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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】計算装置
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/10 20230101AFI20240724BHJP
   G06N 10/00 20220101ALI20240724BHJP
   H03B 15/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H10N60/10 K
G06N10/00
H03B15/00 ZAA
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021093979
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022114414
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2021010008
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人 「新エネルギー・産業技術総合開発機構」「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技術の開発/超伝導体・半導体技術を融合した集積量子計算システムの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】金尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隼人
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524795(JP,A)
【文献】特開平11-211798(JP,A)
【文献】特開平11-099133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/10
H03B 15/00
G06N 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の絶対値は、前記第1周波数の0.3倍以下である、計算装置。
【請求項2】
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の絶対値は、前記非線形発振器のカー係数に対応する周波数の30倍以下である、計算装置。
【請求項3】
前記第1周波数と前記第2周波数との差の前記絶対値は、前記非線形発振器のカー係数に対応する周波数の16倍以上24倍以下である、請求項2記載の計算装置。
【請求項4】
前記第1周波数と前記第2周波数との前記差の前記絶対値は、前記非線形発振器の基底状態のエネルギーと、励起状態のエネルギーと、の差に対応する周波数に対応する、請求項1~3のいずれか1つに記載の計算装置。
【請求項5】
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の絶対値は、前記非線形発振器の基底状態のエネルギーと、励起状態のエネルギーと、の差に対応する周波数に対応する、計算装置。
【請求項6】
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記非線形発振器の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含み、
前記第1動作において、前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比は、前記第2周波数成分に応じて変化する、請求項1~5のいずれか1つに記載の計算装置。
【請求項7】
第3動作において、前記電気信号は、前記第1周波数成分と、第3周波数を有する第3周波数成分と、を含む第3信号を含み、
前記第3周波数は前記第2周波数とは異なる、請求項1~5のいずれか1つに記載の計算装置。
【請求項8】
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記非線形発振器の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含み、
前記第3動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比は、前記第1動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる、請求項7記載の計算装置。
【請求項9】
第3動作において、前記電気信号は、前記第1周波数成分と、前記第2周波数を有する第3周波数成分と、を含む第3信号を含み、
前記第3周波数成分の大きさは、前記第2周波数成分の大きさとは異なる、請求項1~5のいずれか1つに記載の計算装置。
【請求項10】
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記非線形発振器の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含み、
前記第3動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比は、前記第1動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる、請求項9記載の計算装置。
【請求項11】
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器と、
気信号を前記第1端子に印加可能な信号発生器と、
を備え、
前記第1端子に前記電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記信号発生器は、
前記第1周波数の第1周波数信号を発生可能な第1回路と、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の周波数の差周波数信号を発生可能な第2回路と、
前記第1周波数信号と前記差周波数信号とを混合可能な第3回路と、
を含む、計算装置。
【請求項12】
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器と、
気信号を前記第1端子に印加可能な信号発生器と、
を備え、
前記第1端子に前記電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記信号発生器は、第1回路と、第2回路と、第3回路と、を含み、
前記第1回路は、前記第1周波数の第1周波数信号を発生可能であり、
前記第2回路は、前記第1周波数と前記第2周波数との差の周波数の差周波数信号と、前記差周波数信号と同相直交の信号と、を発生可能であり、
前記第3回路は、前記第1周波数信号と、前記差周波数信号と、前記同相直交の前記信号と、を混合可能である、計算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の量子非線形発振器を利用する計算装置が提案されている。計算装置において、高速化が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6530326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、高速化が可能な計算装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、計算装置は、非線形発振器を含む。前記非線形発振器は、第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む。前記第1端子に電気信号が入力される。第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る計算装置における状態を例示する模式図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る計算装置の動作を例示する模式図である。
図5図5は、第1実施形態に係る計算装置の動作を例示する模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図7図7は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図8図8は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図9図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係る計算装置の一部を例示する模式図である。
図10図10は、計算装置の特性を例示するグラフ図である。
図11図11は、計算装置の特性を例示するグラフ図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、第1実施形態に係る計算装置の動作を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図1に示すように、実施形態に係る計算装置110は、非線形発振器10を含む。非線形発振器10は、回路部12及び導電部材15を含む。
【0009】
回路部12は、第1ジョセフソン接合11a及び第2ジョセフソン接合11bを含む。例えば、回路部12は、第1導電部13a及び第2導電部13bをさらに含む。第1ジョセフソン接合11a及び第2ジョセフソン接合11bは、第1導電部13a及び第2導電部13bにより接続される。第1ジョセフソン接合11a及び第2ジョセフソン接合11bは、並列に接続される。例えば、第2導電部13bがグランド部GNDに電気的に接続される。回路部12は、例えばdcSQUIDである。
【0010】
導電部材15は、第1端子15Tを含む。第1端子15Tは、例えば、導電部材15の一方の端に対応する。導電部材15の他方の端は、グランド部GNDに電気的に接続される。
【0011】
電気信号Seが第1端子15Tに印加される。電気信号Seは、例えば、マイクロ波パルスである。
【0012】
電気信号Seは、例えば、信号発生器70から第1端子15Tに入力される。計算装置110は、信号発生器70を含んでも良い。信号発生器70は、電気信号Seを第1端子15Tに印加可能である。信号発生器70の例については後述する。
【0013】
1つの動作(第1動作OP1)において、電気信号Seは、第1信号Sg1を含む。第1信号は、第1周波数f1を有する第1周波数成分と、第2周波数f2を有する第2周波数成分と、を含む。第1周波数f1は、例えば、非線形発振器10の発振周波数の実質的に2倍である。
【0014】
例えば、周波数は、角周波数「ω」、及び、角周波数「ω+ω」により表現できる。第1周波数f1は、ω/(2π)に対応する。第2周波数f2は、(ω+ω)/2πに対応する。周波数fgは、ω/(2π)に対応する。1つの例において、ω/(2π)は、20GHzである。1つの例において、ω/(2π)は、0.1GHzである。「π」は、円周率である。
【0015】
このような第1信号Sg1を含む電気信号Seが、1つの端子(第1端子15T)に入力される。
【0016】
導電部材15に電気信号Seが供給されることで、導電部材15から生じる磁場Φ(磁束)が、回路部12に印加される。第1周波数成分と第2周波数成分とを含む第1信号Sg1が導電部材15に印加されることで、回路部12における発振状態が制御できる。
【0017】
非線形発振器10は、例えば、カーパラメトリック発振器(KPO:Kerr Parametric Oscillator)に対応する。計算装置110において、KPOの分岐現象が利用される。計算装置110は、例えば、量子計算装置である。
【0018】
図1に示すように、非線形発振器10は、共振器20をさらに含んでも良い。共振器20は、例えば、回路部12と接続される。この例では、共振器20は、第1導電部13aに接続される。例えば、共振器20の共振状態の検出(測定)により、非線形発振器10における発振状態が検出できる。
【0019】
実施形態において、第1周波数f1を有する第1周波数成分と、第2周波数f2を有する第2周波数成分と、を含む第1信号Sg1を印加することで、励起状態が利用できる。例えば、「X回転ゲート操作」が実施できる。
【0020】
一般に、dcSQUIDを用いた計算装置において、基底状態が用いられる。例えば、基底状態は、|α>、及び、|-α>である。これらの状態は、コヒーレント状態である。例えば、これらの状態が、量子ビットの、|0>、及び、|1>に利用される。KPOにおけるX回転ゲート操作により、例えば、|α>と|-α>との間の遷移が行われる。
【0021】
例えば、磁場Φを制御してX回転ゲート操作が行われる参考例が考えられる。参考例においては、追加の導電部材(伝送線路)が必要となる。例えば、一般の参考例においては、|α>及び|-α>の限られた状態が利用される。例えば、参考例においては、1つの周波数(ω)のマイクロ波が利用される。
【0022】
これに対して、実施形態においては、複数の周波数成分を含む第1信号Sg1が導電部材15に印加される。これにより、|α>と|-α>との間の遷移が容易に操作できる。例えば、X回転ゲート操作が高速に実施できる。実施形態によれば、高速化が可能な計算装置を提供できる。実施形態における状態の変化(遷移)の例については後述する。
【0023】
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。 図2(a)の横軸は、時間tである。図2(a)の縦軸は、第1信号Sg1(任意単位)である。図2(a)に示すように、第1信号Sg1は、時間tとともに変化する。
【0024】
図2(b)は、このような第1信号Sg1のスペクトルを例示している。図2(b)の横軸は、周波数fである。周波数fは、ω/2πである。図2(b)の縦軸は、スペクトルの強度Sp1(任意単位)である。図2(b)に示すように、スペクトルの強度Sp1は2つの独立したピークを含む。スペクトルの強度Sp1は、例えば、第1周波数f1を有する第1周波数成分と、第2周波数f2を有する第2周波数成分と、を含む。この例では、第1周波数f1は、20GHzである。第2周波数f2は、19.8GHzである。例えば、ω/(2π)は、20GHzに対応する。例えば、ω/2πは、-0.2GHzに対応する。このような第1信号Sg1を用いることでX回転ゲート操作が高速に実施できる。
【0025】
例えば、第1信号Sg1に対応する信号波形f(t)は、以下の第1式で表される。
【数1】
【0026】
例えば、スペクトルの強度Sp1に対応するスペクトルS(ω)は、以下の第2式で表される。
【数2】
【0027】
1つの例において、係数Apは、4である。例えば、係数Agは、1である。例えば、「Tg」は、例えば、160nsである。
【0028】
例えば、第2周波数f2は、第1周波数f1よりも低い。
【0029】
図3は、第1実施形態に係る計算装置における状態を例示する模式図である。
図3の横軸は、比p/Kである。「p」は、KPOのポンピング振幅である。「K」は、KPOのカー係数である。縦軸は、エネルギー固有値Eiである。カー係数Kは、非線形発振器10における非調和性に対応する。非調和性は、例えば、ポンピング振幅pが0のときのスペクトルから導出できる。例えば、K/(2π)=f12-f01が成立する。「f01」は、「真空」から「1光子状態」への励起に対応する周波数に対応する。「f12」は、「1光子状態」から「2光子状態」への励起に対応する周波数である。
【0030】
図3に示すエネルギーE、Eは、基底状態|α>及び|-α>に対応する。図3に示すように、他のエネルギーE~Eなどが存在する。他のエネルギーE~Eは、励起状態に対応する。一般に、基底状態に対応するエネルギーE、Eが利用される。この場合、励起状態への遷移が生じないように設計される。
【0031】
これに対して、実施形態においては、基底状態から励起状態への遷移が利用される。「ω」を利用することで、遷移が行われる。例えば、導電部材15は、2光子励起用の伝送経路として機能する。
【0032】
以下、実施形態に係る計算装置110の動作の例について説明する。
【0033】
図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る計算装置の動作を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、時間Ktである。図4(a)の縦軸は、複数の固有状態のそれぞれの確率PEである。図4(b)の縦軸は、|α>、|-α>、及び、それらの和の確率Pαである。
【0034】
図4(a)に示すように、互いに離れた準位間の遷移(例えば、エネルギーEとエネルギーEとの間の遷移)が利用可能である。
【0035】
図4(b)に示すように、|α>から|-α>への遷移が可能である。例えば、ゲート時間(時間Kt)が20のときにおいて、忠実度Fは、0.999091である。|<E|ψ>|+|<E|ψ>|は、0.99936である。
【0036】
図5は、第1実施形態に係る計算装置の動作を例示する模式図である。
図5においては、初期状態の固有状態|E>が(|α>-|-α>)/21/2とされる。図5の横軸は、時間Ktである。図5の縦軸は、複数の固有状態のそれぞれの確率PEである。
【0037】
図5の場合も、互いに離れた準位間の遷移(例えば、エネルギーEとエネルギーEとの間の遷移)が利用可能である。例えば、ゲート時間(時間Kt)が10のときにおいて、|<E|ψ>|は、0.999503である。arg(<E|ψ>)/πは、0.999477である。
【0038】
上記のように、第1周波数f1は、非線形発振器10の発振周波数の2倍に設定される。非線形発振器10の発振状態は、第1発振状態、第2発振状態及び第3発振状態を含む。第1発振状態及び第2発振状態は、例えば、基底状態に対応するエネルギーE、Eに対応する状態である。第3発振状態は、例えば、他のエネルギーE~Eなどの状態である。実施形態において、上記のように、第1周波数f1を有する第1周波数成分と、第2周波数f2を有する第2周波数成分と、を含む第1信号Sg1を含む電気信号Seが第1端子15Tに入力される。これにより、非線形発振器10の発振状態が変化する。
【0039】
例えば、図4(b)に示すように、第1動作OP1において、第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比が変化する。すなわち、X回転ゲート操作が容易に行われる。第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比は、第2周波数成分に応じて変化可能である。
【0040】
実施形態において、|α>の状態から|-α>の状態への遷移、または、|-α>の状態から|α>の状態への遷移が行われても良い。例えば、第1発振状態は、|α>の状態、及び、|-α>の状態の一方に対応する。例えば、第2発振状態は、|α>の状態、及び、|-α>の状態の他方に対応する。
【0041】
以下に説明するように、実施形態において、上記の第1動作OP1に加えて、さらに別の動作が行われても良い。
【0042】
図6は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図6は、第2動作OP2を例示している。第2動作OP2においては、電気信号Seは、第1周波数成分を含む第2信号Sg2を含む。第2信号Sg2は、第2周波数成分を実質的に含まない。この場合、X回転ゲート操作は行われない。この場合も、第1周波数f1は、非線形発振器10の発振周波数の実質的に2倍である。第2動作OP2においても、非線形発振器10の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含む。第2動作OP2における第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比は、第1動作OP1における第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる。例えば、第2動作OP2として、X回転ゲート操作に関する第1動作OP1とは異なる操作が行われても良い。
【0043】
図7は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図7は、第3動作OP3を例示している。第3動作OP3においては、電気信号Seは、第3信号Sg3を含む。第3信号Sg3は、第1周波数f1を含む第1周波数成分と、第3周波数f3を有する第3周波数成分と、を含む。第3周波数f3は、(ω+ωga)/2πに対応する。「ωga」は、「ω」とは異なる。第3周波数f3は、第2周波数f2とは異なる。このような第3周波数成分を含む第3信号Sg3が用いられても良い。
【0044】
このような第3動作においても、第1周波数f1は、非線形発振器10の発振周波数の実質的に2倍に設定される。非線形発振器10の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含む。第3動作OP3における第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比は、第1動作OP1における第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる。このような第3動作OP3が行われても良い。
【0045】
図8は、第1実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図8は、第3動作OP3を例示している。第3動作OP3においては、電気信号Seは、第3信号Sg3を含む。この第3動作OP3においては、第3信号Sg3は、第1周波数f1を有する第1周波数成分と、第2周波数f2を有する第3周波数成分と、を含む。第3動作OP3における第3周波数成分の大きさは、上記の第1動作OP1における第2周波数成分の大きさとは異なる。例えば、第3動作OP3における第3周波数成分の周波数(第2周波数f2)は、第1動作OP1における第2周波数成分の周波数(第2周波数f2)と同じである。同じ周波数で大きさが異なる別の第3周波数成分を含む第3信号Sg3が用いられても良い。
【0046】
図8に例示する第3動作OP3においても、第1周波数f1は、非線形発振器10の発振周波数の実質的に2倍に設定される。非線形発振器10の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含む。図8に例示する第3動作OP3における第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比は、図1に例示する第1動作OP1における第1発振状態の発生確率の、第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる。このように、第2周波数f2を有する周波数成分の大きさを変更することで、発振状態を変更することが容易にできる。
【0047】
図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係る計算装置の一部を例示する模式図である。
図9(a)に示すように、信号発生器70は、第1回路71及び第2回路72を含む。第1回路71は、第1周波数f1の第1周波数信号Sf1を発生可能である。第2回路72は、第2周波数f2の第2周波数信号Sf2を発生可能である。
【0048】
図9(b)に示すように、信号発生器70は、第1回路71、第2回路72及び第3回路73を含んでも良い。第1回路71は、第1周波数f1の第1周波数信号Sf1を発生可能である。第2回路72は、第1周波数f1と第2周波数f2との差の周波数の差周波数信号Sdを発生可能である。差の周波数は、ωg/2πに対応する。第3回路73は、第1周波数信号Sf1と差周波数信号Sdとを混合可能である。第3回路73から第2周波数f2((ωp±ωg)/2π)の信号が出力される。
【0049】
図9(c)に示すように、信号発生器70は、第1回路71、第2回路72及び第3回路73を含んでも良い。第1回路71は、第1周波数f1の第1周波数信号Sf1を発生可能である。第2回路72は、第1周波数f1と第2周波数f2との差の周波数の差周波数信号Sdと、差周波数信号Sdと同相直交の信号Sdxと、を発生可能である。第3回路73は、第1周波数信号Sf1と差周波数信号Sdとを混合可能である。第3回路73から第2周波数f2((ωp+ωg)/2π)の信号が出力される。
【0050】
図10は、計算装置の特性を例示するグラフ図である。
図10は、励起状態を利用した回転ゲート操作の回転角(回転位相)のシミュレーション結果を例示している。図10の横軸は、比|ωg/K|である。縦軸は、回転位相Prである。回転角をθとしたとき、回転位相Prは、θ/πに対応する。この例では、初期状態は、(|E>+|E>)/21/2であり、実質的に|α>に対応する。差ξは、|E-E|/(hK/2π)に対応する。「h」はプランク定数である。ξ及びξは、0である。図10の例においては、p/Kは4であり、K・Tgは10である。
【0051】
図10に示すように、比|ωg/K|が高くなるにつれて、差ξ~ξ10に対応する回転が生じる。X回転ゲート操作Rx(θ)において、忠実度Fは、0.999よりも高い。
【0052】
実施形態において、第1周波数f1と第2周波数f2との差の絶対値は、例えば、非線形発振器10のカー係数の5倍以上30倍以下であることが好ましい。例えば、図10に示すように、第1周波数f1と第2周波数f2との差(ωg/2π)の絶対値がカー係数Kの0倍以上(例えば5倍以上)、30倍以下のときに、大きな回転位相Prが、高い忠実度で得られる。
【0053】
上記のように、実施形態において、第1周波数f1は、非線形発振器10の発振周波数の2倍に設定可能である。第1周波数f1と第2周波数f2との差の絶対値は、例えば、第1周波数f1の0倍以上0.3倍以下であることが好ましい。例えば、図10に示すように、大きな回転位相が得られる比|ωg/K|の範囲は、第1周波数f1と第2周波数f2との差(ωg/2π)の絶対値が第1周波数f1の0倍を超え(例えば0.05倍以上)、0.3倍以下のときに、大きな回転位相が、高い忠実度で得られる。例えば、K/(2π)は、第1周波数f1の実質的に1/100と見積もられる。
【0054】
第1周波数f1と第2周波数f2との差の絶対値は、例えば、非線形発振器10の基底状態と、励起状態と、の差の絶対値に対応して良い。
【0055】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の絶対値は、前記第1周波数の0.3倍以下である、計算装置。
【0056】
(構成2)
前記第1周波数と前記第2周波数との差の前記絶対値は、前記非線形発振器のカー係数に対応する周波数の30倍以下である、構成1記載の計算装置。
【0057】
(構成3)
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の絶対値は、前記非線形発振器のカー係数に対応する周波数の30倍以下である、計算装置。
【0058】
(構成4)
前記第1周波数と前記第2周波数との前記差の前記絶対値は、前記非線形発振器の基底状態のエネルギーと、励起状態のエネルギーと、の差に対応する周波数の絶対値に対応する、構成1~3のいずれか1つに記載の計算装置。
【0059】
(構成5)
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の絶対値は、前記非線形発振器の基底状態のエネルギーと、励起状態のエネルギーと、の差に対応する周波数の絶対値に対応する、計算装置。
【0060】
(構成6)
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記非線形発振器の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含み、
前記第1動作において、前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比は、前記第2周波数成分に応じて変化する、構成1~5のいずれか1つに記載の計算装置。
【0061】
(構成7)
第2動作において、前記電気信号は、前記第1周波数成分を含む第2信号を含む、構成1~5のいずれか1つに記載の計算装置。
【0062】
(構成8)
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記非線形発振器の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含み、
前記第2動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比は、前記第1動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる、構成7記載の計算装置。
【0063】
(構成9)
第3動作において、前記電気信号は、前記第1周波数成分と、第3周波数を有する第3周波数成分と、を含む第3信号を含み、
前記第3周波数は前記第2周波数とは異なる、構成1~5のいずれか1つに記載の計算装置。
【0064】
(構成10)
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記非線形発振器の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含み、
前記第3動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比は、前記第1動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる、構成9記載の計算装置。
【0065】
(構成11)
第3動作において、前記電気信号は、前記第1周波数成分と、前記第2周波数を有する第3周波数成分と、を含む第3信号を含み、
前記第3周波数成分の大きさは、前記第2周波数成分の大きさとは異なる、構成1~5のいずれか1つに記載の計算装置。
【0066】
(構成12)
前記第1周波数は、前記非線形発振器の発振周波数の2倍であり、
前記非線形発振器の発振状態は、第1発振状態と第2発振状態とを含み、
前記第3動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比は、前記第1動作における前記第1発振状態の発生確率の、前記第2発振状態の発生確率に対する比とは異なる、構成11記載の計算装置。
【0067】
(構成13)
前記第2周波数は、前記第1周波数よりも低い、構成1~12のいずれか1つに記載の計算装置。
【0068】
(構成14)
前記電気信号を前記第1端子に印加可能な信号発生器をさらに備えた、構成1~13のいずれか1つに記載の計算装置。
【0069】
(構成15)
前記信号発生器は、
前記第1周波数の第1周波数信号を発生可能な第1回路と、
前記第2周波数の第2周波数信号を発生可能な第2回路と、
を含む、構成14記載の計算装置。
【0070】
(構成16)
前記信号発生器は、
前記第1周波数の第1周波数信号を発生可能な第1回路と、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の周波数の差周波数信号を発生可能な第2回路と、
前記第1周波数信号と前記差周波数信号とを混合可能な第3回路と、
を含む、構成14記載の計算装置。
【0071】
(構成17)
前記信号発生器は、第1回路と、第2回路と、第3回路と、を含み、
前記第1回路は、前記第1周波数の第1周波数信号を発生可能であり、
前記第2回路は、前記第1周波数と前記第2周波数との差の周波数の差周波数信号と、前記差周波数信号と同相直交の信号と、を発生可能であり、
前記第3回路は、前記第1周波数信号と、前記差周波数信号と、前記同相直交の前記信号と、を混合可能である、構成14記載の計算装置。
【0072】
(構成18)
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器と、
前記電気信号を前記第1端子に印加可能な信号発生器と、
を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記信号発生器は、
前記第1周波数の第1周波数信号を発生可能な第1回路と、
前記第1周波数と前記第2周波数との差の周波数の差周波数信号を発生可能な第2回路と、
前記第1周波数信号と前記差周波数信号とを混合可能な第3回路と、
を含む、計算装置。
【0073】
(構成19)
第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合を含む回路部と、第1端子を含む導電部材と、を含む非線形発振器と、
前記電気信号を前記第1端子に印加可能な信号発生器と、
を備え、
前記第1端子に電気信号が入力され、
第1動作において、前記電気信号は、第1周波数を有する第1周波数成分と、第2周波数を有する第2周波数成分と、を含む第1信号を含み、
前記信号発生器は、第1回路と、第2回路と、第3回路と、を含み、
前記第1回路は、前記第1周波数の第1周波数信号を発生可能であり、
前記第2回路は、前記第1周波数と前記第2周波数との差の周波数の差周波数信号と、前記差周波数信号と同相直交の信号と、を発生可能であり、
前記第3回路は、前記第1周波数信号と、前記差周波数信号と、前記同相直交の前記信号と、を混合可能である、計算装置。
【0074】
(構成20)
前記第1周波数と前記第2周波数との差の前記絶対値は、前記非線形発振器のカー係数に対応する周波数の16倍以上24倍以下である、構成2記載の計算装置。
【0075】
図11は、計算装置の特性を例示するグラフ図である。
図11は、図10のシミュレーションをより詳細に行った結果を例示している。図11の横軸は、比|ωg/K|である。図11においては、比|ωg/K|が0~40の範囲が示されている。縦軸は、回転位相Prである。回転角をθとしたとき、回転位相Prは、θ/πに対応する。この例では、初期状態は、(|E>+|E>)/21/2であり、実質的に|α>に対応する。差ξは、|E-E|/(hK/2π)に対応する。差ξは、周波数ξK/2πに対応する。「h」はプランク定数である。ξ及びξは、0である。図11の例においては、p/Kは4であり、K・Tgは10である。
【0076】
図11に示すように、例えば、差ξ~ξに対応する回転が生じる。例えば、比|ωg/K|が16以上24以下の範囲において、回転位相Prは約-0.6から約0.4の範囲で連続的に変化する。例えば、比|ωg/K|が実質的に差ξの近傍に設定されることで、回転位相Prは約-0.6から約0.4の範囲で連続的に変化する。差ξは、|E-E|/(hK/2π)である。例えば、比|ωg/K|が実質的に差ξに設定されることで、角度θが0~-π/2のX回転ゲート操作が得られる。このようなX回転ゲート操作Rx(θ)において、忠実度Fは、0.999よりも高い。このような特性が、図10を詳しくシミュレーションした結果の図11により確認される。
【0077】
図12(a)及び図12(b)は、第1実施形態に係る計算装置の動作を例示する模式図である。
これらの図は、図11のシミュレーション条件における特性を例示している。すなわち、この例において、p/Kは4であり、K・Tgは10である。これらの図の横軸は、時間Ktである。図12(a)の縦軸は、複数の固有状態のそれぞれの確率PEである。図12(b)の縦軸は、|α>、|-α>、及び、それらの和の確率Pαである。比|ωg/K|は、20であり、|E-E|/(hK/2π)の値である19.2に近い。
【0078】
図12(a)に示すように、互いに離れた準位間の遷移(例えば、エネルギーEとエネルギーEとの間の遷移)が利用可能である。
【0079】
図12(b)に示すように、|α>から|-α>への遷移が可能である。例えば、ゲート時間(時間Kt)が10のときにおいて、忠実度Fは、0.99947である。θ/πは、-0.50024である。X回転ゲート操作Rx(-π/2)が実施される。第2周波数成分の最大値をpgmaxとしたとき、pgmax/Kは、0.6845である。第2周波数成分は、周波数fg(すなわち、ω/(2π))の成分である。
【0080】
このように、第1周波数f1と第2周波数f2との差の絶対値は、非線形発振器10の基底状態のエネルギー(例えば固有エネルギー)と、6番目の励起状態のエネルギー(例えば固有エネルギー)と、の差に対応する周波数に対応することがより好ましい。エネルギーの差に対応する周波数は、|E-E|/hに対応する。
【0081】
実施形態において、例えば、第1周波数f1と第2周波数f2との差の絶対値は、例えば、非線形発振器10のカー係数Kに対応する周波数の5倍以上30倍以下であることが好ましい。カー係数Kに対応する周波数は、K/(2π)である。例えば、図10及び図11に示すように、第1周波数f1と第2周波数f2との差(ωg/2π)の絶対値がカー係数Kに対応する周波数(K/(2π))の0倍以上(例えば5倍以上)、30倍以下のときに、大きな回転位相Prが、高い忠実度で得られる。例えば、第1周波数f1と第2周波数f2との差(ωg/2π)の絶対値がカー係数Kに対応する周波数(K/(2π))の16倍以上24倍以下であることが好ましい。
【0082】
実施形態によれば、高速化が可能な計算装置が提供できる。
【0083】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、計算装置に含まれる非線形発振器、導電部材及び信号発生器などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0084】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0085】
本発明の実施の形態として上述した計算装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての計算装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0086】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10…非線形発振器、 11a、11b…第1、第2ジョセフソン接合、 12…回路部、 13a、13b…第1、第2導電部、 15…導電部材、 15T…第1端子、 20…共振器、 70…信号発生器、 71~73…第1~第3回路、 Φ…磁場、 110…計算装置、 E~E…エネルギー、 Ei…エネルギー固有値、 GND…グランド部、 Kt…時間、 Pα…確率、 PE…確率、 Pr…回転位相、 Sd…差周波数信号、 Sdx…信号、 Se…電気信号、 Sf1、Sf2…第1、第2周波数信号、 Sg1…第1信号、 f…周波数、 f1、f2…第1、第2周波数、 p/K…比、 t…時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12