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特許7526279管継手用の組付け装置および適切な組付けを検証する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】管継手用の組付け装置および適切な組付けを検証する方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/06 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
F16L21/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022560001
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021025555
(87)【国際公開番号】W WO2021202983
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/004,576
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518100030
【氏名又は名称】レンロック ホールディングズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lenlok Holdings, LLC
【住所又は居所原語表記】38376 Apollo Parkway, Willoughby, OH 44094, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジョン シンデラー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エイチ. レノン
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0167614(US,A1)
【文献】特開平01-143730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0089496(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0122619(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001571(US,A1)
【文献】国際公開第2019/005043(WO,A1)
【文献】特開2014-142024(JP,A)
【文献】特開2014-140875(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102004056(CN,A)
【文献】特開昭62-077146(JP,A)
【文献】特開2015-027726(JP,A)
【文献】特表2012-523663(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049717(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/060993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体継手を流体要素に接続するための組付け装置であって、
前記流体継手を前記流体要素に接続するように操作可能であり、第1の当接面と、該第1の当接面に面しかつ該第1の当接面に対して相対的に可動である第2の当接面とを備える工具機構と、
前記流体継手の第1の特性を検出して、該第1の特性に対応する第1の出力を提供するように構成され、前記第1の特性はひずみ特性に対応している第1のセンサと、
前記組付け装置または前記流体継手の第2の特性を検出して、該第2の特性に対応する第2の出力を提供するように構成され、前記第2の特性は空間特性に対応している第2のセンサと、
前記第1の出力と前記第2の出力とに基づき第1の合成データセットを生成し、該第1の合成データセットを第1の所定のデータセットと比較して、前記第1の合成データセットが前記第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成された処理ユニットと
を備え
前記第1の合成データセットが前記第1の特性および前記第2の特性に対応する、組付け装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、
前記第1のセンサからの前記第1の出力を個々の時間において取得して、前記第1の特性に対応する第1のデータセットを経時的に生成し、かつ
前記第2のセンサからの前記第2の出力を同じ前記個々の時間において取得して、前記第2の特性に対応する第2のデータセットを経時的に生成する
ように構成されている、請求項1記載の組付け装置。
【請求項3】
前記処理ユニットは、前記第1のデータセットと前記第2のデータセットとを前記個々の時間に関して相関させて、前記第1の合成データセットを生成するように構成されている、請求項2記載の組付け装置。
【請求項4】
前記第1の所定のデータセットは、最大のデータセットと最小のデータセットとを含み、前記最大のデータセットは、第2の特性ごとの最大の第1の特性に対応しており、前記最小のデータセットは、第2の特性ごとの最小の第1の特性に対応している、請求項3記載の組付け装置。
【請求項5】
前記処理ユニットは、前記第1の合成データセットが前記最大のデータセットと前記最小のデータセットとの間にあるかどうかまたは前記最大のデータセットおよび前記最小のデータセットに等しいかどうかを判定することによって、前記第1の合成データセットが前記第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成されている、請求項4記載の組付け装置。
【請求項6】
前記処理ユニットは、前記第1の合成データセットが前記第1の所定のデータセットに適合しているかどうかに基づき出力を提供するように構成されている、請求項1記載の組付け装置。
【請求項7】
前記組付け装置または前記流体継手の第3の特性を検出して、該第3の特性に対応する第3の出力を提供するように構成された第3のセンサをさらに備え、
前記処理ユニットは、前記第2の出力と前記第3の出力とに基づき第2の合成データセットを生成し、該第2の合成データセットを第2の所定のデータセットと比較して、前記第2の合成データセットが前記第2の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成されている、
請求項1記載の組付け装置。
【請求項8】
前記処理ユニットは、前記第1の合成データセットおよび前記第2の合成データセットの両方が、前記第1の所定のデータセットおよび前記第2の所定のデータセットにそれぞれ適合しているかどうかに基づき出力を提供するように構成されている、請求項記載の組付け装置。
【請求項9】
工具機構と、第1のセンサと、第2のセンサと、出力デバイスを有する処理ユニットとを含む組付け装置によって流体継手を流体要素に接続する方法であって、
前記流体継手を前記流体要素に接続するために、前記工具機構を操作することと、
前記工具機構を操作するステップの最中に前記第1のセンサを動作させることであって、該第1のセンサは、前記流体継手の第1の特性を検出して、該第1の特性に対応する第1の出力を提供し、前記第1の特性はひずみ特性に対応している、前記第1のセンサを動作させることと、
前記工具機構を操作するステップの最中に前記第2のセンサを動作させることであって、該第2のセンサは、前記組付け装置または前記流体継手の第2の特性を検出して、該第2の特性に対応する第2の出力を提供し、前記第2の特性は空間特性に対応している、前記第2のセンサを動作させることと、
前記処理ユニットを動作させることであって、該処理ユニットは、
前記第1の出力と前記第2の出力とに基づき第1の合成データセットを生成し、前記第1の合成データセットが前記第1の特性および前記第2の特性に対応し
前記第1の合成データセットを第1の所定のデータセットと比較して、前記第1の合成データセットが前記第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定し、
前記第1の合成データセットが前記第1の所定のデータセットに適合しているかどうかに基づき出力を提供するように前記出力デバイスを電気的に動作させる、
前記処理ユニットを動作させることと
を含む、方法。
【請求項10】
前記処理ユニットは、
前記第1のセンサからの前記第1の出力を個々の時間において取得して、前記第1の特性に対応する第1のデータセットを経時的に生成し、かつ
前記第2のセンサからの前記第2の出力を同じ前記個々の時間において取得して、前記第2の特性に対応する第2のデータセットを経時的に生成する、
請求項記載の方法。
【請求項11】
前記処理ユニットは、前記第1のデータセットと前記第2のデータセットとを前記個々の時間に関して相関させて、前記第1の合成データセットを生成する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第1の所定のデータセットは、最大のデータセットと最小のデータセットとを含み、前記最大のデータセットは、第2の特性ごとの最大の第1の特性に対応しており、前記最小のデータセットは、第2の特性ごとの最小の第1の特性に対応している、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記処理ユニットは、前記第1の合成データセットが前記最大のデータセットと前記最小のデータセットとの間にあるかどうかまたは前記最大のデータセットおよび前記最小のデータセットに等しいかどうかを判定することによって、前記第1の合成データセットが前記第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記出力デバイスはインジケータライトを含む、請求項記載の方法。
【請求項15】
前記組付け装置は、該組付け装置または前記流体継手の第3の特性を検出して、該第3の特性に対応する第3の出力を提供する第3のセンサをさらに備え、
前記処理ユニットは、前記第2の出力と前記第3の出力とに基づき第2の合成データセットを生成し、該第2の合成データセットを第2の所定のデータセットと比較して、前記第2の合成データセットが前記第2の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定する、
請求項記載の方法。
【請求項16】
前記流体継手は、端部において前記流体要素を受け入れるための孔を画定する接続体と、該接続体を前記流体要素に機械的に取り付けるために前記接続体の前記端部に外嵌するように構成されたリングとを備え、前記接続体は、前記流体要素に係合するためのシール部分を含み、前記方法は、
前記リングが前記接続体の前記端部に被さって配置されている組付け前の構成で前記流体継手を提供することと、
前記流体要素を前記接続体の前記孔の内部に配置することと、
前記流体継手が前記組付け前の構成にある間、第1の当接面が前記接続体の表面に面しかつ第2の当接面が前記リングの表面に面するように、前記流体継手を前記工具機構に対して相対的に配置することと
を含み、
前記工具機構を操作するステップによって、前記リングが、長手方向軸線に沿って軸線方向に押し進められ、これによって、前記リングが、拡張された状態に弾性変形して、前記接続体を永久変形させるために十分な圧縮力を前記シール部分に加え、これによって、該シール部分の歯が、前記流体要素に食い込み、これによって、前記流体要素が、前記接続体に漏れなしに取り付けられる、
請求項記載の方法。
【請求項17】
流体継手を流体要素に接続するための組付け装置であって、
前記流体継手を前記流体要素に接続するように操作可能であり、第1の当接面と、該第1の当接面に面しかつ該第1の当接面に対して相対的に可動である第2の当接面とを備える工具機構と、
前記組付け装置または前記流体継手の力特性を検出して、該力特性に対応する第1の出力を提供するように構成された第1のセンサと、
前記組付け装置または前記流体継手の空間特性を検出して、該空間特性に対応する第2の出力を提供するように構成された第2のセンサと、
前記流体継手のひずみ特性を検出して、該ひずみ特性に対応する第3の出力を提供するように構成された第3のセンサと、
処理ユニットと
を備え、
前記処理ユニットは、
前記第1の出力と前記第2の出力とに基づき第1の合成データセットを生成し、該第1の合成データセットを第1の所定のデータセットと比較して、前記第1の合成データセットが前記第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成され、前記第1の合成データセットが前記力特性および前記空間特性に対応し、
前記第2の出力と前記第3の出力に基づいて第2の合成データセットを生成し、該第2の合成データセットを第2の所定のデータセットと比較して、前記第2の合成データセットが前記第2の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成され、前記第2の合成データセットが前記ひずみ特性および前記空間特性に対応する、組付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/004,576号の利益を主張し、その内容を参照により援用するものとする。
【0002】
発明の分野
本開示は、概して、管継手用の組付け装置に関し、より詳細には、組付け装置による管継手の適切な組付けを検証する方法に関する。
【0003】
発明の背景
概して、流体管路、例えばチューブまたは管用の1つのタイプの継手は、流体管路に外嵌するコネクタボディと、このコネクタボディを流体管路の外面に対して圧縮しかつ/または物理的に変形させて、強力で耐漏性の機械的な接続を形成する1つ以上のシールを流体管路を取り囲むように提供するスエージリングとを含んでいる。
【0004】
このような継手を流体管路に組み付けるための先行技術による工具は、固定のジョーまたはフレームと、可動のジョーまたはフレームと、可動のフレームを固定のフレームに向かって移動させるための1つ以上の液圧シリンダとを含んでいることが多い。両方のフレームは、スエージリングとコネクタボディとを挟持するように構成されていてよく、これによって、作動時にフレームがスエージリングをコネクタボディにわたって強制的に移動させ、これによって、コネクタボディが圧縮されるかまたは半径方向で流体管路に食い込むように移動させられて、シールと機械的な接続とを提供することができる。スエージングが完了すると、1つ以上の液圧シリンダ内の液圧が減じられて、工具を継手から取り外すことが可能となる。
【0005】
発明の簡単な概要
以下には、本発明の例示的な実施形態の簡単な概要が提示してある。この概要は、重要な要素を特定するかまたは本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0006】
第1の態様によれば、流体継手を流体要素に接続するための組付け装置は、前記流体継手を前記流体要素に接続するように操作可能であり、第1の当接面と、この第1の当接面に面しかつ第1の当接面に対して相対的に可動である第2の当接面とを含む工具機構と、組付け装置または流体継手の第1の特性を検出して、この第1の特性に対応する第1の出力を提供するように構成された第1のセンサと、組付け装置または流体継手の第2の特性を検出して、この第2の特性に対応する第2の出力を提供するように構成された第2のセンサと、第1の出力と第2の出力とに基づき第1の合成データセットを生成し、この合成データセットを第1の所定のデータセットと比較して、第1の合成データセットが第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成された処理ユニットとを含む。
【0007】
第1の態様の1つの例では、処理ユニットは、第1のセンサからの第1の出力を個々の時間において取得して、第1の特性に対応する第1のデータセットを経時的に生成し、かつ第2のセンサからの第2の出力を同じ個々の時間において取得して、第2の特性に対応する第2のデータセットを経時的に生成するように構成されている。
【0008】
第1の態様の別の例では、処理ユニットは、第1のデータセットと第2のデータセットとを個々の時間に関して相関させて、第1の合成データセットが第1の特性および第2の特性に対応するように合成データセットを生成するように構成されている。1つの例では、第1の所定のデータセットは、最大のデータセットと最小のデータセットとを含み、最大のデータセットは、第2の特性ごとの最大の第1の特性に対応しており、最小のデータセットは、第2の特性ごとの最小の第1の特性に対応している。1つの例では、処理ユニットは、第1の合成データセットが最大のデータセットと最小のデータセットとの間にあるかどうかまたは最大のデータセットおよび最小のデータセットに等しいかどうかを判定することによって、第1の合成データセットが第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成されている。
【0009】
第1の態様のさらに別の例では、処理ユニットは、第1の合成データセットが第1の所定のデータセットに適合しているかどうかに基づき出力を提供するように構成されている。
【0010】
第1の態様のさらに別の例では、第1の特性は力特性に対応しており、第2の特性は空間特性に対応している。
【0011】
第1の態様の別の例では、第1の特性は歪み特性に対応しており、第2の特性は空間特性に対応している。
【0012】
第1の態様のさらに別の例では、組付け装置は、この組付け装置または流体継手の第3の特性を検出して、この第3の特性に対応する第3の出力を提供するように構成された第3のセンサをさらに含み、処理ユニットは、第2の出力と第3の出力とに基づき第2の合成データセットを生成し、この第2の合成データセットを第2の所定のデータセットと比較して、第2の合成データセットが第2の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定するように構成されている。1つの例では、処理ユニットは、第1の合成データセットおよび第2の合成データセットの両方が、第1の所定のデータセットおよび第2の所定のデータセットにそれぞれ適合しているかどうかに基づき出力を提供するように構成されている。
【0013】
第2の態様によれば、工具機構と、第1のセンサと、第2のセンサと、出力デバイスを含む処理ユニットとを含む組付け装置によって流体継手を流体要素に接続するための方法が提供される。この方法は、流体継手を流体要素に接続するために、工具機構を操作することと、この工具機構を操作するステップの最中に第1のセンサを動作させることであって、この第1のセンサは、組付け装置または流体継手の第1の特性を検出して、この第1の特性に対応する第1の出力を提供する、第1のセンサを動作させることと、工具機構を操作するステップの最中に第2のセンサを動作させることであって、この第2のセンサは、組付け装置または流体継手の第2の特性を検出して、この第2の特性に対応する第2の出力を提供する、第2のセンサを動作させることと、処理ユニットを動作させることとを含む。この処理ユニットは、第1の出力と第2の出力とに基づき第1の合成データセットを生成し、第1の合成データセットを第1の所定のデータセットと比較して、第1の合成データセットが第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定し、第1の合成データセットが第1の所定のデータセットに適合しているかどうかに基づき出力を提供するように出力デバイスを電気的に動作させる。
【0014】
第2の態様の1つの例では、処理ユニットは、第1のセンサからの第1の出力を個々の時間において取得して、第1の特性に対応する第1のデータセットを経時的に生成し、かつ第2のセンサからの第2の出力を同じ個々の時間において取得して、第2の特性に対応する第2のデータセットを経時的に生成する。1つの例では、処理ユニットは、第1のデータセットと第2のデータセットとを個々の時間に関して相関させて、第1の合成データセットが第1の特性および第2の特性に対応するように合成データセットを生成する。1つの例では、第1の所定のデータセットは、最大のデータセットと最小のデータセットとを含み、最大のデータセットは、第2の特性ごとの最大の第1の特性に対応しており、最小のデータセットは、第2の特性ごとの最小の第1の特性に対応している。1つの例では、処理ユニットは、第1の合成データセットが最大のデータセットと最小のデータセットとの間にあるかどうかまたは最大のデータセットおよび最小のデータセットに等しいかどうかを判定することによって、第1の合成データセットが第1の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定する。
【0015】
第2の態様の別の例では、出力デバイスはインジケータライトを含む。
【0016】
第2の態様のさらに別の例では、第1の特性は力特性に対応しており、第2の特性は空間特性に対応している。
【0017】
第2の態様のさらに別の例では、第1の特性は歪み特性に対応しており、第2の特性は空間特性に対応している。
【0018】
第2の態様の別の例では、組付け装置は、この組付け装置または流体継手の第3の特性を検出して、この第3の特性に対応する第3の出力を提供する第3のセンサをさらに含む。さらに、処理ユニットは、第2の出力と第3の出力とに基づき第2の合成データセットを生成し、この第2の合成データセットを第2の所定のデータセットと比較して、第2の合成データセットが第2の所定のデータセットに適合しているかどうかを判定する。
【0019】
第2の態様のさらに別の例では、流体継手は、端部において流体要素を受け入れるための孔を画定する接続体と、この接続体を流体要素に機械的に取り付けるために接続体の端部に外嵌するように構成されたリングとを含み、接続体は、流体要素に係合するためのシール部分を含む。さらに、方法は、駆動リングが接続体の端部に被さって配置されている組付け前の構成で流体継手を提供することと、流体要素を接続体の孔の内部に配置することと、流体継手が組付け前の構成にある間、第1の当接面が接続体の表面に面しかつ第2の当接面が駆動リングの表面に面するように、流体継手を工具機構に対して相対的に配置することとを含む。工具機構を操作するステップによって、駆動リングが、長手方向軸線に沿って軸線方向に押し進められ、これによって、駆動リングが、拡張された状態に弾性変形して、接続体を永久変形させるために十分な圧縮力をシール部分に加え、これによって、このシール部分の歯が、流体要素に食い込み、これによって、流体要素が、接続体に漏れなしに取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の上記の特徴、態様および利点ならびに別の特徴、態様および利点は、本願の以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むことで理解しやすくなる。
図1】例示的な流体継手の断面図である。
図2】組付け前の構成における継手の詳細な断面図である。
図3】組付け後の構成における継手の別の詳細な断面図である。
図4】流体継手を組み付けるための例示的な組付け装置の概略的な斜視図である。
図5】組付け装置の工具機構の平面図である。
図6】組付け装置の処理ユニットの概略図である。
図7】例示的な第1のデータセットをグラフで示す図である。
図8】例示的な第2のデータセットをグラフで示す図である。
図9図7および図8に示した第1および第2のデータセットに基づき生成された合成データセットをグラフで示す図である。
図10図9に示した合成データセットと比較するための別の合成データセットをグラフで示す図である。
図11】例示的な第3のデータセットをグラフで示す図である。
図12図8および図11に示した第2および第3のデータセットに基づき生成された別の合成データセットをグラフで示す図である。
【0021】
詳細な説明
以下は、本願の例示的な実施形態の詳細な説明である。本願のこういった実施形態を前述した図面を参照しながら説明することで、当業者には、記載した方法および/または特定の構造の様々な変更または改良が明らかとなり得る。当該技術分野を発展させてきた本願の教示に依存する全てのこのような変更、改良または変形は、本願の精神および範囲内にあると考えられる。したがって、こういった記載および図面は限定的な意味で考慮すべきではない。なぜならば、当然ながら、本願が図示の実施形態に決して限定されるものではないからである。さらに、特定の術語は、本明細書において便宜的に使用しているにすぎず、限定と解すべきではない。さらに、図面には、同じ要素を指定するにあたり、同じ参照符号が使用してある。
【0022】
図1図3に目を向けると、2つ以上の流体要素に接続されてよい例示的な継手10が示してある。本開示の目的では、「流体要素」とは、流体を搬送し、給送しかつ/または受け入れるように構成された管、チューブ、継手または別の任意の要素のことを指している。さらに、「継手」とは、2つ以上の流体要素を互いに流体接続するために2つ以上の流体要素に接続されてよい任意の要素のことを指している。
【0023】
図1図3には、長手方向軸線Lに対して平行であると共に長手方向軸線Lを含む平面に沿った継手10の断面図が示してある。図1図3において配置されているような継手10の構成要素は、概して、長手方向軸線Lを中心として対称であるため、長手方向軸線Lを中心として完全に対称に延在している。図1には、概して、長手方向軸線Lに沿って整列させられた継手10の構成要素が示してある。一方、図2および図3には、組付け前の構成および組付け後の構成の継手10の一方の側(つまり、図1で見て右側)が示してある。当然ながら、継手10の反対側(つまり、図1で見て左側)は、長手方向軸線Lに沿って鏡像対称である類似の組付け前の構成および組付け後の構成を備えていてよい。
【0024】
本例における継手10は、さらに以下に述べるように、接続体12と、継手10に一対の管体16を接合するために接続体12に外嵌されてよい2つの駆動リング14(「スエージリング」と呼ばれることがある)とを含んでいる。管16は、径の範囲が1/4インチNPS~4インチNPSであるような肉薄の管または肉厚の管であってよい。しかしながら、別の管径によって、例示的な継手10から利点が得られることもある。さらに、継手10は、別のタイプの流体要素、例えばフランジ、Tおよび別の継手に同様に接続されてよい。
【0025】
図2および図3に示したように、接続体12は、各々の端部において管16を受け入れるために接続体12を貫いて延在する孔18を画定している。接続体12は、孔18の中心軸線Xを中心として対称に延在していて、スリーブ部分20と、フランジ部分22と、シール部分24とを含んでいる。フランジ部分22は、スリーブ部分20から半径方向外向きに延在していて、中心軸線Xに対して半径方向にかつ中心軸線Xと同心に延在する環状の当接面26を規定している。さらに、シール部分24は、メインシール30と、内側シール32と、外側シール34とを含んでいる。各々のシール30,32,34は、スリーブ部分20から半径方向内向きに延在する1つ以上の歯を備えている。シール部分24が別の個数および/または配置のシールを含んでいてもよいことが想定されている。接続体12は、孔18に面しかつ接続体12の内部輪郭を画定する内面36と、孔18と反対の側に向けられかつ接続体12の外側輪郭を画定する外面38とを有している。
【0026】
駆動リング14も同じく、接続体12を受け入れるために駆動リング14を貫いて延在する孔46を画定する中央開放体である。駆動リング14は、孔46の中心軸線Xを中心として対称に延在していて、孔46に面した内面48と、孔46と反対の側に向けられた外面50と、中心軸線Xに対して半径方向に延在する環状の当接面52とを含んでいる。
【0027】
接続体12と駆動リング14とは、まず、図2に示した組付け前の構成に組み立てられてよい。詳細には、駆動リング14は、接続体12の中心軸線Xと駆動リング14の中心軸線Xとが長手軸線L1と共線性であり、接続体12が駆動リング14の孔46の内部に配置されるように、接続体12の端部にわたって配置されてよい。この構成では、接続体12の当接面26と駆動リング14の当接面52とは、長手方向軸線Lに対して半径方向でかつ長手方向軸線Lと同心で互いに反対の側に向けられている。さらに、駆動リング14の上昇傾斜区分54が、接続体12のランド区分56に隣接しているものの、このランド区分56に対して僅かに離間させられている。組付け前の構成では、駆動リング14を締まり嵌めによって接続体12に維持することができ、顧客に向けて出荷することができる。これによって、最終的なエンドユーザによる使用および組付けが容易になる。
【0028】
継手10を管16に組み付けるために、この管16は、継手10がその組付け前の構成にある間、接続体12の孔18の内部に位置していてよい(図2)。次いで、駆動リング14が、軸線方向で長手方向軸線Lに沿って接続体12のフランジ部分22に向かって押し進められてよく、こうして、継手10がその組付け後の構成をとる(図3)。駆動リング14と接続体12とは、所定の比の締め代を有しているため、組付け後の構成への駆動リング14の軸線方向の運動によって、接続体12と、駆動リング14と、管16とが変形させられ、これによって、これらの要素が、管16と接続体12との間に金属同士のシールを伴って機械的に接続される。
【0029】
より詳細には、駆動リング14が、軸線方向でフランジ部分22に向かって押し進められるときに、駆動リング14は、接続体12を半径方向に変形させる圧縮力を接続体12に加え、これによって、シール30,32,34の1つ以上の歯が管16に食い込む。そして、接続体12が、まず、管16を弾性的に(つまり、非永久的に)圧縮し、次いで、塑性的に(つまり、永久的に)圧縮する。この圧縮は、管16を封止ランドの下側で塑性降伏させるために十分に高く、これによって、管16と接続体12との間に360°の全周にわたって持続的な金属同士のシールが形成される。接続体12と管16との半径方向の圧縮と同時に、駆動リング14は半径方向外向きに拡張する。駆動リング14のこの半径方向の拡張は弾性的であり、結果として、駆動リング14の僅かな拡径が生じる。
【0030】
シールの固定は、シールの1つ以上の歯が完全に押し進められて、変形状態で管16に接触しているときに(例えば、シール30,32,34にすぐ向かい合った管16の外面58が、駆動リング14の特定の区分によって内方に押し進められた結果、更なる半径方向の運動を有していないときに)完全である(つまり、完全に固定されている)と考えられる。代替的には、シールの完全な固定は、駆動リング14がシールの1つ以上の歯を管16内に最も押し進めた場合または駆動リング14がシールを通過した際に駆動リング14の作動テーパが直径に関して一定の円筒形の区分に推移した場合として規定されてよい。
【0031】
管16は、シール30,32,34が管16に食い込んだとき、シール30,32,34の近位で局所的に歪まされた状態になる。特に、管16は、典型的には、シール30,32,34が面に食い込み続け、管16が塑性変形し始めるかまたは半径方向内向きに運動し始め、その結果、永久変形するので、弾性限界を超えて歪まされた状態になる。シール30,32,34の歯は、管16の外面58に食い込んで変形し、それ自体幾分変形させられてよい。このことは、管16の外側に見られる任意の粗いまたは不規則な表面欠陥を埋めるために機能する。
【0032】
駆動リング14は、組み付けられると、フランジ部分22に隣接または係合している(ただし、別の例では、駆動リング14はフランジ部分22から離間させられていてよい)。さらに、駆動リング14は組付け中に弾性変形し、これによって、半径方向外向きに拡張するので、駆動リング14は、接続体12と管16とに連続的な弾性力を加えることになる。この弾性力は組付け後に継手10の寿命を通じて維持され、これによって、管16と接続体12との間の金属同士のシールの解離が阻止されている。これによって、接続体12を、工業規格に準拠した、永久的に漏れのない方法で管16に取り付けることができる。
【0033】
当然ながら、継手10は、本開示の範囲から逸脱することなしに、流体要素に機械的に取り付けるための別の構成を備えていてよい。例えば、上述した接続体12と駆動リング14とは、各々の中心軸線X,Xを中心として対称であり、これによって、接続体12と駆動リング14との特徴は、両者の関連する中心軸線を中心として周方向にかつ中心軸線に対して同心に延在している。しかしながら、こういった特徴のうちの1つ以上(例えば当接面26,52)は、両者の関連する中心軸線を中心として部分的にしか延在していなくてよく、かつ/または両者の関連する中心軸線に対して非対称に延在していてよい。実際、幾つかの例では、接続体12および/または駆動リング14は、中心軸線を中心として最小限の対称を有しているかまたは全く対称を有していない不規則な物体であってよい。例えば、接続体12は、共通の軸線に対して同心に延在しない複数の脚部を有するT字形体またはY字形体であってよい。接続体12と駆動リング14とは、接続体12が流体要素を受け入れることができ、駆動リング14が接続体12に外嵌され、この接続体12を流体要素に機械的に取り付けることができるように、貫通した孔を画定する任意の物体であってよい。接続体と駆動リングとを備えた様々な別の例示的な継手が、一般的に所有されている米国特許第10,663,093号明細書、米国特許第8,870,237号明細書、米国特許第7,575,257号明細書、米国特許第6,692,040号明細書、米国特許第6,131,964号明細書、米国特許第5,709,418号明細書、米国特許第5,305,510号明細書および米国特許第5,110,163号明細書に記載されており、これらの明細書は全てその全体を参照により本明細書に明示的に援用するものとする。
【0034】
接続体12、駆動リング14および管16の様々な特徴を説明するにあたり、「軸線方向」、「半径方向」という用語およびそれらの変形は上述のように使用されている。当然ながら、上述のように(かつ後述のように)使用されるようなこういった用語は、特に明示的に指示しない限り、説明した要素の中心軸線に対して相対的である。例えば、「軸線方向」、「半径方向」という用語およびそれらの変形は、特に明示的に指示しない限り、接続体12の特徴を説明するときには、接続体の中心軸線Xに対して相対的であり、駆動リング14の特徴を説明するときには、駆動リングの中心軸線Xに対して相対的であり、管16の特徴を説明するときには、管の中心軸線に対して相対的である。さらに、当然ながら、接続体12、駆動リング14および管16の中心軸線が、互いにかつ共通の軸線(例えば図1図3参照)と共線性である構成では、「軸線方向」、「半径方向」という用語およびそれらの変形は、接続体12、駆動リング14および管16の特徴を説明するときには、同じく、接続体12、駆動リング14および管16の共通の軸線および全ての中心軸線に対して相対的である。
【0035】
図4に目を向けると、上述したような継手10と管16とを接続するために操作されてよい工具機構102を有する組付け装置100が示してあるが、当然ながら、工具機構102は、別の継手と流体要素とを接続するために役立てられてもよい。より詳細には、工具機構102は、管16が接続体12の内部にある最中に駆動リング14を継手10の接続体12にわたって軸線方向に移動または前進させ、これによって、接続体12を管16の外面58に対して半径方向に圧縮するかまたは塑性変形させ、接続体12と管16との間に、封止された機械的な接続を提供するように操作されてよい。
【0036】
図5には、工具機構102の平面図がさらに詳細に示してある。この工具機構102は、互いに相対的に可動である第1のボディ130と第2のボディ132とを含んでいる。特に、第1のボディ130は、第2のボディ132が工具機構102の長手方向軸線Lに沿って線形に可動となるように、第2のボディ132を摺動可能に支持する基礎部分134を有する固定のボディである。工具機構102は、さらに、第1のボディ130および/または第2のボディ132に接続された1つ以上のアダプタを含んでいてよい。例えば、本実施形態における工具機構102は、第1のボディ130に接続された第1のアダプタ140と、第2のボディ132に接続された第2のアダプタ142とを含んでおり、これによって、第2のアダプタ142が第2のボディ132と共に第1のボディ130および第1のアダプタ140に対して相対的に可動となる。
【0037】
工具機構102は、さらに、互いに面しかつ距離Dだけ離された第1の当接面146と第2の当接面148とを含んでいる。本実施形態では、第1の当接面146が、第1のアダプタ140によって規定されていて、長手方向軸線Lに対して半径方向に延在する半環状の表面を有しているのに対して、第2の当接面148は、第2のアダプタ142によって規定されていて、同様に長手方向軸線Lに対して半径方向に延在する半環状の表面を有している。さらに、第1および第2の当接面146,148の両方は、長手方向軸線Lと同心である。しかしながら、第1および第2の当接面146,148は、それぞれ別の部分、例えば第1および第2のボディ130,132によって画定されていてよい。さらに、第1および第2の当接面146,148は、別の形状または向きを有していてよく、幾つかの例では、長手方向軸線Lと同心でなくてよい。
【0038】
第1および第2の当接面146,148は互いに相対的に可動である。なぜならば、第1および第2の当接面146,148は、それぞれ第1および第2のボディ130,132に設けられているからである。つまり、長手方向軸線Lに沿った第2のボディ132の移動によって、第2の当接面148が、第1の当接面146に対して相対的に長手方向軸線Lに沿って同様に移動させられる。したがって、第1の当接面146と第2の当接面148との間の距離Dを、第1および第2のボディ130,132を互いに相対的に長手方向軸線Lに沿って移動させることによって調整することができる。
【0039】
工具機構102は、上述した流体継手10を組付け前の構成で受け入れることができる通路152を画定している。特に、流体継手10は、この継手10の長手方向軸線Lと工具機構102の長手方向軸線Lとが共線性となるように、通路152の内部に嵌め込まれてよい。さらに、接続体12の当接面26と駆動リング14の当接面52とが、工具機構102の第1の当接面146と第2の当接面148との間に位置してよく、これによって、接続体12の当接面26と駆動リング14の当接面52とが、それぞれ工具機構102の第1の当接面146と第2の当接面148とに面する。
【0040】
次いで、工具機構102が操作されて、第2のボディ132が長手方向軸線Lに沿って第1のボディ130に向かって移動させられ、そして、第2の当接面148が第1の当接面146に向かって移動させられてよい。最終的には、両方の当接面146,148が、それぞれ接続体12および駆動リング14の当接面26,52に当接する。さらに、第1の当接面146の方向への第2の当接面148の更なる移動によって、駆動リング14が、最終的に図3に示した組付け後の構成を想定して、軸線方向で長手方向軸線L,Lに沿って接続体12のフランジ部分22に向かって押し進められる。
【0041】
したがって、工具機構102が、上述したように、継手10を管16に接続するように操作され、これによって、管16と接続体12との間に金属同士のシールを伴う両方の要素の機械的な接続を形成することができる。つまり、第1の当接面146の方向への第2の当接面148の移動によって、駆動リング14が、軸線方向で長手方向軸線Lに沿って接続体12のフランジ部分22に向かって押し進められる。駆動リング14が、軸線方向でフランジ部分22に向かって押し進められるときに、駆動リング14は、接続体12を半径方向に変形させる圧縮力を接続体12に加え、これによって、シール30,32,34の1つ以上の歯が管16に食い込む。そして、接続体12が、まず、管16を弾性的に(つまり、非永久的に)圧縮し、次いで、塑性的に(つまり、永久的に)圧縮し、最終的に、管16と接続体12との間に360°の全周にわたって永久的な金属同士のシールが形成される。接続体12と管16との半径方向の圧縮と同時に、駆動リング14は半径方向外向きに弾性的に拡張する。したがって、駆動リング14は、組み付けられると、接続体12と管16とに連続的な弾性力を加えることになる。この弾性力は継手10の寿命を通じて維持され、これによって、管16と接続体12との間の金属同士のシールの解離が阻止されている。
【0042】
当然ながら、工具機構102は、上述した継手10のほかに、付加的または代替的な継手を組み付けるように構成されていてよい。例えば、幾つかの例では、第1および/または第2のアダプタ140,142が工具機構102から取り外され、これによって、この工具機構102が、より大きな接続体および/または駆動リングを備えた継手を収容してよい。このような場合には、第1および/または第2のボディ130,132自体が、接続体および/または駆動リングに係合するための当接面を規定していてよい。別の例では、第1および/または第2のアダプタ140,142が取り外され、異なる継手を収容するための異なるアダプタと置き換えられてよい。概して、工具機構102は、互いに相対的に可動である2つの当接面を有する任意の機構であってよく、これによって、機構が、流体継手を管に接続するように操作されてよい。様々な例示的な工具機構が、米国特許第4,189,817号明細書、米国特許第5,305,510号明細書、米国特許第5,694,670号明細書、米国特許第6,434,808号明細書および米国特許第9,278,441号明細書に記載されており、これらの明細書は全てその全体を参照により本明細書に明示的に援用するものとする。
【0043】
再び図4に目を向けると、組付け装置100は駆動アセンブリ160を含んでいてよい。この駆動アセンブリ160は、上述したように、第1および第2のボディ130,132を互いに相対的に移動させるために、工具機構102に駆動力を加えるように操作可能である。本例では、駆動アセンブリ160は、工具機構102から遠ざけられて位置決めされた液圧源164と、この液圧源164を工具機構102に流体接続するホースアセンブリ166とを含んでいる。
【0044】
液圧源164は、加圧された液圧流体を供給するように構成された液圧ポンプである。液圧源164は、手動アクチュエータ、ガスエンジンまたは電気モータによって駆動されてよい。さらに、ホースアセンブリ166は、複数のホース168a,168bとコネクタ170a~dとを含んでいる。これらのホース168a,168bとコネクタ170a~dとは直列に流体接続されて、加圧された液圧流体を液圧源164から工具機構102に搬送する流体通路を形成している。特に、コネクタ170aが、液圧源164の出口に直接接続されるのに対して、コネクタ170dは、工具機構102の入口ポート174に直接接続される。さらに、嵌合する構成要素への容易に切離し可能な流体接続を形成するために、コネクタ170a~dとして、従来の雄形/雌形の急速切離し体が提供される。
【0045】
操作中、駆動アセンブリ160は、液圧流体を工具機構102の液圧シリンダ(図示せず)に給送し、そして、この液圧シリンダが、第2のボディ132に、対応する線形力Fを加える。この力Fは、軸線方向で第2のボディ132に加えられている任意の全ての反力(例えば、駆動リング14、摩擦または別の要素により形成されている反力)よりも大きい限り、上述したように、第2のボディ132を長手方向軸線Lに沿って第1のボディ130に向かって移動させる。
【0046】
しかしながら、駆動アセンブリ160は、工具機構102に駆動力を提供するための様々な別の構造を含んでいてよい。例えば、工具機構102は、液圧流体の1つよりも多くの入口を必要としてよい。このような場合には、ホースアセンブリ166が、工具機構102に設けられた複数の入口ポートに液圧流体を分配するマニホールドに液圧流体を給送してよい。別の例では、液圧源164が、なんら中間ホースアセンブリなしに工具機構102に直接接続されてよい。さらに、駆動アセンブリ160は、なんら作動流体の使用なしに工具機構102に力を加える電気機械式の手段を使用してよい。概して、駆動アセンブリ160は、物体(例えば第2のボディ132)を線形に移動させるために、この物体に力を加えるように操作可能である任意の従来の手段を備えていてよい。
【0047】
以下に説明するように、組付け装置100は、組付け中に組付け装置100または流体継手10の1つ以上の特性を検出し、検出された1つ以上の特性に基づき、流体継手10と管16との間の取付けのクオリティーを特定するように構成された診断システムをさらに含んでいてよい。
【0048】
より詳細には、診断システムは1つ以上のセンサを含んでいてよい。このセンサは、それぞれ組付け装置100または流体継手10の関連する特性を検出し、検出された出力に対応する出力を提供するように構成されている。例えば、診断システムは、(図4に概略的に示した)第1のセンサ182を含んでいてよい。この第1のセンサ182は、組付け装置100または流体継手10の力特性を検出し、この力特性に対応する出力を提供するように構成されている(本開示の目的では、物体の「力特性」とは、絶対的にまたは単位面積あたりで物体により加えられるかまたは物体に加えられる力のことを指している)。本実施形態におけるセンサ182は圧力センサである。この圧力センサは、(コネクタ170c,170dを介して)ホースアセンブリ166のホース168a,168bに一列に接続されており、これによって、工具機構102に給送される液圧流体の圧力を検出し、検出された圧力に対応する電気的な出力(例えば電圧または無線周波数出力)を提供することができる。当然ながら、センサ182により検出された圧力(およびその出力)は、工具機構102の第2のボディ132に最終的に加えられる線形力Fに対応している。なぜならば、この力Fは、こういった値のいずれかと、液圧が線形力として第2のボディ132にどのように伝達されるのかとを把握して外挿することができるからである。しかしながら、センサ182は、組付け装置100の力特性を検出するための別の手段を備えていてよい。例えば、センサ182は、線形力Fを直接測定するように構成されたロードセルであってよい。
【0049】
診断システムは、(図4および図5に概略的に示した)第2のセンサ184をさらに含んでいてよい。この第2のセンサ184は、組付け装置100または流体継手10の空間特性を検出し、この空間特性に対応する出力を提供するように構成されている(本開示の目的では、物体の「空間特性」とは、物体の特定の位置または物体が進行する距離のことを指している)。本実施形態におけるセンサ184は、線形変換器の形態の電気的に動作させられるセンサである。このセンサは、第2のボディ132(および第2のボディ132に接続された第2の当接面148)が初期の位置から移動する距離dを検出し、検出された距離dに対応する電気的な出力(例えば電圧または無線周波数出力)を提供するように構成されている。当然ながら、センサ184により検出された距離d(およびその出力)は、第1の当接面146と第2の当接面148との間の距離Dに対応している。なぜならば、この距離Dは、こういった値のいずれかと、第1のボディ130に対して相対的な第2のボディ132の初期の位置とを把握して外挿することができるからである。
【0050】
しかしながら、第2のセンサ184は、組付け装置100または流体継手10の空間特性を検出するための別の手段を備えていてよい。例えば、センサ184は、第2のボディ132の一部(例えば第2の当接面148)が特定の位置にいつ到達したのかを検出する近接センサであってよい。別の例として、センサ184は、第1の当接面146と第2の当接面148との間の距離Dを直接検出するデバイスであってよい。さらに別の例として、センサ184は、流体継手10の駆動リング14が移動する距離を直接検出するデバイスであってよい。
【0051】
任意選択的には、診断システムは、(図1図3に概略的に示した)第3のセンサ186をさらに含んでいてよい。この第3のセンサ186は、組付け装置100または流体継手10の歪み特性を検出し、この歪み特性に対応する出力を提供するように構成されている。例えば、本実施形態におけるセンサ186は、電気的に動作させられる歪みゲージであってよい。この歪みゲージは、継手10の一部における歪みを検出し、検出された歪みに対応する電気的な出力(例えば電圧または無線周波数出力)を発生させるように構成されている。詳細には、センサ186は、駆動リング14の外面50に固定されていて、駆動リング14に存在する歪みを検出するように構成されている。上述したように、駆動リング14は、組付け中に半径方向に拡張し、これによって、駆動リング14に、センサ186により測定することができる歪みが発生させられる。この検出可能な歪みは、接続体12および/または管16の変形に直接関連している。使用される歪みゲージと、歪み検出素子の向きとに応じて、駆動リング14の検出される物理的な歪みは、周方向歪みもしくはフープ歪み、軸線方向歪みまたは半径方向歪みであってよい。さらに、これらの組合せが検出されてよいことが想定されている。
【0052】
第3のセンサ186は、流体継手10(つまり、接続体12、駆動リング14)の長手方向軸線Lに沿った様々な位置に適用されてよい。好ましくは、センサ186は、組付け後の構成において比較的大きな歪みを被る領域に位置しているかまたは潜在的な欠陥ポイントに位置している。多くの場合、このような位置は、メインシール30、内側シール32および/または外側シール34のうちの1つの近くでまたは1つに整合して発見され得る。例えば、駆動リング14の材料における物理的な歪みは、組付け中の弾性的な拡張のため、メインシール30の位置にわたるポジションで比較的大きい。なぜならば、このポジションは、接続体12および管16の変形が大きい位置であるからである。したがって、センサ186は、通常、継手10の長手方向軸線Xに対して、シール30,32,34のうちの少なくとも1つ、例えばメインシール30に半径方向で整合して位置していてよい。しかしながら、第3のセンサ186が、接続体12または管16を含めて、継手10、内部または外部の様々な別の部分に取り付けられてよいことが想定されている。さらに、センサ186は、米国特許第10,663,093号明細書に記載されている例示的なセンサのいずれかに対応していてよい。
【0053】
上記のセンサ182,184,186は、上述した特性のほかに、別のタイプの特性、例えば加速度、振動、温度等を検出するように構成されていてよい。さらに、検出される特性は、継手10または組付け装置100の特性であってよい。例えば、1つの例では、第3のセンサ186は、継手10の代わりに、組付け工具102の歪み特性を検出するように構成されていてよく、組付け工具102の一部、例えば、第1のボディ130または第2のボディ132の一方または両方に位置決めされていてよい。
【0054】
さらに、診断システムは、付加的かつ/または代替的な特性を検出するように構成された付加的かつ/または代替的なセンサを含んでいてよい。例えば、上述したセンサ182,184,186の幾つかもしくは全ては、単独で使用されてもよいし、互いにかつ/または別のセンサと様々に組み合わせて使用されてもよい。概して、診断システムは、任意の構成の1つ以上のセンサを含んでいてよい。各々のセンサは、組付け装置100または流体継手10の特性を検出し、対応する出力を提供するように構成されている。
【0055】
図6に目を向けると、診断システムは、処理ユニット192をさらに含んでいてよい。この処理ユニット192は、流体継手10と管16との間の取付けのクオリティーを特定するために、センサ182,184,186の出力を取得し、1つ以上の所定のデータセットと比較するための1つ以上の合成データセットを生成してよい。
【0056】
より詳細には、本実施形態における処理ユニット192は、ユーザインタフェース194とディスプレイ196とを有する手持ち式のユニットである。各々のセンサ182,184,186は、電子的なワイヤまたはケーブル(例えばUSBケーブル)を介して処理ユニット192と電気的に通信してよい。代替的には、処理ユニット192と1つ以上のセンサ182,184,186との間の通信は無線で行われてよい。例えば、1つ以上のセンサ182,184,186は、その検出された特性に対応するRF信号を伝送するように構成されたRFIDタグを含んでいてよい。このRFIDタグは、典型的には、RFIDタグの内部に格納された識別情報および/または情報に関するRF信号を伝送するアンテナを含んでいる。処理ユニット192は、RFIDタグに全体的にまたは部分的に電力を供給してよく、これによって、RFIDタグの無線通信トランシーバに、処理ユニット192からの電磁場によって受動的に給電が行われる。処理ユニット192は、RFIDタグを検査するかまたは問い合わせるように構成されていてよく、RFIDタグとRFID情報を無線でやり取りするための送信器および受信器を含んでいてよい。任意選択的には、処理ユニット192は、別の無線データ通信プロトコル、例えばWiFi、Bluetooth、NFC、セルラ(過去または現在の全ての反復を含めて、アナログまたはデジタル)等のいずれかを介して1つ以上のセンサ182,184,186と無線通信してよい。
【0057】
上述したように、工具機構102による継手10の組付け中、処理ユニット192は、第1のセンサ182からの出力を個々の時間において取得して、センサの検出された特性に対応する第1のデータセット202(図7参照)を経時的に生成するように構成されていてよい。図7におけるX軸は、工具機構102の操作中の特定の時間間隔を表しており、Y軸は、この時間間隔中に作用する第2のボディ132に加えられた線形力Fを表している(当然ながら、線形力Fは、上述したように、センサ182により検出された圧力に対応しているか、またはセンサ182の代替的な変化形により得られた第2のボディ132に最終的に加えられた別の線形力データに対応している)。
【0058】
第1のデータセット202は、駆動リング14が接続体12にわたって移動して、この接続体12と相互作用するような特定の瞬間と相関関係にある様々な山と谷とを含んでいる。詳細には、山「a」は、接続体12の外側シール34が管16に係合して、この管16に食い込んだ結果として生じる。なぜならば、これが、駆動リングの操作により圧縮される第1のシールであるからである。駆動リング14が、工具機構102の第2の当接面148によって接続体12に外嵌されると、外側シール34が管16に係合して、この管16に押し付けられ、これによって、駆動リング14を接続体12にわたって移動させ続けるために、線形力Fの増加が必要となる。したがって、線形力Fは、管16が外側シール34による圧縮を受けるまで増加し、この点において、駆動リング14の更なる移動に必要となる線形力Fが減少していく。この線形力Fの変動が山「a」に対応している。
【0059】
線形力Fは、次のシールが圧縮されるまで減少し続ける。このシールは、本例では、接続体12のメインシール30である。このメインシール30は、管16に係合して、この管16に押し付けられ、これによって、駆動リング14を接続体12にわたって移動させ続けるために、線形力Fの別の増加が必要となる。この線形力Fの変動が谷「b」に対応している。線形力Fは、管16がメインシール30による圧縮を受けるまで増加し続け、この点において、駆動リング14の更なる移動に必要となる線形力Fが減少していく。この線形力Fの変動が山「c」に対応している。
【0060】
そして、線形力Fは、次のシールが圧縮されるまで減少し続ける。このシールは、本例では、接続体12の内側シール32である。この内側シール32は、管16に係合して、この管16に押し付けられ、これによって、駆動リング14を接続体12にわたって移動させ続けるために、線形力Fの別の増加が必要となる。この線形力Fの変動が谷「d」に対応している。線形力Fは、管16が内側シール32による圧縮を受けるまで増加し続け、この点において、駆動リング14の更なる移動に必要となる線形力Fが減少していく。この線形力Fの変動が山「e」に対応している。
【0061】
組付け中、処理ユニット192は、さらに、第2のセンサ184からの(工具機構102の空間特性に対応する)出力を、第1のセンサ182からの出力を取得した同じ個々の時間において取得するように構成されていてよい。次いで、処理ユニット192は、第2のセンサ184の検出された特性に対応する第2のデータセット204(図8参照)を前述の同じ個々の時間にわたって生成する。図8におけるX軸は、工具機構102の操作中の特定の時間間隔を表しており、Y軸は、この時間間隔中に第2のボディ132(および第2のボディ132に接続された第2の当接面148)が移動する距離dを表している。
【0062】
処理ユニット192が第1のデータセット202と第2のデータセット204とを生成した後、処理ユニット192は、さらに、第1のデータセット202と第2のデータセット204とを前述の個々の時間に関して相関させて、第1のセンサ182により検出された第1の特性およびセンサ184により検出された第2の特性に対応する合成データセット208(図9参照)を生成するように構成されていてよい。図9におけるX軸は、時間間隔中に第2のボディ132(および第2のボディ132に接続された第2の当接面148)が移動する距離dを表しており、Y軸は、移動中に作用する第2のボディ132に加えられた線形力Fを表している(当然ながら、線形力Fは、上述したように、第1のセンサ182により検出された圧力に対応している)。
【0063】
幾つかの例では、処理ユニット192は、所定のデータセットを格納していてよい。次いで、この所定のデータセットは、合成データセット208が適正であるかどうかを判定するために、この合成データセット208と比較されてよい。より詳細には、図9に示したように、所定のデータセットは、組付け装置100に対する第2の特性(例えば距離d)ごとの最大の第1の特性(例えば線形力F)および第2の特性ごとの最小の第1の特性にそれぞれ対応する最大のデータセット210および最小のデータセット212を含んでいてよい。言い換えると、最大のデータセット210および最小のデータセット212は、恐らく継手10の適切な組付けを生じさせる合成データセット208に対する上限および下限を表している。この限界は、継手10および管16に対する既知の特性(例えば、材料、寸法等)および/または実験データに基づき予め設定されていてよい。
【0064】
したがって、処理ユニット192は、合成データセット208が最大のデータセット210と最小のデータセット212との間にあるかどうかまたは最大のデータセット210および最小のデータセット212に等しいかどうかを判定することによって、継手10が適切に組み付けられているかどうかを判定することができる。図9に認めることができるように、合成データセット208は、最大のデータセット210と最小のデータセット212との間にあり、これによって、継手10が適切に組み付けられていることが示されている。これと異なり、図10には、許容可能な限界の範囲外に含まれる区間S1,S2を有する比較用の合成データセット214が示してあり、これは、組付けプロセスに欠陥がある可能性を示している。さらに、合成データセット214が許容可能な限界の範囲外に含まれる特定の位置は、特定のタイプの欠陥の更なる徴候を提供し得る。
【0065】
幾つかの例では、処理ユニット192は、(経時的な工具機構102の空間特性に対応する)第2のデータセット204を、継手10が適正に組み付けられているかどうかを判定する代替的または冗長的な手段としての継手10または工具機構102の別の特性と相関させるように構成されていてよい。例えば、幾つかの例では、処理ユニット192は、第3のセンサ186からの(継手10の歪み特性に対応する)出力を、第2のセンサ184からの出力を取得した同じ個々の時間において取得するように構成されていてよい。次いで、処理ユニット192は、歪み特性に対応する第3のデータセット216(図11参照)を前述の同じ個々の時間にわたって生成する。図11におけるX軸は、特定の時間間隔を表しており、Y軸は、この時間間隔中にセンサ186により検出された歪みを表している。
【0066】
図11に示した第3のデータセット216も同じく、駆動リング14が接続体12にわたって移動して、この接続体12と相互作用するような特定の瞬間と相関関係にある傾斜の様々な変化を含んでいる。詳細には、山「f」は、接続体12の外側シール34が管16に係合して、この管16に食い込んだ結果として生じる。駆動リング14が、工具機構102の第2の当接面148によって接続体12に外嵌されると、外側シール34が管16に係合して、この管16に押し付けられ、これによって、継手10における歪みが増加する。この歪みは、管16が外側シール34による圧縮を受けるまで増加し、この点において、歪みは減少していく。この歪みの変動が山「f」に対応している。
【0067】
継手10における歪みは、駆動リング14が接続体12にわたって移動するときに減少し続け、その後、接続体12のメインシール30が管16に係合して、この管16に押し付けられ、これによって、継手10における歪みが再び増加させられる。この歪みの変動が谷「g」に対応している。歪みは、管16がメインシール30による圧縮を受けるまで増加し続け、この点において、歪みは減少していく。この歪みの変動が山「h」に対応している。
【0068】
そして、継手10における歪みは、駆動リング14が接続体12にわたって移動するときに減少し続け、その後、接続体12の内側シール32が管16に係合して、この管16に押し付けられ、これによって、継手10における歪みが増加させられる。この歪みの変動が谷「i」に対応している。歪みは、管16が内側シール32による圧縮を受けるまで増加し続け、この点において、歪みは減少していく。この歪みの変動が山「j」に対応している。
【0069】
処理ユニット192が第2のデータセット204と第3のデータセット216とを生成した後、処理ユニット192は、第2のデータセット204と第3のデータセット216とを前述の個々の時間に関して相関させて、第2のセンサ184により検出された第2の特性および第3のセンサ186により検出された第3の特性に対応する合成データセット218(図12参照)を生成するように構成されていてよい。図12におけるX軸は、時間間隔中に第2のボディ132(および第2のボディ132に接続された第2の当接面148)が移動する距離dを表しており、Y軸は、移動中に継手10が被る歪みを表している。
【0070】
処理ユニット192は、同じく所定のデータセットを格納していてよい。次いで、この所定のデータセットは、合成データセット218が適正であるかどうかを判定するために、この合成データセット218と比較されてよい。より詳細には、図12に示したように、所定のデータセットは、第2の特性(例えば距離d)ごとの最大の第3の特性(例えば歪み)および第2の特性ごとの最小の第3の特性にそれぞれ対応する最大のデータセット226および最小のデータセット228を含んでいてよい。言い換えると、最大のデータセット226および最小のデータセット228は、恐らく継手10の適切な組付けを生じさせる合成データセット218に対する上限および下限を表している。この限界は、継手10および管16に対する既知の特性(例えば、材料、寸法等)および/または実験データに基づき予め設定されていてよい。
【0071】
したがって、処理ユニット192は、合成データセット218が最大のデータセット226と最小のデータセット228との間にあるかどうかまたは最大のデータセット226および最小のデータセット228に等しいかどうかを判定することによって、継手10が適切に組み付けられているかどうかを判定することができる。図12に認めることができるように、合成データセット218は、最大のデータセット226と最小のデータセット228との間にあり、これによって、継手10が適切に組み付けられていることが示されている。図12には示していないが、処理ユニット192は、合成データセット218が、許容可能な限界(例えばデータセット226,228)の範囲外に含まれる任意の区間を有する場合、組付けプロセスの欠陥を判定する可能性もある。
【0072】
上述したデータセット202,204,208,210,212,214,216,218,226,228は、図7図12にグラフの形態で示してあるが、当然ながら、データセットは、別の形態、例えば表の形態で表されてよい。
【0073】
幾つかの例では、処理ユニット192は、1つ以上の出力デバイス(例えば、スピーカ、ライト、ディスプレイ196等)を含んでいてよい。この出力デバイスは、合成データセット208,218の一方または両方をその各々の最大のデータセットおよび最小のデータセットに適合させることに基づき出力(例えば、音響出力、インジケータライト、ビデオ画像、電気信号、振動等)を提供するように電気的に動作させられ、これによって、継手10が適正に組み付けられているかどうかを示すことができる。
【0074】
例えば、処理ユニット192(図6参照)は、第1のインジケータライト230と第2のインジケータライト232とを含んでいてよい。処理ユニット192は、合成データセット208が最大のデータセット210および最小のデータセット212に適合している場合に第1のインジケータライト230(例えば緑色)を点灯させるように構成されていて、これによって、継手10が適正に組み付けられたことを示すことができる。さらに、処理ユニット192は、合成データセット208が適合していない場合に第2のインジケータライト232(例えば赤色)を点灯させるように構成されていて、これによって、継手10が適正に組み付けられなかったことを示すことができる。当然ながら、消灯時のインジケータライト230が、これによって、合成データセット208が適合していないことを示すことができるのに対して、消灯時のインジケータライト232は、これによって、合成データセット208が適合していることを示すことができる。さらに、適正なまたは適正でない通知が別の出力デバイス(例えば、スピーカ、ライト、ディスプレイ196等)に示されてもよいことが想定されている。
【0075】
別の例では、処理ユニット192は、合成データセット218が最大のデータセット226および最小のデータセット228に適合している場合にインジケータライト230を点灯させるかまたは合成データセット218が適合していない場合にインジケータライト232を点灯させるように構成されていてよい。当然ながら、消灯時のインジケータライト230が、これによって、合成データセット218が適合していないことを示すことができるのに対して、消灯時のインジケータライト232は、これによって、合成データセット218が適合していることを示すことができる。
【0076】
更なる例として、処理ユニット192は、合成データセット208,218の両方がその各々の最大のデータセットおよび最小のデータセットに適合している場合にインジケータライト230を点灯させるかまたは合成データセット208,218の少なくとも一方がその各々の最大のデータセットおよび最小のデータセットに適合していない場合にインジケータライト232を点灯させるように構成されていてよい。当然ながら、消灯時のインジケータライト230が、これによって、合成データセット208,218の少なくとも一方が適合していないことを示すことができるのに対して、消灯時のインジケータライト232は、これによって、合成データセット208,218の両方が適合していることを示すことができる。
【0077】
処理ユニット192は、合成データセット208,218の一方または両方をその各々の最大のデータセットおよび最小のデータセットに適合させることに基づき1つ以上の出力を提供するように電気的に動作させることができる任意の数および構成の出力デバイスを含んでいてよい。
【0078】
特定の実施形態では、処理ユニット192は、コンピュータシステムに統合されていてよい。処理ユニット192は、好ましくは、上述したデータセット202,204,208,210,212,214,216,218,226,228を後の検索、分析または伝送用に格納するためのオンボード非一時的コンピュータメモリを有している。付加的には、処理ユニット192は、好ましくは、インターネットおよびワールドワイドウェブを含めて、ローカルネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)において通信可能である。好ましくは、処理ユニット192自体は、例えば、Wifi、Bluetooth、NFC、セルラ(過去または現在の全ての反復を含めて、アナログまたはデジタル)または別の類似の技術を介して無線データ通信可能である。さらに、処理ユニット192は、好ましくは、様々な特徴および能力を含んでいてよいプログラマブルマイクロプロセッサを有している。例えば、マイクロプロセッサは、上述したようなデータセット202,204,208,210,212,214,216,218,226,228の生成、格納および比較を含めて、上述した処理ステップのうちいずれかまたは全てを実行することができるプログラマブルコンピューティングコアを含んでいる。このプログラマブルコンピューティングコアは、コマンドを処理する、計算を行う、データを追跡する/読み取る、データを格納する、データを分析する、データを調整する/操作する、新たなコマンドまたは命令を受け取る等のうちのいずれかまたは全てを実行することができる。
【0079】
幾つかの例では、診断システムは、リモートデータベース300(図6参照)の形態の付加的または代替的な処理ユニットを含んでいてよい。リモートデータベース300は、上述した診断手順(例えば、データセットを生成し、データセットを比較し、かつ/またはデータセットの適合を示す出力を提供する)のうちの1つ以上を格納しかつ/または実行するために、処理ユニット192および/またはセンサ182,184,186からデータを受け取ってよい。リモートデータベース300は、リモート中央コンピュータサーバデータベース(例えば、「クラウドで」と呼ばれることもあるネットワーク接続されたかまたはインターネット接続されたコンピュータ)であってよい。このリモート中央コンピュータサーバデータベースは、現場施設または管理会社のサイトに対してローカルであり、継手の製造元に対してローカルであり、かつ/またはインターネット接続されたリモートサーバに維持されている点で「クラウドベース」である。このような「クラウドベース」のインターネット接続されたサーバは、データ格納および検索能力を提供してもよく、かつ/または分類されたデータを変換し、分析しかつ/または報告する計算能力をさらに提供してよい。場所に左右されることなしに、このデータベース300は、関連する品質保証職員による使用のために、継手10の製造元、継手10を検査するサービス会社および/または継手10のエンドユーザによって維持されてよい。処理ユニット192および/またはセンサ182,184,186から得られたデータは、製造元および最終顧客の双方が組付け補助、保守、交換、保証請求等の目的で継手10および組付け工具102の性能を追跡することを助けるために、経時的に分類されてよい。
【0080】
1つの例では、継手10が管16に組み付けられる時間(組付け直前、組付け中および/または組付け後)において、上述した第3のセンサ186からのデータが捕捉されてよい。この読取りは、駆動リング14が組み付けられる周辺環境での駆動リング14の状態に関するベースライン基準を提供することができる(ただし、組付けは製造元で実施されてもよいし、別の場所で実施されてもよい)。将来的な使用のために、組付けセンサ読取り値をリモートデータベース300に格納することは特に有用であり得る。
【0081】
こうして、製造元およびエンドユーザの双方が、現場で継手10の性能を追跡し、その他には理解することができ、これによって、全ての関係者が、継手10がその仕様を満たしているという高い確信度を有している。代替的には、検出された読取り値が、継手の組付けが仕様を満たさない傾向を示したか(つまり、まだ許容可能ではあるものの、許容不可の方向に進んでいる)または仕様を満たしていないことを示した(つまり、許容不可である)場合、中央コンピュータデータベース300にアクセスしている全ての関係者に状態を知らせることができる。これによって、継手10の保守または交換を手配するために、製造元がエンドユーザに連絡するかまたはエンドユーザが製造元に連絡することが可能となる。さらに、データの傾向は、例えば、特定の継手、顧客、組付け技術、環境要因等が、現場における継手10の組付け、性能および長期の機能にどのような影響を与えるのかという情報を観察することによって理解しかつ把握することができる。例えば、歪み割れ、微小歪みまたは別の予欠陥モードもしくは欠陥モードを示すデータを分類しかつ相関させ、次いで、現場において別の流体継手との比較として使用し、これによって、予測欠陥を特定し、可能性のある改善作業を把握することができる。リモートデータベース300は、過去の組付けセンサ読取り値、組付けセンサ読取り値の比較(現在および過去)、最小値/最大値、データオフセット、計算等を含めて、様々なタイプのデータを格納し、分析し、変換し、報告することができる。報告に関して、リモートデータベース300は、データおよび/または報告がコンパイルされてよいものの、ユーザが最終的にデータに基づき行動する点でパッシブであり得るか、またはリモートデータベース300が、例えば、データ入力の分析に基づき潜在的な問題を製造元、エンドユーザ、サービス会社等に事前に報告するといった更なる措置を講じることができる点で部分的にまたは完全にアクティブであり得ることが想定されている。このようなアクティブな動作は、部分的にまたは完全に自動的であってよい。
【0082】
別の例では、流体継手10がその意図する目的のために適正に組み付けられていることを示す最大のデータセットおよび最小のデータセットを経時的に変化させることが可能である。このことは、更なる研究および開発、それぞれ異なる環境での流体継手10の寿命にわたる性能のより良好な理解、製造における変更等を含めて、様々な理由で生じ得る。クラウドコンピューティング環境の使用を通じて、最大のデータセットおよび最小のデータセットは、リモートデータベース300において容易に変化させられ、過去、現在(リアルタイム)または未来のセンサ読取り値に対するデータに自動的に適用されてよい。例えば、経験に基づき、データセットが過度に低いかまたは過度に高いことを特定することができる。したがって、単一のリモートデータベース300におけるデータセットを変化させることによって、このデータセットを過去、現在(リアルタイム)または未来の全てのセンサ読取り値にわたって迅速に適用することができる。また、産業要求または顧客要求に基づき、固有のまたは異なる最大のデータセットおよび最小のデータセットが、製品のサブセットにのみ(つまり、特定の顧客または産業の特定の製品にのみ)適用されてもよい。このことは、時折変化してよい。
【0083】
当然ながら、処理ユニット192とリモートデータベース300とは、上述した診断手順(例えば、出力を取得する、データセットを生成する、データセットを比較する、および/またはデータセットの適合を示す出力を提供する)を実行する処理ユニットとして集合的に記載されてよい。実際、診断手順は、処理ユニット192とリモートデータベース300との間で分割されてよいため、処理ユニット192によって実行される手順もあれば、リモートデータベース300によって実行される手順もある。さらに、幾つかの例における診断システムが、処理ユニット192を除外してよいのに対して、リモートデータベース300は、処理ユニット192の診断機能を実行するように構成されている。
【0084】
したがって、上述したような診断システムは、2つのデータセットを生成するために継手10と組付け工具102との少なくとも2つのパラメータ(例えば、工具機構102に加えられる線形力Fおよび第2のボディ132が初期の位置から移動する距離d)を監視し、合成データセットを生成するために前述の2つのデータセットを相関させ、前述の合成データセットを適合に関する所定のデータセットと比較することによって、継手10が適切に組み付けられているかどうかを判定することができる。しかし、当然ながら、監視され、相関させられる2つの特性は、実施形態によって変更されてよい。さらに、診断システムは、冗長性の目的で2つよりも多くのパラメータを監視し、複数の合成データセットを各々の所定のデータセットと比較してよい。概して、診断システムは、継手10と組付け工具102との少なくとも2つのパラメータを監視し、これらのパラメータを1つ以上の所定のデータセットとの比較のために相関させて、継手10が適切に組み付けられているかどうかを判定する任意のシステムであってよい。
【0085】
本発明を、上述した例示的な実施形態を参照しながら説明してきた。本明細書を読んで理解することで、変更および代替が別に思い浮かぶはずである。本発明の1つ以上の態様を組み込んだ例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲内にある限り、このような全ての変更および代替を含むことを意図している。
図1
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図12