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特許7526160太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置
<図1>
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図1
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図2
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図3
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図4
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図5
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図6
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図7
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図8
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図9
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図10
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図11
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図12
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図13
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図14
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図15
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図16
  • 特許-太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置 図17
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20240724BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 400
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021507233
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2020010324
(87)【国際公開番号】W WO2020189418
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2019048943
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】松尾 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】牧野 司
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-277548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0140346(US,A1)
【文献】特開2012-059822(JP,A)
【文献】特開2017-163056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルと配線部材を有し、前記太陽電池セルが前記配線部材に接続された太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記太陽電池セルは、幅を持って所定方向に延伸し前記所定方向の長さが幅方向の長さよりも長く、
前記太陽電池セルは、前記配線部材を接続する接続電極を有し、
前記接続電極は、前記太陽電池セルの長手方向において、前記太陽電池セルの端部から前記太陽電池セルの全長の40パーセントまでの範囲に設けられており、
前記接続電極に前記配線部材を前記太陽電池セルの前記端部側から重ねて、前記接続電極と導電性接着剤と前記配線部材が重なる重畳部を形成する配置工程と、
押圧部材を有する熱圧着装置によって、少なくとも前記重畳部を押圧して前記配線部材を前記接続電極に接続する配線接続工程と、を含み、
前記熱圧着装置は、前記押圧部材を加熱する加熱部材を有し、
前記押圧部材は、主押圧部と突出部を有し、
前記配線接続工程では、前記太陽電池セルの長手方向において、前記押圧部材が前記配線部材から前記太陽電池セルに跨って配され、前記主押圧部が前記重畳部を押圧するとともに前記突出部が前記太陽電池セルを押圧し前記導電性接着剤を熱硬化して前記配線部材を前記接続電極に接続する、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記配線接続工程は、前記押圧部材によって、前記重畳部、及び前記重畳部と隣接する部分を押圧して前記配線部材を前記接続電極に接続する、請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
記主押圧部は、前記重畳部を押圧する押圧面を有し、
前記突出部は、前記主押圧部の前記押圧面よりもさらに押圧方向に突出しており、
前記配線接続工程では、前記主押圧部の前記押圧面が前記重畳部の前記配線部材を押圧し、且つ、前記突出部が前記重畳部と連なる前記太陽電池セルの一部と接触する、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記突出部は、突出方向の端面に面状に広がりを持つ平面部を有し、
前記配線接続工程では、前記主押圧部の前記押圧面と前記重畳部の前記配線部材が面接触し、且つ、前記突出部の前記平面部と前記太陽電池セルとが接触する、請求項3に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記太陽電池セルは、第一主面と、第二主面を有し、
前記配線接続工程では、前記第一主面側から前記押圧部材を前記重畳部に接近させて前記重畳部を押圧し、前記第二主面側から前記重畳部を押圧しない、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項6】
第二太陽電池セルを有し、前記太陽電池セルと前記第二太陽電池セルが前記配線部材によって電気的に接続される太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記第二太陽電池セルは、幅を持って所定方向に延伸し前記所定方向の長さが幅方向の長さよりも長く、
前記第二太陽電池セルは、前記配線部材を接続する第二接続電極を有し、
前記第二接続電極は、前記第二太陽電池セルの長手方向において、端部から前記第二太陽電池セルの全長の40パーセントまでの範囲に設けられており、
前記配置工程では、前記太陽電池セルと、前記配線部材と、前記第二太陽電池セルとをこの順に並列し、前記太陽電池セルの前記接続電極と前記配線部材が重なる第一重畳部と、前記第二太陽電池セルの前記第二接続電極と前記配線部材が重なる第二重畳部とを形成し、
前記配線接続工程では、前記押圧部材が前記第一重畳部を前記配線部材側から押圧し、前記太陽電池セル側から押圧せず、且つ、前記押圧部材が前記第二重畳部を前記第二太陽電池セル側から押圧し、前記配線部材側から押圧しない、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記配線接続工程に先立って実施され、前記太陽電池セル及び前記配線部材を搬送装置によって前記押圧部材の近傍まで搬送する搬送工程をさらに含み、
前記搬送装置は、可撓性を有する搬送部を有し、前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部に載置して前記搬送部を動かすことで搬送可能であり、
前記配線接続工程では、前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部に載置した状態で、前記押圧部材が前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部側へ押圧する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
第二太陽電池セルを有し、前記太陽電池セルと前記第二太陽電池セルが前記配線部材によって電気的に接続される太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記第二太陽電池セルは、幅を持って所定方向に延伸し、前記所定方向の長さが幅方向の長さよりも長いものであり、
前記配置工程では、前記太陽電池セルと、前記配線部材と、前記第二太陽電池セルとをこの順に並列配置し、これらの並列方向と、前記太陽電池セル及び前記第二太陽電池セルの長手方向を同方向にする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記接続電極は、前記太陽電池セルの幅方向の一端側から他端側まで延び、
前記配線接続工程では、前記接続電極と前記配線部材とを導電性接着剤を介して接続する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記押圧部材は、前記重畳部を押圧する押圧面を有し、前記押圧面を平面視したときに前記押圧面と重なる位置に弾性部を含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
幅を持って所定方向に延伸し前記所定方向の長さが幅方向の長さよりも長い太陽電池セルと配線部材と、導電性接着剤を有し、前記太陽電池セルの接続電極前記導電性接着剤を介して前記配線部材と接続される太陽電池モジュールであって、かつ、前記接続電極が、前記太陽電池セルの長手方向において、前記太陽電池セルの端部から前記太陽電池セルの全長の40パーセントまでの範囲に設けられる太陽電池モジュールの製造装置であって、
前記太陽電池セル及び前記配線部材を押圧する押圧部材と、前記押圧部材を加熱する加熱部材を有し、
前記押圧部材は、主押圧部と突出部を有し、
前記主押圧部は、前記太陽電池セルと、導電性接着剤と、前記配線部材の重なり部分を押圧する押圧面を有し、
前記重なり部分は、前記接続電極に前記太陽電池セルの前記端部側から前記配線部材が重ねられて形成されており、
前記突出部は、前記主押圧部の前記押圧面よりも押圧方向に突出しており
前記太陽電池セルの接続電極を前記配線部材と接続する際には、前記太陽電池セルの長手方向において、前記押圧部材を前記配線部材から前記太陽電池セルに跨るように配し、前記主押圧部の押圧面が前記重なり部分を押圧するとともに前記突出部が前記太陽電池セルを押圧し、前記導電性接着剤を熱硬化させる、太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項12】
可撓性をもつ搬送部を有する搬送装置を有し、
前記搬送装置は、前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部に載置して前記搬送部を動かすことで前記押圧部材側に搬送可能であり、
前記搬送部に載置した前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記押圧部材が前記搬送部側へ押圧し、前記搬送部側から前記太陽電池セル及び前記配線部材を押圧しない押圧動作が実行可能である、請求項11に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項13】
前記押圧部材は、前記主押圧部と前記突出部を有する押圧体部を有し、
前記押圧体部は、複数の膜状部材が積層した積層体を含み、
前記積層体は、欠落部を有し、
前記押圧動作は、前記太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を前記欠落部に配した状態で、前記押圧部材が前記太陽電池セル及び前記配線部材を押圧する、請求項12に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項14】
搬送装置を有し、
前記搬送装置は、ベルトコンベアであって、吸引用孔を有するベルト部材と、前記吸引用孔から吸引する吸引装置を有し、
前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記ベルト部材に載置し、前記吸引用孔から前記太陽電池セルを吸引することで、前記ベルト部材に前記太陽電池セルを吸着可能である、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項15】
第二太陽電池セルを有し、前記太陽電池セルと前記第二太陽電池セルが前記配線部材によって電気的に接続される太陽電池モジュールの製造装置であって、
前記第二太陽電池セル及び前記配線部材を押圧する第二押圧部材と、弾性を有する載置部を有し、
前記第二押圧部材は、前記押圧部材と一体又は別体となっており、
前記第二押圧部材は、少なくとも前記第二太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を押圧する第二押圧面を有し、
前記配線部材と前記載置部の間に前記太陽電池セルが位置し、前記第二太陽電池セルと前記載置部の間に前記配線部材が位置するように、前記載置部に前記太陽電池セルと前記配線部材と前記第二太陽電池セルを載置した状態で押圧動作を実施可能であり、
前記押圧動作は、前記押圧面が前記配線部材側から前記太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を押圧し、前記第二押圧面が前記第二太陽電池セル側から前記第二太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を押圧する、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュールの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷の低いエネルギー源として太陽電池モジュールが注目されている。
太陽電池モジュールは、一般的に、複数の太陽電池セルをガラス基板とバックシートの間に封止して形成されている。例えば、結晶系シリコン太陽電池モジュールでは、複数の太陽電池セルをタブ線等の配線部材によって電気的に接続してセル列を形成し、このセル列を内部に封止した構造となっている。
【0003】
特許文献1には、このような太陽電池セルに2つのタブ線を接続する太陽電池セルの接続装置(以下、単に接続装置ともいう)が開示されている。特許文献1に開示された接続装置は、上下一対の熱圧着ヘッドを備えており、この一対の熱圧着ヘッドによって板状の太陽電池セルを上下から挟むことが可能となっている。
【0004】
具体的に説明すると、この接続装置は、太陽電池セルの表面側(上側)に設けたバスバー電極に第一タブ線の一端側を接続すると同時に、同じ太陽電池セルの裏面側(下側)に設けた裏面電極に第二タブ線の一端側を接続することが可能な装置である。
この接続装置で太陽電池セルに第一タブ線と第二タブ線を接続する際には、予め太陽電池セルのバスバー電極の上側に第一タブ線の一端側を配し、且つ、同じ太陽電池セルの裏面電極の下側に第二タブ線の一端側を配した状態とする。このとき、それぞれの電極とタブ線とは、間に導電性接着フィルムを配した状態で仮圧着した状態とする。そして、この太陽電池セルを上下で離れた位置で待機する2つの熱圧着ヘッドの間に搬送し、当該2つの熱圧着ヘッドを太陽電池セルに近接させ、当該2つの熱圧着ヘッドでこの太陽電池セルを挟んだ状態とする。
【0005】
このとき、当該2つの熱圧着ヘッドは、各タブ線を所定の圧力をかけて押圧しつつ、所定の温度まで加熱する。このことにより、導電性接着フィルムが熱硬化反応を起こし、各電極と各タブ線とが接続された状態となる。
【0006】
ここで、特許文献1の接続装置は、2つの熱圧着ヘッドよりも太陽電池セルの搬送方向で上流側となる位置に、上下一対の放熱ヘッドを有する構造としている。そして、先行する下流側の太陽電池セルにタブ線を熱圧着する際に、後に隣接する上流側の太陽電池セルを2つの放熱ヘッドで挟んだ状態とし、熱を吸収、拡散させている。
【0007】
すなわち、下流側の太陽電池セルにタブ線の一端側を熱圧着する際に、このタブ線の他端側まで熱が伝わってしまう。そのため、タブ線の他端側の熱を吸収、拡散しない場合、上流側で隣接する太陽電池セルと重なるタブ線の他端側が昇温することで、このタブ線の他端側と接触する導電性接着フィルムが意図しない熱硬化反応を起こしてしまう。
そこで、特許文献1の接続装置では、隣接する上流側の太陽電池セルを2つの放熱ヘッドで挟んだ状態とし、熱を吸収、拡散することで、このような不具合の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5604236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献1の接続装置でタブ線を接続する太陽電池セルは、概形が略正方形板状であり、タブ線を接続するバスバー電極と裏面電極の接続部とが、太陽電池セルの搬送方向の片側端部から他方端部(又は他方端部の近傍)に至るまでの間で延びている。そして、このバスバー電極と裏面電極の接続部は、太陽電池セルの搬送方向と直交する方向で離れた二個所にそれぞれ形成されている。
【0010】
したがって、上記した接続装置の熱圧着ヘッドは、太陽電池セルの搬送方向と直交する方向で離れた二個所のそれぞれにおいて、同搬送方向の片側端部から他方端部(又は他方端部の近傍)に至るまでの間で延びるタブ線を加熱、押圧することとなる。
【0011】
しかしながら、このようにタブ線を加熱、押圧すると、加熱時の熱がタブ線を介し太陽電池セルの全域に伝わり易く、熱による太陽電池セルへ影響を考えた際に、好ましくない。つまり、上記した接続装置では、下流側の太陽電池セルと隣接する上流側の太陽電池セル側に伝熱する熱を放熱するが、下流側の太陽電池セルにタブ線(配線部材)から伝わる熱の影響を低減させるという観点から、改良の余地があった。
【0012】
そこで本発明は、配線部材の接続時に太陽電池セルに不具合が生じにくい太陽電池モジュールの製造方法に関する。また、そのような太陽電池モジュールの製造方法で使用する太陽電池モジュールの製造装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討した結果、太陽電池セルを所定方向に幅を持って延伸する形状とし、その端部側に配線部材を接続する接続電極を設け、接続電極と配線部材を重ねた重畳部を押圧する方法を想到するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、太陽電池セルと配線部材を有し、前記太陽電池セルが前記配線部材に接続された太陽電池モジュールの製造方法であって、前記太陽電池セルは、幅を持って所定方向に延伸し前記所定方向の長さが幅方向の長さよりも長く、前記太陽電池セルは、前記配線部材を接続する接続電極を有し、前記接続電極は、前記太陽電池セルの長手方向において、端部から前記太陽電池セルの全長の40パーセントまでの範囲に設けられており、前記接続電極に前記配線部材を重ねて重畳部を形成する配置工程と、押圧部材によって、少なくとも前記重畳部を押圧して前記配線部材を前記接続電極に接続する配線接続工程と、を含む、太陽電池モジュールの製造方法である。
【0014】
本様相によれば、太陽電池セルの接続電極と配線部材が重なる重畳部が、太陽電池セルの長手方向における端部側のみに形成されるので、太陽電池セルの長手方向の全域を押圧せずに配線部材の接続が可能となる。したがって、加熱した押圧部材で重畳部を押圧する場合であっても、太陽電池セルの全域に熱が伝わり難く、熱による悪影響を発生し難くすることができる。
本様相によれば、太陽電池セルの長手方向の全域を押圧する必要がなく、押圧部材の小型化を図ることができる。さらには、押圧部材を加熱する場合、大型の押圧部材を加熱する場合と比べて熱量が少なくて済むので、製造コストの低減を図ることができる。
【0015】
好ましい様相は、前記配線接続工程は、前記押圧部材によって、前記重畳部、及び前記重畳部と隣接する部分を押圧して前記配線部材を前記接続電極に接続することである。
【0016】
ここでいう「隣接する部分」とは、隣り合っている部分をいい、「重畳部と隣接する部分」とは、例えば、重畳部から太陽電池セルの長手方向の長さの1/4以内の範囲の部分をいう。
【0017】
好ましい様相は、前記押圧部材は、主押圧部と突出部を有し、前記主押圧部は、前記重畳部を押圧する押圧面を有し、前記突出部は、前記主押圧部の前記押圧面よりもさらに押圧方向に突出しており、前記配線接続工程では、前記主押圧部の前記押圧面が前記重畳部の前記配線部材を押圧し、且つ、前記突出部が前記重畳部と連なる前記太陽電池セルの一部と接触又は近接することである。
【0018】
より好ましい様相は、前記突出部は、突出方向の端面に面状に広がりを持つ平面部を有し、前記配線接続工程では、前記主押圧部の前記押圧面と前記重畳部の前記配線部材が面接触し、且つ、前記突出部の前記平面部と前記太陽電池セルとが接触することである。
【0019】
好ましい様相は、前記太陽電池セルは、第一主面と、第二主面を有し、前記配線接続工程では、前記第一主面側から前記押圧部材を前記重畳部に接近させて前記重畳部を押圧し、前記第二主面側から前記重畳部を押圧しないことである。
【0020】
好ましい様相は、第二太陽電池セルを有し、前記太陽電池セルと前記第二太陽電池セルが前記配線部材によって電気的に接続される太陽電池モジュールの製造方法であって、前記第二太陽電池セルは、幅を持って所定方向に延伸し前記所定方向の長さが幅方向の長さよりも長く、前記第二太陽電池セルは、前記配線部材を接続する第二接続電極を有し、前記第二接続電極は、前記第二太陽電池セルの長手方向において、端部から前記第二太陽電池セルの全長の40パーセントまでの範囲に設けられており、前記配置工程では、前記太陽電池セルと、前記配線部材と、前記第二太陽電池セルとをこの順に並列し、前記太陽電池セルの前記接続電極と前記配線部材が重なる第一重畳部と、前記第二太陽電池セルの前記第二接続電極と前記配線部材が重なる第二重畳部とを形成し、前記配線接続工程では、前記押圧部材が前記第一重畳部を前記配線部材側から押圧し、前記太陽電池セル側から押圧せず、且つ、前記押圧部材が前記第二重畳部を前記第二太陽電池セル側から押圧し、前記配線部材側から押圧しないことである。
【0021】
好ましい様相は、前記配線接続工程に先立って実施され、前記太陽電池セル及び前記配線部材を搬送装置によって前記押圧部材の近傍まで搬送する搬送工程をさらに含み、前記搬送装置は、可撓性を有する搬送部を有し、前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部に載置して前記搬送部を動かすことで搬送可能であり、前記配線接続工程では、前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部に載置した状態で、前記押圧部材が前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部側へ押圧することである。
【0022】
好ましい様相は、第二太陽電池セルを有し、前記太陽電池セルと前記第二太陽電池セルが前記配線部材によって電気的に接続される太陽電池モジュールの製造方法であって、前記第二太陽電池セルは、幅を持って所定方向に延伸し、前記所定方向の長さが幅方向の長さよりも長いものであり、前記配置工程では、前記太陽電池セルと、前記配線部材と、前記第二太陽電池セルとをこの順に並列配置し、これらの並列方向と、前記太陽電池セル及び前記第二太陽電池セルの長手方向を同方向にすることである。
【0023】
好ましい様相は、前記接続電極は、前記太陽電池セルの幅方向の一端側から他端側まで延び、前記配線接続工程では、前記接続電極と前記配線部材とを導電性接着剤を介して接続することである。
【0024】
より好ましい様相は、前記押圧部材は、前記重畳部を押圧する押圧面を有し、前記押圧面を平面視したときに前記押圧面と重なる位置に弾性部を含むことである。
【0025】
本発明の一つの様相は、太陽電池セルと配線部材を有し、前記太陽電池セルが前記配線部材と接続される太陽電池モジュールの製造装置であって、前記太陽電池セル及び前記配線部材を押圧する押圧部材を有し、前記押圧部材は、主押圧部と突出部を有し、前記主押圧部は、少なくとも前記太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を押圧する押圧面を有し、前記突出部は、前記主押圧部の前記押圧面よりも押圧方向に突出している、太陽電池モジュールの製造装置である。
【0026】
本様相によれば、上記した太陽電池モジュールの製造方法を実施する上で好適に使用可能であり、押圧時における太陽電池セルの割れや亀裂の発生等を防止(抑制)できる。
【0027】
好ましい様相は、可撓性をもつ搬送部を有する搬送装置を有し、前記搬送装置は、前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記搬送部に載置して前記搬送部を動かすことで前記押圧部材側に搬送可能であり、前記搬送部に載置した前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記押圧部材が前記搬送部側へ押圧し、前記搬送部側から前記太陽電池セル及び前記配線部材を押圧しない押圧動作が実行可能であることである。
【0028】
より好ましい様相は、前記押圧部材は、前記主押圧部と前記突出部を有する押圧体部を有し、前記押圧体部は、複数の膜状部材が積層した積層体を含み、前記積層体は、欠落部を有し、前記押圧動作は、前記太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を前記欠落部に配した状態で、前記押圧部材が前記太陽電池セル及び前記配線部材を押圧することである。
【0029】
好ましい様相は、搬送装置を有し、前記搬送装置は、ベルトコンベアであって、吸引用孔を有するベルト部材と、前記吸引用孔から吸引する吸引装置を有し、前記太陽電池セル及び前記配線部材を前記ベルト部材に載置し、前記吸引用孔から前記太陽電池セルを吸引することで、前記ベルト部材に前記太陽電池セルを吸着可能であることである。
【0030】
好ましい様相は、第二太陽電池セルを有し、前記太陽電池セルと前記第二太陽電池セルが前記配線部材によって電気的に接続される太陽電池モジュールの製造装置であって、前記第二太陽電池セル及び前記配線部材を押圧する第二押圧部材と、弾性を有する載置部を有し、前記第二押圧部材は、前記押圧部材と一体又は別体となっており、前記第二押圧部材は、少なくとも前記第二太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を押圧する第二押圧面を有し、前記配線部材と前記載置部の間に前記太陽電池セルが位置し、前記第二太陽電池セルと前記載置部の間に前記配線部材が位置するように、前記載置部に前記太陽電池セルと前記配線部材と前記第二太陽電池セルを載置した状態で押圧動作を実施可能であり、前記押圧動作は、前記押圧面が前記配線部材側から前記太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を押圧し、前記第二押圧面が前記第二太陽電池セル側から前記第二太陽電池セルと前記配線部材の重なり部分を押圧することである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、配線部材の接続時に太陽電池セルに不具合が生じにくい太陽電池モジュールの製造方法を提供できる。また、そのような太陽電池モジュールの製造方法で好適に使用可能な太陽電池モジュールの製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】発明の実施形態に係る太陽電池モジュールをマンションの窓部分として使用した様子を示す斜視図である。
図2図1の太陽電池モジュールを示す平面図であり、太陽電池セル及び配線部材を模式的に示す。
図3図2のモジュール本体及び端子ボックスを示す一部分解斜視図であり、モジュール本体はラミネート加工前の状態を分解した様子を示す。
図4図2の太陽電池セルを示す斜視図である。
図5図2の太陽電池セルを示す平面図であり、(a)は厚さ方向の一方側からみた平面図であり、(b)は厚さ方向の他方側からみた平面図である。
図6図4の太陽電池セルのA―A断面を模式的に示す断面図である。
図7図2のセル列集合体及びその周辺を拡大して示す平面図である。
図8】(a)は、図2のセル列の一部を拡大して示す斜視図であり、(b)は、(a)のセル列の一部を模式的に示す側面図である。
図9図2のセル列同士を連結する第二インターコネクタの周辺を拡大して模式的に示す説明図である。
図10】接着剤付加工程を実施している様子を示す説明図である。
図11】セル列形成装置を模式的に示す側面図であり、太陽電池セル及び第一インターコネクタを搬送装置に載置した様子を示す。
図12図11の熱圧着装置の周辺を模式的に示す斜視図であり、ランプヒータを省略して示す。
図13図12の第一押圧ヘッドを模式的に示す分解斜視図である。
図14図13の押圧体部を模式的に示す図であり、(a)は天地逆とした斜視図であり、(b)は(a)のB-B端面図である。
図15図13の押圧体部を模式的に示す分解斜視図である。
図16図11のベルト部材と吸引ヘッド部を模式的に示す斜視図であり、ベルト部材を一部切断して示す。
図17】配線接続工程を実施する様子を模式的に示す説明図であり、(a)、(b)の順で実施する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュール1及びその製造方法について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、作図の都合上、図面によっては、一部にのみ符号を付し、他への符号を省略する場合がある。
【0034】
本実施形態の太陽電池モジュール1は、シースルー型の太陽電池モジュールであり、図1のように、ビル等の壁面に形成される開口部分に取り付け、窓として使用可能なものである。すなわち、太陽電池モジュール1は、建築物や構造物の少なくとも一部となる壁部分を形成する建材(壁材であり、太陽電池付き建材)として使用可能である。
【0035】
太陽電池モジュール1は、図2のように、モジュール本体3にフレーム部材4と端子ボックス5を取り付けて形成されている。この太陽電池モジュール1は、全体形状が立板状であり、直立姿勢で使用されることを想定している。
【0036】
モジュール本体3は、図3のように、第一透明基板10と第二透明基板11の間に、太陽電池セル12と、タブ線等のインターコネクタである配線部材13(接続用部材)を封止して形成されている。
【0037】
モジュール本体3は、厚さ方向の一方側から順に、第二透明基板11、封止シート15a、太陽電池セル12及び配線部材13、封止シート15b、第一透明基板10を積層し(図3参照)、これらをラミネート加工して形成されている。
なお、2つの封止シート15a,15bは、ラミネート加工時に加熱され、それぞれ溶融流動し、透明基板10,11のそれぞれに接着する一つの封止層(図示しない)を形成する。つまり、モジュール本体3では、透明基板10,11の間に封止シート15a,15bを原料とする封止材(充填材)が充填され、封止層が形成されている。そして、この封止層によって太陽電池セル12及び配線部材13が封止されている。
【0038】
透明基板10,11は、透光性、絶縁性を有する透明絶縁基板であり、ガラス基板、透明樹脂基板等を採用可能である。本実施形態の透明基板10,11は、ガラス基板を採用している。
封止シート15a,15bは、接着性、透光性、絶縁性を有する樹脂シートを採用でき、本実施形態ではEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)シートを採用している。
【0039】
フレーム部材4は、図2のように、モジュール本体3の縁端部分を覆う金属フレームである。本実施形態のフレーム部材4は、内部に、モジュール本体3の縁端部分と端子ボックス5を収納している。
【0040】
端子ボックス5は、図2図3のように、本体箱部5aと、ケーブル5bを備えている。
【0041】
本体箱部5aは、図3のように、モジュール本体3の縁部分に取り付けられている。
ケーブル5bは、太陽電池モジュール1が発電した電力を外部に取り出すものである。ケーブル5bは、一端側が本体箱部5aの内部に引き込まれており、本体箱部5aの内外に亘って延びている。ここで、本体箱部5aの内部には、配線部材13(具体的には、第一取出配線50、第二取出配線51)が引き込まれている。そして、ケーブル5bの一端側に位置する部分と、これらの配線部材13は、本体箱部5aの内部で電気的に接続されている。
【0042】
太陽電池セル12は、図4のように、概形が短冊状の板状体であり、幅を持って所定方向に延伸し、長手方向の長さが幅方向の長さよりも長い。
この太陽電池セル12の平面視形状は、図5のように、対向する位置にある2つの長辺17と、この長辺17と交わる方向に延びる短辺18を備えた形状である。本実施形態の太陽電池セル12は、平面視形状が所定方向に延びた略長方形状であり、2つの長辺17が互いに平行であり、且つ、2つの短辺18が長辺17と直交する。
【0043】
太陽電池セル12は、平面視における長辺17の長さ(長手方向の長さ)が短辺18の長さ(幅方向の長さ)の5倍より大きく100倍より小さいことが好ましい。本実施形態の太陽電池セル12は、長辺17の長さが短辺18の長さの25倍であり、平面視形状が細長く延びている。
【0044】
この太陽電池セル12は、図6のように、一対の透明電極層20,21(一対のセル電極層)を有し、一対の透明電極層20,21によって光電変換部22が挟まれている。
光電変換部22は、半導体基板と、当該半導体基板とは逆導電型の半導体層を含んで形成される部分であり、光エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能となっている。
【0045】
太陽電池セル12は、図4のように、厚み方向(図4における上下方向)の一端側を構成する第一主面25と、他端側を構成する第二主面26とを有している。なお、厚み方向とは、太陽電池セル12の長手方向と、幅方向のそれぞれと直交する方向である。
【0046】
太陽電池セル12は、図5のように、第一主面25上に、第一バスバー電極30a(接続電極)と、複数の第一フィンガー電極31aと、複数の第一補助電極32aが設けられている。太陽電池セル12は、第二主面26上に、第二バスバー電極30b(接続電極)と、複数の第二フィンガー電極31bと、複数の第二補助電極32bが設けられている。本実施形態の太陽電池セル12は、フィンガー電極31a,31bがそれぞれ4つずつ設けられている。
【0047】
このフィンガー電極31a,31bは、いずれも太陽電池セル12の長手方向に沿って延びており、同長手方向の一端側から他端側まで延びている。
太陽電池セル12は、両主面25,26上のそれぞれにおいて、複数のフィンガー電極31a,31bが太陽電池セル12の短手方向(幅方向)で間隔を空けて並列配置されて電極の列(以下、第二電極列ともいう)を形成している。
【0048】
バスバー電極30aと補助電極32aは、第一主面25上において、フィンガー電極31aの長手方向と交わる方向(直交する方向)に延びている。
バスバー電極30bと補助電極32bは、第二主面26上において、フィンガー電極31bの長手方向と交わる方向(直交する方向)に延びている。
第一主面25上のバスバー電極30aと補助電極32aは、複数(4つ)のフィンガー電極31aと接触しており、第二主面26上のバスバー電極30bと補助電極32bは、複数(4つ)のフィンガー電極31bと接触している。
つまり、各バスバー電極30と補助電極32は、両主面25,26において、複数のフィンガー電極31から構成される列を横切るように延びている。
【0049】
バスバー電極30と補助電極32は、太陽電池セル12の長手方向で間隔を空けて並列するように配され、電極の列(以下、第一電極列ともいう)を形成している。
第一電極列は、上記した第二電極列と比べて各電極間の間隔が広くなっている。
【0050】
第一補助電極32aは、図5(a)のように、第一主面25上において、太陽電池セル12の長手方向の中間部に設けられている。具体的には、第一補助電極32aは、第一主面25上において、太陽電池セル12の長手方向の片側端部(図5における左端部)からやや中心(中央)側に離れた位置と、同長手方向で中心(中央)近傍となる位置にそれぞれ形成されている。
第二補助電極32bは、図5(b)のように、第二主面26上において、太陽電池セル12の長手方向の中間部に設けられている。具体的には、第二補助電極32bは、第二主面26上において、太陽電池セル12の長手方向の他方端部(図5における右端部)からやや中心(中央)側に離れた位置と、同長手方向で中心(中央)近傍となる位置から他方端部側に離れた位置にそれぞれ形成される。
つまり、第一主面25上の各第一補助電極32aは、第二主面26上の各第二補助電極32bのいずれとも平面視で重ならない位置に設けられている。
【0051】
第一バスバー電極30aは、太陽電池セル12の長手方向における一端側(図5における右端側)に設けられており、第二バスバー電極30bは、同長手方向における他端側(図5における左端側)に設けられている。
つまり、バスバー電極30a,30bは、いずれも太陽電池セル12の長手方向における端部側(端部よりの位置)に設けられており、同長手方向の中心(中央)及び中心(中央)近傍に形成されない構造となっている。
なお、ここでいう「端部側に設けられている」とは、太陽電池セル12を平面視したとき、第一主面25、第二主面26のそれぞれにおいて、太陽電池セル12の長手方向における端部から所定距離L3まで離れた領域(端部側領域α)に設けられたものをいう。
所定距離L3は、太陽電池セル12の全長(長手方向の長さ)の20パーセント以下であり、15パーセント以下であることがより好ましく、5パーセント以下であることがさらに好ましい。
【0052】
バスバー電極30(30a,30b)は、フィンガー電極31(31a,31b)、補助電極32(32a,32b)よりも幅方向の長さの長い(太い)電極である。
本実施形態の補助電極32は、幅方向の長さがフィンガー電極31の幅方向長さと同一の長さとなっている。
なお、補助電極32は、フィンガー電極31よりも幅方向の長さが長くなるように(太くなるように)形成してもよく、フィンガー電極31よりも幅方向の長さが短くなるように(細くなるように)形成してもよい。
【0053】
太陽電池モジュール1は、図2図3のように、配線部材13として、第一取出配線50、第二取出配線51、第一インターコネクタ52、第二インターコネクタ53、連結配線54を備えている。
【0054】
本実施形態の太陽電池モジュール1は、複数(本実施形態では6つ)の太陽電池セル12を直線状に並列させ、隣り合う太陽電池セル12同士を第一インターコネクタ52によって電気的に直列接続し、セル列60を形成している(図2図7参照)。
さらに、太陽電池モジュール1は、複数(本実施形態では3つ)のセル列60を第二インターコネクタ53によって電気的に直列接続し、セル列集合体61(セル群)を形成している(図2図7参照)。
その上で、太陽電池モジュール1は、セル列集合体61の正極及び負極の一方の電極を連結配線54によって第一取出配線50と電気的に接続し、他方の電極を連結配線54によって第二取出配線51と電気的に接続している(図2参照)。
【0055】
第一インターコネクタ52は、上記したように、セル列60に属する太陽電池セル12のうち、隣接する位置に配される2つの太陽電池セル12a,12bを電気的に接続するための部材(タブ線)である。
第一インターコネクタ52は、図8のように、全体形状が略Z状となるように屈曲して延びる板状(又は箔状、若しくは膜状)となっている。
第一インターコネクタ52は、第一覆部52aと、第二覆部52bと、覆部52a,52bを連結する連結部52cとを有する。
【0056】
第一覆部52aは、面状に広がりを有し、一方の太陽電池セル12aの第一主面25の一部を覆う部分である。第一覆部52aは、一方の太陽電池セル12aの第一バスバー電極30aと導電性接着剤65を介して一体に接続されている。
第二覆部52bは、面状に広がりを有し、他方の太陽電池セル12bの第二主面26の一部を覆う部分である。第二覆部52bは、他方の太陽電池セル12bの第二バスバー電極30bと導電性接着剤65を介して一体に接続される部分である。
覆部52a,52bはいずれも、少なくとも一部が太陽電池セル12a,12bの一部と平面視で重なるように配されている。
【0057】
連結部52cは、セル列60(図7図8等参照)の並列方向成分と、太陽電池セル12の厚さ方向成分を含む方向に延びる部分であり、一端側が第一覆部52aと連続し、他端側が第二覆部52bと連続している。
【0058】
第二インターコネクタ53は、図2図7図9のように、一のセル列60に属する一の太陽電池セル12cと、他のセル列60に属する一の太陽電池セル12dを電気的に接続するための部材(タブ線)である。そして、この第二インターコネクタ53は、モジュール本体3の厚さ方向を視線方向とした平面視において、略コ字状に延びる板状(又は箔状、若しくは膜状)の部材となっている。
【0059】
具体的には、第二インターコネクタ53は、図9のように、一の太陽電池セル12cの第一主面25の一部を覆う第一覆部53aと、他の太陽電池セル12dの第二主面26の一部を覆う第二覆部53bと、これらを連結する連結部53cとを有する。
第一覆部53a及び第二覆部53bは、太陽電池セル12の長手方向(セル列60の並列方向)と同方向に延伸している。
第一覆部53a及び第二覆部53bは、上記した第一覆部52a及び第二覆部52bと同様に(図8(b)参照)、一方の太陽電池セル12cの第一バスバー電極30aと、他方の太陽電池セル12dの第二バスバー電極30bのそれぞれと導電性接着剤65を介して一体に接続されている。
【0060】
本実施形態の太陽電池モジュール1は、図2のように、第一取出配線50と、第二取出配線51と、第二インターコネクタ53の一部(連結部53cに相当する部分、図9参照)と、連なる連結配線54の一部がフレーム部材4の内側に位置している。
すなわち、太陽電池モジュール1は、これらがモジュール本体3の縁端側の内部に封止され、このモジュール本体3の縁端側部分がフレーム部材4の内側に位置している。
【0061】
太陽電池モジュール1は、モジュール本体3のうち、フレーム部材4の外部に露出する中心側部分3aでは、セル列60が所定方向(図2における上下方向)で間隔を空けて並列した状態となっている。このとき、それぞれのセル列60の長手方向(列の並列方向であり、図2における左右方向)の両端部分には、第二インターコネクタ53の一部、又は、連結配線54の一部が同長手方向に沿って延びている。
【0062】
つまり、太陽電池モジュール1は、中心側部分3aの内部では、セル列60及びその並列方向の両端に位置する配線部材13の一部(第二インターコネクタ53の一部又は連結配線54の一部)により、直線状に延びる構造体が形成されている。そして、この構造体は、セル列60の並列方向(図2の左右方向)で、中心側部分3aの一端側から他端側まで延びている。
また、この構造体は、セル列60の長手方向と交わる方向(本実施形態では同長手方向と直交する方向であり、図2における上下方向)で間隔を空けて並列配置されている。このことから、本実施形態の太陽電池モジュール1を窓として使用した場合、各構造体の間から差し込む光により、あたかもブラインドのような風合いを発現できる。
【0063】
続いて、本実施形態の太陽電池モジュール1の製造方法について説明する。
【0064】
本実施形態の太陽電池モジュール1の製造方法では、まず、太陽電池セル12を製造するセル製造工程と、第一インターコネクタ52を製造するコネクタ製造工程を実施する。
続いて、上記したセル列60(図7参照)を形成するセル列形成工程を実施する。
そして、複数のセル列60を第二インターコネクタ53によって接続してセル列集合体61を形成し(図7参照)、複数のセル列集合体61を連結配線54によって第一取出配線50、第二取出配線51に接続するセルマトリクス形成工程を実施する(図2参照)。
すなわち、本実施形態の製造方法は、セルマトリクス形成工程により、複数の太陽電池セル12が配線部材13によって接続されたセルマトリクスが形成される。
【0065】
そして、本実施形態の製造方法は、セルマトリクス形成工程により形成したセルマトリクス(複数の太陽電池セル12及び配線部材13)を第一透明基板10と第二透明基板11の間に封止し、モジュール本体3を製造するモジュール製造工程を実施する(図3参照)。続いて、モジュール本体3に端子ボックス5を取り付け、さらにフレーム部材4を取り付ける工程を実施し、太陽電池モジュール1を形成する。
以下、本実施形態の特徴的な工程であるセル列形成工程について詳細に説明する。
【0066】
セル列形成工程は、接着剤付加工程と、セル列配置工程(配置工程)と、搬送工程と、配線接続工程とを含み、これらの各工程を順次実施する工程となっている。
【0067】
接着剤付加工程は、太陽電池セル12のバスバー電極30に導電性接着剤65を付着させる(図8参照)工程である。
接着剤付加工程は、図10のように、転写台75と転写ブロック76とを備えた貼着装置77と、ロボットアーム等の保持手段(図示しない)により、バスバー電極30に導電性接着フィルム78の一部を仮圧着して行う。
なお、導電性接着フィルム78は、熱硬化性樹脂や導電粒子を含んで形成されるフィルムであり、上記した導電性接着剤65(図8参照)となる部材である。
【0068】
具体的には、接着剤付加工程は、図10のように、ロボットアーム等の保持手段(図示しない)で太陽電池セル12を保持しつつ、転写台75の上で、導電性接着フィルム78の一部と太陽電池セル12のバスバー電極30を重ねた状態とする。そして、転写ブロック76を下方側へ移動させ、太陽電池セル12と接触した状態とする。
【0069】
このとき、転写ブロック76によって太陽電池セル12を押さえつつ、太陽電池セル12の本体部分を介してバスバー電極30及び導電性接着フィルム78に熱を加える。
このように、接着剤付加工程は、バスバー電極30の表面に導電性接着フィルム78の一部を仮圧着することで、バスバー電極30上に導電性接着剤65が付着した状態とする。
なお、太陽電池セル12には、上記したように第一主面25と第二主面26のそれぞれにバスバー電極30が形成されているが、もう一方のバスバー電極30についても同様の工程により、導電性接着剤65を付着させる。
【0070】
セル列配置工程は、接着剤付加工程によりバスバー電極30に導電性接着剤65を付着させた複数の太陽電池セル12と、予め形成した第一インターコネクタ52とを図11に示されるセル列形成装置80(太陽電池モジュールの製造装置)の所定位置に所定の姿勢で配置する工程である。
【0071】
ここで、セル列配置工程、搬送工程、及び配線接続工程の詳細な説明に先だって、セル列形成装置80について説明する。
【0072】
セル列形成装置80は、上記した貼着装置77、ロボットアーム等と共に、太陽電池モジュール1の製造装置を構成する装置群の一部となる装置である。
このセル列形成装置80は、図11のように、熱圧着装置81と、搬送装置82(ベルトコンベア)と、吸引装置83を備えている。
【0073】
熱圧着装置81は、第一押圧ヘッド90(第一押圧部材)と第二押圧ヘッド91(第二押圧部材)で構成される2つの押圧ヘッド90,91(押圧部材)と、第一ランプヒータ92と第二ランプヒータ93で構成される2つのランプヒータ92,93(加熱部材)を備えている。
【0074】
第一押圧ヘッド90は、第二押圧ヘッド91よりも、搬送装置82の搬送方向(図11では左側から右側へ向かう方向、以下、単に搬送方向ともいう)で上流側に位置する。
【0075】
第一押圧ヘッド90は、図12図13のように、ヘッド本体部97と、押圧体部98を備えており、ヘッド本体部97の下方側部分に締結要素100を介して押圧体部98を取り付けて形成されている。
【0076】
ヘッド本体部97は、駆動機構(昇降機構であり、詳細な図示を省略する)と連結されており、上下方向に移動可能となっている。つまり、ヘッド本体部97は、搬送装置82に対して近接、離反する方向に移動可能となっている(図12参照)。
ヘッド本体部97は、概形が長方形平板状となっている。そして、ヘッド本体部97は、幅方向が搬送方向と同方向となり、長手方向が搬送方向と交わる(直交する)方向と同方向となるように配置されている。また、ヘッド本体部97の厚さ方向は、上下方向と同方向となるように配置されている。
【0077】
押圧体部98は、図12のように、第一押圧ヘッド90が押圧動作を実施する際に、その少なくとも一部分が押圧対象物と接触する部分であり、第一押圧面部115と、平面部116を有している。
具体的には、押圧体部98は、図13図14のように、基台部105(弾性部材)と、基台部105から下方(図14では上方)に突出する塊状の突出片部106とを有している。
【0078】
基台部105は、弾性を有する弾性部材であって、耐熱性を有する耐熱部材でもある。
基台部105は、幅を持って所定方向に延伸する形状となっている。また、この基台部105は、箔状、膜状(フィルム状)、シート状、又は板状のいずれかであり、本実施形態では、シート状である。
本実施形態の基台部105は、平面視形状が略長方形状となるシリコンシートを採用している。
この基台部105には、長手方向の両端それぞれの近傍に取付用孔105aが設けられている。取付用孔105aは、開口形状が円形であって、基台部105を厚さ方向(上下方向)に貫通する貫通孔である。
【0079】
突出片部106は、図14のように、概形が略直方体状の部分であって一部が欠落している。すなわち、突出片部106は、下面から上方(図14では上面から下方)に窪んだ凹部を構成する欠落部110を有している。
【0080】
突出片部106は、基台部105の2つの取付用孔105a,105aの間に配されている。
ここで、突出片部106と基台部105は、いずれも幅を持って所定方向(搬送方向と交わる方向であり、図12参照)に延伸している。そして、突出片部106は、基台部105よりも延伸方向の長さが短く、幅方向の長さが基台部105と同一(略同一)となっている。突出片部106は、基台部105の延伸方向における中央側部分から突出している。
なお、本実施形態の突出片部106は、突出片部106の略全域が基台部105と平面視で重なるように形成しているが、一部のみが平面視で重なるように形成してもよい。
【0081】
欠落部110は、搬送方向において、突出片部106の下流側となる側方が外部と連なるように開放されている(図12図14参照)。
したがって、欠落部110から露出する第一の面、すなわち第一押圧面部115(押圧面)は、突出片部106の下面と段差を介して連続している。
ここで、突出片部106の下面のうち、欠落部110と幅方向で隣接する部分を第二の面、すなわち、平面部116(突出端部)とすると、第一押圧面部115と平面部116は、段差を介して連続した面となる。
【0082】
突出片部106は、図15のように、第一構成片120、第二構成片121、及び第三構成片122を重ねた積層体(立体構造物)を、取付部材125によって基台部105に取り付けて形成されている。
【0083】
各構成片120~122は、箔状、膜状(フィルム状)、シート状、又は板状のいずれかであり、本実施形態では膜状部材(フィルム状の部材)である。
本実施形態の構成片120~122は、PIテープ(ポリイミドテープ)を採用して形成している。
したがって、各構成片120~122は、基台部105よりも非常に薄く、突出片部106全体もまた、基台部105よりも薄いものとなっている。しかしながら、作図の都合上、各図において、これらの基台部105に対する厚さを実際よりも厚く描写し、基台部105の他部材に対する厚さもまた実際よりも厚く描写している。
【0084】
第一構成片120は、耐熱性を有し、平面視形状が略長方形状の部材であり、幅を持って所定方向に延伸している。
【0085】
第二構成片121と第三構成片122は、耐熱性を有し、平面視形状が一部欠落した略長方形状の部材である。構成片121,122は、略凹字状であり、概形が幅を持って所定方向に延伸している。すなわち、構成片121,122には、平面視形状が略四角形状となる欠落部121a,122aが設けられている。
なお、本実施形態の構成片121,122は、同形の部材となっている。
【0086】
欠落部121a,122aは、図15のように、構成片121,122の長手方向における中心側部分であって、幅方向の一端側に形成されている。具体的には、欠落部121a,122aは、構成片121,122の幅方向における片側端部から中央側へ向かって延びている。また、この欠落部121a,122aは、構成片121,122の上面から下面までの間を貫通している。
【0087】
なお、本実施形態では、構成片120~122は、幅方向の長さ、延伸方向(長手方向)の長さが同一となっている。そして、構成片120~122を重ねた積層体は、平面視において、第一構成片120の全域(略全域)に、第二構成片121、第三構成片122の全域(略全域)が重なった状態となっている(図14参照)。
【0088】
したがって、図14のように、欠落部110の周囲に位置する部分(第二構成片121、第三構成片122の積層部分)は、第一押圧面部115よりもさらに下方(図14では上側)に突出する突出部分(突出部)となる。したがって、平面部116は、この突出部分の突出方向における突出端面となる。
【0089】
取付部材125は、耐熱性を有し、一方の主面に粘着部分を有するフィルム(粘着テープ)であり、本実施形態ではPIテープを採用している。
取付部材125は、基台部105と、構成片120~122からなる積層体とを重ねた状態とし、これらに巻き付けることで、基台部105と積層体を一体に取り付ける部材である(図13図15参照)。
【0090】
取付部材125は、巻きつけた状態において、上方に位置する基台部105の上面と、下方側に位置する積層体の下面(第三構成片122の下面)のそれぞれと一方の主面が接触した状態となる。さらには、取付部材125は、これら基台部105及び積層体の幅方向両端に位置する側面に対しても、一方の主面が接触した状態となる。
つまり、取付部材125は、巻きつけた状態において、基台部105及び積層体の幅方向に延伸する部分と、上下方向に延伸する部分が形成された状態となっており、粘着部分を有する主面が内向きとなるように、四角環状又は略C字状(本実施形態では四角環状)に延びた状態となっている。
【0091】
このことにより、取付部材125は、構成片120~122からなる積層体を基台部105に取り付けるための取付用の部材として機能すると共に、積層体を一体化するための結束部材(接着部材)としても機能する。
突出片部106の下面(突出端面、図14では上面)の一部は、取付部材125によって形成された状態となる。
【0092】
締結要素100は、図13のように、二部材(ヘッド本体部97、押圧体部98)の間に介在し、二部材の一方の部材を他方の部材に対して原則的に破壊せずに着脱可能とする(取り外し可能な状態で取り付ける)部材である。したがって、締結要素100は、一例として、ねじや、ボルトナットの組み合わせなどが挙げられる。本実施形態では、締結要素100として、頭部の形状が略円柱状となる金属製のねじを採用している。
つまり、本実施形態の第一押圧ヘッド90は、ヘッド本体部97に対する押圧体部98の着脱が可能であり、押圧体部98が経年劣化した場合等において、押圧体部98の交換が可能である。
【0093】
次に、第二押圧ヘッド91(図12参照)の構造について説明するが、第一押圧ヘッド90と同様の部分については詳細な説明を省略する。
【0094】
第二押圧ヘッド91は、図12のように、第一押圧ヘッド90と同様に、図示しない駆動機構(昇降機構)と連結されたヘッド本体部97と、押圧体部130を備えている。そして、第二押圧ヘッド91の押圧体部130は、第一押圧ヘッド90の押圧体部98と異なる構造となっている。
【0095】
第二押圧ヘッド91の押圧体部130は、箔状、膜状(フィルム状)、シート状、又は板状のいずれかであり、本実施形態では、シート状である。
押圧体部130は、弾性を有する弾性部材であって、耐熱性を有する耐熱部材でもある。
本実施形態の押圧体部130は、基台部105(図15参照)と同様に、平面視形状が略長方形のシリコンシートを採用しており、長手方向の両端部の近傍に取り付け用の孔を有している。そして、押圧体部130は、基台部105(図15参照)と同様に、締結要素100を介してヘッド本体部97に取り付けられている。
押圧体部130は、基台部105と同じ厚さであってもよく、基台部105と異なる厚さ(例えば、基台部105よりも厚い厚さ)としてもよい。
押圧体部130は、下面に第二押圧面部131を備えている。
【0096】
第一ランプヒータ92は、図11のように、第一押圧ヘッド90を加熱するヒータであり、第二ランプヒータ93は、第二押圧ヘッド91を加熱するヒータである。ランプヒータ92,93は、供給電圧の調整によって加熱温度の調整が可能となっている。すなわち、ランプヒータ92,93は、押圧ヘッド90,91を昇温させる際、これらの昇温後の温度を調整可能となっている。
【0097】
搬送装置82は、図11のように、ベルトコンベアであり、少なくとも2つのローラ部材140,140と、ベルト部材141とを備えている。
【0098】
2つのローラ部材140,140は、一方がヘッドプーリとして機能し、他方がテールプーリとして機能する。これらの少なくとも一方は、図示しない駆動装置と連結されて(又は駆動装置を内蔵して)おり、駆動装置から供給される動力で回転する駆動ローラである。
そして、搬送装置82は、駆動ローラが回転することにより、2つのローラ部材140,140に懸架された環状のベルト部材141が走行する。
【0099】
本実施形態のローラ部材140は、円柱又は円筒状部分を有しており、その外周面に、ベルト部材141のベルト側係合部147と係合するローラ側係合部140aが設けられている。ローラ側係合部140aは、回転軸側に窪んだ凹部であり、突起部分であるベルト側係合部147が略丁度嵌まり込む形状となっている。言い換えると、ローラ側係合部140aとベルト側係合部147は、対となる係合部であり、嵌合可能となっている。
【0100】
ベルト部材141は、弾性体であり、詳細には、ゴム製のベルトである。
ベルト部材141は、図16のように、内側面の一部に周囲よりも窪んだ部分となる溝部145が形成されている。溝部145は、ベルト部材141の幅方向の中心側部分に形成され、ベルト部材141の長手方向に沿って延びている。すなわち、この溝部145は、ベルト部材141の内側で環状に連続する。
【0101】
ベルト部材141の内側面のうち、溝部145を挟んで両側に位置する部分には、周囲よりも隆起するベルト側係合部147が形成されている。つまり、ベルト側係合部147は、ベルト部材141の内側面からさらに内側へ突出する突起部分である。
【0102】
ベルト側係合部147は、断面形状が略半円状でベルト部材141の幅方向に延びる突起部分であり、突出端部分が丸みを帯びた形状となっている。
【0103】
ベルト部材141は、複数(2つ)のベルト側係合部147が、溝部145を挟んだ両側にそれぞれ形成され、ベルト部材141の幅方向で間隔を空けて並列している。
ベルト側係合部147は、ベルト部材141の幅方向を視線方向とした平面視において、互いに重なる位置にそれぞれ形成されている。
ベルト部材141は、ベルト部材141の幅方向で並列する複数(2つ)のベルト側係合部147の組が、ベルト部材141の長手方向に沿って間隔を空けて並列配置している。
【0104】
溝部145には、底部分にベルト部材141の内側面から外側面までを厚さ方向に貫通する吸引用孔150が複数形成されている。
吸引用孔150は、ベルト部材141の長手方向に沿って間隔を空けて並列しており、それぞれの開口形状が円形となっている。
【0105】
吸引装置83は、図示しない真空ポンプ等の吸引機構部と、この吸引機構部と連なる吸引ヘッド部155を備えている。
【0106】
吸引ヘッド部155は、図11図16のように、図示しない支持手段により、ベルト部材141の内側に支持されている。
吸引ヘッド部155は、ベルト部材141の上側で走行する部分(以下、上側走行部141aともいう)と、下側で走行する部分(以下、下側走行部141bともいう)の間に配されている。具体的には、吸引ヘッド部155は、上側走行部141a(搬送部)と下側走行部141bの間に形成される空間のうち、上側よりの位置に配されている。
【0107】
吸引ヘッド部155は、図11のように、搬送方向における略全域に亘って配されている。すなわち、吸引ヘッド部155は、搬送方向においてローラ部材140,140の間に設けられている。
【0108】
吸引ヘッド部155の上側部分には、図16のように、周囲よりも外側(上側)に突出する突起部分である吸引側係合部157が形成されている。
吸引側係合部157は、ベルト部材141の溝部145に略丁度嵌まり込む形状である。すなわち、吸引側係合部157と溝部145は、対となる係合部となっている。
セル列形成装置80は、上側走行部141aの内側面に形成された溝部145の一部分に、吸引側係合部157が下方側から嵌入された(挿入された)状態となっている。
【0109】
ここで、吸引側係合部157の上側部分(上面)には、吸引孔部158が形成されている。吸引孔部158は、吸引ヘッド部155の長手方向であり、搬送方向に沿って延びる長孔である。すなわち、吸引装置83は、上記した吸引機構部を駆動させることで、吸引孔部158から空気を吸引することが可能な装置である。
【0110】
吸引側係合部157は、上側走行部141aに形成された吸引用孔150と平面視(上下方向)で重なる位置に配置されている。
上側走行部141aに形成された複数の吸引用孔150は、吸引側係合部157の一部と重なっており、吸引孔部158の一部と一連の連通孔を形成している。
このため、吸引装置83が吸引動作を実行すると、上側走行部141aの上側に載置された物品(太陽電池セル12)を上側走行部141aに吸着させることが可能となる。
【0111】
吸引ヘッド部155は、吸引側係合部157を挟んで両側に位置する部分がそれぞれ異なるベルト側係合部147の下方側に位置している。すなわち、この吸引ヘッド部155は、幅方向の長さが、ベルト部材141の幅方向の長さと同一(略同一)となっている。
【0112】
セル列配置工程は、図11のように、搬送装置82におけるベルト部材141(上側走行部141a)の上側にセル列60を構成する太陽電池セル12と、第一インターコネクタ52を配置する工程である。すなわち、セル列配置工程では、太陽電池セル12と第一インターコネクタ52をベルト部材141の上側走行部141a(載置部)上に載置する。
【0113】
具体的には、セル列配置工程では、複数の太陽電池セル12を搬送方向で間隔を空けて並列するように配置する。
このとき、それぞれの太陽電池セル12は、いずれも第一主面25と第二主面26の一方側が上側を向き、且つ、長手方向が搬送方向に沿う方向となる姿勢で配置される。
本実施形態では、各太陽電池セル12をいずれも第一主面25側が上側を向く姿勢で配置している。
【0114】
そして、セル列配置工程では、図11のように、並列配置した各太陽電池セル12の間に配される第一インターコネクタ52を、一方端側が一の太陽電池セル12(以下、第一太陽電池セル12Aともいう)の第一主面25側のバスバー電極30(第一接続電極)と重なる位置に配する。その一方で、セル列配置工程では、第一インターコネクタ52を、他方端側が他の太陽電池セル12(以下、第二太陽電池セル12Bともいう)の第二主面26側のバスバー電極30(第二接続電極)と重なる位置に配する。
なお、図11では、太陽電池セル12及び第一インターコネクタ52を模式的に示しているが、太陽電池セル12と第一インターコネクタ52の重なり部分は非常に薄く、各太陽電池セル12は、実際には、大部分がベルト部材141の上面と接触する。
【0115】
このことから、バスバー電極30が形成された部分を含む太陽電池セル12の一部と、バスバー電極30に付着する導電性接着剤65と、第一インターコネクタ52の一部とが上下方向で重なる重畳部160a,160bが形成される(図17参照)。
すなわち、第一重畳部160aは、第一太陽電池セル12Aの上側を向くように配置された主面(図17では第一主面25)上に形成されたバスバー電極30の上方に、第一インターコネクタ52の一部が配された部分である。
第一重畳部160aの上面は、平面的な広がりを有する平面部分となる。
第二重畳部160bは、第二太陽電池セル12Bの下側を向くように配置されたもう一方の主面(図17では第二主面26)上に形成されたバスバー電極30の下方に、第一インターコネクタ52の一部が配された部分である。
【0116】
本実施形態では、間隔を空けて隣り合う太陽電池セル12A,12Bの隙間部分及びその周辺において、搬送方向の上流側に第一重畳部160aが形成され、搬送方向の下流側に第二重畳部160bが形成される。
【0117】
なお、このセル列配置工程では、それぞれの太陽電池セル12A,12Bを一以上の吸引用孔150(図16参照)と重なる位置に配し、吸引装置83による吸引動作を実施しつつ実行することが好ましい。このことにより、工程の実行時における太陽電池セル12の意図しない位置ずれを防止できる。
【0118】
搬送工程は、図11のように、セル列配置工程で配置した太陽電池セル12、第一インターコネクタ52を搬送する工程である。具体的には、隣り合う2つの太陽電池セル12A,12Bの隙間部分及びその隙間部分に位置する第一インターコネクタ52が熱圧着装置81の下方側に位置するように搬送する工程である(図11図17参照)。
なお、この搬送工程もまた、吸引装置83による吸引動作を実施しつつ搬送することが好ましい。このことにより、搬送時における太陽電池セル12等の意図しない位置ずれを防止できる。
【0119】
この搬送工程により、図17のように、第一重畳部160aが第一押圧ヘッド90の下方側に位置し、第二重畳部160bが第二押圧ヘッド91の下方側に位置する。すなわち、重畳部160a,160bは、押圧ヘッド90,91と間隔を空けて対面した状態となる。
【0120】
配線接続工程は、重畳部160a,160bを押圧ヘッド90,91によって加熱、押圧する工程である。
まず、配線接続工程は、搬送方向の上流側では、第一ランプヒータ92(図11参照)によって第一押圧ヘッド90を加熱し、昇温した第一押圧ヘッド90によって第一重畳部160aを押圧する。すなわち、第一押圧ヘッド90による押圧動作の押圧方向は、上下方向に沿って上方側から下方側へ向かう方向である。言い換えると、第一押圧ヘッド90による押圧動作の押圧方向は、上方側から搬送装置82(上側走行部141a)に近づく方向となっている。
【0121】
すなわち、配線接続工程は、第一押圧ヘッド90を下方側へ移動させ、欠落部110の内部に第一重畳部160aを位置させる(図17(b)参照)。
このことにより、上記した第一の面たる第一押圧面部115(主押圧部)が第一重畳部160aと面接触した状態となって第一重畳部160aを押圧する。また、同時に、第二の面たる平面部116と、第一重畳部160aの搬送方向の上流側に隣接する太陽電池セル12の一部分(以下、隣接する部分ともいう)とが接触した状態となる。
【0122】
ここで、本実施形態では、第一押圧面部115と平面部116の間に形成される段差の上下方向長さ(欠落部110の上下方向の長さ)は、第一重畳部160aの厚さ(上下方向長さ)と同一又は略同一の長さとなっている。
したがって、熱圧着装置81は、第一押圧ヘッド90を下方側へ移動させていくことで、第一押圧面部115が第一重畳部160aを下方側に押圧し、平面部116が第一重畳部160aと隣接する太陽電池セル12の一部分を下方側に押圧する。
【0123】
このように、加熱された第一押圧面部115によって第一重畳部160aが押圧されることで、第一重畳部160aの導電性接着剤65が熱硬化反応を起こし、接着力を奏する。このことにより、第一重畳部160aにおいて、バスバー電極30と第一覆部52aとが圧着される。
【0124】
配線接続工程は、搬送方向の下流側では、第二ランプヒータ93(図11参照)によって第二押圧ヘッド91を加熱し、昇温した第二押圧ヘッド91によって第二重畳部160bを押圧する。
【0125】
すなわち、第二押圧ヘッド91を下方側へ移動させ、押圧体部130の下面たる第二押圧面部131(第二押圧面)を第二重畳部160bに接触させた状態とし、第二重畳部160bを押圧する(図17(b)参照)。つまり、第二押圧ヘッド91による押圧動作の押圧方向は、第一押圧ヘッド90による押圧動作の押圧方向と同方向となる。また、この第二押圧面部131は、押圧動作を実施する際に押圧対象物(太陽電池セル12)と接触する押圧面となる。
このことにより、第二重畳部160bの太陽電池セル12の本体部分を介して導電性接着剤65に熱が伝わり、導電性接着剤65が熱硬化反応を起こして接着力を奏するので、第二重畳部160bのバスバー電極30と第二覆部52bとが圧着される。
【0126】
本実施形態の配線接続工程は、重畳部160a,160bのそれぞれを一方側(上方側)から押圧し、その反対側(下方側)から押圧しない。このことにより、重畳部160a,160bを押圧する押圧動作を容易に実施できる。
【0127】
そして、上記した押圧動作が終了した後、押圧ヘッド90,91を上方側へ移動させ、押圧ヘッド90,91を太陽電池セル12及び第一インターコネクタ52から離れた位置に配置した状態とする。
この状態で、搬送装置82を稼働させ、太陽電池セル12及び第一インターコネクタ52から構成される列を下流側に移動する。その結果、接続が完了した一の第一インターコネクタ52及びその周辺部分が搬送方向の下流側へと移動し、接続が未完了の他の第一インターコネクタ52及びその周辺部分が熱圧着装置81の下方側へ移動する。そして、上記と同様の手順で、この他の第一インターコネクタ52を2つの太陽電池セル12に対して接続する。この動作を繰り返し、列に属する全ての第一インターコネクタ52を2つの太陽電池セル12に接続した状態とし、セル列60を形成して配線接続工程が完了する。
【0128】
そして、配線接続工程の終了後、セル列60の全体を搬送方向の下流側へと移動させ、ロボットアーム等の保持手段(図示しない)により、搬送装置82から外部へと移動させる。
【0129】
本実施形態の太陽電池モジュール1の製造方法によれば、配線接続工程において第一押圧ヘッド90の第一押圧面部115が第一重畳部160aの配線部材13を押圧し、且つ、平面部116が第一重畳部160aと連なる太陽電池セル12の一部と接触又は近接する。そのため、第一重畳部160aの押圧時における太陽電池セル12Aの割れや亀裂の発生等を防止(抑制)できる。
【0130】
本実施形態の太陽電池モジュール1の製造方法によれば、配線接続工程において、第一押圧ヘッド90の第一押圧面部115と第一重畳部160aの配線部材13が面接触し、且つ、平面部116と太陽電池セル12Aとが接触する。そのため、第一重畳部160aの押圧時における太陽電池セル12Aの割れや亀裂の発生等をより確実に防止(抑制)できる。
【0131】
本実施形態の太陽電池モジュール1の製造方法によれば、配線接続工程において、第一主面25側から押圧ヘッド90を第一重畳部160aに接近させて第一重畳部160aを押圧し、第二主面26側から第一重畳部160aを押圧しない。そのため、太陽電池セル12Aを挟んで対向する2つの押圧ヘッドで太陽電池セル12Aを両主面25,26側から挟み込んで押圧する方法に比べ、セル列形成装置80における押圧ヘッド90回りの構造を簡易化可能であり、押圧に係る工程を容易に実行できる。
【0132】
本実施形態の太陽電池モジュール1の製造方法によれば、配置工程では、第一太陽電池セル12Aと、配線部材13と、第二太陽電池セル12Bとをこの順に並列し、第一太陽電池セル12Aのバスバー電極30と配線部材13が重なる第一重畳部160aと、第二太陽電池セル12Bのバスバー電極30と配線部材13が重なる第二重畳部160bとを形成する。そして、配線接続工程では、押圧ヘッド90が第一重畳部160aを配線部材13側から押圧し、第一太陽電池セル12A側から押圧せず、且つ、押圧ヘッド91が第二重畳部160bを第二太陽電池セル12B側から押圧し、配線部材13側から押圧しない。すなわち、配線接続工程では、押圧ヘッド90側に配線部材13が位置する第一重畳部160aと、押圧ヘッド91側に太陽電池セル12が位置する第二重畳部160bを、いずれも一方側(押圧ヘッド90,91側)から押圧し、その反対側から押圧しない。このように異なる重畳部160a,160bをいずれも一方側からのみ押圧する方法によると、押圧に係る工程を容易に実行できる。
【0133】
本実施形態の太陽電池モジュール1の製造方法によれば、配線接続工程では、太陽電池セル12及び配線部材13をベルト部材141の上側走行部141aに載置した状態で、押圧ヘッド90が太陽電池セル12及び配線部材13を上側走行部141a側へ押圧する。すなわち、押圧ヘッド90から離れた位置で、太陽電池セル12及び配線部材13を上側走行部141aに載置する。その結果、周囲に部材が少ない広い場所で太陽電池セル12及び配線部材13を上側走行部141aに載置できるので、配置工程を実行し易い。また、搬送後、そのまま上側走行部141a上の太陽電池セル12及び配線部材13を押圧するので、押圧に係る工程を容易に実行可能である。
【0134】
本実施形態のセル列形成装置80によれば、押圧ヘッド90は、重畳部160a,160bを押圧する押圧面部115,130を有し、押圧面部115,130を平面視したときに押圧面部115,130と重なる位置に弾性部(基台部105、押圧体部130)を含む。そのため、押圧時に太陽電池セル12が破損し難い。
【0135】
本実施形態のセル列形成装置80によれば、太陽電池セル12及び配線部材13を上側走行部141aに載置し、搬送後そのまま押圧する動作が可能であるので、配置工程から配線接続工程に至る一連の工程を容易に実行可能である。
【0136】
本実施形態のセル列形成装置80によれば、押圧ヘッド90は、突出片部106が複数の膜状部材たる構成片120~122が積層した積層体によって構成されているため、突出片部106を容易に製造可能であり、押圧時における太陽電池セル12Aの割れや亀裂の発生等を防止(抑制)できる。
【0137】
本実施形態のセル列形成装置80によれば、太陽電池セル12及び配線部材13をベルト部材141に載置し、吸引用孔150から太陽電池セル12を吸引することで、ベルト部材141に太陽電池セル12を吸着可能であるため、ベルト部材141への載置時や搬送時等において、太陽電池セル12の予期しない位置ずれを防止できる。
【0138】
上記した実施形態では、第一の面たる第一押圧面部115を第一重畳部160aに接触させた状態としたとき、第二の面たる平面部116が第一重畳部160aと隣接する太陽電池セル12の一部分(隣接する部分)と接触する第一押圧ヘッド90の例を示した。このような第一押圧ヘッド90によると、第一重畳部160aを押圧する際の太陽電池セル12の破損を防止(抑制)できる。
【0139】
具体的に説明すると、例えば、第二押圧ヘッド91の押圧体部130のような、平板状の押圧体を備えた押圧ヘッドで第一重畳部160aを押圧する場合、第一重畳部160aと隣接部分の境界となる部分にひび割れが生じてしまう可能性がある。すなわち、押圧体の一部のみが第一重畳部160aと接触し、第一重畳部160aを下方側に押圧することで、押圧体と押圧対象物(太陽電池セル12及び第一インターコネクタ52)の接触面における単位面積当たりの押圧力が大きくなってしまう。このことにより、太陽電池セル12が破損してしまう可能性がある。
これに対し、上記した第一押圧ヘッド90では、第一重畳部160aだけでなく、隣接部分にも押圧体部98が接触するので、押圧体と押圧対象物の接触面の面積が大きくなり、押圧力を分散できる。つまり、細長い太陽電池セル12の端部側の一部のみが強く押圧されることに起因する太陽電池セル12の破損を防止できる。
【0140】
しかしながら、平面部116は、第一押圧面部115が第一重畳部160aと接触した際に、必ずしも隣接部分と接触する構造でなくてもよい。第一押圧面部115が第一重畳部160aと接触したとき、平面部116が隣接部分と近接する(僅かに間隔を空けて対向する)構造であってもよい。
このような構造として、例えば、通常の押圧時には、平面部116が隣接部分と接触せず、何らかの理由で押圧力が一定以上となってしまった場合に、平面部116が隣接部分と接触する構造が考えられる。すなわち、弾性(可撓性)を有する基台部105や第一構成片120の一部が第一重畳部160aに押し付けられることで、厚さ方向に縮むように変形し、その結果、平面部116が隣接部分と接触する構造である。
しかしながら、上記したように、押圧力を分散させるという観点から、第一押圧面部115が第一重畳部160aと接触した際に、平面部116が接触する構造とすることが好ましい。
【0141】
上記した第一押圧ヘッド90のヘッド本体部97と連結される駆動機構と、第二押圧ヘッド91のヘッド本体部97と連結される駆動機構とは、同一のものでもよく、別途設けたものでもよい。また、第一押圧ヘッド90と第二押圧ヘッド91を移動させる際、これらを同時に移動させてもよく、時間差を設けて移動させてもよい。
【0142】
なお、上記した実施形態では、取付部材125により、構成片120~122を一体的に積層させたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、構成片120~122は、各構成片120~122の一方の主面に粘着部分を形成し、これらを積層することで一体化してもよい。この場合、取付部材125は必ずしも設けなくてもよい。
【0143】
上記した実施形態では、第一押圧ヘッド90と第二押圧ヘッド91は、別体であったが、本発明はこれに限定されるものではない。第一押圧ヘッド90と第二押圧ヘッド91は、一体であってもよい。
【0144】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0145】
1 太陽電池モジュール
12 太陽電池セル
13 配線部材
25 第一主面
26 第二主面
30 バスバー電極(接続電極)
80 セル列形成装置(太陽電池モジュールの製造装置)
82 搬送装置(ベルトコンベア)
90 第一押圧ヘッド(押圧部材)
91 第二押圧ヘッド(第二押圧部材)
98 押圧体部
105 基台部(弾性部材)
110 欠落部
115 第一押圧面部(押圧面)
116 平面部(突出端部)
130 押圧体部(第二押圧面)
141 ベルト部材
141a 上側走行部(搬送部,載置部)
150 吸引用孔
160 重畳部
160a 第一重畳部
160b 第二重畳部
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