(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】カラーフィルター用赤色顔料組成物
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240724BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240724BHJP
C09B 67/46 20060101ALI20240724BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240724BHJP
C09B 57/00 20060101ALN20240724BHJP
【FI】
G02B5/20 101
C09B67/20 F CSP
C09B67/46 A
C09B67/20 L
G03F7/004 505
C09B57/00 Z
(21)【出願番号】P 2020572450
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2019066256
(87)【国際公開番号】W WO2020002106
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-16
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521002006
【氏名又は名称】サン・ケミカル・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Sun Chemical B.V.
【住所又は居所原語表記】Leeuwenveldseweg 3-t, 1382 LV Weesp, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローマン レンツ
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルデュス デ ケイザー
(72)【発明者】
【氏名】トマス ホアニ
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-190295(JP,A)
【文献】特表2011-523433(JP,A)
【文献】特表2007-514798(JP,A)
【文献】特開2019-152760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09B 67/20
C09B 67/46
G03F 7/004
C09B 57/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式
【化1】
の顔料と;
(b)式
【化2】
の顔料誘導体とを含
む、顔料組成物。
【請求項2】
前記顔料組成物が、
(c)式(P
2)-(Y)
n (V)
の顔料誘導体をさらに含み、式(P
2)-(Y)
n (V)の顔料誘導体が、式
【化3】
[式中、
nは、1であり;
sは、0、1、または2であり;
R
15は、出現ごとに、Cl、Br、CF
3、CN、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、SC
1~C
4アルキル、Ar
4、OAr
4、またはSAr
4であり;
Ar
4は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、前記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
16および/もしくはR
17で置換されており;
R
16およびR
17は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
16とR
17は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、前記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Yは、OC
8~C
22-アルキル、SC
8~C
22-アルキル、OC
12~C
22-アラルキル、SC
12~C
22-アラルキル、OC
12~C
22-アルキルアリール、SC
12~C
22-アルキルアリール、またはNR
12R
13から選択され、
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
8~C
22-アルキル、C
12~C
22-アラルキル、またはC
12~C
22-アルキルアリールであり;
Yの各アルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキルである]のジケトピロロピロール誘導体である、請求項1記載の顔料組成物。
【請求項3】
顔料(a)の量は、前記顔料組成物の総重量を基準として、少なくとも65重量%であり、顔料誘導体(b)の量は、3~35重量%である、請求項1または2記載の顔料組成物。
【請求項4】
前記顔料組成物が、
(d)式(Z
2)
p-(P
3)-(A
3-Z
1)
q (VI)
[式中、
P
3は、ジケトピロロピロール発色団の残基であり、
A
3は、C
1~C
6-アルキレンであり;
Z
1は、N含有5員複素環であり;
Z
2は、SO
3Hもしくはその塩、またはCO
2Hもしくはその塩であり、
pは、数0~2であり;
qは、数1または2である]の顔料誘導体をさらに含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料組成物。
【請求項5】
Z
1が、
【化4】
[式中、R
18、R
19、およびR
20は、互いに独立して、H、ハロゲン、C
1~C
18-アルキル;ハロゲン、OC
1~C
6-アルキル、もしくはジ(C
1~C
6-アルキル)アミノで置換されたC
1~C
18-アルキル;C
6~C
12-アリール;またはC
1~C
18-アルキル、ハロゲン、ニトロ、もしくはOC
1~C
6-アルキルで置換されたC
6~C
12-アリールであり;
R
18、R
19、およびR
20の2つの隣接基は、それらが結合されているヘテロアリール環と共に5~7員の脂環、芳香環、またはヘテロ芳香環を形成する]からなる群より選択される基である、請求項4記載の顔料組成物。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に定義される顔料組成物の製造方法であって、コハク酸ジエステルを、
4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル、式
(IXa)
【化5】
の化合物、および任意選択で式
【化6】
の化合物
[式中
、
Yは、OC
4~C
25-アルキル、SC
4~C
25-アルキル、OC
7~C
25-アラルキル、SC
7~C
25-アラルキル、OC
7~C
25-アルキルアリール、SC
7~C
25-アルキルアリール、またはNR
12R
13から選択される基であり;
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
4~C
25-アルキル、C
7~C
25-アラルキル、またはC
7~C
25-アルキルアリールであり、ただし、R
12とR
13の炭素原子の合計が少なくとも8であり;Yのアルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキルである]と反応させることを含む、方法。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に定義されるか、または請求項6に従って得た顔料組成物およびポリマー分散剤を含む、顔料分散体。
【請求項8】
請求項7に定義される顔料分散体、樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和モノマー、および溶媒を含む、感光性レジスト配合物。
【請求項9】
請求項1から5までのいずれか1項に定義されるか、または請求項6に従って得た顔料組成物を含む、カラーフィルター。
【請求項10】
カラーフィルター、印刷インク、液体インク、コーティング組成物、塗料、プラスチック、フィルム、または繊維を製造するための感光性レジスト配合物の着色のための、請求項1から5までのいずれか1項に定義されるか、または請求項6に従って得た顔料組成物の使用。
【請求項11】
式
【化7】
[式中、
mは、1または2であり;
X
1は、脂肪族カルボキサミド基または脂肪族スルホンアミド基を含む基であり;
Ar
3は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、前記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
10および/もしくはR
11で置換されており;
R
10およびR
11は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
10とR
11は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、前記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Ar
5は、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、前記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
21で置換されており;
R
21は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNである];または
【化8】
[式中、X
1は、式-A
1-D-G(III)の基であり、
A
1は直接結合またはメチレンであり;
Dは、-NH-CO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
4-アルキレン)-NR
6R
7であり、前記C
1~C
4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5はHであるか;
あるいはGとR
5が、結合する窒素と共に6員環を形成し、前記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に6員環を形成し、前記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルであり;
Ar
6は、出現ごとに、1,4-フェニレンまたはC
3~C
5-ヘテロアリーレンから選択され、前記フェニレンは非置換であるか、またはR
22で置換されており;
Ar
7は、出現ごとに、フェニルまたはC
3~C
5-ヘテロアリールから選択され、前記フェニルまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
23および/もしくはR
24で置換されており;
R
22は、出現ごとに、Cl、CH
3、またはOCH
3から選択され;
R
23およびR
24は、互いに独立して、出現ごとに、Cl、CH
3、またはOCH
3から選択されるか、あるいは
R
23とR
24は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、前記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Z
3は、SO
3Hまたはその塩であり;
tは、数1~4であり;
uは、数0~3であり;
ただし、t+uは、1~4である]の顔料誘導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、アリールチオ置換ジケトピロロピロール顔料と極性基を含む少なくとも1種の顔料誘導体とを含む顔料組成物、ならびにアリールチオール置換ジケトピロロピロール顔料誘導体に関する。この顔料組成物は、有機材料、特にカラーフィルター用途に使用するための感光性レジスト配合物を着色するのに適している。
【0002】
背景
カラーフィルターの場合、該当する規格に準拠した色相と、高コントラスト比が不可欠である。しかしながら、要求される色点と良好なコントラスト比を達成することは、特にカラーフィルターが200℃以上の温度で硬化される場合、困難であることが多い。上記の温度を付加すると、多くの場合、要求されるコントラスト比に悪影響を与える。
【0003】
コントラスト比(CR)は、2つの偏光子の間に配置された透過性基板の着色コーティング層を通過する、放射後の光輝度を決定することによって測定される。コントラスト比は、平行偏光子の光輝度と直交偏光子の光輝度との比である。
【0004】
C.I.(カラーインデックス)ピグメントレッド177は、カラーフィルター用途の感光性樹脂組成物に広く使用されている青赤色のアントラキノン顔料である。しかしながら、ピグメントレッド177は、着色力が低いという難点があり、換言すれば、要求される彩度を得るには、比較的厚い層が必要である。
【0005】
さらに、ジケトピロロピロール発色団系の青赤色顔料が国際公開第04/007604号に開示されており、ここでフェニルチオ置換ジケトピロロピロール顔料は、PVCにおいて透明な青みがかった赤色を呈すると記載されている。具体的には、国際公開第04/007604号は、フェニルチオ置換ジケトピロロピロール顔料およびさらに3種の顔料誘導体、すなわちスルホン化ジケトピロロピロール誘導体、ジヒドロキナクリドン誘導体、およびSolsperse(登録商標)22´000(黄色顔料誘導体)を用いて製造されたカラーフィルターを開示している。このカラーフィルターは高透過率のカラードットを有すると記載されている。
【0006】
国際公開第05/040284号は、0.50molの4-フェニルチオベンゾニトリルと0.005molの4-オクタデシルチオベンゾニトリルとを反応させることによって製造される顔料混合物を開示している。この顔料混合物は、PVCにおいて透明で着色性の高い赤色を示すと記載されている。
【0007】
しかしながら、フェニルチオ置換ジケトピロロピロール顔料系の顔料組成物は、カラーフィルター用途に必要とされる要件、例えば、高彩度、正確な色点、高透過率、高コントラスト比、熱安定性、易加工性、例えば高分散性および高分散安定性をすべて満たしているわけではない。
【0008】
そのため、上述の不利益を克服するのに適した赤色顔料組成物が引き続き必要とされている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、加工段階(分散体の塗布から硬化の完了まで)の間に熱処理を受ける場合に、改良された彩色特性、特に高コントラスト比を示すカラーフィルターを製造するための顔料組成物を提供することである。
【0010】
さらに、本発明の目的は、容易に加工可能および/または容易に入手可能である、カラーフィルターを製造するための顔料組成物を提供することである。
【0011】
さらに、本発明の目的は、特にジケトピロロピロール顔料を含む顔料組成物における成長抑制剤および/または相乗剤として適した顔料誘導体を提供することである。
【0012】
発明の概要
このたびチオアリール置換ジケトピロロピロール顔料系の顔料組成物が、要求される特性を満たすことを見出した。
【0013】
それによれば、第1の態様では、本発明は、
(a)式
【化1】
[式中、Ar
1は、出現ごとに、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンから選択され、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
1で置換されており;
Ar
2は、出現ごとに、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールから選択され、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
2および/もしくはR
3で置換されており;
R
1は、出現ごとに、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNから選択され;
R
2およびR
3は、互いに独立しており、出現ごとに、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNから選択されるか、あるいは
2つの隣接するR
2とR
3は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはR
4で置換されており、
R
4は、ClまたはC
1~C
4-アルキルである]の顔料と;
(b)式
(P
1)-(X
1)
m (II)
[式中、
P
1は、色素発色団の残基であり、
X
1は、脂肪族カルボキサミド基、脂肪族スルホンアミド基、カルボン酸基、またはそれらの塩を含む基であり、
mは、1、2、3、または4である]の顔料誘導体と、を含む顔料組成物に関する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、上記顔料組成物の製造方法、およびカラーフィルター、印刷インク、液体インク、コーティング組成物、塗料、プラスチック、フィルム、または繊維を製造するための感光性レジスト配合物を着色する際の上記顔料組成物の使用に関する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、顔料分散体、ならびに上記顔料組成物を含む感光性レジスト配合物、および該感光性レジスト配合物を使用することによって製造されるカラーフィルターに関する。
【0016】
さらなる態様では、本発明はアリールチオール置換ジケトピロロピロール顔料誘導体に関する。
【0017】
発明の詳細な説明
P1、P2、またはP3に関して本明細書で使用される「色素発色団の残基」という用語は、好ましくは芳香族水素から水素を引き抜くことにより、色素発色団から誘導される残基を意味する。色素発色団P1、P2、またはP3は、置換されていてもよい。
【0018】
色素発色団の残基は、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アンサントロン、アミノアントラキノン、ベンズイミダゾロン、キノフタロン、ジスアゾ、アゾ、イソイノリン、イソインドリノン、ペリレン、またはペリノン、好ましくは、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アミノアントラキノン、またはペリレンから誘導され得る。
【0019】
アルキル、例えば、C1~C18-アルキル、C1~C4-アルキル、C1~C6-アルキル、C4~C25-アルキル、またはC8~C22-アルキルは、炭素原子が所与の制限内であり、可能であれば直鎖状であっても分枝状であってもよい。例は、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、1-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、n-ヘンエイコシル、n-ドコシル(ベヘニル)、n-テトラコシル(リグノセリル)、n-ペンタコシル、および前述のn-アルキルラジカルの構造異性体である。
【0020】
アルキレン、例えば、C1~C4-アルキレン、C1~C6-アルキレンは、アルキルの任意の末端炭素原子から水素原子を引き抜くことにより、上に定義したアルキルから誘導され得る。
【0021】
アラルキル、例えば、C7~C25-アラルキルまたはC12~C22-アラルキルは、炭素原子が所与の制限内であってよく、例えば、ベンジル、2-ベンジル-2-プロピル、β-フェニル-エチル(フェネチル)、α,α-ジメチルベンジル、ω-フェニル-ブチル、ω,ω-ジメチル-ω-フェニル-ブチル、ω-フェニル-ドデシルであり、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基はいずれも非置換であっても置換されていてもよい。好ましい例は、ベンジル、フェネチル、α,α-ジメチルベンジル、ω-フェニル-ブチル、ω-フェニル-ドデシル、およびω-フェニル-オクタデシルである。
【0022】
アルキルアリール、例えば、C7~C25-アルキルアリールまたはC12~C22-アルキルアリールは、炭素原子が所与の制限内であり得、例えば、C1~C19-アルキルでp-置換またはm-置換されたフェニルである。
【0023】
アリールは、例えば、C6~C10-アリールまたはC6~C12-アリールは、炭素原子が所与の制限内のフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、またはビフェニリルであり得る。
【0024】
ヘテロアリールは、C2~C6-ヘテロアリールまたはC2~C5-ヘテロアリール、すなわち5~7個の環原子を有する環であり得、その場合、窒素、酸素、または硫黄が可能性のあるヘテロ原子である。例は、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジル、トリアジニル、またはピリミジニルである。
【0025】
ヘテロアリーレン、例えばC2~C6-ヘテロアリーレンは、ヘテロアリールの任意の環炭素原子から水素原子を引き抜くことにより、上に定義したヘテロアリールから誘導され得る。
【0026】
ハロゲン(Hal)とは、I、Br、Cl、またはFを表し、好ましくは、アルキルではFまたはCl、アリールではClまたはBrである。
【0027】
例えば、R2およびR3によって、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に形成される芳香環またはヘテロ芳香環、好ましくは5員環または6員環の例は、ベンゾ縮環またはピリジンである。
【0028】
GとR5またはR6とR7によって形成される5員環または6員環の例は、3~6個の炭素原子と、任意選択でO、S、またはNR8から選択される1つの追加のヘテロ原子とを有するヘテロシクロアルカンまたはヘテロシクロアルケンである。
【0029】
【0030】
色素発色団の残基は、発色団の任意の炭素原子または窒素原子から水素原子を引き抜くことにより、色素発色団から誘導され得る。
【0031】
「置換された」という用語は、「1回以上置換された」、すなわち、可能であれば1~3回、好ましくは1回または2回、より好ましくは1回を意味する。置換基が基内に複数回出現する場合、出現ごとに異なっていてもよい。
【0032】
式(I)の顔料は、好ましくは、以下の基を特徴とする。
【0033】
Ar1は、好ましくは1,4-フェニレンまたはC3~C5-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンは、Cl、CH3、C2H5、OCH3、またはOC2H5、より好ましくはCl、CH3、またはOCH3から選択されるR1で置換されていてもよい。C3~C5-ヘテロアリーレンは、1個、2個、または3個の窒素原子を含み得る。C3~C5-ヘテロアリーレンの例は、ピリジン-2,5-ジイル、ピリジン-3,6-ジイル、およびピリミジン-2,5-ジイルであり得る。
【0034】
より好ましくは、Ar1は、非置換であるか、もしくはCl、CH3、OCH3で置換された1,4-フェニレン、またはピリジン-2,5-ジイルであり、最も好ましくは1,4-フェニレンである。
【0035】
Ar2は、好ましくはフェニルまたは1-ナフチルもしくは2-ナフチルであり、上記の基は非置換であるか、またはR2および/もしくはR3で置換されており、その場合、R2およびR3は互いに独立してCl、CH3、またはOCH3である。
【0036】
Ar2はまた、ヘテロアリール、例えば、2-チアゾール、2-イミダゾール、2-ベンゾチアゾール、または2-ベンゾイミダゾールであり得る。上記のヘテロアリール基は、1つ以上のClまたはCH3で置換されていてもよい。より好ましくは、Ar2は、フェニル、Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル、または2-ベンゾチアゾールである。
【0037】
したがって、式(I)の顔料は、
Ar1が、出現ごとに、1,4-フェニレンまたはC3~C5-ヘテロアリーレンから選択され、上記フェニレンは非置換であるか、またはR1で置換されており;
Ar2が、出現ごとに、フェニルまたはC3~C5-ヘテロアリールから選択され、上記フェニルまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR2および/もしくはR3で置換されており;
R1が、Cl、CH3、またはOCH3から選択され;
R2およびR3が、互いに独立しており、出現ごとに、Cl、CH3、またはOCH3から選択されるか、あるいは
R2とR3は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5~6員環を形成するものが好ましい。
【0038】
したがって、式(I)の顔料は、
Ar1が、互いに独立して、1,4-フェニレン;Cl、CH3、OCH3で置換された1,4-フェニレン;またはピリジン-2,5-ジイル、好ましくは1,4-フェニレンであり;
Ar2が、互いに独立して、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール;好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルであるものがより好ましい。
【0039】
特に、両方のAr1基が同一であり、かつ両方のAr2基が同一である。
【0040】
式(I)の顔料の好適な例は、
【化3】
[式(Ib)中、
R
2は、Cl、CH
3、またはOCH
3から選択される]および
【化4】
である。
【0041】
式(P1)-(X1)m(II)の顔料誘導体は、P1が、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、アミノアントラキノン、およびペリレンからなる群より選択される色素発色団の残基、好ましくは、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン、キナクリドン、6,13-ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、4,4´-ジアミノ-1,1´-ビスアントラキノン、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、およびペリレンテトラカルボン酸ジイミドからなる群より選択される色素発色団の残基であるものが好ましい。発色団は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0042】
P1の置換基は、色素発色団の通常の置換基、例えば、ハロゲン、C1~C4-アルキル、OC1~C4-アルキル、CF3、CN、SC1~C4アルキル、Ar3、OAr3、またはSAr3、特にCl、Br、メチル、エチル、tーブチル、フェニル、OAr3、またはSAr3である。
【0043】
好ましくは、P1は、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン、キナクリドン、6,13-ジヒドロキナクリドン、または4,4´-ジアミノ-1,1´-ビスアントラキノン発色団の残基であり、非置換であるかまたは置換されており、好ましくは非置換であるか、またはCl、Br、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、フェニル、OAr3、またはSAr3で置換され、より好ましくは非置換であるか、またはCl、Br、メチル、エチル、t-ブチル、フェニル、フェノキシ、またはS-フェニルで置換されている。
【0044】
置換基X1は、式-A1-D-G(III)の極性基または式-A2-E(IV)の基であり得、式中、A1およびA2は、色素発色団P1への直接共有結合であっても、またはC1~C4-アルキレンの連結基であってよい。
【0045】
したがって、顔料組成物は、顔料誘導体が式(II)のものであり、X1が、式
-A1-D-G(III)または
-A2-E(IV)であり、式中、
A1およびA2は、互いに独立して直接結合またはC1~C4-アルキレンであり;
Dは、-NH-CO-、-NH-SO2-、-CO-NR5-、または-SO2-NR5-であり;
Gは、-(C1~C6-アルキレン)-NR6R7、または-(C1~C6-アルキレン)-NH-NR6R7であり、上記C1~C6-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R5がHであるか;
あるいはGとR5が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記5員環または6員環は、非置換であるか、もしくはC1~C4-アルキルで置換され、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されており;
R6およびR7が、互いに独立してHまたはC1~C4-アルキルであるか;
あるいはR6とR7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記5員環または6員環は、非置換であるか、もしくはC1~C4-アルキルで置換され、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されており;
R8が、HまたはC1~C4-アルキルであり;
Eは、CO2Hで置換されたC6~C12-アリールまたはその塩であるものが好ましい。
【0046】
好ましくは、X1は、式-A1-D-G(III)の基であり、式中、
A1は直接結合またはC1~C4-アルキレン、好ましくは直接結合またはメチレンであり;
Dは、-NH-CO-、-CO-NR5-、または-SO2-NR5-であり;
Gは、-(C1~C6-アルキレン)-NR6R7、または-(C1~C6-アルキレン)-NH-NR6R7であり、上記C1~C6-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R5がHであるか;
あるいはGとR5が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記5員環または6員環は、非置換であるか、もしくはC1~C4-アルキルで置換され、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されており;
R6およびR7は、互いに独立して、HまたはC1~C4-アルキルであるか;
あるいはR6とR7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記5員環または6員環は、非置換であるか、もしくはC1~C4-アルキルで置換され、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されており;
R8が、HまたはC1~C4-アルキルである。
【0047】
好ましい態様では、式(P
1)-(X
1)
m (II)の顔料誘導体は、式
【化5】
のジケトピロロピロール誘導体であり、式中、
mは1または2、好ましくは1であり;
m´とm´´は互いに独立して1または2であり;
rは、0、1、または2であり;
R
9は、出現ごとに、Cl、Br、CF
3、CN、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、SC
1~C
4-アルキル、Ar
3、OAr
3、またはSAr
3から選択され;
Ar
3は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
10および/もしくはR
11で置換されており;
R
10およびR
11は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
10とR
11は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
X
1は、式-A
1-D-G(III)の基であり;
A
1は直接結合またはC
1~C
4-アルキレンであり;
Dは、-NH-CO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
6-アルキレン)-NR
6R
7、または-(C
1~C
6-アルキレン)-NH-NR
6R
7であり、上記C
1~C
6-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5がHであるか;
あるいはGとR
5が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記5員環または6員環は、非置換であるか、もしくはC
1~C
4-アルキルで置換され、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されており;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記5員環または6員環は、非置換であるか、もしくはC
1~C
4-アルキルで置換され、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されており;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルであり;
Ar
6は、出現ごとに、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンから選択され、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
22で置換されており;
R
22は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであり;
Ar
7は、出現ごとに、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールから選択され、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
23および/もしくはR
24で置換されており;
R
23およびR
24が、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
23とR
24は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Z
2は、SO
3Hまたはその塩であり;
tは、数1~4、好ましくは数1~3であり;
uは、数0~3、好ましくは数0~2であり;
ただし、t+uは、1~4である。
【0048】
より好ましくは、顔料誘導体は、式(IIa)または式(XII)のものである。特に、顔料誘導体は式(IIa)のものであり、R9はp-置換されている。
【0049】
好適な顔料誘導体は、式(II)、好ましくは式(IIa)、(IIb)、または(XII)、より好ましくは式(IIa)のものであり、式中、
X1は、式-A1-D-G(III)の基であり;
A1は直接結合またはメチレンであり;
Dは、-NH-CO-、-CO-NR5-、または-SO2-NR5-であり;
Gは、-(C1~C4-アルキレン)-NR6R7であり、上記C1~C4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R5がHであるか;
あるいはGとR5が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C1~C4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R6およびR7は、互いに独立して、HまたはC1~C4-アルキルであるか;
あるいはR6とR7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記環は、C1~C4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R8は、HまたはC1~C4-アルキルである。
【0050】
好ましくは、Gは、-(C1~C4-アルキレン)-NR6R7であり、上記C1~C4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R6およびR7は、互いに独立して、HまたはC1~C4-アルキルであるか;
あるいはR6とR7が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C1~C4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R8は、HまたはC1~C4-アルキルである。
【0051】
式-A
1-D-G(III)の好ましい基は、例えば、-SO
2NH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-SO
2NH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、SO
2NH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2、-CONH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-CONH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、
-CONH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2、
【化6】
である。
【0052】
好ましい態様では、式(P
1)-(X
1)
m(II)の顔料誘導体は、式
【化7】
のジケトピロロピロール誘導体であり、式中、
mは1または2、好ましくは1であり;
rは、0、1、または2、好ましくは0または1であり;
R
9は、出現ごとに、Cl、Br、CF
3、CN、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、SC
1~C
4-アルキル、Ar
3、OAr
3、またはSAr
3から選択され;
Ar
3は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
10および/もしくはR
11で置換されており;
R
10およびR
11は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
10とR
11は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
X
1は、式-A
1-D-G(III)の基であり、式中、
A
1は直接結合またはメチレンであり;
Dは、-NHCO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
4-アルキレン)-NR
6R
7であり、上記C
1~C
4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5はHであるか;
あるいはGとR
5が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルである。
【0053】
より好ましいのは、式(IIa)の顔料誘導体であり、式中、
rは1であり;
R9はp-置換、特に、Cl、Br、Me、OMe、フェニル、フェノキシ、またはSAr3であるR9でp-置換されており;
A1は直接結合であり;
Dは、-CO-NR5-または-SO2-NR5-であり;
Ar3は、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール、好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルである。
【0054】
さらに好ましい態様では、式(P
1)-(X
1)
m (II)の顔料誘導体は、式
【化8】
のジケトピロロピロール誘導体であり、式中、
X
1は、式-A
1-D-G(III)の基であり;
A
1は直接結合またはメチレン、特に直接結合であり;
Dは、-NH-CO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-、特に-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
4-アルキレン)-NR
6R
7であり、上記C
1~C
4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5はHであるか;
あるいはGとR
5が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルであり;
Ar
6は、出現ごとに、1,4-フェニレンまたはC
3~C
5-ヘテロアリーレンから選択され、上記フェニレンは非置換であるか、またはR
22で置換されており;
Ar
7は、出現ごとに、フェニルまたはC
3~C
5-ヘテロアリールから選択され、上記フェニルまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
23および/もしくはR
24で置換されており;
R
22は、出現ごとに、Cl、CH
3、またはOCH
3から選択され;
R
23およびR
24は、互いに独立しており、出現ごとに、Cl、CH
3、またはOCH
3から選択されるか、あるいは
R
23とR
24は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Z
3は、SO
3Hまたはその塩であり;
tは、数1~4、好ましくは1~3、より好ましくは1~2であり;
uは、数0~3、好ましくは0~2、より好ましくは0であり;
ただし、t+uは、1~4である。
【0055】
式(XII)の顔料誘導体の塩を形成するための対カチオンは、金属カチオン、例えば、アルカリ金属カチオンまたは1/2アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムまたは置換アンモニウムであり得る。置換アンモニウムカチオンの例は、+N(CH3)2(C18H37)2、+NH(CH3)2(C18H37)、+N(CH3)2(C12H25)2、+NH(CH3)2(C12H25)、+N(CH3)2(C10H21)2、+NH(CH3)2(C10H21)、+N(CH3)2(C8H17)2、+NH(CH3)2(C8H17)、+NH(C8H17)3、+NH(C10H21)3、+NH(C12H25)3、および+NH(C18H35)3である。
【0056】
通常、式(XII)の顔料誘導体は、置換度の異なる混合物で構成されるため、数t、u、およびt+uはまた、小数値をとることがある。上記数値はまた、1未満でもあり得、その結果、顔料調製物が、実際には顔料誘導体の製造中に生じる可能性がある。
【0057】
より好ましいのは、式(XII)の顔料誘導体であり、式中、
X1は、式-A1-D-G(III)の基であり;
A1は直接結合であり;
Dは、-CO-NR5-または-SO2-NR5-、好ましくは-SO2-NR5-であり;
Ar6は、出現ごとに、1,4-フェニレン;Cl、CH3、OCH3で置換された1,4-フェニレン;またはピリジン-2,5-ジイルから選択され、好ましくは1,4-フェニレンであり;
Ar7は、出現ごとに、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾールから選択され、好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルである。
【0058】
最も好ましいのは、両方のAr6基が同一であり、かつ両方のAr7基が同一である、式(XII)の顔料誘導体である。
【0059】
特に、Ar7がX1でp-置換され、uが0である。
【0060】
特に好ましいのは、
(a)式(I)の顔料と
(b)式(XII)の顔料誘導体とを含み、
Ar1とAr6が同一であり、かつAr2とAr7が同一である顔料組成物である。
【0061】
さらに好ましいのは、式
【化9】
の顔料誘導体であり、式中、
mは1または2、好ましくは1であり;
X
1は、脂肪族カルボキサミド基または脂肪族スルホンアミド基を含む基、好ましくは式-A
1-D-G(III)の基であり;
Ar
3は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
10および/もしくはR
11で置換されており;
R
10およびR
11は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
10とR
11は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Ar
5は、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
21で置換されており;
R
21は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNである。
【0062】
基X1、好ましくは式-A1-D-G(III)の基は、メタ位またはパラ位、好ましくはメタ位であり得る。
【0063】
したがって、さらに好ましいのは、式
【化10】
の顔料誘導体であり、式中、
X
1は、式-A
1-D-G(III)の基であり;
A
1は直接結合またはメチレン、好ましくは直接結合であり;
Dは、-NHCO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-、好ましくは-CO-NR
5-または-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
4-アルキレン)-NR
6R
7であり、上記C
1~C
4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5はHであるか;
あるいはGとR
5が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルであり;
Ar
3は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
10および/もしくはR
11で置換されており;
R
10およびR
11は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
10とR
11は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Ar
5は、1-4-フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
21で置換されており;
R
21は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNである。
【0064】
より好ましいのは、式(XIa)の顔料誘導体であり、式中、
Ar5は、1,4-フェニレン;Cl、CH3、OCH3で置換された1,4-フェニレン;またはピリジン-2,5-ジイル、好ましくは1,4-フェニレンであり;
Ar3は、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール、好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルである。
【0065】
特に好ましいのは、式
【化11】
の顔料誘導体であり、式中、
A
1は直接結合またはメチレン、好ましくは直接結合であり;
Dは、-NHCO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-、好ましくは-CO-NR
5-または-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
4-アルキレン)-NR
6R
7であり、上記C
1~C
4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5はHであり;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルである。
【0066】
式(XIa)または(XIb)の顔料誘導体の好適な例は、基-A
1-D-Gが、-SO
2NH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-SO
2NH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、-CONH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-SO
2NH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2、-CONH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、-CONH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2、
【化12】
から選択される化合物である。
【0067】
特に好ましいのは、
(a)式(I)の顔料と
(b)式(XIa)の顔料誘導体とを含む顔料組成物であって、
Ar1とAr3が同一であり、かつAr2とAr5が同一であり;
Ar1は、1,4-フェニレン;Cl、CH3、OCH3で置換された1,4-フェニレン;またはピリジン-2,5-ジイル、好ましくは1,4-フェニレンであり;
Ar2は、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール、好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルであるものである。
【0068】
式(IIa)または(IIb)の顔料誘導体の好適な例は、例えば、特開2000-273346号公報、特開平03-26767号公報、欧州特許出願公開第2495288号明細書に記載されているもの、または国際公開第09/144115号に着色剤(V)として記載されているものである。顔料誘導体は、当技術分野において公知の方法、例えば、特開2000-273346号公報、特開平03-26767号公報、または国際公開第09/144115号に着色剤(V)として記載されている方法と同様に製造することができる。例えば、不斉ジケトピロロピロールは、4-エトキシカルボニル-5-フェニルピロリド-2-オンを介して製造することができる。これは、C. Morton et al, Tetrahedron 2002, 58, 5547-5565に従って製造することができ、様々な置換基を導入することができる。次に、当技術分野において公知の従来方法によって、これらを置換するか、またはさらに反応させてもよい。
【0069】
式(XII)のジケトピロロピロール顔料誘導体を製造するための合成経路はいくつか存在する。例えば、式(I)の顔料を、発煙硫酸と反応させてスルホン化して、スルホン化顔料誘導体を生成した後、スルホン化顔料誘導体を塩素化剤と反応させ、クロロスルホン化顔料誘導体を製造することができる。次に、例えば欧州特許出願公開第2495288号明細書に記載されているように、クロロスルホン化顔料誘導体を好適なアミン化合物と反応させて、スルホンアミド置換顔料誘導体を得る。同様に、式(XII)の顔料誘導体を、例えば国際公開第02/064680号に記載のように、クロロスルホン酸と反応させた後、好適なアミン化合物と反応させ、さらに望ましい場合には、遊離スルホン酸をアンモニウム塩または金属塩と反応させてもよい。同様に、式(XII)の顔料誘導体を、例えば、特開2000-273346号公報に記載されているように、従来のクロロメチル化の後、好適なアミン化合物と反応させて製造してもよい。
【0070】
式(II)のさらに好ましい顔料誘導体は、式
【化13】
のキナクリドン誘導体であり、式中、R
25およびR
26は、互いに独立して、H、ハロゲン、またはC
1~C
4-アルキルであり、X
1は、式-A
2-E(IV)の基である。
【0071】
式(IId)の好適な顔料誘導体は、例えば、式
【化14】
の顔料誘導体またはその塩であり、式中、xは1、2、または3、好ましくは2である。
【0072】
式(IIe)の顔料誘導体の塩を形成するための対カチオンは、金属カチオン、例えば、アルカリ金属カチオンまたは1/2アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムまたは置換アンモニウムであり得る。置換アンモニウムカチオンの例は、+N(CH3)2(C18H37)2、+NH(CH3)2(C18H37)、+N(CH3)2(C12H25)2、+NH(CH3)2(C12H25)、+N(CH3)2(C10H21)2、+NH(CH3)2(C10H21)、+N(CH3)2(C8H17)2、+NH(CH3)2(C8H17)、+NH(C8H17)3、+NH(C10H21)3、+NH(C12H25)3、および+NH(C18H35)3である。
【0073】
式(IId)の顔料誘導体の好適な例は、国際公開第2007/060254号または国際公開第2007/060259号に記載されているものである。
【0074】
顔料組成物は、式(II)および/または(XII)の1種以上の顔料誘導体、特に式(IIa)および/または(XII)の1種以上の顔料誘導体を含有し得る。また、顔料組成物が、式(IId)の顔料誘導体と組み合わせて、式(IIa)の顔料誘導体を含有していることが好ましい。特に、顔料組成物は、式(IIa)または(XI)の顔料誘導体を含有する。
【0075】
顔料組成物は、(c)式(II)の顔料誘導体とは異なる顔料誘導体をさらに含み得る。
【0076】
したがって、好ましい態様では、顔料組成物は、
(c)式(P2)-(Y)n (V)
[式中、
P2は、色素発色団の残基であり;
Yは、OC4~C25-アルキル、SC4~C25-アルキル、OC7~C25-アラルキル、SC7~C25-アラルキル、OC7~C25-アルキルアリール、SC7~C25-アルキルアリール、またはNR12R13から選択される基であり;
R12およびR13は、互いに独立して、H、C4~C25-アルキル、C7~C25-アラルキル、またはC7~C25-アルキルアリールであり、ただし、R12とR13の炭素原子の合計が少なくとも8であり;Yのアルキル基は、O、S、NR14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R14は、HまたはC1~C4-アルキルであり;
nは、1、2、3、または4、好ましくは1または2である]の顔料誘導体を含む。
【0077】
式(P2)-(Y)n (V)の顔料誘導体は、式中、P2が、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、アミノアントラキノン、およびペリレンからなる群より選択される色素発色団の残基、好ましくは、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン、キナクリドン、6,13-ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、4,4´-ジアミノ-1,1´-ビスアントラキノン、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、およびペリレンテトラカルボン酸ジイミドからなる群より選択される色素発色団の残基であるものが好ましい。発色団は、非置換であっても置換されていてもよい。好適な置換基は、P1に関して定義したものと同一である。
【0078】
好ましくは、P2は、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン、キナクリドン、6,13-ジヒドロキナクリドン、または4,4´-ジアミノ-1,1´-ビスアントラキノン発色団の残基であり、より好ましくは、非置換であるかまたは置換された、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオンの残基、好ましくは非置換であるか、またはCl、Br、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、フェニル、OAr4、またはSAr4で置換され、より好ましくは非置換であるか、またはCl、Br、メチル、エチル、t-ブチル、フェニル、フェノキシ、またはS-フェニルで置換されたものである。
【0079】
基Yは、好ましくは、炭素原子が少なくとも8個の基、例えば、OC8~C22-アルキル、SC8~C22-アルキル、OC12~C22-アラルキル、SC12~C22-アラルキル、OC12~C22-アルキルアリール、SC12~C22-アルキルアリール、またはNR12R13(式中、R12およびR13は、互いに独立して、H、C8~C22-アルキル、C12~C22-アラルキル、またはC12~C22-アルキルアリールである)を含み、
Yの各アルキル基は、O、S、NR14、またはフェニレン、好ましくはフェニレンで中断されてもよく;
R14は、HまたはC1~C4-アルキル、好ましくはHまたはCH3である。
【0080】
基Yは、最大4回、好ましくは1回または2回出現し得る。すなわちnが1または2である。好ましくは、各Yは同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは、各Yは同じである。
【0081】
好ましい態様では、式(V)の顔料誘導体は、式
【化15】
のジケトピロロピロール誘導体であり、式中、
nは、1または2、好ましくは1であり;
n´とn´´は互いに独立して1または2であり;
sは、0、1、または2、好ましくは0または1であり;
R
15は、出現ごとに、Cl、Br、CF
3、CN、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、SC
1~C
4-アルキル、Ar
4、OAr
4、またはSAr
4から選択され;
Ar
4は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
16および/もしくはR
17で置換されており;
R
16およびR
17は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
16とR
17は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Yは、OC
8~C
22-アルキル、SC
8~C
22-アルキル、OC
12~C
22-アラルキル、SC
12~C
22-アラルキル、OC
12~C
22-アルキルアリール、SC
12~C
22-アルキルアリール、またはNR
12R
13(式中、
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
8~C
22-アルキル、C
12~C
22-アラルキル、またはC
12~C
22-アルキルアリールである)であり;
Yの各アルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレン、好ましくはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキル、好ましくはHまたはCH
3である。
【0082】
さらに好ましい態様では、式(P
2)-(Y)
n (V)の顔料誘導体は、式
【化16】
のジケトピロロピロール誘導体であり、式中、
nは、1であり;
sは、0、1、または2、好ましくは0または1であり;
R
15は、出現ごとに、Cl、Br、CF
3、CN、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、SC
1~C
4アルキル、Ar
4、OAr
4、またはSAr
4であり;
Ar
4は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
16および/もしくはR
17で置換されており;
R
16およびR
17は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
16とR
17は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Yは、OC
8~C
22-アルキル、SC
8~C
22-アルキル、OC
12~C
22-アラルキル、SC
12~C
22-アラルキル、OC
12~C
22-アルキルアリール、SC
12~C
22-アルキルアリール、またはNR
12R
13から選択され、
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
8~C
22-アルキル、C
12~C
22-アラルキル、またはC
12~C
22-アルキルアリールであり;
Yの各アルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキルである。
【0083】
より好ましいのは、式(Va)の顔料誘導体であり、式中、
nは、1であり;
sは、1であり;
R15はp-置換、特に、Cl、Br、Me、OMe、フェニル、フェノキシ、またはSAr4であるR9でp-置換されており;
Ar4は、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール、好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルである。
【0084】
さらに好ましいのは、式
【化17】
の顔料誘導体であり、式中、
nは、1または2、好ましくは1であり;
Yは、OC
4~C
25-アルキル、SC
4~C
25-アルキル、OC
7~C
25-アラルキル、SC
7~C
25-アラルキル、OC
7~C
25-アルキルアリール、SC
7~C
25-アルキルアリール、またはNR
12R
13から選択される基であり;
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
4~C
25-アルキル、C
7~C
25-アラルキル、またはC
7~C
25-アルキルアリールであり、ただし、R
12とR
13の炭素原子の合計が少なくとも8であり;Yのアルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキルであり;
Ar
8は、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
27で置換されており;
R
27は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであり;
Ar
4は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
16および/もしくはR
17で置換されており;
R
16およびR
17は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
16とR
17は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されている。
【0085】
基Yは、メタ位またはパラ位、好ましくはパラ位であり得る。
【0086】
特に、基Yは直鎖アルキル基を含む。
【0087】
したがって、さらに好ましいのは、式
【化18】
の顔料誘導体であり、式中、
Yは、OC
8~C
22-アルキル、SC
8~C
22-アルキル、OC
12~C
22-アラルキル、SC
12~C
22-アラルキル、OC
12~C
22-アルキルアリール、SC
12~C
22-アルキルアリール、またはNR
12R
13であり;
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
8~C
22-アルキル、C
12~C
22-アラルキル、またはC
12~C
22-アルキルアリールであり;
Yの各アルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレン、好ましくはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキル、好ましくはHまたはCH
3であり;
Ar
8は、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
27で置換されており;
R
27は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであり;
Ar
4は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
16および/もしくはR
17で置換されており;
R
16およびR
17は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
16とR
17は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香環またはヘテロ芳香環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されている。
【0088】
より好ましいのは、式(Vc)または式(Vd)の顔料誘導体であり、式中、
Ar8は、1,4-フェニレン;Cl、CH3、OCH3で置換された1,4-フェニレン;またはピリジン-2,5-ジイル、好ましくは1,4-フェニレンであり;
Ar4は、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール、好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルである。
【0089】
特に好ましいのは、式
【化19】
の顔料誘導体であり、式中、
Yは、OC
8~C
22-アルキル、SC
8~C
22-アルキル、OC
12~C
22-アラルキル、SC
12~C
22-アラルキル、OC
12~C
22-アルキルアリール、またはSC
12~C
22-アルキルアリールであり、
Yの各アルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレン、好ましくはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキル、好ましくはHまたはCH
3である。
【0090】
式(V)の顔料誘導体の好適な例は、国際公開第2005/040283号に記載されているものである。
【0091】
特に好ましい顔料組成物は、
a)式(I)[式中、
Ar1は、出現ごとに、1,4-フェニレンまたはC3~C5-ヘテロアリーレンから選択され、上記フェニレンは非置換であるか、またはR1で置換されており;
Ar2は、出現ごとに、フェニルまたはヘテロアリールから選択され、上記フェニルまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR2および/もしくはR3で置換されており;
R1は、Cl、CH3、またはOCH3であり;
R2およびR3は、互いに独立して、Cl、CH3、またはOCH3であるか、あるいは
R2とR3は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成する]の顔料と;
b)式(XI)、好ましくは式(XIa)[式中、
mは1または2、好ましくは1であり;
X1は、式-A1-D-G(III)の基であり;
A1は直接結合またはメチレン、好ましくは直接結合であり;
Dは、-NHCO-、-CO-NR5-、または-SO2-NR5-、好ましくは-CO-NR5-または-SO2-NR5-であり;
Gは、-(C1~C4-アルキレン)-NR6R7であり、上記C1~C4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R5はHであるか;
あるいはGとR5が、結合する窒素と共に6員環を形成し、上記6員環は、C1~C4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R6およびR7は、互いに独立して、HまたはC1~C4-アルキルであるか;
あるいはR6とR7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記環は、C1~C4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R8は、HまたはC1~C4-アルキルであり;
Ar3は、C6~C10-アリールまたはC2~C6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR10および/もしくはR11で置換されており;
R10およびR11は、互いに独立して、Cl、Br、C1~C4-アルキル、OC1~C4-アルキル、CF3、またはCNであるか、あるいは
R10とR11は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香環またはヘテロ芳香環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC1~C4-アルキルで置換されており;
Ar5は、フェニレンまたはC2~C6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR21で置換されており;
R21は、Cl、Br、C1~C4-アルキル、OC1~C4-アルキル、CF3、またはCNである]の顔料誘導体と;
c)任意選択で式(Vc)、好ましくは式(Vd)[式中、
nは、1または2、好ましくは1であり;
Yは、OC4~C25-アルキル、SC4~C25-アルキル、OC7~C25-アラルキル、SC7~C25-アラルキル、OC7~C25-アルキルアリール、SC7~C25-アルキルアリール、またはNR12R13から選択される基であり;
R12およびR13は、互いに独立して、H、C4~C25-アルキル、C7~C25-アラルキル、またはC7~C25-アルキルアリールであり、ただし、R12とR13の炭素原子の合計が少なくとも8であり;Yのアルキル基は、O、S、NR14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R14は、HまたはC1~C4-アルキルであり;
Ar8は、フェニレンまたはC2~C6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR27で置換されており;
R27は、Cl、Br、C1~C4-アルキル、OC1~C4-アルキル、CF3、またはCNであり;
Ar4は、C6~C10-アリールまたはC2~C6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR16および/もしくはR17で置換されており;
R16およびR17は、互いに独立して、Cl、Br、C1~C4-アルキル、OC1~C4-アルキル、CF3、またはCNであるか、あるいは
R16とR17は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC1~C4-アルキルで置換されている]の顔料誘導体とを含む。
【0092】
特に好ましいのは、
(a)式(I)の顔料と、
(b)式(XIa)、好ましくは式(XIb)の顔料誘導体と、
(c)任意選択で式(Vc)、好ましくは式(Vd)の顔料誘導体とを含む顔料組成物であり、
式中、
Ar1、Ar3、およびAr4が同一であり、かつAr2、Ar5、およびAr8が同一であり;
Ar1は、1,4-フェニレン;Cl、CH3、OCH3で置換された1,4-フェニレン;またはピリジン-2,5-ジイル、好ましくは1,4-フェニレンであり;
Ar2は、フェニル;Cl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール、好ましくはフェニルまたはCl、CH3、もしくはOCH3でp-置換されたフェニルであるものである。
【0093】
本発明の顔料組成物は、通常、顔料組成物の総重量を基準として、少なくとも65重量%、好ましくは70~80重量%の量の顔料(a)含む。
【0094】
本発明の顔料組成物は、通常、顔料組成物の総重量を基準として、約3~35重量%、好ましくは5~20重量%の量で、式(II)の顔料誘導体(b)を含む。
【0095】
存在する場合、本発明の顔料組成物は、顔料組成物の総重量を基準として、約0.1~10重量%、好ましくは0.5~7重量%、より好ましくは0.5~5重量%の量で、式(V)の顔料誘導体(c)を含み得る。
【0096】
好ましくは、本発明の顔料組成物は、顔料組成物の総重量を基準として、70~80重量%の量の顔料(a)、5~20重量%の量の式(II)の顔料誘導体(b)、および存在する場合、0.5~7重量%の量の式(V)の顔料誘導体(c)を含む。
【0097】
顔料組成物は、式(II)の顔料誘導体および式(V)の顔料誘導体とは異なる顔料誘導体(d)をさらに含み得る。
【0098】
したがって、好ましい態様では、顔料組成物は、
(d)式(Z2)p-(P3)-(A3-Z1)q (VI)
[式中、
P3は、色素発色団の残基であり、
A3は、C1~C6-アルキレンであり;
Z1は、N含有5員複素環、好ましくはヘテロ芳香環であり;
Z2は、SO3Hもしくはその塩、またはCO2Hもしくはその塩であり、
pは、数0~2であり;
qは、数1または2である]の顔料誘導体をさらに含む。
【0099】
式(Z2)p-(P3)-(A3-Z1)q (VI)の顔料誘導体は、式中、
P3が、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、アミノアントラキノン、およびペリレンからなる群より選択される色素発色団の残基、好ましくは、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン、キナクリドン、6,13-ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、4,4´-ジアミノ-1,1´-ビスアントラキノン、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、およびペリレンテトラカルボン酸ジイミドからなる群より選択される色素発色団の残基のものが好ましい。発色団は、非置換であっても置換されていてもよい。好適な置換基は、P1に関して定義したものと同一である。
【0100】
好ましくは、P3は、発色団が非置換であるかまたは置換された、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン、キナクリドン、または4,4´-ジアミノ-1,1´-ビスアントラキノン発色団の残基であり、より好ましくは、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオンまたはキナクリドンの残基である。
【0101】
好ましくは、P3は、ジケトピロロピロールまたはキナクリドン発色団の残基である。
【0102】
基Z1は、1個、2個、または3個の窒素原子を有するN含有5員複素環、好ましくはヘテロ芳香環である。
【0103】
したがって、好ましい態様では、顔料組成物は、式(Z
2)
p-(P
3)-(A
3-Z
1)
q (VI)[式中、Z
1は
【化20】
(式中、
R
18、R
19、およびR
20は、互いに独立しており、出現ごとに、H、ハロゲン、C
1~C
18-アルキル;ハロゲン、OC
1~C
6-アルキル、もしくはジ(C
1~C
6-アルキル)アミノで置換されたC
1~C
18-アルキル;C
6~C
12-アリール;またはC
1~C
18-アルキル、ハロゲン、ニトロ、もしくはOC
1~C
6-アルキルで置換されたC
6~C
12-アリールから選択され;
R
18、R
19、およびR
20の2つの隣接基は、それらが結合されているヘテロアリール環と共に5~7員の脂環、芳香環、またはヘテロ芳香環、好ましくは5~6員の脂環、芳香環、またはヘテロ芳香環を形成する)からなる群より選択される基である]の顔料誘導体(d)を含む。
【0104】
Z1が、式(VIIa)、(VIId)、(VIIe)、および/または(VIIi)の基である顔料誘導体(d)が好ましい。より好ましくは、基Z1は、式(VIIe)または(VIIi)の基である。
【0105】
好ましくは、R18、R19、およびR20は、互いに独立しており、出現ごとに、H、Cl、C1~C4-アルキル;Cl、OMe、OEt、もしくはジ(C1~C4-アルキル)アミノで置換されたC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;またはC1~C4-アルキル、Cl、ニトロ、もしくはOMe、もしくはOEtで置換されたC6~C12-アリールから選択され;
R18、R19、およびR20の2つの隣接基は、それらが結合されているヘテロアリール環と共に5~6員の脂環、芳香環、またはヘテロ芳香環、好ましくはベンゾ縮環を形成する。
【0106】
Z2がスルホン酸基またはカルボン酸基の塩である場合、好適な対カチオンは、金属カチオン、例えば、アルカリ金属カチオンまたは1/2アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムまたは置換アンモニウムであり得る。置換アンモニウムカチオンの例は、+N(CH3)2(C18H37)2、+NH(CH3)2(C18H37)、+N(CH3)2(C12H25)2、+NH(CH3)2(C12H25)、+N(CH3)2(C10H21)2、+NH(CH3)2(C10H21)、+N(CH3)2(C8H17)2、+NH(CH3)2(C8H17)、+NH(C8H17)3、+NH(C10H21)3、+NH(C12H25)3、および+NH(C18H35)3である。
【0107】
Z2は、好ましくはスルホン酸基またはその塩である。
【0108】
本発明の顔料組成物は、顔料組成物の総重量を基準として、約3~30重量%、好ましくは5~20重量%の量で、式(VI)の顔料誘導体(d)を含み得る。
【0109】
顔料組成物は、成分(a)、成分(b)、ならびに任意選択で成分(c)および成分(d)を混合することにより製造することができる。あるいは、顔料誘導体(b)および任意選択の顔料誘導体(c)が、ジケトピロロピロール発色団の残基から誘導されるという条件で、本明細書で混合合成と呼ばれる式(I)の顔料の合成中に顔料組成物を製造することができる。
【0110】
式(II)の顔料誘導体(b)は式(I)の顔料の合成中に添加しても、かつ/または顔料相乗剤として式(I)の顔料(a)とブレンドしても、かつ/または顔料分散体の製造中に顔料相乗剤として添加してもよい。式(I)の顔料(a)の合成中に式(II)の顔料誘導体(b)を添加する場合、式(II)の顔料誘導体(b)の量は3~12重量%、好ましくは5~9重量%である。
【0111】
あるいは、式(II)の顔料誘導体(b)は、顔料誘導体(b)がジケトピロロピロール発色団の残基から誘導されるという条件で、式(I)の顔料の合成中に製造することができる。
【0112】
式(V)の顔料誘導体(c)は、式(I)の顔料の合成中に、0.1~10重量%、好ましくは0.5~7重量%、より好ましくは0.5~5重量%の量で添加することができる。
あるいは、式(V)の顔料誘導体(c)は、顔料誘導体(c)がジケトピロロピロール発色団の残基から誘導されるという条件で、式(I)の顔料の合成中に製造することができる。
【0113】
式(VI)の顔料誘導体(d)は式(I)の顔料の合成中に添加しても、かつ/または顔料相乗剤として式(a)の顔料と乾式混合しても、かつ/または顔料分散体の製造中に顔料相乗剤として添加してもよい。
【0114】
顔料誘導体(b)および(存在する場合)(c)は式(I)の顔料の合成中に製造されることが好ましい。
【0115】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書の任意の態様で定義されるように、P
1およびP
2がジケトピロロピロール発色団の残基である顔料組成物の製造方法であって、該方法は、コハク酸ジエステルを、式
NC-Ar
1-S-Ar
2 (VIII)の化合物、式
【化21】
の化合物、および任意選択で式
【化22】
の化合物と反応させることを含み、
式中、
Ar
1は、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
1で置換されており;
Ar
2は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
2および/もしくはR
3で置換されており;
R
1は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
2とR
3は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香環またはヘテロ芳香環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはR
4で置換されており;
R
4は、ClまたはC
1~C
4-アルキルであり;
mは1または2、好ましくは1であり;
nは、1または2、好ましくは1であり;
X
1は、脂肪族カルボキサミド基または脂肪族スルホンアミド基を含む基であり;
Yは、OC
4~C
25-アルキル、SC
4~C
25-アルキル、OC
7~C
25-アラルキル、SC
7~C
25-アラルキル、OC
7~C
25-アルキルアリール、SC
7~C
25-アルキルアリール、またはNR
12R
13から選択される基であり;
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
4~C
25-アルキル、C
7~C
25-アラルキル、またはC
7~C
25-アルキルアリールであり、ただし、R
12とR
13の炭素原子の合計が少なくとも8であり;Yのアルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキルである、方法に関する。
【0116】
ジケトピロロピロール顔料の合成は当業者に公知である。DPP着色剤は、例えば、Bull. Soc. Chim. Belg. 97(8-9), 1988, 615、欧州特許出願公開第0061426号明細書、欧州特許出願公開第0094911号明細書、欧州特許出願公開第0098808号明細書、欧州特許出願公開第0184982号明細書、欧州特許出願公開第0232222号明細書、または欧州特許出願公開第0302018号明細書に開示されている反応スキームおよびプロセスに従って合成することができる。
【0117】
この反応は一般に、1molのコハク酸ジエステルを、式(VIII)および(IX)ならびに任意選択で(X)のニトリル約1.7~1.95当量、特に1.75および1.9当量と、有機溶媒中、塩基の存在下で、高温で反応させることにより顔料アルカリ金属塩を形成した後、水および/またはアルコールならびに任意選択で酸中で顔料アルカリ金属塩の加水分解を行うことにより実施する。
【0118】
加水分解後に得られる混合物を、通常、特定の温度(熟成温度、例えば、-15℃~50℃、好ましくは-10℃~40℃)で数時間、例えば10~30時間、好ましくは15~25時間処理して、顔料組成物を得る。
【0119】
式(VIII)のニトリルの量は、合成に使用されるニトリルの総量を基準として、約0.85~約0.99mol%、好ましくは約0.87~約0.99mol%の範囲であり得る。式(IX)のニトリルの量は、合成に使用されるニトリルの総量を基準として、約0.01~約0.15mol%、好ましくは約0.01~0.13mol%の範囲であり得る。存在する場合、式(X)のニトリルの量は、合成に使用されるニトリルの総量を基準として、約0.01~約0.10mol%、好ましくは約0.01~約0.08mol%の範囲であり得る。
【0120】
任意選択で、この方法は、本明細書で先に定義したような、式(Z2)p-(P3)-(A3-Z1)q (VI)の顔料誘導体(d)の存在下で実施することができる。
【0121】
合成反応中に顔料誘導体(d)を添加する場合、その量は、合成後に得られた(a)および(b)ならびに(存在する場合)(c)の顔料組成物の理論重量を基準として、約0.01~約0.3重量%の範囲であり得る。
【0122】
好適なジコハク酸エステルは、コハク酸ジアルキル、コハク酸ジアリール、またはコハク酸モノアルキル-モノアリール、好ましくは、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジ-t-ブチル、コハク酸ジ-t-アミルなどのようなコハク酸ジアルキルであり得る。ジコハク酸エステルと、式(VIII)および(IX)ならびに任意選択で(X)のニトリルとの反応は、通常、有機溶媒中、好ましくはアルコール中、例えば、t-ブチルアルコールまたはt-アミルアルコールのような第二級または第三級アルコール中で実施する。有機溶媒中のニトリルの総濃度は、概ね0.5~5mol/lである。好適な塩基は、特に、ナトリウムまたはカリウムのイソプロピラート、s-ブチラート、t-ブチラート、またはt-アミラートなどのアルカリ金属アルコラートである。塩基は通常、適切なアルコールをアルカリ金属、金属水素化物、またはアルカリ金属アミドと反応させることにより原位置で製造される。通常、2molを超え、最大4molの塩基を使用する。反応は、60~140℃、好ましくは80~120℃の範囲の温度で実施することができる。合成中に顔料誘導体(b)、(c)、および/または(d)を添加する場合は、通常、加水分解の前に添加する。縮合生成物の加水分解は、水、メタノールもしくはエタノールのようなアルコール、または酢酸もしくは硫酸のような酸を用いて実施することができる。加水分解過程で、本発明の顔料組成物が沈殿し、これを濾過によって単離することができる。
【0123】
概して、式(I)の顔料のアルカリ金属塩、ならびに式(II)および(存在する場合)(V)の顔料誘導体のアルカリ金属塩は、合成過程で形成される。アルカリ金属塩は、任意選択で顔料誘導体(d)の存在下でプロトン化により沈殿する。この方法では、水、ヒドロキシ化合物、酸性塩、および/または酸を添加して、pHを最終値10未満、特に7未満、極めて特に5未満に調整することが優先される。
【0124】
好ましくは、式(IX)のニトリルおよび式(X)のニトリルとは異なる1種以上の芳香族ニトリル、より好ましくは1種の芳香族ニトリルを、式(I)の顔料の合成に含めてもよい。好適な例は、ベンゾニトリル、4-フェニル-ベンゾニトリル、4-クロロ-ベンゾニトリル、1,3-および1,4-ジシアノベンゼンである。これらニトリルは、通常、当技術分野において公知である、例えば米国特許第5738719号明細書に記載される追加の成長抑制剤として機能する、さらなるジケトピロロピロール成分となる。追加のニトリルの量は、合成に使用されるニトリルの総量を基準として、約0.01~約0.10mol%、好ましくは約0.01~約0.08mol%の範囲であり得る。
【0125】
本発明の方法に従って得られる(a)および(b)ならびに任意選択(c)の顔料組成物は、概ね100nm以下、好ましくは10~100nm、より好ましくは10~80nm、特に10~30nmの平均粒径を有する。顔料組成物は、好ましくは、例えば、平均粒子高さ2.5~7nmおよび平均粒子長さ20~50nmである小板形態を有する。粒子は、概して少なくとも2.5、より好ましくは少なくとも5の平均アスペクト比を有する。
【0126】
粒径とは、例えば、Joyce-Loeblディスク遠心分離機または動的レーザー光散乱法によって決定することができる粒子の相当径であると理解される。透過型電子顕微鏡(TEM)画像の評価も多くの場合、適切である。粒径の平均は、重量換算で求める必要がある(すなわち、同じ相当径の粒子の総重量と、測定可能な粒子すべてに関するこの相当径とをプロットする。平均粒径は、得られる重量分布の相加平均である。Malvern Instrumentsから入手可能な、Dr. Alan Rawleによる「basic principles of particle size analysis」を参照)。
【0127】
また、好適な仕上げ処理手段、例えば、それ自体が公知である機械処理または化学処理、例えば乾式粉砕または湿式粉砕、塩との混練、または酸による処理(再沈殿または「アシッドペースティング」)、塩基による処理(例えば、欧州特許出願公開第0707049号明細書に記載されている)、および/もしくは極性溶媒による処理(オストワルト成長または再結晶)によって粒径を調整することができる。また、例えば、欧州特許出願公開第1194485号明細書に記載されているように、複数のこのような処理を同時または逐次的に組み合わせてもよい。
【0128】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で先に定義した方法によって得られる、本明細書で先に定義した顔料組成物に関する。
【0129】
それによれば、本発明は、
(a)式
【化23】
[式中、
Ar
1は、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
1で置換されており;
Ar
2は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
2および/もしくはR
3で置換されており;
R
1は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
2とR
3は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはR
4で置換されており、
R
4は、ClまたはC
1~C
4-アルキルである]の顔料と;
(b)式
(P
1)-(X
1)
m (II)
[式中、
P
1は、色素発色団の残基であり、
X
1は、脂肪族カルボキサミド基、脂肪族スルホンアミド基、カルボン酸基、またはそれらの塩を含む基であり、
mは、1、または2である]の顔料誘導体と;
(c)任意選択で式(P
2)-(Y)
n (V)
[式中、
P
2は、ジケトピロロピロール発色団の残基であり;
Yは、OC
4~C
25-アルキル、SC
4~C
25-アルキル、OC
7~C
25-アラルキル、SC
7~C
25-アラルキル、OC
7~C
25-アルキルアリール、SC
7~C
25-アルキルアリール、またはNR
12R
13から選択される基であり;
R
12およびR
13は、互いに独立して、H、C
4~C
25-アルキル、C
7~C
25-アラルキル、またはC
7~C
25-アルキルアリールであり、ただし、R
12とR
13の炭素原子の合計が少なくとも8であり;Yのアルキル基は、O、S、NR
14、またはフェニレンで中断されてもよく;
R
14は、HまたはC
1~C
4-アルキルであり;
nは、1または2である]の顔料誘導体とを含み、コハク酸ジエステルを、式NC-Ar
1-S-Ar
2 (VIII)の化合物、式
【化24】
の化合物、および任意選択で式
【化25】
の化合物と反応させることを含む方法により得ることができる顔料組成物に関する。
【0130】
本発明の顔料組成物は、ポリマー分散剤と共に適切に分散されて、顔料分散体を形成することができる。
【0131】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書の任意の態様で定義される顔料組成物を含む顔料分散体、およびポリマー分散剤に関する。2種以上のポリマー分散剤を添加することも可能である。
【0132】
好適なポリマー分散剤は、顔料分散体を改善し、その分散体内の粒子間引力を低減する。分散体の改善とは、平均粒径が小さく(すなわち、粒径の減少がより短い粉砕時間で達成される)、粒径分布がより狭いことを意味する。分散体は、従来的手段で製造されたものよりも、凝集および凝塊に対して著しく安定している。好適なポリマー分散剤は、ポリマー鎖と固定基とを含む2成分構造を有する。これらの特定の組み合わせにより、その効果が得られる。
【0133】
ポリマー分散剤は、統計(例えば、ランダム)コポリマー、交互コポリマー、グラジエントコポリマー、グラフトコポリマー、またはブロックコポリマーであり得る。ポリマー分散剤は、顔料(a)および任意選択でさらに別の顔料を基準として、概ね1~50重量%、好ましくは最大で35重量%の量で添加される。
【0134】
好適なポリマー分散剤コポリマーは、例えば、カチオン性コポリマー、アニオン性コポリマー、両性コポリマー、または非イオン性コポリマーである。
【0135】
コポリマーは、例えば、重合性または重縮合性の酸、エステル、グリコール、ニトリル、アミド、イミド、オレフィン、エポキシド、またはアジリジン、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらのエステル、アミドまたはニトリル、テレフタル酸エステル、カプロラクタム、エチレン、プロピレン、イソブチレン、スチレン、酸化エチレン、またはエチレンイミンから誘導される繰り返し単位を有し得る。好ましいのは、グラフトコポリマーおよびブロックコポリマーである。
【0136】
カチオン性、アニオン性、両性、または非イオン性コポリマーとして使用され得るものとして、例えば、商標Disperbyk(登録商標)111、160、161、162、163、164、166、170、171、182、2000、2001、2070、2150、2163;EFKA(登録商標)PX 4300、PX 4310、PX 4320、PX 4330、PX 4340、PX 4350、PA 4400、PA 4401、PA 4402、PA 4403、PA 4450、PX 4700、PX 4701、PX 4731、PX 4732、Dispex(登録商標)Ultra 4585、Solsperse(登録商標)24000、32550、Ajisper(登録商標)PB-821、PB-822、PB-823で提供されているもの、およびそれらの組み合わせがある。
【0137】
ポリマー分散剤は通常、顔料分散体の粘度に影響を及ぼす。したがって、例えば両性コポリマーまたは特にカチオン性コポリマーのように、低粘度を有する顔料分散体が得られるポリマー分散剤を使用することが優先される。
【0138】
ポリマー分散剤は、好ましくは、分散体の製造方法に適用することができる。本明細書で前述したように、この分散体の製造方法において、顔料誘導体(b)および任意選択の顔料誘導体(d)を顔料相乗剤として添加することができる。
【0139】
好ましくは、顔料誘導体(b)は式(I)の顔料の合成中に製造し、分散体の製造方法の前に式(I)の顔料とブレンドすることにより顔料相乗剤として追加で添加する。
【0140】
好ましくは、顔料誘導体(d)は、顔料相乗剤として、式(I)の顔料ならびに顔料誘導体(b)および(存在する場合)(c)である組成物とブレンドされる。あるいは、この分散体の製造方法において、顔料誘導体(d)を顔料相乗剤として添加してもよい。
【0141】
分散体混合方法中に、(b)および(d)の顔料誘導体以外の任意の好適な顔料相乗剤を、本明細書で定義される顔料組成物を含む顔料分散体に添加してもよい。あるいは、そのような好適な顔料相乗剤はまた、分散体の製造方法の前に顔料組成物とブレンドしてもよい。さらに、本明細書で前述したように、仕上げ方法でそのような顔料相乗剤を添加することも可能である。
【0142】
好適な顔料相乗剤は、好ましくは酸性基または塩基性基を有する任意の極性顔料誘導体であり得る。例としては、スルホン化顔料誘導体、式
【化26】
の基のような環状スルホンアミド基を含む顔料誘導体、またはフタルイミド基を含む顔料誘導体であり得る。好適な顔料誘導体は、1つ以上の基を含んでよく、これらの基は、同じであってもまたは異なっていてもよい。顔料相乗剤は、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、アミノアントラキノン、キノフタロン、およびペリレンからなる群より選択される、好ましくは、3,6-ジフェニル-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン、キナクリドン、6,13-ジヒドロキナクリドン、キナクリドンキノン、4,4´-ジアミノ-1,1´-ビスアントラキノン、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド、およびN-[2-(4,5,6,7-テトラクロロ-2,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-1H-インデン-2-イル)-8-キノリル]フタルイミド(ピグメントイエロー138)からなる群より選択される色素発色団の残基から誘導され得る。そのような顔料相乗剤の好適な例は、例えば、欧州特許出願公開第1026207号明細書、米国特許第3386843号明細書、英国特許出願公開第2238550号明細書、国際公開第02/10288号、国際公開第02/064680号、または国際公開第02/00643号に記載されているように、当技術分野において公知である。
【0143】
顔料分散体は、種々の方法で製造することができる。例えば、顔料組成物、溶媒、およびポリマー分散剤、ならびに任意選択でさらに別の顔料相乗剤を所定の量で分散工程を経て分散させることができる。分散工程は、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、またはホモジナイザーを使用して実施することができる。存在する場合、さらに別の着色剤を添加してもよい。必要に応じて、分散工程時に、最終用途に使用される組成物の他の好適な添加剤またはバインダー樹脂が存在してもよい。バインダー樹脂は、一部または全部を添加することができる。使用する装置に応じて、分散時間を適切に調整することができる。分散温度は、例えば、0℃以上、室温、または100℃まで変化させることができる。
【0144】
本発明の顔料組成物または顔料分散体は、種々の用途、例えば、天然源または合成源の任意の有機材料、例えば、カラーフィルター、印刷インク、液体インク、コーティング組成物、塗料、プラスチック、フィルム、または繊維を製造するための感光性レジスト配合物を着色するために使用することができる。
【0145】
したがって、さらなる態様では、本発明は、カラーフィルター、印刷インク、液体インク、コーティング組成物、塗料、プラスチック、フィルム、または繊維を製造するための感光性レジスト配合物の着色のための、本明細書の任意の態様に定義される顔料組成物の使用に関する。
【0146】
顔料組成物は、着色される有機材料に基づいて、通常、0.01~30重量%の量で使用される。カラーフィルターに使用する場合は、それよりも多くの量を使用してもよい。
【0147】
好ましくは、顔料組成物または顔料分散体は、カラーフィルター、特にディスプレイ装置分野の素子向けのものを製造するための感光性レジスト配合物の着色に使用される。
【0148】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書の任意の態様で定義される顔料分散体、樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和モノマー、および溶媒を含む感光性レジスト組成物に関する。
【0149】
本発明の顔料分散体、感光性レジスト配合物、またはカラーフィルターはまた、顔料および/または染料、特にジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ジスアゾ縮合顔料、またはそれらの混合物のような1種以上のさらなる着色剤を含み得る。
【0150】
好適な顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド242、254、255、3,6-ジ(4´-ブロモ-フェニル)-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオンもしくは3,6-ジ(4´-シアノフェニル)-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン系のDPP顔料、ピグメントレッド177、C.I.ピグメントイエロー93、95、128、138、139、150、180、185、213;またはC.I.ピグメントオレンジ16、71、73である。好適な染料は、C.I.ソルベントイエロー25、88、89、C.I.ソルベントオレンジ54、99、またはC.I.ソルベントレッド125、130、160、225のような黄色、橙色、または赤色の染料であり得る。例えば、Orasol(登録商標)Red 330、363、365、Orasol Orange 272、251、Orasol Yellow 152、またはOracet(登録商標)Red 350 FAのような好適な染料を利用可能である。
【0151】
さらなる着色剤が、顔料(a)の総重量を基準として、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは0.1~20重量%の量で存在してもよい。
【0152】
バインダー樹脂は特に限定されない。バインダー樹脂の例として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または感光性樹脂が挙げられる。好ましくは、バインダー樹脂は、カルボキシル基またはヒドロキシル基のような酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂である。そのような樹脂の例として、エポキシアクリレート樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アクリル樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、およびカルボキシル基含有ウレタン樹脂またはそれらの混合物が挙げられる。例えば、国際公開第08/101841号、18ページ28行目~25ページ21行目、または国際公開第2006/037728号に例が開示されている。好ましいバインダーは、アルカリ可溶性アクリル樹脂である。
【0153】
好ましいバインダー樹脂は、カルボキシル基含有ポリマー、特に少なくとも1種のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー(以下「カルボキシル基含有不飽和モノマー」と呼ぶ)と1種以上の他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(以下「他の不飽和モノマー」と呼ぶ)とのコポリマー(以下「カルボキシル基含有コポリマー」と呼ぶ)である。
【0154】
カルボキシル基含有コポリマー中のカルボキシル基含有不飽和モノマーの比率は、バインダーの総重量を基準として、概ね5~50重量%、好ましくは10~40重量%、より好ましくは10~30重量%である。概して、他の不飽和モノマーは、コポリマーの総重量を基準として、約10~約90重量%、好ましくは20~85重量%、より好ましくは50~85重量%、特に60~80重量%でコポリマー中に存在する。
【0155】
カルボキシル基含有コポリマーは、特に、(1)必須成分としてのアクリル酸および/またはメタクリル酸と、コハク酸のモノ(2-アクリロイルオキシエチル)エステルおよび/または場合によってコハク酸のモノ(2-メタクリロイルオキシエチル)エステルとを含むカルボキシル基含有不飽和モノマーと、(2)スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、およびポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーとのコポリマーである。
【0156】
樹脂のコポリマーは、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。(コ)ポリマーは、通常、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:溶媒としてテトラヒドロフラン)によって測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「重量平均分子量」Mwと呼ぶ)が500~1,000,000g/mol、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは3,000~100,000である。重量平均分子量と数平均分子量との比は、好ましくは1対5、より好ましくは1.5対4である。
【0157】
樹脂は、顔料(a)および(b)ならびに(存在する場合)(c)を含む顔料組成物の総重量を基準として、約10~200重量%、好ましくは20~125重量%の量で存在し得る。
【0158】
本発明の感光性レジスト配合物は、1種以上の光重合開始剤を含む。フォトレジストは通常、光重合開始剤およびポリ架橋型モノマー(陰性ラジカル重合)、ポリマー本体を架橋する材料(例えば、光酸発生剤など)、または特定の現像媒体中でのポリマーの溶解度を化学的に変化させる材料を含む。
【0159】
好適な光重合開始剤の例は、例えば、ビスイミダゾール環を有する化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ケタール化合物、α-ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、または例えば国際公開第08/101841号に開示されるトリアジン系化合物、さらに、例えば、欧州特許出願公開第1095313号明細書、国際公開第2006/018405号、国際公開第2007/071797号、国際公開第2007/071497号、国際公開第2007/062963号、国際公開第2005/080337号、特開2010/049238号公報、国際公開第2008/078678号、特開2008/151967号公報、特開2010/015025号公報、特開2010/049238号公報、国際公開第2009/019173号、および国際公開第2011/152066号に記載されるオキシムエステル系化合物である。光重合開始剤は、ポリマー化合物からなる増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、または光増感剤と組み合わせて使用してもよい。
【0160】
光重合開始剤の総量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.05~8重量%、最も好ましくは1~5重量%である。
【0161】
エチレン性不飽和モノマーは、対応するオリゴマーを含め、分子に1種以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物であり得る。典型的な例として、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むリン酸エステル、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリル酸またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0162】
好ましい化合物は、例えば、国際公開第2006/037728号および国際公開第2007/113107号に記載されているポリアクリレートモノマーである。例は、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ/ヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジアクリレート、エチレングリコールジグリセロレートジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジグリセロレートジアクリレート、1,3-プロピレングリコールジグリセロレートジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジグリセロレートジアクリレートなどである。不飽和モノマーは、単独で使用することも、または任意の望ましい混合物に使用することもできる。
【0163】
エチレン性不飽和モノマーの総量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、好ましくは5~70重量%、より好ましくは5~50重量%、最も好ましくは7~30重量%である。
【0164】
さらに、顔料分散体またはレジスト配合物は、当技術分野において公知である種々の好適な添加剤を含んでもよい。例は、重合促進剤、架橋剤、密着性向上剤、有機カルボン酸または無水物、界面活性剤、熱重合阻害剤、増感染料、可塑剤、質感向上剤、貯蔵安定剤などである。
【0165】
感光性レジスト配合物に含有される各成分は、溶媒での溶解後または分散後に使用する。好ましくは、本明細書で前述したように、顔料分散体を使用してもよい。概して、分散体をさらに別の成分と混合して、その混合物を均一化する。各成分は完全に溶解されていても、溶媒中に均一に分散していてもよい。溶媒は、水性または非水性、好ましくは非水性であり得る。5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは0.5μm以上の粒子および混合された粉体を、例えば遠心分離、焼結フィルター、またはメンブレンフィルターによって感光性レジスト配合物から除去することが好ましい。
【0166】
好適な溶媒の例は、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸3-メチル-3-メトキシブチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、およびピルビン酸エチルであり、溶解性、顔料分散性、およびコーティング特性の観点から好ましい。溶媒は、単独でまたは任意の組み合わせで使用することができる。また、γ-ブチロラクトンのような高沸点溶媒を上述の溶媒と組み合わせて使用してもよい。
【0167】
レジスト配合物中の溶媒の量は、感光性レジスト組成物の総重量を基準として、概ね60~90重量%である。
【0168】
本発明の感光性レジスト配合物は、ディスプレイデバイス、特にLCDデバイスまたはOLEDデバイスでの使用に適したカラーフィルターの製造に使用することができる。
【0169】
本発明の顔料組成物は、好ましくは、例えば、テレビ画面用、液晶ディスプレイ(LCD)用、電荷結合素子(CCD)用、または有機発光ダイオード(OLED)用のカラーフィルターのための着色剤として有用である。さらに、顔料組成物を、電子インク(「eインク」)または電子ペーパー(「eペーパー」)のための着色剤として使用してもよい。
本発明の顔料組成物の赤色相は、赤緑青(RGB)のカラーフィルターセット用として特に有用である。この3色は色別のセグメントとして並べて配置され、背後からの照明でフルカラー画像を生成する。このフィルターセグメントを形成する前に、ブラックマトリクスを基板上に形成することができる。この顔料組成物は通常、赤色のフィルターセグメントに存在する。
【0170】
カラーフィルターを作製するための製造方法は周知されており、フォトリソグラフィー、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、レリーフ印刷、スクリーン印刷、スタンプ印刷、連続反転印刷、および/または例えば国際公開第2006/37728号に記載されているような電着法に基づくものであり得る。基板は透過性であっても、または反射性であってもよい。
【0171】
カラーフィルターを形成するのに適した任意の透過性基板、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナシリケートガラスなどのガラス基板、またはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチルなどのようなプラスチック基板を使用することができる。
【0172】
好適な反射性基板は、アルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金などの薄膜を有する、本明細書で前述したようなケイ素基板または透過性基板であり得る。
【0173】
通常、カラーフィルターは、本明細書で先に定義したように、感光性レジスト配合物を基板上にコーティングした後、乾燥、露光、現像、および任意選択でポストベークしてフィルムを形成することによって製造される。
【0174】
それぞれのカラーフィルターセグメントをフォトリソグラフィー法で形成する場合、溶剤現像型またはアルカリ現像型の着色レジスト配合物の形態に製造される感光性レジスト配合物を、スプレーコーティング、スピンコーティング、スリットコーティング、またはロールコーティングなどのコーティング方法によって、乾燥時の厚さが0.5~10μmになるように透過性基板または反射性基板上にコーティングする。次に、接触状態または非接触状態でコーティング上に転写される所定のパターンを有するマスクを通して、乾燥したコーティングに紫外線露光を実施する。次に、コーティングを溶剤もしくはアルカリ現像液に浸漬することによって、または現像液を、例えばスプレーでコーティング上に噴霧することによって、未硬化部分を除去する。他の色についても同様の操作を繰り返し、カラーフィルターを作製する。フォトリソグラフィー法は、印刷法によって製造されるものよりも精密性の高いカラーフィルターを製造することができる。
【0175】
アルカリ現像液として、例えば炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液を使用することができる。また、ジメチルベンジルアミンまたはトリエタノールアミンなどの有機アルカリを使用することもできる。消泡剤または界面活性剤を現像液に添加することができる。水性現像液が好ましい。
【0176】
さらに、コーティングして乾燥された着色レジスト上にポリビニルアルコールまたは水溶性アクリル樹脂などの水溶性またはアルカリ可溶性の樹脂をコーティングし、コーティングされた樹脂を乾燥させて、酸素による重合阻害を防止するフィルムを形成した後に紫外線露光を実施すると、紫外線露光の感度を上げることができる。
【0177】
カラーフィルターはまた、電着法、転写法などによって製造することができる。電着法には、透過性基板上に形成された透過性導電膜を用いて、コロイド粒子の電気泳動により透過性導電膜にそれぞれのカラーフィルターセグメントの電着を形成する工程が含まれる。転写方法には、除去可能な転写基材シートの表面に事前にカラーフィルター層を形成した後、上記カラーフィルター層を目的とする透過性基板に転写する工程が含まれる。
【0178】
乾燥後のカラーフィルターセグメントの厚さは、概ね0.2~10μm、好ましくは0.5~5.0μm、より好ましくは1~3.0μmである。
【0179】
さらに好ましい態様では、本発明は、赤色フィルターセグメントを有するカラーフィルターに関し、当該赤色フィルターセグメントは、式(I)の顔料および式(II)の顔料誘導体を含み、
赤色フィルターセグメントは230℃で15分間熱処理した後、1931 CIE XYZ表色系に従い、C光源を使用して算出される色度座標(x,y)が、x=0.6500のとき、y≧0.285;
透過率Y≧12.5、
最大輝度が30,000のとき、セグメント表面に対する法線方向のコントラスト比CR≧3900である。
【0180】
特に、0.285≦y≦0.3である。
【0181】
より好ましくは、本発明は、赤色フィルターセグメントを有するカラーフィルターに関し、当該赤色フィルターセグメントは、(a)式(I)の顔料と、
(b)式(II)の式の少なくとも1種の極性顔料誘導体と、
(c)式(P2)-(Y)n (V)の顔料誘導体とを含み、
赤色フィルターセグメントは230℃で15分間熱処理した後、1931 CIE XYZ表色系に従い、C光源を使用して算出される色度座標(x、y)が、x=0.6500のとき、y≧0.285;
透過率Y≧12.5、
最大輝度が30,000のとき、セグメント表面に対する法線方向のコントラスト比CR≧3900であり、
270℃で1時間後のコントラスト比CR´は、コントラスト比CRの少なくとも80%である。
【0182】
有利には、コントラスト比CR≧6500、好ましくはCR≧7000、より好ましくはCR≧7500、最も好ましくはCR≧8000である。
【0183】
式(II)の特に好ましい顔料誘導体は、式(XI)および/または(XII)の顔料誘導体であり、最も好ましくは式(XIa)の顔料誘導体である。
【0184】
さらなる態様では、本発明は、式
【化27】
の顔料誘導体に関し、式中、
mは1または2であり;
X
1は、脂肪族カルボキサミド基または脂肪族スルホンアミド基を含む基であり;
Ar
3は、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールであり、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
10および/もしくはR
11で置換されており;
R
10およびR
11は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
10とR
11は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Ar
5は、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンであり、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
21で置換されており;
R
21は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであり;
Ar
6は、出現ごとに、フェニレンまたはC
2~C
6-ヘテロアリーレンから選択され、上記フェニレンまたはヘテロアリーレンは非置換であるか、またはR
22で置換されており;
R
22は、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであり;
Ar
7は、出現ごとに、C
6~C
10-アリールまたはC
2~C
6-ヘテロアリールから選択され、上記アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはR
23および/もしくはR
24で置換されており;
R
23およびR
24は、互いに独立して、Cl、Br、C
1~C
4-アルキル、OC
1~C
4-アルキル、CF
3、またはCNであるか、あるいは
R
23とR
24は、それらが結合されているアリール環またはヘテロアリール環と共に芳香族またはヘテロ芳香族の5員環または6員環を形成し、上記芳香環またはヘテロ芳香環は非置換であるか、またはClもしくはC
1~C
4-アルキルで置換されており;
Z
2は、SO
3Hまたはその塩であり;
tは、数1~4であり;
uは、数0~3であり;
ただし、t+uは、1~4である。
【0185】
式(XI)の顔料誘導体において、基X1、好ましくは式-A1-D-G(III)の基は、メタ位またはパラ位、好ましくはメタ位であり得る。
【0186】
したがって、好ましいのは、式
【化28】
の顔料誘導体であり、式中、
X
1は、式-A
1-D-G(III)の基であり;
A
1は直接結合またはメチレン、好ましくは直接結合であり;
Dは、-NHCO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-、好ましくは-NHCO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
4-アルキレン)-NR
6R
7であり、上記C
1~C
4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5はHであるか;
あるいはGとR
5が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記6員環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルであり;
Ar
5およびAr
6は、互いに独立して、1,4-フェニレン;Cl、CH
3、OCH
3で置換された1,4-フェニレン;またはピリジン-2,5-ジイル、好ましくは1,4-フェニレンであり;
Ar
3およびAr
7は、互いに独立して、フェニル;Cl、CH
3、もしくはOCH
3でp-置換されたフェニル;2-ベンゾチアゾールまたは6-メチル-2-ベンゾチアゾール、好ましくはフェニルまたはCl、CH
3、もしくはOCH
3でp-置換されたフェニルであり;
Z
2は、SO
3Hまたはその塩であり;
tは、数1~3であり;
uは、数0~2、好ましくは0~1、より好ましくは0であり;
ただし、t+uは、1~3である。
【0187】
特に好ましいのは、式
【化29】
の顔料誘導体、式中、
Aは直接結合またはメチレン、好ましくは直接結合であり;
Dは、-NHCO-、-CO-NR
5-、または-SO
2-NR
5-、好ましくは-CO-NR
5-または-SO
2-NR
5-であり;
Gは、-(C
1~C
4-アルキレン)-NR
6R
7であり、上記C
1~C
4-アルキレンは-NH-で中断されてもよく;
R
5はHであり;
R
6およびR
7は、互いに独立して、HまたはC
1~C
4-アルキルであるか;
あるいはR
6とR
7が、結合する窒素と共に5員環または6員環を形成し、上記環は、C
1~C
4-アルキルで置換されていても、かつ/またはNR
8、O、もしくはSで中断されてもよく;
R
8は、HまたはC
1~C
4-アルキルである。
【0188】
式(XIa)または式(XIb)の顔料誘導体の好適な例は、基-A
1-D-Gが、-SO
2NH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-SO
2NH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、-CONH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-SO
2NH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2、 -CONH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、-CONH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2、
【化30】
好ましくは、-SO
2NH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-SO
2NH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、-CONH(CH
2)
3N(CH
3)
2、-SO
2NH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2、-CONH(CH
2)
3N(C
2H
5)
2、または-CONH(CH
2)
3N(nC
4H
9)
2から選択される化合物である。
【0189】
式(XI)および(XII)の顔料誘導体は、成長抑制剤として、好ましくは赤色および橙色の顔料、特にジケトピロロピロール顔料と組み合わせて使用するのに特に適している。式(XI)の顔料誘導体は特に、ジケトピロロピロール顔料、特に式(I)の顔料の混合合成中に形成され、成長抑制剤として機能する。
【0190】
加えて、式(XI)および(XII)の顔料誘導体は、顔料相乗剤として、好ましくは赤色および橙色の顔料、特にジケトピロロピロール顔料と組み合わせて使用するのに適している。顔料誘導体は、顔料の分散体を作製する工程前または工程中に添加することができる。
【0191】
さらに、式(XI)の顔料誘導体は、赤色が要求されるあらゆる用途での赤色着色剤としての使用に適している。
【0192】
本発明の顔料組成物は、カラーフィルターで使用する際に必要とされる赤色スペクトルの色相を提供する。その際、この顔料組成物は高コントラスト比を提供し、高い熱安定性、急峻かつ狭い吸着帯、高い彩度と明度などの他の要件も満たす。特に、カラーフィルター用途において青赤色顔料として従来から使用されているピグメントレッド177と比較して、450~550nmの間で低透過率を示し、それにより彩度が高くなる。
【0193】
有利には、約230℃の熱処理を受けた後に高コントラスト比を提供する。特に、顔料誘導体(c)が存在する場合、270℃の温度でも熱安定性が優れている。
【0194】
本発明のカラーフィルターは、熱処理後も、高透過率をもつ高飽和の青赤色の色点を提供する。したがって、広い色域を提供することができる。
【0195】
感光性レジスト配合物は容易に加工可能であり、特に高分散性を示す。さらに、特に式(I)の顔料の合成中に顔料誘導体(b)が形成される場合、高分散安定性および高再結晶安定性のような高レオロジー挙動を示す。
【0196】
本明細書で前述した顔料に関する所与の定義および優先事項は、任意の組み合わせ、ならびに本発明の他の態様に関する任意の組み合わせに適用される。
【0197】
以下の実施例を参照して、本発明を以降でさらに詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。特に記載のない限り、「%」は常に重量%(重量%)である。
【0198】
実施例
色度:C光源下での色度(Y,x,y)をUV/VIS分光光度計(Agilent(登録商標)UV/Vis 8435)を使用して測定し、1931 CIE XYZ表色系に従って、C光源を使用し、x=0.6500で算出した。
【0199】
コントラスト比:コントラスト比測定装置(CT-1、最大輝度30,000:1、Tsubosaka Electric Co. Ltd)でコントラスト比を測定した。
【0200】
カラーフィルター製造の一般的な手順
30mlのガラス瓶に以下の配合物を入れる:
実施例2~19および21~25ならびに比較例1~4(相乗剤を含む)の顔料組成物1g
Efka PX 4700(80重量%;アクリルブロックコポリマーの溶剤系分散剤0.5g)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)7.3g
バインダー(メタクリル酸ベンジルとメタクリル酸ヒドロキシエチルの6:1コポリマー、分子量Mw=約32kDa、PGMEA中38%)2.43g。
【0201】
配合物を酸化ジルコニウムビーズ(Φ0.5mm)30gと混合し、Skandex(登録商標)装置で15時間振盪した。ビーズを濾別し、分散体5gをSartomer(登録商標)399(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)0.36gおよびIrgacure(登録商標)OXE 02 0.1gとVortex(登録商標)混合装置で10分間混合した。
【0202】
配合物(レジスト)を、500~1000rpmの回転速度でガラス基板上にスピンコーティングし、ホットプレート上で80℃で5分間乾燥させ、LEDランプ(365nm、+/-10mJ/cm2、10~20s)で露光し、230℃のホットプレート上で1時間ベークした。得られた赤色フィルターセグメントのコントラスト比を測定した。
【0203】
熱安定性を決定するために、270℃でさらに1時間熱処理した後にコントラスト比を測定した。
【0204】
実施例1:N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]-3-[3,6-ジオキソ-1-(4-フェニルスルファニル-フェニル)-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-4-イル]ベンズアミドの合成
国際公開第09/144115号の実施例1010と同様に製造した3-[1-(4-クロロフェニル)-3,6-ジオキソ-2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-4-イル]-N-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]ベンズアミド47.8gと炭酸カリウム34.6gを窒素雰囲気下で600mlのN,N-ジメチルアセトアミドに添加し、80℃の油浴中で加熱した。60℃に達したら、チオフェノール11.0gを30分かけて滴下した。酸性度スポット試験でチオフェノールの臭いがなくなるまで、反応混合物を75℃で一晩撹拌した。冷却後、反応混合物を氷800gと水1.5lとの混合物に5分間かけて添加し、1時間撹拌した。赤色の沈殿物を濾過し、水1l、次いでメタノール1l、再度水1lで洗浄した。得られる赤色のプレスケーキを60℃および200mbarで一晩乾燥させて、主要成分である式(XIe)の化合物を含む赤色結晶粉末52.5gを得た。
【0205】
【0206】
【0207】
実施例2
国際公開第2004/00764号の実施例1bに従って実施例2を製造した。得られた顔料0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0208】
【0209】
実施例3
国際公開第2005/040284号の実施例6に従って実施例3を製造した。得られた顔料0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0210】
【0211】
実施例4
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃で還流させながら不活性ガス(N
2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル55.2g(261.25mmol)、および式
【化33】
(IXa、国際公開第2009/144115号の実施例1004と同様に製造した)の化合物3.57g(13.75mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した後、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174g、メタノール214g、および硫酸(96%)31gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度が-5℃未満になるように維持した。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、混合物を10℃に加熱し、さらに18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物と式(XIe)の化合物からなる。
【0212】
得られた顔料0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0213】
【0214】
【0215】
実施例5
得られた顔料粉末を、実施例1の化合物の代わりに欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した以外は、実施例4を繰り返した。
【0216】
【0217】
実施例6
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル52.29g(247.5mmol)、式(IXa)の化合物3.57g(13.75mmol)、および1,3-ジシアノベンゼン1.76g(13.75mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した後、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174g、メタノール214g、および硫酸(96%)31gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度が-5℃未満になるように維持した。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、混合物を30℃に加熱し、さらに18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物と式(XIe)の化合物からなる。
【0218】
得られた顔料粉末0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0219】
【0220】
実施例7
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル52.29g(247.5mmol)、式(IXa)の化合物3.57g(13.75mmol)、および1,3-ジシアノベンゼン1.76g(13.75mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した後、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174gおよびメタノール214gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度が-5℃未満になるように維持した。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、混合物を20℃に加熱し、さらに18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物と式(XIe)の化合物からなる。
【0221】
得られた顔料粉末0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0222】
【0223】
実施例8
得られた顔料粉末を、実施例1の化合物の代わりに欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した以外は、実施例7を繰り返した。
【0224】
【0225】
実施例9
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃(浴温)で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル52.29g(247.5mmol)、式(IXa)の化合物5.71g(22mmol)、および4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル2.0g(5.5mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した後、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174g、メタノール214g、および硫酸(96%)31gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度は-5℃を超えなかった。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、反応混合物を30℃に加熱し、さらに合計18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物、式(XIe)の化合物、および式(Vh)の化合物からなる。
【0226】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した。
【0227】
【0228】
【0229】
実施例10
4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル54.62g(258.5mmol)、式(IXa)の化合物3.57g(13.75mmol)、および(第3のニトリルとして)4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル1.0g(2.75mmol)を使用し、加水分解後の熟成温度を20℃にした以外は、実施例9を繰り返した(収率90%超)。生成物は主に式(Ia)の化合物、式(XIe)の化合物、および式(Vh)の化合物からなる。
【0230】
【0231】
実施例11
4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル52.29g(247.5mmol)、式(IXa)の化合物3.57g(13.75mmol)、および(第3のニトリルとして)4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル5.0g(13.75mmol)を使用し、加水分解後の熟成温度を0℃にした以外は、実施例9を繰り返した(収率90%超)。生成物は主に式(Ia)の化合物、式(XIe)の化合物、および式(Vh)の化合物からなる。
【0232】
【0233】
実施例12
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃(浴温)で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル51.13g(242mmol)、式(IXa)の化合物5.71g(22mmol)、1,3-ジシアノベンゼン0.70g(5.5mmol)、および4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル2.0g(5.5mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した後、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174g、メタノール214g、および硫酸(96%)31gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度は-5℃を超えなかった。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、反応混合物を30℃に加熱し、さらに合計18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物、式(XIe)の化合物、および式(Vh)の化合物からなる。
【0234】
得られた顔料粉末0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0235】
【0236】
実施例13
得られた顔料粉末を、実施例1の化合物の代わりに欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した以外は、実施例12を繰り返した。
【0237】
【0238】
実施例14
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃(浴温)で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル51.13g(242mmol)、式(IXa)の化合物5.71g(22mmol)、1,4-ジシアノベンゼン0.70g(5.5mmol)、および4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル2.0g(5.5mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した後、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174g、メタノール214g、および硫酸(96%)31gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度は-5℃を超えなかった。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、反応混合物を30℃に加熱し、さらに合計18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物、式(XIe)の化合物、および式(Vh)の化合物からなる。
【0239】
得られた顔料粉末0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0240】
【0241】
実施例15
得られた顔料粉末0.765gを、実施例1の化合物の代わりに欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))0.135gと乾式混合した以外は、実施例14を繰り返した。
【0242】
【0243】
実施例16
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃(浴温)で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル55.78g(264mmol)、1,3-ジシアノベンゼン0.70g(5.5mmol)、および4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル2.0g(5.5mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した。次に、国際公開第2007060254号の実施例QAD3に従って製造した生成物6.9gを添加し、得られた混合物を、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174g、メタノール214g、および硫酸(96%)31gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度は-5℃を超えなかった。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、反応混合物を30℃に加熱し、さらに合計18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物、式(XIe)の化合物、および式(Vh)の化合物からなる。
【0244】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した。
【0245】
【0246】
実施例17
4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル52.88g(250.25mmol)、式(IXa)の化合物4.99g(19.25mmol)、1,3-ジシアノベンゼン0.35g(2.75mmol)、および4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル1.0g(2.75mmol)を使用する以外は、実施例12を繰り返した。
【0247】
得られた顔料粉末0.765gを実施例1の化合物0.135gと乾式混合した。
【0248】
【0249】
実施例18
得られた顔料粉末0.765gを、実施例1の化合物の代わりに欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))0.135gと乾式混合した以外は、実施例17を繰り返した。
【0250】
【0251】
実施例19
熟成温度を40℃にした以外は、実施例18を繰り返した(収率90%超)。
【0252】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))0.101g、および英国特許出願公開第2238550号明細書の実施例1bに従って製造した生成物0.034gと乾式混合した。
【0253】
【0254】
実施例20
国際公開第2004/00764号の実施例1bに従って製造した式(I)の顔料30.1gを、氷で冷却しながらクロロスルホン酸171mlに添加した。次に、混合物を80℃に加熱し、塩化チオニル23.6gをそれに滴下した。冷却後、混合物を15時間撹拌した。混合物を氷800gと水400gとの混合物に滴下した。その間、温度を5℃以下に保った。得られる懸濁液を濾過し、残渣を氷85g、水85g、およびN,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン18.4gの混合物に撹拌しながら添加した。得られる懸濁液を2時間かけて50℃に加熱し、濾過し、水で洗浄して、乾燥させた。式(XII)の赤色固体生成物を得た(収率92%)。1H NMRによると、式中のtは、約1.6である。
【0255】
【0256】
【0257】
実施例21
加水分解を酢酸(100%)で実施し、熟成温度を25℃にした以外は、実施例12を繰り返した(収率90%超)。
【0258】
得られた顔料粉末0.765gを、実施例20に従って製造した生成物0.135gと乾式混合した。
【0259】
【0260】
実施例22
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃(浴温)で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル52.88g(250.25mmol)、式(IXa)の化合物3.57g(13.75mmol)、1,3-ジシアノベンゼン0.70g(5.5mmol)、および4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル2.0g(5.5mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した。次に、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物6.9gを添加し、得られた混合物を、予め製造して-10~-15℃に冷却した、氷/水1174g、メタノール214g、および硫酸(96%)31gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度は-5℃を超えなかった。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、反応混合物を30℃に加熱し、さらに合計18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物、式(XIe)の化合物、式(Vh)の化合物、および欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物からなる。
【0261】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した。
【0262】
【0263】
実施例23
得られた顔料粉末0.765gを、(欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物の代わりに)実施例1の化合物0.135gと乾式混合した以外は、実施例22を繰り返した。
【0264】
【0265】
実施例24
4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル51.13g(241mmol)、式(IXa)の化合物5.71g(22mmol)、1,3-ジシアノベンゼン0.70g(5.5mmol)、4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル2.0g(5.5mmol)、および欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物6.9gを使用する以外は、実施例22を繰り返した。
【0266】
【0267】
実施例25
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物0.09g、および国際公開第02/00643号の実施例1に従って製造した生成物0.045gと乾式混合した以外は、実施例24を繰り返した。
【0268】
【0269】
実施例3、4、14、16、17、および23で作製したカラーフィルターレジスト組成物を、貯蔵安定性(分散安定性)に関して試験した。40℃で1週間保存した後、レジスト配合物は粘度挙動の顕著な変化はなかった。
【0270】
比較例1
比較例1は、等量のベンゾニトリルを国際公開第2004/007604号の実施例1aの生成物に置き換えた以外は、米国特許第4,579,949号明細書の実施例48と同様に製造した。
【0271】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した。
【0272】
比較例2
国際公開第2005/040284号の実施例6に従って比較例2を製造した。
【0273】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した。
【0274】
比較例3
国際公開第2005/040284号の実施例6Bに従って比較例3を製造した。
【0275】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した。
【0276】
比較例4
t-アミルアルコール97.0gをナトリウム12.1g(0.53mol)と、130℃(浴温)で還流させながら不活性ガス(N2)下で反応させた。得られた溶液に、60℃に加熱した、t-アミルアルコール38.5g、コハク酸ジ-t-アミルエステル39g、4-(フェニルスルファニル)ベンゾニトリル52.29g(247.5mmol)、および4-n-オクタデシルチオベンゾニトリル10.0g(27.5mmol)の混合物を3~4時間以内に添加した。その間、内部温度を90℃までに下げた。得られた懸濁液をさらに18時間撹拌した。懸濁液を氷/水1174gとメタノール214gの混合物に秤量して入れた。その間、最終温度は-5℃を超えなかった。t-アミルアルコール30gを使用して最初の反応器をすすいで、これもまた反応混合物に移した。-5℃で2時間撹拌した後、混合物を10℃に加熱し、さらに合計18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケーキをメタノールと水で、洗浄液が無色かつ無塩になるまで洗浄した後(導電率100μS未満)、凍結乾燥により乾燥させ、微細な暗青赤色の粉末(収率90%超)を得た。生成物は主に式(Ia)の化合物と式(Vh)の化合物からなる。
【0277】
得られた顔料粉末0.765gを、欧州特許出願公開第0485337号明細書の実施例2で得た生成物(顔料誘導体(d))と乾式混合した。
【0278】