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特許7526281情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240724BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04S7/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022560757
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2021040113
(87)【国際公開番号】W WO2022097583
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2020186054
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】堀越 朝
(72)【発明者】
【氏名】唐津 佑宜
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊良
(72)【発明者】
【氏名】山上 馨
(72)【発明者】
【氏名】北谷 義道
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/209196(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0011858(KR,A)
【文献】特開2020-156108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04S 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムと映像表示装置とに接続される情報処理装置であって、
ユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた音声出力設定情報を記録する記録手段と、
を含み、
前記受入手段は、ユーザの位置から映像表示装置の位置への方向を基準方向として、ユーザの位置を中心とした当該基準方向からの角度に関する情報を、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報として受け入れ、
前記基準方向からの角度に関する情報を受け入れる際に、対象となったスピーカーに隣接するスピーカーの前記基準方向からの角度との差に基づいて規制された角度の範囲で、対象となったスピーカーについての、前記基準方向からの角度に関する情報を受け入れて、
前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力し、音声信号の処理に供する情報処理装置。
【請求項2】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記受入手段は、前記スピーカーシステムが備えるスピーカーの数に関連付けて、各スピーカーごとに予め定められた角度の範囲の、前記基準方向からの角度に関する情報を、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報として受け入れる情報処理装置。
【請求項3】
音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムと映像表示装置とに接続される情報処理装置であって、
ユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた音声出力設定情報を記録する記録手段と、
を含み、
前記記録手段は、前記映像表示装置または前記スピーカーシステムを識別する情報に関連付けて、前記受入手段が受け入れた音声出力設定情報を記録し、
前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力し、音声信号の処理に供する情報処理装置。
【請求項4】
請求項に記載の情報処理装置であって、
音声出力設定情報の要求を受け入れる要求受入手段をさらに有し、
当該要求受入手段は、前記要求を受け入れたときに接続されている前記映像表示装置または前記スピーカーシステムを識別する情報を取得し、当該取得した情報に関連付けて記録されている音声出力設定情報を出力する情報処理装置。
【請求項5】
請求項に記載の情報処理装置であって、
音声出力設定情報の要求を受け入れる要求受入手段をさらに有し、
当該要求受入手段は、前記要求を受け入れたときに、ユーザが用いる映像表示装置または前記スピーカーシステムを識別する情報を取得し、
当該取得した情報が予め定めた条件を満足しているときには、スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す情報として、予め定められた情報を出力し、前記条件を満足しない場合には、前記取得した情報に関連付けて記録されている音声出力設定情報を出力する情報処理装置。
【請求項6】
音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムに接続され、
ユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた音声出力設定情報を記録する記録手段と、
を含み、
前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力し、音声信号の処理に供する情報処理装置であって、
ユーザが用いる端末装置から、当該端末装置に接続されたスピーカーシステムが備える、ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報の入力を受け入れる手段をさらに有し、
前記情報処理装置は、前記端末装置から前記ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報が入力されたときには、前記記録した音声出力設定情報に代えて、当該入力された情報を、音声信号の処理に供する情報処理装置。
【請求項7】
音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムと映像表示装置とに接続される情報処理装置の制御方法であって、
受入手段がユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れ、
記録手段が、前記受け入れた音声出力設定情報を記録し、
前記受入手段は、ユーザの位置から映像表示装置の位置への方向を基準方向として、ユーザの位置を中心とした当該基準方向からの角度に関する情報を、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報として受け入れ、前記基準方向からの角度に関する情報を受け入れる際に、対象となったスピーカーに隣接するスピーカーの前記基準方向からの角度との差に基づいて規制された角度の範囲で、対象となったスピーカーについての、前記基準方向からの角度に関する情報を受け入れて、
前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力し、音声信号の処理に供する情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムに接続される情報処理装置の制御方法であって、
受入手段がユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れ、
記録手段が、前記受け入れた音声出力設定情報を記録し、
前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力して、音声信号の処理に供し、
ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報の入力を受け入れる手段が、ユーザが用いる端末装置から、当該端末装置に接続されたスピーカーシステムが備える、ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報の入力を受け入れ、
前記端末装置から前記ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報が入力されたときには、前記記録した音声出力設定情報に代えて、当該入力された情報を、音声信号の処理に供する情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムと映像表示装置とに接続される情報処理装置を、
ユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた音声出力設定情報を記録する記録手段と、
前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力する手段と、
として機能させ
前記受入手段として機能させる際には、ユーザの位置から映像表示装置の位置への方向を基準方向として、ユーザの位置を中心とした当該基準方向からの角度に関する情報を、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報として受け入れさせ、
前記基準方向からの角度に関する情報を受け入れる際に、対象となったスピーカーに隣接するスピーカーの前記基準方向からの角度との差に基づいて規制された角度の範囲で、対象となったスピーカーについての、前記基準方向からの角度に関する情報を受け入れさせるプログラム。
【請求項10】
音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムに接続される情報処理装置を、
ユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れる受入手段と、
前記受け入れた音声出力設定情報を記録する記録手段と、
前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力する手段と、
ユーザが用いる端末装置から、当該端末装置に接続されたスピーカーシステムが備える、ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報の入力を受け入れる手段と、
として機能させ、
前記端末装置から前記ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報が入力されたときには、前記情報処理装置に、前記記録した音声出力設定情報に代えて、当該入力された情報を音声信号の処理に供させるプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが映像の視聴や、ゲームプレイなどの際に使用する映像音響機器の音響システムには、ステレオ音声を再生可能な2chオーディオのほか、より多数のスピーカーをユーザの周囲に配して臨場感を向上させる、5.1chオーディオや7.1chオーディオといったものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、スピーカーを配置するスペースの関係等から、ユーザの周囲のスピーカーの位置は、必ずしも理想的な位置となっているとは限らない。また、ユーザごとに、使用している音響システムにも相違がある。そこで、映像や音声の再生アプリケーションや、ゲームアプリケーションは、音響の最適化のために、これらのユーザのスピーカーの配置位置の情報を取得したい要望がある。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ユーザのスピーカーの配置位置の情報を取得し、提供できる情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様は、音声信号を処理し、複数のスピーカーを備えるスピーカーシステムに接続される情報処理装置であって、ユーザの向きに対する、前記スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報の入力を受け入れる受入手段と、前記受け入れた音声出力設定情報を記録する記録手段と、を含み、前記記録された音声出力設定情報を、要求に応じて出力し、音声信号の処理に供することとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、ユーザのスピーカーの配置位置の情報を取得し、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成及び接続例を表すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の例を表す機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が表示する設定画面の例を表す説明図である。
図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が保持する情報の例を表す説明図である。
図5】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が記録する音声出力設定情報の例を表す説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の表示する設定画面の他の例を表す説明図である。
図7】本発明の実施の形態に係る情報処理装置と端末装置との動作例を表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る情報処理装置1は、図1に例示するように、制御部11、記憶部12、操作制御部13、出力制御部14、及び通信部15を含んで構成される。またこの音声信号処理装置1は、家庭用テレビジョンやモニタ等の映像表示装置2と、複数のスピーカーを含むスピーカーシステム3と、ユーザが操作するコントローラ4とにそれぞれ接続される。
【0009】
制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムを実行する。本実施の形態の制御部11は、システムプログラムを実行するほか、このシステムプログラムの管理下で、ゲームアプリケーション等のアプリケーションプログラムを実行する。またこの制御部11は、スピーカーシステム3が備える各スピーカーの、ユーザの向きに対する方向を表す情報の入力を受け入れて、当該受け入れた情報を、設定として記録する処理を実行する。そして制御部11は、アプリケーションプログラムの実行中、上記処理により記録された設定の要求を受け入れる。制御部11は、システムプログラムの処理として当該要求に応答して、上記記録された設定を、アプリケーションプログラムに提供し、音声信号の処理に供する。この制御部11の動作については後に詳しく述べる。
【0010】
記憶部12は、メモリデバイスや、ディスクデバイス等であり、制御部11によって実行されるプログラムや、制御部11が利用する種々の設定情報等を保持する。またこの記憶部12は、制御部11のワークメモリとして機能する。
【0011】
操作制御部13は、ユーザが利用するコントローラ4と通信部15を介して通信し、コントローラ4においてユーザが行った操作の内容を表す情報を受け入れて、当該情報を制御部11に出力する。
【0012】
出力制御部14は、制御部11から入力される指示に従い、家庭用テレビジョンやモニタ等の映像表示装置2に映像信号を出力する。またこの出力制御部14は、制御部11から入力される指示に従い、スピーカーシステム3に対して、制御部11が生成した音声信号を出力する。
【0013】
通信部15は、ネットワークインタフェースを含み、ネットワークを介して端末装置(スマートフォンなどの携帯電話や、他の情報処理装置等)Tとの間で通信を行う。またこの通信部15は、ブルートゥース(登録商標)等の近接通信のインタフェースを含み、制御部11から入力される指示に従い、コントローラ4との間で信号を送受する。
【0014】
次に制御部11の動作について説明する。本実施の形態の例では、制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作することで、図2に例示するように、機能的に、アプリケーション実行部20と、システム処理部30とを含む構成を実現する。
【0015】
また本実施の形態においてシステム処理部30は、設定案内部31と、音声出力設定情報記録部32と、設定管理部33と、音声出力設定情報提示部34とを含んで構成される。
【0016】
アプリケーション実行部20は、ゲームアプリケーション等のプログラムの指示に従い、種々の処理を実行する。このアプリケーション実行部20は、ゲームアプリケーション等のプログラムにより、音声出力設定情報を取得するべき旨の指示があったときには、システム処理部30に対して、音声出力設定情報を要求する。そしてシステム処理部30から当該要求に対する応答として音声出力設定情報を受け入れると、当該音声出力設定情報を、ゲームアプリケーションのプログラム等の処理に供する。
【0017】
システム処理部30の設定案内部31は、ユーザからシステム上の音声設定の指示を受け入れると、音声設定のメニュー一覧を表示するよう出力制御部14に指示する。本実施の形態の例では、このメニュー一覧に含まれる項目は、ユーザのコントローラ4の操作により選択可能となっているものとする。またこの項目のうちには、スピーカーの位置を設定する、音声出力設定の項目が含まれる。ユーザがコントローラ4を操作して、このメニュー一覧から当該音声出力設定の項目を選択して、設定を行う旨の操作を行うと、設定案内部31は、図3に例示するような音声出力設定画面を表示する。
【0018】
この図3に例示する音声出力設定画面の例では、ユーザの位置を表すユーザアイコン(U)を中心とした円(C)が表示される。またこの、ユーザアイコンから画面の上方(図中Y軸正の方向)を中央(センター)としてディスプレイまたはモニタなど映像表示装置2を表すアイコン(D)が表示される。スピーカーシステム3が備える各スピーカーは、円(C)上にアイコンとして表示される。つまり、このアイコンはスピーカーの数だけ表示される。
【0019】
ユーザは、ユーザの位置(U)から映像表示装置2の位置(D)の方向を、ユーザから見た基準方向とする。そしてユーザは、上記円(C)上で対応するスピーカーのアイコンを移動して、ユーザの位置(U)を中心としたこの基準方向からの円周(C)上の点の角度によって、スピーカーシステム3が備える各スピーカーの配置される角度方向の情報を設定する。もっともこれは一例であり、ユーザは各スピーカーの配置される角度の値を直接またはメニュー選択により入力しても構わない。
【0020】
なお、表示されるスピーカーのアイコンの数は、ユーザが入力して設定するものとする。ここでは一例として、ユーザはスピーカーの数を、2,5,7のいずれかから選択するものとする。
【0021】
一例としてユーザがスピーカーの数を「7」としたときには、設定案内部31は図3に例示したように、円(C)上に7つのスピーカーアイコン:
SFL:フロントレフトスピーカー(前方左)に対応
SFR:フロントライトスピーカー(前方右)に対応
SSL:サラウンドレフトスピーカー(左側方)に対応
SSR:サラウンドライトスピーカー(右側方)に対応
SSBL:サラウンドバックレフトスピーカー(後方左)に対応
SSBR:サラウンドバックライトスピーカー(後方右)に対応
SC:センタースピーカー(前方)に対応
を表示する。ユーザが、これら7つのスピーカーアイコンのうち、いずれかのスピーカーアイコンを選択して、移動する操作(円(C)上を時計回り方向、または反時計回り方向へ移動する操作)を行うと、設定案内部31は、選択されたスピーカーアイコンを円周上で所定の角度Δθだけ、操作により指示された方向に移動する。
【0022】
なお、本実施の形態のある例では、設定案内部31は、各スピーカーごとに予め定められた角度の範囲で、各スピーカーの位置の設定を案内してもよい。この例では、図4に例示するように、スピーカーの数ごとに、スピーカーシステムが備える各スピーカーの配置される角度の範囲が定められる。具体的に図4の例では、スピーカーシステムが上記の7つのスピーカーを備える場合に、
フロントレフトスピーカーについて-45度以上-15度以下(初期値は-30度)、
フロントライトスピーカーについて15度以上45度以下(初期値は+30度)、
サラウンドレフトスピーカーについて-120度以上-80度以下(初期値は-90度)、
サラウンドライトスピーカーについて80度以上120度以下(初期値は+90度)、
サラウンドバックレフトスピーカーについて、-160度以上-120度以下(初期値は-135度)、
サラウンドバックライトスピーカーについて、120度以上160度以下(初期値は+135度)、
センタースピーカー(前方)について、-5度以上5度以下(初期値は0度)、
などと定められている例を示す。本実施の形態では、この角度の範囲の情報が記憶部12に蓄積される。ここで基準方向にあるべきスピーカー(ここでのセンタースピーカー)については、設定案内部31は、角度範囲が「0度」のみとなるように(変更できないように)制御してもよい。
【0023】
またスピーカーシステムが5つのスピーカーを備える場合も同様に、各スピーカーの角度範囲を
フロントレフトスピーカーについて-45度以上-15度以下(初期値は-30度)、
フロントライトスピーカーについて15度以上45度以下(初期値は+30度)、
サラウンドレフトスピーカーについて-150度以上-90度以下(初期値は-110度)、
サラウンドライトスピーカーについて90度以上150度以下(初期値は+110度)、
センタースピーカー(前方)については、「0度のみ」、
などというように定め、さらにスピーカーシステムが2つのスピーカーを備える場合は、各スピーカーの角度範囲を、
フロントレフトスピーカーについて-5度以上-90度以下(初期値は-30度)、
フロントライトスピーカーについて5度以上90度以下(初期値は+30度)、
というように定めておく。
【0024】
設定案内部31は、これらの角度範囲の設定を参照しつつ、ユーザの操作に応じて各スピーカーの位置の設定を受け入れる。すなわち、設定案内部31は、ユーザが選択したスピーカーのアイコンを時計回り方向に移動する操作を行ったときには、当該選択したスピーカーの現在の位置をθ(基準方向からの角度がθである)として、θ+Δθが、当該選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内にあるか否かを調べる。
【0025】
ここでθ+Δθの値が、選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内にあれば、設定案内部31は、ユーザの操作に従い、選択したスピーカーの位置を、現在の角度θに所定の角度Δθを加算した値、つまり、θ+Δθとして更新する。
【0026】
一方、θ+Δθの値が、選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内になければ、設定案内部31は、ユーザの操作に関わらず選択したスピーカーの位置を更新しない。この場合、設定案内部31は、更新できない旨の通知を、例えば音、画面の一時的な反転、あるいはダイアログの表示等によってユーザに示してもよい。
【0027】
同様に設定案内部31は、ユーザが選択したスピーカーのアイコンを反時計回り方向に移動する操作を行ったときには、当該選択したスピーカーの現在の位置をθ(基準方向からの角度がθである)として、θ-Δθ(ただしθ-Δθ<-180ならば、θ-Δθ+360とする。以下同様)が、当該選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内にあるか否かを調べる。
【0028】
ここでθ-Δθの値が、選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内にあれば、設定案内部31は、ユーザの操作に従い、選択したスピーカーの位置を、現在の角度θから所定の角度Δθを減算した値、つまり、θ-Δθとして更新し、さらにθ-Δθ<-180ならば、θ-Δθ+360と更新する。
【0029】
一方、θ-Δθの値が、選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内になければ、設定案内部31は、ユーザの操作に関わらず選択したスピーカーの位置を更新しない。この場合、設定案内部31は、更新できない旨の通知を、例えば音、画面の一時的な反転、あるいはダイアログの表示等によってユーザに示してもよい。なお、メニュー選択によりスピーカーの配置位置の角度を入力させる場合、設定案内部31は、この角度範囲の角度をメニューにより提示する。
【0030】
このような設定案内部31の動作により、本実施の形態の情報処理装置1は、スピーカーシステムが備えるスピーカーの数に関連付けられた、各スピーカーごとに予め定められた角度の範囲の、基準方向からの角度に関する情報を、スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す情報として受け入れることとなるので、ユーザが誤って、フロントレフトスピーカーの配置をユーザより後方に位置させてしまうことなどが防止される。
【0031】
また設定案内部31は、上記角度範囲で設定させるとともに、あるいは角度範囲で設定させることに代えて、選択されたスピーカーアイコンを移動するとき、次の制御を行ってもよい。すなわち設定案内部31は、ユーザが選択したスピーカーアイコンを移動するとき、円周上にある当該選択されたスピーカーアイコンが、隣接するスピーカーアイコンに近接しすぎたり、隣接するスピーカーアイコンを飛び越して円周上を移動したりすることがないように制御してもよい。
【0032】
この例では設定案内部31は、基準方向(図3の例ではユーザの位置(U)から映像表示装置2の位置(D)の方向)を「0度」とし、時計回り方向に正の角度とする。そして設定案内部31は、選択されたスピーカーアイコンの位置が、円周C上で、上記基準方向からの角度θの位置(-180度≦θ<180度)にあるとき、ユーザが選択したスピーカーアイコンを時計回り方向に移動する操作を行ったときに、次のような処理を行う。
【0033】
設定案内部31は、当該選択されたスピーカーアイコンに対して時計回り方向に隣接するスピーカーアイコンの上記基準方向からの角度αを取得する。設定案内部31は、この取得した角度αと、選択されたスピーカーアイコンの位置を表す角度θとの差
d=|θ-α|
が、予め定めた限界角度θlimitを下回るとき、または所定の時計回り追い越し条件を満足するとき(θ,α>0かつθ≧αであるとき、あるいは0>α>-ΔθかつΔθ>θ≧0のとき)には、ユーザの操作に関わらず、選択されたスピーカーアイコンの位置を更新しない。
【0034】
一方、設定案内部31は、この取得した角度αと、選択されたスピーカーアイコンの位置を表す角度θとの差
d=|θ-α|
が、予め定めた限界角度θlimitを下回らず、かつ上記所定の時計回り追い越し条件を満足しないときには、ユーザの操作に従い、現在の角度θに所定の角度Δθを加算して、選択されたスピーカーアイコンの位置θをθ←θ+Δθとして更新する。なお、上記所定の限界角度θlimitは、予め、例えば5度などとして設定しておく。
【0035】
このように設定案内部31が、当該選択されたスピーカーアイコンと隣接するスピーカーアイコンとの角度との差に基づいて、この移動範囲を規制することで、ユーザがスピーカーの配置の設定を誤りにくくする。
【0036】
例えば、図3の例で、フロントレフトスピーカーに対応するスピーカーアイコンSFLを時計回り方向にΔθだけ移動したとする。このときスピーカーアイコンSFLが隣接するセンタースピーカーのアイコンSCよりも左側(円周上反時計回り方向)にあるが、ユーザから見てセンタースピーカーとフロントレフトスピーカーとのなす角度が所定限界角度θlimitより下回ることとなる場合、ユーザの操作に関わらず、それ以上フロントレフトスピーカーに対応するスピーカーのアイコンSFLを時計回り方向に移動させないこととする。また、スピーカーアイコンSFLを時計回り方向にΔθだけ移動したとき、スピーカーアイコンSFLがセンタースピーカーのスピーカーアイコンSCよりも右側になるときにも、設定案内部31は、ユーザの操作に関わらず、それ以上フロントレフトスピーカーに対応するスピーカーのアイコンSFLを時計回り方向に移動させないこととする。
【0037】
同様に、図3の例で、フロントレフトスピーカーに対応するスピーカーアイコンSFLを反時計回り方向に移動するときにも、設定案内部31は、隣接するサラウンドレフトスピーカーアイコンSSLを飛び越さないよう制御する。また設定案内部31は、スピーカーアイコンSFLがスピーカーアイコンSSLに限界角度θlimitを下回って近づかないよう制御する。
【0038】
つまり選択されたスピーカーアイコンの位置が、円周C上で、基準方向からの角度θの位置(-180度≦θ<180度)にあるとき、ユーザが当該選択されたスピーカーアイコンを反時計回り方向に所定の角度Δθだけ移動する操作を行ったとする。なお、基準方向(図3の例ではユーザの位置(U)から映像表示装置2の位置(D)の方向)を「0度」とし、時計回り方向を、角度の正の方向とする。
上記操作が行われたとき、設定案内部31は、当該選択されたスピーカーアイコンに対して反時計回り方向に隣接するスピーカーアイコンの上記基準方向からの角度βを取得する。そして設定案内部31は、この取得した角度βと、選択されたスピーカーのアイコンの位置を表す角度θとの差
d=|θ-β|
を求める。設定案内部31は、この差dが予め定めた限界角度θlimitを下回るとき、または反時計回りでの所定の追い越し条件を満足するとき(θ,β>0かつθ≦βであるとき、あるいは、0>θ>-ΔθかつΔθ>β≧0のとき)には、ユーザの操作に関わらず、選択されたスピーカーアイコンの位置を更新しない。
【0039】
一方、設定案内部31は、この取得した角度αと、選択されたスピーカーアイコンの位置を表す角度θとの差
d=|θ-β|
が、予め定めた限界角度θlimitを下回らず、かつ上記所定の反時計回り追い越し条件を満足しないときには、ユーザの操作に従い、現在の角度θから所定の角度Δθを減算して、選択されたスピーカーのアイコンの位置θをθ←θ-Δθとして更新する。なお、このとき、θ<-180となるときには、設定案内部31は、θ←θ+360度としてさらにθの値を更新する。
【0040】
なお、角度範囲の設定をさらに用いる場合は、設定案内部31は、更新後の角度が角度範囲内にあるか否かを判断し、更新後の角度が対応するスピーカーに関連付けて設定された角度範囲にあるときに限り、更新を行うこととすればよい。また、メニュー選択によりスピーカーの配置位置の角度を入力させる場合には、設定案内部31は、隣接するスピーカーとの角度差が限界角度θlimitを下回り、かつ隣接するスピーカーの位置を飛び越えて移動しない角度をメニューにより案内することとすればよい。
【0041】
音声出力設定情報記録部32は、ユーザが設定案内部31の処理によりスピーカーシステム3が備える各スピーカーの位置を設定する(スピーカーアイコンの位置の調整を終了して「決定」ボタンをクリックするなどする)と次の処理を行う。すなわち音声出力設定情報記録部32は、設定の時点(「例えば決定」ボタンがクリックされた時点)で設定案内部31が受け入れている、スピーカーシステム3の各スピーカーを特定する情報と、対応するスピーカーの位置(基準方向からのユーザから見た角度)の情報とを関連付けて記憶部12に、音声出力設定情報として記録する(図5(a))。なお、既に音声出力設定情報が記憶部12に記録されていたときには、音声出力設定情報記録部32は、当該既に記録されていた音声出力設定情報に上書きして、新たに入力された音声出力設定情報を記録する。
【0042】
設定管理部33は、アプリケーション実行部20から音声出力設定情報の要求を受け入れると、記憶部12に記録されている音声出力設定情報を読み出す。
【0043】
音声出力設定情報提示部34は、設定管理部33が読み出した音声出力設定情報を、アプリケーション実行部20にて実行されているアプリケーションプログラムの処理に供する。このような音声出力設定情報提示部34の処理は、プロセス間通信等の公知の技術を用いて実現できるものであるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0044】
[環境ごとの音声出力設定情報の記録]
なお、情報処理装置1が可搬なものである場合など、情報処理装置1に接続される映像表示装置2やスピーカーシステム3が変化する場合もあり得る。このような場合に、設定を一々行うのではなく、ユーザからスピーカーの位置の設定が行われたときに、映像表示装置2またはスピーカーシステム3を識別する情報に関連付けて、音声出力設定情報を記録することとしてもよい。
【0045】
この例では、音声出力設定情報記録部32は、ユーザが設定案内部31の処理によりスピーカーシステム3が備える各スピーカーの位置を設定する(スピーカーアイコンの位置を調整して「決定」ボタンをクリックするなどする)と、その時点で接続されている映像表示装置2を識別する情報を取得する。この映像表示装置2を識別する情報は例えば、映像表示装置2がHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)により接続されている場合には、HDMIの識別情報(例えばHDMIのEDID)でよい。
【0046】
そして音声出力設定情報記録部32は、設定案内部31が受け入れた、スピーカーシステム3の各スピーカーを特定する情報と、対応するスピーカーの位置(基準方向からのユーザから見た角度)の情報とを関連付けた情報を音声出力設定情報として生成し、当該生成した音声出力設定情報を、当該取得した映像表示装置2を識別する情報に関連付けて記憶部12に記録する(図5(b))。この場合は、音声出力設定情報記録部32は、同じ映像表示装置2を識別する情報に関連付けた音声出力設定情報が既に記録されていたときには、音声出力設定情報記録部32は、当該既に記録されていた音声出力設定情報に上書きして、新たに入力された音声出力設定情報を、取得した映像表示装置2を識別する情報に関連付けて記録する。
【0047】
また音声出力設定情報記録部32は、取得した映像表示装置2を識別する情報とは異なる映像表示装置2を識別する情報に関連付けられた音声出力設定情報が既に記録されていた場合には、当該音声出力設定情報を上書きすることなく新たに、入力された音声出力設定情報を、取得した映像表示装置2を識別する情報に関連付けて記録する。
【0048】
そしてこの例では、設定管理部33は、要求受入手段として動作し、アプリケーション実行部20から音声出力設定情報の要求を受け入れると、当該要求を受け入れたときに接続されている映像表示装置2を識別する情報を取得する。ここで取得する映像表示装置2を識別する情報は、音声出力設定情報記録部32が取得するものと同じものとする。
【0049】
設定管理部33は、当該取得した映像表示装置2を識別する情報に関連付けて、記憶部12に記録されている音声出力設定情報を読み出す。
【0050】
そして音声出力設定情報提示部34は、設定管理部33が読み出した音声出力設定情報を、アプリケーション実行部20にて実行されているアプリケーションプログラムの処理に供する。
【0051】
このようにすると、情報処理装置1は、接続される映像表示装置2ごとに、対応して設置されているスピーカーシステム3のスピーカーの配置の設定を記録しておくことができる。そして情報処理装置1は、アプリケーションプログラムの処理に、当該映像表示装置2に対応するスピーカーの配置の設定を利用できる。
【0052】
なお、ここでは映像表示装置2を識別する情報に関連付けて記録する例について説明したが、音声出力設定情報記録部32や設定管理部33が取得する情報は、映像表示装置2を識別する情報ではなく、スピーカーシステム3を識別する情報であってもよい。
【0053】
[初期値]
また設定案内部31は、ユーザが音声出力設定を行う旨の操作を行い、音声出力設定画面を表示する際に、記憶部12に音声出力設定情報が記録されているか否かを調べる。ここで、記憶部12に音声出力設定情報が記録されていたときには、設定案内部31は、当該記憶されていた音声出力設定情報を読み出して、音声出力設定画面に表示する各スピーカーの初期の位置を、当該読み出した音声出力設定情報で設定されている、対応するスピーカーの位置とする。
【0054】
一方、記憶部12に音声出力設定情報が記録されていなければ、設定案内部31は、予め定められたデフォルト値を設定する。ここでデフォルト値は、標準規格や各メーカーで定められた値を採用してよい。
【0055】
また音声出力設定情報が情報処理装置1に接続される映像表示装置2やスピーカーシステム3を識別する情報に関連付けて記録されている場合は、設定案内部31は、音声出力設定画面を表示する際に接続されている映像表示装置2(またはスピーカーシステム3)を識別する情報を取得し、当該取得した情報に関連付けられた音声出力設定情報が記憶部12に記録されているか否かを調べることとすればよい。
【0056】
そして記憶部12に、上記取得した情報に関連付けられた音声出力設定情報が記録されていたときには、設定案内部31は、当該音声出力設定情報を読み出して、音声出力設定画面に表示する各スピーカーの初期の位置を、当該読み出した音声出力設定情報で設定されている、対応するスピーカーの位置とする。また、上記取得した情報に関連付けられた音声出力設定情報が記録されていなければ、設定案内部31は、予め定められたデフォルト値を設定すればよい。
【0057】
また設定管理部33も、アプリケーション実行部20から音声出力設定情報の要求を受けたときに、記憶部12に音声出力設定情報が記録されていなければ(あるいは、その時点で接続されている映像表示装置2等を識別する情報に関連付けられた音声出力設定情報が記録されていなければ)、設定案内部31は、予め定められたデフォルト値を出力することとしてもよい。
【0058】
[動作]
本実施の形態の情報処理装置1は、基本的に以上の構成を備えており、次の例のように動作する。なお、以下の例では、情報処理装置1のユーザは、リビングと寝室との間で情報処理装置1を持ち運んで、それぞれの場所で利用するものとする。ここで、リビングには、7.1chのスピーカーシステム(7つのスピーカーを含む)3a及び、映像表示装置2aとしての家庭用テレビ装置が配されているものとする。また寝室には、2chのスピーカーシステム(2つのスピーカーを含む)3b及び、映像表示装置2bとしてのモニタが配されているものとする。
【0059】
ユーザがリビングに情報処理装置1を置いて、7.1chのスピーカーシステム3aと映像表示装置2aとに接続する。ここでユーザが情報処理装置1を操作してシステム上の音声設定の指示を行うと、情報処理装置1は、音声設定のメニュー一覧を、映像表示装置2aに表示する。
【0060】
ユーザがコントローラ4を操作して、このメニュー一覧から、スピーカーの位置を設定する音声出力設定の項目を選択して、設定を行う旨の操作を行うと、情報処理装置1は、音声出力設定画面を表示する。
【0061】
ユーザはこの画面において、スピーカーの数が「7」である旨の入力を行う。すると情報処理装置1が表示する音声出力設定画面は図3に例示したような状態となる。そしてユーザは、さらに音声出力設定画面上に示されたユーザの位置(U)と映像表示装置2の位置(D)とを参考に、このユーザの位置(U)から映像表示装置2の位置(D)の方向を、ユーザから見た基準方向として、この基準方向からの円周(C)上の点の角度によってスピーカーシステム3aが備える各スピーカーが配置されている角度の方向を、上記円(C)上で対応するスピーカーアイコンを移動して設定する。
【0062】
例えば、リビングの家具等の配置の関係から、ユーザの位置から見て、サラウンドレフトスピーカーSSLが、標準的な角度よりもやや後ろ寄りの角度にある場合、ユーザは、サラウンドレフトスピーカーに対応するスピーカーのアイコンSSLを選択して、反時計回りに移動するよう、コントローラ4を操作して指示する。なお、ここでの例では、説明のため当初サラウンドレフトスピーカーSSLの位置が-90度であり、サラウンドバックレフトスピーカーSSBLの位置が-120度であるとする。
【0063】
ユーザが選択したスピーカーアイコンSSLを反時計回り方向に移動する操作を行うと、情報処理装置1は、当該選択したスピーカーの現在の位置-90度に対し、移動後の角度を-90-Δθ度(例えばΔθ=5とすると、-95度)として求め、この移動後の角度が、当該選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内にあるか否かを調べる。
【0064】
ここで、サラウンドレフトスピーカーSSLに関連付けて予め定められた角度範囲が、-120度以上-80度以下であれば、求めた-95度はこの角度範囲にあることになる。そこで情報処理装置1は、さらに、サラウンドレフトスピーカーSSLの反時計回り方向(移動させている方向)に隣接するスピーカーであるサラウンドバックレフトスピーカーSSBLの位置と、サラウンドレフトスピーカーSSLのアイコンの移動後の位置との差を求める。ここではその差(の絶対値)は、|-120-(-95)|=25(ここで|x|はxの絶対値を意味する)となる。情報処理装置1は、この差が予め定めた限界角度θlimit(例えばθlimit=5とする)より大きいので、サラウンドレフトスピーカーSSLの位置を、上記の方法で求めた-95度に設定して、音声出力設定画面上のサラウンドレフトスピーカーSSLのアイコンの表示位置を更新する。
【0065】
さらにユーザがサラウンドレフトスピーカーSSLを反時計回りに移動する操作を繰り返してその位置を角度-110度まで移動したとする。この後でユーザがさらに反時計回りに移動する操作を行うと、情報処理装置1は、移動後の角度を-110-Δθ度(Δθ=5のとき-115度)として求める。そして情報処理装置1は、この移動後の角度が、当該選択したスピーカーに関連付けられた角度範囲内にあるか否かを調べる。このとき-115度は、対応するサラウンドレフトスピーカーSSLについて設定された角度範囲(-120度以上-80度以下)にあることとなる。、そこで情報処理装置1は、さらに、サラウンドレフトスピーカーSSLの反時計回り方向(移動させている方向)に隣接するスピーカーであるサラウンドバックレフトスピーカーSSBLの位置と、サラウンドレフトスピーカーSSLのアイコンの移動後の位置との差を求める。
【0066】
ここで上記差は、|-120-(-115)|=5となる。情報処理装置1は、この差が予め定めた限界角度θlimit(例えばθlimit=5とする)以下となるので、ユーザの操作に関わらず、サラウンドレフトスピーカーSSLの位置を変更しない。つまり、音声出力設定画面上のサラウンドレフトスピーカーSSLの位置は、-110度の位置にとどまる。
【0067】
ここでユーザが設定を完了する旨の指示を行うと、情報処理装置1は、その時点で接続されている映像表示装置2aを識別する情報として例えばHDMIの識別情報(例えばHDMIのEDID)を取得する。
【0068】
そして情報処理装置1は、ユーザから受け入れた、スピーカーシステム3の各スピーカーを特定する情報と、対応するスピーカーの位置(基準方向からのユーザから見た角度)の情報とを関連付けた情報を音声出力設定情報として生成し、当該生成した音声出力設定情報を、上記取得した映像表示装置2aのEDIDに関連付けて記憶部12に記録する。ここでは、映像表示装置2aのEDIDに関連付けて、
フロントレフトスピーカーが-30度、
フロントライトスピーカーが+30度、
サラウンドレフトスピーカーが(上記のように移動されているので-110度)、
サラウンドライトスピーカーが+90度、
サラウンドバックレフトスピーカーが-120度、
サラウンドバックライトスピーカーが+120度、
センタースピーカーが0度
との音声出力設定情報が記録される。
【0069】
この状態でユーザがゲームアプリケーションを起動すると、情報処理装置1が当該ゲームアプリケーションの処理を開始する。そして当該ゲームアプリケーションが音声出力設定情報をシステムに要求すると、情報処理装置1は、この時点で接続されている映像表示装置2aを識別する情報としてHDMIのEDIDを取得する。
【0070】
そして情報処理装置1は、記憶部12に、当該取得した映像表示装置2aのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報が格納されているか否かを調べる。ここでは上述のように、映像表示装置2aのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報が格納されているので、情報処理装置1は、当該音声出力設定情報を読み出して、ゲームアプリケーションの処理に用いる。ここでゲームアプリケーションが、この音声出力設定情報をどのように利用するかは問わないが、例えばスピーカーの配置に合わせて音声信号を補正し、音場を調整する処理など広く知られた処理に供することとしてよい。
【0071】
その後ユーザが情報処理装置1を、寝室に運び、2chのスピーカーシステム(2つのスピーカーを含む)3bと、映像表示装置2bとしてのモニタに接続する。そしてユーザがゲームアプリケーションを起動すると、情報処理装置1は当該ゲームアプリケーションの処理を開始する。そして当該ゲームアプリケーションの処理に従い、音声出力設定情報をシステムに要求すると、情報処理装置1は、この時点で接続されている映像表示装置2bを識別する情報としてHDMIのEDIDを取得する。
【0072】
そして情報処理装置1は、記憶部12に、当該取得した映像表示装置2bのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報が格納されているか否かを調べる。ここでは映像表示装置2bのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報が格納されていないものとする。この場合、情報処理装置1は、デフォルトの音声出力設定情報を、ゲームアプリケーションの処理に用いる。このデフォルトの音声出力設定情報は、例えばスピーカーの数が「2」であり、フロントレフトとフロントライトのそれぞれのスピーカーの位置が-30度と、+30度となっているものとする。ゲームアプリケーションは、例えばこのデフォルトの音声出力設定情報が表すスピーカーの位置の情報を、音声信号を補正し、音場を調整する処理などに供する。
【0073】
ここでユーザがコントローラ4を操作して、このメニュー一覧から、スピーカーの位置を設定する音声出力設定の項目を選択して、設定を行う旨の操作を行うと、情報処理装置1は、音声出力設定画面を表示する。このとき情報処理装置1は、この時点で接続されている映像表示装置2bのEDIDを取得し、当該取得した映像表示装置2bのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報が格納されているか否かを調べる。そして映像表示装置2bのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報が格納されていないので、デフォルトの音声出力設定情報を用いて音声出力設定画面を表示する。
【0074】
さらにユーザはこの画面において、スピーカーの数が「2」である旨の入力を行う(あるいはデフォルトでスピーカーの数が「2」となっていればそのまま以下の設定を行う)。情報処理装置1は、スピーカーの数「2」に対応する音声出力設定画面を表示する。これにより情報処理装置1が表示する画面は図6(a)に例示したような状態となる。なお、スピーカーの数「5」に対応する音声出力設定画面の例は図6(b)に例示したようなものとなる。
【0075】
ユーザは、この音声出力設定画面上に示されたユーザの位置(U)と映像表示装置2の位置(D)とを参考に設定を行う。例えばユーザは、ユーザの位置(U)から映像表示装置2の位置(D)の方向を、ユーザから見た基準方向とする。そしてユーザは、当該基準方向からの円周(C)上の点の角度によってスピーカーシステム3bが備える2つのスピーカーが配置されている角度の方向を、上記円(C)上で対応するスピーカーアイコンを移動して設定する。
【0076】
ここではユーザがフロントレフトスピーカーの位置を角度で-25度、フロントライトスピーカーの位置を角度で+35度と設定したものとする。
【0077】
情報処理装置1は、スピーカーシステム3の各スピーカーを特定する情報と、ユーザが入力した、対応するスピーカーの位置(基準方向からのユーザから見た角度)の情報とを関連付けた情報を音声出力設定情報として生成し、当該生成した音声出力設定情報を、上記取得した映像表示装置2bのEDIDに関連付けて記憶部12に記録する。ここでは、映像表示装置2bのEDIDに関連付けて、
フロントレフトスピーカーが-25度、
フロントライトスピーカーが+35度、
との音声出力設定情報が記録される。この音声出力設定情報は、映像表示装置2aのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報とは別に記憶部12に格納される。
【0078】
そしてこの後は、ゲームアプリケーション等からの要求に応じて、この音声出力設定情報が読み出されることとなるので、ユーザが設定した音声出力設定情報が表すスピーカーの位置の情報が、音声信号を補正し、音場を調整する処理などに供されることとなる。
【0079】
このような情報処理装置1の例によると、ユーザがリビングの映像表示装置2aに情報処理装置1を接続してゲームアプリケーションを起動したときには、映像表示装置2aのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報がゲームアプリケーションの処理に供され、また、ユーザが寝室の映像表示装置2bに情報処理装置1を接続してゲームアプリケーションを起動したときには、映像表示装置2bのEDIDに関連付けられた音声出力設定情報がゲームアプリケーションの処理に供されることとなる。
【0080】
[遠隔からの制御]
さらに本実施の形態の情報処理装置1は、ネットワークを介して、ユーザが使用するスマートフォンや、PC、他の情報処理装置1等(以下、まとめて端末装置とする。すなわちここではアプリケーションプログラムを実行する側を情報処理装置1とし、アプリケーションプログラムによって生成された音声信号や画像情報を受信して、ユーザに出力する側の装置を端末装置とする)から制御されてもよい。この例では、情報処理装置1は、端末装置側に接続された映像表示装置の情報(画面のサイズや比率など)の情報を得て、端末装置側の映像表示装置の情報に基づいて画面をレンダリングした情報(画面情報)を生成して端末装置側へ送出する。
【0081】
そして端末装置側ではこの画面情報を受信して、接続されている映像表示装置に表示出力する。この映像表示装置は、端末装置がスマートフォンであれば、スマートフォンが備える画面でよい。また端末装置がPCや、他の情報処理装置1であれば、接続されたモニタなどが、端末装置に接続されている映像表示装置に相当する。
【0082】
この例では、情報処理装置1が設定案内部31や設定管理部33の動作として、接続されている映像表示装置2またはスピーカーシステム3を識別する情報を取得する際に、ユーザが用いている、端末装置に接続された映像表示装置2またはスピーカーシステム3を識別する情報を取得することとする。
【0083】
そして当該取得した情報が予め定めた条件を満足しているときには、スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す情報として、予め定められた情報を利用することとし、上記条件を満足しない場合には、取得した情報に関連付けて記録されている音声出力設定情報を出力することとする。
【0084】
ここで条件としては、情報処理装置1に直接接続されていない映像表示装置2またはスピーカーシステム3であるか否かの条件であるものとする。すなわち情報処理装置1は、ユーザが用いている映像表示装置2またはスピーカーシステム3を識別する情報を取得したときに、当該情報が表す映像表示装置2またはスピーカーシステム3が情報処理装置1に直接接続されていない場合(ユーザが端末装置を用いてネットワークを介して情報処理装置1にアクセスしている場合)は、スピーカーシステムが備える各スピーカーの方向を表す音声出力設定情報として、予め定められたデフォルトの情報を利用する。ここでデフォルトの情報は、2つのスピーカーを備えるスピーカーシステムについての設定であり、フロントレフト、フロントライトのスピーカーの位置がそれぞれ-30度、+30度である設定とする。
【0085】
また情報処理装置1は、ユーザが用いている映像表示装置2またはスピーカーシステム3を識別する情報を取得したときに、当該情報が表す映像表示装置2またはスピーカーシステム3が情報処理装置1に直接接続されていたときには、取得した情報に関連付けて記録された音声出力設定情報を用いた処理が行われる(取得した情報に関連付けて記録された音声出力設定情報がない場合はデフォルトの情報が用いられる)。
【0086】
さらに別の態様では、情報処理装置1は、ユーザが用いている映像表示装置2またはスピーカーシステム3を識別する情報を取得したときに、当該取得した情報に関連付けて記録された音声出力設定情報が記憶部12に格納されていれば、ユーザが用いている映像表示装置2またはスピーカーシステム3が直接接続されているか否かに関わらず、取得した情報に関連付けて記録された音声出力設定情報を用いた処理を行うこととしてもよい。
【0087】
この別の態様では、過去に情報処理装置1が接続され、ユーザがそのスピーカーシステム3のスピーカーの位置を設定した映像表示装置2及びスピーカーシステム3に端末装置が接続されている場合に、情報処理装置1が、当該端末装置に接続された映像表示装置2やスピーカーシステム3の識別する情報に基づいて対応するスピーカーの位置の設定を表す音声出力設定情報を得る。この例では、情報処理装置1は、端末装置に対して、当該端末装置に接続された映像表示装置2やスピーカーシステム3の識別する情報に関連付けて記録された音声出力設定情報を用いて処理した音声信号を送出する。
【0088】
[端末装置が音声出力設定情報を備える場合]
また、端末装置が、本実施の形態の情報処理装置1の設定案内部31と、音声出力設定情報記録部32と、設定管理部33と、音声出力設定情報提示部34としての動作を行うよう構成されている場合は次のように処理が行われてもよい。この例では、端末装置は、ユーザからの指示により、端末装置に接続されているスピーカーシステム3が備える各スピーカーの位置を表す音声出力設定情報を生成して保持しておく。
【0089】
そして端末装置は、図7に例示するように、情報処理装置1にアクセスする際に、自己に接続されているスピーカーシステム3に対応する音声出力設定情報を、情報処理装置1に送出する(S11)。
【0090】
この例では、情報処理装置1は、端末装置から音声出力設定情報(ユーザの向きに対する各スピーカーの方向を表す情報)の入力を受け入れることとなる。そしてこのとき情報処理装置1は、情報処理装置1の記憶部12に格納されている音声出力設定情報に代えて、当該端末装置から入力を受けた音声出力設定情報を用いて、音声信号の処理などを行う(S12)。そして情報処理装置1は、当隊処理した音声信号や、端末装置に接続された映像表示装置2に対応する画面情報を端末装置に送出し(S13)、端末装置に接続されたスピーカーシステム3により当該音声信号を鳴動させ、また、画面情報を映像表示装置2に出力させる(S14)。
【0091】
なお端末装置を用いる例では、ユーザは、この端末装置に接続されたコントローラにより操作を行い、当該操作の内容を表す情報は、ユーザの選択により端末装置自身に処理されるか、または情報処理装置1に送出されることとなる。
【0092】
[実施形態の効果]
このように、本実施の形態によると、ユーザのスピーカーの配置位置の情報を取得し、提供できる。
【符号の説明】
【0093】
1 情報処理装置、2 映像表示装置、3 スピーカーシステム、4 コントローラ、11 制御部、12 記憶部、13 操作制御部、14 出力制御部、15 通信部、20 アプリケーション実行部、30 システム処理部、31 設定案内部、32 音声出力設定情報記録部、33 設定管理部、34 音声出力設定情報提示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7