(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】熱可塑性プラスチックのバージン材を安定化させるプロセス、及び安定化されたプラスチック組成物、成形用組成物、及びそれらから作られた成形品、安定剤組成物及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240724BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/053
(21)【出願番号】P 2021522045
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2019078221
(87)【国際公開番号】W WO2020083740
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】102018218120.9
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】メッツェシュ-ツィリゲン エルケ
(72)【発明者】
【氏名】プフェンダー ルドルフ
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-060638(JP,A)
【文献】中国特許第104448464(CN,B)
【文献】特表2012-522079(JP,A)
【文献】特表2015-523403(JP,A)
【文献】国際公開第2011/024399(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性のバージン材(バージンの熱可塑性樹脂又は新品の熱可塑性樹脂)を酸化劣化、熱劣化、及び/又は光劣化に対して安定化させるプロセスであって、
(A)没食子酸、ヒドロキシチロソール、フラボノール、アントシアン、カルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、レスベラトロール、タンニン、シリマリン並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリフェノール0.02~3.0重量部、及び
(B)少なくとも1つのアルジトール及び/又はシクリトール0.02~3.0重量部を、
94.0~99.96重量部の熱可塑性のバージン材やその混合物に導入する、
プロセス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリフェノールが、少なくとも2つのヒドロキシル置換基を有する芳香族残基、又は少なくとも2つのヒドロキシル置換基を有する少なくとも2つの芳香族残基を有する、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアルジトールが以下の化学式を有する化合物から選択され、
HOCH
2-[CH(OH)]
n-CH
2OH、
R
1-OCH
2-[CH(OH)]
n-CH
2OH、及び
HOCH
2-[CH(OH)]
n-[CH(OR
1)]-CH
2OH、
ここでn=2-5であり、R
1は任意に置換された糖残基である、
請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアルジトールが、トレイトール、エリスリトール、ガラクチトール、マンニトール、リビトール、ソルビトール、キシリトール、アラビトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール及びそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのシクリトールが、イノシトール、クエルシトール、ビスクミトール、ボルネシトール、コンズリトール、オノニトール、ピニトール、ピンポリトール、ケブラキトール、キナ酸、シキミ酸及びバリエノールからなる群から選択される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
成分(A)及び成分(B)を、5:95~90:10の重量比で熱可塑性のバージン材に導入する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
成分(A)及び(B)を、固体の形で存在する熱可塑性のバージン材と混合することにより、熱可塑性のバージン材に導入し、得られた混合物を溶融した後に冷却する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
熱可塑性のバージン材が以下からなるグループから選択され、
a)オレフィン又はジオレフィンのポリマー、
b)ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、スチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル(ABS)、スチレン-アクリロニトリル-アクリレート(ASA)、スチレン-エチレン、スチレン-無水マレイン酸ポリマー、及びこれらに対応するグラフト共重合体、又は水素化ポリスチレン誘導
体、
c)ハロゲン含有ポリマー、
d)不飽和エステルのポリマー、
e)不飽和アルコール及びその誘導体のポリマー、
f)ポリアセタール、
g)ポリフェニレンオキシド及びそのポリスチレン又はポリアミドとの混合物、
h)環状エーテルのポリマー、
i)ヒドロキシ末端のポリエーテル若しくはポリエステルと芳香族若しくは脂肪族イソシアネートとのポリウレタン、
j)ポリアミド、
k)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリ(エーテル)ケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリヒダントイン、
l)脂肪族若しくは芳香族のジカルボン酸及びジオールからなる又はヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル、
m)ポリカーボネート(PC)、ポリエステルカーボネート又はそれらの混合物、
n)セルロース誘導体、
o)不飽和ポリエステル樹脂、不飽和ジカルボン酸及びジオールとビニル化合物、アルキド樹脂、
p)シリコーン、
q)天然物質をベースにしたポリマー、
r)及び2つ以上の前記ポリマーの混合物、組み合わせ又はブレンドである、
請求項1~7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
(A)没食子酸、ヒドロキシチロソール、フラボノール、アントシアン、カルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、レスベラトロール、タンニン、シリマリン並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリフェノール0.02~3.0重量部、
(B)少なくとも1つのアルジトール及び/又は1つのシクリトール0.02~3.0重量部、
(C)94.0~99.96重量部の少なくとも1つの熱可塑性プラスチックのバージン材又はその混合物、を含む又はからなる、
プラスチック組成物。
【請求項10】
(A)0.06~1.0重量部の少なくとも1種のポリフェノール、
(B)0.03~0.5重量部の少なくとも1つのアルジトール及び/又は少なくとも1つのシクリトール、及び
(C)98.5~99.91重量部の熱可塑性のバージン材若しくはその混合物、を含む又はからなる、
請求項9に記載のプラスチック組成物。
【請求項11】
プラスチック組成物が、成分(A)~(C)に加えて、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、フィラー不活性化剤、オゾン防止剤、核生成剤、核生成防止剤、衝撃強度向上剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー改質剤、チキソトロピー剤、鎖延長剤、加工助剤、離型剤、難燃剤、顔料、染料、蛍光増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、熱及び/又は電気伝導性添加剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、カップリング剤、架橋剤、アンチクロスリンク剤、親水化剤、疎水化剤、接着促進剤、分散剤、相溶化剤、酸素捕捉剤、酸捕捉剤、発泡剤、劣化防止添加剤、消泡剤、臭気捕捉剤、マーキング剤、防曇剤、充填剤、補強剤、及びこれらの混合物、からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、
請求項9又は10に記載のプラスチック組成物。
【請求項12】
a)前記酸捕捉剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、乳酸カルシウム、ステアロイル-2-乳酸カルシウム、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、ゼオライト、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類炭酸塩、ドロマイト、水酸化物、からなる群から選択される、
b)前記光安定剤は、ヒンダードアミン類からなる群から選択される、
請求項11に記載のプラスチック組成物。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスによって調製可能である請求項9に記載のプラスチック組成物。
【請求項14】
請求項9に記載のプラスチック組成物から製造可能な成形用組成物又は成形品。
【請求項15】
射出成形品、フォイル、フィルム、ラッカー、コーティング、発泡剤、繊維、ケーブル、チューブ、輪郭(Profilen)、中空体、テープ、及び、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー加工、プレス加工、スピニング加工、コーティング、ディッピング及び/又は回転成形の方法で製造される膜、である
請求項14に記載の成形用組成物
又は成形品。
【請求項16】
熱可塑性のバージン材(バージンの熱可塑性樹脂又は新品の熱可塑性樹脂)を酸化劣化、熱劣化、及び/又は光劣化に対して安定化させるための安定剤組成物であって、
A)没食子酸、ヒドロキシチロソール、フラボノール、アントシアン、カルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、レスベラトロール、タンニン、シリマリン並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリフェノール、及び
B)少なくとも1つのアルジトール及び/又はシクリトール、からなる、
安定剤組成物。
【請求項17】
成分(A)と成分(B)が、5:95~90:10の重量比で存在する、
請求項16に記載の安定剤組成物。
【請求項18】
(A)没食子酸、ヒドロキシチロソール、フラボノール、アントシアン、カルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、レスベラトロール、タンニン、シリマリン並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリフェノール0.02~3.0重量部、及び
(B)少なくとも1つのアルジトール及び/又はシクリトール0.02~3.0重量部、を含む、又はからなる安定剤組成物を、
94.0~99.96重量部の熱可塑性のバージン材(バージンの熱可塑性樹脂又は新品の熱可塑性樹脂)の酸化劣化、熱劣化、及び/又は光劣化に対して安定化させるための、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性のバージン材を酸化劣化、熱劣化、及び/又は光劣化に対して安定化させるプロセスに関する。本発明によるプロセスでは、少なくとも1つのポリフェノールと、少なくとも1つのアルジトール及び/又はシクリトールを、熱可塑性のバージン材に導入する。本発明によるプロセスを用いることで、熱可塑性のバージン材を酸化劣化、熱劣化、光劣化に対して高い効果で安定化させることができ、非常に環境に優しく費用対効果の高い方法である。さらに本発明は、適切に安定化された熱可塑性のバージン材、及びそれから製造される成形用コンパウンド及び成形品に関するものである。さらに、本発明は、熱劣化、及び/又は光劣化に対して熱可塑性のバージン材を安定化させるための安定剤組成物及びその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックなどの有機材料は、経年変化により、最終的には機械的特性値などの望ましい特性が失われる。このプロセスは自己酸化と呼ばれ、酸素存在下での機械化学的プロセスや紫外線照射によるラジカル鎖切断に基づいて、分子量の変化や新しい化学基の形成など、ポリマー鎖の変化を引き起こす。そのため、この老化を防ぐ、あるいは少なくとも遅らせるために安定剤が使われる。安定剤の代表格は酸化防止剤で、自己酸化の際に発生するラジカルを妨害し、劣化プロセスを阻害する。一般的には、酸素を含むフリーラジカルやC ラジカルと直接反応できる一次酸化防止剤と、中間的に生成されるヒドロペルオキシドと反応する二次酸化防止剤とが区別されている(C. Krohnke et al. Antioxidants in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH Verlag, Weinheim 2015 参照)。一次酸化防止剤の代表的なものには、フェノール系酸化防止剤、アミン類、ラクトン類などがある。二次酸化防止剤には、ホスファイトやホスホナイトなどのリン化合物や、硫化物や二硫化物などの有機硫黄化合物がある。一般的に、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤は、実際には組み合わせて使用されることが多く、その結果、相乗効果が得られる。
【0003】
原油や天然ガスなどの化石原料から作られたプラスチックは、生化学的プロセスで入手可能な再生可能な原料から作られたプラスチックに置き換えられつつある。しかし、これに使用される一次及び二次酸化防止剤(及び化石原料から作られたプラスチックに使用される酸化防止剤)は、再生可能な原料を使用したものがまだ多くない。
【0004】
原理的には、再生可能な原料から得られる一次酸化防止剤が知られており、プラスチックにも時折使用されている。代表的なものにトコフェロール(ビタミンE)がある。トコフェロールは、従来の酸化防止剤と同様に、立体障害のあるフェノール構造を有しており、単独で使用することも、二次酸化防止剤と組み合わせて使用することもできる(例えば、S. AI- Malaika, Macromol. Symp. 2001, 176, 107)。トコフェロールは、例えば、小麦胚芽油、ヒマワリ油、オリーブ油などの天然物から単離することができる。しかし、二次酸化防止剤、すなわちホスファイト構造やホスホナイト構造は自然界には存在しないため、再生可能な原材料から一次酸化防止剤と二次酸化防止剤を相乗的に組み合わせることは、これまでのところほとんど不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、再生可能な原材料、特にバージンプラスチックをベースにして、古典的な一次酸化防止剤と二次酸化防止剤の組み合わせと少なくとも同等かそれ以上の効果を持つ、相乗効果のある安定剤の組み合わせを提供することである。また、本発明の課題は、バージンプラスチックを安定化させるプロセスと、それに対応する安定化したバージンプラスチックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する熱可塑性のバージン材を安定化させるプロセスにより、請求項10の特徴を有するプラスチック組成物により、請求項15の特徴を有するプラスチック組成物から製造可能な成形化合物又は成形物により、請求項16の特徴を有する安定剤組成物により、そして請求項18の特徴を有する安定剤組成物の使用により解決される。それぞれの従属請求項は、有利なさらなる発展を表している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
このように、本発明によれば、熱可塑性のバージン材を酸化劣化、熱劣化及び/又は光劣化に対して安定化させるプロセスが開示されており、少なくとも1つのポリフェノール(以下、「成分(A)」ともいう)と、少なくとも1つのアルジトール及び/又はシクリトール(以下、「成分(B)」ともいう)が熱可塑性のバージン材に導入されている。
【0008】
安定化させるプラスチックは、化石原料や再生可能な原料を使って製造することができる。
【0009】
熱可塑性のバージン材とは、まだ使用されていない、つまり使用サイクルを経ていないプラスチック素材のことである。このような熱可塑性のバージン材は、「バージン樹脂」や「原始的な樹脂」とも呼ばれている。熱可塑性のバージン材は、「熱可塑性のバージン材」や「新品のプラスチック」と呼ばれることもある。本発明の目的のために、熱可塑性のバージン材は、例えば、新鮮なプラスチック顆粒又はプラスチック粉末として、又は製造プロセス中に発生する溶融プラスチックとして存在することができる。このように、熱可塑性のバージン材と再生プラスチックは異なる。
【0010】
再生プラスチックとは対照的に、熱可塑性のバージン材は通常、事前に大きな損傷を受けていないか、又は受けていない。つまり、酸化的又は(光)酸化的プロセスによってポリマー鎖に新たな化学基が生成されていないか、又はごくわずかしかないのである。例えば、ポリオレフィンのリサイクル品の場合、これらの基は主にカルボニル基であり、バージン材料には存在しないか、あるいは非常に少ない程度しか存在しない。また、酸基の濃度についても同様で、バージン材にはないか、あってもごくわずかであるのに対し、リサイクル材にはかなりの濃度で含まれている。したがって、カルボニル基の濃度は、ポリマーの損傷前の状態を示す指標でもある。カルボニル基の濃度は、例えばE.I. Richaud etal. Pol.Degr.Stab.2009, 94, 410-420に記載されているように、赤外分光法などの公知の分析方法で求めることができる。ここでは、1720cm-1 の範囲のカルボニル振動の吸収を測定している。バージン材では、通常、カルボニル基の濃度は5mmol/kg以下、酸基の濃度は2mmol/kg以下である。
【0011】
驚くべきことに、ポリフェノールと糖アルコール(アルジトール/シクリトール)の組み合わせは、熱可塑性のバージン材において非常に優れた安定化効果を発揮することがわかった。
【0012】
本発明によるプロセスでは、少なくとも1つのポリフェノール(成分(A))と、少なくとも1つのアルジトール又はシクリトール(成分(B))が、熱可塑性のバージン材に導入される。成分(A)と(B)は、熱可塑性のバージン材に個別に、あるいは互いに別々に導入することができ、また、成分(A)と(B)は、成分(A)と(B)からなる組成物の形で、あるいは成分(A)と(B)からなる組成物の形で、共に熱可塑性のバージン材に導入することができる。
【0013】
さらに好ましい実施形態では、成分(A)及び(B)は、再生可能な原材料からなる。
【0014】
好ましくは、粉末、圧縮物、顆粒、液体、シロップ、溶液又はフレークとして存在し得る成分(A)及び(B)を、安定化させるべきバージンポリマーと混合し、ポリマーマトリックスを溶融物に移した後、冷却する。また、室温では固体の添加剤を、溶融状態のポリマーに導入することも可能である。
【0015】
さらに、成分(A)及び(B)は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、天然植物ワックスなどのポリマーやオリゴマーに、成分(A)及び(B)からなる安定剤組成物を、例えば10~90%含む、いわゆるマスターバッチや濃縮物の形で調製して配合することができる。
【0016】
成分(A)及び(B)は、成分(A)及び(B)を固体の形で熱可塑性のバージン材と混合し、得られた混合物を溶融した後に冷却することによって、熱可塑性のバージン材に導入することができる。
【0017】
本発明により使用される成分(A)及び成分(B)は、熱可塑性のバージン材のための相乗的な安定剤として共に作用し、それにより熱可塑性のバージン材の酸化的、熱的及び/又は光的劣化が抑制又は防止される。つまり、成分(A)とさらに成分(B)を熱可塑性のバージン材に導入することで、プラスチックを酸化劣化、熱劣化、光劣化に対して安定化される。
【0018】
本発明は特に、ポリフェノールとアルジトール(糖アルコール)及び/又はシクリトールを組み合わせて、熱可塑性のバージン材を安定化させることを特徴とする。
【0019】
ポリフェノールと糖アルコール又はポリオールの組み合わせは、熱可塑性のバージン材の安定化にはまだ使用されていない。先行技術によると、糖アルコールとポリオールは、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのハロゲン含有ポリマーの熱安定化のために、熱安定剤として金属石鹸を含む組成物に含まれる成分に過ぎない。このハロゲン含有ポリマーにおけるポリオールの安定化効果は、PVC の劣化を促進する亜鉛化合物のキレート化と不活性化が起こることで説明される(H.O. Wirth, H. Andreas, Pure Appl. Chem. 1977, 49, 627-648; T. Iida, K. Goto, J. Appl. Pol. Sci. 1980, 25, 887-900参照)、あるいはZn フリーPVC のHClスカベンジャーとしての反応を実現する(J.Steenwijk et al. Pol. Degr. Stab. 2006, 2233-2240参照)。
【0020】
本発明によれば、驚くべきことに、少なくとも1つのポリフェノールと少なくとも1つのアルジトール及び/又は少なくとも1つのシクリトールを単独で、必要に応じて少なくとも1つのさらなる一次及び/又は少なくとも1つの二次酸化防止剤と一緒に配合することで、熱可塑性のバージン材を酸化劣化、熱劣化及び/又は光劣化に対して非常に効果的に安定化させることが可能であることが判明した。また、ポリフェノールもアルジトールやシクリトールも、非常に環境に優しく、安価な化合物である。このように、本発明によるプロセスは、非常に効果的で環境に優しく安価な方法で、酸化劣化、熱劣化、及び/又は光劣化に対する熱可塑性のバージン材の安定化に使用することができる。
【0021】
好ましい実施形態によれば、ポリフェノール(A)は、少なくとも2つのフェノール基を有する少なくとも1つの芳香族基、又はそれぞれ1つのフェノール基を有する少なくとも2つの芳香族基を有しており、好ましくは、天然物質から単離されたもの、生化学的手段により天然物質から得られたもの、天然物質から化学的に修飾されたもの、又は化学的手段により天然と同一の方法で製造されたものである。
【0022】
好適なポリフェノール(A)は、例えば、没食子酸、ヒドロキシチロソール、クリシン、ケルセチン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、マリン、ケンペロール、フィセチンなどのフラボノール類、デルフィニジン及びマルビジンなどのアントシアン類、カルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、レスベラトロール、タンニン、シリマリン、その中に含まれるシリビン、イソシリビン(Isosylibin)、シリジアニン、エラグ酸である。ポリフェノールは、天然物から単離された再生可能な原料であることが好ましい。 必要に応じて、単離・精製後に化学合成変換を行うこともできる。例としては、没食子酸のエステル、例えば、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ラウリル、ステアリル、ミリスチル、セチル、オレイルガレートなどが挙げられる。さらに、天然物質は、異なる活性物質の混合物や光学異性体の混合物であることが多い。
【0023】
好ましいポリフェノールは以下の構造である。
【0024】
ガロタンニン(コリラギン)などのタンニン類
【0025】
【0026】
ケルセチン
【0027】
【0028】
クリシン
【0029】
【0030】
ネオヘスペリジン
【0031】
【0032】
レスベラトロール
【0033】
【0034】
特にタンニンやケルセチンが好ましい。
【0035】
本発明による方法のさらに好ましい変形例によれば、少なくとも1つのアルジトールは、分子式
【0036】
HOCH2[CH(OH)]nCH2OH、
【0037】
R1-OCH2[CH(OH)]nCH2OH、又は
【0038】
HOCH2[CH(OH)]n[CH(OR1)]CH2OH
【0039】
であり、n=2~6、好ましくはn=3~5 であり、R1は任意に置換された糖残基である。
【0040】
好ましくは、少なくとも1つのアルジトールは、スレイトール、エリスリトール、ガラクチトール、マンニトール、リビトール、ソルビトール、キシリトール、アラビトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、アルトリトール、イジトール、マルトトリトール、及びポリオール末端基を有する水素化オリゴ糖及び多糖類、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、少なくとも1つの好ましいアルジトールは、エリスリトール、マンニトール、イソマルト、マルチトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、少なくとも1つのアルジトールはマンニトール又はエリスリトールである。マルチトールは、技術的にはグルコースの水素化によって得られる、いわゆるシロップとして存在してもよく、マルチトール、ソルビトールに加えて、アルジトール末端基を持つ水素化されたオリゴ糖や多糖類も含まれる。アルジトールは、D 型、L 型、メソ型などの異なる光学異性体で存在することができる。
【0041】
へプチトールやオクチトールの例としてはメソ-グリセロ-アロ-ヘプチトール、D-グリセロ-D-アルトロ-ヘプチトール、D-グリセロ-D-マンノ-ヘプチトール、メソ-グリセロ-グロ-ヘプチトール、D-グリセロ-D-ガラクト-ヘプチトール(ペルセイトール)、D-グリセロ-D-グルコ-ヘプチトール、L-グリセロ-D-グルコ-ヘプチトール、D-エリトロ-L-ガラクト-オクチトール、D-スレオ-L-ガラクト-オクチトールがある。
【0042】
好ましいアルジトール及び置換アルジトールは、100℃以上の融点を持ち、低い水溶性と低い吸水性(吸湿性)を示す。さらに好ましい化合物は、ポリオレフィンの通常の処理条件で150~250℃の範囲で溶融し、250℃以上の分解温度を持つ。
【0043】
好ましいアルジトールの構造と凝固点を以下の表1 に示す。
【0044】
【0045】
前述のアルジトールに代えて、又は加えて、シクリトール、すなわち環状ポリオールも、本発明によるプロセス(又は、本発明によるプラスチック組成物の目的のために、成形組成物又は成形体又は安定剤組成物)で使用することができる。
【0046】
特に、少なくとも1つのシクリトールは、イノシトール(myo、scyllo、D-chiro-、L-chiro-、muco-、neo-、allo-、 epi-及びcis-イノシトール)、1,2,3,4-テトラヒドロキシシクロヘキサン、1,2,3,4,5-ペンタヒドロキシシクロヘキサン、クエルシトール、ビスクミトール、ボルネシトール、コンズリトール、オノニトール、ピニトール、ピンポリトール、ケブラキトール、シセリトール、キナ酸、シキミ酸、バリエノールからなる群から選択され得る。などがあり、ミオイノシトールが好ましい。
【0047】
本発明の目的のために、成分(B)として含まれるアルジトール又はシクリトールは、その重量割合に関して成分(B)全体として捉えられ、含まれるアルジトール及び/又はシクリトールの全体が本明細書において常に理解されるようになっている。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、成分(A)及び成分(B)が、5:95~90:10、好ましくは10:90~90:10、特に好ましくは20:80~80:20 の重量比で熱可塑性のバージン材に導入される。
【0049】
さらに好ましくは、本発明によるプロセスでは
【0050】
(A)少なくとも1種のポリフェノールを0.02~3.0重量部、好ましくは0.06~1.0重量部。
【0051】
(B)0.02~3.0重量部、好ましくは0.03~0.5重量部の、少なくとも1つのアルジトール及び/又は少なくとも1つのシクリトールの
【0052】
(C)94.0~99.96重量部、好ましくは98.5~99.91重量部の熱可塑性のバージン材又はその混合物。
【0053】
(A)、(B)、(C)から100%が得られるように。
【0054】
本発明の目的のためには、熱可塑性のバージン材が以下からなる群から選択される場合が特に好ましい。
【0055】
a)オレフィン又はジオレフィンのポリマー、例えば、ポリエチレン、特にLDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE、メタロセンPE(m-PE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ-4-メチル-ペンテン-l、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、ポリアルキレン-一酸化炭素共重合体、及び以下のようなランダム構造又はブロック構造の形態の対応する共重合体、例えば、ポリプロピレン-ポリエチレン(EP)、EPM 又はEPDM、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、エチレン-アクリル酸エステル、例えば、エチレン-ブチルアクリレート、エチレン-アクリル酸-グリシジルアクリレート、及び対応するグラフトポリマー、例えばポリプロピレン-g-無水マレイン酸、ポリプロピレン-g-アクリル酸及びポリエチレン-g-アクリル酸、ポリエチレン-ポリブチルアクリレート-g-無水マレイン酸、α-オレフィン、特に1-ブテンをコモノマーとして調製した長鎖分岐ポリプロピレン共重合体、1-ヘキセン、1-オクテン、1-オクタデセン、及びLLPE/LLDPE のような複数のポリマーの混合物、
【0056】
b)ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、スチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル(ABS)、スチレン-アクリロニトリル-アクリレート(ASA)、スチレン-エチレン、スチレン-無水マレイン酸ポリマー、及びこれらに対応するグラフト共重合体(例:ブタジエン上のスチレン)など、例えば、ブタジエン上のスチレン、SBS 又はSEBS 上の無水マレイン酸、メタクリル酸メチル・スチレン・ブタジエン・ABS(MABS)のグラフト共重合体、ポリビニルシクロヘキサンのような水素化ポリスチレン誘導体などがある、
【0057】
c)ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニルと塩化ビニリデンの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エピクロロヒドリンのホモ及びコポリマー、特にエチレンオキシド(ECO)などのハロゲン含有ポリマー、
【0058】
d)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリステアリルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミドなどのポリアクリレートやポリメタクリレート、及びポリアクリロニトリル-ポリアルキルアクリレートなどの対応するコポリマーなどの不飽和エステルのポリマー、
【0059】
e)ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミンなどの不飽和アルコール及びその誘導体のポリマー、
【0060】
f)ポリオキシメチレン(POM)などのポリアセタール、及びブタナールとの共重合体などの対応する共重合体、
【0061】
g)ポリフェニレンオキシド及びそのポリスチレン又はポリアミドとの混合物、
【0062】
h)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフランなどの環状エーテルのポリマー
【0063】
i)ヒドロキシ末端のポリエーテル又はポリエステルと、2,4-又は2,6-トルエンジイソシアネートやメチレンジフェニルジイソシアネートなどの芳香族又は脂肪族イソシアネートからなるポリウレタン、直鎖状ポリウレタン(TPU)又はポリウレア、
【0064】
j)例えば、ポリアミド-6、6.6、6.10、4.6、4.10、6.12、10.10、10.12、12.12、ポリアミド11、ポリアミド12 のようなポリアミドと、例えばテレフタル酸及び/又はイソフタル酸から製造されるポリフタルアミドのような(部分)芳香族ポリアミドと、例えば以下のような脂肪族ジアミン、ヘキサメチレンジアミンやm-キシリレンジアミン、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸と1,4-又は1,3-ジアミノベンゼンなどの芳香族ジアミン、PA-6 やPA6.6 などの異なるポリアミドの混合物、PA/PP などのポリアミドとポリオレフィンの混合物などがある、
【0065】
k)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリ(エーテル)ケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリヒダントイン、
【0066】
l)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ-1.0 などの脂肪族又は芳香族のジカルボン酸とジオール又はヒドロキシカルボン酸のポリエステル、4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PBT)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトンなどである、
【0067】
m)PC/ABS、PC/PBT、PC/PET/PBT、PC/PA などのポリカーボネート(PC)、ポリエステルカーボネート、及びそれらの混合物、
【0068】
n)セルロース誘導体(硝酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロースなど)、
【0069】
o)二官能又は多官能のエポキシ化合物と、例えば、アミン、無水物、ジシアンジアミド、メルカプタン、イソシアネート、又は触媒的に活性な硬化剤をベースとした硬化剤を組み合わせたエポキシ樹脂、
【0070】
p)フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などのフェノール系樹脂、
【0071】
q)不飽和ジカルボン酸及びジオールと、例えばスチレンなどのビニル化合物との不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、
【0072】
r)例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンをベースとしたシリコーンであって、前記シリコーンが末端基、例えばビニル基で完全に又は部分的に末端化されているものでもよい、
【0073】
s)デンプン、アルギン酸塩、キチン、キトサンなどの天然物質をベースにしたポリマー、
【0074】
t)及び2つ以上の前記ポリマーの混合物、組み合わせ、又は混合物である、
【0075】
上記のポリマーはすべてバージン材を使用している。
【0076】
特に好ましくは、熱可塑性のバージン材は、以下のようなオレフィン又はジオレフィンのポリマーからなる群から選択される。ポリエチレン、特にLDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE、メタロセンPE(m-PE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ-4-メチル-ペンテン-1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、ポリアルキレン-一酸化炭素共重合体、及び以下のようなランダム構造又はブロック構造の形態の対応する共重合体など、例えば、ポリプロピレン-ポリエチレン(EP)、EPM 又はEPDM、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、エチレン-ブチルアクリレート、エチレン-アクリル酸-グリシジルアクリレートなどのエチレン-アクリル酸エステル、及びポリプロピレン-g-無水マレイン酸、ポリプロピレン-g-アクリル酸、ポリエチレン-g-アクリル酸などの対応するグラフトポリマーである。
【0077】
非常に好ましくは、熱可塑性のバージン材はポリオレフィンである。例えば、熱可塑性のバージン材は、ポリプロピレン(特にポリプロピレン)やポリエチレン(特にポリエチレン)であってもよい。
【0078】
さらに、再生可能な原料から作られたポリマーが特に好ましく、特にポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PBT)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート(PBS)などのポリエステルや、ポリアミド-10,10 やポリアミド-11 などの再生可能な原料から作られたポリアミドが好ましい。
【0079】
別の好ましい実施形態では、ポリマーはハロゲンフリーである。
【0080】
さらに、追加の安定剤、例えばさらなる一次酸化防止剤を熱可塑性のバージン材に配合することも可能である。しかし、本発明によるプロセスの目的のためには、フェノール系酸化防止剤の使用を省略することも同様に可能である。熱可塑性のバージン材を安定化させるために一次酸化防止剤を使用する場合、フェノール系酸化防止剤、アミン類、ラクトン類、及びそれらの混合物からなる群から選択することが好ましい。
【0081】
使用可能な他のフェノール系酸化防止剤としては、以下のものがある:
【0082】
アルキル化されたモノフェノール類。2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノールである。2-(a-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、などの直鎖状又は分岐状のノニルフェノール類、例えば、2,6-ジノニル-4-メチル-フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルウンデック-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(l'-メチルヘプタデック-l'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルトリデック-1’-イル)フェノール、及びこれらの混合物などがある;
【0083】
2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノールなどのアルキルチオメチルフェノール類;
【0084】
などのヒドロキノンやアルキル化ヒドロキノン。2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール(2,6-Di-tert-ブチル-4-メトキシフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン。2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニル)アジペート;α-,β-,γ-,δ-トコフェロール及びこれらの混合物などのトコフェロール(ビタミンE);
【0085】
水酸化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチル-フェノール)、2,2'-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-di-sec-アミルフェノール)、4,4'-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド;
【0086】
アルキリデンビスフェノール類である、2,2'-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2,-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2,2,-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2,-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2,-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2,-エチリデンビス(4,6-di-tert-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール) 、2,2'-メチレンビス[6-(a-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2'-メチレンビス[6-(a.a-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4'-メチレンビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス(3'-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル) ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]-テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン;
【0087】
0-,N-,S-ベンジル化合物、例えば、以下のようなものである、3,5,3',5'-テトラ-tert-ブチル-4,4'-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン, , ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート, ビス(3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド, イソオクチル-3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート;
【0088】
ヒドロキシベンジル化されたマロネート、例えばジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル-2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-ベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート;
【0089】
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノールなど;
【0090】
トリアジン系化合物、2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート;
【0091】
ベンジルホスホネート、例えばジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩;
【0092】
アシルアミノフェノール類、例えば、4-ヒドロキシラウラニリド、4-ヒドロキシステアラニリド、オクチル-N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバメートなど;
【0093】
β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一水和物又は多水和物のアルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-l-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン
【0094】
β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価のアルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトールなど、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-l-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1ジメチルエチル]-2,4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;
【0095】
β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一水和物又は多水和物アルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトールなど、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール(3-Thiaundecanol)、3-チアペンタデカノール(3-Thiapentadecanol)、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-l-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン
【0096】
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル、例えば、以下のようなもの、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトールなど、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-l-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;
【0097】
β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸 のアミド、例えばN,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミドN,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N'-ビス[2-(3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(Naugard*XL-1、Addivant 社が販売);
【0098】
アスコルビン酸(ビタミンC)。
【0099】
特に好ましいフェノール系酸化防止剤は、以下の構造である。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
その他の好ましいフェノール系酸化防止剤は、トコフェロール(ビタミンE)のような再生可能な原料を用いたモノフェノール系酸化防止剤である。
【0105】
最も好ましくは、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]又はオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを一次酸化防止剤として使用する。
【0106】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、以下のようなものが使用できる:
【0107】
N,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(l,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N'-ジメチル-N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p'-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチル-フェノール、2,4'-ジ-アミノジフェニルメタン、4,4'-ジ-アミノジフェニルメタン、N,N,N',N'-テトラメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチル-フェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1',3'-ジメチルブチル)-フェニル]アミン、tert-オクチル化N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノ-及びジアルキル化されたtert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物。モノ及びジアルキル化されたノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシル-ジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化tert-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化tert-オクチルフェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N',N'-テトラフェニル-1,4-ジアミノブト-2-エン、及びこれらの混合物又は組み合わせ。
【0108】
好ましいアミン系酸化防止剤は以下である:
【0109】
N,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン。
【0110】
その他の好ましいアミン系酸化防止剤としては以下の通りである:
【0111】
N,N-ジアルキルヒドロキシルアミン、N,N-ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N-ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N-ジステアリルヒドロキシルアミン、N-ベンジル-α-フェニルニトロン、N-オクタデシル-α-ヘキサデシルニトロン、その組成によればGenox EP(Addivant社より販売)などのヒドロキシルアミン又はN-オキシド(ニトロン):
【0112】
好ましいラクトンは以下である:
【0113】
ベンゾフラノン類、インドリノン類、例えば3-(4-(2-アセトキシエトキシ)フェニル]-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-[4-(2-ステアロイルオキシエトキシ)-フェニル]ベンゾフラン-2-オン、3,3'-ビス[5,7-ジ-tert-ブチル-3-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)ベンゾフラン-2-オン]、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(4-エトキシフェニル)ベンゾフラン-2-オン、3-(4-アセトキシ-3,5-ジメチルフェニル)-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(3,5-ジメチル-4-ピバロイルオキシフェニル)-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(3,4-ジメチルフェニル)-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(2,3-ジメチルフェニル)-5,7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、及びさらにホスファイト基を有するラクトン類。
【0114】
本発明によるプロセスのさらに好ましい変形例は、少なくとも1つの二次酸化防止剤が、リン化合物、特にホスファイト及びホスホナイト、有機硫黄化合物、特にスルフィド及びジスルフィド、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0115】
ホスファイト又はホスホナイトとしては、例えば、以下のものが挙げられる:
【0116】
トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト。ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト。ビス(2,4-ジ-クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)。トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニルエンジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチル-フェニル)エチルホスファイト、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチル-ジベンズ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、2,2'2”-ニトリロ[トリエチルトリス(3,3",5,5'-テトラ-tert-ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイト]、2-エチルヘキシル(3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2’-ジイル))ホスファイト、5-ブチル-5-エチル-2-(2,4,6-トリ-tert-ブチル-フェノキシ)-1,3,2-ジオキサホスフィラン。
【0117】
特に好ましいホスファイト/ホスホナイトは以下の通りである:
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
n=3-100
【0123】
特に好ましくは、二次酸化防止剤として亜リン酸トリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトを使用する。
【0124】
好ましいイオウ化合物は以下の通りである:
【0125】
チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジラウリル;ジチオプロピオン酸ジトリデシル、チオジプロピオン酸ジテトラデシル、3-(ドデシルチオ)-1,1'-[2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-l-オキソプロポキシ]メチル]-l,3-プロパンジイル]プロパン酸エステル。
【0126】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つのさらなる一次酸化防止剤に加えて、二次酸化防止剤を使用することができる。
【0127】
熱可塑性のバージン材にさらなる成分を添加する場合、これらは液体、粉末、顆粒、圧縮製品の形で別々に、あるいは上述の本発明による添加剤組成物と一緒にポリマーに添加することができる。
【0128】
添加材はUV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、充填剤不活性化剤、抗オゾン剤、核形成剤、抗核剤、衝撃改質剤、可塑剤、抗可塑剤、潤滑剤、レオロジー改質剤、チキソトロピー剤、鎖延長剤、光学増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、熱伝導性及び/又は電気伝導性の添加剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤、架橋剤、架橋防止剤、親水化剤、疎水化剤、接着促進剤、分散剤(Dipergiermitteln)、相溶化剤、酸素捕捉剤、酸捕捉剤、発泡剤(Treibmitteln)、分解防止添加剤(Abbau-Additiven)、消泡剤、臭気捕捉剤、マーキング剤、防曇剤、充填剤、補強剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0129】
さらに、少なくとも1つの添加剤が熱可塑性のバージン材に追加導入されることが好ましく、これらの添加剤は以下からなるグループから選択される:
【0130】
a)酸捕捉剤、好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、乳酸カルシウム、ステアロイル-2-乳酸カルシウム、ハイドロタルサイト、特にアルミニウム、マグネシウム及び亜鉛をベースにした合成ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、ゼオライト、アルカリ土類酸化物、特に酸化カルシウム及び酸化マグネシウム、アルカリ土類炭酸塩、特に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びドロマイト並びに水酸化物、特にブルーサイト(水酸化マグネシウム)など、
【0131】
b)光安定剤、好ましくはヒンダードアミン類の光安定剤、
【0132】
c) 分散剤
【0133】
d)フィラー不活性化剤、及び
【0134】
その混合物。
【0135】
適切な光安定剤は、例えば、2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシベンゾフェノン、安息香酸のエステル、アクリレート、オキサミド、及び2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジンをベースにした化合物である。
【0136】
適切な2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールとしては、例えば、2-(2'-ヒドロキシ-5'メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-tert-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-sec-ブチル-5'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-tert-アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-オクチルオキシ-カルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-5'-[2-(2-エチル-ヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2'-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3'-ドデシル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2'-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール];など、2-[3'-tert-ブチル-5'-(2-メトキシカルボニルエチル)-2'-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300によるトランスエステル化の生成物;[R-CH2CH2-COO-CH2CH2-]-2、ここで、R=3'-tert-ブチル-4'-ヒドロキシ-5'-2H-ベンゾトリアゾール-2-イルフェニル、2-[2'-ヒドロキシ-3'-(α,α-ジメチルベンジル)-5'-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3'-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-5'-(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールである。
【0137】
適切な2-ヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、4-ヒドロキシ-、4-メトキシ-、4-オクチルオキシ-、4-デシルオキシ-、4-ドデシルオキシ-、4-ベンジルオキシ-、4,2’,4'-トリヒドロキシ-、2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメチルオキシ(dimethyoxy)-などの誘導体が挙げられる、
【0138】
適切なアクリレートとしては、例えば、エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、イソオクチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-α-カルボメトキシシンナメートなどが挙げられる、メチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、ブチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、メチル-α-カルボメトキシ-p-メトキシシンナメート、N-(β-カルボメトキシ-β-シアノビニル)-2-メチルインドリン、
【0139】
安息香酸の適切なエステルとしては、例えば、サリチル酸4-tert-ブチルフェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジtert-ブチルフェニル-3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル-3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジtert-ブチルフェニル-3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートなどがある。
【0140】
適切なオキサミドとしては、4,4,-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2'-ジエトキシ-オキサニリド、2,2'-ジオクチルオキシ-5,5'-ジ-tert-ブトキサニリド、2,2'-ジドデシルオキシ-5,5'-ジ-tert-ブトキサニリド、2-エトキシ-2'-エチルオキサニリド、N,N'-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2-エトキシ-5-tert-ブチル-2'-エトキサニリドとその混合物、2-エトキシ-2'-エチル-5,4'-ジ-tert-ブトキサニリドの混合物、o-及びp-メトキシ二置換オキサニリドの混合物、o-及びp-エトキシ二置換オキサニリドの混合物である。
【0141】
適切な2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジンとしては、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル-1,3,5-トリアジン)、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)-フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)-フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ)-フェニル-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル]-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-{2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピロキシ]-フェニル}-4,6‐ビス(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5-トリアジンである。
【0142】
適切な金属不活性化剤としては、例えば、N,N'-ジフェニルオキサミド、N-サリチル-N'-サリチルヒドラジン、N,N'-ビス(サリチル)ヒドラジン、N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3-サリチルアミノ-1,2,4-トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N'-ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N'-ビス(サリチロイル)オキシリルジヒドラジド,N,N'-ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドである。
【0143】
適切なヒンダードアミンとしては、例えば、1,1-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(sebazat)、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(sebazat)、1-シクロヘキシルオキシ-2, 2, 6,6-テトラメチル-4-オクタデシルアミノピペリジン、ビス(1-アシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N'-ビス-ホルミル-N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、(33a)ビス(1-ウンデカニルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-アミノピペリジン、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ-スピロ[4,5]デカン-トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリ-アセテート1,1'-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、3-n-オクチル-7,7.9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合物、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの直鎖状又は環状の縮合物、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-l,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,1'-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの直鎖状又は環状の縮合物、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ-[4,5]デカンとエピクロルヒドリンの反応生成物である。上記の構造には、それぞれの場合において、立体障害を持つN-H、N-メチルやN-オクチルなどのN-アルキル、N-メトキシやN-オクチルオキシなどのN-アルコキシ誘導体、N-シクロヘキシルオキシなどのシクロアルキル誘導体、N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)類縁体も含まれる、
【0144】
好ましいヒンダードアミンは、さらに以下の構造を有する。
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
好ましいオリゴマー及びポリマーのヒンダードアミンは、以下の構造を有する。
【0150】
【0151】
【0152】
前述の化合物の場合、n はいずれも3~100を意味する。
【0153】
適切な分散剤としては:
【0154】
ポリアクリレート、例えば長鎖の側鎖を持つコポリマー、ポリアクリレートブロックコポリマー、アルキルアミド:例えばN,N'-1,2-エタンジイルビスオクタデカンアミド、ソルビタンエステル、例えばモノステアリルソルビタンエステル、長鎖の置換基を持つチタネート及びジルコネートそれぞれ、官能基を持つ反応性コポリマー、例えば以下のようなもの。ポリプロピレン-co-アクリル酸、ポリプロピレン-co-無水マレイン酸、ポリエチレン-コ-グリシジルメタクリレート、ポリスチレン-alt-無水マレイン酸、ポリシロキサン:例えば、ジメチルシランジオール-エチレンオキシド共重合体、ポリフェニルシロキサン共重合体、両親媒性共重合体:例えばポリエチレン-ブロック-ポリエチレンオキシド、デンドリマー、例えばヒドロキシル基を含むデンドリマーなどである。
【0155】
適切な核形成剤は、例えば、タルク、安息香酸、コハク酸、アジピン酸などの単官能及び多官能カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類の塩、例えば、安息香酸ナトリウム、グリセリン酸亜鉛、ヒドロキシ-ビス(4-tert-ブチル)安息香酸アルミニウム、ベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(ベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4-ビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトール、2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートなどのトリスアミドやジアミドなど、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリ(4-メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(tert.ブチルアミド)、N,N',N"-1,3,5-ベンゼントリルトリス-(2,2-ジメチルプロパンアミド)又は2,6-ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミドである。
【0156】
適切な抗核剤としては、例えば、ニグロシンなどのアジン系色素、イオン液体及び/又はリチウム塩などが挙げられる。
【0157】
適切な難燃剤は以下の通りである。
【0158】
a)Al(OH)3、Mg(OH)2、AlO(OH)、MgC03 などの無機系難燃剤、モンモリロナイトやセピオライトなどのフィロ珪酸塩、非修飾又は有機修飾の無機系難燃剤、例えば以下のような二重塩など、Mg-Al 珪酸塩、POSS(多面体オリゴメリックシルセスキオキサン化合物)、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、ハロイサイト、Sb203(ATO)、Sb205、Mo03、モリブデン酸アンモニウム(AOM)、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスタン酸亜鉛、
【0159】
b)窒素含有難燃剤、例えばメラミン、メレム、メラム、メロン、メラミン誘導体、メラミン縮合物又はメラミン塩、ベンゾグアナミン、ポリイソシアヌレート、アラントイン、ホスファセン、特にメラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンアルミニウムホスフェート、メラミン亜鉛ホスフェート、メラミンマグネシウムホスフェートなどのメラミン金属ホスフェート、及びこれらに対応するピロホスフェート、ポリホスフェート、ポリ[2,4-(ピペラジン-1,4-イル)-6-(モルホリン-4-イル)-1,3,5-トリアジン]、ポリリン酸アンモニウム、ホウ酸メラミン、ホウ酸メラミンヒドロブロミド、
【0160】
c)ラジカル形成剤、例えばアルコキシアミン、ヒドロキシルアミンエステル、アゾ化合物、スルフェンアミド、スルフェンイミド、ジクミル又はポリクミル、ヒドロキシイミド及びその誘導体、例えばヒドロキシイミドエステル又はヒドロキシイミドエーテル、
【0161】
d)赤リン、レゾルシノール二リン酸、ビスフェノールA二リン酸及びそれらのオリゴマー、リン酸トリフェニル、エチレンジアミン二リン酸などのリン酸塩、次亜リン酸塩などのホスフィン酸塩、及びアルキルホスフィン酸塩などのその誘導体などのリン含有難燃剤、例えばジエチルホスフィネートアルミニウム又はジエチルホスフィネート亜鉛又はホスフィネートアルミニウム、亜リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウム、ホスホン酸エステル、メタンホスホン酸のオリゴマー及びポリマー誘導体、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスホリルフェナントレン-10-オキシド(DOPO)及びその置換化合物、
【0162】
e)ポリ臭化ジフェニルオキシドなどのハロゲンを含む塩素系及び臭素系の難燃剤、例えば、デカブロモジフェニルオキシド、トリス(3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、テトラブロモフタル酸、1,2-ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ジフェニルエタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、エチレン-ビス-(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリブタジエン、又はそれぞれポリスチレン-臭素化ポリブタジエン共重合体、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化エポキシ樹脂、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化ポリカーボネート、任意にSb203やSb205とを組み合わせて使用される、
【0163】
f)ホウ酸亜鉛やホウ酸カルシウムなどのホウ酸塩、任意にシリカなどのキャリアー材料上に存在する、
【0164】
g)元素状硫黄、二硫化物、ポリ硫化物、硫化チウラム、ジチオカルバメート、メルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミドなどの含硫黄化合物、
【0165】
h)ポリテトラフルオロエチレンなどの滴下防止剤、
【0166】
i)ポリフェニルシロキサンなどのケイ素含有化合物
【0167】
j)カーボンナノチューブ(CNT)、剥離性のグラファイト、グラフェンなどの炭素修飾物、
【0168】
k)及びその組み合わせ又は混合物。
【0169】
適切な充填材及び補強材としては、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、ガラスビーズ(中実又は中空)、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、メトキシド及び金属水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、木粉、又はセルロースなどの天然物の繊維、ポリエステル繊維やポリアミド繊維などの合成繊維などの合成又は天然物が挙げられる。他の適切な充填剤は、ハイドロタルサイト又はゼオライト、あるいはモンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、マイカ、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガダイト、イライト、カオリナイト、ウォラストナイト、アタパルジャイトなどの層状ケイ酸塩である。
【0170】
適切な顔料は、無機物でも有機物でもよい。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、ウルトラマリン、カーボンブラック、有機顔料としては、例えば、アントラキノン類、アンタントロン(Anthanthrone)類、ベンズイミダゾロン類、キナクリドン類、ジケトピロロピロール類、ジオキサジン類、インダントロン類、イソインドリノン類、アゾ化合物、ペリレン類、フタロシアニン類、ピラントロン類などが挙げられる。他の適切な顔料は、金属ベースの効果顔料又は金属酸化物ベースの真珠光沢顔料である。
【0171】
ポリエステルやポリアミドなどの重縮合ポリマーの直鎖状分子量構造に適した鎖延長剤としては、例えば、ジエポキシド、ビスオキサゾリン、ビスオキサゾン、ビスオキサジン、ジイソシアネート、二無水物、ビスアシルラクタム、ビスマレイミド、ジシアネート、カルボジイミド、ポリカルボジイミドなどが挙げられる。その他の適切な鎖延長剤は、ポリスチレン-ポリアクリレート-ポリグリシジル(メタ)アクリレート共重合体、ポリスチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン-無水マレイン酸共重合体などの高分子化合物である。
【0172】
適切な蛍光増白剤は、例えば、ビスベンゾオキサゾール、フェニルクマリン又はビス(スチリル)ビフェニルであり、特に、下記式の蛍光増白剤である:
【0173】
【0174】
【0175】
適切なフィラー不活性化剤は、例えば、ポリシロキサン、ポリアクリレート、特にポリメタクリル酸ポリアルキレンオキシドやポリグリシジル(メタ)アクリレートなどのブロックコポリマー、及びそれらと例えばスチレンとのコポリマー、及び例えば以下の構造のエポキシドである。
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
n=1-10
【0183】
【0184】
【0185】
適切な帯電防止剤は、例えば、エトキシル化アルキルアミン、脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸塩、ポリエーテルアミドなどのポリマーである。
【0186】
適切な抗オゾン剤としては、以下のような上述のアミン類が挙げられ、例えばN,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジsec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン。N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンなどがある。
【0187】
適切な導電性添加剤としては、すでに述べた帯電防止剤のほか、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、銅や銀などの金属粉末、さらにはポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーなどの導電性フィラーが挙げられる。
【0188】
適切な熱伝導性添加剤としては、アルミノケイ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などがある。
【0189】
適切な臭気捕捉剤としては、例えば、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ケイ酸塩などの無機吸収剤や、リシノール酸亜鉛(Zinkriceneolat)やエポキシドなどの有機錯化剤や反応性化合物が挙げられる。
【0190】
適切なマーカーは、例えば、蛍光染料、希土類、又はイットリウム酸硫化物、ガドリニウム酸硫化物又はセリウム-タンタル酸化物などのアンチストークス結晶であり、これらの結晶にはエルビウムやイッテルビウムなどの希土類がドープされており、赤外線照射により発光を示す。これらのマーカーは、ポリマーや添加剤にppm単位で少量を添加して、製造者などの識別に利用できる。
【0191】
適切な離型剤としては、モンタンワックスが挙げられる。
【0192】
成分(A)及び(B)、及び必要に応じて追加の添加剤をプラスチックリサイクル材に組み込むことは、従来の処理方法で行うことができ、ポリマーを溶融し、本発明による添加剤組成物、及び必要に応じて追加の添加剤と、好ましくは混合機、ニーダー、押出機によって混合する。加工機としては、単軸押出機、二軸押出機、遊星歯車押出機、リング押出機、コークニーダーなどの押出機が好ましく、これらは真空脱気装置を備えているのが好ましい。この場合、処理は空気中、あるいは必要に応じて窒素などの不活性ガス条件下で行うことができる。
【0193】
本発明はさらに、以下を含む、又は以下からなるプラスチック組成物に関するものである、
【0194】
(A)少なくとも1つのポリフェノール。
【0195】
(B)少なくとも1つのアルジトール及び/又は1つのシクリトール
【0196】
(C)少なくとも1つの熱可塑性のバージン材又はその混合物。
【0197】
好ましい実施形態では、プラスチック組成物は、以下を含むことを特徴とする。
【0198】
(A)少なくとも1種のポリフェノールを0.02~3.0重量部、好ましくは0.06~1.0重量部。
【0199】
(B)0.02~3.0重量部、好ましくは0.03~0.5重量部の、少なくとも1つのアルジトール及び/又は少なくとも1つのシクリトール、及び
【0200】
(C)熱可塑性のバージン材又はその混合物を94.0~99.96重量部、好ましくは98.5~99.91重量部。
【0201】
(A)、(B)、(C)を合わせて100%が得られるように、又はそれらからなる。
【0202】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1つの一次酸化防止剤と少なくとも1つの二次酸化防止剤からなるが、本発明による組成物がさらなる一次酸化防止剤及び/又は二次酸化防止剤を含まないことも同様に可能である。
【0203】
使用可能なポリフェノール、アルジトール、シクリトール、及びそれらの混合比に関しては、本発明によるプロセスに関連した上記の説明を参照し、これらは本発明によるプラスチック組成物にも完全に適用される。これは、熱可塑性のバージン材のうち、使用可能なプラスチックについても同様である。
【0204】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明によるプラスチック組成物はさらに、UV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、充填剤不活性化剤、抗オゾン剤、核形成剤、抗核剤、衝撃改質剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー改質剤、チキソトロピー剤、鎖延長剤、蛍光増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤、架橋剤、アンチクロスリンク剤、親水化剤、疎水化剤、接着促進剤、分散剤(Dipergiermitteln)、相溶化剤、脱酸素剤、脱酸剤、発泡剤、分解防止添加剤(Abbau-Additiven)、消泡剤、消臭剤、マーキング剤、防曇剤、充填剤、補強剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む。
【0205】
さらに、プラスチック組成物が、以下からなるグループから選択された少なくとも1つの添加剤をさらに含むことが好ましい。
【0206】
a)酸捕捉剤、好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ステアロイル-2-乳酸カルシウム、ハイドロタルサイト、特にアルミニウム、マグネシウム及び亜鉛をベースとする合成ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、ゼオライト、アルカリ土類の酸化物(特に酸化カルシウム、酸化マグネシウム)、酸化亜鉛、アルカリ土類の炭酸塩、特に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、水酸化物、特にブルーサイト。
【0207】
b)光安定剤、好ましくはヒンダードアミン類の光安定剤、
【0208】
c)分散剤
【0209】
d)フィラー不活性化剤、及び
【0210】
それらの混合物。
【0211】
好ましくは、本発明によるプラスチック組成物は、熱可塑性のバージン材を酸化劣化、熱劣化及び/又は光劣化に対して安定化させるための本発明によるプロセスによって製造することができるものか、又は製造したものである。
【0212】
本発明によるプラスチック組成物の別の好ましい実施形態は、少なくとも1つの二次酸化防止剤が、リン化合物、特にホスファイト及びホスホナイト、有機硫黄化合物、特にスルフィド及びジスルフィド、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0213】
特に好ましくは、亜リン酸トリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが、本発明によるプラスチック組成物の二次酸化防止剤である。
【0214】
本発明はまた、本発明によるプラスチック組成物から製造することができる成形組成物又は成形品、特に射出成形品、フィルム、フォイル、ラッカー、コーティング、発泡体、繊維、ケーブル、チューブ、プロファイル、中空体、テープ、膜、例えばジオメンブレン(Geomembranen)及び/又は接着剤の形態にも関するものであり、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、紡績成形、塗装成形、ディッピング成形、回転成形などの方法で製造され、例えば、電気産業、建設産業、輸送産業、医療産業、家電製品、車両部品、機械工学、農業用途、医療技術、消費財、スポーツ用品、包装、家具、繊維製品に用いられる。
【0215】
さらに、本発明は、熱可塑性のバージン材を酸化劣化、熱劣化、及び/又は光劣化に対して安定化させるための安定剤組成物にも関しており、以下の構成からなる。
【0216】
(A)少なくとも1つのポリフェノール、及び
【0217】
(B)少なくとも1つのアルジトール及び/又は少なくとも1つのシクリトール
【0218】
好ましくは、成分(A)と成分(B)は、5:95~90:10、好ましくは10:90~90:10、特に好ましくは20:80~80:20 の重量比で存在する。
【0219】
本発明によるプロセスに関して、及び本発明によるプラスチック組成物に関して(例えば、使用される可能な成分及び添加剤に関して)すでに記載されたすべての好ましい変形例、例示的な実施形態及びコメントは、本発明による安定剤組成物にも適宜適用される。
【0220】
本発明はまた、以下を含む、又は以下からなる安定剤組成物の使用に関するものである。
【0221】
(A)少なくとも1つのポリフェノール、及び
【0222】
(B)少なくとも1つのアルジトール及び/又は少なくとも1つのシクリトール
【0223】
未使用の熱可塑性樹脂や新品の熱可塑性樹脂の酸化劣化、熱劣化、光劣化に対する安定化を目的とする。
【0224】
本発明によるプロセスに関して、及び本発明によるプラスチック組成物に関して、及び本発明による安定剤組成物に関して(例えば、使用可能な成分及び添加剤に関して)、すでに記載されたすべての好ましい変形例、例示的な実施形態及び説明も、本発明による安定剤組成物又はその使用に適宜適用される。
【0225】
以下の実施形態例を参照して、本発明を具体的に図示されたパラメータに限定することなく、より詳細に説明する。
【0226】
3.4 設計例
【0227】
例1
【0228】
本発明による安定剤の効果を試験するために、市販のポリプロピレン(Moplen HP 500N、Lyondell Basell Industries)を表2 に示す安定剤との粉体混合物で均質化し、二軸マイクロ押出機(MC 5、メーカーDSM)で200℃、200rpm で30 分間再循環させ、力の減少を記録した。この力は、ポリプロピレンの分子量をそのまま表しており、減少量が少ないほど安定性が高い。
【0229】
表2: ポリプロピレンの安定化
【0230】
【0231】
A0-1:ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩 P-l:トリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト
【0232】
本試験では、試験期間中のポリマーの劣化が少ないことから、本発明による相乗効果のある組み合わせは、A0-1とP-1の市販の合成品の相乗効果のある組み合わせ(比較例2)よりも優れていることが証明された。一方、個々の成分は、添加していないポリマーに近い状態で劣化が起こるため、ほとんど影響を受けない。
【0233】
例2
【0234】
本発明による安定剤の効果をさらに試験するために、粒状材料の形態で市販されている基本的な安定化ポリプロピレン(Moplen HP 500N、Lyondell Basell Industries)を、表3に示されている粉末状の安定剤と一緒に均質化し、16 mmの二軸押出機(PTW 16、メーカー:Haake、L/D比:20)で押し出してペレット化した。最高温度210℃、回転数140rpmで押し出し造粒した。押出成形後、DIN/ISO 1133 に基づいてメルトボリュームフローレート(MVR、230℃/2.16 kg)を測定した。
【0235】
表3:ポリプロピレンの安定化:押出成形
【0236】
【0237】
サボスタブUV40 は、1,6-ヘキサンジアミン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)ポリマーと2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、そしてN-ブチル-1-ブタンアミンとN-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物で、次の式で表される。
【0238】
【0239】
アラルダイトGT 6071 は、ハンツマン社の商品である。
【0240】
比較例と比べて、本発明による実施例は、加工中に低いMVRを示したことから、劣化が少なく、したがって加工安定性が向上している。
【0241】
例3
【0242】
本発明による安定剤の効果をさらに試験するために、市販のポリプロピレン(Moplen HP500N,Lyondell Basell Industries,ベース安定化(basis-stabilisert)を、表4 に記載の安定剤との粉末-粉末混合物の形で均質化し、11mm の二軸押出機(Process 11,製造者:Thermo Fisher,L/D 比:40)を用いて、230℃ の最高温度と200rpm で押出成形し、ペレット化した。押し出し後、ISO DIN/ISO 1133 に基づいてMVR(230℃/2.16kg)を測定した。
【0243】
表4: ポリプロピレンの安定化: 押出
【0244】
【0245】
比較例と比べて、本発明による実施例は、加工中に低いMVR を示し、すなわち劣化が少なく、したがって加工安定性が向上する。
【0246】
例4
【0247】
本発明による安定剤の効果をテストするために、市販のポリ乳酸(PLA、Luminyl L130、メーカー、Corbion-Purac)も、予備乾燥(90℃、70時間)後に表5に記載の安定剤との粉末-粉末混合物で均質化し、二軸マイクロエクストルーダー(MC 5、メーカーDSM)で210℃、200rpm で30 分間循環させ、力の減少を記録した。この力はPLA の分子量を表す直接的な指標であり、減少するほど安定化効果が高くなる。
【0248】
表5:ポリ乳酸の安定化
【0249】
【0250】
本発明による相乗効果のある組み合わせは、劣化が少ない、つまり残存率(Restkraft)が高いことから、明らかな安定化効果を示している。
【0251】
ポリ乳酸の安定化と同様に、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンテレフタレート、結晶ポリスチレン、HD ポリエチレン、ポリアミド-6、ABS でも試験を行った。いずれの場合も、出発材料であるポリマーと比較して、相応の安定化効果が見られる。
【0252】
例5
【0253】
比較例6、7 及び8、ならびに本発明による実施例10、11 及び12 の顆粒を、対流式オーブンで150℃ で5日間保存し、DIN/ISO 1133 に従ってMVR を測定した。これは、本発明による組成物が比較例よりも低いMVRの上昇を示すこと、すなわち、分子量保持が改善され、その結果、長期熱安定性が改善されることを示している。その結果を表6 に示す。
【0254】
表6:長期熱老化
【0255】
【0256】
さらに、本発明による実施例7 は、対流式オーブンで150℃ で504 時間保存したが、保存後のMVR 値は15.0[cm3/10 分]で変化がなかった。