(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】車側灯判定システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240724BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
B61L25/02 Z
(21)【出願番号】P 2020181070
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509335144
【氏名又は名称】株式会社JR西日本テクシア
(74)【代理人】
【識別番号】100113712
【氏名又は名称】野口 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】横井 偉士
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 潤
(72)【発明者】
【氏名】天野 勝裕
(72)【発明者】
【氏名】浅野 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 航太郎
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121834(JP,A)
【文献】特開2014-184803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00 - 99/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道における車側灯の状態を判定するための車側灯判定システムであって、
駅に設けられたカメラと、
入力された画像を複数のクラスに分類する分類器と、
前記分類器の出力が入力される判定部とを備え、
前記カメラによって撮像された画像中、前記駅に車両が停まっている場合にその車両の車側灯が1つだけ含まれる範囲が前記分類器に入力され、
前記分類器は、入力された画像が点灯状態の車側灯が写っているクラスに属する信頼度である点灯信頼度と、その画像が消灯状態の車側灯が写っているクラスに属する信頼度である消灯信頼度とを出力し、
前記点灯信頼度が所定の点灯信頼度閾値未満、かつ前記消灯信頼度が所定の消灯信頼度閾値以上であるとき、前記判定部は、消灯状態の車側灯を検出したとの判定結果を出力することを特徴とする車側灯判定システム。
【請求項2】
前記点灯信頼度が前記点灯信頼度閾値以上、かつ前記消灯信頼度が前記消灯信頼度閾値未満であるとき、前記判定部は、点灯状態の車側灯を検出したとの判定結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の車側灯判定システム。
【請求項3】
前記点灯信頼度が前記点灯信頼度閾値未満、かつ前記消灯信頼度が前記消灯信頼度閾値未満であるとき、前記判定部は、車側灯を検出しないとの判定結果を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車側灯判定システム。
【請求項4】
前記点灯信頼度が前記点灯信頼度閾値以上、かつ前記消灯信頼度が前記消灯信頼度閾値以上であるとき、前記判定部は、誤検出が発生したとの判定結果を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車側灯判定システム。
【請求項5】
前記分類器は、入力された画像を、点灯状態の車側灯が写っているクラスと、消灯状態の車側灯が写っているクラスとに分類する多層ニューラルネットワークであり、前記駅に車両が停まっている時に撮像された画像が入力されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車側灯判定システム。
【請求項6】
前記分類器は、入力された画像を、点灯状態の車側灯が写っているクラスと、消灯状態の車側灯が写っているクラスと、車側灯が写っていないクラスとに分類する多層ニューラルネットワークであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車側灯判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道における車側灯の状態を判定するための車側灯判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の車両には、乗客乗降用のドアの開閉状態を示す車側灯を車体側面の上部付近に有する。車側灯は、戸閉車側灯とも呼ばれ、ドアが閉まっていない時に点灯し、ドアが閉まっている時に消灯する。車掌は、車側灯の点灯と消灯を目視で確認することによって、ドアの開閉状態を判断する。しかし、車両の編成における全ての車側灯が車掌から見易い位置にあるとは限らない。そこで、車側灯の確認をバックアップする装置に対するニーズがある。
【0003】
従来から、点灯している車側灯を画像処理によって検出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、画像の高輝度領域を抽出し(同文献の
図6のS3)、点灯している車側灯(戸閉表示灯)を検出する(S4のY)。しかし、消灯している車側灯は、高輝度領域ではないので検出することができない。このため、点灯している車側灯を検出しない場合(S4のN)、車側灯の消灯状態とみなしている(S5)。
【0004】
しかし、車側灯の消灯状態はドアが閉まっている状態を意味するため、点灯状態の車側灯の検出がフェール(検出失敗)すると、実際にはドアが閉まっていないにもかかわらず、ドアが閉まっているとみなされ、発車が可能になるので、安全側のフェール(フェールセーフ)ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、消灯状態の車側灯を検出したとの判定が可能な車側灯判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車側灯判定システムは、鉄道における車側灯の状態を判定するための車側灯判定システムであって、駅に設けられたカメラと、入力された画像を複数のクラスに分類する分類器と、前記分類器の出力が入力される判定部とを備え、前記カメラによって撮像された画像中、前記駅に車両が停まっている場合にその車両の車側灯が1つだけ含まれる範囲が前記分類器に入力され、前記分類器は、入力された画像が点灯状態の車側灯が写っているクラスに属する信頼度である点灯信頼度と、その画像が消灯状態の車側灯が写っているクラスに属する信頼度である消灯信頼度とを出力し、前記点灯信頼度が所定の点灯信頼度閾値未満、かつ前記消灯信頼度が所定の消灯信頼度閾値以上であるとき、前記判定部は、消灯状態の車側灯を検出したとの判定結果を出力することを特徴とする。
【0008】
この車側灯判定システムにおいて、前記点灯信頼度が前記点灯信頼度閾値以上、かつ前記消灯信頼度が前記消灯信頼度閾値未満であるとき、前記判定部は、点灯状態の車側灯を検出したとの判定結果を出力することが好ましい。
【0009】
この車側灯判定システムにおいて、前記点灯信頼度が前記点灯信頼度閾値未満、かつ前記消灯信頼度が前記消灯信頼度閾値未満であるとき、前記判定部は、車側灯を検出しないとの判定結果を出力することが好ましい。
【0010】
この車側灯判定システムにおいて、前記点灯信頼度が前記点灯信頼度閾値以上、かつ前記消灯信頼度が前記消灯信頼度閾値以上であるとき、前記判定部は、誤検出が発生したとの判定結果を出力することが好ましい。
【0011】
この車側灯判定システムにおいて、前記分類器は、入力された画像を、点灯状態の車側灯が写っているクラスと、消灯状態の車側灯が写っているクラスとに分類する多層ニューラルネットワークであり、前記駅に車両が停まっている時に撮像された画像が入力されることが好ましい。
【0012】
この車側灯判定システムにおいて、前記分類器は、入力された画像を、点灯状態の車側灯が写っているクラスと、消灯状態の車側灯が写っているクラスと、車側灯が写っていないクラスとに分類する多層ニューラルネットワークであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車側灯判定システムによれば、カメラが画像を撮像し、車側灯が1つだけ含まれる範囲が分類器に入力され、点灯状態の車側灯が写っているクラスに属する信頼度(点灯信頼度)と、消灯状態の車側灯が写っているクラスに属する信頼度(消灯信頼度)とを分類器が出力するので、消灯状態の車側灯を検出したとの判定が可能となる。また、点灯信頼度が所定の点灯信頼度閾値未満、かつ消灯信頼度が所定の消灯信頼度閾値以上であるとき、判定部は、消灯状態の車側灯を検出したとの判定結果を出力するので、点灯信頼度の出力がフェールしても、消灯状態の車側灯を検出したとの判定結果が出力されるリスクが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車側灯判定システムのブロック構成図。
【
図2】同システムにおけるカメラの配置を示す平面図。
【
図3】点灯状態の車側灯を含む画像をモノクロ変換した画像。
【
図4】消灯状態の車側灯を含む画像をモノクロ変換した画像。
【
図6】ホームドアがある場合の同システムのブロック構成図。
【
図7】同システムにおける分類器の変形例の模式図。
【
図8】同システムにおける判定部の動作を示すフローチャート。
【
図9】同システムの判定結果をまとめて表示するブロック構成図。
【
図10】同システムの判定結果を個別に表示するブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る車側灯判定システムについて
図1乃至
図10を参照して説明する。
図1に示すように、車側灯判定システム1は、鉄道における車側灯2の状態を判定するためのシステムであり、カメラ3と、分類器5と、判定部6とを備える。本実施形態では、車側灯判定システム1は、さらに、カメラ3と分類器5との間に前処理部4を有する。カメラ3は、駅に設けられる。分類器5は、入力された画像を複数のクラスに分類する学習済みの画像分類器である。判定部6は、分類器5の出力が入力される。判定部6による判定結果は、例えば、表示部7に表示される。
【0016】
カメラ3によって撮像された画像中、駅に車両が停まっている場合にその車両の車側灯2が1つだけ含まれる範囲が分類器5に入力される。
【0017】
本実施形態では、
図2に示すように、各カメラ3は、駅に車両20が停まっている場合にその車両20の車側灯2が撮像範囲31に1つだけ含まれるように配置される。したがって、駅に車両20が停まっている時、カメラ3によって撮像された画像の全範囲を分類器5に入力しても、その画像中に車側灯2が1つだけ含まれる。なお、当然であるが、駅に車両20が停まっていない時、カメラ3によって撮像された画像に車側灯2は写っていない。
【0018】
車側灯判定システム1のカメラ3として旅客の乗降を監視するためのカメラを併用する場合等、カメラ3の撮像範囲は、分類器5にとって不必要に広い範囲となる。また、1台のカメラ3で複数の車側灯2を撮像する場合もある。そのような場合に対応するため、前処理部4が設けられる。前処理部4は、カメラ3によって撮像された画像から一定範囲を切り出して分類器5に出力する。その一定範囲には、駅に車両が停まっている場合にその車両の車側灯2が1つだけ含まれる。なお、カメラ3の撮像範囲の設定によっては前処理部4を省略してもよい。
【0019】
車側灯判定システム1の構成について詳述する。車側灯2は、車両のドアが閉まっていない時に点灯し、ドアが閉まっている時に消灯する戸閉車側灯である。点灯状態の車側灯2を
図3に示す。
図3の中央付近に写っている明るい部分が点灯状態の車側灯2である。消灯状態の車側灯2を
図4に示す。
図4の中央付近に写っている暗い部分(カラー画像では暗赤色の部分)が消灯状態の車側灯2である。消灯状態の車側灯2は、車両の屋根、ドア及び窓等との相対位置、並びに形状等が、点灯状態の車側灯2と同じである。また、駅のホームは、安全確保の観点から、照度が規定されている(JIS Z 9110:2010「照明基準総則」表19-駅舎)。このため、ホームにいる人は、消灯状態の車側灯2を視覚によって認識することができる。したがって、脳神経系をモデルとした多層ニューラルネットワークを用いることにより、点灯状態の車側灯2だけでなく、消灯状態の車側灯2も識別することが可能である。ただし、ディープラーニングを行う多層ニューラルネットワークを用いても100%の正解率を得ることは難しく、多層ニューラルネットワークの出力は、正解の確率(信頼度)で表される。
【0020】
カメラ3は、ビデオカメラであり、一定のフレームレートでカラー画像を撮像し、その画像をディジタルデータとして出力する。
【0021】
前処理部4、分類器5、判定部6は、車側灯判定システム1におけるデータ処理を行う機能部分であり、CPU、メモリ等のハードウェアを有し、ソフトウェアを実行することによって動作する。前処理部4、分類器5、判定部6は、同じハードウェアを共用しても、それぞれ別のハードウェアを有してもよい。分類器5は、並列計算能力を向上するためのGPU(Graphics Processing Unit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)を有してもよい。
【0022】
分類器5には、カメラ3によって撮像された画像が、前処理部4を介して入力される。前処理部4が無い場合、分類器5には、カメラ3によって撮像された画像が、直接入力される。
【0023】
分類器5の数理モデルを
図5に示す。本実施形態では、分類器5は、入力された画像を、点灯状態の車側灯2が写っているクラス50aと、消灯状態の車側灯2が写っているクラス50bとに分類する多層ニューラルネットワークである。この分類器5は、入力層51と、複数の中間層52(521、522、…52n)と、出力層53とを有し、入力層51から出力層53に向けて信号が伝達される。各中間層52は、複数のノード54(ニューロン)を有する(大きな白丸で図示)。出力層53は、2クラス50a、50bに対応する2つのノード54を有する。各ノード54は、層間において、エッジ55で接続される(線分で図示)。各エッジ55は、終端にシナプス56を有する(小さな白丸で図示)。ノード54への複数の入力から、シナプス強度を重みとする重み付き和(線形和)が計算される。ノード54の次のノード54への出力は、その重み付き和を活性化関数に入れて計算される。活性化関数は、例えばシグモイド関数又はReLU関数である。入力層51は、入力された画像のディジタルデータである。出力層53の出力は、点灯信頼度57aと消灯信頼度57bである。点灯信頼度57aは、分類器5に入力された画像が、点灯状態の車側灯2が写っているクラス50aに属する信頼度である。消灯信頼度57bは、分類器5に入力された画像が、消灯状態の車側灯2が写っているクラス50bに属する信頼度である。分類器5は、消灯信頼度=1-点灯信頼度の数式(余事象の確率)によって点灯信頼度から消灯信頼度を計算するのではなく、入力された画像から、点灯信頼度57aと消灯信頼度57bを多層ニューラルネットワークでそれぞれ計算する。
【0024】
分類器5の多層ニューラルネットワークに、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)を用いることが望ましい。一般的に、CNNは、画像内の識別対象物の位置が多少違っても識別することができる。このため、車両の停止位置が許容範囲内でずれても、分類器5は、車側灯2を識別することができる。
【0025】
分類器5は、駅に車両が停まっている時に撮像された画像が入力される(
図2参照)。車側灯判定システム1は、駅に車両が停まっている時に、その車両のドアの開閉状態を確認するためのものだからである。駅のホームにホームドアがある場合、それを制御するホームドアシステムは、車両がホームに停まっているとの停車情報を有する。このため、
図6に示すように、停車情報をホームドアシステム9から車側灯判定システム1に入力してもよい。これにより、前処理部4は、停車情報が入力されている時に、画像を分類器5に出力する。
【0026】
分類器5は、事前に学習済みである。その学習は、ディープラーニングの教師あり学習である。分類器5の学習において、点灯状態の車側灯2が写っている多数の画像と、消灯状態の車側灯2が写っている多数の画像が分類器5に入力され、分類器5の多層ニューラルネットワークが調整される。車側灯2の形状は、円形タイプや縦長タイプ等があり、車種によって同じとは限らない。また、車側灯2の車両の屋根、ドア及び窓等との相対位置も、車種によって同じとは限らない。このため、分類器5の学習用の画像は、カメラ3の撮像対象となる全ての車種の車側灯2について用意されることが望ましい。ただし、車側灯2の形状等の違いの数は、顔認識における顔の違いの数と比べると、各段に少ない。なお、今後、車側灯2の形状が標準化されることが望ましい。
【0027】
本実施形態の変形例として、
図7に示すように、分類器5は、入力された画像を3クラスに分類する多層ニューラルネットワークであってもよい。この分類器5は、入力された画像を、点灯状態の車側灯2が写っているクラス50aと、消灯状態の車側灯2が写っているクラス50bと、車側灯2が写っていないクラス50cとに分類する。出力層53は、それら3クラス50a、50b、50cに対応する3つのノード54を有する。出力層53の出力のうち、点灯信頼度57aと消灯信頼度57bが判定部6によって用いられる。車側灯2が写っていないクラス50cの信頼度57cは、学習において必要である。この分類器5の学習において、点灯状態の車側灯2が写っている多数の画像と、消灯状態の車側灯2が写っている多数の画像と、車両が停まっていない時に撮像された多数の画像が分類器5に入力され、分類器5の多層ニューラルネットワークが調整される。この変形例では、分類器5は、駅に車両が停まっているか否かにかかわらず、入力された画像を分類する。
【0028】
上記のように構成された車側灯判定システム1における判定動作について説明する。
図8に示すように、分類器5の出力が判定部6に入力される(ステップS101)。分類器5の出力は、点灯信頼度57aと消灯信頼度57bである。その点灯信頼度57aが所定の点灯信頼度閾値58a未満(ステップS102でNo)、かつ消灯信頼度57bが所定の消灯信頼度閾値58b以上であるとき(ステップS103でYes)、判定部6は、消灯状態の車側灯2を検出したとの判定結果を出力する(ステップS104)。
【0029】
点灯信頼度57aが点灯信頼度閾値58a以上(ステップS102でYes)、かつ消灯信頼度57bが消灯信頼度閾値58b未満であるとき(ステップS105でNo)、判定部6は、点灯状態の車側灯2を検出したとの判定結果を出力する(ステップS106)。
【0030】
点灯信頼度57aが点灯信頼度閾値58a未満(ステップS102でNo)、かつ消灯信頼度57bが消灯信頼度閾値58b未満であるとき(ステップS103でNo)、判定部6は、車側灯2を検出しないとの判定結果を出力する(ステップS107)。この時、ホームに車両が停まっていれば、車側灯判定システム1が車側灯2の検出を失敗した可能性がある。
【0031】
点灯信頼度57aが点灯信頼度閾値58a以上(ステップS102でYes)、かつ消灯信頼度57bが消灯信頼度閾値58b以上であるとき(ステップS105でYes)、判定部6は、誤検出が発生したとの判定結果を出力する(ステップS108)。カメラ3によって撮像された画像中、駅に車両が停まっている場合にその車両の車側灯2が1つだけ含まれる範囲が分類器5に入力されるので、その範囲に点灯状態の車側灯2と消灯状態の車側灯2が同時に写っていることはないからである。
【0032】
判定部6による判定結果は、表示部7に表示される(
図1参照)。表示部7は、ディスプレイであり、例えば、車掌から見易い位置に設けられる。車掌から直接見難い位置にある車側灯2が車両の1編成中1つである場合、配置されるカメラ3は1台となるので、
図1に示す構成で足りる。判定部6による判定結果は、カメラ3が撮像した画像と共に、表示部7に表示される。
【0033】
車両1編成に対して複数のカメラ3が配置される場合、
図9に示すように、各カメラ3に対応する判定部6による判定結果を、論理部8で1つの判定結果にまとめて、表示部7に表示してもよい。論理部8は、CPU、メモリ等のハードウェアを有し、ソフトウェアを実行することによって論理演算を行う。論理部8は、車側灯判定システム1と同じハードウェアを共用してもよい。また、論理部8は、半導体の論理回路であってもよい。論理部8は、入力される全ての判定結果が、消灯状態の車側灯2を検出したとの判定結果であるとき、全ての車側灯2が消灯しているとの判定結果(論理積)を表示部7に出力する。また、論理部8は、入力される全ての判定結果が、点灯状態の車側灯2を検出したとの判定結果であるとき、全ての車側灯2が点灯しているとの判定結果(論理積)を表示部7に出力する。この構成により、車側灯判定システム1による判定結果が見易くなる。論理部8よる判定結果は、カメラ3が撮像した画像と共に、表示部7に表示される。判定結果の表示は、例えば、記号(○、×)及び色彩である。例えば、カメラ3が9台ある場合、カメラ3が撮像した画像は、表示部7に9分割表示(3×3分割表示)される。
【0034】
図10に示すように、各カメラ3に対応する判定部6による判定結果を、個別に表示部7に表示してもよい。この構成により、個別の車側灯2の状態を知ることができる。
【0035】
以上、本実施形態に係る車側灯判定システム1によれば、カメラ3が画像を撮像し、車側灯2が1つだけ含まれる範囲が分類器5に入力され、点灯状態の車側灯2が写っているクラス50aに属する信頼度(点灯信頼度57a)と、消灯状態の車側灯2が写っているクラス50bに属する信頼度(消灯信頼度57b)とを分類器5が出力するので、消灯状態の車側灯2を検出したとの判定が可能となる。また、点灯信頼度57aが所定の点灯信頼度閾値58a未満、かつ消灯信頼度57bが所定の消灯信頼度閾値58b以上であるとき、判定部6は、消灯状態の車側灯2を検出したとの判定結果を出力するので、点灯信頼度57aの出力がフェールしても、消灯状態の車側灯2を検出したとの判定結果が出力されるリスクが低減される。
【0036】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、車側灯判定システム1が複数のカメラ3を有する場合(
図9、
図10参照)、複数の前処理部4、分類器5、判定部6を1つのハードウェアで構成し、複数のカメラ3からの入力を並列処理してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 車側灯判定システム
3 カメラ
5 分類器
50a 点灯状態の車側灯2が写っているクラス
50b 消灯状態の車側灯2が写っているクラス
57a 点灯信頼度
57b 消灯信頼度
58a 点灯信頼度閾値
58b 消灯信頼度閾値
6 判定部