IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インクの特許一覧

特許7526286遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント
<>
  • 特許-遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント 図1
  • 特許-遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント 図2
  • 特許-遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント 図3
  • 特許-遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント 図4
  • 特許-遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント 図5
  • 特許-遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】遅延フィードバックを用いた対話型ビームアライメント
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20240724BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240724BHJP
【FI】
H04B7/06 956
H04B7/06 150
H04W16/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022572537
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021034531
(87)【国際公開番号】W WO2021243030
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】63/031,143
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/062,542
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/331,078
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/094,927
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ホジャステポウル、 モハンマド
(72)【発明者】
【氏名】シャウサヴァリ、 シャウラム
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/027548(WO,A1)
【文献】SHAHSAVARI, Shahram, et al.,Beam Training Optimization in Millimeter-wave Systems under Beamwidth, Modulation and Coding Constraints,2019 IEEE 30th Annual International Symposium on Personal, Indoor and Mobile RadioCommunications (PIMRC),IEEE,2019年11月21日,pp.1-7,<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/8904251>,<DOI: 10.1109/PIMRC.2019.8904251>
【文献】KHALILI, Abbas, et al.,On Optimal Multi-user Beam Alignment in Millimeter Wave Wireless Systems,arXiv:2001.06595v1 [cs.IT],2020年01月18日,pp.1-6,<https://arxiv.org/abs/2001.06595v1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04W 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信するための方法であって、
走査ビームのセットから選択された第1の走査ビームを用いて第1のプローブパケットを送信し(406)、
前記第1のプローブパケットに関するフィードバックを決定し(408)、
前記第1のプローブパケットに関する前記決定したフィードバックに基づいて、前記走査ビームのセットから選択された第2の走査ビームを用いて第2のプローブパケットを送信し(414)、
前記第2のプローブパケットに関するフィードバックを決定し(408)、
前記走査ビームのセットと、前記第1のプローブパケット及び前記第2のプローブパケットに関する受信したフィードバックとに基づいて、データ送信ビームを決定し(416)、
前記決定した送信ビームにしたがって構成されたアンテナを用いてデータを送信(504)
前記データ送信ビームは、互いに素な複数の角度区間をカバーする合成ビームである、方法。
【請求項2】
前記走査ビームのセットにおける前記走査ビームの各々は、連続するメインローブのセットからのそれぞれの単一の連続するメインローブに対応する角度範囲の区間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプローブパケットに関するフィードバック及び前記第2のプローブパケットに関するフィードバックは、特定の時間区間及びフィードバックパケット情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データを送信することは、互いに素な角度区間内の送信電力よりも、互いに素な角度区間外の角度で低い送信電力を含む放射パターンで送信することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記走査ビームのセットは、前記データ送信ビームのカバレッジ区間のサイズの測度を最小化するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記走査ビームのセットは、前記アンテナと受信局との間の通信チャネルに関する事前の知識に基づいて構成される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記走査ビームは、前記通信チャネルの変化を追跡するように構成される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のプローブパケットに関するフィードバック及び前記第2のプローブパケットに関するフィードバックは、前記アンテナと受信局との間のチャネルの属性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のプローブパケットに関するフィードバック及び前記第2のプローブパケットに関するフィードバックは、遅延パラメータによって特徴付けられる遅延の後に受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプローブパケット及び前記第2のプローブパケットに関するフィードバックを決定することは、フィードバックが遅延区間後に受信されたか否かを判定し、肯定応答が受信されたという判定に応答して第1のビットを設定し、肯定応答が受信されないという判定に応答して第2のビットを設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
データを送信するための方法であって、
走査ビームのセットから選択された、それぞれの第1の走査ビームを用いて複数のプローブパケットを送信し(406)、
非ゼロ遅延区間が経過した後、前記複数のプローブパケットの第1のプローブパケットに関するフィードバックを決定し(408)、
前記第1のプローブパケットに関して決定したフィードバックに基づいて前記走査ビームのセットから選択された第2の走査ビームを用いて第2のプローブパケットを送信し(414)、
前記第2のプローブパケット及び前記複数のプローブパケットの残りに関するフィードバックを決定し(408)
前記走査ビームのセットと、前記第1のプローブパケット、前記第2のプローブパケット及び前記複数のプローブパケットの残りに関して受信したフィードバックとに基づいて、データ送信ビームを決定し(416)、
前記データ送信ビームにしたがってフェーズドアレイアンテナを構成し(02)、
前記構成されたフェーズドアレイアンテナを用いてデータを送信(504)
前記データ送信ビームは、互いに素な複数の角度区間をカバーする合成ビームである、方法。
【請求項12】
前記第1のプローブパケット及び前記第2のプローブパケットに関するフィードバックを決定することは、フィードバックが遅延区間後に受信されたか否かを判定し、肯定応答が受信されたという判定に応答して第1のビットを設定し、肯定応答が受信されないという判定に応答して第2のビットを設定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記走査ビームのセットは、前記アンテナと受信局との間の通信チャネルに関する事前の知識に基づいて構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
データを送信するための方法であって、
走査ビームのセットから選択されたそれぞれの第1の走査ビームを用いて複数のプローブパケットを送信し(406)、
非ゼロ遅延区間が経過した後に、フィードバックが遅延区間後に受信されたか否かを判定し、肯定応答が受信されたという判定に応答して第1のビットを設定し、肯定応答が受信されないという判定に応答して第2のビットを設定することで、複数のプローブパケットの第1のプローブパケットに関するフィードバックを決定し(408)、
前記第1のプローブパケットに関して決定したフィードバックに基づいて前記走査ビームのセットから選択された第2の走査ビームを用いて第2のプローブパケットを送信し(414)、
前記第2のプローブパケット及び前記複数のプローブパケットの残りに関するフィードバックを決定し(408)、
前記走査ビームのセットと、前記第1のプローブパケット、前記第2のプローブパケット及び前記複数のプローブパケットの残りに関して受信したフィードバックとに基づいて、データ送信ビームを決定し(416)、
前記走査ビームのセットが、フェーズドアレイアンテナと受信局との間の通信チャネルに関する事前の知識に基づいて構成され、前記データ送信ビームにしたがって前記フェーズドアレイアンテナを構成し(502)、
前記構成されたフェーズドアレイアンテナを用いてデータを送信(504)
前記データ送信ビームは、互いに素な複数の角度区間をカバーする合成ビームである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2021年5月26日に出願された米国特許出願第17/331,078号、2020年5月28日に出願された米国仮特許出願第63/031,143号、2020年8月7日に出願された米国仮特許出願第63/062,542号及び2020年10月22日に出願された米国仮特許出願第63/094,927号を基礎とする優先権を主張し、それぞれの開示の全てをここに取り込む。
【0002】
この出願は、代理人整理番号20017Bの「遅延フィードバックを伴う対話型ビームアライメントシステム」と称する出願に関連し、その開示の全てをここに取り込む。
【0003】
本発明は、フェーズドアレイアンテナシステムに関し、より詳細には、遅延フィードバックを用いてビームパターンの方向及び幅を調整することに関する。
【背景技術】
【0004】
対話型ビームアライメントを実行するために、基地局は受信局からフィードバックを受信する。このフィードバックを用いて、ビームパターンを受信局に正確に集中させることができる。これにより、受信局が空間を移動する場合でも、受信局にサービスを提供できる。
【発明の概要】
【0005】
データを送信するための方法は、走査ビームのセットから選択された第1の走査ビームを用いて第1のプローブパケットを送信することを含む。第1のプローブパケットに関するフィードバックが決定される。第2のプローブパケットは、第1のプローブパケットに関して決定したフィードバックに基づいて走査ビームのセットから選択された第2の走査ビームを用いて送信される。第2のプローブパケットに関するフィードバックが決定される。データ送信ビームは、走査ビームのセットと、第1のプローブパケット及び第2のプローブパケットに関する受信したフィードバックとに基づいて決定される。データは、決定した送信ビームにしたがって構成されたアンテナを用いて送信する。
【0006】
データを送信するための方法は、走査ビームのセットから選択された、それぞれの第1の走査ビームを用いて複数のプローブパケットを送信することを含む。複数のプローブパケットの第1のプローブパケットに関するフィードバックは、非ゼロ遅延区間が経過した後に決定される。第2のプローブパケットは、第1のプローブパケットに関して決定したフィードバックに基づいて走査ビームのセットから選択された第2の走査ビームを用いて送信される。第2のプローブパケット及び複数のプローブパケットの残りに関するフィードバックが決定される。データ送信ビームは、走査ビームのセットと、第1のプローブパケット、第2のプローブパケット及び残りのプローブパケットに関する受信したフィードバックとに基づいて決定される。フェーズドアレイアンテナは、データ送信ビームにしたがって構成される。データは、構成されたフェーズドアレイアンテナを用いて送信される。
【0007】
データを送信するための方法は、走査ビームのセットから選択されたそれぞれの第1の走査ビームを用いてプローブパケットを送信することを含む。プローブパケットの第1のプローブパケットに関するフィードバックは、非ゼロ遅延区間が経過した後に、フィードバックが遅延区間後に受信されたか否かを判定し、肯定応答が受信されたという判定に応答して第1のビットを設定し、肯定応答が受信されないという判定に応答して第2のビットを設定することで決定される。第2のプローブパケットは、第1のプローブパケットに関して決定したフィードバックに基づいて走査ビームのセットから選択された第2の走査ビームを用いて送信される。第2のプローブパケット及び複数のプローブパケットの残りに関するフィードバックが決定される。データ送信ビームは、走査ビームのセットと、第1のプローブパケット、第2のプローブパケット及び複数のプローブパケットの残りに関して受信したフィードバックとに基づいて決定される。フェーズドアレイアンテナは、データ送信ビームにしたがって構成される。走査ビームのセットは、フェーズドアレイアンテナと受信局との間の通信チャネルに関する事前の知識に基づいて構成される。データは、構成されたフェーズドアレイアンテナを用いて送信される。
【0008】
これら及び他の特徴並びに利点は、以下の典型的な実施形態の詳細な説明を添付の図面と併せて読むことで明らかになるであろう。
【0009】
本開示では、後述するように、以下の図面を参照しながら好ましい実施形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態による、ビームステアリングを用いて情報を受信局に向ける、該受信局と通信する基地局を含む、通信システムのブロック図である。
【0011】
図2図2は、本発明の一実施形態による、プローブパケットが送信される期間、遅延区間及びデータ送信区間を示すコヒーレンス区間のタイムラインを示す図である。
【0012】
図3図3は、本発明の一実施形態による、走査ビームの選択を示す図である。
【0013】
図4図4は、本発明の一実施形態による、パケットをプロービングするためのフィードバックを受信する際の遅延を含むシステムにおけるデータ送信ビームを選択する方法を示すブロック/流れ図である。
【0014】
図5図5は、本発明の一実施形態による、コヒーレンス区間中にビームアライメント及びデータ送信を実行する方法のブロック/フロー図である。
【0015】
図6図6は、本発明の一実施形態による、関連する遅延を有するプローブパケットを用いてビームアライメントを実行する基地局のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
現実的なシナリオにおいて、対話型のビームアライメントは、フィードバックの配信に遅延がある環境及び受信局において実行される。フィードバックの遅延は、受信局と基地局の処理遅延、伝播遅延及び通信プロトコルの構成に起因して1つのタイムスロットよりも大きくなる場合があり、受信局は特定のタイムスロットでのみ送信を許可される場合がある。これらの遅延を考慮することで、パフォーマンスを大幅に改善できる。例えば、遅延時間を積極的に利用して追加の走査を実行できる。
【0017】
ここで図1を参照すると、図1には、単一の基地局102が単一の受信局104と通信する送信シナリオが示されている。基地局102は、ビームステアリングを可能にするフェーズドアレイアンテナシステム101を有し、受信局104は、例えば無指向性の送信及び受信パターンを提供する任意の適切なアンテナシステムを有することができる。ビームアライメント中、基地局102は、受信局104に対する電波発射角度108を含むビーム106の不確定領域の幅を最小化しようと試みる。これは、フェーズドアレイアンテナシステム101の通常の角度に関連して測定できる。
【0018】
基地局102にはビームアライメントのために合計でb個のパケットが与えられ、送信されたビームアライメントパケット毎のフィードバックがdタイムスロットの遅延で受信されると仮定できる。例えば、第1のビームアライメントパケットに対応するフィードバックは、タイムスロット1+dで受信される。この策定は、対話型(d=1)と非対話型
【数1】
の両方のシナリオに対応できる。受信局104で受信されたパケット及び基地局102におけるそれらに対応するフィードバックは、エラーが無いと仮定できる。走査ビームについて2つのケースが考えられる。第1のケースでは、基地局102は任意の形状のビームを使用できるが、第2のケースでは、基地局102は連続するビームのみを使用するように制限される。
【0019】
連続する走査ビームの場合、最適な走査ビームを見つける問題は、2つのサブタスクに分けることができる。まず最適なdユニモーダルコードブックを決定し、続いて角度区間の最適なセットを決定する。コードブックと組み合わせると、角度区間は最適な走査ビームのセットを提供する。dユニモーダルコードブックは、最適なビームアライメントプロセスに向けた基本的な結果を提供し、可能なデータ送信ビーム数を最大化する必要があることを示している。閉じた形式の式を以下で示す。これらの分析に基づいて、連続する走査ビームの場合の最適な走査ビーム(d>1の場合)は、最適なデータ送信ビームが連続していることを示す、連続する不確定領域を提供する。
【0020】
以下の例において、基地局102及び受信局104は、約30GHzと約300GHzとの間の例示的な周波数で、ミリメートルスケールの波長を用いて送信できる。但し、本原理は、任意の適切な周波数で送信するシステムを含むことを理解されたい。さらに、便宜上、単一の基地局102及び単一の受信局104のみで議論するが、任意の適切な数の基地局102が所与のネットワークにおいて実装されること、並びに所与の基地局102に関連付けられる、任意の適切な数の移動局104が実装されると理解されるべきである。さらに、1つの電波発射角度108のみが示されるが、複数の実現可能な角度が利用可能であることを理解されたい。
【0021】
フェーズドアレイアンテナシステム101は、アンテナ素子のアレイを含み、アンテナ素子の各々は、アンテナ素子の各々に関して選択的に増幅及び位相シフトを提供する個別の伝送経路を有することができる。各要素の位相を選択することで、要素の放射間の干渉を選択して、ビーム経路に沿って強め合う干渉を提供し、非ビーム経路に沿って弱め合う干渉を提供することが可能であり、それによって受信局104に至る経路上で送信信号の効果的な増幅を提供する。このようにして、空間多重化を達成され、それによって独立したチャネルを特定のユーザに送信することが可能であり、使用される他のものとの干渉を低減できる。
【0022】
ビーム106は、一定のメインローブ利得とメインローブでカバーされる角度区間の和集合である角度範囲領域とを有する、扇型アンテナモデルを用いてモデル化される。サイドローブの影響は無視できる。他のモデルは、ビームパターンのロールオフが急峻ではない実際のシナリオに使用できる。
【0023】
ここで図2を参照すると、図2には、T個のタイムスロットtを含むコヒーレンス区間202を有するタイムスロット伝送システム200が示されている。受信局104は、各コヒーレンス区間202の間で静止していてもよい。コヒーレンス区間202は、プロービング段階204、待機段階206及び送信段階208を含む3つの段階を含む。
【0024】
プロービング段階204の間、基地局102は、b個のタイムスロットを用いてプローブパケットを異なる方向に送信することで角度空間を走査できる。方向をプローブする順序は、先のコヒーレンス区間202において、先のプローブパックに対するフィードバックの影響を受ける可能性がある。例えば、受信局104が、先のコヒーレンス区間においてΨの電波発射角度108に位置していた場合、基地局102は、角度Ψ±aをプローブすることで開始できる。ここで、aは、先の角度の周囲の小さな角度範囲である。
【0025】
したがって、基地局102は、時刻t={1,...,b}にてプローブパケットを送信できる。各プローブパケットを受信すると、受信局104はフィードバックパケットを送信できる。フィードバックパケットには、識別シリアル番号及び受信信号強度等の情報を含むことができる。このフィードバックパケットは、例えば基地局102及び受信局104で発生する可能性がある処理遅延に起因する、最大でd時間ステップの遅延の後、基地局102で受信される。簡単にするために、遅延はd時間ステップで固定されていると仮定してもよい。遅延dの事前の知識がない場合、または値が変化する場合、dに上限を設定し、該上限に基づいて走査ビームを設計できる。但し、これにより最適な走査が行われない可能性がある。個別のフィードバックチャネルが無い場合、基地局102は、チャネルに従い、その走査ビームに対応するフィードバックを受信するために、先の走査ビームに戻る必要がある。
【0026】
待機段階206の間、基地局102は、全てのプローブパケットに関するフィードバックを得るために、d個のタイムスロットで待機する。これらのdタイムスロットは、ビームアライメントが先に実行した任意の受信局104に対するデータ送信に用いることが可能である、あるいはブロードキャスト、マルチキャストまたは任意の他のタイプの送信等、他の目的に用いることができる。最後のプローブパケットに関するユーザフィードバックを受信した後、またはそのようなフィードバックがdタイムスロット内で受信していないと判定した後、基地局102は、フィードバックシーケンスを処理し、送信段階208のT-b-dのタイムスロット中に使用されるビーム106を調整できる。これらのステップは、次のコヒーレンス区間202で繰り返される。
【0027】
非対話型ビームアライメントは、
【数2】
である、このプロセスの特殊なケースである。この場合、受信局104は、プロービング段階204の間、プローブパケットのいずれにも応答しない。これは、基地局がフィードバックの利益無しに走査を実行することを意味する。d=1の場合、フィードバックは、1つのタイムスロットの後、例えば、プローブパケットを送信した後の次のタイムスロットで受信される。
【0028】
Ψを基地局102から受信局104に対するチャネルの空間クラスタの電波発射角度108とすると、確率分布関数
【数3】
を決定できる。ここで、ψはフェーズドアレイアンテナシステム101の通常時からの角度である。この分布は、電波発射角度108に関する事前の知識を反映しており、これは先にローカライズされた電波発射角度に対応する。
【0029】
b、d及び
【数4】
が与えられると、電波発射角度108に関する不確定領域の幅を最小化できる。これは、プローブ期間204で使用される走査方策によって直接影響を受ける。プローブビームの選択方策は、走査ビームセットSが与えられると、受信したフィードバックシーケンスに基づいて走査ビームを選択し、次のビームアライメントパケットを送信するマッピングとして定義できる。階層型走査ビームセットは、
【数5】
として定義することが可能であり、受信局の電波発射角度108、ビームアライメントパケットの数b及び遅延dで表す、ランダム変数Ψの分布に基づいて設計できる。i番目のタイムスロットでのプローブビームの選択方策は、セットSiにおける走査ビームの1つを選択する。
【数6】
の場合、フィードバックは受信されず、Mi=1である。i>dの場合、受信したフィードバックシーケンスには複数の可能性があるため、Mi>1である。各レベルで可能なプローブビームの数Mi=|Si|は、i番目のタイムスロットで受信された実行可能なフィードバックベクトルの数に基づいて決定される場合があり、2iによって制限される。
【0030】
基地局102は、フィードバックa及びプローブビームSのセットの関数である、beam(a,S)で示されるデータ送信ビームを選択する。この関数は、様々なビームアライメント戦略を捕捉するため、ビーム設計方策関数であり、受信局104の電波発射角度108を含む不確定領域を返す。全ての可能なデータ送信ビームのセットは、
【数7】
として示される。ここで、Kは、全ての可能な送信ビームのセットのサイズである。
【0031】
bビームアライメントパケットを送信するために使用される走査ビームは、Φ(i)で示される。ここで、i∈[b]である。ユーザのチャネルが単一のドミナント経路を有する場合、電波発射角度の不確定領域を最小化するビーム設計方策関数は、次の式で与えられる。
【数8】
ここで、
【数9】
の場合(例えば、aのi番目のビットがセットである場合)、
【数10】
及び
【数11】
であり、それ以外の場合、
【数12】
はサポート関数である。
【0032】
この定式化では、単一のドミナント経路のみが存在し、受信局104に関連する単一の電波発射角度108が存在するため、ビームΦ(i)に関する正のフィードバックは、電波発射角度108がビームの内側にあることを意味し、負のフィードバックは、電波発射角度108がビームの補数、すなわち
【数13】
であることを意味する。
【0033】
可能なデータ送信ビームUのセットが与えられると、受信局104の計算された不確定領域の予想される幅は、方策関数に基づいて次のように表すことができる。
【数14】
ここで、
【数15】
の場合
【数16】
であり、期待値は分布
【数17】
が取り入れられる。|uk|の表記はukのルベーグ測度であり、これはukが有限数の区間の和集合である場合の区間の合計幅に対応する。Sに対する
【数18】
の依存性は、データ送信ビームUのセットの関数である期待値から得られる。
【0034】
コードブックSは、データ送信ビームの予想される幅を最小化するために、ビームアライメントパケット数b、遅延d及び電波発射角度情報
【数19】
を考慮して設計される。コードブックの設計は、以下の最適化問題の解決策として説明できる。
【数20】
を用いる
【数21】
として説明できる。この最適化問題からの最適な走査ビームは、
【数22】
であるようなパーティション
【数23】
を生成できるものである。
【0035】
合成ビームとしても知られる不連続ビームの場合、2b個のデータ送信ビームが存在するように、b個の合成走査ビームを見つけることができる。このような場合のパフォーマンスは、dの値とは無関係である。さらに、d>bに関して設計された走査ビームのセットを使用すると、任意のdの値のビームセットを用いて同じ性能を達成できる。したがって、dの任意の値を用いて最適なパフォーマンスを得ることができる。
【0036】
連続ビームの場合、角度領域(0,2p|は、連続する区間のセットに分割できる。ビームは、パーティション内のj番目の区間がビームに含まれるか否かをj番目のビットが示すバイナリセットによって指定できる。ビームが連続している場合、対応するバイナリセットには特定の具現化があり、ユニモーダルセットを用いて分類できる。
【0037】
本明細書で使用するように、バイナリループは、バイナリ要素の巡回順序セットである。バイナリループは、その位置の要素の値が直前の要素の値よりも小さいか大きい位置が1つしかない場合に、ユニモーダルである。遅延dが与えられると、この定義の拡張を利用できる。長さbのコードワードを有するバイナリコードブックC(b,d)は、以下の1~3の性質を有する特徴ループが存在する場合、dユニモーダルである。(1)これには、コードブックの全ての要素が含まれており、特定の循環順序で繰り返される可能性がある。(2)
【数24】
である任意のiの場合、特徴ループにおけるコードワードのi番目のビットによって作成されるループはユニモーダルである。(3)i>dである任意のiの場合、特徴ループにおける元の巡回順序を維持しつつ、長さi-dの同じ接頭辞を有する要素をグループ化することで、特徴ループの巡回サブセットを作成すると、各サブセットにおけるコードワードのi番目の位置の要素は、ユニモーダルバイナリループを作成する。コードサイズは、|C|で示されるCのコードワードの数である。
【0038】
コードワードの特徴ループは一意ではなく、同じコードワードの繰り返しを含む場合がある。例えば、同じコードワードを連続して繰り返すと、常に別の特徴ループが生成される。したがって、最小特徴ループは、連続する繰り返しを含まないものとして定義できる。それでも、最小特徴ループには、連続しない繰り返しが含まれる場合がある。例えば、コードブックC={11,01,10}は、特徴ループ
【数25】
を有する。これは最小であるが、繰り返しが含まれる。表記
【数26】
は、本明細書ではループを示すために使用する。
【0039】
N個のプローブビームを有するプローブビームコードブックSにおける各ビームは連続しているため、2つの角度を用いて決定できる。これらの角度によって作成される(0,2π|のパーティションは、セット
【数27】
として表すことができる。ここで、各区間の終点が次の区間の開始点になるように複数の区間が配置される。この条件は、セット
【数28】
に巡回順序を与え、それがループであることを確実にする。
【0040】
これらの区間のそれぞれは、対応するフィードバックシーケンスを有し、同じフィードバックシーケンスを有する複数の区間が存在し得る。一部の区間が自明であり、長さが0である可能性もある。自明な区間を削除し、セット
【数29】
の各要素を対応するフィードバックシーケンスに置き換えることで、結果として得られるループは、dユニモーダルコードブックの特徴ループになる。さらに、最小特徴ループLと同じカーディナリティ(cardinality)の角度区間セット
【数30】
が与えられた場合、後述する構成を用いて、最小特徴ループLを有するdユニモーダルコードブックからのフィードバックシーケンスを有する階層型プローブビームコードブックSを形成できる。
【0041】
最小特徴ループLと、同じカーディナリティの連続する角度区間のセット
【数31】
とが与えられると、階層型プローブビームセット
【数32】
は、以下のように構築される。
【数33】
の場合、バイナリループは、特徴ループにおけるコードワードのi番目の要素を考慮することで形成され、セットSiは、形成されたバイナリループにおける対応する1ビットを有する
【数34】
の区間の和集合である1つの走査ビームを含む。i>dの場合、特徴ループは、長さi-dの同じ接頭辞を有するコードワードのサブセットに分割される。そのようなサブセットがMi個あるとすれば、セットSiは、長さi-dの可能なフィードバックシーケンス毎に1つずつ、Mi個のプローブビームを含むことになる。サブセットに対応するプローブビームを見つけるため、そのサブセットにおけるコードワードのi番目の要素からのバイナリシーケンスが形成される。プローブビームは、シーケンス内で1の等価ビットを有する、またはこれらの区間の間にある、
【数35】
における全ての区間の和集合である。
【0042】
ここで図3を参照すると、図3には、b=3及びd=4においてビームを走査する例が示されている。第1のセット302は、重なり合うビームΦ1、Φ2及びΦ3のセットを示している。特に、第1のビームΦ1はセット302を半分に分割する。したがって、Φ1で送信されたパケットに対する応答は、オプション304の第2のセットの考案につながる。ここで、正のフィードバックは、受信局104がビームオプションの上半分内にあることを示し、負のフィードバックは、受信局104がビームオプションの下半分内にあることを示している。このフィードバックに基づいて、第2のセット304は、追加のビームΦ4及びΦ5を識別する。第3のビュー306は、異なるビーム区間Iのセットを示す。ここで、ビームΦは、異なるビーム区間の和集合から構成される。例えば、
【0043】
Φ1=∪{I1,I2,I3,I4,I5
【0044】
Φ2=∪{I8,I9,I10,I1
【0045】
Φ3=∪{I5、I6、I7、I8、I9
【0046】
Φ4=I3
【0047】
Φ5=∪{I7,I8}である。
【0048】
与えられたSとdユニモーダルコードブックCとの間、並びに対応する領域Uと最小特徴長Lとの間には、1対1の対応が存在する。この例では、S={S1,S2,S3,S4}である。ここで、
【数36】
及び
【数37】
の場合、
【数38】
である。また、
【数39】
である。ここで、
【数40】
及び
【数41】
の場合、
【数42】
である。また、対応する最小特徴ループLは、
【数43】
である。最小特徴ループにはコードワード1000の繰り返しがある。これは、不連続な不確定領域U2に対応する。
【0049】
セットS1、S2及びS3は自明である。S4を形成するため、Lは、長さ1の同じ接頭辞を有するコードワードのサブセットに分割され、セット
【数44】
及び
【数45】
となる。最初のセットから、位置i=4にて、3番目のコードワードのみが「1」を有する。したがって、Φ4=I4である。同様に、Φ5=I7∪I8であり、この例で使用される正確な走査ビームが得られる。これは、1対1の対応を示している。
【0050】
任意に与えられたSに関して、走査ビームのセットSを構成するために使用できるペア
【数46】
が存在する。その結果、最適な走査ビームセットS*を見つけるために、この問題は、S*を生成する最適なペア
【数47】
を見つけることとして表現できる。
【0051】
最適な最小特徴ループL*を見つけるために、最初にdユニモーダルコードブックを生成することができる。親子階層は、C(b,d)とC(b-1,d)との間で定義が可能であり、任意の長さのコードブックを生成するために使用できる。特徴ループL(b,d)を有するC(b,d)コードブックの場合、ループにおける全てのコードワードの長さb-iの接頭辞を含むループは、階数iの親コードブックC(b-1,d)を定義する特徴ループである。階数1の親コードブックは、本明細書では親コードブックと称す。コードブックが与えられると、それに対応する親コードブックは一意である。但し、親コードブックは異なる子コードブックを生成できる。L(b,d)が与えられた場合、対応するC(b,d)は、L(b,d)におけるコードブックの繰り返しを持たない和集合である。
【0052】
コードブックC(b,d)に対して実行可能な最小特徴ループL(b,d)を生成するために、
【数48】
の場合、C(b-1,d)に対するL(b-1,d)が形成される。L(b-1,d)の各要素がそれぞれの位置で3回繰り返され、
【数49】
が作成される。次に、
【数50】
と同じ長さのユニモーダルバイナリループが作成され、その各要素を
【数51】
における対応するコードワードの最後のビットに連結することで、
【数52】
に追加される。ループL(b,d)を形成するために、連続する繰り返しを除去できる。
【0053】
b>dの場合、コードブックC(b-1,d)に対するL(b-1,d)を作成した後、長さb-dの同じ接頭辞を有する要素を、巡回順序を維持しながらグループ化することで、Lを巡回サブセットに分割できる。続いて、上記と同じ手順を各サブセットに適用し、グループ化手順を逆にすることでL(b,d)を形成できる。
【0054】
サブセットを作成している間、要素の連続する繰り返しを引き起こす場合がある。このような場合、連続する繰り返しのそれぞれを個別の要素として扱うことができる。すなわち、何も削除しない。
【0055】
再び図3を参照すると、
【数53】
で、最小特徴ループは、
【数54】
であり、上記の構成を用いて、L(4,3)を生成できる。コードワードは、長さ1の同じ接頭辞を有するサブセットにグループ化できるため、
【数55】
及び
【数56】
となる。各要素がその場所で繰り返すと、
【数57】
及び
【数58】
となる。続いて、ユニモーダルバイナリセット
【数59】
は、第1のサブセットのコードワードに追加可能であり、
【数60】
は、第2のサブセットのコードワードに追加できる。繰り返しを削除し、グループ化を反転した後、元のL(4,3)が生成される。
【0056】
ユニモーダルバイナリループの長さが固定されていると仮定すると、反転される最初のビットの位置(ifで示される)と、次のビットが再び反転されるビットの位置(ilで示される)との2つの位置が識別できる。コードが全て1または全て0の場合、if=il=∞で表される。
【0057】
対応するサブセットに少なくとも2つの異なるコードワードがある場合、追加された各バイナリループPは、コードブックC(b,d)及びそれに対応する最小特徴ループL(b,d)におけるコードワードの数を、最大で2だけ増やすことができる。それ以外の場合は、コードブックにおけるコードワードの数を1だけ増やし、それに対応する最小特徴ループを2だけ増やすことができる。値b>1及びd>1を指定すると、後述する構成を用いて、最大カーディナリティの最小特徴ループ及びコードブックを作成できる。
【0058】
i=1から開始すると、最小特徴ループL(1,d)は
【数61】
に設定され、コードブックC(1,d)は{1,0}に設定される。iの値は、i=bになるまでインクリメントされる。d=1の場合、各iのサブセットが形成される。続いて、各サブセットに
【数62】
を用いてif=ilであるユニモーダルバイナリループが追加される。d>1に関して、
【数63】
の場合、ifとilが異なるコードワードに該当するユニモーダルバイナリループを使用するサブセットが1つだけ存在する。i>dの場合、最小特徴ループL(i-1,d)はコードワードを長さi-dの同じ接頭辞を有するサブセットにグループ化する。続いて、サブセット毎にifとilを以下のように選択することで、ユニモーダルバイナリループを形成できる。長さi-d+1の一意の接頭辞を有する任意のコードワードが見つかると、ifとilはこれらのコードワードの2回目の繰り返しに該当するように設定される。それ以外の場合、それらは任意のコードワードの2回目の繰り返しに該当するように設定される。
【0059】
以下では、M(b,d)が、長さbのdユニモーダルバイナリコードであるC(b,d)の最大カーディナリティを示し、N(b,d)は、最小特徴ループL(b,d)に関する最大長を示す。d=1のとき、
【数64】
であり、
【数65】
のとき、
【数66】
である。
【0060】
再び図2を参照すると、上記の例は、
【数67】
であることを示した。これは、b=3及びd=3の最大カーディナリティの最小特徴ループである。上記の手順を用いて、最大カーディナリティの最小特徴ループ
【数68】
及びコードブック
【数69】
を取得できる。上記の例と同様に、コードワードは、長さ1の同じ接頭辞を有するサブセットにグループ化可能であり、各要素はその場で3回繰り返すことができる。これにより、
【数70】
及び
【数71】
が得られる。ユニモーダルバイナリセット
【数72】
及び
【数73】
は、最大カーディナリティコードブックを構築するための条件を満たしている。第1のサブセットのコードワードにP1を追加し、第2のサブセットのコードワードにP2を追加し、繰り返しを削除してグループ化手順を逆にすることにより、結果は
【数74】
となる。この最小特徴ループは、元の最小特徴ループと同じ長さであるが、元のループにはなかった新しいコードワード1011を有する。
【0061】
d>1の場合の最大カーディナリティの最小特徴ループは、繰り返しを持たない。これは、最適なデータ送信ビームがd>1で連続していることを示すために使用できる。
【数75】
の問題に設定された最適解S*を見つけるには、S*を設計するためにdユニモーダルクックブックの最大カーディナリティの最小特徴ループLを使用するだけで十分である。
【0062】
結果として、最適な性能を提供するd>1に関して連続するデータ送信ビームのセットが存在する。連続する走査ビームを用いることで、最適なデータ送信ビームも連続する。これらの結果を用いて、データ送信の最小予想帯域幅の上限及び下限を決定できる。最適化問題における目的関数
【数76】
の最適値は、連続する走査ビームを用いる場合、以下で制限される。
【数77】
【0063】
そのため、最適解の探索は2つのステップに分けることができる。最初に、d及びbに基づいて、最大カーディナリティの最小特徴ループL*を構築できる。次に、一連の連続する角度区間
【数78】
を決定することが可能であり、L*と結合した後、走査ビームセットS*を形成する。
【0064】
連続する角度区間のセット
【数79】
を見つける。ここで、
【数80】
であり、データ送信ビームのセットは、
【数81】
である。Ukの角度区間は、Cのk番目のコードワードであるLに対応するコードワードを有する
【数82】
の角度区間の和集合に等しい。最適なxj、但し、
【数83】
は、以下のような最適化への置き換えで決定できる。
【数84】
d>1の場合、各ukは連続しているため、最適化は次のように簡単になる。
【数85】
【0065】
走査ビームの最適なセットは、最大カーディナリティのコードブック及び最適な角度区間セットを用いて生成できる。d=1の場合の最適なデータ送信ビームは一般に連続的ではないが、事前分布が任意のサポートで一様である場合、連続した送信ビームに対応する最適な走査ビームのセットを常に見つけることができる。さらに、データビームの連続性がd=1の場合に強制されると、M(b,2)=2であると、d=2はd=2と同じである。連続するデータビームの制約があるd=1の場合の最適なパフォーマンスは、d=2の場合の最適なパフォーマンスと同じであるが、ビームアライメントの持続時間が1タイムスロット短いという違いがある。
【0066】
代替えの定式化において、siは走査ビームを表し、ai∈{0,1}は、i番目のビームアライメントパケットに関して受信されたフィードバックを表すことができる。i番目のタイムスロットの前に受信したフィードバックに基づくsiには複数の選択肢があるため、走査ビームのセットをモデル化するために、階層ビームセット
【数86】
を使用できる。ここで、Siはi番目のビームアライメントパケットに関する全ての可能な走査ビームのセットを示している。i番目のタイムスロットまでに、基地局102は、ビームsj、但し、
【数87】
に対応するフィードバックシーケンスを受信する。セットSiは、フィードバックシーケンスの受信時にi番目のビームアライメントパケットを送信するために使用される、可能なフィードバックシーケンス
【数88】
毎のビームを含む。そのため、si及びaiは、与えられたS及びψで完全に決定されるため、(si,ai)に代えて(S,ψ)のペアを使用できる。
【0067】
電波発射角度に関する不確定領域の予想される幅を最小化する問題は、
【数89】
で表すことができる。ここで、期待値は分布
【数90】
が取り入れられる。
【0068】
可能な不確定領域のセットは、
【数91】
で表すことができる。これは、関数ビーム(S,ψ)の範囲として定義できる。ここで、Kは、2b以下の可能な不確定領域の数である。その結果、ψ∈ukに関してuk=beam(S,ψ)となる。したがって、目的は次のように記述できる。
【数92】
表記|uk|はukのルベーグ測度であり、ukが有限数の区間の和集合である場合の区間の合計幅に対応する。
【0069】
Sにおける走査ビームは、区間(0.2π|を成分ビームと呼ばれる連続した区間のセットに分割する。成分ビームは、Sにおける走査ビームの終点をソートすることで導き出すことができる。この時点で、2つの連続する終点間の各区間が成分ビームになる。成分ビームは連続しているため、円上のそれらの位置を用いて成分ビームのループ
【数93】
を形成できる。これは、周期的に順序付けられた要素のセットである。
【0070】
受信局104のチャネルがゼロまたは無視できるマルチ経路が存在するような単一のドミナント経路を有する場合、受信フィードバックシーケンス
【数94】
に基づく電波発射角度の角度不確定領域は、
【数95】
で与えられる。ここで、走査ビームiに関して肯定応答を受信した場合、
【数96】
であり、そうでない場合、
【数97】
である。フィードバックシーケンスは、バイナリシーケンスs=(s1,s2,...,sb)として定義できる。これは、b個のプローブパケットに対応し、i番目の位置は否定応答のフィードバックに対応する0、肯定応答のフィードバックに対応する1の値を有する。ドメインDは、[0,2π]と同じくらい大きい。セット
【数98】
は、フィードバックシーケンス
【数99】
に基づいて決定される。
【0071】
この定式化は、経路が1つしかない場合、受信局104に関連付けられた電波発射角度が1つであり、
【数100】
を意味するビームΦiに対する肯定応答が存在し、
【数101】
を意味する否定応答が存在するという事実を利用している。
【0072】
走査ビーム方策は、受信したフィードバックシーケンスの関数である
【数102】
によって与えられる不確定領域に基づいて、b>dに関する走査ビームを選択できる。データ送信ビーム方策は、最後のフィードバックビットの受信後に同じく計算された
【数103】
を用いることが可能であり、不確定領域を正確にカバーするビームを選択することもできる。表記Pは、走査ビーム方策とデータ送信ビーム方策の両方を含む組合せ方策を示す。不確定領域
【数104】
をカバーするデータ送信ビーム方策の場合、ユーザチャネルに経路が1つだけあると仮定すると、uksは探索ドメインDを
【数105】
及び
【数106】
のように分割することを示すことができる。
【0073】
データ送信ビームのセット
【数107】
が与えられると、受信局104の計算された不確定領域の予想される幅は、以下の方策Pに基づいている。
【数108】
ここで、ψ∈ukに関して
【数109】
であり、期待値はフィードバックシーケンス
【数110】
が取り入れられる。これは電波発射角度の関数である。表記|uk|はukのルベーグ測度であり、ukが有限数の区間の和集合である場合の区間の合計幅に対応する。
【数111】

【数112】
に対する依存性は、Bによって作成されたデータ送信ビームのセットの関数である期待値に由来する。
【0074】
b個の走査ビームBのセットは、受信局104の不確定領域の予想される幅の加重平均を最小化するように設計される。この目標は、以下の最適化問題として表すことができる。
【数113】
表記
【数114】
は、この最適化問題における最適な目的値として定義できる。最適な走査ビームは、
【数115】
のような最適なパーティション
【数116】
を生成できるビームである。上記
【数117】
である。
【0075】
データ送信ビーム方策を用いて、データ送信ビームを受信したフィードバックシーケンス
【数118】
に割り当てることができる。例えば、実際の走査ビームを選択するための境界の外にある、仮想インデックスb+1に関する走査ビーム方策に基づいて計算された不確定領域を用いて、データ送信ビーム方策を定義できる。データ送信ビーム方策は、フィードバックシーケンス
【数119】
全体を受信した後の残りの不確定領域を単に計算する。
【0076】
したがって、走査ビームのセット、走査ビーム方策及びデータ送信ビーム方策は、送信データ送信ビームの予想されるビーム幅を最小化するように決定される。そのような最小化では、走査区間及び受信局の電波発射角度の分布等の事前の知識が考慮される。フィードバックシーケンスは、そのようなフィードバックシーケンスを引き起こす可能性のある経路の実現性がある場合にのみ、有効と見なすことができる。したがって、有効なシーケンスの数は、サイズbのシーケンスのフィードバックシーケンスの最大数2bよりも少ない場合がある。
【0077】
b個の走査ビーム、フィードバック遅延d及び走査ビームとデータ送信ビームの方策Pを有する、電波発射角度の分布関数f(・)を備える対話型ビームアライメント問題は、IBA(f、b、d、P)で表される。上述したように、ループは、絶対位置を持たず、ループ内の相対位置及び方向を重んじる、閉じた軌跡の周りの要素の順序付けられたシーケンスである。サイズnのループには、i=1,...,nのaiで表されるn個の要素が含まれ、
【数120】
の場合、aiはai+1の直前にあり、anはa0の直前に置かれる。同様に、
【数121】
の場合、要素ai+1はaiの直後に続き、a0はanの直後に置かれる。要素の循環シフトはループに影響しない。
【0078】
不連続ビームの場合、タイムスロット毎に異なる走査ビームを選択する単純な走査ビーム方策を用いることにより、可能なフィードバックシーケンスごとに2b個のデータ送信ビームを生成できる。また、全て0のフィードバックシーケンス以外の全てのフィードバックシーケンスに対して2b-1のデータ送信ビームを生成することも可能である。このような不連続走査ビームの解決策は、以下のより詳細な説明で見出すことができる。
【0079】
実際の制約が走査ビームに連続ビームの使用を伴う場合、連続する各走査ビームΦiは角度区間[ψ2i-1、ψ2i)で表すことができることに留意されたい。走査ビーム方策は、走査区間の各タイムスロットでビームを選択する。表記Φ(k)は、受信局104の特定の具現化のための走査ビーム方策を用いて、タイムスロットkに関してBから選択された走査ビームを示してもよい。表記Φ(k)は、走査ビーム方策の関数であり、簡単にするために方策自体は表記から省略されている。
【0080】
サイズbの走査区間、並びに組合せ方策Pで示される非ランダム化された走査ビーム及びデータ送信ビーム方策に関して、表記U(P,b)は、サイズbの全ての有効なフィードバックシーケンスに関してPによって選択される、全てのデータ送信ビームのセットを示す。B(P,b)は、走査区間内で利用可能な部分的なフィードバックシーケンスを含む、任意のサイズの全ての有効なフィードバックシーケンスに対してPによって選択できる全ての走査ビームのセットを示す。
【0081】
n=|B(P,b)|の連続する走査ビームの場合、ビーム区間[φ2i-1,φ2i)で表されるi=1,...,nであるビームΦiは、最大2nの開始点と終点を有する。これらの点は、ループ
【数122】
で表すことができる。このループは、ループ
【数123】
で表されるi番目のゼロの可能な長さの区間をカウントして、2nの角度区間を生成する。ここで、
【数124】
は、反時計回りに角度liから角度ljまでの区間を表す。区間の終点等の特異点を含めたり除外したりしても、問題には影響しない。
【0082】
各区間viに関連するフィードバックシーケンス
【数125】
がある。特に、任意の有効なフィードバックシーケンス
【数126】
に関して、電波発射角度が区間内にある区間vが少なくとも存在する。但し、同じフィードバックシーケンスに対応する区間が複数存在する場合がある。例えば、区間I(φ1,φ2)とI(φ3,φ4)の2つのビームを考える。ここで、φ1<φ3<φ4<φ2とする。フィードバックシーケンス11は単一の区間[φ3,φ4]に対応し、フィードバックシーケンス00は単一の区間[φ1,φ2]に対応する。但し、フィードバックシーケンス10は、[φ1,φ3]と[φ4,φ2]の2つの互いに素な区間に対応し、フィードバックシーケンス01は無効である。
【0083】
IBA(f,b,d,P)に対する最適解は、同じパラメータを有する最大レートコードに関して取得される。その結果、IBA(f,b,d,P)は2つの問題に分かれる可能性がある。1つは最大レートのコードを見つけることであり、もう1つは走査ビーム及びデータ送信ビームのコードブックを設計することである。コード設計問題の結果を用いることで、IBA(f,b,d,P)問題の最適な分割数を決定できる。この数は、探索空間または角度の不確定領域の最適な分割を設計するために使用することが可能であり、データ送信ビームコードブックを直接もたらす。コード設計問題の結果に基づいて、走査ビームコードブックの各エントリは、最適なコードに基づくパーティションのインデックスが定義される、そのようなパーティションの一部の特定の和集合として定義することもできる。走査ビーム及びデータ送信ビームの方策は、コード設計に基づいて直接導き出すことができる。
【0084】
上述したように、バイナリループは、バイナリ要素を有するループであり、その位置における要素の値が直前の要素の値よりも小さい、または大きい位置が1つだけ存在する場合、ユニモーダルと呼ばれる。特定の循環順序で全てのコードワードを含む特徴ループが存在し、長さ1-dの同じ接頭辞を有するループ内のコードの任意のサブセットに関して、コードワードのi番目の位置(1>dの場合)の要素のバイナリループがユニモーダルである場合、長さnのバイナリコードは、W(b,d)で示される、dユニモーダルである。コードサイズは、W(b,d)のコードワードの数であり、|W(b,d)|で表される。コードレートは、
【数127】
と定義できる。
【0085】
特徴ループは、同じ要素の繰り返しを含んでもよい。したがって、最小特徴ループは、連続した繰り返しを含まないループである可能性がある。但し、最小特徴ループには、連続しない繰り返しが含まれる場合がある。例えば、W(b,d)={11,01,10}の場合、特徴ループは11,01,11,10になる可能性がある。最大コードサイズまたは最大コードレートを有するコードW(b,d)の場合、コードブックと同じ数のコードワードを有する特徴ループが存在し、コードの各要素がループにおける特定の位置に1回だけ含まれるようになる。そのため、W(b,d)コードの最小特徴ループの長さは|W(b,d)|である。コードの特徴ループは一意ではないかもしれないが、任意のdユニモーダルコードW(b,d)には、コードのサイズである、長さ|W(b,d)|の最小特徴ループが存在する。その結果、最小特徴ループには、特徴ループの1つの位置のみにコードの全ての要素が含まれる。
【0086】
特徴ループ
【数128】
を有する任意のコードの場合、ループ内の全てのコードワードの長さb-iの接頭辞を含むループは、階数iの親コードを定義する特徴ループである。そのため、W(b-i,d)である。階数1の親コードは、本明細書では親コードと呼ばれる。これは、全てのコードワードの任意の接頭辞を選択してコードのサブセットを選択すると、新しい特徴ループが発生するという事実を利用している。コードの親は一意である場合がある。但し、同じ親を有する異なるコードが存在する場合がある。
【0087】
最小特徴ループ
【数129】
を有する子ノード、例えば最小特徴ループ
【数130】
を有するW(b-1,d)コードは、W(b-1,d)のコードワードに0または1ビットを追加することで生成できる。
【数131】
の場合、
【数132】
から2つの異なる要素wi及びwjを選択し、それらに0と1の両方を追加することができる。要素wk(jが存在するとき、i<k<j)の場合、インジケータビット(例えば、1)が追加され、その他の要素(存在する場合)については、ゼロが追加される。最小特徴ループ
【数133】
は、
【数134】
のように、長さb-1の接頭辞の順序に基づいて周期的に順序付けられるように、これらの要素で構成することが可能であり、最後のビットはビット0及び1の順序付けに基づくことができる。
【0088】
b>dの場合、サイズb-dの同じ接頭辞を有するW(b-1,d)のコードワードのセット毎に、
【数135】
の場合と同じ手順を実行できる。d>1の場合、存在するなら、ビットb-d+1が異なるように、2つの異なる要素を選択できる。異なるb-d+1のビットを有する接頭辞を選択すると、ビットb-d+1がセット内の他のコードワードと異なるコードワードがサブセット内に1つしかない場合に役に立つ。それ以外の場合、ビットb-d+1が異なるという条件無しで、任意の2つの異なるコードワードを選択できる。
【0089】
親コード及び子コードの概念を用いると、長さbのdユニモーダルバイナリコードの最大コードサイズは、d>1の場合、下記の再帰方程式で特徴付けられる、Rd(b)で与えられることを示すことができる。
【数136】
最小特徴ループには、正確にRd(b)個の異なるコードワードが含まれる。d=1の場合、最大コードレートはRd(b)=2bで与えられる。
【0090】
親コードからの子コードの構築は、異なる子コードをもたらす可能性がある。但し、子コードの再帰的な追加に基づいて、任意の最大レートコードを構築できる。
【0091】
上記の再帰式に基づく、W(b,d)コードの最大サイズに対する明示的な解は、以下で得ることができる。表記
【数137】
は、
【数138】
で定義できる。再帰式は、
【数139】
に相当する。ここで、
【数140】
である。表記
【数141】
は、非ゼロの場所が全て1である下三角行列を表し、表記
【数142】
は、列dの全ての位置の全ての要素が1であり、残りの要素が0である行列を表す。初期条件は、列ベクトル[2,3,...,2d]である
【数143】
で与えられる。したがって、
【数144】
である。長さbの任意のコードの最大サイズは、再帰を使用する場合、bまでの全てのコードの最大レートを計算することなく、直接決定できる。
【0092】
dユニモーダルコードW(b,d)の場合、コードレート
【数145】
は、bビットコードワードを含むコードブックの最大サイズであるRb(b)に基づいて見つけることができる。可能なデータ送信ビームの数はコードブックのサイズに等しいため、このコードレートはデータ送信ビームセットの分解能の成長率を示す。nの大きな値に対するコードレートの漸近的な挙動は、後述するように決定される。同次再帰式の解は、直接決定できる。
【0093】
任意のbに関し、定数根-1の他に、再帰の特徴関数及び他の全ての複素根のノルムが非定数根のノルムよりも小さい場合、bに基づいて変化する実根が1つだけ存在することを検証できる。
【0094】
d=2、3、…、7の再帰式の固有多項式の非定数及び実根は、2、1.6956、1.5437、1.4511、1.3881、1.4322でおよそ与えられ、これは、1,0.7618、0.6264、0,5371、0.4731、0.4246のレートにそれぞれ変換される。これは、d=2の場合、フィードバックに遅延がなく、過去の全ての走査ビームのフィードバックが現在の走査ビームの送信前に受信されることを意味する、符号化レートに損失がなく、レートがd=1の場合と等しいことを意味する。
【0095】
dの値が大きくなると、レートは急激に低下する。d=6のみでは、レートは遅延無しで達成できるものの50%を下回る。遅延が大きくなると、ビーム数bが大きくなるにつれて、符号化率はゼロに低下する。これは、コードサイズが2bと大きくなると、2bよりもはるかにゆっくりと大きくなることから分かる。
【0096】
IBA(f、b、d、P)の場合、長さ
【数146】
のdユニモーダルバイナリコードが存在する場合に限り、角度区間
【数147】
のループが生成できる、Pで示される走査ビーム方策及びデータ送信ビーム方策と同様に、走査ビームBのセットが存在する。IBA(f,b,d,P)の最適解では、生成される角度区間の数が最大になる。IBA(f,b,d,P)の存在とコードW(b,d)は1対1で対応する。さらに、最適なIBA(f,b,d,P)の場合、対応するコードW(b,d)は最大レートを有する。連続する走査ビームを用いることで、データ送信ビームも連続にできる。したがって、データ送信ビームを連続させるために余分な制約は不要である。走査ビームが連続する最適なIBA(f,b,d,P)の場合、不確定領域に対応するデータ送信ビームは連続する。
【0097】
最適解を見つけるためのプロセスは、2つのステップに分けることができる。最初に、b及びdに基づいて、最大レートのdユニモーダルバイナリコードを設計できる。このコードを用いて、dタイムスロットのフィードバック遅延を有する、bビーム走査で連続するビームを使用することで、可能な角度区間の最大数を見つけることができる。次に、角度区間の開始及び終了の閾値を設計できる。コードとその特徴ループにおける関連する順序は、走査ビーム及びデータ送信ビームの方策を意味する。最適なW(b,d)コードの性質は、コードの親も最適であるということである。最適なIBA(f,b,d,P)の任意の
【数148】
に関して、省略された走査ビーム方策は、IBA(f,b’,d,P)の最適な方策でもある。
【0098】
最適なIBA(f,b,d,P)が、走査区間bを有するシステムで使用されるように設計されているが、タイムスロットb'<bで走査を停止すると、走査ビームに基づく対応するデータ送信ビームは、b'の値が事前に分かっていても、引き続き最適になる。本システムは、追加のスキャンビームを用いて、bスキャンの後に検出されるデータ伝送ビームをさらに改良して、拡張スキャンが引き続き最適になるようにできる。言い換えると、走査ビーム方策は各ステップで最適である。事前に一般的な分布の走査方策を設計し、分布及び各フレームにおけるbの所定の値に基づいて、動的な方法でリアルタイムに使用できる。
【0099】
IBA(f,b,d,P)を設計するために、0及び1を用いてW(1、d)から開始することで、dユニモーダルコードW(b、d)を設計できる。コードW(i,d)は、i=2,...,bに関して、W(i-1,d)の子として再帰的に決定される。コードの子を見つけるプロセスは一意ではなく、異なる子コードが生成される場合がある。任意の最大レートコードを生成できる。
【0100】
データ送信ビームのセット、または最適なパーティションが決定される。各ukは連続するため、Uは
【数149】
のループにおける境界点
【数150】
に基づいてのみ定義されるM個の連続する区間
【数151】
を含む。これにより、以下の最適化
【数152】
の解である境界値
【数153】
を見つけるための最適なパーティション
【数154】
の探索が簡素化される。
【0101】
コードワードは、コードW(b,d)の特徴ループにおいて、区間
【数155】
のループにおける対応する位置に割り当てられてもよい。これらの2つのループ間の1対1の対応が1つの要素に関してどのように定義されているかは問題ではないが、ループ内の相対的な順序と方向は維持されるべきである。各区間に対応するコードは、各区間の選択につながる対応するフィードバックシーケンスである。したがって、有効なフィードバックシーケンス毎に、対応する区間がある。この関係を利用してデータ送信ビーム方策を決定できる。
【0102】
走査ビームは、各区間に関連するコードの接頭辞を調べることで決定されてもよい。タイムスロットi<dの場合、走査ビームは、対応するビットiが、1等のインジケータビットに等しい全ての要素の和集合に対応する。タイムスロット
【数156】
の場合、長さi-dの接頭辞を有するコードのサブセットは、受信したフィードバッシーケンスに等しいと識別される。タイムスロットiに対応するビームは、このビットがインジケータビットに等しい全ての区間の和集合である。いずれの場合も、パーティションの和集合は、連続するビームが発生する。使用されるインジケータビットは、子コードの生成で定義されたインジケータビットと同じである。i番目のビットがインジケータビットに設定されたコードの和集合は、サイズi-dの同じプリアンブルを有するビームのサブセット毎に単一の連続するビームを定義する。インジケータビットの実際の値が0か1かに関係なく、いずれかの固定値をインジケータビットとして選択できる。
【0103】
ここで図4を参照すると、図4には、データ送信ビームを選択するための方法400が示されている。上記でより詳細に説明したように、ブロック402は、プローブビームのセットを設計する。例えば、これらのプローブビームは、基地局102がフェーズドアレイアンテナシステム101を用いて送信できる、可能な方向のセットを表すことができる。ブロック404は、該セットから第1のビームを選択し、ブロック406は、選択したビームを用いてプローブパケットを送信する。
【0104】
ブロック408は、フィードバックが予想されるか否かを判定する。例えば、予想されるフィードバック遅延がdであると仮定すると、フィードバックは、図2で示すように、少なくともd番目の時間区間まで受信されない。フィードバックが未だ予想されない場合、ブロック410は、さらなるプローブパケットを送信すべきか否かを判定する。これは、最初のフィードバックを受信する前に全てのプローブパケットを送信できるシナリオを反映している(例えば、b<d)。送信するプローブパケットがもう無い場合、ブロック413は保留中のフィードバックを全て受信するまで待機し、ブロック416にてフィードバックに基づいてデータ送信ビームが決定される。送信するプローブパケットがさらにある場合、ブロック411は、フィードバックの恩恵を受けずに、セットから次のビームを選択し、ブロック406で新しいプローブパケットが送信される。
【0105】
ブロック408が、この時点で、例えば遅延d後の時間でフィードバックが予想されると判定した場合、ブロック412は、送信するさらなるプローブパケットがあるか否かを判定する。そうでない場合、ブロック416は、フィードバックに基づいてデータ送信ビームを決定する。送信するさらなるプローブパケットがある場合、ブロック414は、決定を行うのを助けるために、フィードバックを用いてセットから次のビームを選択する。次に、ブロック406は、選択されたビームを用いてプローブパケットを送信する。
【0106】
上記で詳細に説明したように、「フィードバック」は、プローブパケットに応答して受信局104によって送信される肯定応答または否定応答パケットである。フィードバックには、予想される遅延期間中に肯定応答が受信されなかったという決定も含まれる。この場合、次のビームを選択する及びデータ送信ビームを決定する目的で、肯定応答が無いことを否定応答として扱うことができる。
【0107】
ここで、図5を参照すると、図5には、基地局102から受信局104にデータを送信する方法が示されている。ブロック400は、例えば上述したプロセスの1つにしたがってデータ送信ビームを選択する。任意の数のそのようなビームを計算し、任意の数の受信局にそれぞれ送信できることに留意されたい。
【0108】
ブロック502は、選択されたデータ送信パターンにしたがってフェーズドアレイアンテナ101を構成する。この構成は、例えば、フェーズドアレイアンテナ101を構成する複数の無線フロントエンドのそれぞれの位相シフト及び振幅を設定することを含み、これにより各無線フロントエンドからの送信の干渉を強め合う及び弱め合うことで、受信局104に向けられる送信エネルギーの集束ビームを生成する。
【0109】
ブロック504は、基地局102から受信局104にデータを送信する。この送信は、ビームアライメントを実行した後のコヒーレンス区間202の残り時間を表す、図2で示すように、T-b-dの時間区間で発生する。コヒーレンス区間202の終わりで、処理はブロック400に戻り、新しい送信ビームが選択される。
【0110】
本明細書に記載する実施形態は、全てハードウェアで実現してもよく、全てソフトウェアで実現してもよく、ハードウェアとソフトウェアの両方の要素を含んでいてもよい。好ましい実施形態において、本発明は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含むが、これらに限定されないソフトウェアでも実現可能である。
【0111】
実施形態には、コンピュータもしくは任意の命令実行システムによって使用される、または関連して使用されるプログラムコードを提供する、コンピュータで使用可能な、またはコンピュータで読み取り可能な媒体からアクセスできる、コンピュータプログラム製品を含んでもいてよい。コンピュータで使用可能な、またはコンピュータで読み取り可能な媒体には、命令実行システム、機器、もしくは装置によって使用される、または関連して使用されるプログラムを格納、伝達、伝搬または転送する任意の機器を含んでいてもよい。該媒体は、磁気媒体、光学媒体、電子媒体、電磁気媒体、赤外線媒体または半導体システム(または機器もしくは装置)、あるいは伝搬媒体であってもよい。該媒体には、半導体または固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、リジッド磁気ディスク及び光ディスク等のコンピュータで読み取り可能な媒体を含んでいてもよい。
【0112】
各コンピュータプログラムは、汎用または特別な目的を持つプログラム可能なコンピュータで読み取ることができる、機械で読み取り可能なストレージメディアまたは装置(例えば、プログラムメモリまたは磁気ディスク)に格納される。該コンピュータプログラムは、ストレージメディアまたは装置から本明細書に記載された手順を実行するコンピュータで読み出される、該コンピュータの設定及び制御動作のためのものである。本発明のシステムには、本明細書に記載した機能を実行する、特定の及び事前に定義された方法をコンピュータに動作させるように構成されたコンピュータプログラムを含む、コンピュータで読み取り可能なストレージメディアも考慮される。
【0113】
プログラムコードを格納及び/または実行するのに適したデータ処理システムは、システムバスを介してメモリ要素に直接または間接的に接続された少なくとも1つのプロセッサを備えていてもよい。このメモリ要素には、処理の実行中にバルクメモリ装置からコードが検索される回数を減らすために、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリ、バルクメモリ装置及び少なくともいくつかのプログラムコードを一時的に記憶するキャッシュメモリを備えていてもよい。入出力またはI/O装置(限定されるものではないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティング装置等を含む)は、直接またはI/Oコントローラを介してシステムに接続されてもよい。
【0114】
ネットワークアダプタは、データ処理システムが、プライベートネットワークまたは公衆ネットワークを介して、他のデータ処理システムまたはリモートプリンタもしくはメモリ装置に接続されることを可能にするために、上記システムと接続されていてもよい。モデム、ケーブルモデム及びイーサネット(登録商標)カードは、現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのほんの一例である。
【0115】
本明細書で用いる「ハードウェアプロセッササブシステム」または「ハードウェアプロセッサ」という表記は、1つ以上の特定のタスクを実行するために協働するプロセッサ、メモリ、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせを指すことができる。有用な実施形態において、ハードウェアプロセッササブシステムは、1つまたは複数のデータ処理要素(例えば、論理回路、処理回路、命令実行デバイス等)を含むことができる。1つまたは複数のデータ処理要素は、中央処理装置、グラフィックス処理装置及び/または個別のプロセッサまたはコンピューティング要素ベースのコントローラ(例えば、論理ゲート等)を含めることができる。ハードウェアプロセッササブシステムは、1つ以上のオンボードメモリ(例えば、キャッシュ、専用メモリアレイ、読み出し専用メモリ等)を含むことができる。任意の実施形態において、ハードウェアプロセッササブシステムは、オンボードまたはオフボードとすることができる、またはハードウェアプロセッササブシステム(例えば、ROM、RAM、基本入出力システム(BIOS)等)で用いるための専用の1つ以上のメモリを含むことができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、ハードウェアプロセッササブシステムは、1つ以上のソフトウェア要素を含み実行できる。1つ以上のソフトウェア要素は、特定の結果を達成するためにオペレーティングシステム及び/または1つ以上のアプリケーション及び/または特定のコードを含むことができる。
【0117】
他の実施形態において、ハードウェアプロセッササブシステムは、指定された結果を達成するために1つまたは複数の電子処理機能を実行する専用回路を含むことができる。そのような回路は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及び/またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含むことができる。
【0118】
ハードウェアプロセッササブシステムのこれら及び他の変形例もまた、本発明の実施形態によって考えられる。
【0119】
ここで図6を参照すると、図6には、基地局102に関するさらなる詳細が示されている。基地局102は、ハードウェアプロセッサ602及びメモリ604を含む。基地局102は、それぞれの機能を実行するために、メモリ604に格納され、ハードウェアプロセッサによって実行されるソフトウェアとして実装される、いくつかの機能モジュールを含んでいてもよい。あるいは、機能モジュールのうちの1つまたは複数は、ASICまたはFPGA等の個別のハードウェアコンポーネントとして実装してもよい。
【0120】
フェーズドアレイアンテナ101は、受信局104と通信するために基地局102によって使用される。ビームアライメント608は、走査ビーム選択606を用いて、フェーズドアレイアンテナ101で用いる一連の走査ビームを選択し、コヒーレンス区間202のビームアライメント部分の期間でプローブパケットを送信する。このビームアライメント608は、フェーズドアレイアンテナ101で受信されたフィードバックを利用して、さらなる走査ビーム選択606を導くことが可能であり、そのようなフィードバックは遅延区間の後に受信される。
【0121】
ビームアライメント608が完了すると、プローブパケットで受信したフィードバックを用いて、データ送信ビーム選択610が実行される。選択されたデータ送信ビームは、データ送信612中にフェーズドアレイアンテナ101を構成するために使用される。データ送信612は、コヒーレンス区間202の残りの間継続することができる。コヒーレンス区間202の終わりに、基地局102と受信局104との間の相対位置の変化を考慮するために、ビームアライメント608が再び実行される。
【0122】
本明細書では本発明の「一実施形態」または「実施形態」、並びにその他の変形形態に言及し、実施形態に関連して説明した特定の関数、構成、特徴等が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「一実施形態において」または「実施形態において」という語句の出現、並びに本明細書全体を通して様々な場所に出現する任意の他の変形形態は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。しかしながら、本明細書で提供される本発明の教示を前提として、1つまたは複数の実施形態の特徴を組み合わせることができることを理解されたい。
【0123】
例えば、「A/B」、「A及び/またはB」、並びに「A及びBのうちの少なくとも1つ」の場合における「/」、「及び/または」、並びに「うちの少なくとも1つ」のうちのいずれかの使用は、第1に挙げた選択肢(A)のみの選択、第2に挙げた選択肢(B)のみの選択、または両方の選択肢(A及びB)の選択を含むことを意図したものと理解すべきである。さらに例を挙げれば、「A、B及び/またはC」、並びに「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」の場合、このような表現法は、第1に挙げた選択肢(A)のみの選択、第2に挙げた選択肢(B)のみの選択、第3に挙げた選択肢(C)のみの選択、第1及び第2に挙げた選択肢(A及びB)のみの選択、第1及び第3に挙げた選択肢(A及びC)のみの選択、第2及び第3に挙げた選択肢(B及びC)のみの選択、または3つの選択肢全て(A及びB及びC)の選択を含むことを意図したものである。上述した例は、当業者に容易に明らかとなるように、列挙される多数の項目に応じて拡大適用される。
【0124】
上記は、あらゆる観点において説明的かつ典型的であって限定的でないものと理解されるべきであり、本明細書で開示する本発明の範囲は、詳細な説明から決定されるべきではなく、特許法で認められた最大限の広さに基づいて解釈される特許請求の範囲から決定されるべきである。本明細書中に図示及び記載されている実施形態は、本発明の原理を説明するものにすぎず、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく当業者は様々な変更を実施することができることを理解されたい。当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な他の特徴の組み合わせを実施できる。以上、本発明の態様について、特許法で要求される細部及び詳細な事項と共に説明したが、特許証で保護されることを要求する特許請求の範囲は、添付の特許請求の範囲に示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6