきは、バンドパスフィルタの中心波長の間隔が大きいほど、散乱光の光路長の差が大きくなる。バンドパスフィルタ420,422を透過した散乱光は、異なる時間間隔で散乱光線経路430cに沿って散乱光検出器408に衝突し得る。バンドパスフィルタ420,422を透過しない光は、散乱光が散乱光検出器408に衝突するのを防ぐように吸収および/または排除され得る。
【0088】
第1のバンドパスフィルタ420が位置420aに移動され、第2のバンドパスフィルタ422が散乱光検出器408の前の第1のバンドパスフィルタ420の位置に置き換わるとき、散乱光検出器408に衝突する散乱光は、第1のバンドパスフィルタ420を通過する長い散乱光路長と、第2のバンドパスフィルタ422を通過する短い散乱光路長との尺度であり得る。フィルタ位置の交換は、様々な機械的手段で行われてもよい。例えば、フィルタ420,422は、回転ホイール内に取り付けられて、所定の位置へ回転されてもよい。別の例において、フィルタ420,422は、所定の位置へ直線的に移動するスライド式キャリッジ内に取り付けられてもよい。さらに別の例において、散乱光の波長選択は、モノクロメータによって達成されてもよい。
【0089】
散乱光線経路430cに沿って伝搬する広帯域散乱光の異なる波長の同時測定が、例えば、波長選択ピクセルの配置または積み重ねられた波長選択半導体光接合で構成されるポリクロメーターまたはカラー光センサーを介して、本発明の範囲内の代替手段によって達成され得ることも、当業者によって容易に理解される。懸濁媒質を通って伝搬する光のビームから85~110度の比濁角度で2つ以上の波長の散乱光を受け取る光検出器の感度は、低粒子濃度において、実質的に懸濁媒質中の粒子の濃度の増分変化に等しい。
【0090】
[代替の実施形態および変形例]
添付の図面に示され且つ/又は上述された様々な実施形態およびその変形例は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意味するものではない。本開示の利点を考慮すれば、当業者には明らかなように、本発明の多数の他の変形例が企図されていることを理解されたい。添付の特許請求の範囲に読める本発明のすべての変形例は、本発明の範囲内にあることが意図され、企図される。上述の実施形態は、1つまたは2つの散乱光検出器を有する例として考えられているが、本発明の範囲を超えない限り、2つ以上の散乱光検出器が設けられてもよいことを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4
図5