(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】位置固定装置を具備したサークラージ施術装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A61B17/00 500
(21)【出願番号】P 2022502180
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2020009127
(87)【国際公開番号】W WO2021010679
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0084508
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522329744
【氏名又は名称】タウ メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TAU MEDICAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジュン ホン
(72)【発明者】
【氏名】パク, キョネ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ヨン ヒョン
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/103540(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置固定装置を具備したサークラージ施術装置において、
サークラージワイヤー;
冠状静脈洞に挿入されて内部に通孔が形成された
冠状静脈洞チューブ;
三尖弁膜を横断し内部に通孔が形成された三尖弁膜チューブ;および
前記
冠状静脈洞チューブの外周面の一側に接合され前記
冠状静脈洞チューブの動きを防止する位置固定装置;を含むものの、
前記
冠状静脈洞チューブと前記三尖弁膜チューブの上部側は結合され下部側は分離され
ており、
前記位置固定装置は、前記冠状静脈洞に固定されるように、前記冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように設けられていることを特徴とする、位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項2】
前記位置固定装置は、
四角形状で
前記冠状静脈洞チューブの前記下部において前記
冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、
前記結合部の下端から延びて形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブ
の前記下部に向かって所定の角度で傾いた一つ以上の固定部を含むものの、
前記冠状静脈洞の内壁に前記固定部が固定され、前記冠状静脈洞の内壁より厚さが薄い前記冠状静脈洞の外壁には固定されないため前記冠状静脈洞の損傷を最小化することを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項3】
前記位置固定装置は、
四角形状で
前記冠状静脈洞チューブの前記下部において前記
冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、
前記結合部の下端から延びて形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブ
の前記下部に向かって所定の角度で傾いた一つ以上の第1固定部と、
前記結合部の一側に形成された溝の上面から延びて形成されるものの、
冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブに向かって所定の角度で傾いた一つ以上の第2固定部を含むものの、
前記冠状静脈洞の内壁に前記第1固定部および前記第2固定部が固定され、前記冠状静脈洞の内壁より厚さが薄い前記冠状静脈洞の外壁には固定されないため前記冠状静脈洞の損傷を最小化することを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項4】
前記位置固定装置は、
四角形状で前記
冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、
前記結合部の一側面に下部の外周面に沿って外方に突出形成される固定部を含むものの、
前記固定部は下端が最も突出するように上端から下端まで所定の傾斜を有して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項5】
前記位置固定装置は、
四角形状で前記
冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、
前記結合部の一側面に多数個の行と列を有するように配置され、マイクロニードルの形状を有する多数個の固定部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項6】
前記三尖弁膜チューブは一側に結合されて三尖弁膜の空いた空間を遮断する遮断部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項7】
前記三尖弁膜チューブは終端に結合されて前記三尖弁膜チューブが心室中隔に食い込まないようにするストッパーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項8】
前記サークラージワイヤーは一側に結合されたアーチ部を具備して、冠状静脈洞の下に位置する冠状動脈が前記サークラージワイヤーによって加圧されないように保護することを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項9】
前記位置固定装置は、
前記冠状静脈洞の内壁に固定され、前記冠状静脈洞の内壁より厚さが薄い前記冠状静脈洞の外壁には固定されないため前記冠状静脈洞の損傷を最小化することを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【請求項10】
前記位置固定装置は、
前記
冠状静脈洞チューブに沿って一個以上が結合されることを特徴とする、請求項1に記載の位置固定装置を具備したサークラージ施術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置固定装置を具備したサークラージ施術装置に関し、さらに詳細には、心臓の弁膜またはペースメーカー挿入施術に使われるサークラージ施術装置の位置を固定して施術後にサークラージ施術装置の移動を防止することによって、正しい位置に施術装置を維持させて治療の効果が持続され得るようにし、施術の安定性を向上させる位置固定装置を具備したサークラージ施術装置に関することである。
【背景技術】
【0002】
心臓は2個の心房と2個の心室からなり、大動脈、大静脈、肺動脈、肺静脈などの4種の血管と連結されて血液の移動通路となる。
【0003】
心臓中央の心室中隔を基準として一側は右心房と右心室、他側は左心房と左心室に分かれる。右心房と右心室の間には三尖弁膜が存在し、左心房と左心室の間には僧帽弁膜が存在する。
【0004】
心臓は収縮と弛緩作用を繰り返すことによって心臓がポンプの役割をして、血液が血管に沿って流れることになる。心臓の収縮期には心臓内の血液が血管に前進するが、右側の心臓では右心室から肺動脈に、左側の心臓では左心室から大動脈に血液が移動することになる。
【0005】
しかし、心房と心室間の膜が正常に作動しないと、心臓の収縮期に心室の血液が逆流することになる。右心房と右心室間の三尖弁膜が正常に作動しないことによって右心室の血が右心房に逆流すると「三尖弁膜逆流症」といい、左心房と左心室間の僧帽弁膜が正常に作動しないことによって左心室の血が左心房に逆流すると「僧帽弁膜逆流症」という。
【0006】
三尖弁膜逆流症は通常僧帽弁膜逆流症がある患者に発生し、心臓弁膜疾患がある患者は心臓機能が落ちることになることによって心房細動、不整脈、心不全症などを誘発し得、これはペースメーカーを体内に挿入して治療することができる。
【0007】
そこで、本発明者はサークラージ装置を利用して僧帽弁膜逆流症、三尖弁膜逆流症、心不全症などを治療する装置を提案したし、より詳細には、韓国登録特許第10-1116867号、韓国登録特許第10-1231140号、韓国登録特許第10-1563172号、韓国登録特許第10-1581021号および韓国公開特許第10-2013-0074823号で僧帽弁膜逆流症を治療するための装置について特許出願をしたし、韓国登録特許第10-1805679号および韓国公開特許第10-2015-0144568号で三尖弁膜逆流症を治療するための装置について特許出願をしたし、韓国登録特許第10-2016-0011530号および韓国公開特許第10-2016-0020887号でペースメーカーリード終端を位置させる装置について特許出願をした。
【0008】
前記特許は、基本的に冠状静脈洞に挿入される冠状静脈洞チューブと、三尖弁膜を横断する三尖弁膜チューブと、サークラージワイヤーと、を含む「サークラージ装置」に関するものである。「サークラージ装置」は、サークラージワイヤーが上大静脈-冠状静脈洞-心室中隔-右心房-上大静脈に挿入されて体内で円形を描くように連結されているという意味で付けられた名前であり、前記サークラージワイヤーは冠状静脈チューブと三尖弁膜チューブに挿入されて体内で円形を描きながら両端が上大静脈を通過して体外に位置するのである。
【0009】
前記「サークラージ装置」は、前記冠状静脈洞チューブと前記三尖弁膜チューブが上部には互いに結合され下部は互いに分離されるものであって、分離される部分が冠状静脈洞の入口に位置される。
【0010】
この時、前記「サークラージ装置」は施術後に冠状静脈洞側に前記冠状静脈洞チューブが滑って位置が移動される場合がたびたび発生したし、本発明はこのような問題点を解決するために前記「サークラージ装置」を改良発明したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、施術後にも装置の位置が移動しないように位置を固定するだけでなく、体内に損傷を加えず、固定、脱着が容易な装置を提供して、正しい位置に装置が維持され得るようにして施術の安定性を向上させた、位置固定装置を具備したサークラージ装置を提供することである。
【0012】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されず、言及されていないさらに他の目的は下記の記載から本発明の技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ施術装置はサークラージワイヤー;冠状静脈洞に挿入されて内部に通孔が形成された冠状静脈洞チューブ;三尖弁膜を横断し内部に通孔が形成された三尖弁膜チューブ;および前記冠状静脈洞チューブの外周面の一側に接合され前記冠状静脈洞チューブの動きを防止する位置固定装置;を含むものの、前記冠状静脈洞チューブと前記三尖弁膜チューブの上部側は結合され下部側は分離されることを特徴とする、。
【0014】
前記位置固定装置は、四角形状で前記冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、前記結合部の下端から延びて形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブに向かって所定の角度で傾いた一つ以上の固定部を含むものの、前記冠状静脈洞の内壁に前記固定部が固定され、前記冠状静脈洞の内壁より厚さが薄い前記冠状静脈洞の外壁には固定されないため前記冠状静脈洞の損傷を最小化することを特徴とする、。
【0015】
他の実施例に係る前記位置固定装置は、四角形状で前記冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、前記結合部の下端から延びて形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブに向かって所定の角度で傾いた一つ以上の第1固定部と、前記結合部の一側に形成された溝の上面から延びて形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブに向かって所定の角度で傾いた一つ以上の第2固定部を含むものの、前記冠状静脈洞の内壁に前記第1固定部および前記第2固定部が固定され、前記冠状静脈洞の内壁より厚さが薄い前記冠状静脈洞の外壁には固定されないため前記冠状静脈洞の損傷を最小化することを特徴とする、。
【0016】
本発明のさらに他の実施例に係る前記位置固定装置は、四角形状で前記冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、前記結合部の一側面に下部の外周面に沿って外方に突出形成される固定部を含むものの、前記固定部は下端が最も突出するように上端から下端まで所定の傾斜を有して形成されることを特徴とする、。
【0017】
本発明のさらに他の実施例に係る前記位置固定装置は、四角形状で前記冠状静脈洞チューブの外周面を囲むように結合される結合部と、前記結合部の一側面に多数個の行と列を有するように配置され、マイクロニードルの形状を有する多数個の固定部を含むことを特徴とする、。
【0018】
本発明の好ましい実施例によると、前記三尖弁膜チューブは一側に結合されて三尖弁膜の空いた空間を遮断する遮断部を含むことを特徴とする、。
【0019】
また、前記三尖弁膜チューブは終端に結合されて前記三尖弁膜チューブが心室中隔に食い込まないようにするストッパーを含むことを特徴とする、。
【0020】
併せて、前記サークラージワイヤーは一側に結合されたアーチ部を具備して、冠状静脈洞の下に位置する冠状動脈が前記サークラージワイヤーによって加圧されないように保護することを特徴とする、。
【0021】
前記位置固定装置は前記冠状静脈洞の内壁に固定され、前記冠状静脈洞の内壁より厚さが薄い前記冠状静脈洞の外壁には固定されないため前記冠状静脈洞の損傷を最小化することを特徴とする、。
【0022】
また、前記位置固定装置は前記冠状静脈洞チューブに沿って一個以上が結合されることを特徴とする、。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ装置は、施術ワイヤーに張力を加えると位置固定装置が冠状静脈洞の内壁に固定されて冠状静脈洞チューブが施術後に滑って位置移動が発生しないようにして施術の安定性を向上させ、施術後、体内に正しい位置に装置が維持され得るようにして施術の効果を向上させ、サークラージ装置の位置移動による再施術を要求しない長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ装置の斜視図である。
【0025】
【
図2a】本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ装置を心臓に挿入した施術場面を示した写真である。
【0026】
【
図3】本発明の好ましい第1実施例に係る位置固定装置の斜視図であり、
図3の(a)は位置固定装置を広げた時の斜視図であり、
図3の(b)は位置固定装置を結合した時の斜視図である。
【0027】
【
図4】本発明の好ましい第2実施例に係る位置固定装置の斜視図である。
【0028】
【
図5】本発明の好ましい第3実施例に係る位置固定装置の斜視図である。
【0029】
【
図6】本発明の好ましい第4実施例に係る位置固定装置の斜視図である。
【0030】
【
図7】本発明の好ましい第5実施例に係る位置固定装置の側面図である。
【0031】
【
図8】本発明の好ましい第6実施例に係る位置固定装置の斜視図である。
【0032】
【符号の説明】
【0033】
1:サークラージワイヤー
【0034】
10:冠状静脈洞チューブ
【0035】
20:三尖弁膜チューブ
【0036】
30:位置固定装置
【0037】
32:結合部
【0038】
32-1:突出部
【0039】
32-2:第1陥入部
【0040】
32-3:第2陥入部
【0041】
34:固定部
【0042】
36:溝
【0043】
37:第1固定部
【0044】
38:第2固定部
【0045】
40:遮断部
【0046】
50:ストッパー
【0047】
60:アーチ部
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面とともに詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし本実施例は本発明の開示を完全なものとし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0049】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施のための具体的な内容を詳細に説明する。図面にかかわらず、同一の部材番号は同一の構成要素を指称し、「および/または」は言及されたアイテムのそれぞれおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0050】
本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は言及された構成要素の他に一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0051】
特に定義されない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使われ得るであろう。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0052】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。
【0053】
図1は、本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ装置の斜視図である。
【0054】
図2aは本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ装置を心臓に挿入した施術場面を示した写真であり、
図2bは冠状静脈洞を図示した斜視図である。
【0055】
図1および
図2を参照すると、本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ装置は、サークラージワイヤー1、
冠状静脈洞チューブ10、三尖弁膜チューブ20、位置固定装置30を含む。
【0056】
前記サークラージワイヤー1は冠状静脈洞、心室中隔、三尖弁膜に円形を描くように連結されているという意味で付けられた名前であり、前記冠状静脈洞チューブ10と前記三尖弁膜チューブ20に挿入されて図面に図示された通り、円形を描くように一つに連結されるのである。
【0057】
前記サークラージワイヤー1の一側にはアーチ部60が形成される。前記サークラージワイヤー1は冠状静脈洞に挿入されるが、冠状静脈洞の下に冠状動脈が位置することになる。この時、前記サークラージワイヤー1によって前記冠状動脈に相当な外圧が加えられることになり、前記アーチ部60はこれを防止し冠状動脈を保護するためのものである。
【0058】
前記冠状静脈洞チューブ10は内部に通孔が形成され、下部が冠状静脈洞に挿入されて冠状静脈洞を保護するためのものである。前記冠状静脈洞チューブ10はゴム材、軟性プラスチック材などからなり得、軟性が高く、心臓の拍動に応じて動き得る柔軟性と復原性が優秀な材質が使われる。
【0059】
前記三尖弁膜チューブ20は内部に通孔が形成され、三尖弁膜の不完全な閉まりによって発生する空間(orifice)を貫通して心室中隔に達するものである。前記三尖弁膜チューブ20はゴム材、軟性プラスチック材などからなり得、軟性が高く、心臓の拍動に応じて動き得る柔軟性と復原性が優秀な材質が使われる。
【0060】
前記三尖弁膜チューブ20は側面に結合される遮断部40を含み、前記遮断部40は三尖弁膜の不完全な閉まりによって発生する空間を閉塞するものであり、遮断膜、遮断風船などが使われ得る。前記遮断部40が三尖弁膜の空いた空間を遮断して三尖弁膜逆流症を治療する。
【0061】
前記三尖弁膜チューブ20は終端が心室中隔内に浸透することを防止するために、三尖弁膜チューブ20の下端にストッパー50が設置される。これは前記三尖弁膜チューブ20が三尖弁膜の周囲に密着せず浮いているようにして、前記三尖弁膜チューブ20による三尖弁膜の損傷を防止できるようにする。
【0062】
前記位置固定装置30は前記冠状静脈洞チューブ10の一側に前記冠状静脈洞チューブ10の外周面の一側に接合され、一つ以上が接合されて前記冠状静脈洞チューブ10が心臓拍動によって滑ったり動くことを防止するものである。
【0063】
図2bは冠状静脈洞をより詳細に説明するための図面であって、前記冠状静脈洞は内壁が外壁より厚く形成されたものであり、前記位置固定装置30は前記冠状静脈洞の内壁に固定され、前記冠状静脈洞の内壁より厚さが薄い前記冠状静脈洞の外壁には固定されないため前記冠状静脈洞の損傷を最小化する。
【0064】
前記位置固定装置30に対するより詳細な説明は後述される
図3~
図8で説明することにする。
【0065】
また、本発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ装置は、前記冠状静脈洞チューブ10または前記三尖弁膜チューブ20内に挿入されて心房細動を治療するための除細動器リード(図示されず)または終端がヒス(His)に挿入されて心臓に電気刺激を加えるペースメーカーリード(図示されず)を含むことができる。
【0066】
図3は本発明の好ましい第1実施例に係る位置固定装置の斜視図であり、
図3の(a)は位置固定装置を広げた時の斜視図であり、
図3の(b)は位置固定装置を結合した時の斜視図である。
【0067】
図3を参照して本発明の好ましい第1実施例に係る前記位置固定装置30についてより詳細に説明すると、前記位置固定装置30は結合部32、固定部34を含む。
【0068】
前記結合部32は、四角形状で前記冠状静脈洞チューブ10を囲むものである。前記結合部32は前記結合部32の左右方向の一端から延びるように突出形成された突出部32-1と、前記結合部32の左右方向の他端から一端に向かって陥入され前記突出部32-1の形状と対応するように形成された第1陥入部32-2と、前記結合部32の下端から上端に向かって陥入した第2陥入部32-3を含む。
【0069】
前記結合部32は前記突出部32-1が前記第1陥入部32-2内に挿入された状態で前記冠状静脈洞チューブ10の外周面を囲むように結合され、結合後には全体的にリング状を有するものである。前記結合部32が前記冠状静脈洞チューブ10に結合時、人体に無害な接着剤のような接着物質を塗布して接着される。
【0070】
前記突出部32-1および前記第1陥入部32-2が形成された前記結合部32の左右方向の両端は、前記冠状静脈洞の外壁と接触する位置に結合されることが好ましい。
【0071】
前記位置固定装置30は前記第2陥入部32-3の上端から延長形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブに向かって所定の角度で傾いた多数個の固定部34を含む。前記固定部34は一端が前記第2陥入部32-3の上面と接触しており、他端は前記三尖弁膜チューブ20に向かって突出し、四角形状であるものの、一端から他端に行くほど幅方向の長さが長く形成され、角が角ばらずに丸く形成されるのが特徴である。
【0072】
より詳細には、前記固定部34は前記冠状静脈洞の内壁と接触するように位置されて、前記冠状静脈洞チューブ10を冠状静脈洞に挿入すると前記固定部34が前記冠状静脈洞の内壁に固定される。
【0073】
前記冠状静脈洞は内壁が外壁より厚く形成されたもので、前記固定部34が冠状静脈洞の内壁に固定されても冠状静脈洞の内壁は損傷を受けないが、前記固定部34が冠状静脈洞の外壁に固定される場合、冠状静脈洞の外壁はその厚さが薄いため破れたり損傷を受け得る。
【0074】
したがって、本願発明に係る前記位置固定装置30は前記冠状静脈洞チューブ10に結合され、前記固定部34が冠状静脈洞の内壁に固定されるものであるため、前記冠状静脈洞チューブ10の滑りまたは位置移動は防止するものの冠状静脈洞に損傷は加えないのである。
【0075】
また、両側の角が丸く形成されるため、冠状静脈洞の内壁に固定されても冠状静脈洞の内壁に深い損傷を加えることなく前記冠状静脈洞チューブ10の位置を固定することができる。
【0076】
前記結合部32は前記第1陥入部32-2と前記突出部32-1を含まないリングの形態も可能であることは言うまでもなく、前記第2陥入部32-3を含まずに前記結合部32の下端からすぐに延びて形成される前記固定部34を含んでもよいのは言うまでもない。
【0077】
図4は、本発明の好ましい第2実施例に係る位置固定装置の斜視図である。
【0078】
本発明の好ましい第2実施例に係る位置固定装置30は結合部32と固定部34を含む。前記結合部32は
図3で詳述した通りであり、本発明の好ましい第2実施例に係る位置固定装置30は前記結合部32に結合された固定部34の個数が異なるものである。
【0079】
第2実施例に係る位置固定装置30は、前記第2陥入部32-3の上面から一つの固定部34が延長形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブに向かって所定の角度で傾いて形成される。より詳細には、前記固定部34の一端は前記第2陥入部32-3の上面と接触し、他端は前記三尖弁膜チューブに向かって突出し、四角形状であるものの、一端から他端に行くほど幅方向の長さが長く形成され、角が角ばらずに丸く形成されるのが特徴である。
【0080】
本発明の好ましい第2実施例に係る前記位置固定装置30の前記固定部34は、第1実施例に係る前記固定部34より大きさが大きく形成されるものである。したがって、一つの前記固定部34が結合されても固定力が優秀であるのである。
【0081】
図5は、本発明の好ましい第3実施例に係る位置固定装置の斜視図である。本発明の好ましい第3実施例に係る位置固定装置30は結合部32と第1固定部37を含む。前記結合部32と前記第1固定部37は
図3で詳述した結合部および固定部と同一の形状であるが、前記結合部32の高さ方向の長さが
図3に図示されたものより長く形成される。
【0082】
前記結合部32の一側には第2陥入部32-3と水平に四角形状の溝36が形成され、前記位置固定装置30は前記溝36の上面から延びて形成され、前記三尖弁膜チューブ20に向かって所定の角度で折り曲げられた多数個の第2固定部38を含む。前記第2固定部38は前記固定部34と同一に形成され、多数個の前記第2固定部38が所定の間隔をおいて互いに離隔するように形成される。
【0083】
本発明の好ましい第3実施例に係る位置固定装置30は一つの前記位置固定装置30に前記第1固定部37および前記第2固定部38が形成されたものであるため、一つの前記位置固定装置30が前記冠状静脈洞チューブ10に接合されても固定力を向上させることができる。
【0084】
図6は、本発明の好ましい第4実施例に係る位置固定装置の斜視図である。本発明の好ましい第4実施例に係る位置固定装置30は結合部32と第1固定部37を含み、前記結合部32の一側に第2陥入部32-3と水平に形成された四角形状の溝36を含み、前記溝36の上面から延びて形成され前記三尖弁膜チューブ20に向かって所定の角度で折り曲げられた一つの第2固定部38を含む。
【0085】
前記結合部32と前記溝36は
図5で詳述した通りであり、前記第1固定部37は前記第2陥入部32-3の上端から延長形成されるものの、冠状静脈洞の内壁に挿入時に容易に挿入され、離脱時に容易に離脱され得るように前記三尖弁膜チューブに向かって所定の角度で傾いた一つの固定部34を含む。
【0086】
より詳細には、前記第1固定部37と前記第2固定部38は
図4で詳述した本発明の好ましい第2実施例の固定部34と同一の形態であり、一つの前記第1固定部37および前記第2固定部38がそれぞれ前記第2陥入部32-3および前記溝36から延びて形成されるものの、前記三尖弁膜チューブ20に向かって所定の角度で折り曲げられて突出し、四角形状であるものの、一端から他端に行くほど幅方向の長さが長く形成され、角が角ばらずに丸く形成されるのが特徴である。
【0087】
本発明の好ましい第4実施例に係る位置固定装置30は一つの前記位置固定装置30に二つの固定部37、38が形成されたものであるため、一つの前記位置固定装置30のみが前記冠状静脈洞チューブ10に結合されても固定力をさらに向上させることができる。
【0088】
図7は、本発明の好ましい第5実施例に係る位置固定装置の側面図である。本発明の第5実施例に係る位置固定装置30は結合部32と固定部34を含む。前記結合部32は
図3で詳述した通りに形成される突出部32-1および第1陥入部32-2を含むか、第2陥入部32-3を含まないものである。
【0089】
前記固定部34は、前記三尖弁膜チューブ20と向かい合うように位置される前記結合部32の下部の外周面に沿って外方に突出形成されるものである。より詳細には、前記固定部34は下端が最も突出するように上端から下端まで所定の傾斜を有して形成され、前記冠状静脈洞チューブ10が冠状静脈洞に挿入されると、前記固定部34の下端が冠状静脈洞の内壁の一側に係止されて前記冠状静脈洞チューブ10がそれ以上滑らないように防止する防止段のような役割をする。
【0090】
前記結合部32は前記固定部34が結合された左右側に溝が形成され得、これは前記結合部32が柔軟に曲がって前記冠状静脈チューブ10に結合され得るようにする。
【0091】
図8は、本発明の好ましい第6実施例に係る位置固定装置の斜視図である。本発明の第6実施例に係る位置固定装置30は結合部32と固定部34を含む。前記結合部32は
図3で詳述した通りに形成される突出部32-1および第1陥入部32-2を含むか、第2陥入部32-3を含まないものである。
【0092】
前記結合部32の外周面に結合される多数個の固定部34を含み、前記固定部34は円錐状で前記三尖弁膜チューブ20と向かい合う前記結合部32の一側に多数個の列と行を有して配置される。前記固定部34はマイクロニードル(micro needle)のような形状で、より詳細には、大きさが1mm未満であり、円錐、多角錐、螺旋形のような多様な形態のマイクロニードルが適用され得る。
【0093】
より詳細には、前記固定部34は前記サークラージワイヤー1を引っ張ると冠状静脈洞の内壁に固定されて前記冠状静脈洞チューブ10の位置が固定されるようにするが、前記サークラージワイヤー1の張力を解除すると冠状静脈洞の内壁から容易に脱着され冠状静脈洞の内壁に損傷を加えないものである。
【0094】
本願発明に係る位置固定装置を具備したサークラージ施術装置の施術方法について簡略に説明すると、まずサークラージ施術装置を体内に挿入する。この時、前記サークラージ施術装置は冠状静脈洞チューブ10、三尖弁膜チューブ20を基本的に含んで構成されるものであり、前記冠状静脈洞チューブ10の一側には位置固定装置30が一つ以上結合されたものである。また、前記三尖弁膜チューブ20の下端にはストッパー40を含むことができ、前記三尖弁膜チューブ20の外周面の一側には遮断部50を含むことができる。
【0095】
次に、サークラージワイヤー1を上大静脈-冠状静脈洞チューブ10-心室中隔-三尖弁膜チューブ20に挿入して再び上大静脈に突出するようにする。この時、前記サークラージワイヤー1の一側にはアーチ部60を含むことができる。
【0096】
次に、上大静脈に位置する前記サークラージワイヤー1の両端を引っ張ると、前記サークラージワイヤー1に張力が加えられながら前記冠状静脈洞チューブ10が冠状静脈洞の内壁方向に移動して前記位置固定装置30が冠状静脈洞の内壁に固定される。
【0097】
したがって、前記サークラージ施術装置が滑ったり心臓拍動によって移動しないようにして施術の安定性を向上させ、体内の正しい位置に装置が固定されて維持され得るようにする。
【0098】
以上、添付された図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施され得ることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり限定的ではないものと理解されるべきである。