(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】リボンアーチワイヤに適合する歯列矯正用自己結紮システム
(51)【国際特許分類】
A61C 7/34 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A61C7/34
(21)【出願番号】P 2023528079
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2021129410
(87)【国際公開番号】W WO2022096010
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-06
(31)【優先権主張番号】202011242231.5
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523167459
【氏名又は名称】梁甲興
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】梁甲興
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522394(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135787(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109549721(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104958114(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボンアーチワイヤ及びリボンアーチワイヤに適合するブラケットを含むリボンアーチ
ワイヤに適合する歯列矯正用自己結紮システムであって、
前記ブラケットにはリボンアーチワイヤに適合するアーチワイヤスロットが横方向に設
けられ、前記アーチワイヤスロットの上部に外形が丸い上部シングルウィングが設けられ
、前記アーチワイヤスロットの下部に下部シングルウィング構造が設けられ、前記下部シ
ングルウィング構造にリボンアーチワイヤを閉鎖するためのスライドカバーが取り付けら
れ、前記スライドカバーの左右両側部は下部シングルウィング構造に摺動嵌合し、前記下
部シングルウィング構造にはストレート弾性ワイヤを水平に取り付けるための固定台が設
けられ、前記固定台におけるストレート弾性ワイヤは少なくとも一端部が曲がって変形で
き、前記スライドカバーの底部に固定台回避キャビティが設けられ、前記固定台回避キャ
ビティの少なくとも一方側に脱落防止フック及び制限凸リブが設けられ、スライドカバー
を蓋合すると、前記下部シングルウィング構造及びスライドカバーのテールは外形が丸い
下部シングルウィングを共同で形成
し、
前記上部シングルウィングの下部シングルウィング構造に近い一方側の中央部にはスラ
イドカバーを開くための操作溝が設けられ、
前記下部シングルウィング構造にはスライドカバーを取り付けるための挿入溝が設けら
れ、前記挿入溝の両側にガイドレールが設けられ、前記スライドカバーの左右両側部に案
内溝が対応して設けられ、前記ガイドレールは案内溝と嵌合し、それによりスライドカバ
ーは下部シングルウィング構造にスライドし、
前記固定台は係止溝付きの挟持台であり、前記ストレート弾性ワイヤは挟持台の係止溝
内に水平に取り付けられ、
前記挟持台はフロント挟持アーム及びリア挟持アームを含み、前記フロント挟持アーム
の横方向幅はリア挟持アームの横方向幅未満であり、それによって、スライドカバーを押
し込むときに、ストレート弾性ワイヤがスライドカバーの押し込み方向に曲がって変形す
ることにより変形空間を提供し、
前記脱落防止フックの先端に導入斜面が設けられ、スライドカバーを初期に押し込むと
きに、導入斜面はストレート弾性ワイヤの対応する端部をスライドカバーの押し込み方向
に曲げて変形させ、
前記制限凸リブの前後端部にフロント押圧斜面及びリア押圧斜面がそれぞれ設けられ、
それによって、スライドカバーの押し込みに伴ってストレート弾性ワイヤの対応する端部
を下向きに曲げて変形させ、
前記下部シングルウィング構造に回避ザグリ溝がさらに設けられ、それによって、スラ
イドカバーの押し込みに伴って、ストレート弾性ワイヤの端部のために、下向きに曲がる
空間を提供し、
前記上部シングルウィングの上部両側は円弧状であり、前記下部シングルウィング構造
の下部両側も円弧状であり、前記上部シングルウィング及び/又はスライドカバーに位置
決め中線が設けられ、前記上部シングルウィングに位置決め標識がさらに設けられ、前記
ブラケットの底板の周部は円弧状であり、前記アーチワイヤスロットの左右両側のノッチ
エッジに円弧状の面取りが設けられ、
前記アーチワイヤスロットの中間に凹溝が設けられる、
ことを特徴とするリボンアーチワイヤに適合する歯列矯正用自己結紮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯科矯正の医療技術分野に関し、具体的にリボンアーチワイヤに適合する歯列
矯正用自己結紮システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラケットは歯科矯正の重要な部材であり、従来の歯列矯正の治療過程で、歯列矯正医
師はブラケットを患者の歯に接着し、アーチワイヤをブラケットのアーチワイヤスロット
に配置し、アーチワイヤは歯に作用力を印加して歯を正確な位置に移動させる。
【0003】
従来のブラケットはアーチワイヤに対して具体的な制限がなく、アーチワイヤをブラケ
ットに保持するために、リガチャー等の補助ツールを使用してブラケットのタイウィング
を縛ることしかできない。ブラケットの体積が小さいため、歯列矯正医師がリガチャーを
応用することは困難であり、リガチャーの結紮過程は時間と労力がかかるだけでなく、医
師の熟練度に非常に依存する。この問題を解決するために、近年、当分野の発明者は様々
な自己結紮型ブラケットを設計し、カバー本体をスライドさせることによってアーチワイ
ヤをブラケットのアーチワイヤスロットに保持することができ、それによりリガチャーの
使用を回避する。
【0004】
しかしながら、従来のほとんどの自己結紮型ブラケットのカバー本体自己結紮構造は複
雑に設計され、特に様々な複雑な弾性部材の設計に現れている。ブラケット構造自体が小
さいため、複雑すぎる自己結紮構造及びその弾性部材により、製造時の困難性を増大させ
るだけでなく、それと同時に製品の不良率を増加させ、製造精度を達成することができな
いだけでなく、ブラケットのカバー本体の自己結紮が無効になり、ひいては脱落すること
も起こりやすい。そして、自己結紮型ブラケットについては、従来の4つの突起タイウィ
ングが存在するため、必然的にブラケット本体の周囲に突出した尖鋭部が形成し、使用者
の口腔不快感をもたらしやすく、使用快適性が悪い。そして、食物の衝撃に耐える面で、
従来の自己結紮型ブラケットの尖鋭な外形が食物の衝撃力を高め、その突起タイウィング
が食物の衝撃を受けてウィングの破断を引き起こしやすいだけでなく、歯が衝撃を受けて
摩損して損傷しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑み、本発明はリボンアーチワイヤに適合する歯列矯正用自己結紮システム
を提供し、本発明はブラケットとスライドカバーとの間の自己結紮構造を革新的に設計す
ることによって、自己結紮構造及びその弾性部材を簡略化させ、製造困難性及び製造コス
トを低減させ、自己結紮型ブラケットの安定性及び信頼性を向上させ、また、本発明のブ
ラケットは上下部シングルウィング構造を用いることで、ブラケット全体の外形をより丸
くし、外形が美しく、使用が快適であり、食物によるブラケット及び歯に対する衝撃を少
なくすることができるだけでなく、ウィングの破断を回避し、歯の摩損を減少させること
ができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的解決手段は以下のとおりである。リボンアーチワイヤに適合する歯列矯
正用自己結紮システムであって、リボンアーチワイヤ及びリボンアーチワイヤに適合する
ブラケットを含み、前記ブラケットにはリボンアーチワイヤに適合するアーチワイヤスロ
ットが横方向に設けられ、前記アーチワイヤスロットの上部に外形が丸い上部シングルウ
ィングが設けられ、前記アーチワイヤスロットの下部に下部シングルウィング構造が設け
られ、前記下部シングルウィング構造にリボンアーチワイヤを閉鎖するためのスライドカ
バーが取り付けられ、前記スライドカバーの左右両側部は下部シングルウィング構造に摺
動嵌合し、前記下部シングルウィング構造にはストレート弾性ワイヤを水平に取り付ける
ための固定台が設けられ、前記固定台におけるストレート弾性ワイヤは少なくとも一端部
が曲がって変形でき、前記スライドカバーの底部に固定台回避キャビティが設けられ、前
記固定台回避キャビティの少なくとも一方側に脱落防止フック及び制限凸リブが設けられ
、スライドカバーを蓋合すると、前記下部シングルウィング構造及びスライドカバーのテ
ールは外形が丸い下部シングルウィングを共同で形成する。
【0007】
好ましくは、前記上部シングルウィングの下部シングルウィング構造に近い一方側の中
央部にはスライドカバーを開くための操作溝が設けられる。
【0008】
好ましくは、前記下部シングルウィング構造にはスライドカバーを取り付けるための挿
入溝が設けられ、前記挿入溝の両側に案内溝が設けられ、前記スライドカバーの左右両側
部にガイドレールが対応して設けられ、前記案内溝はガイドレールと嵌合し、それにより
スライドカバーは下部シングルウィング構造にスライドすることができる。
【0009】
好ましくは、前記下部シングルウィング構造にはスライドカバーを取り付けるための挿
入溝が設けられ、前記挿入溝の両側にガイドレールが設けられ、前記スライドカバーの左
右両側部に案内溝が対応して設けられ、前記ガイドレールは案内溝と嵌合し、それにより
スライドカバーは下部シングルウィング構造にスライドすることができる。
【0010】
好ましくは、前記固定台は、前記下部シングルウィング構造におけるスライドカバーを
取り付けるための挿入溝プラットフォームに設けられ、前記固定台は係止溝付きの挟持台
であり、前記ストレート弾性ワイヤは挟持台の係止溝内に水平に取り付けられる。
【0011】
好ましくは、前記挟持台はフロント挟持アーム及びリア挟持アームを含み、前記フロン
ト挟持アームの横方向幅はリア挟持アームの横方向幅未満であり、それによって、スライ
ドカバーを押し込むときに、ストレート弾性ワイヤがスライドカバーの押し込み方向に曲
がって変形することに変形空間を提供することができる。
【0012】
好ましくは、前記脱落防止フックの先端に導入斜面が設けられ、スライドカバーを初期
に押し込むときに、導入斜面はストレート弾性ワイヤの対応する端部をスライドカバーの
押し込み方向に曲げて変形させることができる。
【0013】
好ましくは、前記制限凸リブの前後端部にフロント押圧斜面及びリア押圧斜面がそれぞ
れ設けられ、それによって、スライドカバーの押し込みに伴ってストレート弾性ワイヤの
対応する端部を下向きに曲げて変形させることができる。
【0014】
好ましくは、前記下部シングルウィング構造に回避ザグリ溝がさらに設けられ、それに
よって、スライドカバーの押し込みに伴って、ストレート弾性ワイヤの端部のために、下
向きに曲がる空間を提供することができる。
【0015】
好ましくは、前記上部シングルウィングの上部両側は円弧状であり、前記下部シングル
ウィング構造の下部両側も円弧状であり、前記上部シングルウィング及び/又はスライド
カバーに位置決め中線が設けられ、前記上部シングルウィングに位置決め標識がさらに設
けられ、前記ブラケットの底板の周部は円弧状であり、前記アーチワイヤスロットの左右
両側のノッチエッジに円弧状の面取りが設けられる。
【0016】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明はブラケットとスライドカバーとの
間の自己結紮構造を革新的に設計することによって、自己結紮構造及びその弾性部材を簡
略化させ、製造困難性及び製造コストを低減させ、自己結紮型ブラケットの安定性及び信
頼性を向上させ、スライドカバーの開閉過程で制限の手触り及び所定のレンジに到達する
際の音声を有する。また、4つの突起ウィングを有する従来のブラケットに比べて、本発
明が用いる上下部シングルウィング構造のブラケットは、その外形がより丸く、美しく、
従来の自己結紮型ブラケットの4つの突起ウィングに形成された尖鋭部を除去し、外形が
より丸く、美しく、使用がより快適であるだけでなく、食物によるブラケット本体及び歯
に対する衝撃を少なくすることに有利であり、突起ウィングが衝撃されてウィングの破断
の状況が発生することを回避し、食物の衝撃による歯の摩損を減少させることができ、歯
の健康保護に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は実施例1におけるリボンアーチワイヤに適合する歯列矯正用自己結紮システムの立体構造模式図である。
【
図2】
図2は実施例1におけるブラケット及びスライドカバーの開状態の立体構造模式図である。
【
図3】
図3は実施例1における片側ロック付きのブラケットの立体構造模式図である。
【
図4】
図4は実施例1におけるストレート弾性ワイヤの立体構造模式図である。
【
図5】
図5は実施例1における片側ロック付きのスライドカバーの立体構造模式図である。
【
図6】
図6は実施例1におけるスライドカバーをブラケットに装着する過程の模式図である。
【
図7】
図7は実施例1におけるスライドカバーが第1レンジ箇所にスライドする過程の模式図である。
【
図8】
図8は実施例1におけるスライドカバーが第2レンジ箇所にスライドする過程の模式図である。
【
図9】
図9は実施例2における片側ロック付きのブラケットの立体構造模式図である。
【
図10】
図10は実施例2における片側ロック付きのスライドカバーの立体構造模式図である。 符号の説明 1-ブラケット 1.1-上部シングルウィング 1.2-下部シングルウィング構造 1.3-操作溝 1.4-位置決め標識 1.5-位置決め中線 1.6-凹溝 1.7-円弧状の面取り 2-スライドカバー 2.1-テール 3-アーチワイヤスロット 3.1-リボンアーチワイヤ 4-ストレート弾性ワイヤ 5-固定台 5.1-係止溝 5.2-フロント挟持アーム 5.3-リア挟持アーム 6-固定台回避キャビティ 7-脱落防止フック 7.1-導入斜面 8-制限凸リブ 8.1-フロント押圧斜面 8.2-リア押圧斜面 9-案内溝 10-ガイドレール 11-第1レンジ箇所 12-第2レンジ箇所 13-底板 14-回避ザグリ溝。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例の技術的解決手段を明確で、
完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全
部の実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに
取得するすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0019】
なお、コンポーネントが別のコンポーネントに「接続」されると記載される場合、それ
は別のコンポーネントと直接接続されてもよく、媒体コンポーネントが存在してもよい。
1つのコンポーネントが別のコンポーネントに「設けられる」と記載される場合、それは
別のコンポーネントに直接設けられてもよく、媒体コンポーネントが同時に存在する可能
性がある。
【0020】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は当業者が
一般に理解する意味と同じである。本発明の明細書で使用される用語は具体的な実施例を
説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。本明細書で使用される用
語「及び/又は」は1つ又は複数の関連する挙げられるアイテムのいずれか及びすべての
組み合わせを含む。
【0021】
実施例1
【0022】
図1~
図8を参照し、本発明のリボンアーチワイヤに適合する歯列矯正用自己結紮シス
テムはリボンアーチワイヤ及びリボンアーチワイヤに適合するブラケットを含み、前記ブ
ラケット1にはリボンアーチワイヤに適合するアーチワイヤスロット3が横方向に設けら
れ、前記アーチワイヤスロット3の上部に外形が丸い上部シングルウィング1.1が設け
られ、前記アーチワイヤスロット3の下部に下部シングルウィング構造1.2が設けられ
、前記下部シングルウィング構造1.2にリボンアーチワイヤを閉鎖するためのスライド
カバー2が取り付けられ、前記スライドカバー2の左右両側部は下部シングルウィング構
造1.2に摺動嵌合し、前記下部シングルウィング構造1.2にはストレート弾性ワイヤ
4を水平に取り付けるための固定台5が設けられ、前記ストレート弾性ワイヤ4はリボン
アーチワイヤスロットと平行する方向に固定台5に水平に取り付けられ、前記ストレート
弾性ワイヤ4は弾性ストレートロッドであり、前記棒状のストレート弾性ワイヤ4の左端
部は曲がって変形でき、即ち、ストレート弾性ワイヤ4の左端部は片持ち端部であり、該
片持ち端部はスライドカバーの押し込み方向に曲がって変形でき、下向きに曲がって変形
でき、前記スライドカバー2の底部には移動時に固定台5を回避するための固定台回避キ
ャビティ6が設けられ、前記固定台回避キャビティ6の一方側に脱落防止フック7及び制
限凸リブ8が設けられる。前記スライドカバーのテール2.1は丸いテールであり、即ち
、そのテールの左右両側に2つの突起部がなく、スライドカバー2を蓋合すると、前記下
部シングルウィング構造1.2及びスライドカバー2のテールは外形が丸い下部シングル
ウィングを共同で形成する。
【0023】
前記上部シングルウィング1.1の下部シングルウィング構造に近い一方側の中央部に
はスライドカバー2を開くための操作溝1.3が設けられる。前記上部シングルウィング
1.1の上部両側は円弧状であり、前記下部シングルウィング構造1.2の下部両側も円
弧状である。前記上部シングルウィング1.1及び/又はスライドカバー2に位置決め中
線1.5が設けられる。前記上部シングルウィング1.1に位置決め標識1.4がさらに
設けられる。前記ブラケット1の底板13の周部は円弧状である。前記リボンアーチワイ
ヤスロット3の中間に凹溝1.6が設けられ、アーチワイヤスロット3とリボンアーチと
の接触面を小さくし、摩擦を減少させることに用いられ、前記リボンアーチワイヤスロッ
ト3の左右両側のノッチエッジに円弧状の面取り1.7が設けられ、それによってリボン
アーチワイヤ3.1を導入する。
【0024】
図3~
図5を参照し、前記下部シングルウィング構造1.2に案内溝9が設けられ、前
記スライドカバー2の左右両側部にガイドレール10が対応して設けられ、前記案内溝9
はガイドレール10と嵌合し、それによりスライドカバー2は下部シングルウィング構造
1.2においてアーチワイヤスロットと垂直な方向にスライドすることができる。別の実
施例では、前記下部シングルウィング構造1.2にガイドレールが設けられ、前記スライ
ドカバーの左右両側部に案内溝が対応して設けられ、前記ガイドレールは案内溝と嵌合し
、それによりスライドカバーは下部シングルウィング構造1.2においてアーチワイヤス
ロットと垂直な方向にスライドすることができる。
【0025】
図3~
図5を参照し、前記固定台5は水平係止溝5.1付きの挟持台であり、前記スト
レート弾性ワイヤ4はリボンアーチワイヤと平行する方向に係止溝内に水平に装着され、
このときに、ストレート弾性ワイヤ4とアーチワイヤスロットは相互に平行する。具体的
には、前記ストレート弾性ワイヤ4の中央部は挟持台により固定され、その少なくとも一
端部は片持ち端部である。前記挟持台はフロント挟持アーム5.2及びリア挟持アーム5
.3を含み、前記フロント挟持アーム5.2の幅はリア挟持アーム5.3の幅未満であり
、それによって、スライドカバー2を押し込むときに、ストレート弾性ワイヤ4がスライ
ドカバー2の押し込み方向に曲がって変形することに変形空間を提供することができ、そ
れと同時にリア挟持アーム5.3は脱落防止フック7と相互に作用することができ、スラ
イドカバー2の脱落を防止する役割を果たす。
【0026】
図3~
図5を参照し、前記脱落防止フック7の先端に導入斜面7.1が設けられ、スラ
イドカバー2を初期に押し込むときに、導入斜面7.1はストレート弾性ワイヤ4の片持
ち端部をスライドカバーの押し込み方向に曲げて変形させることができ、スライドカバー
を引き続き押し込むときに、ストレート弾性ワイヤの片持ち端部は脱落防止フック7と制
限凸リブ8の先端との間の第1レンジ箇所11に入ることができる。
【0027】
図3~
図5を参照し、前記制限凸リブ8の前後端部にフロント押圧斜面8.1及びリア
押圧斜面8.2がそれぞれ設けられ、スライドカバー2を第1レンジ11から引き続き押
し込むときに、フロント押圧斜面8.1はストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部を下向き
に曲げて変形させることができ、スライドカバー2を完全に押し込むまで、ストレート弾
性ワイヤ4の対応する端部は上向きに復帰し、このときに、第2レンジ箇所12に到達し
、即ち、スライドカバー2は閉状態にあり、アーチワイヤはアーチワイヤスロット3内に
閉鎖され、スライドカバー2を押し出すときに、リア押圧斜面8.2はストレート弾性ワ
イヤ4の片持ち端部を下向きに曲げて変形させることができ、スライドカバー2を第1レ
ンジ11に押し出すまで、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部は上向きに復帰し、この
ときに、第1レンジ箇所11に到達し、即ち、スライドカバー2は開状態にあり、即ち、
アーチワイヤスロット3は開状態にあり、アーチワイヤを入れる又は取り出すことができ
る。
【0028】
図3~
図5を参照し、前記下部シングルウィング構造1.2に回避ザグリ溝14がさら
に設けられ、スライドカバー2が第1レンジ11と第2レンジ12の切り替え状態にある
ときに、ストレート弾性ワイヤの片持ち端部のために下向きに曲がる空間を提供すること
ができる。
【0029】
図6~
図8を参照し、本発明の作動過程は以下を含む。
【0030】
一、スライドカバーの装着過程
【0031】
下部シングルウィング構造1.2の案内溝9に沿ってスライドカバー2の左右両側のガ
イドレール10を押し込み、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部はスライドカバー2の
先端の導入斜面7.1により押圧されて前向きに曲がって変形し、スライドカバー2を引
き続き押し込み、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部は脱落防止フック7を越え、第1
レンジ箇所11に入り、スライドカバー2は下部シングルウィング構造1.2に装着され
、そして、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部が脱落防止フック7及び固定台5のフロ
ント挟持アーム5.2により前後に挟持されるため、スライドカバー2は下部シングルウ
ィング構造1.2から脱落しない。
【0032】
二、スライドカバーの閉め過程
【0033】
スライドカバー2を引き続き押し込み、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部は制限凸
リブ8のフロント押圧斜面8.1により押圧され、下向きに曲がって変形し、その末端は
回避ザグリ溝14に圧入され、このときに、スライドカバー2を引き続き押し込み、スト
レート弾性ワイヤ4の片持ち端部は完全に制限凸リブ8を越えて第2レンジ12に到達す
るときに、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部はストレート状態に復帰し、且つスライ
ドカバー2はブラケット1上のアーチワイヤスロット3を完全に被覆し、スライドカバー
2の閉め及びロックを実現する。
【0034】
三、スライドカバーの開き過程
【0035】
スライドカバー2を外向きに押し出し、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部は制限凸
リブ8のリア押圧斜面8.2により押圧され、下向きに曲がって変形し、その末端は回避
ザグリ溝14に圧入され、このときに、スライドカバー2を引き続き押し出し、ストレー
ト弾性ワイヤ4の片持ち端部は完全に制限凸リブ8を越えて第1レンジ11に到達すると
きに、ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部はストレート状態に復帰し、このときに、ス
ライドカバー2は開く。ストレート弾性ワイヤ4の片持ち端部が脱落防止フック7及び固
定台5のフロント挟持アーム5.2により前後に挟持されるため、スライドカバー2は下
部シングルウィング構造1.2から脱落しない。
【0036】
実施例2
【0037】
図9及び
図10を参照し、実施例1を基に、固定台5を変更し、リア挟持アーム5.3
の長さを短くし、水平係止溝5.1の両端に回避ザグリ溝14をそれぞれ設け、固定台5
に取り付けられるストレート弾性ワイヤ4の左右両端部をいずれも曲げて変形させること
ができ、即ち、ストレート弾性ワイヤ4の両端はいずれも片持ち端部であり、それと同時
に、スライドカバー2を変更し、前記スライドカバー2の固定台回避キャビティ6内の左
右両側に脱落防止フック7及び制限凸リブ8がそれぞれ対応して設けられ、ブラケット1
を変更し、固定台5の左右両側の下部シングルウィング構造1.2に回避ザグリ溝14を
それぞれ設け、スライドカバー2が第1レンジ11と第2レンジ12の切り替え状態にあ
るときに、ストレート弾性ワイヤの片持ち端部のために下向きに曲がる空間を提供するこ
とができる。
【0038】
実施例3
【0039】
実施例1又は2を基に、固定台5におけるストレート弾性ワイヤ4の取り付け高さを変
更し、ストレート弾性ワイヤ4の取り付け高さが高い場合、即ち、ストレート弾性ワイヤ
の片持ち端部が下向きに曲がる空間が十分である場合、回避ザグリ溝14を設けなくても
よい。
【0040】
上記の実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするため
に、上記実施例の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせを説明していないが、これら
の技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲に属すると考えられ
るべきである。異なる実施例の技術的特徴が同一の図面に現れる場合、該図面はかかわる
各実施例の組み合わせ例も同時に開示すると考えられる。