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  • 特許-被覆導体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】被覆導体
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20240724BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240724BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20240724BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20240724BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240724BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240724BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
C08L23/04
C08K3/22
C08L23/26
C08K7/00
H01B7/00 310
H01B7/18 H
G02B6/44 366
G02B6/44 381
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021571554
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020035634
(87)【国際公開番号】W WO2020247327
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】62/856,356
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】グランド、カロリーヌ エム.
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バーラト アイ.
(72)【発明者】
【氏名】フランシス、ジュニア、ウィリアム シー.
(72)【発明者】
【氏名】エッセガー、モハメッド
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/108937(WO,A1)
【文献】特開平09-176368(JP,A)
【文献】特表2016-513339(JP,A)
【文献】特開2005-068388(JP,A)
【文献】特開2006-199934(JP,A)
【文献】国際公開第2013/154200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/14
C08K 3/00 - 13/08
H01B 7/00 - 7/02
H01B 7/17 - 7/288
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(A)エチレン系ポリマー、
(B)前記組成物の総重量に基づいて5重量%~15重量%の金属水酸化物成分であって、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含む、金属水酸化物成分を含み、
前記組成物が、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率、および1.02g/cc以下の密度を有する、組成物。
【請求項2】
前記(A)エチレン系ポリマーが、中密度ポリエチレンと、超低密度ポリエチレンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、0.54W・m-1・K-1超の熱伝導率を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、2.75kV超の初期トラッキング電圧を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の総重量に基づいて、10重量%~15重量%の前記金属水酸化物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記金属水酸化物成分が、10未満のアスペクト比を有する第2の金属水酸化物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(C)無水マレイン酸グラフト化エチレン系ポリマーをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
被覆導体であって、
非金属導体、
前記非金属導体上の被覆を備え、前記被覆が、
(A)エチレン系ポリマー、
(B)前記被覆の総重量に基づいて5重量%~15重量%の金属水酸化物成分であって、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含む、金属水酸化物成分を含む、被覆導体。
【請求項9】
前記被覆が、最外部層である、請求項8に記載の被覆導体。
【請求項10】
前記被覆が、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率、および1.02g/cc以下の密度を有する、請求項8または9に記載の被覆導体。
【請求項11】
前記(A)エチレン系ポリマーが、中密度ポリエチレンと、超低密度ポリエチレンと、を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の被覆導体。
【請求項12】
前記被覆が、2.75kV超の初期トラッキング電圧を有する、請求項8~11のいずれか一項に記載の被覆導体。
【請求項13】
前記金属水酸化物成分が、10未満のアスペクト比を有する第2の金属水酸化物を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の被覆導体。
【請求項14】
前記被覆が、(C)無水マレイン酸グラフト化エチレン系ポリマーをさらに含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の被覆導体。
【請求項15】
前記非金属導体が、光ファイバーを備える、請求項8~14のいずれか一項に記載の被覆導体。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
全誘電体自己支持型(ADSS)ケーブルのなどのケーブルは、ガラスファイバーなどの内部非金属伝導要素、ならびに遮蔽および保護目的のための1つ以上の外部層を含む1種の導体である。ケーブルの最外部被覆または最外部層は、典型的には、外部シースまたは外部外被と称される保護層である。
【0002】
良好な熱伝導率および耐トラック性を可能にするケーブル外被の製造のための高密度充填剤を含有するエチレン系ポリマーが知られている。しかしながら、10未満のアスペクト比を有する金属水酸化物などの従来の高密度充填剤は、一般に、ケーブル外被の密度を増加させることが知られている。高密度ケーブル外被は、ケーブルが自立型であるADSSケーブル用途では許容できない。さらに、10未満のアスペクト比を有する金属水酸化物などの従来の高密度充填剤は、ケーブル外被の交流破壊強度(ACBD)を減少させることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当技術分野では、好適な熱伝導率と組み合わせて好適な密度を示すケーブル外被用途で使用するためのエチレン系ポリマーを含有する組成物を提供する必要性が認識されている。当技術分野では、好適なACBDを示すケーブル外被用途で使用するためのエチレン系ポリマーを含有する組成物を提供する必要性も認識されている。
【0004】
本開示は、組成物を提供する。本組成物は、(A)エチレン系ポリマーと、(B)本組成物の総重量に基づいて5重量%~15重量%の金属水酸化物成分と、を含む。金属水酸化物成分は、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含む。本組成物は、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率、および1.02g/cc以下の密度を有する。
【0005】
本開示はまた、被覆導体を提供する。被覆導体は、非金属導体および非金属導体上の被覆を含む。被覆は、(A)エチレン系ポリマーと、(B)被覆の総重量に基づいて5重量%~15重量%の金属水酸化物成分と、を含有する。金属水酸化物成分は、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含む。被覆は、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率、および1.02g/cc以下の密度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示の実施形態による、被覆導体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.によって1990~1991に発行されたときのものである。この周期表の元素の族への参照は、族の番号付与の新しい表記法による。
【0008】
米国特許慣行の目的のため、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度において)および当該技術分野の一般知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(またはその米国版に相当するものが、参照により同様に組み込まれる)。
【0009】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等)。
【0010】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0011】
「全誘電体自己支持型ケーブル」または「ADSSケーブル」は、ケーブル内の伝導性金属支持要素を使用せずに、外部構造(電柱など)間でそれ自体を支持することができる光ファイバーケーブルである。ADSSケーブルは、既存の架空送電線に沿って設置することができ、電気導体(高電圧電力線など)と同じ外部構造を共有できる。
【0012】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離してもしなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で知られている他の方法から決定されるような1つ以上のドメイン構成を含有してもしなくてもよい。
【0013】
「ブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」という用語は、線状に結合された2つ以上の化学的に固別の領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダントまたはグラフトの様式ではなく、重合官能基に対して端と端で結合(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。一実施形態では、ブロックは、その中に組み込まれたコモノマーの量またはタイプ、密度、結晶化度の量、結晶化度のタイプ(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性のタイプまたは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、位置規則性または位置不規則性、長鎖分岐または超分岐を含む分岐の量、均一性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性で異なる。
【0014】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応産生物および分解産生物を指す。
【0015】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の構成成分、工程または手順の存在を除外することを意図するものではない。あらゆる疑義を避けるため、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求の範囲に記載されるすべての組成物は、別段の記載がない限り、ポリマーであるかないかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の構成成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、逆もまた同様である。
【0016】
「伝導体」は、熱、光、および/または電気を伝導するための、1つ以上のワイヤー、または1つ以上のファイバーである。伝導体は、単一ワイヤー/ファイバーもしくは複数ワイヤー/ファイバーであってもよく、または撚線の形態もしくは管状の形態であってもよい。好適な導体の非限定的な例としては、炭素、銀、金、銅、およびアルミニウムなどの様々な金属が挙げられる。導体はまた、ガラスまたはプラスチックのいずれかから作製された光学ファイバーであり得る。導体は、保護シース内に配置されてもされなくてもよい。「ケーブル」は、2つ以上のワイヤー、または2つ以上の光ファイバーが束ねられ、任意選択で、一般的な絶縁被覆内で束ねられている伝導体である。被覆内部の個々のワイヤーまたはファイバーは、露出していても、被覆されていても、または絶縁されてもよい。組み合わせケーブルは、電気ワイヤーおよび光ファイバーの両方を含有し得る。ケーブルは、低、中、および/または高電圧用途のために設計され得る。
【0017】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択により、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーには、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)が含まれる。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、交換可能に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例には、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、および直鎖状ポリエチレンが含まれる。直鎖状ポリエチレンの非限定的な例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ultra low density polyethylene)(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene)(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても既知)、シングルサイト触媒の直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、実質的に直鎖状、または直鎖状のプラストマー/エラストマー、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。一般に、ポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒などの不均一触媒系、第4族遷移金属およびメタロセンなどのリガンド構造を含む均一触媒系、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロバレントアリールオキシエーテル、ホスフィンイミン、およびその他などを使用して、気相、流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成することができる。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれかにおいても使用され得る。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、その中に重合された芳香族コモノマーを含有しない。
【0018】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレン由来の単位および少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位を含む均一短鎖分岐分布を含有する実質的に直鎖状または直鎖状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/ccまたは0.880g/ccまたは0.890g/cc~0.900g/ccまたは0.902g/ccまたは0.904g/ccまたは0.909g/ccまたは0.910g/ccまたは0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例としては、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、Tafmer(商標)(Mitsuiから入手可能)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)、およびLucene(商標)(LG Chem Ltd.から入手可能)が挙げられる。
【0019】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、もしくはC-Cα-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、かつ0.94g/cc超または0.945g/ccまたは0.95g/ccまたは0.955g/cc~0.96g/ccまたは0.97g/ccまたは0.98g/ccの密度を有する。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」とは、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーのことである。「多峰性エチレンコポリマー」とは、分子量分布を示すGPCにおいて少なくとも2つの明確なピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーのことである。多峰性には、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)、ならびに3つ以上のピークを有するコポリマーが含まれる。HDPEの非限定的な例としては、各々The Dow Chemical Companyから入手可能なDOW(商標)高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂、およびCONTINUUM(商標)二峰生ポリエチレン樹脂、LyondellBasellから入手可能なLUPOLEN(商標)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品が挙げられる。
【0020】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマー、および3つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指すために通常用いられるコポリマーを含む。
【0021】
「外被」は、伝導体上のコーティングである。
【0022】
「直鎖状低密度ポリエチレン」(または「LLDPE」)は、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む、不均一短鎖分岐分布を含有する直鎖状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、長鎖分岐があるとしてもわずかであることを特徴とする。LLDPEは、0.910g/ccまたは0.915g/ccまたは0.920g/ccまたは0.925g/cc~0.930g/ccまたは0.935g/ccまたは0.940g/ccの密度を有する。LLDPEの非限定的な例としては、各々the Dow Chemical Companyから入手可能なTUFLIN(商標)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂およびDOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂、ならびにMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)が挙げられる。
【0023】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有し、かつ広いMWDを有する長鎖分岐を含有する、少なくとも1つのC~C10α-オレフィン、好ましくはC~Cを含む、エチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。LDPEは、典型的には、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を用いる管状反応器またはオートクレーブ)によって生成される。LDPEの非限定的な例として、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobil等からのLDPE製品が挙げられる。
【0024】
「中密度ポリエチレン」(または「MDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.926g/ccもしくは0.930g/ccもしくは0.935g/cc~0.938g/ccもしくは0.940g/ccの密度を有する、少なくとも1つのC~C10α-オレフィン、もしくはC~Cα-オレフィンを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーである。
【0025】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレン由来の単位と、特許参考文献USP6,111,023、USP5,677,383、およびUSP6,984,695に記載されているような少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む。EPE樹脂は、0.905g/ccまたは0.908g/ccまたは0.912g/ccまたは0.920g/cc~0.926g/ccまたは0.929g/ccまたは0.940g/ccまたは0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例としては、ELITE(商標)強化ポリエチレンおよびELITE AT(商標)先端技術樹脂(各々The Dow Chemical Companyから入手可能)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから入手可能)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用する場合、「オレフィン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合オレフィンモノマーを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0027】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかにかかわらず、重合モノマーによって調製される化合物であり、重合形態で、ポリマーを成す複数ならびに/または反復「単位」もしくは「構造単位」を提供する。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語、および少なくとも2つの種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語を包含する。また、例えば、ランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレンまたはプロピレンを重合させて調製した上述のコポリマーおよび1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーを示す。ポリマーは、多くの場合、特定されたモノマーまたはモノマーの種類に「基づいて」、特定されたモノマー含有量を「含有している」等、1つ以上の特定されたモノマー「から作成される」ものとして言及されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定されたモノマーの重合残留物を指し、非重合種には言及していないと理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
【0028】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合したプロピレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有してもよい。プロピレン系ポリマーには、プロピレンホモポリマー、およびプロピレンコポリマー(プロピレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)が含まれる。「プロピレン系ポリマー」および「ポリプロピレン」という用語は、交換可能に使用され得る。プロピレン系ポリマー(ポリプロピレン)の非限定的な例は、少なくとも1つのCまたはC~C10α-オレフィンコモノマーを有するプロピレン/α-オレフィンコポリマーである。
【0029】
「シングルサイト触媒線状低密度ポリエチレン」(または「m-LLDPE」)とは、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む均一短鎖分岐分布を含む線状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。m-LLDPEは0.913g/ccまたは0.918g/ccまたは0.920g/cc~0.925g/ccまたは0.940g/ccの密度を有する。m-LLDPEの非限定的な例としては、EXCEED(商標)メタロセンPE(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、LUFLEXEN(商標)m-LLDPE(LyondellBasellから入手可能)、およびELTEX(商標)PF m-LLDPE(Ineos Olefins&Polymersから入手可能)が挙げられる。
【0030】
「超低密度ポリエチレン」(または「ULDPE」)および「極低密度ポリエチレン」(または「VLDPE」)はそれぞれ、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む、不均一短鎖分岐分布を含有する直鎖状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEは、各々、0.885g/cc、または0.90g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例としては、各々The Dow Chemical Companyから入手可能なATTANE(商標)ULDPE樹脂およびFLEXOMER(商標)VLDPE樹脂が挙げられる。
【0031】
試験方法
交流破壊強度(AC破壊またはACBDとしても既知)は、Hipotronics AC破壊試験装置を使用してASTM D149に従って測定される。サンプルは、試験前に180℃で40ミル(1.0mm)のプラークに圧縮成形される。
【0032】
本組成物および被覆の密度は、ASTM D792に従って測定され、値は、立方センチメートル当たりのグラム数(g/ccまたはg/cm)で報告される。サンプルは、試験の前に、180℃で75ミル(1.9mm)の厚さおよび1インチ(25.4mm)の直径を有するプラークディスクに圧縮成形される。
【0033】
エチレン系ポリマーの密度は、ASTM D792に従って測定され、値は、立方センチメートル当たりのグラム数(g/ccまたはg/cm)で報告される。
【0034】
初期トラッキング電圧は、ABNT NBR 10296、方法2(IEC 60587、方法2と同等)に従って測定される。
【0035】
メルトインデックスは、ASTM D1238に従って、190℃で2.16kgの荷重で測定され、10分当たりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0036】
ショアA硬度は、ASTM D2240-05に従って測定する。
【0037】
ショアD硬度は、ASTM D2240-05に従って測定する。
【0038】
金属水酸化物の比重は、ASTM D4439に従って測定され、値は、立方センチメートル当たりのグラム数(g/ccまたはg/cm)で報告される。
【0039】
熱伝導率は、Hot Disk TPS 2500S装置を使用してISO規格22007-2に従って測定される。サンプルは、試験前に180℃で300ミル(7.6mm)のプラークに圧縮成形される。ホットディスクセンサーは、ホットディスクセンサーとサンプルとの間にエアギャップが存在しないように、2つのサンプルの間に(固体の形態で)置かれる。この装置は、ホットディスクセンサーを介して最初は等温サンプルに既知の量のエネルギーを供給し、次いでホットディスクセンサーを温度計として使用して結果として生じる温度増加を測定する。
【0040】
引張強度および引張伸度(%)は、Instronモデル4201を使用して、タイプIVドッグボーンでASTM D638に従って測定される。試験は、2インチ/分(50.8mm/分)のクロスヘッド速度、2.5インチ(63.5mm)のジョースパン、100ポンド(45.4kg)の荷重セルで実施される。引張強度は、メガパスカル(MPa)で記録される。
【0041】
ビカー軟化点は、ASTM D1525に従って測定される。
【0042】
平均幅、平均厚さ、およびアスペクト比
金属水酸化物の平均幅および平均厚さは、金属水酸化物の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から得られた10個の任意の微結晶の測定された幅および測定された厚さの値の算術平均からそれぞれ計算される。
【0043】
アスペクト比は、次の式(A)に従って計算される。
【数1】
【0044】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲にわたる温度のポリマーの溶融、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えるTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を実施する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量が使用された。各試料を、190℃で溶融圧縮して薄いフィルムにし、次いで、溶融した試料を、室温(25℃)まで空冷する。3~10mg、直径6mmの試験片を、冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じる。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。
【0045】
試料の熱挙動は、試料温度を昇降して熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。熱履歴を除去するために、まず、試料を、180℃まで急速に加熱し、3分間等温保持する。次に、試料を、10℃/分の冷却速度で-80℃まで冷却し、-80℃で3分間等温保持する。次いで、試料を、10℃/分の加熱速度で180℃まで加熱した(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。決定した値は、外挿される融解開始Tおよび外挿される結晶化開始Tである。
【0046】
まず、融解転移の開始と終了との間にベースラインを引くことによって、DSC加熱曲線から融点(T)を決定する。次いで、融解ピークの低温側のデータに接線を引く。この線が、ベースラインと交差する場所が、外挿された融解開始(T)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に説明されている通りである。
【0047】
結晶化温度Tcは、接線が結晶化ピークの高温側に引かれていることを除き、上記のDSC冷却曲線から決定する。この接線が基線と交差する場所が、補外結晶化開始(Tc)である。
【0048】
詳細な説明
本開示は、組成物を提供する。本組成物は、(A)エチレン系ポリマーと、(B)本組成物の総重量に基づいて5重量%~15重量%の金属水酸化物成分と、を含む。金属水酸化物成分は、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含む。本組成物は、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率、および1.02g/cc以下の密度を有する。
【0049】
A.エチレン系ポリマー
本組成物は、エチレン系ポリマーを含む。
【0050】
エチレン系ポリマーは、本明細書に開示される任意のエチレン系ポリマーであり得る。
【0051】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。好適なエチレン/α-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、LDPE、MDPE、および直鎖状ポリエチレンが挙げられる。直鎖状ポリエチレンの非限定的な例としては、LLDPE、ULDPE、VLDPE、EPE、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(OBCとしても既知)、m-LLDPE、実質的に直鎖状または直鎖状のプラストマー/エラストマー(POP)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、(i)エチレンと、(ii)C~Cα-オレフィンコモノマーと、を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。一実施形態では、α-オレフィンコモノマーは、ヘキセンおよびオクテンから選択される。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、オクテンである。
【0053】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーの総重量に基づいて、(i)50重量%超または60重量%または65重量%~80重量%または90重量%のエチレン由来の単位と、(ii)逆量のC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位、または10重量%もしくは20重量%~35重量%もしくは40重量%もしくは50重量%未満のC~Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含有する。
【0054】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、以下の特性のうちの1つ、または両方を有するMDPEである:
(i)0.926g/ccもしくは0.930g/cc~0.935g/ccもしくは0.940g/ccの密度、および/または、
(ii)0.1g/10分もしくは0.5g/10分もしくは0.8g/10分~0.9g/10分もしくは1.0g/10分もしくは1.0g/10分もしくは5.0g/10分もしくは10g/10分もしくは20g/10分のメルトインデックス。
【0055】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するVLDPEである:
(i)0.885g/ccもしくは0.900g/cc~0.905g/ccもしくは0.910g/ccもしくは0.915g/ccの密度、および/または
(ii)0.1g/10分もしくは0.5g/10分~1.0g/10分、もしくは5.0g/10分もしくは10g/10分もしくは20g/10分のメルトインデックス、および/または
(iii)90℃もしくは100℃もしくは110℃もしくは115℃~120℃もしくは125℃もしくは130℃の溶融温度、Tm、および/または
(iv)80もしくは85もしくは90~95もしくは100のショアA硬度、および/または、
(v)75℃もしくは80℃もしくは85℃~90℃もしくは95℃もしくは100℃もしくは110℃のビカー軟化温度。
【0056】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するLLDPEである:
(i)0.910g/ccもしくは0.915g/ccもしくは0.920g/cc~0.925g/ccもしくは0.930g/ccもしくは0.935g/ccもしくは0.940g/ccの密度、および/または
(ii)1g/10分もしくは5g/10分もしくは10g/10分もしくは15g/10分もしくは20g/10分~25g/10分もしくは30g/10分もしくは40g/10分もしくは50g/10分のメルトインデックス、および/または
(iii)90℃もしくは100℃もしくは110℃もしくは115℃もしくは120℃~125℃もしくは130℃の溶融温度、Tm、および/または
(iv)80℃もしくは90℃もしくは100℃もしくは105℃~110℃もしくは115℃もしくは120℃の結晶化温度、および/または
(v)80℃もしくは85℃もしくは90℃~95℃もしくは100℃もしくは110℃もしくは115℃のビカー軟化温度、および/または
(vi)40もしくは45もしくは50~55もしくは60もしくは65もしくは70のショアD硬度。
【0057】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、MDPEおよびVLDPEのブレンドである。別の実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、MDPE、VLDPE、およびLLDPEのブレンドである。
【0058】
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、官能化エチレン/α-オレフィンコポリマーであり得る。「官能化エチレン/α-オレフィンコポリマー」は、エチレン/α-オレフィンコポリマー鎖に結合したカルボン酸系部分(例えば、エチレン/α-オレフィンコポリマー鎖にグラフトされたカルボン酸系部分)を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーである。「カルボン酸系部分」とは、カルボキシル基(-COOH)またはその誘導体を含む化合物である。好適なカルボン酸系部分の非限定的な例としては、カルボン酸および無水カルボン酸が挙げられる。エチレン/α-オレフィンコポリマーにグラフトされ得る好適なカルボン酸および無水カルボン酸の非限定的な例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸(MAH)、および無水イタコン酸が挙げられる。官能化エチレン/α-オレフィンコポリマーの塩基エチレン/α-オレフィンコポリマーは、本明細書に開示される任意のエチレン/α-オレフィンコポリマーであり得る。一実施形態では、塩基エチレン/α-オレフィンコポリマーは、HDPEである。
【0059】
一実施形態では、官能化エチレン/α-オレフィンコポリマーは、無水マレイン酸グラフト化エチレン/α-オレフィンコポリマーである。さらなる実施形態では、無水マレイン酸グラフト化エチレン/α-オレフィンコポリマーは、無水マレイン酸グラフト化HDPE(「MAH-g-HDPE」)である。好適なMAH-g-HDPEの非限定的な例は、The Dow Chemical Companyから入手可能なDuPont FUSABOND E265である。
【0060】
一実施形態では、無水マレイン酸グラフト化エチレン/α-オレフィンコポリマー、さらにMAH-G-HDPEは、(i)エチレンと、(ii)C~Cα-オレフィンコモノマーと、(iii)MAHと、を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。さらなる実施形態では、α-オレフィンコモノマーは、ブテン、ヘキセン、およびオクテンから選択される。MAH-g-HDPEは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する:
(i)0.945g/ccもしくは0.950g/cc~0.955g/ccもしくは0.960g/ccもしくは0.970g/ccの密度、および/または
(ii)1g/10分もしくは5g/10分もしくは10g/10分~15g/10分もしくは20g/10分のメルトインデックス、および/または
(iii)100℃もしくは110℃もしくは120℃もしくは125℃もしくは130℃~135℃もしくは140℃もしくは150℃の溶融温度、Tm。
【0061】
一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、本組成物中に1重量%~10重量%の官能化エチレン/α-オレフィンコポリマー、さらにはMAH-g-HDPEを含めると、(i)エチレン系ポリマーマトリックス中の金属水酸化物成分のより均一な分散、および(ii)金属水酸化物成分のより少ない凝集がもたらされ、それにより、(iii)より高い熱伝導率(すなわち、0.52W・m-1・K-1超)を示す組成物がもたらされると考えられている。
【0062】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、MDPE、VLDPE、LLDPE、無水マレイン酸グラフト化エチレン/α-オレフィンコポリマー、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0063】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、MDPE、VLDPE、およびMAH-g-HDPEを含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるブレンドである。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、MDPE、VLDPE、LLDPE、およびMAH-g-HDPEを含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるブレンドである。
【0064】
エチレン系ポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0065】
B.金属水酸化物成分
本組成物は、金属水酸化物成分を含有する。「金属水酸化物成分」は、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含有する成分である。
【0066】
「金属水酸化物」は、粒子形態である、少なくとも1つの金属原子および少なくとも1つのヒドロキシル(-OH)基を含有する化合物である。好適な金属の非限定的な例としては、マグネシウム、アルミニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適な金属水酸化物の非限定的な例としては、水酸化マグネシウム、三水酸化アルミニウム(水酸化アルミニウムとしても既知)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、金属水酸化物は、水酸化マグネシウム(Mg(OH))である。
【0067】
一実施形態では、金属水酸化物成分は、(i)10以上のアスペクト比を有する第1の金属水酸化物と、(ii)10未満のアスペクト比を有する第2の金属水酸化物と、を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。
【0068】
i.高アスペクト比の金属水酸化物
金属水酸化物成分は、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物(「高アスペクト比の金属水酸化物」)を含有する。
【0069】
一実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、10超のアスペクト比を有する。別の実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、10~100、または10~75、または10~90、または10~50、または10~25、または20~90、または30~90、または40~90、または40~83のアスペクト比を有する。
【0070】
一実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、0.01μmまたは0.02μmまたは0.05μmまたは0.06μm~0.07μmまたは0.10μmまたは0.15μmまたは0.5μmの平均厚さを有する。別の実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、0.01μm~0.5μm、または0.01μm~0.15μm、または0.05μm~0.10μmの平均厚さを有する。
【0071】
一実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、4.0μmまたは4.5μm~5.0μmまたは5.5μmまたは6.0μmの平均幅を有する。別の実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、4.0μm~6.0μm、または4.5μm~5.0μmの平均幅を有する。
【0072】
一実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、2.0g/ccまたは2.4g/cc~2.5g/ccまたは3.0g/ccまたは4.0g/ccの比重を有する。別の実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、2.0g/cc~4.0g/cc、または2.4g/cc~3.0g/ccの比重を有する。
【0073】
一実施形態では、高アスペクト比の金属水酸化物は、10超のアスペクト比を有する水酸化マグネシウムであり、高アスペクト比の金属水酸化物は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する:(i)0.01μm~0.5μm、もしくは0.01μm~0.15μm、もしくは0.05μm~0.10μmの平均厚さ、および/または(ii)4.0μm~6.0μm、もしくは4.5μm~5.0μmの平均幅、および/または(iii)2.0g/cc~4.0g/cc、もしくは2.4g/cc~3.0g/ccの比重。好適な高アスペクト比の金属水酸化物の非限定的な例は、Kisuma Chemicals BVから入手可能なKISUMA 10Jである。
【0074】
高アスペクト比の金属水酸化物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0075】
ii.低アスペクト比の金属水酸化物
一実施形態では、金属水酸化物成分は、高アスペクトの金属水酸化物に加えて、10未満のアスペクト比を有する金属水酸化物(「低アスペクト比の金属水酸化物」)を含有する。
【0076】
一実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、9未満、または8未満、または7未満、または6未満のアスペクト比を有する。別の実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、1~9、または1~6、または4~5のアスペクト比を有する。
【0077】
一実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、0.15μmまたは0.20μm~0.30μmまたは0.40μmまたは0.50μmの平均厚さを有する。別の実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、0.15μm~0.50μm、または0.20μm~0.30μmの平均厚さを有する。
【0078】
一実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、0.15μmまたは0.20μmまたは0.40μmまたは0.50μmまたは0.60μm~0.90μmまたは1.0μmまたは2.0μmの平均幅を有する。別の実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、0.15μm~2.0μm、または0.60μm~0.90μmの平均幅を有する。
【0079】
一実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、2.0g/ccまたは2.4g/cc~2.5g/ccまたは3.0g/ccまたは4.0g/ccの比重を有する。別の実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、2.0g/cc~4.0g/cc、または2.4g/cc~3.0g/ccの比重を有する。
【0080】
一実施形態では、低アスペクト比の金属水酸化物は、1~9、または1~6、または4~5のアスペクト比を有する水酸化マグネシウムであり、低アスペクト比の金属水酸化物は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する:(i)0.15μm~0.50μm、もしくは0.20μm~0.30μmの平均厚さ、および/または(ii)0.15μm~2.0μm、もしくは0.60μm~0.90μmの平均幅、および/または(iii)2.0g/cc~4.0g/cc、もしくは2.4g/cc~3.0g/ccの比重。好適な低アスペクト比の金属水酸化物の非限定的な例としては、KISUMA 5B-1GおよびKISUMA 5Jが挙げられ、各々はKisuma Chemicals BVから入手可能である。
【0081】
低アスペクト比の金属水酸化物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0082】
金属水酸化物成分は、高アスペクト比の金属水酸化物を含有する。一実施形態では、金属水酸化物成分は、高アスペクト比の金属水酸化物に加えて、低アスペクト比の金属水酸化物を含有する。
【0083】
一実施形態では、金属水酸化物成分は、金属水酸化物成分の総重量に基づいて、40重量%または50重量%~60重量%の高アスペクト比の金属水酸化物と、逆量の低アスペクト比の金属水酸化物、または40重量%~50重量%もしくは60重量%の低アスペクト比の金属水酸化物と、を含有する。
【0084】
一実施形態では、金属水酸化物成分は、金属水酸化物成分の総重量に基づいて、50重量%の高アスペクト比の金属水酸化物と、50重量%の低アスペクト比の金属水酸化物と、を含有する。
【0085】
一実施形態では、金属水酸化物成分は、高アスペクト比の金属水酸化物からなる。
【0086】
一実施形態では、金属水酸化物成分、さらに本組成物は、低アスペクト比の金属水酸化物を全く含まないか、または実質的に全く含まない。
【0087】
金属水酸化物成分は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0088】
C.任意の添加剤
一実施形態では、本組成物は、(A)エチレン系ポリマーと、(B)金属水酸化物成分と、(C)1つ以上の任意の添加剤と、を含む。
【0089】
好適な添加剤の非限定的な例としては、カーボンブラック、酸化防止剤、着色剤、紫外線(UV)吸収剤または安定剤、熱安定剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、相溶化剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
一実施形態では、本組成物は、カーボンブラックを含有する。好適なカーボンブラックの非限定的な例は、The Dow Chemical Companyから入手可能なDFNC-0037 BKである。一実施形態では、被覆は、本組成物の総重量に基づいて、1重量%または2重量%~3重量%または5重量%または7重量%または9重量%または10重量%のカーボンブラックを含有する。
【0091】
一実施形態では、本組成物は、酸化防止剤を含有する。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、フェノール系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、およびヒドラジン系金属不活性化剤が挙げられる。一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、0.05重量%または0.1重量%または0.5重量%または1.0重量%~1.5重量%または2.0重量%または3.0重量%の量で、IRGANOX 1010、IRGANOX 1024、CHIMASSORB 944、および/または4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)(TBM-6)などの酸化防止剤を含有する。
【0092】
一実施形態では、本組成物は、UV安定剤を含有する。好適な安定剤の非限定的な例は、ヒンダードアミン光安定剤である。一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、0.1重量%または0.2重量%~0.3重量%または0.4重量%または0.5重量%の安定剤を含有する。
【0093】
一実施形態では、本組成物は、充填剤を含有する。好適な充填剤の非限定的な例としては、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、硫化亜鉛、有機粘土、およびこれらの組み合わせが挙げられる。充填剤は、難燃特性を有していても、または有していなくてもよい。
【0094】
一実施形態では、本組成物は、加工助剤を含有する。好適な加工助剤の非限定的な例としては、油、有機酸(ステアリン酸など)、有機酸の金属塩(ステアリン酸亜鉛など)、およびフッ素化ポリマーが挙げられる。さらなる実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、0.01重量%または0.02重量%~0.05重量%または0.10重量%の量で加工助剤を含有する。
【0095】
一実施形態では、本組成物は、相溶化剤を含有する。好適な相溶化剤の非限定的な例としては、エチレン-酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン-アクリル酸エチル(EEA)コポリマー、官能化ポリオレフィン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、2重量%または3重量%~5重量%または8重量%の相溶化剤を含有する。
【0096】
一実施形態では、本組成物は、相溶化剤を全く含まないか、または実質的に全く含まない。
【0097】
一実施形態では、本組成物は、カーボンブラック、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を含有する。別の実施形態では、本組成物は、カーボンブラック、安定剤、加工助剤、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を含有する。
【0098】
一実施形態では、本組成物は、難燃剤を全く含まないか、または実質的に全く含まない。水酸化マグネシウム成分は、本組成物において難燃剤ではないことが理解される。
【0099】
一実施形態では、本組成物は、プロピレン系ポリマーを全く含まないか、または実質的に全く含まない。
【0100】
一実施形態では、本組成物は、官能化エチレン系ポリマーを全く含まないか、または実質的に全く含まない。
【0101】
一実施形態では、エチレン系ポリマーおよび抗酸化剤は、本組成物中に存在する唯一のポリマー化合物である。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、本組成物中に存在する唯一のポリマー化合物である。
【0102】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、本組成物中に存在するエチレンモノマーを含有する唯一の化合物である。
【0103】
任意選択の添加剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0104】
一実施形態では、本組成物は、(A)エチレン系ポリマーと、(B)金属水酸化物成分と、(C)1つ以上の任意の添加剤と、を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。
【0105】
一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、58重量%または60重量%または65重量%または70重量%または75重量%または80重量%~85重量%または90重量%または94重量%または95重量%のエチレン系ポリマーを含有する。一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、58重量%~95重量%、または65重量%~94重量%、または80重量%~90重量%のエチレン系ポリマーを含有する。
【0106】
一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、1重量%または2重量%または3重量%~4重量%または5重量%または6重量%または10重量%の官能化エチレン系ポリマーを含有する。別の実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または4重量%~5重量%、または4重量%~10重量%の官能化エチレン系ポリマーを含有する。
【0107】
一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、(本組成物の総重量に基づいて)本組成物中に10重量%超の官能化エチレン系ポリマーおよび/またはプロピレン系ポリマーを含めると、1.02g/cc超の密度を有する組成物がもたらされると考えられている。1.02g/cc超の密度は、ケーブル被覆の用途で問題となる可能性があるが、これは、被覆の密度の増加が、被覆導体のより大きな総重量の一因となり、既存のタワー構造にかかる重量負荷が増加する(既存のタワー構造が調査、計画、および/または修復土木工事を必要とせずに使用されるのを妨げる)ためである。
【0108】
一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、(i)50重量%または55重量%または60重量%~70重量%または75重量%または80重量%のMDPEと、(ii)5重量%または10重量%または15重量%~20重量%または25重量%または30重量%のVLDPEと、(iii)1重量%または2重量%または3重量%~4重量%または5重量%または10重量%のLLDPEと、を含有する。
【0109】
一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、(i)50重量%または55重量%または60重量%~65重量%または75重量%のMDPEと、(ii)5重量%または10重量%または15重量%~20重量%または25重量%または30重量%のVLDPEと、(iii)1重量%または2重量%または3重量%~4重量%または5重量%または10重量%のLLDPEと、(iv)1重量%または2重量%または3重量%~4重量%または5重量%または6重量%または10重量%のMAH-g-HDPEと、を含有する。
【0110】
本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、5重量%~15重量%の金属水酸化物成分を含有する。一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、5重量%または8重量%~10重量%または13重量%または15重量%の金属水酸化物成分を含有する。一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、8%~15重量%、または10重量%~15重量%、または12重量%~15重量%の金属水酸化物成分を含有する。一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、15重量%超の金属水酸化物を負荷する金属水酸化物成分は、もろくて加工不可能であり、したがってケーブル用途に好適ではない組成物をもたらすと考えられている。
【0111】
一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、5重量%または6重量%または8重量%または10重量%~13重量%または15重量%の高アスペクト比の金属水酸化物を含有する。別の実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、5重量%~15重量%、または6重量%~15重量%、または8重量%~10重量%、または10重量%~15重量%の高アスペクト比の金属水酸化物を含有する。
【0112】
一実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、5重量%または6重量%または8重量%または10重量%~13重量%または15重量%の高アスペクト比の金属水酸化物、および1重量%または3重量%または5重量%または6重量%~7重量%または8重量%または9重量%または10重量%の低アスペクト比の金属水酸化物を含有する。別の実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、5重量%~15重量%、または6重量%~15重量%、または8重量%~10重量%、または10重量%~15重量%の高アスペクト比の金属水酸化物、および1重量%~10重量%、または3重量%~8重量%、または6重量%~7重量%の低アスペクト比の金属水酸化物を含有する。
【0113】
一実施形態では、本組成物は、(A)58重量%~95重量%、または65重量%~94重量%、または80重量%~90重量%のエチレン系ポリマーと、(B)5重量%~15重量%、または8重量%~15重量%、または10重量%~15重量%、または12重量%~15重量%の金属水酸化物成分と、(C)任意選択で、1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~3重量%のカーボンブラックと、(D)任意選択で、0.05重量%~3.0重量%、または1.0重量%~2.0重量%の抗酸化剤と、を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。
【0114】
本組成物は、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率を有する。一実施形態では、本組成物は、0.53W・m-1・K-1超、または0.54W・m-1・K-1超、または0.55W・m-1・K-1超、または0.58W・m-1・K-1超、または0.60W・m-1・K-1超、または0.62W・m-1・K-1超、または0.65W・m-1・K-1超の熱伝導率を有する。0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率は、ケーブル被覆の用途に有利であるが、これは、熱活性の増加が、ドライバンドアークによる被覆の侵食を減少させる1つの経路であるためである。
【0115】
一実施形態では、本組成物は、0.52W・m-1・K-1超、または0.53W・m-1・K-1、または0.54W・m-1・K-1~0.70W・m-1・K-1、または0.80W・m-1・K-1、または0.90W・m-1・K-1の熱伝導率を有する。別の実施形態では、本組成物は、0.52W・m-1・K-1超~0.90W・m-1・K-1、または0.52W・m-1・K-1超~0.70W・m-1・K-1の熱伝導率を有する。
【0116】
本組成物は、1.02g/cc以下の密度を有する。一実施形態では、本組成物は、0.850g/ccまたは0.900g/ccまたは0.950g/ccまたは0.990g/cc~1.000g/ccまたは1.010g/ccまたは1.020g/ccの密度を有する。別の実施形態では、本組成物は、0.850g/cc~1.020g/cc、または0.950g/cc~1.020、または0.990g/cc~1.020、または0.990g/cc~1.010、または0.990g/cc~1.000g/ccの密度を有する。1.02g/cc以下の密度は、ケーブル被覆の用途に有利であるが、これは、被覆の密度の低減が、被覆導体のより低い総重量の一因となり、既存のタワー構造にかかる重量負荷を低減する(既存のタワー構造が調査、計画、および/または修復土木工事を必要とせずに使用されるのを可能にする)ためである。
【0117】
一実施形態では、本組成物は、2.75kV超、または3.00kV超の初期トラッキング電圧を有する。別の実施形態では、本組成物は、2.50kVまたは2.75kVまたは3.00kV~3.25kVまたは3.50kVまたは4.00kVの初期トラッキング電圧を有する。
【0118】
一実施形態では、本組成物は、40kV/mmまたは41kV/mm~42kV/mmまたは45kV/mmまたは50kV/mmまたは70kV/mmのAC破壊強度(ACBD)を有する。別の実施形態では、本組成物は、40kV/mm~70kV/mm、または41kV/mm~50kV/mmのACBDを有する。
【0119】
一実施形態では、本組成物は、13.0MPaまたは13.8MPaまたは15.0MPaまたは16.0MPaまたは17.0MPaまたは18.0MPaまたは19.0MPa~25.0MPaまたは27.0MPaまたは30.0MPaまたは35.0MPaの引張強度を有する。別の実施形態では、本組成物は、13.0MPa~35.0MPa、または16.0MPa~35.0MPa、または19.0MPa~30.0MPaの引張強度を有する。
【0120】
一実施形態では、本組成物は、400%または450%または475%または500%~1,000%または1,500%の引張伸度を有する。
【0121】
一実施形態では、本組成物は、
(A)58重量%~95重量%、または65重量%~94重量%、または80重量%~90重量%のエチレン系ポリマーであって、MDPE、VLDPE、LLDPE、および任意選択でMAH-g-HDPEを含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるブレンドである、エチレン系ポリマー、
(B)5重量%~15重量%、または8重量%~15重量%、または10重量%~15重量%、または12重量%~15重量%の金属水酸化物成分であって、
i.10超、または10~100、または10~75、または10~90、または10~50、または10~25、または20~90、または30~90、または40~90、または40~83のアスペクト比を有する水酸化マグネシウムである高アスペクト比の金属水酸化物であって、以下の特性:(a)0.01μm~0.5μm、もしくは0.01μm~0.15μm、もしくは0.05μm~0.10μmの平均厚さ、および/または(b)4.0μm~6.0μm、もしくは4.5μm~5.0μmの平均幅、および/または(c)2.0g/cc~4.0g/cc、もしくは2.4g/cc~3.0g/ccの比重のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する高アスペクト比の金属水酸化物、
ii.任意選択で、1~9、または1~6、または4~5のアスペクト比を有する水酸化マグネシウムである低アスペクト比の金属水酸化物であって、以下の特性:(a)0.15μm~0.50μm、もしくは0.20μm~0.30μmの平均厚さ、および/または(b)0.15μm~2.0μm、もしくは0.60μm~0.90μmの平均幅、および/または(c)2.0g/cc~4.0g/cc、もしくは2.4g/cc~3.0g/ccの比重のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する低アスペクト比の金属水酸化物を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる、金属水酸化物成分、
(C)任意選択で、本組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~5重量%の添加剤を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなり、
本組成物は、0.53W・m-1・K-1超、または0.54W・m-1・K-1超、または0.55W・m-1・K-1超、または0.58W・m-1・K-1超、または0.60W・m-1・K-1超、または0.62W・m-1・K-1超、または0.65W・m-1・K-1超の熱伝導率を有し、
本組成物は、0.850g/cc~1.020g/cc、または0.950g/cc~1.020、または0.990g/cc~1.020、または0.990g/cc~1.010、または0.990g/cc~1.000g/ccの密度を有し、
本組成物は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する:(i)2.75kV超、もしくは3.00kV超の初期トラッキング電圧、および/または(ii)40kV/mm~70kV/mm、もしくは41kV/mm~50kV/mmのACBD、および/または(iii)13.0MPa~35.0MPa、もしくは16.0MPa~35.0MPa、もしくは19.0MPa~30.0MPaの引張強度、および/または(iv)400%~1,500%、もしくは400%~1,000%、もしくは500%~1,000%の引張伸度。
【0122】
前述の組成物を含む、本明細書に開示される組成物および被覆の各々の成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0123】
組成物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでよい。
【0124】
D.被覆導体
本開示は、被覆導体を提供する。被覆導体は、非金属導体および非金属導体上の被覆を含む。被覆は、(A)エチレン系ポリマーと、(B)被覆の総重量に基づいて5重量%~15重量%の金属水酸化物成分と、を含有する。金属水酸化物成分は、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含む。被覆は、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率、および1.02g/cc以下の密度を有する。
【0125】
i.非金属導体
被覆導体は、非金属導体を含む。「非金属導体」は、金属をまったく含まないか、または実質的に全く含まない導体である。非金属導体は、単一ワイヤー/ファイバーまたは複数ワイヤー/ファイバーであり得、かつ撚線の形態または管状の形態であり得る。好適な非金属導体の非限定的な例としては、ガラスまたはプラスチックのいずれかから作製された光ファイバーが挙げられる。非金属導体は、保護シース内に配置されてもされなくてもよい。
【0126】
一実施形態では、非金属導体は、ケーブルである。「ケーブル」は、2つ以上のワイヤー、または2つ以上の光ファイバーが束ねられ、任意選択で、一般的な絶縁被覆内で束ねられている伝導体である。被覆内部の個々のワイヤーまたはファイバーは、露出していても、被覆されていても、または絶縁されてもよい。組み合わせケーブルは、電気ワイヤーおよび光ファイバーの両方を含有し得る。ケーブルは、低、中、および/または高電圧用途のために設計され得る。一実施形態では、ケーブル、さらに被覆導体は、電気ワイヤーを除外する。
【0127】
非金属導体は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0128】
ii.コーティング
被覆導体は、非金属導体上の被覆を含む。被覆は、(A)エチレン系ポリマーと、(B)被覆の総重量に基づいて5重量%~15重量%の金属水酸化物成分と、を含有する。金属水酸化物成分は、10以上のアスペクト比を有する金属水酸化物を含む。被覆は、0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率、および1.02g/cc以下の密度を有する。
【0129】
被覆は、本明細書に開示される任意の組成物であり得る。
【0130】
被覆は、溶融ブレンドによって形成することができる。「溶融ブレンド」は、それによって少なくとも2つの成分が組み合わされるか、そうでなければ一緒に混合され、成分のうちの少なくとも1つが溶融状態にあるプロセスである。溶融ブレンドは、バッチ混合、押出ブレンド、押出成形、およびこれらの任意の組み合わせによって達成することができる。
【0131】
一実施形態では、被覆は、非金属導体上に押出される。押出機は、クロスヘッドダイを有し、これは所望の層(壁または被覆)の厚さを提供する。使用され得る押出機の非限定的な例としては、クロスヘッドダイ、冷却槽、および連続巻取り機器で改造された単軸スクリュー型がある。典型的な単軸スクリュー型押出機は、その上流端にホッパーを、その下流端にダイを有するものとして記載することができる。ホッパーは、スクリューを含むバレル内に供給する。下流端には、スクリューの端部とダイとの間に、スクリーンパックおよびブレーカープレートがある。押出機のスクリュー部分は、供給セクション、圧縮セクション、および計量セクションの3つのセクション、ならびに上流から下流にかけての複数のセクションに伴う後部加熱域から前部加熱域までの複数の加熱域に分割されると考えられる。バレルの長さ対直径の比は、16:1~30:1の範囲内である。溝付きバレル押出機または二軸スクリュー押出機もまた、芯材被覆プロセスにおいて用いられ得る。外被押出プロセスは、160℃、または180℃、または200℃~220℃、または240℃、または260℃の範囲内の温度で行われ得る。クロスヘッドダイは、溶融した被覆組成物が均一な速度で出て、導体に塗布されるように、被覆組成物を流動チャネル内に分布する。このようにして、ブレンド(溶融ブレンド)および押出しは、同じ単一の押出機で行われる。導体は、クロスヘッドの中心を通過し、それが出る際に、被覆の均一な層が管上ツーリングの圧力または半圧力のいずれかを用いて円周方向に塗布される。被覆(または他の材料)の1つ以上の層が、複数のクロスヘッドを用いて塗布され得る。次いで、被覆非金属導体を水槽内で十分に冷却して、適用された被覆層の巻取りリール上での変形を防ぎ、被覆導体を得る。
【0132】
溶融ブレンドは、押出しの前に連続して行われてもよい。あるいは、溶融ブレンドは、押出しと同時に、または実質的に同時に行われてもよい(すなわち、溶融ブレンドおよび押出しは同じ押出機内で行われる)。カーボンブラックは、溶融ブレンド中および/または押出し中に添加され得る。
【0133】
一実施形態では、被覆は、非金属導体上の最外部被覆である。「最外部被覆」は、周囲環境にさらされるか、または実質的にさらされる外面を有する層である。被覆は、非金属導体を囲む唯一の構成要素であり得る。あるいは、被覆は、非金属導体を包む多層外被または多層シースの最外部層であり得る。
【0134】
一実施形態では、被覆は、非金属導体と直接接触する。本明細書で使用される「直接接触する」という用語は、被覆が非金属導体に直接隣接して位置し、被覆が非金属導体に触れており、介在層、介在被覆、および/または介在構造が被覆と非金属導体との間に存在しない被覆構成である。
【0135】
一実施形態では、被覆は、非金属導体と間接接触する。本明細書で使用される「間接接触する」という用語は、介在層、介在被覆、または介在構造が被覆と非金属導体との間に存在する被覆構成である。好適な介在層、介在被覆、および介在構造の非限定的な例としては、絶縁層、防湿層、緩衝管、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0136】
一実施形態では、絶縁層は非金属導体に直接接触し、最外部被覆は絶縁層に直接接触する。言い換えれば、被覆は、非金属導体を囲む絶縁層と直接接触する。好適な絶縁層の非限定的な例としては、発泡絶縁層、熱可塑性絶縁層、架橋絶縁層、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0137】
一実施形態では、被覆導体は、光ファイバーである複数の非金属導体を含み、光ファイバーは、緩衝管内に配置され、被覆は、緩衝管を囲む。光ファイバーは、単一の緩衝管、または複数の緩衝管内に配置することができる。
【0138】
一実施形態では、被覆は、0.25mm~0.50mmもしくは0.60mmもしくは0.70mmもしくは1.00mmもしくは2.00mmもしくは3.00mmもしくは4.00mm、または0.25mm~4.00mm、もしくは0.25mm~1.00mm、もしくは0.25mm~0.50mmの厚さを有する。
【0139】
図1は、好適な被覆導体10の非限定的な例を示す。被覆導体10は、第1の非金属強度部材1を含む。好適な第1の非金属強度部材の非限定的な例は、ガラス繊維強化プラスチックである。複数の緩衝管3は、非金属強度部材1の周りにねじられている。好適な緩衝管の非限定的な例としては、水の伝播を防ぐためにゲル2が充填されたポリブチレンテレフタレート管が挙げられる。緩衝管3は、ゲル2内に配置された光ファイバー8を含む。光ファイバー8は、緩衝管3を通って延在し、ゲル2に囲まれている。緩衝管3は、光緩衝管4内に含まれる。
【0140】
絶縁層5は、光緩衝管4を囲む。絶縁層5は、光緩衝管4に直接接触する。第2の非金属強度部材6は、絶縁層5を囲む。好適な第2の非金属強度部材の非限定的な例としては、ガラス繊維、アラミド糸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。第2の非金属強度部材6は、絶縁層5に直接接触する。
【0141】
最外部層7は、第2の非金属強度部材6を囲む。最外部層7は、本被覆および組成物を含む。最外部層7は、第2の非金属強度部材6に直接接触する。
【0142】
被覆導体は、金属強度部材を除外するか、またはまったく含まず、被覆導体は、金属シールド層を除外するか、またはまったく含まない。
【0143】
一実施形態では、被覆導体に存在する唯一の金属は、金属水酸化物成分である。言い換えれば、被覆導体に存在する唯一の金属含有成分または金属含有構造は、金属水酸化物成分である。
【0144】
一実施形態では、被覆導体は、
光ファイバーを含む非金属導体、
非金属導体上の最外部被覆であって、
(A)58重量%~95重量%、または65重量%~94重量%、または80重量%~90重量%のエチレン系ポリマーであって、MDPE、VLDPE、LLDPE、および任意選択でMAH-g-HDPEを含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるブレンドである、エチレン系ポリマー、
(B)5重量%~15重量%、または8重量%~15重量%、または10重量%~15重量%、または12重量%~15重量%の金属水酸化物成分であって、
i.10超、または10~100、または10~75、または10~90、または10~50、または10~25、または20~90、または30~90、または40~90、または40~83のアスペクト比を有する水酸化マグネシウムである高アスペクト比の金属水酸化物であって、以下の特性:(a)0.01μm~0.5μm、もしくは0.01μm~0.15μm、もしくは0.05μm~0.10μmの平均厚さ、および/または(b)4.0μm~6.0μm、もしくは4.5μm~5.0μmの平均幅、および/または(c)2.0g/cc~4.0g/cc、もしくは2.4g/cc~3.0g/ccの比重のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する高アスペクト比の金属水酸化物、
ii.任意選択で、1~9、または1~6、または4~5のアスペクト比を有する水酸化マグネシウムである低アスペクト比の金属水酸化物であって、以下の特性:(a)0.15μm~0.50μm、もしくは0.20μm~0.30μmの平均厚さ、および/または(b)0.15μm~2.0μm、もしくは0.60μm~0.90μmの平均幅、および/または(c)2.0g/cc~4.0g/cc、もしくは2.4g/cc~3.0g/ccの比重のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する低アスペクト比の金属水酸化物を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる、金属水酸化物成分、
(C)任意選択で、最外部被覆の総重量に基づいて、1重量%~20重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%、または2重量%~5重量%の添加剤を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる最外部被覆を含有するか、これらから本質的になるか、またはこれらからなり、
最外部被覆は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する:(i)0.52W・m-1・K-1超、もしくは0.53W・m-1・K-1超、もしくは0.54W・m-1・K-1超、もしくは0.55W・m-1・K-1超、もしくは0.58W・m-1・K-1超、もしくは0.60W・m-1・K-1超、もしくは0.62W・m-1・K-1超、もしくは0.65W・m-1・K-1超の熱伝導率、および/または(ii)0.850g/cc~1.020g/cc、もしくは0.950g/cc~1.020、もしくは0.990g/cc~1.020、もしくは0.990g/cc~1.010、もしくは0.990g/cc~1.000g/ccの密度、および/または(iii)2.75kV超、もしくは3.00kV超の初期トラッキング電圧、および/または(iv)40kV/mm~70kV/mm、もしくは41kV/mm~50kV/mmのACBD、および/または(v)13.0MPa~35.0MPa、もしく16.0MPa~35.0MPa、もしくは19.0MPa~30.0MPaの引張強度、および/または(vi)400%~1,500%、もしくは400%~1,000%、もしくは500%~1,000%の引張伸度。
【0145】
一実施形態では、被覆導体は、光ファイバーケーブル、通信ケーブル(電話ケーブルまたはローカルエリアネットワーク(LAN)ケーブルなど)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0146】
一実施形態では、被覆導体は、全誘電体自己支持型(ADSS)ケーブルである。ADSSケーブルは、高電圧電力線に沿って設置するのに好適である(IEEE1222に従って測定した場合、塩分または汚染された領域で少なくとも150kVの動作電圧および/または少なくとも4kVの空間電位を有する)。被覆導体に存在する唯一の金属が金属水酸化物成分である本ADSSケーブルは、電力線の電力を低下させることなく、高電圧電力線に沿って有利に設置され得る。金属強度部材および/または金属シールド層など、金属構成要素または構造をさらに含む被覆導体は、高電圧電力線に沿って設置するには電力線の電力を低下させる必要があるため、ADSSケーブルに好適ではない。
【0147】
(A)エチレン系ポリマーと、(B)高アスペクト比の金属水酸化物を含有する5重量%~15重量%の金属水酸化物成分とを含有する本被覆は、改善された熱伝導率(すなわち、0.52W・m-1・K-1超)を有利に提供しながら、好適に低い密度(すなわち、1.02g/cc以下)を維持する。
【0148】
ここで、限定ではなく例として、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例
【0149】
本発明の実施例および比較例で使用した材料を、下記の表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0150】
組成物をBrabender混合ボウルで調製する。DFH-3580H(MDPE)を最初に180℃でボウルにロードする。DFH-3580Hを溶融した後、FLEXOMER DFDA-1137 NT 7(VLDPE)を添加し、続いて180℃の温度で3分間混合する。次いで、DFNC-0037 BK(カーボンブラックマスターバッチ)、水酸化マグネシウム(KISUMA 5B-1G、KISUMA 5J、および/またはKISUMA 10J)、およびAO MBをボウルに添加し、180℃の温度で5分間混合する。組成物を室温(23~25℃)に冷却し、次いで押出しのために細かく切断する。
【0151】
組成物を、以下の表2に提供される条件で、Maddock混合スクリューを備えたBrabender押出機にロードする。組成物を、押出機の端にある20/30/100/60/20メッシュスクリーンパックを通して供給する。押出機を出た後、組成物を室温(23~25℃)に冷却し、ペレット化する。
【表2】
【0152】
組成物および各サンプル組成物の特性を以下の表3に提供する。
【0153】
表3に示すように、CS10は(A)エチレン系ポリマー(MDPEおよびVLDPE)を含有するが、金属水酸化物を含まない。CS10は、0.52W・m-1・K-1未満(0.410W・m-1・K-1)の熱伝導率を示す。したがって、CS10は、ADSSケーブル用途に好適ではない。
【0154】
CS9は、(A)エチレン系ポリマー(MDPEおよびVLDPE)、および(B)10未満(4~5)のアスペクト比を有する金属水酸化物(KISUMA 5J)を含有する12.5重量%の金属水酸化物成分を含有する。CS9は、(i)0.52W・m-1・K-1未満(0.508W・m-1・K-1)の熱伝導率および(ii)1.02g/cc超(1.021g/cc)の密度を示す。したがって、CS9は、ADSSケーブル用途に好適ではない。
【表3】
【0155】
表3に示すように、CS8は、(A)エチレン系ポリマー(MDPEおよびVLDPE)、および(B)10未満(4~5)のアスペクト比を有する金属水酸化物(KISUMA 5B-1G)を含有する15重量%超(25重量%)の金属水酸化物成分を含有する。CS8は、1.02g/cc超(1.099g/cc)の密度を示す。したがって、CS8は、ADSSケーブル用途に好適ではない。
【0156】
CS7は、(A)エチレン系ポリマー(MDPEおよびVLDPE)、および(B)10のアスペクト比を有する金属水酸化物(KISUMA 10J)を含有する15重量%超(25重量%)の金属水酸化物成分を含有する。CS7はもろく、CS7の特性を測定することはできない。したがって、CS7は、ADSSケーブル用途に好適ではない。
【0157】
対照的に、(A)エチレン系ポリマー(MDPEおよびVLDPE)、および(B)10のアスペクト比を有する金属水酸化物(KISUMA 10J)を含有する5~15重量%の金属水酸化物成分を含有する組成物(実施例1~実施例6)は、(i)0.52W・m-1・K-1超の熱伝導率および(ii)1.02g/cc以下の密度の組み合わせを予想外に示す。したがって、実施例1~実施例6は、ADSSケーブル用途に好適である。
【0158】
実施例1およびCS9は各々、(A)エチレン系ポリマー(MDPEおよびVLDPE)、および(B)12.5重量%の金属水酸化物成分を含有する。実施例1は、10のアスペクト比を有する金属水酸化物(KISUMA 10J)を含有し、CS9は、10未満(4~5)のアスペクト比を有する金属水酸化物(KISUMA 5J)を含有する。実施例1は、CS9と比較して熱伝導率の32%の増加を予想外に示す。さらに、実施例1は、1.02g/cc以下(1.019g/cc)の密度を示し、CS9の密度は、1.02g/cc超(1.021g/cc)である。したがって、実施例1は、ADSSケーブル用途に好適であるが、CS9は、ADSSケーブル用途に好適ではない。
【0159】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および図に限定されず、実施形態の部分、および以下の特許請求の範囲に含まれる異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、これらの実施形態の改変形態を含むことが特に意図される。

図1