(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】航空機の飛行軌道を修正するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240724BHJP
B64D 45/00 20060101ALI20240724BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64D45/00 A
B64C13/18 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019147383
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ハイベルク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イー.ヨチャム
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0166112(US,A1)
【文献】特開平06-024393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00
B64D 45/00
B64C 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサにおいて、航空機の飛行計画を生成し、この際に、当該飛行計画が、少なくとも1つのウェイポイント、及び、前記航空機に関連付けられた運航規則の組に基づくようにし、
前記プロセッサにおいて、少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて初期設定軌道プロファイルを生成し、
前記プロセッサにおいて、前記初期設定軌道プロファイルに関連付けられた許容不可能な飛行条件を特定し、この際に、前記許容不可能な飛行条件は、前記運航規則の組のうちの少なくとも1つの運航規則に違反するものであり、
前記プロセッサにおいて、前記初期設定軌道プロファイルの旋回中心位置と、前記初期設定軌道プロファイルのインバウンドコースと、前記初期設定軌道プロファイルのアウトバウンドコースと、前記初期設定軌道プロファイルの旋回始点と、前記初期設定軌道プロファイルの旋回終点と、前記初期設定軌道プロファイルの旋回半径のうちの1つ以上に基づく閉形式の計算を用いて、前記許容不可能な飛行条件を解消するように前記初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイルを生成
し、
前記飛行計画における前記少なくとも1つのウェイポイントは、第1ウェイポイント及び前記第1ウェイポイントに後続する第2ウェイポイントを含み、
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの曲面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の1つ後の旋回である第2旋回の旋回中心を、前記第2ウェイポイントからの進行先であるアウトバウンドの線に平行な経路に沿って移動させる、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの他のシステムを前記修正軌道プロファイルで更新し、この際に、任意の要件として、前記少なくとも1つの他のシステムは、自動操縦システムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修正軌道プロファイルの表示を開始する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正するに際し、
前
記第1旋回の第1中心の第1位置と、
前
記第2旋回の第2中心の第2位置と、のうちの少なくとも1つを修正し、この際に、任意の要件として、前記第1位置は、前記第1旋回に向かうインバウンドコースに平行な軸に沿って移動されるもの
とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる前記第1旋回と、前記初期設定軌道プロファイル含まれる前記第2旋回と、の間に直線セグメントを挿入し、この際に、任意の要件として、前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記直線セグメントを回転させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するコースキャプチャのルーチンを実行する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、
前記飛行計画における第1ウェイポイントと前記飛行計画における第3ウェイポイントとの間に飛行軌道を構築し、
前記第1ウェイポイントと前記第2ウェイポイントとの間の飛行軌道の構築を避け
、前記第3ウェイポイントが前記第2ウェイポイントに後続するものとする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記アウトバウンドコースからコースキャプチャインターセプト角度で線分を投影する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる前記第1旋回の終点を修正するとともに、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる前記第2旋回に関連付けられたアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャを実行する、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる前記第1旋回の始点を修正する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる前記第2旋回の旋回中心を移動させて、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる前記第1旋回の終点を前記第2旋回の始点と一致させる、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの局面を修正するに際し
、
前記第1ウェイポイントをオーバーフライして、前記第2旋回の始点よりも前記第2ウェイポイントに近い位置で前記第1ウェイポイントのアウトバウンドコースに交わるトランジション経路に基づいて、第1旋回円弧及び第2旋回円弧に接触する1つ以上の点において、両円弧に接触する直線セグメントを追加するこ
とを行う、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記許容不可能な飛行条件は、
前記第1ウェイポイントと前記初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の終点との間の第1距離、及び、前記第2ウェイポイントと前記第1ウェイポイントとの間の第2距離に基づくか、
前記初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の終点と前記第1ウェイポイントとの間の第3距離、及び、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる第2旋回の始点と前記第1ウェイポイントとの間の第4距離に基づくか、
前記初期設定軌道プロファイルに含まれるバンク角と、前記航空機の対気速度に基づいて特定されるバンク角と、の比較に基づくか、
前記初期設定軌道プロファイルに含まれる不完全な旋回に基づくか、
前記初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の角度に基づくか、
前記初期設定軌道プロファイルに関連づけられた飛行時間が、特定の飛行時間を超えることに基づくか、
前記初期設定軌道プロファイルに関連づけられた飛行距離が、特定の飛行距離を超えることに基づくか、
前記初期設定軌道プロファイルに含まれる特定の旋回の旋回半径が、待機コースへの合流に関連づけられた閾値半径より大きいことに基づくか、のうちの少なくとも1つにより特定される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記飛行計画において隣接する区間に、少なくとも3つの迂回ウェイポイントが含まれるか否を判定し、
前記隣接する区間に少なくとも3つの迂回ウェイポイントが含まれると判定すると、前記少なくとも3つの迂回ウェイポイントのうちの2つより多い迂回ウェイポイントが、特定の旋回半径内に位置しているか否かを判定し、
前記2つより多い迂回ウェイポイントの図心に基づいて、前記2つより多い迂回ウェイポイントを集合として扱う、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
航空機に関連付けられた運航規則の組を格納するメモリと、
前記メモリに接続された飛行管理システムと、を含む航空機であって、前記飛行管理システムが、
少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて飛行計画を生成し、
少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて初期設定軌道プロファイルを生成し、
前記初期設定軌道プロファイルに関連付けられた許容不可能な飛行条件であって、前記運航規則の組のうちの少なくとも1つの運航規則に違反する許容不可能な飛行条件を特定し、
前記初期設定軌道プロファイルの旋回中心位置と、前記初期設定軌道プロファイルのインバウンドコースと、前記初期設定軌道プロファイルのアウトバウンドコースと、前記初期設定軌道プロファイルの旋回始点と、前記初期設定軌道プロファイルの旋回終点と、前記初期設定軌道プロファイルの旋回半径のうちの1つ以上に基づく閉形式の計算を用いて、前記許容不可能な飛行条件を解消するように前記初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイルを生成するよう構成されて
おり、
前記飛行計画における前記少なくとも1つのウェイポイントは、第1ウェイポイント及び前記第1ウェイポイントに後続する第2ウェイポイントを含み、
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの曲面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の1つ後の旋回である第2旋回の旋回中心を、前記第2ウェイポイントからの進行先であるアウトバウンドの線に平行な経路に沿って移動させる、航空機。
【請求項16】
前記運航規則の組が、前記航空機の製造業者により指定された規則、政府機関により指定された規則、ユーザにより設定された規則、又は、それらの組み合わせを含むものである、請求項15に記載の航空機。
【請求項17】
前記修正軌道プロファイルを表示するよう構成された表示画面をさらに含む、請求項15又は16に記載の航空機。
【請求項18】
命令を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサにより実行されると、当該プロセッサに、
航空機の飛行計画であって、少なくとも1つのウェイポイント、及び、前記航空機に関連付けられた運航規則の組に基づく飛行計画を生成することと、
少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて初期設定軌道プロファイルを生成することと、
前記初期設定軌道プロファイルに関連付けられた許容不可能な飛行条件であって、前記運航規則の組のうちの少なくとも1つの運航規則に違反する許容不可能な飛行条件を特定することと、
前記初期設定軌道プロファイルの旋回中心位置と、前記初期設定軌道プロファイルのインバウンドコースと、前記初期設定軌道プロファイルのアウトバウンドコースと、前記初期設定軌道プロファイルの旋回始点と、前記初期設定軌道プロファイルの旋回終点と、前記初期設定軌道プロファイルの旋回半径のうちの1つ以上に基づく閉形式の計算を用いて、前記許容不可能な飛行条件を解消するように前記初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイルを生成することと、を含む処理を実行させるものであ
り、
前記飛行計画における前記少なくとも1つのウェイポイントは、第1ウェイポイント及び前記第1ウェイポイントに後続する第2ウェイポイントを含み、
前記初期設定軌道プロファイルの前記少なくとも1つの曲面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の1つ後の旋回である第2旋回の旋回中心を、前記第2ウェイポイントからの進行先であるアウトバウンドの線に平行な経路に沿って移動させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記処理は、少なくとも1つの他のシステムを前記修正軌道プロファイルで更新することをさらに含む、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの他のシステムは、自動操縦システムを含む、請求項18又は19に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空機の軌道プロファイル(trajectory profile)を修正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、当該航空機の飛行計画に基づいて軌道プロファイルを生成する飛行管理システムを備えることができる。飛行計画は、フライトの出発地点(例えば、離陸位置)から目的地点(例えば、着陸位置)までの間に、複数のウェイポイント(例えば、中間点)を含む。軌道プロファイルは、航空機が飛行可能な連続する飛行経路を、業界のガイドライン(例えば、アメリカ連邦航空局(FAA)ガイドライン)に従って生成することを目的とする。一般的に、軌道プロファイルは、飛行計画を達成するために設計されたアルゴリズムを用いて生成される。これらのアルゴリズムは、飛行計画を軌道プロファイルに変換して、予定される飛行空間において航空機が飛行可能な最適な四次元(緯度、経度、高度、及び、時間)経路を提示する。あるアルゴリズムは、例えば、航空機が出発地点から目的地点まで、飛行計画に含まれるウェイポイントを経由して飛行可能な連続経路を生成するよう設計されている。飛行管理システムは、軌道プロファイルを航空機の操縦室の画面に表示し、これにより、航空機の操縦士は、軌道プロファイルに沿って飛行するように航空機を操縦(あるいは、自動操縦を使って制御)して、目的地点に向かうことができる。理想的なケースにおける飛行条件によれば、操縦士が航空機を円滑に操縦することによって、経路に沿った各ウェイポイントを通過させる飛行が可能である。
【0003】
しかしながら、飛行条件はフライト中に変化する可能性があり、操縦士(又は、自動操縦)が航空機を円滑に操縦して各ウェイポイントを通過させることが可能でないケースがある。限定するものではないが、一例として、航空機の飛行速度に起因して、航空機が特定のウェイポイントを通る特定の軌道に沿って飛行するように操縦士が操縦することができない(あるいは、そのように操縦することが困難な)場合がある。この結果、航空機の軌道が、軌道プロファイルから逸脱する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施態様によれば、方法は、プロセッサにおいて、航空機の飛行計画を生成することを含む。前記飛行計画は、少なくとも1つのウェイポイント、及び、前記航空機に関連付けられた運航規則の組に基づく。前記方法は、少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて初期設定軌道プロファイルを生成することをさらに含む。前記方法は、前記初期設定軌道プロファイルに関連付けられた許容不可能な飛行条件を特定することをさらに含む。前記許容不可能な飛行条件は、前記運航規則の組のうちの少なくとも1つの運航規則に違反するものである。前記方法は、前記許容不可能な飛行条件を解消するように前記初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイルを生成することをさらに含む。前記方法は、前記修正軌道プロファイルを表すデータを生成し、その際に、前記航空機における他の飛行管理システム又は他の操縦士が前記航空機を前記修正飛行軌道プロファイルに沿って飛行させるのに適応した少なくとも1つの形式で前記データを生成することをさらに含む。
【0005】
本開示の他の実施態様によれば、航空機は、前記航空機に関連付けられた運航規則の組を格納するメモリを含む。前記航空機は、さらに、前記メモリに接続された飛行管理システムを含む。前記飛行管理システムは、少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて飛行計画を生成するよう構成されている。前記飛行管理システムは、さらに、前記少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて初期設定軌道プロファイルを生成するよう構成されている。前記飛行管理システムは、さらに、前記初期設定軌道プロファイルに関連付けられた許容不可能な飛行条件を特定するよう構成されている。前記許容不可能な飛行条件は、前記運航規則の組のうちの少なくとも1つの運航規則に違反するものである。前記飛行管理システムは、さらに、前記許容不可能な飛行条件を解消するように前記初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイルを生成するよう構成されている。前記飛行管理システムは、さらに、前記修正軌道プロファイルを表すデータを生成し、その際に、前記航空機における他の飛行管理システム又は他の操縦士が前記航空機を前記修正飛行軌道プロファイルに沿って飛行させるのに適応した少なくとも1つの形式で前記データを生成するよう構成されている。
【0006】
本開示の他の実施態様によれば、非一時的なコンピュータ可読媒体は、命令を格納しており、前記命令は、プロセッサにより実行されると、当該プロセッサに、航空機の飛行計画を生成することを含む処理を実行させる。前記飛行計画は、少なくとも1つのウェイポイント、及び、前記航空機に関連付けられた運航規則の組に基づくものである。前記命令は、少なくとも1つのウェイポイント及び前記運航規則の組に基づいて初期設定軌道プロファイルを生成することをさらに含む。前記処理は、前記初期設定軌道プロファイルに関連付けられた許容不可能な飛行条件を特定することをさらに含む。前記許容不可能な飛行条件は、前記運航規則の組のうちの少なくとも1つの運航規則に違反するものである。前記処理は、前記許容不可能な飛行条件を解消するように前記初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイルを生成することをさらに含む。前記処理は、前記修正軌道プロファイルを表すデータを生成し、その際に、前記航空機における他の飛行管理システム又は他の操縦士が前記航空機を前記修正飛行軌道プロファイルに沿って飛行させるのに適応した少なくとも1つの形式で前記データを生成することをさらに含む。
【0007】
上述した実施態様は、許容不可能な飛行条件に応じて、初期設定軌道プロファイルを動的に修正できるという利点を有する。限定するものではないが、例えば、初期設定の飛行計画は、航空機が10キロメートルの旋回半径で旋回してウェイポイントを通過することを含むとする。しかしながら、許容不可能な飛行条件(例えば、予想外の追い風)に起因して、当該旋回半径で旋回を行うと、航空機の運航性能を超える(例えば、バンク角が大きくなりすぎる)ことになり、航空機が軌道プロファイルから逸脱してしまうとする。航空機の軌道プロファイルを飛行可能なものにするために、飛行管理システムは、フライト中に初期設定軌道プロファイルを修正して、旋回経路を変更する(例えば、軌道プロファイルにおける旋回始点を、0.5キロメートル風上に移動する)ことができる。これにより、航空機は、より速い段階で旋回を開始することができるので、当該飛行計画の規則を順守することができる。
【0008】
加えて、本明細書に記載の特徴、機能、及び、効果の1つ以上は、様々な実施態様において個別に実現可能であり、あるいは、他の実施態様に組み込むこともでき、それらの詳細は、以下の記載及び図面を参照して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】許容不可能な飛行条件が特定された場合に、初期設定軌道プロファイルをフライト中に動的に修正するよう動作可能なシステムを含む航空機を示す図である。
【
図3】許容不可能な飛行条件に基づく、飛行不可能な軌道プロファイルを含む飛行計画を示す図である。
【
図4】許容不可能な飛行条件に基づく、不連続な軌道プロファイルを含む別の飛行計画を示す図である。
【
図5】許容不可能な飛行条件の有無を判定するプロセスを表す図である。
【
図6】許容不可能な飛行条件の有無を判定する別のプロセスを表す図である。
【
図7】許容不可能な飛行条件の有無を判定する別のプロセスを表す図である。
【
図9】許容不可能な飛行条件の有無を、特定の待機エントリセクタを利用して判定するプロセスを表す図である。
【
図10】許容不可能な飛行条件の有無を、別の待機エントリセクタを利用して判定するプロセスを表す図である。
【
図11】許容不可能な飛行条件の有無を、別の待機エントリセクタを利用して判定するプロセスを表す図である。
【
図12】軌道プロファイルを調整するプロセスを説明する図である。
【
図13A】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図13B】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図14】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図15】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図16】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図17】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図18】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図19】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図20】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図21】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図22】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図23】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図24】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図25】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図26A】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図26B】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図27】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図28】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図29】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図30】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図31】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図32】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図33】軌道プロファイルを調整する別のプロセスを説明する図である。
【
図34】許容不可能な飛行条件が特定された場合に軌道プロファイルを修正する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の具体的な実施形態を、添付図面を参照して以下に説明する。下記の説明において、共通する特徴は、図面全体を通して同一の参照符号で示している。
【0011】
添付図面及び下記の説明は、特定の例示的な実施形態について記載するものである。なお、当業者であれば、本明細書には明確に記載又は図示されていないものの、本明細書に記載の原理を具現化する様々な変形を考案することができ、そのような変形も、下記の説明に続いて記載されている特許請求の範囲に包含されることは理解されるであろう。さらに、本明細書に記載の各実施例は、本開示の原理の理解を助けることを目的としており、限定を課すものではないと解釈されるべきである。したがって、本開示は、下記に記載する特定の実施形態又は実施例に限定されるものではなく、請求の範囲及びその均等範囲によってのみ限定されるものである。
【0012】
本明細書に記載の技術によれば、航空機の飛行管理システムは、許容不可能な飛行条件が検出された場合に、軌道プロファイルをフライト前又はフライト中に動的に修正することができる。例えば、初期設定の飛行計画は、当該飛行計画における1つ以上のウェイポイントを通過するように航空機を案内する初期設定の飛行軌道を含む。許容不可能な飛行条件が含まれる場合、初期設定の飛行軌道に沿って航空機を操縦すると、自動操縦が解除される可能性がある。限定するものではないが、例えば、航空機の飛行速度によっては、航空機が所与の大きさの旋回半径において、飛行計画で定められた空域から逸脱する可能性がある。したがって、許容不可能な飛行条件(例えば、許可された空域から航空機が逸脱してしまうような旋回半径)が特定された場合には、飛行管理システムは、初期設定軌道プロファイルを修正して、修正軌道プロファイルを生成する。限定するものではないが、例えば、修正軌道プロファイルでは、旋回始点の位置を変更するように初期設定軌道を修正し、これにより、航空機に許可された空域内を円滑に飛行可能であるとともに、元の軌道プロファイルの意図に極力沿ったプロファイルを生成する。他の例を挙げると、限定するものではないが、修正軌道プロファイルでは、初期設定軌道プロファイルに含まれる旋回中心の位置を移動し、これにより、旋回半径を大きくすることが可能になる。許容不可能な飛行条件、及び、飛行軌道プロファイルの修正についてのその他の例は、以下に記載する。
【0013】
図1は、航空機100を示す図である。航空機100は、操縦室102、客室104、翼106、及び、翼108を含む。操縦室102は、許容不可能な飛行条件が特定された場合に、航空機100の初期設定軌道プロファイルを、フライト中に動的に修正するよう動作可能なシステム200を含む。例えば、システム200は、航空機100が出発地点から目的地点まで航行する間に、初期設定軌道プロファイルを修正する(例えば、旋回中心の位置を修正する)ことができ、このような修正は、初期設定軌道プロファイルに沿った航行が、航空機100に関連付けられた1つ以上の運航規則(operational rule)によれば「許容不可能」であるとされる飛行条件が航空機100に特定された場合に実行される。システム200について、
図2を参照してより詳細に説明する。
【0014】
図2を参照すると、初期設定軌道プロファイルをフライト中に動的に修正するよう動作可能なシステム200が示されている。システム200は、飛行管理システム202(例えばコントローラ)、飛行管理システム202に接続されたメモリ204、飛行管理システム202に接続された入力インターフェース206、飛行管理システム202に接続された飛行条件監視部208、飛行管理システム202に接続された表示画面210、飛行管理システム202に接続された1つ以上のシステム290を含む。1つ以上のシステム290は、自動操縦システム292を含む。いくつかの実施態様において、システム200の1つ以上のコンポーネントは、飛行管理システム202に組み込まれている。限定するものではないが、例えば、入力インターフェース206及び飛行条件監視部208は、飛行管理システム202に組み込むことが可能である。
【0015】
メモリ204は、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、以下に説明する処理を実現するために飛行管理システム202によって実行可能な命令220が格納されている。メモリ204には、航空機100に関連付けられた運航規則の組222も格納されている。
図2において、運航規則の組222は、運航規則224、運航規則226、及び、運航規則228を含む。なお、同図には、3つの運航規則が示されているが、他の実施態様においては、運航規則の組222は、より多くの(あるいは、より少ない)運航規則を含んでもよい。限定するものではないが、例えば、運航規則の組222は、45の運航規則を含む。限定するものではないが、他の例では、運航規則の組222は、1つの運航規則を含む。
【0016】
運航規則の組222における各運航規則224~228は、航空機100を運航するための異なるルールを示す。限定するものではないが、例えば、運航規則224は、航空機100が時速825キロメートルを超える速度で航行しているときは、航空機100の旋回半径が5キロメートル未満であってならならないと規定する。限定するものではないが、他の例では、運航規則226は、航空機100が時速875キロメートルを超える速度で航行しているときは、航空機100の旋回半径が10キロメートル未満であってならならないと規定する。限定するものではないが、他の例では、運航規則228は、航空機100が時速925キロメートルを超える速度で航行しているときは、航空機100の旋回半径が15キロメートル未満であってならならないと規定する。なお、これらの運航規則224~228は、あくまでも例示に過ぎず、限定として解釈されるべきではない。加えて、いくつかの実施態様においては、運航規則の組222における1つ以上の運航規則224~228は、業界のガイドライン(例えば、アメリカ連邦航空局(FAA)ガイドライン)に含まれるか、これに対応する規則である。他の実施態様においては、運航規則の組222は、航空機100の製造業者により指定された規則、政府機関により指定された規則、ユーザにより設定された規則、あるいは、その組み合わせを含む。
【0017】
入力インターフェース206は、キーパッド、音声入力装置、タッチパネル装置、又は、入力を受け付けるよう構成された任意の他のデバイスで構成することができる。入力インターフェース206は、飛行管理システム202に出発地点(origin)212と目的地点(destination)214を入力するために使用される。出発地点212は、フライトの開始地点に対応し、目的地点214は、フライトの終了地点に対応する。例えば、出発地点212の経度と緯度の座標は、操縦士又は副操縦士が入力インターフェース206を介して飛行管理システム202に入力することができる。いくつかの実施態様では、出発地点212の経度と緯度の座標は、全地球測位システム(GPS)を使って自動的に特定される。例えば、GPSが、航空機100の位置を特定し、その位置を出発地点212として設定する。目的地点214の経度と緯度の座標は、操縦士又は副操縦士が入力インターフェース206を介して飛行管理システム202に入力することができる。限定するものではないが、例えば、操縦士は、到着空港の経度と緯度の座標を、飛行管理システム202に入力することができる。限定するものではないが、別の例では、操縦士は、飛行管理システム202に到着空港の空港コードを入力し、この空港コードに基づいて飛行管理システム202が目的地点214の経度と緯度を特定する構成であってもよい。
【0018】
飛行管理システム202は、出発地点212及び目的地点214に基づいて、飛行計画230を、生成するよう構成されている。この飛行計画に従えば、航空機100は出発地点212から目的地点214まで安全に航行することができる。ただし、場合によっては、飛行計画230に、(例えば、2つのウェイポイントが近すぎることなどにより)1つ以上の不連続部分が含まれることがありうる。飛行計画230は、表示画面210に表示される。飛行計画230は、目的地点214までのルートにおいて航空機100が通過すべき複数のウェイポイント234~238を含む。例えば、飛行計画230は、航空機100がウェイポイント234を通過し、ウェイポイント236を通過し、ウェイポイント238通過し、最終的に目的地点214に到着するフライトを想定する。いくつかの実施態様において、ウェイポイントを「通過する」とは、ウェイポイントから所定の距離の範囲内を飛行することを含む。航空機100が予定のルートに沿って(例えば、ウェイポイント234~238を経由して)航行できるように、飛行管理システム202は、航空機100が予定通りに航行するために辿るべき初期設定軌道プロファイル232を生成する。例えば、初期設定軌道プロファイル232は、航空機100が旋回する時点、航空機100が旋回するときの各旋回半径、フライト中の各段階における航空機100の高度など、を示す。
【0019】
図2では、初期設定軌道プロファイル232は、第1セグメント260、第2セグメント262、第3セグメント264、及び、最終セグメント266を含む。なお、同図には4つのセグメントが示されているが、他の実施態様では、初期設定軌道プロファイル232は、より多くの(あるいは、より少ない)セグメントを含んでもよい。各セグメント260~266は、旋回始点、旋回中心、旋回終点、旋回半径、飛行高度、飛行速度などを示す飛行軌道情報(例えば、飛行軌道経路)を含むことができる。
【0020】
初期設定軌道プロファイル232は、運航規則の組222に基づく。限定するものではないが、例えば、初期設定軌道プロファイル232に含まれる各旋回の旋回半径(又は、バンク角)は、運航規則の組222における運航規則224~228の各々を満たすように設定される。しかしながら、フライト中に飛行条件が変わり、これにより、航空機100が初期設定軌道プロファイル232に従って航行すると、運航規則224~228の内の少なくとも1つに違反してしまうような状況が想定されうる。限定するものではないが、例えば、航空機乗組員が航空管制から、一時的に飛行計画(例えば、飛行計画230)から逸脱するように指示を受け、その後、元の飛行計画(例えば、飛行計画230)に復帰するように指示を受ける可能性がある。しかしながら、飛行計画230への復帰指示を受けた時点での航空機100の位置、速度、及び、トラック角を要因として、初期設定軌道プロファイル232の形状によっては、飛行計画230の意図に見合う経路を取ることが可能でない場合がありうる。限定するものではないが、他の例としては、飛行計画230が、連続するウェイポイントが狭い間隔で配置されている標準計器出発方式(SID)を採用して生成されているとする。また、運航方式設計者が想定する航空機の性能レベルによれば、航空機100の飛行速度が所望の軌道を達成するのに十分に遅い速度になる見込みであるとする。しかしながら、航空機100の実際の性能(例えば、加速性能)が、方式設計者の想定を上回り、実際の飛行における旋回半径では、運航方式の意図に見合う軌道が可能でない場合がある。
【0021】
初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つのセグメントが運航規則224~228のうちの少なくとも1つに違反するか否かを判定するために、飛行管理システム202は、航空機100の飛行条件250を、初期設定軌道プロファイル232のセグメント情報と比較する。航空機100の飛行条件250は、特定の段階での航空機100の飛行速度、予測最大許容バンク角、気象条件、飛行高度などを含むことができる。飛行条件監視部208は、航空機100の飛行条件250を監視し、飛行条件250を飛行管理システム202に提供するよう構成されている。限定するものではないが、例えば、飛行条件監視部208は、航空機100の対地速度を特定するよう構成されたセンサ(例えば、GPS)、航空機100の対気速度を特定するよう構成されたエア・データ・コンピュータ、航空機100の高度を特定するよう構成された高度計、その他のシステム、及び、その組み合わせを含んでもよい。
【0022】
飛行管理システム202は、航空機100の飛行条件250を、初期設定軌道プロファイル232のセグメント情報と比較して、少なくとも1つの飛行条件が許容不可能な飛行条件でないか判定するよう構成されている。本明細書に記載する「許容不可能な飛行条件」とは、航空機100が軌道プロファイルに従って航行した場合に、航空機100が運航規則の組222のうちの少なくとも1つの運航規則に違反する結果になるような飛行条件を言う。例えば、航空機100が先の旋回を完了するより前に、次の旋回を開始する必要があることを示す飛行条件250があれば、飛行管理システム202は、この飛行条件250を許容不可能とする。許容不可能な飛行条件を特定する実施例については、
図3~
図11を参照して説明する。
【0023】
一実施態様によれば、
図5を参照して説明するように、許容不可能な飛行条件は、第1ウェイポイント(例えば、ウェイポイント234)と、初期設定軌道プロファイル232に含まれる第1旋回の終点との間の第1距離、及び、第2ウェイポイント(例えば、ウェイポイント236)と第1ウェイポイントとの間の第2距離に基づいて特定される。他の実施態様によれば、
図6を参照して説明するように、許容不可能な飛行条件は、第1旋回の終点と第1ウェイポイント(例えば、ウェイポイント234)との間の第1距離、及び、初期設定軌道プロファイル232に含まれる第2旋回の始点と第1ウェイポイントとの間の第2距離に基づいて特定される。
【0024】
他の実施態様によれば、
図8~
図11を参照して説明するように、許容不可能な飛行条件は、初期設定軌道プロファイル232に含まれるバンク角と、航空機100の対地速度に基づいて特定されたバンク角と、の比較に基づいて特定される。例えば、バンク角が制限されるような航空機の状態が予測されるため、初期設定軌道プロファイル232において要求されるバンク角を達成できないような場合に、許容不可能な飛行条件が特定される。また、初期設定軌道プロファイル232に不完全な旋回が含まれることが検出された場合にも、許容不可能な飛行条件が特定される。本明細書にて用いられる「不完全な旋回」とは、航空機100が最後まで完了しない旋回に相当する。
【0025】
運航規則の組222に鑑みて飛行条件250が許容不可能であると判定されると、飛行管理システム202の修正回路270は、許容不可能な飛行条件を解消するように初期設定軌道プロファイル232における少なくとも1つの局面を修正することで、修正軌道プロファイル242を生成する。
図2では、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262を修正することで、修正第2セグメント282が生成されている。例えば、飛行管理システム202は、フライト中に初期設定軌道プロファイル232を修正して(例えば、初期設定軌道プロファイル232に含まれる旋回の始点及び終点を修正したり、初期設定軌道プロファイル232に含まれる旋回と旋回の間に直線のセグメントを挿入したり、旋回中心の位置を変更するなどして)、修正軌道プロファイル242を生成する。初期設定軌道プロファイルを修正する実施例については、
図12~
図31を参照して説明する。表示画面210は、修正軌道プロファイル242を表示するよう構成されている。また、飛行管理システム202は、1つ以上のシステム290のうちの少なくとも1つを、修正軌道プロファイル242で更新する。例えば、飛行管理システム202は、自動操縦システム292を修正軌道プロファイル242で更新し、これにより、航空機100自動操縦に切り換えられたときに、修正軌道プロファイル242に沿って飛行するようにできる。
【0026】
初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正することは、初期設定軌道プロファイル232に含まれる第1旋回の中心位置を修正すること、初期設定軌道プロファイル232に含まれる第2旋回の中心位置を修正すること、あるいは、その両方を含むことができる。例えば、初期設定軌道プロファイル232において、第1旋回の直後に第2旋回が連続しているとする。本明細書に記載した各旋回の旋回中心を移動させる距離は、修正回路270により1つ以上のアルゴリズムに基づく閉形式の手法(closed-form technique)又は反復手法(iterative technique)を用いて特定することができる。一実施態様では、第1旋回の中心位置は、初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の中心位置と第2旋回の中心位置を通る軸に沿って移動される。他の実施態様では、第1旋回の中心位置は、第1旋回に向かうインバウンドコースに平行な軸に沿って移動され、第2旋回の中心位置は、第2旋回からの進行先であるアウトバウンドコースに平行な軸に沿って移動される。
【0027】
一実施態様では、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262を修正することは、初期設定軌道プロファイル232の第1旋回と初期設定軌道プロファイル232の第2旋回との間に、直線のセグメントを挿入することも含むことができる。また、この直線セグメントを回転させて第2セグメント262を修正することで、修正第2セグメント282を生成してもよい。一実施態様では、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262を修正することは、コースキャプチャ(course capture)を実行することを含んでもよい。加えて、第2セグメント262を修正することは、アウトバウンドコースからコースキャプチャインターセプト角度(course capture intercept angle)で線分を投影することを含んでもよい。
【0028】
一実施態様では、第2セグメント262を修正することは、飛行計画230のウェイポイント234とウェイポイント238の間に飛行軌道を構築することを含んでもよい。例えば、修正回路270は、飛行計画230のウェイポイント234とウェイポイント236の間の飛行軌道の構築を避けることもできる。ここでは、ウェイポイント234の次がウェイポイント236であり、ウェイポイント236の次がウェイポイント238である。したがって、初期設定軌道プロファイル232を修正することは、本質的に、飛行計画230に含まれるウェイポイントを無視するように軌道変更することを含むことができる。
【0029】
初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面を修正することは、飛行計画230における2つ以上のウェイポイントの代替として仮想ウェイポイントを生成することを含んでもよい。例えば、仮想ウェイポイント246は、ウェイポイント234、236を代替する。したがって、修正軌道プロファイル242を用いれば、航空機100は、ウェイポイント234、236を通過する代わりに、仮想ウェイポイント246を通過するように航行する。初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面を修正することは、初期設定軌道プロファイル232における第1旋回の終点を修正すること、及び、初期設定軌道プロファイル232に含まれる第2旋回に関連づけられたアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャを実行することを含んでもよい。
【0030】
よって、
図2のシステム200は、許容不可能な飛行条件に対応して、初期設定軌道プロファイル232を動的に修正することを可能にする。限定するものではないが、例えば、初期設定軌道プロファイル232は、第1旋回が完了する位置が、次の旋回の始点とすべき位置を通りすぎているような状況を示す可能性があり、このような状況は、運航規則の組222の内の1つの規則に違反する。例えば、航空機100は、前の区間(leg)の旋回を完了するまでは、次の区間の旋回を開始することができない。そのような開始は、運航規則226に違反する。したがって、運航規則の組222を遵守すべく、飛行管理システム202は、初期設定軌道プロファイル232を修正して、運航規則226を順守できるような修正軌道プロファイル242を生成する。
【0031】
図3は、飛行計画230Aを示す図であり、この飛行計画には、許容されない飛行条件に基づく軌道プロファイル232A(例えば、飛行不可能な軌道プロファイル)が含まれている。一実施態様によれば、飛行計画230Aは、
図2の飛行計画230に対応する。飛行計画230Aは、第1ウェイポイント234A、第2ウェイポイント236A、及び、第3ウェイポイント238Aを含む。航空機100が軌道プロファイル232Aに沿って航行する場合、航空機100は、第1ウェイポイント234A付近に飛行した後、第2ウェイポイント236Aに向けて旋回することになる。航空機100は、第2ウェイポイント236A付近に飛行した後、第3ウェイポイント238Aに向けて旋回することになる。
【0032】
しかしながら、
図3に例示する実施例では、航空機100の飛行速度に起因して、許容不可能な飛行条件(「尻振り現象(fish tail)」迂回条件)が発生し、その結果、飛行経路が少なくとも1つの運航規則に違反する(例えば、飛行不可能な経路になる)。本明細書において、「飛行不可能な飛行条件」は、「迂回条件(bypass condition)」とも記載する。
図3に示す例では、許容不可能な飛行条件は、航空機100が比較的高速で飛行しており、航空機が旋回を完了する前に、ウェイポイントを通り過ぎてしまう場合に相当する。よって、この許容不可能な飛行条件は、運航規則の組222の内の少なくとも1つ(例えば、旋回は、第2ウェイポイント236Aに到達する前に完了しなければならない)に違反する。この結果、航空機100の軌道プロファイル232Aでは、第2ウェイポイント236Aと第3ウェイポイント238Aの間が飛行不可能であり(例えば、許容不可能な飛行条件を含み)、よって、軌道プロファイル232Aに従って航行すると、自動操縦が解除されたり、乗組員による運航がコースを外れたりすることになる。
【0033】
図4を参照すると、許容されない飛行条件に基づく軌道プロファイル232B(例えば、不連続な軌道プロファイル)を含む飛行計画230Bが図示されている。一実施態様では、飛行計画230Bは、
図2の飛行計画230に対応する。飛行計画230Bは、第1ウェイポイント234B、第2ウェイポイント236B、第3ウェイポイント238B、及び、目的地点214Bを含む。航空機100が軌道プロファイル232Bに沿って航行する場合、航空機100は、第1ウェイポイント234Bを通過した後、第2ウェイポイント236Bに向けて旋回することになる。航空機100は、第2ウェイポイント236Bを通過後、第3ウェイポイント238Bに向けて旋回することになる。航空機100は、第3ウェイポイント238Bを通過した後、目的地点214Bに向けて旋回することになる。
【0034】
しかしながら、
図4に例示する実施例では、許容不可能な飛行条件があり、飛行経路が少なくとも1つの運航規則(例えば、不連続な経路)に違反する。例えば、第2ウェイポイント236Bと第3ウェイポイント238Bが近接しているため、航空機100は、第2ウェイポイント236Bと第3ウェイポイント238Bを通過するとともに、運航規則の組222を守るように旋回することはできない。運航規則の組222のうちの少なくとも1つの運航規則に違反する許容不可能な飛行条件があり、この許容不可能な飛行条件のために、第2ウェイポイント236Bと第3ウェイポイント238Bの間の経路が不連続になっている。この許容不可能な飛行条件の要因としては、航空機100の飛行速度、第2ウェイポイント236Bが近接していること、第3ウェイポイント238Bが近接していることなど、がある。この結果、航空機100の軌道プロファイル232Bは、第2ウェイポイント236Bと第3ウェイポイント238Bの間が不連続になっており、この軌道プロファイル232Bに従って航行すると、エラー状態に陥る。
【0035】
図5は、許容不可能な飛行条件の有無を判定するプロセス500を表す図である。プロセス500は、飛行管理システム202を例とするルールベースの決定エンジンを用いて実行可能であり、これにより許容不可能な飛行条件の有無を検出することができる。許容不可能な飛行条件があれば、飛行管理システム202によって1つ以上の修正アルゴリズムを実行して、円滑で連続する飛行軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。
【0036】
プロセス500では、2つのウェイポイント234C、236Cの間のウェイラインに接触しない旋回の有無、ウェイラインと接触するように旋回しないと、同じ向きの旋回(same-side turn)、S字旋回(S-turn)、又は、その両方を飛行することになる状況の有無を判定する。本明細書における「同じ向きの旋回」とは、2つの連続するウェイポイントに関して、同じ側(例えば、右側又は左側のいずれか)に向かって旋回する飛行条件を言う。本明細書における「S字旋回」とは、2つの連続するウェイポイントに関して、それぞれ反対側に向かって旋回する飛行条件を言う。本明細書における各旋回は、旋回の始点/開始点(ITP)及び旋回の終点/終了点(FTP)を有する。
【0037】
プロセス500では、第1旋回の終点(FTP1)が、ウェイポイント(WTP1)と次のウェイポイント(WTP2)との間のウェイライン上に位置していない場合は、許容不可能な飛行条件があるとする。例えば、第1旋回の終点(FTP1)がウェイライン上に位置していても、その位置がウェイポイント234Cとウェイポイント236Cに挟まれた範囲内になければ、許容不可能な飛行条件があるとする。許容不可能な飛行条件の有無はは、2つのセグメントの長さの絶対値|FTP1-WPT1|と|WPT2-WPT1|を比較することでチェックすることで判定できる。比較の結果、|FTP1-WPT1|≧|WPT2-WPT1|であれば、第1旋回の終点(FTP1)は、ウェイポイント234Cと236Cの間のウェイライン上に位置していないことなり、許容不可能な飛行条件があると判定される。
【0038】
図6は、許容不可能な飛行条件の有無を判定するプロセス600を表す図である。プロセス600は、飛行管理システム202を例とするルールベースの決定エンジンを用いて実行可能であり、これにより、許容不可能な飛行条件の有無を検出することができる。許容不可能な飛行条件があれば、飛行管理システム202によって1つ以上の修正アルゴリズムを実行して、円滑で連続する飛行軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。
【0039】
プロセス600によれば、第1旋回の終点(FTP1)が、ウェイポイント234Dと次のウェイポイント236Dとの間のウェイライン上に位置していても、第2旋回の始点(ITP2)が第1旋回の終点(FTP1)とウェイポイント234Dとの間にある場合は、許容不可能な飛行条件があるとされる。例えば、式(|FTP1-WPT1|≧|ITP2-WPT1|)が真であれば、第1旋回の終点(FTP1)が、第2旋回の始点(ITP2)を通り越した位置にあるので、許容不可能な飛行条件があると判定される。
【0040】
これに加えて、あるいは、これに代えて、フィックスに対して円弧状の軌道を有する(AF:arc to fixed)区間について、当該区間の始点及び/又は終点におけるコース変更が大きく、且つ、航空機100の対地速度が速い場合は、通常の経路構築のルーチンでは、所望の飛行計画の意図に沿った経路に収束させることが困難であり、許容不可能な飛行状態であると判定される。AF区間に関する迂回条件検出については、
図7を参照してより詳細に説明し、AF区間の迂回条件を解消する方法は、
図31を参照してより詳細に説明する。
【0041】
他の実施態様では、連続する迂回条件のチェックを、飛行管理システム202によって実行することができる。例えば、飛行管理システム202は、アルゴリズムを実行することで、途中のウェイポイントを迂回する軌道プロファイルを構成して、滑らかに連続する軌道を生成することができる。このチェックは、飛行計画において隣接する区間に、3つ以上の迂回ウェイポイント(例えば、許容不可能な飛行条件に関連するウェイポイント)が含まれる状況を特定することを含む。迂回ウェイポイントが3つ以上連続している場合は、次のチェックを実行して、互いの旋回半径の中に2つより多くのウェイポイントが含まれるか否かを確認する。この詳細は、
図22を参照してさらに記載する。
【0042】
他の実施態様では、AF/RF区間に入る旋回がAF/RF区間に対する接点を含まない(non-tangent)場合、飛行管理システム202は、最初の2つの旋回の間に直線のトランジション経路(transition)を構成可能か否か、且つ、第2旋回の終点が、円弧逸脱位置(arc departure point)よりも前で、当該円弧上にあるか否かを確認することができる。直線セグメントを追加した経路を構成すると、第2旋回の終点(FTP2)が第3旋回の始点(ITP3)を通り過ぎた位置に延長されてしまう場合は、許容不可能な飛行条件があると判定される。円弧に進入するときの角度が90度より大きい場合、飛行管理システム202は、円弧の半径が、現在の環境及び航空機の速度における旋回半径よりも大きいか否かを確認することができる。飛行速度や風のために、円弧軌道に合流し、追従するように飛行することが可能でない場合は、許容不可能な飛行条件があると判定される。
【0043】
図7は、許容不可能な飛行条件の有無を判定するプロセス700を表す図である。プロセス700は、飛行管理システム202を例とするルールベースの決定エンジンを用いて実行可能であり、これにより許容不可能な飛行条件の有無を検出することができる。許容不可能な飛行条件があれば、飛行管理システム202によって1つ以上の修正アルゴリズムを実行して、円滑で連続する飛行軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。
【0044】
プロセス700によれば、飛行管理システム202は、第1旋回の終点(FTP1)の旋回中心からのコース、及び、AF/RFウェイポイント(例えば、ウェイポイント236E)に対する角度を特定することができる。第1旋回の終点(FTP1)が円弧上のウェイポイント236Eを通り過ぎていれば、許容不可能な飛行条件があると判定される。第1旋回の終点(FTP1)がウェイポイント236Eを通り過ぎているか否かを判定するために、飛行管理システム202は、距離測定機器(DME)から第1旋回の終点(FTP1)までのコースに対する角度のコサインと、DMEからアウトバウンドコースまでに対する角度のコサインとを比較する。両コサインの符号が逆であれば、許容不可能な飛行条件があると判定される。
【0045】
プロセス700の他の実施態様によれば、飛行管理システム202は、AF/RF旋回中心からTC1までと、AF/RF旋回中心からウェイポイント234Eまでとの間のコース変更を判定することができる。コース変更がAF/RF旋回中心からTC1まで、及び、AF/RF旋回中心から第1旋回の終点(FTP1)までよりも小さい場合は、許容不可能な飛行条件が有ると判定される。
【0046】
図8は、待機エントリセクタ(hold entry sector)800を示す図である。待機エントリセクタ800は、第1セクタ(セクタ1)、第2セクタ(セクタ2)、第3セクタ(セクタ3)、及び、第4セクタ(セクタ4)を含む。待機エントリは、ウェイポイント(A)を通過する待機パターンを飛行する航空機100に関連する。
図9~
図11を参照して説明するように、飛行管理システム202は、待機エントリセクタ800におけるそれぞれのセクタにアルゴリズムを適用することで、許容不可能な飛行条件の有無を検出することができる。許容不可能な飛行条件があれば、飛行管理システム202によって1つ以上の修正アルゴリズムを実行して、円滑で連続する飛行軌道プロファイルを生成する。航空機の位置及び速度に起因して、標準的な待機エントリプロシージャによって好適に待機パターンに合流できないような場合は、許容不可能な飛行条件が有るとする。
【0047】
図9は、許容不可能な飛行条件の有無を、第3セクタ(セクタ3)を用いて判定するプロセスを表す
図900である。飛行管理システム202は、当該セグメントと交差するインターセプトベクトル(intercept vector)の角度を、角度(a)をとして決定する。
【0048】
第3セクタ(セクタ3)については、飛行管理システム202は、角度(a1)が90度以下である場合は、TC1を中心とする旋回半径の接線から点(P)を決定する。そうでない場合は、飛行管理システム202は、TC2を中心とする旋回半径の接線から点(P)を決定する。角度(a)が30度以下のときに、交点が点(P)より左側にある場合、飛行管理システム202は、目標点(destination point)を点(4)に決定する。交点が点(P)より左側にはない場合は、点(2)を目標点とする。角度(a)が30度超且つ150度未満のときに、交点が点(P)より左側にある場合、飛行管理システム202は、目標点を点(3)に決定する。交点が点(P)より左側にはない場合は、点(2)を目標点とする。角度(a)が150度超のときに、交点が点(P)より左側にある場合、飛行管理システム202は、点(3)を目標点として決定する。そうでない場合は、点(1)を目標点とする。
【0049】
図10は、許容不可能な飛行条件の有無を、第2セクタ(セクタ2)を用いて判定するプロセスを表す
図1000である。飛行管理システム202は、当該セグメントと交差するインターセプトベクトルが、待機フィックスに向かうインバウンドコースに対して成す角度を、角度(a)として決定する。第2セクタ(セクタ2)については、角度(a)が0度超の場合は、飛行管理システム202は、目標点を点(3)に決定する。そうでない場合は、点(1)を目標点とする。
【0050】
図11は、許容不可能な飛行条件の有無を、第1セクタ(セクタ1)を利用して判定するプロセスを表す
図1100である。飛行管理システム202は、当該セグメントに交差するインターセプトベクトルの角度を、角度(a)として決定する。
【0051】
第1セクタ(セクタ1)については、飛行管理システム202は、角度(a)が90度以下である場合は、TC2を中心とする旋回半径の接線から点(P)を決定する。そうでない場合は、飛行管理システム202は、TC1を中心とする旋回半径の接線から点(P)を決定する。角度(a)が150度以下且つ90度超のときに、交点が点(P)より左側にある場合、飛行管理システム202は、点(4)を目標点として決定する。交点が点(P)より左側にはない場合は、点(1)を目標点とする。角度(a)が150度超のときに、交点が点(P)より左側にある場合、飛行管理システム202は、点(3)を目標点として決定する。交点が点(P)より左側にはない場合は、点(1)を目標点とする。
【0052】
図12を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1200が示されている。プロセス1200は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1200では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の中心位置、又は、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回の中心位置のうちの少なくとも1つを修正するか、あるいは、その両方を修正する。例えば、初期設定軌道プロファイル232では、第1旋回の直後に第2旋回が連続しているとする。
【0053】
例えば、許容不可能な飛行条件が検出されると、飛行管理システム202は、1つ以上の修正アルゴリズムを適用して、飛行条件250に基づいて滑らかに連続する航空機100の軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。S字旋回が、許容不可能である「バイクワッド(bi-quad)」の飛行条件を発生させる場合は、飛行管理システム202は、ルールベースの決定を用いて、
図12に記載のアルゴリズムを選択することができる。
【0054】
図12においては、2つの旋回中心のうちの一方を、両旋回中心を結ぶ線に沿って決定論的に移動させて、両旋回の円弧の交点が、その半径に関わらず、2つのウェイポイントを結ぶ線分上で当該線分に接触するように修正する。接触は、両旋回中心の間の距離の長さが(R
1+R
2)であるときに得られる。このようにして得られる軌道では、第1旋回の終点(FTP
1)と第2旋回の始点(ITP
2)が、それぞれの旋回円弧の接点で重なるように移動されている。
図12には、修正回路270が旋回中心を移動させる距離を決定する際に用いる閉形式のアルゴリズム(例えば、方程式)も示している。
【0055】
図13A~
図13Bを参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1300、1350が示されている。プロセス1300、1350は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1300、1350では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の中心位置、又は、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回の中心位置のうちの少なくとも1つを修正するか、あるいは、その両方を修正する。初期設定軌道プロファイル232では、第1旋回の直後に第2旋回が連続する。
【0056】
例えば、許容不可能な飛行条件が検出されると、飛行管理システム202は、1つ以上の修正アルゴリズムを適用して、飛行条件250に基づいて滑らかに連続する航空機100の軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。S字旋回が、よって許容不可能である「バイクワッド」の飛行条件を発生させる場合は、飛行管理システム202は、ルールベースの決定を用いて、
図13A~13Bに関して記載するアルゴリズムを選択することができる。
【0057】
図13Aでは、2つの旋回中心を、第1旋回(旋回1)に向かうインバウンドコースに平行な線、及び、第2旋回(旋回2)から離れるアウトバウンドコースに平行な線に沿って、それぞれ移動させている。各旋回を移動させる距離(dist)は、dist=R
x(sec(θ
x)-1)cos(φ
x)という式で表すことができ、式中、R
xは、旋回半径である(これらの式においては、添え字xは、旋回1については、専ら=1であり、旋回2については、専らx=2である)。また、θ
xは、両旋回中心を結ぶ線と、ウェイポイント間を結ぶウェイラインに対して各旋回中心から引いた垂線と、の間の角度である。また、φ
xは、両旋回中心を結ぶ線と、インバウンドコース又はアウトバウンドコースに対して平行な線と、の間の角度である。
【0058】
図13Aに記載の方法で修正した軌道では、第1旋回の終点(FTP
1)を第2旋回の始点(ITP
2)に一致させており、航空機100は、2つの旋回が接続された軌道に沿って2つのウェイポイント間を航行する。これに対し、
図13Bに記載の方法では、直線のセクションを含むように軌道が修正される。自動操縦であれば、2つの旋回を一定のロールレートで滑らかに繋ぐように航行することが可能であるが、操縦士にとっては、2つの旋回の間に水平飛行セグメントを挟むことができると、ローリング予測のゆとり(roll-anticipation allowance)を確保することができ、軌道プロファイルを逸脱するリスクを緩和することができる。
【0059】
図14を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1400が示されている。プロセス1400は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1400では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の中心位置、又は、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回の中心位置のうちの少なくとも1つを修正するか、あるいは、その両方を修正する。例えば、初期設定軌道プロファイル232では、第1旋回の直後に第2旋回が連続しているとする。プロセス1400では、初期設定軌道プロファイル232を修正するために、コースキャプチャのルーチンも実行する。
【0060】
例えば、許容不可能な飛行条件が検出されると、飛行管理システム202は、1つ以上の修正アルゴリズムを適用して、飛行条件250に基づいて滑らかに連続する航空機100の軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。S字旋回が、許容不可能である「バイクワッド」の飛行条件を発生させる場合は、飛行管理システム202は、ルールベースの決定を用いて、
図14に関して説明したアルゴリズムを選択することができる。
【0061】
許容不可能なS字旋回の飛行条件は、旋回-直線-旋回となるトランジション経路を構築することで修正することができる。例えば、第1旋回(旋回1)と第2旋回(旋回2)を繋ぐとともに、両円弧に接触する線分を形成する。第1旋回の終点(FTP1)を、第1ウェイポイント(WPT1)のアウトバウンドコースから、新たな線分と、対応する円弧との交点まで移動させる。同様に、第2旋回の始点(ITP2)を、第2ウェイポイント(WPT2)のインバウンドコースから、当該新たな線分が第2旋回(旋回2)の円弧に対して接線として交わる点まで移動させる。したがって、プロセス1400では、2つの旋回の間に直線セグメントを追加する。
【0062】
図14に示すように、プロセス1400においても、旋回-直線-旋回となるトランジション経路を構築することで、許容不可能なS字旋回の飛行条件を修正することができる。例えば、第1ウェイポイント(WPT
1)に向かうインバウンドコース上の点を、次の条件を満たすように選択する。即ち、選択した点から当該インバウンドコースに対して所定の逸脱角度(departure angle)で線を伸ばしたときに、その線と第2ウェイポイント(WPT
2)のアウトバウンドコースとの交点から第2ウェイポイント(WPT
2)までの距離が、上記インバウンドコース上の選択した点から第1ウェイポイント(WPT
1)までの距離とほぼ同じになるように選択する。コースキャプチャの巧みな調整により、インバウンドコースから直線セクションに遷移し、第2ウェイポイント(WPT
2)アウトバウンドコースに合流することができる。第1旋回の始点(ITP
1)及び第2ウェイポイント(WPT
2)のアウトバウンドコース上の目標点は、各ウェイポイントからオフセット距離を用いた測地学的投影(geodetic projection)によって特定することができる。迂回経路を構築した結果、ウェイポイント間でウェイラインに交差しない軌道になった場合には、ウェイポイントからの距離を短くして、S字旋回を迂回する経路でウェイポイントの間を航空機100が通過するようにする。
【0063】
プロセス1400は、インバウンド旋回点とアウトバウンド旋回点に対して、異なる距離を用いることで改善させることができる。各ウェイポイントからのインバウンド距離及びアウトバウンド距離は、直線セグメントが、第1ウェイポイント(WPT1)と第2ウェイポイント(WPT2)の間のウェイラインの中点(又は中点付近)を通るように決定することができる。この結果、トランジション飛行経路を短縮することができ、コース離脱角度及びコース進入角度(course departure and intercept angles)を所定の範囲内に収めることができる。このような飛行経路は、乗組員にとって美観的に受け入れやすいものであるとともに、直線セグメントは、当該トランジションにおける第2旋回のローリング予測距離と等しい(あるいは、それより長い)。
【0064】
図15を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1500が示されている。プロセス1500は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1500では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回と、初期設定軌道プロファイルの第2セグメント262に含まれる第2旋回との間に、直線セグメントを挿入する。
【0065】
例えば、許容不可能な飛行条件が検出されると、飛行管理システム202は、1つ以上の修正アルゴリズムを適用して、飛行条件250に基づいて滑らかに連続する航空機100の軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。S字旋回が、許容不可能である「バイクワッド」の飛行条件を発生させる場合は、飛行管理システム202は、ルールベースの決定を用いて、
図15に関して説明したアルゴリズムを選択することができる。
【0066】
図15において、インバウンドコース上の点が選択されている。この点は、インバウンドコースから所定の逸脱角度で線を伸ばした場合に、第2ウェイポイント(WPT
2)と交差するように選択されている。この新セグメントと第2ウェイポイント(WPT
2)のアウトバウンドコースとの間の角度によって、旋回が、フライ・バイ(fly-by)旋回になる(即ち、両ウェイポイント間のウェイラインを交差する軌道になる)場合は、この新たな線から第2ウェイポイント(WPT
2)アウトバウンドコースに合流するコースキャプチャ経路を構築する。新セグメントから第2ウェイポイント(WPT
2)アウトバウンドコースに向かう旋回が、両ウェイポイントの外側でウェイラインと交差する場合は、逸脱角度を調整することができる。
【0067】
図16を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1600が示されている。プロセス1600は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1600では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回と、初期設定軌道プロファイルの第2セグメント262に含まれる第2旋回との間に、直線セグメントを挿入する。
【0068】
例えば、許容不可能な飛行条件が検出されると、飛行管理システム202は、1つ以上の修正アルゴリズムを適用して、飛行条件250に基づいて滑らかに連続する航空機100の軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。S字旋回が、許容不可能である「バイクワッド」の飛行条件を発生させる場合は、飛行管理システム202は、ルールベースの決定を用いて、
図16に関して説明したアルゴリズムを選択することができる。
【0069】
図16において、インバウンドコース上の点が選択されている。この点は、インバウンドコースに対して所定の逸脱角度で線を伸ばした場合に、第1ウェイポイント(WPT
1)を通るように選択されている。直線セグメントは、投影(projection)に対して平行であって、第1ウェイポイント(WPT
1)を通るコース上に追加される。このように修正された軌道は、第1ウェイポイント(WPT
1)のより近くを通過し、より下流で第2ウェイポイント(WPT
2)のアウトバウンドコースに合流する。逸脱角度は、環境条件、及び、航空機100の飛行速度を考慮して旋回が構成されるように選択される。
【0070】
図17を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1700が示されている。プロセス1700は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1700では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回と、初期設定軌道プロファイルの第2セグメント262に含まれる第2旋回との間に、直線セグメントを挿入する。プロセス1700によれば、この直線セグメントを回転させることができる。
【0071】
例えば、許容不可能な飛行条件が検出されると、飛行管理システム202は、1つ以上の修正アルゴリズムを適用して、飛行条件250に基づいて滑らかに連続する航空機100の軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を生成する。S字旋回が、許容不可能である「バイクワッド」な飛行条件を発生させる場合は、飛行管理システム202は、ルールベースの決定を用いて、
図17に関して説明したアルゴリズムを選択することができる。
【0072】
プロセス1700によれば、両旋回中心を移動して離間させる。例えば、第1旋回の中心(TC1)を、そのインバウンドコースに平行な線に沿って移動させ、第2旋回の中心(TC2)を、そのアウトバウンドコースに平行な線に沿って移動させ、これにより、両旋回の円弧に接する直線セグメントが所定の距離になるようにする。この所定の距離は、特定の旋回半径及び航空機100の特定の飛行速度におけるローリング予測距離を確保するのに十分であるといった操縦目標を達成するように設定される。
【0073】
図17では、直線セグメントを第1ウェイポイント(WPT
1)と第2ウェイポイント(WPT
2)の間のウェイライン上の接点を中心に回転させる。インバウンドコース及びアウトバウンドコースのそれぞれの旋回中心を移動して、これにより、直線セグメントの距離が所望の距離になるようにするか、逸脱角度及び進入角度が所望の角度になるようにするか、あるいは、全体としてのコース変更を小さくして、第1旋回(旋回1)のコース変更角度と、第2旋回(旋回2)のコース変更角度の合計が所望の角度になるようにする。
【0074】
図18を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1800が示されている。プロセス1800は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1800では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回と、初期設定軌道プロファイルの第2セグメント262に含まれる第2旋回との間に、直線セグメントを挿入する。
【0075】
例えば、許容不可能な飛行条件が検出されると、飛行管理システム202は、1つ以上の修正アルゴリズムを適用して、滑らかに連続する航空機100の軌道プロファイル(例えば、修正軌道プロファイル242)を飛行条件250に基づいて生成する。S字旋回が、許容不可能である「バイクワッド」の飛行条件を発生させる場合は、飛行管理システム202は、ルールベースの決定を用いて、
図18に関して説明したアルゴリズムを選択することができる。
【0076】
プロセス1800は、両旋回中心を移動して、互いに離間させる。例えば、第1旋回の中心(TC1)を、そのインバウンドコースに平行な線に沿って移動させ、第2旋回の中心(TC2)を、そのアウトバウンドコースに平行な線に沿って移動させて、両旋回の円弧に接する直線セグメントが所定の距離になるようにする。この所定の距離は、特定の旋回半径及び航空機100の特定の飛行速度についてのローリング予測距離を確保するのに十分であるといった操縦目標を達成するように設定される。
【0077】
図18では、第1旋回の中心(TC
1)と第2旋回の中心(TC
2)を、それぞれインバウンドコースとアウトバウンドコースに沿って同じ距離だけ移動させて、直線セグメントが特定の距離になるようにする。第1旋回の始点(ITP
1)を後退させることで、前のトランジション又は次のトランジションに対して許容不可能な飛行条件が生じるような「競合状態(race condition)」を避けるために、追加のプロセスを実行して、第1旋回の始点(ITP
1)と第2旋回の終点(FPT
2)の移動が、前後の区間とのトランジション経路に与える影響を測定する。
【0078】
図19を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス1900が示されている。プロセス1900は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス1900では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、アウトバウンドコースからコースキャプチャインターセプト角度で線分を投影して修正を行う。
【0079】
プロセス1900によれば、第1ウェイポイント(WPT1)を通過するフライ・オーバー(fly-over)で飛行すると、第2旋回の始点(ITP2)よりも第2ウェイポイント(WPT2)に近い位置で、つまり、第2ウェイポイント(WPT2)を通り過ぎてから、コースキャプチャすることになる。ここで、第2ウェイポイント(WPT2)が、フライ・バイのトランジションであれば、プロセス1900は、第2ウェイポイント(WPT2)のアウトバウンドコースに、所定のインターセプト角度や角度範囲で合流するコースキャプチャ経路を構築する。
【0080】
ウェイポイント(WPT1)からウェイポイント(WPT2)への方位は、初期設定におけるウェイポイント(WPT1)から(TC1)への方位によって特定することが可能である。旋回中心(TC1)からの方位は、BRGTC1-FTPnew=BRGWPT1-WPT2-β+φ-90°となる。また、(TC1)とウェイポイント(WPT2)との間の距離は、α=√(R2+h2+hR1sinα)となる。ウェイポイント(WPT2)からのアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャ位置は、x=c(sinθ/sinφ)で与えられる。
【0081】
一方、第2ウェイポイント(WPT
2)もフライ・オーバーのウェイポイントであり、第1ウェイポイント(WPT
1)のアウトバウンドコースのコースキャプチャの位置が、両ウェイポイントの間のR
2である(又は、コースが当該ウェイポイントを通り過ぎるオーバーシュート距離がR
2の半分未満である)場合は、許容不可能な飛行条件は存在しない。ただし、コースキャプチャの位置が、第2ウェイポイント(WPT
2)を通り過ぎており、その距離がR
2の半分を超えている場合は、
図19について説明したものと同じ経路構成になる。
【0082】
図20を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2000が示されている。プロセス2000は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス2000では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、飛行計画230における第1ウェイポイントと、飛行計画230における第3ウェイポイントとの間に飛行軌道を構築する。また、プロセス2000では、飛行計画230における第1ウェイポイントと第2ウェイポイントとの間に飛行軌道を構築することを回避する。第2ウェイポイントは、第1ウェイポイントの次に位置し、第3ウェイポイントは、第2ウェイポイントの次に位置する。よって、プロセス2000では、飛行計画230に含まれるウェイポイントを実質的に除外(又は、無視)した軌道を構築する。
【0083】
プロセス2000によれば、次のウェイポイントまでの距離の方が、その次のウェイポイントまでの距離よりも大きい場合に、経路を構築する際に次のウェイポイントを迂回(省略)して、飛行計画における次の区間に合流するコースキャプチャ(又は、名目上の構築(nominal construction))を試みる。
【0084】
図21を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2100が図示されている。プロセス2100は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス2100では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、飛行計画230における第1ウェイポイントと、飛行計画230における第3ウェイポイントとの間に飛行軌道を構築する。また、プロセス2100では、飛行計画230における第1ウェイポイントと第2ウェイポイントとの間に飛行軌道を構築することを回避する。第2ウェイポイントは、第1ウェイポイントの次に位置し、第3ウェイポイントは、第2ウェイポイントの次に位置する。よって、プロセス2200では、飛行計画230に含まれるウェイポイントを実質的に除外(又は、無視)した軌道を構築する。
【0085】
プロセス2100によれば、複数の連続するウェイポイントが許容不可能な飛行条件に関連し、次のウェイポイントまでの距離の方が、その次のウェイポイントまでの距離よりも大きい場合、次のウェイポイントを除外して、その次のウェイポイントへの軌道を構築する。この軌道は、省略したウェイポイントの前の旋回の円弧を、省略したウェイポイントの後のウェイポイントの円弧に接続する軌道である。
【0086】
図22を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2200が図示されている。プロセス2200は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス2200では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、飛行計画230における第1ウェイポイントと、飛行計画230における第3ウェイポイントとの間に飛行軌道を構築する。また、プロセス2200では、飛行計画230における第1ウェイポイントと第2ウェイポイントとの間の飛行軌道の構築を省略する。第2ウェイポイントは、第1ウェイポイントの次に位置し、第3ウェイポイントは、第2ウェイポイントの次に位置する。よって、プロセス2200では、飛行計画230に含まれるウェイポイントを実質的に除外(又は、無視)した軌道を構築する。
【0087】
プロセス2200によれば、複数のウェイポイントが互いに近接して集合を成しており、各々における旋回経路が許容不可能な飛行条件を含む場合、これらウェイポイントの集合の中心を特定して、すべてのウェイポイントが互いに1つの旋回半径に互いに含まれるようにする。このように特定した位置を通過して旋回するフライ・オーバーのトランジション経路を構築し、このフライ・オーバーのトランジション経路によって、インバウンドコースとアウトバウンドコースと、次のウェイポイントへのコースキャプチャ経路を接続する。つまり、修正後の飛行計画では、仮想的なウェイポイントが追加されている。
【0088】
このようなウェイポイントの集合が存在するか否かを判定するには、各ウェイポイント間の距離が許容不可能な飛行条件であると特定された場合に、その最初と最後のウェイポイントの前後に位置するウェイポイントをそれぞれ特定し、旋回半径と比較する。複数の点(集合の前の点と後ろの点の両方)における1つの旋回半径の中に含まれるウェイポイントは、集合に含まれるウェイポイントであると判定される。
【0089】
図23を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2300が示されている。プロセス2300は、
図2の飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス2300では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回と、初期設定軌道プロファイルの第2セグメント262に含まれる第2旋回との間に、直線セグメントを挿入する。プロセス2300によれば、集合に含まれるウェイポイントについての旋回トランジション経路のいずれかが、共通の接線である1つの直線セグメントで接続可能であれば、
図13A~
図19について記載したやり方と同様にして、許容不可能な飛行条件を解消することができる。
【0090】
一実施態様によれば、許容不可能な飛行条件における旋回半径が、航空機100の飛行速度及び環境条件に起因して、区間トランジションで必要なよりも大きなバンク角で可能である場合には、旋回半径を大きくし、トランジション経路を再計算することができる。通常の旋回トランジション経路の構成では、経路変更の半分を25パーセントまでに制限しているときに、バンク角が浅いという許容不可能な飛行条件が特定された場合は、ルールベースの意思決定エンジンは、25パーセントのバンク角を許容することが可能である。
【0091】
図24を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2400が示されている。プロセス2400では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の中心位置を修正するか、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回の中心位置を修正するか、あるいは、その両方を修正することができる。例えば、初期設定軌道プロファイル232では、第1旋回の直後に第2旋回が連続しているとする。
【0092】
プロセス2400は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な「尻振り現象」の飛行条件が発生する状況で、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス2400では、2つの旋回中心を結ぶ線に平行な経路に沿って、第2旋回の旋回中心を第2旋回中心に向けて移動させて、第1旋回の終点(FTP
1)を第2旋回の始点(ITP
2)と一致させる。
図24には、旋回中心を移動させる距離を決定する際に修正回路270が用いる閉形式のアルゴリズム(例えば、方程式)も示している。
【0093】
図25を参照すると、飛行計画を調整するプロセス2500が示されている。プロセス2500は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な「尻振り現象」の飛行条件が発生する状況で、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス2500によれば、第1ウェイポイント(WPT
1)と第2ウェイポイント(WPT
2)を結ぶ線に平行な経路に沿って第2旋回の旋回中心を移動させて、第1ウェイポイント(WPT
1)と第2ウェイポイント(WPT
2)の間のウェイラインに対する接点が形成されるようにする。この移動は、第2ウェイポイント(WPT
2)のアウトバウンドコースにおけるコースキャプチャで完了する。
【0094】
図26Aを参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2600が示されている。プロセス2600では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の中心位置を修正するか、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回の中心位置を修正するか、あるいは、その両方を修正する。例えば、初期設定軌道プロファイル232では、第1旋回の直後に第2旋回が連続しているとする。
【0095】
プロセス2600は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な「尻振り現象」の飛行条件が発生する状況に対し、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス2600によれば、第2旋回の旋回中心を、第2ウェイポイント(WPT2)からのアウトバウンドコースに重なる直線に平行な経路に沿って移動させて、第1旋回中心(TC1)の円弧に対する接点が形成されるようにする。例えば、第2旋回中心(TC2)(旧)を、第2旋回中心(TC2)(新)まで移動させる。あるいは、第1旋回中心(TC1)を、そのインバウンドコースに平行な経路に沿って移動させて、第2ウェイポイント(WPT2)アウトバウンドコースに対する接点が形成されるようにする。第1旋回中心(TC1)を移動させるには、移動の繰り返し、又は、閉形式の移動を利用することができる。
【0096】
図26Bを参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2650が図示されている。プロセス2650は、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の中心位置を修正するか、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回の中心位置を修正するか、あるいは、その両方を修正する。例えば、初期設定軌道プロファイル232では、第1旋回の直後に第2旋回が連続しているとする。プロセス2650は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な「尻振り現象」の飛行条件が発生する状況において、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス2650によれば、インバウンドコース及びアウトバウンドコースに対する接点を形成するように第2旋回中心(TC2)を移動させる距離(x)は、x=R
2(cotθ-tanα)の式で表すことができる。
【0097】
図27を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2700が図示されている。プロセス2700は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な「尻振り現象」の飛行条件が発生する状況で、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス2700では、第1ウェイポイント(WPT
1)のオーバーフライ(overfly)のトランジション経路を構築し、その経路が、第1ウェイポイント(WPT
1)のアウトバウンドコースに、第2旋回の始点(ITP
2)よりも第2ウェイポイント(WPT
2)に近い位置で合流するように構築する。両方の円弧に対する接点に共通して接触する直線セグメントが追加される。
【0098】
図28を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2800が示されている。プロセス2800は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な「尻振り現象」の飛行条件が発生する状況で、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス2800では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の終点位置を修正するとともに、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回に関連づけられたアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャを実行する。
【0099】
プロセス2800は、第1旋回がフライ・オーバーのトランジション経路であって、第1ウェイポイント(WPT1)を通過するとともに、第2ウェイポイント(WPT2)を通り過ぎた位置で、第2ウェイポイント(WPT2)のコースに合流する状況において実行される。同プロセスによれば、第2ウェイポイント(WPT2)からのアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャ経路を構築できる位置まで、第1旋回を拡大することで、許容不可能な飛行条件を解消することができる。プロセス2800は、ウェイポイント(WPT1)がアンダーフライ(under-fly)であって、航空機100が高速で飛行しており、ウェイポイント(WPT2)通り過ぎた位置でコースキャプチャする軌道になる状況にも適用可能である。
【0100】
図29を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス2900が示されている。プロセス2900では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回と、初期設定軌道プロファイルの第2セグメント262に含まれる第2旋回との間に、直線セグメントを挿入する。プロセス2900は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な飛行条件が発生する状況で、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス2900によれば、オーバーフライ経路で円弧経路の区間に合流するコースキャプチャが含まれる状況において、第1旋回の旋回半径のために、意図する円弧経路から抜ける前に合流することが可能でない場合に、第2ウェイポイント(WPT
2)のアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャが実行される。
【0101】
図30を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス3000が示されている。プロセス3000は、同じ向きの旋回に起因して、許容不可能な「尻振り現象」の飛行条件が発生する状況において、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス3000では、初期設定軌道プロファイル232の少なくとも1つの局面(例えば、第2セグメント262)を修正する実施例を示しており、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第1旋回の終点位置を修正するとともに、初期設定軌道プロファイル232の第2セグメント262に含まれる第2旋回に関連づけられたアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャを実行する。
【0102】
プロセス3000によれば、フライ・バイ経路で円弧経路の区間に合流するコースキャプチャが含まれる状況において、第1旋回の旋回半径のために、意図する円弧経路から抜ける前に合流することが可能でない場合に、第2ウェイポイント(WPT2)のアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャが実行される。あるいは、コースの交点とウェイポイントとの関係によって、当該ウェイポイントを省略して、次のアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャ経路を構築するか否か決定する。
【0103】
図31を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス3100が示されている。プロセス3100では、名目上の、フライ・オーバーから円弧経路へのトランジションを利用して、軌道プロファイルを調整する。軌道プロファイルを調整するプロセス3100は、同じ向きの旋回に起因して許容不可能な飛行条件が発生する状況で、飛行管理システム202によって実施可能である。プロセス3100は、フィックスに対する円弧状の軌道を有する区間と、接線による接触ではない形で交わる点をオーバーフライで飛行する経路において、旋回半径が大きすぎるために円弧に合流できない状況で実行することができる。同プロセスによれば、第2ウェイポイント(WPT
2)のアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャ経路を構築することで、このような許容不可能な飛行条件が解消される。
【0104】
図32を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス3200が示されている。プロセス3200は、飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス3200によれば、初期設定では、第1旋回の旋回半径が大きすぎて、第1ウェイポイント(WPT
1)と第2ウェイポイント(WPT
2)の間のAF区間に合流することができない。この結果、許容不可能な飛行条件が発生している。この許容不可能な飛行条件を解消するために、本プロセスでは、第1旋回を拡大して、第2ウェイポイントのアウトバウンドコースに対するコースキャプチャ経路を構築する。
【0105】
図33を参照すると、軌道プロファイルを調整するプロセス3300が示されている。プロセス3300は、飛行管理システム202によって実行可能である。プロセス3300によれば、初期設定では、第1旋回の旋回半径が大きすぎて、第1ウェイポイント(WPT
1)と第2ウェイポイント(WPT
2)の間のAF区間に合流することができない。この結果、許容不可能な飛行条件が発生している。この許容不可能な飛行条件を解消するために、本プロセスでは、第1旋回を拡大して、第2ウェイポイントのアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャ経路を構築する。
【0106】
図34を参照すると、許容不可能な飛行条件が特定された場合に飛行軌道プロファイルを修正する方法3400のフローチャートが示されている。方法3400は、
図2のシステム200によって実行することができる。特定の実施態様において、方法3400は、飛行管理システム202によって実行することができる。
【0107】
方法3400は、プロセッサにより、航空機の飛行計画を作製することを3402において含む。飛行計画は、少なくとも1つのウェイポイント、及び、航空機に関連付けられた運航規則の組に基づく。例えば、
図2を参照すると、飛行管理システム202は、飛行計画230を生成する。飛行計画230は、ウェイポイント234~238及び運航規則の組222に基づく。
【0108】
また、方法3400は、プロセッサにより、少なくとも1つのウェイポイント及び運航規則の組に基づいて初期設定軌道プロファイルを生成することを3404において含む。例えば、
図2を参照すると、飛行管理システム202は、少なくとも1つのウェイポイント及び運航規則の組222に基づいて初期設定軌道プロファイル232を生成する。
【0109】
また、方法3400は、プロセッサにより、初期設定軌道プロファイルに関連付けられた許容不可能な飛行条件を特定することを3406において含む。許容不可能な飛行条件は、運航規則の組のうちの少なくとも1つの運航規則に違反するものである。例えば、
図2を参照すると、飛行管理システム202は、初期設定軌道プロファイル232に関連付けられた、許容不可能な飛行条件を特定する。許容不可能な飛行条件は、運航規則224~228のうちの少なくとも1つに違反するものである。
【0110】
一実施態様によれば、初期設定軌道プロファイルに関連付けられた飛行時間が特定の飛行時間を超えることに基づいて、あるいは、初期設定軌道プロファイルに関連付けられた飛行距離が特定の飛行距離を超えることに基づいて、許容不可能な飛行条件が特定される。他の実施態様によれば、初期設定軌道プロファイルにおける特定の旋回の旋回半径が、待機コースへの合流に関連付けられた閾値半径より大きいことに基づいて、許容不可能な飛行条件が特定される。
【0111】
方法3400は、プロセッサにより、許容不可能な飛行条件を解消するように初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正することによって、修正軌道プロファイルを生成することを3408において含む。例えば、
図2を参照すると、修正回路270は、許容不可能な飛行条件を解消するように初期設定軌道プロファイル232を修正することで、修正軌道プロファイル242を生成する。また、方法3400は、修正軌道プロファイルを表示させることを3408において含む。例えば、
図2を参照すると、飛行管理システム202は、修正軌道プロファイル242を表示画面210に表示する。許容不可能な飛行条件を特定すること、及び、初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正することは、飛行計画に対して少なくとも1つの修正(例えば、
図1~
図33を参照して説明した技法のうちの1つ)を実行して、コースに合流するトランジション経路を構築することを含んでもよい。
【0112】
一実施態様によれば、初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正することは、初期設定軌道プロファイルに含まれる第2旋回の旋回中心を移動させて、初期設定軌道プロファイルに含まれる第1旋回の終点を、第2旋回の始点と合致させることを含む。他の実施態様によれば、初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正することは、初期設定軌道プロファイルに含まれる第2旋回の旋回中心を、飛行計画の第1ウェイポイントと飛行計画の第2ウェイポイントを結ぶ線に平行な経路に沿って移動させることを含む。他の実施態様によれば、初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正することは、初期設定軌道プロファイルに含まれる第2旋回の旋回中心を、飛行計画の第2ウェイポイントのアウトバウンドコースの線に平行な経路に沿って移動させることを含む。他の実施態様によれば、初期設定軌道プロファイルの少なくとも1つの局面を修正することは、第1旋回の円弧及び第2旋回の円弧に接触する1つ以上の点において、両円弧に接触する直線セグメントを追加することであって、この追加を、第1ウェイポイントをオーバーフライして、第2旋回の始点よりも第2ウェイポイントに近い位置で第1ウェイポイントのアウトバウンドコースに交わるトランジション経路に基づいて実行することを含む。
【0113】
一実施態様によれば、方法3400は、飛行計画において隣接する区間に、少なくとも3つの迂回ウェイポイントが含まれるか否を判定することを含む。また、方法3400は、隣接する区間に少なくとも3つの迂回ウェイポイントが含まれると特定すると、これら少なくとも3つの迂回ウェイポイントのうち、2つより多い迂回ウェイポイントが特定の旋回半径内に配置されているか否かを判定することを含んでもよい。また、方法3400は、これら2つより多くの迂回ウェイポイントの図心(centroid)に基づいて、2つより多くの迂回ウェイポイントを1つの集合として扱うことを含む。
【0114】
図34の方法3400は、許容不可能な飛行条件に対応して、初期設定軌道プロファイル232を動的に修正することを可能にする。限定するものではないが、例えば、初期設定軌道プロファイル232は、第1旋回が、5キロメートルの旋回半径でウェイポイント234を通過することを示す場合がある。しかしながら、許容不可能な飛行条件(例えば、対気速度が毎時880キロメートルであること)のため、その旋回半径で第1旋回を行うと、エラー状態に陥る可能性がある。例えば、毎時880キロメートルの対気速度で第1旋回を完了することは、運航規則226に違反する。したがって、乗客にとってより快適なフライトを保証するために、飛行管理システム202は、運航規則226に従って初期設定軌道プロファイル232を修正する。
【0115】
図35は、システム200のコンポーネントを含む航空機100の実施態様を示すブロック図である。
図35に示すように、航空機100は、機体3518、複数のシステム3520、及び、内装3522を含む。複数のシステム3520の例としては、推進系3524、電気系3526、環境系3528、システム200、及び、センサシステム3532の1つ以上が含まれる。センサシステム3532は、航空機100に搭載された1つ以上のセンサであって、航空機100の運航中にセンサデータを生成するよう構成されている。システム200は、飛行管理システム202、メモリ204、入力インターフェース206、飛行条件監視部208、及び、表示画面210を含む。
【0116】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を包含する。
【0117】
付記1.プロセッサにおいて、航空機(100)の飛行計画(230)を生成し(3402)、この際に、当該飛行計画(230)が、少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)及び前記航空機(100)に関連付けられた運航規則の組(222)に基づくようにし、
前記プロセッサにおいて、少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)、及び、前記運航規則の組(222)に基づいて初期設定軌道プロファイル(232)を生成し(3404)、
前記プロセッサにおいて、前記初期設定軌道プロファイル(232)に関連付けられた許容不可能な飛行条件(250)を特定し(3406)、この際に、前記許容不可能な飛行条件(250)は、前記運航規則の組(222)のうちの少なくとも1つの運航規則(224、226、228)に違反するものであり、
前記プロセッサにおいて、前記許容不可能な飛行条件(250)を解消するように前記初期設定軌道プロファイル(232)の少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイル(242)を生成する(3408)、方法(3400)。
【0118】
付記2.少なくとも1つの他のシステム(290)を前記修正軌道プロファイル(242)で更新する、付記1に記載の方法(3400)。
【0119】
付記3.前記少なくとも1つの他のシステム(290)は、自動操縦システム(292)を含む、付記1又は2に記載の方法(3400)。
【0120】
付記4.前記修正軌道プロファイル(242)の表示を開始する、付記1~3に記載の方法(3400)。
【0121】
付記5.前記初期設定軌道プロファイル(232)の少なくとも1つの局面を修正するに際し、
前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回の中心位置、又は、
前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第2旋回であって、前記初期設定軌道プロファイル(232)においては前記第1旋回の1つ後の旋回である第2旋回の中心位置、のうちの少なくとも1つを修正する、付記1~4のいずれかに記載の方法(3400)。
【0122】
付記6.前記第1旋回の中心位置は、前記第1旋回に向かうインバウンドコースに平行な軸に沿って移動され、前記第2旋回の中心位置は、前記第2旋回からの進行先であるアウトバウンドコースに平行な軸に沿って移動される、付記1~5のいずれかに記載の方法(3400)。
【0123】
付記7.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回と、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第2旋回と、の間に直線セグメントを挿入する、付記1~6のいずれかに記載の方法(3400)。
【0124】
付記8.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記直線セグメントを回転させる、付記1~7のいずれかに記載の方法(3400)。
【0125】
付記9.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するコースキャプチャのルーチンを実行する、付記1~8に記載の方法(3400)。
【0126】
付記10.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、アウトバウンドコースからコースキャプチャインターセプト角度で線分を投影する、付記1~9のいずれかに記載の方法(3400)。
【0127】
付記11.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、
前記飛行計画(230)における第1ウェイポイント(234)と前記飛行計画(230)における第3ウェイポイント(238)との間に飛行軌道を構築し、
前記第1ウェイポイント(234)と前記飛行計画(230)における第2ウェイポイント(236)との間の飛行軌道の構築を避け、この際に、前記第2ウェイポイント(236)が前記第1ウェイポイント(234)に後続し、前記第3ウェイポイント(238)が前記第2ウェイポイント(236)に後続するものである、付記1~10のいずれかに記載の方法(3400)。
【0128】
付記12.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回の終点を修正するとともに、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第2旋回に関連付けられたアウトバウンドコースに合流するコースキャプチャを実行する、付記1~11のいずれかに記載の方法(3400)。
【0129】
付記13.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回の始点を修正する、付記1~12のいずれかに記載の方法(3400)。
【0130】
付記14.前記許容不可能な飛行条件(250)は、第1ウェイポイント(234)と前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回の終点との間の第1距離、及び、第2ウェイポイント(236)と前記第1ウェイポイント(234)との間の第2距離に基づいて特定される、付記1~13のいずれかに記載の方法(3400)。
【0131】
付記15.前記許容不可能な飛行条件(250)は、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回の終点と第1ウェイポイント(234)との間の第1距離、及び、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第2旋回の始点と前記第1ウェイポイント(234)との間の第2距離に基づいて特定される、付記1~14のいずれかに記載の方法(3400)。
【0132】
付記16.前記許容不可能な飛行条件(250)は、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれるバンク角と、前記航空機(100)の対気速度に基づいて特定されるバンク角と、の比較に基づいて特定される、付記1~15のいずれかに記載の方法(3400)。
【0133】
付記17.前記許容不可能な飛行条件(250)は、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる不完全な旋回に基づいて特定される、付記1~16のいずれかに記載の方法(3400)。
【0134】
付記18.前記許容不可能な飛行条件(250)は、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回の角度に基づいて特定される、付記1~17のいずれかに記載の方法(3400)。
【0135】
付記19.前記飛行計画(230)において隣接する区間に、少なくとも3つの迂回ウェイポイントが含まれるか否を判定し、
前記隣接する区間に少なくとも3つの迂回ウェイポイントが含まれると判定すると、前記少なくとも3つの迂回ウェイポイントのうちの2つより多い迂回ウェイポイントが、特定の旋回半径内に位置しているか否かを判定し、
前記2つより多い迂回ウェイポイントの図心に基づいて、前記2つより多い迂回ウェイポイントを集合として扱う、付記1~18のいずれかに記載の方法(3400)。
【0136】
付記20.前記許容不可能な飛行条件(250)は、
前記初期設定軌道プロファイル(232)に関連づけられた飛行時間が、特定の飛行時間を超えること、又は、
前記初期設定軌道プロファイル(232)に関連づけられた飛行距離が、特定の飛行距離を超えること、に基づいて特定される、付記1~19のいずれかに記載の方法(3400)。
【0137】
付記21.前記許容不可能な飛行条件(250)は、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる特定の旋回の旋回半径が、待機コースへの合流に関連づけられた閾値半径より大きいことに基づいて特定される、付記1~20のいずれかに記載の方法(3400)。
【0138】
付記22.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第2旋回の旋回中心を移動させて、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第1旋回の終点を前記第2旋回の始点と一致させる、付記1~21のいずれかに記載の方法(3400)。
【0139】
付記23.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記飛行計画(230)における第1ウェイポイントと前記飛行計画(230)における第2ウェイポイントの間の線に平行な経路に沿って、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第2旋回の旋回中心を移動させる、付記1~22のいずれかに記載の方法(3400)。
【0140】
付記24.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、前記飛行計画(230)における第2ウェイポイントからの進行先であるアウトバウンドの線に平行な経路に沿って、前記初期設定軌道プロファイル(232)に含まれる第2旋回の旋回中心を移動させる、付記1~23のいずれかに記載の方法(3400)。
【0141】
付記25.前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、第1ウェイポイントをオーバーフライして、第2旋回の始点よりも第2ウェイポイントに近い位置で第1ウェイポイントのアウトバウンドコースに交わるトランジション経路に基づいて、第1旋回円弧及び第2旋回円弧に接触する1つ以上の点において、両円弧に接触する直線セグメントを追加する、付記1~24のいずれかに記載の方法(3400)。
【0142】
付記26.航空機(100)に関連付けられた運航規則の組(222)を格納するメモリ(204)と、
前記メモリ(204)に接続された飛行管理システム(202)と、を含む航空機であって、前記飛行管理システムが、
少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)及び前記運航規則の組(222)に基づいて飛行計画(230)を生成し、
少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)及び前記運航規則の組(222)に基づいて初期設定軌道プロファイル(232)を生成し、
前記初期設定軌道プロファイル(232)に関連付けられた許容不可能な飛行条件(250)であって、前記運航規則の組(222)のうちの少なくとも1つの運航規則(224、226、228)に違反する許容不可能な飛行条件(250)を特定し、
前記許容不可能な飛行条件(250)を解消するように前記初期設定軌道プロファイル(232)の少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイル(242)を生成するよう構成されている、航空機(100)。
【0143】
付記27.前記運航規則の組(222)が、前記航空機(100)の製造業者により指定された規則、政府機関により指定された規則、ユーザにより設定された規則、又は、それらの組み合わせを含むものである、付記26に記載の航空機(100)。
【0144】
付記28.前記修正軌道プロファイル(242)を表示するよう構成された表示画面(210)をさらに含む、付記26又は27に記載の航空機(100)。
【0145】
付記29.命令(220)を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサにより実行されると、当該プロセッサに、
航空機(100)の飛行計画(230)であって、少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)、及び、前記航空機(100)に関連付けられた運航規則の組(222)に基づく飛行計画(230)を生成することと、
少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)及び前記運航規則の組(222)に基づいて、初期設定軌道プロファイル(232)を生成することと、
前記初期設定軌道プロファイル(232)に関連付けられた許容不可能な飛行条件(250)であって、前記運航規則の組(222)のうちの少なくとも1つの運航規則(224、226、228)に違反する許容不可能な飛行条件(250)を特定することと、
前記許容不可能な飛行条件(250)を解消するように前記初期設定軌道プロファイル(232)の少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイル(242)を生成することと、を含む処理を実行させるものである、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0146】
付記30.前記処理は、少なくとも1つの他のシステム(290)を前記修正軌道プロファイル(242)で更新することをさらに含む、付記29に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0147】
付記31.前記少なくとも1つの他のシステム(290)は、自動操縦システム(292)を含む、付記29又は30に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0148】
付記32.プロセッサにおいて、航空機(100)の飛行計画(230)を生成し(3402)、この際に、当該飛行計画(230)が、少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)及び前記航空機(100)に関連付けられた運航規則の組(222)に基づくものとし、
前記プロセッサにおいて、少なくとも1つのウェイポイント(234、236、238)及び前記運航規則の組(222)に基づいて初期設定軌道プロファイル(232)を生成し(3404)、
前記プロセッサにおいて、前記初期設定軌道プロファイル(232)に関連付けられた許容不可能な飛行条件(250)であって、前記運航規則の組(222)のうちの少なくとも1つの運航規則(224、226、228)に違反する前記許容不可能な飛行条件(250)を特定し(3406)、
前記プロセッサにおいて、前記許容不可能な飛行条件(250)を解消するように前記初期設定軌道プロファイル(2323)の少なくとも1つの局面を修正した修正軌道プロファイル(242)を生成し(3408)、
前記許容不可能な飛行条件(250)を特定し、また、前記初期設定軌道プロファイル(232)の前記少なくとも1つの局面を修正するに際し、経路合流トランジションを伴う少なくとも1つの飛行計画の修正を実行することを含む、方法(3400)。
【0149】
本明細書に記載の実施例は、様々な実施態様の構造を概括的に理解させることを意図して例示したものである。これらの例示は、本明細書に記載の構造又は方法を利用する装置及びシステムの要素及び特徴のすべてを、完全に説明することを意図したものではない。本開示を検討すれば、多くの他の実施態様が当業者に明らかとなるであろう。本開示から他の実施態様を用いること及び派生させることが可能であり、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な代替及び変更を行うことが可能である。例えば、方法のプロセスは、図に示したものとは異なる順序で実行することができ、また、方法における1つ以上の工程を省略することもできる。したがって、本開示及び添付図面は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。
【0150】
また、本明細書には特定の実施例を図示及び説明したが、説明した特定の実施態様を、同様の目的を達成するよう設計された任意の別の構成に置き換えることが可能である。本開示は、様々な実施態様のあらゆる別の改変又は変形例をその範囲に包含することを意図している。本明細書の記載を検討すれば、上述の実施態様、及び、本明細書には具体的に記載していない他の実施態様の組み合わせも、当業者には明らかであろう。
【0151】
要約書を提示しているが、要約書は、請求項の範囲や意味の解釈又は限定には用いられないという理解を前提にしている。また、上述の詳細な説明において、本開示を整理するために、様々な特徴を1つの実施態様にまとめたり、あるいは、1つの実施態様で表したりすることもできる。上述した例は、本開示を例示するものではあるが、限定するものではない。また、本開示の原理に従って、多くの改変及び変形が可能である。以下の請求項に反映されているように、請求項における主題は、本開示のいずれかの実施例のすべての特徴よりも少ない特徴を対象としうる。したがって、本開示の範囲は、以下の請求項及びその均等物によって規定される。