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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】取付ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/02 20060101AFI20240724BHJP
   E21F 17/18 20060101ALI20240724BHJP
   F21W 131/101 20060101ALN20240724BHJP
【FI】
F21V21/02 300
E21F17/18
F21W131:101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023111378
(22)【出願日】2023-07-06
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】野副 智弘
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 信彦
(72)【発明者】
【氏名】松下 勇
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2293612(KR,B1)
【文献】登録実用新案第3091815(JP,U)
【文献】登録実用新案第3133319(JP,U)
【文献】特表平11-501767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/02
E21F 17/18
F21W 131/101
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットであって、
前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と該第1締結孔の中心位置を中心とした円弧形状の第2締結孔とが設けられており、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、
前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通された状態において、前記第1締結孔の中心位置を回動中心とし且つ前記第2の締結具が前記第2締結孔の内部に沿って移動できる範囲内において前記ベース部材に対する前記可動部材の回動姿勢が調整可能とされており、
前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向に沿って延在すると共に互いに平行な長孔で構成されていることを特徴とする取付ユニット。
【請求項2】
取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットであって、
前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と該第1締結孔の中心位置を中心とした円弧形状の第2締結孔とが設けられており、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、
前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通された状態において、前記第1締結孔の中心位置を回動中心とし且つ前記第2の締結具が前記第2締結孔の内部に沿って移動できる範囲内において前記ベース部材に対する前記可動部材の回動姿勢が調整可能とされており、
前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向において所定間隔を存して配設された複数の丸孔で構成されていることを特徴とする取付ユニット。
【請求項3】
請求項1または2記載の取付ユニットにおいて、
前記ベース部材は、前記壁面に固定されるフランジ部と、前記壁面の延在方向に沿う水平方向において所定間隔を存して対向した一対の支持板部とを備えており、
前記可動部材は、前記壁面の延在方向に沿う水平方向において所定間隔を存して対向した一対の側板部を備えており、
前記ベース部材における前記一対の支持板部同士の間に、当該各支持板部の内面に前記各側板部の外面がそれぞれ重ね合わされるように前記可動部材が挿入され、前記第1の締結具および前記第2の締結具によって前記可動部材が前記ベース部材に一体的に組み付けられて成ることを特徴とする取付ユニット。
【請求項4】
請求項1または2記載の取付ユニットにおいて、
前記可動部材は、前記取付対象器具を支持する支持板部を備えており、該支持板部には、前記取付対象器具を締結するための第5締結孔が設けられており、該第5締結孔は、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向に延在する長孔で構成されていることを特徴とする取付ユニット。
【請求項5】
請求項1または2記載の取付ユニットにおいて、
前記第1締結孔は、該第1締結孔が設けられている前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方の外縁に開放されて成ることを特徴とする取付ユニット。
【請求項6】
請求項1または2記載の取付ユニットにおいて、
前記壁面は、トンネルの内壁面であることを特徴とする取付ユニット。
【請求項7】
取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットであって、
前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と第2締結孔とが設けられており、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、
前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通されており、
前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向に沿って延在すると共に互いに平行な長孔で構成されていることを特徴とする取付ユニット。
【請求項8】
取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットであって、
前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と第2締結孔とが設けられており、
前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、
前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通されており、
前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向において所定間隔を存して配設された複数の丸孔で構成されていることを特徴とする取付ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付対象器具(例えば表示灯器具)を壁面(例えばトンネルの内壁面)に取り付けるための取付ユニットに係る。特に、本発明は、種々の壁面に対して取付対象器具を適正に取り付けることが可能な取付ユニットを実現するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトンネルの内壁面等に表示灯器具等を取り付けるための手段として、板金を折り曲げ加工して成る取付金具を使用していた。図11は、従来の取付金具aを使用して表示灯器具bをトンネルの内壁面cに取り付けた状態を示している。この図11では表示灯器具bが非常口表示灯(非常口誘導灯とも呼ばれる)である場合を示している。
【0003】
この図11に示すように従来の取付金具aは、1枚の板金を折り曲げ加工して成り、鉛直方向に延在する鉛直板部(表示灯器具bから延びるステーb1,b1の間に挿入される鉛直板部)d、該鉛直板部dの上端からトンネルの内壁面cに向かって水平方向に延在する上側水平板部e、該上側水平板部eの先端から所定角度(トンネルの内壁面cに沿う傾斜角度)をもって上方へ折り曲げられた上側傾斜板部f、鉛直板部dの下端からトンネルの内壁面cに向かって水平方向に延在する下側水平板部g、該下側水平板部gの先端から所定角度(トンネルの内壁面cに沿う傾斜角度)をもって下方へ折り曲げられた下側傾斜板部hを備えた構成となっている。上側傾斜板部fおよび下側傾斜板部hそれぞれにはアンカボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。そして、上側水平板部eおよび下側水平板部gそれぞれがステーb1,b1に締結されることによって取付金具aに表示灯器具bが取り付けられていると共に、トンネルの内壁面cに打ち込まれたアンカボルトi,iが上側傾斜板部fおよび下側傾斜板部hのアンカボルト挿通孔にそれぞれ挿通されアンカボルトiにナットjが捩じ込まれることにより、取付金具aがトンネルの内壁面cに固定されている。
【0004】
また、特許文献1には、トンネル照明灯具を支持する金具が開示されている。この金具は、トンネル照明灯具の上面または下面に当接する本体部と、該本体部の前端からトンネル照明灯具の前面端部に沿うように屈曲されてトンネル照明灯具を支持する支持部とを備えた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-11704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表示灯器具は、トンネル内の建築限界範囲外(図11に二点鎖線で示す建築限界範囲よりも外側)において適正に(例えば傾くことなく)トンネルの内壁面に取り付けられることが要求されている。従来の取付金具aは、この要求を満たすために、トンネルの内壁面cの形状(傾斜角度等)に応じて作製されるものであった。つまり、トンネル毎のトンネル断面図に基づいて、表示灯器具bが建築限界範囲外において適正に取り付けられるように取付金具aの各部の寸法や傾斜角度を設計しておく必要があった。例えば、上側水平板部eおよび下側水平板部gそれぞれの寸法(水平方向の寸法)や、上側傾斜板部fおよび下側傾斜板部hそれぞれの傾斜角度をトンネル毎に設計して取付金具aを作製する必要があった。つまり、取付金具aはトンネル毎の専用の部材として設計および作製されるものであった。
【0007】
このため、取付金具aを設計および作製するに当たっては、トンネル毎のトンネル断面に関する情報を複数の業者間(例えば取付金具aの発注業者や設計作製業者等)で共有するための作業(情報の受け渡し作業等)が必要であり、その作業工数が多く煩雑であった。また、取付金具aの設計作製業者にあっては、トンネル毎に専用の取付金具aを設計および作製する必要があることから、その作業も煩雑であった。
【0008】
更には、トンネルの内壁面cは必ずしも設計通りの形状に施工されている保証はなく、設計された形状からズレている場合がある。このため、このズレを生じている内壁面cに取付金具(トンネルの内壁面cが設計通りの形状に施工されていると仮定して作製された取付金具)aを介して表示灯器具bを取り付けた場合、表示灯器具bを適正に取り付けることができない(例えば表示灯器具bが傾いてしまう)虞もあった。
【0009】
このような取付金具aを使用することに起因する不具合は、表示灯器具bをトンネルの内壁面cに取り付ける場合に限らず、他の器具(以下では取付対象器具と呼ぶ場合もある)をトンネルの内壁面cに取り付ける場合や、トンネル以外の壁面に取付対象器具を取り付ける場合にあっても同様に生じる可能性がある。また、前記特許文献1に開示されている構成にあっても同様の不具合を生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々の壁面に対して取付対象器具を適正に取り付ける(トンネルの内壁面に取り付けられる表示灯器具の場合には建築限界範囲外において適正に取り付ける)ことを可能にする取付ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットを前提とする。そして、この取付ユニットは、前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と該第1締結孔の中心位置を中心とした円弧形状の第2締結孔とが設けられており、前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通された状態において、前記第1締結孔の中心位置を回動中心とし且つ前記第2の締結具が前記第2締結孔の内部に沿って移動できる範囲内において前記ベース部材に対する前記可動部材の回動姿勢が調整可能とされており、前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向に沿って延在すると共に互いに平行な長孔で構成されていることを特徴とする。
【0012】
この特定事項により、壁面に固定されたベース部材に可動部材(取付対象器具を支持した可動部材)が組み付けられた状態では、第1締結孔および第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、第2締結孔および第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通された状態となっており、各締結具の締結作業(締め込み作業)の前段階にあっては、第1締結孔の中心位置を回動中心とし且つ第2の締結具が第2締結孔(円弧形状の孔)の内部に沿って移動できる範囲内においてベース部材に対する可動部材の回動姿勢が調整可能となっている。つまり、可動部材の回動姿勢を調整することにより、壁面に対する取付対象器具の回動姿勢を変化させる(調整する)ことができる。このようにして取付対象器具の回動姿勢を調整した状態で各締結具の締結作業を行うことにより、取付対象器具は、壁面に対する回動姿勢が適正化されて壁面に取り付けられることになる。
【0013】
このため、本解決手段に係る取付ユニットによれば、従来技術の如く壁面の種類(例えば壁面の傾斜角度)に応じて個別に取付金具を設計および作製しておくといったことは必要なく、1種類の取付ユニットによって、種々の壁面に対して取付対象器具を適正に取り付けることが可能になり、種々の壁面に対応した取付ユニットの共通化を図ることができる。その結果、従来の取付金具を設計および作製するに当たって必要であった壁面に関する情報を複数の業者間で共有したり、壁面の種類毎に専用の取付金具を設計および作製したりするといった煩雑な作業は不要になり、作業の大幅な改善を図ることができる。また、壁面が設計通りの形状に施工されていない状況であっても、前述した可動部材の回動姿勢の調整による取付対象器具の回動姿勢の調整によって、取付対象器具を適正に取り付けることが可能である。
【0015】
また、第3締結孔および第4締結孔それぞれが、第1の締結具および第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ可動部材に支持された取付対象器具が壁面に対して接離する方向に沿って延在すると共に互いに平行な長孔で構成されていることから、ベース部材に対する可動部材の相対位置を、第3締結孔および第4締結孔の延在方向(長孔の長手方向)に沿って変更することが可能となる。つまり、前述した如く壁面に対する取付対象器具の回動姿勢を調整することができるだけでなく、壁面に対する取付対象器具の相対位置(前記長孔の長手方向に沿う方向での相対位置:壁面との間の距離)を調整することができる。例えば取付対象器具がトンネルの内壁面に取り付けられる場合には、トンネルの内壁面に対する取付対象器具の位置を調整することができ、この取付対象器具を建築限界範囲外に位置させるように調整したり(取付対象器具の位置をトンネルの内壁面に近付けることにより建築限界範囲外に位置させるように調整したり)、取付対象器具がトンネルの内壁面(湾曲面または傾斜面)に干渉することのない位置に調整したり(取付対象器具の位置をトンネルの内壁面から離すことによりトンネルの内壁面に干渉することのない位置に調整したり)することができる。
【0016】
前記の目的を達成するための本発明の他の解決手段としては、取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットを前提とする。そして、この取付ユニットは、前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と該第1締結孔の中心位置を中心とした円弧形状の第2締結孔とが設けられており、前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通された状態において、前記第1締結孔の中心位置を回動中心とし且つ前記第2の締結具が前記第2締結孔の内部に沿って移動できる範囲内において前記ベース部材に対する前記可動部材の回動姿勢が調整可能とされており、前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向において所定間隔を存して配設された複数の丸孔で構成されていることを特徴とする
【0017】
これによれば、第1の締結具を挿通する第3締結孔を選択(第3締結孔を成す複数の丸孔のうちの何れかを選択)し、また、第2の締結具を挿通する第4締結孔を選択(第4締結孔を成す複数の丸孔のうちの何れかを選択)することにより、ベース部材に対する可動部材の相対位置を、第1の締結具および第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ可動部材に支持された取付対象器具が壁面に対して接離する方向において変更することが可能となる。つまり、この場合にも、前述した如く壁面に対する取付対象器具の回動姿勢を調整することができるだけでなく、壁面に対する取付対象器具の相対位置(壁面との間の距離)を調整することができる。
また、前記ベース部材は、前記壁面に固定されるフランジ部と、前記壁面の延在方向に沿う水平方向において所定間隔を存して対向した一対の支持板部とを備えており、前記可動部材は、前記壁面の延在方向に沿う水平方向において所定間隔を存して対向した一対の側板部を備えており、前記ベース部材における前記一対の支持板部同士の間に、当該各支持板部の内面に前記各側板部の外面がそれぞれ重ね合わされるように前記可動部材が挿入され、前記第1の締結具および前記第2の締結具によって前記可動部材が前記ベース部材に一体的に組み付けられている。
【0018】
また、前記可動部材は、前記取付対象器具を支持する支持板部を備えており、該支持板部には、前記取付対象器具を締結するための第5締結孔が設けられており、該第5締結孔は、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向に延在する長孔で構成されている。
【0019】
これによれば、取付対象器具を可動部材の支持板部に支持する(締結により支持する)に当たり、支持板部に対する取付対象器具の相対位置を第5締結孔の延在方向(長孔の長手方向)に沿って変更することが可能となる。つまり、前述した如く壁面に対する取付対象器具の回動姿勢を調整することができるだけでなく、取付対象器具の位置を第5締結孔の延在方向に沿って変更することが可能となる。例えば支持板部が鉛直方向に沿って延在する場合には、取付対象器具の位置(可動部材に支持される位置)を鉛直方向で調整することができる。このため、取付対象器具がトンネルの内壁面に取り付けられる場合には、取付対象器具の取り付け高さ位置を調整することができ、この取付対象器具を建築限界範囲外に位置させるように調整したり(取付対象器具の取り付け高さ位置を高くすることにより建築限界範囲外に位置させるように調整したり)、取付対象器具がトンネルの内壁面に干渉することのない位置に調整したり(取付対象器具の取り付け高さ位置を低くすることにより取付対象器具の上端部がトンネルの内壁面に干渉することのない位置に調整したり)することができる。
【0020】
また、前記第1締結孔は、該第1締結孔が設けられている前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方の外縁に開放されて成る。
【0021】
これによれば、可動部材をベース部材に組み付ける前段階において、第3締結孔に第1の締結具を挿通させておき、この状態で、第1の締結具を、第1締結孔の開放部分から嵌め込むことにより、可動部材をベース部材に組み付けることができる。これにより、第1締結孔および第3締結孔に亘って第1の締結具を挿通させた構成を得ることができる。つまり、第1締結孔と第3締結孔とを予め位置合わせした状態で、これら締結孔に亘って第1の締結具を挿通させるといった煩雑な作業を必要とすることなく、第1締結孔および第3締結孔に亘って第1の締結具を挿通させた構成を得ることができる。これにより、可動部材をベース部材に組み付ける作業の簡素化を図ることができる。
【0022】
また、前記壁面は、トンネルの内壁面である。
【0023】
一般にトンネルの内壁面は湾曲面または傾斜面となっている。また、取付対象器具をトンネルの内壁面に取り付ける場合には、取付対象器具をトンネル内の建築限界範囲外において傾くことなく取り付けることが要求される。前述したように、従来技術にあっては、この要求を満たすために、トンネル毎に取付金具を設計して作製する必要があったが、本解決手段に係る取付ユニットによれば、ベース部材に対する可動部材の回動姿勢を調整することによって、トンネルの内壁面の湾曲形状や傾斜角度に関わりなく、取付対象器具の回動姿勢を調整して適正に取り付けることが可能になり、種々の壁面に対応した取付ユニットの共通化を図ることができる。
【0024】
また、前記の目的を達成するための本発明の他の解決手段として以下の構成も挙げられる。つまり、取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットを前提とする。そして、この取付ユニットが、前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と第2締結孔とが設けられており、前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通されており、前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向に沿って延在すると共に互いに平行な長孔で構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
この特定事項によれば、前述したように、壁面に対する取付対象器具の相対位置(前記長孔の長手方向に沿う方向での相対位置:壁面との間の距離)を調整することができる。
【0026】
また、前記の目的を達成するための本発明の他の解決手段として以下の構成も挙げられる。つまり、取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットを前提とする。そして、この取付ユニットが、前記壁面に固定されるベース部材と、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に前記取付対象器具を支持する可動部材とを含んで成り、前記ベース部材および前記可動部材のうちの一方には、第1締結孔と第2締結孔とが設けられており、前記ベース部材および前記可動部材のうちの他方には、前記第1締結孔に対応する第3締結孔と前記第2締結孔に対応する第4締結孔とが設けられており、前記第1締結孔および前記第3締結孔に亘って第1の締結具が挿通され、前記第2締結孔および前記第4締結孔に亘って第2の締結具が挿通されており、前記第3締結孔および前記第4締結孔それぞれは、前記第1の締結具および前記第2の締結具それぞれの挿通方向に対して直交する方向であって且つ前記可動部材に支持された前記取付対象器具が前記壁面に対して接離する方向において所定間隔を存して配設された複数の丸孔で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、取付対象器具を壁面に取り付けるための取付ユニットを、壁面に固定されるベース部材、および、該ベース部材に締結具によって一体的に組み付けられると共に取付対象器具を支持する可動部材により構成し、ベース部材および可動部材のうちの一方に、第1締結孔と円弧形状の第2締結孔とを設け、ベース部材および可動部材のうちの他方に、第3締結孔と第4締結孔とを設けている。また、第1締結孔および第3締結孔に亘って第1の締結具を挿通し、第2締結孔および第4締結孔に亘って第2の締結具を挿通した状態において、第1締結孔の中心位置を回動中心とし且つ第2の締結具が第2締結孔の内部に沿って移動できる範囲内においてベース部材に対する可動部材の回動姿勢を調整可能としている。この可動部材の回動姿勢の調整により、壁面に対する取付対象器具の回動姿勢を調整することができ、種々の壁面に対して取付対象器具を適正に取り付けることが可能になって、種々の壁面に対応した取付ユニットの共通化を図ることができる。その結果、従来の取付金具を設計および作製するに当たって必要であった壁面に関する情報を複数の業者間で共有したり、壁面の種類毎に専用の取付金具を設計および作製したりするといった煩雑な作業は不要になり、作業の大幅な改善を図ることができる。また、壁面が設計通りの形状に施工されていない状況であっても、前述した可動部材の回動姿勢の調整による取付対象器具の回動姿勢の調整によって、取付対象器具を適正に取り付けることが可能になる。また、当該取付ユニットは汎用性が高いため、作製業者は、この取付ユニットを作り置きしておくことが可能であり、量産したり、在庫として確保しておくことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る取付ユニットによって表示灯器具をトンネルの内壁面に取り付けた状態の一例を示す図である。
図2】取付ユニットの斜視図である。
図3】取付ユニットの分解斜視図である。
図4】取付ユニットの正面図である。
図5】取付ユニットの背面図である。
図6】取付ユニットの平面図である。
図7】取付ユニットの左側面図である。
図8】トンネルの内壁面の形状に応じて可動部材の回動姿勢および位置を変化させた複数の取り付けパターンの例を示す図である。
図9】変形例に係る取付ユニットの図3相当図である。
図10】変形例に係る取付ユニットの図7相当図である。
図11】従来の取付金具を利用して表示灯器具をトンネルの内壁面に取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、トンネルの内壁面(本発明でいう壁面)に表示灯器具(本発明でいう取付対象器具)を取り付けるための取付ユニットとして本発明を適用した場合について説明する。また、以下の説明では、「道路の幅方向」を「道路の横断方向」と呼ぶ場合もあり、「道路の延長方向(車両の走行方向)」を「道路の縦断方向」と呼ぶ場合もある。また、本実施形態では、後述するベース部材5(図3を参照)に第1締結孔51aおよび第2締結孔51bを設け、可動部材6に第3締結孔61aおよび第4締結孔61bを設けた場合を例に挙げて説明する。
【0031】
-表示灯器具の取り付け状態の説明-
図1は、本実施形態に係る取付ユニット1によって表示灯器具2をトンネルの内壁面3に取り付けた状態の一例を示す図である。この図1では、左右方向が道路の幅方向(道路の横断方向)であり、紙面に直交する方向が道路の延長方向(道路の縦断方向)である。また、この図1では表示灯器具2が非常口表示灯である場合を示している。尚、表示灯器具2としてはこれに限らず、非常電話表示灯や非常駐車帯表示灯等であってもよい。
【0032】
図1に示すように、トンネルの内壁面3は所定の曲率をもって湾曲しており、取付ユニット1は、この内壁面3にアンカボルト4によって固定されると共に、表示灯器具2を支持する機能を有している。以下、この取付ユニット1の構成について具体的に説明する。
【0033】
-取付ユニットの説明-
図2は取付ユニット1の斜視図である。図3は取付ユニット1の分解斜視図である。図4は取付ユニット1の正面図(道路の幅方向の中央側から見た図)である。図5は取付ユニット1の背面図(道路の幅方向の外側から見た図)である。図6は取付ユニット1の平面図である。図7は取付ユニット1の左側面図である。これらの図におけるX方向は道路の幅方向であり、Y方向は道路の延長方向である。また、これらの図は、後述するベース部材5に対して可動部材6が回動していない(トンネルの中央側に向けて回動していない)姿勢(図7に示すように可動部材6がベース部材5に対して最も時計回り方向に回動した姿勢)となっている場合を示している。以下では、この可動部材6の姿勢を格納姿勢と呼ぶこととする。
【0034】
これらの図に示すように、取付ユニット1は、トンネルの内壁面3に固定されるベース部材5と、該ベース部材5に一体的に組み付けられると共に表示灯器具2を支持する可動部材6とを備えた構成となっている。以下、ベース部材5および可動部材6について説明する。
【0035】
(ベース部材の説明)
ベース部材5は、金属製(例えばステンレス製)の平板の折り曲げ加工によって形成されて成り、左右一対の支持板部51,51、左右一対のフランジ部52,52、および、連結板部53を備えている。
【0036】
各支持板部51,51は、ベース部材5がトンネルの内壁面3に固定された状態において、内壁面3に対して直交する略鉛直方向に延在する略矩形状の板材で成る。各支持板部51,51は、道路の延長方向において所定間隔を存して対向している。
【0037】
各支持板部51,51の上部には第1締結孔51a,51aが設けられている。第1締結孔51aは支持板部51の上縁に開放されている。つまり、この第1締結孔51aは、内縁がU字形状となっており、図7に示すように、円弧形状の円弧孔部51cと、該円弧孔部51cの上端縁から上方に延在して支持板部51の上縁に開放する開放溝部51dとが連続した形状となっている。
【0038】
各支持板部51,51の下部には第2締結孔51b,51bが設けられている。第2締結孔51bは、第1締結孔51aの中心位置を中心とした円弧形状の開口で成る。ここでいう第1締結孔51aの中心位置とは、前記第1締結孔51aの円弧孔部51c(図7を参照)の円弧中心位置である。第2締結孔51bが設けられている範囲としては、図7に示す状態(前記格納姿勢となっている状態)において、第1締結孔51aの鉛直下方の位置からフランジ部52とは反対側に向けて所定の角度範囲となっている。本実施形態では、この角度範囲(図7における角度α)は例えば約30°に設定されている。この値はこれに限定されるものではなく、トンネルの内壁面3の傾斜角度として想定される角度範囲に応じて(水平方向に対する傾斜角度が最も小さいトンネルの内壁面3を想定して)規定される。
【0039】
各フランジ部52,52は、支持板部51,51の外側端(道路の幅方向におけるトンネルの内壁面3側の端)から支持板部51,51に対して直交する方向に延在し、トンネルの内壁面3に重ね合わされる略矩形状の板材で成る。
【0040】
各フランジ部52,52における上下方向の中央部には水平方向(道路の延長方向)に延在する長孔で成るアンカボルト挿通孔52a,52aが設けられている。図1に示すように、トンネルの内壁面3にはアンカボルト4が打ち込まれており、このアンカボルト4がアンカボルト挿通孔52aに挿通され該アンカボルト4にナット41が捩じ込まれることにより、各フランジ部52,52がトンネルの内壁面3に固定されている。これにより、ベース部材5はトンネルの内壁面3に固定されていることになる。前述したように各アンカボルト挿通孔52a,52aが長孔となっていることにより、トンネルの内壁面3に対するアンカボルト4,4の打ち込み位置に高い精度を要求することなく(アンカボルト4,4の打ち込み位置が水平方向でズレた場合であっても)、ベース部材5を適正な位置に配置しながらもアンカボルト挿通孔52a,52aにアンカボルト4,4を挿通することでベース部材5をトンネルの内壁面3の適正な位置に固定することが可能となっている。
【0041】
連結板部53は、各支持板部51,51の上端縁におけるトンネルの内壁面3側の端部同士を連結する平板状の部材で成る。連結板部53の長さ寸法(道路の延長方向での長さ寸法)は、後述する可動部材6の幅寸法(道路の延長方向での長さ寸法)よりも僅かに大きく設定されている。これにより、互いに対向する支持板部51,51同士の間の間隔寸法が可動部材6の幅寸法よりも僅かに大きく設定されることになり、可動部材6をベース部材5に組み付ける際には、ベース部材5の支持板部51,51同士の間に可動部材6が挿入されるようになっている(図2および図3を参照)。
【0042】
(可動部材の説明)
可動部材6は、金属製(例えばステンレス製)の平板の折り曲げ加工によって形成された平面視がコ字状の部材で成り、左右一対の側板部61,61、および、各側板部61,61の端部(トンネルの内壁面3とは反対側の端部)同士を連結する支持板部62を備えている。
【0043】
各側板部61,61は、可動部材6がベース部材5の内側に嵌め込まれた状態において、ベース部材5の各支持板部51,51の内面に重ね合わされる略矩形状の板材で成る。各側板部61,61は、道路の延長方向において所定間隔を存して対向している。
【0044】
図3に示すように、各側板部61,61の上部には、ベース部材5の第1締結孔51a,51aに対応する第3締結孔61a,61aが設けられている。この第3締結孔61aは、側板部61の上端縁や下端縁の延長方向に沿う方向を長手方向とする長孔で形成されている。つまり、この第3締結孔61aは、前述した可動部材6の格納姿勢において水平方向に延在する長孔で形成されている。図2に示すように、可動部材6がベース部材5の内側に嵌め込まれた状態にあっては、ベース部材5の第1締結孔51aと可動部材6の第3締結孔61aとが連通する状態となる。
【0045】
また、各側板部61,61の下部には、ベース部材5の第2締結孔51b,51bに対応する第4締結孔61b,61bが設けられている。この第4締結孔61bも、側板部61の上端縁や下端縁の延長方向に沿う方向を長手方向とする長孔で形成されている。つまり、この第4締結孔61bも、前述した可動部材6の格納姿勢において水平方向に延在する長孔で形成されている。このため、第3締結孔61aと第4締結孔61bとは互いに平行する長孔で形成されていることになる。第3締結孔61aと第4締結孔61bとの間の距離は、第1締結孔51aと第2締結孔51bとの間の距離に略一致している。このため、図2に示すように、可動部材6がベース部材5の内側に嵌め込まれ、第1締結孔51aと第3締結孔61aとが連通する状態にあっては、第2締結孔51bと第4締結孔61bも連通する状態となる。このようにして、ベース部材5にはベース側締結孔としての第1締結孔51aおよび第2締結孔51bが設けられており、可動部材6には可動側締結孔としての第3締結孔61aおよび第4締結孔61bが設けられている。
【0046】
そして、ベース部材5と可動部材6とが一体的に組み付けられた状態にあっては、第1締結孔51aおよび第3締結孔61aに亘って第1ボルト(第1の締結具)B1が挿通され(可動部材6の内側から挿通され)、該第1ボルトB1に第1ナットN1が捩じ込まれる。また、第2締結孔51bおよび第4締結孔61bに亘って第2ボルト(第2の締結具)B2が挿通され(可動部材6の内側から挿通され)、該第2ボルトB2に第2ナットN2が捩じ込まれる。この状態にあっては、第1ボルトB1と第1ナットN1の締結作業(締め込み作業)および第2ボルトB2と第2ナットN2の締結作業を行う前段階(締結力が低い状態)において、第1締結孔51aの中心位置(第1ボルトB1の中心位置に略一致)を回動中心とし且つ第2ボルトB2が第2締結孔51bの内部に沿って移動できる範囲内においてベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢が調整可能な状態となっている(図7における矢印を参照)。この回動姿勢の調整動作については後述する。
【0047】
支持板部62の2箇所には、表示灯器具2を締結するための第5締結孔62a,62aが設けられている。各第5締結孔62a,62aは、前述した可動部材6の格納姿勢において鉛直方向に延在する長孔で形成されている。これにより、表示灯器具2を可動部材6の支持板部62に支持する(締結により支持する)に当たり、表示灯器具2から延在するボルト(図示省略)の第5締結孔62aに対する挿通位置を変更することが可能であり、これによって支持板部62に対する表示灯器具2の相対位置を第5締結孔62aの延在方向(長孔の長手方向)に変更することが可能となっている(可動部材6が格納姿勢にある状態にあっては鉛直方向での表示灯器具2の締結位置を調整することが可能となっている)。
【0048】
以上の構成により、長孔で成る第3締結孔61a,61a、第4締結孔61b,61b、および、第5締結孔62a,62aそれぞれは、第1ボルトB1および第2ボルトB2それぞれの挿通方向に対して直交する方向に延在(可動部材6が格納姿勢にある状態にあっては、第3締結孔61a,61aおよび第4締結孔61b,61bは水平方向に、第5締結孔62a,62aは鉛直方向にそれぞれ延在)していることになる。
【0049】
尚、前述の如く構成された取付ユニット1の各部の寸法は特に限定されるものではないが、トンネルの内壁面3に対する取付強度および表示灯器具2の支持強度が十分に得られる範囲でできるだけ小型であることが好ましい。一例として、本実施形態のものは、ベース部材5の幅寸法(道路の延長方向に沿う方向の寸法)が250mm程度であり、高さ寸法が150mm程度であり、奥行き寸法(道路の幅方向に沿う方向の寸法)が120mm程度である。また、可動部材6の高さ寸法は200mm程度である。これら寸法はこれに限定されるものではない。
【0050】
-表示灯器具の取り付け作業-
次に、前述した取付ユニット1を使用してトンネルの内壁面3に表示灯器具2を取り付ける作業について説明する。
【0051】
この取り付け作業では、ベース部材5をトンネルの内壁面3に固定する作業、および、表示灯器具2に可動部材6を取り付ける作業の後、可動部材6をベース部材5に組み付ける作業が行われることになる。
【0052】
ベース部材5をトンネルの内壁面3に固定する作業では、トンネルの内壁面3に打ち込まれたアンカボルト4,4が、ベース部材5のアンカボルト挿通孔52a,52aそれぞれに挿通されアンカボルト4,4にナット41,41が捩じ込まれる。これにより、ベース部材5がトンネルの内壁面3に固定される。
【0053】
表示灯器具2に可動部材6を取り付ける作業では、表示灯器具2から突出したボルトが、可動部材6の支持板部62に形成されている第5締結孔62a,62aに挿通され該ボルトにナットが捩じ込まれる。これにより、表示灯器具2に可動部材6が取り付けられる。この際、表示灯器具2の取り付け位置は、第5締結孔62a,62aの延在方向に沿って調整することが可能である。
【0054】
そして、可動部材6をベース部材5に組み付ける作業では、先ず、図3に示すように、可動部材6の各第3締結孔61a,61aそれぞれに第1ボルトB1,B1を可動部材6の内側から挿通させ、この第1ボルトB1,B1に第1ナットN1,N1を捩じ込む。この際、第1ナットN1,N1の捩じ込み位置は、これら第1ボルトB1と第1ナットN1との間で可動部材6の側板部61を挟み込むことのない位置、つまり、第1ナットN1と側板部61との間に所定寸法以上(具体的には、ベース部材5の支持板部51の板厚寸法以上)の間隔を得ることができる位置とされる。
【0055】
この状態で、ベース部材5の上側から該ベース部材5の内側に可動部材6を挿入していき、第1ボルトB1を、第1締結孔51aの開放部分から嵌め込む。つまり、第1ナットN1と可動部材6の側板部61との間にベース部材5の支持板部51が位置するように、第1ボルトB1のネジ部分を第1締結孔51aに嵌め込む。これにより、第1締結孔51aおよび第3締結孔61aに亘って第1ボルトB1が挿通された構成が得られる。
【0056】
その後、ベース部材5の各第2締結孔51b,51bと可動部材6の第4締結孔61b,61bとが連通する状態にし、これら第2締結孔51b,51bおよび第4締結孔61b,61bに亘って第2ボルトB2,B2を可動部材6の内側から挿通し、該第2ボルトB2,B2それぞれに第2ナットN2,N2を捩じ込む。この際にも、第2ナットN2,N2の捩じ込み位置は、これら第2ボルトB2と第2ナットN2との間で可動部材6の側板部61およびベース部材5の支持板部51を挟み込むことのない位置とされる。
【0057】
この状態にあっては、長孔で成る第3締結孔61aおよび第4締結孔61bの延在方向に沿って、ベース部材5に対する可動部材6の相対位置を変更することが可能な状態であり、また、第1締結孔51aの中心位置(第1ボルトB1の中心位置に略一致)を回動中心とし且つ第2ボルトB2が第2締結孔51bの内部に沿って移動できる範囲内においてベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢が調整可能な状態となっている。このベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢の調整に伴って、トンネルの内壁面3に対する表示灯器具2の回動姿勢も調整することができる。
【0058】
そして、表示灯器具2がトンネル内の建築限界範囲外(図1に二点鎖線で示す建築限界範囲よりも外側)に位置し且つ表示灯器具2が傾くことのない姿勢となるように、ベース部材5に対する可動部材6の相対位置を調整し、且つベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢を調整した状態で、第1ボルトB1と第1ナットN1との締結作業(締め込み作業)および第2ボルトB2と第2ナットN2との締結作業を行う。この際、表示灯器具2が傾いていないことの確認は作業者が携帯する水準器を使用して行われる。これにより、表示灯器具2は、トンネル内の建築限界範囲外に位置し且つ傾くことのない姿勢となって、トンネルの内壁面3に取り付けられることになる。
【0059】
また、このように表示灯器具2をトンネルの内壁面3に取り付けた後であっても、可動部材6の支持板部62に形成されている第5締結孔62a,62aに対する表示灯器具2のボルトの挿通位置を変更することにより、表示灯器具2の配設高さ位置を調整することが可能である。
【0060】
-表示灯器具の取り付け例-
次に、トンネルの内壁面3の形状に応じて可動部材6の回動姿勢および位置を変化させた複数の取り付けパターンについて説明する。図8は、この複数の取り付けパターンの例を示す図である。この図8では表示灯器具2を仮想線で示している。
【0061】
図8(a)は、トンネルの内壁面3の傾斜角度(内壁面3が湾曲面である場合には、取付ユニット1の取り付け箇所における内壁面3の接線の傾斜角度)が60°である場合に、表示灯器具2をトンネルの内壁面3から最も離した位置とした例である。つまり、第1ボルトB1の位置が第3締結孔61aにおける最も内壁面3寄りの位置とされ且つ第2ボルトB2の位置が第4締結孔61bにおける最も内壁面3寄りの位置とされると共に、可動部材6を、格納姿勢での回動位置から30°回動させて(図8において反時計回り方向に回動させて)、表示灯器具2が傾かない姿勢とした例である。
【0062】
図8(b)は、トンネルの内壁面3の傾斜角度が75°である場合に、表示灯器具2をトンネルの内壁面3から最も離した位置とした例である。つまり、第1ボルトB1の位置が第3締結孔61aにおける最も内壁面3寄りの位置とされ且つ第2ボルトB2の位置が第4締結孔61bにおける最も内壁面3寄りの位置とされると共に、可動部材6を、格納姿勢での回動位置から15°回動させて、表示灯器具2が傾かない姿勢とした例である。
【0063】
図8(c)は、トンネルの内壁面3の傾斜角度が60°である場合に、表示灯器具2をトンネルの内壁面3に最も近付けた位置とした例である。つまり、第1ボルトB1の位置が第3締結孔61aにおける最も内壁面3から離れた位置とされ且つ第2ボルトB2の位置が第4締結孔61bにおける最も内壁面3から離れた位置とされると共に、可動部材6を、格納姿勢での回動位置から30°回動させて、表示灯器具2が傾かない姿勢とした例である。
【0064】
図8(d)は、トンネルの内壁面3の傾斜角度が75°である場合に、表示灯器具2をトンネルの内壁面3に最も近付けた位置とした例である。つまり、第1ボルトB1の位置が第3締結孔61aにおける最も内壁面3から離れた位置とされ且つ第2ボルトB2の位置が第4締結孔61bにおける最も内壁面3から離れた位置とされると共に、可動部材6を、格納姿勢での回動位置から15°回動させて、表示灯器具2が傾かない姿勢とした例である。
【0065】
このように、本実施形態に係る取付ユニット1によれば、種々のトンネルの内壁面3の形状に応じて可動部材6の回動姿勢および位置を変化させて表示灯器具2を適正に取り付けることが可能となっている。
【0066】
-実施形態の効果-
以上説明したように、本実施形態では、各ボルトB1,B2およびナットN1,N2の締結作業(締め込み作業)の前段階にあっては、第1締結孔51aの中心位置を回動中心とし且つ第2ボルトB2が第2締結孔(円弧形状の孔)51bの内部に沿って移動できる範囲内においてベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢が調整可能となっている。つまり、可動部材6の回動姿勢を調整することにより、トンネルの内壁面3に対する表示灯器具2の回動姿勢を変化させる(調整する)ことができる。このため、本実施形態に係る取付ユニット1によれば、従来技術の如くトンネルの内壁面の種類(例えば壁面の傾斜角度)に応じて個別に取付金具を設計および作製しておくといったことは必要なく、1種類の取付ユニット1によって、種々のトンネルの内壁面3に対して表示灯器具2を適正に取り付けることが可能になり、種々のトンネルの内壁面3に対応した取付ユニット1の共通化を図ることができる。その結果、従来の取付金具を設計および作製するに当たって必要であったトンネルの内壁面に関する情報を複数の業者間で共有したり、トンネルの内壁面の種類毎に専用の取付金具を設計および作製したりするといった煩雑な作業は不要になり、作業の大幅な改善を図ることができる。また、トンネルの内壁面3が設計通りの形状に施工されていない状況であっても、可動部材6の回動姿勢の調整による表示灯器具2の回動姿勢の調整によって、表示灯器具2を適正に取り付けることが可能である。
【0067】
また、本実施形態では、第3締結孔61aおよび第4締結孔61bが、第1ボルトB1および第2ボルトB2それぞれの挿通方向に対して直交する方向に延在し且つ互いに平行な長孔で構成されていることにより、ベース部材5に対する可動部材6の相対位置を、第3締結孔61aおよび第4締結孔61bの延在方向(長孔の長手方向)に変更することが可能である。つまり、トンネルの内壁面3に対する表示灯器具2の相対位置(長孔の長手方向に沿う方向での相対位置:トンネルの内壁面3との間の距離)を調整することができる。このため、トンネルの内壁面3に対する表示灯器具2の位置を調整することができ、この表示灯器具2を建築限界範囲外に位置させるように調整したり(表示灯器具2の位置をトンネルの内壁面3に近付けることにより建築限界範囲外に位置させるように調整したり)、表示灯器具2がトンネルの内壁面3に干渉することのない位置に調整したり(表示灯器具2の位置をトンネルの内壁面3から離すことによりトンネルの内壁面3に干渉することのない位置に調整したり)することができる。
【0068】
また、本実施形態では、可動部材6の支持板部62に設けられた第5締結孔62a,62aが、第1ボルトB1および第2ボルトB2それぞれの挿通方向に対して直交する方向に延在する長孔で構成されていることにより、表示灯器具2の位置(可動部材6に支持される位置)を鉛直方向で調整することができる。このため、表示灯器具2の取り付け高さ位置を調整することができ、この表示灯器具2を建築限界範囲外に位置させるように調整したり(表示灯器具2の取り付け高さ位置を高くすることにより建築限界範囲外に位置させるように調整したり)、表示灯器具2がトンネルの内壁面3に干渉することのない位置に調整したり(表示灯器具2の取り付け高さ位置を低くすることにより表示灯器具2の上端部がトンネルの内壁面3に干渉することのない位置に調整したり)することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る取付ユニット1は汎用性が高いため、作製業者は、この取付ユニット1を作り置きしておくことが可能であり、量産したり、在庫として確保しておくことも可能である。
【0070】
-変形例-
次に、変形例について説明する。本変形例は、第1締結孔、第3締結孔および第4締結孔の構成が前述した実施形態のものと異なっている。また、各締結孔を利用した締結構造が前述した実施形態のものと異なっている。その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。従って、ここでは、第1締結孔、第3締結孔および第4締結孔の構成、並びに、各締結孔を利用した締結構造について主に説明する。
【0071】
図9は、本変形例に係る取付ユニット1の図3相当図(分解斜視図)である。また、図10は、本変形例に係る取付ユニット1の図7相当図(左側面図)である。
【0072】
図9および図10に示すように、ベース部材5の各支持板部51,51の上部に設けられている第1締結孔51eは、第1ボルト(第1の締結具)B1のネジ部分の外径寸法に略一致した(または当該外径寸法よりも僅かに大きい)内径寸法を有する丸孔で構成されている。
【0073】
また、可動部材6の各側板部61,61の上部に設けられている第3締結孔は、ベース部材5に組み付けられる際に一方が選択される2個の丸孔で成り、支持板部62寄りの位置に設けられた内側第3締結孔61cと、支持板部62とは反対寄りの位置に設けられた外側第3締結孔61dとを有している。これら内側第3締結孔61cおよび外側第3締結孔61dは、前述した可動部材6の格納姿勢において水平方向に所定間隔を存した位置にそれぞれ形成されている。また、これら内側第3締結孔61cおよび外側第3締結孔61dの内径寸法は、第1ボルトB1のネジ部分の外径寸法に略一致している。また、これら内側第3締結孔61cおよび外側第3締結孔61dの内面には第1ボルトB1の捩じ込みが可能な雌ネジが形成されている。
【0074】
また、可動部材6の各側板部61,61の下部に設けられている第4締結孔も、ベース部材5に組み付けられる際に一方が選択される2個の丸孔で成り、支持板部62寄りの位置に設けられた内側第4締結孔61eと、支持板部62とは反対寄りの位置に設けられた外側第4締結孔61fとを有している。これら内側第4締結孔61eおよび外側第4締結孔61fは、前述した可動部材6の格納姿勢において水平方向に所定間隔を存した位置にそれぞれ形成されている。この間隔は、前述した内側第3締結孔61cと外側第3締結孔61dとの間の間隔と同等である。また、これら内側第4締結孔61eおよび外側第4締結孔61fの内径寸法は、第2ボルト(第2の締結具)B2のネジ部分の外径寸法に略一致している。また、これら内側第4締結孔61eおよび外側第4締結孔61fの内面には第2ボルトB2の捩じ込みが可能な雌ネジが形成されている。
【0075】
次に、本変形例において可動部材6をベース部材5に組み付ける作業について説明する。ここでは、第3締結孔として内側第3締結孔61cを使用し、第4締結孔として内側第4締結孔61eを使用する場合について説明する。
【0076】
図9および図10に示すように、ベース部材5の内側に可動部材6を挿入し、内側第3締結孔61cと第1締結孔51eとを位置合わせすると共に、内側第4締結孔61eと第2締結孔51bとを位置合わせする。この状態で、第1締結孔51eと内側第3締結孔61cとに亘ってベース部材5の外側から第1ボルトB1を挿通し、内側第3締結孔61cの内面に形成されている雌ネジに捩じ込む。同様に、第2締結孔51bと内側第4締結孔61eとに亘ってベース部材5の外側から第2ボルトB2を挿通し、内側第4締結孔61eの内面に形成されている雌ネジに捩じ込む。この場合の各ボルトB1,B2の捩じ込み位置は、各ボルトB1,B2の頭部が各支持板部51,51の外面を押圧することのない位置(ベース部材5の支持板部51と可動部材6の側板部61とが高い圧力で接することがない位置)とされる。
【0077】
この状態にあっては、第1締結孔51eの中心位置(第1ボルトB1の中心位置に一致)を回動中心とし且つ第2ボルトB2が第2締結孔51bの内部に沿って移動できる範囲内においてベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢が調整可能な状態となっている。このベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢の調整に伴って、トンネルの内壁面3に対する表示灯器具2の回動姿勢も調整することができる。
【0078】
そして、表示灯器具2が傾くことのない姿勢となるように、ベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢を調整した状態で、各ボルトB1,B2の更なる締結作業(締め込み作業)を行う。これにより、可動部材6がベース部材5に組み付けられ、この状態にあっては、表示灯器具2は傾くことのない姿勢となって、トンネルの内壁面3に取り付けられることになる。
【0079】
以上の説明では、第3締結孔として内側第3締結孔61cを使用し、第4締結孔として内側第4締結孔61eを使用する場合について説明した。この場合、第3締結孔として外側第3締結孔61dを使用し、第4締結孔として外側第4締結孔61fを使用する場合に比べて、表示灯器具2がトンネルの内壁面3に近付くことになる。
【0080】
これに対し、第3締結孔として外側第3締結孔61dを使用し、第4締結孔として外側第4締結孔61fを使用した場合には、第3締結孔として内側第3締結孔61cを使用し、第4締結孔として内側第4締結孔61eを使用する場合に比べて、表示灯器具2がトンネルの内壁面3から離れることになる。
【0081】
このような第3締結孔(内側第3締結孔61cまたは外側第3締結孔61d)および第4締結孔(内側第4締結孔61eまたは外側第4締結孔61f)の選択により、前述した実施形態の場合と同様に、トンネルの内壁面3に対する表示灯器具2の位置を調整することができる。つまり、第3締結孔および第4締結孔の選択により、表示灯器具2を建築限界範囲外に位置させるように調整したり(表示灯器具2の位置をトンネルの内壁面3に近付けることにより建築限界範囲外に位置させるように調整したり)、表示灯器具2がトンネルの内壁面3に干渉することのない位置に調整したり(表示灯器具2の位置をトンネルの内壁面3から離すことによりトンネルの内壁面3に干渉することのない位置に調整したり)することができる。
【0082】
尚、本変形例では、第3締結孔(内側第3締結孔61cおよび外側第3締結孔61d)および第4締結孔(内側第4締結孔61eおよび外側第4締結孔61f)をそれぞれ2個備えさせた構成としていたが、3個以上備えさせた構成としてもよい。
【0083】
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態および前記変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0084】
例えば、前記実施形態および前記変形例では、トンネルの内壁面3に表示灯器具2を取り付けるための取付ユニット1として本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、他の器具(取付対象器具)をトンネルの内壁面3に取り付ける場合や、トンネル以外の壁面に取付対象器具を取り付ける場合にあっても同様に適用することが可能である。
【0085】
また、前記実施形態および前記変形例では、ベース部材5に第1締結孔51aおよび第2締結孔51bを設け、可動部材6に第3締結孔61a(内側第3締結孔61cおよび外側第3締結孔61d)および第4締結孔61b(内側第4締結孔61eおよび外側第4締結孔61f)を設ける構成としていた。本発明はこれに限らず、可動部材6に第1締結孔および第2締結孔を設け、ベース部材5に第3締結孔および第4締結孔を設ける構成としてもよい。
【0086】
また、前記実施形態および前記変形例では、表示灯器具2の回動姿勢を調整する機能、表示灯器具2の位置を水平方向で調整する機能、表示灯器具2の位置を鉛直方向で調整する機能を共に備えた取付ユニット1を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、これら機能のうち1つまたは2つを備えた取付ユニット1も技術的思想の範疇である。
【0087】
また、前記実施形態および前記変形例では、取付ユニット1を構成するベース部材5および可動部材6を金属製としていた。これらベース部材5および可動部材6の構成材料はこれに限定されるものではなく、例えば樹脂製であってもよい。
【0088】
また、前記実施形態では、各ボルトB1,B2を可動部材6の内側から挿通するようにしていた。本発明はこれに限らず、各ボルトをベース部材5の外側から挿通するようにしてもよい。また、前記変形例では、各ボルトB1,B2をベース部材5の外側から挿通するようにしていた。本発明はこれに限らず、各ボルトを可動部材6の内側から挿通するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、種々の壁面に対して取付対象器具を適正に取り付けることが可能な取付ユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 取付ユニット
2 表示灯器具(取付対象器具)
3 トンネルの内壁面(壁面)
5 ベース部材
51a 第1締結孔
51b 第2締結孔
6 可動部材
61a 第3締結孔
61b 第4締結孔
62 支持板部
62a 第5締結孔
B1 第1ボルト(第1の締結具)
B2 第2ボルト(第2の締結具)
【要約】
【課題】種々の壁面に対応して取付対象器具を適正に取り付けることを可能にする取付ユニットを提供する。
【解決手段】トンネルの内壁面3に固定されるベース部材5に、第1締結孔と円弧形状の第2締結孔とを設け、表示灯器具2を支持する可動部材6に第3締結孔と第4締結孔とを設けて、第1締結孔および第3締結孔に亘って第1ボルトを挿通し、第2締結孔および第4締結孔に亘って第2ボルトを挿通した状態において、第1締結孔の中心位置を回動中心としたベース部材5に対する可動部材6の回動姿勢を調整可能とする。これにより、トンネルの内壁面3に対する表示灯器具2の回動姿勢を調整することができ、1種類の取付ユニット1によって、種々の内壁面3に対して表示灯器具2を適正に取り付けることが可能になる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11