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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240724BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240724BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240724BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240724BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H01L29/78 301D
H01L27/088 C
H01L29/06 301F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020037072
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021141175
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄介
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-104581(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127960(WO,A1)
【文献】特開2010-027785(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0112274(US,A1)
【文献】米国特許第8963199(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 27/088
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子主面を有する第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の前記素子主面に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域に形成され、かつ前記ボディ領域の外縁から内側に離間して形成された第1導電型のソース領域と、
前記半導体層の前記素子主面に形成され、かつ前記ボディ領域から第1方向において離間して形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ボディ領域の外縁との間のチャネル領域に対向するゲート電極であって、前記ソース領域に隣接する第1縁部と、前記第1縁部から前記ドレイン領域に向かって離間した部分に形成された第1開口または前記第1縁部が前記ドレイン領域に向かって選択的に凹んで形成された凹部とを含むゲート電極とを含み、
前記ボディ領域は、前記ゲート電極の前記第1開口または前記凹部に露出する部分を選択的に有し、
前記第1開口または前記凹部に露出する前記ボディ領域の部分に形成され、前記ボディ領域よりも高い不純物濃度を有する第2導電型のボディコンタクト領域を含み、
前記ボディ領域は、第1の幅を有する第1部分と、前記第1部分に対して前記第1方向に選択的に突出し、前記ゲート電極の前記第1開口または前記凹部に露出しており、かつ前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有する第2部分とを含み、
前記ボディコンタクト領域は、前記ボディ領域の前記第2部分に形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記ボディコンタクト領域は、前記ゲート電極の前記第1縁部に向かって延びており、
前記ソース領域は、前記第1方向に交差する第2方向において、前記ボディコンタクト領域によって分断されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極の第1縁部は、前記ソース領域および前記ボディコンタクト領域を共通に露出させる第2開口の縁部を含む、請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極の第1縁部は、前記ソース領域を露出させる第2開口の縁部を含み、
前記ドレイン領域は、前記第1方向において、前記ソース領域を挟んで対向する第1ドレイン領域および第2ドレイン領域を含み、
前記ゲート電極の第1開口は、前記ソース領域に対して前記第1ドレイン領域側および前記第2ドレイン領域側のそれぞれに形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
素子主面を有する第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の前記素子主面に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域に形成され、かつ前記ボディ領域の外縁から内側に離間して形成された第1導電型のソース領域と、
前記半導体層の前記素子主面に形成され、かつ前記ボディ領域から第1方向において離間して形成された第1導電型のドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ボディ領域の外縁との間のチャネル領域に対向するゲート電極であって、前記ソース領域に隣接する第1縁部と、前記第1縁部から前記ドレイン領域に向かって離間した部分に形成された第1開口または前記第1縁部が前記ドレイン領域に向かって選択的に凹んで形成された凹部とを含むゲート電極とを含み、
前記ボディ領域は、前記ゲート電極の前記第1開口または前記凹部に露出する部分を選択的に有し、
前記第1開口または前記凹部に露出する前記ボディ領域の部分に形成され、前記ボディ領域よりも高い不純物濃度を有する第2導電型のボディコンタクト領域を含み、
前記ゲート電極の第1縁部は、前記ソース領域を露出させる第2開口の縁部を含み、
前記ドレイン領域は、前記第1方向において、前記ソース領域を挟んで対向する第1ドレイン領域および第2ドレイン領域を含み、
前記ゲート電極の第1開口は、前記ソース領域に対して前記第1ドレイン領域側および前記第2ドレイン領域側のそれぞれに形成されている、半導体装置。
【請求項6】
前記ボディコンタクト領域は、前記第1ドレイン領域側の前記第1開口から前記第2ドレイン領域側の前記第1開口に向かってライン状に形成されており、
前記ソース領域は、前記第1方向に交差する第2方向において、前記ボディコンタクト領域によって分断されている、請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ボディコンタクト領域は、前記第1開口と前記第2開口との間の部分において、前記素子主面からの深さが選択的に浅い部分を有している、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1開口の幅が、0.4μm~1.0μmである、請求項~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1開口は、前記第2開口から0.4μm~1.0μm離間している、請求項~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ドレイン領域は、前記第1方向において、前記ソース領域を挟んで対向する第1ドレイン領域および第2ドレイン領域を含み、
前記ゲート電極の凹部は、前記第1ドレイン領域側および前記第2ドレイン領域側のそれぞれに向かって形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ボディコンタクト領域は、前記第1ドレイン領域側の前記凹部から前記第2ドレイン領域側の前記凹部に向かってライン状に形成されており、
前記ソース領域は、前記第1方向に交差する第2方向おいて、前記ボディコンタクト領域によって分断されている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記凹部の凹み量が、0.4μm~1.0μmである、請求項10または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体層上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層を貫通し、前記ソース領域に接続されたソースコンタクトと、
前記絶縁層を貫通し、前記第1開口または前記凹部を介して前記ボディコンタクト領域に接続されたボディコンタクトと、
前記絶縁層上に形成され、前記ソースコンタクトおよび前記ボディコンタクトに共通に接続されたソース配線とを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ボディ領域の不純物濃度は、1×1017cm-3~1×1018cm-3であり、前記ボディコンタクト領域の不純物濃度は、1×1019cm-3~1×1020cm-3である、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体層は、前記ボディ領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域を含む第1素子領域と、前記第1素子領域とは独立して形成された第2素子領域とを含み、
前記半導体装置は、前記第1素子領域および前記第2素子領域が共通の前記半導体層に集積された集積回路装置を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、素子形成領域を分離するp型ウェル領域と、素子形成領域に形成されたDMOSトランジスタを含む半導体装置を開示している。半導体装置は、p型のシリコン基板と、シリコン基板の表面に選択的に形成され、フィールド酸化膜により互いに素子分離されたn型のソース領域とドレイン領域と、ゲート酸化膜を介してシリコン基板上に形成されたゲート電極とを含む。p型ウェル領域上には、フィールド酸化膜が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-156205号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、素子主面を有する第1導電型の半導体層と、前記半導体層の前記素子主面に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域に形成され、かつ前記ボディ領域の外縁から内側に離間して形成された第1導電型のソース領域と、前記半導体層の前記素子主面に形成され、かつ前記ボディ領域から第1方向において離間して形成された第1導電型のドレイン領域と、前記ソース領域と前記ボディ領域の外縁との間のチャネル領域に対向するゲート電極であって、前記ソース領域に隣接する第1縁部と、前記第1縁部から前記ドレイン領域に向かって離間した部分に形成された第1開口または前記第1縁部が前記ドレイン領域に向かって選択的に凹んで形成された凹部とを含むゲート電極とを含み、前記ボディ領域は、前記ゲート電極の前記第1開口または前記凹部に露出する部分を選択的に有し、前記第1開口または前記凹部に露出する前記ボディ領域の部分に形成され、前記ボディ領域よりも高い不純物濃度を有する第2導電型のボディコンタクト領域を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な斜視図である。
図2図2は、図1の二点鎖線IIで囲まれた部分を透視して示す前記半導体装置の模式的な平面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面を示す断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV断面を示す断面図である。
図5A図5Aは、前記半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
図5B図5Bは、図5Aの次の工程を示す図である。
図5C図5Cは、図5Bの次の工程を示す図である。
図5D図5Dは、図5Cの次の工程を示す図である。
図5E図5Eは、図5Dの次の工程を示す図である。
図5F図5Fは、図5Eの次の工程を示す図である。
図5G図5Gは、図5Fの次の工程を示す図である。
図5H図5Hは、図5Gの次の工程を示す図である。
図6図6は、ボディコンタクト領域の形成に関連する工程を示す図である。
図7図7は、ボディコンタクト領域の形成に関連する工程を示す図である。
図8図8は、ボディコンタクト領域の形成に関連する工程を示す図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の一部の模式的な平面図である。
図10図10は、図9のX-X断面を示す断面図である。
図11図11は、図9のXI-XI断面を示す断面図である。
図12図12は、マシンモデル試験の結果を示す図である。
図13図13は、前記半導体装置の変形例を示す図である。
図14図14は、前記半導体装置の変形例を示す図である。
図15図15は、前記半導体装置の変形例を示す図である。
図16図16は、前記半導体装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
<本発明の実施形態>
まず、本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、素子主面を有する第1導電型の半導体層と、前記半導体層の前記素子主面に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域に形成され、かつ前記ボディ領域の外縁から内側に離間して形成された第1導電型のソース領域と、前記半導体層の前記素子主面に形成され、かつ前記ボディ領域から第1方向において離間して形成された第1導電型のドレイン領域と、前記ソース領域と前記ボディ領域の外縁との間のチャネル領域に対向するゲート電極であって、前記ソース領域に隣接する第1縁部と、前記第1縁部から前記ドレイン領域に向かって離間した部分に形成された第1開口または前記第1縁部が前記ドレイン領域に向かって選択的に凹んで形成された凹部とを含むゲート電極とを含み、前記ボディ領域は、前記ゲート電極の前記第1開口または前記凹部に露出する部分を選択的に有し、前記第1開口または前記凹部に露出する前記ボディ領域の部分に形成され、前記ボディ領域よりも高い不純物濃度を有する第2導電型のボディコンタクト領域を含む。
【0007】
この半導体装置は、半導体層の素子主面に沿う第1方向に並んだソース領域、ボディ領域およびドレイン領域によって形成された寄生バイポーラトランジスタを含む。たとえば、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である場合、npnバイポーラトランジスタが形成されている。一方、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である場合、pnpバイポーラトランジスタが形成されている。
【0008】
この種の寄生バイポーラトランジスタは、たとえばESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)等によってソース-ドレイン間に過電圧が加わるとターンオンする場合がある。その結果、ソース領域、ボディ領域およびドレイン領域を含むMISFETに局所的な大電流が生じ、破壊に至る可能性がある。ESD対策のために、寄生バイポーラトランジスタがターンオンし難い環境を準備することが好ましい。
【0009】
たとえば、npnバイポーラトランジスタの場合、ベース-エミッタ間に順方向バイアスが印加されることによってターンオンする。したがって、ベース領域(この実施形態ではボディ領域)の電位上昇を抑えることによって順方向バイアスの印加を抑制し、ターンオンを防止することが好ましい。
そこで、この半導体装置では、ゲート電極に第1開口または凹部が形成され、当該第1開口または凹部にボディコンタクト領域が形成されている。これにより、第1方向において、ソース領域に対してドレイン領域に近い位置で、ボディコンタクト領域からボディ領域の電位を提供することができる。そのため、第1方向において、ソース領域からドレイン領域に向かってボディ領域の電位上昇を抑えることができる。その結果、寄生バイポーラトランジスタのターンオンを抑制することができる。
【0010】
よって、ESD耐性の向上した半導体装置を提供することができ、必要により、ESD保護素子を削減することもできる。ESD保護素子の削減に伴ってチップ面積を縮小でき、コストを低減することもできる。さらに、ESD設計が不要になるため、半導体装置の設計を簡素化することができる。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ボディ領域は、第1の幅を有する第1部分と、前記第1部分に対して前記第1方向に選択的に突出し、前記ゲート電極の前記第1開口または前記凹部に露出しており、かつ前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有する第2部分とを含み、前記ボディコンタクト領域は、前記ボディ領域の前記第2部分に形成されていてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ボディコンタクト領域は、前記ゲート電極の前記第1縁部に向かって延びており、前記ソース領域は、前記第1方向に交差する第2方向において、前記ボディコンタクト領域によって分断されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ゲート電極の第1縁部は、前記ソース領域および前記ボディコンタクトを共通に露出させる第2開口の縁部を含んでいてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ゲート電極の第1縁部は、前記ソース領域を露出させる第2開口の縁部を含み、前記ドレイン領域は、前記第1方向において、前記ソース領域を挟んで対向する第1ドレイン領域および第2ドレイン領域を含み、前記ゲート電極の第1開口は、前記ソース領域に対して前記第1ドレイン領域側および前記第2ドレイン領域側のそれぞれに形成されていてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ボディコンタクト領域は、前記第1ドレイン領域側の前記第1開口から前記第2ドレイン領域側の前記第1開口に向かってライン状に形成されており、前記ソース領域は、前記第1方向に交差する第2方向において、前記ボディコンタクト領域によって分断されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ボディコンタクト領域は、前記第1開口と前記第2開口との間の部分において、前記素子主面からの深さが選択的に浅い部分を有していてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1開口の幅が、0.4μm~1.0μmであってもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1開口は、前記第2開口から0.4μm~1.0μm離間していてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ドレイン領域は、前記第1方向において、前記ソース領域を挟んで対向する第1ドレイン領域および第2ドレイン領域を含み、前記ゲート電極の凹部は、前記第1ドレイン領域側および前記第2ドレイン領域側のそれぞれに向かって形成されていてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ボディコンタクト領域は、前記第1ドレイン領域側の前記凹部から前記第2ドレイン領域側の前記凹部に向かってライン状に形成されており、前記ソース領域は、前記第1方向に交差する第2方向おいて、前記ボディコンタクト領域によって分断されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記凹部の凹み量が、0.4μm~1.0μmであってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記半導体層上に形成された絶縁層と、前記絶縁層を貫通し、前記ソース領域に接続されたソースコンタクトと、前記絶縁層を貫通し、前記第1開口または前記凹部を介して前記ボディコンタクト領域に接続されたボディコンタクトと、前記絶縁層上に形成され、前記ソースコンタクトおよび前記ボディコンタクトに共通に接続されたソース配線とを含んでいてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記ボディ領域の不純物濃度は、1×1017cm-3~1×1018cm-3であり、前記ボディコンタクト領域の不純物濃度は、1×1019cm-3~1×1020cm-3であってもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、前記半導体層が、前記ボディ領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域を含む第1素子領域と、前記第1素子領域とは独立して形成された第2素子領域とを含む場合、前記第1素子領域および前記第2素子領域が共通の前記半導体層に集積された集積回路装置を含んでいてもよい。
<本発明の実施形態の詳細な説明>
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
(半導体装置1の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な斜視図である。
【0018】
半導体装置1は、たとえば、チップ状の集積回路(IC:Integrated Circuit)装置を含む。半導体装置1は、集積される回路素子の数に基づいて、SSI(Small Scale IC)、MSI(Middle Scale IC)、LSI(Large Scale IC)、VLSI(Very Large Scale IC)、ULSI(Ultra Large Scale IC)と称してもよい。
半導体装置1は、回路素子が形成された複数の素子領域2,3を有している。複数の素子領域2,3は、後述する共通の半導体基板4に形成されている。
【0019】
複数の素子領域2,3は、第1素子領域2と、複数の第2素子領域3とを含む。第1素子領域2は、回路素子としてLDMOS(Lateral double-diffusedMOS)が形成された素子領域であってもよい。複数の第2素子領域3は、たとえば、その他の機能素子(たとえば、LDMOS用の保護ダイオード、抵抗、コンデンサ等)が形成された領域であってもよい。なお、図1では、4つの素子領域2,3が示されているが、半導体装置1は、より多数の素子領域を有していてもよい。
【0020】
図2は、図1の二点鎖線IIで囲まれた部分を透視して示す半導体装置1の模式的な平面図である。図3は、図2のIII-III断面を示す断面図である。図4は、図2のIV-IV断面を示す断面図である。
半導体装置1は、半導体基板4と、素子分離部5と、埋め込み層6と、フィールド絶縁膜7と、ボディ領域8と、ソース領域9と、ドレイン領域10,11と、ゲート絶縁膜12と、ゲート電極13と、ボディコンタクト領域14と、層間絶縁膜15と、ソースコンタクト16と、ボディコンタクト17と、ソース配線18と、ドレインコンタクト19と、ドレイン配線20とを含んでいてもよい。
【0021】
半導体基板4は、ベース基板21と、本発明の半導体層の一例としてのエピタキシャル層22とを含んでいてもよい。
ベース基板21は、この実施形態ではシリコン(Si)基板で形成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)等)で形成された基板であってもよい。ベース基板21は、この実施形態ではp型である。ベース基板21は、たとえば、1×1014cm-3~5×1018cm-3の不純物濃度を有していてもよい。また、ベース基板21の厚さは、たとえば、研削前で500μm~800μmであってもよい。
【0022】
エピタキシャル層22は、ベース基板21に接しており、かつベース基板21に積層されている。エピタキシャル層22は、素子主面23と、エピタキシャル層22の厚さ方向において素子主面23の反対側を向く接合面24とを有する。素子主面23は、素子領域2,3が形成された面である。接合面24は、ベース基板21に接する面である。エピタキシャル層22は、ベース基板21と逆の導電型を有しており、この実施形態ではn型である。エピタキシャル層22は、たとえば、5×1014cm-3~1×1017cm-3の不純物濃度を有していてもよい。また、エピタキシャル層22の厚さは、たとえば、3μm~20μmであってもよい。
【0023】
素子分離部5は、素子分離ウェルを含んでいてもよい。より具体的には、図2に示すように、平面視で閉曲線を描く帯状のp型の素子分離ウェルが、エピタキシャル層22の素子主面23からベース基板21に達するように形成されていてもよい。素子分離部5は、この実施形態では、図2に示すように平面視で四角環状に形成されているが、たとえば、円環状、三角環状等の他の閉曲線構造であってもよい。
【0024】
素子分離部5は、上側に配置されたp型のウェル領域25と、下側に配置されたp型のローアイソレーション(L/I)領域26との2層構造からなっていてもよい。これらの領域25,26の境界は、エピタキシャル層22の厚さ方向途中部に設定されていてもよい。たとえば、領域25,26の境界は、エピタキシャル層22の素子主面23から1.0μm~2.0μmの深さ位置に設定されていてもよい。これにより、半導体基板4には、ベース基板21上において素子分離部5によって取り囲まれたエピタキシャル層22の一部からなる第1素子領域2が区画されている。
【0025】
型の埋め込み層6(B/L)は、第1素子領域2に選択的に形成されている。埋め込み層6は、半導体基板4において、ベース基板21とエピタキシャル層22との境界を跨ぐように形成されている。埋め込み層6の厚さは、たとえば、2.0μm~3.0μmであってもよい。
また、半導体基板4において、第1素子領域2の外周領域には、第1素子領域2と同じく電気的にフローティングされた第2素子領域3が区画されている。第2素子領域3は、素子分離部5を隔てて第1素子領域2と隣接して形成されていてもよいし、第1素子領域2から離間した領域において、図示しない素子分離構造(たとえば、素子分離部5と同様のウェル)によって形成されていてもよい。なお、第1素子領域2は、たとえば、5V~100V程度の低基準電圧を基準に動作する低電圧素子領域であってもよいし、たとえば、400V~600V程度の高基準電圧を基準に動作する高電圧素子領域であってもよい。
【0026】
フィールド絶縁膜7は、図2では具体的な端縁が示されていないが、閉曲線を描く帯状に形成されている。フィールド絶縁膜7は、素子分離部5と同様に、第1素子領域2の周囲を取り囲むように平面視で四角環状に形成されている。フィールド絶縁膜7は、素子分離部5よりも幅広で、素子分離部5を完全に覆うように形成されている。
フィールド絶縁膜7は、たとえば、エピタキシャル層22の素子主面23を選択的に酸化させることによって形成されたLOCOS膜であってもよい。フィールド絶縁膜7は、ボディ領域8およびソース領域9を露出させる第1開口27と、ドレイン領域10,11を露出させる第2開口28とを有している。
【0027】
ボディ領域8は、エピタキシャル層22の素子主面23に形成されている。ボディ領域8は、フィールド絶縁膜7の第1開口27の周縁部29から内側に離れている。ボディ領域8の外周縁30とフィールド絶縁膜7の周縁部29との間に挟まれ、かつエピタキシャル層22の一部で形成された環状の領域は、エピタキシャル層22と同じ導電型の半導体領域31である。
【0028】
ボディ領域8は、第1部分32と、第2部分33とを含む。第1部分32は、第2方向Yに延びている。第2部分33は、第1部分32の第2方向Y途中部から、第2方向Yに直交する第1方向Xに選択的に突出している。より具体的には、第1部分32は、第2方向Yに延びる長方形状であり、第2部分33は、当該第1部分32に交差し、第1方向Xに延びる長方形状であってもよい。第1部分32と第2方向Yとの交差部分は、第1部分32および第2部分33のいずれにも属する共有部分であってもよい。他の言い方では、ボディ領域8は、第1方向Xと第2方向Yの両方向に延びる略十字状であってもよい。また、ボディ領域8は、第2方向Yに延びるライン状の第1部分32と、当該第1部分32から選択的に突出した凸部からなる第2部分33とを含んでいてもよい。
【0029】
これにより、ボディ領域8は、第1方向Xに沿って測定される幅に関して、第1部分32の第1の幅Wと、第2部分33の第2の幅Wとを有している。第2の幅Wは、第1の幅Wよりも大きい。たとえば、第1の幅Wが0.1μm~1μmであり、第2の幅Wが0.3μm~3μmであってもよい。また、比率で比較した場合、第1の幅Wに対する第2の幅Wの比率(W/W)は、たとえば、W/W=2~5であってもよい。なお、第1の幅Wおよび第2の幅Wは、それぞれ、第2方向Yにおいて一定である必要はない。たとえば、第2方向Yにおいて任意の2か所の第1の幅Wを比較した場合、それらの第1の幅W同士が互いに異なっていてもよい。
【0030】
また、ボディ領域8は、第2方向Yに沿うサイズとして、第1の長さLを有している。第1の長さLは、第1部分32の長さであってもよい。なお、図2では、半導体装置1の構造の明瞭化のため、ボディ領域8が比較的幅広に示されているが、ボディ領域8は、より細長形状であってもよい。つまり、第1の幅Wおよび第2の幅Wに対して、ボディ領域8の第1の長さLが遥かに大きくてもよい。
【0031】
ボディ領域8は、この実施形態ではp型の半導体領域である。ボディ領域8は、たとえば、1×1017cm-3~1×1018cm-3の不純物濃度を有している。また、ボディ領域8の深さは、図3および図4に示すようにフィールド絶縁膜7の底部位置よりも深く、たとえば、0.5μm~4.0μmであってもよい。
ソース領域9は、エピタキシャル層22の素子主面23においてボディ領域8の内方領域に形成されている。ソース領域9は、ボディ領域8の外周縁30から内側に離れており、かつボディ領域8の外周縁30に沿う外周縁34を有している。ボディ領域8の外周縁30とソース領域9の外周縁34との間に挟まれ、かつボディ領域8で構成された領域は、ゲート電極13に適切な電圧が印加されたときにチャネルが形成されるチャネル領域35である。
【0032】
ソース領域9は、第2方向Yにおいて、互いに間隔を空けて複数形成されている。第2方向Yにおいて隣り合うソース領域9の間には、ボディコンタクト領域14が形成されている。この実施形態では、第2方向Yにおいてボディコンタクト領域14を挟むようにソース領域9が形成されている。言い換えれば、ソース領域9は、第2方向Yにおいて、ボディコンタクト領域14によって分断された態様であってもよい。
【0033】
ソース領域9は、この実施形態ではn型の半導体領域である。ソース領域9は、たとえば、1×1019cm-3~5×1021cm-3の不純物濃度を有している。また、ソース領域9の深さは、ボディ領域8よりも浅く、たとえば、0.2μm~1.0μmであってもよい。したがって、断面視において、ソース領域9は、その側部および底部がボディ領域8によって一体的に覆われている。
【0034】
ドレイン領域10,11は、エピタキシャル層22の素子主面23に形成されている。ドレイン領域10,11は、ボディ領域8から第1方向Xにおいて離間しており、フィールド絶縁膜7の第2開口28の周縁部36に沿う外周縁37を有している。また、ドレイン領域10,11は、第1方向Xにおいて、ソース領域9を挟んで対向する第1ドレイン領域10および第2ドレイン領域11を含んでいる。第1ドレイン領域10および第2ドレイン領域11は、それぞれ、第2方向Yに沿って延びている。この実施形態では、第1ドレイン領域10および第2ドレイン領域11は、第2方向Yに沿って細長形状に形成されている。
【0035】
ドレイン領域10,11は、この実施形態ではn型の半導体領域である。ドレイン領域10,11は、たとえば、1×1019cm-3~5×1021cm-3の不純物濃度を有している。また、ドレイン領域10,11の深さは、たとえば、0.2μm~2.0μmであってもよい。たとえば、ドレイン領域10,11は、ソース領域9と同じ深さを有していてもよい。
【0036】
ゲート絶縁膜12は、エピタキシャル層22の素子主面23に形成されている。より具体的には、ゲート絶縁膜12は、ソース領域9の外周縁34からフィールド絶縁膜7の第1開口39の周縁部29に至る領域に形成され、フィールド絶縁膜7と一体化しており、かつチャネル領域35および半導体領域31を覆っている。
ゲート絶縁膜12は、この実施形態では、酸化シリコン(SiO)で形成されているが、他の絶縁材料(たとえば、窒化シリコン酸化膜(SiON)等)で形成されていてもよい。また、ゲート絶縁膜12の厚さは、フィールド絶縁膜7よりも薄く、たとえば、2nm~55nmであってもよい。
【0037】
ゲート電極13は、ゲート絶縁膜12上に形成されている。ゲート電極13は、ゲート絶縁膜12を介してチャネル領域35および半導体領域31に対向し、かつゲート絶縁膜12上からフィールド絶縁膜7上に連続して延びている。これにより、ゲート電極13は、フィールド絶縁膜7の一部を覆っている。ゲート電極13のフィールド絶縁膜7上の部分は、たとえば、フィールドプレート38と称してもよい。
【0038】
この実施形態では、ゲート電極13は、図2において二点鎖線で区画された領域である。つまり、ゲート電極13は、ソース領域9を取り囲む環状に形成されており、ソース領域9を露出させる第2開口40を有している。ソース領域9は、図2および図4に示すように、第2開口40よりも大きめに形成されており、第2開口40の周縁部42に重なっている。つまり、第2開口40の周縁部42は、エピタキシャル層22の厚さ方向においてソース領域9に隣接している。また、第2開口40は、この実施形態では、主にソース領域9を露出させるための開口であり、たとえば、ソースコンタクト用開口と称してもよい。
【0039】
また、ゲート電極13は、第2開口40からドレイン領域10,11に向かって離間した部分に形成された第1開口39を有している。ゲート電極13の第1開口39は、図2に示すように、平面視において、ボディ領域8の第2部分33に重なる位置に形成されている。これにより、ゲート電極13の第1開口39から、ボディ領域8の第2部分33が露出している。ゲート電極13の第1開口39は、図2に示すように、その全体がボディ領域8の第2部分33の突出部分に収まっていてもよい。また、ゲート電極13の第1開口39は、図2の位置よりも第1方向Xにおいてボディ領域8の内側に形成され、第2部分33の突出部分と、第2方向Yにおいて第1部分32に連なる第2部分33との間に跨っていてもよい。
【0040】
また、この実施形態では、ゲート電極13の第1開口39は、ソース領域9に対して第1ドレイン領域10側および第2ドレイン領域11側のそれぞれに形成されている。第1方向Xにおいては、第2開口40を挟むように、一対の第1開口39が形成されている。図2では、一対の第1開口39は、第2方向Yに対して対称な位置に形成されているが、互いに対称な位置関係に形成されていなくてもよい。
【0041】
各第1開口39は、第2開口40から0.4μm~1.0μmの距離Lを隔てて形成されていてもよい。また、各第1開口39の第1方向Xおよび第2方向Yの幅L,Sは、それぞれ、0.4μm~1.0μmであってもよい。第1方向Xおよび第2方向Yの幅L,Sは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、各第1開口39は、この実施形態では、ボディコンタクト領域14を露出させるための開口であり、たとえば、ボディコンタクト用開口と称してもよい。
【0042】
また、ゲート電極13は、この実施形態では、たとえば不純物を含有するポリシリコンゲート電極を含む。含有された不純物は、n型の不純物であってもよい。
ボディコンタクト領域14は、エピタキシャル層22の素子主面23においてボディ領域8の内方領域に形成されている。ボディコンタクト領域14は、ボディ領域8の外周縁30から内側に離れており、かつボディ領域8の外周縁30に沿う外周縁43を有している。
【0043】
ボディコンタクト領域14は、この実施形態では、少なくともボディ領域8の第2部分33に形成されている。ボディコンタクト領域14は、第1ドレイン領域10側の第1開口39から第2ドレイン領域11側の第1開口39に向かって形成されている。これにより、ボディコンタクト領域14は、第1開口39および第2開口40から露出し、ボディコンタクト領域14の表面が第1開口39および第2開口40の内部に臨んでいる。また、ボディコンタクト領域14は、図2および図3に示すように、第1開口39よりも大きめに形成されており、第1開口39の周縁部41に重なっている。つまり、第1開口39の周縁部41は、エピタキシャル層22の厚さ方向においてボディコンタクト領域14に隣接している。
【0044】
ボディコンタクト領域14は、第1方向Xにおいて、ソース領域9よりも広い幅を有していてもよい。言い換えれば、ボディコンタクト領域14は、第1方向Xにおいて、ソース領域9の外周縁34から各ドレイン領域10,11へ向かって突出した凸部44を有していてもよい。さらに他の言い方では、ボディコンタクト領域14は、第1方向Xにおいて、ソース領域9の外周縁34よりも各ドレイン領域10,11に近い位置に端部45を有していてもよい。
【0045】
ボディコンタクト領域14は、たとえば、図2に示すように、第1方向Xに沿うライン状であってもよい。これにより、図2に示すように、平面視において、ソース領域9およびボディコンタクト領域14は交差していてもよい。ソース領域9は、第2方向Yにおいて、ボディコンタクト領域14によって分断されている。
また、ボディコンタクト領域14は、第1ドレイン領域10側の第1開口39から、第2開口40を介して第2ドレイン領域11側の第1開口39に向かって一体的に形成されていてもよい。つまり、第2開口40と第1開口39との間のゲート電極13の下方において、ボディコンタクト領域14が途切れずに連続していてもよい。この場合、ボディコンタクト領域14は、図3に示すように、第2開口40と第1開口39との間のゲート電極13の下方において、素子主面23からの深さが選択的に浅い部分46を有していてもよい。
【0046】
ボディコンタクト領域14は、この実施形態ではp型の半導体領域であり、ボディ領域8よりも高い不純物濃度を有している。ボディコンタクト領域14は、たとえば、1×1019cm-3~5×1021cm-3の不純物濃度を有しており、好ましくは、1×1019cm-3~1×1020cm-3の不純物濃度を有している。また、ボディコンタクト領域14の深さ(最深部の深さ)は、ボディ領域8よりも浅く、たとえば、0.2μm~1.0μmであってもよい。したがって、断面視において、ボディコンタクト領域14は、その側部および底部がボディ領域8によって一体的に覆われている。
【0047】
層間絶縁膜15は、エピタキシャル層22の素子主面23に形成されている。層間絶縁膜15は、ボディ領域8、ソース領域9、ドレイン領域10,11、およびゲート電極13を覆っている。層間絶縁膜15は、この実施形態では、酸化シリコン(SiO)で形成されているが、他の絶縁材料(たとえば、窒化シリコン(SiN)等)で形成されていてもよい。また、層間絶縁膜15は、複数の材料、たとえば、酸化シリコンと窒化シリコンとの積層構造で構成されていてもよい。また、層間絶縁膜15の厚さは、たとえば、0.3μm~2.0μmであってもよい。
【0048】
ソースコンタクト16は、層間絶縁膜15に埋め込まれている。より具体的には、層間絶縁膜15には、層間絶縁膜15の表面から第2開口40を通過してソース領域9およびボディコンタクト領域14に至るソースコンタクト孔47が形成されている。ソースコンタクト孔47は、第2方向Yに沿ってライン状に形成されており、ソース領域9およびボディコンタクト領域14を共通に露出させている。ソースコンタクト16は、ソースコンタクト孔47に埋め込まれ、かつソース領域9およびボディコンタクト領域14に一括して接続されている。ソースコンタクト16は、図2に示すように第2方向Yに沿ってライン状に形成されていてもよいし、図示しないが、第2方向Yに沿って、互いに間隔を空けてドット状に複数配列されていてもよい。
【0049】
また、ソースコンタクト16は、この実施形態では、タングステン(W)で形成されているが、他の導電材料(たとえば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)で形成されていてもよい。その際、TiN等のバリア膜を用いてもよいことは、言うまでもない。
ボディコンタクト17は、層間絶縁膜15に埋め込まれている。より具体的には、層間絶縁膜15には、層間絶縁膜15の表面から第1開口39を通過してボディコンタクト領域14に至るボディコンタクト孔48が形成されている。ボディコンタクト17は、ボディコンタクト孔48に埋め込まれ、かつボディコンタクト領域14に接続されている。
【0050】
また、ボディコンタクト17は、この実施形態では、タングステン(W)で形成されているが、他の導電材料(たとえば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)で形成されていてもよい。その際、TiN等のバリア膜を用いてもよいことは、言うまでもない。
ソース配線18は、層間絶縁膜15の表面に形成されている。ソース配線18は、ソースコンタクト16およびボディコンタクト17を覆っており、かつソースコンタクト16およびボディコンタクト17に接続されている。これにより、ソース配線18は、ソース領域9およびボディコンタクト領域14に電気的に接続されている。
【0051】
ソース配線18は、この実施形態では、アルミニウム(Al)で形成されているが、他の導電材料(たとえば、銅(Cu)等)で形成されていてもよい。なお、ソース配線18は、その形状(パターン)に応じて、ソース電極と称してもよい。
ドレインコンタクト19は、層間絶縁膜15に埋め込まれている。より具体的には、層間絶縁膜15には、層間絶縁膜15の表面からドレイン領域10,11に至るドレインコンタクト孔49が形成されている。ドレインコンタクト孔49は、第2方向Yに沿ってライン状に形成されており、ドレイン領域10,11を露出させている。ドレインコンタクト19は、ドレインコンタクト孔49に埋め込まれ、かつドレイン領域10,11に接続されている。ドレインコンタクト19は、図2に示すように第2方向Yに沿ってライン状に形成されていてもよいし、図示しないが、第2方向Yに沿って、互いに間隔を空けてドット状に複数配列されていてもよい。
【0052】
また、ドレインコンタクト19は、この実施形態では、タングステン(W)で形成されているが、他の導電材料(たとえば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)で形成されていてもよい。その際、TiN等のバリア膜を用いてもよいことは、言うまでもない。
ドレイン配線20は、層間絶縁膜15の表面に形成されている。ドレイン配線20は、ドレインコンタクト19を覆っており、かつドレインコンタクト19に接続されている。これにより、ドレイン配線20は、ドレイン領域10,11に電気的に接続されている。
【0053】
ドレイン配線20は、この実施形態では、アルミニウム(Al)で形成されているが、他の導電材料(たとえば、銅(Cu)等)で形成されていてもよい。なお、ドレイン配線20は、その形状(パターン)に応じて、ドレイン電極と称してもよい。
(半導体装置1の製造方法)
図5A図5Hは、半導体装置1の製造工程の一部を工程順に示す図である。図6図8は、ボディコンタクト領域14の形成に関連する工程を示す図である。図6図8は、ボディコンタクト領域14の形成に関連する工程を示す図である。
【0054】
半導体装置1を製造するには、図5Aに示すように、p型のベース基板21が用意される。次に、ベース基板21の表面にn型の不純物とp型の不純物とが選択的に注入される。そして、たとえば1100℃以上の温度下で、n型の不純物を添加しながらベース基板21のシリコンをエピタキシャル成長させる。これにより、図5Bに示すように、p型のベース基板21とn型のエピタキシャル層22とを含む半導体基板4が形成される。
【0055】
ベース基板21のエピタキシャル成長に際して、ベース基板21に注入されたn型の不純物およびp型の不純物は、エピタキシャル層22の成長方向に拡散する。これにより、ベース基板21とエピタキシャル層22との境界を跨ぐ埋め込み層6とp型のローアイソレーション領域26とが形成される。なお、p型の不純物としては、たとえば、B(ホウ素),Al(アルミニウム)等を挙げることができ、n型の不純物としては、たとえば、P(リン),As(砒素)等を挙げることができる。
【0056】
次に、図5Cに示すように、p型のウェル領域25を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)がエピタキシャル層22上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層22に注入される。これにより、p型のウェル領域25とp型のローアイソレーション領域26との2層構造からなる素子分離部5(素子分離ウェル)が形成される。素子分離部5の形成後、イオン注入マスクは除去される。
【0057】
次に、フィールド絶縁膜7を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク50がエピタキシャル層22上に形成される。そして、ハードマスク50を介してエピタキシャル層22の素子主面23に熱酸化処理が施されてLOCOS膜からなるフィールド絶縁膜7が形成される。その後、ハードマスク50は除去される。
次に、図5Dに示すように、p型のボディ領域8を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)がエピタキシャル層22上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層22に注入される。これにより、p型のボディ領域8が形成される。ボディ領域8の形成後、イオン注入マスクは除去される。
【0058】
次に、図5Eに示すように、エピタキシャル層22の素子主面23に熱酸化処理が施されてゲート絶縁膜12が形成される。このとき、ゲート絶縁膜12はフィールド絶縁膜7と連なるように形成される。次に、ゲート電極13用のポリシリコンがエピタキシャル層22上に堆積されて、ポリシリコン層51が形成される。
次に、図5Fに示すように、ゲート電極13を形成すべき領域に選択的に開口を有するレジストマスク(図示せず)がポリシリコン層51上に形成される。そして、当該レジストマスクを介してポリシリコン層51の不要な部分がエッチングによって除去される。これにより、第1開口39および第2開口40が同時に形成され、ゲート電極13が形成される。
【0059】
次に、ゲート絶縁膜12の不要な部分を除去するため、選択的に開口を有するハードマスク(図示せず)がエピタキシャル層22上に形成される。そして、当該ハードマスクを介してゲート絶縁膜12の不要な部分にエッチング処理が施される。これにより、所定のゲート絶縁膜12が形成される。ゲート絶縁膜12の形成後、ハードマスクは除去される。
【0060】
次に、図5Gに示すように、n型のソース領域9およびn型のドレイン領域10,11とp型のボディコンタクト領域14とが形成される。ソース領域9およびドレイン領域10,11を形成するには、まず、ソース領域9およびドレイン領域10,11を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がエピタキシャル層22に注入される。また、同様の手順で、ボディコンタクト領域14を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がエピタキシャル層22に注入される。
【0061】
イオンの注入後、イオン注入マスクは、除去される。その後、たとえば1100℃以上の温度下の熱処理によって、エピタキシャル層22に注入されたn型の不純物およびp型の不純物を拡散させる。これにより、n型のソース領域9、n型のドレイン領域10,11およびp型のボディコンタクト領域14が形成される。
このイオン注入に際して、エピタキシャル層22のゲート電極13で覆われた部分には、ゲート電極13が障害となってn型の不純物およびp型の不純物が注入されない。つまり、n型の不純物およびp型の不純物は、イオン注入マスク(図示せず)の開口、かつ第1開口39および第2開口40から露出したエピタキシャル層22の素子主面23に選択的に注入される。
【0062】
一方で、エピタキシャル層22に注入されたn型の不純物およびp型の不純物は、熱処理によって、エピタキシャル層22の厚さ方向に加えて、素子主面23に沿う横方向にも拡散する。したがって、たとえば、ボディコンタクト領域14用のp型の不純物の拡散に際しては、p型の不純物(×)が、たとえば図6に示すように、第1開口39の周縁部41および第2開口40の周縁部42から外側方向に拡散する。これにより、ゲート電極13の下方において、第1開口39および第2開口40から広がったボディコンタクト領域14が互いに繋がり、図3に示すように途切れずに連続する。
【0063】
なお、このとき、熱処理の条件を変更するだけで、図7に示すように、ゲート電極13の下方でボディコンタクト領域14を互いに離すこともできるし、図8に示すように、ゲート電極13の下方の深さと第1開口39および第2開口40の下方の深さとを同じにすることもできる。
次に、図5Hに示すように、ゲート電極13を覆うように絶縁材料が堆積されて層間絶縁膜15が形成される。次に、層間絶縁膜15を貫通するようにソースコンタクト16、ボディコンタクト17およびドレインコンタクト19が形成されて、ソース領域9、ボディコンタクト領域14およびドレイン領域10,11とそれぞれ電気的に接続される。
【0064】
次に、ソースコンタクト16およびボディコンタクト17に電気的に接続されるソース配線18、およびドレインコンタクト19に電気的に接続されるドレイン配線20が層間絶縁膜15上に選択的に形成される。ソース配線18およびドレイン配線20を形成するには、ソース配線18およびドレイン配線20を形成すべき領域に所定の開口を有するレジストマスクを形成する。そして、当該レジストマスクを介して電極材料を堆積させることによって、ソース配線18およびドレイン配線20を形成することができる。以上の工程を経て、第1実施形態に係る半導体装置1が製造される。
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置1の一部の模式的な平面図である。図10は、図9のX-X断面を示す断面図である。図11は、図9のXI-XI断面を示す断面図である。図9図11において、前述の実施形態と同一または類似の要素には、前述の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
前述の半導体装置1では、ボディ領域8の凸部(第2部分33)を露出させる形態として、ゲート電極13に第1開口39が形成されていた。これに対し、第2実施形態に係る半導体装置1では、ゲート電極13は、第2開口40に連なり、第2開口40の周縁部42がドレイン領域10,11に向かって選択的に凹んだ凹部52を有している。言い換えれば、第2開口40が、ドレイン領域10,11に向かって選択的に突出する凸部53を有していてもよい。また、第2開口40が、第2方向Yに沿って延びるライン状の第1部分54と、第1部分54の第2方向Y途中部から第1方向Xに沿って選択的に突出する第2部分55とを含んでいてもよい。さらに、凹部52は、ゲート電極13の一部が第2開口40の周縁部42から切り欠かれた態様であるため、切欠部と称してもよい。
【0066】
ゲート電極13の凹部52は、図9に示すように、平面視において、ボディ領域8の第2部分33に重なる位置に形成されている。これにより、ゲート電極13の凹部52から、ボディ領域8の第2部分33が露出している。
この実施形態では、ゲート電極13の凹部52は、第2開口40に対して第1ドレイン領域10側および第2ドレイン領域11側のそれぞれに向かって形成されている。第1方向Xにおいては、第2開口40を挟むように、一対の凹部52が形成されている。図9では、一対の凹部52は、第2方向Yに対して対称な位置に形成されているが、互いに対称な位置関係に形成されていなくてもよい。
【0067】
また、各凹部52の第1方向Xおよび第2方向Yの幅S,Lは、それぞれ、0.4μm~1.0μmであってもよい。第1方向Xおよび第2方向Yの幅S,Lは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、各凹部52は、この実施形態では、ボディコンタクト領域14を露出させるための凹部であり、たとえば、ボディコンタクト17用凹部と称してもよい。
【0068】
ボディコンタクト領域14は、第1ドレイン領域10側の凹部52から第2ドレイン領域11側の凹部52に向かって形成されている。これにより、ボディコンタクト領域14は、凹部52および第2開口40から露出し、ボディコンタクト領域14の表面が凹部52および第2開口40の内部に臨んでいる。
なお、このような凹部52を有するゲート電極13は、たとえば前述の図5Fの工程において、レジストマスクのレイアウトを変更するだけで得ることができる。
[半導体装置1から発生する効果]
以上説明した半導体装置1は、エピタキシャル層22の素子主面23に沿う第1方向Xに並んだn型のソース領域9、p型のボディ領域8およびn型のドレイン領域10,11によって形成されたnpn寄生バイポーラトランジスタを含んでいる。
【0069】
この種の寄生バイポーラトランジスタは、たとえばESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)等によってソース-ドレイン間に過電圧が加わるとターンオンする場合がある。その結果、ソース領域9、ボディ領域8およびドレイン領域10,11を含むMISFETに局所的な大電流が生じ、破壊に至る可能性がある。ESD対策のために、寄生バイポーラトランジスタがターンオンし難い環境を準備することが好ましい。
【0070】
たとえば、npnバイポーラトランジスタの場合、ベース-エミッタ間に順方向バイアスが印加されることによってターンオンする。したがって、ベース領域(この実施形態ではボディ領域8)の電位上昇を抑えることによって順方向バイアスの印加を抑制し、ターンオンを防止することが好ましい。
そこで、この半導体装置1では、ゲート電極13に第1開口39または凹部52が形成され、当該第1開口39または凹部52にボディコンタクト領域14が形成されている。これにより、第1方向Xにおいて、ソース領域9に対してドレイン領域10,11に近い位置で、ボディコンタクト領域14からボディ領域8の電位を提供することができる。そのため、第1方向Xにおいて、ソース領域9からドレイン領域10,11に向かってボディ領域8の電位上昇を抑えることができる。その結果、寄生バイポーラトランジスタのターンオンを抑制することができる。
【0071】
さらに、バイポーラトランジスタの電流増幅率(hFE)は、一般的に、ベース領域(この実施形態ではボディ領域8)の濃度の上昇に伴って低下する。この半導体装置1では、ボディ領域8よりも高濃度なボディコンタクト領域14が第1方向Xにおいて広く形成されているため、バイポーラトランジスタの能力が下がり、寄生バイポーラトランジスタのターンオンを抑制することもできる。
【0072】
よって、ESD耐性の向上した半導体装置1を提供することができ、必要により、ESD保護素子を削減することもできる。ESD保護素子の削減に伴ってチップ面積を縮小でき、コストを低減することもできる。さらに、ESD設計が不要になるため、半導体装置1の設計を簡素化することができる。
[マシンモデル試験の結果]
図12は、マシンモデル試験の結果を示す図である。前述の半導体装置1に関して、ESD耐圧試験を実施し、その結果を図12に示す。なお、図12の「L/S」は、第1開口39および凹部52のサイズを示している。ESD耐圧試験は、東京電子交易社製の「ECDM-400E(製品名)」を用い、マシンモデル試験で、隣接する入力端子と出力端子に0V~800Vの範囲でESDを印加した。
【0073】
図12に示すように、第1開口39または凹部52を有するゲート電極13を含む半導体装置1では、第1開口39および凹部52がない半導体装置(標準セル)に比べて、耐圧が劣るサンプルがあったものの、全体的には耐圧が向上していた。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、半導体装置1において、ゲート電極13の第1開口39および凹部52が混在していてもよい。この場合、たとえば図13に示すように、ゲート電極13の第1開口39および凹部52が、第2方向Yにおいて間隔を空けて形成され、それに合わせて、ボディコンタクト領域14が複数形成されていてもよい。また、図示はしないが、ソース領域9に対して第1ドレイン領域10側に第1開口39が形成され、第2ドレイン領域11側に凹部52が形成されていてもよい。
【0074】
また、図14に示すように、ゲート電極13の第1開口39が、第2方向Yにおいて間隔を空けて複数形成され、それに合わせて、ボディコンタクト領域14が複数形成されていてもよい。
また、図15に示すように、ゲート電極13の凹部52が、第2方向Yにおいて間隔を空けて複数形成され、それに合わせて、ボディコンタクト領域14が複数形成されていてもよい。
【0075】
また、図16に示すように、ソース領域9およびボディコンタクト領域14が接しておらず、互いに離れていてもよい。この場合、ソース領域9とボディコンタクト領域14との間に、ボディ領域8の一部が露出し、ソースコンタクト16に接続されていてもよい。
また、前述の実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構成が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされた半導体装置1が採用されてもよい。
【0076】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 半導体装置
2 第1素子領域
3 第2素子領域
4 半導体基板
8 ボディ領域
9 ソース領域
10 第1ドレイン領域
11 第2ドレイン領域
13 ゲート電極
14 ボディコンタクト領域
15 層間絶縁膜
16 ソースコンタクト
17 ボディコンタクト
18 ソース配線
23 素子主面
30 (ボディ領域)外周縁
32 (ボディ領域)第1部分
33 (ボディ領域)第2部分
34 (ソース領域)外周縁
35 チャネル領域
36 (フィールド絶縁膜の第2開口)周縁部
39 (ゲート電極)第1開口
40 (ゲート電極)第2開口
42 (ゲート電極の第2開口)周縁部
46 浅い部分
52 凹部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16