(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】風力発電設備の無停電電源
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240724BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240724BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240724BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240724BHJP
F03D 9/11 20160101ALI20240724BHJP
F03D 17/00 20160101ALI20240724BHJP
H02P 9/00 20060101ALI20240724BHJP
H02P 101/15 20150101ALN20240724BHJP
【FI】
H02J3/38 160
H02J3/32
H02J7/00 303B
H02J9/06 120
H02J7/00 302A
F03D9/11
F03D17/00
H02P9/00 F
H02P101:15
(21)【出願番号】P 2021154117
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-09-22
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
【住所又は居所原語表記】Borsigstrasse 26, 26607 Aurich Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】カイ ブスカー
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0217824(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0230689(US,A1)
【文献】特表2018-505349(JP,A)
【文献】特開2006-057469(JP,A)
【文献】特開2013-183509(JP,A)
【文献】特開2020-102343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0084070(US,A1)
【文献】特開2009-068379(JP,A)
【文献】特表2019-509418(JP,A)
【文献】国際公開第2020/089972(WO,A1)
【文献】特開2001-268994(JP,A)
【文献】特開2006-311676(JP,A)
【文献】特開2018-200043(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/051997(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 7/00
H02J 9/06
F03D 9/11
F03D 17/00
H02P 9/00
H02P 101/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC中間回路と、前記DC中間回路に接続された電力貯蔵装置と、前記DC中間回路及び前記電力貯蔵装置に接続された無停電電源とを含む風力発電設備を作動させる方法であって、
特定の時間に、前記電力貯蔵装置の放電動作を開始するステップ(310)と、
前記電力貯蔵装置が所定の放電電圧を有するまで、前記放電動作を実行するステップ(320)と、
前記放電動作中に前記電力貯蔵装置の放電電流(I
B_act)を検出するステップ(330)と、
前記検出した放電電流から前記電力貯蔵装置の容量(C
B_act)を決定するステップ(340)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記放電電流は、電力供給グリッドへ注入される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
風力発電設備制御ユニットのため、作動信号を生成するステップをさらに含み、
前記作動信号は、電池の十分な残容量を示す、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
風力発電設備制御ユニットのため、警告信号を生成するステップをさらに含み、
前記警告信号は、前記電力貯蔵装置の不十分な残容量を示す、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記放電電流は、電流制限装置により設定された、目標放電電流に対応する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記放電電流は、DC/DC変換器により強制される(forciert)、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記放電電流は、DC中間回路へ供給される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記放電電流は、電力供給グリッドへ注入される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記放電電流は、放電時間にわたって検出される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記特定の時間は、前記風力発電設備の設置場所を考慮して選択された、所定の期間内である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記風力発電設備の設置場所の考慮は、以下のリスト、
・前記風力発電設備の設置場所に関する地理的データと、
・前記風力発電設備の設置場所の天候データと、
・前記風力発電設備の設置場所の気象データと、
・カレンダー日付及び/又はカレンダー期間、
のうち少なくとも1つについてのデータを含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
風から機械式回転運動を発生するように構成された、空力ロータと、
前記機械式回転運動から電気エネルギを発生するように構成された発電機と、
前記発電機により発生された前記電気エネルギを電力インバータへ供給するように構成された、DC中間回路と、
前記電気エネルギを前記DC中間回路から電力供給グリッドへ注入するように構成された、電力インバータと、
前記DC中間回路に接続され、及び、
前記DC中間回路と電気エネルギを交換し、
電気エネルギを貯蔵し、
電気エネルギを無停電電源に供給する、
ように構成された、電力貯蔵装置と、
を少なくとも含む、風力発電設備において、
前記無停電電源は、前記DC中間回路と前記電力貯蔵装置に接続され、及び、前記DC中間回路及び/又は前記電力貯蔵装置から、電力をアジマス調整装置へ供給するように構成されており、
前記無停電電源は、アジマスモータにより前記風力発電設備を風に対し配向することができるように、アジマス調整装置の少なくとも1つのアジマスモータへ、電気エネルギを供給するように構成され
ており、
前記風力発電設備は、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御ユニットをさらに含むこと
を特徴とする、風力発電設備。
【請求項13】
アジマスモータを含み、前記電力貯蔵装置からの電力を用いて、前記アジマスモータにより、前記風力発電設備のアジマス角を調整するように構成された、アジマス調整装置をさらに含む、
請求項12に記載の風力発電設備。
【請求項14】
前記無停電電源は、また、電力供給グリッドの停電中でも、前記風力発電設備の前記少なくとも1つのアジマスモータへ、電気エネルギを供給するように構成され、前記アジマスモータにより前記風力発電設備を風に対し配向することができるように、前記風力発電設備に電気的に接続されている、
請求項12又は13に記載の風力発電設備。
【請求項15】
前記発電機により発生された電気エネルギをDC電圧に変換し、このDC電圧を前記DC中間回路に供給するように構成された整流器をさらに含む、
請求項12から14のいずれか一項に記載の風力発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年09月25日出願のEPC出願第20198466.3号の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとみなされる。
本発明は、風力発電設備を制御する方法及び、そのような風力発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備(複数)は、一般的に知られており、通常は、電力供給グリッド内の発電ユニットとして稼働される、即ち、電力を電力供給グリッドに注入する。
【0003】
電力供給グリッドは、また、通例、電力グリッド(Stromnetz)と呼ばれ、電気エネルギの送電及び配電のための、複雑なネットワークである。
【0004】
風力発電設備は、一般的には、例えば、暴風、ハリケーン、台風、又は、サイクロンのような多くの及び/又は厳しい風の発生を伴う領域を含む、地球上の非常の広範囲な場所に設置される。
【0005】
これらの風の発生は、部分的に(ないし時として)、風力発電設備に極度の負荷をもたらし得、これは、例えば、風へのナセルの水平方向の位置決め又は調整をすることにより、回避されることが必要である。
【0006】
しかしながら、風の発生によって、風力発電設備又は電力供給グリッドは、ある程度までしか稼働されることができない、例えば、風の発生が非常に激しいので、風力発電設備も電力供給グリッドも規定通りに稼働されることができない、ということが発生し得る。
【0007】
それにもかかわらず、風の発生の結果として風力発電設備に関する極度の負荷を制御下に保つために、いわゆる風追尾による、風力発電設備のナセルの能動的な追従作動が、適切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、上述の課題の1つと取り組むことである。特に、本発明は、非常に風の強い場所においてでさえも、風力発電設備の稼働の安全性(ないし確実性)を増加する可能性を提供することが望まれる。しかしながら、本発明は、従来知られた技術に対する少なくとも代替手段を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の視点において、DC中間回路と、前記DC中間回路に接続された電力貯蔵装置と、前記DC中間回路及び前記電力貯蔵装置に接続された無停電電源とを含む風力発電設備を作動させる方法が提供される。該方法は、
特定の時間に、前記電力貯蔵装置の放電動作を開始するステップと、
前記電力貯蔵装置が所定の放電電圧を有するまで、前記放電動作を実行するステップと、
前記放電動作中に前記電力貯蔵装置の放電電流を検出するステップと、
前記検出した放電電流から前記電力貯蔵装置の容量を決定するステップと、
を含む。
本発明の第2の視点において、風力発電設備が提供される。該風力発電設備は、
風から機械式回転運動を発生するように構成された、空力ロータと、
前記機械式回転運動から電気エネルギを発生するように構成された発電機と、
前記発電機により発生された前記電気エネルギを電力インバータへ供給するように構成された、DC中間回路と、
前記電気エネルギを前記DC中間回路から電力供給グリッドへ注入するように構成された、電力インバータと、
前記DC中間回路に接続され、及び、
前記DC中間回路と電気エネルギを交換し、
電気エネルギを貯蔵し、
電気エネルギを無停電電源に供給する、
ように構成された、電力貯蔵装置と、
を少なくとも含む、風力発電設備において、
前記無停電電源は、前記DC中間回路と前記電力貯蔵装置に接続され、及び、前記DC中間回路及び/又は前記電力貯蔵装置から、電力をアジマス調整装置へ供給するように構成されており、
前記無停電電源は、アジマスモータにより前記風力発電設備を風に対し配向することができるように、アジマス調整装置の少なくとも1つのアジマスモータへ、電気エネルギを供給するように構成されており、
前記風力発電設備は、本発明の方法を実施するように構成された制御ユニットをさらに含む。
本発明のさらなる特徴は各従属請求項に記載のとおりである。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の方法において、
前記放電電流は、電力供給グリッドへ注入されることが好ましい。
(形態3)形態1又は2に記載の方法において、
風力発電設備制御ユニットのため、作動信号を生成するステップをさらに含み、
前記作動信号は、電池の十分な残容量を示すことが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかに記載の方法において、
風力発電設備制御ユニットのため、警告信号を生成するステップをさらに含み、
前記警告信号は、前記電力貯蔵装置の不十分な残容量を示すことが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかに記載の方法において、
前記放電電流は、電流制限装置により設定された、目標放電電流に対応することが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかに記載の方法において、
前記放電電流は、DC/DC変換器により強制される(forciert)ことが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかに記載の方法において、
前記放電電流は、DC中間回路へ供給されることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかに記載の方法において、
前記放電電流は、電力供給グリッドへ注入されることが好ましい。
(形態9)形態1~8の何れかに記載の方法において、
前記放電電流は、放電時間にわたって検出されることが好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかに記載の方法において、
前記特定の時間は、前記風力発電設備の設置場所を考慮して選択された、所定の期間内であることが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかに記載の方法において、
前記風力発電設備の設置場所の考慮は、以下のリスト、
・前記風力発電設備の設置場所に関する地理的データと、
・前記風力発電設備の設置場所の天候データと、
・前記風力発電設備の設置場所の気象データと、
・カレンダー日付及び/又はカレンダー期間、
のうち少なくとも1つについてのデータを含むことが好ましい。
(形態12)上記本発明の第2の視点参照。
(形態13)形態12に記載の風力発電設備において、
アジマスモータを含み、前記電力貯蔵装置からの電力を用いて、前記アジマスモータにより、前記風力発電設備のアジマス角を調整するように構成された、アジマス調整装置をさらに含むことが好ましい。
(形態14)形態12又は13に記載の風力発電設備において、
前記無停電電源は、また、電力供給グリッドの停電中でも、前記風力発電設備の前記少なくとも1つのアジマスモータへ、電気エネルギを供給するように構成され、前記アジマスモータにより前記風力発電設備を風に対し配向することができるように、前記風力発電設備に電気的に接続されていることが好ましい。
(形態15)形態12~14の何れかに記載の風力発電設備において、
前記発電機により発生された電気エネルギをDC電圧に変換し、このDC電圧を前記DC中間回路に供給するように構成された整流器をさらに含むことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従って、本発明に従って、特に特定の時間に、無停電電源の電力貯蔵装置の放電動作を開始するステップと、前記電力貯蔵装置が所定の放電電圧を有するまで、前記無停電電源の前記電力貯蔵装置の前記放電動作を実行するステップと、前記放電動作中に前記電力貯蔵装置の放電電流を検出するステップと、前記検出した放電電流から前記電力貯蔵装置の容量を決定するステップと、を含む風力発電設備を作動させる方法が提案される。
【0012】
従って、風力発電設備が少なくとも1つの無停電電源を有し、特に従来の又は通常の作動モードでは、従来通りに作動することが好ましい、ことが特に提案される。
【0013】
従って、風力発電設備は、後述するように、好ましい仕方で構成され、特に、好ましくは充電式電池の形式である、電力貯蔵装置を有する無停電電源を含む。
【0014】
前記無停電電源は、この場合、特に、例えば、暴風のような、好ましくは風の発生中でさえも、アジマスモータが、風力発電設備を、特に風力発電設備のナセルを、風に対して配向することができるように、風力発電設備の少なくとも1つのアジマスモータへ、電気エネルギを供給するように構成される。
【0015】
従って、電力供給グリッドの脱落ないし障害(Ausfall)中でも、風力発電設備を風に対して配向することも特に提案される。
【0016】
風力発電設備の(通常の)作動モードでは、特に、電力貯蔵装置が、必要な場合に十分な電気エネルギを利用可能とすることもできることを保証するために、すなわち、例えば、暴風の発生の際、風力発電設備のナセルを配向するために、特に、電力貯蔵装置の機能能力が、その時に試験される。
【0017】
例えば、風事象が発生し、これが風力発電設備及び/又は電源供給グリッドの稼働の妨害となるときに、そのような必要なケースが存在する。風事象の発生があっても、風力発電設備は、例えば、なお制限下に、ある程度まで作動可能であり、風力発電設備は、風力発電設備への損傷を避けるために、例えば、アジマス調整による風力発電設備のナセルの調整を介して、風に対して正しく配向されるべきである。
【0018】
この場合の電力貯蔵装置の放電動作の開始は、例えば、好ましくは、サービス担当者により手動で、例えば、風力発電設備の外側から非集中的に分散して、風力発電設備の試験動作をトリガーするボタンの作動により、行われる。
【0019】
この場合に放電動作は、特に電力貯蔵装置が所定の放電電圧を有するまで、特に電力貯蔵装置の、好ましくは完全な、放電を、もたらす。
【0020】
所定の放電電圧は、放電終止電圧とも呼ばれ得、例えば約10Vである。一例では、12Vの鉛クリスタル充電式電池が使用される。これらの充電式電池の特に有利な特徴は、より低温に耐えることができることである。これらの充電式電池の定格容量(10時間レート)は、例えば66Ahであり、その24アイテムは直列に相互接続され、これにより、288Vの定格電圧が供給される。次に、双方向のDC/DC変換器が、この電圧を、例えば、550Vから700Vの中間回路(DCリンク)電圧へ昇圧する。そして、放電終止電圧は、この充電式電池の電流負荷に基づいており、例えば7Vと12Vの間である。
【0021】
好ましい一実施形態では、電力貯蔵装置、特に、充電式電池は、連続してトリクル充電が続けられ、グリッドの障害の場合に、直接使用される。この場合には、最初に、風力発電設備の第1の部分が、充電式電池から電力を供給される。これは、例えば、風速と風向を監視する風速計を含む。そして、風事象の発生により、風追従が必要であると特定された場合には、風力発電設備の第2の部分が、例えばナセルの風追従のための風力発電設備のアジマスモータが、充電式電池から電力を供給される。そして、一旦、ナセルが配向されると、第2の部分の電源が再びオフされ、第1の部分のみに、電力が供給される。この手順は、特に、充電式電池の駆動時間を増加させる。上述又は後述の方法は、即ち、特に、電力貯蔵装置の試験は、電力供給グリッドが故障した時、及び/又は特定の、好ましくは、強風、例えば暴風のような、風事象の発生がある時には、特に、実行されない。
【0022】
さらに、放電動作中は、電力貯蔵装置の放電電流は、好ましくは、時間にわたって、検出される。
【0023】
放電電流の検出は、好ましくは、直接、電力貯蔵装置において、例えば、電流検出により実行されることが可能である。
【0024】
電流検出(装置)は、例えば、充電式電池の出力(端子)に直接配置され、好ましくは-100Aから+100Aの電流範囲の、例えば、DC測定装置を有する。
【0025】
次に、電力貯蔵装置の瞬時容量は、検出された放電電流と放電動作の継続時間、即ち放電動作の開始から所定の放電電圧に達した時までの時間、から決定される。
【0026】
容量は、例えば、C=I*tから決定することができる。電流は電流検出により連続して測定され、好ましくは、能動コントローラによる閉ループの対象であるので、容量は、好ましくは、固定のクロックで、特に、2秒より短い、好ましくは0.5秒のクロックで、積分(I*dt)として決定されることが可能である。
【0027】
好ましい実施形態では、電力貯蔵装置の残容量は、放電電流に応じて決定される。
【0028】
次に、残容量は、いわゆる健全性(劣化状態)(SoHと略す)を決定するために、定格容量との関係(比)で設定される。
【0029】
好ましくは、放電電流は、DC/DCチョッパを介して、風力発電設備のグリッド注入へ利用可能とされる。従って、放電電流を中間回路へ供給すること、又は、この中間回路から試験後に、充電式電池を再び充電することも、特に提案される。
【0030】
好ましい実施形態では、上述又は後述の方法は、少なくとも以下の状態、風の欠乏、設備の故障、電力供給グリッドの脱落(故障)、が存在するときには、特に、試験は、実行されず又は、中断される。
【0031】
従って、電力貯蔵装置が所定の放電電圧を有するまで、放電動作を実行することが特に提案される。
【0032】
次に、電力貯蔵装置の瞬時又は現在の容量が、この放電動作の継続時間とその際検出された放電電流から、決定される。
【0033】
このように決定された電力貯蔵装置の瞬時又は現在の容量は、電力貯蔵装置の定格容量との関係(比)で、設定される。次に、動作させる電力貯蔵装置の能力が、定格容量に対する現在容量の比率から得られ、例えば、これは80%である。この比率が、小さすぎる場合には、特に、アジマス調整装置に対する電源を一貫して保証することができるようにするために、例えば、電力貯蔵装置は交換される必要がある。
【0034】
好ましい一実施形態では、電力貯蔵装置の周囲温度及び/又は動作温度は、容量を決定するために、考慮される。
【0035】
好ましくは、放電電流は、電力供給グリッドへ注入(投入)される。
【0036】
従って、例えば、高抵抗値を有する電気抵抗を介して、それを熱エネルギに変換することなく、放電電流を使用することが、特に提案される。
【0037】
好ましくは、方法は、特に、風力発電設備制御ユニットに対して、作動信号を生成するステップをさらに含み、前記作動信号は、電力貯蔵装置の十分な残容量を示す。
【0038】
さらに、又は代替手段として、方法は、特に、風力発電設備制御ユニットに対して、警告信号を生成するステップも含み、前記警告信号は、前記電力貯蔵装置の不十分な残容量を示す。
【0039】
従って、電力貯蔵装置の状態を風力発電設備制御ユニットに送信することも、特に提案される。
【0040】
これは、特に、作動及び/又は警告信号により、行うことができる。
【0041】
この場合の作動信号は、電力貯蔵装置が機能能力を有していることを特に示す。
【0042】
この場合の警告信号は、電力貯蔵装置がもはや機能能力を有していないか、又は制限されていることを特に示す。
【0043】
従って、機能能力についての電力貯蔵装置の試験は、自動的な方法で実行されることが特に提案される。試験それ自身は、再び、好ましくは、手動で、サービス担当者により、開始される。従って、試験は、例えば、台風の季節の前に、実行されることが可能である。
【0044】
好ましくは、前記放電電流は、電流制限装置により設定された、目標(セットポイント)放電電流に対応する。
【0045】
従って、電力貯蔵装置は、特定の方法で、即ち、例えば、DC/DCチョッパを介して設定された、所定の目標放電電流で、放電されることが、特に提案される。
【0046】
好ましくは、電流制限装置は、この目的のために使用される。この電流制限装置は、最大許容可能な放電電流を示す。
【0047】
好ましくは、前記放電電流は、DC/DC変換器により強制される又は設定される。
【0048】
従って、放電電流は、特にDC/DC変換器により、特に、放電電流が目標放電電流に対応するように、設定される。
【0049】
好ましくは、この目的のためのDC/DC変換器は、DC/DCチョッパとして構成される。
【0050】
好ましくは、前記放電電流は、中間回路、特にDC中間回路(リンク)へ、供給される。
【0051】
従って、放電電流の電気エネルギを単純に熱エネルギへ変換せず、有意義に、それを使用することが、特に提案される。
【0052】
この目的で、特に、放電電流を電力供給グリッドへ注入するために、放電電流を、風力発電設備の電力変換器のDC中間回路(リンク)へ、送ることが特に提案される。
【0053】
好ましくは、前記放電電流は、次に、前記DC中間回路(リンク)から、前記電力供給グリッドへ注入される。
【0054】
好ましくは、前記放電電流は、1つの放電時間にわたって(ueber)検出される。
【0055】
従って、放電動作及び特に全時間にわたり放電電流を検出すること、又は、放電動作の継続時間を検出することが、特に提案される。
【0056】
好ましくは、前記放電動作は、少なくとも、温度補償又は放電補償を含む。
【0057】
従って、放電動作中に、特に放電電流の検出中に、温度、例えば、電力貯蔵装置の周囲温度又は動作温度、又は、放電電流それ自身が、考慮されることが、特に提案される。これは、温度及び/又は放電電流に応じて、電力貯蔵装置が、例えばより速い放電のような、異なる特性を有するという、認識に基づいている。
【0058】
好ましくは、前記特定の時間は、前記風力発電設備の設置場所を考慮して選択された、所定の期間内である。
【0059】
好ましくは、上述又は後述の方法は、特に試験が自動的に実行され、方法を実行する時点は、風力発電設備の設置場所及び/又は日付(Datum)及び/又は充電式電池の現在の動作状態を考慮して、選択される。
【0060】
好ましくは、前記風力発電設備の前記設置場所の考慮は、以下のリスト、前記風力発電設備の前記設置場所に関する地理的データと、前記風力発電設備の前記設置場所の天候データと、前記風力発電設備の前記設置場所の気象データと、カレンダー日付及び/又はカレンダー期間、のうち少なくとも1つについてのデータを含む。
【0061】
本発明に従って、さらに、風から機械式回転運動を発生するように構成された、空力(エアロダイナミック)ロータと、前記機械式回転運動から電気エネルギを発生するように構成された発電機と、前記発電機により発生された前記電気エネルギを電力インバータへ供給するように構成された、中間回路と、前記電気エネルギを前記中間回路から電力供給グリッドへ注入するように構成された、電力インバータと、前記中間回路に接続され、及び、DC中間回路と電気エネルギを交換し、電気エネルギを貯蔵し、電気エネルギを無停電電源に供給する、ように構成された、電力貯蔵装置と、前記中間回路と前記電力貯蔵装置に接続され、及び、前記DC中間回路から及び/又は前記電力貯蔵装置から、電力をアジマス調整装置へ供給するように構成された、無停電電源を少なくとも含む、風力発電設備が提案される。
【0062】
発電機は、例えば6相同期発電機の形式であり、2x3相AC電圧を生成する。
【0063】
このAC電圧は、整流器によりDC電圧に整流され、DC中間回路(リンク)とも呼ばれことができる中間回路に印加される。
【0064】
風力発電設備は、さらに、中間回路と無停電電源及び電力貯蔵装置の間の電気接続(系)を特に有する。
【0065】
無停電電源は、この場合には、アジマス調整装置、特にアジマスモータにより、風力発電設備の、特に風力発電設備のナセルの、アジマスを調整するために、特に使用される。
【0066】
好ましくは、風力発電設備は、前記中間回路と前記電力貯蔵装置に接続され、及び、前記DC中間回路及び/又は前記電力貯蔵装置から、電力をアジマス調整装置へ供給するように構成された、無停電電源をさらに含む。
【0067】
従って、強風及び/又は電力供給グリッドが脱落した又は停電となったために、特に風力発電設備が作動できないときにさえも、いつでも、風力発電設備のアジマスを調整するために、電力貯蔵装置が十分な電気エネルギを供給できるように、電力貯蔵装置を構成することが、特に提案される。
【0068】
好ましくは、風力発電設備は、アジマスモータを含み、前記電力貯蔵装置からの電力を用いて、前記アジマスモータにより、前記風力発電設備の前記アジマス角を調整するように構成された、アジマス調整装置をさらに含む。
【0069】
好ましくは、前記無停電電源は、前記アジマスモータにより前記風力発電設備を風に対して配向することができるように、前記アジマス調整装置の少なくとも1つのアジマスモータへ、電気エネルギを供給するように構成される。
【0070】
好ましくは、前記無停電電源は、また、電力供給グリッドの故障中でも、前記風力発電設備の前記少なくとも1つのアジマスモータへ、電気エネルギを供給するように構成され、前記アジマスモータにより前記風力発電設備を風に対して配向することができるように、前記風力発電設備に電気的に接続されている。
【0071】
好ましくは、風力発電設備は、前記発電機により発生された電気エネルギをDC電圧に変換し、このDC電圧を前記中間回路に供給するように構成された整流器をさらに含む。
【0072】
好ましくは、風力発電設備は、上述の及び/又は後述の方法を実施するように構成された制御ユニットをさらに含む。
【0073】
好ましくは、電力貯蔵装置は、ファン及び/又はヒータにより、実質的に一定に保持される動作温度を有するハウジング内に配置される。
【0074】
従って、特に、電力貯蔵装置を過度な低温及び/又は過度な高温から保護するために、電力貯蔵装置は、キャビネット内に配置され、キャビネットの内部温度をできる限り一定に保つことも、特に提案される。
【0075】
本発明は、添付の図面を参照して、例示的実施形態を使用する例により、ここで、以下に詳細に説明され、同一の参照符号は、同一の又は類似の組み立て体に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】一実施形態に従った、風力発電設備の概略図を示す。
【
図2】一実施形態に従った、風力発電設備の電気回路の概略構成を示す。
【
図3】一実施形態に従った、風力発電設備を動作させる方法の概略フローチャートを示す。
【実施例】
【0077】
図1は、一実施形態(実施例)に従った、風力発電設備100の概略図を示す。
【0078】
風力発電設備100は、タワー102及びナセル104を有する。3枚のロータブレード108とスピナー110を有する空力(エアロダイナミック)ロータ106が、ナセル104に配置されている。ロータ106は、作動中に、風による回転運動に設定され、それにより、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0079】
さらに、上述の又は後述の制御ユニットが、風力発電設備の作動のために設けられ、前記制御ユニットは、アジマス調整装置により風力発電設備のナセルを風に対して配向するように構成されている。
【0080】
図2は、一実施形態に従った、特に
図1に示す、風力発電設備の電気回路(ないし系統)200の概略構成を示す。
【0081】
風力発電設備は、電気回路200に接続された3枚のロータブレード108を有する空力ロータ106を含む。
【0082】
電気回路200は、発電機210、整流器220、中間回路230、インバータ240、フィルタ250、変圧器260、励起装置(Erregung)270、電力貯蔵装置280及び、無停電(無中断)電源290を有する。
【0083】
空力ロータ106は、風から機械式回転運動を発生するように構成されている。
【0084】
この機械式回転運動は、例えばシャフトにより、発電機210へ伝達される。
【0085】
発電機210は、機械式回転運動から、例えば3相交流の、特に多相交流の形式の電気エネルギを発生するように構成されている。
【0086】
この多相交流は、整流器220へ送られる。
【0087】
整流器220は、多相交流をDC電圧に変換するように構成される。
【0088】
このDC電圧は、中間回路230に印加される。
【0089】
中間回路230は、発電機により発生された電気エネルギを電力インバータに供給するように構成される。
【0090】
この中間回路230は、DC中間回路(リンク)と呼ばれることも可能である。
【0091】
電力インバータ240は、中間回路からの電気エネルギを電力供給グリッド2000へ注入するように構成されている。この目的のため、電力インバータ240は、その出力に、例えば、好ましくはLCLフィルタの、フィルタ250と、変圧器260を有する。電力インバータ240の制御は、例えば、電力インバータ240の出力において、電流、電圧及び、周波数を検出する、制御ユニット242を介して発生する。
【0092】
好ましくは、電力インバータ240は、モジュールで構成されており、即ち、複数の並列な電力インバータモジュールがあり、これらは各々が好ましくは電源キャビネット内に収容され、例えば各々が400kWの定格出力を有する。
【0093】
好ましい一実施形態において、電力インバータ240は、3相式の電気エネルギを、電力供給グリッド2000へ注入する。
【0094】
整流器220、中間回路230及び、電力インバータ240は、一緒に、電力変換器(220、230、及び、240)を構成し、これは、好ましくは全電力変換器の形式であり、即ち、風力発電設備の発電機210により発生された電気エネルギの全てがこの電力変換器を介して、伝導される。
【0095】
発電機210により発生される電気エネルギを制御(regeln)するために、さらに、励起装置(Erregung)270が設けられ、中間回路230に接続される。
【0096】
中間回路230は、複数のコンデンサCi、昇圧型変換器232、及び、チョッパ234を含む。
【0097】
この場合のコンデンサCiは、特に、DC電圧を平滑化し、及び、それを一定に保つ役割を有する。これらのコンデンサは、本明細書に記載の電力貯蔵装置とは、機能的及び位置的/物理的の両方で、異なっている。
【0098】
中間回路230は、さらに、電力貯蔵装置280と無停電(無中断)電源290が配置(接続)された、DC電圧出力(端子)236を有する。
【0099】
電力貯蔵装置280は、特に充電式電池(蓄電池)の形式であり、例えば100Ahの充電式電池であり、整流器282を介してDC電圧出力(端子)236に接続されている。従って、電力貯蔵装置は、特に、電力コンバータ220、230、240のDC中間回路230の一部ではない。
【0100】
さらに、電力貯蔵装置280は、容量性貯蔵ユニット284、実際の充電式電池、を含み、好ましくは、例えば、各々が12Vを有する24個の充電式電池の、(積層の)充電式電池よりなり、好ましくは、合わせて288Vを供給する。
【0101】
無停電電源290は、DC電圧出力(端子)236へ、従って、電力貯蔵装置280へも、直接接続されている。
【0102】
さらに、無停電電源は、風力発電設備の400Vグリッド400に接続されている、少なくとも1つのインバータ292を有する。
【0103】
さらに、無停電電源290は、風力発電設備の緊急電力供給グリッド500に接続されている、インバータ294を有する。
【0104】
緊急電力供給グリッド500は、電力グリッドであり、上述のように、台風の発生及び/又は電力供給グリッドの脱落ないし故障の発生の際においてさえも、特に、風力発電設備のアジマスを調整することができるように、どのような場合にも、アジマス調整装置へ電気エネルギを供給する。
【0105】
図3は、一実施形態に従った、風力発電設備を作動させる方法の概略フローチャート300を示す。
【0106】
第1のステップ310で、無停電電源の電力貯蔵装置の放電動作(過程)が開始される。
【0107】
この放電動作320は、電力貯蔵装置が、所定の放電電圧UB_setに対応する、実際の放電電圧UB_actを有するまで実行される。この所定の放電電圧UB_setは、目標(セットポイント)放電電圧とも呼ばれ得る。
【0108】
放電動作中は、放電電流IB_actが検出され、そして、それから、電力貯蔵装置の瞬時容量CB_actが決定される。これは、ブロック340により示されている。
【0109】
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0110】
100 風力発電設備
102 特に風力発電設備の、タワー
104 特に風力発電設備の、ナセル
106 特に風力発電設備の、空力ロータ
108 特に風力発電設備の、ロータブレード
110 特に風力発電設備の、スピナー
200 特に風力発電設備の、電気回路(系統)
210 特に電気回路の、発電機
220 特に電気回路の、整流器
230 特に電気回路の、中間回路
232 特に中間回路の、昇圧型変換器
234 特に中間回路の、チョッパ
236 特に中間回路の、DC電圧出力
240 特に電気回路の、電力インバータ
250 特に電気回路の、フィルタ
260 特に電気回路の、変圧器
270 特に電気回路の、励磁装置
280 特に電気回路の、電力貯蔵装置
282 特に電力貯蔵装置の、整流器
284 特に電力貯蔵装置の、容量性貯蔵ユニット
290 特に風力発電設備の、無停電電源
292 特に風力発電設備の400Vグリッドの、インバータ
300 風力発電設備を作動させる方法
310 放電動作の開始
320 放電動作の実行
400 風力発電設備の、400Vグリッド
500 風力発電設備の、緊急電力供給グリッド
Ci コンデンサ
IB_act 電力貯蔵装置の放電電流
CB_act 電力貯蔵装置の容量、特に瞬時容量
UB_act 電力貯蔵装置の実際の放電電圧
UB_set 電力貯蔵装置の目標(セットポイント)放電電圧