(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】紡績コップ収容ユニットおよび巻取り機
(51)【国際特許分類】
B65H 67/04 20060101AFI20240724BHJP
B65H 67/02 20060101ALI20240724BHJP
D01H 9/02 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B65H67/04 C
B65H67/02
D01H9/02 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019218704
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】10 2018 131 882.0
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523378985
【氏名又は名称】リーター オートマティック ワインダー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Rieter Automatic Winder GmbH
【住所又は居所原語表記】Karl-Arnold-Strasse 34, 52525 Heinsberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー マルクス
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-215661(JP,A)
【文献】特開2017-193435(JP,A)
【文献】特開2009-018930(JP,A)
【文献】実開昭63-085675(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03521489(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/04
B65H 67/02
D01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り機用の紡績コップ収容ユニットであって、
-紡績コップを同軸に収容するように形成されたピンを備えた紡績コップ保持体と、
-繰出し位置において前記紡績コップと係合することができる、クランプユニットのクランプエレメントを備えた位置決め装置と、
が設けられており、
前記紡績コップ保持体は、前記ピンに隣接するガイド面において、前記紡績コップの端面と接触することができる、紡績コップ収容ユニットにおいて、
前記クランプユニット(4)は、前記クランプエレメント(5)が前記繰出し位置において、前記ピン(11)の縦軸方向に沿って作用する、前記紡績コップ(2)に伝達可能な圧着力であって、前記端面(7)を前記ガイド面(6)に圧着させる圧着力を加えるように、構成されている
ことを特徴とする、紡績コップ収容ユニット。
【請求項2】
前記クランプエレメント(5)は、ヘッド円錐と前記紡績コップ保持体(3)との間の領域において、前記紡績コップ(2)の自由な周面(10)に接触可能である、
請求項1記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項3】
前記ガイド面(6)および前記端面(7)は、前記紡績コップ(2)が前記繰出し位置において前記紡績コップ保持体(3)のベースプレート(8)の底面(12)に対して垂直に方向付けられるように、構成されている、
請求項1または2記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項4】
前記端面(7)および前記ガイド面(6)は、前記底面(12)に対して平行に方向付けられている、
請求項
3記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項5】
前記クランプユニット(4)は、複数
のクランプエレメント(5)を有しており、該クランプエレメント(5)は、前記繰出し位置において、前記周面(10)の周囲にわたって均等な間隔をおいて分配されて、前記周面(10)に接触可能である、
請求項
2記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項6】
前記クランプユニット(4)は、前記クランプエレメント(5)を前記繰出し位置において前記周面(10)に圧着させる予荷重エレメント、特にばねエレメントを有している、
請求項
2または5記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項7】
前記予荷重エレメント、特にばねエレメントは、調節可能である、
請求項
6記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項8】
前記クランプエレメント(5)は、前記クランプエレメントの接触面が前記繰出し位置への移動時に前記ベースプレート(8)に向かって移動させられるように、前記ガイド面(6)に対して斜めに方向付けられている、
請求項
3記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項9】
前記接触面は、2つ以上の接触点を有していて、特にプリズム状に形成されている、
請求項
8記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項10】
前記クランプユニット(4)は、前記クランプエレメント(5)の前記繰出し位置が調節可能であり、かつ/または前記クランプエレメント(5)が互いに無関係に前記繰出し位置に移動可能であるように構成されている、
請求項1から9までのいずれか1
項記載の紡績コップ収容ユニット。
【請求項11】
巻取り機の巻取りユニットであって、紡績コップを繰出し位置において位置決めするための紡績コップ収容ユニットを有している、巻取りユニットにおいて、
前記紡績コップ収容ユニット(1)は、請求項1から10までのいずれか1
項記載のように構成されている
ことを特徴とする、巻取りユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り機、および巻取り機用の紡績コップ収容ユニットであって、
-紡績コップを同軸に収容するように形成されたピンを備えた紡績コップ保持体と、
-繰出し位置において紡績コップと係合することができる、クランプユニットのクランプエレメントを備えた位置決め装置と、
が設けられており、
このとき紡績コップ保持体は、ピンに隣接するガイド面において、紡績コップの端面と接触することができる、巻取り機、および巻取り機用の紡績コップ収容ユニットに関する。
【0002】
自動式の巻取り機の巻取りユニットにおいて、給糸ボビン、例えばリング精紡機において製造された、比較的僅かな糸体積を有する紡績コップが、大きな体積の綾巻きパッケージに巻き返される。このとき紡績コップは、鉛直に起立するように、紡績コップ保持体の、台から垂直に突出するピンに装着されていて、かつ紡績コップ保持体用の搬送システムを介して巻取り機の巻取りユニットに搬送される。
【0003】
糸がいわゆる糸バルーンを形成しながら、紡績コップのほぼ軸方向において紡績コップのヘッドを介して引き出される、巻返し工程中に、糸には糸引張り力が加えられ、このような糸引張り力は、最終的に糸の引出し速度を、ひいては巻取り機の巻取り速度を制限する。紡績コップにおける糸層の直径の減少に連れて、全紡績コップは、小さくかつ軽くなり、このとき上方に向かって引き出される糸における引張り力は、またさらに、紡績コップを上方に向かって引っ張るように作用し、これによって、紡績コップが最終的に紡績コップ保持体のピンから引き出されることが生じ得る。例えば巻取り中における糸の引っ掛かりによって惹起される、紡績コップ保持体からの紡績コップの解離を阻止するために、紡績コップを繰出し位置においてクランプすることが公知であり、このとき紡績コップは、糸層の下において半径方向でクランプされる。独国特許出願公開第4236038号明細書に基づいて例えば、コップ基部に外側からクランプエレメントを接近させて、上方に向けられた鉛直方向力の作用時に、紡績コップを紡績コップ保持体のピンに固定できるようにすることが公知である。
【0004】
しかしながら紡績コップ基部を半径方向にクランプすることは、紡績コップの中心軸線が定義されて鉛直に方向付けられていること、かつこれによって紡績コップの、紡績コップ保持体とは反対側の先端の位置が正確であるということを保証しない。巻取り機における繰出し位置への紡績コップ保持体の導入時における紡績コップのダイナミクスによって、かつ/またはクランプエレメントの平行ずれによって、紡績コップが斜めにクランプされることがある。紡績コップの、これによって生じる誤った方向付けは、特に巻取り機においていわゆる引出し加速器が使用される場合に、糸切れのおそれを著しく高める。
【0005】
ゆえに本発明の第1の態様は、巻取り機用の紡績コップ収容ユニットであって、紡績コップを同軸に収容するように形成されたピンを備えた紡績コップ保持体と、繰出し位置において紡績コップと係合することができる、クランプユニットのクランプエレメントを備えた位置決め装置と、が設けられており、このとき紡績コップ保持体は、ピンに隣接するガイド面で、紡績コップの端面と接触することができる、巻取り機用の紡績コップ収容ユニットに関する。
【0006】
提案された紡績コップ収容ユニットは、クランプユニットが、クランプエレメントが繰出し位置において、ピンの縦軸方向に沿って作用する、紡績コップに伝達可能な圧着力であって、紡績コップの端面を紡績コップ保持体のガイド面に圧着させる圧着力を加えるように、構成されている、ことによって傑出している。
【0007】
紡績コップを、巻取り機におけるその繰出し位置に搬送するために、紡績コップはそれぞれ紡績コップ保持体のピンに装着され、次いで紡績コップ保持体は、搬送システムを用いて繰出し位置に走行させられる。紡績コップ保持体における紡績コップの位置固定および方向付けのために、本発明によれば、紡績コップ収容ユニットのクランプユニットはクランプエレメントを有しており、このクランプエレメントは、その繰出し位置において、紡績コップ保持体に配置された紡績コップと係合することができ、かつこのとき紡績コップに、ピンの縦軸方向において紡績コップ保持体に向かって方向付けられている力を伝達する。クランプエレメントによって惹起された圧着力によって、紡績コップの端面は紡績コップ保持体のガイド面に圧着させられ、これによってガイド面および端面の方向付けによって、紡績コップ保持体における紡績コップの確実な方向付けが達成される。
【0008】
これによりガイド面および端面の互いに合わせられた構成によって、紡績コップを、特に確実な形式で、特に好ましくは紡績コップ保持体の底面に対して垂直に方向付けることができ、紡績コップ保持体自体は、例えば巻取り機の機械架台のベースプレートを介して支持されている。紡績コップからの確実な糸引出しを保証するために、このときクランプエレメントの、ピンの軸方向において作用する力成分は、クランプエレメントと紡績コップとの間における静止摩擦力よりも大きくない。
【0009】
これによって全体として、紡績コップ収容ユニットの本発明に係る構成は、全繰出し工程中に、紡績コップ保持体に対する紡績コップの正確かつ確実な方向付けを保証し、これによって巻取り機の支障のない作動が保証されている。
【0010】
クランプエレメントの繰出し位置におけるクランプエレメントと紡績コップとの間における共働は、繰出し工程中における紡績コップからの糸の支障のない繰出しが保証されている限り、基本的に紡績コップの任意の位置において行うことができる。しかしながら本発明の特に好適な構成によれば、クランプエレメントは、ヘッド円錐と紡績コップ保持体との間の領域において、紡績コップの自由な周面に接触可能であることが提案されている。本発明のこの構成は、ガイド面への端面を介した紡績コップの特に確実な圧着を保証し、このとき同時に適宜な材料対を介して、大きな力成分の軸方向における作用時にも同時に紡績コップ保持体における紡績コップの自由な回転が行われ得ることを保証することができる。クランプエレメントが糸走路との外側の領域に配置されている、本発明のこの好適な発展形態は、糸走路がクランプエレメントによって影響を受けないということを特に確実に保証する。
【0011】
ガイド面および端面の構成、ならびにガイド面および端面の方向付けは、紡績コップ保持体における紡績コップの所望の方向付けを得るために、基本的に任意の形式で行うことができ、このとき通常、紡績コップが紡績コップ保持体に対して垂直に延びている方向付けを獲得することが望ましい。このとき本発明の特に好適な構成によれば、ガイド面および端面は、紡績コップが繰出し位置において紡績コップ保持体のベースプレートの底面に対して垂直に方向付けられるように構成されていることが提案されている。
【0012】
相応の構成は、特に支障のない巻取り工程を可能にし、このとき紡績コップの、底面に対して垂直に行われる方向付けは、特に、端面およびガイド面が、底面に対して平行に方向付けられているこれによって、達成される。この構成は、紡績コップ保持体および紡績コップにおいて特に簡単かつ安価に製造することができ、かつ特別な程度で、紡績コップが繰出し位置において、紡績コップ保持体がその底面を介して支持されているベース面に対して垂直に延びていることを保証する。
【0013】
クランプエレメントを備えたクランプユニットの構成は、クランプエレメントの、紡績コップにおける接触面、好ましくは、紡績コップの自由な周面、および解放位置から繰出し位置へのクランプエレメントの移動の形式を含めて、基本的に自由に選択可能である。しかしながら本発明の特に好適な構成によれば、クランプユニットは、複数の、好ましくは4つの、特に好ましくは3つの、特に2つのクランプエレメントを有しており、該クランプエレメントは、繰出し位置において、周面の周囲にわたって互いに均等な間隔をおいて分配されて、周面に接触可能である。
【0014】
このとき2つ以上のクランプエレメントの使用は、紡績コップをその中心位置において巻取りユニットの下で正確にセンタリングすることを可能にする。さらに少なくとも2つのクランプエレメントは、両側における等しい形状の開放動作を可能にし、このことは、種々様々なコップ直径における中心位置の簡単な適合を可能にする。さらにクランプエレメントの、全周にわたって均等に分配された配置形態は、均等な圧着力を、ひいては接触面における端面の均等な接触を保証する。
【0015】
クランプエレメントから紡績コップに伝達される圧着力を生ぜしめるためには、基本的に任意の装置を使用することができる。そのためには例えば、クランプエレメントを紡績コップの方向に移動可能であるねじ装置が考えられる。しかしながら本発明の特に好適な構成によれば、クランプユニットは、クランプエレメントを繰出し位置において周面に圧着させる予荷重エレメント、特にばねエレメントを有していることが提案されている。
【0016】
予荷重エレメント、特にばねエレメントの使用は、圧着力を快適な形式で極めて正確に、所望の圧着力に適合させることができ、このとき戻りばね力によって、圧着力が予め設定された値を上回らないことが保証されていることが提案されている。このとき本発明の特に好適な構成によれば、予荷重エレメント、特にばねエレメントは、調節可能であり、これによって種々様々な作動条件、例えば種々様々な紡績コップへの紡績コップ収容ユニットの適合を、簡単な形式で可能にすることができる。予荷重エレメントとして圧縮コイルばねを使用すると、例えば調節可能な予荷重長さによって、紡績コップに作用する圧着力を、簡単な形式で決定することができる。
【0017】
クランプエレメントから紡績コップへの軸方向における圧着力の伝達は、基本的に任意の形式で、例えば紡績コップの周面とのクランプエレメントの接触面の適宜な構成によって行うことができ、このときクランプエレメントはその繰出し位置において、軸方向で紡績コップ保持体に向かって作用する圧着力を生ぜしめる。例えば周面の異形成形が、クランプエレメントの接触面における接触エレメントとの共働時に相応の圧着力が繰出し位置において生ぜしめられるようになっていることも考えられる。
【0018】
しかしながら本発明の特に好適な構成によれば、1つもしくは複数のクランプエレメントは、クランプエレメントの接触面が繰出し位置への移動時にベースプレートに向かって移動させられるように、ガイド面に対して斜めに方向付けられていることが提案されている。本発明のこの構成によれば、複数もしくは1つのクランプエレメントは、これらのもしくはこのクランプエレメントが、ピンの長手方向軸線に対して斜めに延びている、解放位置と繰出し位置との間における移動軌道において移動するように、紡績コップの周面もしくは紡績コップ保持体に向かって方向付けられており、これによって繰出し位置に向かう移動時にクランプエレメントの移動運動は、紡績コップ保持体への長軸方向における運動成分を形成し、その結果紡績コップは、繰出し位置においてその端面で、紡績コップ保持体のガイド面に圧着させられる。本発明のこの構成によって、特に簡単な形式で、軸方向に作用する力成分を生ぜしめることができる。
【0019】
クランプエレメントが、紡績コップに、好ましくは紡績コップの周面に接触している、クランプエレメントの接触面は、基本的に任意の形式で構成されていてよい。例えば、接触面が面状にまたは線形状に周面に接触しているように接触面を形成するという可能性がある。本発明の特に好適な構成によれば、接触面は、2つ以上の接触点を有していて、特にプリズム状に形成されていることが提案されている。本発明のこの構成は、紡績コップ保持体における紡績コップの特に確実なセンタリングを可能にする。さらに、確実な係止時に、紡績コップからの糸の支障のない繰出しが達成される。
【0020】
さらに本発明の別の構成によれば、クランプユニットは、クランプエレメントの繰出し位置が調節可能であり、かつ/またはクランプエレメントが互いに無関係に繰出し位置に移動可能であるように構成されていることが提案されている。本発明のこの構成は、1つまたは複数のクランプエレメントを介して、特に確実かつ簡単な形式で、紡績コップ保持体における紡績コップの中心位置を生ぜしめることができる。同時に、互いに無関係に発生する移動は、空になった紡績コップを紡績コップ保持体から取り出しかつ満管の紡績コップを紡績コップ保持体に配置することができる、解放位置へのクランプエレメントの迅速かつ簡単な移動を可能にする。
【0021】
本発明の第2の態様は、巻取り機の巻取りユニットであって、このとき紡績コップを繰出し位置において位置決めするための紡績コップ収容ユニットを有している、巻取りユニットに関する。
【0022】
提案された巻取りユニットは、紡績コップ収容ユニットが、上に記載された構成のうちの1つまたは複数の構成のように構成されていることによって傑出している。
【0023】
このような巻取りユニットは、巻取り機において特に確実な形式で、正確に方向付けられた紡績コップが準備されることを保証する。傾けられた紡績コップに基づく糸切れは、本発明に係る巻取りユニットによって特に好適な形式で回避される。このとき重要なことは、紡績コップ収容ユニットのクランプユニットの少なくとも1つのクランプエレメントが、軸方向でピンの方向において作用する力成分によって紡績コップの端面が紡績コップ保持体のガイド面に圧着されるように、紡績コップ保持体のピンに配置された紡績コップに係合することができるということである。これによって端面およびガイド面の方向付けによって、巻取りユニットにおける紡績コップの確実な方向付けが達成される。
【0024】
次に、図面を参照しながら本発明の2つの実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】クランプユニットの第1実施形態を備えた、紡績コップ保持体に配置された紡績コップを、概略的に示す図である。
【
図2】クランプユニットの第2実施形態を備えた、紡績コップ保持体に配置された紡績コップを、概略的に示す図である。
【0026】
図1および
図2には、巻取り機のここでは他の箇所が示されていない巻取りユニットの紡績コップ収容ユニット1が、概略的な図で示されている。
【0027】
紡績コップ収容ユニット1は、紡績コップ保持体3を有しており、この紡績コップ保持体3は、巻取り機の、ここでは図示されていない搬送システムを介して、巻取りユニットにおいて繰出し位置に移動可能である。紡績コップ2を収容するためにピン11が働き、このピン11は、紡績コップ保持体3のベースプレート8に接続している台9から突出していて、かつこのピン11には、紡績コップ2が装着されている。紡績コップ保持体3は、作動中、巻取りユニットにおいて、紡績コップ保持体3の底面12を介して、巻取り機の機械架台に支持されている。
【0028】
紡績コップ保持体3における紡績コップ2の方向付けのために、紡績コップ収容ユニット1はクランプユニット4を有しており、このクランプユニット4は、互いに向かい合って位置するように紡績コップ2の周面10に接触している2つのクランプエレメント5を有している。
図1および
図2で繰出し位置において示されているクランプエレメント5であって、この繰出し位置において接触面をもって紡績コップ2の周面10に接触しているクランプエレメント5によって、ピン11の軸方向に沿って作用する力成分が生ぜしめられ、この力成分によって紡績コップ2は、端面7を介して、紡績コップ保持体3の台9のガイド面6に圧着させられる。これによって軸方向に作用する力成分により、紡績コップ2の確実な軸方向の方向付けが行われ、この場合、端面7およびガイド面6が底面12に平行に方向付けられることにより、紡績コップ2は、紡績コップ保持体3の底面12に対して垂直に延びることになる。
【0029】
図1に示された実施形態において、軸方向に沿って紡績コップ保持体3に作用する力成分は、周面10と接触するクランプエレメント5の接触面の相応の構成によって生ぜしめられる。クランプユニット4の、
図2に示された実施形態では、クランプエレメント5はその傾けられた方向付けに基づいて、ここでは図示されていない解放位置から
図2に示された繰出し位置への移動時に、軸方向の運動成分に基づいて軸方向の力を紡績コップ2に伝達する。
【符号の説明】
【0030】
1 紡績コップ収容ユニット
2 紡績コップ
3 紡績コップ保持体
4a,4b クランプユニット
5 クランプエレメント
6 ガイド面
7 端面
8 ベースプレート
9 台
10 周面
11 ピン
12 底面