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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】部品
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240724BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240724BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240724BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K7/116
F16H57/04 J
F16H57/04 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023506933
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008240
(87)【国際公開番号】W WO2022196320
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2021041032
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】奥村 豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋治郎
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-020404(JP,A)
【文献】特開2013-137051(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003661(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 7/116
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向側に向かって開口する開口端を有するトンネル部を有する第1ケース部と、
上方側に向かって開口するキャッチタンク部を有する第2ケース部と、を有し、
前記トンネル部の底部と前記キャッチタンク部の底部とが連結するように前記第1ケース部と前記第2ケース部とが対向して配置され、
前記トンネル部の前記第2ケース部側の開口端の開口面積は、前記トンネル部の前記第2ケース部側と反対側の開口端の開口面積より大きく、
前記トンネル部は、全体として前記トンネル部の前記第2ケース部側から前記トンネル部の前記第2ケース部側と反対側に向かって下るように傾斜し、
前記トンネル部の前記第2ケース部側は、前記キャッチタンク部に向かって下るように傾斜している、
部品。
【請求項2】
前記第1ケース部は、冷媒キャビティの外周壁として構成されている、
請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記キャッチタンク部は、前記第2ケース部に設けられたケース油路と連通する、
請求項1又は2に記載の部品。
【請求項4】
前記ケース油路の入口の開口面積は、前記トンネル部の前記第2ケース部側の前記開口端の開口面積よりも小さい、
請求項3に記載の部品。
【請求項5】
前記キャッチタンク部には、前記ケース油路の入口と前記トンネル部の前記第2ケース部側の前記開口端とを仕切る仕切壁が設けられており、
前記仕切壁の高さは、前記キャッチタンク部を囲繞する囲繞壁の高さよりも低い、
請求項3又は4に記載の部品。
【請求項6】
前記キャッチタンク部は、前記仕切壁によって、前記トンネル部の前記第2ケース部側の前記開口端と連通する第1溝部と、前記ケース油路の前記入口と連通する第2溝部とに仕切られ、
前記第1ケース部には、前記キャッチタンク部の前記第2溝部と対向する対向部が設けられ、
前記第2溝部の一端と前記対向部とは連結する、
請求項5に記載の部品。
【請求項7】
前記キャッチタンク部内に収容され、前記キャッチタンク部内に油を導くガイド部材を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油をノズルからトンネル部に供給する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】仏国特許出願公開第2740853号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、ノズルとトンネル部との間には、隙間が形成されるため、当該隙間から油がリークしやすくなる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、キャッチタンク部とトンネル部との間からの油のリーク量を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、軸方向側に向かって開口する開口端を有するトンネル部を有する第1ケース部と、上方側に向かって開口するキャッチタンク部を有する第2ケース部と、を有し、前記トンネル部の底部と前記キャッチタンク部の底部とが連結するように前記第1ケース部と前記第2ケース部とが対向して配置されている部品が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、キャッチタンク部とトンネル部との間からの油のリーク量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る動力伝達装置を示す概略外観図である。
図2図2は、動力伝達装置を示す概略構成図である。
図3図3は、動力伝達装置を示す概略構成図である。
図4図4は、第1ケース部を示す背面図である。
図5図5は、第2ケース部を示す正面図である。
図6図6は、ガイド部材を取り外した状態の第2ケース部を示す正面図である。
図7図7は、ケース部材の要部を示す概略構成図である。
図8図8は、ガイド部材を取り外した状態のケース部材の要部を示す概略構成図である。
図9図9は、ガイド部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、単に本実施形態と称する)について説明する。
【0010】
(動力伝達装置の構成)
まず、図1から図3を参照しながら本実施形態に係る動力伝達装置1について説明する。なお、本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る動力伝達装置1を示す概略外観図である。図2は、動力伝達装置1を示す概略構成図である。なお、動力伝達装置1の要部を断面で示している。図3は、動力伝達装置1を示す概略構成図である。
【0012】
動力伝達装置1は、自動車の駆動輪(図示しない)への動力伝達に用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、電気製品への動力伝達に用いられてもよい。図1から図3に示すように、動力伝達装置1は、モータ2、動力伝達機構3及びケース部材4を備える。なお、部品は、例えば、ケース部材4単体、もしくは、ケース部材4を有する車両用部品があるが、これらに限定されるものではない。車両用部品は、例えば、車両を駆動するための駆動装置等があるが、これに限定されるものではない。
【0013】
図3に示すように、モータ2は、駆動力(回転力)を駆動輪及び動力伝達機構3に伝達するための駆動源である。モータ2は、動力伝達装置1の長手方向に沿って延在して回転可能に設けられるシャフト21と、シャフト21の外周側に設けられるモータロータ22と、モータロータ22の外周側に位置するようにケース部材4の後述する第3ケース部51の内筒511の内周側に設けられるモータステータ23と、を有する。シャフト21の軸方向(以下、単に軸方向とも称する。)と動力伝達装置1の長手方向とは一致する。シャフト21は、ケース部材4の後述するモータケース5に設けられる前端側ベアリング(図示しない)及び後端側ベアリング(図示しない)によって支持される。
【0014】
動力伝達機構3は、モータ2から出力される駆動力を駆動輪の駆動軸(図示しない)に伝達するための動力伝達機構である。動力伝達機構3は、モータ2とシャフト21の軸方向に沿って配列されるように設けられる。
【0015】
図3に示すように、動力伝達機構3は、遊星歯車機構31及び差動機構32を備える。遊星歯車機構31は、サンギア311、ピニオンギア312、リングギア313及びキャリア314を有する。差動機構32は、デフケース321、デファレンシャルギア322及び出力軸323を有する。モータ2から出力される駆動力は、順にサンギア311、ピニオンギア312、キャリア314、デフケース321及びデファレンシャルギア322を経由して出力軸323に伝達される。
【0016】
サンギア311は、シャフト21と一体回転可能にシャフト21の後端の外周側に設けられる。ピニオンギア312は、サンギア311と噛合するラージピニオン312aと、ラージピニオン321aと同軸に形成されリングギア313と噛合するスモールピニオン312bと、を有する。リングギア313は、回転不能に設けられる。リングギア313の内周側には、スモールピニオン312bと噛合する噛合歯が形成される。キャリア314は、ラージピニオン312aから離間するスモールピニオン312bの後端と連結するように設けられる。
【0017】
デフケース321は、キャリア314と一体形成される。デファレンシャルギア322は、シャフト21及び出力軸323の両方と噛合するようにデフケース321に支持される。出力軸323は、シャフト21と同一直線上に延在するように支持用ベアリング(図示しない)を介してケース部材4の後述する第2ケース部6に支持される。
【0018】
ケース部材4は、モータ2及び動力伝達機構3の両方を収容するための収容部材である。なお、ケース部材4の詳細については後述する。
【0019】
(ケース部材の構成)
次に、図1から図9を参照しながらケース部材4について詳細に説明する。
【0020】
図4は、第1ケース部52を示す背面図である。図5は、第2ケース部6を示す正面図である。図6は、ガイドプレート7を取り外した状態の第2ケース部6を示す正面図である。図7は、ケース部材4の要部を示す概略構成図である。図8は、ガイドプレート7を取り外した状態のケース部材4の要部を示す概略構成図である。図9は、ガイドプレート7を示す斜視図である。なお、図7及び図8において、ケース部材4の要部を断面で示している。
【0021】
図1から図9に示すように、ケース部材4は、モータ2を収容するためのモータケース5と、動力伝達機構3を収容するための第2ケース部6と、を備える。モータケース5と第2ケース部6とは、モータ2のシャフト21の軸方向に沿って配列される。なお、モータケース5及び第2ケース部6は、例えば、アルミニウムやマグネシウム等を含む材料によって鋳造される。
【0022】
モータケース5は、第3ケース部51及び第1ケース部52を有する。
【0023】
第3ケース部51は、モータ2の外周側を取り囲むように設けられる円筒状の内筒511と、内筒511の前端を封止するように内筒511の前端に設けられる前蓋512と、内筒511の外周側に設けられる前フランジ513と、内筒511の外周側に設けられる螺旋部としての外螺旋部514と、を有する。内筒511と前フランジ513とは、一体形成される。前蓋512は、内筒511及び前フランジ513と別体形成される。
【0024】
第1ケース部52は、内筒511の外周側を取り囲むように設けられる円筒状の外筒521と、外筒521の内周側に位置するように外筒521の後端に設けられる円環状の後蓋522と、モータ2のシャフト21の軸方向に沿って延在するように外筒521の外周側から隆起して設けられる管部523と、後蓋522の外周側に設けられる後フランジ524と、を有する。外筒521、後蓋522、管部523及び後フランジ524は、一体形成される。
【0025】
第3ケース部51の内筒511が第1ケース部52の外筒521の内周側に収容されるように、第1ケース部52と第3ケース部51とは、ボルト締めによって連結される。そして、第1ケース部52と第3ケース部51とが連結された状態において、外筒521の前端と前フランジ513の後面とは当接するとともに内筒511の後端と後蓋522の前面とは当接している。
【0026】
また、第1ケース部52と第3ケース部51とが連結された状態において、モータ2は、前端が前蓋512と対向するとともに後端が後蓋522と対向するように内筒511の内周側に収容される。
【0027】
さらに、第1ケース部52と第3ケース部51とが連結された状態において、内筒511の外周壁、外筒521の内周壁及び外螺旋部514によって取り囲まれた螺旋状のキャビディ(冷媒キャビティ)は、モータ2を冷却するためのウォータジャケットとしての冷媒回路53である。
【0028】
すなわち、冷媒回路53は、内筒511と外筒521との間に形成される。内筒511及び外筒521は、それぞれ冷媒回路53の内周壁及び冷媒回路53の外周壁として構成される。例えば、動力伝達装置1の作動時に、冷媒としての冷却水を冷媒回路53内に流通させることにより、冷媒回路53によって取り囲まれたモータ2を冷却することができる。
【0029】
本実施形態では、螺旋部は、内筒511の外周側に設けられる外螺旋部514から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、外筒521の内周側に設けられる内螺旋部から構成されてもよい。
【0030】
後蓋522の中央には、後蓋522を貫通する開口部525が形成される。シャフト21は、開口部525を貫通して設けられる。
【0031】
管部523の内周側には、トンネル部523aが形成される。トンネル部523aは、上流側である動力伝達機構3(具体的には、後述するキャッチタンク部65)と下流側であるモータ2の前端側とを連通するためのケース油路である。すなわち、トンネル部523aは、一端としての後端がキャッチタンク部65と連通するとともに他端としての前端がモータ2の前端側に形成される連通ケース油路(図示しない)と連通する。
【0032】
当該連通ケース油路は、トンネル部523aの前端と前端側ベアリングとを連通し、トンネル部523aからの油を前端側ベアリングに供給する。これにより、前端側ベアリングを油で潤滑させることができる。
【0033】
本実施形態では、油は、トンネル部523aから連通ケース油路を介して前端側ベアリングに供給されているが、これに限定されるものではなく、例えば、トンネル部523aから連通ケース油路を介してモータ2のシャフト21に供給されてもよい。この場合に、シャフト21を油で潤滑することができる。また、シャフト21に供給される油は、シャフト21の外周面を伝えて動力伝達機構3に戻る。
【0034】
また、トンネル部523aは、傾斜するように形成される。具体的には、トンネル部523aは、全体として後端側から前端側に向かって下るように縦方向(上下方向)に沿って傾斜する。これにより、キャッチタンク部65から連通ケース油路への油の流れをスムーズにすることができる。
【0035】
一方、トンネル部523aの後端は、抜き勾配のため、油が第1ケース部52から第2ケース部6に流れるように傾斜している。このような場合において、キャッチタンク部65とトンネル部523aとの間に隙間が空いている場合、キャッチタンク部65からトンネル部523aに供給される油が当該隙間からリークする場合がある。特にこのような場合に本発明のある態様は好適に作用する。
【0036】
トンネル部523aは、外筒521の外周側に位置する管部523の内周側に形成されるため、トンネル部523aは、外筒521の外周側に形成される。そして、螺旋状の冷媒回路53は、内筒511と外筒521との間に形成されるため、外筒521は、冷媒回路53の外周壁として構成される。これにより、外筒521に設けられるトンネル部523aを流通する油を、外筒521の内周側に形成される冷媒回路53で効率よく冷却することができる。
【0037】
後フランジ524は、第1ケース部52と第2ケース部6とを対向して連結するための部材である。図4に示すように、後フランジ524は、第2ケース部6の後述する第2突き合わせ部64と当接するように後側(背面側)の外周縁の全周に亘って設けられる環状の第1突き合わせ部526と、後側(第2ケース部6側)に突出するように第1突き合わせ部526の内側に設けられる突出部527と、を有する。
【0038】
第1突き合わせ部526には、第1突き合わせ部526を貫通するボルト締め用の複数の第1貫通孔526aが形成される。
【0039】
突出部527は、キャッチタンク部65と連続(連結)するための部材である。突出部527は、第2ケース部6と対向する一端としての後端の対向面が第2ケース部6と対向する第1突き合わせ部526の対向面と面一となるように設けられる。これにより、突出部527を寸法精度の管理を行うことなく容易に設けることができる。
【0040】
また、突出部527は、トンネル部523aの後端に設けられる開口端としての矩形状の環状部527aと、背面視にて環状部527aの一方側(図4では、右側)に設けられる直線状の第1突出部527bと、背面視にて環状部527aの他方側(図4では、左側)に設けられる対向部としての円弧状の第2突出部527cと、を有する。
【0041】
環状部527aによって取り囲まれた領域の中央には、トンネル部523aの本体が形成される。矩形状の環状部527aの底部は、一端(図4では、右側)が第1突出部527bと接続され、他端(図4では、左側)が第2突出部527cと接続される。
【0042】
本実施形態では、トンネル部523aの開口端は、突出部527の一部を構成する環状部527aから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、上方に開口する溝から構成されてもよい。この場合に、当該溝は、側壁がトンネル部523aの本体よりも高く設けられる。これにより、油をキャッチタンク部65からトンネル部523aの本体に供給することができる。
【0043】
第1突出部527bは、第1突き合わせ部526と環状部527aとを接続するための接続部である。第2突出部527cと第2突出部527cに接続される環状部527aの他方の側壁(図4では、左側壁)とによって、溝527dが取り囲まれる。
【0044】
図2図5及び図6に示すように、第2ケース部6は、有底筒状をなすように一体形成される。また、第2ケース部6は、シャフト21の軸方向に沿って延在する筒部61と、筒部61の一端としての前端に形成される開口62と、筒部61の他端としての後端に形成される蓋部63と、筒部61の前側(正面側)の外周縁に設けられる環状の第2突き合わせ部64と、シャフト21の軸方向に沿って延在するように蓋部63から突出して設けられるキャッチタンク部65と、蓋部63から突出して設けられる取付座66と、筒部61又は蓋部63に形成されるケース油路67と、を有する。
【0045】
筒部61は、中央に位置するとともに動力伝達機構3を収容する収容領域611と、収容領域611の外周側に位置するとともにキャッチタンク部65が設けられるキャッチタンク部収容領域612と、を有する。そして、動力伝達機構3を開口62から収容領域611に装着することができる。
【0046】
第2突き合わせ部64は、形状が後フランジ524の第1突き合わせ部526の形状と対応するように形成される。すなわち、第2突き合わせ部64と第1突き合わせ部526とは、同一形状及び同一寸法を有する。第2突き合わせ部64には、第2突き合わせ部64を貫通するボルト締め用の複数の第2貫通孔641が形成される。複数の第2貫通孔641は、それぞれ複数の第1貫通孔526aと対応する。
【0047】
そして、第1突き合わせ部526と第2突き合わせ部64とを当接させた状態において、ボルトを第1貫通孔526a及び第2貫通孔641に貫通させて締めることで、第1ケース部52と第2ケース部6とが連結される。
【0048】
キャッチタンク部65は、動力伝達機構3のうちの各ギアによって掻き揚げられた油をキャッチするためのタンクである。キャッチタンク部65は、動力伝達機構3のうちの各ギアによって掻き揚げられた油をキャッチしやすいように上方に開口する。また、キャッチタンク部65は、モータケース5と対向する一端としての前端の対向面がモータケース5と対向する第2突き合わせ部64の対向面と面一となるように設けられる。これにより、キャッチタンク部65を寸法精度の管理を行うことなく容易に設けることができる。
【0049】
また、キャッチタンク部65は、蓋部63からシャフト21の軸方向に沿って延在するとともに筒部61の内周壁と接続されるように、キャッチタンク部収容領域612に設けられる。これにより、シャフト21の軸方向におけるキャッチタンク部65の寸法を最大にすることができるため、動力伝達機構3のうちの各ギアによって掻き揚げられた油をより多くキャッチすることができる。そして、第1ケース部52と第2ケース部6とが対向して連結された状態において、キャッチタンク部65は、前端の対向面が全面に亘って突出部527の後端の対向面と当接するように突出部527と連続する。
【0050】
本実施形態では、キャッチタンク部65は、蓋部63からシャフト21の軸方向に沿って延在するようにキャッチタンク部収容領域612に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、蓋部63から離間して筒部61の内周壁と接続されるようにキャッチタンク部収容領域612に設けられてもよい。
【0051】
すなわち、キャッチタンク部65は、第2ケース部6の一部を構成する筒部61又は蓋部63と一体形成される。これにより、キャッチタンク部65を別途設けることなく、第2ケース部6によって構成することができるため、ケース部材4全体の構成の簡易化を図ることができるとともにキャッチタンク部65を第2ケース部6に取り付ける工程を削減することができる。本実施形態では、キャッチタンク部65は、第2ケース部6と一体形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第2ケース部6と別体形成されてもよい。
【0052】
本実施形態では、キャッチタンク部65の前端の対向面は、突出部527の後端の対向面と部分的に一致する。すなわち、キャッチタンク部65の前端の対向面は、突出部527の後端の対向面の一部分と同一形状及び同一寸法を有する。
【0053】
また、本実施形態では、キャッチタンク部65は、前端の対向面が第2突き合わせ部64の対向面と面一となるように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、前端の対向面が第2突き合わせ部64の対向面と面一とならないように設けられてもよい。この場合に、突出部527は、後端の対向面が第1突き合わせ部526の対向面と面一とならないように設けられる。
【0054】
そして、第1ケース部52と第2ケース部6とが対向して連結された状態において、キャッチタンク部65は、前端の対向面が突出部527の後端の対向面と当接するように突出部527と連続するとともに、第2突き合わせ部64は、対向面が第1突き合わせ部526の対向面と当接するように第1突き合わせ部526と連続すればよい。
【0055】
さらに、キャッチタンク部65は、シャフト21の軸方向に沿って延在するように形成される第1溝部651と、第1溝部651と並列に形成される第2溝部652と、第1溝部651と第2溝部652とを仕切る仕切壁653と、仕切壁653と対向するとともにキャッチタンク部65を囲繞する囲繞壁としての側壁654と、を有する。
【0056】
図5及び図6に示すように、第1溝部651は、正面視にて一方側(図5及び図6では、右側)が第2溝部652と接続されるとともに、正面視にて他方側(図5及び図6では、左側)が第2突き合わせ部64と接続される。仕切壁653は、第1溝部651の一方の側壁(右側壁)として構成される。一方、筒部61の内周壁は、第1溝部651の他方の側壁(左側壁)として構成される。これにより、第1溝部651の他方の側壁を別途設ける必要がなくなるため、第2ケース部6の構成の簡易化を図ることができる。
【0057】
第1溝部651は、底壁(底部)の前端が突出部527の環状部527a(トンネル部523aの後端)の底壁と第1突出部527bとを組み合わせた組み合わせ部分の後端と対応するように形成される。すなわち、第1溝部651の底壁の前端は、当該組み合わせ部分の後端と同一形状及び同一寸法を有する。そして、図7及び図8に示すように、第1ケース部52と第2ケース部6とが対向して連結された状態において、第1溝部651は、底壁の前端の対向面が全面に亘って環状部527aの底壁の後端の対向面及び第1突出部527bの後端の対向面と当接するように環状部527a及び第1突出部527bと連続する。
【0058】
これにより、キャッチタンク部65(具体的には、第1溝部651)とトンネル部523aとの間からの油のリーク量を抑制することができる。この結果、キャッチタンク部65(具体的には、第1溝部651)からトンネル部523aへの油の流れをスムーズにすることができる。
【0059】
本実施形態では、第1溝部651は、底壁の前端の対向面が環状部527aの底壁の後端の対向面及び第1突出部527bの後端の対向面と直接的に連続するように形成されている。しかしながら、第1溝部651は、これに限定されるものではなく、例えば、底壁の前端の対向面がシール材を介して、底壁の前端の対向面が環状部527aの底壁の後端の対向面及び第1突出部527bの後端の対向面と間接的に連続するように形成されてもよい。この場合に、キャッチタンク部65(具体的には、第1溝部651)とトンネル部523aとの間からの油のリーク量をより抑制することができる。この結果、キャッチタンク部65(具体的には、第1溝部651)からトンネル部523aへの油の流れをよりスムーズにすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、第1溝部651は、底壁の前端の対向面が環状部527aの底壁の後端の対向面及び第1突出部527bの後端の対向面の両方と連続するように形成されている。しかしながら、第1溝部651は、これに限定されるものではなく、例えば、底壁の前端の対向面が環状部527aの底壁の後端の対向面のみと連続するように形成されてもよい。この場合に、第1溝部651には、環状部527aの右側壁と連続するための側壁が設けられる。これにより、キャッチタンク部65(具体的には、第1溝部651)からトンネル部523aへの油の流れをスムーズにすることができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、第1溝部651は、底壁の前端の上面が環状部527aの底壁の後端の上面と面一となるように環状部527aと連続しているが、これに限定されるものではなく、例えば、底壁の前端の上面が環状部527aの底壁の後端の上面と面一とならないように環状部527aと連続してもよい。すなわち、第1溝部651の底壁の前端の上面と環状部527aの底壁の後端の上面との間には、高低差が形成される。この場合であっても、油をキャッチタンク部65からトンネル部523aに供給することができる。
【0062】
図5から図8に示すように、第2溝部652は、第1溝部651よりも動力伝達機構3側に位置するように形成される。側壁654は、第2溝部652の一方の側壁(右側壁)として構成される。仕切壁653は、第2溝部652の他方の側壁(左側壁)として構成される。このように、仕切壁653は、第1溝部651及び第2溝部652の両方の側壁として構成される。ここでは、仕切壁653の高さは、側壁654の高さよりも低い。これにより、第2溝部652内の油が溢れると、側壁654を乗り越えることなく、仕切壁653を乗り越えて第1溝部651側に流れるため、キャッチタンク部65内の油を有効に利用することができる。
【0063】
第2溝部652は、底壁及び側壁654の前端が突出部527の第2突出部527cの後端と対応するように形成される。すなわち、第2溝部652の底壁及び側壁654の前端は、第2突出部527cの後端と同一形状及び同一寸法を有する。そして、図7及び図8に示すように、第1ケース部52と第2ケース部6とが対向して連結された状態において、第2溝部652は、底壁及び側壁654の前端の対向面が全面に亘って第2突出部527cの後端の対向面と当接するように第2突出部527cと連続する。
【0064】
これにより、キャッチタンク部65の第2溝部652と第2突出部527cとの間からの油のリーク量を抑制することができる。この結果、第2溝部652からケース油路67への油の流れをスムーズにすることができる。この際に、第2溝部652は、第2突出部527cと第2突出部527cに接続される環状部527aの他方の側壁とによって取り囲まれる溝527dと連通する。
【0065】
本実施形態では、第2溝部652は、底壁及び側壁654の前端の対向面が第2突出部527cの後端の対向面と直接的に連続するように形成されている。しかしながら、第2溝部652は、これに限定されるものではなく、例えば、底壁及び側壁654の前端の対向面がシール材を介して、第2突出部527cの後端の対向面と間接的に連続するように形成されてもよい。この場合に、キャッチタンク部65の第2溝部652と第2突出部527cとの間からの油のリーク量をより抑制することができる。この結果、第2溝部652からケース油路67への油の流れをよりスムーズにすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、第2溝部652は、底壁の前端の上面が第2突出部527cの底壁の後端の上面と面一となるように第2突出部527cと連続しているが、これに限定されるものではなく、例えば、底壁の前端の上面が第2突出部527cの底壁の後端の上面と面一とならないように第2突出部527cと連続してもよい。すなわち、第2溝部652の底壁の前端の上面と第2突出部527cの底壁の後端の上面との間には、高低差が形成される。この場合であっても、キャッチタンク部65の第2溝部652と第2突出部527cとの間からの油のリーク量を抑制することができる。この結果、第2溝部652からケース油路67への油の流れをスムーズにすることができる。
【0067】
第2溝部652の後端(具体的には、第2溝部652の後端の底壁)には、ケース油路67の入口としてのケース油路入口671が形成される(図2参照)。すなわち、キャッチタンク部65の第2溝部652は、ケース油路67と連通する。これにより、油をキャッチタンク部65の第2溝部652からトンネル部523a以外にも複数箇所に供給することができる。ケース油路67は、例えば、第2溝部652と支持用ベアリングとを連通する。これにより、油をキャッチタンク部65の第2溝部652から支持用ベアリングに供給し、支持用ベアリングを油で潤滑することができる。
【0068】
ケース油路67のケース油路入口671の開口面積は、トンネル部523aの環状部527aの開口面積よりも小さい。すなわち、トンネル部523aの環状部527aの開口面積は、ケース油路67のケース油路入口671の開口面積よりも大きい。このため、より多くの油をトンネル部523a側に供給することができる。
【0069】
本実施形態では、第2溝部652は、第1溝部651よりも動力伝達機構3側に位置するように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1溝部651よりも動力伝達機構3側とは反対である外側に位置するように形成されてもよい。この場合に、第1溝部651と第2溝部652との配置関係は、本実施形態の第1溝部651と第2溝部652との配置関係と逆になる。この際に、突出部527の環状部527aと突出部527の第2突出部527cとの配置関係も、本実施形態の環状部527aと第2突出部527cとの配置関係と逆になる。
【0070】
仕切壁653は、シャフト21の軸方向に沿って延在するように形成される。仕切壁653は、一端としての前端が環状部527aの他方の側壁(図7及び図8では、左側壁)と連続するとともに、他端としての後端が蓋部63と接続される。そして、このような仕切壁653によって第1溝部651と第2溝部652とを確実に仕切ることができる。この結果、第1溝部651内の油が第2溝部652側に流れることを抑制することができるため、第1溝部651からトンネル部523aへの油の流れをスムーズにすることができる。
【0071】
上述したように、仕切壁653は、第1溝部651と第2溝部652とを仕切るため、仕切壁653は、第1溝部651と連通するトンネル部523aの環状部527aと、第2溝部652と連通するケース油路67のケース油路入口671と、を仕切ることになる。
【0072】
仕切壁653の高さは、トンネル部523aの本体の高さよりも高い。これにより、第1溝部651内の油を確実にトンネル部523aに供給することができる。
【0073】
本実施形態では、仕切壁653は、前端の対向面が環状部527aの他方の側壁における後端の対向面と直接的に連続するように形成されている。しかしながら、仕切壁653は、これに限定されるものではなく、例えば、前端の対向面がシール材を介して、環状部527aの他方の側壁における後端の対向面と間接的に連続するように形成されてもよい。この場合に、第1溝部651内の油が第2溝部652側に流れることをより抑制することができる。
【0074】
図5から図7に示すように、キャッチタンク部65には、油をキャッチタンク部65内に導くためのガイド部材としてのガイドプレート7が収容される。このように、キャッチタンク部65とは別体であるガイドプレート7を設けることで、動力伝達機構3のうちの各ギアによって掻き揚げられた油をキャッチタンク部65内に導くことができる。この結果、油の供給の効率化を向上させることができる。なお、ガイドプレート7は、ボルト締めによってキャッチタンク部65の第1溝部651の上方に位置する取付座66に取り付けられる。
【0075】
ガイドプレート7は、一体形成される。図9に示すように、ガイドプレート7は、ガイドプレート7が取付座66に取り付けられた状態においてシャフト21の軸方向に沿って延在するように設けられる第1ガイド溝部71と、第1ガイド溝部71と並列に設けられる第2ガイド溝部72と、第1ガイド溝部71と第2ガイド溝部72とを連通するための連通口73と、ボルト締めによって取付座66に取り付けられるように第2ガイド溝部72に設けられる取付部74と、を有する。
【0076】
第1ガイド溝部71は、キャッチした油を第2ガイド溝部72及びキャッチタンク部65の第2溝部652の両方に導くための溝である。図5及び図7に示すように、ガイドプレート7が取付座66に取り付けられた状態において、第1ガイド溝部71は、第2溝部652の上方に位置する。
【0077】
第1ガイド溝部71の一端としての前端には、第1ガイド溝部71の前端を封止するための第1端壁711が設けられる。第1ガイド溝部71の他端としての後端には、油を第2溝部652に導くための第1ガイド開口712が形成される。また、第1ガイド溝部71の後端と蓋部63との間には、隙間が形成される。
【0078】
このため、油を、第1ガイド溝部71の前端から第2溝部652に供給することなく、第1ガイド溝部71の前端よりもケース油路67のケース油路入口671に近接する第1ガイド溝部71の第1ガイド開口712から隙間を介して第2溝部652に供給することができる。この結果、第1ガイド溝部71からケース油路67への油の供給を効率よく行うことができる。
【0079】
第1ガイド溝部71は、前端側から後端側に向かって下るように縦方向(上下方向)に沿って傾斜することが好ましい。これにより、第1ガイド溝部71からケース油路67への油の供給をより効率よく行うことができる。
【0080】
第2ガイド溝部72は、油をキャッチタンク部65の第1溝部651に導くための溝である。図5から図7に示すように、ガイドプレート7が取付座66に取り付けられた状態において、第2ガイド溝部72は、第1溝部651の上方に位置する。
【0081】
第2ガイド溝部72の前端及び後端には、それぞれ第2ガイド溝部72の前端を封止するための第2端壁721及び第2ガイド溝部72の後端を封止するための第3端壁722が設けられる。また、第1ガイド溝部71と背向する第2ガイド溝部72の側壁の前端には、油を第1溝部651に導くための第2ガイド開口723が形成される。
【0082】
このため、油を第2ガイド溝部72の後端から第1溝部651に供給することなく、第2ガイド溝部72の後端よりもトンネル部523aの環状部527aに近接する第2ガイド溝部72の側壁の前端に形成される第2ガイド開口723から第1溝部651に供給することができる。この結果、第2ガイド溝部72からトンネル部523aへの油の供給を効率よく行うことができる。
【0083】
また、第2ガイド開口723の開口面積は、第1ガイド開口712の開口面積よりも大きい。このため、多くの油を第2溝部652よりも第1溝部651に供給することができる。
【0084】
第2ガイド溝部72は、後端側から前端側に向かって下るように縦方向(上下方向)に沿って傾斜することが好ましい。これにより、第2ガイド溝部72からトンネル部523aへの油の供給をより効率よく行うことができる。
【0085】
第1ガイド溝部71と第2ガイド溝部72との間には、第1ガイド溝部71と第2ガイド溝部72とを仕切るための仕切側壁75が形成される。そして、仕切側壁75には、第1ガイド溝部71の前端寄りに位置する連通口73が形成される。すなわち、連通口73は、第1ガイド開口712の上流側に位置するように形成される。これにより、第1ガイド溝部71内の油を第2溝部652に供給する前に第2ガイド溝部72側に供給することができる。この結果、第1ガイド溝部71内の油を素早く第1溝部651側に供給することができる。
【0086】
連通口73の開口面積は、第1ガイド開口712の開口面積よりも大きい。このため、第1ガイド溝部71内の多くの油を第2ガイド溝部72側に供給することができる。この結果、多くの油を第2溝部652よりも第1溝部651に供給することができる。
【0087】
取付部74には、ボルト締め用の取付孔741が形成される。
【0088】
本実施形態のようなガイドプレート7を設けることで、第2溝部652よりも油をキャッチしにくい第1溝部651にも油を導くことができるため、第1溝部651からトンネル部523aへの油の流れをよりスムーズにすることができる。
【0089】
本実施形態では、キャッチタンク部65は、キャッチタンク部65とは別体であるガイドプレート7と組み合わせとして設けられている。しかしながら、キャッチタンク部65は、これに限定されるものではなく、例えば、ガイドプレート7が設けられず、単体として設けられてもよい。この場合に、ケース部材4を構成する部品の点数を削減することができる。
【0090】
(作用効果)
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0091】
(1)本実施形態に係るケース部材4(部品)は、軸方向側に向かって開口する環状部527a(開口端)を有するトンネル部523aが形成される第1ケース部52と、上方側に向かって開口するキャッチタンク部65を有する第2ケース部6と、を有し、トンネル部523aの底壁(底部)とキャッチタンク部65の底壁(底部)とが連結するように、第1ケース部52と第2ケース部6とが対向して配置されている。
【0092】
この構成によれば、キャッチタンク部65とトンネル部523aとの間からの油のリーク量を抑制することができる。この結果、キャッチタンク部65からトンネル部523aへの油の流れをスムーズにすることができる。
【0093】
(2)第1ケース部52は、冷媒回路53(冷媒キャビティ)の外周壁として構成されている。
【0094】
この構成によれば、第1ケース部52に設けられるトンネル部523aを流通する油を、第1ケース部52の外筒521の内周側に形成される冷媒回路53で効率よく冷却することができる。
【0095】
(3)キャッチタンク部65は、第2ケース部6に設けられたケース油路67と連通する。
【0096】
この構成によれば、油をキャッチタンク部65からトンネル部523a以外にも複数箇所に供給することができる。
【0097】
(4)ケース油路のケース油路入口671(入口)の開口面積は、トンネル部523aの環状部527a(開口端)の開口面積よりも小さい。
【0098】
この構成によれば、より多くの油をトンネル部523a側に供給することができる。特に、トンネル部523aが第1ケース部52の外筒521に設けられ、かつ、外筒521が冷媒回路53の外周壁として構成される場合に、冷却しやすい箇所に供給することができる。この結果、油の冷却効率を向上させることができる。
【0099】
(5)キャッチタンク部65には、ケース油路67のケース油路入口671(入口)とトンネル部523aの環状部527a(開口端)とを仕切る仕切壁653が設けられており、仕切壁653の高さは、キャッチタンク部65を囲繞する側壁654(囲繞壁)の高さよりも低い。
【0100】
この構成によれば、ケース油路入口671(入口)と連通するキャッチタンク部65の第2溝部652内の油が溢れると、側壁654を乗り越えることなく、仕切壁653を乗り越えてトンネル部523aの環状部527a(開口端)と連通するキャッチタンク部65の第1溝部651側に流れるため、キャッチタンク部65内の油を有効に利用することができる。
【0101】
(6)キャッチタンク部65は、仕切壁653によって、トンネル部523aの環状部527a(開口端)と連通する第1溝部651と、ケース油路67のケース油路入口671(入口)と連通する第2溝部652とに仕切られ、第1ケース部52には、キャッチタンク部65の第2溝部652と対向する第2突出部527c(対向部)が設けられ、第2溝部652の前端(一端)と第2突出部527c(対向部)とは連結する。
【0102】
この構成によれば、キャッチタンク部65の第2溝部652と第2突出部527cとの間からの油のリーク量を抑制することができる。この結果、第2溝部652からケース油路67への油の流れをスムーズにすることができる。
【0103】
(7)キャッチタンク部65内に収容され、キャッチタンク部65内に油を導くガイドプレート7(ガイド部材)を有する。
【0104】
この構成によれば、キャッチタンク部65とは別体であるガイドプレート7を設けることで、動力伝達機構3のうちの各ギアによって掻き揚げられた油をキャッチタンク部65内に導くことができる。この結果、油の供給の効率化を向上させることができる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0106】
1 動力伝達装置
2 モータ
3 ギアボックス
4 ケース部材(部品)
5 モータケース
6 第2ケース部(第2ケース部)
7 ガイドプレート(ガイド部材)
51 第3ケース部
52 第1ケース部
53 冷媒回路(キャビティ)
65 キャッチタンク部
67 ケース油路
511 内筒
521 外筒
523a トンネル部
527a 環状部(開口端)
527c 第2突出部(対向部)
651 第1溝部
652 第2溝部
653 仕切壁
654 側壁
671 ケース油路入口(入口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9