(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】無段変速機、無段変速機の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F16H 61/02 20060101AFI20240724BHJP
F16H 59/18 20060101ALI20240724BHJP
F16H 61/66 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F16H61/02
F16H59/18
F16H61/66
(21)【出願番号】P 2022576687
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2022001601
(87)【国際公開番号】W WO2022158448
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021006419
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 鵬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】岸 大悟
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 哲也
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-225417(JP,A)
【文献】特開2003-074682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00-61/12
F16H 61/16-61/24
F16H 61/66-61/70
F16H 63/40-63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される無段変速機であって、
前記車両の走行中にアクセル開度が小さくなる場合において、
前記アクセル開度が小さくなる速度が所定速度より高い場合に、所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、前記アクセル開度が前記所定開度のときの変速比で固定する第1処理と、
前記アクセル開度が小さくなる速度が前記所定速度以下で、タービン回転速度が所定回転速度より高い場合に、前記所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記アクセル開度が前記所定開度のときの前記変速比から更にアップシフトを行って前記アクセル開度が前記所定開度のときの前記変速比よりもHigh側で前記変速比を固定する第2処理と、
前記アクセル開度が小さくなる速度が前記所定速度以下で、前記タービン回転速度が前記所定回転速度以下の場合に、前記所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記アクセル開度に応じて更にアップシフトを行う第3処理と、
を有する無段変速機。
【請求項2】
車両に搭載される無段変速機であって、
前記車両の走行中にアクセル開度が小さくなる場合において、
所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、
前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記アクセル開度が前記所定開度のときの変速比から更にアップシフトを行って前記アクセル開度が前記所定開度のときの前記変速比よりもHigh側で前記変速比を固定し、
その後に、固定された前記変速比から前記アクセル開度に応じて更にアップシフトを行う、
無段変速機。
【請求項3】
請求項2に記載の無段変速機であって、
前記車両の走行中に前記アクセル開度が小さくなる場合において、前記アクセル開度が小さくなる速度が所定速度よりも高い場合は、
前記所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、
前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記変速比を固定する、
無段変速機。
【請求項4】
車両に搭載される無段変速機の制御方法であって、
前記車両の走行中にアクセル開度が小さくなる場合において、
所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、
前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記アクセル開度が前記所定開度のときの変速比から更にアップシフトを行って前記アクセル開度が前記所定開度のときの前記変速比よりもHigh側で前記変速比を固定し、
その後に、固定された前記変速比から前記アクセル開度に応じて更にアップシフトを行う、
無段変速機の制御方法。
【請求項5】
車両に搭載される無段変速機のコンピュータが実行可能なプログラムあって、
前記車両の走行中にアクセル開度が小さくなる場合において、
所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行う手順と、
前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記アクセル開度が前記所定開度のときの変速比から更にアップシフトを行って前記アクセル開度が前記所定開度のときの前記変速比よりもHigh側で前記変速比を固定する手順と、
その後に、固定された前記変速比から前記アクセル開度に応じて更にアップシフトを行う手順と、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速機、無段変速機の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アクセルが戻し操作された場合に、定常走行意図時には、入力回転速度をアクセル戻し操作後のアクセル操作量や車速に応じて求められる目標回転速度まで漸減させるようにベルト無段変速機の変速比をアップシフトし、減速意図判定時には、ベルト無段変速機の変速比を直前の変速比よりも小さい固定変速比にアップシフトし、その後に変速比を固定変速比に固定する変速制御が開示されている。
【0003】
これによれば、減速意図判定時には、アクセルが戻し操作される直前の変速比をそのまま維持する場合と比較して、アップシフト分だけエンジン回転速度が低くなり、エンジンブレーキが低減されて運転者が意図した以上の減速Gが発生することが抑制される。また、アップシフトによるエンジン回転速度の低下で駆動方向のイナーシャが発生し、エンジンブレーキが緩和(相殺)されてショックが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の変速制御では、アクセルが戻し操作される場合(アクセル開度が小さくなる場合)に、定常走行意図と減速意図に対応する2つのパターンの変速しかなく、運転者の意図に反した変速制御が実行される可能性がある。すなわち、運転者としては、減速意図でアクセルを戻したのに、エンジン回転速度が低下しすぎたり、定常走行意図でアクセルを戻したのに、エンジン回転速度が低下しなかったりすること、が考えられる。このような場合は、その後の運転者の操縦に対して車両の動力性能が狙い通りに発揮されない可能性がある。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、アクセル開度が小さくなる場合に、運転者の意図に反した変速制御が実行されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、車両に搭載される無段変速機であって、前記車両の走行中にアクセル開度が小さくなる場合において、前記アクセル開度が小さくなる速度が所定速度より高い場合に、所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、前記アクセル開度が前記所定開度のときの変速比で固定する第1処理と、前記アクセル開度が小さくなる速度が前記所定速度以下で、タービン回転速度が所定回転速度より高い場合に、前記所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記アクセル開度が前記所定開度のときの前記変速比から更にアップシフトを行って前記アクセル開度が前記所定開度のときの前記変速比よりもHigh側で前記変速比を固定する第2処理と、前記アクセル開度が小さくなる速度が前記所定速度以下で、前記タービン回転速度が前記所定回転速度以下の場合に、前記所定開度までは、前記アクセル開度に応じてアップシフトを行い、前記アクセル開度が前記所定開度よりも小さくなると、前記アクセル開度に応じて更にアップシフトを行う第3処理と、を有する無段変速機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様では、アクセル開度が小さくなる場合に、所定開度までは、アクセル開度に応じてアップシフトを行い、アクセル開度が所定開度のときの変速比で固定して、エンジン回転速度を高い状態で維持する第1処理と、所定開度までは、アクセル開度に応じてアップシフトを行い、アクセル開度が所定開度よりも小さくなると、アクセル開度に応じて更にアップシフトを行い、エンジン回転速度を低下させる第3処理とに、所定開度までは、アクセル開度に応じてアップシフトを行い、アクセル開度が所定開度よりも小さくなると、アクセル開度が所定開度のときの変速比から更にアップシフトを行ってアクセル開度が所定開度のときの変速比よりもHigh側で変速比を固定する第2処理を加えたので、運転者の意図に対して、エンジン回転速度が高すぎたり、低くなり過ぎたりすることを抑制できる。すなわち、アクセル開度が小さくなる場合に、運転者の意図に反した変速制御が実行されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機を備える車両の概略構成図である。
【
図6】
図6は、第1処理が実行される場合のタイミングチャートの一例である。
【
図7】
図7は、第2処理が実行される場合のタイミングチャートの一例である。
【
図8】
図8は、第3処理が実行される場合のタイミングチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下において、変速比が大きい場合をLow、変速比が小さい場合をHighと言う。また、変速比がLow側に変更されることをダウンシフトと言い、High側に変更されることをアップシフトと言う。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る無段変速機としての自動変速機20を備える車両100の概略構成図である。
図1に示すように、車両100は、駆動源としてのエンジン10と、自動変速機20と、エンジンコントローラ30と、変速機コントローラ40と、を備える。
【0012】
自動変速機20は、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、バリエータ4と、油圧制御回路5と、オイルポンプ6と、を備える。
【0013】
車両100においては、エンジン10で発生した回転が、トルクコンバータ2、前後進切替機構3、バリエータ4、歯車組7、ディファレンシャルギヤ装置8を経て駆動輪50に伝達される。
【0014】
トルクコンバータ2には、ロックアップクラッチ2aが設けられる。ロックアップクラッチ2aが締結されると、トルクコンバータ2の入力要素としての入力軸2bと出力要素としての出力軸2cとが直結し、入力軸2bと出力軸2cとが同速回転する。よって、ロックアップクラッチ2aが締結された状態では、エンジン10の出力軸10aの回転がそのままトルクコンバータ2の出力軸2cから前後進切替機構3に伝達される。
【0015】
前後進切替機構3は、ダブルピニオン遊星歯車組を主たる構成要素とし、そのサンギヤをトルクコンバータ2を介してエンジン10に結合し、キャリアをバリエータ4の入力軸4d(プライマリプーリ4a)に結合する。前後進切替機構3は更に、ダブルピニオン遊星歯車組のサンギヤ及びキャリア間を直結する前進クラッチ3a、及びリングギヤを固定する後進ブレーキ3bを備え、前進クラッチ3aの締結時にエンジン10からトルクコンバータ2を経由した入力回転をそのままプライマリプーリ4aに伝達し、後進ブレーキ3bの締結時にエンジン10からトルクコンバータ2を経由した入力回転を逆転減速してプライマリプーリ4aへ伝達する。
【0016】
バリエータ4は、入力軸4dに伝達されたエンジン10の回転を変速して出力軸4eから駆動輪50に伝達する無段変速機構である。バリエータ4は、動力伝達経路においてエンジン10側に設けられたプライマリプーリ4aと、駆動輪50側に設けられたセカンダリプーリ4bと、プライマリプーリ4aとセカンダリプーリ4bとに掛け回された無端状部材としてのベルト4cと、を備える。
【0017】
バリエータ4では、プライマリプーリ4aに供給される油圧とセカンダリプーリ4bに供給される油圧とが制御されることで、各プーリ4a、4bとベルト4cとの接触半径が変更され、変速比が変更される。
【0018】
オイルポンプ6は、エンジン10の回転が入力されエンジン10の動力の一部を利用して駆動される機械式のオイルポンプである。オイルポンプ6から吐出された油は、油圧制御回路5に供給される。
【0019】
油圧制御回路5は、オイルポンプ6から供給された作動油の圧力を調圧して必要な油圧を生成するレギュレータバルブ5a、プライマリプーリ4aに供給される油圧を調整するプライマリソレノイドバルブ5b、セカンダリプーリ4bに供給される油圧を調整するセカンダリソレノイドバルブ5c、ロックアップクラッチ2aに供給される油圧を調整するロックアップソレノイドバルブ5d、前進クラッチ3aに供給される油圧及び後進ブレーキ3bに供給される油圧を調整するセレクトソレノイドバルブ5e、前進クラッチ3a及び後進ブレーキ3bへの油圧の供給経路を切り換えるマニュアルバルブ5f、等を有する。
【0020】
油圧制御回路5は、変速機コントローラ40からの制御信号に基づき、調整された油圧をトルクコンバータ2、前後進切替機構3、バリエータ4の各部位に供給する。
【0021】
エンジンコントローラ30は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータで構成される。エンジンコントローラ30は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することで各種の処理を行う。エンジンコントローラ30は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0022】
エンジンコントローラ30は、車両100の各部位の状態を検出する各種センサからの信号に基づきエンジン10の回転速度及びトルク等を制御する。
【0023】
変速機コントローラ40は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータで構成され、エンジンコントローラ30と通信可能に接続される。変速機コントローラ40は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することで各種の処理を行う。変速機コントローラ40は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。変速機コントローラ40とエンジンコントローラ30とを統合して1つのコントローラとしてもよい。
【0024】
変速機コントローラ40は、車両100の各部位の状態を検出する各種センサからの信号に基づきロックアップクラッチ2aの締結状態、バリエータ4の変速比、前進クラッチ3a及び後進ブレーキ3bの締結状態等を制御する。
【0025】
変速機コントローラ40には、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ61からの信号、ブレーキペダルの操作量に対応したブレーキ液圧BRPを検出するブレーキ液圧センサ62からの信号、シフター63の位置を検出するインヒビタスイッチ64からの信号、トルクコンバータ2の出力軸2cの回転速度Nt(以下、タービン回転速度Ntという。)を検出するタービン回転速度センサ65からの信号、バリエータ4の入力軸4d(プライマリプーリ4a)の回転速度Np(以下、プライマリ回転速度Npという。)を検出するプライマリ回転速度センサ66からの信号、バリエータ4の出力軸4e(セカンダリプーリ4b)の回転速度Nsを検出するセカンダリ回転速度センサ67からの信号、プライマリプーリ4aに供給されるプライマリ油圧Ppを検出するプライマリ油圧センサ68からの信号、セカンダリプーリ4bに供給されるセカンダリ油圧Psを検出するセカンダリ油圧センサ69からの信号、等が入力される。
【0026】
続いて、変速機コントローラ40が実行する変速制御について説明する。
【0027】
上述したように、変速機コントローラ40は、バリエータ4の変速比を制御する。変速機コントローラ40が実行する変速制御は様々であり、車両100の状況に応じて選択される。
【0028】
変速制御としては、例えば、車両100が通常の走行をしていると考えられる状況で実行される通常変速制御、運転者がスポーティな走行を所望していると考えらえる状況で実行されるリニア変速制御、等がある。各変速制御は、車両100の諸元、実験等に基づいて予め設定された変速マップ等を用いて実行される。
【0029】
リニア変速制御では、変速比の変化を抑制して車両100を加速させるので、運転者はスポーティな走行感覚を得ることができる。
【0030】
ここで、リニア変速制御の実行中にアクセルが戻し操作される場合について検討すると、例えば、カーブに侵入する前に車両100を減速させる意図でアクセルが戻し操作される場合もあれば、運転者がスポーティな走行を終了する意図でアクセルが戻し操作される場合もある。
【0031】
カーブへの侵入に伴う一時的なアクセル戻し操作の場合は、その後の再加速に備えて、変速比をアクセルが戻し操作される直前の変速比、或いはこれに近い変速比に維持することが運転者の意図に沿うと言える。一方で、スポーティな走行を終了する意図でのアクセル戻し操作の場合は、変速比をアクセルが戻し操作される直前の変速比、或いはこれに近い変速比に維持することは、運転者の意図に沿わない可能性がある。
【0032】
リニア変速制御の実行中にアクセルが戻し操作された場合に、運転者の意図に反した変速制御が実行されると、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。そこで、本実施形態の変速機コントローラ40は、リニア変速制御の実行中にアクセルが戻し操作された場合は、
図2に示す判定処理によって決定した処理(第1処理、第2処理、第3処理)を実行することで、運転者の意図に反した変速制御が実行されることを抑制している。
【0033】
以下、
図2を参照しながら、判定処理について説明する。
図2は、判定処理のフローチャートである。
【0034】
判定処理は、車両100の走行中であってリニア変速制御の実行中にアクセルが戻し操作される場合、すなわち、アクセル開度APOが小さくなる場合に実行される。
【0035】
ステップS11では、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPO[deg/sec]が所定速度dAPOsよりも高いか判定する。
【0036】
速度dAPOが高いほど運転者の操縦が素早いということであり、引き続きスポーティな走行を所望していると考えられる。所定速度dAPOsは、速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高い場合に、運転者が引き続きスポーティな走行を所望していると考えられる閾値である。所定速度dAPOsは、車両100の諸元、実験等に基づいて予め設定される。
【0037】
変速機コントローラ40は、速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高いと判定すると、処理をステップS12に進める。また、変速機コントローラ40は、速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高くないと判定すると、処理をステップS13に進める。
【0038】
ステップS12では、変速機コントローラ40は、第1処理を実行することを決定する。第1処理については、後で
図3を参照しながら詳しく説明する。
【0039】
ステップS13では、変速機コントローラ40は、タービン回転速度Ntが所定回転速度Ntsよりも高いか判定する。なお、車両100の前進走行中は、ロックアップクラッチ2a及び前進クラッチ3aが締結状態となるので、タービン回転速度Ntとプライマリ回転速度Npとエンジン回転速度とが等しい。
【0040】
タービン回転速度Nt(=エンジン回転速度)が高いほど運転者がスポーティな走行を所望していると考えられる。所定回転速度Ntsは、速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高くない場合であっても、運転者が引き続きスポーティな走行を所望している可能性があると考えられる閾値である。所定回転速度Ntsは、車両100の諸元、実験等に基づいて予め設定される。
【0041】
変速機コントローラ40は、タービン回転速度Ntが所定回転速度Ntsよりも高いと判定すると、処理をステップS14に進める。また、変速機コントローラ40は、タービン回転速度Ntが所定回転速度Ntsよりも高くないと判定すると、処理をステップS15に進める。
【0042】
ステップS14では、変速機コントローラ40は、第2処理を実行することを決定する。第2処理については、後で
図4を参照しながら詳しく説明する。
【0043】
ステップS15では、変速機コントローラ40は、第3処理を実行することを決定する。第3処理については、後で
図5を参照しながら詳しく説明する。
【0044】
続いて、
図3を参照しながら、第1処理について説明する。
図3は、第1処理のフローチャートである。第1処理は、判定処理で第1処理を行うと判定された場合に実行される。
【0045】
ステップS21では、変速機コントローラ40は、リニア変速制御によるアップシフトを実行する。具体的には、リニア変速制御用の変速マップ等を用いて、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行う。
【0046】
ステップS22では、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さいか判定する。
【0047】
変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さいと判定すると、処理をステップS23に進める。また、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくないと判定すると、処理をステップS21に戻して、リニア変速制御によるアップシフトを継続して実行する。
【0048】
アクセルの戻し操作量が小さい場合は、運転者がアクセル開度APOを微調整している可能性がある。つまり、すぐにアクセルが踏み込まれる可能性がある。所定開度APOsは、運転者がすぐにアクセルを踏み込んだ場合に備えてリニア変速制御を継続することが、運転者の意図に沿うと考えられる閾値である。所定開度APOsは、車両100の諸元、実験等に基づいて予め設定される。
【0049】
なお、ステップS23に進むより前にアクセル開度APOが増加した場合は、変速機コントローラ40は、第1処理を終了して、アクセル開度APOに応じてリニア変速制御による変速を実行する。
【0050】
ステップS23では、変速機コントローラ40は、バリエータ4の変速比を、アクセル開度APOが所定開度APOsになったときの変速比で固定する。
【0051】
これにより、エンジン回転速度が、運転者がアクセルを踏みこんだ場合にスポーティな加速感が得られる回転速度領域で維持される。つまり、運転者のスポーティな走行を所望する意図に沿った変速制御が実現される。
【0052】
ステップS24では、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが増加したか判定する。
【0053】
変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが増加したと判定すると、処理をステップS25に移行する。また、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが増加していないと判定すると、処理をステップS26に移行する。
【0054】
ステップS25では、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOに応じて通常変速制御による変速を実行する。
【0055】
これにより、運転者がアクセルを大きく踏み込んだ場合は、ステップS23で固定された変速比を起点として、エンジン回転速度が上昇するようにダウンシフトが実行される。また、運転者がアクセルを小さく踏み込んだ場合は、ステップS23で固定された変速比を起点として、エンジン回転速度が低下するようにアップシフトが実行される。
【0056】
ステップS26では、変速機コントローラ40は、ステップS23で変速比を固定してから第1所定時間が経過したか判定する。第1所定時間は、車両100の諸元、実験等に基づいて予め設定される。
【0057】
変速機コントローラ40は、第1所定時間が経過したと判定すると、処理をステップS25に移行する。また、変速機コントローラ40は、第1所定時間が経過していないと判定すると、処理をステップS24に戻す。
【0058】
これにより、運転者がアクセルを踏み込まずに第1所定時間が経過すると、通常変速制御による変速が実行される。つまり、ステップS23で固定された変速比を起点として、通常変速制御の変速マップにおけるコースト線に沿うようにアップシフトが実行される。
【0059】
このように、運転者がアクセルを踏み込まない場合は、通常変速制御によるコースト走行に移行することで、燃費を抑制できる。
【0060】
続いて、
図4を参照しながら、第2処理について説明する。
図4は、第2処理のフローチャートである。第2処理は、判定処理で第2処理を行うと判定された場合に実行される。
【0061】
第2処理におけるステップS31、ステップS32の処理は、第1処理におけるステップS21、ステップS22の処理と同様である。
【0062】
ステップS33では、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが所定開度APOsになったときの変速比を起点として、所定変速比までアップシフトを行う。
【0063】
なお、ステップS34に進むより前にアクセル開度APOが増加した場合は、変速機コントローラ40は、第2処理を終了して、アクセル開度APOに応じてリニア変速制御による変速を実行する。
【0064】
ステップS34では、変速機コントローラ40は、変速比を所定変速比で固定する。つまり、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比よりもHigh側で変速比を固定する。
【0065】
上述したように、第2処理は、運転者が引き続きスポーティな走行を所望している可能性があると考えられる状況で実行される。よって、所定変速比は、例えば、アクセル開度APOが所定開度APOsになったときの変速比と、通常変速制御の変速マップにおけるコースト線によって定まる変速比と、の中間の変速比とすることが考えられる。
【0066】
これによれば、エンジン回転速度が、運転者がアクセルを踏み込んだ場合にある程度の加速感が得られる回転速度領域で維持される。また、運転者がスポーティな走行を終了する意図であった場合でも、エンジン回転速度が半分程度まで低下した状態で維持されることで、運転者に違和感を与えることを抑制できる。
【0067】
なお、このような効果を得ることに鑑みると、アクセル開度APOが所定開度APOsになったときのエンジン回転速度とコースト走行におけるエンジン回転速度との差が、所定値以上であることが好ましい。所定値は、例えば、1000[rpm]である。所定値は、判定処理における所定回転速度Ntsを設定する際に考慮される。
【0068】
しかしながら、このような効果は、アクセル開度APOが所定開度APOsになったときの変速比から少しでもHigh側で変速比を固定すれば、得ることができるとも言える。つまり、所定変速比は、上記に限られるものはない。所定変速比は、例えば、車両100の諸元、実験等に基づいて予め設定した専用の変速マップを用いて決定してもよい。
【0069】
ステップS35、ステップS36の処理は、第1処理におけるステップS24、ステップS25の処理と同様である。
【0070】
これにより、運転者がアクセルを大きく踏み込んだ場合は、ステップS34で固定された変速比を起点として、エンジン回転速度が上昇するようにダウンシフトが実行される。また、運転者がアクセルを小さく踏み込んだ場合は、ステップS34で固定された変速比を起点として、エンジン回転速度が低下するようにアップシフトが実行される。
【0071】
ステップS37では、変速機コントローラ40は、ステップS34で変速比を固定してから第2所定時間が経過したか判定する。第2所定時間は、車両100の諸元、実験等に基づいて予め設定される。
【0072】
変速機コントローラ40は、第2所定時間が経過したと判定すると、処理をステップS36に移行する。また、変速機コントローラ40は、第2所定時間が経過していないと判定すると、処理をステップS35に戻す。
【0073】
これにより、運転者がアクセルを踏み込まずに第2所定時間が経過すると、通常変速制御による変速が実行される。つまり、ステップS34で固定された変速比を起点として、通常変速制御の変速マップにおけるコースト線に沿うようにアップシフトが実行される。なお、第2所定時間は、第1所定時間と同じであってもよい。
【0074】
このように、運転者がアクセルを踏み込まない場合は、通常変速制御によるコースト走行に移行することで、燃費を抑制できる。
【0075】
続いて、
図5を参照しながら、第3処理について説明する。
図5は、第3処理のフローチャートである。第3処理は、判定処理で第3処理を行うと判定された場合に実行される。
【0076】
第3処理におけるステップS41、ステップS42の処理は、第1処理におけるステップS21、ステップS22の処理と同様である。
【0077】
なお、ステップS43に進むより前にアクセル開度APOが増加した場合は、変速機コントローラ40は、第3処理を終了して、アクセル開度APOに応じてリニア変速制御による変速を実行する。
【0078】
ステップS43では、変速機コントローラ40は、アクセル開度APOに応じて通常変速制御による変速を実行する。
【0079】
上述したように、第3処理は、速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高くない場合、且つ、タービン回転速度Ntが所定回転速度Ntsよりも高くない場合に実行される。
【0080】
このような場合は、運転者がスポーティな走行を意図していない可能性が高い。また、第2処理のように、アクセル開度APOが所定開度APOsになったときの変速比からアップシフトして変速比を固定しようとしても、エンジン回転速度が低回転になって不安定になるおそれがある。そのため、第3処理では、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、速やかに通常変速制御に移行する。
【0081】
次に、
図6~
図8を参照しながら、リニア変速制御の実行中にアクセル戻し操作が行われた場合の車両100の状態について説明する。
図6は、第1処理が実行される場合のタイミングチャートの一例である。
図7は、第2処理が実行される場合のタイミングチャートの一例である。
図8は、第3処理が実行される場合のタイミングチャートの一例である。
【0082】
まず、
図6を参照しながら、第1処理が実行される場合について説明する。
図6では、アクセル戻し操作が行われ、その後にアクセルが小さく踏み込まれている。なお、一転鎖線の目標タービン回転速度TNtは、時刻t12以降に通常変速制御が実行される場合の目標タービン回転速度TNtの推移を比較例として示したものである。
【0083】
時刻t11では、アクセル戻し操作が開始されてアクセル開度APOが減少し、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高くなる。
【0084】
また、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下して、タービン回転速度Ntが低下する。つまり、リニア変速制御によるアップシフトが開始される。
【0085】
時刻t12でアクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、リニア変速制御が終了して変速比が固定される。
【0086】
時刻t13では、アクセル戻し操作が終了してアクセル開度APOがゼロになる。第1処理では、時刻t12でバリエータ4の変速比が固定されるので、目標タービン回転速度TNtは、車速の低下に応じて低下していく。これに対して、比較例の場合は、時刻t12から時刻t13にかけて、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下する。
【0087】
図6では、時刻t13から時刻t15までの間は、アクセル開度APOがゼロのままとなっている。よって、タービン回転速度Ntは、時刻t14で目標タービン回転速度TNtと一致した後は、アクセル開度APOが増加する時刻t15まで、目標タービン回転速度TNtと一致した状態で車速に応じて低下する。
【0088】
時刻t15でアクセル開度APOが増加すると、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下する。つまり、通常変速制御によるアップシフトが実行される。最終的に、目標タービン回転速度TNtは、比較例の場合の目標タービン回転速度TNtと一致する。
【0089】
続いて、
図7を参照しながら、第2処理が実行される場合について説明する。
図7では、アクセル戻し操作が行われ、その後はアクセルオフが継続される。なお、一転鎖線の目標タービン回転速度TNtは、時刻t22以降に通常変速制御が実行される場合の目標タービン回転速度TNtの推移を比較例として示したものである。
【0090】
時刻t21では、アクセル戻し操作が開始されてアクセル開度APOが減少する。
図7の例では、時刻t21において、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOは所定速度dAPOsよりも低く、タービン回転速度Ntは所定回転速度Ntsよりも高い。
【0091】
また、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下して、タービン回転速度Ntが低下する。つまり、リニア変速制御によるアップシフトが開始される。
【0092】
時刻t22でアクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、リニア変速制御が終了する。そして、時刻t23にかけて目標タービン回転速度TNtが更に低下する。つまり、変速比が更にアップシフトされる。
【0093】
時刻t23では、変速比が所定変速比で固定される。
【0094】
時刻t24では、アクセル戻し操作が終了してアクセル開度APOがゼロになる。第2処理では、時刻t23でバリエータ4の変速比が固定されるので、目標タービン回転速度TNtは、車速の低下に応じて低下していく。これに対して、比較例の場合は、時刻t22から時刻t24にかけて、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下する。
【0095】
図7では、時刻t24以降は、アクセル開度APOがゼロのままとなっている。よって、タービン回転速度Ntは、時刻t25で目標タービン回転速度TNtと一致した後は、第2所定時間が経過する時刻t26まで、目標タービン回転速度TNtと一致した状態で車速に応じて低下する。
【0096】
時刻t26で第2所定時間が経過すると、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下する。つまり、通常変速制御によるアップシフトが実行される。
【0097】
図7の例では、通常変速制御の変速マップにおけるコースト線に沿うようにアップシフトが行われる。最終的に、目標タービン回転速度TNtは、比較例の場合の目標タービン回転速度TNtと一致する。これにより、車両100は、通常変速制御によるコースト走行状態となる。
【0098】
続いて、
図8を参照しながら、第3処理が実行される場合について説明する。
図8では、アクセル戻し操作が行われ、その後はアクセルオフが継続される。
【0099】
時刻t31では、アクセル戻し操作が開始されてアクセル開度APOが減少する。
図8の例では、時刻t31において、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOは所定速度dAPOsよりも低く、タービン回転速度Ntは所定回転速度Ntsよりも低い。
【0100】
また、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下して、タービン回転速度Ntが低下する。つまり、リニア変速制御によるアップシフトが開始される。
【0101】
時刻t32でアクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、リニア変速制御が終了する。
【0102】
そして、時刻t32から時刻t33にかけて、アクセル開度APOに応じて目標タービン回転速度TNtが低下する。つまり、通常変速制御によるアップシフトが実行される。これにより、車両100は、通常変速制御によるコースト走行状態となる。
【0103】
以上のように構成された自動変速機20の主な作用効果についてまとめて説明する。
【0104】
(1)車両100に搭載される自動変速機20は、車両100の走行中にアクセル開度APOが小さくなる場合において、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOが所定速度dAPOsより高い場合に、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比で固定する第1処理と、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOが所定速度dAPOs以下で、タービン回転速度Ntが所定回転速度Ntsより高い場合に、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、アクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比から更にアップシフトを行ってアクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比よりもHigh側で変速比を固定する第2処理と、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOが所定速度dAPOs以下で、タービン回転速度Ntが所定回転速度Nts以下の場合に、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、アクセル開度APOに応じて更にアップシフトを行う第3処理と、を有する。
【0105】
これによれば、アクセル開度APOが小さくなる場合に、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比で固定して、エンジン回転速度を高い状態で維持する第1処理と、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、アクセル開度APOに応じて更にアップシフトを行い、エンジン回転速度を低下させる第3処理とに、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、アクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比から更にアップシフトを行ってアクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比よりもHigh側で変速比を固定する第2処理を加えたので、運転者の意図に対して、エンジン回転速度が高すぎたり、低くなり過ぎたりすることを抑制できる。すなわち、アクセル開度APOが小さくなる場合に、運転者の意図に反した変速制御が実行されることを抑制できる。
【0106】
(2)(4)(5)車両100に搭載された自動変速機20は、車両100の走行中にアクセル開度APOが小さくなる場合において、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、アクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比から更にアップシフトを行ってアクセル開度APOが所定開度APOsのときの変速比よりもHigh側で変速比を固定し、その後に、固定された変速比から更にアップシフトを行う。
【0107】
これによれば、アクセル開度APOが小さくなる場合に、所定開度APOsまではアクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると所定開度APOsのときの変速比から更にアップシフトを行って変速比を固定し、その後に、固定された変速比から更にアップシフトを行う。よって、エンジン回転速度が低下しすぎたり、変速比が固定されなかったり、変速比が固定されるのが好ましくない状況で変速比が固定されたりすることが抑制される。すなわち、アクセル開度APOが小さくなる場合に、運転者の意図に反した変速制御が実行されることを抑制できる。
【0108】
(3)自動変速機20は、車両100の走行中にアクセル開度APOが小さくなる場合において、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高い場合は、所定開度APOsまでは、アクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると、変速比を固定する。
【0109】
これによれば、アクセル開度APOが小さくなる場合において、アクセル開度APOが小さくなる速度dAPOが所定速度dAPOsよりも高い場合は、所定開度APOsまではアクセル開度APOに応じてアップシフトを行い、アクセル開度APOが所定開度APOsよりも小さくなると変速比を固定する。よって、運転者の意図に沿った変速制御を実行することができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0111】
例えば、上記実施形態では、無段変速機構がバリエータ4である場合について説明した。しかしながら、無段変速機構は、他の無段変速機構であってもよい。
【0112】
変速機コントローラ40が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0113】
100 車両
20 自動変速機(無段変速機)
40 変速機コントローラ(コンピュータ)