(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】男性用ワンピース
(51)【国際特許分類】
A41D 1/14 20060101AFI20240724BHJP
A41D 1/02 20060101ALI20240724BHJP
A41D 1/22 20180101ALN20240724BHJP
【FI】
A41D1/14 Z
A41D1/02 Z
A41D1/22 A
(21)【出願番号】P 2024072231
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2024040858の分割
【原出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-04-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521134260
【氏名又は名称】株式会社 Lucky SKY
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦忠
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-059408(JP,U)
【文献】特開2016-089318(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191995(JP,U)
【文献】実開昭53-135712(JP,U)
【文献】実開平04-029609(JP,U)
【文献】blurorange,blurorange ロング丈ワンピース ブラック ,日本,2019年02月08日,https://blurorange.jp/SHOP/18-op-0301b.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/02
A41D 1/14
A41D 1/22
A41B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性用ワンピースであって、
胸の膨らみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であり、
ウエスト回りが胸回りよりも絞られており、
男性の立小便用のファスナーが備えられた男性用ワンピースであって、
前記ファスナーは股間部前方から裾の下端まで開閉可能に設けられており、
股間部前方のファスナー上端は分離可能ではない固定端であり、ファスナーを開く際に下から上ではなくは上から下に向かってスライドさせ、下端までスライドさせると左右に分離して開くように構成されたファスナーである男性用ワンピース。
【請求項2】
ヒップ回りがウエスト回りよりも膨らんでいる請求項1に記載の男性用ワンピース。
【請求項3】
着丈(洋服の後ろの首の付け根(バックネックポイント)から裾までの長さを言う。以下同じ。)が想定される利用者の身長に対して60%から100%である請求項1又は請求項2に記載の男性用ワンピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性が着用するのに適したワンピースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワンピースは男性が着用するために作られていなかった。したがって、男性がワンピースを着用したいという願望を持っていて、女性用のワンピースを着用しても体にフィットするものがなかった。特に女装趣味ではない男性が着用するに適したワンピースはなかった。また、トイレにて小用を足す際には個室を利用するか、裾を大きくたくし上げて小便器を使用するしかなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、男性が着用して体にフィットし、かつ、トイレなどの日常生活で必要な機能を有するワンピースがなかった。
【0005】
そこで本発明では、想定される利用者の体格に対して定められたサイズの男性用ワンピースであって、胸のふくらみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であり、ウエスト回りが胸回りよりも絞られており、利用する男性の立小便用のファスナーが備えられた男性用ワンピースを提供する。女性用ワンピースのようにバスト部の膨らみがないために男性が着用した際に身体にフィットし、トイレで小用を足す際に小便器にワンピースが触れることを防止できる。またファスナーを設けることにより、本発明の男性用ワンピースを着用した男性が、男性用トイレの小便器で容易に排泄できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような男性用ワンピースに関する課題を解決するために、本願では、第一の発明として、
想定される利用者の体格に対して定められたサイズの男性用ワンピースであって、
【0007】
胸のふくらみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であり、
【0008】
ウエスト回りが胸回りよりも絞られており、
【0009】
男性の立小便用のファスナーが備えられた男性用ワンピースを提供する。
【0010】
第二の発明として、第一の発明を基礎として、
【0011】
ヒップ回りがウエスト回りよりも膨らんでいる男性用ワンピースを提供する。
【0012】
第三の発明として、第一の発明又は第二の発明のいずれか一を基礎として、
【0013】
着丈(洋服の後ろの首の付け根(バックネックポイント)から裾までの長さを言う。以下同じ。)が想定される利用者の身長に対して60%から100%である男性用ワンピースを提供する。
【0014】
第四の発明として、第一の発明から第三の発明のいずれか一を基礎として、
【0015】
前記ファスナーは、裾の下端まで開閉可能に設けられている男性用ワンピースを提供する。
【発明の効果】
【0016】
以上の構成を有する本発明の男性用ワンピースによって、想定される利用者の体格に対して定められたサイズの男性用ワンピースであって、胸のふくらみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であり、ウエスト回りが胸回りよりも絞られており、利用する男性の立小便用のファスナーが備えられた男性用ワンピースを提供する。女性用ワンピースのようにバスト部の膨らみがないために男性が着用した際に身体にフィットし、前方の裾が下がったりすることを防止できる。またファスナーを設けることにより、本発明の男性用ワンピースを着用した男性が、男性用トイレの小便器で容易に排泄できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】実施形態1にかかる発明のワンピース着用者が小用を足す際の例
【
図4】実施形態1にかかる発明のワンピースの胸回りとウエスト部寸法例
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1 概要>主に請求項1、2、3
【0019】
実施形態1の本発明の男性用ワンピースは、胸部の膨らみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であり、ウエスト回りが胸回りよりも絞られ、男性の立小便用のファスナーを備えるように構成される。
<実施形態1 構成の説明>
【0020】
本発明の男性用ワンピースは、想定される利用者の体格に対して定められたサイズである。想定される利用者である男性が着用するにあたり最適なサイズのワンピースである。各部のサイズは、後記する胸部(胸回長を含む)、ウエスト回り、ヒップ回り、着丈などのサイズである。本実施形態1の男性用ワンピースについて
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の男性用ワンピースを前から見た図である。本実施形態1の男性用ワンピースは
図1に示すように胸部(0101)、ウエスト(0102)、ヒップ(0103)、ファスナー(0104)、裾(0105)を、有するように構成される
<実施形態1 胸部(0101)>
【0021】
本発明の男性用ワンピースは、胸の膨らみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であるように構成される(
図1参照)。
<実施形態1 胸部:膨らみの有無>
【0022】
「胸部の膨らみがなく」とは、女性用衣服では、女性の特徴である胸部前方のバスト部の容積を収納するように対応する衣服の胸部に膨らみを設けているが、本発明の男性用ワンピースでは、前記胸部の膨らみを設けていないということである。ワンピースの布地としてバスト部の膨らみを有しないために、男性が本発明の男性用ワンピースを着用した際に、胸部の布地がたるんで着用時のシルエットが崩れたり、胸部の余った布が垂れて、ワンピースの前部裾が下がってしまったりといったことを防止できる。
<実施形態1 胸部:胸回り>
【0023】
特に男性がトイレの小便器で小用を足す際には、小便器に近づいて小用を足すように促される。
図3に、小便器で小用を足す際の足の位置と、小便器の位置関係を示す。図中のグレーの部分は小用を足した時に液滴が飛び散る概略範囲を示している。図中の実線で描かれた横長楕円はワンピースを着用している利用者の身体の胸回りを表しており、点線で描かれた横長楕円は利用者の胸回長に対し120%の胸回り長を有する本発明のワンピースの胸部の生地位置を示す。120%よりも胸回りが大きいような、体にフィットしていないワンピースを着用した状態で小便器に対して近接すると、ワンピースの胸部が小便器の一部に接触したり小便器からの跳ね返りが衣服についたりするなどの不都合が生じる。これは女性がワンピースを着用している場合には起こりえない事象であって、男性用のワンピースで初めて問題となることである。
【0024】
上記のような問題を防止するため、男性用ワンピースの胸回りサイズは、利用者の想定される胸回りに対して100%(利用者の想定される胸回りと同寸)から120%の範囲がよい。利用者の想定される体格にフィットするとともに、女性服特有の胸部の膨らみといった余分な空隙がないことによる、想定しなかった裾の下がりも防止できる。
【0025】
図4に、本発明の男性用ワンピースの、想定される利用者の身体の身長と胸囲とウエストに対する、ワンピースの胸回りとウエスト回りのサイズの例の一覧表を示す。図中の想定される利用者の身体のサイズはJASPO(日本スポーツ用品工業協会)規格のメンズサイズに準拠している。
図4に示すワンピースサイズでは、胸回りは想定される利用者の胸囲の100~120%の範囲とし、後記するウエスト回りはワンピースの胸回りに対し75%~90%として例を示している。
【0026】
図4に示すワンピースサイズは、SSサイズでは身長157~163cm、胸囲81~87cm、ウエスト67~73cmの人体サイズに対して、胸回りが87~97cm、ウエスト回りが73~78cmであり、Sサイズでは身長162~168cm、胸囲85~91cm、ウエスト71~77cmの人体サイズに対して、胸回りが91~102cm、ウエスト回りが77~81cmであり、Mサイズでは身長167~173cm、胸囲89~95cm、ウエスト75~81cmの人体サイズに対して、胸回りが95~106cm、ウエスト回りが80~85cmであり、Lサイズでは身長172~178cm、胸囲93~99cm、ウエスト79~85cmの人体サイズに対して、胸回りが99~111cm、ウエスト回りが84~89cmであり、Oサイズでは身長177~183cm、胸囲97~103cm、ウエスト83~89cmの人体サイズに対して、胸回りが103~116cm、ウエスト回りが87~92cmである。
【0027】
本発明の男性用ワンピースの上半身部(襟部からウエスト付近まで)については、前開きとしないことが好ましい。気温が高い場合などに上半身前部を開いたりすると、小用時に服地が便器に接触しやすくなるためである。
<実施形態1 ウエスト(0102):ウエスト回り>
【0028】
本発明の男性用ワンピースは、ウエスト回りが胸回りよりも絞られているように構成される(
図1参照)。
【0029】
男性用ワンピースのウエスト回りは、男性用ワンピースの胸回りに対して75%~90%の範囲が好ましい。75%未満の場合を除くのは、
図4に示すワンピースのウエスト回りサイズが、利用者の身体のウエストサイズ範囲と重畳してしまい日本人の体形と合わないためである。また上限を90%としたのは、90%を超える寸法では、胸回りと同様に、小便器と接触したり、小用時の液滴のはねを多く受けたりするようになるためである。
<実施形態1 ヒップ(0103):ヒップ回り>
【0030】
本発明の男性用ワンピースは、ヒップ回りがウエスト回りよりも膨らんでいるように構成される(
図1参照)。
【0031】
ヒップ回りをウエスト回りよりも膨らませるのは、ヒップ部またはウエスト部の下にある骨盤上部によって、ウエスト部のワンピース布地を支持し、ワンピースのスカート部を保持するためである。ヒップ部の上でワンピースのスカート部を保持することにより、利用者の想定するサイズに対して上半身部の布地が余った場合でも、スカート部に影響を出さずに保持できる。ウエスト部よりもヒップ部を膨らませているため、このような効果が得られる。
<実施形態1 着丈>
【0032】
本発明の男性用ワンピースは、着丈(洋服の後ろの首の付け根(バックネックポイント)から裾までの長さを言う。以下同じ。)が想定される利用者の身長に対して60%から100%であるように構成される。
【0033】
「着丈」は、洋服の後ろの首の付け根(バックネックポイント)から裾までの長さを言う。
【0034】
「想定される利用者の身長に対して60%から100%」とは、人体各部寸法の目安において、肩から床までが身長の0.8倍、膝から床までは身長の約0.25倍であることから、本発明の男性用ワンピースを想定される利用者が着用した際に、
図2に示すように、裾がひざ又はひざ下付近の位置(60%、
図2左半分)から、裾が床にたれて一部引きずるような状態(100%、
図2右半分)までの状態をいう。なお
図2は、
図1と同様に本実施形態1の男性用ワンピースを前から見た図であり、図の左側は着丈が想定される利用者の伸長の60%の場合であり、右側は100%の場合である。
【0035】
例えば、前身頃の裾が60%(膝付近)またはくるぶし付近までの長さで、後身頃の裾が100%の長さで裾を引きずるようなデザインのワンピースであってもよい。または、裾を引きずらないが、前身頃の裾がひざ下で、後身頃裾がくるぶし付近といったように、横から見て裾が後ろ下がりとなっているようなデザインでもよい。
【0036】
逆に前身頃の裾の方が丈の長いデザインでもよいし、裾全体が均一の丈の長さとなっていてもよい。裾全体が床に接しているようなデザインでもよい。
<実施形態1 ファスナー(0105)>
【0037】
本発明の男性用ワンピースは、男性の立小便用のファスナーが備えられたように構成される。
【0038】
「ファスナー」とは、ズボンやジャケットなどの衣類を開閉するための仕組みを指す。ボタンやジッパー、スナップボタンなど、異なる種類のクロージャーがファスナーとして分類される。特に本明細書では男性の立小便をするために設けた開口部を開閉するための仕組みをファスナーと呼ぶ。男性の立小便用に設けた、開口部のファスナーを外部から見えないように、布地を二重合わせにしたジップフライ(ファスナーを用いるジップフライ以外に、ボタン、スナップボタン、面ファスナー、フックなどを用いるフライとすることもできる。以下同じ)が備えられていてもよい。本発明の男性用ワンピースを着用した男性がトイレにて小便器に対し尿を排泄する行為を行うために、
図1に示すように股間部前方付近に設けた開口部である。開口部のファスナーなどからなる開閉機構は外部から視認できるような状態に構成してもよいが、後記実施形態2とは異なり、股間部前方付近にのみ設けるのであれば、男性用ズボンのジップフライと同様に開口部のファスナーが外部から見えないように布地を二重合わせに構成してもよい。さらに、外部から開閉部が股間部のみにある事を隠すように構成することが好ましい。例えば二重合わせとした布地の縫目をスカート部の裾までダミーで設けるなどである。なお本明細書の図面では、ジップフライ部を単に太線で表記しているが、上記のように外部から開閉部が視認できないように布地を二重合わせにした場合、または外部から視認できる場合の両方の場合を含めて表現している。
【0039】
ファスナーを隠すジップフライは男性用ズボンと同様に、右手を用いて開けやすいように、開口部を隠す二重合わせの布地は開口部左側(着用している利用者からみて左側)であるような構造でもよいし、布地の前後が逆の構造であってもよい。後者の構造(開口部を隠す二重合わせの布地が開口部右側である)は、一般的な女性用衣服の開口部の布地合わせの構造に準じているため、より好ましい。
【0040】
「ファスナー」と呼称しているが、ファスナーを用いた開閉機構に限定せず、ボタン止め、スナップボタン止め、面ファスナー止め、またはフック止めなどにより開閉する構造も含む。ファスナーを用いる場合には、上から下にスライドすることで開く方式でもよいし、逆に下からスライドさせることで開く方式でもよい。
<実施形態1の効果>
【0041】
本実施形態の男性用ワンピースは、女性用ワンピースのようにバスト部の膨らみがないために男性が着用した際に身体にフィットし、トイレで小用を足す際に小便器にワンピースが触れることを防止できる。また男性の立小便用のファスナーを設けることにより、本発明の男性用ワンピースを着用した男性が、男性用トイレの小便器で容易に排泄できる。
<実施形態2 概要>主に請求項4
【0042】
実施形態1を基礎とする実施形態2の本発明の男性用ワンピースは、裾の下端まで開閉可能に設けられているように構成される。
<実施形態2 構成の説明>
【0043】
実施形態2について
図5と
図6を用いて説明する。
図5と
図6は本実施形態2の男性用ワンピース例1、例2を前から見た図である。
<実施形態2 ファスナー>
【0044】
本実施形態2のファスナー(0505)(ファスナーだけではなく前記のように、ボタン、スナップボタン、面ファスナーまたはフックなども使用できる)は裾の下端まで開閉可能に設けられるように構成される。
【0045】
以下に説明する本実施形態2のファスナーは、前記実施形態1で説明したジップフライと同様ファスナーに対し布地を二重合わせとすることにより外部から直接視認できないように構成してもよい。
【0046】
「裾の下端まで開閉可能」とは、裾の下端までファスナーを設ける構成(
図5参照)や、股間前部に設けたファスナー下端から前部中央部に下端までスリットを設けた構成(
図6参照)などが考えられる。前者の場合、下からファスナーを上へスライドさせると開く方式が好ましい。上から開く方式の場合には、裾下端まで開くとファスナーが左右に分離して裾下端が左右に分離するように構成する。
【0047】
後者の構造(
図6)の場合、実施形態1でのファスナーの長さより、長いファスナーを用いて構成してもよい。例えば膝上までファスナーが設けられ、その下のひざ下から裾まではスリットになっている構成などである。この場合も、ファスナーは上下どちらから開くようにも構成できる。ファスナーを、立位で手が容易に届くひざ上、又はやや前かがみになれば手が届くひざ下くらいまでとし、その下から裾下端までをスリットとする構成が好ましい。ふぁすナーの開閉を容易に行える上に、スカート部長さがくるぶし付近まであるようなロングスカートであった場合にスリットがあると歩行しやすくなるためである。
【0048】
本実施形態2のファスナーは、外部から開閉部が見えないようにする二重合わせの構造をしない構成にもできる。ファスナーが股間部前方のみに設けられているのではなく、例えば膝付近までや、裾下端まで設けられている場合は、排泄用に供する部位ではなくデザインと他者から認識されえるためである。
【0049】
上記のようにスカート部の前部に裾下端まで開閉可能なファスナーを設ける理由を以下に説明する。男性用トイレに設置された小便器は、排泄された尿を床にこぼさないように、尿を受ける便器下部が排泄者側に出っ張り、排泄者の足の間に位置するように配される(
図3参照)。本発明の男性用ワンピースを着用した男性が、小便器に向かうとき、前身頃の裾が長い場合、前記便器の出っ張り部にかかってしまう。または、ファスナーが股間部前方にしかなく裾までのスリットがない場合には、排泄した尿が、スカート部の前身頃部にかかってしまう可能性がある。または、排泄時にはねた液滴がスカート部に付着する可能性がある(液滴はね部の例:
図3の灰色部分)。ウエスト部よりもヒップ部を膨らませた構成となっているため、裾がヒップ部よりも広がる傾向にあるためである。また男性は女性よりもヒップ(ヒップ部後ろ側)の膨らみが少ないため、スカート部を略円錐形状と見做した場合、女性ではスカート部がヒップの膨らみにひかれて円錐状のスカートが後方にずれて傾く。一方男性では円錐状のスカートは、前後にほぼ対称に広がるため、女性よりも前の裾が、より前方へ広がりやすいということも影響する。
【0050】
これらの問題を解決するために、前部中央裾下端まで開閉可能なファスナー(一部スリットを含んでもよい)を設けることによって、排泄時に、便器に裾が接触せず、また排泄する尿の軌跡付近や、液滴のはねからスカート布地を遠ざけることができる。従来、ファスナーを有さないスカート(またはワンピース)を着用した際には、裾をたくし上げて足を股間まで露出させながら排泄するしかなかった、又は個室を使用して排泄するしかなかったが、本実施形態2の構成により、快適に排泄を行うことができる。
<効果>
【0051】
以上の構成を有する本発明の男性用ワンピースによって、想定される利用者の体格に対して定められたサイズの男性用ワンピースであって、胸のふくらみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であり、ウエスト回りが胸回りよりも絞られており、利用する男性の立小便用のファスナーが備えられた男性用ワンピースを提供する。女性用ワンピースのようにバスト部の膨らみがないために男性が着用した際に身体にフィットし、トイレで小用を足す際に小便器にワンピースが触れることを防止できる。またジップフライを設けることにより、本発明の男性用ワンピースを着用した男性が、男性用トイレの小便器で容易に排泄できる。
【符号の説明】
【0052】
ワンピース・・・0100
胸部・・・0101
ウエスト・・・0102
ヒップ・・・0103
ファスナー・・・0104
裾・・・0105
【要約】
【課題】男性が着用して体にフィットし、かつ、トイレなどの日常生活で必要な機能を有するワンピースがなかった。
【課題を解決するための手段】想定される利用者の体格に対して定められたサイズの男性用ワンピースであって、胸のふくらみがなく、利用者の想定される胸回りに対して100%から120%の胸回長であり、ウエスト回りが胸回りよりも絞られており、男性の立小便用のファスナーが備えられた男性用ワンピースを提供する。
【選択図】
図1