IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-状態判定センサ 図1
  • 特許-状態判定センサ 図2
  • 特許-状態判定センサ 図3
  • 特許-状態判定センサ 図4
  • 特許-状態判定センサ 図5
  • 特許-状態判定センサ 図6
  • 特許-状態判定センサ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】状態判定センサ
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019112778
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020204952
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】蓬郷 典大
(72)【発明者】
【氏名】今井 清司
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 祐輔
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-205865(JP,A)
【文献】特表2014-522514(JP,A)
【文献】特開2018-147419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ラインの搬送装置によって搬送されるワークの状態を表す数値を測定する測定部と、
前記数値に関する統計量を生成する生成部と、
前記統計量に基づいて、前記製造ラインの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記測定部は、前記ワークの形状及び前記ワークの色の少なくともいずれかを表す数値を測定
前記生成部は、前記数値の度数分布に関する統計量を生成する、状態判定センサ。
【請求項2】
前記判定部は、前記数値の分散の時間変化に基づいて、前記製造ラインの状態を判定する、
請求項1に記載の状態判定センサ。
【請求項3】
前記判定部は、前記数値の平均の時間変化に基づいて、前記製造ラインの状態を判定する、
請求項1に記載の状態判定センサ。
【請求項4】
製造ラインの搬送装置によって搬送されるワークの状態を表す数値を測定する測定部と、
前記数値に関する統計量を生成する生成部と、
前記統計量に基づいて、前記製造ラインの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記測定部は、前記ワークの形状及び前記ワークの色の少なくともいずれかを表す数値を測定し、
前記数値は、前記ワークが測定範囲に到来したことを表す第1数値及び前記ワークが測定範囲から離脱したことを表す第2数値を含み、
前記生成部は、前記第2数値が発生したタイミングから前記第1数値が発生したタイミングまでの時間間隔に関する統計量を生成する、
態判定センサ。
【請求項5】
製造ラインの搬送装置によって搬送されるワークの状態を表す数値を測定する測定部と、
前記数値に関する統計量を生成する生成部と、
前記統計量に基づいて、前記製造ラインの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記測定部は、前記ワークの形状及び前記ワークの色の少なくともいずれかを表す数値を測定し、
前記数値は、前記ワークが測定範囲に到来したことを表す第1数値及び前記ワークが測定範囲から離脱したことを表す第2数値を含み、
前記生成部は、前記第1数値が発生したタイミングから前記第2数値が発生したタイミングまでの時間間隔に関する統計量を生成する、
態判定センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態判定センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品やその部品等の状態をセンサにより測定し、不良品を除外することがある。例えば、下記特許文献1には、基板の画像に基づいて高さ頻度分布を作成し、頻度のピーク数を閾値と比較して、基板の良・不良を判定する検査装置が開示されている。また、下記特許文献2には、基板の画像の各画素の高さ値を度数分布で表し、基板表面の高さを特定する外観検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-1404号公報
【文献】特開2012-53016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術によって、製造ラインの搬送装置によって搬送されるワーク単体の状態を判定することができる。しかしながら、ワーク単体の状態を判定するだけでは、製造ライン全体の状態を判定することは難しい。そのため、ワーク単体の状態を判定するセンサとは別に製造ラインの状態を判定するセンサを設けることがあるが、センサ数が増大して導入コストが増加してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ワーク単体の状態のみならず製造ラインの状態も判定することができる状態判定センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る状態判定センサは、製造ラインの搬送装置によって搬送されるワークの状態を表す数値を測定する測定部と、数値に関する統計量を生成する生成部と、統計量に基づいて、製造ラインの状態を判定する判定部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、ワーク単体を測定した数値に関する統計量を生成し、その統計量によって複数のワークの状態の傾向を捉えることができ、ワーク単体の状態のみならず製造ラインの状態を判定することができる。
【0008】
上記態様において、生成部は、数値の度数分布に関する統計量を生成してもよい。
【0009】
この態様によれば、ワーク単体を測定した数値の度数分布をつくり、度数分布の統計量によって複数のワークの状態の傾向を捉えることができ、ワーク単体の状態のみならず製造ラインの状態を判定することができる。
【0010】
上記態様において、判定部は、数値の分散の時間変化に基づいて、製造ラインの状態を判定してもよい。
【0011】
この態様によれば、複数のワークの状態のばらつきの時間変化を捉えることができ、製造ラインの異常を検出することができる。
【0012】
上記態様において、判定部は、数値の平均の時間変化に基づいて、製造ラインの状態を判定してもよい。
【0013】
この態様によれば、設計上のワークの状態からのずれを捉えることができ、製造ラインの異常を検出することができる。
【0014】
上記態様において、数値は、ワークが測定範囲に到来したことを表す第1数値及びワークが測定範囲から離脱したことを表す第2数値を含み、生成部は、第2数値が発生したタイミングから第1数値が発生したタイミングまでの時間間隔に関する統計量を生成してもよい。
【0015】
この態様によれば、複数のワークの搬送間隔に関する統計量によって複数のワークの状態の傾向を捉えることができ、製造ラインの状態を判定することができる。
【0016】
上記態様において、数値は、ワークが測定範囲に到来したことを表す第1数値及びワークが測定範囲から離脱したことを表す第2数値を含み、生成部は、第1数値が発生したタイミングから第2数値が発生したタイミングまでの時間間隔に関する統計量を生成してもよい。
【0017】
この態様によれば、複数のワークの搬送間隔に関する統計量によって複数のワークの状態の傾向を捉えることができ、製造ラインの状態を判定することができる。
【0018】
上記態様において、測定部は、ワークの形状及びワークの色の少なくともいずれかを表す数値を測定してもよい。
【0019】
この態様によれば、ワーク単体の高さ又は色を測定した数値を蓄積し、その度数分布によって複数のワークの高さ又は色の傾向を捉えることができ、ワークを加工する製造ラインの状態を判定することができる。
【0020】
上記態様において、測定部は、製造ライン及びワークの少なくともいずれかを含む測定対象の温度、流量及び圧力の少なくともいずれかを表す数値を測定してもよい。
【0021】
この態様によれば、測定対象の温度、流量又は圧力を測定した数値に関する統計量を生成し、その統計量によって測定対象の状態の傾向を捉えることができ、製造ラインの状態を判定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ワーク単体の状態のみならず製造ラインの状態も判定することができる状態判定センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る状態判定センサの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る状態判定センサにより測定されるワークの高さを示す図である。
図3】本実施形態に係る状態判定センサにより生成されるヒストグラムの一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る状態判定センサにより実行される状態判定処理のフローチャートである。
図5】本実施形態に係る状態判定センサにより測定されるワークの有無を示す図である。
図6】本実施形態に係る状態判定センサにより測定されるワークの色を示す図である。
図7】本実施形態に係る状態判定センサにより測定される測定対象の温度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る状態判定センサ10の概要を示す図である。状態判定センサ10は、測定部11、生成部12及び判定部13を備える。本例の状態判定センサ10は、一台の変位センサによって構成され、より具体的には、レーザ測距センサや共焦点センサで構成されてよい。もっとも、後に例示するように、状態判定センサ10は、他の種類のセンサであってもよい。
【0026】
測定部11は、製造ライン20の搬送装置によって搬送されるワーク30の状態を表す数値を測定する。ここで、ワーク30の状態を表す数値とは、ワーク30の形状を表す数値であったり、ワーク30の外見(色、表面仕上げ等)を表す数値であったりしてよい。また、製造ライン20は、ワーク30を少なくとも部品として含む製品を製造するラインであり、ベルトコンベア等の搬送装置、ワーク30の形状を加工する加工装置及びワーク30を塗装する塗装装置等を含んでよい。本例の場合、測定部11は、製造ライン20の直上に設置され、ワーク30の高さを表す数値を測定する。
【0027】
また、測定部11は、ワーク30が搬送される際に、一台の変位センサによってワーク30の2箇所の高さを測定して、その数値を出力したり、その差分を表す数値を出力したり、ワーク30の傾きを表す数値を出力したりしてよい。また、状態判定センサ10は、二台の変位センサを含んでもよく、ワーク30の2箇所の高さを測定して、その数値を出力したり、その差分を表す数値を出力したりしてよい。
【0028】
生成部12は、測定部11により測定された数値に関する統計量を生成する。生成部12は、測定部11により測定された数値の度数分布を生成してよい。ここで、生成部12は、測定部11により測定された数値を蓄積して度数分布をつくり、度数分布の統計量を生成してもよいし、測定部11により測定された数値について逐次統計量を生成してもよい。また、数値に関する統計量は、数値が測定されたタイミングに関する統計量を含んでよい。例えば、測定部11によって複数のワーク30について形状を表す数値を測定する場合、生成部12は、蓄積された形状を表す数値から度数分布を生成する。ワーク30の形状に関する度数分布は、設計上の値にピークをもち、公差の範囲でばらつくことが想定される。
【0029】
判定部13は、統計量に基づいて、製造ライン20の状態を判定する。例えば、測定部11によって、製造ライン20の搬送装置によって搬送されるワーク30の状態を表す数値を連続的に測定し、生成部12によって、所定期間毎に度数分布を生成する場合、判定部13は、所定期間毎に生成された度数分布に関する統計量の時間変化に基づいて、製造ライン20の状態が正常であるか異常であるかを判定してよい。このように、ワーク30単体を測定した数値に関する統計量を生成し、その統計量によって複数のワーク30の状態の傾向を捉えることができ、ワーク30単体の状態のみならず製造ライン20の状態を判定することができる。また、ワーク30単体を測定した数値を蓄積し、その度数分布によって複数のワーク30の状態の傾向を捉えて、ワーク30単体の状態のみならず製造ライン20の状態を判定することもできる。
【0030】
判定部13は、測定部11により測定された数値の分散の時間変化に基づいて、製造ライン20の状態を判定してもよい。判定部13は、例えば、測定部11により測定された数値の分散が時間の経過とともに増大している場合、製造ライン20におけるワーク30の加工過程に異常が発生していると判定してよい。このように、複数のワーク30の状態のばらつきの時間変化を捉えることができ、製造ライン20の異常を検出することができる。
【0031】
判定部13は、測定部11により測定された数値の平均の時間変化に基づいて、製造ライン20の状態を判定してもよい。判定部13は、例えば、測定部11により測定された数値の平均が時間の経過とともに増加又は減少している場合、製造ライン20におけるワーク30の加工過程に異常が発生していると判定してよい。このように、設計上のワーク30の状態からのずれを捉えることができ、製造ライン20の異常を検出することができる。
【0032】
判定部13は、測定部11により測定された数値に関する統計量として、度数分布の中央値や四分位数等の任意の統計量を算出してよい。また、複数の統計量を組み合わせて製造ライン20の状態の判定を行ってもよい。
【0033】
図2は、本実施形態に係る状態判定センサ10により測定されるワーク30の高さを示す図である。状態判定センサ10は、ワーク30までの距離に基づいてワーク30の高さを測定する。同図では、横軸に時間を示し、縦軸にワーク30までの距離を示している。また、同図では、ワーク30が測定範囲に存在するか否かを判定するための閾値を示している。
【0034】
状態判定センサ10は、例えば、測定値が閾値を超えてから閾値を下回るまでの間の平均値又は中央値を、ワーク30単体の高さを表す数値P1,P2としてよい。また、状態判定センサ10は、測定値が閾値を超えた時点での数値を、ワーク30単体の高さを表す数値としたり、測定値が閾値を超えてから一定時間経過後の数値を、ワーク30単体の高さを表す数値としたりしてよい。また、状態判定センサ10は、外部トリガで指定されるタイミングで測定される数値を、ワーク30単体の高さを表す数値としてもよい。
【0035】
図3は、本実施形態に係る状態判定センサ10により生成されるヒストグラムの一例を示す図である。同図では、横軸に状態判定センサ10による測定値を示す、縦軸に度数を示した第1ヒストグラムH1及び第2ヒストグラムH2を示している。
【0036】
第1ヒストグラムH1は、製造ライン20が正常な場合における複数のワーク30の高さの度数分布である。一方、第2ヒストグラムH2は、製造ライン20が異常な場合における複数のワーク30の高さの度数分布である。第1ヒストグラムH1と第2ヒストグラムH2とを比較すると、第2ヒストグラムH2の平均値μ2は、第1ヒストグラムH1の平均値μ1より増加しており、第2ヒストグラムH2の標準偏差σ2は、第1ヒストグラムH1の標準偏差σ1より増加している。なお、本例では、第2ヒストグラムH2の平均μ2及び標準偏差σ2両方が、第1ヒストグラムH1の平均μ1及び標準偏差σ1と異なっているが、平均μ2及び標準偏差σ2のいずれか一方が、平均μ1及び標準偏差σ1と異なる場合であっても、状態判定センサ10は、製造ライン20の状態が異常であると判定してよい。
【0037】
状態判定センサ10は、度数分布の平均値又は分散(標準偏差)が増加していることに基づいて、製造ライン20が異常な状態にあると判定する。状態判定センサ10は、製造ライン20が異常であると判定した場合、アラートを出力してよい。
【0038】
状態判定センサ10は、所定時間内における度数分布の平均値又は分散の時間変化が閾値以上である場合、製造ライン20が異常であると判定してよい。また、状態判定センサ10は、度数分布の分散が閾値以上である場合、製造ライン20が異常であると判定してよい。
【0039】
製造ライン20に沿って状態判定センサ10を複数設置して、複数の状態判定センサ10による判定結果を統合し、製造ライン20の異常箇所を特定してもよい。例えば、製造ライン20の上流と下流に状態判定センサ10を一台ずつ設置する場合、上流の状態判定センサ10では異常が検知されず、下流の状態判定センサ10で異常が検知された場合、製造ライン20の異常は、2台の状態判定センサ10の中間地点で発生していると特定できる。
【0040】
図4は、本実施形態に係る状態判定センサ10により実行される状態判定処理のフローチャートである。はじめに、状態判定センサ10は、ワーク30の状態を表す数値を測定し、蓄積する(S10)。
【0041】
その後、状態判定センサ10は、蓄積した数値に基づいて度数分布を生成する(S11)。そして、状態判定センサ10は、度数分布に関する統計量に基づいて、製造ライン20の状態を判定する(S12)。なお、状態判定センサ10は、ワーク30の状態を表す数値を測定し、度数分布を生成せずに、数値から直接統計量を生成してもよい。また、状態判定センサ10は、ワーク30の状態を表す数値を蓄積せず、測定した数値について逐次統計量を生成してもよい。
【0042】
製造ライン20の状態が異常でないと判定された場合(S13:NO)、すなわち製造ライン20の状態が正常である場合、状態判定センサ10は、処理S10~S12を再び実行する。一方、製造ライン20の状態が異常であると判定された場合(S13:YES)、状態判定センサ10は、アラートを出力する(S14)。なお、アラートは、音で発したり、視覚情報として発したり、外部機器に発したりしてよい。
【0043】
図5は、本実施形態に係る状態判定センサ10により測定されるワーク30の有無を示す図である。状態判定センサ10は、測定範囲に光を照射し、ワーク30による光の反射有無又は光の遮蔽有無に基づいてワーク30の有無を測定する。同図では、横軸に時間を示し、縦軸に受光量を示している。また、同図では、ワーク30が測定範囲に存在するか否かを判定するための基準値を示している。なお、本例では、状態判定センサ10は、受光量が基準値より大きい場合に、測定範囲にワーク30が存在すると判定する。
【0044】
状態判定センサ10により測定される数値は、ワーク30が測定範囲に到来したことを表す第1数値及びワークが測定範囲から離脱したことを表す第2数値を含み、生成部12は、第2数値が発生したタイミングから第1数値が発生したタイミングまでの時間間隔に関する統計量を生成してよい。本例では、第1数値が発生したタイミングは、測定値が基準値を超えたタイミングであり、第2数値が発生したタイミングは、測定値が基準値を下回ったタイミングである。図5では、第2数値が発生したタイミングから第1数値が発生したタイミングまでの時間間隔T1,T2,T3,T4を示している。このように、複数のワーク30の搬送間隔に関する統計量によって複数のワーク30の状態の傾向を捉えることができ、製造ライン20の状態を判定することができる。
【0045】
生成部12は、第1数値が発生したタイミングから第2数値が発生したタイミングまでの時間間隔に関する統計量を生成してもよい。図5では、第1数値が発生したタイミングから第2数値が発生したタイミングまでの時間間隔W1,W2,W3,W4を示している。このように、複数のワーク30の搬送間隔に関する統計量によって複数のワーク30の状態の傾向を捉えることができ、製造ライン20の状態を判定することができる。
【0046】
状態判定センサ10は、統計量を生成するための測定値の蓄積を常時行ってもよいし、ユーザからの入力により指定される期間について行ってもよい。また、状態判定センサ10は、過去に蓄積された測定値のうちユーザから指定された区間の測定値を用いて、度数分布を生成してもよい。
【0047】
図6は、本実施形態に係る状態判定センサ10により測定されるワークの色を示す図である。状態判定センサ10は、ワーク30により反射される赤、緑、青の可視光の強度に基づいて、ワーク30の色を測定する。同図では、横軸に時間を示し、縦軸にR受光量(赤の受光量)と、G受光量(緑の受光量)と、B受光量(青の受光量)とを示している。
【0048】
生成部12は、R受光量の度数分布と、G受光量の度数分布と、B受光量の度数分布とをそれぞれ生成してよい。判定部13は、R受光量の度数分布に関する統計量に基づいて、製造ライン20の状態を判定し、G受光量の度数分布に関する統計量に基づいて、製造ライン20の状態を判定し、B受光量の度数分布に関する統計量に基づいて、製造ライン20の状態を判定してよい。判定部13は、R受光量の度数分布に関する統計量、G受光量の度数分布に関する統計量及びB受光量の度数分布に関する統計量のいずれかに基づいて製造ライン20の状態が異常であると判定された場合、アラートを出力してよい。また、判定部13は、R受光量の度数分布に関する統計量、G受光量の度数分布に関する統計量及びB受光量の度数分布に関する統計量の任意の組み合わせに基づいて、製造ライン20の状態を判定してもよい。
【0049】
このように、ワーク30の色を測定することで、ワーク30単体の色を測定した数値を蓄積し、その度数分布によって複数のワーク30の色の傾向を捉えることができ、ワーク30を塗装する製造ライン20の状態を判定することができる。
【0050】
図7は、本実施形態に係る状態判定センサ10により測定される測定対象の温度を示す図である。ここで、測定対象は、製造ライン20の特定の箇所であったり、ワーク30であったりしてよい。同図では、横軸に時間を示し、縦軸に測定対象の温度を示している。
【0051】
生成部12は、例えば、測定対象の温度を周期的にサンプリングして、度数分布を生成してよい。そして、判定部13は、度数分布に関する統計量に基づいて、製造ライン20の状態を判定する。
【0052】
測定部11は、製造ライン20及びワーク30の少なくともいずれかを含む測定対象の温度、流量及び圧力の少なくともいずれかを表す数値を測定してもよい。測定部11は、測定対象の温度、流量及び圧力を連続的に測定してよく、生成部12は、連続的に測定された数値をサンプリングして度数分布を生成してよい。このように、測定対象の温度、流量又は圧力を測定した数値に関する統計量を生成し、その統計量によって測定対象の状態の傾向を捉えることができ、製造ライン20の状態を判定することができる。また、製造ライン20を測定対象に含めることで、ワーク30を搬送していない状態であっても、製造ライン20のみ稼働させることで製造ライン20が正常に稼働可能な状態となっているかどうかを判別することが可能となる。
【0053】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0054】
[付記]
製造ライン(20)の搬送装置によって搬送されるワーク(30)の状態を表す数値を測定する測定部(11)と、
前記数値に関する統計量を生成する生成部(12)と、
前記統計量に基づいて、前記製造ライン(20)の状態を判定する判定部(13)と、
を備える状態判定センサ(10)。
【符号の説明】
【0055】
10…状態判定センサ、11…測定部、12…生成部、13…判定部、20…製造ライン、30…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7