(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】改良型空気管理システムを備えるCAFSシステム
(51)【国際特許分類】
A62C 5/02 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A62C5/02 A
(21)【出願番号】P 2022534764
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 IB2020061830
(87)【国際公開番号】W WO2021117002
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】102019000023679
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518434717
【氏名又は名称】イヴェコ・マギルス・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーケン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フマーヨハン,ティム
(72)【発明者】
【氏名】リーチェル,シモン
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-525851(JP,A)
【文献】特開昭63-096368(JP,A)
【文献】特開昭49-124493(JP,A)
【文献】特開平05-181538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0048318(US,A1)
【文献】特開平02-118317(JP,A)
【文献】特開2009-082490(JP,A)
【文献】中国実用新案第207384659(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0209807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
G05D 7/00- 7/06
F16K 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部(2a)と出力部(2b)との間で空気圧を上昇させる為のコンプレッサ手段(2)と、水・添加物溶液の供給源(6)と
、加圧空気と前記水・添加物溶液とから成る空気・溶液混合物を提供するように構成される混合室モジュール(4)とを具備する圧縮空気泡消火システムつまりCAFS(1)であって、
前記混合
室が更に消火設備(7)に流体的に接続可能であり、前記コンプレッサ手段(2)の前記出力部(2b)と前記混合室モジュール(4)との間で直列に流体的に介在配置される空気調節システム(3)を更に具備するシステムであり、前記空気調節システム(3)が、前記コンプレッサ手段(2)の前記出力部(2b)と前記混合室モジュール(4)との間で互いに並列に流体的に介在配置される複数の分注モジュール(10)を具備し、各分注モジュール(10)が、前記混合室モジュールへの既定の圧縮空気流の通過を選択的に許容するように構成され、前記複数の分注モジュール(10)が、一つの分注モジュール(10)の既定流が他の分注モジュール(10)の既定流とは異なるように寸法決定さ
れ、
各分注モジュール(10)がバルブ手段(11)とノズル装置(12)とを具備し、前記バルブ手段(11)が前記ノズル装置(12)に対して直列に上流に設けられ、前記コンプレッサ手段(2)から前記ノズル装置(12)への流体の通過を許容又は拒否するように構成され、前記ノズル装置(12)が、既定圧力での予設定空気流の通過を許容するように寸法決定され、
前記消火設備(7)と各バルブ手段(11)とに接続されるように構成される制御ユニット(13)を更に具備し、前記消火設備(7)から、及び/又は、前記混合室モジュール(4)から発出される信号に応じて各バルブ手段(11)の開口又は閉止を制御するように前記制御ユニット(13)が構成される、
圧縮空気泡消火システム。
【請求項2】
前記他の分注モジュール(10)の前記既定流が前記一つの分注モジュール(10)の流れのN倍である、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
分注モジュールの数がNであって、第(N)分注モジュール(10)の前記既定流が一つの第(N-1)分注モジュール(10)の既定流の2倍であり、Nが整数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンプレッサ手段(2)の前記出力部(2b)と前記空気調節システム(3)との間で流体的に介在配置される安全手段(8)を更に具備して、前記出力部(2b)と前記空気調節システム(3)との間の圧力が既定値に達した場合に圧縮空気を吐出するように前記安全手段(8)が構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記安全手段(8)が圧力リリーフバルブ(9)を具備する、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御ユニット(13)が電子制御ユニットであり、前記バルブ手段(11)が電気作動式バルブ手段である、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
既定の流寸法を有する単一のノズルにより、あるいは既定の流寸法を有する複数の前記ノズルを一緒に並列結合することにより、前記ノズル装置(12)が具現化される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記分注モジュール(10)が、50リットル/分の空気流の通過を選択的に許容する第1分注モジュールと、100リットル/分の空気流の通過を選択的に許容する第2分注モジュールと、200リットル/分の空気流の通過を選択的に許容する第3分注モジュールと、400リットル/分を空気流の通過を選択的に許容する第4分注モジュールと、800リットル/分の空気流の通過を選択的に許容する第5分注モジュールと、1600リットル/分の空気流の通過を選択的に許容する第6分注モジュールと、3200リットル/分の空気流の通過を選択的に許容する第7分注モジュールの7個である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記混合室モジュール(4)が、前記加圧空気と前記水・添加物溶液とから成る混合物を提供する為の第1混合器(31)と、前記混合物を前記圧縮空気流と混合する為の、前記第1混合器(31)の下流の第2混合器(32)とを具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンプレッサ手段(2)が、互いに並列である複数のコンプレッサ(2)を具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれかに記載のシステムを具備する消防システム。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれかに記載のシステムを具備する消防車両。
【請求項13】
請求項
6に記載の圧縮空気泡消火システムつまりCAFSシステムの混合室モジュール(4)へ既定の空気流量を提供する為の方法であって、
・前記システム(1)の前記混合室モジュール(4)で必要とされる空気流量に関係するデータを取得するステップと、
・前記混合室モジュール(4)で必要とされる空気流量に適合する少なくとも一つの分注モジュール(10)を開口するバルブ手段(11)の特定組み合わせを選択するステップと、
・先行の項目で選択された少なくとも一つの当該の分注モジュール(10)のバルブ手段11を作動させるステップと、
を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2019年12月11日に出願されたイタリア特許出願第102019000023679号の優先権を主張し、同出願の開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、消防車両又は装置の為の消火システム、特に改良型空気管理システムを備える圧縮空気泡消火システム(CAFS)に関する。
【背景技術】
【0003】
消防システム、例えば消防車両又は装置は、鎮火を招くように火炎に向けられる消火化合物を供給するように構成される消火システムを備えている。
【0004】
特に、圧縮空気泡消火システム(CAFS)は当該技術で広く知られており、予設定された割合の圧縮空気と水/発泡剤溶液との混合物の使用についてのものである。
【0005】
より詳しく記すと、水・発泡剤溶液は、大量の水に溶解した発泡剤添加物を、つまり添加物の体積の0.5から3%まで、又は8%まで含有する。混合室モジュールではこのような溶液に圧縮空気が混合される。
【0006】
このような空気・溶液混合物は大気圧よりも高い圧力であって、火炎に向けられるパイプの出口により排出され、これが膨張すると、火炎を消す特性を有する泡を形成する。特に、泡の空気量は、液体溶液に対して空気の体積部分が3から20の間である値を取るように調節され得る。DIN EN規格16327に規定されているように、3と10の間に含まれるこのような空気/溶液比は「ウェット泡」と定義されるのに対して、11と20の間に含まれる空気/溶液比は「ドライ泡」と定義される。
【0007】
上記により、CAFSシステムに関係する主な課題は、一緒に混合される空気流と水流とを継続的に測定して所望の空気/溶液比を提供することである。それゆえ、上記二つの流れの測定は重大である。
【0008】
水流の測定は実質的に簡易であるが、3000リットル/分と6000リットル/分の間にわたる空気流の測定はそれほど直接的には行われない。
【0009】
空気流量を測定する第一の手法は、従来の空気流量計を使用することである。しかしながら、空気流により運ばれる水及び他の粒子がセンサに付着して電流測定信号を妨害することにより、測定される空気流を若干あるいは完全に変化させ得るので、空気流量計は空気の濃度に非常に影響されやすい。
【0010】
コンプレッサにより吸引された空気に存在する水分を凝縮する為に、圧縮空気流の提供を目的とするコンプレッサよりも流動方向上流に空気乾燥器が載置され得ることで上記の問題の解決法が見出されてきた。しかしながら、必要とされる上述の空気流量値ゆえに、このような空気乾燥器は消防用の可動装置/車両では使用不能であるような寸法を有することになる。
【0011】
空気流量を測定する別の周知の解決法は、エンジン分野で周知の質量空気流センサを使用することである。実際に、通常の作動分野については空気流速度が非常に低いので、圧力降下の少なさゆえにセンサにおいて空気が凝縮しない。
【0012】
しかしながら、火炎の条件に応じて空気/溶液混合物の流れが操作者により連続的に変更され得るので、空気流は連続的に変化し得る。空気流の値のこのような変動は質量空気流センサの変動を招き、これによりシステムに振動及びノイズを与える。
【0013】
別の代替的な解決法は、40~4800リットル/分の作用範囲を有するように構成されたバルブを設けることであろう。しかしながら、このようなバルブは製造費用が極めて高く、市場では一般的でない。
【0014】
上記により、CAFSシステムについて適正な圧縮空気流を測定及び保証するという問題がやはり残っている。
【0015】
それゆえ、ユーザの需要に応じて空気・溶液混合物の迅速かつ精密な調節を行い得るCAFSシステムを提供する必要性が感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、費用効果の高い最適な手法で上述の必要性を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
添付の一連の請求項に記載の圧縮空気泡消火システムにより、上述の目的が達せられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明をより良く理解する為に、以下では添付図面を参照して好適な実施形態が非限定的な例として記載される。
【
図1】本発明による圧縮空気泡消火システムの革新的部分の概略表示である。
【
図2】本発明による圧縮空気泡消火システムの要素を提供するのに可能な組み合わせの概略表示である。
【
図3】本発明による圧縮空気泡消火システムの概略表示である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、コンプレッサ手段2と空気調節システム3と混合室モジュール4とを本質的に具備する圧縮空気泡消火システムつまりCAFS1を開示している。特に、混合室モジュール4に流体的に直列接続された空気調節システム3に、コンプレッサ手段2が流体的に直列接続されている。
【0020】
より詳しくは、コンプレッサ手段2の入口2aと出口2bとの間の空気フィルタにより適切な供給源5から取得される空気、例えば大気の圧力を上昇させるようにコンプレッサ手段2が構成される。周知のように、コンプレッサ手段2はCAFS1の電力要求に応じた何らかのトポロジーのものであり得る。
【0021】
空気調節システム3の反対側から、混合室モジュール4は、空気調節システム3に流体的に接続される第1入口4aと、泡溶液の供給源6に流体的に接続される周知のトポロジーの第2入口4bと、混合室モジュール4で混合された泡の排出を許容するように構成される消火設備7に流体的に接続される出力部4cとを概略的及び本質的に具備する。このような消火設備7が、何らかのトポロジー、例えば終端に専用ノズルを具備するパイプであり得ることは明白である。
【0022】
コンプレッサ手段2と空気調節システム3との間で流体的に介在配置されて、コンプレッサ手段2により空気調節システム3へ送入される圧縮空気の圧力が既定値に達した場合にこの圧縮空気の吐出を許容するように構成された安全手段8をCAFS1が具備すると有利である。
【0023】
好ましくは、このような安全手段8は、出力部2bの下流と空気調節システム3の上流とに流体的に接続されて、空気調節システム3の圧力が閾値、例えば約11又は12バールに達した場合に開口して空気調節システム3の吐出を許容するように構成された圧力リリーフバルブ9を具備し、圧縮空気の圧力は通常は10バールである。
【0024】
また安全手段では、コンプレッサ手段2から空気調節システム3へ提供される圧力の値を安定的に維持して圧力ピークを回避することが許容される。
【0025】
空気調節システム3は、本発明によれば、圧縮手段2の出力部2bと混合室モジュール4との間で流体的に並列に介在配置される複数の分注モジュール10を具備し、各分注モジュールは、圧縮手段2から混合室モジュール4への空気の通過を許容するように制御される構成であるとともに、少なくとも別の分注モジュール10とは異なる既定の流れの通過を許容する構成である。
【0026】
例示的実施形態では、圧縮手段2と混合室モジュール4との間で並列に7個の異なる分注モジュール10が流体的に介在配置されている。
【0027】
各分注モジュール10は、一方が他方に対して互いに流体的に直列であるバルブ手段11及びノズル12を具備し、バルブ手段11はそれぞれのノズル12の上流にあって、コンプレッサ手段2からノズル12への空気の通過を許容または拒否する。そして各ノズル12は混合室モジュール4に直接、流体的に接続されている。
【0028】
本発明の更なる態様によれば、第1分注モジュール10は第1基本流量値を有し、他の分注モジュールは第1基本流量値の少なくともN倍(Nは好ましくは整数)である多様な流量値を有する。好ましくは、他の分注モジュールは、先行モジュールの2倍である流量値を各々が有し得る。
【0029】
従って、開示の実施形態において、7個の分注モジュール10は、混合室モジュール4への入力部で流量を管理する為の27つまり128個の可能な値による流量の調整を許容する。
【0030】
好ましくは、第1分注モジュールは50リットル/分の流量を許容するサイズであり、上記のように、第2は100リットル/分、第3は200リットル/分、第4は400リットル/分、第5は800リットル/分、第6は1600リットル/分、そして第7は3200リットル/分である。
【0031】
更に、DIN EN 16327によれば、溶液流は200から1600リットル/分の間に含まれるべきであり、空気流量は少なくとも3倍高い、つまり600から4800であるべきである。提案の実施形態によれば、理論的最大値は6350リットル/分であり、それゆえ空気範囲の600~4800リットル/分が容易に提供され得る。
【0032】
やはり圧力リリーフバルブ9によってコンプレッサ手段2の出力部では圧力が一定に維持されるので、各分注モジュール10の流れが合流して混合室モジュール10となり、これにより所望の空気流量が得られ、精度は最小流量の分注モジュールにより設定される。
【0033】
実際に、より多くのバルブ手段11を同時に開口することにより、異なるノズル12を通過する流れが合流する。上に挙げた値によれば、バルブ手段11の開口を調整することにより、50,100,150[...]から[...]6250,6300,6350までの流れが提供され得る。
【0034】
本発明の更なる態様によれば、特定数の少流量ノズルを一緒に結合することにより各ノズル12が具現化され得る。実際に、可能なノズルボア集合が記されている
図2に示されているように、100リットル/分のノズルは2個の50リットル/分のボアから成り、3200リットル/分のノズルは8個の400リットル/分のボアから成り得る。それゆえ、図式的に示されているように、わずか2個のボアで可能な範囲の流量全てが容易に達成され得る。
【0035】
CAFS1は更に、混合室モジュール消火設備7に、水流量センサに、そして各バルブ手段11に接続される制御ユニット13を具備する。このような制御ユニット13は、消火設備7及び/又は混合室モジュール4から発出される信号に従って各バルブ手段11の開口又は閉止を制御するように構成される。
【0036】
このような制御ユニット13が電子制御ユニットであり、それゆえバルブ手段11が電気作動式バルブであり、上述の信号が、混合室モジュール4(つまり混合室モジュール、混合室モジュール4で提供される水/溶液流)及び消火設備7からの関係量、例えば操作者により選択される空気・泡溶液の流量の推定を提供するように構成されるセンサにより提供される信号であると、有利である。
【0037】
実際には、例えばボタンを押すことにより、あるいは特定のディスプレイで選択することにより、操作者が所望の空気泡溶液を選択し、このような値を達成するように開口状態又は閉止状態に維持されなければならないバルブ手段11の組み合わせを検討するように制御ユニット13が構成される。それゆえ、バルブ手段11の適正な開口/閉止組み合わせを選択する為に、空気調節システム3の各特定分注モジュールの流量の値を制御ユニット13が記憶するか、これが保存されるメモリへのアクセスが設けられることが必要である。好ましくは、混合室モジュール4での所望の空気流量の各値が、関係するバルブ手段11の関連の開口/閉止組み合わせとともに記憶され得る。
【0038】
図3は、CAFS1の全要素の可能な実施形態についてのより完全な仕組みを開示している。
【0039】
特に、コンプレッサ手段2は、例えば、このようなコンプレッサ手段2,2’の寸法が小さい場合には別の圧縮空気流を供給するように構成される別のコンプレッサ手段2’を並列に備える。各コンプレッサ手段2,2’がそれぞれのチェックバルブ20,20’を備え得ることは明白である。
【0040】
空気調節システム3は、図のケースでは、8個の分注モジュール10を具備し、上に詳しく記載したように各々がバルブ11とノズル12とを具備する。上記のように、空気調節システムは50から3000(そして任意で6000以上まで)の空気流量を提供するように構成される。
【0041】
そして空気調節システム3は、混合室モジュール4に流体的に接続されて、関係のチェックバルブ21を備えるとともに上に記載のように安全手段8に接続され、更に圧力センサ手段26を具備し得る。
【0042】
詳しく記すと、混合室モジュール4への給水は、供給源、例えば車両に支承されるタンクから取得された水の圧力を上昇させるように構成される関係のポンプ23により給送される車両給水ライン22から送られる。
【0043】
給水ライン22と混合室モジュール4とを流体的に接続する導管において、CAFS1は更に、車両による他の優先操作可能な使用の為にこのような水が必要とされる場合に混合室モジュール4への給水を抑制するように構成された、それ自体は周知であってそれゆえ詳しく記載されない任意の抑制段階24を具備し得る。
【0044】
更に、給水ライン22と混合室モジュール4とを流体的に接続する導管では常に、CAFS1は、混合室モジュール4への水の流量を測定するように構成された水流計手段25を具備する。特に、水流計手段25は、例えば0から3000リットル/分の間の水流量を測定できる。
【0045】
任意であるが、抑制段階3の上流及び下流で、CAFS1は、混合室モジュール24からの水圧を検出するように構成される圧力センサ手段26も備え得る。
【0046】
CAFS1は更に、測定量の添加物を混合室モジュール4に提供するように構成される添加物分注モジュール27を備える。特に、そして例示的に、添加物分注モジュール27は、ポンプ29により混合室モジュール4へ添加物が送入される添加物容器28を具備する。ポンプ29を混合室モジュール4に流体的に接続する導管において、添加物分注モジュール27は、好ましくはリリーフバルブ9を備えて予設定閾値、例えば16バールより下に圧力を維持する安全手段8を具備する。
【0047】
添加物分注モジュール27は更に、ポンプ29と混合室モジュール4とを流体的に接続する導管に設けられ、CAFS1は、混合室モジュール4からの添加物の流量を測定するように構成される添加物流量計手段30を具備する。特に、添加物流量計手段25は、0と30~60リットル/分の間の水流量を測定できる。
【0048】
従って、提案される実施形態において、混合室モジュール4は水と添加物と空気流とを一緒に混合して空気/溶液混合物を消火装置7に提供するように構成される。
【0049】
それゆえ、混合室モジュール4は、水の流れと添加物の流れとを一緒に混合するように構成される第1混合器31と、水・添加物溶液と空気流とを一緒に混合するように構成される第1混合器31の下流の第2混合器32とを具備することにより、消火装置7により排出される溶液・空気混合物を生成する。適正な空気流の発生が混合室4で見られるように、水流量計25と、添加物流量計25と、存在する場合には圧力センサ26とが全て電子制御ユニットに電気的に接続される。
【0050】
上に記載された本発明によるCAFS1の操作は以下の通りである。
【0051】
消火装置7の操作者は、空気泡流量の特定値を選択する。従って、(前記のように電子制御ユニットにより計算された)特定の信号が、バルブ手段11の適正な開口/閉止組み合わせを検討/選出する制御ユニット13に提供される。
【0052】
例を挙げると、上記の例示的な値に基づいて、操作者が混合室モジュールへの1350の空気流を必要とする場合には、第1、第2、第4、第5分注モジュール10のバルブ手段が流体の通過を許容することにより、適正な空気流値が得られる。
【0053】
水及び添加物流の制御はそれ自体周知であり、それゆえ詳しく記載しない。やはり電子制御ユニット13は、必要な空気・溶液混合物の流れとその性質とを操作者が確認した上で、混合室モジュール4への水及び溶液の流れを結果的に制御する。
【0054】
上記によれば、本発明は更に、
・CAFS1の混合室モジュール4で必要とされる空気流量に関係するデータを獲得するステップと、
・混合室モジュール4で必要とされる空気流量に適合する少なくとも一つの分注モジュール10を開口するバルブ手段11の特定組み合わせを選択するステップと、
・先行の項目で選択された少なくとも一つの当該分注モジュール10のバルブ手段11を作動させるステップと、
を包含する、CAFSシステムの混合室モジュール4へ既定の空気流量を提供する為の方法についてのものである。
【0055】
上に記載された電子制御ユニット13の検討手段により上述の方法が記憶及び実行されると有利である。
【0056】
上記を考慮すると、本発明による圧縮空気泡消火システムCAFS1の利点は明白である。
【0057】
提案される制御は安定的かつロバストで精密であり、経済的な手法で具現化され得る。実際に、ノズル12の開口部では圧力差が一定に維持されるので、その流量が容易に判断され、汚れた粒子及び水分凝縮に影響されない。更に、ノズルは先行技術システムの振動/ノイズ問題を抱えておらず、非常に小さい空間に格納され得る。例を挙げると、400リットル/分のノズルはわずか2~3mmの直径を有する。
【0058】
更に、このようなノズルの摩耗が隙間ゲージなどの費用効果の高い手段で点検され、それゆえ時間内に精度が検査され得る。更に、単純な機械的要素が使用されるので、CAFS1は特にロバストであり、多様な大気条件で使用され得る。
【0059】
システムの使用は非常に簡易である、つまり複雑な電子制御の必要がないので、訓練を受けていない人間でも、提案されているCAFS1の消火設備ベースを使用し得る。
【0060】
特に、実質的なバイナリシステムを備える2×2ノズルシステムの使用は、非常に単純なソフトウェアにより、例えばノズル間のバイナリ和を規定する記憶済みテーブルにより制御され得る。
【0061】
更に、提案されるCAFS1は即時反応型であるので、(振動を回避する)低速制御システムの遅延が克服される。
【0062】
圧力リリーフバルブ9は、簡易かつロバストな手法で規定の入口圧力をノズル11の上流に提供する。
【0063】
請求項により規定される保護範囲を超えない修正が、記載される圧縮空気泡消火システムCAFS1に加えられ得ることは明白である。
【0064】
第一に、上に記載された注入モジュール10の可能な組み合わせは、経済的な製造であるがゆえに特に有利である。しかしながら、多様な最小流量値とその間の多様な流量分布とを包含する可能な数の多様な注入モジュール10が設けられ得ることは明白である。実際に、このような性質は消火設備7の特定使用に応じてカスタマイズされ得る。
【0065】
既に述べたように、バルブ手段11とコンプレッサ手段2と消火設備7とは消防装置/車両のトポロジーに応じて変化し得る。
【0066】
更に、経済的ではないとしても、請求される発明によるバルブ手段11の油圧又は空気制御を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 圧縮空気泡消火システム(CAFS)
2,2’ コンプレッサ手段
2a 入力部
2b 出力部
3 空気調節システム
4 混合室モジュール
4a 第1入口
4b 第2入口
4c 出口
5 供給源
6 供給源
7 消火設備
8,8’ 安全手段
9 圧力リリーフバルブ
10 分注モジュール
11 バルブ手段
12 ノズル装置
13 制御ユニット
20,20’,21 チェックバルブ
22 車両給水ライン
23 ポンプ
24 抑制段階
25 水流計手段
26 圧力センサ手段
27 添加物分注モジュール
28 添加物容器
29 ポンプ
30 添加物流量計手段
31 第1混合器
32 第2混合器