(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】プローブユニット及びプローブユニット用ホルダ
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G01B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2023051460
(22)【出願日】2023-03-28
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】10 2022 109 267.4
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506027848
【氏名又は名称】カール マール ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ルドコフスキー
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/135857(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0003270(US,A1)
【文献】特表2010-539467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物表面(21)の測定位置における測定値を接触又は非接触方式で検出するように構成された測定装置(20)のためのプローブユニット(27)であって、
支持体(28)と、
前記支持体(28)上に配置され、前記対象物表面(21)を接触又は非接触方式でプローブするように構成されるプローブ素子(29)と、
前記支持体(28)上に設けられ、前記測定装置(20)のホルダ(26)と機械的に接続されるように構成される取付装置(31)と、を備え、
前記取付装置(31)は、第1の長手方向軸(L1)を画定する接触ユニット(32)を備え、前記第1の長手方向軸(L1)の周りの円周方向(U)の回転自由度が前記取付装置(31)と前記ホルダ(26)との間に残るように、接触位置(P)で前記接触ユニット(32)が前記測定装置(20)の前記ホルダ(26)の対向接触ユニット(51)に当接するように構成され、
前記取付装置(31)は少なくとも1つの取付磁石(40、41、42)を備え、前記少なくとも1つの取付磁石(40、41、42)は接触位置(P)において少なくとも1つの保持磁石(55、56、57)と協働するように構成されて、前記第1の長手方向軸(L1)に平行な軸方向磁気引力(FA)が前記取付装置(31)と前記ホルダ(26)との間に生成されるとともに、前記取付装置(31)と前記ホルダ(26)との間が前記第1の長手方向軸(L1)の周りの所定の所望の回転位置(R)に達するまで、前記取付装置(31)と前記ホルダ(26)との間に前記第1の長手方向軸(L1)の周りの円周方向(U)の磁気円周力(FU)が生成され
、
前記接触ユニット(32)と、前記対向接触ユニット(51)は、前記接触位置(P)で、前記第1の長手方向軸(L1)に沿った移動、前記第1の長手方向軸(L1)に直交する軸に沿った移動及び前記第1の長手方向軸(L1)に直交する軸周りの回転が制限される、プローブユニット(27)。
【請求項2】
前記取付装置(31)が停止面(43)を備え、前記停止面(43)は前記所望の回転位置(R)において前記ホルダ(26)の対向停止面(60)に当接する、請求項1に記載のプローブユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの取付磁石(40、41、42)が、前記第1の長手方向軸(L1)に平行に向けられている磁石軸(B1、B2、B3)を備える、請求項1又は請求項2に記載のプローブユニット。
【請求項4】
前記取付装置(31)が複数の取付磁石(40、41、42)を備え、前記複数の取付磁石(40、41、42)は前記第1の長手方向軸(L1)の周りで円周方向(U)に規則的に分布される、請求項1に記載のプローブユニット。
【請求項5】
設けられた前記取付磁石(40、41、42)のうちの少なくとも2つの極性が、前記第1の長手方向軸(L1)に平行に見て反対方向である、請求項4に記載のプローブユニット。
【請求項6】
前記接触ユニット(32)が、前記第1の長手方向軸(L1)の周りに円錐シェル面を画定する接触面(34)を備える、請求項1又は請求項2に記載のプローブユニット。
【請求項7】
前記接触面(34)が、円周方向(U)に互いに距離を置いて配置された複数の表面部分(34a)に分割される、請求項6に記載のプローブユニット。
【請求項8】
前記停止面(43)が、円周方向(U)に互いに隣接する2つの表面部分(34a)の間に配置される、請求項6が請求項2に従属する場合の請求項7に記載のプローブユニット。
【請求項9】
少なくとも1つの前記取付磁石(40、41、42)が、前記接触ユニット(32)よりも前記第1の長手方向軸(L1)により近く配置される、請求項4に記載のプローブユニット。
【請求項10】
測定装置(20)のホルダ(26)であって、前記ホルダ(26)は対象物表面(21)の測定位置における測定値を接触又は非接触方式で検出するように構成されるプローブユニット(27)を前記測定装置(20)に取付け、前記ホルダ(26)は、
保持本体(50)と、
前記保持本体(50)上に設けられる対向接触ユニット(51)と、を備え、前記保持本体(50)は第2の長手方向軸(L2)を画定し、前記対向接触ユニット(51)は接触位置(P)でプローブユニット(27)の取付装置(31)の接触ユニット(32)に当接するように構成されて、前記第2の長手方向軸(L2)の周りの回転自由度が前記取付装置(31)と前記ホルダ(26)との間に残り、
前記ホルダ(26)は少なくとも1つの保持磁石(55、56、57)を備え、前記少なくとも1つの保持磁石(55、56、57)は接触位置(P)において前記取付装置(31)の少なくとも1つの取付磁石(40、41、42)と協働するように構成されて、前記第2の長手方向軸(L2)に平行な軸方向磁気引力(FA)が前記ホルダ(26)と前記取付装置(31)との間に生成されるとともに、前記ホルダ(26)と前記取付装置(31)との間が前記第2の長手方向軸(L2)の周りの所定の所望の回転位置(R)に達するまで、前記ホルダ(26)と前記取付装置(31)との間に長手方向軸(L)の周りの円周方向(U)の磁気円周力(FU)が生成され
、
前記接触ユニット(32)と、前記対向接触ユニット(51)は、前記接触位置(P)で、前記長手方向軸(L)に沿った移動、前記長手方向軸(L)に直交する軸に沿った移動及び前記長手方向軸(L)に直交する軸周りの回転が制限される、ホルダ(26)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの保持磁石(55、56、57)が、前記第2の長手方向軸(L2)に平行に向けられている磁石軸(H1、H2、H3)を備える、請求項10に記載のホルダ。
【請求項12】
複数の保持磁石(55、56、57)が前記第2の長手方向軸(L2)の周りの円周方向(U)に規則的に分布する、請求項10に記載のホルダ。
【請求項13】
設けられた前記保持磁石(55、56、57)のうちの少なくとも2つの極性が、前記第2の長手方向軸(L2)に平行に見て反対方向である、請求項12に記載のホルダ。
【請求項14】
前記対向接触ユニット(51)が、前記第2の長手方向軸(L2)の周りに円錐台シェル面を画定する対向接触面(53)を備える、請求項10に記載のホルダ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの保持磁石(55、56、57)が、前記対向接触ユニット(51)よりも前記第2の長手方向軸(L2)により近く配置される、請求項10に記載のホルダ。
【請求項16】
測定装置(20)のプローブユニット(27)及びホルダ(26)を備える配置であって、前記測定装置が、接触又は非接触方式で対象物表面(21)の測定位置における測定値を検出するように構成され、
前記プローブユニット(27)が、支持体(28)と、前記支持体(28)上に配置され、接触又は非接触方式で前記対象物表面(21)をプローブするように構成されたプローブ素子(29)と、前記支持体(28)上に設けられ、前記測定装置(20)の前記ホルダ(26)と機械的に接続されるように構成された取付装置(31)と、を備え、前記取付装置(31)が、第1の長手方向軸(L1)を画定する接触ユニット(32)と、少なくとも1つの取付磁石(40、41、42)を備え、
前記ホルダ(26)が、保持本体(50)と、第2の長手方向軸(L2)を画定する前記保持本体(50)上に設けられた対向接触ユニット(51)と、少なくとも1つの保持磁石(55、56、57)とを備え、
前記少なくとも一つの取付磁石(40、41、42)と前記少なくとも1つの保持磁石(55、56、57)が、前記長手方向軸(L1、L2)の周りの一の回転位置範囲で反発し、前記長手方向軸(L1、L2)の周りの別の回転位置範囲で引き合
い、
前記接触ユニット(32)は前記対向接触ユニット(51)に接触位置(P)で当接し、前記接触ユニット(32)と、前記対向接触ユニット(51)は、前記接触位置(P)で、前記長手方向軸(L1、L2)に沿った移動、前記長手方向軸(L1、L2)に直交する軸に沿った移動及び前記長手方向軸(L1、L2)に直交する軸周りの回転が制限される、配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブユニット及びプローブユニット用ホルダに関する。例えば、プローブユニットのホルダは、測定装置の一部とすることができる。適切なプローブユニットは、測定タスクに応じて選択することができ、ホルダ上に配置することができる。プローブユニットは、例えば、接触を伴う触覚プローブ及び/又は対象物の非接触プローブのために構成され、この目的のために、触覚プローブ素子又は非接触検出プローブ素子をその端部に担持するプローブアームとすることができる。測定装置は、例えば、スタイラス機器とすることができる。本発明はまた、プローブユニット及びホルダを備える配置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE102017012202B4は、測定システムの測定アーム及び測定アームホルダを記載している。測定アームホルダは、接続が確立されたときに測定アームが当接する複数の支持位置を有するホルダ本体を備える。測定アームと測定アームホルダとの間の保持力は、複数の磁石対によって生成され、それによって磁石対の一方の磁石がそれぞれ測定アームに配置され、それぞれの他方の磁石が測定アームホルダ又はホルダ本体に配置される。ホルダ本体は実質的に直方体形状であり、測定アームは、ホルダ本体の形状に適合された空洞を有する界面を有する。
【0003】
光学測定配置を有する測定装置は、独国特許出願公開第102018119697号明細書から知られている。測定配置は、位置決め配置によって互いに接続することができる複数の部品を有する光学素子を有する。この目的のために、位置決め配置は、光学素子の2つの部分間の正しい位置を画定するために、3つの回転対称体及び3つの対応するレセプタクルを有する。2つの部品間の保持力は、磁石によって生成することができる。
【0004】
DE112012005779B4は、座標測定装置、特にいわゆるレーザトラッカを参照している。レーザトラッカは、レーザビームをリトロリフレクタに向けることができる。実施形態では、リトロリフレクタは、相対位置を画定するためにプローブヘッドの整合素子に挿入することができるラッチ要素を備える。保持力は、磁気的に生成することができる。
【0005】
欧州特許第2515069号明細書は、プローブアーム界面を有するプローブアームと、プローブアーム界面と一致する界面を有するホルダとを記載している。ホルダのシリンダ間の空洞に係合するプローブアーム界面のボールによって、接続が確立されたときに相対位置の正確な定義が保証される。プローブアームとホルダとの間の保持力は、磁気的に加えることができる。同様の界面を有するプローブアーム及びプローブアーム用のホルダは、DE102017106741B4に記載されている。
【0006】
欧州特許第2847540号明細書は、座標測定装置の照明モジュール及び光学センサを開示している。照明モジュール及びセンサは、3点支持体によって互いに支持され、磁気保持力によって互いに保持される。磁石は、永久磁石又は切り替え可能な電磁石とすることができる。
【0007】
独国特許出願公開第102018133220号明細書及びDE102005007003B4はそれぞれ、プローブユニット、特にプローブアームの支持体にプローブ素子を配置するための界面を記載している。
【0008】
交換可能なプローブ素子を有するプローブユニットは公知であり、例えば、Optacom GmbH&Co.KG又はTriebworx GmbH&Co.KGといった企業によって提供されている。
【0009】
対象物表面上の測定位置をプローブするためのプローブ素子は、測定タスクに適していなければならない。触覚プローブ素子は、さらに一定の摩耗を受ける。したがって、測定タスクに応じて、又は摩耗が発生した場合にプローブ素子又はプローブユニットを交換することが望ましい場合がある。プローブ素子又はプローブユニットの交換は、多くの既知のシステムにおいて面倒である。プローブユニットは、設置状態に問題がない簡単な方法ですべての側から常にアクセスできるとは限らない。さらに、いくつかの既知のシステムでは、プローブユニット又はプローブ素子の交換により、測定装置に力が導入され、それにより、測定力の生成又は測定検出に役立つ測定装置の非常に繊細な構成要素が、増加した特に機械的応力を受け、損傷する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、測定装置のプローブユニット及びホルダを提供することを目的とし、特に工具を用いることなく、プローブユニットをホルダ上で容易に交換することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有するプローブユニット、請求項10の特徴を有するホルダ、並びに請求項16の特徴を有する配置によって解決される。
【0012】
本発明による測定装置のためのプローブユニットは、例えば、プローブアーム又はプローブアームセクションとすることができ、あるいは別の実質的にロッド又は管状の形態を備えることができる。測定装置は、プローブユニットによって対象物表面上の測定位置で測定値を検出するように構成される。したがって、プローブユニットは、測定位置において対象物表面をプローブするように機能する。これにより、プローブユニットは、接触又は非接触方式で、例えば触覚又は光学方式で動作することができる。
【0013】
プローブユニットは、支持体を有する。例えば、支持体は、棒状又は管状であり得る。プローブ素子は、支持体上に配置される。プローブ素子は、接触方式で測定位置において対象物表面に接触するように、又は非接触方式で対象物表面上の測定位置に向けられるように構成される。例えば、プローブ素子は、測定位置で反射され、プローブ素子によって再び受信される光又は別の電磁波を放射することができる。
【0014】
さらに、プローブユニットの支持体には、取付装置が設けられている。取付装置は、支持体のモノリシック部品とすることができ、又は支持体上に取り付けることができる。取付装置は、プローブユニットを測定装置のホルダに取り外し可能に機械的に接続するように構成される。機械的接続に加えて、任意に、信号伝送接続、例えば電気接続及び/又は光接続も確立することができる。
【0015】
特に、取付装置は、工具を使用せずに測定装置のホルダに接続され得るように、かつ工具を使用せずに測定装置のホルダから取り外され得るように構成される。好ましくは、取付装置とホルダとの間の接続は、ねじ接続及び/又はラッチ接続がない。
【0016】
取付装置は、接触ユニットを有する。接触ユニットは、接触面を備える。接触ユニット、特に接触面は、第1の長手方向軸を画定する。
【0017】
一実施形態では、支持体は第1の長手方向軸に沿って延在し、第1の長手方向軸は、支持体、例えば棒状又は管状の支持体の中間軸又は中心軸であり得る。
【0018】
接触ユニットは、測定装置のホルダの対向接触ユニットに当接する接触位置をとるように構成される。接触位置では、取付装置とホルダとの間、又は接触ユニットと対向接触ユニットとの間で、第1の長手方向軸の周りの円周方向に回転自由度が残る。したがって、プローブユニットは、ホルダに対して第1の長手方向軸の周りで回転可能である。
【0019】
好ましくは、最大3つの並進自由度及び最大2つの回転自由度が、接触ユニット及び対向接触ユニットによって接触位置において排除され、その結果、特に排他的に、接触ユニットが対向接触ユニットとの接触位置にある場合、第1の長手方向軸の周りの回転自由度が残る。
【0020】
取付装置は、面に少なくとも1つの磁極を備える少なくとも1つの取付磁石を有する。複数の取付磁石が存在する場合に有利である。少なくとも1つの取付磁石は、少なくとも接触位置及び接触位置の近傍でホルダの少なくとも1つの保持磁石と協働するように構成される。少なくとも1つの保持磁石は、好ましくは、ホルダの面に少なくとも1つの磁極を備える。磁石の協働により、取付装置とホルダとの間には、第1の長手方向軸に平行な軸力、さらに第1の長手方向軸の周りの円周方向の磁気円周力が生じる。磁気円周力は、ホルダに対して第1の長手方向軸の周りの円周方向の所望の回転位置に取付装置を付勢する。所望の回転位置の外側では、磁気円周力は、接触ユニットと対向接触ユニットとの間の動摩擦及び静摩擦が克服されるような量を有し、それにより、取付装置は、ホルダに対して円周方向に所望の回転位置をとる。
【0021】
所望の回転位置は、取付磁石及び保持磁石及び/又はホルダの対向停止面と協働する取付装置の停止面によって画定することができる。取付装置の停止面がホルダの対向停止面に当接する場合、取付装置が第1の長手方向軸を中心とする円周方向においてホルダに対して所望の回転位置をとる場合に有利である。
【0022】
したがって、プローブユニットとホルダとの間の接続は、接触ユニットが対向接触ユニットと接触するようになることで簡単に確立される。保持力は、磁気的に生じ、ホルダに接触してプローブユニットを第1の長手方向軸に平行な軸方向に保持する。接触位置は、軸方向磁気引力によって維持される。さらに、円周方向の残りの回転自由度を排除し、取付装置をホルダに対して所望の回転位置にもたらすために、磁気円周力が提供される。
【0023】
磁力に打ち勝つことによって、接続を再び非常に簡単に解除することができる。接続の確立及び解除は、工具なしで実行することができる。
【0024】
接続の確立及び解除は、オペレータにより、手動で実行することができる。さらに、例えば、把持装置、ロボットなどのマニピュレータによって、取付装置とホルダとの間の接続の自動確立及び解除も可能である。そうすることで、測定装置のホルダ内のプローブユニットの自動交換も可能である。
【0025】
少なくとも1つの取付磁石及び/又は少なくとも1つの保持磁石が永久磁石である場合、有利である。好ましくは、少なくとも1つの取付磁石及び/又は少なくとも1つの保持磁石は、軸方向に排他的に磁化され、すなわち、その磁石軸は、好ましくは第1の長手方向軸に実質的に平行に延在する。これに代えて、少なくとも1つの取付磁石及び/又は少なくとも1つの保持磁石は、軸方向及び半径方向又は半径方向に排他的に磁化することができる。すべての実施形態において、各取付磁石及び/又は各保持磁石は、正確に1つ又は複数のN極及びS極を含むことができる。
【0026】
接触ユニットが支持体のテーパ状端部に設けられる場合、有利である。支持体のこのテーパ状端部は、対向接触ユニットとの接触が接触位置で確立される仮想円錐台シェル面によって制限することができ、それによって接触ユニットの一部が仮想円錐台シェル面を通って延在しない。
【0027】
好ましい実施形態では、取付装置は複数の取付磁石を有する。取付磁石は、第1の長手方向軸の周りの円周方向に規則的に分布している。磁石軸は、好ましくは、互いに平行かつ第1の長手方向軸に平行に向けられる。磁石軸はまた、代替的に第1の長手方向軸に対して斜めに傾斜することができ、それによって、取付磁石の磁石軸は、第1の長手方向軸上の1つの共通点で交差することが好ましい。
【0028】
複数の取付磁石が存在する場合、第1の長手方向軸に平行に対向して見て、取付磁石のうちの少なくとも2つの極性を選択することが有利であり得る。したがって、これらの取付磁石の第1の長手方向軸に平行な磁化方向は、反対方向又は反平行である。そうすることで、取付装置及びホルダが所望の回転位置から遠く離れた円周方向の回転位置をとる場合、取付磁石及び割り当てられた保持磁石は互いに反発し、取付装置及びホルダが所望の回転位置に十分に近い円周方向の相対位置にある場合、軸方向磁気引力は引力のみをもたらすことが可能である。本発明のこの態様は、プローブユニットの他のすべての特徴から独立して実現されてもよい。
【0029】
説明したように、接触ユニットは、接触面を備える。接触面は、円周方向に連続し得る。好ましい実施形態では、接触面は、互いに分離され、円周方向に互いに距離を置いて配置された複数の表面部分に分割される。接触面は、円周方向に回転対称であり、特に円錐台シェル面又はその少なくとも一部に対応する。表面部分における接触面の分割の場合、それらは、第1の長手方向軸の周りの共通の仮想円錐台シェル面上に配置され、好ましくは円周方向に規則的に分布する。
【0030】
すべての表面部分が同じ表面積及び/又は同じ形状を有することが好ましい。
【0031】
特に有利な実施形態では、任意に存在する停止面は、2つの隣接する表面部分の間に円周方向に配置することができる。本実施形態では、取付装置の特にコンパクトな構成が結果として生じる。
【0032】
停止面は、軸方向に平行に、及び/又は円周方向に実質的に直交する方向に向けることができる。
【0033】
好ましくは、取付装置の少なくとも1つの取付磁石は、接触ユニット又は接触ユニットの接触面よりも第1の長手方向軸により近く配置される。これにより、接触面は、取付磁石を円周方向に囲むことができる。
【0034】
本発明はまた、プローブユニットを測定装置に取り付けるように構成される測定装置のホルダに関する。ホルダは、対向接触ユニットが存在する保持本体を備える。保持本体は、ロッド又は管状であり得る。対向接触ユニットは、第2の長手方向軸を画定する。対向接触ユニットは、好ましくは、第2の長手方向軸の周りで円周方向に連続し、したがってリング状又は管状に閉じられる対向接触本体上の対向接触面を有する。例えば、対向接触面は円錐台シェル面とすることができる。
【0035】
対向接触ユニットは、取付装置がホルダに対して接触位置にある場合に、取付装置の接触ユニットに当接するように構成される。接触位置では、長手方向軸の周りの1つの回転自由度が、取付装置とホルダとの間に残る。
【0036】
接触ユニット及び対向接触ユニットは、接触ユニットの第1の長手方向軸及び対向接触ユニットの第2の長手方向軸が接触位置において共通の直線に沿って向きをつけられ、したがって共通の長手方向軸を形成するように特に構成される。
【0037】
長手軸の1つに平行な方向を軸方向と表示する。長手方向軸の1つの周りの回転方向を円周方向と表示する。
【0038】
ホルダは、少なくとも接触位置又は接触位置の近傍において、取付装置の少なくとも1つの取付磁石と協働する少なくとも1つの保持磁石を備える。接触位置における少なくとも1つの保持磁石と少なくとも1つの取付磁石との協働により、第2の長手方向軸に平行な軸方向磁気引力並びに第2の長手方向軸の周りの円周方向の磁気円周力が生じる。軸方向磁気引力によって、取付装置はホルダ上の接触位置に保持される。磁気円周力により、取付装置とホルダとの間の所望の回転位置を調整するために、接触ユニットと対向接触ユニットとの間の摩擦力に打ち勝つことができる。
【0039】
保持磁石の数は、取付磁石の数に対応する場合が、好ましい。各保持磁石は、それぞれ割り当てられた取付磁石と1つの磁石対を形成する。共通の磁石対の保持磁石及び取付磁石は、保持磁石のS極が取付磁石のN極に面するように、又はその逆になるように、互いに対して反対方向に磁化される。
【0040】
少なくとも1つの保持磁石が軸方向に磁化される場合、すなわち、その磁石軸が第2の長手方向軸に実質的に平行に向きをつけられる場合が好ましい。複数の保持磁石が存在する場合、それらが、長手方向軸の周りに円周方向に規則的に分布されることが好ましい。取付磁石の磁石軸は、互いに平行に向きをつけられるか、又は、代替的に第2の長手方向軸上の共通の点で交差してもよい。
【0041】
提供される保持磁石のうちの2つが、軸方向に見て互いに反対に分極される、すなわち、反対の磁化方向を含むことが好ましい。本発明のこの態様は、ホルダの他のすべての態様から独立して実現されてもよい。
【0042】
対向接触ユニットは、ホルダの管状の対向接触本体によって形成することができる。対向接触面は、好ましくは、管状の対向接触本体の内側に位置する。対向接触本体は、保持本体のモノリシック部分であってもよい。
【0043】
好ましくは、接触ユニット又は接触面は、対向接触ユニット又は対向接触面の材料よりも高い弾性を有する材料からなる。接触ユニット又は接触面は、プラスチックからなってもよい。対向接触ユニット又は対向接触面は、金属材料、特に鋼合金からなってもよい。このようにすることで、同じ弾性を有する材料の材料対の場合と同様に、より大きな製造公差で接触ユニット及び対向接触ユニットを製造することができる。
【0044】
変更された実施形態では、一方の接触ユニット又は接触面と、他方の対向接触ユニット又は対向接触面とが、それぞれ同じ材料、例えば鋼合金からなることも可能である。
【0045】
本発明のさらなる態様は、プローブユニット及びホルダを備える構成に関する。好ましくは、プローブユニット及びホルダは、上記の実施形態のいずれかに対応して構成され得る。
【0046】
本構成の態様では、プローブユニットは、支持体と、支持体上に配置されたプローブ素子と、支持体上に存在する取付装置とを備える。取付装置は、測定装置のホルダに接続されるように構成されている。取付装置は、第1の長手方向軸を画定する接触ユニットを備える。さらに、取付装置は、少なくとも1つの取付磁石を備える。
【0047】
本構成のホルダは、第2の長手方向軸を画定する対向接触ユニットを有する保持本体を有する。ホルダは、さらに、少なくとも1つの保持磁石を備える。
【0048】
少なくとも1つの取付磁石及び少なくとも1つの保持磁石は協働する。そうする際に、本構成のプローブユニット及びホルダが、第1の回転位置範囲内にある第1の長手方向軸及び第2の長手方向軸の周りの相対回転位置に配置されている場合、磁気反発がもたらされる。プローブユニットとホルダとの相対的な回転位置が第1の回転位置とは異なる第2の回転位置範囲内にある場合、少なくとも1つの取付磁石と少なくとも1つの保持磁石との間の引力がもたらされる。第2の回転位置範囲は、長手方向軸の周りの円周方向におけるプローブユニット及びホルダの所望の回転位置に対応するか、又はそれを含む。したがって、引力は、プローブユニットとホルダとの間の相対回転位置が所望の回転位置に十分によく対応している場合にのみもたらされる。本発明のこの態様により、プローブユニットとホルダとの間の互いの機械的接続が単純化され、ホルダに対するプローブユニットの誤った配置が回避される。
【0049】
本発明の別の独立した態様では、ホルダと接続するためのプローブユニットの上述の界面はまた、他の本体、例えば、対象物がその上に配置された対象物キャリア、測定対象物のための対象物ホルダ(例えば、チャック)、支持先端、又は特に測定対象物を支持することができる別のベアリング若しくは支持要素などのための界面として使用することができる。
【0050】
ホルダと機械的に接続されるように構成された取付装置は、その本体上に存在することができる。本体の取付装置は、プローブユニットに関連して上述してきた実施形態のいずれかに対応することができる。ホルダは、上記の実施形態のいずれかに対応することができる。
【0051】
取付装置は、第1の長手方向軸を画定する接触ユニットを備える。接触ユニットは、第1の長手方向軸の周りの円周方向の回転自由度が取付装置とホルダとの間に残るように、接触位置においてホルダの対向接触ユニットに接触するように構成される。取付装置は、第1の長手方向軸に平行な軸方向磁気引力が取付装置とホルダとの間に生成され、長手方向軸の周りの所定の所望の回転位置に取付装置とホルダとの間が達するまで、第1の長手方向軸の周りの円周方向の磁気円周力が取付装置とホルダとの間に生成されるように、接触位置においてホルダの1つの保持磁石とそれぞれ協働するように構成される少なくとも1つの取付磁石を備える。
【0052】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項、明細書及び図面から導かれる。以下、添付図面に基づいて、好ましい実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図2】測定装置のホルダ、及びホルダに接続されたプローブユニットの概略図である。
【
図3】ホルダの一実施形態に配置された取付装置の一実施形態の斜視図である。
【
図4】
図3の取付装置及びホルダを通る共通の長手方向軸に沿った長手方向断面図である。
【
図7】第1の長手方向軸に平行な軸方向に見た、
図5の取付装置の概略上面図である。
【
図8】第2の長手方向軸に平行な軸方向に見た、
図6のホルダの概略上面図である。
【
図9】円周方向及び共通の長手方向軸の周りの所望の回転位置の確立中に、取付装置の取付磁石と、取付装置とホルダとの間の当接位置のホルダの保持磁石との相対的な配置のそれぞれの場合の概略主要図である。
【
図10】円周方向及び共通の長手方向軸の周りの所望の回転位置の確立中に、取付装置の取付磁石と、取付装置とホルダとの間の当接位置のホルダの保持磁石との相対的な配置のそれぞれの場合の概略主要図である。
【
図11】円周方向及び共通の長手方向軸の周りの所望の回転位置の確立中に、取付装置の取付磁石と、取付装置とホルダとの間の当接位置のホルダの保持磁石との相対的な配置のそれぞれの場合の概略主要図である。
【
図12】円周方向及び共通の長手方向軸の周りの所望の回転位置の確立中に、取付装置の取付磁石と、取付装置とホルダとの間の当接位置のホルダの保持磁石との相対的な配置のそれぞれの場合の概略主要図である。
【
図13】対象物キャリアは取付装置によってホルダに配置される、対象物を有する対象物キャリアの配置である。
【
図14】支持要素が取付装置によってホルダ上に配置される、対象物のための支持要素の配置である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1では、測定装置20の一実施形態が示されている。測定装置20は、対象物22の対象物表面21上の測定位置における測定値を検出又は決定するように構成される。例えば、表面輪郭、粗さなどは、測定装置20によって決定することができる。
【0055】
測定値検出のために、測定装置20はホルダ26を備える。ホルダ26は、プローブユニット27を取り外し可能に取り付けるのに役立つ。例えば、ホルダ26は、旋回軸Sの周りに旋回可能に支持され得る。測定装置20は、ホルダ26及びその中に保持されたプローブユニット27に旋回軸Sの周りのトルクを加えるように、及び/又は旋回軸Sの周りのホルダ26の又はその中に配置されたプローブユニット27の偏向を検出し、そこから測定値を決定するために構成され得る。追加的に、又は代替的に、ホルダ26及びその中に保持されたプローブユニット27は、プローブユニット27と対象物表面21との間の距離を調整するために、旋回軸Sの周りに位置付けられ得る。
【0056】
プローブユニット27は、接触又は触覚方式で、又は非接触方式でも動作することができる。
【0057】
プローブユニット27は、支持体28を備える。支持体28は、本実施形態による対象物表面21に接触するように構成されるプローブ素子29を一端に有する。この実施形態では、プローブユニット27は触覚方式で動作する。プローブ素子29は、対象物表面21に割り当てられたその端部、例えば先端、ボールなどに画定された幾何学的形状を有することができる。
【0058】
これに対する変更形態では、プローブ素子29はまた、非接触で動作することができ、例えば、対象物表面21に光を放射し、そこから反射された光を受信することができる。
【0059】
プローブ素子29は、任意に、例えば圧入嵌め及び/又は形状嵌め接続によって、交換可能な方法で支持体28に取り付けることができる。例えば、一実施形態では、プローブ素子29にクランプ力を加え、それを支持体28上に保持するために、クランプねじ30を支持体28上に設けることができる。別の実施形態では、プローブ素子29は、特に非常に小さい寸法を有するプローブ素子29の場合、支持体28に取り外し不能に取り付けられてもよい。
【0060】
プローブ素子29とは反対側のプローブユニット27の支持体28の端部に、取付装置31が設けられる。取付装置31は、ホルダ26との取り外し可能な接続を確立するように構成される。取付装置31の詳細は、特に
図4、
図5、及び
図7から導出される。
【0061】
取付装置31は、接触ユニット32を備える。接触ユニット32は、第1の長手方向軸L1を画定する。実施形態では、接触ユニット32は、その自由端に向かって先細になる接触本体33によって実現される。接触本体33は、少なくとも部分的に円錐台形状とすることができる。
【0062】
以下の説明では、第1の長手方向軸L1に加えて、第2の長手方向軸L2及び共通の長手方向軸Lについても言及する。これらの長手軸の1つに平行な方向を(それぞれの)軸方向Aと表示する。これらの長手軸の1つの周りの回転方向を(それぞれの)円周方向Uと表示する。
【0063】
接触ユニット32は、第1の長手方向軸L1を円周方向Uに少なくとも部分的に取り囲む接触面34を備える。接触面34は、円周方向Uに連続していてもよい。ここに示す好ましい実施形態では、接触面34は、円周方向Uに互いに距離を置いて配置された複数の別個の表面部分34aに分割される。好ましくは、表面部分34aは同一に構成される。実施形態では、表面部分34aは、円周方向に限られた角度領域に沿って延在する円錐台シェル面の一部分又は一領域によってそれぞれ形成される。例によれば、この角度領域は、120°未満、好ましくは60°未満又は30°未満又は20°未満である。この例によれば、角度領域は10°未満である。表面部分34aは、第1の長手方向軸L1の周りを円周方向に規則的に分布していることが好ましい。
【0064】
表面部分34aに隣接して、接触本体33は、そのシェル面が表面部分34aを含む円錐台と比較して、接触本体33上に平坦化部35によって形成される空洞又は窪みを備える。このような平坦化部35のそれぞれ1つ又は複数は、円周方向Uに互いに隣接する接触面34の2つの表面部分34aの間に設けることができる。実施形態では、各平坦化部は、軸方向Aに延在する1つの平坦領域によって実現される。これらの平坦化部35又は空洞により、接触本体33は、仮想円錐台シェル面によって形成される接触面34を有する円錐台接触本体に対して縮小される。接触面34の表面部分34a以外では、接触本体33は、仮想円錐台シェル面36よりも平坦化部35又は空洞における第1の長手方向軸L1までの距離が小さい。
【0065】
ここに示す実施形態では、平坦化部35は、軸方向Aに平行に延在する平面である。
【0066】
すべての表面部分34aの全体の面積量は、好ましくは、仮想円錐台シェル面36の面積量よりも著しく小さい。好ましくは、すべての表面部分34aの総面積量は、仮想円錐台シェル面36の面積量の50%未満、25%未満、10%未満、又は5%未満である。
【0067】
図示の実施形態の変更態様では、接触面34は、円周方向Uに連続していてもよく、例えば、仮想円錐台シェル面36に対応する面であってもよい。空洞又は平坦化部35、及びそれぞれの対向接触面と当接するように構成された複数の表面部分34aの接触面34の縮小により、接触面34と割り当てられた対向接触面との間の静摩擦及び動摩擦を低減することができる。
【0068】
好ましくは、接触面34は、正確に3つ又は少なくとも3つの別個の表面部分34aを含む。
【0069】
図示の実施形態に対する変更態様では、接触本体33の空洞又は平坦化部35はまた、接触面34又は表面部分34aの総面積量をそれぞれ低減するために、異なる方法で構成することもできる。これにより、表面部分34aは、互いに完全に分離することができるか、又は少なくとも部分的に接続することができる。
【0070】
取付装置は、さらに、少なくとも1つ、好ましくは複数の取付磁石、例によれば、第1の取付磁石40、第2の取付磁石41、及び第3の取付磁石42を有する。第1の取付磁石40は第1の磁石軸B1を有し、第2の取付磁石41は第2の磁石軸B2を有し、第3の取付磁石42は第3の磁石軸B3を有する(
図7)。磁石軸B1、B2、B3は、本実施形態では軸方向Aに平行に向けられている。これに代えて、磁石軸B1、B2、B3は、第1の長手方向軸L1上の共通の点で交差してもよい。
【0071】
取付磁石40、41、42は、例によれば、それらの磁力線が軸方向端面で軸方向Aで出入りするように、軸方向Aに磁化される。各取付磁石40、41、42のN極及びS極は、それぞれの磁石軸B1、B2、B3の方向に互いに隣接して位置する。
【0072】
本実施形態では、提供される取付磁石のうちの2つは、それらの磁化方向が互いに逆平行であるように、それぞれ反対の磁化又は磁気分極を有する。本実施形態では、第2の取付磁石41は、第1の取付磁石40及び第3の取付磁石42と比較して対向する磁気分極を有する。異なる磁化は、一方では十字によって、他方では円の内側のドットによって示される磁石軸の記号によって示される。磁石軸の符号が同一の取付磁石は、磁化方向が同一である。
【0073】
取付磁石40、41、42は、例によれば接触本体33の内側に配置されている。それらは、接触面34の表面部分34aよりも第1の長手方向軸L1により近く配置される。
【0074】
取付装置31は、ここに示す実施形態では停止面43をさらに有する。停止面43は、好ましくは接触本体33上に実現される。これは、円周方向に隣接する接触本体33上の2つの表面部分34aの間に存在することができる。停止面43は、平面によって形成することができる。本実施形態では、停止面43は円周方向Uに実質的に直交する方向に向けられる。
図7から特に明らかなように、停止面43は、図示の実施形態では軸方向Aに平行に向けられている。
【0075】
本実施形態では、接触本体33の端部側面44は、第1の長手方向軸L1と直交する方向に向けられる。取付磁石40、41、42は、面44に対してオフセットされ、特に面44を越えて突出しない。
【0076】
ホルダ26の構成は、
図4、
図6、及び
図8から特に明らかである。ホルダ26は、取付装置31によって画定される第1の長手方向軸L1と一致する第2の長手方向軸L2を画定し、したがって、取付装置31との接続が確立されたときに取付装置31によって画定される共通の長手方向軸Lを形成する(
図2~
図4)。
【0077】
ホルダ26は、対向接触ユニット51を有する保持本体50を有する。対向接触ユニット51は、例によれば対向接触本体52により実現される。対向接触本体52は、保持本体50のモノリシック部分であってもよい。例えば、保持本体50の一端は、対向接触本体52を形成することができる。
【0078】
対向接触本体52は、円周方向Uに連続的に管状であり、好ましくはスロット付きでない、又は他の方法で中断されていない本体とすることができる。対向接触本体52は、中空体として構成され、第2の長手方向軸L2を同軸に取り囲む。第2の長手方向軸L2に面するその内側に、対向接触本体52は、対向接触面53を有する。本実施形態では、樋状凹部54とは別に、対向接触面53は、空洞がなく、円錐台シェル面に沿って樋状凹部54の外側に延在する。
【0079】
第2の長手方向軸線L2に対する仮想円錐台シェル面36及び対向接触面53の円錐台シェル面の半開角は、好ましくは等しく、特に10°未満又は5°未満である。対向接触面53の円錐台シェル面及び取付装置31の仮想円錐台シェル面36は、例によれば同一である。
【0080】
取付装置31の接触位置Pでは、接触面34の表面部分34aは、第1の長手方向軸L1を含む半径方向平面の内側で、対向接触面53に対して二次元的に、又は少なくとも線状に当接する。共通の長手方向軸Lの周りの円周方向Uの回転自由度は、接触面34又はそれらの表面部分34a及び対向接触面53に起因して残る。この回転自由度は、本実施形態では、対向接触面53が第2の長手方向軸L2を基準にして回転対称であり、表面部分34aが第1の長手方向軸L1を基準にして回転対称に配置される(表面部分34aは、第1の長手方向軸L1の周りで仮想円錐台シェル面36の内側に配置される)という点で実現される。
【0081】
共通の長手方向軸Lに直交する軸の周りの他の回転自由度、並びに軸方向Aの並進自由度及び共通の長手方向軸Lに直交する並進自由度は、接触ユニット32又は対向接触ユニット51によって接触位置Pで排除される。
【0082】
ホルダ26は、さらに、少なくとも1つの保持磁石を備え、保持磁石の数は、好ましくは、取付装置31の取付磁石の数に対応する。したがって、ホルダ26は、ここに示す好ましい実施形態では、第1の保持磁石55と、第2の保持磁石56と、第3の保持磁石57とを備える。取付磁石40、41、42と同様に、保持磁石55、56、57は軸方向Aに磁化され、各保持磁石55、56、57のN極及びS極は軸方向Aに隣接して配置される。第1の保持磁石55は第1の磁石軸H1を有し、第2の保持磁石56は第2の磁石軸H2を有し、第3の保持磁石57は第3の磁石軸H3を有する(
図8)。磁石軸H1、H2、H3は、本実施形態では軸方向Aに向けられている。これに代えて、保持磁石55、56、57の磁石軸H1、H2、H3は、第2の長手方向軸L2上の共通の点で交差してもよい。
【0083】
本実施形態によれば中空本体又はチューブとして構成された対向接触本体52は、内部領域58を取り囲む。この内部領域58は、挿入空間として示されてもよい。好ましくは、保持磁石55、56、57は、内部領域58内に突出しないか、又はわずかしか突出しない。軸方向Aでは、内部領域58は、対向接触本体52上の軸方向表面59によって制限される。本実施形態では、軸方向表面59は、第2の長手方向軸L2に直交する方向に向けられる。好ましくは、保持磁石55、56、57は、軸方向表面59に対してオフセットされ、軸方向表面59を越えて内部領域58内に突出しない。
【0084】
各保持磁石55、56、57は、割り当てられた取付磁石40、41、42と共に、それぞれ一磁石対を形成する。取付装置31とホルダ26との間の接続が確立されると、これらの磁石対は軸方向磁気引力を生成し、それによって取付磁石40、41、42及び保持磁石55、56、57は軸方向Aに引き付けられ、それによって、取付装置31はホルダ26上の接触位置Pに保持され、接触面34の表面部分34aは対向接触面53と接触したままである。
【0085】
接触位置Pでは、円周方向Uにおける所望の回転位置Rは、取付装置31の停止面43及びホルダ26の対向停止面60によって画定される。実施形態では、対向停止面60は、対向停止61上に配置される。対向停止61は、内部領域58に配置される。本実施形態では、対向停止61はピン状、例えば円筒状である。対向停止面60は、対向停止61の外面若しくはシェル面、又はその少なくとも一部によって形成される。
【0086】
図9~
図11の概略原理図に基づいて、取付装置31とホルダ26との間の取り外し可能な接続の確立が説明される。
【0087】
例えば、プローブユニット27は、支持体28において手で保持することができ、ホルダ26の第2の長手方向軸L2に対してその第1の長手方向軸L1とほぼ整列することができる。続いて、取付装置31をホルダ26に近づけ、接触本体33を内部領域58に挿入する。
【0088】
取付装置31とホルダ26との間の現在の回転位置が所望の回転位置R(第一の回転位置範囲)から著しくずれている(例えば約120°以上)と仮定すると、取付磁石及び保持磁石は少なくとも部分的に反発し、その結果、測定技術の点で正しい接続及び/又は安定した接続を容易に確立することができない。取付装置31とホルダ26との間の回転位置が実質的に一致する場合(第二の回転位置範囲)にのみ、接触面34の表面部分34aが対向接触面53に当接する接触位置Pを取付装置がとるように、磁石40、41、42、55、56、57のすべてによって軸方向磁気引力FAが生成される。本発明のこの態様はまた、プローブユニット27及びホルダ26の他のすべての特徴から独立して、特に円周方向力FUが提供された取付磁石40、41、42及び/又は保持磁石55、56、57によっても生じるかどうかとは独立して実現することができる。
【0089】
当実施形態では、接触位置Pは、表面部分34a及び対向接触面53によって排他的に画定される。特に、取付磁石40、41、42は、保持磁石55、56、57と直接接触しておらず、本実施形態では、面44及び軸方向表面59も互いに距離を置いて配置されている。取付装置31とホルダ26との間の接触は、表面部分34a及び対向接触面53によって排他的に、所望の回転位置R以外の接触位置Pにおいてのみ提供される。
【0090】
図9に示すように、取付磁石40、41、42の磁石軸B1、B2、B3は、保持磁石55、56、57の磁石軸H1、H2、H3に対して円周方向Uにオフセットされ、それにより、軸方向磁気引力FAに加えて、円周方向Uの磁気円周力FU又は磁気トルクが生じる。磁気トルク又は磁気円周力FUは、停止面43及び対向停止面60が互いに向かって付勢されるように向けられ、その結果、取付装置31がホルダ26に対してその所望の回転位置Rに付勢される。
【0091】
図示の実施形態の変更態様では、磁気円周力FU又は円周方向Uの磁気トルクを生じるために、1つのみの又は少なくともすべてではない取付磁石40、41、42の磁石軸B1、B2、B3が、割り当てられる保持磁石55、56、57のそれぞれ割り当てられた磁石軸H1、H2、H3に対して円周方向にオフセットされていれば十分である。
【0092】
表面部分34aと対向接触面53との間のより小さい二次元又は線状の接触の材料対により、所望の回転位置Rの外側の静摩擦及び動摩擦は十分に小さく、その結果、磁気円周力FUにより、取付装置31とホルダ26との間の所望の回転位置Rへの回転運動がもたらされる。そうすることで、停止面43及び対向停止面60は互いに接近する。この接近の間、取付磁石40、41、42の磁石軸B1、B2、B3も、割り当てられた保持磁石55、56、57のそれぞれ割り当てられた磁石軸H1、H2、H3に接近し、それによって磁気トルク又は磁気円周力FUの量が減少する(
図10)。最終的に所望の回転位置Rに達すると、停止面43は対向停止面60に当接する(
図11及び
図12)。
【0093】
所望の回転位置Rでは、磁気トルク又は磁気円周力FUも、所望の回転位置Rに達するときに維持され、停止面43を対向停止面60に押し付ける(
図11)ように、取付磁石40、41、42の磁石軸B1、B2、B3と保持磁石55、56、57の磁石軸H1、H2、H3との間にオフセットが依然として存在するのが好ましい。これに対する変更態様では、磁気円周力FUはまた、所望の回転位置Rに達するときにゼロに等しくなり得る。この場合、停止面43及び対向停止面60も省略することができ、所望の回転位置Rは、
図12に概略的に示すように、取付磁石40、41、42及び保持磁石55、56、57の磁石軸によって画定することができる。
【0094】
確立された接続を解除するために、停止面43が対向停止面60から離れるように、取付装置31とホルダ26との間の相対回転が実行されてもよい。十分に大きな相対回転が実行される場合、取付磁石40、41、42及び保持磁石55、56、57のすべてが同じ磁気分極を含むわけではないため、取付磁石40、41、42及び保持磁石55、56、57の軸方向Aに反発する。2つのN極及び/又は2つのS極が、この相対回転に起因して互いに接近する限り、又は軸方向Aに互いに反対側に配置される限り、取付装置31とホルダ26との間の反発が生じるか、又はプローブユニット27が軸方向に内部領域58から引き出されるという点でホルダ26から取り外すことができるように、軸方向Aの残りの引力が低減される。
【0095】
このようにして、プローブユニット27の手動又は自動交換を非常に簡単に実行することができる。それによってホルダ26に、したがって測定装置20に加えられる力は非常に小さく、その結果、測定装置20の機械的及び/又は電気的及び/又は電子的及び/又は光学的構成要素の過剰な応力が回避される。プローブユニット27は、工具を用いずに挿抜することができる。
【0096】
上述したプローブユニット27とホルダ26との間の界面は、プローブユニット用だけでなく、他の本体用、例えば、対象物キャリア、チャック、ベアリング又は支持要素などの対象物ホルダ用にも使用することができる。この例は、
図13及び
図14に概略的に示されている。
図13及び
図14による実施形態では、ホルダ26は上述のように構成することもできる。支持体28の代わりに、保持本体65をホルダ26上に配置することができる。したがって、保持本体65は、上述の実施形態のうちの1つに対応する取付装置31を備える。
【0097】
図13による実施形態では、対象物66が対象物ホルダと接続される。例えば、対象物66は、測定される対象物66であり得る。例えば、対象物66はレンズとすることができる。適切な手段又は装置によって、対象物66を保持本体65上に取り外し可能に配置することができる。例えば、保持本体65は、対象物66を圧入嵌め及び/又は形状嵌め方式で保持するためのクランプ手段を備えることができる。
【0098】
別の実施形態が
図14に示されており、ベアリング又は支持要素67が保持本体65上に配置されている。ベアリング又は支持要素は、本実施形態では支持先端として構成される。ベアリング又は支持要素67は、測定される対象物66又は保持本体65を支持するために使用することができる。図示の実施形態では、支持先端に対応する対象物66又は保持本体65にそれぞれの円錐状凹部を設けることができる。
【0099】
図13による実施形態では、共通の長手方向軸Lは、測定される対象物66の対称軸と同一である。
図14に示す実施形態では、共通の長手方向軸線Lは、ベアリング又は支持要素67の長手方向中心軸又は対称軸に対応する。
【0100】
対象物66又はベアリング若しくは支持要素67に円周方向Uにトルクを加えることができる場合、有利には、トルクがもたらされる方向において円周方向Uのただ1つの回転感知が許容される。この回転の感知は、取付装置31の停止面43がホルダ26の対向停止面60に対して付勢されるように向けられるべきである。追加で、又は代替で、回転の一方又は両方の感知で円周方向のトルクを支持するために、他の装置も存在することができる。例えば、保持本体65とホルダ26との間のロックは、ロックが、円周方向Uの一方向の回転の感知又は両方の回転の感知でトルクを支持するように、所望の回転位置Rに達したときに実行することができる。保持本体65を解除するために、ロックを係合解除することができる。
【0101】
本発明は、特に工具なしで互いに取り外し可能に接続及び分離することができる測定装置20のプローブユニット27及びホルダ26に関する。この目的のために、プローブユニット27は、接触面34を有する取付装置31を備え、ホルダは、接触面34に割り当てられた対向接触面53を備える。接触面34は、取付装置31が接触位置Pをとる場合に、割り当てられた対向接触面に対して線に沿って又は二次元的にそれぞれ当接する複数の別個の表面部分34aに分割することができる。保持力は、取付装置31の少なくとも1つの取付磁石40、41、42及び/又はホルダ26の少なくとも1つの保持磁石55、56、57によって生じる。これにより、軸方向Aの軸方向磁気引力FA及び軸方向Aの周りの円周方向Uの磁気円周力FUが生成され、それにより、取付装置及びホルダ26は、円周方向Uの所望の回転位置Rにおいて互いに対して付勢される。
【符号の説明】
【0102】
20 測定装置
21 対象物表面
22 対象物
26 ホルダ
27 プローブユニット
28 支持部
29 プローブ素子
30 クランプねじ
31 取付装置
32 接触ユニット
33 接触本体
34 接触面
34a 接触面の表面部分
35 平坦化部
36 仮想円錐台シェル面
40 第1の取付磁石
41 第2の取付磁石
42 第3の取付磁石
43 停止面
44 接触本体の面
50 保持本体
51 対向接触ユニット
52 対向接触本体
53 対向接触面
54 窪み
55 第1の保持磁石
56 第2の保持磁石
57 第3の保持磁石
58 内部領域
59 軸方向表面
60 対向停止面
61 対向停止
65 保持本体
66 対象物
67 ベアリング又は支持要素
A 軸方向
B1 第1の取付磁石の磁石軸
B2 第2の取付磁石の磁石軸
B3 第3の取付磁石の磁石軸
FA 軸方向磁気引力
FU 磁気円周力
H1 第1の保持磁石の磁石軸
H2 第2の保持磁石の磁石軸
H3 第3の保持磁石の磁石軸
L 共通の長手方向軸
L1 第1の長手方向軸
L2 第2の長手方向軸
P 接触位置
R 所望の回転位置
S 旋回軸
U 円周方向