(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】同時並行センシング分散型光ファイバセンサ配置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/353 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G01D5/353 B
(21)【出願番号】P 2023538930
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 US2022013414
(87)【国際公開番号】W WO2022159770
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-23
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ジ、 フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ティン
(72)【発明者】
【氏名】イェ、 ジロン
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-506960(JP,A)
【文献】特開2013-3876(JP,A)
【文献】特開2017-98593(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0051090(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0365941(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0340801(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/353
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)センシングネットワークにおけるセンサ配置、センシング経路割り当て、およびセンシング範囲を決定する方法であって、前記方法は、
【数1】
は同時並行センシング能力を有するDFOSセンサを装備することができるエンドノードの集合であり、
【数2】
は前記エンドノード
【数3】
を接続する光ファイバリンクの集合であるセンシングインフラネットワーク
【数4】
の各エンドノードnについて、
同時並行センシング能力を有するDFOSセンサが配備されている場合、ノードnについてのあらゆるセンシング経路を決定する深さ限定経路手順を実行することと、
前記決定されたあらゆるセンシング経路から、DFOS動作中に感知された前記センシングインフラネットワーク
【数5】
のすべてのリンクを有する部分集合を決定する貪欲な集合カバー手順を実行することとを含む方法。
【請求項2】
前記決定されたあらゆるセンシング経路は、前記DFOS動作中に感知されるセンシング経路の最小集合である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センシング経路の部分集合内の各センシング経路はループを含まず、前記経路の距離がセンサのセンシング範囲限界よりも小さい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
与えられたネットワークノードに対して、スター型トポロジを有するすべての経路が考慮される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
決定されたセンシング経路の両端にセンサを配置する請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、分散型光ファイバセンシング(DFOS)に関する。特に、同時並行センシングを採用するDFOS設備における分散型光ファイバセンサの配置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当業者には理解されるように、(DFOS)システムおよび技術は最近進歩しており、これによりネットワークインフラは、センサとしてのインフラ(laaSr)またはセンサとしてのネットワーク(Naasr)の新しい時代へと進化することができた。これらのlaaSr/NaaSrインフラは、通信サービスだけでなく、道路や交通状況の監視、公共施設のインフラ監視など、追加のセンシング機能、アプリケーション、サービスも提供する。この重要性を考えると、このようなlaaSr/NaaSrアプリケーションを容易にするDFOSシステムおよび技術の改良は、当技術分野にとって歓迎すべきことであると言える。
【発明の概要】
【0003】
同時並行センシングを有利に採用するDFOSシステム、方法、および構造のためのセンサの配置方法に向けられた本開示の態様によれば、当該技術における進歩がなされる。
【0004】
先行技術とは対照的に、我々の発明した方法は、Explore-and-Pick(EnP)アルゴリズムに基づく発見的な方法であり、我々は修正EnP(mEnP)法と呼んでいるが、2つの手順を含む。mEnP法の第1の手順は、与えられたネットワーク内の各ノードについて、可能なすべてのセンシングファイバ経路(線形経路とスター型経路との両方)を探索する。第2の手順は、与えられたネットワーク内のすべてのリンクを完全にカバーするためのDFOS割り当ての最小集合を選択するために、最小集合カバーの修正された貪欲アルゴリズムを適用する。
【0005】
mEnPは、各ノードに対して可能なすべての線形経路を網羅するだけでなく、可能なすべてのスター型センシングファイバ経路を生成する点で、第1の手順で基本的な先行技術のEnPアルゴリズムと区別される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のより完全な理解は、その中の添付図面を参照することによって実現され得る。
【0007】
【
図1(A)】同時並行センシングなしのDFOSの例示を示す模式図である。
【
図1(B)】本開示の態様による同時並行コンカレントセンシングありのDFOSの例示を示す模式図である。
【0008】
【
図2】本開示の態様による全体的な動作を示すフロー図である。
【0009】
【
図3】本開示の態様による動作の第1の手順を示すフロー図である。
【0010】
【
図4】本開示の態様による動作の第2の手順を示すフロー図である。
【0011】
【
図5】本開示の態様による光ファイバセンシングネットワークにおけるDFOS配置手順の適用を示す概略図である。
【0012】
例示的な実施形態は、図および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で具体化され得、図面および詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、単に本開示の原理を説明するものである。したがって、当業者は、本明細書で明示的に説明または示されていないものの、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲に含まれる様々な配置を考案することができることが理解されよう。
【0014】
さらに、本明細書で援用されるすべての例および条件付き言語は、本開示の原理および本技術を促進するために発明者によって貢献された概念を理解する際に読者を支援するための教育的目的のためだけのものであり、かかる具体的に援用された例および条件に限定されないものとして解釈されることが意図される。
【0015】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにその具体例を説明する本明細書のすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することが意図される。さらに、このような同等物には、現在知られている同等物と、将来開発される同等物の両方が含まれることが意図されている。つまり、構造に関係なく、同じ機能を果たす要素が開発されれば、その要素はすべて含まれる。
【0016】
したがって、例えば、本明細書における任意のブロック図は、本開示の原理を具現化する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者には理解されよう。
【0017】
本明細書で明示的に指定されない限り、図面を構成する図は縮尺通りに描かれていない。
【0018】
近年、分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムは、インフラ監視、侵入検知、地震検知など、多くのアプリケーションで広く受け入れられているが、これらに限定されないことを、ここで改めて説明したい。
【0019】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)技術は、過去数年間に急速に進歩し、これによりネットワークインフラは、センサとしてのインフラ(laaSr)またはセンサとしてのネットワーク(NaaSr)の動作という新しい時代へと進化することができた。laaSr/NaaSrインフラは、通信サービスだけでなく、道路/高速道路の状況や交通の監視、公共施設や他のインフラの監視など、追加のセンシングアプリケーションやサービスも提供することができる。
【0020】
当業者であれば、過去において、DFOSセンシング技術は、単一方向の単一チャネルに対するセンシングサービスを提供してきたことを理解し、認めるであろう。しかし、より最近のDFOS技術では、異なる方向の複数のチャネルを同時にセンシングできることが示されている。これらのDFOS同時並行センシング技術は、同時並行センシングなしで動作する既存のDFOS技術と比較して、DFOSセンサの配置の柔軟性を高め、ネットワークインフラ全体をフルカバーすることができるようにセンサのコストを低減することができる。
【0021】
同時並行センシングによるDFOSのいくつかの利点は、例示を示す模式図である
図1(A)および
図1(B)に示されている。
図1(A)は、同時並行センシングなしのDFOSであり、
図1(B)は、本開示の態様による、同時並行センシングありのDFOSである。
【0022】
図に示す例では、DFOSセンサのセンシング範囲限界は80km(これは既存の記録)であり、各ネットワークリンクは25kmである。すべてのネットワークリンクをセンシングサービスで完全にカバーするために、同時並行センシングなしのDFOS(
図1(A))は、少なくとも2つのDFOSセンサ(1つはノードAで、もう1つはノードBで)を使用する。ノードAを起点とするセンシングファイバ経路がまだ30kmのセンシングリソースを持っていても(例えば、センシングファイバ経路A-B-Cは50km)、ノードBに2番目のDFOSセンサを配置してリンクB-Cをセンシングする必要がある。それは、同時並行センシングなしの従来のDFOSでは、単一チャネルおよび単一方向でのみセンシングが実行できるからである。
【0023】
比較として、
図1(B)において、図示されたDFOS同時並行センシング技術は、DFOS同時並行センシングが、総センシング距離(例えば、B-A、B-C、B-Dの合計距離が75km)がセンシング範囲限界(80km)よりも小さい(小さい)限り、複数のチャネルおよび複数の方向でセンシングを実行することができるため、例えば、ノードBで1つのセンサのみを使用する、より小さいセンサ費用を必要とする配置に至る。
【0024】
この理解により、本開示の態様によれば、同時並行センシング能力を有するDFOSセンサを効率的に配備する方法を記述することに留意する。本発明の方法をさらに理解するために、ネットワークインフラ
【数1】
が与えられている。ここで、
【数2】
はDFOSセンサを搭載可能なエンドノードの集合、
【数3】
はそれらのエンドノードを接続する光ファイバリンクの集合である。
【数4】
の光ファイバリンクをすべてカバーしつつ、最小限の数のセンサを消費することを目的に、(1)センサをどこに配置するか、(2)各センサのセンシングチャネルの経路をどのように決めるか、(3)各センシングチャネルのセンシング範囲をどのように決めるかを検討する問題である。ここで、各DFOSセンサは、総センシング距離がセンシング範囲限界R(例えば、80km)内にある場合、複数の方向で複数のチャネルを同時にセンシングできることに留意されたい。したがって、センシングファイバの経路は、線形経路またはスター型経路(例えば、
図1(B)に示すもの)のいずれかの態様とすることができ、より柔軟で、使用するセンサの数の点で、より小さなコストを導入することができる。
【0025】
このように、同時並行センシング機能を持つDFOSセンサを効率的に配置する問題に対する先行技術的な解決策は、今のところ知られていない。本開示では、この問題を解決するための新しい手順を提供する。これから示すように、本発明の手順は、センサを配置する場所、およびセンシングチャネルの任意のルーティングとセンシング範囲(線形経路形式またはDFOS同時並行センシングの使用によるスター型経路形式のいずれか)を決定し、ネットワークインフラ内のすべての光ファイバリンクを完全にカバーし、同時に、センサの最小コストを実現する。
【0026】
簡単に説明すると、私たちの発明手順には、2つのサブ手順がある。第1のサブ手順では、各ネットワークインフラ
【数5】
における各ノードを起点とするあらゆるセンシングファイバ経路
【数6】
を探す。この集合
【数7】
は、
【数8】
の各ノードを起点とするあらゆる線形経路とスター型経路とを含む。第2のサブ手順は、与えられたネットワークインフラ
【数9】
のすべての光ファイバリンク
【数10】
をカバーできるセンシングファイバ経路の最小集合である
【数11】
の部分集合を決定する修正された貪欲な集合カバー法である。
【0027】
当業者には明らかなように、本発明の手順は、与えられたネットワークインフラでlaaSrサービスの完全なカバレッジを達成しながら、センサの効率的な展開を達成する。さらに、本発明の手順では、通信ネットワークインフラでlaaSrサービスの完全なカバレッジを実現するために、センサを設置する場所に関する位置情報を提供する。有利なことに、本発明の手順は、完全なlaaSrサービスカバレッジを達成するために、センシングチャネルのルーティングを決定する。センシングファイバの経路は、線形経路またはスター型経路のいずれかであり、後者はDFOS同時並行センシングを使用することに起因する。最後に、我々の発明的な手順は、laaSrサービスの完全なカバレッジを達成するために、各センシングチャネルのセンシング範囲を決定するものである。
【0028】
DFOS配置の手順
【0029】
先に述べたように、本発明の方法は、2つの主要な手順ステップ(
図2では便宜的にステップ100とステップ200とを表記している)を含む。
【0030】
ステップ100において、本ステップは、深さ限定経路探索で示される第1のサブ手順である。なお、この第1のサブ手順の詳細なすべてのステップは、
図3のステップ101からステップ121までである。概要として、このステップ100は、与えられたネットワークインフラ
【数12】
内の各ノードnについて、深さ限定経路探索サブ手順を呼び出して、ノードnにセンサを配備した場合のノードnについてのあらゆるセンシング経路(route_setで示される)を取得するfor-loopの反復を含む。繰り返し、各ノードのroute_setが得られ、センサの配置、センシング経路、センシング範囲についてのあらゆる割り当てを含む、all_route_setと呼ばれる集合に追加される。全てのノードのチェックが終わり、対応するroute_setがall_route_setに追加されると、処理はステップ200に進む。設定されたall_route_setは、ステップ200の入力として使用される。
【0031】
ステップ200(これは第2のサブ手順である)では、貪欲な集合カバーによって示される。なお、この第2のサブ手順における詳細なすべてのステップは、
図4に示すように、ステップ201からステップ205までで説明する。あらゆるセンスルーティングall_route_setから、この第2のサブ手順は、貪欲な集合カバー法を採用し、与えられたネットワークインフラ
【数13】
のすべてのリンクを少なくとも1回カバーできるように、最小に近い部分集合を決定する。
【0032】
ステップ101は、深さ限定経路探索のサブ手順の初期化ステップである。3つのデータ構造を作成し、初期化する。まず、与えられたノードnに対して訪問する必要があるすべてのノードを格納するスタックsが作成される。スタックは与えられたノードnで初期化され、ノードが特定の条件を満たしたときに追加のノードを追加する(ステップ106と108、およびステップ112と114参照)。次に、深さ限定経路探索の過程で訪問したすべてのノードを追跡するために、visitedという名前のリストが初期化される。これにより、最終的なDFOSの割り当てにおいて、重複したセンシング経路が存在しないことを保証する。リストは、与えられたノードnを含むように初期化される。最後に、route_setと呼ばれる集合とnew_route_setと呼ばれる集合とが空として初期化され、与えられたノードnにセンサを配置した場合に可能なすべてのセンシング経路を含むことになる。ここで、new_route_setには、可能なすべての線形経路とスター型経路とが含まれることになる。
【0033】
ステップ102は、whileループの入力点である。スタックsが空かどうかチェックする。スタックが空でなければ、whileループに入り、ステップ103に進む。スタックが空の場合はwhileループを抜け、ステップ116にジャンプし、与えられたノードnのroute_setを返す。ここで、スタックが空の場合、与えられたノードnのセンシング限界R内にあるすべての隣接ノードをチェックしたことを意味するため、ルートセットには与えられたノードnについてのあらゆるセンシング経路が含まれている。
【0034】
ステップ103では、スタックsから最後に入ったノードをポップアップし、それをノードcurrentと表記する。このcurrentノードは、現在の探索がどの位置にあるのかを示している。今後のステップでは、currentとその近傍とをセンシング経路の候補としてroute_setに追加するかどうかを決定する。
【0035】
ステップ104は、セットされたroute_setが空であるか否かをチェックする。空であれば、ノードcurrentをセンシング経路の起点ノードとみなし、さらに他の可能なセンシング経路を探索し、ステップ105に進むことになる。route_setが空でなければ、route_setから前任者が現在である経路を確認し、さらに他の可能性のあるセンシング経路を探索し、動作はステップ110に進むことになる。
【0036】
ステップ105は、for-loopの入力点である。currentの各隣接ノードnnをチェックし、currentからnnまでの経路rを生成する。この経路をステップ106でチェックし、route_setに追加するか否かを決定する。
【0037】
ステップ106は、currentからnnまで延長された経路rの状態をチェックする。その条件は、経路rがループを含まない線形経路であること、およびその間にrによって移動した距離がセンシング範囲制限R以下であることである。経路rが上記条件を満たす場合は、ステップ107に示すように、route_setにrを追加する。条件を満たさない場合は、ステップ105に戻り、次の隣接ノードとそれに対応する新しく生成された経路とをチェックすることになる。
【0038】
ステップ107は、route_set集合に経路rを追加する。
【0039】
ステップ108は、隣接ノードnnが訪問済みか否かをチェックする。nnが以前に訪問したことがある場合、制御はステップ105に戻り、次の隣接ノードをチェックする。
nnが訪問されていない場合は、ステップ109で制御を継続する。
【0040】
ステップ109は、スタックsに隣接ノードnnを追加し、このノードから拡張された他の可能なセンシング経路をさらに探索することを可能にする。また、このステップでは、nnを訪問済みリストに追加する。
【0041】
ステップ110は、ステップ104の条件を満たさない場合に実行される。二重のfor-loopの外側のループの入力点である。ここで、route_setの集合の各既存センシング経路rをチェックし、ノードcurrentの起点から進めていく。
【0042】
ステップ111は、2重のfor-loopの内側のループの入力点である。currentの各隣接ノードnnをチェックし、既存のセンシング経路rにノードnnを追加して構築される新たな経路r_newを生成する。
【0043】
ステップ112では、経路r_newがループのない線形経路であり、かつ、その間にr_newが移動した距離がセンシング限界R未満であるか否かをチェックする。上記条件が成立する場合、ステップ113に進み、r_newをroute_setに追加する。条件を満たさない場合は、ステップ111に戻り、次の隣接ノードとそれに対応する新たに生成された経路とをチェックする手順となる。
【0044】
ステップ113は、route_setの集合に経路r_newを追加する。
【0045】
ステップ114は、隣接ノードnnが訪問済みであるか否かをチェックする。nnが以前に訪問したことがある場合、制御はステップ111に戻り、次の隣接ノードをチェックする。nnが訪問されていない場合、制御はステップ115に進む。
【0046】
ステップ115は、スタックsに隣接ノードnnを追加し、このノードから拡張された他の可能なセンシング経路をさらに探索することを可能にする。このステップでは、nnが訪問リストに追加される。
【0047】
ステップ116は、外側のfor-loopの入力点である。r1で示されるroute_set内の各経路をチェックする。
【0048】
ステップ117は、内側のfor-loopの入力点である。new_route_set内の各経路をチェックし、ステップ116の外側のfor-loopからそれらを除外する。チェックされる経路をr2とする。
【0049】
ステップ118では、r1とr2とが新たなスター型経路を形成する資格があるかどうかを確認する。それらが異なる方向からのものであり、それらの合計センシング距離がセンシング限界範囲R以下である場合、それらはスター型経路として結合され、最終的なDFOS割り当てのために考慮され、プロセスはステップ119で継続し、それらが同じ方向からのものではない場合、制御はステップ117に戻って次の経路をチェックする。
【0050】
ステップ119は、r1とr2との組み合わせである新たな経路を生成する。r1とr2とは方向や分岐が異なるため、その組み合わせはスター型経路となり、新たに生成した経路をsrと表記し、ステップ120で制御を進める。
【0051】
ステップ120は、新たに生成された経路srをnew_route_setに追加し、ステップ117でチェックされていない経路が残っていればステップ117の内側のfor-loopに戻り、ステップ117にてすべてチェックしたならば、ステップ116の外側のfor-loopに戻り、ステップ116の経路をすべてチェックしたならば、ステップ121で手順を継続することになる。
【0052】
ステップ121は、セットされたnew_route_setを、ステップ100の最初のサブ手順で手順が呼び出された全体手順内の位置に返す。
【0053】
ステップ201は、第2のサブ手順を初期化する。2つのデータ構造が作成される。まず、このステップでは、dfosというリストを空として初期化する。このリストには、分散型光ファイバセンサの配置の割り当て(センサ配置割り当て、センシング経路割り当て、センシング範囲割り当て)が格納される。次に、
【数14】
の各リンクを、カバーされていない状態に初期化する。
【0054】
ステップ202は、whileループの入口であり、
【数15】
内にまだカバーされていないとマークされているリンクが存在するかどうかをチェックする。この条件が真であれば、ステップ203で演算を進め、そうでなければ、ステップ205に進み、dfosを返す。ここで、
【数16】
にまだカバーされていないリンクが存在する場合、それらのリンクをカバーするために、より多くのセンサが配置される。これがステップ203のwhileループ体に操作が進む理由である。これにより、ネットワークインフラ全体が分散型光ファイバセンサで完全にカバーされたときに、手順が終了することが保証される。
【0055】
ステップ203は、all_route_setから、
【数17】
内の残りのカバーされていないリンクと重複または共通のリンクが最大となる経路r_maxを選択する。
【数18】
の全リンクを、all_route_setから最小の部分集合でカバーすることを達成する貪欲な方法である。
【0056】
ステップ204は、選択された最も重複する経路r_maxをdfosのリストに追加する。また、経路r_max上の2つのエンドノードのうち1つがセンサの設置場所として選択される。最後に、このステップでは、r_maxが移動したリンクを、
【数19】
上でカバーされているとマークする。
【0057】
ステップ205は、ステップ202のwhileループ条件が偽である場合に実行される。つまり、
【数20】
のすべてのリンクがdfosの分散型光ファイバセンサの割り当てでカバーされている場合、手順を終了してdfosを返す。なお、分散型光ファイバセンサの割り当て結果は、dfosに格納される。
【0058】
II.DFOS配置手順の適用について
【0059】
図5は、本開示の態様による我々のDFOS配置手順の応用を例示的に示す概略図である。
【0060】
図からわかるように、光ファイバネットワークには複数のノードがあり、あるノード間には複数の光ファイバリンクが存在する。光ファイバリンクは、DFOSセンサが監視(センシング)する必要のあるリンクである(ネットワーク内のすべての光ファイバリンクである可能性もある)。
【0061】
これらの光ノードは、ネットワークコントローラによって制御される。ネットワークコントローラは、ノードの1つに置かれることもあれば、離れた場所や複数の場所に置かれることもある。ネットワークのトポロジ、各ノードの情報、各リンクの情報(両端ノード、リンク距離、このリンクでセンシングが必要かどうかなど)などを含むネットワーク情報は、ネットワークコントローラが収集する。この情報に基づいて、ネットワークコントローラは、DFOS配置手順を使用して、センシングのためのネットワーク構成を決定する。そして、構成設定は個々のノードに送信される。
【0062】
光ノードは、それぞれのネットワーク構成命令を受信すると、その命令を実行し、ノードに1つまたは複数のDFOSセンサハードウェア(同時並行センシング機能を持つか持たないか)を配置してそれぞれのセンシングファイバに接続すること、および/または2つのリンクから2つのファイバを単一方向で接続して線形経路を形成するか異なる方向で接続してスター型経路を形成することができる。
図5において、ノードFのDFOSセンサは、線形経路FCBDEであるセンシングファイバ経路を導入する基本センシングを実行する。一方、ノードAとノードHのDFOSセンサは同時並行センシングを行い、対応するセンシングファイバ経路はそれぞれAB-ADG-AGとHG-HE-HFEというスター型の経路になっている。
【0063】
また、配置された各DFOSセンサは、ネットワークコントローラからの指示により、センシング距離や関連するパラメータを設定し、継続的に測定を開始する。センサのセンシング範囲が複数のホップにまたがる場合、収集されたデータは個々のリンクに分離される。各ファイバリンクの測定データは、ローカルで保存・処理することも、リモートまたは中央のプロセッサに送信して解析・保存することも可能である。
【0064】
DFOS配置手順によるリソース最適化の利点により、ネットワーク内のDFOSセンサの数を低く抑えることができ、ハードウェア費用と運用コストを節約することができる。ネットワーク内の必要なリンクがすべてセンシング機能を継続的に実行するため、laaSr(NaaSr)機能が実現し、ネットワークの運用効率(ケーブル切断防止、ケーブル健全性監視、運用環境監視など)の向上、ネットワークオーナーに新しいサービスと収益をもたらす(自治体への交通情報提供、高速道路事業者への道路状況監視、電力会社への電柱健全性監視、事故検出への都市騒音監視など)ことができる。
【0065】
この時点で、いくつかの具体例を用いて本開示を示したが、当業者は、我々の教示がそれほど限定されていないことを認識するであろう。したがって、本開示は、本明細書に添付された請求項の範囲によってのみ限定されるべきものである。