(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】鱗茎野菜盤茎切除装置
(51)【国際特許分類】
A23N 15/08 20060101AFI20240724BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20240724BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A23N15/08 B
B26D7/20
B26D3/26 605D
B26D3/26 605E
(21)【出願番号】P 2020214422
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 直弥
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174832(JP,A)
【文献】実開昭60-046896(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0047520(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/08
B26D 7/20
B26D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗茎野菜を保持するための保持部と、
前記保持部を下方から支持する支持台と、
前記保持部に保持された鱗茎野菜の盤茎を削るための切除部と、を備え、
前記切除部は、前記保持部よりも上方に位置し、上下方向において前記保持部に対して相対的に移動可能であり、
前記保持部には前記上下方向に前記保持部を貫通する切欠部が設けられ、前記保持部の上面には鱗茎野菜が置かれる窪みが形成され、
前記支持台には、前記保持部に設けられた切欠部に対応する切欠部が設けられ、
前記保持部は弾性部材からなり、前記窪みに置かれた鱗茎野菜の形状に倣って変形する鱗茎野菜盤茎切除装置。
【請求項2】
前記切除部は、鱗茎野菜の盤茎を削るための刃具と、前記刃具が挿通される基台と、鱗茎野菜を上方から押さえるための押さえ部材と、を備え、前記押さえ部材は前記基台の下面に設けられ、前記基台は前記刃具に対して前記上下方向に移動可能であり、
前記基台には前記基台を前記上下方向に貫通する切欠部が設けられている請求項1に記載の鱗茎野菜盤茎切除装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記刃具の回転軸線を中心とする円周上に等間隔に複数個配置されている請求項2に記載の鱗茎野菜盤茎切除装置。
【請求項4】
鱗茎野菜を保持するための保持部と、
前記保持部に保持された鱗茎野菜の盤茎を削るための切除部と、
前記保持部を支持する支持台と、
前記支持台又は前記切除部を
上下方向にスライド移動自在に支持する支持部材と、
ロッドを備えるシリンダと
、
操作レバーと、を備え、
前記切除部は、前記保持部よりも上方に位置し、
前記上下方向において前記保持部に対して相対的に移動可能であり、
前記保持部には前記上下方向に前記保持部を貫通する切欠部が設けられ、前記保持部の上面には窪みが形成され、前記保持部は弾性部材からなり、
前記支持台又は前記切除部は、前記操作レバーに連結された第1状態と、前記ロッドに連結された第2状態との間を切り替え可能であり、
前記第1状態において、前記支持台又は前記切除部は前記操作レバーが使用者により操作されることにより前記上下方向にスライド移動し、
前記第2状態において、前記支持台又は前記切除部は前記ロッドの上下動に伴い前記上下方向にスライド移動する鱗茎野菜盤茎切除装置。
【請求項5】
鱗茎野菜を保持するための保持部と、
前記保持部に保持された鱗茎野菜の盤茎を削るための切除部と、
前記保持部を上下方向にスライド移動自在に支持する支持部材と、
前記保持部を上下方向にスライド移動させるための駆動機構と、を備え、
前記切除部は、前記保持部よりも上方に位置し、上下方向において前記保持部に対して相対的に移動可能であり、鱗茎野菜の盤茎を削るための刃具と、前記刃具が挿通される基台と、前記刃具を回転駆動するための回転駆動部と、前記駆動機構及び前記回転駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記保持部には前記上下方向に前記保持部を貫通する切欠部が設けられ、前記保持部の上面には窪みが形成され、前記保持部は弾性部材からなり、
前記基台は前記刃具に対して前記上下方向に移動可能であり、
前記制御部は、前記回転駆動部を制御して前記刃具の回転を開始すると共に前記駆動機構を制御して前記保持部を上昇させ、前記保持部に保持された鱗茎野菜により押し上げられて前記基台が所定量だけ上昇すると、前記回転駆動部を制御して前記刃具の回転を停止させると共に、前記駆動機構を制御して前記保持部を降下させる鱗茎野菜盤茎切除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鱗茎野菜の盤茎を切除するための鱗茎野菜盤茎切除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ニンニク等の鱗茎野菜の盤茎部分を切除するための装置が種々提案されている。例えば、特許文献1に開示の切削装置では、凹所にセットされたニンニクを4個のクランプで挟持し、回転する切削刃によりニンニクの毛根を切断するように構成されている。
【0003】
また、特許文献2に開示の処理装置では、保持枠にセットされたニンニクをバネで押さえた状態で盤茎(茎盤)をドリルビットで削るように構成されている。保持枠には表側と裏側の両側に窪みが設けられ、ニンニクの大きさに応じて適切な窪みが選択される。また、位置調整部を操作することで、前後方向及び回転方向において保持枠の位置を調整可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-38586号公報
【文献】特開2018-174832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の切削装置では、ニンニクは盤茎が下を向いた状態でセットされ、盤茎は下方から切削されることから、切削状態を目視で確認しながら作業を行うことができなかった。この点、特許文献2に開示の処理装置では、ニンニクは盤茎が上を向いた状態でセットされ、盤茎は上方から切削されることから、切削状態を目視で確認しながら作業を行うことができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示の処理装置では、バネが邪魔になり保持枠へのニンニクの出し入れがし難いという問題があった。また、ニンニクの大きさに応じて保持枠の表側と裏側を選択する必要があり、保持枠の付け替えが煩雑であった。更に、ドリルビットの下方に盤茎を位置させるためには位置調整部を操作する必要があり、操作が煩雑であった。
【0007】
本発明は、より使い勝手の良い鱗茎野菜盤茎切除装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る鱗茎野菜盤茎切除装置は、鱗茎野菜を保持するための保持部と、前記保持部に保持された鱗茎野菜の盤茎を削るための切除部と、を備え、前記切除部は、前記保持部よりも上方に位置し、上下方向において前記保持部に対して相対的に移動可能であり、 前記保持部には前記上下方向に前記保持部を貫通する切欠部が設けられ、前記保持部の上面には窪みが形成され、前記保持部は弾性部材からなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る鱗茎野菜盤茎切除装置によれば、切除部は保持部の上方に位置するので、茎盤を上向きにしてこれを切除することができ、使用者は切除状態を目視で確認しながら茎盤の切除処理を行うことができる。また、保持部には切欠部が設けられているので、切り欠き部への茎盤野菜の出し入れを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る鱗茎野菜盤茎切除装置を示す外観斜視図。
【
図2】
図1に示す鱗茎野菜盤茎切除装置の要部拡大図であって、カバーと板体を省略して示す図。
【
図3】
図1に示す鱗茎野菜盤茎切除装置の側面図であって、カバーと板体を省略して示す図。
【
図4】
図1に示す鱗茎野菜盤茎切除装置が備える第2連結機構を示す斜視図。
【
図5】
図1に示す鱗茎野菜盤茎切除装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る鱗茎野菜盤茎切除装置について説明する。本実施形態に係る鱗茎野菜盤茎切除装置は、ニンニクや玉葱等の鱗茎野菜の盤茎部分を切除するための装置であり、ここでは鱗茎野菜としてニンニクを例に説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る鱗茎野菜盤茎切除装置(以下、「盤茎切除装置」という)1は、支持部材2と、載置部3と、切除部4と、を備える。
【0013】
載置部3は、支持部材2に沿って上下方向D1へスライド自在な支持台31と、支持台31に支持された保持部32と、を備える。保持部32はニンニクN(鱗茎野菜)(
図3)を保持するためのものであり、発泡ウレタン等の弾性部材で形成されている。
【0014】
図2に示すように、保持部32には切欠部32aが設けられている。切欠部32aは前方(使用者側)に開口し、上下方向D1に保持部32を貫通する。これにより保持部32は平面視略U字状となっている。保持部32の上面32bにはニンニクNが収まる窪み33が形成されており、ニンニクNは
図3に示すように盤茎Naを上に向けて窪み33に保持される。
【0015】
図2を参照して、支持台31には、保持部32の切欠部32aを塞がないように開口部が設けられ、
図2の例では支持台31には保持部32の切欠部32aに対応した形状を有する切欠部31aが開口部として設けられている。これら保持部32の切欠部32aと支持台31aの切欠部31aにより、載置部3の切欠部3aが構成されている。
【0016】
かかる構成において、盤茎処理されるニンニクNは、
図3に示すように花茎Nbを下にして保持部32の窪み33に置かれる。このときニンニクNは、花茎Nbを切欠部3aに前方から通すようにして窪み33に置かれるので、切欠部3aがない場合と比較して、ニンニクNを保持部32に置き易くなる。
【0017】
図1及び
図2を参照して、切除部4は、保持部3に保持されたニンニクNの盤茎Naを切除するためのものであり、載置部3の上方に配置されている。切除部4は、ニンニクNの盤茎Naを切除するための刃具41と、刃具41を回転駆動させるための回転駆動部(電動モータ)42と、刃具41の下端が挿通される板状の基台43と、刃具41を囲うカバー44と、を備え、刃具41は刃先が下方を向くように回転駆動部42に装着されている。本実施形態では刃具41としてボールエンドミルを用いる。ボールエンドミルは刃先交換式であるのが好ましい。
【0018】
基台43は支持部材2に対して上下動可能に支持されており、基台43には基台43を上下方向D1に貫通すると共に前方に開口する切欠部43aが設けられている。この切欠部43aには刃具41の先端が挿通される。カバー44は支持部材2に固定保持されており、刃41を前方及び左右両側の3方向から囲う。カバー44は格子状であって、カバー44の格子の隙間から刃具41の先端を視認できるようになっている。なお、カバー44としては、格子状に限定されず、刃具41に対する視認性を確保しつつ刃具41を囲うものであれば良く、柵状や多孔状のものの他、透明板等であっても構わない。
【0019】
切除部4は更に、ニンニクNを上方から押さえるための3個の押さえ部材45と、カバー44に装着された一対の板体46と、バネ47と、を備える。3個の押さえ部材45は基台43の下面に設置され、刃具41の回転軸線を中心とする円周上に等間隔に配置されている。一対の板体46は、カバー44の左右側面から下方に向かって外方に広がるように設置されている。バネ47の上端47aは基台43に連結され、下端47bは支持部材2が備える係止部20に係止されている。これにより、押さえ部材45が上方に向けて押圧されると、押さえ部材45は基台43と共にバネ47の戻り力に抗して上昇し、上方に向かう押圧が解かれると押さえ部材45は基台43と共にバネ47の戻り力によって初期位置まで降下する。
【0020】
盤茎切除装置1は更に、操作レバー5と、操作レバー5と載置部3とを連結する第1連結機構6と、ロッド71を備える電動シリンダ(シリンダ/駆動機構)7と、電動シリンダ7と載置部3とを連結する第2連結機構8と、を備える。
【0021】
操作レバー5は、支持部材2に挿通された回転軸(図示せず)と、回転軸(図示せず)から延びる把持部51と、を有する。
図3に示すように、第1連結機構6は、載置部3の支持台31に固定された長孔リンク61と、長孔リンク61に連結されたアーム62と、連結ピンP(
図2)と、を備える。長孔リンク61には水平方向(前後方向D2)に延びる長孔61aが形成され、アーム62の一端は長孔61aに沿って移動可能とされている。アーム62の他端と操作レバー5の回転軸(図示せず)には連結ピンPが着脱自在に挿通可能とされている。そして、連結ピンPをアーム62の他端と操作レバー5の回転軸に挿通することにより、アーム62と操作レバー5とが連結され、アーム62は操作レバー5と一体的に回転する。
【0022】
よって、アーム62の他端と操作レバー5の回転軸とが連結ピンPにより連結された状態で使用者が把持部51を把持して操作レバー5を回転操作すると、これに応じて載置部3は上下方向D1へスライド移動する。この状態において盤茎切除装置1は手動操作される。
【0023】
図4を参照して、第2連結機構8は、支持台31に設けられた第1取付部材81と、電動シリンダ7のロッド71の下端に装着された第2取付部材82と、を備え、これら第1及び第2取付部材81、82には連結ピンPが着脱自在に挿通可能とされている。そして、連結ピンPを第1取付部材81及び第2取付部材82に挿通させることにより、第1取付部材81と第2取付部材82とが連結され、この状態で電動シリンダ7が駆動してロッド71が上下方向D1へ移動すると、これに伴い載置部3も上下方向D1へスライド移動する。この状態において盤茎切除装置1は半自動運転される。
【0024】
このように載置部3は、操作レバー5に連結された状態(第1状態)と、電動シリンダ7に連結された状態(第2状態)の間を切り替え可能とされている。ここで、本実施形態においては、アーム62の他端と操作レバ-5の回転軸とを連結して手動操作するための連結ピンPと、第1取付部材81と第2取付部材82とを連結して半自動運転とするための連結ピンPとを、共通のものとしている。即ち、盤茎切除装置1を手動操作するためには、第1及び第2取付部材81,82から連結ピンPを抜き取り、これをアーム62と操作レバー5の回転軸に挿通させて両者を連結させる。逆に、盤茎切除装置1を半自動運転するためには、アーム62と操作レバー5の回転軸から連結ピンPを抜き取り、これを第1及び第2取付部材81,82に挿通させて両者を連結させる。
【0025】
図5に示すように、盤茎切除装置1は更に、電動シリンダ7及び回転駆動部42を制御するための制御部9と、使用者からの入力を受け付ける操作入力部10と、を備える。制御部9はメモリ91を備え、メモリ91には各種プログラムや、ニンニクNの各大きさ(例えば、S、M、L等)に対応した上昇量及び推力値(後述)が予め格納されている。操作入力部10は押しボタン11やタッチパネル12を備える。
【0026】
次に、盤茎切除装置1を用いた盤茎切除処理について、手動操作によるものと半自動運転によるものについて、順に説明する。
【0027】
まず、手動操作の場合について説明する。まず使用者は上述のようにして載置部3を操作レバー5に連結すると共に、操作入力部10を操作して盤茎切除装置1を手動モードに設定する。次に、
図3(a)に示すように、ニンニクNを下向きにして(花茎Nbが下側に、盤茎Naが上側になるように)載置部3の保持部32に保持させる。そして、使用者は操作レバー5を手前に引き、
図3(b)に示すようにニンニクNが押さえ部材45に当接するまで載置部3を上昇させる。これにより、ニンニクNは保持部32と3個の押さえ部材45により上下方向D1に挟持されるようにして保持される。
【0028】
次に、使用者はニンニクNの向きを調節して、ニンニクNの盤茎Naが刃具41の真下に位置するように調整する。このとき、弾性部材からなる保持部32はニンニクNの形状に倣って変形し、ニンニクNの下方部位を周方向に面で保持することから、形状にバラツキのあるニンニクNであっても、容易に盤茎Naが刃具41の真下に位置するように調整することができる。
【0029】
次に使用者は押しボタン11を押下する。すると制御部9は回転駆動部42を駆動し、刃具41が回転制御される。この状態で使用者が操作レバー5を手前に引くと、載置部3(ニンニクN)は基台43を押し上げながら上昇し、刃具41がニンニクNの盤茎Naに当接してこれを切除する。
【0030】
盤茎Naが所望の通りに切除されたら、使用者は操作レバー5を戻して載置部3を降下させると共に、押しボタン11を再び押下し、刃具41の回転を停止させる。ニンニクNを保持部32から取り除き、次のニンニクNについて同様の工程を行う。
【0031】
次に、半自動運転の場合について説明する。まず、上述のようにして載置部3を電動シリンダ7のロッド71に連結すると共に、操作入力部10を操作して盤茎切除装置1を半自動モードに設定する。次に、操作入力部10を操作して、処理すべきニンニクNの大きさ(S,M,L等)を選択し、選択した大きさのニンニクNを上述のようにして保持部32にセットする。
【0032】
使用者が押しボタン11を押下すると、制御部9は電動シリンダ7を駆動し、載置部3を所定量だけ上昇させる。このときの所定量(上昇量)は、先に選択されたニンニクNの大きさに対応して選択され、予めメモリ91に記憶されている。その結果、ニンニクNは、上述の手動操作の場合と同様に、保持部32と3個の押さえ部材45により上下方向D1に挟持されるようにして保持される。そして使用者は、上述した手動操作の場合と同様に、ニンニクNの向きを調節して、ニンニクNの盤茎Naが刃具41の真下に位置するように調整する。
【0033】
使用者が押しボタン11を再度押下すると、制御部9は自動除去処理を実行する。即ち、制御部9はまず、回転制御部42を制御して刃具41の回転を開始すると共に、電動シリンダ7を制御して載置部3を所定量だけ上昇させる。ここで、電動シリンダ7には、内蔵モータにかかる負荷を電流値に基づいて読み取る機能が備わっており、本実施形態においては、載置部3が所定量だけ上昇したか否かは、載置部3の上昇に伴いバネ47が伸びることによって内蔵モータにかかる負荷(推力値)が上限に達したか否かにより判定している。上述したように、この推力値は、ニンニクNの大きさにより予め設定されメモリ91に格納されている。
【0034】
このようにして載置部3が所定量だけ上昇したら(推力値が上限に達したら)、制御部9は電動シリンダ7を制御して支持台3を降下させると共に、回転駆動部42を制御して刃具41の回転を停止させ、これにより制御部9による自動除去処理が終了する。その後、使用者はニンニクNを保持部32から取り除き、次のニンニクNについて同様の工程を行う。
【0035】
このように、本実施形態の盤茎切除装置1によれば、載置部3(保持部32)には前方に開口する切欠部3(32a)が設けられているので、ニンニクNを保持部32へ出し入れする動作を容易にできる。また、ニンニクNを保持部32と3個の押さえ部材45により保持する構成であり、保持部32はニンニクNの形状に倣って変形するから、形状にバラツキのあるニンニクNであっても位置や向きを容易に調整できる。更に、刃具41による盤茎Naの切除時には、バネ47による下向きの付勢力が押さえ部材45に働くことから、ニンニクNを調整後の位置及び向きに確実に保持することができる。
【0036】
更に、ニンニクNの盤茎Naを上方から切除する構成であるから、使用者は盤茎Naの削り具合を目視で確認しながら操作することができる。また、基台43に設けられ刃具41を挿通させるための切欠部43aは前方に開口することから、使用者は切欠部43aを介して盤茎Naの削り具合を目視で確認できる。
【0037】
盤茎切除装置1では、手動操作による切除処理と、半自動運転による切除処理と、を選択できるため、使用者は盤茎切除装置1を所望のモードに切り替えて使用することができ、使い勝手を向上できる。
【0038】
以上、本発明の実施形態に係る鱗茎野菜盤茎切除装置について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、刃具41が支持部材2に対して固定され、載置部3が上下方向D1に移動するように構成されているが、載置部3が刃具41に対して相対的に上下動するものであれば、その構成に制限はない。例えば、載置部3を支持部材2に対して固定し、切除部4が上下方向D1に移動するように構成することもできる。この場合、第1連結機構6は操作レバー5と切除部4とを連結し、第2連結機構8は電動シリンダ7と切除部4とを連結するように構成すれば良い。
【0040】
また、上記実施形態においては、自動除去処理中における載置部3の上昇量は、電動シリンダ7における推力値に基づき制御したが、本発明はこれに限定されず、例えば載置部3の実際の上昇量をセンサ装置により検知する構成であっても構わない。
【0041】
上記実施形態では、3個の押さえ部材45が設けられているが、押さえ部材45の数は3個に限定されず、1個でも3個以外の複数個でも良い。
【符号の説明】
【0042】
1 鱗茎野菜盤茎切除装置
2 支持部材
3 載置部
4 切除部
5 操作レバー
6 第1連結機構
7 電動シリンダ(シリンダ)
8 第2連結機構
31 支持台
32 保持部
32a 切欠部
33 窪み
43 基台
45 押さえ部材
47 バネ
71 ロッド
N ニンニク(鱗茎野菜)
Na 盤茎