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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】機械の遮音のための装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/24 20060101AFI20240724BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240724BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20240724BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H02K5/24 Z
H05K5/02 L
F16B5/07 F
H02K5/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021535651
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2019084386
(87)【国際公開番号】W WO2020126661
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】102018133366.8
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513044337
【氏名又は名称】アドラー ペルツァー ホルディング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Adler Pelzer Holding GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リーデラー、フランク
(72)【発明者】
【氏名】カルチ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ、フォルクマー
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205344(JP,A)
【文献】実開昭58-051484(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0099275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
H05K 5/02
F16B 5/07
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の遮音のための装置であって、
66~90の範囲のショアA硬度を有する外側層としてのプラスチック製キャリア層(28)と、内側層としての吸音層(30)とを備える吸音複合材料壁(26)を有するスリーブ(12)を備えており、
前記複合材料壁(26)は、互いに重なって位置する2つの縁領域(22、24)を有し、前記縁領域(22、24)の各々は、境界縁(18、20)を有し、前記縁領域(22、24)を、少なくとも1つの差し込み接続機構(32)によって互いに接続でき、
前記少なくとも1つの差し込み接続機構(32)は、前記複合材料壁(26)の一方の第1の縁領域(2)に配置された差し込みタブ(34)と、前記複合材料壁(26)の他方の第2の縁領域(20)に配置され、前記差し込みタブ(34)を差し込むことができる収容要素(52)とを有し、
前記差し込みタブ(34)は、前記プラスチック製キャリア層(28)に接続された端部(38)と、前記端部(38)から遠ざかる方を向いており、挿入端(40)ならびに上面(46)および下面(48)を備えている端部部分(42)とを有するウェブ(36)を有し、
前記ウェブ(36)は、前記端部部分(42)の前記下面(48)に少なくとも1つの係止凹部(50)を有し、
前記少なくとも1つの差し込み接続機構(32)の前記収容要素(52)は、前記挿入端(40)および前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)の前記端部部分(42)の少なくとも一部分のための前記第1の縁領域(22)に面する挿入開口部(56)と、前記差し込みタブ(34)の前記挿入開口部(56)への挿入の方向に見たときに前記第2の縁領域(24)において前記挿入開口部(56)の前方に配置された係止突起(58)とを有し、前記係止突起(58)は、前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)の前記挿入端(40)が前記挿入開口部(56)に収容されるときに、前記下面(48)の前記係止凹部(50)に潜り込む、装置。
【請求項2】
前記収容要素(52)の前記係止突起(58)と前記第2の縁領域(24)の前記境界縁(20)との間に、押さえブラケット(60)が配置されており、前記押さえブラケット(60)は、前記差し込みタブ(34)の前記挿入開口部(56)への挿入方向に見て前記係止突起(58)の前方に配置された前記差し込みタブ(34)のための通過開口部(62)を形成している、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)は、前記複合材料壁(26)の前記第1の縁領域(22)の前記境界縁(18)から突出し、前記収容要素(52)は、前記複合材料壁(26)の前記第2の縁領域(24)に配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの差し込み接続機構(32)の前記差し込みタブ(34)および前記収容要素(52)は、前記プラスチック製キャリア層(28)上に配置されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)の前記端部部分(42)は、上面(46)に隆起した厚くされた領域を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記隆起した厚くされた領域は、前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)の前記挿入端(40)から遠ざかる方を向いた係止段部(64)を有し、前記係止段部(64)は、前記ウェブ(36)の前記上面(46)に対して下方へ向かって直角に延びる係止面(66)によって形成され、前記収容要素(52)の前記押さえブラケット(60)の前記挿入開口部(56)に面する縁(68)に当接するように設けられている、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記収容要素(52)の前記挿入開口部(56)を形成する、前記プラスチック製キャリア層(28)上および/または前記プラスチック製キャリア層(28)の突出するリブ(54)、前記収容要素(52)の前記係止突起(58)、ならびに前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)、および前記収容要素(52)の前記押さえブラケット(60)、および前記係止段部(64)を備える前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)の前記隆起した厚くされた領域は、前記プラスチック製キャリア層(28)の材料で作られている、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記収容要素(52)の前記挿入開口部(56)を形成する、前記プラスチック製キャリア層(28)上および/または前記プラスチック製キャリア層(28)の突出するリブ(54)、前記収容要素(52)の前記係止突起(58)、ならびに前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)、および前記収容要素(52)の前記押さえブラケット(60)、および前記係止段部(64)を備える前記差し込みタブ(34)の前記ウェブ(36)の前記隆起した厚くされた領域は、前記プラスチック製キャリア層(28)の材料で前記プラスチック製キャリア層(28)と一体に作られている、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記複合材料壁(26)の一方の縁領域(22)上の前記吸音層(30)は、前記複合材料壁(26)の他方の縁領域(24)の前記プラスチック製キャリア層(28)に載っており、さらには/あるいは当接している、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記スリーブ(12)の前記複合材料壁(26)は、複数の部品にて形成され、前記複合材料壁(26)の前記個々の部品は、請求項1~9の少なくとも1つによる1つ以上のそれぞれの差し込み接続機構(32)によって互いに機械的に接続される、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記スリーブ(12)は、2つの半シェルを有し、前記半シェルの各々は、複合材料壁(26)を有し、前記2つの半シェルは、展開および巻き付けのためにお互いに対して可動に接続され、各々の半シェルの前記複合材料壁(26)は、縁領域を有し、両方の半シェルの前記複合材料壁(26)は、請求項1~9の少なくとも1つによる1つ以上の差し込み接続機構(32)によって前記縁領域(22、24)において互いに機械的に接続される、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2018年12月21日付のドイツ特許出願第10 2018 133 366.8号の優先権を主張し、その内容は、参照により本特許出願の主題に組み込まれる。
【0002】
本発明は、とくには電気モータ、発電機、または圧縮機である機械の遮音のための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
機械、電気機械、または電気装置の騒音放出を低減するために、それらのハウジングは、遮音カプセルによって囲まれる。カプセルまたはスリーブは、重層としてのプラスチック製キャリア層と、機械のハウジングに接触する内側層としての吸音層とを備える吸音複合材料壁を有する。そのようなスリーブまたはカプセルは、例えば、車両を駆動するために使用される電気モータの遮音に関して知られている。
【0004】
既知のスリーブまたはカプセルは、機械のハウジングの周りに配置された後に、テープ、とりわけ粘着テープまたはベルクロ(登録商標)テープによって一体に保持され、あるいは所定の位置に保持される。そのような遮音の組み立ては、比較的複雑であり、したがって追加のコストを伴う。
【0005】
米国特許出願公開第2018/0080666号明細書、米国特許出願公開第2008/0099275号明細書、米国特許出願公開第2005/0056481号明細書、米国特許第4 991 406号明細書、および米国特許第6 062 033号明細書が、動作時に音の放射を発生させる圧縮機などの機器のためのさまざまな遮音エンクロージャを記載している。プラスチックおよびそれらの特性が、DOMININGHAUS,Hans:Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften,5th,completely revised and updated edition.Berlin[u.a.]:Springer,1998,p.285-ISBN 978-3-662-06664-5に記載されている一方で、ERHARD,Gunter:Konstruieren mit Kunststoffen,4th edition,Munchen:Hanser,2008,p.332-ISBN 978-3-446-41646-8が、プラスチックによる設計を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2018/0080666号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0099275号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0056481号明細書
【文献】米国特許第4 991 406号明細書
【文献】米国特許第6 062 033号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】DOMININGHAUS,Hans:Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften,5th,completely revised and updated edition.Berlin [u.a.]:Springer,1998,p.285-ISBN 978-3-662-06664-5
【文献】ERHARD,Gunter:Konstruieren mit Kunststoffen,4th edition,Munchen:Hanser,2008,p.332-ISBN 978-3-446-41646-8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な方法で適用および閉鎖することができる機械の遮音のための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題を解決するために、本発明は、機械の遮音のための装置であって、
66~90の範囲、とくには70~85の範囲のショアA硬度を有する外側層としてのプラスチック製キャリア層と、内側層としての吸音層とを備える吸音複合材料壁を有するスリーブ
を備えており、
複合材料壁は、互いに当接して位置し、さらには/あるいは互いに重なって位置する2つの縁領域を有し、縁領域の各々は、境界縁を有し、縁領域を少なくとも1つの差し込み接続機構によってお互いに対して接続、および/またはお互いに重ねて接続でき、
少なくとも1つの差し込み接続機構は、複合材料壁の一方の第1の縁領域に配置された差し込みタブと、複合材料壁の他方の第2の縁領域に配置され、差し込みタブを差し込むことができる収容要素とを備え、
差し込みタブは、プラスチック製キャリア層に接続された端部と、この端部から遠ざかる方を向いており、挿入端ならびに上面および下面を備えている端部部分とを有するウェブを有し、
ウェブは、その端部部分の下面に少なくとも1つの係止凹部を有し、
少なくとも1つの差し込み接続機構の収容要素は、挿入端および差し込みタブのウェブの端部部分の少なくとも一部分のための第1の縁領域に面する挿入開口部と、差し込みタブの挿入開口部への挿入の方向に見たときに第2の縁領域において挿入開口部の前方に配置された係止突起とを有し、係止突起は、差し込みタブのウェブの挿入端が挿入開口部に収容されるときに、差し込みタブの下面の係止凹部に潜り込む、装置を提案する。
【0010】
したがって、本発明は、スリーブの閉じ具を、少なくとも1つの差し込み接続機構の形態でプラスチック製キャリア層の一体の一部分にする。差し込み接続機構は、複合材料壁の第1の縁領域上の差し込みタブと、第1の縁領域に対向する複合材料壁の第2の縁領域上の収容要素とを有する。差し込み接続機構は、今やスリーブを複合材料壁の2つの縁領域において一体に保持し、すなわち「閉じる」ことを可能にする。スリーブは、各々が吸音複合材料壁を備える3つ以上の部分を有することができる。したがって、閉じられた状態において、スリーブの各部分は、少なくとも1つの差し込み接続機構によって隣接するスリーブ部分に接続される。
【0011】
各々の差し込み接続機構の差し込みタブおよび収容要素は、特定の柔軟性を有するべきである。この点で、プラスチック製キャリア層が、ショアA硬度が66~90の範囲、とくには70~85の範囲の材料で構成されると有利である。キャリア層(重層)に適したプラスチック材料は、例えば、EVA/PE、PE、PP、EPDM、TPE、TPOである。
【0012】
PU発泡体が、吸音層の材料としてとくに好適である。
【0013】
プラスチック製キャリア層の材料で作られた差し込みタブは、プラスチック製キャリア層に接続された第1の端部と、この端部から遠ざかる方を向いており、第2の端部としての挿入端ならびに上面および下面を備えている端部部分とを有するウェブを有する。したがって、差し込みタブのウェブは、複合材料壁の縁領域から突出する。ウェブの端部部分の下面に、ウェブは、差し込みタブと収容要素との間の差し込み接続が実施されるときに収容要素の係止突起が潜り込む少なくとも1つの係止凹部を有する。さらに、収容要素は、差し込みタブの挿入端のため、かつ場合によっては差し込みタブのウェブの端部部分の少なくとも一部分のための挿入開口部を有する。係止突起は、(挿入開口部への)タブの挿入方向に見たときに挿入開口部の前方に位置している。差し込み接続状態において、挿入端は、差し込みタブのウェブの関連の端部部分と共に、差し込み開口部の前方に局所的に位置する複合材料壁の縁領域に接触する。係止突起は、この領域に配置されているため、差し込みタブの挿入端が挿入開口部に収容されたときに、今や係止凹部へと突出して、差し込みタブの係止および位置保持を確実にする。とくには、差し込み接続機構が遮音対象の機械のハウジングの凸状に湾曲した領域に配置される場合に、防音層と機械のハウジングとの密接な接触が、挿入開口部の前方の領域における複合材料壁の縁領域に対する外部からの差し込みタブの一定の接触圧力を保証する。これは、差し込みタブの「持ち上げ」、したがって係止突起と係止凹部との分離に対抗し、したがって差し込み接続は、機械の通常の動作時、または遮音対象の機械が配置されたおそらくは可動の構造物(例えば、車両)の通常の動作時に加わる圧力に耐える。
【0014】
差し込み接続をさらに確実にするために、本発明のさらなる発展形態によれば、押さえブラケットが、収容要素の係止突起と第2の縁領域の境界縁との間に配置され、押さえブラケットは、挿入開口部への差し込みタブの挿入方向に見て係止突起の前方に配置された差し込みタブのための通過開口部を形成する。本発明のこのさらなる発展形態においては、挿入方向に見て収容要素の挿入開口部の前方に押さえブラケットが存在し、差し込みタブは、ウェブの挿入端を収容要素の挿入開口部へと挿入するために、この押さえブラケットの下方を移動しなければならない。収容要素の係止突起は、押さえブラケットと挿入開口部との間に位置し、あるいは必要に応じて押さえブラケットの下方にも位置する。したがって、係止突起と係止凹部との係合は、押さえブラケットによってさらに確実にされ、あるいは2つの上述の構成要素のこの係合が、押さえブラケットと挿入開口部との間に位置し、したがって意図せぬ開放に抗して固定される。
【0015】
差し込みタブは、挿入開口部への挿入の前に、挿入開口部の前方に位置する係止突起を越えて移動しなければならず、必要に応じて、押さえブラケットの下方も移動しなければならないため、差し込みタブおよび収容要素の両方が、或る程度の可撓性または弾性を有するように設計されると好都合である。この点において、差し込みタブおよび収容要素の両方を形成するキャリア層のプラスチック材料が、上記指定のショアA硬度の範囲を有するプラスチック材料によって確保される特定の可撓性を有することが好都合である。
【0016】
差し込みタブは、複合材料壁の第1の縁領域の境界縁から突出することができるが、複合材料壁の境界縁の縁領域が差し込みタブの下方に延びること、すなわち差し込みタブが縁領域の上方に配置されることも可能である。この場合、差し込みコネクタ機構が閉じられた状態にあるとき、複合材料壁の反対側の境界縁の縁領域は、差し込みタブと縁領域との間に位置する。複合材料壁の両方の層が、この中間空間に配置され、あるいは吸音層のみ、またはプラスチック製キャリア層のみが、この中間空間に配置される。
【0017】
すでに上述したように、押し込みタブおよび収容要素がプラスチック製キャリア層と一体に形成されると好都合である。しかしながら、差し込みタブおよび収容要素を別個の要素として製造し、その後に例えば接着または溶接によってプラスチック製キャリア層に前記境界縁の縁領域において固定することも可能である。機械的な固定要素(例えば、リベット留め)などの他の固定の選択肢も可能である。
【0018】
差し込みタブと収容要素との結合をさらに改善するために、差し込みタブのウェブの端部部分の上面に、隆起した厚くされた領域を持たせることができる。この場合、ウェブの端部部分の全体を、ウェブの残りの部分と比べて厚くし、上面において隆起させることができる。
【0019】
さらに、好都合には、厚くされた領域が、差し込みタブのウェブの挿入端から遠ざかる方を向いた係止段部を有することができ、この段部は、とくにはウェブの上面に対して実質的に直角に延びる係止面によって形成され、収容要素の押さえブラケットの、挿入開口部に面する縁に当接するように設けられる。ウェブの上面に、挿入端から遠ざかる方を向いた圧縮の端部に向かって、とくにはウェブの上面に直角に延びる係止面の形態の係止段部を形成する厚い部分が存在する。さらに、この係止面は、アンダーカットを形成することができ、すなわち係止面に隣接するウェブの領域において、自身とウェブとの間に鋭角を形成することができる。したがって、係止面は、挿入開口部に面する収容要素の押さえブラケットの縁に当接し、すなわち挿入開口部と保持バーとの間に「トラップ」される。
【0020】
本発明の好都合なさらなる発展形態においては、収容要素の挿入開口部を形成するプラスチック製キャリア層上および/またはプラスチック製キャリア層の厚い部分、収容要素の係止突起、ならびに差し込みタブのウェブ、および存在する場合の収容要素の押さえブラケット、および係止段部を備える差し込みタブのウェブの厚くされた領域を、プラスチック製キャリア層の材料で製作することがさらに可能である。
【0021】
さらに、好都合には、収容要素の挿入開口部を形成する、プラスチック製キャリア層上および/またはプラスチック製キャリア層の厚い部分、収容要素の係止突起、ならびに差し込みタブのウェブ、および存在する場合の収容要素の押さえブラケット、および係止段部を備える差し込みタブのウェブの厚くされた領域を、プラスチック製キャリア層の材料でプラスチック製キャリア層と一体に製作することが可能である。
【0022】
最後に、好都合には、複合材料壁の一方の縁領域上の吸音層を、複合材料壁の他方の縁領域のプラスチック製キャリア層に載せ、さらには/あるいは当接させることも可能である。差し込み接続機構によって互いに接続されたスリーブの2つの境界縁またはスリーブの2つの部分における接触面の設計は、要件に応じてさまざまに設計されてよい。例えば、一方の境界縁の吸音層を、他方の境界縁の外側プラスチック支持層に重ねることが可能である。また、境界縁の遮音層同士を接触させることが可能である。最後に、プラスチック製キャリア層を相応に形作ることによって、前記境界縁を接続するときに境界縁が互いの嵌まり合いを形成する(一方の境界縁のプラスチック製キャリア層の突出部が、他方の境界縁のプラスチック製キャリア層の窪みに下方から入り込む)ことも可能である。これは、互いに接合されるスリーブの2つの部分をさらに保持する。
【0023】
本発明のさらなる好都合な実施形態においては、スリーブの複合材料壁を、複数の部品にて形成することができ、複合材料壁の個々の部品を、本発明および/または上述の本発明の実施形態のうちの少なくとも1つによる1つ以上のそれぞれの差し込み接続機構によって、互いに機械的に接続することができる。
【0024】
あるいは、スリーブは、2つの半シェルを備えることができ、半シェルの各々は、複合材料壁を有し、2つの半シェルは、展開および巻き付けのためにお互いに対して可動に接続され、各々の半シェルの複合材料壁は、縁領域を有し、両方の半シェルの複合材料壁は、本発明および/または本発明の上述の実施形態のうちの少なくとも1つによる1つ以上の差し込み接続機構によって、縁領域において互いに機械的に接続される。
【0025】
本発明を、実施形態の一例によって、図面を参照して、以下でさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による遮音スリーブによる電気モータのハウジングの封入または被覆の斜視概略図を示している。
図2】まだ接続されていない状態の差し込みコネクタアセンブリの斜視図である。
図3】接続された状態の差し込みコネクタアセンブリの斜視図である。
図4】接続された状態の差し込みコネクタアセンブリの側面図である。
図5】互いに接続される遮音装置の2つのスリーブ部分の複合材料壁の重なり合いの種々の代案を示している。
図6】互いに接続される遮音装置の2つのスリーブ部分の複合材料壁の重なり合いの種々の代案を示している。
図7】互いに接続される遮音装置の2つのスリーブ部分の複合材料壁の重なり合いの種々の代案を示している。
図8】互いに接続される遮音装置の2つのスリーブ部分の複合材料壁の重なり合いの種々の代案を示している。
図9】互いに接続される遮音装置の2つのスリーブ部分の複合材料壁の重なり合いの種々の代案を示している。
図10】互いに接続される遮音装置の2つのスリーブ部分の複合材料壁の重なり合いの種々の代案を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1が、本発明による遮音装置10の適用の分野を、きわめて一般的な表現で示している。この実施形態において、スリーブ12が電気モータ14の遮音に使用され、電気モータ14のハウジング16の周りにスリーブ12が配置されている。この場合に、スリーブ12は、電気モータ14のハウジング16を可能な限りぴったりと取り囲む。
【0028】
図1において、スリーブ12は、予め形成されたリングまたはカラーまたはウェブ材料の形態であり、ここでスリーブは、切れ目を有しており、したがってスリーブ12が閉じられたときに当接縁領域22、24を画定する2つの境界縁18、20を有する。
【0029】
スリーブ12は、外側プラスチック製キャリア層28と内側吸音層30とを有する複合材料壁26を有する。両方の層は、偶発的な分離を防止するために互いに接合される。これは、例えば、予め製造されたプラスチック製キャリア層28が挿入され、次いで吸音材料がこのプラスチック製キャリア層28に対して成形されるツール内で行われる。この技術は、原理的に既知であり、ここではこれ以上は説明しない。
【0030】
図1による実施形態の例を参照すると、スリーブ12を2つの境界縁18、20に沿って閉じることができる差し込み接続機構32の基本構造が、図2図4に示されている。縁部分22に一体的に接続された第1の端部38を有するウェブ36を含んでいる差し込みタブ34が、境界縁18から突出している。第1の端部38とは反対側の差し込みタブ34の端部は、この実施形態においては厚くされた差し込みタブ34の端部部分42上の挿入端40を形成している。挿入端40は、差し込みタブ34のうちの端部38に面する部分44と比べて、厚くされている。差し込みタブ34は、上面46および下面48を有する。差し込みタブ34の厚くされた端部部分42の下面48には、係止凹部50が配置されており、係止凹部は、差し込みタブ34の延在に対して横方向に延びる溝として形成されている。
【0031】
反対側の境界縁20の縁領域24において、差し込み接続機構32の収容要素52が、プラスチック製キャリア層28上に配置されている。この収容要素52は、上方へと突出するリブ54を有し、このリブに、対向する境界縁18へと向けられ、あるいはこの境界縁18に向かって開かれた挿入開口部56が形成されている。この挿入開口部56は、行き止まりの開口部の様相で形成されている。挿入開口部56の前方に、細長い厚い部分またはリブの様相で形成された収容要素52の係止突起58が存在する。
【0032】
ここで、好ましくは円錐状に先細りである端部部分42の挿入端40が挿入開口部56へと挿入される場合に、挿入端40は、最初に挿入開口部の前方に位置する係止突起58を超えて移動しなければならず、その後に押し下げによって挿入開口部56に進入する。したがって、収容要素52の挿入開口部56に位置する差し込みタブ34の挿入端40は、挿入端40および差し込みタブ34の端部部分42の前部を押さえ、したがって、係止突起58を係止凹部50に係合した状態に保持する。
【0033】
さらに、収容要素52は、好都合には、係止突起58の前方に配置され、好ましくは限界縁20に整列した押さえブラケット60を有する。押さえブラケット60は、その下方に通路62を形成し、通路62を通って、差し込みタブ34を、挿入端40を挿入開口部56へと挿入することができるように案内しなければならない。通路62の高さ、すなわちプラスチック製キャリア層の下面と押さえブラケット60の下面との間の距離は、好ましくは、その部分44における差し込みタブ34のウェブ36の厚さに等しい。ここで、差し込みタブ34の厚くされた端部部分42が、押さえブラケット60の下方に案内される。厚くされた端部部分42には、挿入方向に対する後端に、好ましくは直角に延びる係止面66を有する係止段部64が形成されており、差し込み接続機構の嵌合状態において、挿入開口部56に面する押さえブラケット60の縁68に当接する。したがって、厚くされた端部部分42は、この様相で収容要素52のリブ54と押さえブラケット60との間に「トラップ」される。これを、図3および図4に見て取ることができる。
【0034】
図5図10に、境界縁18、20の重なり合う縁領域22、24のさまざまな設計が示されている。相違点は、主として、境界縁におけるプラスチック製キャリア層が吸音材料によって部分的に包まれているという事実にある(例えば、図6および図9を参照)。一部において、プラスチック製キャリア層28は、それらの縁領域において互いに直接重なり合い(例えば、図5図8、および図10を参照)、加えて、音響減衰層30の音響減衰材料も、一方の縁領域において他方の縁領域のプラスチック製キャリア層上に位置する(例えば、やはり図5図8、および図10を参照)。図7は、プラスチック製キャリア層28の縁領域における追加の嵌まり合いの接続を示している。図10も、そのような嵌まり合いの接続を示している。どちらの場合も、境界縁におけるスリーブの結合が改善される。
【符号の説明】
【0035】
10 遮音装置
12 スリーブ
14 電気モータ
16 ハウジング
18 境界縁
20 境界縁
22 境界縁の境界領域
24 境界縁の境界領域
26 複合材料壁
28 プラスチック製キャリア層
30 音響減衰層
32 差し込みコネクタアセンブリ
34 差し込み接続アセンブリの差し込みタブ
36 差し込みタブのウェブ
38 ウェブの端部
40 ウェブの挿入端
42 差し込みタブの端部部分
44 差し込みタブの一部分
46 差し込みタブの上面
48 差し込みタブの下面
50 差し込みタブの係止凹部
52 差し込みコネクタアセンブリの収容要素
54 リブ
56 収容要素の挿入開口部
58 収容要素の係止突起
60 収容要素の押さえブラケット
62 押さえブラケットの下方の通路
64 係止段部
66 係止面
68 押さえブラケットの縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10