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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】柱上開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/53 20060101AFI20240724BHJP
   H02B 5/02 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H01H33/53 U
H02B5/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023141151
(22)【出願日】2023-08-31
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000144108
【氏名又は名称】株式会社三英社製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000163419
【氏名又は名称】株式会社きんでん
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】野元 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】福 嵩史
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 裕太
(72)【発明者】
【氏名】山口 隼人
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189292(JP,A)
【文献】特開2016-096628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/53
H02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統の電柱に配置される柱上開閉器であって、
固定電極と可動電極の開閉を行う開閉機構と、
前記開閉機構のトリップ動作を行う引き外し機構と、
前記引き外し機構を機械的に作動させる引き外しレバーと、
上部に配置された吊り上げフックと、
前記吊り上げフックが取り付けられた軸と、
前記軸が引き上げられることによって前記引き外しレバーを動かして前記引き外し機構を作動させる連動機構と、
を備えることを特徴とする柱上開閉器。
【請求項2】
前記開閉機構に連動して回動する第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に形成された第1斜面と、
前記引き外しレバーに形成され前記第1斜面と対向する第2斜面と、
前記引き外しレバーの前記第2斜面とは反対側に形成された第1係合部と、
前記引き外しレバーに隣接して前記引き外し機構に連動する第2リンク部材と、
前記第2リンク部材に形成され前記第1係合部と対向する第2係合部と、
を有し、
前記開閉機構が入状態のときには、前記引き外しレバーが回転すると、前記第2斜面が前記第1リンク部材の第1斜面に当接摺動して前記引き外しレバーが前記第2リンク部材側に移動し、前記引き外しレバーの第1係合部と前記第2リンク部材の第2係合部が噛み合って前記第2リンク部材を回転させ、
前記開閉機構が切状態のときには、前記引き外しレバーの第2斜面が前記第1リンク部材の第1斜面に当接せず、前記引き外しレバーと前記第2リンク部材の切り欠きが噛み合わず、前記第2リンク部材が回転しないことを特徴とする請求項1に記載の柱上開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電系統の電柱に配置される柱上開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
配電系統の電柱には、配電線路の作業時の区分または故障時の切り離しを目的として柱上開閉器が設けられる。柱上開閉器の設置工事では、柱上開閉器を吊り上げるときに回路を「切」操作して吊り上げを行うことにより十分な安全性を確保していた。しかし、吊り上げ前の「切」操作を失念すると、回路が「入」状態で配電線路が接続されてしまうため、安全性が損なわれてしまう。
【0003】
そこで例えば特許文献1には、「一次側の電線を接続する第一接続部及び二次側の電線を接続する第二接続部を有する開閉器本体と、該開閉器本体に対して姿勢変更可能に設けられ、姿勢変更に伴い、前記第一接続部に接続された電線と前記第二接続部に接続された電線とを電気的に接続した入状態と、前記第一接続部に接続された電線と前記第二接続部に接続された電線とを縁切した切状態とに切替可能な開閉部と、前記開閉器本体に対して着脱可能な吊上部材と、前記開閉部が入状態ではなく切状態のときに前記吊上部材を前記開閉器本体に固定可能とするロック手段とを備えることを特徴とする開閉器」が開示されている。
【0004】
特許文献1によれば、吊上部材を備えることにより、開閉部が入状態のときに吊上部材を用いて開閉器を吊り上げようとすると、吊上部材が開閉器本体から外れる。したがって、開閉部が入状態になっているままで開閉器を吊り上げることはできないため、開閉部が入状態のときに吊り上げられることを防止することができるとしている。また特許文献1によれば、ロック手段を備えることにより、開閉部を切状態にし、ロック手段によって吊上部材を開閉器本体に固定することで、吊上部材を用いて開閉器を吊り上げることができるようになるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-192346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のロック手段は、「吊上部材を挿込可能なロック部材本体と、ロック部材本体に挿し込まれた吊上部材の抜け止めを行う抜止部材」を含んで構成されている。そして、抜止部材のブレード部が吊上部材の嵌合溝に嵌ることにより、吊上部材の抜け止め効果を得ている。
【0007】
特許文献1の構成であると、開閉器を設置する際に吊上部材を吊り上げると、抜止部材のブレード部に開閉器全体の重量がかかる。開閉器の重量は数十キロと重いため、平板状のブレード部では開閉器の重量に耐えられず変形や破損が生じる可能性がある。したがって、特許文献1の技術には更なる改善の余地があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、柱上開閉器の吊り上げ時において、柱上開閉器全体の重量に耐え得る構造としつつ、主回路を確実に切状態とすることで高い安全性を得ることが可能な柱上開閉器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる柱上開閉器の代表的な構成は、配電系統の電柱に配置される柱上開閉器であって、固定電極と可動電極の開閉を行う開閉機構と、開閉機構のトリップ動作を行う引き外し機構と、引き外し機構を機械的に作動させる引き外しレバーと、上部に配置された吊り上げフックと、吊り上げフックが取り付けられた軸と、軸が引き上げられることによって引き外しレバーを動かして引き外し機構を作動させる連動機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
当該柱上開閉器は、開閉機構に連動して回動する第1リンク部材と、第1リンク部材に形成された第1斜面と、引き外しレバーに形成され第1斜面と対向する第2斜面と、引き外しレバーの第2斜面とは反対側に形成された第1係合部と、引き外しレバーに隣接して引き外し機構に連動する第2リンク部材と、第2リンク部材に形成され第1係合部と対向する第2係合部と、を有し、開閉機構が入状態のときには、引き外しレバーが回転すると、第2斜面が第1リンク部材の第1斜面に当接摺動して引き外しレバーが第2リンク部材側に移動し、引き外しレバーの第1係合部と第2リンク部材の第2係合部が噛み合って第2リンク部材を回転させ、開閉機構が切状態のときには、引き外しレバーの第2斜面が第1リンク部材の第1斜面に当接せず、引き外しレバーと第2リンク部材の切り欠きが噛み合わず、第2リンク部材が回転しないとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、柱上開閉器の吊り上げ時において、柱上開閉器全体の重量に耐え得る構造としつつ、主回路を確実に切状態とすることで高い安全性を得ることが可能な柱上開閉器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の柱上開閉器の外観の全体斜視図である。
図2】本実施形態の柱上開閉器の内部構造の要部を説明する斜視図である。
図3図2の柱上開閉器の分解斜視図である。
図4】連動機構の詳細を説明する斜視図である。
図5】連動機構の動作を説明する図である。
図6】第1リンク部材、引き外しレバーおよび第2リンク部材の分解斜視図である。
図7図4の回転軸の近傍を拡大した斜視図である。
図8図4の回転軸の近傍を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態の柱上開閉器100の外観の全体斜視図である。図1に示す柱上開閉器100は、配電系統の電柱に配置される開閉器であり、具体的には工事用開閉器が挙げられる。柱上開閉器100はケーシング110を有し、ケーシング110の2つの側面110a(一方の側面は不図示)には、それぞれ電線を接続するブッシング102a、102bが3つずつ取り付けられている。
【0015】
ケーシング110の正面110bには、柱上開閉器100の回路の開閉を手動で行うためのハンドル104、および柱上開閉器100の入切状態と連動して回動する指示器106が取り付けられている。指示器106は、柱上開閉器100の回路が入状態であるか切状態であるかを示す。
【0016】
ケーシング110の正面110bおよび背面(図1では背面は不図示)の上部には、コの字形状のハンガー112が取り付けられている。ハンガー112にはブラケット114が取り付けられていて、ブラケット114には軸120が保持されている。この軸120に吊り上げフック130を取り付けることにより、柱上開閉器100の上部に吊り上げフック130が配置された状態となり、吊り上げフック130を引き上げることにより柱上開閉器100を吊り上げられる。
【0017】
図2は、本実施形態の柱上開閉器100の内部構造の要部を説明する斜視図である。図3は、図2の柱上開閉器100の分解斜視図である。図2および図3では、図1の柱上開閉器100からケーシング110、ハンガー112、ブラケット114、およびその他の部材を取り除いた状態を示してしている。
【0018】
図2および図3に示すように本実施形態の柱上開閉器100は、開閉機構140、引き外し機構150、および連動機構160を含んで構成される。開閉機構140は、ブッシング102aに接続された固定電極142と、ブッシング102bに接続された可動電極144との開閉を行う。ハンドル104を操作して開閉機構140を動作させ、固定電極142と可動電極144とが接続されると回路は入状態となり、固定電極142と可動電極144とが非接続となると回路は切状態となる。
【0019】
引き外し機構150は、引き外しレバー154を備えていて、引き外しレバー154が動作した際には引き外し機構150が機械的に作動し、開閉機構140の回線を切状態にするトリップ動作を行う。
【0020】
図4は、連動機構160の詳細を説明する斜視図である。図4に示す連動機構160は、軸120が引き上げられることによって最終的に引き外しレバー154を動かし、引き外し機構150を作動させる。図4に示すように連動機構160は、圧縮バネ162、スライドピン164、スライドパイプ166、第1回動部材172、第2回動部材174、第3回動部材176および解除レバー178を含んで構成される。
【0021】
圧縮バネ162は、軸120に嵌装され、軸120を下方に付勢する。これにより、不意なトリップ動作を防ぐことができる。スライドピン164は、軸120の外側に向かって突出するように配置され、軸120の上下移動に伴って動作する。スライドパイプ166は、圧縮バネ162の外側に配置され、スライドピン164の移動経路となるスリット166aが形成されている。なお、圧縮バネ162、スライドピン164およびスライドパイプ166はブラケット114(図1参照)の下方に配置されている。
【0022】
第1回動部材172、第2回動部材174および第3回動部材176は、スライドパイプ166と解除レバー178、ひいては軸120と引き外しレバー154とを連動させるための部材(リンク機構)である。
【0023】
第1回動部材172は、スライドパイプ166の外周に形成されたタブ166bに一端が連結されていて、第2回動部材174に他端が連結されている。第2回動部材174は、第1回動部材172に一端が連結されていて、第3回動部材176に他端が連結されている。第3回動部材176は、第2回動部材174に一端が連結されていて、解除レバー178に他端が連結されている。解除レバー178は、略L字状の部材であり、一端が第3回動部材176に連結されていて、他端が引き外しレバー154に接している。なお解除レバー178が略L字状をしているのは、後述するように、引き外しレバー154が回転軸180の軸方向に移動可能なためである(図7図8参照)。
【0024】
また図4に示すように本実施形態では、引き外しレバー154が取り付けられている回転軸180には、第1リンク部材146および第2リンク部材156が取り付けられている。第1リンク部材146は、開閉機構140の構成要素の一部であり、引き外しレバー154に隣接して配置され、開閉機構140に連動して回動する。第2リンク部材156は、引き外し機構150の構成要素の一部であり、引き外しレバー154に隣接して配置され、引き外し機構150に連動して回動する。
【0025】
図5は、連動機構160の動作を説明する図である。図5(a)および(b)は、ケーシング110を正面側から観察した状態を例示している。図5(c)および(d)は、ケーシング110を上方側から観察した状態を例示している。
【0026】
図5(a)および図5(c)に示すように吊り上げフック130が吊り上げられていない状態では、軸120は圧縮バネ162(図4参照)によって付勢されて最も低い位置に配置されている。図5(b)および図5(d)に示すように吊り上げフック130を起こした状態として吊り上げると、軸120が引き上げられる。
【0027】
図4および図5(b)に示すように吊り上げフック130が吊り上げられると、軸120も上方(D1方向)に移動する。これにより、スライドピン164が上方(D2方向)に移動し、スリット166aがスライドピン164にガイドされることでスライドパイプ166がD3方向に回転する。この回転によって、第1回動部材172がD4方向に押され、第2回動部材174がD5方向に回動する。
【0028】
第2回動部材174の回動に伴って第3回動部材176がD6方向に回動すると、解除レバー178がD7方向に直線移動する。すると、引き外しレバー154が解除レバー178に押されることによりD8方向に回動する。すなわち上記説明した連動機構160によれば、軸120が引き上げられることによって引き外しレバー154が動作する。
【0029】
本実施形態の柱上開閉器100によれば、軸120が引き上げられると連動機構160によって引き外しレバー154が動作することにより、引き外し機構150が機械的に作動し、開閉機構140のトリップ動作が行われる。したがって、柱上開閉器100を吊り上げフック130によって吊り上げると、柱上開閉器100の回路が必然的に切状態となる。このため、柱上開閉器100の吊り上げ時において、主回路を確実に切状態とすることで高い安全性を得ることが可能となる。
【0030】
また吊り上げ時の柱上開閉器100の重量は軸120にかかるが、軸120は、ブラケット114に保持されていて、ブラケット114はハンガー112を介してケーシング110に取り付けられている。これにより、柱上開閉器100の重量の局所的な集中を防ぐことができ、柱上開閉器100の全体の重量に耐え得る構造とすることができる。
【0031】
ここで柱上開閉器100を吊り上げる前に既に回路が切状態となっている場合には、吊り上げ時に開閉機構140のトリップ動作を行う必要がない。そこで本実施形態の柱上開閉器100では、切状態の時には、引き外しレバー154がD8方向に回動しても、第2リンク部材156がD9方向に回動しないように縁を切ることにより、開閉機構140のトリップ動作を制御する。
【0032】
図6は、第1リンク部材146、引き外しレバー154および第2リンク部材156の分解斜視図である。図6(a)は、第1リンク部材146、引き外しレバー154および第2リンク部材156を柱上開閉器100(図1参照)の側面側から観察した斜視図である。図6(b)は、図6(a)の第1リンク146、引き外しレバー154および第2リンク部材156を異なる角度から観察した斜視図である。
【0033】
図6(a)および(b)に示すように、第1リンク部材146には、回転軸180(図4参照)に沿うように引き外しレバー154に向かって突出した第1突出部146aが形成されている。第1突出部146aは、円筒の一部が斜めに切り欠かれた形状の第1斜面146bを有する。
【0034】
引き外しレバー154は、第1リンク部材146と対向する面に第2突出部154aが形成されている。第2突出部154aは、回転軸180に沿うように第1リンク部材146に向かって突出していて、円筒の一部が斜めに切り欠かれた形状の第2斜面154bを有する。第1斜面146bと第2斜面154bとは対向するように配置されている。
【0035】
また引き外しレバー154には、第2リンク部材156と対向する面(第2斜面154bとは反対側の面))に第1係合部154cが形成されている。第1係合部154cは、回転軸180に沿うように第2リンク部材156に向かって突出する切欠形状の部位である。
【0036】
第2リンク部材156には、回転軸180に沿うように引き外しレバー154に向かって突出した切欠形状の第2係合部156aが形成されている。第1係合部154cと第2係合部156aとは対向するように配置されている。
【0037】
図7および図8は、図4の回転軸180の近傍を拡大した斜視図である。図7および図8では、図6に示す第1リンク部材146、引き外しレバー154および第2リンク部材156を回転軸180に組付けた状態を示している。図7図8において引き外しレバー154は、解除レバー178に押されてD8方向に回動した状態である。
【0038】
図7(a)は、開閉機構140が入状態のときの回転軸180の近傍を機器下方から観察した斜視図である。図7(b)は、図7(a)の回転軸180の近傍を機器左側から観察した斜視図である。開閉機構140が入状態のときには、第1リンク部材146は図示右側に回動していて、第1斜面146bは図示左側に回動した位置にある。連動機構160が作動して引き外しレバー154が図示左側に回転すると(D8方向)、図7(a)に示すように引き外しレバー154は、第2斜面154bが第1リンク部材146の第1斜面146bに当接摺動しながら、スプリング192を圧縮しつつ第2リンク部材156側に移動する。
【0039】
引き外しレバー154が第2リンク部材156側に移動することにより、図7(b)に示すように第1係合部154cと第2係合部156aとが噛み合って第2リンク部材156を回転させる。すると、第2リンク部材156のD9方向への回転によって引き外し機構150がトリップ動作し、柱上開閉器100の回路が切状態となる。
【0040】
図8(a)は、開閉機構140が切状態のときの回転軸180の近傍を機器下方から観察した斜視図である。図8(b)は、図8(a)の回転軸180の近傍を機器左側から観察した斜視図である。開閉機構140が切状態のときには、第1リンク部材146は図示左側に回動していて、第1斜面146bは図示右側に回動した位置にある。すると連動機構160が作動して引き外しレバー154が回転しても(D8方向)、図8(a)に示すように引き外しレバー154の第2斜面154bが第1リンク部材146の第1斜面146bに当接しない。このため引き外しレバー154は、第2リンク部材156側には移動せず、スプリング192によって第1リンク部材146側に付勢された状態となっている。
【0041】
上記の状態では、図8(b)に示すように、引き外しレバー154の第1係合部154cと第2リンク部材156の第2係合部156aが噛み合わないため、第2リンク部材156は回転しない。したがって、引き外し機構150のトリップ動作は行われない。すなわち開閉機構140が切状態のときは、引き外しレバー154と第2リンク部材156の縁が切られるため、引き外し機構150によるトリップ動作は行われないことになる。
【0042】
上記構成によれば、柱上開閉器100を吊り上げる際であっても、開閉機構140が入状態の場合のみにトリップ動作が行われ、開閉機構140が切状態の場合にはトリップ動作は行われない。したがって、必要がない場合のトリップ動作を制限することが可能となる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、配電系統の電柱に配置される柱上開閉器として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100…柱上開閉器、102a…ブッシング、102b…ブッシング、104…ハンドル、106…指示器、110…ケーシング、110a…側面、110b…正面、112…ハンガー、114…ブラケット、120…軸、130…吊り上げフック、140…開閉機構、142…固定電極、144…可動電極、146…第1リンク部材、146a…第1突出部、146b…第1斜面、150…引き外し機構、154…引き外しレバー、154a…第2突出部、154b…第2斜面、154c…第1係合部、156…第2リンク部材、156a…第2係合部、160…連動機構、162…圧縮バネ、164…スライドピン、166…スライドパイプ、166a…スリット、166b…タブ、172…第1回動部材、174…第2回動部材、176…第3回動部材、178…解除レバー、180…回転軸、190…スプリング、192…スプリング
【要約】      (修正有)
【課題】柱上開閉器の吊り上げ時において、柱上開閉器全体の重量に耐え得る構造としつつ、主回路を確実に切状態とすることで高い安全性を得ることが可能な柱上開閉器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる柱上開閉器100の構成は、配電系統の電柱に配置される柱上開閉器100であって、固定電極142と可動電極144の開閉を行う開閉機構140と、開閉機構140のトリップ動作を行う引き外し機構150と、引き外し機構150を機械的に作動させる引き外しレバー154と、上部に配置された吊り上げフック130と、吊り上げフック130が取り付けられた軸120と、軸120が引き上げられることによって引き外しレバー154を動かして引き外し機構150を作動させる連動機構160と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8