IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-混合装置、及び発泡体の製造方法 図1
  • 特許-混合装置、及び発泡体の製造方法 図2
  • 特許-混合装置、及び発泡体の製造方法 図3
  • 特許-混合装置、及び発泡体の製造方法 図4
  • 特許-混合装置、及び発泡体の製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】混合装置、及び発泡体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/22 20060101AFI20240724BHJP
   B29B 7/88 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B29C39/22
B29B7/88
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021001618
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2021109446
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020001721
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】酒谷 信一
(72)【発明者】
【氏名】三好 智運
(72)【発明者】
【氏名】名倉 由雄
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078304(JP,A)
【文献】特開2011-201066(JP,A)
【文献】特開2002-020444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/22
B29B 7/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流路を流れる液体に対して発泡剤を混合させるための混合装置であって、
前記発泡剤を収容する発泡剤容器と、
前記発泡剤容器から供給された前記発泡剤を流して、前記発泡剤を液体流路に供給する発泡剤流路と、
前記発泡剤容器から前記発泡剤流路に供給される前記発泡剤の圧力を調整する容器圧力調整装置と、
前記発泡剤流路に設けられ、前記液体流路への前記発泡剤の供給圧力を調整する圧力調整装置と、
前記発泡剤流路の前記圧力調整装置の下流側に設けられ、前記液体流路への前記発泡剤の供給量を調整する供給量調整手段と、
前記発泡剤容器を加温する発泡剤容器ヒーター、及び発泡剤流路を加温する流路ヒーターの少なくともいずれかのヒーターと、
前記発泡剤流路の前記供給量調整手段の下流側に設けられ、前記発泡剤流路から前記液体流路への前記発泡剤の供給を制御する発泡剤供給弁とを備え、
前記圧力調整装置が圧力調整弁であり、
前記液体流路で検知された圧力に基づき、前記液体流路内の圧力よりも、前記供給圧力が高くなるように圧力調整装置を制御する圧力制御手段をさらに備える混合装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記発泡剤の供給圧力が前記液体流路内の圧力よりも、0.4MPa以上高くなるように、前記圧力調整装置を制御する請求項に記載の混合装置。
【請求項3】
前記発泡剤が二酸化炭素である請求項1又は2に記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に発泡剤を混合するための混合装置、及び液体に発泡剤を混合して発泡体を製造する発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物や構造物の屋根、壁面、床等に、現場にてポリオールとイソシアネートを混合させ、その混合物を吹き付けて発泡させることにより、ポリウレタンフォームを形成する施工方法が広く知られている。ポリウレタンフォームを施工する方法としては、フロス法が広く知られている。フロス法では、例えばポリオールを供給するための液体流路に接続される発泡剤流路が設けられ、タンクなどから発泡剤流路を介して、発泡剤としての二酸化炭素などを液体流路内のポリオールに混合させる混合装置が一般的に使用されている。混合装置において二酸化炭素などの発泡剤が混合されたポリオールは、さらにイソシアネートと混合されたうえで外部に向けて噴霧などされる。
【0003】
混合装置の液体流路内においてポリオールは、加圧状態で供給されることが一般的であり、発泡剤は、液体流路内のポリオールよりも高い圧力に加圧されたうえで液体流路に供給することで、ポリオールに安定して混合させることができる。
特許文献1には、ポリオールなどの液体に発泡剤を混合するための混合装置であって、発泡剤流路に接続された発泡剤ポンプと、発泡剤流路に設けられた開閉弁を有する混合装置が示されている。特許文献1では、発泡剤流路内圧力を、液体流路内圧力よりも高くなるように発泡剤ポンプの吐出量を所定値に制御しつつ、発泡剤流路内の圧力が、液体流路内の圧力よりも高いときに開閉弁を開弁する。そのため、開弁時に発泡剤流路側の圧力が低下することになるが、発泡剤ポンプからの発泡剤の吐出により、圧力低下が防止される。したがって、液体流路内に脈動ポンプによりポリオールなどの液体が供給され、脈動による圧力変化が生じる場合でも、液体流路に発泡剤を安定して供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-78304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発泡装置の液体流路内の液体は、周辺温度、吹付条件などにより脈動以外の外的要因によっても、圧力が変動することがある。しかし、特許文献1の混合装置では、脈動以外の圧力変動に対応できずに、液体流路に発泡剤を安定して供給することができないことがある。また、特許文献1の混合装置は、発泡剤の安定供給のために、発泡剤ポンプを設け、その発泡剤ポンプの吐出量を所定値に制御する必要があり、混合装置の構成が複雑になる。
【0006】
そこで、本発明は、温度、吹付条件などの外的要因によって液体流路内の圧力が変動しても、簡単な装置構成で、液体流路を流れる液体に対して、発泡剤を安定して供給することが可能な混合装置、及び発泡体の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、発泡剤ポンプを使用しなくても液体流路を流れる液体に対して、発泡剤を供給することが可能な混合装置、及び発泡体の製造方法を提供することを別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の[1]~[9]を要旨とする。
[1]液体流路を流れる液体に対して発泡剤を混合させるための混合装置であって、
前記発泡剤を収容する発泡剤容器と、
前記発泡剤容器から供給された前記発泡剤を流して、前記発泡剤を液体流路に供給する発泡剤流路と、
前記発泡剤流路に設けられ、前記液体流路への前記発泡剤の供給圧力を調整する圧力調整装置と、
前記液体流路で検知された圧力に基づき、前記液体流路内の圧力よりも、前記供給圧力が高くなるように圧力調整装置を制御する圧力制御手段と
を備える混合装置。
[2]前記発泡剤容器を加温する発泡剤容器ヒーター、及び発泡剤流路を加温する流路ヒーターの少なくともいずれかのヒーターをさらに備える上記[1]に記載の混合装置。
[3]前記制御手段が、前記発泡剤の供給圧力が前記液体流路内の圧力よりも、0.4MPa以上高くなるように、前記圧力調整装置を制御する上記[1]又は[2]のいずれか1項に記載の混合装置。
[4]液体流路を流れる液体に対して発泡剤を混合させるための混合装置であって、
前記発泡剤を収容する発泡剤容器と、
前記発泡剤容器から供給された前記発泡剤を流して、前記発泡剤を液体流路に供給する発泡剤流路と、
前記発泡剤容器を加温する発泡剤容器ヒーターを備え、
前記ヒーターによって発泡剤を加温し、前記発泡剤を加圧した状態で前記液体流路に供給するように構成されている、混合装置。
[5]前記液体流路への前記発泡剤の供給圧力が、前記液体流路内の圧力よりも高くなる上記[4]に記載の混合装置。
[6]前記発泡剤が二酸化炭素である上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の混合装置。
[7]前記発泡剤流路に設けられ、前記液体流路への前記発泡剤の供給量を調整する供給量調整手段をさらに備える上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の混合装置。
[8]液体流路を流れる液体に対して発泡剤を混合させて発泡体を製造する方法であって、
前記発泡剤を収容する発泡剤容器から発泡剤流路を介して前記発泡剤を前記液体流路に供給し、
前記発泡剤流路に設けられた圧力調整装置により、前記液体流路への前記発泡剤の供給圧力を調整し、かつ
前記液体流路で検知された圧力に基づき、前記液体流路内の圧力よりも、前記供給圧力が高くなるように圧力調整装置を制御する、発泡体の製造方法。
[9]液体流路を流れる液体に対して発泡剤を混合させて発泡体を製造する方法であって、
前記液体流路に供給される前記発泡剤を加温し、かつ加圧した状態とし、前記液体流路内の圧力よりも前記液体流路への前記発泡剤の供給圧力が高くなるように調整する、発泡体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、混合装置に所定の圧力調整装置、及び圧力制御手段を設けることで、温度、吹付条件などの外的要因によって液体流路内の圧力が変動しても、簡単な装置構成で、液体流路を流れる液体に対して、発泡剤を安定して供給することができる。
また、本発明の別の側面においては、混合装置にヒーターを設け、発泡剤を加温し加圧することで、発泡剤ポンプを使用しなくても液体流路を流れる液体に対して、発泡剤を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る混合装置を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る発泡装置を示す模式図である。
図3】発泡剤を液体流路に流す前の準備工程の操作手順を示すフローチャートである。
図4】発泡剤を液体に混合するときに圧力制御手段で実行される圧力制御ルーチンを示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る混合装置の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る混合装置10を示す。混合装置10は、液体L1に、発泡剤Eを混合するための装置である。
【0011】
(液体)
液体L1は、特に限定されないが、発泡体の原料であるフォーム原料が好ましい。混合装置10は、フォーム原料である液体L1に、発泡剤Eを混合することで発泡体を製造できる。発泡体は、ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォームなどが挙げられる。したがって、液体L1としては、これら発泡体の原料となり得るものであればよい。発泡体は、上記した中では、製造容易性、硬化速度、発泡性などの観点から、ポリウレタンフォームが好ましい。また、ポリウレタンフォームは硬質ポリウレタンフォームであることがさらに好ましい。硬質ポリウレタンフォームを使用することで、自己接着性、断熱性、機械強度などが良好となりやすい。
【0012】
ポリウレタンフォームを形成するためのウレタン樹脂組成物は、一般的に、ポリオールを含む1液と、ポリイソシアネートを含む2液とを混合することで調製される。ウレタン樹脂組成物は、該組成物に混合される発泡剤Eにより発泡され、かつ硬化されることでポリウレタンフォームが形成される。発泡剤Eは、1液及び2液のいずれかに混合させればよいが、安定性などの観点から1液に混合させることが好ましい。すなわち、混合装置10は、ポリオール及びポリイソシアネートのいずれかを含む液体(1液又は2液)に、気体状の発泡剤Eを混合させることが好ましいが、ポリオールを含む液体(1液)に発泡剤Eを混合させることがより好ましい。
ポリオールを含む液体(1液)は、ポリオールに加えて、硬化触媒、及び整泡剤を含有するポリオール組成物であることが好ましく、また、一般的には発泡剤をさらに含有する。なお、このように1液(ポリオール組成物)に予め含有される発泡剤は、上記した発泡剤Eと区別するために、「内添発泡剤」ともいう。
また、ポリオール組成物は、硬化触媒、整泡剤、水以外にも、難燃剤(固体難燃剤、液状難燃剤)、酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料などの各種添加剤を含むことができる。
【0013】
(発泡剤)
内添発泡剤としては、特に限定されないが、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、炭化水素、ジエチルエーテルなどが使用できる。内添発泡剤に使用されるハイドロフルオロオレフィン(HFO)としては、例えば、炭素数が3~6個程度であるフルオロアルケン等を挙げることができ、好ましくは炭素数3又は4であり、より好ましくは炭素数3である。ハイドロフルオロオレフィンは塩素原子を有するハイドロクロロフルオロオレフィンであってもよい。ハイドロフルオロカーボン(HFC)としては、例えば炭素数1~4程度のハイドロフルオロカーボンが挙げられ、ハイドロフルオロカーボンは塩素原子を有してもよい。炭化水素としては、炭素数2~5の炭化水素が挙げられる。炭素数2~5の炭化水素は、炭素数3、4の炭化水素が好適であり、また、プロパンとブタン類とを主成分とするLPGなども使用できる。
【0014】
一方で、発泡剤Eは、フロス法による発泡に使用できる発泡剤であればよく、室温(23℃)、常圧(1気圧)で気体となる発泡剤であればよく、好ましくは常圧下で沸点が0℃未満となるものである。発泡剤Eは、特に限定されないが、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、二酸化炭素などが挙げられる。なお、フロス法は、常温、常圧で気体となる発泡剤Eを、ポリオールを含む液体(1液)などのフォーム原料に混合させて発泡させるものである。なお、ポリオールを含む液体は、一般的に発泡剤(内添発泡剤)を予め含有しているが、そのような場合、発泡剤Eは発泡性、施工性を改善するための発泡助剤としての機能を有する。
【0015】
本発明において、発泡剤Eとしては、二酸化炭素を使用することが好ましい。二酸化炭素は、後述するように比較的低い圧力及び温度で超臨界状態、亜臨界状態にすることが可能である。したがって、発泡剤Eは、後述するように加圧かつ加温することで、容易に超臨界又は亜臨界状態で液体L1に混合させることができ、それにより、液体L1に対する混合性が向上する。また、二酸化炭素を使用することで環境負荷が低くなる。
【0016】
(液体流路)
液体流路30には、液体ポンプ40が接続され、液体ポンプ40により液体流路30に液体L1が流される。液体流路30に流される液体L1は、吐出圧に加圧された状態で流される。液体流路30には、液体流路圧力計31が接続され、液体流路圧力計31により液体流路30内部の圧力が検知される。
【0017】
液体ポンプ40は、脈動ポンプ及び無脈動ポンプのいずれでもよい。また、液体ポンプ40は、液体L1を定量的に送出する定量ポンプであることが好ましい。なお、液体ポンプ40に脈動ポンプを使用する場合、液体流路30内の圧力は、その脈動に合わせて周期的に変動する。
【0018】
[混合装置]
以下、混合装置についてより詳細に説明する。
混合装置10は、発泡剤Eを収容する発泡剤容器11と、発泡剤容器11から供給された発泡剤Eを流して、発泡剤Eを液体流路30に供給する発泡剤流路12と、発泡剤流路12に設けられ、液体流路30への発泡剤Eの供給圧力を調整する圧力調整装置13と、圧力調整装置13を制御する圧力制御手段14とを備える。
また、混合装置10は、発泡剤容器ヒーター21、流路ヒーター22などのヒーターも備える。混合装置10は、ヒーターによって発泡剤Eを加温することで加圧し、それにより、発泡剤Eを加圧された状態で液体流路30に供給する。
【0019】
発泡剤容器11としては、耐圧容器が使用され、例えば公知のガスボンベを使用すればよい。発泡剤容器11は、サイフォン管がないものを使用することが好ましい。サイフォン管がないものを使用することで、発泡剤Eが二酸化炭素である場合、発泡剤Eがガス状態、又は亜臨界若しくは超臨界状態で発泡剤容器11から排出されやすい。
【0020】
発泡剤容器11は、発泡剤Eを加圧状態で収納するとよい。また、混合装置10は、発泡剤容器11を加温するための発泡剤容器ヒーター21を備え、発泡剤容器11が発泡剤容器ヒーター21により加熱される。発泡剤容器11の内部圧力は、加熱されることで上昇する。
【0021】
発泡剤容器11の供給口には、一次圧力を調整できる容器圧力調整装置28が設けられる。容器圧力調整装置28は、例えば、圧力調整弁である。なお、一次圧力は、発泡剤容器11から発泡剤流路12に供給される発泡剤Eの圧力であり、後述する上流流路12A内部の圧力でもある。
【0022】
発泡剤流路12は、上記の通り、発泡剤容器11から発泡剤Eを液体流路30に供給する経路である。発泡剤流路12には、その中途に圧力調整装置13が設けられる。本実施形態では、発泡剤流路12の圧力調整装置13よりも上流側に開閉弁23が設けられる。開閉弁23は、開弁されることで、発泡剤容器11から発泡剤流路12を介して液体流路30に発泡剤Eが供給される。
【0023】
圧力調整装置13は、下流流路12Bの圧力(「二次圧力」ともいう)を調整する。なお、下流流路12Bとは、発泡剤流路12のうち圧力調整装置13よりも下流側(液体流路30側)の流路を意味する。下流流路12Bは、液体流路30に接続される。したがって、下流流路12Bの二次圧力を調整することで、液体流路30への発泡剤Eの供給圧力が調整される。圧力調整装置13は例えば、圧力調整弁である。圧力調整弁は、その開度を調整することで、下流流路12Bの二次圧力を調整できる。圧力調整装置13は、下流流路12Bの圧力(二次圧力)を、上流流路12Aの圧力(一次圧力)より低くできるものである。なお、上流流路12Aとは、発泡剤流路12のうち、圧力調整装置13よりも上流側(発泡剤容器11側)の流路を意味する。また、二次圧力は、液体流路30内部の圧力より高い圧力である。
ここで、下流流路12Bは、上記の通り液体流路30に接続されるので、液体流路30の圧力変動により内部圧力が変動しやすいが、圧力調整装置13によって、二次圧力が調整されることで、その圧力変動を最小限に抑えることができる。
【0024】
圧力制御手段14は、液体流路圧力計31により検知された、液体流路30内部の圧力(検知圧力)が入力される。圧力制御手段14は、入力された検知圧力に基づき、圧力調整装置13を制御して、供給圧力が制御目標値となるように調整する。具体的には、液体流路30内の圧力(検知圧力)よりも、供給圧力が高くなるように圧力調整装置13を制御する。なお、下流流路12Bにおける圧力(二次圧力)は実質的に一定であり、圧力調整装置13の制御より、供給圧力が調整されることになる。
本実施形態では、供給圧力が、液体流路30内を流れる液体L1の圧力よりも高くなることで、液体流路30内を流れる液体L1に安定的に発泡剤Eを混合させることができる。
【0025】
圧力制御手段14は、CPU(マイクロプロセッサ)、メモリ、入力ポート、出力ポートなどを備えた公知の制御装置で構成されるとよく、パーソナルコンピューターなどにより構成されてもよい。
【0026】
本実施形態では、供給圧力(すなわち、二次圧力)は、液体流路30内の圧力よりも高く、その差が0.4MPa以上となるように圧力調整装置13が制御されることが好ましい。供給圧力が液体流路30内の圧力よりも0.4MPa以上高くなると、高圧ガス状態、又は後述する通り亜臨界若しくは超臨界状態の発泡剤Eを、液体流路30内を流れる液体L1に適切に混合できる。また、液体流路30内を流れる液体L1の圧力が変動しても、供給圧力が液体流路30内の圧力よりも確実に高くなり、安定的に混合が行えるようになる。
上記観点から、供給圧力と液体流路30内の圧力の差は0.8MPa以上となるように制御されることがより好ましい。
【0027】
また、供給圧力と液体流路30内の圧力の差は、2.5MPa以下に制御されることが好ましく、2.0MPa以下に制御されることがより好ましい。このように供給圧力を液体流路30内の圧力よりも必要以上に高くしないことで、発泡剤流路12内が高圧になりすぎることを防止できる。
【0028】
なお、液体流路30内の圧力は、液体ポンプ40の脈動に合わせて周期的に変動することがあるが、供給圧力は、その脈動による極大値の圧力よりも大きくすればよく、その極大値との差が、上記範囲内となればよい。
すなわち、圧力制御手段14で参照される検知圧力は、液体流路圧力計31で検知された圧力が周期的に変化する場合には、極大値であることが好ましく、2以上の極大値の平均値であってもよい。もちろん、液体流路圧力計31で検知された圧力が周期的に変化しない場合であっても、圧力制御手段14で参照される検知圧力は、2以上の測定圧力の平均値でもよい。
【0029】
上流流路12A内の一次圧力は、下流流路12Bの内部圧力よりも高くなる。なお、上流流路12Aの一次圧力は、特に限定されないが、供給圧力(二次圧力)よりも0.4MPa以上大きいことが好ましく、0.8MPa以上大きいことがより好ましい。このように、上流流路12Aの圧力(一次圧力)が、下流流路12Bの圧力(二次圧力)よりも十分に高くなることで、二次圧力(すなわち、供給圧力)を所望の値に調整しやすくなる。
【0030】
混合装置10は、発泡剤流路12を加熱する流路ヒーター22を備え、発泡剤流路12は、流路ヒーター22により加熱される。流路ヒーター22により加熱されることで、発泡剤流路12内部の発泡剤Eが外部より熱が奪われ冷却することを防止し、発泡剤流路12内部の温度、並びに一次圧力及び二次圧力を所定の範囲に維持する。
【0031】
発泡剤流路12の発泡剤Eは、加熱され、かつ加圧状態になることで、高圧ガス状態(すなわち、液体流路30内の圧力よりも圧力が所定以上高い状態)、又は亜臨界若しくは超臨界状態で発泡剤流路12を流れる。このように、高圧ガス状態、又は亜臨界若しくは超臨界状態の発泡剤Eは、液体流路30の液体L1に混合されやすくなる。
ただし、液体L1に対する混合性の観点などから、液体L1に混合されるときの発泡剤Eは、亜臨界若しくは超臨界状態であることが好ましい。したがって、発泡剤E1は、発泡剤流路12の上流流路12A、下流流路12Bのいずれにおいても、亜臨界若しくは超臨界状態であることが好ましい。
【0032】
発泡剤流路12内部の発泡剤Eは、上流流路12A、下流流路12Bのいずれもが所定の温度範囲内の温度となるように加熱されるとよく、より具体的には、発泡剤容器11から排出された後、液体流路30に混合されるまでの間、所定の温度範囲内となるように加熱されるとよい。
したがって、流路ヒーター22は、上流流路12A,下流流路12Bのいずれも加熱することが好ましい。また、流路ヒーター22は、例えば、上流流路12A,下流流路12Bそれぞれを構成する配管を取り巻くように配置されればよく、好ましく、発泡剤流路12(上流流路12A,及び下流流路12B)の全体を加熱するように配置される。
流路ヒーター22は、特に限定されないが、熱電対などにより構成されてもよいし、熱媒体を内部に循環させて加熱する熱媒体型のヒーターなどに構成されてもよい。
【0033】
発泡剤流路12には、さらに液体流路30への発泡剤Eの供給量を調整する供給量調整手段15が設けられる。供給量調整手段15としては、例えば、マスフローコントローラが使用される。供給量調整手段15は、圧力調整装置13の下流側(すなわち、下流流路12B)に設けられる。供給量調整手段15は、発泡剤流路12を通る発泡剤Eの単位時間当たりの質量を測定し、その測定値に基づき、発泡剤流路12を通る発泡剤Eの単位時間当たりの質量を調整し、それにより、発泡剤流路12を通る発泡剤Eの単位時間当たりの質量が所定量(制御目標値)となるようにする。供給量調整手段15は、例えば開度を調整することで、供給量調整手段15を通る発泡剤Eの単位時間当たりの質量を調整する。
なお、上記制御目標値は、液体ポンプ40の液体L1の設定供給量などに応じて設定されるとよく、供給量調整手段15に手動などにより入力されるとよい。なお、下流流路12Bは、供給量調整手段15よりも上流側の部分を流路12C、下流側の部分を流路12Dということがある。
【0034】
本実施形態では、圧力調整装置13に加えてマスフローコントローラ(供給量調整手段15)を使用することで、発泡剤容器11から供給された発泡剤Eは、圧力及び単位時間当たりの質量を所定値にしたうえで、液体流路30を流れる液体L1に対して供給されるので、安定的かつ正確な供給量で液体L1に混合される。
液体流路30に対する発泡剤Eの単位時間当たりの供給量は、質量割合で、液体流路30を流れる液体L1の単位時間当たりの供給量に対して、0.05~1.5%であることが好ましく、0.08~1.0%であることがより好ましく、0.10~0.50%であることがさらに好ましい。発泡剤Eの供給量を上記範囲内とすることで、ポリオールなどに適切な量の発泡剤を含有させることが可能になり、ポリウレタンフォームを適切に発泡できる。
【0035】
また、下流流路12Bには、発泡剤供給弁29が設けられる。発泡剤供給弁29は、発泡剤流路12から液体流路30に対する発泡剤Eの供給を制御する弁である。発泡剤供給弁29は、開弁されることで発泡剤Eを発泡剤流路12から液体流路30に供給し、閉弁することで発泡剤Eの液体流路30に対する供給を停止する。発泡剤供給弁29は、例えば電磁弁で構成される。発泡剤供給弁29は、液体ポンプ40から液体L1が供給されるときに連動して開弁され、それにより、発泡剤Eが適切に液体L1に混合される。
発泡剤供給弁29は、液体ポンプ40が脈動ポンプである場合には、その吸い込みと吐き出しのタイミングに合わせて、開閉されるとよい。
【0036】
混合装置10には、発泡剤流路12内の圧力を測定する発泡剤流路圧力計をさらに備える。本実施形態では、上流流路12A,下流流路12Bそれぞれに上流流路圧力計25A及び下流流路圧力計25Bが設けられる。上流流路圧力計25A及び下流流路圧力計25Bが設けられることで、発泡剤流路12内部の一次圧力及び二次圧力(供給圧力)が設定どおりの圧力に制御されているか否かを確認できる。
また、混合装置10では、下流流路圧力計25Bで検知された圧力(検知圧力)が圧力制御手段14に入力される。圧力制御手段14は、入力された検知圧力に基づいて、供給圧力が制御目標値となるように圧力調整装置13を制御する。
【0037】
また、発泡剤流路12には、安全弁が取り付けられてもよく、例えば上流流路12A,下流流路12Bそれぞれに第1及び第2の安全弁26A,26Bが取り付けられるとよい。第1及び第2の安全弁26A,26Bは、例えば開放弁で構成され、上流流路12A,下流流路12Bそれぞれの内部の圧力が一定値以上となると開放されることで、上流流路12A,下流流路12Bそれぞれの内部の圧力が一定値以上となることを防止する。これにより、混合装置10に異常が発生して発泡剤流路12の内部が設計圧力以上に過加圧されることで、混合装置10が破損したりすることを防止する。
【0038】
さらに、流路12Dには、逆止弁27が設けられてもよい。逆止弁27は、流路12Dの液体流路30との合流部分近傍に配置される。逆止弁27は、発泡剤流路12側から液体流路30側に発泡剤Eを流すが、逆の流体の流れを阻害させる弁である。逆止弁27は、流路12Dにおいて、上流側の圧力が液体流路30側の圧力以上になると開放され、上流側の圧力が液体流路30側の圧力より低くなると閉じる弁などを使用できる。逆止弁27は、液体流路30を流れる液体L1が発泡剤流路12に逆流することを防止する。
【0039】
(発泡装置)
図2は、上記した混合装置10を備える発泡装置の一実施形態を示す。本実施形態における発泡装置50は、ポリウレタンフォームを形成するための装置である。ポリウレタンフォームは、上記のとおり硬質ポリウレタンフォームが好ましい。また、発泡装置50は、現場発泡装置であり、ポリウレタンフォームを施工する施工現場に持ち込まれて、施工現場にてポリウレタンフォームを形成するための装置である。
【0040】
発泡装置50は、混合装置10に加え、さらに上記した液体流路30(以下、第1の液体流路30ともいう)及び液体ポンプ40(以下、第1の液体ポンプ40ともいう)を備える。また、発泡装置50は、上記液体L1とは別の液体L2が流される第2の液体流路35と、第2の液体流路35に液体L2を送出する第2の液体ポンプ45とを備える。第1及び第2の液体ポンプ40、45は、図示しないドラム缶などの液体容器に接続され、液体容器から吸引した液体L1、L2を第1及び第2の液体流路30、35それぞれに送出する。
【0041】
ポリウレタンフォームは、上記のとおり、ポリオールを含む1液と、ポリイソシアネートを含む2液とを混合させ、発泡かつ硬化させることで形成できる。第1の液体流路30に流される液体L1は、1液又は2液のうちの一方であり、第2の液体流路35に流される液体L2は1液又は2液のうちの他方であるが、液体L1がポリオールを含む1液であり、液体L2がポリイソシアネートを含む2液であることが好ましい。
【0042】
発泡装置50は、スプレーガン51を備える。スプレーガン51は、吐出部51Aと混合部51Bを備える。混合部51Bでは、第1及び第2の液体流路30、35が合流される。第1及び第2の液体流路30、35に流される1液と2液は、混合部51Bで混合され、その混合物(ウレタン樹脂組成物)が吐出部51Aより噴射される。この際、ウレタン樹脂組成物は、建築物や構造物の屋根、壁面、床等の施工対象面に吹き付けられるとよい。噴射されたウレタン樹脂組成物は、発泡かつ硬化してポリウレタンフォームとなる。ポリウレタンフォームは、例えば断熱材として使用される。
【0043】
以上の発泡装置50では、混合装置10を用いて発泡剤Eを適切に混合した液体L1を、ポリウレタンフォームの原料として使用しているので、発泡性、吹き付け性が良好なポリウレタンフォームを形成できる。
【0044】
次に、図3、4を参照しつつ、本実施形態における混合装置における発泡剤の液体への混合方法をより詳細に説明する。図3は、発泡剤Eを液体流路30に流す前の準備工程の操作手順を示すフローチャートである。以下、まず図3を用いて、発泡剤Eを液体流路30に流す前の準備工程を詳細に説明する。なお、以下では、発泡剤Eが二酸化炭素である場合を具体例として、圧力、温度などを説明するが、発泡剤Eが他の物質である場合には、その物質の性状に応じて圧力、温度など設定すればよい。
【0045】
(準備工程)
まず、準備工程では、開閉弁23を閉じた状態にし、ステップS1にて発泡剤容器ヒーター21及び流路ヒーター22を加熱して、発泡剤容器11の内部温度及び発泡剤流路12の内部温度を、好ましくは28~40℃に加温する。なお、発泡剤容器11の内部圧力は、加熱されることで上昇し、具体的には7.5~14MPaであることが好ましい。また、発泡剤容器11の内部圧力を14MPa以下で、かつ40℃以下とすることで、過加熱によりガスボンベの安全板などが破裂して発泡剤Eが容器11の外部に放出することなどが防止され、安全性が高められる。
これら観点から、加熱された発泡剤容器11の内部圧力は8~12MPaであることがより好ましく、発泡剤容器11の内部に収納される発泡剤Eの温度は30~40℃であることがより好ましい。
次に、ステップS2では、液体ポンプ40の設定圧力、及び液体L1の供給量を定めて、液体ポンプ40をその設定圧力と供給量となるように設定を変更する。この際、液体ポンプ40の設定圧力は、液体流路30に例えば5~9MPa、好ましくは5.5~7.5MPaで液体L1が流されるように設定される。
【0046】
その後、ステップS3にて供給量調整手段15における制御目標値を設定する。制御目標値の設定は、例えば手動で行われるとよい。なお、制御目標値は、発泡剤流路12を通る発泡剤Eの単位時間当たりの質量に関する制御目標値である。制御目標値は、上記の通り、質量割合で、液体流路30を流れる液体L1の単位時間当たりの供給量に対して、好ましくは0.05~1.5%、より好ましくは0.08~1.0%、さらに好ましくは0.10~0.50%となるように設定される。
【0047】
次に、ステップS4では、発泡剤容器11から発泡剤流路12に供給される発泡剤Eの圧力(一次圧力)を所定の圧力に調整される。具体的には、開閉弁23が開弁されたときに、一次圧力が、好ましくは7.5~14MPa、より好ましくは8~12MPaとなるように、開閉弁23よりも上流側の圧力が適宜調整されるとよい。通常、容器圧力調整装置28が適宜操作され、また、発泡剤容器11の加熱などにより調整されるとよい。
以上のステップS1~S4の操作を行うことで、準備工程は終了する。なお、以上の説明では、S1~S4が順次行われる態様を説明したが、これらは上記の順で行う必要はなく、いかなる順序で行ってもよいし、2つ以上のステップを並行して行ってもよい。例えば、発泡剤流路12及び発泡剤容器11の加熱には時間を要するので、これらを加熱しながら別のステップを行ってもよい。
【0048】
以上の準備工程の後に、発泡剤Eの液体L1への混合を行う。具体的には、開閉弁23を開弁して、発泡剤Eを発泡剤流路12を通して、液体流路30に供給するとともに、液体ポンプ40を駆動して、液体流路に液体L1を流す。発泡剤Eは、上記の通り、圧力制御手段14によって制御された圧力調整装置13にて圧力が調整され、かつ供給量調整手段15にて発泡剤流路12を通る発泡剤Eの単位時間当たりの質量が調整されたうえで、液体流路30に供給される。
【0049】
(圧力制御ルーチン)
発泡剤Eを液体L1に混合するときに圧力制御手段14で実行される圧力制御ルーチンを図4に示す。以下、図4を用いて、圧力制御手段14による圧力制御方法の詳細について説明する。
本ルーチンでは、まず、ステップS11にて、液体流路圧力計31で検知された、液体流路30の圧力(検知圧力)を入力させ、次いで、ステップS12では、入力された検知圧力に基づき、圧力調整装置13の制御目標値を算出する。ここで、制御目標値は、検知圧力より高い圧力に設定され、上記の通り、好ましくは検知圧力よりも0.4MPa以上2.5MPa以下、より好ましくは0.8MPa以上1.5MPa以下高くなるように設定される。また、液体流路30への発泡剤Eの供給圧力の制御目標値は、具体的には、5.5~10MPaが好ましく、6.5~8.5MPaがより好ましい。
次に、ステップS13では、圧力調整装置13の開度などを調整して、供給圧力(すなわち、圧力調整装置13よりも下流側の二次圧力)が上記制御目標値となるように圧力調整装置13を制御する。
【0050】
その後、ステップS14では、下流流路圧力計25Bにより検知された、下流流路12Bの圧力(二次圧力)を入力させる。ステップS15では、その検知された二次圧力が制御目標値に一致するか否かが判定され、一致したと判定されると、二次圧力が制御目標値に調整されたとして本ルーチンを終了する。また、ステップS15に制御目標値に一致していないと判定されると、ステップS13に戻り、二次圧力が制御目標値に調整されるまでステップS13~S15が繰り返される。
【0051】
なお、図4に示す圧力制御ルーチンは、液体ポンプ40から液体L1が供給され続ける限り繰り返し行うとよい。このように、本ルーチンを繰り返し行うことで、液体流路に圧力変動が生じても、供給圧力を適切な値に調整できる。
【0052】
以上のように、本実施形態においては、発泡剤流路12に圧力調整装置13が設けられることで、供給圧力の変動を抑えつつ、供給圧力を調整できる。また、圧力調整装置13は、圧力制御手段14におけるフィードバック制御により、液体流路30内を流れる液体の圧力よりも、供給圧力が高くなるように制御される。したがって、液体流路30内の圧力が外的要因により変動しても、発泡剤Eを液体L1に安定的に供給できる。さらに、発泡剤Eが、高圧ガス、又は亜臨界若しくは超臨界状態で、液体L1に混合される場合であっても、発泡剤Eを適切に液体L1に混合させることができる。
また、発泡剤流路12及び発泡剤容器11はヒーターにより加温される。液体流路30に供給される発泡剤Eは、加温されることで加圧されて圧力が高められ又は一定の圧力以上に維持され、それにより、上記のとおり、発布剤Eの液体流路30への供給圧力は、液体流路30内の圧力よりも高くなる。そして、例えば、発泡剤Eが二酸化炭素などの場合には、発泡剤を、高圧ガス、又は亜臨界若しくは超臨界状態で液体L1に容易に混合させることができる。
さらに、マスフローコントローラなどにより構成される供給量調整手段15が設けられたことで、圧力のみならず、発泡剤Eの供給量(単位時間当たりの質量)を正確に調整したうえで、液体L1に発泡剤Eを供給できるので、発泡剤Eの液体L1に対する混合量を精緻に制御できる。
加えて、混合装置10では、発泡剤Eを供給するための発泡剤ポンプが設けられず、圧力制御により発泡剤Eの供給が制御されているので、簡単な構成で発泡剤Eを適切に液体L1に混合させることができる。
【0053】
[変形例]
なお、以上で説明した実施形態は、本発明の一例であり、本発明の効果を奏する限り、種々の改良ないし変更が可能である。
例えば、混合装置10には、マスフローコントローラにより構成される供給量調整手段15が設けられたが、液体L1に混合させる発泡剤の量を正確に制御する必要がない場合などには、供給量調整手段15が省略されてもよいし、マスフローコントローラ以外の装置で構成される供給量調整手段15が設けられてもよい。
また、上記実施形態では、発泡剤Eは、発泡剤ポンプを使用せずに発泡剤容器11から発泡剤流路12、更には液体流路30に供給されたが、発泡剤ポンプを用いて、発泡剤Eの圧力を高めて、発泡剤容器11の発泡剤Eを発泡剤流路12、更に液体流路30に供給してもよい。
【0054】
また、発泡剤流路12内の圧力を測定する発泡剤流路圧力計(上流流路圧力計25A及び下流流路圧力計25Bの少なくともいずれか)は適宜省略されてもよい。なお、下流流路圧力計25Bが省略される場合には、図4に示した圧力制御ルーチンではステップS14、S15が省略されることになる。すなわち、圧力調整装置13における圧力制御が、下流流路圧力計25Bの検知圧力を参照することなく行われることになるが、一定の精度で供給圧力の調整が可能である。
また、例えば、発泡剤Eが二酸化炭素以外であり、発泡剤Eを加熱する必要がない場合などにおいては、容器ヒーター21、流路ヒーター22の一方又は両方を適宜省略してもよい。さらに、開閉弁23、第1及び第2の安全弁26A,26B、逆止弁27、容器圧力調整装置28、発泡剤供給弁29などもその目的に応じて適宜省略できる。
【0055】
また、本発明は、別の側面として、上記実施形態で示した通り、発泡剤容器ヒーター21、流路ヒーター22などのヒーターにより発泡剤Eを加温し発泡剤Eを加圧した状態にして、液体流路30への発泡剤Eの供給圧力が、液体流路30内の圧力よりも高くなるように調整する。
この別の側面において、圧力制御手段14及び圧力調整装置13を省略してもよい。これらが省略されると、液体流路30で検知された圧力に基づき、発泡剤Eの供給圧力を制御できないが、圧力液体流路30の圧力変動が少ない場合などにおいては、ヒーターの加温により所定の圧力まで発泡剤Eの供給圧力を上昇させ、また、所定の圧力以上に発泡剤Eの供給圧力を維持することで、発泡剤Eの液体流路30への供給を概ね安定させることができる。また、混合装置10は、圧力制御手段14を省略して、圧力調整装置13を有してもよい。圧力制御手段14が省略されると、流体流路30で検知された圧力に基づき、発泡剤Eの供給圧力を制御できないが、例えば、手動により圧力調整装置13を操作することで、発泡剤Eの供給圧力を調整できる。
【0056】
さらに、上記別の側面においては、ヒーターにより発泡剤Eを加温し発泡剤Eを加圧状態にして、液体流路30内の圧力よりも液体流路30への発泡剤Eの供給圧力を高くする限り、発泡剤容器ヒーター21及び流路ヒーター22のいずれか一方を省略してもよい。
例えば、発泡剤容器ヒーター21を省略しても、流路ヒーター22により発泡剤Eを加温することで、発泡剤流路12内部で発泡剤Eを加圧して、液体流路30内の圧力よりも、液体流路30への発泡剤Eの供給圧力を高くすればよい。
同様に、流路ヒーター22を省略しても、発泡剤容器ヒーター21により発泡剤Eを十分に加温して加圧させることで、液体流路30内の圧力よりも、液体流路30への発泡剤Eの供給圧力を高くすればよい。さらに、外気温が高い場合などにおいても、流路ヒーター22を省略してもよい。
【0057】
さらに、本発明は、上記実施形態の一変形例として、図5に示すとおり、発泡剤供給弁29と逆止弁27との間に、ニードル弁32を設けても構わない。前述の圧力制御ルーチンは追従する時間差がある。発泡剤供給弁29を開いた瞬間の流量制限があることが望ましい。ニードル弁32を設けることで、圧力低下を防止し、安定した発泡剤Eの供給量を確保することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 混合装置
11 発泡剤容器
12 発泡剤流路
12A 上流流路
12B 下流流路
13 圧力調整装置
14 圧力制御手段
15 供給量調整手段
21 発泡剤容器ヒーター
22 流路ヒーター
23 開閉弁
25A 上流流路圧力計
25B 下流流路圧力計
26A,26B 第1及び第2の安全弁
27 逆止弁
28 容器圧力調整装置
29 発泡剤供給弁
30 液体流路(第1の液体流路)
31 液体流路圧力計
32 ニードル弁
35 第2の液体流路
40 液体ポンプ(第1の液体ポンプ)
45 第2の液体ポンプ
50 発泡装置
51 スプレーガン
51A 吐出部
51B 混合部
E 発泡剤
L1、L2 液体
図1
図2
図3
図4
図5