(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】タグ位置情報管理システム、タグ位置登録システム、タグ位置表示システム、タグ位置登録方法及びタグ位置表示方法
(51)【国際特許分類】
G08C 17/00 20060101AFI20240724BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240724BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240724BHJP
B61L 25/04 20060101ALN20240724BHJP
B60L 3/00 20190101ALN20240724BHJP
G01L 5/00 20060101ALN20240724BHJP
【FI】
G08C17/00 A
G06K19/07 160
G06K7/10 252
B61L25/04
B60L3/00 N
G01L5/00 103Z
(21)【出願番号】P 2020118539
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2019239002
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521475989
【氏名又は名称】川崎車両株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(72)【発明者】
【氏名】西村 武宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 與志
(72)【発明者】
【氏名】磯村 一雄
(72)【発明者】
【氏名】鴻池 史一
(72)【発明者】
【氏名】内田 フランソワ オリヴィエ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0069639(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0032534(KR,A)
【文献】特開2019-126874(JP,A)
【文献】特開2010-249650(JP,A)
【文献】特開2010-042491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0042310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0228891(US,A1)
【文献】特許第6583840(JP,B1)
【文献】特開2014-205485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358468(US,A1)
【文献】特開2007-147412(JP,A)
【文献】特開平08-278116(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109658397(CN,A)
【文献】矢吹信喜,土木分野における3次元モデルデータ活用について,BIM/CIM-3Dデータを活用しよう,日本,建設物価調査会,2019年12月11日,pp.1-5,https://kensetsu-bukka.or.jp/bimcim/6075/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
G01M 1/00-99/00
G01D 1/00-21/02
G08C 13/00-25/04
G06Q 10/00-10/30
G06K 7/10,19/07
B61L 25/04
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグと、
前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るRFIDリーダと、
前記RFIDリーダの読取対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定する処理と、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶する処理と、前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成する処理とを実行するタグ位置情報管理装置と、
前記表示用画像を表示する表示部と、
を備
え、
前記RFIDリーダは、前記状態検知機能付RFIDタグから前記タグ情報を読取可能な位置に移動可能な携帯型RFIDリーダであり、
前記タグ位置情報管理装置は、前記携帯型RFIDリーダが前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定し、
さらに、前記タグ位置情報管理装置は、前記携帯型RFIDリーダによる前記状態検知機能付RFIDタグの読取時に、前記対象物と前記RFIDリーダとを撮像する撮像部を含み、前記携帯型RFIDリーダを通じて前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングにおいて、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定する、タグ位置情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のタグ位置情報管理システムであって、
前記タグ位置情報管理装置は、現実空間における前記対象物に、前記対象物の3次元モデルデータを重ね合せ、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を、前記対象物の3次元モデルデータの座標系における位置として特定する、タグ位置情報管理システム。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載のタグ位置情報管理システムであって、
前記タグ位置情報管理装置は、前記装着対象部特定情報に基づき、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、前記対象物の3次元モデルデータにマッピングしたタグマッピングデータを生成し、前記タグマッピングデータに基づいて前記表示用画像を生成する、タグ位置情報管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のタグ位置情報管理システムであって、
前記タグ位置情報管理装置は、前記タグマッピングデータに基づいて、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、現実空間における前記対象物に重ね合せて表示可能な画像を生成する、タグ位置情報管理システム。
【請求項5】
請求項1から
請求項4のいずれか1項に記載のタグ位置情報管理システムであって、
前記タグ位置情報管理装置は、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの状態表示を示す画像を生成する、タグ位置情報管理システム。
【請求項6】
対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を登録するタグ位置登録システムであって、
前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るRFIDリーダと、
前記RFIDリーダの読取り対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定する処理と、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶する処理とを実行する制御部と、
を備
え、
前記RFIDリーダは、前記状態検知機能付RFIDタグから前記タグ情報を読取り可能な位置に移動可能な携帯型RFIDリーダであり、
前記制御部は、前記携帯型RFIDリーダが前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定し、
前記携帯型RFIDリーダによる前記状態検知機能付RFIDタグの読取り時に、前記対象物と前記RFIDリーダとを撮像する撮像部をさらに備え、
前記制御部は、前記携帯型RFIDリーダを通じて前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングにおいて、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定する、タグ位置登録システム。
【請求項7】
請求項6に記載のタグ位置登録システムであって、
前記制御部は、現実空間における前記対象物に、前記対象物の3次元モデルデータを重ね合せ、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を、前記対象物の3次元モデルデータの座標系における位置として特定する、タグ位置登録システム。
【請求項8】
対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を表示するタグ位置表示システムであって、
前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着対象部特定情報を記憶した記憶部と、
前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成する制御部と、
前記表示用画像を表示する表示部と、
を備
え、
前記制御部は、前記装着対象部特定情報に基づき、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、前記対象物の3次元モデルデータにマッピングしたタグマッピングデータを生成し、前記タグマッピングデータに基づいて前記表示用画像を生成し、
さらに、前記制御部は、前記タグマッピングデータに基づいて、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、現実空間における前記対象物に重ね合せて表示可能な画像を生成する、タグ位置表示システム。
【請求項9】
請求項8に記載のタグ位置表示システムであって、
前記制御部は、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの状態表示を示す画像を生成する、タグ位置表示システム。
【請求項10】
対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を登録するタグ位置登録方法であって、
前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取り可能な位置に移動可能な携帯型RFIDリーダにより前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るステップと、
読取り対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定するステップと、
前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶するステップと、
を備
え、
さらに、前記携帯型RFIDリーダが前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定し、
前記携帯型RFIDリーダを通じて前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングにおいて、前記対象物と前記RFIDリーダとを撮像する撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定する、タグ位置登録方法。
【請求項11】
対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を表示するタグ位置表示方法であって、
前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着対象部特定情報が記憶部に記憶されており、
前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成するステップと、
前記表示用画像を表示するステップと、
を備
え、
前記装着対象部特定情報に基づき、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、前記対象物の3次元モデルデータにマッピングしたタグマッピングデータを生成し、前記タグマッピングデータに基づいて前記表示用画像を生成し、
さらに、前記タグマッピングデータに基づいて、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、現実空間における前記対象物に重ね合せて表示可能な画像を生成する、タグ位置表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、RFIDタグを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、装置における締結部材に、締結部材緩み検知タグを取付ける技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような締結部材緩み検知タグからの出力は、当該タグが取付けられた締結部材の緩み状態を示す。このため、締結部材緩み検知タグの装着位置が容易に把握されるようにすることが好ましい。
【0005】
そこで、本開示は、RFIDタグの装着位置を容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様であるタグ位置情報管理システムは、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグと、前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダの読取対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定する処理と、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶する処理と、前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成する処理とを実行するタグ位置情報管理装置と、前記表示用画像を表示する表示部と、を備える。
【0007】
本開示の他の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を登録するタグ位置登録システムであって、前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダの読取り対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定する処理と、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶する処理とを実行する制御部と、を備える。
【0008】
本開示のさらに他の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を表示するタグ位置表示システムであって、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着対象部特定情報を記憶した記憶部と、前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成する制御部と、前記表示用画像を表示する表示部と、を備える。
【0009】
本開示のさらに他の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を登録するタグ位置登録方法であって、前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るステップと、読取り対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定するステップと、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶するステップと、を備える。
【0010】
本開示のさらに他の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を表示するタグ位置表示方法であって、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着対象部特定情報が記憶部に記憶されており、前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成するステップと、前記表示用画像を表示するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
いずれの態様によっても、RFIDタグの装着位置を容易に把握できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】タグ管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図2】タグ管理システムの全体構成を示す説明図である。
【
図3】タグ位置情報管理システムを示す説明図である。
【
図4】タグ位置登録システムを示すブロック図である。
【
図5】タグ位置登録装置における処理例を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係るタグ位置登録システムを示すブロック図である。
【
図7】同上の変形例に係る処理例を示すフローチャートである。
【
図8】同上の変形例に係る動作を示す説明図である。
【
図9】基準測位端末装置を追加した例を示す説明図である。
【
図10】変形例に係るタグ位置登録システムを示すブロック図である。
【
図11】同上の変形例に係る処理例を示すフローチャートである。
【
図12】同上の変形例に係る動作を示す説明図である。
【
図13】基準位置特定用発信機を追加した例を示す説明図である。
【
図14】貼付け工具にRFIDリーダを組込んだ例を示す説明図である。
【
図15】変形例に係るタグ位置登録制御装置を示すブロック図である。
【
図16】座標特定装置における処理例を示すフローチャートである。
【
図17】表示用画像の生成処理例を示す説明図である。
【
図18】タグ位置表示システムを示すブロック図である。
【
図19】タグ位置表示制御装置における処理例を示すフローチャートである。
【
図20】変形例に係るタグ位置表示システムを示すブロック図である。
【
図21】変形例に係るタグ位置表示制御装置における処理例を示すフローチャートである。
【
図22】他の変形例に係るタグ位置表示システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係るタグ位置情報管理システムについて説明する。まず、本タグ位置情報管理システムが適用され得るタグ管理システムの一例について説明する。
図1及び
図2はタグ管理システム30の全体構成を示す説明図である。
図1では鉄道車両20を側面から見た図が示され、
図2は鉄道車両20を正面から見た図が示される。
【0014】
タグ管理システム30においては、鉄道車両20にRFID(Radio Frequency Identification)タグ34が装着される。タグ管理システム30は、RFIDタグ34を通じて鉄道車両20の状況を把握するシステムである。
【0015】
鉄道車両20の一例について説明する。鉄道車両20は軌道18を走行する。軌道18は、鉄道車両20を経路に沿って導く路である。ここでは、軌道18は、2つのレール18a、18aを含む。2つのレール18a、18aは、地上に枕木19等を介して並行状態で敷設されていてもよい。軌道は、モノレールのように1本のレールが鉄道車両を案内するものであってもよい。軌道は、高架橋等によって地上よりも上方位置に設けられていてもよい。軌道は、地下に掘られたトンネル内に設けられていてもよい。
【0016】
鉄道車両20は、車体22と、台車24とを備える。台車24は、台車枠25と、複数の車輪28とを備える。台車枠25は、例えば、横梁25aと一対の側梁25bとを含む。横梁25aの両端に一対の側梁25bが並行姿勢で連結されている。台車枠25が車体22の下部に配置されている。複数の車輪28は、台車枠25の左右の側梁25bに車軸部を介して回転可能に支持されている。車軸部を支持する部分は軸箱27と呼ばれることがある。なお、本実施形態において、鉄道車両の進行方向を前側、後退方向を後側ということがある。また、鉄道車両20から進行方向を見た場合を基準として左右という場合がある。重力方向において重力が加わる側を下側、その反対側を上側という場合がある。左右の車輪28は、2つのレール18a、18aによって案内されつつ当該軌道18上を走行する。台車24は、車体22を下方から支持している。台車24が軌道18上を走行することで、車体22を含む鉄道車両20が軌道18に沿って走行する。鉄道車両20は、軌道18を走行する車両であればよく、電車、貨物列車の機関車、貨車、旅客列車の機関車、客車のいずれであってもよい。貨車又は客車は、機関車によって牽引される付随車であってもよいし、自身が動力を有する動力車であってもよい。機関車は、電気機関車であってもよいし、ディーゼル機関車等の内燃機関車であってもよい。
【0017】
上記鉄道車両20を前提として、タグ管理システム30の全体構成を説明する。タグ管理システム30は、鉄道車両20に装着された複数の状態検知機能付RFIDタグ34からID及び状態情報を含むタグ情報を読取るシステムである。RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略称である。IDとは、識別のための符号であり、数字、文字、記号等の組合わせによって構成される。以下の説明において、状態検知機能付RFIDタグは、単にRFIDと略される場合がある。タグ管理システム30は、RFIDタグ34と、タグ読取システム40とを備える。
【0018】
複数のRFIDタグ34は、鉄道車両20において互いに異なる箇所に装着される。複数のRFIDタグ34は、自己のID及び装着対象部分の状態情報を含むタグ情報を送信することができる。RFIDタグ34は、例えば、台車24における横梁25a、側梁25b、車軸部を介して車輪28を支持する軸箱27に取付けられてもよい。
図1及び
図2において、複数のRFIDタグ34が鉄道車両20の前後、左右において異なる位置に装着されている例が示される。RFIDタグ34は、鉄道車両20における状態検知が可能なタグである。鉄道車両20における状態とは、例えば、ボルト又はナット等の締結部品の締結状況、鉄道車両20における各部の変形や温度等の状態である。RFIDタグ34は、これらの状態を検知するセンサを含んでいる場合や、これらの状態を検知するセンサの情報を取得や保持する場合もあり、このようにして検知された情報を、タグ情報に含めて送信する。
【0019】
軌道18に沿ったいずれかの位置にアンテナ41が設けられている。鉄道車両20がアンテナ41の近くを通過すると、タグ読取システム40は、アンテナ41を通じて、当該鉄道車両20に装着されたRFIDタグ34からタグ情報を読取る。アンテナ41は、一対のレール18a間と、一対のレール18aの両外側に設けられていてもよい。アンテナ41は、レール18a又は枕木19が設置される地上に設けられてもよいし、軌道18近くの設備(例えば、人の乗降又は物の積卸しのためのプラットフォーム等)に設けられてもよい。アンテナ41は、軌道18を走行する鉄道車両20に装着されたRFIDタグ34のタグ情報を無線通信にて読取り可能な位置に設けられればよい。
【0020】
タグ読取システム40は、本実施形態では、タグ読取装置42と、サーバ装置46とを備える。タグ読取装置42とサーバ装置46とは、それぞれCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、記憶部等を備えるコンピュータによって構成される。タグ読取装置42とサーバ装置46が実行する処理は、単一のコンピュータによって実行されてもよい。タグ読取装置42とサーバ装置46が実行する処理が複数のコンピュータによって実行される場合、各処理はいずれのコンピュータによって実行されてもよい。
【0021】
本実施形態では、タグ読取装置42が、アンテナ41及びアンテナ41に接続されたRFIDリーダを通じて、RFIDタグ34のタグ情報を読取り、IDに鉄道車両20の状態情報を対応付けたIDリスト43を生成する。IDリスト43は、鉄道車両20が通過する毎に、タグ読取装置42から通信回線45を通じてサーバ装置46に送信される。サーバ装置46では、IDリスト43を蓄積したサーバIDリスト47を記憶部に記憶する。これによりサーバ装置46において、鉄道車両20が通過する毎に、RFIDタグ34のIDに対して鉄道車両20の状態情報を対応付けたサーバIDリスト47が更新されていく。
【0022】
タグ管理システム30においては、鉄道車両20における複数のRFIDタグ34の装着部が把握されていることが前提となっている。複数のRFIDタグ34のそれぞれのIDに装着部が対応付けて把握されていれば、タグ管理システム30は、複数のRFIDタグ34を同時読取りしても、読取ったIDを手掛りに、RFIDタグ34の装着部を特定して、当該各装着部の状態を把握することができる。そこで、複数のRFIDタグ34を鉄道車両20に取付けていく際に、RFIDタグ34の装着部を特定した装着対象部特定情報を生成するとよい。また、鉄道車両20の状態情報は、現実の鉄道車両20のメンテナンス等に活用されるため、RFIDタグ34の装着部をシステム利用者が容易に把握できるようにするとよい。
【0023】
本タグ位置情報管理システムは、当該システムにおいてRFIDタグ34の装着位置を容易に把握できようにする技術に関する。また、本システムは、システムによって把握されたRFIDタグ34の装着位置をシステム利用者が容易に把握できるようにする技術に関する。
【0024】
なお、本実施形態では、RFIDタグ34の取付対象構造物が鉄道車両20である例が説明される。RFIDタグ34の取付対象構造物は、鉄道車両20に限定されず、船舶、航空機、二輪自動車等の鞍乗型乗物、ロボット等であってもよく、例えば、可動部を含む機械装置であってもよい。
【0025】
タグ位置情報管理システム50について説明する。
図3はタグ位置情報管理システム50を示す説明図である。タグ位置情報管理システム50は、RFIDタグ34と、RFIDリーダ55(
図4参照)と、タグ位置情報管理装置51と、表示部98を備える。
【0026】
RFIDタグ34は、上記したように鉄道車両20に装着された状態検知機能付RFIDタグ34である。RFIDリーダ55は、RFIDタグ34からタグ情報を読取る装置である。本実施形態におけるRFIDリーダ55は、上記アンテナ41を通じてRFIDタグ34のタグ情報を読取るRFIDリーダとは異なっている。
【0027】
タグ位置情報管理装置51は、装着対象部特定情報を特定する処理と、当該装着対象部特定情報を記憶部に記憶する処理と、表示用画像を生成する処理とを実行する。本実施形態では、タグ位置情報管理装置51は、タグ位置登録制御装置60とタグ位置表示制御装置80とを備える。タグ位置登録制御装置60とタグ位置表示制御装置80とは、それぞれCPU等のプロセッサ、記憶部等を備えるコンピュータによって構成されている。タグ位置登録制御装置60とタグ位置表示制御装置80とは、通信可能に接続されている。タグ位置登録制御装置60とタグ位置表示制御装置80とは同じ建物設備内に設置されてもよいし、それぞれ離れた建物に設置されてもよい。
【0028】
タグ位置登録制御装置60は、主としてRFIDリーダ55の読取対象であるRFIDタグ34に応じた装着対象部特定情報73bを特定する処理と、装着対象部特定情報73bを記憶部に記憶する処理とを実行する。タグ位置表示制御装置80は、装着対象部特定情報73bに基づいてRFIDタグ34の装着位置を示す表示用画像を生成する処理を実行する。タグ位置情報管理装置51が実行する各処理は、単一のコンピュータによって実行されてもよい。タグ位置情報管理装置51が実行する処理が複数のコンピュータによって実行される場合、各処理はいずれのコンピュータによって実行されてもよい。タグ位置情報管理装置51が実行する処理の一部又は全部は、タグ管理システム30を構成するコンピュータ(例えば、タグ読取装置42及びサーバ装置46の少なくとも一方)によって実行されてもよい。
【0029】
表示部98は、液晶表示装置等によって構成されており、上記タグ位置表示制御装置80において生成された表示用画像を利用者に対して視認可能に表示する。利用者は、表示用画像を視認することで、鉄道車両20におけるRFIDタグ34の装着位置を容易に把握することができる。
【0030】
本タグ位置情報管理システム50は、タグ位置を登録するためのタグ位置登録システム52と、タグ位置を表示するためのタグ位置表示システム54とを備えるシステムであると把握されてもよい。この場合、タグ位置登録システム52は、RFIDリーダ55とタグ位置登録制御装置60とを備えるシステムであると把握されてもよい。また、タグ位置表示システム54は、タグ位置表示制御装置80と表示部98とを備えるシステムであると把握されてもよい。
【0031】
本タグ位置情報管理システム50及びタグ位置情報管理方法によると、RFIDタグ34のタグ情報をRFIDリーダ55によって読取ると、当該RFIDタグ34に応じた装着対象部特定情報73bが特定される。このため、RFIDタグ34の装着位置が容易に把握される。また、装着対象部特定情報73bに基づいて、RFIDタグ34の装着位置を示す表示用画像が表示部98に表示される。利用者がこの表示用画像を視ることによって、RFIDタグ34の装着位置が容易に把握される。
【0032】
タグ位置登録システム52の一例についてより具体的に説明する。
図4はタグ位置登録システム52を示すブロック図である。タグ位置登録システム52は、対象装置の一例である鉄道車両20における装着対象部に装着されたRFIDタグ34の装着位置を登録するためのシステムである。例えば、タグ位置登録システム52は、RFIDタグ34を鉄道車両20に取付けていく際に、鉄道車両20におけるRFIDタグ34の取付位置を容易に電子データとして登録できるようにすることに貢献する。RFIDタグ34は、鉄道車両20に対して複数、例えば、50個以上、或いは、100個以上設けられてもよい。複数のRFIDタグ34それぞれがIDと状態情報とを送信する。
【0033】
タグ位置登録システム52は、RFIDリーダ55と、タグ位置登録制御装置60とを備える。
【0034】
ここで、RFIDタグ34は、タグ制御部35と記憶部37とアンテナ38とセンサ39とを備える。タグ制御部35は、CPU等のプロセッサにより構成される。記憶部37は、EEPROM(electrically erasable and programmable read only memory)等の不揮発性メモリによって構成されている。記憶部37には、タグ制御プログラム、ID等が格納されている。IDはRFIDタグ34に対して割当てられた識別符号である。センサ39は、鉄道車両20における状況把握対象部位の変形、変位、温度等を検知するセンサである。例えば、センサ39は、ボルト又はナットの緩みによって破断する導体又は抵抗変化に至るセンサであってもよい。センサ39は、状況把握対象部位の変形又は変位、昇温に伴って変形し、破断又は抵抗変化に至るセンサであってもよい。RFIDタグ34は、自己のIDと共に、センサ39によって検知された状況把握対象部位の状況を示す付帯情報として状態情報を送信する。付帯情報は、状況把握対象部位の状況を、正常又は不正常を示す2値の情報であってもよい。付帯情報は、状況把握対象部位の状況を、より多段階で示す情報であってもよい。このように、RFIDタグ34からID及び車両の状態情報を含むタグ情報が送信される。RFIDタグ34は、RFIDリーダ55等からの電磁波によって給電されて動作するパッシブ型のタグであってもよいし、内蔵したバッテリを電源として動作するアクティブ型のタグであってもよい。なお、本実施形態では、RFIDタグ34がセンサ39を有しているが、外部のセンサの信号を受けたRFIDタグがその情報を保持していてもよい。つまり、状態検知機能付RFIDタグは、自身に組込まれたセンサによって状態検知を行ってもよいし、自身とは別に設けられたセンサ等を介して状態検知を行ってもよい。
【0035】
RFIDリーダ55は、RFIDタグ34との間で無線通信を行うと共に、タグ位置登録制御装置60との間で無線通信を行うように構成されており、RFIDタグ34から読取ったID及び状態情報を、タグ位置登録制御装置60に送信可能に構成されている。本実施形態では、RFIDリーダ55は、アンテナ56と、RFID読取部57と、近距離通信部58と、アンテナ59とを備える。RFID読取部57は、アンテナ56を通じてRFIDタグ34との間で無線通信を行う。RFIDリーダ55は、1つのRFIDタグ34のタグ情報のみを読込可能なように、無線信号の出力、受信感度、アンテナ56の指向性等が設定される。RFIDリーダ55が1つのRFIDタグ34のタグ情報のみを読込み可能であれば、1つのタグ情報を読込んだ際に、RFIDリーダ55の位置を特定すれば、当読込まれたタグ情報を送信したRFIDタグ34の位置が特定され得る。近距離通信部58は、アンテナ59を通じてタグ位置登録制御装置60との間で無線通信を行う通信回路である。近距離通信部58は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))の通信規格に準じた通信を行う回路である。
【0036】
本実施形態では、RFIDリーダ55が近くに存在する1つのRFIDタグ34のタグ情報のみを読込むことを前提に、特定されたRFIDリーダ55の位置を、読込まれたタグ情報を送信したRFIDタグ34の位置と見なしているが、これは必須ではない。例えば、RFIDリーダがRFIDタグを読込む際に、RFIDリーダに対するRFIDタグの相対位置を検出してもよい。この場合、特定されたRFIDリーダの位置を、当該RFIDリーダに対するRFIDタグの相対位置に応じた分をずらして、RFIDタグの位置を特定してもよい。なお、RFIDリーダに対するRFIDタグの相対位置の検出は、例えば、電波の受信強度、電波の位相情報等を解析する周知技術(例えば、特開2017-075927号公報参照)によって実現され得る。よって、RFIDリーダ55の位置に基づいて装着対象部特定情報73bを特定する場合には、RFIDリーダ55の位置をそのままRFIDタグ34の位置とする場合、及び、RFIDリーダ55の位置を補正してRFIDタグ34の位置とする場合を含む。
【0037】
本実施形態では、アンテナ56とRFID読取部57と近距離通信部58とアンテナ59とは、1つのRFIDリーダ55として、片手で持運び可能な形態にまとめられている。つまり、RFIDリーダ55は、携帯型RFIDリーダである。利用者Pは、本RFIDリーダ55を携帯した状態で、RFIDタグ34を鉄道車両20に装着する作業を行うことができ、さらに、RFIDリーダ55を装着したRFIDタグ34のタグ情報を読込み可能な位置に移動させることができる。例えば、RFIDタグ34は、最大長85mm~200mm、10~300gの重さである。また、例えば、RFIDリーダ55は、最大長30cm以下、2kg以下の重さの装置である。
【0038】
RFIDリーダ55は、複数のRFIDタグ34との間で通信を行ってもよい。この場合、複数のRFIDタグ34のID単位で、RFIDタグ34の位置が登録及び表示されてもよい。
【0039】
タグ位置登録制御装置60は、固定側近距離通信装置62と、タグ位置登録装置(制御部)70とを備える。
【0040】
固定側近距離通信装置62は、RFIDリーダ55との間でRFIDリーダの位置を特定可能な無線通信を行う装置であり、例えば、ブルートゥース(Bluetooth)の通信規格に準じた通信を行う装置である。本実施形態では、固定側近距離通信装置62は、アンテナ63と、近距離通信制御部64とを備える。近距離通信制御部64は、例えば、記憶部に記憶されたプログラムに従ってアンテナ63を通じて無線通信を行うように構成される。近距離通信制御部64により実行される処理には、距離測定部64aによる処理と、方位測定部64bによる処理とが含まれる。距離測定部64aによる処理は、固定側近距離通信装置62がRFIDリーダ55との間で無線通信を行う際に、アンテナ59とRFIDリーダ55との距離を測定する処理である。この距離を測定する処理は、例えば、固定側近距離通信装置62が受信するRFIDリーダ55からの電波強度に基づいて当該距離を演算する処理であってもよい。方位測定部64bによる処理は、固定側近距離通信装置62がRFIDリーダ55との間で無線通信を行う際に、アンテナ63に対するRFIDリーダ55の方位を測定する処理である。この方位を測定する処理は、例えば、固定側近距離通信装置62側に設けられた複数のアンテナ63における、RFIDリーダ55からの受信信号の位相差に基づいて、当該アンテナ63に対するRFIDリーダ55の相対的な方位を演算する処理であってもよい。これらの処理は、例えば、ブルートゥースのバージョン5.1に準じた処理によって実現されてもよい。RFIDリーダ55と固定側近距離通信装置62とは他の無線方式(例えば、Wireless LAN)に従って無線通信を行ってもよい、当該無線方式を利用した他の処理によってRFIDリーダ55の位置が演算されてもよい。いずれにせよ、アンテナ63を基準としてRFIDリーダ55の位置が測定され得る。固定側近距離通信装置62で求められた位置情報は、タグ位置登録装置70に送信される。
【0041】
タグ位置登録装置70は、演算処理装置72、記憶部73及びRAM(Random access memory)等を備えるコンピュータによって構成されている。演算処理装置72は、CPU等のプロセッサにより構成される。記憶部73は、HDD(hard disk drive)、SSD(Solid-state drive)等の不揮発性記憶装置によって構成されている。記憶部73には、登録プログラム73a、装着対象部特定情報73b等が格納されている。演算処理装置72が記憶部73に記憶された登録プログラム73aに記述された処理を実行する。これにより、タグ位置登録装置70は、RFIDリーダ55の読取り対象であるRFIDタグ34に応じた装着対象部特定情報73bを特定する処理と、装着対象部特定情報73bを記憶部73に記憶する処理とを実行する。
【0042】
図5はタグ位置登録装置70における処理例を示すフローチャートである。
【0043】
処理開始後、ステップS1において、携帯型RFIDリーダ55を通じたタグ情報の読取りの有無が判定される。読取り無と判定されるとステップS1の処理を繰返し、読取り有りと判定されると、次ステップS2に進む。
【0044】
ステップS2では、携帯型RFIDリーダ55を通じたタグ情報に含まれるIDを読取り、装着対象となっているRFIDリーダ55をIDによって特定する。
【0045】
次ステップS3では、固定側近距離通信装置62から送信される位置情報に基づき、装着対象となっているRFIDタグ34の位置を特定する。ステップS2において特定されるIDと、ステップS3において特定される位置情報とは、同時間における情報であってもよいし、ずれた時間における情報であってもよい。ずれた時間とは、例えば、RFIDタグ34の装着作業を想定し、RFIDリーダ55がタグ情報を読取った後、RFIDリーダ55が同じ場所に存在し続けると想定される時間の範囲内であればよく、例えば、2秒の範囲内でずれていてもよい。
【0046】
鉄道車両20とアンテナ63との相対位置関係が既知であれば、アンテナ63を基準とする座標系を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算を実行することで、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が特定される。例えば、タグ位置登録装置70において、鉄道車両20とアンテナ63との相対位置関係に基づき、アンテナ63を基準とする座標系を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算処理が記述されていれば、タグ位置登録装置70で特定されたRFIDタグ34の位置情報に基づき、鉄道車両20における当該RFIDタグ34の位置情報が特定される。
【0047】
次ステップS4では、IDに位置情報を対応付けた装着対象部特定情報73bを記憶部73に登録する。つまり、固定側近距離通信装置62から送信される位置情報は、固定側近距離通信装置62がRFIDリーダ55を通じてRFIDタグ34のタグ情報を読取ったタイミングに合わせて同時又は上記のように多少遅れて送信された情報である。このため、ステップS2におけるIDにステップS3における位置情報を対応付けることで、装着対象となったRFIDタグ34の装着位置が登録される。
【0048】
次ステップS5では終了指令の有無が判定される。終了指令有りと判定されると、処理を終了し、終了指令無と判定されると、ステップS1に戻って以降の処理を繰返す。ステップS1以降の処理が繰返されることにより、RFIDタグ34が鉄道車両20に取付けられる毎に当該RFIDタグ34の装着位置が装着対象部特定情報73bとして記憶部73に登録されていく。これにより、鉄道車両20に取付けられたRFIDタグ34の装着位置を簡易に電子データとして登録して管理することができる。装着対象部特定情報73bはデータとして出力され、例えば、後で説明するように、装着位置を視認するための表示用画像に加工されて表示される。
【0049】
RFIDタグ34の装着位置を示す座標は、RFIDタグ34の設計上の装着位置に応じて補正されてもよい。例えば、RFIDタグ34の設計上の装着位置を特定した3次元データを準備しておき、固定側近距離通信装置62から送信される位置情報を座標変換した後、RFIDタグ34の設計上の装着位置のうちいずれか(例えば最も近い位置)にマッチングさせる処理を行ってもよい。これにより、固定側近距離通信装置62から送信される位置情報が実際の位置から多少ずれていても、設計上の正しい装着位置に補正される。
【0050】
また、ステップS3の処理を行う際に、IDが読取られている。このIDに基づいてRFIDタグ34の装着位置が絞られてもよい。例えば、IDの最初又は最後にRFIDタグ34の種別を特定する符号が割当てられ、当該IDからRFIDタグ34の装着対象となる構成部品が限定される結果、当該構成部品の位置情報に基づいてRFIDタグ34の装着位置候補が絞られてもよい。例えば、RFIDタグ34の装着位置は、絞られた構成部品に対応する装着位置のいずれかに対してマッチング処理がなされてもよい。
【0051】
RFIDタグ34の装着位置は、3次元座標によって特定されてもよいし、2次元座標によって特定されてもよいし、1次元座標によって特定されてもよい。
【0052】
RFIDタグ34の装着位置は、座標として登録される必要は無い。例えば、IDが鉄道車両20における構成部品(ボルト、ナット、支持部材等)に対応付けて登録されていてもよい。例えば、ステップS3において、固定側近距離通信装置62から送信される位置情報を座標変換した位置情報を、鉄道車両20における各構成部品の取付位置と比較して、当該位置情報で特定されるRFIDタグ34がいずれの構成部品に取付けられたかを判断して、当該RFIDタグ34の装着対象部品を特定してもよい。例えば、送信された位置情報を座標変換した位置情報に対して最も近い構成部品を、装着対象部品として特定してもよい。この場合、IDに構成部品番号を対応付けたデータを装着対象部特定情報73bとして登録してもよい。構成部品番号と当該構成部品の位置を特定した3次元情報とがあれば、所定のIDを有するRFIDタグ34の装着部品の位置を特定することができる。
【0053】
本タグ位置登録システム52及びタグ位置登録方法によると、RFIDタグ34のタグ情報をRFIDリーダ55によって読取ると、当該RFIDタグ34に応じた装着対象部特定情報73bが特定される。このため、RFIDタグ34の装着位置が容易に把握される。例えば、複数のRFIDタグ34を鉄道車両20に取付ける毎に、その装着位置を手動で入力する手間を低減することができる。
【0054】
また、タグ情報読取り時における携帯型RFIDリーダ55の位置に基づいて、装着対象部特定情報73bを容易に特定することができる。例えば、複数のRFIDタグ34を鉄道車両20に順次装着していく場合に、装着の毎に携帯型RFIDリーダ55によって装着したRFIDタグ34のタグ情報を読取ることで、装着したRFIDタグ34に関する装着対象部特定情報73bを特定できる。このため、複数のRFIDタグ34を順次装着していく作業において便利である。
【0055】
また、携帯型RFIDリーダ55の位置特定を、通信による位置特定機能によって容易に行える。
【0056】
図4及び
図5で示す例では、RFIDリーダ55と固定側近距離通信装置62とが無線通信を行う際に、固定側近距離通信装置62がRFIDリーダ55の位置を測定可能であることを利用して、RFIDリーダ55の位置を特定する例を説明した。RFIDリーダ55の位置を特定するための構成は、上記例に限られず、各種位置認識装置を適用可能である。
【0057】
図6は変形例に係るタグ位置登録システム552を示すブロック図である。
【0058】
RFIDリーダ555は、上記RFIDリーダ55に対応する。RFIDリーダ555は、近距離通信部58の代りに、リーダ側通信部558を備えている。リーダ側通信部558は、アンテナ59を通じてタグ位置登録制御装置560との間で無線通信を行う通信回路である。リーダ側通信部558の通信形式は限定されず、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))の規格に応じた通信であってもよいし、Wi-Fi(登録商標)の規格に応じた通信であってもよい。
【0059】
このRFIDリーダ555に対して、当該RFIDリーダ555と一緒に移動するように、測位端末装置540が組合わされている。測位端末装置540は、例えば、コイン形状又はタグ形状に形成される。測位端末装置540は、RFIDリーダ555に対して取付けられる。取付は、例えば、接着剤、両面テープ、粘着テープ、ねじ締め等によって行われてもよい。このように、RFIDリーダ555に対して測位端末装置540が取付けられることによって、測位端末装置540がRFIDリーダ555と一緒に移動する。よって、測位端末装置540の位置を特定できれば、RFIDリーダ555の位置を特定することができる。なお、RFIDリーダ555におけるRFIDタグ34の読取り用のアンテナ56と測位端末装置540の取付位置とが離れている場合等には、両者の相対的な位置関係に応じて、測位端末装置540の位置を補正してRFIDリーダ555の位置を特定してもよい。
【0060】
測位端末装置540は、測位信号に基づいて自己の位置を特定すると共に、特定された位置に関する情報を送信する無線通信を行う装置である。本実施形態では、測位端末装置540は、測位信号受信部542と、位置演算部544と、測位側通信装置546とを備える。
【0061】
測位信号受信部542は、測位端末装置540が自己の位置を特定するための測位信号を受信する回路である。測位信号としては、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されるGPS信号であることが想定される。本実施形態では、測位信号がGPS信号であることを前提とした説明がなされる。測位信号は、GPS信号でなくてもよい。鉄道車両20等の対象物の周りにおいて所定位置に設置されたベース発信装置から発信される信号であってもよい。この場合、測位信号は電波である必要は無く、超音波であってもよい。測位信号受信部542で受信されたGPS信号は、位置演算部544に出力される。
【0062】
位置演算部544は、複数のGPS衛星から送信されたGPS信号に基づいて、測位端末装置540の緯度経度を演算する。測位信号受信部542は、GPS信号に加えて、準天頂衛星からの測位信号を受信し、位置演算部544は、複数のGPS信号及び準天頂衛星からの測位信号に基づいて測位端末装置540の緯度経度を演算してもよい。これにより、測位端末装置540の位置精度が高められる。
【0063】
測位側通信装置546は、タグ位置登録制御装置560との間で無線通信を行う通信回路である。測位側通信装置546の通信形式は限定されず、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))の規格に応じた通信であってもよいし、Wi-Fi(登録商標)の規格に応じた通信であってもよい。
【0064】
タグ位置登録制御装置60に対応するタグ位置登録制御装置560は、リーダ用通信装置562と、位置特定用通信装置(位置特定用通信部)564と、タグ位置登録装置570(制御部)とを備える。
【0065】
リーダ用通信装置562は、RFIDリーダ555との間で無線通信を行う装置である。
図4に示す固定側近距離通信装置62とは異なり、本リーダ用通信装置562は、RFIDリーダ555の位置を特定可能な無線通信を行わなくてもよい。リーダ用通信装置562は、RFIDリーダ555との間で無線通信を行って、RFIDリーダ555が読取ったRFIDタグ34のタグ情報を受信できればよい。
【0066】
位置特定用通信装置564は、測位端末装置540との間で無線通信を行う。位置特定用通信装置564は、測位端末装置540との間で無線通信を行うことによって、測位端末装置540が特定した自己の位置情報を受信できればよい。
【0067】
タグ位置登録装置570は、タグ位置登録装置70に対応しているが、登録プログラム573aに基づく、位置特定に関する処理がタグ位置登録装置70とは異なっている。ここでは、タグ位置登録装置570は、携帯型RFIDリーダ555がRFIDタグ34からタグ情報を読取るタイミングに合わせて、位置特定用通信装置564を通じて測位端末装置540の位置情報を受信し、測位端末装置540の位置に基づいて装着対象部特定情報を特定する。
【0068】
図7はタグ位置登録装置570における処理例を示すフローチャートである。
図8はタグ位置登録装置570の動作を示す説明図である。
【0069】
処理開始後、ステップS51において、携帯型RFIDリーダ555を通じたタグ情報の読取りの有無が判定される。読取り無と判定されるとステップS51の処理を繰返し、読取り有りと判定されると、次ステップS52に進む。例えば、利用者Pが鉄道車両20における台車24に装着されたRFIDタグ34の近くに携帯型RFIDリーダ555を移動させる。すると、携帯型RFIDリーダ555がRFIDタグ34を読取り、タグ情報をリーダ用通信装置562に送信する。これにより、読取り有りと判定される。
【0070】
ステップS52では、携帯型RFIDリーダ555を通じて読取られたタグ情報に含まれるIDを読取り、装着対象となっているRFIDタグ34をIDによって特定する。
【0071】
次ステップS53では、タグ位置登録装置570は、測位側通信装置546を通じて測位端末装置540との間で無線通信を行い、測位端末装置540において特定された当該測位端末装置540の位置情報を受信する。ここで、測位端末装置540は、衛星590(代表的として1つのみ図示)からのGPS信号に基づいて自己の位置を特定しており、当該自己の位置を含む位置情報をタグ位置登録装置570に送信する。つまり、RFIDタグ34のIDは、携帯型RFIDリーダ555からリーダ用通信装置562に送信され、これとは別に、測位端末装置540(RFIDリーダ555)の位置情報が測位端末装置540から位置特定用通信装置564に送信される。
【0072】
次ステップS54では、測位端末装置540の位置情報に基づき、装着対象となっているRFIDタグ34の位置を特定する。上記ステップS3に関して説明したのと同様に、ステップS52において特定されるIDと、ステップS53において受信される位置情報とは、同時間における情報であってもよいし、ずれた時間における情報であってもよい。
【0073】
上記したように、測位端末装置540は、RFIDリーダ555に取付けられているため、測位端末装置540の位置情報に基づいてRFIDリーダ555の位置を特定できる。また、RFIDリーダ555の位置に基づいてRFIDタグ34の位置を特定することができる。このため、測位端末装置540の位置に基づいてRFIDタグ34の位置を特定できる。
【0074】
また、上記したように測位信号がGPS信号であれば、測位端末装置540の位置(RFIDタグ34の位置)は、地球を基準とする緯度経度で特定される。このため、緯度経度を基準とする座標系と、鉄道車両20が表現される座標系との相対的な位置関係が既知であれば、上記と同様に、緯度経度を基準として特定されるRFIDタグ34の位置を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算を実行することで、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が特定される。
【0075】
なお、測位信号が所定位置に設置されたベース発信装置から発信される信号である場合には、測位端末装置540の位置(RFIDタグ34の位置)は、当該ベース発信装置の設置位置を基準とする座標系で特定されてもよい。この場合、ベース発信装置を基準とする座標系と、鉄道車両20が表現される座標系との相対的な位置関係が既知であれば、上記と同様に、ベース発信装置の設置位置を基準として特定されるRFIDタグ34の位置を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算を実行することで、上記と同様に、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が特定される。
【0076】
RFIDタグ34の位置が特定されると、ステップS55に進み、さらに、ステップS56に進む。ステップS55は上記ステップS4と同様であり、ステップS56は上記ステップS5と同様である。
【0077】
本変形例によると、タグ情報読取り時における測位端末装置540の位置に基づいて、装着対象部特定情報を特定することができる。このため、携帯型RFIDリーダ555及びリーダ用通信装置562に、位置特定機能が無い場合においても、RFIDリーダ555に測位端末装置540を取付け、この測位端末装置540から位置情報を受信することによって、装着対象部特定情報を容易に特定することができる。
【0078】
なお、本変形例において、RFIDリーダ555と、測位端末装置540との通信形式が同じである場合等には、位置特定用通信装置564とリーダ用通信装置562とは同じ通信装置によって構成されていてもよい。
【0079】
上記変形例において、緯度経度を基準とする座標系と、鉄道車両20が表現される座標系との相対的な位置関係とは、利用者等によって手入力されてもよい。
図9に示すように、鉄道車両20における台車24に対して予め決められた位置に基準測位端末装置540Bを設置するようにしてもよい。基準測位端末装置540Bは、上記測位端末装置540と同様に、測位信号に基づいて自己の位置を特定すると共に特定された位置情報を送信する無線通信を行う。つまり、測位端末装置540と基準測位端末装置540Bとは、同じ座標系において自己の位置を特定する。
【0080】
この場合、タグ位置登録装置570は、位置特定用通信装置564等を通じて基準測位端末装置540Bとの間で無線通信を行い、当該基準測位端末装置540Bの位置情報を受信することができる。これにより、タグ位置登録装置570は、測位端末装置540の位置及び基準測位端末装置540Bの位置に基づいて、装着対象部特定情報を特定することができる。例えば、基準測位端末装置540Bは、鉄道車両20における台車24に対して予め決められた位置に設置される。このため、予め台車24における基準測位端末装置540Bの設置位置が登録されていれば、当該登録データ及び測位された基準測位端末装置540Bの位置に基づいて、緯度経度を基準とする座標系における台車24の位置が特定され得る。これにより、利用者等による手入力がなくても、緯度経度を基準とする座標系から鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算式が容易に特定される。そして、当該特定された演算式に基づいて、緯度経度を基準として特定されるRFIDタグ34の位置を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算を実行することで、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が特定される。
【0081】
なお、基準測位端末装置540Bは、1つであってもよいし、複数であってもよい。複数の基準測位端末装置540Bが設けられれば、緯度経度を基準とする座標系における台車24の姿勢が容易に特定され得る。しかしながら、台車24が軌道18上に設けられれば、通常、姿勢は一定である。このため、基準測位端末装置540Bは1つであってもよい。測位端末装置540及び基準測位端末装置540Bの位置がベース発信装置の設置位置を基準として測位される場合も、上記と同様に、処理され得る。
【0082】
このように基準測位端末装置540Bを追加すると、測位端末装置540の位置と基準測位端末装置540Bの位置とが同じ座標系における位置として特定され得る。このため、緯度経度等を基準として特定されるRFIDタグ34の位置を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算を実行すること等により、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が容易に特定される。
【0083】
タグ位置登録装置570は、RFIDリーダ555がRFIDタグ34を読取る毎に、基準測位端末装置540Bの位置情報を受信してもよい。タグ位置登録装置570は、RFIDリーダ555が複数のRFIDタグ34を順次読取る前の事前準備段階又は事後段階で、基準測位端末装置540Bの位置情報を受信してもよい。
【0084】
図10は変形例に係るタグ位置登録システム652を示すブロック図である。
【0085】
RFIDリーダ555は、上記変形例におけるRFIDリーダ555と同様である。
【0086】
このRFIDリーダ555に対して、当該RFIDリーダ555と一緒に移動するように、位置特定用発信機640が組合わされている。位置特定用発信機640は、例えば、コイン形状又はタグ形状に形成される。位置特定用発信機640は、RFIDリーダ555に対して取付けられる。取付は、例えば、接着剤、両面テープ、粘着テープ、ねじ締め等によって行われてもよい。このように、RFIDリーダ555に対して位置特定用発信機640が取付けられることによって、位置特定用発信機640がRFIDリーダ555と一緒に移動する。よって、位置特定用発信機640の位置を特定できれば、RFIDリーダ555の位置を特定することができる。なお、RFIDリーダ555におけるRFIDタグ34の読取り用のアンテナ56と位置特定用発信機640の取付位置とが離れている場合、両者の相対的な位置関係に応じて、位置特定用発信機640の位置を補正してRFIDリーダ555の位置を特定してもよい。位置特定用発信機640は、位置特定用信号送信部642を含む。位置特定用信号送信部642は、位置特定用の信号を発信する。
【0087】
タグ位置登録制御装置60に対応するタグ位置登録制御装置660は、リーダ用通信装置562と、位置特定装置(位置特定部)664と、タグ位置登録装置(制御部)670とを備える。
【0088】
リーダ用通信装置562は、上記変形例におけるリーダ用通信装置562と同様である。
【0089】
位置特定装置664は、位置特定用発信機640からの位置特定用の発信信号に基づいて位置特定用発信機640の位置を特定する。位置特定装置664は、例えば、アンテナ665と、距離測定部666aと、方位測定部666bとを含む。距離測定部666aは、位置特定装置664におけるアンテナ665と位置特定用発信機640との距離を測定する処理を実行する。例えば、距離測定部666aは、上記距離測定部64aと同様に、発信信号の電波強度に基づいて発信源である位置特定用発信機640迄の距離を演算する処理を実行する。方位測定部666bは、アンテナ665に対する位置特定用発信機640の方位を測定する処理を実行する。例えば、方位測定部666bは、上記方位測定部64bと同様に、複数のアンテナ665における、位置特定用発信機640からの受信信号の位相差に基づいて、当該アンテナ665に対する位置特定用発信機640の相対的な方位を演算する処理を実行する。
【0090】
位置特定装置664の処理は、上記と同様に、例えば、ブルートゥースのバージョン5.1に準じた処理によって実現されてもよい。位置特定装置664の処理は、Wi-Fi(登録商標)の電波、UWB(Ultra Wide Band)の電波、超音波等を利用した周知の測位技術が適用されてもよい。位置特定用発信機640は、位置特定装置664における測位処理に応じた発信信号を発する。位置特定装置664は、発信信号を受信する複数の受信機を含み、当該複数の受信機における信号強度等に基づいて位置特定用発信機640の位置を特定されることも考えられる。
【0091】
タグ位置登録装置670は、タグ位置登録装置70に対応しているが、登録プログラム673aに基づく、位置特定に関する処理がタグ位置登録装置70とは異なっている。ここでは、タグ位置登録装置670は、携帯型RFIDリーダ555がRFIDタグ34からタグ情報を読取るタイミングに合わせて、位置特定装置664が発信信号に基づいて位置特定用発信機640の位置を特定し、位置特定用発信機640の位置に基づいて装着対象部特定情報を特定する。
【0092】
図11はタグ位置登録装置670における処理例を示すフローチャートである。
図12はタグ位置登録装置670の動作を示す説明図である。
【0093】
処理開始後、ステップS61において、携帯型RFIDリーダ555を通じたタグ情報の読取りの有無が判定される。読取り無と判定されるとステップS61の処理を繰返し、読取り有りと判定されると、次ステップS62に進む。例えば、利用者Pが鉄道車両20における台車24に装着されたRFIDタグ34の近くに携帯型RFIDリーダ555を移動させる。すると、携帯型RFIDリーダ555がRFIDタグ34を読取ってタグ情報をリーダ用通信装置562に送信する。
【0094】
ステップS62では、携帯型RFIDリーダ555を通じて読取られたタグ情報に含まれるIDを読取り、装着対象となっているRFIDタグ34をIDによって特定する。
【0095】
次ステップS63では、タグ位置登録装置670は、位置特定装置664を通じて当該位置特定用発信機640の位置を特定する。上記ステップS3に関して説明したのと同様に、ステップS62において特定されるIDと、ステップS63において特定される位置とは、同時間における情報であってもよいし、ずれた時間における情報であってもよい。
【0096】
次ステップS64では、位置特定用発信機640の位置に基づいて、装着対象となっているRFIDタグ34の位置を特定する。
【0097】
上記したように、位置特定用発信機640は、RFIDリーダ555に取付けられているため、位置特定用発信機640の位置に基づいてRFIDリーダ555の位置を特定できる。また、RFIDリーダ555の位置に基づいてRFIDタグ34の位置を特定することができる。このため、位置特定用発信機640の位置に基づいてRFIDタグ34の位置を特定することができる。
【0098】
また、上記位置特定用発信機640の位置は、位置特定装置664(特にアンテナ665)を基準とする座標系で特定される。このため、位置特定装置664を基準とする座標系と、鉄道車両20が表現される座標系との相対的な位置関係が既知であれば、上記と同様に、位置特定装置664を基準として特定されるRFIDタグ34の位置を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算を実行することで、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が特定される。
【0099】
本変形例によると、タグ情報読取り時における位置特定用発信機640の位置に基づいて、装着対象部特定情報を特定することができる。このため、携帯型RFIDリーダ555及びリーダ用通信装置562に、位置特定機能が無い場合においても、RFIDリーダ555に位置特定用発信機640を取付け、この位置特定用発信機640の位置を特定することによって、装着対象部特定情報を容易に特定することができる。
【0100】
なお、本変形例において、位置特定用発信機640が、RFIDリーダ555と同様の電波による発信を行う場合等には、位置特定装置664とリーダ用通信装置562とは同じ通信装置によって構成されていてもよい。
【0101】
本変形例において、位置特定装置664を基準とする座標系と、鉄道車両20が表現される座標系との相対的な位置関係とは、利用者等によって手入力されてもよい。
図13に示すように、鉄道車両20における台車24に対して予め決められた位置に基準位置特定用発信機640Bを設置するようにしてもよい。基準位置特定用発信機640Bは、上記位置特定用発信機640と同様に、位置特定のための信号を発信する装置である。
【0102】
この場合、位置特定装置664は、位置特定用発信機640の位置と、基準位置特定用発信機640Bの位置とを、位置特定装置664を基準とする同じ座標系において特定することができる。これにより、タグ位置登録装置670は、位置特定用発信機640の位置及び基準位置特定用発信機640Bの位置に基づいて、装着対象部特定情報を特定することができる。例えば、基準位置特定用発信機640Bは、鉄道車両20における台車24に対して予め決められた位置に設置される。このため、予め台車24における基準位置特定用発信機640Bの設置位置が登録されていれば、当該登録データ及び特定された基準位置特定用発信機640Bの位置に基づいて、位置特定装置664を基準とする座標系における台車24の位置が特定され得る。これにより、利用者等による手入力がなくても、位置特定装置664を基準とする座標系から鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算式が容易に特定される。そして、当該特定された演算式に基づいて、位置特定装置664を基準として特定されるRFIDタグ34の位置を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算を実行することで、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が特定される。
【0103】
なお、上記基準測位端末装置540Bについて述べたのと同様に、基準位置特定用発信機640Bは、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0104】
このように、基準位置特定用発信機640Bを追加すると、位置特定用発信機640の位置と基準位置特定用発信機640Bの位置とが同じ座標系における位置として特定され得る。このため、アンテナ665を基準として特定されるRFIDタグ34の位置を、鉄道車両20を基準とする座標系に変換する演算等を実行することで、当該鉄道車両20におけるRFIDタグ34の位置が容易に特定される。
【0105】
なお、タグ位置登録装置670は、RFIDリーダ555がRFIDタグ34を読取る毎に、基準位置特定用発信機640Bの位置を特定してもよい。タグ位置登録装置670は、RFIDリーダ555が複数のRFIDタグ34を順次読取る前の事前準備段階又は事後段階で、基準位置特定用発信機640Bの位置情報を受信してもよい。
【0106】
上記実施形態、上記各変形例及び後で説明する各変形例において、
図14に示すように、RFIDリーダ55は、RFIDタグ34を対象物に取付ける装置に組込まれていてもよい。
【0107】
図14に示す貼付け工具710では、複数のRFIDタグ34が、帯状の供給テープ712に貼付けられた状態で供給される。貼付け工具710は、連続的に供給されるRFIDタグ34のうちの1つを、レバー714の操作によって対象物に向けて押出すことによって、RFIDタグ34が粘着層を介して対象物720に装着されるようにする。
【0108】
貼付け工具710の本体部711のうち装着されるRFIDタグ34が供給される位置に対向するようにRFIDリーダ55が取付けられる。このため、RFIDタグ34は、装着対象となる1つのRFIDタグ34を読取ることができる。RFIDリーダ55は、レバー714の操作に連動してRFIDタグ34を読取るようにしてもよい。
【0109】
上記
図6から
図9における変形例又は
図10から
図13における変形例を想定した場合、測位端末装置540又は位置特定用発信機640は、本体部711に取付けられればよい。この場合も、測位端末装置540又は位置特定用発信機640が、RFIDリーダ55と一緒に移動するように当該RFIDリーダ55と組合わされる一例である。
【0110】
また、例えば、鉄道車両20とRFIDリーダ55とを撮像する撮像部を用い、RFIDリーダ55がRFIDタグ34のタグ情報を読取るタイミングにおいて、撮像部を通じて得られる撮像画像におけるRFIDリーダ55の位置を特定し、そのRFIDリーダ55の位置に基づいてRFIDタグ34の位置を特定した装着対象部特定情報を特定してもよい。
【0111】
撮像画像におけるRFIDリーダ55の位置を特定する処理として、例えば、撮像部としてステレオカメラを用い、ステレオカメラによって得られた立体撮像画像データにおいてRFIDリーダ55の存在位置を抽出する抽出処理を実行してRFIDリーダ55の位置を特定してもよい。この場合において、RFIDリーダ55に認識用のマーカーを付してもよい。マーカーMは、QRコード(登録商標)等、特徴的な画像であってもよい。RFIDタグ34の位置が2次元座標によって特定されればよい場合、撮像部は2次元画像を撮像するカメラであってもよい。
【0112】
撮像画像におけるRFIDリーダ55の位置を特定する処理において、撮像部により得られた撮像データに、深度センサ等の他のセンサの情報が統合されて、RFIDリーダ55の位置が特定されてもよい。
【0113】
なお、撮像部を基準とする座標系と、鉄道車両20を基準とする座標系とが異なる場合、両者の位置関係が既知である前提において、撮像部を基準とする座標系において特定されたRFIDタグ34の位置が、鉄道車両20を基準とする座標系に変換されるとよい。
【0114】
なお、基準位置画像認識用のマーカーを鉄道車両20の所定位置に設け、撮像部を基準とする座標系と、鉄道車両20を基準とする座標系との相対的な位置関係を特定するようにしてもよい。
【0115】
図15はタグ位置登録制御装置60の変形例に係るタグ位置登録制御装置160を示すブロック図である。本変形例では、複合現実技術を利用して、RFIDタグ34の位置を特定する例が示される。
【0116】
タグ位置登録制御装置160は、現実空間における鉄道車両20に、鉄道車両20の3次元モデルデータを重ね合せ、撮像部190を通じて得られる撮像画像におけるRFIDリーダ55の位置を、鉄道車両20の3次元モデルデータの座標系における位置として特定するように構成される。
【0117】
本実施形態では、タグ位置登録制御装置160は、固定側近距離通信装置162と、タグ位置登録装置70と、座標特定装置180と、撮像部190と、表示装置195とを備える。
【0118】
固定側近距離通信装置162は、上記固定側近距離通信装置62において距離測定部64a及び方位測定部64bが無くてもよい点を除いて当該固定側近距離通信装置62と同様構成である。タグ位置登録制御装置160は、上記実施形態におけるタグ位置登録制御装置60と同様にタグ位置を登録するように構成される。
【0119】
撮像部190は、複数(ここでは2つ)のカメラ192を含む。撮像部190は、鉄道車両20を撮像可能な位置に設けられている。複数のカメラ192からの異なる位置からの撮像画像が座標特定装置180に与えられる。座標特定装置180は、複数のカメラ192からの撮像画像に基づいて、当該複数のカメラ192に写り込んだ対象物の3次元的な位置及び姿勢を認識することができる。撮像部190に加えて深度センサからの検出出力が座標特定装置180に与えられ、当該深度センサからの出力をも加味して、対象物の3次元的な位置及び姿勢が把握されてもよい。撮像部190は、単一のカメラを含み、座標特定装置180は、単一のカメラからの撮像画像と深度センサからの出力に基づいて対象物の3次元的な位置及び姿勢を認識してもよい。
【0120】
表示装置195は、立体表示が可能な表示装置であり、例えば、眼鏡型の表示装置である。座標特定装置180からの立体表示画像信号が表示装置195に出力されることで、立体表示画像信号に応じた立体画像が表示装置195に表示される。眼鏡型の表示装置195の左眼用表示部及び右眼用表示部のそれぞれに、両眼視差に応じて異なる画像が表示されてもよい。この場合、利用者は表示装置195に表示される画像を立体的に認識することができる。RFIDタグ34の装着作業を行う利用者が本表示装置195を頭部に装着することで、利用者が立体画像を見ることができる。表示装置195における表示部分は、透過可能に構成されており、その透過部分に立体画像が表示されてもよい。これにより、利用者は、現実空間に、立体画像を重ね合せて観察することができる。表示装置195における表示画像が立体的に表現されることは必須ではない。表示装置195が眼鏡型の表示装置であることは必須ではなく、机、台等の上に設置可能な液晶表示装置等であってもよい。
【0121】
上記撮像部190は、表示装置195と一体的に組合わされていてもよい。撮像部190が表示装置195に一体的に組合わされていれば、座標特定装置180において、撮像部190で得られた画像に基づいて、現実空間における表示装置195の相対的な位置、姿勢が把握され得る。また、撮像部190が、表示装置195と別体であっても、撮像部190が表示装置195が映り込んだ現実空間を撮像することで、撮像部190で得られた画像に基づいて、現実空間における表示装置195の相対的な位置、姿勢が把握され得る。
【0122】
座標特定装置180は、演算処理装置182、記憶部183及びRAM等を備えるコンピュータによって構成されている。演算処理装置182は、CPU等のプロセッサにより構成される。記憶部183は、HDD、SSD等の不揮発性記憶装置によって構成されている。記憶部183には、座標特定プログラム183a、鉄道車両20の3次元モデルデータ183bが格納されている。3次元モデルデータ183bは、鉄道車両20のうちRFIDタグ34の装着部分を含む部分的なデータであってもよい。本実施形態では、3次元モデルデータ183bは、台車24を示すデータであり、鉄道車両20の設計データ等である。演算処理装置182が記憶部183に記憶された座標特定プログラム183aに記述された処理を実行する。これにより、座標特定装置180は、RFIDタグ34を読取るRFIDリーダ55の座標を特定する処理を実行する。
【0123】
本実施形態において、座標特定装置180は、上記撮像部190及び表示装置195と共に、現実空間に仮想空間を組合わせた複合現実を提供する端末装置として構成される。すなわち、座標特定装置180は、撮像部190で撮像された撮像画像に基づいて、現実空間における表示装置195の位置及び姿勢を演算することができる。現実空間における表示装置195の位置及び姿勢が特定される結果、現実空間における座標系と、表示装置195において表示可能な仮想空間における座標系とを相互に変換することが可能となる。これにより、表示装置195に表現される仮想物を、現実空間に複合させて表示することが可能となる。
【0124】
図16は座標特定装置180における処理例を示すフローチャートである。
【0125】
処理開始後、ステップS11において、表示装置195に、台車24を示す3次元モデルデータ183bに基づく台車モデル24Mを表示する。座標特定装置180は、上述したように複合現実端末装置として構成されており、利用者Pが目視する鉄道車両20の台車24部分(
図17の矢符A参照)に、3次元モデルデータ183b(
図17の矢符B参照)に基づく台車モデル24Mを重ね合せて表示することができる(
図17の矢符C参照)。利用者Pが目視する鉄道車両20の台車24部分(つまり、現実空間における台車24部分)に対する、3次元モデルデータ183bの位置調整は、利用者等による手動調整によってなされてもよい。例えば、複合現実端末装置においては、撮像部等によって利用者の手を認識処理することによって、仮想物体を、手で操作して現実空間において動かすように表現することが可能である。本実施形態においても、3次元モデルデータ183bに基づく台車モデル24Mを利用者の手で動かして、鉄道車両20の台車24部分に重ね合せてもよい。現実の台車24部分に対する3次元モデルデータ183bの位置調整は、例えば、撮像部190によって撮像された画像に基づいて特徴点を抽出し、当該特徴点にマッチングする3次元モデルデータ183bの位置、姿勢、縮尺サイズ等を特定する処理によって実現されてもよい。
【0126】
現実空間における台車24部分に、台車24の3次元モデルデータ183bが重ね合されることで、
図17に示すように、現実空間におけるXYZ座標系と、台車24の3次元モデルデータ183bを基準とするxyz座標系とが一致して認識されることになる。
【0127】
なお、表示装置195において、台車24の3次元モデルデータ183bに基づく台車モデル24Mが表示されていることは必須ではない。
【0128】
次ステップS12において、位置問い合せの有無が判定される。この位置問い合せは、タグ位置登録装置70からの問い合せである。すなわち、
図5のフローチャートに示すように、タグ位置登録装置70は、タグ情報読取り有りと判定されると(ステップS1)、ID読取りを行い(ステップS2)、さらに、位置特定を行う(ステップS3)。この位置特定は、タグ位置登録装置70が、座標特定装置180に位置問い合せを行い、その返答をもって位置を特定することで実行される。ステップS12における位置問い合せは、タグ位置登録制御装置60が読取ったIDを有するRFIDタグ34の位置に対する問い合せである。本ステップS12において、タグ位置登録制御装置60から座標特定装置180に位置問い合せがなされると、YESと判定され、位置問い合せが無い場合NOと判定される。NOと判定されると、ステップS11に戻り、YESと判定されると、ステップS13に進む。
【0129】
ステップS13では、撮像部190で撮像された画像に基づき、マッチング処理等を行ってマーカーMの位置を抽出する。
【0130】
次ステップS14では、抽出されたマーカーMの位置を、3次元モデルデータ183bの座標系におけるRFIDリーダ55の位置として特定する。上記したように、利用者Pが目視する鉄道車両20の台車24部分に、3次元モデルデータ183bが重ね合されているため、上記撮像画像に基づくRFIDリーダ55の位置は、そのまま台車24の3次元モデルデータ183bを基準とするxyz座標系における位置として特定され得る。
【0131】
次ステップS15では、終了指令の有無が判定され、終了指令有りと判定されると処理を終了し、終了指令無と判定されると、ステップS11に戻り、上記処理を繰返し、複数のRFIDタグ34の位置を次々と装着対象部特定情報73bに登録していく。
【0132】
本変形例においても、RFIDタグ34の装着位置が容易に把握される。また、タグ情報読取り時における携帯型RFIDリーダ55の位置に基づいて、装着対象部特定情報73bを容易に特定することができる。
【0133】
また、携帯型RFIDリーダ55の位置特定を、撮像画像に基づいて容易に特定できる。
【0134】
撮像画像に基づいてRFIDリーダ55の位置特定を行う際、現実空間における対象装置である台車24部分に、対象装置の3次元モデルデータ183bを重ね合せる。そして、撮像部190を通じて得られる撮像画像におけるRFIDリーダ55の位置を、対象装置の3次元モデルデータ183bの座標系における位置として特定する。これにより、対象装置の3次元モデルデータ183bを基準として、RFIDリーダ55の3次元位置を容易に特定できる。
【0135】
タグ位置表示システム54の一例について説明する。
図18はタグ位置表示システム54を示すブロック図である。タグ位置表示システム54は、対象装置である鉄道車両20に装着されたRFIDタグ34の装着位置を表示するためのシステムである。例えば、タグ位置表示システム54は、RFIDタグ34に基づく車両の状態情報に基づいて、鉄道車両20のメンテナンス作業を実施する際に、RFIDタグ34の装着位置を容易に確認できるようにすることに貢献する。タグ位置表示システム54は、タグ位置表示制御装置80と、表示部98とを備える。
【0136】
タグ位置表示制御装置80は、演算処理装置82、記憶部83及びRAM等を備えるコンピュータによって構成されている。演算処理装置82は、CPU等のプロセッサにより構成される。記憶部83は、HDD、SSD等の不揮発性記憶装置によって構成されている。記憶部83には、表示プログラム83a、装着対象部特定情報83b、3次元モデルデータ83c等が格納されている。装着対象部特定情報83bは、タグ位置登録システム52によって生成されたデータである。3次元モデルデータ83cは、鉄道車両20におけるRFIDタグ34の装着部分であり、例えば、台車24部分である。3次元モデルデータ83cは、設計データ等である。演算処理装置82が記憶部83に記憶された表示プログラム83aに記述された処理を実行する。これにより、タグ位置表示制御装置80は、装着対象部特定情報83bに基づいて、RFIDタグ34の装着位置を示す表示用画像99を生成する。
図18においては、3次元モデルデータ83cに基づく台車モデル24Mに、RFIDタグ34の装着位置を示す丸印のマーク99Mが付された表示用画像99が例示されている。タグ位置表示システム54が実行する各処理は、複数のコンピュータによって分散して処理されてもよい。
【0137】
表示部98は、生成された表示用画像99を表示する表示装置である。表示部98は、例えば、液晶表示装置である。表示部98は、固定箇所に設置される表示装置であってもよいし、持運び可能な表示装置であってもよい。表示部98は、スマートフォン、タブレット端末装置であってもよい。
【0138】
図19はタグ位置表示制御装置80における処理例を示すフローチャートである。
【0139】
処理開始後、ステップS21において、装着対象部特定情報83bを読込む。次ステップS22において3次元モデルデータ83cを読込む。
【0140】
次ステップS23において、3次元モデルデータ83cにおける座標系空間に、装着対象部特定情報83bにおける各装着位置をマッピングし、3次元モデルデータ83cに装着位置をマッピングしたマッピングデータを生成し、このマッピングデータに基づいて表示用画像99を生成する。本例では、表示用画像99は、3次元モデルデータ83cに基づく台車モデル24Mに装着位置を示すマーク99Mを合成したマッピングデータとして生成される。表示用画像99は、3次元画像として生成されてもよいし、2次元画像として生成されてもよい。
【0141】
次ステップS24において、表示用画像99が表示部98に表示される。この後、処理を終了する。
【0142】
表示部98は、鉄道車両20のメンテナンスや製造等を行う利用者に対して視認可能に表示される。利用者は、表示部98に表示された表示用画像99を見ることで、鉄道車両20におけるRFIDタグ34の装着位置を容易に把握することができる。
【0143】
本タグ位置表示システム54及びタグ位置表示方法によると、管理システムの利用者が表示用画像を視ることによって、RFIDタグ34の装着位置が容易に把握される。これにより、例えば、鉄道車両20のメンテナンス作業に要する工数が低減される。
【0144】
また、表示用画像99において、3次元モデルデータ83cに基づく台車モデル24Mに装着位置を示すマーク99Mが重ね合せて表示されるため、RFIDタグ34の3次元的な装着位置を把握し易い。
【0145】
表示用画像99における装着位置の表現例は上記例に限られず、各種表現が適用可能である。
図20はタグ位置表示システム54の変形例に係るタグ位置表示システム256を示すブロック図である。本変形例では、複合現実技術を利用して、RFIDタグ34の位置を表示する例が示される。
【0146】
本例では、タグ位置表示システム256は、タグ位置表示制御装置280と、撮像部290と、表示装置295とを備える。タグ位置表示システム256は、現実空間における台車24部分に対して、RFIDタグ34の装着位置を示す画像を複合させて表示するシステムである。
【0147】
タグ位置表示制御装置280は、表示プログラム283aが表示プログラム83aと異なる点を除き、上記タグ位置表示制御装置80と同様構成である。
【0148】
撮像部290は、上記撮像部190と同様に、複数(ここでは2つ)のカメラ292を含む。撮像部290は、鉄道車両20を撮像可能な位置に設けられている。複数のカメラ292からの異なる位置からの撮像画像がタグ位置表示制御装置280に与えられる。タグ位置表示制御装置280は、複数のカメラ292からの撮像画像に基づいて、当該複数のカメラ292に写り込んだ対象物(鉄道車両20)の3次元的な位置及び姿勢を認識することができる。撮像部290に加えて深度センサからの検出出力がタグ位置表示制御装置280に与えられ、当該深度センサからの出力をも加味して、対象物(鉄道車両20)の3次元的な位置及び姿勢が把握されてもよい。撮像部は、単一のカメラを含み、タグ位置表示制御装置280は、単一のカメラからの撮像画像と深度センサからの出力に基づいて対象物(鉄道車両20)の3次元的な位置及び姿勢を認識してもよい。
【0149】
表示装置295は、上記表示装置195と同様に、立体表示が可能な表示装置であり、例えば、眼鏡型の表示装置である。タグ位置表示制御装置280からの立体表示画像信号が表示装置295に出力されることで、立体表示画像信号に応じた立体画像が表示装置295に表示される。例えば、眼鏡型の表示装置295の左眼用表示部及び右眼用表示部のそれぞれに、両眼視差に応じて異なる画像が表示されることで、利用者は表示装置295に表示される画像を立体的に認識することができる。表示装置295に表示される画像は、立体的に認識可能な画像であることは必須ではない。表示装置295が眼鏡型の表示装置であることは必須ではない。
【0150】
RFIDタグ34を利用したメンテナンス作業を行う利用者が本表示装置295を頭部に装着することで、利用者が立体画像を見ることができる。表示装置295における表示部分は、透過可能に構成されており、その透過部分に立体画像が表示されてもよい。これにより、利用者は、現実空間に、立体画像を重ね合せた複合現実空間を観察することができる。
【0151】
上記撮像部290は、表示装置295と一体的に組合わされていてもよい。撮像部290が表示装置295に一体的に組合わされていれば、タグ位置表示制御装置280において、撮像部290で得られた画像に基づいて、現実空間における表示装置295の相対的な位置、姿勢が把握され得る。撮像部290が、表示装置295と別体であっても、撮像部290が表示装置295が映り込んだ現実空間を撮像することで、撮像部290で得られた画像に基づいて、現実空間における表示装置295の相対的な位置、姿勢が把握され得る。
【0152】
タグ位置表示制御装置280における演算処理装置82は、表示プログラム283aに記述された処理を実行する。これにより、タグ位置表示制御装置280は、
図15から
図17に示す変形例と同様に、表示装置295に表現される仮想物を、現実空間に複合させて表示する複合現実端末装置として構成される。
【0153】
図21はタグ位置表示制御装置280における処理例を示すフローチャートである。
【0154】
処理開始後、ステップS31において、装着対象部特定情報83bを読込む。次ステップS32において3次元モデルデータ83cを読込む。
【0155】
次ステップS33において、3次元モデルデータ83cにおける座標系空間と、装着対象部特定情報83bにおける各装着位置の座標をマッピングし、3次元モデルデータ83cに装着位置をマッピングしたマッピングデータを生成する。
【0156】
次ステップS34において、マッピングデータにおける装着位置を、現実空間に合せた表示用画像を生成する。例えば、上記したように、現実空間における表示装置295の位置及び姿勢が認識されているため、その位置及び姿勢関係に基づいて、3次元モデルデータ83cにおける座標系空間に表れた装着位置を、現実空間における台車24部分に対する装着位置に変換する。変換後の装着位置に基づいて、現実空間に合わせた装着位置を示す表示用画像が生成される。
図20に示す例では、表示装置295において装着位置が丸印のマーク299Mで示された表示用画像299が表示される。表示用画像299は、3次元画像として生成されもよいし、2次元画像として表示されてもよい。
【0157】
次ステップS35において、表示用画像299が表示装置295に表示される。この後、処理を終了する。
【0158】
表示装置295は、鉄道車両20のメンテナンスを行う利用者に対して視認可能に表示される。利用者は、表示装置295に表示された表示用画像299を見ることで、現実空間における鉄道車両20(ここでは台車24部分)に対して重ね合されたRFIDタグ34の装着位置を示すマーク299Mを容易に把握することができる。本処理は、利用者による本システムの利用中、継続的に行われ、利用者が観察する現実空間に対して表示用画像299がリアルタイムで更新されて表示されてもよい。
【0159】
本変形例によると、現実空間における台車24部分に、RFIDタグ34の装着位置が重ね合されるため、現実空間において、RFIDタグ34の装着位置を把握し易い。
【0160】
図22は他の変形例に係るタグ位置表示システム356を示すブロック図である。本変形例に係るタグ位置表示システム356が上記変形例に係るタグ位置表示システム256と異なる点は、表示用画像299に対応する表示用画像399として、RFIDタグ34の状態表示を示す画像を生成する点である。すなわち、タグ位置表示制御装置280に対応するタグ位置表示制御装置380における記憶部83にIDリスト383dが格納される。IDリスト383dは、タグ管理システム30によって取得されたリストである。IDリスト383dは、例えば、IDに当該IDを有するRFIDタグ34が取付けられた車両状態が対応付けられたリストである。例えば、IDリスト383dは、各IDに対して可又は不可が対応付けられたリストである。
【0161】
タグ位置表示制御装置380における演算処理装置82が記憶部83に格納された表示プログラム383a(マークを区別する以外は表示プログラム283aと同様であってもよい)に記述された手順に従って表示用画像399を生成する際、装着位置を示すマーク399M1、399M2として、状態を示すように区別されたマークが用いられる。例えば、状態が良好である装着位置に対しては丸印のマーク399M1が表示され、状態が不良である装着位置に対してはX印のマーク399M2が表示される。
【0162】
本変形例によると、表示用画像399において、RFIDタグ34の装着位置と鉄道車両20の状態とを容易に把握できる。
【0163】
上記実施形態及び各変形例では、RFIDタグ34の取付対象である対象物が鉄道車両20又は鉄道車両20の台車24である場合が説明された。対象物は、鉄道車両20等に限定されず、各種装置、各種機械、各種構造体等であってもよい。対象物は、例えば、複数の物が組合わされた複合物であってもよい。この場合、装着対象部は複数の物の連結部であってもよい。対象物は、ネジによって固定された部分を含む物であってもよい。この場合、装着対象部はネジ又はネジ止された部分であってもよい。
【0164】
図23は対象物の一例を示す説明図である。
図23では、道路の料金所(例えば、ETC(Electronic Toll Collection System)のための料金所)に設けられるゲート800が示される。ゲート800は、道路の両側に立設される2つの柱802と、2つの柱802の間に掛渡される水平部804とを含む。柱802の上部と水平部804との連結部分がボルトBによって締結固定される場合がある。また、ゲート800の水平部804に、道路料金徴収のための無線装置808、看板等が支持される場合があり、その支持のためにボルトBが用いられる場合がある。このようなボルトBの弛みを検出するために、当該ボルトBの頭部とゲート800とにRFIDタグ34が貼付けられる場合がある。上記実施形態及び変形例において説明したタグ位置情報管理システム、タグ位置登録システム、タグ位置表示システムは、そのような装着箇所に装着されるRFIDタグ34にも適用可能である。
【0165】
また、対象物は、トンネル又は橋の構造体、照明の支持柱、タワー(例えば、電話等)等であってもよい。装着対象部は、これらの対象物における構造要素の連結部、ケーブル(電力ケーブル等)等の支持対象物の支持体(例えば、ケーブルを支持するブラケット)であってもよい。
【0166】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0167】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0168】
本開示は、下記各態様を含む。
【0169】
第1の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグと、前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダの読取対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定する処理と、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶する処理と、前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成する処理とを実行するタグ位置情報管理装置と、前記表示用画像を表示する表示部と、を備えるタグ位置情報管理システムである。
【0170】
このシステムによると、状態検知機能付RFIDタグのタグ情報をRFIDリーダによって読取ると、当該状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報が特定される。このため、RFIDタグの装着位置(座標又は装着部品(番号)によって表現される)が本管理システムにおいて容易に把握される。また、装着対象部特定情報に基づいて、状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像が表示部に表示される。このため、本管理システムの利用者が表示用画像を視ることによって、RFIDタグの装着位置が容易に把握される。
【0171】
第2の態様は、第1の態様に係るタグ位置情報管理システムであって、前記RFIDリーダは、前記状態検知機能付RFIDタグから前記タグ情報を読取可能な位置に移動可能な携帯型RFIDリーダであり、前記タグ位置情報管理装置は、前記携帯型RFIDリーダが前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定する。これにより、タグ情報読取り時における携帯型RFIDリーダの位置に基づいて、前記装着対象部特定情報を特定することができる。
【0172】
第3の態様は、第2の態様に係るタグ位置情報管理システムであって、前記タグ位置情報管理装置は、前記携帯型RFIDリーダとの間で、前記携帯型RFIDリーダの位置を特定可能な無線通信を行う通信部を含み、前記タグ位置情報管理装置は、前記通信部と前記携帯型RFIDリーダとを通じて前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記通信部を通じて前記携帯型RFIDリーダの位置を特定する。これにより、通信による位置特定機能を利用して携帯型RFIDリーダの位置を特定できる。
【0173】
第4の態様は、第2の態様に係るタグ位置情報管理システムであって、前記タグ位置情報管理装置は、前記携帯型RFIDリーダによる前記状態検知機能付RFIDタグの読取時に、前記対象物と前記RFIDリーダとを撮像する撮像部を含み、前記携帯型RFIDリーダを通じて前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングにおいて、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定する。これにより、撮像画像に基づいて前記装着対象部特定情報を特定できる。
【0174】
第5の態様は、第4の態様に係るタグ位置情報管理システムであって、前記タグ位置情報管理装置は、現実空間における前記対象物に、前記対象物の3次元モデルデータを重ね合せ、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を、前記対象物の3次元モデルデータの座標系における位置として特定する。これにより、3次元モデルデータを基準として、携帯型RFIDリーダの3次元位置を容易に特定できる。
【0175】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係るタグ位置情報管理システムであって、前記タグ位置情報管理装置は、前記装着対象部特定情報に基づき、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、前記対象物の3次元モデルデータにマッピングしたタグマッピングデータを生成し、前記タグマッピングデータに基づいて前記表示用画像を生成する。これにより、表示用画像において、状態検知機能付RFIDタグの3次元的な装着位置を加味できる。
【0176】
第7の態様は、第6の態様に係るタグ位置情報管理システムであって、前記タグ位置情報管理装置は、前記タグマッピングデータに基づいて、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、現実空間における前記対象物に重ね合せて表示可能な画像を生成する。これにより、現実空間における対象物に状態検知機能付RFIDタグの装着位置が重ね合されるため、現実空間において、状態検知機能付RFIDタグの装着位置を把握し易い。
【0177】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係るタグ位置情報管理システムであって、前記タグ位置情報管理装置は、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの状態表示を示す画像を生成する。これにより、表示用画像によって、状態検知機能付RFIDの装着位置と状態とを把握できる。
【0178】
第9の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を登録するタグ位置登録システムであって、前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダの読取り対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定する処理と、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶する処理とを実行する制御部と、を備える。
【0179】
このシステムによると、状態検知機能付RFIDタグのタグ情報をRFIDリーダによって読取ると、当該状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報が特定される。このため、RFIDタグの装着位置(座標又は装着部品(番号)によって表現される)が容易に把握される。
【0180】
第10の態様は、第9の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記RFIDリーダは、前記状態検知機能付RFIDタグから前記タグ情報を読取り可能な位置に移動可能な携帯型RFIDリーダであり、前記制御部は、前記携帯型RFIDリーダが前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定する。これにより、タグ情報読取り時における携帯型RFIDリーダの位置に基づいて、前記装着対象部特定情報を特定することができる。
【0181】
第11の態様は、第10の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記携帯型RFIDリーダと一緒に移動するように前記携帯型RFIDリーダと組合わされ、測位信号に基づいて自己の位置を特定すると共に特定された位置情報を送信する無線通信を行う測位端末装置と、前記測位端末装置との間で無線通信を行う位置特定用通信部と、をさらに備え、前記制御部は、前記携帯型RFIDリーダが前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記位置特定用通信部を通じて前記測位端末装置の位置情報を受信し、前記測位端末装置の位置に基づいて前記携帯型RFIDリーダの位置を特定する。これにより、タグ情報読取り時における測位端末装置の位置に基づいて装着対象部特定情報を特定することができる。このため、携帯型RFIDリーダに位置特定機能が無い場合においても、装着対象部特定情報を容易に特定することができる。
【0182】
第12の態様は、第11の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記対象物に対して予め決められた位置に設置され、測位信号に基づいて自己の位置を特定すると共に特定された位置情報を送信する無線通信を行う基準測位端末装置をさらに備え、前記制御部は、前記測位端末装置の位置及び前記基準測位端末装置の位置に基づいて、前記装着対象部特定情報を特定する。これにより、測位端末装置の位置と基準測位端末装置の位置とが同じ測位信号に基づく座標系における位置として特定され得る。基準測位端末装置は、対象物に対して予め決定された位置に設置されることから、測位端末装置の位置が、対象物における位置として容易に特定され得る。
【0183】
第13の態様は、第10の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記携帯型RFIDリーダと一緒に移動するように前記携帯型RFIDリーダと組合わされた位置特定用発信機と、前記位置特定用発信機からの発信信号に基づいて前記位置特定用発信機の位置を特定する位置特定部と、を備え、前記制御部は、前記携帯型RFIDリーダが前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記位置特定部を通じて前記位置特定用発信機の位置を特定し、前記位置特定用発信機の位置に基づいて前記携帯型RFIDリーダの位置を特定する。これにより、タグ情報読取り時における位置特定用発信機の位置に基づいて装着対象部特定情報を特定することができる。このため、携帯型RFIDリーダに位置特定機能が無い場合においても、装着対象部特定情報を容易に特定することができる。
【0184】
第14の態様は、第13の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記対象物に対して予め決められた位置に設置される基準位置特定用発信機をさらに備え、前記制御部は、前記位置特定用発信機の位置及び前記基準位置特定用発信機の位置に基づいて、前記装着対象部特定情報を特定する。これにより、位置特定用発信機の位置と基準位置特定用発信機の位置とが同じ座標系における位置として特定され得る。基準位置特定用発信機は、対象物に対して予め決定された位置に設置されることから、位置特定用発信機の位置が、対象物における位置として容易に特定され得る。
【0185】
第15の態様は、第10の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記携帯型RFIDリーダとの間で、前記携帯型RFIDリーダの位置を特定可能な無線通信を行う通信部をさらに備え、前記制御部は、前記通信部と前記携帯型RFIDリーダを通じて前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングに合わせて、前記通信部を通じて前記携帯型RFIDリーダの位置を特定する。これにより、通信による位置特定機能を利用して携帯型RFIDリーダの位置を特定できる。
【0186】
第16の態様は、第10の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記携帯型RFIDリーダによる前記状態検知機能付RFIDタグの読取り時に、前記対象物と前記RFIDリーダとを撮像する撮像部をさらに備え、前記制御部は、前記携帯型RFIDリーダを通じて前記状態検知機能付RFIDタグからタグ情報を読取るタイミングにおいて、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を特定し、前記撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置に基づいて前記装着対象部特定情報を特定する。これにより、撮像画像に基づいて前記装着対象部特定情報を特定できる。
【0187】
第17の態様は、第16の態様に係るタグ位置登録システムであって、前記制御部は、現実空間における前記対象物に、前記対象物の3次元モデルデータを重ね合せ、前記撮像部を通じて得られる撮像画像における前記携帯型RFIDリーダの位置を、前記対象物の3次元モデルデータの座標系における位置として特定する。これにより、携帯型RFIDリーダの3次元位置を容易に特定できる。
【0188】
第18の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を表示するタグ位置表示システムであって、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着対象部特定情報を記憶した記憶部と、前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成する制御部と、前記表示用画像を表示する表示部と、を備える。
【0189】
このシステムによると、本管理システムの利用者が表示用画像を見ることによって、RFIDタグの装着位置が容易に把握される。
【0190】
第19の態様は、第18の態様に係るタグ位置表示システムであって、前記制御部は、前記装着対象部特定情報に基づき、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、前記対象物の3次元モデルデータにマッピングしたタグマッピングデータを生成し、前記タグマッピングデータに基づいて前記表示用画像を生成する。これにより、表示用画像において、状態検知機能付RFIDタグの3次元的な装着位置を把握し易い。
【0191】
第20の態様は、第19の態様に係るタグ位置表示システムであって、前記制御部は、前記タグマッピングデータに基づいて、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を、現実空間における前記対象物に重ね合せて表示可能な画像を生成する。この場合、現実画像に状態検知機能付RFIDタグの装着位置が重ね合されるため、現実空間において、状態検知機能付RFIDタグの装着位置を把握し易い。
【0192】
第21の態様は、第18から第20のいずれか1つの態様に係るタグ位置表示システムであって、前記制御部は、前記表示用画像として、前記状態検知機能付RFIDタグの状態表示を示す画像を生成する。これにより、表示用画像によって、状態検知機能付RFIDの装着位置と状態とを把握できる。
【0193】
第22の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を登録するタグ位置登録方法であって、前記状態検知機能付RFIDタグからIDを含むタグ情報を読取るステップと、読取り対象である前記状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報を特定するステップと、前記装着対象部特定情報を記憶部に記憶するステップと、を備える。
【0194】
この方法によると、状態検知機能付RFIDタグのタグ情報を読取ると、当該状態検知機能付RFIDタグに応じた装着対象部特定情報が特定される。このため、RFIDタグの装着位置が容易に把握される。
【0195】
第23の態様は、対象物における装着対象部に装着された状態検知機能付RFIDタグの装着位置を表示するタグ位置表示方法であって、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着対象部特定情報が記憶部に記憶されており、前記装着対象部特定情報に基づいて、前記対象物における前記状態検知機能付RFIDタグの装着位置を示す表示用画像を生成するステップと、前記表示用画像を表示するステップと、を備える。
【0196】
この方法によると、利用者が表示用画像を見ることによって、RFIDタグの装着位置が容易に把握される。
【符号の説明】
【0197】
20 鉄道車両
24 台車
24M 台車モデル
30 タグ管理システム
34 状態検知機能付RFIDタグ
50 タグ位置情報管理システム
51 タグ位置情報管理装置
52、552、652 タグ位置登録システム
54、256、356 タグ位置表示システム
55、555 RFIDリーダ
57 RFID読取部
58 近距離通信部
59 アンテナ
60、160、560、660 タグ位置登録制御装置
62、162 固定側近距離通信装置
64 近距離通信制御部
64a 距離測定部
64b 方位測定部
70、570、670 タグ位置登録装置
72 演算処理装置
73 記憶部
73a 登録プログラム
73b 装着対象部特定情報
80、180、280、380 タグ位置表示制御装置
82、182 演算処理装置
83、183 記憶部
83a、283a、383a 表示プログラム
83b 装着対象部特定情報
83c、183b 3次元モデルデータ
98 表示部
99、299、399 表示用画像
99M、299M、399M1、399M2 マーク
183a 座標特定プログラム
190、290 撮像部
192、292 カメラ
195、295 表示装置
383d IDリスト
540 測位端末装置
540B 基準測位端末装置
562 リーダ用通信装置
564 位置特定用通信装置
640 位置特定用発信機
640B 基準位置特定用発信機
664 位置特定装置