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特許7526297複合中空糸膜、その製造方法、これを含む中空糸膜カートリッジ及び燃料電池膜加湿器
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  • 特許-複合中空糸膜、その製造方法、これを含む中空糸膜カートリッジ及び燃料電池膜加湿器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】複合中空糸膜、その製造方法、これを含む中空糸膜カートリッジ及び燃料電池膜加湿器
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20240724BHJP
   B01D 69/08 20060101ALI20240724BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20240724BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20240724BHJP
   B01D 71/32 20060101ALI20240724BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240724BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240724BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240724BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240724BHJP
   H01M 8/04119 20160101ALI20240724BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240724BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240724BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D69/08
B01D63/02
B01D71/68
B01D71/32
B01D69/12
B01J20/20 E
B01J20/26 A
B01J20/30
H01M8/04119
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023016252
(22)【出願日】2023-02-06
(62)【分割の表示】P 2020564318の分割
【原出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2023058569
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0067556
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】アン ナヒョン
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0273390(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014205029(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014221241(DE,A1)
【文献】特開2000-015066(JP,A)
【文献】特開2011-146175(JP,A)
【文献】国際公開第2017/040761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
B01J 20/00-20/28
B01J 20/30-20/34
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を選択的に透過させることが出来る中空糸膜を準備する段階と、
前記中空糸膜の中空に沿って流れる空気から、窒素酸化物、硫黄酸化物、アンモニア又はこれらの中で2種以上の混合物を含む汚染物質を除去するために、汚染物質捕集物質(pollutant entrapping material)を含むコーティング混合物を前記中空糸膜の内表面上にコートする段階と、を含み、
前記汚染物質捕集物質は、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)(PFSA)、スルホン化ポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone、S-PES)、スルホン化ポリアーリルエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化ポリスチレン(sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化ポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone、S-PEK)、及びスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone、S-PEEK)からなる群から選択される1種以上の酸性ポリマー(acidic polymer)を含む、ことを特徴とする、複合中空糸膜の製造方法。
【請求項2】
前記コーティング混合物は、前記汚染物質捕集物質が溶媒に溶解している溶液又は前記汚染物質捕集物質が分散媒に分散されている分散液である、請求項1に記載の複合中空糸膜の製造方法。
【請求項3】
前記コーティング混合物は、前記コーティング混合物総重量に対し、前記汚染物質捕集物質を1重量%~30重量%含む、請求項1に記載の複合中空糸膜の製造方法。
【請求項4】
前記コートする段階は、前記コーティング混合物を前記中空糸膜の中空を通して循環させる段階を含む、請求項1に記載の複合中空糸膜の製造方法。
【請求項5】
複数の前記中空糸膜から中空糸膜束を準備する段階と、
第1流体が前記中空糸膜の中空に沿って流れ、第2流体が前記中空糸膜の外部に流れるように、前記中空糸膜束が内部に配置された中空糸膜モジュールを製造する段階とをさらに含み、
前記コートする段階は前記中空糸膜モジュールの製造後に行う、請求項4に記載の複合中空糸膜の製造方法。
【請求項6】
前記コーティング混合物の粘度は50~10,000cpsであり、
前記コーティング混合物は0.1~30LPMの流量で循環される、請求項4に記載の複合中空糸膜の製造方法。
【請求項7】
前記コートする段階は、前記コーティング混合物の循環段階の後、乾燥空気を前記中空糸膜の外部を通して循環させる段階をさらに含む、請求項4に記載の複合中空糸膜の製造方法。
【請求項8】
前記乾燥空気の循環段階は、10~150℃の乾燥空気を1~1,000LPMの流量で循環させることによって行う、請求項7に記載の複合中空糸膜の製造方法。
【請求項9】
第1流体が流入する第1流体流入口、第1流体が流出する第1流体流出口、第2流体が流入する第2流体流入口、及び第2流体が流出する第2流体流出口を含むハウジング部と、
前記第1及び第2流体の間の水分交換をそれぞれ行う複数の複合中空糸膜を有し、該複数の複合中空糸膜は、前記第1流体は前記複合中空糸膜の中空に沿って流れるとともに前記第2流体は前記複合中空糸膜の外部で流れるように前記ハウジング部の内部に設けられ、
前記第1流体は、外部から供給されて前記水分交換によって加湿される低湿空気であり、
前記複合中空糸膜のそれぞれは、
中空糸膜と、
前記低湿空気が流れる前記中空糸膜の内表面上にコートされて、前記低湿空気と直接接触することにより、前記低湿空気から、窒素酸化物、硫黄酸化物、アンモニア又はこれらの中で2種以上の混合物を含む汚染物質を除去することができる汚染物質捕集層とを含み、
前記汚染物質捕集層は、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)(PFSA)、スルホン化ポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone、S-PES)、スルホン化ポリアーリルエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化ポリスチレン(sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化ポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone、S-PEK)、及びスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone、S-PEEK)からなる群から選択される1種以上の酸性ポリマー(acidic polymer)を含むことを特徴とする、燃料電池膜加湿器。
【請求項10】
前記汚染物質捕集層は、バイオチャー、チャコール、活性炭、又はこれらの中で2種以上の混合物を含む、請求項9に記載の燃料電池膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合中空糸膜、その製造方法、これを含む中空糸膜カートリッジ及び燃料電池膜加湿器に関するもので、より詳しくは別途のガスフィルター装置なしにも加湿過程で窒素酸化物(NOx)、硫酸化物(SOx)、アンモニア(NH3)などのガスを除去して燃料電池の性能低下を防止することができる複合中空糸膜、その製造方法、これを含む中空糸膜カートリッジ及び燃料電池膜加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池とは違い、水素と酸素が供給される限り、ずっと電気を生産することができ、熱損失がなくて内燃機関より効率が2倍程度高いという利点がある。
【0003】
また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するから、公害物質の排出が少ない。よって、燃料電池は環境に優しいだけでなく、エネルギー消費増加による資源枯渇に対するおそれを減らすことができるという利点を有する。
このような燃料電池は、使われる電解質の種類によって、大きくは、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(AFC)などに分類することができる。
【0004】
これらの燃料電池のそれぞれは根本的に同じ原理によって作動するが、使われる燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。このうち、高分子電解質型燃料電池は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高くて小型化が可能であるから、小規模据置型発電装備だけではなく輸送システムにおいても最も有望なものであると知られている。
【0005】
高分子電解質型燃料電池の性能を向上させることにおいて最も重要な要因の一つは、膜電極組立体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane)[陽子交換膜(Proton Exchange Membrane)ともいう](PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持するようにすることである。高分子電解質膜が乾燥すれば、発電効率が急激に低下するからである。
【0006】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な水分量を計算し、ソレノイドバルブを通してガス流動管(gas stream pipe)に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガス流動層(gas fluid bed)に水分を供給する膜加湿方式などがある。
【0007】
これらの中でも、排気ガス中に含まれる水蒸気のみ選択的に透過させる膜を用いて水蒸気を、高分子電解質膜に供給されるガスに提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化することができるという点で有利である。
【0008】
膜加湿方式に使われる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積の大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能であり、小容量でも燃料電池を十分に加湿することができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出されるオフガスに含まれた水分及び熱を回収して加湿器を通して再使用することができるという利点を有する。
【0009】
ここで、燃料電池システムにおいて圧縮機及びブロワーから供給される高温の空気は加湿器を介してスタックに流入し、前記空気中に含まれている窒素酸化物(NOx)、硫酸化物(SOx)、アンモニア(NH)などの汚染物質が燃料電池のスタックに流入すればスタックの性能を低下させることがある。よって、空気圧縮機/ブロワーの前端又は後端にこのような汚染物質を除去することができる別途のガスフィルター装置が使われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は別途のガスフィルター装置なしにも加湿過程で窒素酸化物(NOx)、硫酸化物(SOx)、アンモニア(NH)などの汚染物質を除去して燃料電池の性能低下を防止することができる複合中空糸膜を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は前記複合中空糸膜の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は前記複合中空糸膜を含む中空糸膜カートリッジを提供することである。
本発明のさらに他の目的は前記複合中空糸膜を含む燃料電池膜加湿器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例によれば、中空糸膜と、前記中空糸膜の内表面(inner surface)上にコートされ、前記中空糸膜の中空(lumen)に沿って流れる空気から汚染物質を除去することができる汚染物質捕集層(pollutant entrapping layer)とを含む複合中空糸膜を提供する。
【0013】
前記汚染物質は、窒素酸化物、硫酸化物、アンモニア、又はこれらの中で2種以上の混合物を含む。
【0014】
前記汚染物質捕集層は、バイオチャー(biochar)、チャコール(charcoal)、活性炭(active carbon)、又はこれらの中で2種以上の混合物を含めることができる。
【0015】
代案として又は追加として、前記汚染物質捕集層は、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)(PFSA)、スルホン化ポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone、S-PES)、スルホン化ポリアーリルエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化ポリスチレン(sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化ポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone、S-PEK)、及びスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone、S-PEEK)からなる群から選択される1種以上の酸性ポリマー(acidic polymer)を含むことができる。
【0016】
前記汚染物質捕集層は、前記複合中空糸膜総重量に対し、1重量%~50重量%の量で前記複合中空糸膜内に存在することができる。
【0017】
前記中空糸膜の平均気孔サイズは0.1nm~100,000nmであり、前記複合中空糸膜の平均気孔サイズは0.05nm~90,000nmであり、前記中空糸膜の平均気孔サイズに対する前記複合中空糸膜の平均気孔サイズの比は50%以上である。
前記中空糸膜の多孔度は50%~90%であり、前記複合中空糸膜の多孔度は45%~85%であり、前記中空糸膜の多孔度に対する前記複合中空糸膜の多孔度の比は94.4%以上である。
【0018】
本発明の他の一実施例によれば、中空糸膜を準備する段階と、前記中空糸膜の中空に沿って流れる空気から汚染物質を除去するために、汚染物質捕集物質(pollutant entrapping material)を含むコーティング混合物を前記中空糸膜の内表面上にコートする段階とを含む、複合中空糸膜の製造方法を提供する。前記汚染物質は、窒素酸化物、硫酸化物、アンモニア、又はこれらの中で2種以上の混合物を含む。
【0019】
前記コーティング混合物は前記汚染物質捕集物質が溶媒に溶解している溶液又は前記汚染物質捕集物質が分散媒に分散されている分散液である。
前記コーティング混合物は、前記コーティング混合物総重量に対し、前記汚染物質捕集物質を1重量%~30重量%含むことができる。
前記コーティング段階は、前記コーティング混合物を前記中空糸膜の中空を通して循環させる段階を含むことができる。
【0020】
前記複合中空糸膜の製造方法は、複数前記中空糸膜から中空糸膜束を準備する段階と、第1流体が前記中空糸膜の中空に沿って流れるとともに第2流体が前記中空糸膜の外部で流れるように前記中空糸膜束が内部に配置された中空糸膜モジュールを製造する段階とをさらに含むことができ、前記コーティング段階は前記中空糸膜モジュール製造の後に遂行することができる。
前記コーティング混合物の粘度は50~10,000cpsであることができ、前記コーティング混合物は0.1~30LPMの流量で循環される。
【0021】
前記コーティング段階は、前記コーティング混合物の循環段階の後、乾燥空気を前記中空糸膜の外部を通して循環させる段階をさらに含むことができる。
前記乾燥空気の循環段階は10~150℃の乾燥空気を1~1,000LPMの流量で循環させることによって遂行することができる。
【0022】
本発明のさらに他の一実施例によれば、複数複合中空糸膜及び前記複合中空糸膜を収容するボディー部を含み、前記複合中空糸膜のそれぞれは、中空糸膜、及び前記中空糸膜の内表面上にコートされ、前記中空糸膜の中空に沿って流れる空気から汚染物質を除去することができる汚染物質捕集層を含む、中空糸膜カートリッジを提供する。前記汚染物質は、窒素酸化物、硫酸化物、アンモニア、又はこれらの中で2種以上の混合物を含む。
【0023】
本発明のさらに他の一実施例によれば、第1流体が流入する第1流体流入口、第1流体が流出する第1流体流出口、第2流体が流入する第2流体流入口、及び第2流体が流出する第2流体流出口を含むハウジング部と、前記第1及び第2流体の間の水分交換をそれぞれ行い、前記第1流体は前記複合中空糸膜の中空に沿って流れるとともに前記第2流体は前記複合中空糸膜の外部で流れるように前記ハウジング部の内部に設けられた複数の複合中空糸膜とを含み、前記第1及び第2流体の中で一つは、外部から供給されて前記水分交換によって加湿される低湿空気であり、前記複合中空糸膜のそれぞれは、中空糸膜と、前記中空糸膜の外表面と内表面の中で前記低湿空気が流れるいずれか一つ上にコートされて前記低湿空気と直接接触することにより、前記低湿空気から、窒素酸化物、硫酸化物、アンモニア又はこれらの中で2種以上の混合物を含む汚染物質を除去することができる汚染物質捕集層とを含む、燃料電池膜加湿器を提供する。
【0024】
前記汚染物質捕集層は、バイオチャー、チャコール、活性炭、又はこれらの中で2種以上の混合物を含むことができる。
【0025】
前記複合中空糸膜の中空に沿って流れる前記第1流体が前記低湿空気であり、前記汚染物質捕集層は前記中空糸膜の内表面上にコートされる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の複合中空糸膜は、別途のガスフィルター装置なしにも加湿過程で窒素酸化物(NOx)、硫酸化物(SOx)、アンモニア(NH)などのガスを除去して燃料電池の性能低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例による燃料電池膜加湿器を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例による燃料電池膜加湿器の多様な変形例を模式的に示す斜 視図である。
図3】本発明の一実施例による燃料電池膜加湿器の多様な変形例を模式的に示す斜 視図である。
図4】本発明の一実施例による燃料電池膜加湿器の多様な変形例を模式的に示す斜 視図である。
図5】本発明の一実施例による中空糸膜カートリッジを模式的に示す斜視図である 。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、ここでは特定の実施例を例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物乃至代替物を含むものに理解されなければならない。
【0029】
本発明で使用した用語はただ特定の実施例を説明するために使用したものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上で明白に他に指示しない限り、複数の表現を含む。本発明で、‘含む’又は‘有する’などの用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組合せの存在又は付加の可能性を予め排除しないものに理解されなければならない。
【0030】
本発明の一実施例による複合中空糸膜は、中空糸膜、及び前記中空糸膜の内表面上にコートされ、前記中空糸膜の中空に沿って流れる空気から汚染物質を除去することができる汚染物質捕集層を含む。
【0031】
前記汚染物質捕集層によって除去される前記汚染物質は、窒素酸化物(NOx)、硫酸化物(SOx)、アンモニア(NH)、又はこれらの中で2種以上の混合物を含むことができる。
本明細書で使われる用語‘中空糸膜’は、‘複合中空糸膜’と明示的に記載されていない限り、前記複合中空糸膜の一構成要素である通常の中空糸膜(normal hollow fiber membrane)を意味し、‘単一層の中空糸膜(single-layered hollow fiber membrane)’又は‘ブレード強化中空糸膜(braid-reinforced hollow fiber membrane)’であることができる。前記中空糸膜の素材(ブレード強化中空糸膜の場合には、チューブ型ブレードの外表面上にコートされた高分子フィルムの素材)は水分を選択的に透過させることができるものであればいずれも使うことができる。例えば、前記中空糸膜は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアーリレンスルホン、ポリアーリレンエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ-ジオキサ-メチル-オクタンスルホン酸共重合体、これらの共重合体、又はこれらの混合物を含むことができる。
【0032】
前記汚染物質捕集層がコートされている前記中空糸膜の内表面は前記中空糸膜の前記中空と向き合う表面を意味する。
【0033】
前記複合中空糸膜は前記汚染物質捕集層を含むことにより、別途のガスフィルター装置なしにも加湿過程で窒素酸化物(NOx)、硫酸化物(SOx)、アンモニア(NH)などの汚染物質を捕集して燃料電池の性能低下を防止することができる。すなわち、燃料電池システムにおいて圧縮機及びブロワーから供給される高温の空気が加湿器を介してスタックに流入し、前記空気中に含まれている一酸化窒素(Nitric oxide、NO)、二酸化窒素(Nitrogen dioxide、NO)、一酸化二窒素(Dinitrogen monoxide、NO)、三酸化二窒素(Dinitrogen trioxide、N)、四酸化二窒素(Dinitrogen tetroxide、N)、五酸化二窒素(Dinitrogen pentoxide、N)などの窒素酸化物(NOx)、又は二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、亜硫酸(HSO)、硫酸(HSO)などの硫酸化物(SOx)、及びアンモニア(NH)などの汚染物質が燃料電池のスタックに流入すればスタックの性能を低下させることがある。本発明は、前記空気の加湿の際に前記複合中空糸膜に含まれている前記汚染物質捕集層によって前記汚染物質を捕集することにより(すなわち、前記スタックに空気が流入する前に前記空気から前記物質を除去することにより)燃料電池の性能低下を
防止することができる。
【0034】
前記汚染物質捕集層は、汚染物質捕集物質として、バイオチャー(biochar)、チャコール(charcoal)、活性炭(active carbon)、又はこれらの中で2種以上の混合物を含むことができる。
【0035】
ここで、前記汚染物質捕集物質の粒径は0.1μm~50μm、具体的に0.1μm~5μmである。前記汚染物質捕集物質の粒径が前記範囲を外れる場合、前記汚染物質捕集物質が流動によって損失されるか前記汚染物質捕集層の汚染物質捕集効率が低下することがある。
【0036】
代案として又は追加として、前記汚染物質捕集層は、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)(PFSA)、スルホン化ポリエーテルスルホン(sulfonated polyethersulfone、S-PES)、スルホン化ポリアーリルエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化ポリスチレン(sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化ポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone、S-PEK)、及びスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone、S-PEEK)からなる群から選択される1種以上の酸性ポリマー(acidic polymer)を含むことができる。
【0037】
ここで、前記汚染物質捕集層の厚さは0.1μm~30μm、具体的に1μm~10μmである。前記汚染物質捕集層の厚さが0.1μm未満の場合、汚染物質捕集効率が低下することがあり、30μmを超える場合、加湿性能が低下することがある。
【0038】
前記汚染物質捕集層は、前記複合中空糸膜総重量に対し、1重量%~50重量%、具体的に5重量%~20重量%の量で前記複合中空糸膜内に存在することができる。前記汚染物質捕集層の含量が前記複合中空糸膜総重量に対して1重量%未満の場合、汚染物質捕集効率が低下することがあり、50重量%を超える場合、複合中空糸膜の機械的物性が低下することがある。
【0039】
一方、後述するように、前記複合中空糸膜は前記汚染物質捕集物質を含むコーティング混合物を前記中空糸膜の中空を通して循環させて製造することができる。ここで、乾燥空気を前記中空糸膜の外部で流れるようにして水分が交換されるようにすることによって前記汚染物質捕集層を形成することができる。すなわち、水分が交換されるようにしながら前記汚染物質捕集層を形成することにより、前記中空糸膜の気孔が前記汚染物質捕集層によって詰まるか多孔度が変化することがないようにすることができる。よって、本発明の一実施例によれば、加湿効率の低下なしに複合中空糸膜の汚染物質捕集層によって汚染物質を効率的に捕集することができる。
これにより、平均気孔サイズ及び多孔度の面で前記中空糸膜と前記複合中空糸膜との間に大きな差が存在しない。
【0040】
具体的に、前記中空糸膜の平均気孔サイズは0.1nm~100,000nm、具体的に0.4nm~30,000nmであることができ、前記中空糸膜の多孔度は50%~90%、具体的に65%~85%である。前記中空糸膜の平均気孔サイズが0.1nm未満の場合、加湿性能が低下することがあり、100,000nmを超える場合、前記複合中空糸膜の物理的強度が低下することがある。また、前記中空糸膜の多孔度が50%未満の場合、加湿性能が低下することがあり、90%を超える場合、前記複合中空糸膜の物理的強度が低下することがある。
【0041】
また、前記複合中空糸膜の平均気孔サイズは0.05nm~90,000nm、具体的に0.4nm~30,000nmであることができ、前記複合中空糸膜の多孔度は45%~85%、具体的に63%~83%である。前記複合中空糸膜の平均気孔サイズが0.05nm未満の場合、加湿性能が低下することがあり、90,000nmを超える場合、前記複合中空糸膜の物理的強度が低下することがある。また、前記複合中空糸膜の多孔度が45%未満の場合、加湿性能が低下することがあり、85%を超える場合、前記複合中空糸膜の物理的強度が低下することがある。
【0042】
これにより、前記汚染物質捕集層のコーティングによる平均気孔サイズの変化率は50%以下、具体的に10%~50%である(すなわち、中空糸膜の平均気孔サイズに対する複合中空糸膜の平均気孔サイズの比は50%以上、具体的には50%~90%である)。また、汚染物質捕集層のコーティングによる多孔度の変化率は5.6%以下、具体的に1%~3%である(すなわち、中空糸膜の多孔度に対する複合中空糸膜の多孔度の比は94.4%以上、具体的に94.4%~97%である)。前記平均気孔サイズの変化率及び多孔度の変化率はそれぞれ以下の式1及び式2によってそれぞれ計算することができる。
【0043】
(数1)
平均気孔サイズ変化率(%)=[(中空糸膜の平均気孔サイズ-複合中空糸膜の平均気孔サイズ)/中空糸膜の平均気孔サイズ]×100
(数2)
多孔度変化率(%)=[(中空糸膜の多孔度-複合中空糸膜の多孔度)/中空糸膜の多孔度]×100
【0044】
前記中空糸膜の平均気孔サイズに対する前記複合中空糸膜の平均気孔サイズの比が50%未満であれば(すなわち、前記平均気孔サイズ変化率が50%を超えれば)加湿性能が低下することがあり、前記中空糸膜の平均多孔度に対する前記複合中空糸膜の多孔度の比が94.4%未満であれば(すなわち、前記多孔度変化率が5.6%を超えれば)加湿性能が低下することがある。
【0045】
本発明の他の一実施例による中空糸膜の製造方法は、中空糸膜を準備する段階、及び汚染物質捕集物質を含むコーティング混合物を前記中空糸膜の内表面上にコートする段階を含む。
【0046】
まず、中空糸膜形成用高分子及び溶媒を含む中空糸膜形成用組成物を製造する。
前記中空糸膜形成用高分子は前記中空糸膜の素材に関連した部分で説明したものと同一であるので、反復説明は省略する。
【0047】
前記溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミド(dimethyl acetamide、DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(dimethyl formamide、DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、メチルエチルケトン(MEK)、ガンマブチロラクトン(γ-butyrolactone)、スルホラン(sulfolane)、又は1,3-ジメチル(dimethyl)-2-イミダゾリジノンなどを例として挙げることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0048】
前記中空糸膜形成用高分子は、前記中空糸膜形成用組成物総重量に対し、10重量%~50重量%含まれ、具体的に13重量%~38重量%含まれる。前記中空糸膜形成用高分子の含量が10重量%未満の場合、製造安全性が低下することがあり、50重量%を超える場合、加湿性能が低下することがある。
【0049】
前記中空糸膜形成用組成物は添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤は、ソルビトール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、塩化リチウム、臭化リチウム、水及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか1種である。
【0050】
前記製造された中空糸膜形成用組成物を紡糸し、外部凝固液に浸漬して前記中空糸膜を製造する。ここで、内部凝固液を一緒に紡糸することもできる。
前記紡糸ノズルは単管型ノズル又は多重管型紡糸ノズルである。前記多重管型紡糸ノズルを用いる場合、外部管としては中空糸膜形成用組成物を注入し、内部管としては内部凝固液を同時に注入して紡糸することができる。前記紡糸ノズルは50℃~150℃に維持することが好ましく、温度が50℃未満の場合、紡糸原液の粘度が大きく増加して紡糸が円滑にならないことがあり、150℃を超えれば、断糸が発生して連続紡糸が難しくなることがある。
【0051】
前記内部凝固液は前記中空糸膜の中空を形成する役割をし、水、ポリビニルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド(dimethyl acetamide、DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(dimethyl formamide、DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、メチルエチルケトン(MEK)、ガンマブチロラクトン(γ-butyrolactone)、スルホラン(sulfolane)、1,3-ジメチル(dimethyl)-2-イミダゾリジノン及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか1種の溶媒と、ソルビトール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、塩化リチウム、臭化リチウム、水及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤とを混合した混合溶液である。
【0052】
前記内部凝固液は、前記溶媒と前記添加剤の混合重量比が70:30~40:60である。前記添加剤の重量比が30未満の場合、フィンガー形態のマクロ気孔が中空糸膜全体に形成されることができ、前記添加剤の重量比が60を超える場合、相転移速度が遅くて内部が詰まった構造の中空糸膜が得られることがある。
【0053】
前記中空糸膜形成用組成物と前記内部凝固剤を紡糸ノズルを通してそれぞれ吐き出した後、外部凝固液に浸漬して固化させることによって前記中空糸膜を形成することができる。ここで、前記外部凝固液は、本発明で特別な制限はないが、一例として、水、ジブチルフタレート(dibutyl phthalate)、ジメチルフタレート(dimethyl phthalate)、ジエチルフタレート(diethyl phthalate)、ジオクチルフタレート(dioctyl phthalate)、ジオクチルセバケート(dioctyl sebacate)、グリセロールトリアセテート(glycerol triacetate)、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか1種である。
【0054】
前記外部凝固液を含む凝固槽の温度は10℃~110℃、具体的に60℃~100℃に維持して前記紡糸された中空糸膜を凝固させることができる。前記凝固槽の温度が10℃未満であれば、前記中空糸膜形成用組成物の温度が急激に低下して好ましい構造が具現されにくいことがあり、110℃を超えれば、前記中空糸膜形成用組成物の固化が遅く進行して断糸が発生することがある。
【0055】
選択的に、前記製造された中空糸膜を延伸溶液を含む延伸機内で連続的にフィードして延伸する段階をさらに含むことができる。前記延伸工程で、前記延伸溶液は、エチレングリコール、グリセロール、分子量400g/mol以下のポリエチレングリコール、水及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか1種である。
【0056】
前記延伸は15℃~150℃の延伸温度で1.1倍~2.0倍の延伸比で延伸することができる。前記延伸温度が15℃未満の場合、部分延伸が発生して前記中空糸膜が一定に延伸されないことがあり、150℃を超えれば、膜収縮と切糸が発生することがある。前記延伸比が前記中空糸膜の長さに対して1.1倍未満の場合、前記延伸による工程制御及び強度増加の効果が少なく、2.0倍を超える場合、膜厚が減少して機械的物性が弱くなることがある。
ついで、汚染物質捕集物質を含むコーティング混合物を前記中空糸膜の内表面上にコートする。
【0057】
まず、前記汚染物質捕集物質を含むコーティング混合物を製造する。前記コーティング混合物は、前記汚染物質捕集物質が溶媒に溶解している溶液又は前記汚染物質捕集物質が分散媒に分散されている分散液である。
【0058】
前記汚染物質捕集物質は前述したものと同一であるので、反復説明は省略する。前記溶媒又は分散媒は、イソプロピルアルコール、イソブタノール、ヘキサノール、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びこれらの混合物からなる群から選択されるいずれか1種である。
【0059】
前記コーティング混合物は添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤は、前記汚染物質捕集層の気孔構造及び気孔率を調節することで、前記中空糸膜の気孔が前記汚染物質捕集層によって詰まるか多孔度が変化することがないようにすることにより、加湿効率を低下させずに前記汚染物質を効率的に捕集することができるようにする。
【0060】
前記添加剤は、メトキシエタノール、ブトキシエタノール、テトラヒドロフラン、及びペンタノールからなる群から選択されるいずれか1種であることができる。前記添加剤は、前記溶媒/分散媒の水分交換速度を調節して前記汚染物質捕集層の気孔サイズを調節することができる。
【0061】
前記コーティング混合物は、その総重量に対し、前記溶媒を70重量%~99重量%、前記汚染物質捕集物質を1重量%~30重量%、及び、選択的に、残部の前記添加剤を含むことができる。前記汚染物質捕集物質の含量が1重量%未満の場合、コーティングができないことがあり、30重量%を超える場合、コーティング厚さが厚くなって加湿性能が低下して所要膜間差圧(Trans-Membrane Pressure:TMP)が増加することがある。
【0062】
一方、前記コーティング段階は、前記コーティング混合物を前記中空糸膜の中空を通して循環させる段階を含むことができる。
【0063】
ここで、乾燥空気を前記コーティング混合物が流れない中空糸膜の外部で流れるようにして水分が交換されるようにしながら前記汚染物質捕集層をコートすることができ、これにより、前記中空糸膜の気孔が前記汚染物質捕集層によって詰まるか多孔度が変化することがないようにすることにより、加湿効率を低下させずに前記汚染物質を効率的に捕集することができる。
【0064】
前記コーティング段階は中空糸膜モジュールを製造した後に遂行することもできる。具体的に、複数の前記中空糸膜から中空糸膜束を準備し、第1流体が前記中空糸膜の中空に沿って流れ、第2流体が前記中空糸膜の外部で流れるように、前記中空糸膜束が内部に配置された中空糸膜モジュールを製造し、ついで、前記コーティング混合物を前記中空糸膜の中空を通して循環させることができる。
【0065】
ここで、前記乾燥空気は前記中空糸膜の外部で循環させることができる。
前記コーティング混合物の粘度は50cps~10,000cpsである。また、前記コーティング混合物は、0.1LPM~30LPM、具体的に1LPM~10LPMの流量で循環することができる。前記コーティング混合物の粘度が50cps未満であるか、循環速度が0.1LPM未満の場合、汚染物質捕集層の厚さが余りにも厚くなることがあり、コーティング混合物の粘度が10,000cpsを超えるか、循環速度が30LPMを超える場合、コーティングができないことがある。
【0066】
また、前記乾燥空気の循環段階は、10℃~100℃、具体的に30℃~70℃の乾燥空気を1LPM~1,000LPM、具体的に50LPM~300LPMの流量で循環させることによって遂行することができる。前記乾燥空気の温度が10℃未満の場合、温度調節が難しいことがあり、100℃を超える場合、急速な乾燥によって前記汚染物質捕集層が割れることがある。前記乾燥空気の流量が0.1LPM未満の場合、乾燥速度が遅くてコーティングが不均一になることがあり、1,000LPMを超える場合、前記コーティング混合物の損失によってコーティングができないことがある。
【0067】
本発明のさらに他の一実施例による中空糸膜カートリッジは、複数の前記複合中空糸膜及び前記複合中空糸膜を収容するボディー部を含む。
【0068】
前記複合中空糸膜のそれぞれは、中空糸膜、及び前記中空糸膜の内表面上にコートされ、前記中空糸膜の中空に沿って流れる空気から汚染物質を除去することができる汚染物質捕集層を含む。
【0069】
また、本発明のさらに他の一実施例による燃料電池膜加湿器は、前記中空糸膜カートリッジを含む。
図1は前記燃料電池膜加湿器を模式的に示す斜視図、図2図4は前記燃料電池膜加湿器の多様な変形例を模式的に示す斜視図、図5は前記中空糸膜カートリッジを模式的に示す斜視図である。以下、図1図5を参照して前記中空糸膜カートリッジ及び燃料電池膜加湿器について説明する。
【0070】
図1図4に示すように、本発明の一実施例による燃料電池膜加湿器は、ハウジング部100と、中空糸膜カートリッジ200とを含むことができる。
【0071】
前記ハウジング部100は前記膜加湿器の外形を成す。前記ハウジング部100は、ハウジング胴体110と、ハウジングキャップ120とを含むことができ、これらが結合さた一体型であることもできる。前記ハウジング胴体110と前記ハウジングキャップ120はポリカーボネートなどの硬質プラスチック又は金属からなる。
【0072】
また、前記ハウジング胴体110と前記ハウジングキャップ120は単一閉曲線(simple closed curve)形の横断面を有することができる。例えば、図1及び図3に示すように、前記横断面が円形であるか、又は図2及び図4に示すように、前記横断面が多角形である。前記多角形は方形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などであり、前記多角形は角部がラウンド形態である。また、前記円形は楕円形である。
【0073】
前記ハウジング胴体110には、第2流体が供給される第2流体流入口131と、第2流体が排出される第2流体流出口132とがそれぞれ形成されている。
前記ハウジングキャップ120は前記ハウジング胴体110の両端にそれぞれ結合される。いずれか一方のハウジングキャップ120には第1流体流入口121が形成され、他方のハウジングキャップ120には第1流体流出口122が形成されている。一方のハウジングキャップ120の前記第1流体流入口121に流入した前記第1流体は本発明の複合中空糸膜Fの中空を通過した後、他方のハウジングキャップ120の前記第1流体流出口122を通して排出される。
【0074】
前記第1流体は低湿の流体であり、前記第2流体は高湿の流体である。代案として、前記第2流体が低湿の流体であり、前記第1流体が高湿の流体である。
【0075】
前記複合中空糸膜Fのそれぞれは、中空糸膜及び前記中空糸膜の外表面と内表面の中で前記低湿空気が流れる一つ上にコートされて前記低湿空気と直接接触することによって前記低湿空気から汚染物質を除去することができる汚染物質捕集層を含む。
【0076】
図1及び図2に示すように、前記燃料電池膜加湿器は一つの中空糸膜カートリッジ200を含むこともでき、図3及び図4に示すように、複数の中空糸膜カートリッジ200を含むこともできる。
【0077】
図1図5に示すように、前記中空糸膜カートリッジ200のそれぞれは、複合中空糸膜Fの束及びこれを取り囲むボディー部211を含むことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、前記燃料電池膜加湿器は前記ボディー部211なしに前記ハウジング部100の内部に直接前記複合中空糸膜Fの束を含むことができる。ここで、前記中空糸膜Fの束は前記ハウジング部100の内部に設けられた隔壁によって多数の副束(sub-bundles)に区画されることもできる。
【0078】
前記ボディー部211は前記中空糸膜カートリッジ200の外形を成し、前記ボディー部211の外周面には、前記ハウジング部100の内部に取り付けられるための構造物が形成され得る。また、前記ボディー部211は、前記第2流体流入口131に流入した前記第2流体が前記ボディー部211の内部に流入するようにする第1メッシュ部213と、前記中空糸膜カートリッジ200の内部で水分を交換した前記第2流体が前記ボディー部211から排出されるようにする第2メッシュ部214とを含むことができる。前記第2メッシュ部214を通して流出した前記第2流体は前記第2流体流出口132を通して膜加湿器の外部に排出される。
【0079】
前記ボディー部211も単一閉曲線形態(例えば、円形又は多角形)の横断面を有することができる。前記多角形は方形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などであり、前記多角形は角部がラウンド形態である。また、前記円形は楕円形である。一方、前記中空糸膜カートリッジ200の両端部のそれぞれには前記複合中空糸膜Fの束を結束しながら前記複合中空糸膜Fの間の空隙を埋めるポッティング部(図示せず)が形成される。すなわち、前記ポッティング部に前記複合中空糸膜Fの一端がポッティングされている。これにより、前記中空糸膜カートリッジ200には、前記複合中空糸膜Fの中空を通る流路と前記複合中空糸膜Fの外部を通る流路とが互いに分離されて形成される。前記ポッティング部の素材はポリウレタンなどのような公知の物質であるが、これに限定されるものではない。
【0080】
次に、前記のように構成される前記膜加湿器において、前記第1流体及び前記第2流体の水分交換過程について説明する。以下で、前記第1流体は低湿の流体であり、前記第2流体は高湿の流体であり、複合中空糸膜Fのそれぞれの前記汚染物質捕集層は中空糸膜の内表面上にコートされたものとして説明するが、本発明がこれに限定されるものではなく、前記第2流体が低湿の流体であり、前記第1流体が高湿の流体であり、複合中空糸膜Fのそれぞれの前記汚染物質捕集層は中空糸膜の外表面上にコートされる。
【0081】
一方のハウジングキャップ120の第1流体流入口121を通してハウジング部100内に流入した前記第1流体は前記中空糸膜カートリッジ200の複合中空糸膜Fの中空を通過して他方のハウジングキャップ120の前記第1流体流出口122を通して膜加湿器の外部に排出される。前記第2流体は前記ハウジング胴体110の前記第2流体流入口131を通して前記ハウジング胴体110に供給された後、前記複合中空糸膜Fの外部に流れた後、前記ハウジング胴体110の前記第2流体流出口132を通して外部に排出される。ここで、前記第2流体は前記複合中空糸膜Fの外部で流れながら、前記複合中空糸膜Fの中空を通過する低湿の第1流体と水分を交換する。
【0082】
一方、前記第1流体流入口121は前記第1流体流出口122に比べて相対的に前記第2流体流入口131に近いが、本発明がこれに限定されるものではなく、前記第1流体流出口122が前記第1流体流入口121に比べて前記第2流体流入口131に近い。
【0083】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
[製造例:膜加湿器の製造]
(実施例1)
ポリエーテルスルホン(PES)20重量%及びジメチルアセトアミド60重量%を反応容器に投入し、70℃の温度で6時間撹拌して中空糸膜形成用組成物(ドープ)を準備した。
【0084】
また、乾湿式紡糸のための内部凝固液としては、水とDMACをそれぞれ50重量%混合して準備した。前記ドープと凝固液を二重管型ノズルに注入して中空糸膜を製造した。
【0085】
前記製造された中空糸膜2,000本を単一束にして角形ボディー部(横40mm、縦300mm、高さ200mm)の内部に配置させた後、前記ボディー部の両端にポッティング部形成用キャップを被せ、前記中空糸膜の間の空間及び前記中空糸膜束と前記ボディー部との間の空間にポッティング用組成物を注入した後、硬化させてシール(seal)した。前記ポッティング部形成用キャップを除去した後、前記硬化した中空糸膜ポッティング用組成物の末端を切断して前記中空糸膜束の末端が前記ポッティング部の切断部で露出されるようにポッティング部を形成することによって中空糸膜カートリッジを製造した。
【0086】
前記製造された中空糸膜カートリッジ1個をハウジングの内部に配置した後、前記ハウジングの両端部にハウジングキャップを被せて膜加湿器を製造した。
前記製造された膜加湿器の中空糸膜の中空を通過するように、5重量%のポリ(ペルフルオロスルホン酸)がIPAに分散されたコーティング混合物(粘度:380cps)を前記膜加湿器の内部に5LPM(Liter Per Minute)の流量で20分間循環させた後、40℃で8時間乾燥して前記中空糸膜の内部表面に汚染物質捕集層を形成した。ここで、前記中空糸膜の外部に40℃、7%湿度の乾燥空気を300LPMの流量で一緒に循環させた。
【0087】
このように製造された複合中空糸膜のそれぞれは、前記複合中空糸膜の総重量に対し、前記汚染物質捕集層を10重量%含み、前記汚染物質捕集層の厚さは8μmであった。
前記中空糸膜の平均気孔サイズは2,300nmであり、前記複合中空糸膜の平均気孔サイズは2,100nmであり、前記中空糸膜の平均気孔サイズに対する前記複合中空糸膜の平均気孔サイズの比は91.3%であった。
【0088】
また、前記中空糸膜の多孔度は80%であり、前記複合中空糸膜の多孔度は77%であり、前記中空糸膜の多孔度に対する前記複合中空糸膜の多孔度の比は96.2%であった。
【0089】
(実施例2)
前記実施例1で、前記汚染物質捕集物質としてチャコール(charcoal)を使ったことを除き、前記実施例1と同様に製造した。
【0090】
(実施例3)
前記実施例1で、前記汚染物質捕集物質としてスルホン化ポリエーテルスルホン(sulfonated polyether sulfone、S-PES)を使ったことを除き、前記実施例1と同様に製造した。
【0091】
(比較例1)
前記実施例1で、前記中空糸膜の内部表面に汚染物質捕集層を形成しなかったことを除き、前記実施例1と同様に製造した。
前記中空糸膜の平均気孔サイズは2,300nmであり、前記中空糸膜の多孔度は80%であった。
【0092】
[実験例1:製造された膜加湿器の汚染物質捕集性能]
前記実施例及び比較例で製造された膜加湿器に対し、ガス捕集性能を測定し、その結果を下記の表1に示した。
前記ガス捕集性能は、膜加湿器に1ppmのNHを含む空気を流し、前記膜加湿器を通過して排出される空気のNH濃度を測定した。
【0093】
【表1】
【0094】
前記表1を参照すると、実施例で製造された膜加湿器は比較例で製造された膜加湿器に比べてガス捕集性能に優れたことを確認することができる。
【0095】
[実験例2:製造された膜加湿器の加湿性能の測定]
前記実施例及び比較例で製造された膜加湿器の複合中空糸膜/中空糸膜の中空を、50g/secの流量で乾燥空気が通過するようにするとともに、前記複合中空糸膜/中空糸膜の外部は温度70℃、湿度90%に固定し、中空糸膜の内部は温度40℃、湿度10%に固定して気体-気体加湿を実施した。
加湿性能は、前記複合中空糸膜/中空糸膜の内部を流れる空気が加湿されて出る地点の温度と湿度を測定して露点(Dew Point)に換算して測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0096】
【表2】
【0097】
前記表2を参照すると、前記実施例で製造された膜加湿器は比較例で製造された膜加湿器に比べて加湿性能がほぼ同一であるか少し優れることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5