(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】低圧家畜銃
(51)【国際特許分類】
A22B 3/02 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A22B3/02
(21)【出願番号】P 2022560013
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(86)【国際出願番号】 US2020067258
(87)【国際公開番号】W WO2021211176
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592179056
【氏名又は名称】ジャービス プロダクツ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】JARVIS PRODUCTS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100221752
【氏名又は名称】古川 雅与
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、トレント
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03616524(EP,A1)
【文献】特開2019-098518(JP,A)
【文献】特表2006-513721(JP,A)
【文献】米国特許第06135871(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273781(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0209562(US,A1)
【文献】米国特許第04503585(US,A)
【文献】特開平09-103974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22B 3/02
B25D 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を有するハウジングと、
加圧流体源と掛止部ピストンチャンバとの間のハウジング内にある供給通路と、
ハウジングの前方端に向かって外方へと長手方向軸に沿って前方へ駆動できる、スタニングロッドチャンバ内で摺動自在なスタニングロッドと、
スタニングロッドの保持及び解放を繰り返すためにハウジング内に設置される掛止部と、
掛止部に隣接して掛止部ピストンチャンバ内に滑り接触で配置された掛止部ピストンであって、
該掛止部ピストンが、掛止部を保持してスタニングロッドの前方への駆動を防ぐ第1ポジションと、
掛止部を解放してスタニングロッドの前方への駆動を許容する第2ポジションとの間を移動可能であることと、
掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、
加圧流体源からスタニングロッドチャンバの後端まで空気が流れるように
ハウジング供給通路と位置合わせされる掛止部ピストン内の第1通路と、
掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、
空気が加圧流体源から第2の通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端まで流れるように供給通路と位置合わせされる掛止部ピストン内の第2通路と
を備え、
掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、加圧流体が供給源から供給通路及び第1通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ流れることで、掛止部の解放時にスタニングロッドを前方へ駆動することを可能とし、
掛止部が解放された後の、掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、
加圧流体が供給源から供給通路及び第2通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることで、スタニングロッドを後方へ駆動することが可能である、空気圧式家畜銃。
【請求項2】
掛止部を解放して掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、
加圧流体が、供給通路及び第2の通路を通って供給源からスタニングロッドチャンバの先端部に流れることでスタニングロッドを後方へ駆動させ、
掛止部ピストンを第1ポジションへ再び移動させて掛止部を保持することでスタニングロッドが前方へ動くのを抑止する、請求項1に記載の空気圧式家畜銃。
【請求項3】
更に、スタニングロッドに接続され、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能なスタニングロッドピストンと、
スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方に到達したときに、スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和する一対の緩衝材とをスタニングロッドチャンバの前端に備える、請求項2に記載の空気圧式家畜銃。
【請求項4】
更に、掛止部ピストンチャンバからスタニングロッドチャンバ前部にある一対の緩衝材の間まで延在するハウジング内の内部通路を備え、
掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、加圧流体が、スタニングロッドを後方へ駆動するために、供給源から掛止部ピストン内の第2通路及び内部通路を通って、スタニングロッドチャンバの前端にある一対の緩衝材間へ流れる、請求項3に記載の空気式家畜銃。
【請求項5】
更に、供給源から供給通路への加圧流体の流れを制御するための、オン/オフ・メインバルブをハウジング内に備える、請求項1に記載の空気
圧式家畜銃。
【請求項6】
掛止部ピストンは中央通路を備え、
掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、第1通路は中央通路から供給通路まで延び、中央通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ加圧流体を供給する、請求項1に記載の空気
圧式家畜銃。
【請求項7】
掛止部ピストン第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と繋がり、加圧流体が供給源から通路口及び供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能とする通路口を掛止部ピストンの外壁に備える、請求項1に記載の空気
圧式家畜銃。
【請求項8】
更に、掛止部ピストンチャンバからスタニングロッドチャンバの前部まで延びる内部通路をハウジング内に備え、
掛止部ピストン第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と内部通路に繋がり、
スタニングロッドを後方へ駆動するために、加圧流体が供給源から供給通路、掛止部ピストンに設けられた通路口、及び内部通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能にする通路口を掛止部ピストンの外壁に備える、請求項1に記載の空気
圧式家畜銃。
【請求項9】
更に、スタニングロッドが後方へ駆動されている間、空気がスタニングロッドチャンバの後端から掛止部ピストン中央通路を通って大気へ流れることを可能にする第3通路を掛止部ピストン内に備える、請求項6に記載の空気
圧式家畜銃。
【請求項10】
更に、非作動位置と動物に接触する位置との間で移動可能なヘッドコンタクトをハウジングの前端に備え、
ヘッドコンタクトが動物に接触する位置にあるときに、空気が供給通路を通って流れて掛止部ピストンを第1ポジションから第2ポジションへ付勢させる、請求項1に記載の空気
圧式家畜銃。
【請求項11】
掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を備えるハウジングを設けることと、
ハウジング内の加圧流体源と掛止部ピストンチャンバとの間に供給通路を設けることと、
スタニングロッドチャンバ内で摺動可能であり、長手方向軸に沿って前方へ、及びハウジング先端部の外へ駆動することができるスタニングロッドを設けることと、
スタニングロッドの保持及び解放を繰り返すためにハウジング内に設置される掛止部を設けることと、
掛止部に隣接して配置され、掛止部ピストンチャンバ内での滑り接触により、掛止部を保持してスタニングロッドの前方への駆動を防ぐ第1ポジションと、掛止部を解放してスタニングロッドの前方への駆動を許容する第2ポジションとの間を移動可能である掛止部ピストンを設けることと、
掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、加圧流体源からスタニングロッドチャンバの後端まで空気が流れるようにハウジング供給通路と位置合わせされた掛止部ピストン内の第1通路を設けることと、
掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、加圧流体源から第2の通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端まで空気が流れるように供給通路と位置合わせされた掛止部ピストン内の第2通路を設けることと、
掛止部を保持させ、スタニングロッドが前方へ駆動されるのを防止するように掛止部ピストンを第1ポジションへ動かすことと、
掛止部を解放するように掛止部ピストンを第2ポジションに向かって動かすことと、
動物を気絶させるために掛止部を解放してスタニングロッドを前方へ駆動するように加圧流体を供給源から第1の通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端に流動させることと、
掛止部ピストンが第2ポジションへ移動したとき、スタニングロッドを後方へ駆動するように加圧流体が供給源から第2通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端に流れること
を含む、動物を気絶させる方法。
【請求項12】
掛止部を解放して掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、
加圧流体が供給源から第2の通路を通ってスタニングロッドチャンバの先端部に流れてスタニングロッドを後方へ駆動し、
掛止部ピストンを第1ポジションへ再び移動させて掛止部を保持することでスタニングロッドが前方へ動くのを抑止する、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【請求項13】
更に、スタニングロッドに接続され、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能なスタニングロッドピストンを設けることと、
スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方に到達したときに、
スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和する一対の緩衝材をスタニングロッドチャンバの前端に設けることと、
掛止部ピストンチャンバから一対の緩衝材の間にあるスタニングロッドチャンバ前部まで延在するハウジング内の内部通路を設けることと、
掛止部ピストンが第2ポジションに移動したとき、
加圧流体が、スタニングロッドを後方へ駆動させるために、供給源から掛止部ピストン内の第2通路及び内部通路を通って、一対の緩衝材の間にあるスタニングロッドチャンバの前端へ流れることと
を含む、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【請求項14】
更に、掛止部ピストンに中央通路を設けることと、
掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、第1通路は中央通路から供給通路まで延在し、中央通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ加圧流体を供給することと
を含む、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【請求項15】
更に、掛止部ピストン第2通路は、
掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と繋がる通路口を掛止部ピストンの外壁に備え、
加圧流体が供給源から通路口及び供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能とすること
を含む、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【請求項16】
更に、掛止部ピストンチャンバからスタニングロッドチャンバの前部まで延在する内部通路をハウジング内に設けることと、
掛止部ピストン第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と内部通路に繋がる通路口を掛止部ピストンの外壁に備え、
スタニングロッドを後方へ駆動するために、加圧流体が供給源から供給通路、掛止部ピストンに設けられた通路口、及び内部通路を通って、スタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能とすることと
を含む、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【請求項17】
更に、スタニングロッドが後方へ駆動されている間、空気がスタニングロッドチャンバの後端から掛止部ピストン中央通路を通って大気へ流れることを可能とする第3通路を掛止部ピストン内に設けること
を含む、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【請求項18】
更に、
非作動位置と動物に接触する位置との間で移動可能なヘッドコンタクトを、ハウジングの前端に設け、
ヘッドコンタクトが動物に接触する位置にあるときに、空気が供給通路を通って流れ、掛止部ピストンを第1ポジションから第2ポジションへ付勢させること
を含む、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【請求項19】
掛止部ピストンは、供給通路から供給される加圧流体の蓄積によって
掛止部ピストンチャンバ内の掛止部リリースピストン部分の前方と掛止部固定具の後方の範囲内の第1ポジションに保持されること
を含む、請求項11に記載の動物を気絶させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、家畜/食肉処理場で使用される空気式動物銃(スタナー)に関する。
【背景技術】
【0002】
畜産工場では、動物を処理するために気絶させて動けなくすることが重要である。畜産農場では、病気の蔓延を防ぐために、重傷や不可逆的な病気にかかった動物を安楽死させることが重要である。家畜を気絶させ、安楽死させるために数多くの方法が使用されてきたが、キャプティブボルト機構は、動物を動けなくするための最も効率的で、廉価で、人道的な方法であることが証明されている。特に、空気圧キャプティブボルト装置がこの用途に使用されてきた。
【0003】
自動格納するスタニングロッドを備えた空気圧家畜銃は、通常、製造がより困難であり、家畜銃のコストを増加させる傾向がある複雑なバルブシステムを備える。このようなバルブシステムは、また、装置の重量を増加させる傾向にあり、操縦者の疲労を増大させる可能性がある。更に、通常は175~220psi(1.3~1.6MPa)の範囲の比較的高い圧力で加圧流体を供給することが必要という問題もある。ポータブル家畜銃は一般的に軽量だが、発射後にスタニングロッドを手動で格納する必要があるため、操縦者の疲労が増す問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、先行技術の問題を考慮して、本発明の目的は、バルブ及び通気システムの複雑さを軽減し、製造コストを削減した空気式動物銃(スタナー)及びその使用方法を提供することである。また、本発明の目的は、重量が軽減され、操縦者の疲労が軽減された空気式家畜銃を提供することである。本発明の更なる目的は、作動に必要な加圧流体の減圧が可能であり、偶発的な発火及び損傷を回避できる頑丈な構造を有する空気式動物銃を提供することである。本発明の他の目的及び利点は、一部は自明であり、一部は本明細書から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当業者にとって明白である上述及びその他の目的は、空気圧式家畜銃(スタナー)に関する本発明において達成される。
ハウジング(本体ボディ)は、掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を有する。供給通路は、加圧流体源と掛止部ピストンチャンバとの間のハウジング内に配置される。スタニングロッドは、スタニングロッドチャンバ内で摺動自在であり、ハウジングの前方端に向かって外方へと長手方向軸に沿って前方へ駆動できる。長手方向軸に沿って前方へ、及びハウジング前方端へ向かって外方へ駆動することができる。掛止部は、スタニングロッドの保持及び解放を繰り返すためにハウジング内に設置される。掛止部ピストンは、掛止部に隣接して掛止部ピストンチャンバ内に滑り接触で配置され、掛止部を保持してスタニングロッドの前方への駆動を防ぐ第1ポジションと、掛止部を解放してスタニングロッドの前方への駆動を許容する第2ポジションとの間を移動可能である。掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、掛止部ピストン内の第1通路がハウジング供給通路と位置合わせされ、加圧流体源からスタニングロッドチャンバの後端まで空気が流れることを可能とする。掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、掛止部ピストン内の第2通路が供給通路と位置合わせされ、加圧流体源から第2の通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端まで空気が流れることを可能とする。掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、加圧流体は、供給源から供給通路及び第1通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ流れ、掛止部の解放時にスタニングロッドを前方へ駆動することができる。掛止部が解放された後、掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、加圧流体は、供給源から供給通路及び第2通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れ、スタニングロッドを後方へ駆動することができる。
【0006】
掛止部を解放した後、掛止部ピストンは第2ポジションにあってもよく、加圧流体が、供給通路及び第2の通路を通って供給源からスタニングロッドチャンバの先端部に流れることでスタニングロッドを後方へ駆動させ、掛止部ピストンを第1ポジションへ再び移動させて掛止部を保持することでスタニングロッドが前方へ動くのを抑止する。スタニングロッドに接続され、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能なスタニングロッドピストンと、スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方に到達したときに、スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和する一対の緩衝材とをスタニングロッドチャンバの前端に備えることができる。
【0007】
空気式動物銃はハウジング(本体ボディ)内に内部通路を更に備えてもよく、この通路は、掛止部ピストンからスタニングロッドチャンバ前部にある一対の緩衝材の間まで延びる。掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、加圧流体は供給源から掛止部ピストン内の第2通路及び内部通路を通って、スタニングロッドチャンバの前端にある一対の緩衝材の間に流れて、スタニングロッドを後方へ駆動することができる。
【0008】
別の実施形態では、空気式動物銃は、供給源から供給通路への加圧流体の流れを制御するために、オン/オフ・メインバルブをハウジング内に備えることができる。掛止部ピストンは中央通路を含むことができ、掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、第1通路は中央通路から供給通路まで延び、中央通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ加圧流体を供給する。掛止部ピストン第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と繋がる通路口を掛止部ピストンの外壁に備えることができ、加圧流体が供給源から通路口及び供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能とする。
【0009】
空気式動物銃は、掛止部ピストンチャンバからスタニングロッドチャンバの前部まで延びる内部通路をハウジング内に更に備えることができ、掛止部ピストン第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と内部通路に繋がり、スタニングロッドを後方へ駆動するために、加圧流体が供給源から供給通路、掛止部ピストンに設けられた通路口、及び内部通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能にする通路口を掛止部ピストンの外壁に備えることができる。空気式動物銃は、更にスタニングロッドが後方へ駆動されている間、空気がスタニングロッドチャンバの後端から掛止部ピストン中央通路を通って大気へ流れることを可能にする第3通路を掛止部ピストン内に備えることができる。
【0010】
本願発明は、動物を気絶させる方法にも関する。
掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を備えるハウジングを設けることと、ハウジング内の加圧流体源(供給源)と掛止部ピストンチャンバとの間に供給通路を設けることと、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能であり、長手方向軸に沿って前方へ、及びハウジング先端部の外へ駆動することができるスタニングロッドを設けることと、スタニングロッドの保持及び解放を繰り返すためにハウジング内に設置される掛止部を設けることと、掛止部に隣接して配置され、掛止部ピストンチャンバ内での滑り接触により、掛止部を保持してスタニングロッドの前方への駆動を防ぐ第1ポジションと、掛止部を解放してスタニングロッドの前方への駆動を許容する第2ポジションとの間を移動可能である掛止部ピストンを設けることと、掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、加圧流体源からスタニングロッドチャンバの後端まで空気が流れるようにハウジング供給通路と位置合わせされた掛止部ピストン内の第1通路を設けることと、掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、加圧流体源から第2の通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端まで空気が流れるように供給通路と位置合わせされた掛止部ピストン内の第2通路を設けることと、掛止部を保持させ、スタニングロッドが前方へ駆動されるのを防止するように掛止部ピストンを第1ポジションへ動かすことと、掛止部を解放するように掛止部ピストンを第2ポジションに向かって動かすことと、動物を気絶させるために掛止部を解放してスタニングロッドを前方へ駆動するように加圧流体を供給源から第1の通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端に流動させることと、掛止部ピストンが第2ポジションへ移動したとき、スタニングロッドを後方へ駆動するように加圧流体が供給源から第2通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端に流れることを含む動物を気絶させる方法である。
【0011】
本方法の一実施形態では、掛止部を解放して掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、加圧流体が供給源から第2の通路を通ってスタニングロッドチャンバの先端部に流れてスタニングロッドを後方へ駆動し、掛止部ピストンを第1ポジションへ再び移動させて掛止部を保持することでスタニングロッドが前方へ動くのを抑止するができる。
【0012】
本方法は、更に、スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方に到達したときに、スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和する一対の緩衝材をスタニングロッドチャンバの前端に設けることと、掛止部ピストンチャンバから一対の緩衝材の間にあるスタニングロッドチャンバ前部まで延在するハウジング内の内部通路を設けることと、掛止部ピストンが第2ポジションに移動したとき、加圧流体が、スタニングロッドを後方へ駆動させるために、供給源から掛止部ピストン内の第2通路及び内部通路を通って、一対の緩衝材の間にあるスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを含むことができる。
【0013】
更に別の実施形態では、本方法は、掛止部ピストンに中央通路を設けることと、掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、第1通路は中央通路から供給通路まで延在し、中央通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ加圧流体を供給することを含むことができる。掛止部ピストン第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と繋がる通路口を掛止部ピストンの外壁に備え、加圧流体が供給源から通路口及び供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能とする。
本方法は、掛止部ピストンチャンバからスタニングロッドチャンバの前部まで延在する内部通路をハウジング内に更に設けることができ、掛止部ピストン第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と内部通路に繋がる通路口を掛止部ピストンの外壁に備え、スタニングロッドを後方へ駆動するために、加圧流体が供給源から供給通路、掛止部ピストンに設けられた通路口、及び内部通路を通って、スタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能とする。
【0014】
本方法は、更に、第3通路を掛止部ピストン内に設け、スタニングロッドが後方へ駆動されている間、空気がスタニングロッドチャンバの後端から掛止部ピストン中央通路を通って大気へ流れることを可能とする。
本方法は、また、非作動位置と動物に接触する位置との間で移動可能なヘッドコンタクトを、ハウジングの前端に設け、ヘッドコンタクトが動物に接触する位置にあるときに、空気が供給通路を通って流れ、掛止部ピストンを第1ポジションから第2ポジションへ付勢させることを可能とする。
本方法は、更に、掛止部ピストンチャンバ内の掛止部リリースピストン部分の前方と掛止部固定具(掛止部リテーナー)の後方の、供給通路から供給される加圧流体の蓄積によって、第1ポジションに保持される掛止部ピストンを提供する。
【0015】
本発明はさらに、掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を備えるハウジングを備える空気式家畜銃を対象とする。ハウジング内の供給通路は、供給源からスタニングロッドチャンバの後端へ加圧流体を供給する。スタニングロッドは、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能であり、長手方向軸に沿って前方へかつハウジング先端部の外へ駆動することができる。スタニングロッドピストンは、スタニングロッドに接続され、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能である。スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方に到達したとき、スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和する、少なくとも1つの弾性緩衝材がスタニングロッドチャンバの前方に配置される。ハウジング内の内部通路は、供給源から、スタニングロッドチャンバの前部の少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ、加圧流体を供給する。加圧流体は、供給源から、スタニングロッドを前方へ駆動するために、供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ、或いは、スタニングロッドを後方に駆動するために、内部通路を通ってスタニングロッドチャンバの前部の少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ、交互に流れることが可能である。
【0016】
空気式家畜銃は、スタニングロッドチャンバの前部に配置された一対の弾性環状緩衝材を備えることができ、内部通路は、弾性環状緩衝材の間のスタニングロッドチャンバの前部に開口部を有する。
【0017】
本方法はさらに、動物を気絶させる方法に関する。
本方法は、掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を備えるハウジングを設けることと、加圧流体源からスタニングロッドチャンバ後端へ加圧流体を供給するためのハウジング内の供給通路と、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能であり、長手方向軸に沿って前方へ、及びハウジング先端部の外へ駆動することができるスタニングロッドと、スタニングロッドに接続され、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能なスタニングロッドピストンと、スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方へ到達したとき、スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和するために、スタニングロッドチャンバの前方に配置された少なくとも1つの弾性緩衝材と、供給源から、スタニングロッドチャンバの前部の前記少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ、加圧流体を供給するハウジング内の内部通路を設け、加圧流体は、スタニングロッドを前方へ駆動するために、供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ、そして、スタニングロッドを後方に駆動するために、内部通路を通ってスタニングロッドチャンバの前部の前記少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ、供給源から交互に流れることを含む。
【0018】
一実施形態では、本方法は、スタニングロッドチャンバの前部に配置された一対の弾性環状緩衝材を備える事ができる。内部通路は、弾性環状緩衝材の間のスタニングロッドチャンバの前部に開口部を有することができる。本方法はさらに、加圧流体が内部通路を通って、一対の弾性環状緩衝材の間のスタニングロッドチャンバの前端へ流れ、スタニングロッドを後方へ駆動すること含むことができる。
【0019】
本方法はさらに、掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を備えるハウジングを備える空気式動物銃を対象とすることができる。
ハウジング内の供給通路は、供給源からスタニングロッドチャンバの後端に加圧流体を供給する。スタニングロッドは、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能であり、長手方向軸に沿って前方へ、及びハウジング先端部の外へ駆動することができる。スタニングロッドピストンは、スタニングロッドに接続され、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能である。ハウジング前端にあるヘッドコンタクトは、スタニングロッドチャンバの前端の開口部を通して延在する後部を有し、非作動位置と動物に接触する位置との間で移動可能であり、非作動位置にあるとき、供給源からスタニングロッドチャンバの後端への加圧流体の流れを遮断し、動物に接触する位置にあるとき、空気が供給通路を通って流れることを可能として、掛止部ピストンを第1ポジションから第2ポジションへ付勢させる。ハウジング内の内部通路は、加圧流体の供給源からスタニングロッドチャンバの前方へ加圧流体を供給する。ヘッドコンタクト後部とスタニングロッドチャンバの前端の開口部との間に通路が配置される。ヘッドコンタクトが動物に接触する位置にあるとき、加圧流体は、供給源から供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端に流れ、スタニングロッドを前方へ駆動し、加圧流体が内部通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れ、スタニングロッドを後方へ駆動すると、供給源からスタニングロッドチャンバ後端への加圧流体の流れを遮断する非作動位置へ移動させるために、加圧流体の一部が、ヘッドコンタクト後部とスタニングロッドチャンバの前端の開口部との間の通路を通って流れ、ヘッドコンタクトを内部へ移動させる。
【0020】
一実施形態では、ヘッドコンタクトは、スタニングロッドチャンバの前端の開口部を通って延びる後部突起を含み、ヘッドコンタクトの後部とスタニングロッドチャンバの前端の開口部との間の通路は、ヘッドコンタクトの後部突起の周辺に形成された複数の通路口を備える。空気式空気銃は、スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方に到達したとき、スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和する、スタニングロッドチャンバの前端に配置された少なくとも1つの弾性緩衝材をさらにふくんでもよい。ハウジング内の内部通路は、少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ、供給源から、スタニングロッドチャンバの前部の加圧流体を供給することができる。加圧流体は、供給源から供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ交互に流れ、スタニングロッドを前方へ駆動し、内部通路を通ってスタニングロッドチャンバの前部の少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ流れ、スタニングロッドを後方に駆動する。
【0021】
本発明は、動物を気絶させる以下の方法にも関する。
掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を備えるハウジングを設けることと、供給源からスタニングロッドチャンバの後端まで加圧流体を供給する、供給通路をハウジング内に設けることと、スタニングロッドチャンバ内で摺動(スライド)可能であり、長手方向軸に沿って前方へ、及びハウジング先端部の外へ駆動することができるスタニングロッドを設けることと、スタニングロッドに接続され、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能なスタニングロッドピストンを設けることと、スタニングロッドチャンバの前端の開口部を通って延びる後部を有し、非作動位置と動物に接触する位置との間で移動可能であり、非作動位置にあるとき、供給源からスタニングロッドチャンバの後端への加圧流体の流れを遮断し、動物に接触する位置にあるとき、空気が供給通路を通って流れることを可能として、掛止部ピストンを第1ポジションから第2ポジションへ付勢させる、ハウジング前端のヘッドコンタクトを設けることと、供給源からスタニングロッドチャンバの前方へ加圧流体を供給するハウジング内の内部通路を設けることと、ヘッドコンタクトの後部とスタニングロッドチャンバの前端の開口部との間の通路を設けることと、動物とヘッドコンタクトとの接触時に、ヘッドコンタクトが動物に接触する位置にあるとき、スタニングロッドを前方へ駆動するために、加圧流体が、供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ流れることと、加圧流体が、スタニングロッドを後方へ駆動するために、供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れるとき、加圧流体の一部は、ヘッドコンタクトを、供給源からスタニングロッドチャンバ後端への加圧流体の流れを遮断する非作動位置へ移動させるため、ヘッドコンタクトの後部とスタニングロッドチャンバの前端の開口部との間の通路を通って流れることとを含む、動物を気絶させる方法。
【0022】
ヘッドコンタクトは、スタニングロッドチャンバの前端の開口部を通って延びる後部突起を含み、ヘッドコンタクトの後部とスタニングロッドチャンバの前端の開口部との間の通路は、ヘッドコンタクトの後部突起の周囲に形成された複数の通路口を含み、加圧流体の一部は、ヘッドコンタクトの後部突起の通路口を通って流れ、ヘッドコンタクトを、供給源からスタニングロッドチャンバ後端への加圧流体の流れを遮断する、非作動位置へ移動させる。
本方法はさらに、スタニングロッドピストンがスタニングロッドチャンバの前方に到達したときに、スタニングロッド及びスタニングロッドピストンの停止を緩和する一対の緩衝材をスタニングロッドチャンバの前端に設け、ハウジング内に内部通路を設けて、供給源からスタニングロッドチャンバの前部の少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ、加圧流体を供給することができる。加圧流体は、スタニングロッドを前方へ駆動するために、供給源から供給通路を通ってスタニングロッドチャンバの後端へ交互に流れ、スタニングロッドを後方に駆動するために内部通路を通ってスタニングロッドチャンバの前部の少なくとも1つの弾性緩衝材のそばへ、流れることができる。
【0023】
本発明はさらに、スタニングロッドを中立位置(ニュートラル位置)から前方へ駆動させて動物を気絶させるために、保持及び解放を交互に行う掛止部を開閉するために使用される空気圧式家畜銃の掛止部ピストンを対象とする。
掛止部ピストン本体が掛止部に隣接して配置され、掛止部ピストンチャンバ内で摺動可能に適合され、掛止部ピストンは、掛止部にスタニングロッドを保持するように促す第1ポジションと、掛止部がスタニングロッドを解放することを可能にする第2ポジションとの間を移動するように適合された、所定の長さを有する。中央通路は、本体の全長に亘って長手方向に延びる。掛止部ピストン本体の第1通路は、掛止部ピストンが第1ポジションにあるとき、加圧空気の供給源から第1通路及び中央通路を通ってスタニングロッド後端まで空気が流れることを可能とする。掛止部ピストン本体の第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるとき、加圧流体供給源から第2の通路を通ってスタニングロッドの前方部分へ空気が流れることを可能とする。掛止部ピストン本体の第3の通路は、スタニングロッドが中立位置に戻されている間、スタニングロッド後端から掛止部ピストンの中央通路を通って大気へ空気が流れることを可能とする。
【0024】
掛止部ピストンの一実施形態では、第2通路は、掛止部ピストンが第2ポジションにあるときに供給通路と繋がる通路口を掛止部ピストンの外壁に備え、加圧流体が供給源から供給通路及び通路口を通ってスタニングロッドチャンバの前端へ流れることを可能とする。
【0025】
本発明はさらに、空気式動物銃内の流体通路の連通と不連通の位置合わせ(整列及び不整列)ために使用される突出部(ノーズ)を対象とすることができる。
本通路は、スタニングロッドを発射するために加圧流体を供給し、前記スタニングロッドを発射した後に前記加圧流体を排出するためのものである。突出部(ノーズ)は、突出部後壁及びその中に配置されたアクチベータチャンバを有する外方ハウジング突出部を備える。ヘッドコンタクトアクチベータは、外方ハウジング突出部内に配置され、前方位置と後方位置との間で摺動可能であり、ヘッドコンタクトアクチベータは、円筒状突起と円筒状本体とを有する。ヘッドアクチベータチャンバ通路は、ヘッドコンタクトアクチベータに隣接する位置から延びる。第2の通路は、ヘッドコンタクトアクチベータに隣接する位置から延びる。ヘッドコンタクト通路は、円筒状ヘッドコンタクト本体の周囲に延在する通路口を備える。ヘッドコンタクトベントは、蓄積された加圧流体を排出するためものである。ヘッドコンタクトアクチベータが前方位置にあるとき、ヘッドコンタクト通路は、第2通路およびヘッドコンタクトベントと位置合わせされて連通し、ヘッドコンタクトベントからの蓄積された加圧流体の排気を可能とし、ヘッドコンタクトアクチベータが後方位置にあるとき、ヘッドコンタクト通路は、ヘッドアクチベータチャンバ通路および第2通路と位置合わせされて連通して、スタニングロッドを発射するために加圧流体を供給する。
【0026】
一実施形態では、ヘッドコンタクトアクチベータを動物の頭に押しつけることによって、ヘッドコンタクトアクチベータを前方位置から後方位置へと移動させることができる。メイントリガー、メインハンドルバルブ、及びハンドルベントを更に備えることができ、メイントリガーを押すことによって、メインハンドルバルブが開き、第1バルブ通路を介して加圧流体がヘッドアクチベータチャンバ通路に供給される。メイントリガーが押されていないときは、ヘッドコンタクト通路はヘッドクチベータチャンバ通路と連通せず、第2バルブ通路がハンドルベントと連通して、ヘッドコンタクト通路内のあらゆる加圧流体を大気に排出することができる。
【0027】
本発明はさらに、空気圧式家畜銃から加圧流体を排出するためのシステムを対象とし、掛止部ピストンチャンバ、スタニングロッドチャンバ、尾端部(テールエンド)、及びスタニングロッドチャンバの前方にある先端部を備えるハウジングを有する。供給通路は、加圧流体供給源と掛止部ピストンチャンバとの間のハウジング内にある。スタニングロッドは、スタニングロッドチャンバ内で摺動可能であり、長手方向軸に沿って前方へ、及びハウジング先端部の外へ駆動することができる。ハウジング後端には掛止部シリンダが取り付けられており、少なくとも1つの排気通路がある。スタニングロッドの保持及び解放を交互に繰り返すために、掛止部がハウジング内に設置されている。掛止部ピストンは、掛止部に隣接して配置され、掛止部ピストンチャンバ内で滑り接触する。突出部後壁を有する外方ハウジング突出部は、その中に配置されたアクチベータチャンバを有する。ヘッドコンタクトアクチベータは、外方ハウジング突出部内に配置され、前方位置と後方位置との間で摺動可能である。ヘッドアクチベータチャンバ通路は、ヘッドコンタクトアクチベータに隣接する位置から延びる。加圧流体の蓄積を排出するためのヘッドコンタクトベントが、ヘッドコンタクトアクチベータ内に配置される。スタニングロッドを前方へ駆動するまで蓄積された加圧流体は、後に、掛止部シリンダの少なくとも1つの通気通路と、ヘッドコンタクトベントを通して排出される。
【0028】
システムの一実施態様では、掛止部ピストンチャンバの後端に蓄積された加圧流体は、ヘッドコンタクトベントを通じて排出することができる。掛止部ピストンチャンバの前端に蓄積された加圧流体は、掛止部シリンダの少なくとも1つの排出通路を通じて排出することができる。掛止部シリンダ内には 複数の排出通路を配置することができる。掛止部ピストンチャンバの前端に蓄積された加圧流体は、前記掛止部シリンダ内に配置された複数の排出通路を通して排出することができる。
【0029】
新規であると考えられる本発明の特徴および本発明に特徴的な要素は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。図は説明のみを目的としており、必ずしも同一の縮尺で描かれていない。しかし、本発明自体は、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の家畜銃の実施形態の断面図であり、トリガーが押し下げられておらず、掛止部、掛止部ピストン、およびスタニングロッドが、発射前の第1のニュートラルな保持位置にある状態を示し、また、発射後においてスタニングロッドが完全に引っ込められ、掛止部によって保持されたときをも示している。
【
図2】
図1に示した家畜銃の発射後における断面図であり、トリガーが押され、ヘッドコンタクト(頭部接触部)が作動され、短時間後に掛止部がスタニングロッドを解放して前方に移動させ、掛止部ピストンが第1の保持位置と第2の前方位置の間の中間位置に前進された状態を示している。
【
図3】
図1に示した家畜銃の、
図2で示した発射後における断面図であり、トリガーが押し下げられ、ヘッドコンタクトが停止され、スタニングロッドが完全に前方のストローク終了位置にある状態を示している。
【
図4】
図1に示した家畜銃の
図3で示したストローク終了位置の後の状態を示す断面図であり、トリガーが押し下げられ、ヘッドコンタクトが停止され、スタニングロッドが後方へ戻されて掛止部ピストンの前部に接触し、掛止部ピストンが後方へ移動して第2の前方位置と第1の保持位置の間の中間位置にある状態を示している。
【
図5A】
図1で示す家畜銃を後方から見た斜視図である。
【
図5B】
図1で示す家畜銃を前方から見た斜視図である。
【
図6】
図1に示した家畜銃の掛止部シリンダの断面図である。
【
図7】
図1に示す家畜銃の掛止部リリースピストンの(A)正面斜視図、(B)正面図、(C)断面図である。
【
図8】
図1に示した家畜銃の掛止部リリースピストン及び掛止部の斜視図である。
【
図9】
図1に示した家畜銃の(A)掛止部リリースピストン及び掛止部の側面図、(B)掛止部リリースピストンの背面図、(C)掛止部リリースピストン及び掛止部の正面図である。
【
図10】
図1に示した家畜銃中の掛止部の(A)側面図、(B)背面図、(C)正面図、(D)斜視図である。
【
図11】(A)
図1に示した家畜銃の掛止部のうちの1つについての側面図、(B)
図1に示した家畜銃の掛止部のうちの1つについての内側を示す斜視図、(C)
図1に示した家畜銃の掛止部のうちの1つについての外側を示す斜視図である。
【
図12】
図1で示した家畜銃のヘッドコンタクトアクチベータの(A)正面斜視図、(B)後方斜視図である。
【
図13】
図1で示した家畜銃のハウジング突出部(ノーズ)の断面図である。
【
図14】ロッドが完全に格納された位置にある、スタナーロッド、ライナー、突出部、及びヘッドコンタクトの構成の一実施形態を示す側面断面図である。
【
図15】ロッドが完全に伸びた位置にある、
図14に示した家畜銃の構成の側面断面図である。
【
図16】
図14で示した家畜銃の実施形態における、突出部とヘッドコンタクトの構成を示す分解斜視図である。
【
図17】
図14で示した家畜銃の実施形態における、突出部とヘッドコンタクトの構成を示す分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態を説明する際に、本明細書では
図1~3を参照する。図中、同様の数字は本発明の同様の特徴を指す。
【0032】
典型的な家畜銃20の構造および操作が総体的に
図1~4の断面図、及び
図5A~5Cの斜視図及び側面図、並びにその構成要素は
図6~13に示されている。家畜銃20は、外方に延びる細長い中空ハウジング22と、外方ハウジング突出部(ノーズ)23内で移動可能なヘッドコンタトアクチベータ(頭部接合始動装置)18、先端部24と、尾端部26と、長手方向軸80を中心に前後に移動可能なスタニングロッド40と、スタニングロッド40を保持および解放するための、長手方向軸80の周りに配置されたと掛止部60を含む。家畜銃20は、ハウジング(本体ボディ)22の下に延びるメインハンドル(主ハンドル)28と、尾端部26から延びる後部ハンドル29を握ることによって把持される。ここに述べる前方および後方の方向は家畜銃先端部24に関するものであり、ここに述べる内方および外方の方向は長手方向軸80に関するものである。ハウジング22は、その中に、スタニングロッド及びピストン用の全体的に円筒形の内圧またはスタニングロッドチャンバ30と、加圧流体を受取り保持するための囲周する発射チャンバ32を含む。
【0033】
Oリングシール49によって囲周された円形のスタニングロッドピストン48は、ハウジング22内の内部チャンバ30の円筒形の内面に沿って摺動する。ピストン48は軸80沿って前方及び後方に移動し、スタニングロッド40を担持する。図に示した実施形態では、スタニングロッドとピストンは一体に形成されているが、互いに固定された別個の構成要素であってもよい。環状の発射チャンバ32は、ハウジング22内の内部チャンバ30を取り囲み、後部が開いているので、以下において更に説明するように、スタナーの発射時に空気が発射チャンバ32からピストン48の背後の内部チャンバ30の領域へ自由かつ迅速に移動できる。チャンバ30の前部にある突出部(ノーズ)後壁27は、ピストン48及びスタニングロッド40の前方への動きを制限し、一対の弾力性のある環状緩衝材25a、25bを担持する。スタニングロッド40の後端41は、その周囲に沿って延びる内向縁46を備えた開口部を有し、この縁は、掛止部60の前端で外側に延びるフランジ64によって交互に保持及び解放される。スタニングロッド40の本体又はシャフトは、長手方向軸に垂直な断面で見たときに、円形又は非円形の形状であってもよい。スタニングロッドの前端又は打撃端44は、掛止部がスタニングロッド縁46を解放したときに動物の頭に向かって駆動されるように、ハウジング22の前部にあるヘッドコンタクトアクチベータ18に対応する構成の開口部17を通って滑りばめで及んでいてもよい。スタニングロッドの前端44は、動物の頭部を貫通させるか又は貫通をさせない(すなわち脳震盪を起こさせる場合)のに適した直径及び適した形状を備えたサイズとすることができる。
図1から5Cに例として示したのは、貫通ロッドを用いるものである。
【0034】
実施形態に示されるように、スタニングロッドを保持及び解放するための掛止部システムは、ハウジング(本体ボディ)22の後部において、スタニングロッドチャンバ30の後方に配置される。掛止部60については、
図8から11(C)に更に示され、図示された実施形態では軸80の周りに配列された3つの弓形掛止部で構成される。それぞれに掛止部は、長手軸方向を中心として弧状に湾曲した本体を有し、前端及び後端にそれぞれ外向きに延びるフランジ64及び66を有する。実施形態として示されているそれぞれの掛止部60は、90°以上120°未満である弧を有し、3つの掛止部が、互いに干渉することなく内側に枢動するのに十分なスペースを隣接する掛止部との間に備えて、縦軸80の周りに円筒状に配置することができる。掛止部の数は、3つより少なく又は3つより多くを使用することができる。ほぼ中空の円筒形である掛止部固定具(掛止部リテーナー)70は、ハウジング22の後端から前方へ延びる。掛止部固定具70の前部は、周りを覆うことで、掛止部60の後端部を固定する。掛止部固定具70は、その前端に、軸80から離れた側に延びる掛止部の後端フランジ66を受けるための内向きの溝を有する。掛止部リリースピストン50(
図7(A)~(C)も参照のこと)は、空気銃の尾端部26に配置された掛止部シリンダ75(
図6も参照のこと)の中央開口部内でスライド可能であり、前方部分は、
図1~4の断面図に示すように、固定具(リテーナー)70の中央開口部内にスライド可能に受け入れられ、軸80に沿って前後に移動する。掛止部ピストン50は、掛止部固定具70の後方部分の背後にある円筒形の掛止部ピストンチャンバ72内をスライドする、円形リリースピストン部52を有する。掛止部リリースピストン50は、軸80に沿って前端51まで延びる中央開口部58を有し、リリースピストン部52の前方において、掛止部リリースピストン50は、掛止部60の後端内で、当該後端に接する、ほぼ円筒形の本体部を備える(
図8及び9(A)~(C)も参照のこと)。内側の掛止部ピストン本体及び外側の掛止部固定具によって、掛止部の後端部が支持され、掛止部60が回転し、それぞれの前端フランジ64が固定具70の溝内の後端フランジ66の周りを、内側及び外側に枢動することが可能となる。
【0035】
掛止部の前端は、前端フランジ64がロッド40の後端部分と接触してスタニングロッドが前方へ駆動するのを防止するように、軸80から離れた保持位置まで外側に移動することができる。そのような移動を実現するために、掛止部ピストン50は、掛止部の前端フランジ64に接触し、外側に付勢してスタニングロッド開口部縁46と係合するのに十分な直径を有する、前端部51を掛止部内に備える。掛止部ピストン50が保持位置である後方へ移動したとき、掛止部の前端部64は、スタニングロッド開口部縁46及び掛止部ピストンの前端部分61の両方と位置合わせされて、接触する。
【0036】
掛止部ピストンは、前端部51の後方に、前端部の直径より小さい直径を有する逃がし部分56を有する。逃がし部分の直径は、フランジ64がスタニングロッド開口部縁46との係合から外れた状態で、掛止部の前端部64が内側へ解放位置まで自由に移動できるように十分に小さい直径である。掛止部ピストン50が、保持位置である第1ポジションから、解放位置である第2ポジションまで、前方へ移動すると、掛止部の前端部51は、もはや掛止部前端部64が内側へと移動するのを防止する位置にはない。前部フランジ64の後ろ側は、掛止部本体62に対して90°を超える角度で面取りされている(
図10(A)~(D)及び11(A)~(C)も参照のこと)ので、ピストン48及びスタニングロッド40が前方へ言移動すると、スタニングロッド縁46からの圧力により、スタニングロッド縁が面取りされたフランジ面65に沿って移動し、フランジ64が解放部56内の内側に跳ね返る。掛止部の前端フランジ64がロッド縁46から外れると、スタニングロッド40は完全に解放されて、前方に駆動される。
【0037】
家畜銃(スタナー)20は、圧縮空気又はその他の適切な流体等の加圧流体によって操作され得る。説明した例では、圧縮空気が流体であって、空気圧縮機に接続されたホース又はラインにより供給される。空気圧と流量は、調性機(図示せず)によって制御することができ、圧縮空気はメインハンドル28の後方でハウジング22の入口82へ流れ込む。
【0038】
次いで、加圧空気の流れは、入口82の後、内部通路84とトリガー供給通路92との間で分割される。内部通路84は掛止部リリースピストン50と連通し、通路の末端はピストンを取り囲むことができ、トリガー供給通路92は、ハンドル28内のトリガー110によって操作されるメインバルブ114と連通する。バルブ114内のばね(図示せず)は、最初にバルブを下向き位置に付勢し、引き金を押し下げられていない位置に付勢する。引き金110が押し下げられていない位置にあるとき、メインバルブ114の第1通路112aは、空気がトリガー供給通路92から供給通路94に流れるようにし、掛止部ピストンシリンダチャンバ72と連通するのを可能とする。
【0039】
加圧流体源が入口82を介して接続されると、
図1に示すように、掛止部リリースピストン50が第1の後方保持位置にロックされ、供給トリガー110が押されておらず、家畜銃20がニュートラルな状態である。空気は通路84を通って上向きに流れることができ、その末端は掛止部ピストン50の後部に隣接するチャンバ71を取り囲むことができる。掛止部ピストン50が後方の保持位置にあるとき、通路84と85は連通(整列)している。個々の掛止部60の間に空間があるので、加圧空気は、通路84から通路85を通り、中央開口部58を通ってスタニングロッド縁46内の前方へ進み、内部チャンバ30に向かい、スタニングロッドピストン48の後ろに、開口した後端を通って、内部チャンバの周りの発射チャンバ32へと自由に流れることができる。掛止部リリースピストン50を保持位置に位置するために、メインバルブ114の第1通路口112aを、トリガー110が押されていない位置に位置合わせすることにより、加圧空気が供給通路94を通って、掛止部リリースピストン部52の前方であり、掛止部固定具70の後方であるピストンシリンダチャンバ72へと流れることができ、掛止部ピストン50を後方へ付勢する。この定圧で保持する掛止部ピストン50は、トリガー110が押されていない限り維持され、家畜銃を落とし場合や誤った取り扱いをされた場合でもスタニングロッド40が偶発的に発射されないことを保証する。
【0040】
掛止部ピストン50は、その本体内に、第1の通路85の後方にある第2の通路89を含み、これは、図示の実施形態では、掛止部ピストン50の外周の全部または一部の周りに延在する掛止部ピストン50の外壁に上部開放通路を備える。
図1の保持位置では、第2通路89は、通路90a及び90bと位置合わせされ、その端部は掛止部リリースピストンを取り囲み、接続され、大気に排出する。第2通路89は通路104とも位置合わせされ、チャンバを取り囲み、掛止部リリースピストンチャンバ71から内部チャンバ30の前端まで延び、緩衝材25a、25bに沿って、緩衝材25a、25bの間の1つ以上の開口部と連通する。第2通路89の後方では第3半径方向通路87が中央開口部から掛止部ピストン50の本体周囲まで延びる。
【0041】
発射チャンバ32の後部からの加圧流体は、スタニングロッドピストン48に対して力を加え、スタニングロッドの後部縁46を保持する掛止部フランジ64の位置によってのみ、前方への動きから保持される。
【0042】
スタニングロッド40の発射を作動させるために、本発明の実施形態は、ヘッドコンタクトアクチベータ18と組み合わせて、メインハンドルバルブ114を制御するメイントリガー110を採用できる。示されている実施形態では、ヘッドアクチベータチャンバ通路96は、ハンドル及びハウジングを通って、メインバルブ114から前方へヘッドコンタクトアクチベータ18まで延在する。通路102は、ヘッドコンタクトアクチベータ18から掛止部ピストンシリンダチャンバ72の後端まで、後方へ延びる。通路102は通路104と交差しない。
【0043】
ヘッドコンタクト18は、チャンバ98の前方の突出部23内で前後にスライドし(
図13も参照)、ばね(図示せず)の圧力によって前方(右)位置に向かって延びる。前方の非作動位置では、ヘッドアクチベータ18の後方部分又は円筒形の突出部118は、アクチベータチャンバ98の後部で、突出部後壁27の開口部を部分的に通って、前方緩衝材25aの開口部内に延在する。ヘッドコンタクト通路106は、ヘッドコンタクト18の円筒形本体120の周囲に延在する通路口を備える。トリガー110が押されていないとき、ヘッドコンタクトの通路口106は通路96と位置合わせされておらず、バルブ114が第2通路112bと位置合わせされ、ハンドル28の開口部を通してヘッドアクチベータ通路96内の空気を大気へ排出する。ヘッドコンタクト18が前方位置にあるとき、ヘッドコンタクト通路106は、通路102及びヘッドコンタクトベント19の両方と位置合わせされ、そして、掛止部リリースピストン50が後方位置にあるとき、掛止部ピストン通路口89は、通路104及びベント通路90bの両方と位置合わせされ、
図1に示すように、掛止部ピストンシリンダチャンバ72の後端は、ベント19を介してハウジング22の前部を通って排出し、内部チャンバ30の前端は、ベント90bを介してハウジング22の後部を通って排出する。家畜銃は、メイントリガー110及びヘッドコンタクト18が押されていないこの位置では、発射されない。必要に応じて、通路102を通る流れを開閉するために、第2の又は補助のトリガー116を設けることができ、以下で更に説明するように、通路102を開き、スタニングロッドを作動させるためには、これらトリガーを押し下げなければならない。このオプションの補助トリガー116を設けるには、
図1~4に示されるように、通路102の流路に追加の変更を加えることなく、この追加の安全機能を可能とするために、ハウジングの尾端26により近い点で通路102にアクセスする必要がある場合がある。
【0044】
発射シーケンスを開始するために、メインハンドルバルブ114は、操作者がメイントリガー110をバルブ内のばねの力に抗って片手で押し下げることにより起動され、ヘッドコンタクト18は、操縦者が動物の頭を押して動かし、
図2に示すように、ヘッドコンタクトばねの力に抗って矢印で示す方向へコンタクト18を後方(左方向)へ押し下げる。これにより、ヘッドアクチベータ18の後部がアクチベータチャンバ98の後部の開口部へと更に移動する。メインハンドルバルブ114が第2の上方位置へ移動すると、バルブ114の第1通路112aは通路94をハンドルベント開口口に接続し、掛止部ピストンシリンダチャンバ72の前端から加圧空気は大気へ排出され、バルブ114の第2通路112bは、通路92を通路96に接続し、加圧空気を入口82からヘッドコンタクトアクチベータ18へ供給する。ヘッドコンタクト18は後方位置にあるので、ヘッドコンタクト通路口106は、ヘッドアクチベータ通路96と位置合わせされ、通路96と102との間の連通を可能とする。
【0045】
次に、圧縮空気は、通路102を介して掛止部ピストンシリンダチャンバ72の後端へ流れる。オプションの補助トリガー116を使用する場合は、それを押してバルブを開き、加圧空気が通路102を流れるようにする必要がある。メイントリガー110及びヘッドコンタクト18が押し下げられ、オプションとして補助トリガー116が押された結果、掛止部リリースピストン50は、チャンバ72の後部の圧縮空気によって動かされ、掛止部固定具(掛止部リテーナー)70に対してその限界まで前方(右方向)へ延び始める。端部51のこの前方への動きは、掛止部60を解放し、前方掛止部ラッチ64の解放部56への内側への後退を可能にする。スタニングロッドピストン48の背後の加圧空気により、スタニングロッド縁46が前方へ押し出され、掛止部の傾斜フランジ面65に対して移動し、掛止部の前端フランジを内側へ移動させて、スタニングロッド40を解放する。
【0046】
掛止部ピストン中央開口部58(
図1)を通って流れた、入口82からの空気の圧力は、ピストン48の後部に対して発射チャンバ32から流れる加圧空気によって補助される。その結果、スタニングロッド40が掛止部から解放されると、スタニングロッドは高速で前方(右方向)へ移動し、
図2にしめされるように、スタニングロッドの前方又は打撃端44は、図示のように矢印の方向へヘッドコンタクト開口部17を通って移動する。排出されずに残っていた、スタニングロッドピストン48の前方の内部チャンバ30内の残りの空気は、圧縮され始める。
【0047】
図2は、第1の保持位置から第2の解放位置へ向かって前方へ移動する、その中間位置における掛止部ピストンを示している。通路85は、通路84と位置合わせされない位置へと移動し、その結果、通路84は閉鎖され、加圧流体が入口82から流れるのを防止する。掛止部ピストンが解放位置に向かって前方へ移動すると、供給通路84と掛止部ピストンの第1通路85とは位置合わせされていないため、供給トリガーを押し下げるバルブ114の操作があっても、それ以上、加圧流体が供給源から内部スタニングロッドチャンバ30又は発射チャンバ32のいずれかに流れることができない。また、掛止部ピストン50が、第2の解放位置へ向かって前方に動き始めたときは、第2通路の通路口89はまだ供給通路84と位置合わせされていないためである。
【0048】
図3は、スタニングロッド40が完全に前方のストローク終了位置にある、家畜銃20を示している。スタニングロッド40の前方へのストロークの終わりに、ピストン48は緩衝材25bと接触し、スタニングロッドチャンバ30の前端にある緩衝材25bと25aの両方が圧縮されて、ピストン48とロッド40の前方への動きが減速してスタニングロッドチャンバ内で停止する。スタニングロッド打撃端44は、ヘッドコンタクト開口部17を通って完全に伸びた状態になる。
【0049】
掛止部ピストン50は、依然として第2の前方位置にあるので、加圧流体は供給源から供給通路84を通って、掛止部ピストン50の周りに延在する通路口89を通って内部通路104に入り、開口部34を通って、スタニングロッドチャンバ30の前端の、緩衝材25a、25bがあるスタニングロッドピストン48の前方に入る。加圧空気の一部は、スタニングロッドチャンバ30の前部から、ヘッドコンタクトアクチベータ18の後部又は突出部118とアクチベータチャンバ98の後部の突出部後壁27の開口部との間の、1つ又は複数の小さな通路口108を含む通路を通って流れる。この加圧空気は、スプリングアシストと共に、ヘッドコンタクト18を完全に前方へ動かして、その不作動位置に移動させる。これらの通路口108の1つ又は複数は、突出部後壁27(
図3)の開口部内又は開口部の周りに形成することができるが、
図12(A)及び12(B)に示される実施形態では、ヘッドコンタクトアクチベータの後方部分又は突起118の周囲に配列され形成された4つの小さな穴又は溝から成る通路口108を示す。ヘッドコンタクト18が前方の非作動位置にあると、メインバルブ114から通路96を通る加圧流体の更なる流れが遮断され、ヘッドコンタクト通路106が通路102と接続することでヘッドコンタクトベント19に接続し、掛止部ピストンシリンダチャンバから排気圧を排出する。その結果、掛止部ピストン50は、もはや前方へ付勢されない。ヘッドコンタクト18を前方へ押すための通路108を通るこの空気の流れは、安全機構として作用し、引き金を押し続けることによって家畜銃が繰り返し発射することを防ぐ。
【0050】
掛止部リリースピストン50第2の前方位置に留まると、第3の半径方向通路87が通気通路90a、90bと位置合わせされ、ピストン48の背後の空気が掛止部ピストンの中央開口部58を通って流れ、ハウジング後部26から大気へ排出されるようになる。通路104からスタニングロッドチャンバ30の前端に供給される加圧空気は、スタニングロッドピストン48に対して作用し、ピストンを後方へ駆動し始める。
【0051】
図4に示すように、チャンバ30の前端の加圧空気は、スタニングロッド40の縁46が掛止部60の前部フランジ64の後ろを通過し、スタニングロッドの後端41が掛止部ピストン50の前端51に接触するまで、スタニングロッド40を後方(矢印で示すように左方向)に後退させる。掛止部ピストンシンリダチャンバ72は、掛止部リリースピストン部分52の前後に完全に通気されているので、スタニングロッドピストンが前端に当たると、掛止部リリースピストン50は、第2の前方ポジションから第1の保持ポジションに向かって自由に戻り始める。第2ポジションと第1ポジションとの間の中間位置では、掛止部ピストンの第2通路89が空気供給通路84との位置合わせが外れて移動し、第3通路87がベント通路90a、90bとの位置合わせから外れて移動し、掛止部ピストンの第1通路85は、まだ空気供給通路82と位置合わせされていない。その結果、この中間位置では、スタニングロッドピストン48の前方のスタニングロッドチャンバ30へと追加の加圧空気が供給されず、スタニングロッドピストン48は残りの空気圧によって押し戻される。
【0052】
しかし、ピストン48が勢いを持って当たる結果、掛止部ピストン50は、掛止部シリンダ75内の後方(左方向)に完全に引きこまれ、その第1の保持ポジションに入る。この後方への動きは、掛止部ピストンの前端51が掛止部の前端部分内をスライドし、それらを外側に付勢する力によって掛止部60を閉じ、掛止部の前端フランジ64をスタニングロッド縁46に係合させて補足させ、
図1に示すように、スタニングロッド40が掛止部によって保持され、家畜銃が自動的にリセットされるようにする。トリガー110は操縦者によって解放され、
図1に示すように、押し下げられていない位置で、掛止部ピストン50の第1のニュートラルな保持ポジションにある場合、家畜銃は、上述のように、供給口82及びバルブ114の最初の、下方位置を通る空気によって再び加圧され、その結果、加圧空気が通路94を介して流れ、掛止部ピストン部52を後方へ付勢し、掛止部ピストン50及びスタニングロッド40の前方への動きを防止し、家畜銃が再び作動できる状態となる。
【0053】
動物銃20’の前端14’に配置され、より大きな打撃端44’を備えるスタニングロッド40’を配置できるサイズの突出部23’及びコンタクトアクチベータ18’である他の実施形態を
図14~17に示す。この特別な突出部とヘッドコンタクトは、前述のように、動物の頭の貫通させない(すなわち脳震盪)ように構成された家畜銃20’の実施形態に用いるものである。
【0054】
ヘッドコンタクト18’は、チャンバ98’の前方の突出部23’内で前後にスライドし、ばね130の圧力によって前方(右)位置に向かって付勢される。突出部バルブ132は、突出部23’内に配置され、ヘッドコンタクト18’のスライド運動を介して相互作用する。前方の非作動位置では、ヘッドコンタクトアクチベータ18’の円筒状突起118’は、突出部23’の前端の開口部を通って部分的に延び、突出部バルブ132との係合が解除される。メイントリガー110とヘッドコンタクト18’が押されていない、このポジションでは、家畜銃は発射されない。
【0055】
発射シーケンスを開始するには、メインハンドルバルブ114は、操縦者がメイントリガー110を片手で(オプションとして、補助トリガー116をもう一方の手で)押して、バルブ114のばねの力に抗って作動させ、
図15に示すように、操縦者がヘッドコンタクト18’を動物の頭に押し付けて移動させ、ばね130の力に抗ってヘッドコンタクト18’を後方(左方向)に押し下げることにより、突出部バルブ32が作動し、ヘッドコンタクト18’の後部から延びるヘッドコンタクトタブ18’が突出部バルブ132と係合して突出部バルブ132を作動させ、流体の通過を可能とする。
【0056】
家畜銃20’で使用されるスタニングロッド40’の、より大きな打撃端44’は、上述のように、その貫通対応物44の直径よりも大きな直径を有する。この打撃端44’は、ボルト、ねじ、釘、その他の許容可能な締結手段によって、ロッド40’の端部に固定される。ヘッドコンタクト18’の内径は、発射シーケンス中に、ロッドがガタついたり移動したりしないように滑り嵌めを可能にするように、打撃端44’の直径に適合される。
【0057】
その他の発射シーケンスについて、及び家畜銃20’の構造は、貫通家畜銃20について上述したものと同様である。また、脳震盪家畜銃20’の他の顕著な特徴は、米国特許第10,375,969号公報、「脳震盪家畜銃のロッド及び突出部」に記載されているように構築されてもよく、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
家畜銃とその構成品は、鋼、アルミニウム、複合材、又は他の適切な材料で作成することができる。例えば、スタンングロッドは、米国特許第10,258,051号公報、「軽量スタニングロッド」に記載されているように構成することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。示されている家畜銃の構造は十分に頑丈であり、操縦者が落下させた場合でも偶発的な発射を回避することができる。
【0059】
以上より、本発明は、以下の利点の1つ又は複数を有する空気式家畜銃及びその使用方法を提供するものである。
1)バルブ及び排気システムの複雑さの軽減
2)家畜銃の製造コストの軽減
3)自動格納(後退)家畜銃の軽量化
4)家畜銃の使用時における操縦者の疲労軽減
5)家畜銃を操作するために必要な加圧流体の減圧
これは、175psi(1.3Mpa)未満から約125psi(1MPa)までと低圧であること、偶発的な発火や損傷を防ぐ頑丈な構造によるものである。
【0060】
特定に好ましい実施形態に関連して特に説明したが、多くの代替、修正、及び変形が可能であることは、上述の説明に照らして当業者にとって明らかである。従って、本明細書の説明及び特許請求の範囲は、本発明の本旨及び精神に含まれる代替物、修正物、及び変形物を包含するものである。