(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】巻取り機、及び、糸屑を識別する装置
(51)【国際特許分類】
B65H 63/00 20060101AFI20240724BHJP
G01N 21/952 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B65H63/00 A
G01N21/952
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019219498
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】10 2018 131 264.4
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523378985
【氏名又は名称】リーター オートマティック ワインダー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Rieter Automatic Winder GmbH
【住所又は居所原語表記】Karl-Arnold-Strasse 34, 52525 Heinsberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン キュパース
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094300(JP,A)
【文献】特開2000-053326(JP,A)
【文献】特開2015-117461(JP,A)
【文献】特開昭64-028172(JP,A)
【文献】特開2018-194416(JP,A)
【文献】特開平01-028172(JP,A)
【文献】実開平05-085876(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 63/00
G01N 21/952
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡糸ボビンに赤外光を照射するように構成された光源
(12)と、
紡糸ボビン管
(4)のデジタル画像を作成する撮像ユニット
(13)と、
糸屑を検出するためにデジタル画像を評価する評価ユニット
(14)と、
を備えている、紡糸ボビン管
(4)上の糸屑を識別する装置
(11)において、
前記光源(12)が、前記紡糸ボビン管(4)から側方に離間されて配置されており、
前記評価ユニット(14)は、前記紡糸ボビン管(4)と前記糸
屑との間のコントラスト差を検出するように構成されて
おり、
前記紡糸ボビン管(4)は、赤外線を吸収する糸屑に対して対照的な表面を有する、
ことを特徴とする装置
(11)。
【請求項2】
前記光源(12)の光軸
(16)は、前記紡糸ボビン管(4)の長手軸線(15)と、35°~90°、好適には45°~80°、特に好適には55°~70°の角度(α)で交差する、請求項1に記載の装置
(11)。
【請求項3】
前記装置(11)内に直立して位置決めされた前記紡糸ボビン管(4)の上方に配置された付加的光源を備え、前記付加的光源は、前記紡糸ボビン管(4)に光を照射するように構成されている、請求項
2に記載の装置
(11)。
【請求項4】
前記撮像
ユニット(13)の光軸
(17)は、前記紡糸ボビン管(4)の前記長手軸線(15)と、30°~50°の間にある角度(β)を形成する、請求項
3に記載の装置
(11)。
【請求項5】
前記紡糸ボビン管(4)の前記長手軸線(15)、前記光源(12)の前記光軸(16)、前記付加的光源の光軸、及び/又は、前記撮像
ユニット(13)の光軸(17)は、1つの平面内にある、請求項
4に記載の装置
(11)。
【請求項6】
前記撮像ユニット(13)は、前記紡糸ボビン管(4)に光を照射する照明体を有する、請求項1から
5までの
いずれか1項に記載の装置
(11)。
【請求項7】
前記光源(12)は、複数の部分光源から形成されている、請求項1から
6までの
いずれか1項に記載の装置
(11)。
【請求項8】
前記撮像
ユニット(13)は、対物レンズと結像センサとを含む、請求項1から
7までの
いずれか1項に記載の装置
(11)。
【請求項9】
前記評価
ユニット(14)は、前記紡糸ボビン管(4)の外側輪郭の内部に評価窓(22)を画定する手段を含み、前記評価窓
(22)は、糸屑に関して評価される、請求項1から
8までの
いずれか1項に記載の装置
(11)。
【請求項10】
背景(18)であって、当該背景(18)の手前で前記紡糸ボビン管(4)の前記デジタル画像を検出可能な背景(18)が存在する、請求項1から
9までの
いずれか1項に記載の装置
(11)。
【請求項11】
紡糸ボビン及び紡糸ボビン管
(4)用の搬送システムと、紡糸ボビン管
(4)の搬送経路に沿って配置された、排出された紡糸ボビン管
(4)上の糸屑を識別する装置
(11)とを備えた巻取り機において、
前記装置
(11)が、請求項1から
10までの
いずれか1項に従って構成されていることを特徴とする、巻取り機。
【請求項12】
前記搬送システムは、前記紡糸ボビンと紡糸ボビン管
(4)とが直立して搬送される搬送要素(8)を有している、請求項
11に記載の巻取り機。
【請求項13】
前記搬送システムは、前記装置(11)の領域内に、前記搬送要素(8)上に直立する前記紡糸ボビン管(4)
を搬送方向に対して垂直な方向に安定化させる手段を有している、請求項
12に記載の巻取り機。
【請求項14】
前記装置(11)内に直立して存在する前記紡糸ボビン管(4)の
長手軸線(15)と光源(12)の光軸(16)とに張られる平面は、前記紡糸ボビン管(4)の搬送方向に対して垂直に配置されている、請求項
11から13までのいずれか1項に記載の巻取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
紡糸ボビンに赤外光を照射するように構成された光源と、
紡糸ボビン管のデジタル画像を作成する撮像ユニットと、
糸屑を検出するためにデジタル画像を評価する評価ユニットと、
を備えている、紡糸ボビン管上の糸屑を識別する装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、紡糸ボビン及び紡糸ボビン管のための搬送システム並びに紡糸ボビン管上の糸屑を識別する装置を備えた巻取り機に関する。
【背景技術】
【0003】
リング紡績機では、比較的小さい糸容量の紡糸ボビンが製造される。紡糸ボビンは、巻取り機の大容量の綾巻きパッケージに巻返される。巻取り機は、紡糸ボビン及び紡糸ボビン管用の搬送システムを有し得る。搬送システムは、自動化された方式で巻取り機の個々の巻取りユニットに紡糸ボビンを供給する。紡糸ボビンの搬送は、巻取りユニットにおける巻出し位置に応じて直立的に又は垂直方向に行われる。紡糸ボビンは、搬送要素上に配置される。そのような搬送要素は、例えば紡糸ボビン又は紡糸ボビン管用の差込みマンドレルを有する搬送台として形成されてもよい。搬送台は、搬送ベルトを用いて巻取り機の内部で搬送することができる。空の紡糸ボビン管は、糸本体が巻出された後、同様に自動化された方式で搬送システムから再び排出される。空の紡糸ボビン管は、新たな紡糸ボビンを製造するためにリング紡績機で使用することができる。しかしながら、紡糸ボビンが巻取りユニットにおいて完全には巻出されず、糸屑が紡糸ボビン管上に残留することが起こり得る。それゆえ、排出された紡糸ボビン管は、糸屑について検査される。紡糸ボビン管の処理は、検出された糸屑に依存して行われる。糸屑がまだ使用できる場合には、紡糸ボビン管はボビン準備を受け、改めて巻取りユニットに供給される。糸屑が使用できない場合には、紡糸ボビン管は、リング紡績機における当該紡糸ボビン管の再利用の前に管洗浄部に供給される。そうしないと、糸屑が精紡過程中に問題を起こし、ボビンの形成に影響を与えかねない。
【0004】
独国特許出願公開第102014016784号明細書からは、紡糸ボビン管の糸屑を識別するために集束された光を照射し、その際、光源の光軸は、紡糸ボビン管の軸線と、2°~8°の間にある鋭角を形成することが開示されている。
【0005】
ここでは、そのような配置構成を用いても、赤外線を吸収する糸が例えば煤で着色されているようなケースの場合、撮像ユニットにとっては識別不能であることが示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102014016784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、本発明の課題は、紡糸ボビン管上の赤外線を吸収する屑糸の識別を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、請求項1の特徴を有する装置及び請求項12の特徴を有する巻取り機によって解決される。本発明の好適な発展形態は、従属請求項に示されている。
【0009】
紡糸ボビン管上の糸屑を識別する発明による装置は、光源が、紡糸ボビン管から側方に離間されて配置されており、評価ユニットは、紡糸ボビン管と糸との間のコントラスト差を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
側方に離間された光源により、管上で均一な輝度分布が達成される。この場合、「側方に離間された光源」とは、当該光源が、装置内で直立して位置決めされた紡糸ボビン管の側方に隣接して、自身が紡糸ボビン管に側方から赤外線を照射するような配置構成を意味するものと理解される。赤外線は、均一に紡糸ボビン管と糸屑とに当たる。紡糸ボビン管上の糸屑は、紡糸ボビン管において影となり、それらの糸屑は、自身の射影によって紡糸ボビン管のデジタル画像内で一義的に識別することができる。光源を側方に配置することにより、糸屑によって紡糸ボビン管上で一義的な射影を生成することが達成される。これにより、それらの糸屑は、デジタル画像上で紡糸ボビン管から明確に浮き上がる。
【0011】
本発明による装置の実施形態は、影の検出に基づいて特に次のような糸屑の識別を可能にさせる。すなわち、赤外線を吸収する、例えば煤で着色された非常に暗い糸のようなケースの糸屑であって、赤外光を反射しないため、他のケースでは撮像ユニットによって検出できないような糸屑である。したがって、本発明による照明の配置構成と、撮像ユニットにより生成されたデジタル画像の評価とは、例えばいわゆる「カーボンブラック糸」の識別も可能にさせる。この場合、評価装置は、外部にあってもよいし、あるいは撮像装置に統合されてもよい。
【0012】
この発明にとって重要なことは、管が側方から均一に赤外光で照射されるような光源による紡糸ボビン管の照射である。特に好適な実施形態によれば、この目的のために、光源の光軸は、35°~90°、好適には45°~80°、特に好適には55°~70°の角度で紡糸ボビン管の長手軸線と交差することが想定されている。光源の相応に傾斜した配置構成によって、紡糸ボビン管上の均一な輝度分布が特別に保証され、それによって、糸屑により引き起こされた射影が特に高い信頼性のもとで撮像ユニットによって検出可能になる。
【0013】
本発明による実施形態は、特に信頼性の高い方法で、赤外線を吸収する糸屑を高い信頼性のもとで検出することも可能にさせる。本発明のさらなる実施形態によれば、装置内に直立して位置決めされた紡糸ボビン管の上方に配置された付加的光源を備え、該付加的光源は、紡糸ボビン管に光を照射するように構成されていることが想定されている。必要に応じて代替又は切り換え可能でかつ特に好適には集束された光を放射し、その光軸が紡糸ボビン管の軸線と2°~8°の間にある角度を形成する付加的光源の使用は、赤外線を吸収する糸屑の他に、赤外線を反射する糸屑も、装置を用いて識別することを可能にさせる。本発明のこの好適な発展形態による付加的光源の光軸の配置構成により、紡糸ボビン管よりも多くの光が糸屑で反射されることが達成される。これにより、反射する糸屑は、デジタル画像上で紡糸ボビン管から明確に浮き上がる。
【0014】
したがって、本発明のこの好適な発展形態は、赤外線を吸収する糸屑も、赤外線を反射する糸屑も高い信頼性のもとで識別することを可能にさせる。この場合は、そのようなすべての用途において信頼性の高い糸屑の識別を保証するために、処理すべき紡糸ボビン管と、これらに配置される糸とに依存して、付加的光源が必要に応じて代替的にスイッチオン又はスイッチオフされ得る。赤外線を吸収する糸屑を処理する場合には、付加的光源は、スイッチオフの状態のままであり、それによって、紡糸ボビン管は規定の方式で光源によって照射される。
【0015】
光源の使用は既に紡糸ボビン管上の信頼性の高い輝度分布を保障し、そのような輝度分布は、撮像ユニットに、紡糸ボビン管上の影を高い信頼性のもとで検出することを可能にさせる。しかしながら、本発明の好適な発展形態によれば、撮像ユニットは、紡糸ボビン管に光を照射する照明体を有することが想定されている。撮像ユニットに結合され、照明体によって提供される第2の光源の使用は、紡糸ボビン管上の糸屑の信頼性の高い検出を特別に保証する。
【0016】
本発明は、紡糸ボビン管上の赤外線を吸収する糸屑が、コントラストとして識別可能な影を投げかけるという事実に基づいている。この場合、本発明の好適な発展形態によれば、紡糸ボビン管は、赤外線を吸収する糸屑に対して対照的な表面を有することが想定されている。黒い糸、例えばいわゆる「カーボンブラック」糸に対して高いコントラストを有する対照的な表面、例えば明るい表面の使用は、紡糸ヘッド管上の糸屑の識別精度を補足的な方法で改善する。糸屑による影は、対照的な表面上で、特に明るい、例えば紡糸ボビン管の白色の表面上で特に良好に検出することができる。
【0017】
さらなる好適な実施形態によれば、光源は、複数の部分的な光源を含む。それにより、光源は、例えばそれぞれ固有のレンズを有する3つのLEDからなっていてもよい。複数の部分光源により、光源の照射面を広げることができ、それによって、紡糸ボビン管の均一な照明をこれによる識別精度の低下なしで改善することができる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、撮像装置の光軸は、紡糸ボビン管の軸と、30°~50°の間にある角度を形成することが想定されている。この範囲には、糸屑に基づく紡糸ボビン管上の影を特に高い信頼性のもとで検出できる可能性が存在する。これにより、識別精度が補足的な方法で向上する。特に好適には、この場合さらに、紡糸ボビン管の長手軸線、光源の光軸、付加的光源の光軸、及び/又は、撮像装置の光軸は、1つの平面内にある。対応する実施形態、特に前述のすべての軸が1つの平面内にあるような配置構成の場合は、特にコンパクトで信頼性の高い装置構造を可能にさせる。この装置構造は、省スペース的な方法で、糸屑、特に赤外線を吸収する糸屑の信頼性の高い識別を可能にさせる。
【0019】
撮像装置の実施形態は、ここでは基本的に任意に選択可能である。しかしながら、特に好適な実施形態によれば、この撮像装置は、カメラの仕様に従って構成されている少なくとも1つの対物レンズと結像センサとを含むことが想定されている。
【0020】
評価装置は、好適には、紡糸ボビン管の外側輪郭の内部に評価窓を画定する手段を含み、この場合、評価窓は、糸屑に関して評価される。評価窓の画定は、糸屑の検出を簡素化させる。評価の際には、基本的に、糸屑が常にパッケージ糸として形成されていることを考慮することができる。糸屑の他の配置構成は、紡糸ボビンの巻回スキームに基づき発生せず、又は、少なくともさらなる処理にとって危険なものではない。紡糸ボビン管の外側輪郭の検出は、既知のエッジフィルタ方式によって行うことができる。
【0021】
評価窓を画定する手段は、この場合、特に好適には、評価窓の画定の際に、評価窓と紡糸ボビン管との位置合わせが行われるように構成されている。したがって、評価窓と紡糸ボビン管との間の角度ずれは、初めから回避される。
【0022】
さらに、標準的評価窓を画定する可能性も存在し、これらの手段は、評価窓と紡糸ボビンとの間の角度ずれを検出して補正するように構成されている。そのような角度ずれは、ボビンを特に搬送方向で装置に案内する常用的な搬送システムに関連して容易に起こり得る。これにより、標準的評価窓の領域は、紡糸ボビンの外側輪郭外にある可能性があり、したがって、標準的評価窓を紡糸ボビン管の方向に回転させることなしでは、評価エラーに結び付く可能性がある。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、背景であって、当該背景の手前で紡糸ボビン管のデジタル画像が検出可能な背景が存在していることが想定されている。このことは、例えば、所定の背景、特に1つのパターンを有する背景の使用により、それが紡糸ボビン管の外側輪郭の検出を容易にさせることを達成できる。このパターンは、その他に、特に好適にはチェックパターン(市松模様)としての実施形態の場合、紡糸ボビン管の位置合わせ、ひいては垂直に配置された評価窓に対する角度ずれを検出することも容易にさせる。あるパターンは、その他に、撮像装置の位置合わせ及び初期化を容易にさせることができる。本発明の代替的実施形態によれば、背景が照明されており、これによって、背景と紡糸ボビン管との間のコントラストが同様に改善される。その際、好適には、紡糸ボビンとは反対側からの照明が行われ、それによって、不要な迷光は紡糸ボビン管に入射しない。さらなる代替的実施形態は、反射フィルムを含む背景である。この反射フィルムは、照明によって照射される反射器として作用し、そのため、画像内で所定の白色の背景を生成する。
【0024】
本発明の課題は、紡糸ボビン及び紡糸ボビン管用の搬送システムと、紡糸ボビン管の搬送経路に沿って配置された、排出された紡糸ボビン管上の糸屑を識別する装置とを備え、該装置が、上記で示された本発明による実施形態で構成されている、あるいは1つ又は複数の発展形態に従って構成されている、巻取り機によっても解決される。この場合、本発明によれば、光源は、紡糸ボビン管から側方に離間されて配置されており、評価ユニットは、紡糸ボビン管と糸との間のコントラスト差を検出するように構成されている。
【0025】
特に好適には、公知の搬送システムは、ここでは、紡糸ボビンと紡糸ボビン管とが直立して搬送される搬送要素を有している。直立した搬送の場合、好適には、装置内に存在する紡糸ボビン管の軸線と光源の光軸とに張られる平面は、紡糸ボビン管の搬送方向に対して垂直に配置されている。これにより、巻取り機は、特に簡単かつコンパクトに構造化することができ、この場合は、さらに、紡糸ボビン管は最適に装置内に搬送することができ、そこでは通過の際にデジタル画像が生成される。
【0026】
本発明の好適な発展形態によれば、搬送システムは、装置の領域内に紡糸ボビン管を直立して搬送する際に、好適には、搬送要素上に直立する紡糸ボビン管を搬送方向に対して垂直な方向に安定化させる手段を有していることがさらに想定されている。そのような手段は、紡糸ボビン管の位置合わせの変動を防止し、紡糸ボビン管の軸と光源の光軸との間の角度の特に正確な維持を可能にする。この安定化させる手段は、例えば、管先端の領域におけるガイドとして形成されてもよい。
【0027】
搬送方向に紡糸ボビン管を安定化させることは容易に実現することができないため、そして搬送移動を保証する必要があるため、対応する方向での紡糸ボビン管の位置合わせにおける変動は、上述のように評価の際に補償されることが好ましい。
【0028】
以下では、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】赤外線を吸収する糸屑を識別する装置の一実施形態。
【
図3】チェックパターンを有する背景の前の紡糸ボビン管。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明による巻取り機1を示す。端部フレーム5と6との間には複数の巻取りユニット2が配置されている。これらの巻取りユニット2では、巻出し位置10に存在する紡糸ボビン9が、大容量の綾巻きパッケージに巻返される。図示の巻取り機1は、紡糸ボビン9及び紡糸ボビン管4用の搬送システム3を含む。
【0031】
紡糸ボビン9のみならず紡糸ボビン管4も、搬送台8上に直立して配置されている。完全な紡糸ボビン9を有する搬送台8は、巻取り機1の裏面から巻取りユニット2への巻出しのために搬送される。紡糸ボビン9は、巻出しに必要な直立する位置に既に存在する。巻取り機1の前面側には管戻し区間7が配置されている。この管戻し区間7を介して、空の紡糸ボビン管4は(これは巻出し後に巻取りユニット2から排出される)、依然直立のまま端部フレーム5の方向に搬送される。
【0032】
紡糸ボビン9が完全には巻出されず、糸屑が紡糸ボビン管4上に残留する可能性もある。このことは、例えば糸の破断後、紡糸ボビン9上で糸端部を見つけることができず、完全に巻出されなかった紡糸ボビン9が巻取りユニット2から排出されるような場合に起こる。端部フレーム5の領域には、糸屑を識別する装置11が配置されている。紡糸ボビン管4のさらなる処理は、識別された糸屑に依存して行われる。糸屑なしで完全に巻出された紡糸ボビン管4は、さらなる処理なしでリング紡績機において新たな紡糸ボビン9の製造のために使用することができる。まだ使用可能な糸屑を有する紡糸ボビン管4は、図示されていないボビン準備装置に供給される。ボビン準備装置は、糸端を見つけ出し、巻取りユニット2でのさらなる処理のために残留巻取り部分を有する紡糸ボビン管4を準備する。使用できない糸屑の場合には、紡糸ボビン管4の洗浄が必要である。
【0033】
図2では、
図1に示す装置11の基本構造が示されている。既に説明したように、紡糸ボビン管は、搬送システム3を用いて搬送台8上の装置11に案内される。搬送方向は、ここでは
図2に示された図平面に対して垂直に延び、その中には光源12及びカメラ13も配置されている。管先端の領域には、紡糸ボビン管4を、当該紡糸ボビン管4の搬送方向に対して垂直な方向に安定化させる図示されていない装置が存在してもよい。この装置は、紡糸ボビン管4の変動を回避させる。光源12の光軸は、図示の実施例では、紡糸ボビン管4の長手軸線15と63°の角度αで交差している。光源12は、ここでは紡糸ボビン管4から側方に離間されて配置されている。光源12は赤外光を放射し、この赤外光は、高い信頼性のもとで紡糸ボビン管4上の糸屑による影となる。
【0034】
対物レンズと結像センサとを有するカメラ13は、紡糸ボビン管4のデジタル画像を作成する。このカメラの光軸17又はカメラの対物レンズの光軸は、紡糸ボビン管4の長手軸線15と39°の角度βを形成する。光源12及びカメラ13は、紡糸ボビン管4の搬送方向に対して垂直な平面内に存在する。
【0035】
紡糸ボビン管4の画像は、背景18の手前で作成され、この背景18は、例えば紡糸ボビン管4とは反対側の背景18側に配置された光源19によって照射される。代替的に、背景は、照明される反射器/反射フィルムによって生成してもよい。
【0036】
糸屑を検出するためには、紡糸ボビン管4が通過する際に作成される唯1つの画像の作成で十分である。好適には、光源12は、画像が作成される瞬間にのみ作動される。生じ得る糸屑に関するデジタル画像の評価は、評価装置14を用いて行われる。この場合、この評価ユニット14は、
図2に示された実施例に対する変化例では、カメラ13と1つのユニットを形成してもよい。
【0037】
紡糸ボビン管4上の糸屑の検出は、評価窓22を用いて行うことができる。この評価窓22は、好適には矩形で、当該窓22が紡糸ボビン管4の外側輪郭の内部にあるような寸法になっている。紡糸ボビン管4の搬送方向で、搬送システムに応じて、紡糸ボビン管4の垂直方向周りの紡糸ボビン管4の変動が生じ得る。したがって、紡糸ボビン管4は、垂直の評価窓22の外側に移動し得る。
図3では、紡糸ボビン管4は、チェックパターン21を有する背景18の手前に配置されている。このチェックパターン21は、垂直方向又は水平方向に配向されている。チェックパターン21は、紡糸ボビン管4が垂直位置から変位していることを明確に識別できる。評価窓22は、まずチェックパターン21に位置合わせされる。つまり、チェックパターン21は、評価窓22と紡糸ボビン管4との間の角度ずれの容易な検出を可能にする。検出後、この角度ずれは容易に補償することができ、そのため評価窓22は、再び紡糸ボビン管4の外側輪郭の内部にある。代替的に、紡糸ボビン管4の外側輪郭を、照明された白色の背景の手前又は反射体背景の手前で検出し、評価窓22を初めから外側輪郭に位置合わせする可能性も生じる。このようにして、紡糸ボビン管4の変動を容易に補償することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 巻取り機
2 巻取りユニット
3 搬送システム
4 紡糸ボビン管
5 端部フレーム
6 端部フレーム
7 管戻し区間
8 搬送台
9 紡糸ボビン
10 巻出し位置
11 装置
12 光源
13 撮像装置/カメラ
14 評価装置
15 長手軸線
16 光軸(光源)
17 光軸(撮像装置)
18 背景
19 光源
21 チェックパターン
22 評価窓