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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】チューブプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20240724BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B41J3/36 Z
B41J3/407
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023119932
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2022099016の分割
【原出願日】2022-06-20
(65)【公開番号】P2023145585
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2021105960
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021174804
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 裕史
(72)【発明者】
【氏名】三浦 武志
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-202926(JP,A)
【文献】特開2016-190363(JP,A)
【文献】特開2017-164937(JP,A)
【文献】特開2020-161097(JP,A)
【文献】特開2016-064535(JP,A)
【文献】特開平7-164702(JP,A)
【文献】特開平11-105352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01 - 3/54
B41J 2/315 - 2/345
B41J 2/42 - 2/425
B41J 2/475 - 2/48
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブプリンタであって、
情報を入力するユーザが使用する、所定の長手方向にQWERTY配列された複数のハードキーと、
前記複数のハードキーから入力された情報を受ける基板と、
前記基板から送られる情報に基づいて表示を行うディスプレイと、
チューブを搬送する搬送ローラを駆動するモータと、
前記搬送ローラによって搬送されるチューブに熱転写方式で記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドによる前記記録が行われたチューブをカットするカッターと、
を有し、
前記基板は前記複数のハードキーの裏側に配置され、
前記モータ、前記記録ヘッド、前記カッターおよび前記ディスプレイは、前記チューブプリンタの手前奥方向において前記複数のハードキーおよび前記基板よりも奥側に位置し、
前記ディスプレイは、前記所定の長手方向において、前記モータ、前記記録ヘッドおよび前記カッターよりも一方側に位置するチューブプリンタであって、
前記チューブプリンタは、前記記録ヘッドで記録するデータをブルートゥースで通信するアンテナを有し、
前記アンテナは、前記手前奥方向において前記ディスプレイよりも奥側に位置するとともに、前記所定の長手方向において、前記モータ、前記記録ヘッドおよび前記カッターよりも前記一方側に位置する
ことを特徴とするチューブプリンタ。
【請求項2】
チューブに記録を行うチューブプリンタであって、
情報を入力するユーザが使用するハードキー群と、
前記ハードキー群の裏側に配置され、前記ハードキー群から入力された情報を受ける基板と、
前記ハードキー群および前記基板よりも前記チューブプリンタの手前奥方向における奥側に配置され、チューブのカットを行うカッターと、
前記ハードキー群および前記基板よりも前記奥側かつ前記カッターよりも前記チューブプリンタの左右方向における右側に配置され、チューブを搬送する搬送ローラを駆動するモータと、
前記搬送ローラに搬送されるチューブに熱転写方式で記録を行う記録ヘッドと、
前記ハードキー群および前記基板よりも前記奥側かつ前記モータおよび前記記録ヘッドよりも前記右側に配置され、前記基板から送られる情報に基づいて表示を行うディスプレイと、
前記モータおよび前記記録ヘッドよりも前記右側かつ前記ディスプレイよりも前記奥側に配置され、前記記録ヘッドで記録するデータをブルートゥースで通信するアンテナと、
を有することを特徴とするチューブプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ状の記録媒体に記録を行うチューブプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が示すように、電線やホース、パイプなど、可撓性を有するチューブ状の記録媒体(以下、チューブと称する。)に画像を形成できる記録装置が存在する。記録装置は、ローラでチューブを搬送し、サーマルヘッドでチューブに画像を記録し、切断機でチューブを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-313410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チューブプリンタは、内蔵するキーボードからユーザが入力した文字等をチューブに記録するほかに、ホストコンピュータから転送される文字等の記録データを受信してチューブに記録を行う。従来、ホストコンピュータからチューブプリンタへの記録データの転送を行うために、ホストコンピュータとチューブプリンタとは通信ケーブルを介して接続されていた。ホストコンピュータとしてノート型コンピュータが登場すると、ノート型コンピュータと記録装置とが作業現場に持ち込まれて、チューブに文字等が印刷されるようになってきた。近年では、ノート型コンピュータよりも小さなタブレットコンピュータおよびスマートフォンが普及しており、これらの外部機器から記録データをチューブプリンタに転送したいという要望が存在する。タブレットコンピュータおよびスマートフォンは、無線通信装置を内蔵している。そのため、タブレットコンピュータやスマートフォンからチューブプリンタへ、無線通信により手軽に記録データを転送できるようにすることが求められるようになった。
【0005】
そこで、本発明は、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))による無線通信を用いてホストコンピュータなどの外部機器から転送される記録データを受信して記録することが可能なチューブプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のチューブプリンタは、情報を入力するユーザが使用する、所定の長手方向にQWERTY配列された複数のハードキーと、前記複数のハードキーから入力された情報を受ける基板と、前記基板から送られる情報に基づいて表示を行うディスプレイと、チューブを搬送する搬送ローラを駆動するモータと、前記搬送ローラによって搬送されるチューブに熱転写方式で記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドによる前記記録が行われたチューブをカットするカッターと、を有し、前記基板は前記複数のハードキーの裏側に配置され、前記モータ、前記記録ヘッド、前記カッターおよび前記ディスプレイは、前記チューブプリンタの手前奥方向において前記複数のハードキーおよび前記基板よりも奥側に位置し、前記ディスプレイは、前記所定の長手方向において、前記モータ、前記記録ヘッドおよび前記カッターよりも一方側に位置するチューブプリンタであって、前記チューブプリンタは、前記記録ヘッドで記録するデータをブルートゥースで通信するアンテナを有し、前記アンテナは、前記手前奥方向において前記ディスプレイよりも奥側に位置するとともに、前記所定の長手方向において、前記モータ、前記記録ヘッドおよび前記カッターよりも前記一方側に位置することを特徴とする
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブルートゥースによる無線通信を用いてホストコンピュータなどの外部機器から転送される記録データを受信して記録することが可能なチューブプリンタを提供することができる。
【0008】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】記録装置の外観を示す斜視図
図2】開閉カバーを取り除いた記録装置の外観を示す斜視図
図3】ガイドユニットの外観を示す図
図4】押圧ユニットを説明する図
図5】表示部の表示内容を説明する図
図6】搬送部および記録部の構成を示す図
図7】本体上ユニットと本体下ユニットとを示す斜視図
図8】本体上ユニットの構成を示す斜視図
図9】本体下ユニットの構成を示す斜視図
図10】駆動ユニットの斜視図
図11】ブルートゥースモジュールの位置を説明する図
図12】ブルートゥースモジュールの位置を説明する図
図13】電池ボックスとブルートゥースモジュールの位置を説明する図
図14】ブルートゥースモジュールの位置を説明する図
図15】コントローラを示すブロック図
図16】記録方法を示すフローチャート
図17】記録装置の各面とユーザの位置関係を説明する図
図18】ブルートゥースモジュールの別例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
図1が示すように、記録装置1はチューブ状の記録媒体に画像を形成する熱転写方式のチューブプリンタである。図1において、記録装置1は机上などの水平面に置かれている。x方向とy方向は水平面と平行であり、z方向は鉛直方向と平行である。なお、チューブTの搬送方向は鉛直方向に対して交差している。開閉カバー2は、記録装置1の本体に対して開閉可能であり、後述するインクリボンカセット30やガイドユニット400を着脱したり、あるいはガイドユニット400にチューブTをセットしたりする際に開閉される。把手部3は、ユーザが記録装置1を片手で運ぶ際に握られる。本実施形態では、把手部3が貫通穴により形成されているが、把手部3は、貫通していない窪みであってもよい。
【0012】
図1が示すように、記録装置1の筐体は、本体上ユニット500、本体下ユニット600、開閉カバー2を備えている。また、筐体は、天面4a、底面4b、および四つの側面4c~4fを有している。四つの側面のうち、正面4cは、図17に示すように記録装置1を使用するために記録装置1に対して向かったユーザから見て、y方向においてユーザに対して最も近い側面である。なお、y方向は、記録装置1の手前から奥に向かう方向(手前奥方向)である。背面4dは、記録装置1を使用するために記録装置1に対して向かったユーザから見て、y方向においてユーザから最も遠い側面である。図1に戻って、左面4eは、天面4a、底面4b、正面4cおよび背面4dに接続する側面である。右面4fも、天面4a、底面4b、正面4cおよび背面4dに接続する側面である。右面4fは、左面4eよりも+x側に位置する。天面4aは底面4bよりも+z側に位置する。
【0013】
チューブTは、筐体の右面4f側に設けられている挿入部(挿入口)から挿入され、筐体の左面4eに設けられている排出口に向けて搬送され、排出口から排出される。
【0014】
図2は、説明の便宜上、開閉カバー2が取り外された記録装置1を示している。入力部としての操作部10は、ユーザによって操作され、印刷指示および印刷文字などを入力するキーボードである。キーボードの操作面(指示入力面)は天面4a側に設けられている。表示部20は、液晶表示装置(LCD)および表示制御部を備える。表示部20の表示面は天面4a側に設けられている。ユーザが記録装置1にチューブTをセットする際、ユーザはチューブTをガイドユニット400を通過させる。搬送部100は、セットされているチューブTを記録部200に供給する第1ローラ、およびチューブTを記録部200からカット部300へ搬送する第2ローラなどを備える。記録部200は、チューブTに対して文字などの画像を記録(印刷)する記録ヘッド(サーマルヘッド)およびインクリボンカセット30などを備える。カット部300は、記録部200で画像を記録されたチューブTをカットする。
【0015】
[操作部]
ユーザが入力操作を行う操作部10は、たとえば、キーボードである。キーボードは、複数のハードキーと、各キーが押下されたことを検出するためのスイッチが設けられた基板と、を有する。複数のハードキーは、ファンクションキー、文字・数字・記号キー、スペースキー、変換キー、十字方向キー、および、リターンキー等を含む。文字・数字・記号キーなどの物理的なキーは、QWERTY配列されている。ユーザは、これらのキーを操作することで、記録情報(記録内容)を構成する文字および数字などのデータ、並びに、記録媒体の種類、サイズおよび記録条件等を入力し、記録装置1に設定する。ユーザが記録装置1を使用するときには、記録装置1の正面4cに向かって使用する。つまりユーザから見ると、記録装置1の正面4c側が手前側となり背面4d側が奥側となる。図1に示すように、キーボードは記録装置1の正面4c側に配置される。
【0016】
キーボードは、長手方向がx方向と平行となるように配置される。手前奥方向は、キーボードの長手方向と直交し、水平方向と平行な方向であり、かつ、y方向と平行である。
【0017】
キーボードは、複数のキーがキーボードの長手方向(x方向と平行)に沿って配列されている。また、キーボードのキーは、スペースキーが手前側となるように配置される。また、キーボードは、背面4d側よりも正面4c側が低くなるように傾斜して配置される。このようにキーボードを配置することにより、キーボードはユーザの手前側に向かって下るように傾斜して配置され、ユーザによる入力が行いやすくなる。また、図17に示すように記録装置1を使用するために記録装置1に対して向かったユーザから見て、前述した把手部3は、キーボードよりも手前側に設けられる。
【0018】
[表示部]
表示部20のディスプレイは、記録ヘッドよりもチューブTの挿入部側に寄って配置されている。表示部20は、チューブTに記録する内容を表示するほか、チューブプリンタの各種設定内容に関する情報を表示可能な部分である。図5が示すように、表示部20は、表示エリア21、22、23を含む液晶方式のディスプレイ(LCD)を備える。なお、ディスプレイの長手方向はx方向と平行である。表示エリア21の上部および表示エリア23の下部には、チューブプリンタの設定項目がプリントされている。表示エリア21は、現在の入力モード(ひらがな/カタカナ/英数)、上書き、挿入、印刷速度(H/M/L)、ハーフカット(ON/カット線プリント)、リボン残量、接続されている電源(AC電源/電池)を表示する。表示エリア21は、さらに、チューブウォーマのモード(Auto/Manual)、チューブのカット長、文字配置(C(中央)/R(右寄せ)/L(左寄せ)/E(均等))を表示する。表示エリア22は、キーボードから入力された文字、数字および記号(以下、文字と略称する。)を表示する。
【0019】
操作部10のキーボードからの入力に対応した情報としての文字や数字などのデータは表示エリア22に表示される。そのため、キーボードおよびディスプレイは、後述されるコントロール基板と電気的に接続される。キーボードから入力された文字および内容は、後述されるコントロール基板を介してディスプレイに送られ、ディスプレイで表示処理が行われる。記録内容として表示エリア22に表示されている文字がチューブTに記録される。表示エリア23は、文字サイズ等の記録パラメータを表示する。記録パラメータとして、現在までに印刷された頁数、印字方向(タテ/ヨコ)、枠囲み(有り/無し)、文字サイズ、行数、文字間隔(大/小)、および連続記録頁数を表示する。
【0020】
なお、本実施形態で、表示部20は、液晶方式のディスプレイとその周囲にプリントされた設定項目を含むが、表示部20がディスプレイのみを備えてもよい。また、ディスプレイのパネルは、液晶パネルでなくてもよく、たとえば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルまたはプラズマディスプレイパネル等の他の方式のパネルであってもよい。
【0021】
[ガイドユニット]
ユーザは、チューブTを記録装置にセットする際に、ガイドユニット400を通過させて搬送部100にチューブTを到達させる。図2が示すように、ガイドユニット400は、チューブTの搬送方向(-xに向かう方向)において記録部200よりも上流側に配置されている。z方向と平行に見て(図2の矢印Aの方向で見て)、ガイドユニット400はディスプレイと重ならないように配置される。言い換えれば、y方向においてガイドユニット400とディスプレイとが重ならないように配置される。これにより、記録装置1の厚み、即ち、z方向の大きさが削減され、ガイドユニット400を記録装置1に装着する作業が容易となる。
【0022】
図3はガイドユニット400を示す図である。ガイドユニット400は、ユーザがチューブTをセットするときにチューブTが通過する搬送路を形成するガイド壁41、チューブTの搬送および記録の位置の基準となる基準面42、を備えている。ガイドユニット400は、チューブTを基準面42に向けて押圧する押圧ユニット43、搬送されるチューブTの外周に接触してチューブTを清掃するクリーナー44、ガイドユニットにチューブTをセットするときにチューブTを挿入する挿入部45を有する。なお、チューブTを搬送するローラはガイドユニット400よりもチューブTの搬送方向で下流側に配置される。ローラの駆動源であるモータもガイドユニット400よりも下流側に配置される。
【0023】
本実施形態の記録装置1では、Φ1.5mmからΦ10mmまでのチューブTを搬送可能である。ただし、細いチューブTでは、チューブTをガイドユニット400から押し出しながら搬送すると、チューブTと搬送路の摩擦抵抗によりチューブTの撓みまたは座屈が生じることがある。そのため、ガイドユニット400よりも下流側に配置された搬送部100がチューブTを引っ張りながら搬送する。従って、ガイドユニット400の内部と、z方向と平行に見てガイドユニット400と重なる領域、即ちディスプレイよりも奥側の領域とには、チューブTを搬送するモータが配置されない。なお、ガイドユニット400を記録装置1に装着しにくくならない範囲で、ガイドユニット400の一部がディスプレイの下に入り込むように配置されてもよい。言い換えれば、ガイドユニット400の一部がy方向においてディスプレイと重なるが、当該一部以外の他の部分がy方向においてディスプレイと重ならない配置(オーバーラップする配置)が採用されてもよい。
【0024】
ガイドユニット400のチューブTの搬送経路には、クリーナー44が配置される。クリーナー44は押圧ユニット43よりもチューブTの搬送方向において上流側すなわち+x側に配置される。クリーナー44はスポンジ等の弾性部材、不織布などの摺擦部材、および枠体から構成される。チューブTがガイドユニット400の内部を通って搬送されるとき、チューブTの表面とクリーナー44の摺擦部材とが接触しながらチューブTが移動する。これにより、記録部200で記録を行う前にチューブTの表面から付着物が除去される。
【0025】
図4に示すように、押圧ユニット43は、中心軸46、付勢部材としてのバネ47、およびコロ48を備えている。押圧ユニット43は中心軸46を中心に揺動可能に配置される。ガイドユニット400にチューブTがセットされたとき、コロ48がバネ47の付勢力によってチューブTに当接し、チューブTは基準壁(基準面42)に向けて押圧される。
【0026】
ガイドユニット400は着脱可能かつ交換可能である。ガイドユニット400と交換可能なユニットとしては、チューブウォーマユニットがある。チューブウォーマユニットは、搬送されるチューブTを加熱するためのヒータを備えている。チューブウォーマユニットは寒冷な環境でチューブTに記録を行う際に使用されるものである。チューブウォーマユニットは、記録部200よりも上流側で、搬送されるチューブTを加熱し、冷えて固くなっているチューブTを温めて柔らかくしてから記録を行えるようにする。また、交換可能な他のユニットとしては、画像を記録するラベルを巻き取って格納したラベルカセットがある。いずれのユニットを使用する場合でも、チューブTは後述する搬送部によって搬送される。
【0027】
[搬送部・記録部]
搬送部100はチューブTを搬送する搬送処理を行うための第1ローラ対を含む部分である。記録部200は搬送部100により搬送されるチューブTに対し記録ヘッドを用いて記録情報を記録可能な部分である。搬送部100と記録部200とをまとめてプリントエンジンと呼称する場合もある。図6は搬送部100と記録部200の構成を示す図である。第1ローラ101a、101bは、チューブTを記録ヘッド201へ搬送する第1ローラ対を構成している。チューブTの搬送方向において、第1ローラ対の下流側には記録ヘッド201とプラテンローラ102(搬送ローラ)が設けられている。記録ヘッド201およびプラテンローラ102の下流側には第2ローラ103が配置されている。記録ヘッド201は、チューブTを介してプラテンローラ102と対向するよう設けられている。第2ローラ103は、プラテンローラ102の周方向において、記録ヘッド201とは別の位置でプラテンローラ102と対向するよう設けられる。記録ヘッド201は、チューブTの搬送方向に対して直交する方向に配列された所定数の発熱素子を有している。発熱素子を選択的に発熱させることで、インクリボンカセット30に格納されたインクリボンR上のインクがチューブTに転写される。本実施形態において、チューブTは、第1ローラ101a、101b、プラテンローラ102および第2ローラ103によって搬送される。ただし、第1ローラ101a、101bおよび第2ローラ103が無い構成とし、プラテンローラ102がチューブTを搬送する構成が採用されてもよい。
【0028】
インクリボンカセット30は、リボン供給リール31にロール状に巻かれたインクリボンRを格納している。インクリボンRは、リボン供給リール31から記録ヘッド201に供給され、リボン巻取リール32に巻き取られる。リボン巻取リール32は、後述するメインモータを駆動源として回転する。記録ヘッド201とインクリボンカセット30とが離れて配置されると、インクリボンカセット30から引き出されるインクリボンRが長くなり、切れやすくなる。そのため、インクリボンカセット30は、記録ヘッド201の近くに配置される。
【0029】
記録ヘッド201は、退避位置から記録位置に移動することでインクリボンRをチューブTに対して押圧して画像(記録内容)を記録する。記録位置は、記録ヘッド201がプラテンローラ102との間でチューブTに記録を行うためのニップを形成しているときの記録ヘッド201の位置である。チューブTの材質の一例としては、PVC(ポリ塩化ビニル)が挙げられる。PVC製のチューブTは、記録部200において記録ヘッド201とプラテンローラ102を通過する際につぶされる(扁平化される)が、記録部200を通過した後に元の管状に復元する。
【0030】
[カット部]
図2が示すように、搬送方向において記録部200の下流側には、記録媒体(例:チューブやラベル)をカット位置でカットするカット部300が配置されている。カット部300は、カッター刃(カッター)とカッター受け部材を有し、記録部200の記録ヘッド201による記録位置よりも下流側のカット位置で、チューブTを一部が繋がった状態とするハーフカットまたは切り離された状態とするフルカットを行う。フルカットとハーフカットは、まとめてカット処理と呼称されてもよい。
【0031】
ハーフカットは、一部が繋がった状態の記録済みのチューブTをユーザが後から切り離して使用する場合に用いられる。本実施形態のチューブプリンタにおいて、ハーフカットによるチューブの切れ込み量は、チューブを切り離すときの分離力が10N~25Nとなるように、設定されている。これにより、ユーザがチューブTを切り離す前に、チューブTがちぎれにくくなる。
【0032】
チューブTをフルカットするとき、チューブTの端部(先端)は、筐体の左面4eに設けられている不図示の排出口から飛び出た状態となる。ユーザはチューブTの筐体から飛び出た端部を持って、フルカットされたチューブTを排出口から取り出す。フルカットしたチューブTをユーザが取り出すために、チューブTの先端(搬送方向下流側の端部)から切断位置までの長さは、筐体の排出口からカッター刃までの距離よりも長くなければならない。カット可能な最小長さである最小カット長をなるべく短くするために、カット部300は搬送方向においてなるべく下流側、すなわち筐体の左面4eに近い位置に配置されてもよい。
【0033】
なお、カット部300としてハーフカットとフルカットのいずれか一方のみが可能なものを搭載する場合もある。
【0034】
[内部構成]
図7は記録装置1の斜視図である。図7が示すように、記録装置1は、大別して本体上ユニット500と本体下ユニット600とに分けられる。なお、正面4cの高さは、背面4dの高さよりも低い。そのため、筐体の内部には、正面4c側よりも背面4d側により広い収納空間が存在する。右面4fには、DC電源(AC/DCアダプター)が接続される電源コネクタ71が設けられている。記録装置1は、電源コネクタ71または後述される電池から電力を供給されて動作する。
【0035】
図8は本体上ユニット500の構成を示す斜視図である。図8が示すように、ベース部材である天面カバー501に、キーボード、ディスプレイ、コントロール基板502、搬送部100、記録部200およびカット部300が固定されている。そのうち、搬送部100、記録部200およびカット部300はユニット503を形成している。つまり、ユニット503は天面カバー501に固定されている。コントロール基板502にはCPUを含む制御部70などが実装されているため、コントロール基板502は、モータおよび記録ヘッド201などを制御可能である。コントロール基板502には多数の部品が実装されているため、コントロール基板502を記録装置1の内部に配置するには大きな面積が必要となる。そのため、コントロール基板502は操作部10に備えられたキーボードの裏側に配置される。固定部504a~504dは、天面カバー501と後述する底面カバー601とを固定するために設けられており、底面カバー601側から挿し込まれたビスが螺合する。
【0036】
また、ディスプレイ裏側には、ディスプレイを固定するための板金部品が配置されている。この板金部品は、ディスプレイを固定するとともに、ディスプレイが帯電するのを防止するために配置されている。また、ディスプレイの近傍には、ディスプレイのドライバIC(集積回路)および接続用のフレキシブルケーブル91といった金属部品が存在する。
【0037】
図8が示すように、ブルートゥースモジュール80は、正面4c側から見て、コントロール基板502およびディスプレイよりも奥側に配置されている。これは、筐体の内部では、正面4c側よりも背面4d側の方が広いからである。ユーザが入力しやすいように、キーボードは手前側に向けて下る方向に傾斜している。そのため、筐体の内部では、背面4d側が狭くなる。ブルートゥースモジュール80の周囲には、樹脂製の壁部81が設けられている。壁部81は、たとえば、モールド(金属金型)を用いた合成樹脂成型によって形成される。
【0038】
また、ブルートゥースモジュール80は、z方向と平行に見てコントロール基板502およびディスプレイと重ならないように配置される。言い換えれば、y方向(手前奥方向)において重ならないように配置される。そのため、ディスプレイ、コントロール基板502、ユニット503を天面カバー501にビスで固定する方向と同じ方向から、ブルートゥースモジュール80をビスで天面カバー501に固定することができ、製造時の組み立てが容易となる。
【0039】
図9は本体下ユニット600を示す斜視図である。ベース部材である底面カバー601には、電源部40の一部である電池を収納する電池収容部として機能する電池ボックス602が固定されている。電池ボックス602は後述される電源ケーブル(図12)を介してコントロール基板502に電気的に接続されている。電池ボックス602に電池が収納されている状態で、電源コネクタ71にAC/DCアダプターが接続されていないとき、記録装置1は電池から供給される電力によって動作する。固定部603a~603dはそれぞれ固定部504a~504dに対して対向する位置に設けられており、底面カバー601の裏面側からビスを挿し通す貫通孔を有している。
【0040】
電池ボックス602は、z方向と平行に見て、メインモータ104およびサブモータ202と重ならない位置に配置されている。また電池ボックス602は、搬送部100およびガイドユニット400と重なる領域に配置される。これは、電池ボックス602が大型の部品であるメインモータ104およびサブモータ202と重なる位置に配置されると、記録装置1の厚みが増してしまう。よって、記録装置1を薄型化するためには、本実施形態の配置が有利であろう。また、電池ボックス602は、z方向と平行に見て、電池や金属部品がブルートゥースモジュール80と重ならないように、配置される。これにより、電池や電源ケーブル93(図12参照)といった金属部品がブルートゥースモジュール80から遠ざけられる。
【0041】
記録装置1は、本体上ユニット500と本体下ユニット600が相互に固定され、さらに開閉カバー2を本体上ユニット500に開閉自在に結合することによって、構成される。
【0042】
図10はユニット503の構成を示す斜視図である。ユニット503は、メインモータ104、駆動伝達部105、第1ローラ101a、101b、プラテンローラ102、第2ローラ103、記録ヘッド201、および、記録ヘッド保持部203を有する。
【0043】
メインモータ104は、第2ローラ103、プラテンローラ102、第1ローラ101a、101b、およびリボン巻取リール32を駆動する共通の駆動源である。メインモータ104は、たとえば、ステッピングモータである。チューブTのフォワードフィード/バックフィードの切り替えは、ステッピングモータの正回転/逆回転により実行される。記録装置1の搬送速度は高速から低速まで3段階で変更可能である。制御部70はメインモータ104の駆動制御により搬送速度を変更する。メインモータ104の駆動力はインクリボンカセット30の巻取りスプールに供給され、チューブTへの記録が終了したインクリボンRを回収する。
【0044】
第1ローラ101a、101bは第1ローラ対を構成する。第1ローラ101bは、第1ローラ101aに対して接近する方向と離間する方向に移動することが可能である。第1ローラ101bは、リンク機構により開閉カバー2を開閉させる動作に伴って移動する。開閉カバー2を閉状態から開状態に移動すると、第1ローラ101bは第1ローラ101aから離間する方向に移動する。逆に、開閉カバー2を開状態から閉状態に移動すると、第1ローラ101bは第1ローラ101aに接近する方向に移動する。
【0045】
本実施形態では、第1ローラ101bの移動と開閉カバー2の開閉とをリンク機構で連動させるが、これは一例にすぎない。別に設けられたレバーをユーザが操作することによって、第1ローラ101bを移動させる形態が採用されてもよい。
【0046】
さらに、ユニット503は、サブモータ202、駆動伝達部204、205、301およびカッター302を有する。サブモータ202は、記録ヘッド201を記録位置と退避位置との間で移動させる。記録位置は、プラテンローラ102と協働してチューブTを挟持して画像を記録する位置である。退避位置は、記録位置よりもプラテンローラ102との距離が遠い位置であり、画像を記録しない位置である。さらに、サブモータ202は、チューブTを切断するカット部300を駆動する。サブモータ202も、ステッピングモータにより実現されてもよい。チューブTの切断動作は、サブモータ202の正転および逆転により実行される。制御部70は、サブモータ202を駆動する際のパルス数を調整することで、カット部300のカット深さを調整する。
【0047】
切断したチューブTの取り出しのために、チューブTのカット位置は筐体の排出口付近とすることが好ましい。そのため、カット部300は、チューブTの搬送方向において筐体の下流側すなわち左面4e付近に配置される。
【0048】
なお、本実施形態ではコントロール基板502の制御部70がサブモータ202を制御してカット部300によるカット処理を行う形態が説明された。ただし、制御部70がサブモータ202を制御するのではなく、ユーザのボタン押下によってサブモータ202がカット部300を駆動する形態が採用されてもよい。
【0049】
メインモータ104、サブモータ202、駆動伝達部204、205、301およびカッター302は、ベース部材である金属製のフレーム1000に取り付けられている。また、フレーム1000には、モータ等の電気部品に用いられる電気ケーブルを束ねて収納するためのブラケットが取り付けられている。このブラケットはフレーム1000にビスによって固定されている。このようにユニット503は、様々なパーツがフレーム1000に固定され一体化されたものである。様々なパーツとしては、第1ローラ101と第2ローラ103を含む搬送部100、記録ヘッド201と記録ヘッド保持部203を含む記録部200、および、カッター302含むカット部300が含まれる。様々なパーツとしては、さらに、メインモータ104、サブモータ202、これらモータの駆動力を伝達する駆動伝達部105、204、205、301、電気ケーブル用のブラケットなどが含まれる。ユニット503は、天面カバー501にビスによって取り付けられている。記録部200と搬送部100は、チューブTの搬送方向においてカット部300の上流側に配置される。
【0050】
駆動伝達部105は、メインモータ104により発生した駆動力(回転力)を第1ローラ101a、101b、プラテンローラ102、第2ローラ103などに伝達する複数のギアなどを含む。駆動伝達部205は、メインモータ104により発生した駆動力(回転力)をリボン巻取リール32に伝達する複数のギアなどを含む。駆動伝達部204は、サブモータ202により発生した駆動力(回転力)を記録ヘッド保持部203に伝達することで記録ヘッド201を移動させる、ギアやカムなどを含む。駆動伝達部301は、サブモータ202により発生した駆動力(回転力)でカット部300のカッター302を移動させるギアやカムなどを含む。
【0051】
駆動源と駆動力の伝達先との距離を短くして駆動力の伝達ロスを少なくするため、メインモータ104は、搬送部100の裏側に配置される。サブモータ202についてもメインモータ104と同様に、駆動源と駆動力の伝達先との距離を短くするため、カット部300の裏側に配置される。
【0052】
このように、搬送、記録および切断の全てに係わる駆動部品はユニット503に集約されており、ユニット503が固定された本体上ユニット500は必然的に重くなる。
[チューブセット方法]
チューブTを記録装置1にセットするとき、ユーザは開閉カバー2を開いた状態で、ガイドユニット400の挿入部45からチューブTを挿入する。挿入されたチューブTは、ガイド壁41によってガイドされ、第1ローラ101a、101bの間に導かれる。また、チューブTは押圧ユニット43により基準面42に向けて押圧されながら搬送される。ユーザがチューブTをセットするとき、チューブTは押圧ユニット43により基準面42に押圧されながら挿入される。
【0053】
[ブルートゥースモジュールの配置]
無線通信の規格であるBluetooth(登録商標)は、狭い範囲での比較的低速な通信に適した規格である。たとえば、Bluetooth low energyでは、10m程度の範囲で2Mbpsでの通信を行うことが出来る。一方、同じく無線通信の規格であるワイファイ(登録商標)(Wi-Fi(登録商標))は、広い範囲での高速通信に適した規格である。Wi-Fiでは、100m程度の範囲で100Mbps~200Mbpsでの通信を行うことが出来る。Wi-Fiは広範囲で高速通信が可能であるが消費電力も大きく、Bluetooth low energyと比較して10倍以上の電力を消費する。チューブプリンタにおいては、チューブTに記録される内容として送信される情報は文字などデータサイズの小さいものであり、消費電力が小さく電池での動作が可能である。そのため、ホストコンピュータなどの外部機器との無線通信に用いる規格としてBluetoothが適している。
【0054】
図11が示すように、ブルートゥースモジュール80は、ユーザが記録装置1に向かった状態で、ユーザ側から見てキーボードおよびディスプレイよりも奥側に、配置されている。図11において、搬送方向は-x方向であるが、ブルートゥースモジュール80は、搬送方向において、記録部200よりも上流側に配置されている。
【0055】
図12が示すように、コントロール基板502とブルートゥースモジュール80は、電気ケーブル90を介して接続されている。電気ケーブル90は、コントロール基板502とブルートゥースモジュール80の間の通信およびブルートゥースモジュール80に電力を供給するためのケーブルである。電気ケーブル90は、ブルートゥースモジュール80の基板に実装されたコネクタ88に接続されている。コントロール基板502とディスプレイとはフレキシブルケーブル91で接続されている。また、コントロール基板502と記録ヘッド201とはフレキシブルケーブル92を介して接続されている。コントロール基板502と電池ボックス602は、電源ケーブル93を介して接続されている。電源ケーブル93は、フレキシブルケーブル91および電気ケーブル90よりも、ブルートゥースモジュール80から離れて配置されている。
【0056】
ところで、ディスプレイは、キーボードよりも奥側、即ち、+y側に配置される。ノイズの発生を抑制するためには、ディスプレイとコントロール基板502とを接続するフレキシブルケーブル91を短くすることが有効である。フレキシブルケーブル91を短くするために、ディスプレイは、コントロール基板502の近くに配置される。ディスプレイは、一部がy方向においてコントロール基板502とオーバーラップし(重なり)、当該一部以外の部分がy方向においてコントロール基板502とオーバーラップしないように、配置されてもよい。
【0057】
また、ディスプレイは、z方向と平行に見てメインモータ104と重ならないように配置される。そのため、記録装置1の厚みが増すのを避けることが可能となる。また、ディスプレイは、z方向と平行に見てサブモータ202と重ならないように配置される。これにより、大きな部品であるサブモータ202がディスプレイと重ならないようになるため、記録装置1の厚みが増すのを避けることが可能となる。つまり、記録装置1の薄型化が達成される。
【0058】
これらの理由により、ディスプレイは、キーボードよりも奥側で、チューブTの搬送方向(-x方向)において記録位置の上流側となる位置に配置される。
【0059】
おなじく記録装置1の厚みが増すのを避けるために、メインモータ104およびサブモータ202は、キーボードと重ならないよう、キーボードよりも奥側に配置される。メインモータ104とサブモータ202がキーボードの奥側に位置することから、記録ヘッド201が記録を行う記録位置と、カッターがチューブTをカットするカット位置もキーボードの奥側に位置する。記録ヘッド201の一部がキーボードとy方向においてオーバーラップし、他の部分がキーボードとy方向においてオーバーラップしないように、記録ヘッド201が配置されてもよい。カッター刃(カッター)の一部がキーボードとy方向においてオーバーラップ、当該一部以外の部分がキーボードとy方向においてオーバーラップしないように、カッター刃が配置されてもよい。記録ヘッド201の一部がコントロール基板502とy方向においてオーバーラップし、当該一部以外の部分がコントロール基板502とy方向においてオーバーラップしないように、記録ヘッド201が配置されてもよい。カッター刃の一部がコントロール基板502とy方向においてオーバーラップし、当該一部以外の部分がコントロール基板502とy方向においてオーバーラップしないように、カッター刃が配置されてもよい。
【0060】
図13は、電池ボックス602とブルートゥースモジュール80の位置関係を示す図である。電池ボックス602はx方向においてブルートゥースモジュール80と重ならない位置に配置されている。電池ボックス602に電池が挿入されていない場合、電源ケーブル93の一端(電池ボックス602側)は接地していないオープン状態となる。この場合、電源ケーブル93がアンテナとして機能してしまい、電磁波の不要輻射の原因となる可能性がある。そのため、電源ケーブル93をブルートゥースモジュール80から離れた側に配設している。これにより、ブルートゥースモジュール80が電源ケーブル93からの不要輻射の影響を受けにくくなる。
【0061】
図14はブルートゥースモジュール80の周辺を拡大したものである。ブルートゥースモジュール80の基板86は金属製のビス83によって本体上ユニット500に対して固定されている。基板86には、ブルートゥース規格にしたがって無線通信による無線信号を送信または受信するアンテナ82が実装されている。ブルートゥース規格では、アンライセンスドバンドまたはISMバンド(産業科学医療用バンド)と呼ばれる2.4GHzの周波数(波長にして約13cm)を使用することが規定されている。
【0062】
ブルートゥース規格では複数のバージョンが規定されているが、省電力化の観点から低消費電力モードであるBluetooth Low Energy(BLE)に対応するバージョン4.0以降を用いることが望ましい。アンテナ82の指向性および利得を適切に維持するためには、アンテナ82から6mm未満となる周囲には金属が存在しないことが望ましい。一般的にブルートゥースによる最大の通信距離は約10mとされる。しかし、アンテナ82からたとえば4mmの位置に金属が存在すると、無線信号の信号強度が弱くなり、正常に通信できる距離がこれより短くなってしまう。これは、アンテナ82から発信された電波が金属に照射されることで金属内に電流が流れ、金属がアンテナとして作用してノイズとなる電波が発せられるためである。そして、アンテナと金属との距離が離れると、金属がアンテナから受ける電波が減衰し、金属が発するノイズとなる電波の影響も小さくなる。そのため、アンテナ82とビス83との最短距離d1は6mm以上離れていることが求められる。なお、ビス83は、アンテナ82に対して最も近くに存在する金属である。本実施形態では、アンテナ82とビス83との間の最短距離であるd1を12.2mmとしている。筐体の内部には金属製フレームが配置されているが、アンテナ82と金属製フレームとの間の最短距離も6mm以上確保される。また、アンテナ82と金属カバーを含むコネクタ88との間の最短距離d3も6mm以上確保される。本実施形態ではd3が14mmとされている。なお、正常に通信できる通信距離を確保する観点から、金属とアンテナの距離は、10mm以上離れているとより好ましい。
【0063】
図14が示すように、ブルートゥースモジュール80の周囲には、概ねコの字型の壁部81が設けられている。壁部81の素材は合成樹脂製である。アンテナ82と壁部81との間の距離d2も、アンテナ82の指向性および利得に影響しない程度に設定される必要がある。そのために壁部81とアンテナ82との間の最短距離d2は壁部81の厚みd4以上に設定される。本実施形態では壁部81を合成樹脂で構成して厚みd4を1.2mmとしd2を3.2mmとした。仮に、壁部81を金属で構成する場合、アンテナ82とその金属製の壁部との距離は、6mm以上確保する必要がある。
【0064】
本実施形態について、スペクトラムアナライザ RSA306BーD1(テクトロニクス社製)と受信アンテナ119-6609-00(テクトロニクス社製)を用いられて測定が実行された。ブルートゥースモジュール80が記録装置1に内蔵された状態と単体で配置された状態とで、ブルートゥースモジュール80から等距離(15mm)の位置における2.402GHzにおける出力電力が比較された。その結果、記録装置1に内蔵された状態の出力電力は、単体の出力電圧の97.7%であり、最大通信距離に影響を与えるレベルの減衰は見られなかった。
【0065】
なお、ブルートゥースモジュール80として別のタイプのものが採用されてもよい。図18に示すような、基板801に制御用チップ802と無線信号を送受信するアンテナ803が実装されたブルートゥースモジュール800が提供元から購入され、コントロール基板502と接続するための基板に実装されてもよい。ブルートゥースモジュール800の提供元は、日本における技術基準適合証明(技適)およびアメリカにおけるFederal Communication Commission(FCC)などの各国における認証を取得している。これらは、記録装置1の本体の技適および認証として使用可能となる。ブルートゥースモジュール800を記録装置1の内部に設置する場合には、正常に通信できる通信距離を確保する観点から、アンテナ803と金属製の部品との最短距離を、6mm以上、好ましくは10mm以上に設定する。同様に、アンテナ803と樹脂製の部品との最短距離は、樹脂製部品の厚み以上に設定される。
【0066】
ブルートゥースによる無線通信への悪影響を避けるためには、ブルートゥースモジュール80のアンテナ82を金属部品から離すことが必要である。チューブプリンタとしての記録装置1におけるブルートゥースモジュール80の配置についてまとめる。
【0067】
まずチューブプリンタである記録装置1の基本的な構造についてまとめる。記録装置1は、記録する内容を入力するためのキーボードを含む操作部10、チューブTを通過させるガイドユニット400を備えている。さらに、記録装置1は、チューブTに記録を行う記録ヘッドを含む記録部200、記録が行われたチューブTをカットするカッターを含むカット部300、キーボードから入力した内容を表示するディスプレイを備えている。
【0068】
ユーザが操作を行うキーボードは、ユーザに近い手前側に配置される。
【0069】
キーボードの裏側には、配置に面積を要するコントロール基板502が配置される。
【0070】
ディスプレイは、キーボードの奥側に配置される。そして、ディスプレイとコントロール基板502とを接続するフレキシブルケーブルを短くしてノイズの発生を抑えるために、ディスプレイはコントロール基板502と接近して配置される。
【0071】
チューブTは、ガイドユニット400を通過した後に記録部200で記録が行われ、その後、ユーザの設定によってカット部300のカット位置においてフルカットまたはハーフカットがなされる。そのため、ガイドユニット400、記録位置、カット位置は、-x側へ向けてこの順に並んで配置される。
【0072】
ガイドユニット400は、手前奥方向において、ディスプレイを挟んでキーボードと反対側に配置される。ガイドユニット400は駆動源を持たないため、駆動源を持つ記録部200やカット部300よりも小さい。そのため、ガイドユニット400がディスプレイよりも奥側に配置されることで、記録装置1の小型化が達成される。
【0073】
以上の理由により、記録装置1では、y方向において操作するユーザに近い側から、順番に、キーボード、ディスプレイ、ガイドユニット400が並んで配置される。また、-x側へ向けて、順番に、ガイドユニット、記録部200、カット部300が並んで配置される。
【0074】
次に、上記の構成のチューブプリンタである記録装置1にブルートゥースモジュール80、800の好適な配置場所の概要が説明される。
【0075】
キーボードの裏側にはコントロール基板502が配置されている。また、キーボードは入力のしやすさのために手前に向かって下るように傾斜しており、キーボードの裏側には空間が少ない。そのため、z方向と平行に見てキーボードおよびコントロール基板502と重なる領域にブルートゥースモジュール80、800を配置しようとすると、金属から十分な距離を取ることが難しく、好適な場所がない。
【0076】
記録部200の裏側にはメインモータ104が、カット部300の裏側にはサブモータ202が配置されており、ブルートゥースモジュール80、800と距離を取るべき大きな金属製の部品が存在している。そのため、z方向と平行に見て記録部200あるいはカット部300と重なる領域にブルートゥースモジュール80、800を配置しようとすると、好適な場所がない。
【0077】
ディスプレイの裏側には板金やドライバIC、フレキシブルケーブルが配置されている。z方向と平行に見てディスプレイと重なる領域にブルートゥースモジュール80、800を配置しようとすると、金属部品との距離が近くなるため好適な場所がない。
【0078】
一方、z方向と平行に見てガイドユニット400と重なる領域には、モータおよび板金が配置されないため、金属部品が存在しない空間がある。よって、金属部品から十分な距離をとってブルートゥースモジュール80、800を配置することが可能となる。
【0079】
手前奥方向(y方向と平行な方向)において、ディスプレイは、キーボードよりも奥側にある。手前奥方向(y方向と平行な方向)において、メインモータ104、サブモータ202、記録位置およびカット位置は、キーボードおよびコントロール基板502よりも奥側にある。ディスプレイは、キーボードの長手方向(x方向と平行な方向)において記録位置よりも一方側にあり、カット位置は、長手方向(x方向と平行な方向)において記録位置よりも他方側にある。ブルートゥースモジュール80、800は、メインモータ104、サブモータ202、記録ヘッド201およびカッター刃よりも長手方向(x方向と平行な方向)において一方側にある。ブルートゥースモジュール80、800は、手前奥方向(y方向と平行な方向)において、コントロール基板502、ディスプレイおよびフレキシブルケーブル91よりも奥側にある。ブルートゥースモジュール80、800の少なくとも一部は、長手方向(x方向と平行な方向)においてディスプレイとオーバーラップするように配置されている。
【0080】
即ち、ブルートゥースモジュール80、800は、キーボード、コントロール基板502およびディスプレイよりも+y側、かつメインモータ104よりも+x側に配置される。そして、ブルートゥースモジュール80、800の全体が、x方向においてディスプレイとオーバーラップするように配置される。
【0081】
なお、ブルートゥースモジュール80、800の一部がx方向においてディスプレイとオーバーラップし、一部以外の部分がオーバーラップしないような配置が採用さてもよい。
【0082】
この配置を採用することで、従来のチューブプリンタの構成において、主要な構成部品が配置されていなかった領域にブルートゥースモジュール80、800を配置し、無線通信による記録を行うことが可能となる。
【0083】
また、本実施形態においてはチューブTの搬送方向を-x方向としているが、これは、右利きと左利きとを比較した場合に、右利きのユーザの比率が圧倒的に多いためである。右利きのユーザにとっては、チューブを右側からセットできることが好ましい。ただし、搬送方向は-x方向には限られず、x方向に搬送する形態としても良い。その場合も、ブルートゥースモジュール80、800を記録部よりも搬送方向で上流側に配置することで、記録装置1にブルートゥースモジュール80、800を実装することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態においてはホストコンピュータからチューブプリンタへ記録データを転送する形態として、無線接続と有線接続とが可能な形態について説明されたが、これは一例にすぎない。無線接続による転送のみが可能な形態が採用されてもよい。
【0085】
[コントローラ]
図15は記録装置1のコントローラをブロック図として示している。電源部40は、記録装置1に設けられた、操作部10、表示部20、記録ヘッド201、メインモータ104、サブモータ202、外気温センサ50、センサ群60およびCPUを含む制御部70等の動作に必要な電力を供給する電源回路である。制御部70は、記録部200による記録動作の制御、表示部20における表示の制御等を実行する。外気温センサ50は、記録装置1が設置されている環境の温度を検出するセンサである。外気温センサ50は、記録装置1の内部のヒータからの熱の影響を受けにくい位置に配置される。センサ群60は、チューブTなどの記録媒体を検知する複数の媒体センサを含む。ブルートゥースモジュール80は、ホストコンピュータと無線通信を実行する無線通信回路を備えた基板である。
【0086】
なお、ブルートゥースモジュール80とは別に、コントローラがUSB(登録商標)による接続を行う有線接続回路を備えていてもよい。この場合、記録装置1はホストコンピュータからUSBケーブルを介して有線通信で転送される記録データを受信し、記録を行うこともできる。有線通信では無線通信よりも信頼性の高いデータ転送が可能である。
【0087】
制御部70は、外気温センサ50の検出温度に基づいて、記録ヘッド201の発熱素子を駆動する駆動パルスを設定する。外気温センサ50で検出された温度が低い場合、チューブTの温度が適切温度よりも低くなっている。そのため、インクリボンRに加える熱が増やされる。たとえば、記録ヘッド201の発熱素子の駆動パルス(通電時間)を長くすることで、低温環境下でも適正な記録が実現される。また、制御部70はコントロール基板502に実装され、z方向と平行に見てキーボードと重なる領域に配置される。
【0088】
[フローチャート]
図16はチューブTに画像を記録する記録方法を示すフローチャートである。記録を行う前に、ユーザは記録装置1にチューブTをセットする。ユーザが開閉カバー2を閉状態から開状態とすると、第1ローラ101bは第1ローラ101aから離間する方向に移動する。ユーザがチューブTを第1ローラ101aと第1ローラ101bの間にセットし、開閉カバー2を開状態から閉状態とすると、第1ローラ101bが第1ローラ101aに接近する方向に移動し、第1ローラ101aと第1ローラ101bがチューブTを挟持する。
【0089】
ステップS601で制御部70は、操作部10のキーボードから入力される記録内容等を受け付ける。あるいは、ブルートゥースで接続されたスマートフォンなどの機器から送信される記録内容等を受け付ける。あるいは、有線接続されたホストコンピュータから転送される記録データを受け付ける。記録データには、チューブTに記録される内容、記録ページ数、および、文字サイズが含まれる。ユーザは、記録内容の入力が完了すると、ガイドユニット400にチューブTを挿入し、ガイドユニット400に設けられた媒体センサにチューブTを検知させる。媒体センサはセンサ群60に含まれる一つのセンサである。
【0090】
S602で制御部70は、媒体センサがチューブTを検知したかどうかに基づき、チューブTがガイドユニット400にセットされたかどうかを判定する。チューブTがガイドユニット400にセットされていることを検出したら、制御部70はS603に進む。
【0091】
S603で制御部70は、メインモータ104を起動して第1ローラ101a、101bを回転させ、チューブTの搬送を開始する。
【0092】
S604で制御部70は、第1ローラ101a、101bの下流側に設けられている別の媒体センサによって、チューブTの先端が検知されたかどうかを判定する。搬送を開始してから所定時間内に先端が検知されなければ、制御部70はS610に進み、ディスプレイにエラーメッセージを表示する。この場合、ユーザはエラーメッセージにしたがってチューブTをガイドユニット400に再度セットすることになる。一方、搬送を開始してから所定時間内に先端が検知されれば、制御部70はS605に進む。
【0093】
S605で制御部70は、メインモータ104を逆転させてチューブTのバックフィードを実行する。これにより、チューブTの先端が記録ヘッド201による記録開始位置に対して正確に位置決めされる。
【0094】
S606で制御部70は、サブモータ202を駆動して記録ヘッド201を退避位置から記録位置に移動する。これにより、プラテンローラ102と記録ヘッド201により、チューブTおよびインクリボンRが挟持される。
【0095】
S607で制御部70は、ユーザにより入力された記録内容にしたがって記録ヘッド201の複数の発熱素子に通電してチューブTに対する記録内容の記録を実行する。なお、一度の記録処理によりすべての記録が完了できない場合、チューブTの搬送と記録ヘッド201による記録が繰り返される。なお、ハーフカットが必要な場合、制御部70はカット部300を駆動してハーフカットを実行する。
【0096】
S608で制御部70は、チューブTに対する記録内容の記録が終了したかどうかを判定する。記録が終了すると、記録ヘッド201を退避位置に移動し、制御部70はS609に進む。
【0097】
S609で制御部70は、メインモータ104によりチューブTをカット部300へ搬送し、サブモータ202を起動してカット部300を駆動することでチューブTのフルカットを実行する。フルカットを実行後、記録動作を終了する。
【0098】
以上、説明したように、本実施形態によれば、ブルートゥースによる無線通信回路を実装したチューブプリンタを提供することが可能となる。
【0099】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
80:ブルートゥースモジュール、100:搬送部、104:メインモータ、200:記録部、201:記録ヘッド、202:サブモータ、300:カット部、503:ユニット、501:天面カバー、502:コントロール基板、601:底面カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18