(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】専門家会議をコンピュータを用いて支援する方法、支援装置、専門家会議を支援するためのコンピュータプログラム、支援システム。
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20240724BHJP
【FI】
G16H80/00
(21)【出願番号】P 2020113102
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸次
(72)【発明者】
【氏名】高畑 隆之
(72)【発明者】
【氏名】尾上 紘子
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533123(JP,A)
【文献】特開2019-003338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療関係者により、患者のパネル検査の結果の解釈を行う専門家会議の運営
を支援する方法であって、
コンピュータが、
専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得し、
取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成し、
前記開催予定日において予め設定されている会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成する、
前記支援方法。
【請求項2】
前記乖離情報は、前記設定会議枠と前記予測会議枠とを対応させて表示するための表示情報を含む、
請求項1に記載の支援方法。
【請求項3】
前記乖離情報は、前記設定会議枠と前記予測会議枠との差を示す差分情報を含む、
請求項1または2に記載の支援方法。
【請求項4】
前記パネル検査の依頼情報が、検査依頼に関する日付情報を含み、
前記予測会議枠の情報の生成において、前記検査依頼に関する日付情報に基づき、前記予測会議枠の情報を生成する、
請求項1~3のいずれかに記載の支援方法。
【請求項5】
前記予測会議枠の情報の生成において、複数の前記パネル検査の依頼情報のそれぞれについて、前記検査依頼に関する日付情報に基づき、前記開催予定日を複数の開催予定日から選択し、複数の前記開催予定日のそれぞれについて前記検査依頼を集計することにより、前記予測会議枠の情報を生成する、
請求項4に記載の支援方法。
【請求項6】
前記予測会議枠の情報の生成において、前記検査依頼に関する日付情報と前記パネル検査の所要期間情報とに基づき、前記予測会議枠の情報を生成する、
請求項4または5に記載の支援方法。
【請求項7】
前記パネル検査の依頼情報が、検査パネルの種類、検査施設、前記専門家会議の実施施設、および依頼元の医療施設から選択される少なくとも1つに関する情報をさらに含み、前記予測会議枠の情報の生成において、
少なくとも1つの前記情報に基づいて、前記パネル検査の所要期間情報を生成する、請求項6に記載の支援方法。
【請求項8】
前記日付情報が、前記パネル検査の依頼日、前記パネル検査の受付日、および検査に用いる患者検体の受付日から選択される少なくとも1つを含む、
請求項4~7のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項9】
前記設定会議枠は、デフォルト値が設定されている、
請求項1~8のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項10】
さらに前記専門家会議の前記開催予定日の新規登録および/または設定変更を受け付け、
前記乖離情報の生成において、新規登録および/または設定変更された前記開催予定日の設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す前記乖離情報を生成する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項11】
前記開催予定日の新規登録および/または設定変更の受け付けにおいて、
会議の数および会議時間から選択される少なくとも一つの情報を受け付ける、
請求項10に記載の支援方法。
【請求項12】
過去に行われた専門家会議の実績から得られる情報に基づいて、前記設定会議枠が設定される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項13】
さらに前記乖離情報を表示する、
請求項1に記載の支援方法。
【請求項14】
前記乖離情報の生成において、複数の前記専門家会議の開催予定日ごとに、複数の前記パネル検査の依頼情報に基づいて、前記乖離情報を生成し、
前記乖離情報の表示において、複数の前記専門家会議の候補日と前記生成された複数の乖離情報とを、各々対応させて表示する、
請求項13に記載の支援方法。
【請求項15】
前記乖離情報の表示において、
(1)前記開催予定日の設定会議枠と前記予測会議枠とを対応付けた情報を含む画面、
(2)前記開催予定日の設定会議枠と前記予測会議枠との差を示す情報を含む画面、および
(3)前記開催予定日の設定会議枠の不足を示す情報を含む画面
から選択される少なくとも1つを表示する、
請求項13または14に記載の支援方法。
【請求項16】
前記パネル検査の依頼情報が、依頼元の医療施設、疾患の種類、および検査パネルの種類から選択される少なくとも1つの情報を含み、
前記乖離情報の表示において、前記予測会議枠の情報を、前記少なくとも1つの情報に応じた形態で表示する、
請求項13~15のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項17】
前記乖離情報の表示において、さらに専門家会議の前記開催予定日の新規登録および/または設定変更を受け付ける画面を表示するためのリンク情報を表示する、
請求項13~16のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項18】
前記乖離情報の表示において、前記乖離情報を示す画面と、前記専門家会議の前記開催予定日の新規登録および/または設定変更を受け付ける画面と、を並べて表示する、
請求項13~17のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項19】
さらに前記専門家会議の前記開催予定日の新規登録および/または設定変更を受け付ける画面を介して、前記専門家会議の前記開催予定日の新規登録および/または設定変更を受け付け、
前記乖離情報の生成において、
新規登録および/または設定変更された前記開催予定日の設定会議枠と前記予測会議枠との差を示す乖離情報を生成する、
請求項17または18に記載の支援方法。
【請求項20】
前記乖離情報の表示において、
新規登録および/または設定変更された前記開催予定日の前記乖離情報を、他の前記開催予定日の乖離情報と識別可能に表示する、
請求項19に記載の支援方法。
【請求項21】
前記乖離情報の生成において、さらに設定済みの他の前記開催予定日の前記乖離情報を再生成する、請求項19または20に記載の支援方法。
【請求項22】
さらに前記乖離情報を、前記コンピュータにネットワークを介して接続されたユーザの端末に送信する、請求項1~21のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項23】
前記乖離情報の送信は、前記乖離情報が所定の条件を満たした場合に実行される、請求項22に記載の支援方法。
【請求項24】
さらに前記開催予定日の設定会議枠を変更する、請求項1~23のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項25】
前記開催予定日の設定会議枠は、前記設定会議枠より大きい所定の会議枠を超えない時間枠において、前記予測会議枠に基づいて変更される、請求項1~24のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項26】
前記パネル検査の依頼情報の取得において、複数の医療施設から前記パネル検査の依頼情報を取得する、
請求項1~25のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項27】
さらに前記開催予定日における前記専門家会議の前記設定会議時間枠の一部の予約を受け付け、
前記予測会議枠の情報の生成において、前記複数のパネル検査の依頼情報と、前記設定会議枠の一部の予約と、に基づいて、前記予測会議枠の情報を生成する、
請求項1~25のいずれか一項に記載の支援方法。
【請求項28】
複数の医療関係者により、患者のパネル検査の結果の解釈を行う専門家会議の運営
を支援する支援装置であって、
前記支援装置は、制御部を備え、
前記制御部は、
専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得し、
取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成し、
前記開催予定日において予め設定されている会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成する、
前記支援装置。
【請求項29】
コンピュータに実行させたときに、
専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得するステップと、
取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成するステップと、
前記開催予定日において予め設定されている会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成するステップと、
を備える処理を実行する、複数の医療関係者により、患者の遺伝子情報の解釈を行う専門家会議の運営
を支援するための、コンピュータプログラム。
【請求項30】
複数の医療関係者により、患者の遺伝子情報の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援するための、支援システムであって、
制御部を備える支援装置と、
1または複数のコンピュータと、を備え、
前記支援装置の前記制御部は、
専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得し、
取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成し、
前記開催予定日において予め設定されている会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成し、
前記1または複数のコンピュータは、
前記乖離情報を取得し、表示する、
前記支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、専門家会議をコンピュータを用いて支援する方法、支援装置、専門家会議を支援するためのコンピュータプログラム、支援システムが開示される。
【背景技術】
【0002】
近年、がん治療においては、患者ごとに、一度に多くの遺伝子の変異を次世代シーケンサーによって網羅的に調べる遺伝子パネル検査を行い、その結果に基づいて各患者に適した治療方針を策定するがんゲノム医療の研究が推進されている。
【0003】
特許文献1には、ある医療施設において分散している電子カルテ、病理画像、および遺伝子パネル検査等の検査結果を集約し、患者の治療方針の策定を支援する情報プラットフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲノム医療において、治療方針の策定は、患者の担当医や病理医だけでなく、遺伝子カウンセラー、分子遺伝学の研究者、臨床検査技師、バイオインフォマティシャン等から構成される専門家会議を経て行われる。専門家会議は、同日に複数の症例について開催されることが多く、1日あたりの会議数があらかじめ定められている。一方、検査依頼数は、今後増加が予想されているとともに、年間を通して必ずしも一定ではなく、検査依頼が集中する時期と比較的少ない時期があることが想定される。このような状況において、検査依頼から治療方針の策定までの期間を短くするためには、必要に応じて専門家会議の開催予定日を追加したり、1日あたりの会議の開催時間を延長したりするなど、開催予定日および1日あたりの会議数の最適化が必要となるが、上記特許文献1には、専門家会議の開催予定日および1日あたりの会議数の最適化のための技術は開示されていない。
【0006】
そこで、本発明は、専門家会議の開催予定日および1日あたりの会議数の最適化を容易にするための、専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援する方法、支援装置、コンピュータプログラム、支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある実施形態は、複数の医療関係者により、患者のパネル検査の結果の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援する方法に関する。前記方法は、専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得し、取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成し、前記開催予定日において予め設定されている会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成する。
【0008】
本発明のある実施形態は、複数の医療関係者により、患者のパネル検査の結果の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援する支援装置(A)に関する。支援装置(A)は、制御部(100A)を備える。制御部(100A)は、専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得し、取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成し、前記開催予定日において予め設定されている会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成する。
【0009】
本発明のある実施形態は、複数の医療関係者により、患者の遺伝子情報の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援するための、コンピュータプログラムに関する。前記コンピュータプログラムは、コンピュータに実行させたときに、専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得するステップと、取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成するステップと、前記開催予定日において予め設定されている会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成するステップと、
を備える処理を実行する。
【0010】
本発明のある実施形態は、複数の医療関係者により、患者の遺伝子情報の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援するための、支援システム(1000)関する。支援システム(1000)は、制御部(100A)を備える支援装置(A)と、1または複数のコンピュータ(B10,B20,G30)と、を備える。(A)支援装置の前記制御部(100A)は、専門家会議の対象となる、複数の患者のパネル検査の依頼情報を取得し、取得された前記複数のパネル検査の依頼情報に基づき、前記専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成し、前記開催予定日において設定された会議の数および/または会議の時間に関する設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成し、1または複数のコンピュータ(B10,B20,G30)は、前記乖離情報を取得し、表示する。
【発明の効果】
【0011】
専門家会議の開催予定日および1日あたりの会議数の最適化を容易にするための、専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援する方法、支援装置、コンピュータプログラム、支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】
図3(A)は、本実施形態による専門家会議の運営を支援する方法の概要を示す。
図3(B)は、遺伝子パネル検査の依頼情報から、その検査結果を審議する専門家会議の候補日を設定する流れの例を示す。
【
図4】
図4は、システム1000のハードウエアの構成を示す。
【
図5】
図5は、統合データ管理装置Aのハードウエアの構成を示す。
【
図6】
図6は、統合データ管理装置Aの制御部の機能ブロックを示す。
【
図7】
図7は、マスターテーブルMおよび専門家会議スケジュールデータベースSDBの概略を示す。
【
図8】
図8は、臨床情報管理装置B10,B20,G30のハードウエアの構成を示す。
【
図9】
図9は、臨床情報管理装置B10,B20,G30の制御部の機能ブロックを示す。
【
図10】
図10は、検査情報管理装置C11のハードウエアの構成を示す。
【
図11】
図11は、検査情報管理装置C11の制御部の機能ブロックを示す。
【
図12】
図12は、各専門家会議端末B15,B25,G35,C15,SP11,SP15のハードウエアの構成を示す。
【
図13】
図13は、医療施設の専門家会議端末B15,B25,G35の制御部の機能ブロックを示す。
【
図14】
図14は、検査施設C1の専門家会議端末C15と、外部機関専門家会議端末SP11の制御部の機能ブロックを示す。
【
図15】
図15は、事務局専門家会議端末SP15の制御部の機能ブロックを示す。
【
図16】
図16は、システム1000の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、システム1000の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、グラフィカルユーザインタフェースUIaの例を示す。
【
図19】
図19は、システム1000の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図28】
図28は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図30】
図30は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図31】
図31(A)は、ダイアログの一例を示す。
図31(B)は、更新された専門家会議スケジュールデータベースSDBの例を示す。
【
図32】
図32は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図33】
図33は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図34】
図34は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図35】
図35は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図36】
図36は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図37】
図37は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図38】
図38は、グラフィカルユーザインタフェースの一例を示す。
【
図39】
図39は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図40】
図40(A)は、予約ダイアログの一例を示す。
図40(B)は、
図40(A)に対応する表示情報の一例を示す。
図40(C)は、予約ダイアログの一例を示す。
図40(D)は、
図40(C)に対応する表示情報の一例を示す。
【
図41】
図41は、統合データ管理装置Aの動作の一部を示すフローチャートである。
【
図42】
図42(A)は、ゲノム医療の別実施形態を示す。
図42(B)は、所要時間テーブルTとマスターテーブルMとの対応関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する説明を省略する。
【0014】
I.ゲノム医療および遺伝子パネル検査の流れと実施形態による、専門家会議の運営を支援する方法の概要
本発明のある実施形態は、専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援する方法、支援装置、コンピュータプログラム、支援システムに関する。
【0015】
図1はゲノム医療の流れを示す。ゲノム医療は、患者の検体を用いた疾患関連遺伝子の核酸配列の解析を行い、患者が保有する疾患に対する有効な治療方法を見極め、治療を施す医療である。疾患は特に限定されないが、例えば、がんである。患者の検体を用いた疾患関連遺伝子の核酸配列の解析は、遺伝子パネル検査とも呼ばれる。ここで、「パネル」は解析対象の遺伝子セットを意図する。遺伝子パネル検査では、1回の検査で数十~数百種の遺伝子を解析することが可能である。また、遺伝子パネル検査の結果は、患者の担当医のみが解釈するのではなく、担当医の他、組織診断を行う病理医、遺伝子パネル検査を行う臨床検査技師および/またはバイオインフォマティシャン、遺伝子変異解釈の専門家である遺伝子カウンセラーおよび/または分子遺伝学の研究者等の専門家集団で構成される専門家会議(エキスパートパネルとも呼ばれる)によって解釈される。専門家会議において、遺伝子パネル検査を受けた患者に適した治療方針が決定される。
図1に示すように、専門家会議は、通常、専門家が勤務する医療施設Gにおいて開催される。医療施設G以外の施設に勤務する専門家は、医療施設Gを訪問して専門家会議に参加することもあれば、オンライン会議システムを用いて自らが勤務する施設から参加することもある。医療施設Gは、1または複数の医療施設B1,B2,B3,B4から、専門家会議の開催要請を受けることがある。このような医療施設Gを、日本では中核拠点病院という。また、専門家会議の開催を中核拠点病院に要請する病院を日本では連携病院という。中核拠点病院は、独自に遺伝子パネル検査を実施することも可能である。医療施設B1,B2,B3,B4は、通常、遺伝子パネル検査を行うための検査設備を備えていないため、遺伝子パネル検査を検査施設C1,C2に依頼するか、中核拠点病院に依頼する。専門家会議の結論は、依頼元の医療施設の担当医にフィードバックされる。
図2に、本実施形態における遺伝子パネル検査の流れを示す。以下、疾患ががんである場合を例にして説明する。
【0016】
図2では、3つの組織を例にして、遺伝子パネル検査の流れを説明する。遺伝子パネル検査に関与する第1の組織は、がん患者が受診する病院等の医療施設B1である。第2の組織は、遺伝子パネル検査を行う検査施設C1である。第3の組織は、専門家会議EPである。3つの組織は、各組織における情報を共有するための統合データ管理装置Aにより情報を共有し得る。
【0017】
遺伝子パネル検査(以下、単に検査と呼ぶこともある)では、医療施設B1において、腫瘍を保有する患者P1が受診し、担当医H1aから遺伝子パネル検査の内容や流れ等について説明を受ける。説明の際には、検査において、偶発的所見、例えば生殖細胞変異が見つかった場合にその結果の知得を、患者P1やその家族が希望するか等のインフォームドコンセントの取得も行われる(
図2のI)。
【0018】
患者P1が遺伝子パネル検査の実施に同意した場合、担当医H1aは、遺伝子パネル検査を依頼する(
図2のII)。検査依頼に関する情報は、統合データ管理装置Aに送信され、総合データベースOGに格納されたマスターテーブルMに患者情報と共に記録される。検査依頼に関する情報には、検査依頼日、検査識別情報(ID)、検査パネルの種類、検体種別、患者に関する情報(患者情報)等の情報が含まれる。患者情報には、患者識別情報(ID)、性別、年齢、病理診断結果、患者の病歴、患者の家族歴等が含まれる。
【0019】
検査が依頼されると、医療施設B1において、検査に必要な患者検体の採取が行われる(
図2のIII)。検体は、一人の患者につき、腫瘍細胞を含む検体のみか、腫瘍細胞を含む検体と非腫瘍細胞を含む検体との両方が採取される。検体の採取は、病理医H1bや臨床検査技師H3が行う。採取された検体は、検査施設C1に搬送される。
【0020】
検査施設C1では、臨床検査技師T1が、検体の前処理を行い、次世代シーケンサーを用いて検体に含まれる核酸のシーケンシングを行い、遺伝子パネル検査を実施する(
図2のIV)。検査実施後、臨床検査技師T1とバイオインフォマティシャンT20が連携し、解析報告書(レポートとも言う)を作成する。
【0021】
図3(A)に本発明の実施形態による専門家会議の運営を支援する方法の概要を示す。
図3(A)を参照すると、統合データ管理装置Aは、医療施設B1,B2,B3,B4、医療施設Gからの遺伝子パネル検査の検査依頼に関する情報を取得する。取得した遺伝子パネル検査の依頼情報から、統合データ管理装置Aは、専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成する。
図3(C)に示すように、専門家会議の開催予定日および各開催予定日の設定会議枠は、あらかじめ専門家会議の事務局により決定され、統合データ管理装置Aに記録されている。統合データ管理装置Aは、各開催予定日の設定会議枠と前記予測会議枠との差を識別可能に示す乖離情報を生成する。ここで乖離情報は、予測会議枠と設定会議枠との差をユーザが認識できる表示形式である限り制限されない。
【0022】
予測会議枠は、専門家会議の開催予定日において予測される会議の数(以下、予測会議数とよぶ)であり得る。また、予測会議枠は、予測会議数から算出した会議の総時間であり得る。例えば、1件当たりの平均的な会議時間に、予測会議数を乗じて得られる時間であり得る。また、専門家会議の開催予定日において開催が予測される会議ごとに会議時間を予測し、全ての会議時間を合計して得られる時間であり得る。
【0023】
設定会議枠は、専門家会議の開催予定日に設定された会議数(以下、設定会議数とよぶ)であり得る。また、設定会議枠は、設定会議数から算出した会議の総時間であり得る。例えば、1件当たりの平均的な会議時間に、設定会議数を乗じて得られる時間であり得る。また、専門家会議の開催予定日に設定された会議ごとに会議時間を予測し、全ての会議時間を合計して得られる時間であり得る。
【0024】
専門家会議の開催予定日において予測される会議の数および/または会議の時間に関する予測会議枠の情報を生成するために、遺伝子パネル検査の依頼情報から、その検査結果を審議する専門家会議の開催予定日(以下、それぞれの依頼情報に対応する専門家会議の開催予定日を、割当日と呼ぶ)を複数の開催予定日から選択する必要がある。
図3(B)に、遺伝子パネル検査の依頼情報から、その検査結果を審議する開催予定日、すなわち割当日を、統合データ管理装置Aに記録されている複数の開催予定日から選択する流れを示す。遺伝子パネル検査の検査依頼を行った日(
図3(B)では10月18日)から解析報告書が生成されるまでの期間を3週間とする。統合データ管理装置Aは解析報告書生成予定日(
図3(B)では11月8日)よりも後の日付であって、解析報告書生成予定日の直近の専門家会議の開催予定日を、その検査についての割当日(
図3(B)では11月14日)として選択する。
【0025】
なお、ゲノム医療の対象となる腫瘍は制限されない。例えば、良性上皮性腫瘍、良性非上皮性腫瘍、悪性上皮性腫瘍、悪性非上皮性腫瘍を含み得る。腫瘍の発生母地は、制限されない。腫瘍の発生母地として、気管、気管支または肺等の呼吸器系組織;上咽頭、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、S状結腸、直腸または肛門部等の消化管組織;肝臓;膵臓;膀胱、尿管または腎臓等の泌尿器系組織;卵巣、卵管および子宮等の女性生殖器系組織;乳腺:前立腺等の男性生殖器系組織;皮膚;視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎等の内分泌系組織;中枢神経系組織;骨軟部組織;骨髄、リンパ節等の造血系組織;血管等を例示することができる。
また、ゲノム医療は、がん以外の疾患にも適用することができる。
【0026】
検体は、患者から採取した組織、体液、排泄物、これらから調製された試料等、腫瘍細胞に由来する核酸を含む試料である。体液は、例えば、血液、骨髄液、腹水、胸水、髄液等である。排泄物は、例えば大便、尿である。腹腔内洗浄液や大腸洗浄液など、患者の体の一部を洗浄した後に得られる液体を用いてもよい。
【0027】
II.支援システム
1.システムの構成
図4を用いて、複数の医療関係者により、患者の遺伝子情報の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援するためのシステム1000(以下、単にシステム1000とする)の構成について説明する。システム1000に含まれるコンピュータは、1または複数存在しうる。システム1000は、統合データ管理装置Aと、医療施設B1に設置された臨床情報管理装置B10および専門家会議端末B15と、医療施設B2に設置された臨床情報管理装置B20および専門家会議端末B25と、医療施設Gに設置された臨床情報管理装置G30および事務局専門家会議端末G35と、検査情報管理装置C11と、検査情報管理装置C11に接続された次世代シーケンサーC13と、検査施設C1の専門家会議端末C15と、外部施設SP1に設置された専門家会議端末SP11と、を備える。臨床情報管理装置B10、専門家会議端末B15、臨床情報管理装置B20、専門家会議端末B25、臨床情報管理装置G30、および事務局専門家会議端末G35は、統合データ管理装置Aと通信可能に、有線または無線のネットワークを介して接続されている。臨床情報管理装置B10,B20,G30は、医療施設内における、検査依頼、検査結果、処方箋情報、食事情報、手術情報等のカルテ記載情報を統合的に管理する管理装置である。臨床情報管理装置B10,B20,G30はそれぞれ、電子カルテデータベース(電子カルテDB)B11,B21,G31と、検査画像データベース(検査画像DB)B12,B22,G32と、検査依頼データベース(検査依頼DB)B13,B23,G33と、を記憶している。各医療施設の専門家会議端末B15,B25は、統合データ管理装置Aから出力されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示し、各医療施設の担当医が専門家会議に参加する際に使用される。専門家会議端末G35は、専門家会議を統率する専門家会議の事務局が使用する端末である。本実施形態において、臨床情報管理装置B10、専門家会議端末B15、臨床情報管理装置B20、専門家会議端末B25、臨床情報管理装置G30、および事務局専門家会議端末G35には、統合データ管理装置Aにアクセスするための専用のアプリケーションがインストールされている。統合データ管理装置Aにアクセスするための専用のアプリケーションに代えて、インターネットエクスプローラー、グーグルクローム等の汎用のウェブブラウザを用いることもできる。
【0028】
検査情報管理装置C11と、検査施設C1の専門家会議端末C15は、統合データ管理装置Aと通信可能に、有線または無線のネットワークを介して接続されている。検査情報管理装置C11は次世代シーケンサーC13から取得された核酸配列データを用いて核酸配列の解析を行う。また、検査情報管理装置C11は、検体の受領、検体および検査の品質情報、検査の進捗状況の管理等を行う。検査施設C1の専門家会議端末C15は、統合データ管理装置Aから出力されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示し、専門家会議に参加する臨床検査技師やバイオインフォマティシャンが専門家会議に参加する際に使用される。
【0029】
医療施設Gが専門家会議の運営を外部施設に委託する場合には、システム1000は、さらに、外部施設SP1に設置された専門家会議端末SP11と、外部施設の専門家会議端末SP15と、を備えてもよい。外部施設SP1の専門家会議端末SP11は、統合データ管理装置Aと通信可能に、有線または無線のネットワークを介して接続されている。専門家会議端末SP11は、統合データ管理装置Aから出力されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示し、専門家会議に参加する遺伝子カウンセラーや分子遺伝学の研究者が専門家会議に参加する際に使用される。ここで、外部施設は複数であってもよい。ここでは、5つの外部施設が存在する場合を例とし、外部施設SP1~SP5で表している。また、外部施設に設置された専門家会議端末も外部施設の専門家会議端末SP11~SP15で表している。また、外部施設の専門家会議端末のうちの1台、例えば専門家会議端末SP15は、専門家会議を統率する専門家会議の事務局が使用する端末であり得る。外部施設の専門家会議端末SP15を、事務局専門家会議端末SP15ともよび、専門家会議スケジュールデータベースSDBに新しい専門家会議スケジュール枠を登録するために使用される。
【0030】
システム1000において、遺伝子パネル検査に関する検査依頼情報、解析結果、専門家会議設定等を統合するのは、統合データ管理装置Aであるため、それ以外の装置や端末は本発明において「他のコンピュータ」と呼ばれることがある。
【0031】
2.統合データ管理装置
2-1.統合データ管理装置のハードウエアの構成
統合データ管理装置Aは、複数の医療関係者により、患者の遺伝子情報の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援するため支援装置Aとして機能する。
図5に、統合データ管理装置A(単に、「管理装置A」ともいう)のハードウエアの構成を示す。
【0032】
統合データ管理装置Aは、汎用コンピュータである。
統合データ管理装置Aは、制御部100Aと、入力部106Aと、出力部107Aとを備える。
【0033】
制御部100Aは、後述するデータ処理を行うCPU(Central Processing Unit)101Aと、データ処理を行うための一時的な記憶領域として使用するメモリ102Aと、後述するプログラムおよび処理データを記録する記憶装置103Aと、各部の間でデータを伝送するバス104Aとを備える。入力部106Aおよび出力部107Aは、制御部100Aに接続される。例示的には、入力部106Aは、キーボード、マウス、タッチセンサ等を含む。出力部107Aは、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等を含む。また、タッチセンサとディスプレイとが一体化されたタッチパネルのような、入力部および出力部の双方の機能を有する装置を用いてもよい。I/F部105Aは、制御部100Aが外部の装置、またはネットワークと通信するためのインタフェースである。制御部100Aは、I/F部105Aを介して、ネットワーク99に接続し、臨床情報管理装置B10、医療施設B1の専門家会議端末B15、臨床情報管理装置B20、医療施設B1の専門家会議端末B25、臨床情報管理装置G30、医療施設B1の事務局専門家会議端末G35、検査情報管理装置C11、検査施設C1の専門家会議端末C15、外部施設の専門家会議端末SP11、外部施設の専門家会議端末SP15と通信し得る。
【0034】
また、記憶装置103Aは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図16、
図17、
図19、
図20、
図21、
図24、
図25、
図27、
図30、
図39、
図41に示す各ステップの処理を行うためのアプリケーションプログラム、およびメールソフトを、例えば実行形式で記憶装置103Aにあらかじめ記録している。実行形式は、例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される形式である。制御部100Aは、記憶装置103Aに記録した各プログラムを使用して、
図16、
図17、
図19、
図20、
図21、
図24、
図25、
図27、
図30、
図39、
図41に示す各処理を行う。また、記憶装置103Aには、マスターテーブルMおよび、マスターテーブルMにリンクする専門家会議スケジュールデータベースSDB等を含む、後述する処理に使用される各種データベースを格納する総合データベースOGが記憶されている。制御部100Aは、各臨床情報管理装置、検査情報管理装置、各医療施設の専門家会議端末から送信された情報に基づいて、マスターテーブルM内の情報を更新する。また、制御部100Aは、各医療施設の専門家会議端末、検査施設C1の専門家会議端末および各外部施設の専門家会議端末から送信された情報に基づいて、専門家会議スケジュールデータベースSDB内の情報を更新する。
【0035】
以下の説明においては、特に断らない限り、制御部100Aが行う処理は、記憶装置103Aまたはメモリ102Aに格納されたアプリケーションプログラムに基づいて、CPU101Aが行う処理を意味する。CPU101Aはメモリ102Aを作業領域として必要なデータ(処理途中の中間データ等)を揮発性に一時記憶し、記憶装置103Aに解析結果等の長期保存するデータを不揮発性に適宜記憶する。
【0036】
アプリケーションプログラムは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Aからダウンロードして制御部100Aの記憶装置103Aにインストールしてもよい。
【0037】
2-2.統合データ管理装置の制御部の機能構成
図6に、統合データ管理装置Aの制御部100Aの機能構成を示す。
統合データ管理装置Aの制御部100Aは、検査依頼受信部A1、検査依頼送信部A3、患者情報受信部A5、検査状況管理部A7、解析報告書取得部A17、乖離情報出力部A19、スケジュール更新部A20、スケジュール出力部A21、患者情報出力部A23、マスターテーブル更新部A50、および統合データベースOGを備える。統合データベースOGはマスターテーブルM、および専門家会議スケジュールデータベースSDBを備える。
【0038】
マスターテーブル更新部A50は、検査依頼受信部A1、検査依頼送信部A3、患者情報受信部A5、検査状況管理部A7、解析報告書取得部A17、乖離情報出力部A19、スケジュール更新部A20、および患者情報出力部A23が受信した情報に応じて、マスターテーブルM内の情報を更新する。スケジュール更新部A20は、専門家会議の開催事務局によって入力される会議スケジュールに関する情報を専門家会議スケジュールデータベースSDBに格納する。
【0039】
スケジュール出力部A21は、各医療施設の専門家会議端末B15,B25,G35,C15,SP11,SP15に、専門家会議の設定日時をメールソフト等で送信する。メールの送信先は、例えばマスターテーブルMに示す事務局IDに紐付けられて、統合データベースOG内に格納されている。
【0040】
2-3.マスターテーブルの構成
図7に、マスターテーブルMおよび専門家会議スケジュールデータベースSDBの一例を示す。
【0041】
マスターテーブルMは、患者の識別ラベルである「患者ID」を記録する領域と、検体の識別ラベルである「検体ID」を記録する領域と、検査依頼の識別ラベルである「検査依頼ID」を記録する領域と、遺伝子パネル検査の識別ラベルである「遺伝子パネルID」を記録する領域と、「患者の性別」を記録する領域と、「患者の生年月日」を記録する領域と、「検査依頼日」を記録する領域と、「検体受付日」を記録する領域と、「検査受付日」を記録する領域と、担当医の識別ラベルである「医療関係者のユーザID」を記録する領域と、専門家会議を担当するグループラベルである「グループID」を記録する領域と、患者の臨床情報に関連する情報である「患者情報」を示す領域と、遺伝子パネル検査の結果に関する情報である「解析結果」を記録する領域と、検査受付日から解析結果の生成までの所要時間に関する情報である「所要時間」を記録する領域と、同行の患者IDで識別される患者についての専門家会議の割当日に関する情報である「割当日」を記録する領域と、専門家会議の事務局の識別ラベルである「事務局施設ID」を記録する領域と、割当日における会議の開催が予約されたか否かを示す情報である「予約フラグ」を記録する領域と、を備える。
【0042】
専門家会議スケジュールデータベースSDBは、専門家会議の開催予定日の情報である「開催予定日」を記録する領域と、各開催予定日における会議の開始時間の情報である「開始時間」を記録する領域と、各開催予定日における会議の終了時間の情報である「終了時間」を記録する領域と、各開催予定日における会議の予約締切日の情報である「予約締切日」を記録する領域と、各開催予定日における会議枠数の情報である「会議枠数」を記録する領域と、各開催予定日に開催が予測されている会議の数の情報である「予測枠数」を記録する領域と、を備える。「会議枠数」の領域には、その日の会議数が記録されてもよいし、その日の会議の合計時間が記録されてもよいし、それらの両方が記録されてもよい。
【0043】
図7のマスターテーブルMには、遺伝子パネル検査の際、一人の患者の1回の検査において、検体として腫瘍細胞を含む第1の検体と、正常細胞を含む第2の検体とを使用する例を示す。一人の患者の1回の検査で2種類の検体を用いるため、
図7のマスターテーブルMでは、「検体ID」、を除き、1行目と2行目と、3行目と4行目とがそれぞれ同じ内容となっている。
【0044】
3.臨床情報管理装置
3-1.臨床情報管理装置のハードウエアの構成
図8に、臨床情報管理装置B10,B20,G30のハードウエアの構成を示す。
臨床情報管理装置B10,B20,G30は、汎用コンピュータである。臨床情報管理装置B10,B20,G30のハードウエアの構成は、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、臨床情報管理装置B10,B20,G30において、制御部100B、入力部106B、出力部107B、CPU101B、メモリ102B、記憶装置103B、バス104B、I/F部105Bと読み替えるものとする。
【0045】
記憶装置103Bは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図16および
図17に示す各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、電子カルテデータベース(DB)B11に格納された電子カルテを表示するためのコンピュータプログラム、検査画像データベース(DB)B12に格納された検査画像を表示するためのコンピュータプログラム、病院等の検査依頼を行うコンピュータプログラム、遺伝子パネル検査の検査依頼を行うブラウザソフト、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等をあらかじめ記録している。また、記憶装置103Bは、電子カルテデータベース(DB)B11、検査画像データベース(DB)B12、検査依頼データベース(DB)B13を格納している。
【0046】
上述のコンピュータプログラム、およびブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Bからダウンロードして記憶装置103Bにインストールしてもよい。
制御部100Bは、I/F部105Bを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0047】
3-2.臨床情報管理装置の制御部の機能構成
図9に、臨床情報管理装置B10,B20,G30の制御部100Bの機能構成を示す。
【0048】
臨床情報管理装置B10,B20,G30の制御部100Bは、検査依頼取得部K1、検査依頼情報送信部K3、患者情報送信要求受信部K5、患者情報送信部K7、電子カルテデータベース(DB)B11、検査画像データベース(DB)B12、および検査依頼データベース(DB)B13を備える。
【0049】
検査依頼取得部K1は、臨床情報管理装置B10,B20,G30の使用者から、検査依頼に関する情報を受け付ける。検査依頼情報送信部K3は、統合データ管理装置Aに、検査依頼に関する情報を送信する。患者情報送信要求受信部K5は、臨床情報管理装置B10,B20,G30の使用者から、患者に関する情報の送信要求を受信する。患者情報送信部K7は、電子カルテデータベース(DB)B11、および/または検査画像データベース(DB)B12から患者情報を読み出し、統合データ管理装置Aに、読みだした患者情報を送信する。
【0050】
4.検査情報管理装置
4-1.検査情報管理装置のハードウエアの構成
図10に、検査情報管理装置C11のハードウエアの構成を示す。検査情報管理装置C11は、汎用コンピュータである。検査情報管理装置C11のハードウエアの構成は、統合データ管理装置Aと同様である。
検査情報管理装置C11は、制御部100と、入力部106と、出力部107とを備える。
【0051】
制御部100は、後述するデータ処理を行うCPU101と、データ処理を行うための一時的な記憶領域として使用するメモリ102と、後述するプログラムおよび処理データを記録する記憶装置103と、各部の間でデータを伝送するバス104と、外部機器とのデータの入出力を行うI/F部105とを備える。入力部106および出力部107は、制御部100に接続される。例示的には、入力部106は、キーボード、マウス、タッチセンサ等を含む。出力部107は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等を含む。また、タッチセンサとディスプレイとが一体化されたタッチパネルのような、入力部および出力部の双方の機能を有する装置を用いてもよい。I/F部105は、制御部100が外部の装置と通信するためのインタフェースである。
【0052】
また、制御部100の記憶装置103は、オペレーションシステムと、以下の
図16に示す各ステップの処理を行うためのアプリケーションプログラムを、例えば実行形式で記憶装置103にあらかじめ記録している。実行形式は、例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される形式である。制御部100は、記憶装置103に記録したプログラムを使用して、核酸配列解析処理、属性情報取得処理を行う。
検査情報管理装置C11は、ネットワーク99を介して変異情報データベース400および核酸配列データ記憶装置300に接続可能である。
核酸配列データ記憶装置300は、次世代シーケンサーC13によって取得された核酸配列データを記憶するコンピュータである。
【0053】
4-2.検査情報管理装置の制御部の機能構成
図11に、検査情報管理装置C11の制御部100の機能構成を示す。
検査情報管理装置C11の制御部100は、検査依頼情報取得部11、解析報告書生成部5、解析報告書送信部6を備える。
検査依頼情報取得部11は、統合データ管理装置Aから、検査依頼に関する情報を取得する。解析報告書生成部5は、核酸配列データ記憶装置300から、各検体から取得された核酸配列データを取得し、解析報告書を生成する。解析報告書送信部6は、解析報告書生成部5によって生成された解析報告書を、統合データ管理装置Aに送信する。
【0054】
5.医療施設の専門家会議端末
5-1.医療施設の専門家会議端末のハードウエアの構成
図12に、医療施設B1,B2,Gに設置された専門家会議端末B15,B25,G35のハードウエアの構成を示す。
【0055】
医療施設B1,B2,Gに設置された専門家会議端末B15,B25,G35は、汎用コンピュータである。専門家会議端末B15,B25,G35のハードウエアの構成は、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、専門家会議端末B15,B25,G35において、制御部100X、入力部106X、出力部107X、CPU101X、メモリ102X、記憶装置103X、バス104X、I/F部105Xと読み替えるものとする。
【0056】
記憶装置103Xは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図19に示す各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等をあらかじめ格納している。
ブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Xからダウンロードして記憶装置103Xにインストールしてもよい。
制御部100Xは、I/F部105Xを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0057】
5-2.医療施設の専門家会議端末の制御部の機能構成
図13に、医療施設B1,B2,Gに設置された専門家会議端末B15,B25,G35の制御部100Xの機能構成を示す。
【0058】
医療施設B1,B2,Gに設置された専門家会議端末B15,B25,G35の制御部100Xは、スケジュール設定部X1、スケジュール受信部X3、乖離情報表示要求部X5、乖離情報出力部X7を備える。
【0059】
6.検査施設の専門家会議端末・外部施設の専門家会議端末
6-1.検査施設の専門家会議端末・外部施設の専門家会議端末のハードウエアの構成
図12に、検査施設C1の専門家会議端末C15および外部施設SP1の専門家会議端末SP11のハードウエアの構成を示す。
【0060】
専門家会議端末C15および専門家会議端末SP11は、汎用コンピュータである。専門家会議端末C15および専門家会議端末SP11のハードウエアの構成は、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、検査施設C1の専門家会議端末C15・外部施設SP1の専門家会議端末SP11において、制御部100Y、入力部106Y、出力部107Y、CPU101Y、メモリ102Y、記憶装置103Y、バス104Y、I/F部105Yと読み替えるものとする。
【0061】
記憶装置103Yは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図19に示す各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等をあらかじめ格納している。
ブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Yからダウンロードして記憶装置103Yにインストールしてもよい。
制御部100Yは、I/F部105Yを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0062】
6-2.検査施設の専門家会議端末・外部施設の専門家会議端末の制御部の機能構成
図14に、検査施設C1の専門家会議端末C15の制御部100Yおよび外部施設SP1の専門家会議端末SP11の制御部100Yの機能構成を示す。
専門家会議端末C15および専門家会議端末SP11の制御部100Yは、スケジュール受信部Y1、乖離情報表示要求部Y3、乖離情報出力部Y5を備える。
【0063】
7.事務局専門家会議端末
7-1.事務局専門家会議端末のハードウエアの構成
図12に、事務局専門家会議端末G35、SP15のハードウエアの構成を示す。
専門家会議事務局端末G35、SP15は、汎用コンピュータである。事務局専門家会議端末G35、SP15のハードウエアの構成は、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、事務局専門家会議端末G35、SP15において、制御部100Z、入力部106Z、出力部107Z、CPU101Z、メモリ102Z、記憶装置103Z、バス104Z、I/F部105Zと読み替えるものとする。
【0064】
記憶装置103Zは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図19で説明する各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等をあらかじめ格納している。
ブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Zからダウンロードして記憶装置103Zにインストールしてもよい。
制御部100Zは、I/F部105Zを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0065】
7-2.事務局専門家会議端末の制御部の機能構成
図15に、事務局専門家会議端末G35、SP15の制御部100Zの機能構成を示す。
事務局専門家会議端末G35、SP15の制御部100Zは、スケジュール受信部Z1、スケジュール設定部Z2、乖離情報表示要求部Z3、乖離情報出力部Z5、スケジュール更新部Z19を備える。
【0066】
8.システムの動作
図16から
図19を用いて、遺伝子パネル検査の検査依頼のシステム1000の動作について説明する。
【0067】
8-1.検査依頼の流れ
システム1000において、はじめに、腫瘍を保有する患者について医療施設B1,B2,Gから、遺伝子パネル検査の依頼が行われる。
【0068】
システム1000に参加する医療施設は、複数存在し得るが、ここでは、医療施設B1を例にして、臨床情報管理装置B10および医療施設B1の専門家会議端末B15を使用する場合を例にして動作を説明する。
【0069】
医療施設B1に設置された臨床情報管理装置B10の制御部100B(以下、単に臨床情報管理装置B10ともいう)は、
図16のステップST1において、入力部106Bからの担当医H1aによる検査依頼情報の入力を受け付ける。このとき制御部100Bは、
図9に示す検査依頼情報取得部K1として機能する。検査依頼情報取得部K1の処理は、後述する。
【0070】
検査依頼の入力は、
図18に示すユーザインタフェースUIaを介して行われる。ユーザインタフェースUIaは、依頼元の医療施設の情報を入力するための医療施設情報入力領域UIa1と、検査依頼情報を入力するための検査依頼情報入力領域UIa3と、依頼を確定するための依頼確定アイコンUIa7を備え得る。医療施設情報入力領域UIa1には施設名を表示する領域UIa11と、施設の識別情報(ID)を入力する領域UIa13と、施設の住所を入力する領域UIa15と、施設の連絡先を入力する領域UIa17が設けられている。
【0071】
検査依頼情報入力領域UIa3には、依頼する遺伝子パネル検査を特定するための検査種別を入力する領域UIa31と、検査を依頼する患者の担当医名を入力する領域UIa32と、担当医の遺伝子パネル検査におけるユーザとしての識別情報を入力する領域UIa33と、患者の識別情報(ID)を入力する領域UIa34と、患者のインフォームドコンセントに関する情報を入力する領域UIa35と、患者の性別を入力する領域UIa42と、患者の生年月日を入力する領域UIa43と、遺伝子パネル検査を依頼する検査施設名を入力する領域UIa44と、検査依頼日を入力する領域UIa51と、専門家会議を統率する事務局となる施設名を入力する領域UIa52と、前記事務局となる施設の識別情報(ID)を入力する領域UIa53と、腫瘍細胞に由来する核酸を含む第1の検体のIDを入力する領域UIa57と、非腫瘍細胞に由来する核酸を含む第2の検体のIDを入力する領域UIa58が設けられている。
【0072】
担当医H1aが、臨床情報管理装置B10の入力部106Bより、ユーザインタフェースUIaの各領域の一部、または全部に入力し、依頼確定アイコンUIa7を選択すると、臨床情報管理装置B10は、ユーザインタフェースUIaに入力された内容を検査依頼に関連する情報として、統合データ管理装置Aに送信する。この時、臨床情報管理装置B10の制御部100Bは、検査依頼情報送信部K3として機能する。
【0073】
統合データ管理装置Aの制御部100A(以下、単に統合データ管理装置Aという)は
図16のステップST21において、臨床情報管理装置B10から送信された検査依頼情報を、I/F部105Aを介して受信する。このとき、制御部100Aは、検査依頼受信部A1として機能する。
【0074】
続いて、ステップST22において、統合データ管理装置Aは、検査依頼情報をマスターテーブルMに記録し、マスターテーブルMを更新する。このとき、制御部100Aは、マスターテーブル更新部A50として機能する。
【0075】
図16のステップST22のマスターテーブルMの更新処理において、ユーザインタフェースUIaから入力された検査依頼に関する情報は、例えば、以下の対応関係で、マスターテーブルMへ反映され得る。
マスターテーブルMの「患者ID」を示す列と、患者ID入力領域UIa34
マスターテーブルMの「検体ID」を示す列と、第1の検体ID入力領域UIa57および第2の検体ID入力領域UIa58
マスターテーブルMの「遺伝子パネルID」領域と、検査種別入力領域UIa31
マスターテーブルMの「患者の性別」領域と、患者性別入力領域UIa42
マスターテーブルMの「患者の生年月日」領域と、患者生年月日入力領域UIa43
マスターテーブルMの「検査依頼日」領域と、検査依頼日入力領域UIa51、
マスターテーブルMの「医療関係者のユーザID」領域と、担当医ユーザID入力領域UIa33
マスターテーブルMの「事務局施設」領域と、事務局施設名入力領域UIa52。
図7に入力領域が示されていない、上記以外の検査依頼に関する情報も、マスターテーブルMの所定の領域に格納される。
【0076】
次に、統合データ管理装置Aは、
図16のステップST23において、ステップST22で取得した検査依頼情報を、I/F部105Aを介して検査情報管理装置C11に送信する。ステップST23において、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、検査依頼送信部A3として機能する。
図16のステップST23における送信は、統合データ管理装置AがマスターテーブルMを更新したことをトリガとして行ってもよい。また、統合データ管理装置Aを操作するオペレータが入力部106Aを介して送信要求を入力したことをトリガとして行ってもよい。
【0077】
検査情報管理装置C11の制御部100(以下、単に検査情報管理装置C11ともいう)は、ステップST61において、I/F部105を介して、統合データ管理装置Aから送信された検査依頼情報を取得する。ステップST61において、検査情報管理装置C11は、取得した検査依頼情報を記憶装置103に格納する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、検査依頼情報取得部11として機能する。
【0078】
次に、臨床情報管理装置B10は、
図16のステップST2において、検査依頼を行った患者の患者情報を電子カルテデータベースB11および/または検査画像データベースB12から呼び出し、統合データ管理装置Aに送信する。このとき、臨床情報管理装置B10の制御部100Bは、患者情報送信部K7として機能する。
図16のステップST2において送信される情報は、ステップST1において検査依頼情報を送信する際に、検査依頼情報に含めて送信されてもよい。また担当医H1aが、入力部106Bから制御部100Bに送信要求を入力したことをトリガとして送信されてもよい。このとき、臨床情報管理装置B10の制御部100Bは、患者情報送信要求受信部K5として機能する(
図9)。
【0079】
統合データ管理装置Aは、
図16のステップST25において、I/F部105Aを介して患者情報を受信する。このとき統合データ管理装置Aの制御部100は、患者情報受信部A5として機能する。
図16のステップST26において、統合データ管理装置Aは、患者情報をマスターテーブルMに記録し、マスターテーブルMを更新する。患者情報は、マスターテーブルMの「患者情報」領域に格納される。このとき統合データ管理装置Aの制御部100は、マスターテーブル更新部A50として機能する(
図6)。
【0080】
図16のステップST2、ステップST25およびステップST26の処理は、
図16のステップST1よりも前に行われてもよい。
【0081】
8-2.遺伝子パネル検査の流れ
遺伝子パネル検査は、検査情報管理装置C11が検体受付受領情報を受け付けることで開始される。医療施設B1で採取された患者の検体が、検査施設C1に搬入されると、例えば検査施設C1の臨床検査技師T1が、検査情報管理装置C11の入力部106を介して、記憶装置103に検体受領済みのラベルを入力する。
図16のステップST62において、検査情報管理装置C11は、この入力を受け付ける。
【0082】
図16のステップST63において、検査情報管理装置C11は、ステップST62において受け付けた検体受領済みのラベルを検体受領情報として、統合データ管理装置Aに送信する。
【0083】
統合データ管理装置Aは、ステップST27において、検査情報管理装置C11がステップST63において送信した検体受領情報を受信する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、検査状況管理部A7として機能する。統合データ管理装置Aは、ステップST27において受信した内容に基づいて、ステップST28においてマスターテーブルMの「検体受付日」の領域を更新する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、マスターテーブル更新部A50として機能する(
図9)。
図16のステップST63における情報の送信は、検査情報管理装置C11において検体受領情報を受け付けたことをトリガとして行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力したことをトリガとして行われてもよい。
【0084】
検査情報管理装置C11は、
図17のステップST64において、患者配列から取得された核酸配列データに基づいて、遺伝子パネル検査の解析報告書の生成処理を行う。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、の解析報告書生成部5として機能する(
図11)。検査情報管理装置C11は、ステップST65において。生成した解析報告書を統合データ管理装置Aに送信する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、解析報告書送信部6として機能する(
図11)。ステップST65における解析報告書の送信は、解析報告書が生成されたことをトリガとして行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力し、検査情報管理装置C11がこれを受け付けたことをトリガとして行われてもよい。
【0085】
統合データ管理装置Aは、
図17のステップST65で送信された解析結果報告書をステップST29において受信し、ステップST30においてマスターテーブルMの「解析結果」の領域に記録し、マスターテーブルMを更新する。
【0086】
統合データ管理装置Aは、
図16に示すステップST21からステップST28および
図17に示すステップST29からステップST30までの処理により、臨床情報管理装置B10、B20、G30から検査依頼に関する情報を取得し、また、検査情報管理装置C11から、検体受付日に関する情報および解析結果を取得し、これらを統合して、
図7に示すマスターテーブルMに各情報を記録する。
【0087】
8-3.乖離情報表示処理
次に
図19を用いて、乖離情報の表示処理について説明する。
乖離情報表示処理において、統合データ管理装置Aと、医療施設B1の専門家会議端末B15,B25と、が通信する。また、統合データ管理装置Aと、事務局専門家会議端末G35と、が通信する。なお、医療施設Gが専門家会議の運営を外部施設に委託する場合には、統合データ管理装置Aと、事務局専門家会議端末SP15と、が通信する。
【0088】
はじめに、統合データ管理装置Aと、医療施設B1の専門家会議端末B15,B25間の処理の流れを説明する。医療施設B1の専門家会議端末B15と、医療施設B2の専門家会議端末B25は、処理内容が同じであるため、医療施設B1の専門家会議端末B15を用いて処理の流れを説明する。
【0089】
担当医H1aは、医療施設B1に備えられた医療施設B1の専門家会議端末B15から、ブラウザソフトを介して、統合データ管理装置Aにアクセスする。
図19のステップST81において、医療施設B1の専門家会議端末B15の制御部100X(以下、単に「医療施設B1の専門家会議端末B15」とする)は、入力部106Xを介して担当医H1aから、乖離情報の表示要求を受け付ける。続いて、医療施設B1の専門家会議端末B15は、I/F部105Xを介して、統合データ管理装置Aに乖離情報の表示要求を送信する。このとき、制御部100Xは、
図13に示す乖離情報表示要求部X5として機能する。
【0090】
統合データ管理装置Aは、
図19に示すステップST41において、医療施設B1の専門家会議端末B15からの表示要求を受け付ける。続いて、統合データ管理装置Aは、
図19に示すステップST42において乖離情報を生成する。このとき制御部100Aは、
図6に示す乖離情報生成部A19として機能する。乖離情報の生成処理は後述する。生成された乖離情報は、専門家会議端末B15に送信される。
【0091】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、ステップST82において、ディスプレイ等の出力部107Xに統合データ管理装置Aから送信された乖離情報をブラウザソフトを介して表示する。このとき、制御部100Xは、
図13に示す乖離情報出力部X7として機能する。
【0092】
統合データ管理装置Aから送信された専門家会議スケジュールのメールは、
図19のステップST84において、医療施設B1の専門家会議端末B15に備えられたメールソフトにより医療施設B1の専門家会議端末B15が受信する。このとき、制御部100Xは、
図15に示すスケジュール受信部X3として機能する。
【0093】
続いて、医療施設B1の専門家会議端末B15は、ステップST85において、担当医H1aが担当する患者についての専門家会議の予約依頼を、統合データ管理装置Aに送信する。統合データ管理装置Aは、ステップST45において、受信した予約依頼に基づき、スケジュールを更新する。ステップST45およびST85の処理については、後述する。
【0094】
続いて、統合データ管理装置Aは、ステップST46において、更新された専門家会議スケジュールを出力する。この出力は、例えば、メールソフトを使用した、専門家会議の各参加者への専門家会議スケジュールの送信である。このとき制御部100Aは、
図6に示すスケジュール出力部A21として機能する。
【0095】
次に、統合データ管理装置Aと、事務局専門家会議端末SP15,G35間の処理の流れを説明する。専門家会議端末SP15および事務局専門家会議端末G35は、処理内容が同じであるため、事務局専門家会議端末G35を用いて処理の流れを説明する。
【0096】
専門家会議の事務局員(以下、単に事務局員ともいう)は、事務局専門家会議端末G35から、ブラウザソフトを介して、統合データ管理装置Aにアクセスする。
図19のステップST101において、事務局専門家会議端末G35の制御部100Z(以下、単に「事務局専門家会議端末G35」とする)は、入力部106Zを介して事務局員から、乖離情報の表示要求を受け付ける。続いて、事務局専門家会議端末G35は、I/F部105Zを介して、統合データ管理装置Aに乖離情報の表示要求を送信する。このとき、制御部100Zは、
図15に示す乖離情報表示要求部Z3として機能する。
【0097】
統合データ管理装置Aは、
図19に示すステップST41において、医療施設B1の専門家会議端末B15からの表示要求を受け付ける。続いて、統合データ管理装置Aは、
図19に示すステップST42において乖離情報を生成する。このとき制御部100Aは、
図6に示す乖離情報生成部A19として機能する。乖離情報の生成処理は後述する。
【0098】
事務局専門家会議端末G35は、ステップST102において、ディスプレイ等の出力部107Zに統合データ管理装置Aから出力された乖離情報をブラウザソフトを介して表示する。このとき、制御部100Zは、
図15に示す乖離情報出力部Z5として機能する。
【0099】
専門家会議の事務局員は、事務局専門家会議端末G35から必要に応じて専門家会議の開催予定日を追加したり、開催予定日における会議枠数を追加したりする。事務局専門家会議端末G35は、ステップST103において、
図12に示す入力部106Zを介して会議スケジュールの設定を受け付ける。このとき、制御部100Zは、
図13に示すスケジュール設定部Z2として機能する。専門家会議の開催予定日追加/会議枠追加の詳細は、後述する。
【0100】
統合データ管理装置Aは、ST45においてスケジュール更新処理を行う。スケジュール更新処理では、ステップST103において事務局専門家会議端末G35から送信された専門家会議の開催予定日および設定会議数、ステップS85において送信された予約依頼情報に基づき、マスターテーブルMおよび専門家会議スケジュールデータベースSDBを更新する。このとき制御部100Aは、
図6に示すスケジュール更新部A20として機能する。
【0101】
続いて、統合データ管理装置Aは、
図19のステップST46において、設定された専門家会議スケジュールを出力する。この出力は、例えば、メールソフトを使用した、専門家会議の各参加者への専門家会議スケジュールの送信である。このとき制御部100Aは、
図6に示すスケジュール出力部A21として機能する。
【0102】
統合データ管理装置Aから送信された専門家会議スケジュールのメールは、
図19のステップST104において、事務局専門家会議端末G35に備えられたメールソフトを介して事務局専門家会議端末G35が受信する。このとき、制御部100Zは、
図15に示すスケジュール受信部Z1として機能する。
【0103】
8-4.乖離情報の生成処理
以下に説明する統合データ管理装置Aが行う処理は、複数の医療関係者により、患者の遺伝子情報の解釈を行う専門家会議の運営をコンピュータを用いて支援するための、コンピュータプログラムの全体または一部を構成する。
統合データ管理装置Aは、乖離情報の生成プログラムにより、
図20に示す乖離情報の生成処理を行う。特に断らない限り前記処理は制御部100Aが行う。
【0104】
統合データ管理装置Aは、
図19のステップST41において表示要求を受信したことをトリガとして、乖離情報の生成処理を開始する。あるいは、統合データ管理装置Aは、例えば1時間ごと、1日ごと等、定期的に乖離情報を生成してもよい。
【0105】
(1)処理全体の流れ
統合データ管理装置Aは、
図20のステップST201において、複数の患者についてマスターテーブルMに格納された複数のパネル検査の依頼情報を取得する。
統合データ管理装置Aは、ステップST202において、ステップST201で取得したパネル検査の依頼情報に基づいて、予測会議数の情報を生成する。
【0106】
続いて、統合データ管理装置Aは、ステップST203において、ステップST202で生成した予測会議数の情報に基づいて乖離情報を生成する。乖離情報は、設定会議時間枠と予測会議数との差を識別可能に示す情報である限り限定されない。
【0107】
(2)予測会議数の情報の生成ステップ
図21を用いて、予測会議数の情報を生成するステップST202の処理を詳細に説明する。
統合データ管理装置Aは、
図21に示すステップST211において、
図20のステップST201で取得した各パネル検査の依頼情報の中から、検査依頼に関する日付情報を取得する。ここで、検査依頼に関する日付情報は、検査依頼日、検査受付日、検体受付日のいずれであってもよいが、ここでは検査依頼日を使用する例を説明する。
【0108】
次に、統合データ管理装置Aは、ステップST212において、それぞれの遺伝子パネル検査について、あらかじめ専門家会議スケジュールデータベースSDBに格納されている専門家会議の複数の開催予定日の中から、専門家会議の開催予定日、すなわち割当日を選択する。
図22を用いて、割当日の選択方法を説明する。
図22(A)では、検査依頼日(10月18日)を起算日として説明する。遺伝子パネル検査は、一例として、検査依頼を行ってから解析報告書が生成されるまでに3週間程度期間を有する。
図22(A)では、この期間を所要期間(a)日間として示している。専門家会議は、所要期間(a)日間を加味して開催予定日を選択する必要がある。開催予定日は、専門家会議スケジュールデータベースSDBに格納されている専門家会議の複数の開催予定日のうち、検査依頼日から所要期間(c)を経過した後の直近の開催予定日11月14日)とすることができる。選択された開催予定日は、各患者のパネル検査の依頼情報に対応させてマスターテーブルMの「割当日」の領域に格納される。
【0109】
所要期間(a)には、解析報告書が生成されてから専門家会議が開催されるまでの準備期間を含めても良い。
図22(B)では、検査依頼日から解析報告書が生成されるまでの所要期間(a)に、解析報告書が生成されてから専門家会議が開催されるまでの準備期間(b)を加えて、所要期間(c)としている。
【0110】
図21に戻り、統合データ管理装置Aは、ステップST213において、専門家会議スケジュールデータベースSDBに格納されている複数の開催予定日ごとに検査依頼を集計する。集計の例を
図23に示す。マスターテーブルMに格納された各割当日は、マスターテーブルM内で検査依頼IDと対応付けられている。統合データ管理装置Aは、同一割当日に対付けられた検査依頼IDから検査依頼数をカウントして、その開催予定日の会議数とする。
例えば
図23の例では、割当日が11月7日の検査依頼IDの数が、検査依頼ID=T02を含む5であり(T02以外の行は図示していない)、割当日が11月14日の検査依頼IDの数が、検査依頼ID=T01およびT03を含む14であり(T01およびT03以外の行は図示していない)、割当日が11月21日の検査依頼IDの数が、検査依頼ID=T04を含む11である(T04以外の行は図示していない)ことを示している。
なお、検査依頼の集計は、患者IDをカウントして、検査依頼数とすることによってもよい。
【0111】
図21に戻り、統合データ管理装置Aは、ステップST214において、集計した検査依頼数を会議の予測枠数として、予測会議数の情報を生成する。そして、統合データ管理装置Aは、
図23に示すように、総合データベースOG内の専門家会議スケジュールデータベースSDBに開催予定日と予測会議数の情報を対応付けて記録する。
【0112】
(3)乖離情報の生成ステップ
次に、
図24および
図25を用いて乖離情報の生成方法を説明する。乖離情報には、設定会議数と
図21のステップST214において生成した予測会議数との差を示す差分情報と、設定会議数と
図21のステップST214において生成した予測会議数とを対応させて表示するための表示情報とから選択される少なくとも1つの情報を含む。
【0113】
(i)乖離情報の生成例1
図24を用いて、乖離情報の生成例として、差分情報の生成ステップの具体的な処理を説明する。
統合データ管理装置Aは、ステップST501において、総合データベースOGに格納されている専門家会議スケジュールデータベースSDBから設定会議数の情報を取得する。このステップは、
図21のステップST214の後に続けて行われる。
【0114】
次に、統合データ管理装置Aは、ステップST502において、
図21のステップST214において生成された予測会議数の情報と、
図24のステップST501で取得した設定会議数の情報に基づいて、差分情報を生成する。具体的には、差分情報は、設定会議数から予測会議数を引いた減算値を含む情報である。減算値を含む情報は、減算値そのものであってもよく、減算値が正の値であることを示すラベル、または減算値が負の値であることを示すラベル等であってもよい。減算値が正の値であることを示すラベルは、開催予定日において会議枠数が足りていることを示す。減算値が負の値であることを示すラベルは、開催予定日において会議枠数が不足していることを示す。
【0115】
統合データ管理装置Aは、ステップST503において、生成した差分情報を出力する。
【0116】
(ii)乖離情報の生成例2
図25を用いて、乖離情報の生成の他の例として、表示情報の生成ステップの具体的な処理を説明する。
統合データ管理装置Aは、ステップST601において、総合データベースOGに格納されている専門家会議スケジュールデータベースSDBから設定会議数の情報を取得する。このステップは、
図21のステップST214の後に続けて行われる。
【0117】
次に、統合データ管理装置Aは、ステップST602において、
図21のステップST214において生成された予測会議数の情報と、
図25のステップST601で取得した設定会議数の情報に基づいて、表示情報を生成する。表示情報は、設定会議数の情報と、予測会議数の情報を対応して表示できる限り制限されない。
図26に表示情報の例として、グラフィカルインタフェースUIG1を示す。
図26の例では、予測会議数の情報は、グラフィカルインタフェースUIG1内に、会議枠の予測数として、専門家会議の開催予定日ごとに棒グラフで表示されている。グラフ内のハッチングの違いは、1つの専門家会議が担当する、病院ごとの件数を示す。
図26において、設定会議数の情報は、点線で表されている。この点線は、設定会議数に対応する位置に表され、
図26の例は、設定会議数が8であることを示している。棒グラフの高さがこの点線を越えている場合、開催予定日において会議枠数が不足していることを示す(
図26では、11月14日および11月21日)。棒グラフの高さがこの点線を越えていない場合、開催予定日において会議枠数が足りていることを示す(
図26では、11月7日、11月28日、および12月5日)。
【0118】
統合データ管理装置Aは、ステップST603において、生成した表示情報を出力する。
【0119】
8-5.開催予定日の追加処理
会議枠数が不足した場合に、前述したように、
図19に示すステップST103において、事務局員は、事務局専門家会議端末G35から必要に応じて専門家会議の開催予定日を追加する。
【0120】
この処理は、例えば、事務局専門家会議端末SP15,G35を介して、統合データ管理装置Aにアクセスし、統合データ管理装置Aの総合データベースOGに格納された専門家会議スケジュールデータベースSDBに新たな開催予定日または変更された開催予定日を登録する処理により実行される。
図27から
図29を用いて、専門家会議の開催予定日の追加処理について説明する。専門家会議端末SP15および事務局専門家会議端末G35は、処理内容が同じであるため、事務局専門家会議端末G35を用いて処理の流れを説明する。
【0121】
統合データ管理装置Aは、
図27のステップST241において、事務局専門家会議端末G35から、事務局員が事務局専門家会議端末G35から入力した会議設定を行うダイアログへのリンクの選択指令を受け付ける。会議設定を行うダイアログへのリンク情報の例を
図28に示す。
図28は、専門家会議スケジュールデータベースSDBに格納されている情報とリンクした、専門家会議の開催予定リストを表示するグラフィカルユーザインタフェースUIの例である。グラフィカルユーザインタフェースUIは、開催予定リストにアクセスした時間を示す領域UI10を備える。また、グラフィカルユーザインタフェースUIは、専門家会議スケジュールデータベースSDBに格納されている、開催予定日、開始時間、終了時間、予約締切日、設定会議数、および予測枠数に加え、設定済枠数、および備考を示す欄を備える開催予定リスト領域UI1を備える。開催予定リスト領域UI1は、各開催予定日の情報を示す特定開催予定日表示領域UI3を備える。開催予定リスト領域UI1の各開催予定日欄は、開催予定日の登録を行うためのダイアログにアクセス可能なリンク情報UI15を備える。さらに、グラフィカルユーザインタフェースUIは、開催予定日の登録を行うためのダイアログにアクセス可能なリンク情報を備える開催予定登録アイコンUI4を備える。
【0122】
事務局員が専門家会議の開催予定日を新規登録する場合、統合データ管理装置Aは、
図27のステップST241において、開催予定登録アイコンUI4の選択指令を受け付けると、ステップST242に進み、開催予定日を入力するためのダイアログD4を表示する。
【0123】
図29にダイアログD4の例を示す。ダイアログD4は、定期開催予定日を入力するための領域D41と、開催予定日を指定して入力するための領域D42と、開催時間を指定するための領域D43と、設定会議数を登録するための領域D45と、設定を確定するための登録アイコンD46と入力を消去するためのクリアアイコンD48を備える。領域D41は、曜日指定可能な領域と、開催期間を指定する領域と、予約締切日を指定する領域とを備え得る。領域D42は、開催予定日を指定する領域と、予約締切日を指定する領域とを備え得る。
【0124】
図27に示すステップST243において、事務局員が、入力部106Zから領域D42、D43、D45に追加する開催予定日、予定締切日、会議時間、設定会議数等の開催予定日に関する情報を入力し、登録アイコンD46を選択すると、統合データ管理装置Aは、新規開催予定日の登録を受け付ける。続いて、統合データ管理装置Aは、ステップST243において、入力された新たな開催予定日に関する情報を専門家会議スケジュールデータベースSDBに記録し、専門家会議スケジュールデータベースSDBを更新する。ステップST241からステップST243までの処理は、
図19に示すステップST103の処理により事務局専門家端末G35から送信される情報に基づき実行されるステップST45の処理に対応する。専門家会議スケジュールデータベースSDBの更新内容は、再生成された乖離情報として
図19に示すステップS46において、出力される。
【0125】
事務局員が登録された開催予定日を更新する場合、統合データ管理装置Aは、
図27のステップST241において、更新対象の日付に対応するリンク情報UI15の選択指令を受け付けると、ステップST242に進み、開催予定日を入力するためのダイアログD4を表示する。この場合、更新対象の日付が領域D42に表示され、「定期開催」の隣のチェックボックスにチェックはなく、「指定開催予定日」のチェックボックスにチェックが付されたダイアログD4が表示される。ステップS243およびステップS244の処理は、開催予定日を新規登録する場合と同様である。
【0126】
8-5.開催予定日または開催予定時間の変更処理
会議枠数が不足した場合、前述したように、
図19に示すステップST103において、事務局員は、事務局専門家会議端末G35から必要に応じて専門家会議の開催予定日の追加および/または会議枠数の追加を行う。
【0127】
この処理は、例えば、事務局専門家会議端末SP15,G35を介して、統合データ管理装置Aにアクセスし、統合データ管理装置Aの総合データベースOGに格納された専門家会議スケジュールデータベースSDBに開催予定日を追加登録すること、および、設定枠数を更新することにより行われる。
図30から
図31を用いて、専門家会議の開催予定日追加/設定枠数追加の処理について説明する。専門家会議端末SP15および事務局専門家会議端末G35は、処理内容が同じであるため、事務局専門家会議端末G35を用いて処理の流れを説明する。
【0128】
統合データ管理装置Aは、
図30のステップST341において、事務局員が事務局専門家会議端末G35から入力した会議設定を行うダイアログへのリンクの選択指令を受け付ける。会議設定を行うダイアログへのリンクの例は
図28と同様である。
【0129】
統合データ管理装置Aは、
図30のステップST341において、事務局員が事務局専門家会議端末G35から入力した開催予定日欄のリンク情報UI15または開催予定登録アイコンUI4の選択指令を受け付けると、ステップST342に進み、追加開催予定日を入力するためのダイアログD5を表示する。
【0130】
図31(A)にダイアログD5の例を示す。ダイアログD5は、追加開催予定日を入力するための領域D51と、開催時間を指定するための領域D52と、設定会議数を登録するための領域D53と、設定を確定するための登録アイコンD54と、設定を中止するための中止アイコン入力を消去するためのクリアアイコンD55を備える。領域D51は、開催予定日を指定する領域と、予約締切日を指定する領域とを備え得る。ステップST341において、リンク情報UI15の選択指令を受け付けた場合、領域D51には、選択されたリンク情報UI15に対応する開催予定日が予め表示されている。ステップST341において、開催予定登録アイコンUI4の選択指令を受け付けた場合、領域D51の開催予定日は空欄である。
【0131】
図30に示すステップST343において、事務局員が、入力部106Zから
図31(A)の領域51の開催予定日、領域52の開催予定時間、および/または領域53の設定会議数を変更し、登録アイコンD54を選択することで、統合データ管理装置Aは、開催予定日の追加、予約締切日の追加、開催予定時間の変更、設定会議数の変更の登録を受け付ける。続いて、統合データ管理装置Aは、ステップST344において、入力された開催予定日、予約締切日、開催予定時間、設定会議数に関する情報を専門家会議スケジュールデータベースSDBの、「開催予定日」「開始時間」「終了時間」「予約締切日」「設定会議数」の領域にそれぞれ記録し、専門家会議スケジュールデータベースSDBを更新する。
図31(A)の例では、開催予定日として、2019年11月15日が追加され、予約締切日が2019年11月8日、その日の開催時間が15:00~18:00、設定会議数が12として入力され、
図31(B)に示す、専門家会議スケジュールデータベースSDBに反映されている。ステップST341からステップST344までの処理は、
図19に示すステップST103の処理により事務局専門家端末G35から送信される情報に基づき実行されるステップST45の処理に対応する。専門家会議スケジュールデータベースSDBの更新内容は、再生成された乖離情報として
図19に示すステップST46において、出力される。
【0132】
8-6.変形例
(1)表示例
(i)
図32に、開催予定日の新規登録を行うためのダイアログにアクセス可能なリンク情報を備えるグラフィカルユーザインタフェースの別の例を示す。
図32は、
図25に示すステップST603において生成されたグラフィカルインタフェースUIG1に、開催予定日の登録を行うためのダイアログにアクセス可能なリンク情報を備える開催予定登録アイコンUIG2を備える例である。また、開催予定日における開催時間および設定会議数の更新を行うためのダイアログにアクセス可能なリンク情報は会議の開催予定日を示す文字列UIG4に貼られていてもよい。
【0133】
(ii)
図33に、開催予定日を入力するためのダイアログD4の別の表示例を示す。
図33では、
図25に示すステップST603において生成されたグラフィカルインタフェースUIG1と、
図29に示すダイアログD4が一画面で表示される例である。図面内の各構成は、グラフィカルインタフェースUIG1におけるそれぞれの構成と、ダイアログD4におけるそれぞれの構成に対応する。グラフィカルインタフェースUIG1の表示は、ダイアログD4を介して、開催予定日が追加された時には、グラフィカルインタフェースUIG1の表示にも追加が表示されてもよい。また、
図33において、ダイアログD4はダイアログD5に置き換えることができる。
【0134】
(iii)
図34に、
図33の表示例の変形例を示す。
図34では、
図33に示すダイアログD4がダイアログD5に変更されている。さらに、ダイアログD5において、開催予定日、開催予定時間、または設定会議数を変更する際に、変更対象となっている開催予定日と変更対象となっていない開催予定日をグラフィカルインタフェースUIG1上で識別可能に表示してもよい。例えば、
図34の例では、変更対象となっていない開催予定日(11月7日、11月21日、11月28日、および12月5日)が網掛けされている。
【0135】
(iv)
図35の例は、グラフィカルインタフェースUIG1上で、凡例の施設名をクリックまたはポイントすると、棒グラフ内でクリックまたはポイントされた施設が他の施設と識別可能に表示される例である。
図35では、棒グラフ内で選択された自施設(X病院)に対応する部分が点線で囲まれて表示されている。表示方法は、囲み線に限定されず、例えば色調変更または陰影強調、三次表示等であってもよい。
(v)上記実施形態では、表示情報を棒グラフで表したが、表示形式は棒グラフに限定されない。
【0136】
(vi)表示情報は、例えば、
図36および
図37のように、専門家会議の開催予定リストを表示するグラフィカルユーザインタフェースUI上に表示してもよい。
図36の例では、設定会議数を超えた予測会議数(開催予定日が11月14日の予測会議数:14、および開催予定日が11月21日の予測会議数:11)に感嘆符SMが表示されている。予測会議数が設定会議数を超えたことは、
図37に示すように、会議枠の不足が予測されることを示すメッセージを表示してもよい。
【0137】
(vii)
図38に、
図33の表示例の変形例を示す。
図38では、
図33に示すダイアログD4がダイアログD5に変更されている。さらに、ダイアログD5において、領域D51に開催予定日が入力されると、統合データ管理装置Aは、対応する開催予定日の予測枠数を専門家会議スケジュールデータベースSDBから特定し、領域D52の開催時間および/または領域D53の設定会議数を予測枠数にあわせて自動的に変更してもよい。また、変更された設定会議数にあわせてグラフ内の表示を変更してもよい。例えば
図38の例では、領域D51に開催予定日として11月21日が入力され、その日の予測会議数(この例では、11)にあわせて、領域D52の開催時間が15:00~17:45に変更され、領域D53の設定会議数が11に変更された例を示す。また
図38の例では、グラフ内の設定会議数の表示が、11月21日については8から11に変更される(変更された設定会議数は、横線NNで表示されている)。
【0138】
8-7.医療施設専門家会議端末からの会議予約処理
次に、医療施設専門家会議端末からの会議予約処理について説明する。この処理は、
図19に示すステップST45およびST85に対応する処理であり、担当医H1aが専門家会議の予約を行う場合に使用される。
【0139】
【0140】
統合データ管理装置Aは、
図39のステップST71において、担当医H1aが担当する患者についての専門家会議の予約を行うための予約ダイアログを、医療施設専門家会議端末B15に表示する。
図40(A)および
図40(C)に予約ダイアログの一例を示す。予約ダイアログには、専門家会議スケジュールデータベースSDBの「開催予定日」の領域に記憶されている複数の開催予定日と、それぞれに対応するチェックボックスと、予約を確定するための予約ボタンR1と、が表示される。また、
図40(A)に示す例では、開催予定日11月14日にチェックが入れられている。開催予定日11月14日は、
図21のステップS212の処理により選択された開催予定日、すなわち割当日である。
【0141】
統合データ管理装置Aは、ステップST72において、割当日の変更を受け付けたか否かを判断する。医療施設専門家会議端末B15に表示された予約ダイアログにおいて、例えば
図40(C)に示すように、チェックの位置が変更になった場合には、その情報が医療施設専門家会議端末B15から統合データ管理装置Aに送信され、統合データ管理装置Aは、割当日の変更を受け付けたと判断する。
【0142】
割当日の変更を受け付けた場合(ステップST72においてYES)、統合データ管理装置Aは、ステップST73において、専門家会議スケジュールデータベースSDBの変更前の割当日に対応する開催予定日(
図40の例では、11月14日)の予測会議数から1を減算し、変更後の割当日に対応する開催予定日(
図40の例では、11月21日)の予測会議数に1を加算する。
割当日の変更を受け付けていない場合(ステップST72においてNO)、統合データ管理装置Aは、処理をステップST75に進める。
【0143】
次に、統合データ管理装置Aは、ステップST74において、
図24に示すステップST501からステップST502、または
図25に示すステップST601からステップST602にしたがって、差分情報または表示情報を生成する。
図40(B)に変更前の表示情報の例を、
図40(D)に変更後の表示情報の例を示す。
【0144】
次に、統合データ管理装置Aは、ステップST75において、予約ダイアログにおいて予約ボタンR1が選択されたか否かを判断する。予約ボタンR1が選択された場合(ステップST75においてYES)、処理をステップST76に進め、マスターデータベースMの予約フラグを0から1に変更することにより予約を確定する。予約ボタンR1が選択されていない場合(ステップST75においてNO)、統合データ管理装置Aは、処理をステップST72に戻す。
【0145】
8-8.設定会議数設定の変形例
上記8-1.から上記8-7.で説明した実施形態では、設定会議数は、あらかじめ設定された枠(デフォルト値ともいう)の設定会議数を基準として説明した。また、設定会議数を変更する場合には、事務局員が変更することを基本として処理の流れを説明した。
【0146】
ここでは、
図41を用いて、統合データ管理装置Aが自動的に設定会議数を変更する例を説明する。例えば、
図24に示すステップST502において生成された差分情報に基づいて、設定会議数を変更する。
【0147】
統合データ管理装置Aは、ステップST91において、予測会議数が設定会議数を超えたか否かを判定する。予測会議数が設定会議数を超えていない場合(「No」の場合)には、処理を終了する。予測会議数が設定会議数を超えている場合(「Yes」の場合)には、統合データ管理装置Aは、ステップST92に進む。
【0148】
統合データ管理装置Aは、ステップST92において、予測会議数が、設定会議数の上限値を超えたか否かを判定する。設定会議数の上限値は、専門家会議を行う施設ごとにあらかじめ設定され、総合データベースOGに記憶されている。設定会議数の上限値は、設定会議数に所定数を加算した数であり、例えば、専門家会議の開催予定日に開催可能な会議の最大数とすることができる。統合データ管理装置Aは、予測会議数が、設定会議数の上限値以下である場合(「Yes」の場合)には、ステップST93に進み、専門家会議スケジュールデータベースSDBの設定会議数を予測会議数に対応可能な数に変更し、処理を終了する。統合データ管理装置Aは、予測会議数が、設定会議数の上限値を超えた場合(「No」の場合)には、ステップST94において、事務局専門家会議端末G35に予測会議数が上限値を超えたことを通知するためのメール等を送信する。ステップST91からステップST94に示す処理は、各開催予定日について、実行される。
このように、予測会議数が設定会議数を超えたことでは事務局専門家会議端末G35に通知を出さずに設定会議数を更新し、設定会議数の上限値を超えたことで通知を出すことにより、専門家会議の事務局の作業工数を軽減しつつ、適切な会議数を設定することができる。
【0149】
ステップST91からステップST94に示す処理の他、統合データ管理装置Aは、設定会議数の変更は、例えば、過去の専門家会議の開催実績に応じて設定してもよい。より具体的には過去6ヶ月以内、または1年以内における該当施設での1日あたりの会議枠の平均値等を算出し、その値を設定会議数としてもよい。
【0150】
8-9.割当日の設定方法の変形例
図42を用いて、
図22に示した割当日の設定方法の他の例を説明する。
【0151】
図42(A)に示すように遺伝子パネル検査は、国内の検査施設C1で行われる場合と、海外の検査施設C2で行われる場合がある。また、国内で遺伝子パネル検査を行う場合でも、検査を外注するか、自施設で行うかにより、検査依頼日、検査依頼受付日、あるいは検体受領日から解析報告書が生成されるまでの所要期間(
図22(A)に示す所要期間(a))が異なる場合がある。例えば
図42(B)の所要期間テーブルTでは、国内の検査施設でパネルAを検査する場合の所要期間は21日、X病院内でパネルAを検査する場合の所要期間は14日、海外の検査施設でパネルBを検査する場合の所要期間は28日と設定されている。所要期間テーブルTは、統合データ管理装置Aの総合データベースOGに格納されている。統合データ管理装置Aは、所要期間テーブルTに格納されている所用期間を、検査施設および遺伝子パネルIDをキーとして検体IDごとに抽出し、マスターテーブルMの「所要期間」の領域に格納する。これにより、
図21のステップS212において専門家会議の開催予定日を選択する際、検査施設および/または遺伝子パネルの種類に応じた開催予定日を選択することが可能となり、より精度の高い乖離情報の生成が可能となる。
【0152】
なお、所要期間は、検査施設および/または遺伝子パネルの種類の他、例えば患者が罹患している疾患に応じて設定されてもよい。疾患によっては解析レポートの生成に時間を要するものもあるため、より精度の高い乖離情報の生成が可能となる。
【0153】
8-10.会議枠の変形例
上記8-1.から上記8-9.で説明した実施形態では、予測会議枠および設定会議枠を、それぞれ、予測会議数および設定会議数として示している。しかし、予測会議枠および設定会議枠は、1つの会議の時間を設定し時間で表してもよい。例えば、予測会議枠および設定会議枠として、それぞれ、1つの会議の時間に予測会議数を乗じて得られる時間、および、1つの会議の時間に設定会議数を乗じて得られる時間とすることができる。
また、予測会議枠として、予測会議数と、予測会議数と1つの会議の時間から算出される時間と、を併用してもよい。同様に、設定会議枠として、設定会議数と、設定会議数と1つの会議の時間から算出される時間と、を併用してもよい。
【0154】
8-11.設定会議枠の範囲
設定会議枠の変更は、所定の枠数または時間の範囲内で許可されるように設定してもよい。所定の枠数または時間はあらかじめ専門家会議の事務局により設定され、総合データベースOGに記憶されている。
【0155】
9.コンピュータプログラムを記録した記録媒体
ステップST1およびステップST2の処理実行するコンピュータプログラム;ステップST21からステップST30の処理を実行するコンピュータプログラム;ステップST61からステップST65の処理を実行するプログラム;ステップST41からステップST46、ステップST201からステップST201、ステップST211からステップST214、およびステップST501からステップST503の処理を実行するコンピュータプログラム;ステップST41からステップST45、ステップST201からステップST201、ステップST211からステップST214、およびステップST601からステップST603の処理を実行するコンピュータプログラム;ステップST241からステップST244の処理を実行するコンピュータプログラム;ステップST341からステップST344の処理を実行するコンピュータプログラム;ステップST71からステップST74の処理を実行するコンピュータプログラム;ステップST91からステップST94の処理を実行するコンピュータプログラム;およびステップST301からステップST303の処理を実行するコンピュータプログラムは、記憶媒体等のプログラム製品として提供されうる。前記コンピュータプログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶媒体に記憶される。前記記憶媒体へのプログラムの記憶形式は、前記制御部が前記プログラムを読み取り可能である限り制限されない。前記記憶媒体への記憶は、不揮発性であることが好ましい。
【符号の説明】
【0156】
A 支援装置
100A 制御部
1000 支援システム
B10,B20,G30 コンピュータ