(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】映像処理装置
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021020405
(22)【出願日】2021-02-12
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 裕己
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐次
(72)【発明者】
【氏名】大村 洋平
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/011078(WO,A1)
【文献】特開2012-169754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の外部および内部の少なくとも一方を撮像するカメラによる映像を記憶する映像処理装置であって、
前記映像を受信する映像受信部と、
前記映像処理装置の温度が所定の閾値未満である場合、前記映像を外部記憶媒体に記憶させ、前記温度が前記閾値以上である場合、前記映像を前記映像処理装置で内蔵している記憶部に記憶させる記憶制御処理を実行する記憶制御部と、
を備える映像処理装置。
【請求項2】
前記記憶制御部が前記記憶制御処理を実行していないことを条件に、前記記憶部に記憶された映像を前記外部記憶媒体に転送する転送制御部をさらに備える、
請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記撮像のモードとして、前記車両の所定の電源がオンになったことをトリガーとする撮像モードである第1モードと、駐車時の撮像モードである第2モードとがあり、
前記第1モードの前記閾値は、前記第2モードの前記閾値より低く設定されている、
請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記記憶制御部は、前記温度が前記閾値以上となった後、前記閾値より下の閾値に基づいて前記映像を前記外部記憶媒体に記憶させる、請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記転送制御部は、前記記憶制御部が前記記憶制御処理を実行していない、かつ前記車両が停止したことを条件に、前記記憶部に記憶された映像を前記外部記憶媒体に転送する、請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記転送制御部は、前記記憶制御部が前記記憶制御処理を実行していない、かつ前記温度が前記閾値未満であることを条件に、前記記憶部に記憶された映像を前記外部記憶媒体に転送する、請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項7】
前記転送制御部は、前記外部記憶媒体に転送した映像を前記記憶部から削除する、請求項2、請求項5および請求項6のいずれか一項に記載の映像処理装置。
【請求項8】
前記所定の電源は、ACC電源である、請求項3に記載の映像処理装置。
【請求項9】
前記閾値は変更可能であり、前記映像処理装置で実行する機能数が多いほど前記閾値が低く設定される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の映像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に取り付けたカメラ等によって撮像し、撮像した映像を記憶し、種々の用途に活用する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の撮像した映像は、適切に記憶されることが望まれる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、車両に取り付けられたカメラにより撮像された映像を適切に記憶することができる映像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る映像処理装置は、車両に搭載され、前記車両の外部および内部の少なくとも一方を撮像するカメラによる映像を記憶する映像処理装置であって、前記映像を受信する映像受信部と、前記映像処理装置の温度が所定の閾値未満である場合、前記映像を外部記憶媒体に記憶させ、前記温度が前記閾値以上である場合、前記映像を前記映像処理装置で内蔵している記憶部に記憶させる記憶制御処理を実行する記憶制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る映像処理装置によれば、車両に取り付けられたカメラにより撮像された映像を適切に記憶することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかるドライブレコーダユニットを備える車両の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態にかかる映像処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態にかかる撮像制御マイコンの機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる記憶制御マイコンの機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、映像処理手順全体を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、映像制御処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る映像処理装置の実施形態について説明する。
【0010】
[実施形態]
(車両の構成例)
図1は、本実施形態にかかるドライブレコーダユニット10を備える車両5の一例を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の車両5は、例えばドライブレコーダユニット10、リアカメラ32、及びフロントカメラ31を備える。また、車両5は、図示しないECU(Electronic Control Unit)等を備える。また、車両5は、車室内を撮像する車室内カメラ(不図示)を備えてもよい。
【0011】
フロントカメラ31は、例えば車両5のフロントガラスに配置される。フロントカメラ31は、車両5の外部を撮像し、映像信号を生成する。フロントカメラ31は、例えば、車両5の前方を撮像する。フロントカメラ31により生成された映像信号は、例えば、前方映像の情報を含む。前方映像とは、フロントカメラ31によって車両5の前方が撮像された映像である。ここでいう、映像とは、静止画でもよいし、動画でもよい。フロントカメラ31は、撮像装置の一例である。
【0012】
リアカメラ32は、例えば車両5のリアガラスに配置される。リアカメラ32は、車両5の外部を撮像し、映像信号を生成する。リアカメラ32は、例えば、車両5の後方を撮像する。リアカメラ32により生成された映像信号は、例えば、後方映像の情報を含む。後方映像とは、リアカメラ32によって車両5の後方が撮像された映像である。リアカメラ32は、撮像装置の一例である。
【0013】
ドライブレコーダユニット10は、車室内に配置される。ドライブレコーダユニット10は、例えば車両5のコンソールボックス内に収納される。ドライブレコーダユニット10は、例えばルームミラー付近に配置されてもよい。ドライブレコーダユニット10は、フロントカメラ31およびリアカメラ32から受信した映像信号に映像処理を施して映像を記憶する。例えばドライブレコーダユニット10は、映像処理装置の一例である。また、上記映像処理は、例えば車外映像記憶に適するように行われる、色彩およびコントラストの調整である。
【0014】
(映像処理システムの構成例)
図2は、本実施形態にかかる映像処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の映像処理システム1は、ドライブレコーダユニット10、フロントカメラ31、リアカメラ32、および外部記憶媒体60を備える。本実施形態の映像処理システム1は、例えば上述の車両5に搭載可能に構成されている。
【0015】
外部記憶媒体60は、フロントカメラ31やリアカメラ32により撮像された映像を記憶する記憶媒体である。外部記憶媒体60は、ドライブレコーダユニット10に対して着脱可能である。外部記憶媒体60は、例えば、microSDカード等のメモリカードである。まず、ドライブレコーダユニット10が、外部記憶媒体60に映像を記憶させる。当該外部記憶媒体60を他のコンピュータが読み込み、再生することで、ユーザは、映像を確認することができる。外部記憶媒体60は、一般的に高温に対する耐性が、ドライブレコーダユニット10に内蔵されている記憶部であるメモリシステム108より低い。
【0016】
ドライブレコーダユニット10は、撮像制御マイコン101、加速度センサ102、第1デシリアライザ103、第2デシリアライザ104、温度センサ105、記憶制御マイコン106、SDRAM107及びメモリシステム108を備える。
【0017】
ドライブレコーダユニット10は、フロントカメラ31またはリアカメラ32が撮影した映像を記憶するユニットである。ドライブレコーダユニット10は、例えば、車両5が走行している時の車両5の外部の映像を記憶する。ドライブレコーダユニット10は、車室内カメラが撮影した車室内の映像を受信し、当該映像を記憶してもよい。このように、ドライブレコーダユニット10が、走行時における車両5の外部の映像を記憶するモードを通常録画モードという。また、ドライブレコーダユニット10は、車両5が駐車している際に、車両5が揺らされる等、衝撃を受けた場合にも車両5の外部の映像を記憶する。このように、ドライブレコーダユニット10が、車両5の駐車時に車両5が衝撃を受けた場合に車両5の外部の映像を記憶するモードを駐車監視モードという。このように、ドライブレコーダユニット10は、複数の撮像モードに基づいて撮像制御する。
【0018】
撮像制御マイコン101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えるコンピュータである。
【0019】
ここで、撮像制御マイコン101の機能について、
図3を用いて説明する。
図3は、撮像制御マイコン101の機能ブロック図である。
図3に示すように、撮像制御マイコン101は、撮像制御部101aと、撮像モード設定部101bと、閾値設定部101cと、温度判定部101dとを備える。
【0020】
撮像制御部101aは、
図2に示した第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104を制御することで、映像信号の受信制御をする。撮像制御部101aは、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104に対して制御信号を送信することで、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104を制御する。
【0021】
フロントカメラ31から映像信号が送信されてくると、撮像制御部101aは、第1デシリアライザ103に制御信号を送信することで、フロントカメラ31からの映像信号を受信させる。また、リアカメラ32から映像信号が送信されてくると、撮像制御部101aは、第2デシリアライザ104に制御信号を送信することで、リアカメラ32からの映像信号を受信させる。
【0022】
第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104が受信する映像信号は、例えばシリアル化された映像信号である。第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104は、映像信号を受信すると、受信した映像信号を記憶制御マイコン106へ出力する。なお、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104は、受信した映像信号をパラレルデータに変換した上で記憶制御マイコン106へ出力してもよい。
【0023】
撮像モード設定部101bは、上述の撮像モードの設定を行う。撮像モード設定部101bは、車両5からドライブレコーダユニット10にAutoACC電源が入力され、AutoACC電源がオンになったことを検知すると、通常録画モードに設定する。すなわち、撮像モード設定部101bは、AutoACC電源がオンになったことをトリガーとして通常録画モードに設定する。なお、車両5は、施錠された状態で解錠された後、車両5のドアが開いたタイミングでAutoACC電源をドライブレコーダユニット10に入力する。また、車両5は、施錠された状態で、解錠されたタイミングでAutoACC電源をドライブレコーダユニット10に入力してもよい。また、撮像モード設定部101bは、AutoACC電源が入力されなくなってから所定期間経過した場合、駐車監視モードに設定する。
【0024】
また、撮像モード設定部101bは、通常録画モードに設定した場合、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104を制御して、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104に映像信号を受信させる。撮像モード設定部101bは、駐車監視モードに設定した場合、
図2に示した加速度センサ102から得られる信号が、所定以上の車両5の揺れを示すときに、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104を制御して、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104に映像信号を受信させる。
【0025】
閾値設定部101cは、ドライブレコーダユニット10の温度が高温であるか否かを判断するための閾値を設定する。当該閾値は、予め設定されていてもよい。この閾値は、上述の外部記憶媒体60の耐熱温度に基づく値である。なお、閾値設定部101cは、撮像モードによって、閾値を異なるようにしてもよい。例えば、閾値設定部101cは、駐車監視モードの閾値の方が、通常録画モードの閾値より低くなるように設定してもよい。例えば、通常録画モードの場合の閾値を70℃に設定し、駐車監視モードの閾値を80℃に設定してもよい。閾値に設定される温度は、通常録画モードの方が、駐車監視モードよりも小さい。ドライブレコーダユニット10の処理負荷は、通常録画モードの方が駐車監視モードよりも高い。これにより、通常録画モードの方が駐車監視モードよりも、ドライブレコーダユニット10の温度が上昇しやすいことを考慮したものである。
【0026】
また、閾値設定部101cは、後述する温度判定部101dにより閾値以上になったことを検知された後、閾値を当該閾値より5℃程度下の温度に変更することで、ドライブレコーダユニット10の温度が十分に低くなったか否かを判断するための閾値を設定してもよい。なお、閾値設定部101cは、温度が十分に低くなったか否かを判断するための閾値を事前に別途設定しておいてもよい。
【0027】
また、温度判定部101dは、
図2に示した温度センサ105により出力された信号に基づいた温度が、閾値設定部101cにより設定された閾値以上である場合、閾値以上であることを示す信号を記憶制御マイコン106へ出力する。また、温度判定部101dは、上記閾値以上になったことを検知した場合、閾値設定部101cへその旨を示す信号を出力する。
【0028】
また、温度判定部101dは、上記閾値以上になったことを検知した後に、温度センサ105により出力された信号に基づく温度が、温度が十分に低くなったか否かを判断するための閾値未満となった場合に、記憶制御マイコン106へ温度が十分に低くなったことを示す信号を記憶制御マイコン106へ出力する。
【0029】
図2に戻って説明を続ける。温度センサ105は、ドライブレコーダユニット10に内蔵された温度センサであり、所定間隔で温度を示す信号を撮像制御マイコン101へ出力する。このように、温度センサ105は、ドライブレコーダユニット10の温度を検知する。
【0030】
記憶制御マイコン106は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えるコンピュータである。記憶制御マイコン106は、例えば、SoC(System on Chip)として構成されてもよい。
【0031】
記憶制御マイコン106は、映像信号の記憶制御をする。記憶制御マイコン106は、第1デシリアライザ103または第2デシリアライザ104から映像信号を受信し、メモリシステム108または外部記憶媒体60へ当該映像信号を記憶させる。
【0032】
ここで、記憶制御マイコン106の機能について、
図4を用いて説明する。
図4は、記憶制御マイコン106の機能ブロック図である。
図4に示すように、記憶制御マイコン106は、映像受信部106aと、記憶制御部106bと、転送制御部106cとを備える。
【0033】
映像受信部106aは、第1デシリアライザ103または第2デシリアライザ104から映像信号を受信することで、車両5の外部を撮像した映像を受信する。
【0034】
記憶制御部106bは、撮像制御マイコン101から温度が閾値以上であることを示す信号を受信していない場合、映像信号を外部記憶媒体60に記憶させる。また、記憶制御マイコン106は、撮像制御マイコン101から温度が閾値以上であることを示す信号を受信した場合、映像信号をメモリシステム108へ記憶させる。
【0035】
また、記憶制御部106bは、撮像制御マイコン101から温度が閾値以上であることを示す信号を受信したことに応じて、映像信号をメモリシステム108へ記憶させているときに、温度が十分に低くなったことを示す信号を受信した場合、映像信号を外部記憶媒体60へ記憶させる。
【0036】
このように、記憶制御部106bは、ドライブレコーダユニット10の温度が閾値以上か否かに応じて記憶先を変更する記憶制御処理を実行する。
【0037】
記憶制御部106bは、第1デシリアライザ103または第2デシリアライザ104が受信した映像信号をSDARAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)107に一時的に保存して、保存した映像信号に各種情報を編集して、メモリシステム108または外部記憶媒体60へ編集した映像信号を記憶させるようにしてもよい。記憶制御部106bは、映像信号をメモリシステム108に記憶させる場合、上記各種情報として、メモリシステム108へ記憶させたことを示す情報を映像信号に付与するようにしてもよい。
【0038】
転送制御部106cは、記憶制御部106bによる記憶制御処理が実行されていないことを転送条件に、メモリシステム108に記憶されている映像を外部記憶媒体60に転送する。例えば、転送制御部106cは、ユーザ操作による映像の録画停止を示す指示を検出した場合に、メモリシステム108に記憶されている映像を外部記憶媒体60に転送する。なお、転送制御部106cは、外部記憶媒体60に転送した映像をメモリシステム108から削除するようにしてもよい。これにより、転送制御部106cは、メモリシステム108の容量を空けることができる。
【0039】
図2に戻り、メモリシステム108は、ドライブレコーダユニット10に内蔵されたメモリシステムであり、メモリシステム108における記憶先を平準化させる機能を有するICを含むフラッシュメモリである。メモリシステム108は、例えば、eMMC(embedded Multi Media Card)である。メモリシステム108は、外部記憶媒体60より耐熱温度が高い。
【0040】
続いて、
図5および
図6を用いてドライブレコーダユニット10による映像処理手順を説明する。
図5は、映像処理手順全体を示すフローチャートである。
図6は、映像制御処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
まず、
図5に示すフローチャートを説明する。前提として、車両5のいわゆる常時電源がオンであるものとする。まず、撮像制御マイコン101の撮像モード設定部101bは、AutoACC電源が入力され、AutoACC電源がオンであることを検知した場合(ステップS1:Yes)、通常録画モードである通常モードに設定する(ステップS2)。そして、ドライブレコーダユニット10は、映像制御処理を実行する(ステップS3)。
【0042】
また、AutoACC電源が入力されなくなり(ステップS1:No)、所定期間経過した場合(ステップS4:Yes)、撮像制御マイコン101の撮像モード設定部101bは、駐車監視モードに設定する(ステップS5)。そして、撮像制御マイコン101の撮像モード設定部101bは、加速度センサ102から得られる信号が、所定以上の車両5の揺れを示すとき、撮像トリガーが発生したと判断し(ステップS6:Yes)、ドライブレコーダユニット10は、映像制御処理を実行する(ステップS3)。
【0043】
なお、ステップS4の条件に合致しない場合(ステップS4:No)、ステップS1へ進む。また、ステップS6において、撮像制御マイコン101の撮像モード設定部101bが、撮像トリガーが発生していないと判断した場合(ステップS6:No)、ステップS6へ進む。
【0044】
続いて、
図5に示したステップS3の処理の詳細について、
図6を用いて説明する。まず、撮像制御マイコン101の撮像制御部101aは、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104を制御して、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104に映像信号を受信させ、記憶制御マイコン106の映像受信部106aは、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104から映像信号を受信する(ステップS11)。
【0045】
記憶制御マイコン106の記憶制御部106bは、撮像制御マイコン101の温度判定部101dから温度が閾値以上であることを示す信号を受信していない場合(ステップS12:No)、映像信号を外部記憶媒体60に記憶させる(ステップS13)。記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、ユーザ操作による映像の録画停止を示す指示を検出した場合等、録画終了の条件に合致しているか否かを判断した結果、録画終了ではない場合(ステップS14:No)、ステップS11へ進む。
【0046】
ステップS12において、記憶制御マイコン106の記憶制御部106bが、撮像制御マイコン101の温度判定部101dから温度が閾値以上であることを示す信号を受信している場合(ステップS12:Yes)、メモリシステム108へ映像を記憶させる(ステップS15)。そして、撮像制御マイコン101の閾値設定部101cは、上記閾値以上になったことを検知した後に、当該閾値より5℃程度下の閾値に変更し(ステップS16)、ステップS11へ進む。
【0047】
ステップS14において、ユーザ操作による映像の録画停止を示す指示を検出した場合等、録画終了の条件に合致している場合(ステップS14:Yes)、記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、メモリシステム108に映像があるか否かを判断する(ステップS17)。
【0048】
ステップS17において、メモリシステム108に映像が無い場合(ステップS17:No)、処理を終了する。また、ステップS17において、メモリシステム108に映像がある場合(ステップS17:Yes)、記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、メモリシステム108に記憶されている映像を外部記憶媒体60に転送して(ステップS18)、処理を終了する。
【0049】
本実施形態の車両5に搭載されたドライブレコーダユニット10では、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104が、車両5の外部を撮像した映像を受信し、記憶制御マイコン106の映像受信部106aが当該映像を受信する。また、記憶制御マイコン106の記憶制御部106bが、温度センサ105により検知された温度が所定の閾値未満である場合、映像を外部記憶媒体60に記憶させ、温度センサ105により検知された温度が所定の閾値以上である場合、映像をメモリシステム108に記憶させる記憶制御処理を実行する。
【0050】
このように、ドライブレコーダユニット10では、ドライブレコーダユニット10における温度が所定の閾値以上である場合に、耐熱温度が高いメモリシステム108に映像を記憶させることで、映像を記憶する処理を継続させることができる。例えば、車両5の使用状況によっては、ドライブレコーダユニット10の温度が、外部記憶媒体60の耐熱温度を超える可能性がある。所定の閾値を外部記憶媒体60の耐熱温度以下の値に設定しておくことで、ドライブレコーダユニット10の温度が外部記憶媒体60の耐熱温度を超える、あるいは耐熱温度に近づく場合にも、映像を記憶する処理を継続させることができる。すなわち、ドライブレコーダユニット10は、車両5に取り付けられたカメラにより撮像された映像を適切に記憶することができる。
【0051】
また、記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、記憶制御マイコン106の記憶制御部106bが記憶制御処理を実行していないことを条件に、メモリシステム108に記憶された映像を外部記憶媒体60に転送する。これは、外部記憶媒体60に映像を記憶させることと、他の記憶媒体から外部記憶媒体60に映像を転送することと、を同時に行うのが難しいためである。このように、ドライブレコーダユニット10では、メモリシステム108に記憶された映像を外部記憶媒体60に転送することで、ユーザにとって映像確認しやすい外部記憶媒体60に映像を集約することができる。
【0052】
また、ドライブレコーダユニット10は、通常録画モードと、駐車監視モードと、の撮像モードを有する。ドライブレコーダユニット10では、撮像モードによって閾値が異なる。ドライブレコーダユニット10は、各撮像モードの処理負荷に基づいて、それぞれ異なる閾値を設定することで、映像を記憶させる先を適切に切り替えることができる。
【0053】
また、ドライブレコーダユニット10は、温度が閾値以上となった後、当該閾値より下の閾値である、温度が十分に低くなったか否かを判断するための閾値に基づいて、映像を外部記憶媒体60に記憶させる。このように、ドライブレコーダユニット10は、温度が閾値以上となった後に、当該閾値より下の閾値に基づいて外部記憶媒体60に記憶させることで、温度変化の頻度が高い場合に、記憶先が頻繁に変更され、処理が煩雑になることを回避することができる。
【0054】
上述の実施形態では、録画終了を条件に記憶制御マイコン106の転送制御部106cが、メモリシステム108に記憶されている映像を外部記憶媒体60に転送する場合について述べたが、さらに車両5が停止していることを転送処理の条件に含めてもよい。例えば、車両5が停止していることを条件としてもよい。言い換えると、記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、記憶制御部106bが記憶制御処理を実行していない、かつ車両5が停止したことを条件に、メモリシステム108に記憶された映像を外部記憶媒体60に転送してもよい。記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、AutoACC電源が入力されているか否かを判断することで車両5が停止していることを判断するようにしてもよい。また、記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、イグニッションの状態を検知するセンサ装置からイグニッションがオフであることを示す信号を受信しているか否かを判断することで車両5が停止していることを判断してもよい。このように、ドライブレコーダユニット10は、転送処理の条件に車両5が停止していることを条件に含めることで、映像を外部記憶媒体60またはメモリシステム108に記憶させる処理をする可能性が低いタイミングで転送処理をすることができる。
【0055】
上述の実施形態では、録画終了を条件に記憶制御マイコン106の転送制御部106cが、メモリシステム108に記憶されている映像を外部記憶媒体60に転送する場合について述べたが、さらにドライブレコーダユニット10の温度が所定の閾値以下であることを転送処理の条件に含めてもよい。言い換えると、記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、記憶制御部106bが記憶制御処理を実行していない、かつドライブレコーダユニット10の温度が所定の閾値以下であることを条件に、メモリシステム108に記憶された映像を外部記憶媒体60に転送してもよい。当該閾値は、外部記憶媒体60の耐熱温度に基づく値としてもよい。このように、ドライブレコーダユニット10は、転送処理の条件にドライブレコーダユニット10の温度が所定の閾値以下であることを条件に含めることで、外部記憶媒体60に記憶させることができる状態で、転送処理をすることができる。なお、記憶制御マイコン106の転送制御部106cは、撮像制御マイコン101から温度が十分に低くなったことを示す信号を受信したか否かを判断することで、ドライブレコーダユニット10の温度が所定の閾値以下であることを判断してもよい。
【0056】
また、閾値設定部101cは、ドライブレコーダユニット10における処理機能数が多いほど閾値を低く設定するようにしてもよい。例えば、閾値設定部101cは、ドライブレコーダユニット10が動作させている機能部の数によって閾値を変えるようにしてもよい。
【0057】
具体的に、閾値設定部101cは、第1デシリアライザ103および第2デシリアライザ104を動作させている場合における上記閾値を、第1デシリアライザ103のみ動作させている場合における上記閾値より下回るように設定する。すなわち、閾値設定部101cは、フロントカメラ31およびリアカメラ32から映像を受信している場合における上記閾値を、フロントカメラ31のみから映像を受信している場合の閾値より下回るように設定してもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では、撮像モード設定部101bは、AutoACC電源が入力されなくなってから所定期間経過した場合、駐車監視モードに設定する場合について述べたが、AutoACC電源が入力されなくなり、且つイグニッションの状態を検知するセンサ装置からイグニッションがオフであることを示す信号を受信してから所定期間経過した場合、駐車監視モードに設定するようにしてもよい。
【0059】
本実施形態のドライブレコーダユニット10で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでDVD(Digital Versatile Disk)等の光記憶媒体、USBメモリ、SSD(Solid State Disk)等の半導体メモリ装置等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。
【0060】
また、本実施形態のドライブレコーダユニット10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態のドライブレコーダユニット10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0061】
また、本実施形態のドライブレコーダユニット10のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0062】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらに、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0063】
また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 映像処理システム
5 車両
10 ドライブレコーダユニット
31 フロントカメラ
32 リアカメラ
60 外部記憶媒体