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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】燃料電池車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 8/00 20060101AFI20240725BHJP
   B60K 11/08 20060101ALI20240725BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20240725BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240725BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
B60K8/00
B60K11/08
B60K15/063 B
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021002089
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107252
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】川野 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】水谷 和彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 徹
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128202(JP,A)
【文献】特開2009-286252(JP,A)
【文献】特開2005-122935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/80798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 8/00
B60K 11/08
B60K 15/063
H01M 8/00
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方寄りに位置する前輪と、走行操作に用いられる操作装置とを有する操作部と、
乗員の搭乗を可能とするように構成され、かつ前記操作部よりも車両後方寄りに位置する乗車部と、
前記前輪よりも車両後方寄りに位置する後輪と、前記後輪を駆動可動とするように構成されるモータとを有し、かつ前記乗車部よりも車両後方寄りに位置する駆動部と、
前記モータの駆動に用いられる電力を生成可能とするように構成される燃料電池ユニットと、
前記燃料電池ユニットの電力の生成に用いられる燃料を貯蔵可能とするように構成される燃料タンクと
を備え、
前記燃料タンクが、前記燃料を貯蔵する容器と、前記容器の首部に取り付けられ、かつ前記容器の内部及び外部間における前記燃料の流通を開放及び閉鎖可能とするように構成される主止バルブとを有する、燃料電池車両であって、
前記燃料電池ユニット及び前記燃料タンクを収容する収容部を備え、
前記収容部が、車両前後方向にて前記乗車部及び前記駆動部の間に位置するタンク収容部と、前記収容部の内部に空気を流入可能とするように構成される吸気ダクトとを有し、
前記燃料タンクが、前記タンク収容部内にて前記主止バルブを車両幅方向の一方に向けるように配置され、
前記吸気ダクトが、前記主止バルブよりも車両幅方向の一方寄りに位置し、かつ車両幅方向で見て、前記主止バルブとオーバーラップしており、
前記収容部は、前記吸気ダクトと前記タンク収容部とを連通させるように形成される連通口を有している、燃料電池車両。
【請求項2】
複数の前記燃料タンクが上下方向に並んでおり、
前記吸気ダクトが、上下方向に並んだ前記複数の燃料タンクの主止バルブに沿って下方から上方に向かって延びており、
前記収容部が、前記燃料電池ユニットを収容し、前記タンク収容部よりも車両後方寄りに位置し、かつ前記駆動部よりも上方に位置する燃料電池収容部を有し、
前記収容部が、その内部の気体を前記収容部の外部に排出可能とするように構成される排気口を有し、
前記排気口が、前記駆動部よりも車両後方寄りに位置する前記収容部の燃料電池収容部の後端部に配置されている、請求項1に記載の燃料電池車両。
【請求項3】
前記連通口が、前記複数の燃料タンクのうち最も下側に位置する燃料タンクに対応するように配置されている、請求項2に記載の燃料電池車両。
【請求項4】
複数の前記連通口が、それぞれ前記複数の燃料タンクの主止バルブと対向するように配置されている、請求項2又は3に記載の燃料電池車両。
【請求項5】
前記燃料電池ユニットが、前記モータの駆動に用いられる電力を生成可能とするように構成される燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに圧縮された空気を送ることができるように構成される圧縮機とを有し、
前記圧縮機が、この圧縮機に空気を取り入れるように構成される空気取入口を有し、
前記収容部が、前記タンク収容部と前記燃料電池収容部とを接続するように開口する接続口を有し、
前記空気取入口が、前記接続口と対向するように車両前方を向いており、
前記接続口の上端が前記空気取入口の下端よりも上方に位置している、請求項2~4のいずれか一項に記載の燃料電池車両。
【請求項6】
前記収容部が、車両幅方向に間隔を空けた2つの縦フレームと、車両幅方向沿って配置される複数の横フレームとを有するフレーム組立体を含み、
前記複数の横フレームが、車両上下方向にて互いに間隔を空けており、かつ前記2つの縦フレームを連結するように延びており、
前記燃料タンクが、前記フレーム組立体の内側に配置され、
前記2つの縦フレームのうち一方側の縦フレームが、前記主止バルブを向けた側に配置され、
車両前後方向で見て、前記一方側の縦フレームが、前記主止バルブ及び前記吸気ダクトの間に位置している、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料電池車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を生成可能な燃料電池ユニットと、この燃料電池ユニットでの電力の生成に用いられる燃料を貯蔵可能な燃料タンクと、燃料電池ユニットにより生成された電力を用いて駆動可能なモータとを有する燃料電池車両に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車両の実用化に向けて開発が進められている。燃料電池車両は、電力を生成可能とする燃料電池ユニットと、この燃料電池ユニットでの電力の生成に用いられる燃料を貯蔵可能な燃料タンクと、燃料電池ユニットにより生成された電力を用いて駆動可能なモータとを有し、かつモータの駆動によって走行可能に構成される。このような燃料電池車両において、高温下では燃料電池ユニットの性能が低下する。そのため、燃料電池車両においては、燃料電池ユニットを効率的に冷却するための種々の冷却技術が採用されている。
【0003】
冷却技術を採用した燃料電池車両の一例としては、車両後部に配置される運転シートと、車両後部にて運転シートの下方に配置され、かつ内部に動力室を形成する車体カバーと、車両前部にて運転シート及び車体カバーの前方に配置され、かつ低床に形成される足載せフロアと、動力室の前側に配置される燃料電池システムと、この燃料電池システムの冷却に用いられる熱交換ユニットと、車両前部に配置される燃料タンクとを有する燃料電池搭載電動車両であって、燃料電池システムが、発電に用いられるセルスタックを有し、熱交換ユニットが、熱交換器と、冷却ファンと、熱交換器及び冷却ファンを連結するように延びる冷却風ダクトと、動力室に冷却風を取り入れる取入口と、動力室から冷却風を排出する排出口とを有し、セルスタックが、動力室の前側下部に配置され、熱交換ユニットが、動力室の前側上部に配置され、取入口及び排出口の一方が、車体カバーの前壁に形成され、かつ熱交換器及び冷却ファンの一方に対応するように配置され、取入口及び排出口の他方が、車体カバーの横壁に形成され、かつ熱交換器及び冷却ファンの他方に対応するように配置される、燃料電池搭載電動車両が挙げられる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-087859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記燃料電池車両の一例においては、燃料タンクが車両前部に配置されているので、燃料タンクは車両の衝突時の外力から保護され難くなっている。また、燃料電池車両の一例においては、冷却風が動力室の前側上部を通り過ぎるに過ぎないので、冷却風が有効活用されていない。そのため、燃料電池車両においては、燃料電池ユニットの冷却効率を改善する余地がある。
【0006】
このような実情を鑑みると、燃料電池車両においては、燃料タンクを効率的に保護すること、燃料電池ユニットの冷却効率を向上させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するために、一態様に係る燃料電池車両は、車両前方寄りに位置する前輪と、走行操作に用いられる操作装置とを有する操作部と、乗員の搭乗を可能とするように構成され、かつ前記操作部よりも車両後方寄りに位置する乗車部と、前記前輪よりも車両後方寄りに位置する後輪と、前記後輪を駆動可動とするように構成されるモータとを有し、かつ前記乗車部よりも車両後方寄りに位置する駆動部と、前記モータの駆動に用いられる電力を生成可能とするように構成される燃料電池ユニットと、前記燃料電池ユニットの電力の生成に用いられる燃料を貯蔵可能とするように構成される燃料タンクとを備え、前記燃料タンクが、前記燃料を貯蔵する容器と、前記容器の首部に取り付けられ、かつ前記容器の内部及び外部間における前記燃料の流通を開放及び閉鎖可能とするように構成される主止バルブとを有する、燃料電池車両であって、前記燃料電池ユニット及び前記燃料タンクを収容する収容部を備え、前記収容部が、車両前後方向にて前記乗車部及び前記駆動部の間に位置するタンク収容部と、前記収容部の内部に空気を流入可能とするように構成される吸気ダクトとを有し、前記燃料タンクが、前記タンク収容部内にて前記主止バルブを車両幅方向の一方に向けるように配置され、前記吸気ダクトが、前記主止バルブよりも車両幅方向の一方寄りに位置し、かつ車両幅方向で見て、前記主止バルブとオーバーラップしており、前記収容部は、前記吸気ダクトと前記タンク収容部とを連通させるように形成される連通口を有している。
【発明の効果】
【0008】
一態様に係る燃料電池車両においては、燃料タンクを効率的に保護することができ、燃料電池ユニットの冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る燃料電池車両を模式的に示す左側面図である。
図2図2は、一実施形態に係る燃料電池車両を模式的に示す右側面図である。
図3図3は、一実施形態に係る燃料電池車両を模式的に示す背面図である。
図4図4は、一実施形態に係る燃料電池車両を図1のW-W線に沿って切断視した状態で模式的に示す断面図である。
図5図5は、一実施形態に係る燃料電池車両を図1のX-X線に沿って切断視した状態で模式的に示す断面図である。
図6図6は、一実施形態に係る燃料電池車両を図3のY-Y線に沿って切断視した状態で模式的に示す断面図である。
図7図7は、一実施形態に係る燃料電池車両を図3のZ-Z線に沿って切断視した状態で模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態に係る燃料電池車両について以下に説明する。本実施形態に係る燃料電池車両は、1人乗りタイプの燃料電池式車両となっている。特に、燃料電池車両は、1人乗りタイプの燃料電池式モビリティ車両とすることができる。
【0011】
しかしながら、燃料電池車両は、これに限定されない。例えば、燃料電池車両は、2人乗りタイプの燃料電池式車両とすることもできる。特に、燃料電池車両は、2人乗りタイプの燃料電池式モビリティ車両とすることもできる。この場合、燃料電池車両に搭乗する2人の乗員は、車両幅方向に並ぶと好ましい。
【0012】
本明細書中の説明に用いられる図1図7においては、燃料電池車両(以下、必要に応じて単に「車両」という)を基準とした方向を次のように示す。図1図2図6、及び図7においては、車両前方及び車両後方を、それぞれ片側矢印F及び片側矢印Bによって示す。図3図5においては、車両前方を向いた場合の左方及び右方を、それぞれ片側矢印L及び片側矢印Rによって示す。車両幅方向は、片側矢印L及び片側矢印Rによって示される。さらに、図1図7においては、車両上方及び車両下方を、それぞれ片側矢印U及び片側矢印Dによって示す。なお、以下においては、単に「前方」、「後方」、「左方」、「右方」、「上方」、「下方」、「前後方向」、「幅方向」、及び「上下方向」と呼ぶ方向は、車両を基準とした方向を指すものとする。
【0013】
「燃料電池車両の概略」
図1図7を参照して、本実施形態に係る燃料電池車両の概略を説明する。すなわち、本実施形態に係る燃料電池車両は、概略的には次のように構成される。図1図7に示すように、燃料電池車両は車体1を有する。
【0014】
図1及び図2を参照すると、燃料電池車両は、前方寄りに位置する前輪11と、走行操作に用いられる操作装置12とを有する操作部10を含む。燃料電池車両は、乗員Pの搭乗を可能とするように構成される乗車部20を含む。乗車部20は、操作部10よりも後方寄りに位置する。
【0015】
図1図3を参照すると、燃料電池車両は、乗車部20よりも後方寄りに位置する駆動部30を含む。駆動部30は、前輪11よりも後方寄りに位置する後輪31を有する。駆動部30は、車両の走行駆動に用いられる駆動装置32を有する。駆動装置32は、後輪31を駆動可動とするように構成されるモータ33を有する。このモータ33は、変速機付きであってもなくてもよい。
【0016】
図1図7を参照すると、燃料電池車両は、モータ33の駆動に用いられる電力を生成可能とするように構成される燃料電池ユニット40を有する。燃料電池車両は、燃料電池ユニット40での電力の生成に用いられる燃料を貯蔵可能とするように構成される燃料タンク50を有する。
【0017】
図1図2図4図6、及び図7を参照すると、燃料電池車両は、複数の燃料タンク50を有する。これらの図面においては、一例として、3つの燃料タンク50を有する燃料電池車両が示されている。しかしながら、燃料電池車両は、1つ、2つ、又は4つ以上の燃料タンクを有することもできる。
【0018】
燃料タンク50は、燃料を貯蔵する容器51を有する。燃料タンク50はまた、容器51の首部に取り付けられる主止バルブ52を有する。主止バルブ52は、容器51の内部及び外部間における燃料の流通を開放及び閉鎖可能とするように構成される。
【0019】
図1図7を参照すると、燃料電池車両は、燃料電池ユニット40及び燃料タンク50を収容する収容部60を含む。図1図2図6、及び図7に示すように、収容部60は、前後方向にて乗車部20及び駆動部30の間に位置するタンク収容部60bを有する。図1図5を参照すると、収容部60は、その内部に空気を流入可能とするように構成される第1吸気ダクト63を有する。
【0020】
図1図2図4図6、及び図7を参照すると、複数の燃料タンク50は、収容部60のタンク収容部60b内にて主止バルブ52を幅方向の一方に向けるように配置される。図1及び図4を参照すると、第1吸気ダクト63は、複数の燃料タンク50の主止バルブ52よりも幅方向の一方寄りに位置する。第1吸気ダクト63は、幅方向で見て、これらの主止バルブ52とオーバーラップしている。
【0021】
収容部60は、第1吸気ダクト63とタンク収容部60bとを連通させるように形成される複数の連通口63bを有する。しかしながら、収容部は、第1吸気ダクトとタンク収容部とを連通させるように形成される1つの連通口を有することもできる。この場合、1つの連通口は、複数の燃料タンクのうち最も下側に位置する燃料タンクに対応するように配置することもできる。
【0022】
さらに、本実施形態に係る燃料電池車両は、概略的には次のように構成することができる。特に図1及び図4を参照すると、複数の燃料タンク50は、上下方向に並んでいる。第1吸気ダクト63は、上下方向に並んだ複数の燃料タンク50の主止バルブ52に沿って下方から上方に向かって延びている。
【0023】
特に図6及び図7に示すように、収容部60は、タンク収容部60bよりも後方寄りに位置する燃料電池収容部60cを有する。燃料電池収容部60cは、駆動部30よりも上方に位置する。燃料電池収容部60cは、燃料電池ユニット40を収容する。
【0024】
図3及び図5図7を参照すると、収容部60は、その内部の気体を収容部60の外部に排出可能とするように構成される排気口62を有する。排気口62は、駆動部30よりも後方寄りに位置する収容部60の後端部に配置される。
【0025】
図1及び図4を参照すると、複数の連通口63bのうち1つは、複数の燃料タンク50のうち最も下側に位置する燃料タンク50に対応するように配置される。複数の連通口63bは、それぞれ、複数の燃料タンク50の主止バルブ52と対向するように配置される。
【0026】
図5図7を参照すると、燃料電池ユニット40は、モータ33の駆動に用いられる電力を生成可能に構成される燃料電池スタック41を有する。燃料電池ユニット40は、燃料電池スタック41に圧縮された空気を送ることができるように構成される圧縮機42を有する。圧縮機42から燃料電池スタック41に送られた空気は、燃料電池スタック41の電力生成に用いられる。圧縮機42は、その内部に空気を取り入れるように構成される空気取入口42aを有する。
【0027】
図6に示すように、収容部60は、タンク収容部60bと燃料電池収容部60cとを接続するように開口する接続口65を有する。圧縮機42の空気取入口42aは、この接続口65と対向するように前方を向いている。接続口65の上端は、空気取入口42aの下端よりも上方に位置している。
【0028】
図4図6、及び図7を参照すると、収容部60は、幅方向に間隔を空けた第1縦フレーム66a及び第2縦フレーム66bと、幅方向沿って配置される複数の第1横フレーム66cとを有するフレーム組立体66を含む。複数の第1横フレーム66cは、上下方向にて互いに間隔を空けている。複数の第1横フレーム66cは、第1及び第2縦フレーム66a,66bを連結するように延びる。
【0029】
複数の燃料タンク50は、フレーム組立体66の内側に配置される。第1縦フレーム66aは、幅方向における主止バルブ52を向けた側に位置する。第1縦フレーム66aは、前後方向で見て、燃料タンク50の主止バルブ52と第1吸気ダクト63との間に位置する。
【0030】
「燃料電池車両の詳細」
図1図7を参照すると、本実施形態に係る燃料電池車両は、詳細には次のように構成することができる。収容部60は、筐体61によって画定される。図1図3及び図5図7を参照すると、燃料電池車両は、燃料電池スタック41にて生成された水を貯蔵可能とするように構成されるドレンタンク71を有する。燃料電池車両はまた、燃料電池スタック41にて生成された水をドレンタンク71に送ることができるように燃料電池スタック41及びドレンタンク71間で延びるドレン管72を有する。駆動部30はドレンタンク71を含む。
【0031】
燃料電池車両は、燃料電池ユニット40の燃料電池スタック41にて生成される水を排水するように構成されるドレン機構70を有する。このドレン機構70が、上記ドレンタンク71及びドレン管72を有する。
【0032】
図4図7を参照すると、燃料電池車両は、燃料電池ユニット40により生成された電力を充電可能とし、かつモータ33に電力を供給可能とするように構成される二次電池ユニット81を有する。燃料電池車両は、二次電池ユニット81からモータ33に供給する電力を調節可能とするように構成される電力調節ユニット82を有する。
【0033】
図1図7を参照すると、燃料電池車両は、収容部60の外部かつ収容部60の上方に位置する電力制御部80を有する。二次電池ユニット81及び電力調節ユニット82は、この電力制御部80内で収容部60の筐体61上に載置される。
【0034】
操作部10は、幅方向に互いに間隔を空けた2つの前輪11を有する。特に図1及び図2を参照すると、操作装置12は、少なくとも2つの前輪11を操舵可能に構成される操舵手段12aを有する。操舵手段12aは、乗車部20の乗員Pの手によって操舵可能に構成される。
【0035】
例えば、操舵手段12aは、ステアリングホイールとすることができる。しかしながら、操舵手段は、ステアリングホイールに限定されない。例えば、操舵手段は、車両幅方向に互いに間隔を空けた2つのグリップを有するハンドルとすることもできる。
【0036】
特に図1を参照すると、操作装置12は、車両の走行速度の調節に用いられるアクセル12bを有する。アクセル12bは、乗車部20の乗員Pの足によって操作可能に構成される。特に図2を参照すると、操作装置12は、車両の制動に用いられるブレーキ12cを有する。ブレーキ12cもまた、乗車部20の乗員Pの足によって操作可能に構成される。
【0037】
特に図1及び図2を参照すると、乗車部20は、乗員Pの着座を可能とするシート21を有する。シート21は、乗員Pの臀部を支持するシートクッション21aを有する。操作部10と乗車部20のシート21との間には空間が形成される。シートクッション21aの高さは、乗員Pがシートクッション21aに着座した状態で操作装置12を操作可能となるように設定される。シート21は、車両前後方向にて収容部60の筐体61と隣接する。
【0038】
「駆動部の詳細」
図1図3及び図5図7を参照すると、駆動部30は、詳細には次のように構成することができる。図1図2図6、及び図7に示すように、駆動部30は、前方寄りに位置する前縁領域30aと、上方寄りに位置する上縁領域30bとを有する。収容部60は、駆動部30の外部で駆動部30の前縁及び上縁領域30a,30bに沿って配置される。
【0039】
駆動部30の前縁領域30aは、幅方向で見た場合に、駆動部30の中で最前方に位置する駆動部30の前縁に沿って定義される。駆動部30の上縁領域30bは、幅方向で見た場合に、駆動部30の中で最上方に位置する駆動部30の上縁に沿って定義される。
【0040】
図1図3及び図5図7を参照すると、駆動部30の駆動装置32は、モータ33を制御可能とするように構成されるモータ制御装置34を有する。駆動部30は、幅方向に互いに間隔を空けた2つの後輪31を有する。モータ33は、2つの後輪31を駆動可能とするように2つの後輪31に接続される。モータ33、モータ制御装置34、及びドレンタンク71は、幅方向にて2つの後輪31間に配置される。
【0041】
「燃料電池ユニットの詳細」
図5図7を参照すると、燃料電池ユニット40は、詳細には次のように構成することができる。燃料電池ユニット40においては、燃料電池スタック41が、燃料タンク50から供給される燃料を利用して電力を生成する。
【0042】
燃料電池ユニット40は、燃料電池スタック41に圧縮された空気を送ることができるように構成される圧縮機42を有する。圧縮機42から燃料電池スタック41に送られた空気は、燃料電池スタック41の電力生成に用いられる。圧縮機42は、その内部に空気を取り入れるように構成される空気取入口42aを有する。空気取入口42aは、前方から後方に向かって圧縮機42に空気を取り入れることができるように前方を向いて開口する。圧縮機42は、燃料電池スタック41に対して幅方向の一方側に位置する。
【0043】
燃料電池ユニット40は、燃料電池スタック41から排出される気体を収容部60の外部に排出すべく、燃料電池スタック41から排気口62に向けて送るように構成される排気ファン43を有する。排気ファン43は、圧縮機42に対して幅方向の他方側に位置する。排気ファン43は、燃料電池スタック41に対して後方に位置する。
【0044】
燃料電池ユニット40は、燃料電池スタック41により発電された電力を取り出すことを可能とするように構成される電源回路44を有する。電源回路44は、排気ファン43に対して幅方向の他方側に位置する。電源回路44にて取り出された電力は、モータ33又は補機を動作させるためにモータ33に供給されるか、又は二次電池ユニット81の駆動電池81a又は補機電池81bを充電するために駆動電池81a又は補機電池81bに送られる。
【0045】
ここで、補機は、モータ33以外の電気機器とすることができる。例えば、補機としては、モータ制御ユニット34、圧縮機42、排気ファン43、後述する換気口68、二次電池制御装置83、複合制御装置84、その他車載電装品等のような電気機器が挙げられる。
【0046】
「燃料タンクの詳細」
図1図2図4図6、及び図7を参照すると、燃料タンク50は、詳細には次のように構成することができる。燃料タンク50は、可搬式高圧容器とすることができる。複数の燃料タンク50における主止バルブ52の開閉量は調節可能である。
【0047】
複数の燃料タンク50の主止バルブ52は、幅方向の同じ側を向く。上述した圧縮機42は、燃料電池スタック41に対して、幅方向のうち主止バルブ52を向けた側に位置する。複数の燃料タンク50の主止バルブ52は、上下方向に並んでいる。複数の燃料タンク50の主止バルブ52は、鉛直線上に並ぶことができる。
【0048】
図4及び図6に示すように、燃料電池車両は、複数の燃料タンク50の主止バルブ52から流出する燃料を燃料電池スタック41に向けて送ることができるように延びる燃料供給管53を有する。燃料供給管53は、複数の燃料タンク50の主止バルブ52及び燃料電池スタック41に接続される。燃料供給管53を通過する燃料の流量は調節可能とすることができる。
【0049】
「収容部の詳細」
図1図7を参照すると、収容部60は、詳細には次のように構成することができる。図1図2、及び図4を参照すると、収容部60は、その内部に空気を流入可能とするように構成される吸気口60aを有する。吸気口60aは、収容部60の下端部に配置される。吸気口60aは、収容部60のタンク収容部60bの下端部に配置される。
【0050】
図1図2図4図6、及び図7を参照すると、収容部60のタンク収容部60bは、駆動部30の前縁領域30aに沿って配置される。収容部60のタンク収容部60bは、駆動装置32よりも前方寄りに位置する。タンク収容部60bは、燃料タンク50を収容する。
【0051】
図1図3及び図5図7を参照すると、収容部60の燃料電池収容部60cは、タンク収容部60bの上端部から後方に向かって駆動部30の上縁領域30bに沿って配置される。燃料電池収容部60cは、駆動装置32よりも上方寄りに位置する。タンク収容部60b及び燃料電池収容部60cは、互いに前後方向に隣接する。
【0052】
図1図7を参照すると、収容部60の筐体61は、タンク収容部60b及び燃料電池収容部60c間を仕切る中間筐体部61aを有する。筐体61は、中間筐体部61aと一緒になって、タンク収容部60bを画定するタンク側筐体部61bを有する。筐体61は、中間筐体部61aと一緒になって、燃料電池収容部60cを画定する燃料電池側筐体部61cを有する。
【0053】
図1図5を参照すると、収容部60は、第1吸気ダクト63に加えて、第2吸気ダクト64を有する。第2吸気ダクト64もまた、収容部60の内部に空気を流入可能とするように構成される。第1及び第2吸気ダクト63,64は、幅方向に互いに間隔を空けている。
【0054】
第1及び第2吸気ダクト63,64は、収容部60のタンク収容部60bに対して幅方向の両側に位置し、かつタンク収容部60bと幅方向に隣接する。収容部60は、第1及び第2吸気ダクト63,64のそれぞれとタンク収容部60bとを連通させるように形成される少なくとも1つの連通口63b,64bを有している。第1及び第2吸気ダクト63,64のそれぞれは下方から上方に向かって延びる。第1及び第2吸気ダクト63,64のそれぞれは、鉛直方向に延びることができる。
【0055】
タンク収容部60bと第1吸気ダクト63とを連通させるように形成される複数の連通口63bの数は、複数の燃料タンク50の数に対応する。第1吸気ダクト63は、その内部に空気を流入可能とするように構成される吸気口63aを有する。吸気口63aは、第1吸気ダクト63の下端部に配置される。この吸気口63aは、上述した収容部60の吸気口60aに相当する。吸気口63aは、下方を向いて開口する。しかしながら、吸気口は、前方、後方、又は幅方向の外方を向いて開口することもできる。
【0056】
図2及び図4を参照すると、第2吸気ダクト64は、複数の燃料タンク50よりも幅方向の他方寄りに位置する。第2吸気ダクト64は、上下方向に並んだ複数の燃料タンク50に沿って下方から上方に向かって延びている。第2吸気ダクト64は、幅方向で、第1吸気ダクト63と略対称に形成することができる。
【0057】
第2吸気ダクト64は、その内部に空気を流入可能とするように構成される吸気口64aを有する。吸気口64aは、第2吸気ダクト64の下端部に配置される。この吸気口64aもまた、上述した収容部60の吸気口60aに相当する。吸気口64aは、下方を向いて開口する。しかしながら、吸気口は、前方、後方、又は幅方向の外方を向いて開口することもできる。
【0058】
収容部60は、第2吸気ダクト64とタンク収容部60bとを連通させるように形成される1つの連通口64bを有する。しかしながら、収容部は、第2吸気ダクトとタンク収容部とを連通させるように形成される複数の連通口を有することもできる。この場合、複数の連通口は、それぞれ、複数の燃料タンクと対向するように配置することもできる。
【0059】
1つの連通口64bは、複数の燃料タンク50のうち最も上側に位置する燃料タンク50に対応するように配置される。しかしながら、1つの連通口は、複数の燃料タンクのうち最も上側に位置する燃料タンク以外の燃料タンクに対応するように配置することもできる。例えば、1つの連通口は、複数の燃料タンクのうち最も下側に位置する燃料タンクに対応するように配置することもできる。
【0060】
図6に示すように、収容部60は、タンク収容部60bと燃料電池収容部60cとを接続するように開口する接続口65を有する。接続口65は、燃料電池ユニット40の圧縮機42の空気取入口42aと対向するように後方を向いている。接続口65の上端は、空気取入口42aの下端よりも上方に位置している。
【0061】
接続口65は、中間筐体部61aを貫通するように形成される。接続口65の周縁部は、中間筐体部61aから空気取入口42aに向かって突出するように形成できる。接続口65は、前後方向で見て空気取入口42aと重なるように配置される。接続口65は、その全体を前後方向で見て空気取入口42aと重ねるように配置することができる。
【0062】
図3図5、及び図7を参照すると、排気口62は、燃料電池側筐体部61cの後端部を前後方向に貫通するように形成される。排気口62は、燃料電池ユニット40の排気ファン43に対して後方に配置される。排気口62は、前後方向にて排気ファン43と対向する。
【0063】
排気口62の周縁部は、燃料電池側筐体部61cの後端部から排気ファン43に向かって突出するように形成できる。排気口62は、前後方向で見て、排気ファン43と重なるように配置される。排気口62は、その全体を前後方向で見て排気ファン43と重ねるように配置することができる。
【0064】
図4図6、及び図7を参照すると、収容部60のフレーム組立体66は、複数の燃料タンク50を囲むように配置される。フレーム組立体66は、上下方向に沿って配置される複数の縦フレーム66a,66bを有する。各縦フレーム66a,66bは細長形状に形成される。フレーム組立体66は、水平方向に沿って配置される複数の横フレーム66c,66d,66eを有する。各横フレーム66c,66d,66eは細長形状に形成される。
【0065】
フレーム組立体66は、タンク収容部60b内に配置される。筐体61の中間筐体部61a及びタンク側筐体部61bは、フレーム組立体66によって支持される。筐体61の中間筐体部61a及びタンク側筐体部61bはまた、フレーム組立体66に取り付けられる。
【0066】
複数の縦フレーム66a,66bは、上述したように、フレーム組立体66の幅方向の一方側端に位置する少なくとも1つの第1縦フレーム66aを有する。フレーム組立体66は、前後方向に間隔を空けた2つの第1縦フレーム66aを有することができる。
【0067】
複数の縦フレーム66a,66bは、上述したように、フレーム組立体66の幅方向の他方側端に位置する少なくとも1つの第2縦フレーム66bを有する。第2縦フレーム66bは、前後方向で見て、燃料タンク50の容器51と第2吸気ダクト64との間に位置する。フレーム組立体66は、前後方向に間隔を空けた2つの第2縦フレーム66bを有することができる。
【0068】
複数の横フレーム66c,66d,66eは、上述したように、幅方向に対向する第1及び第2縦フレーム66a,66bを連結する複数の第1横フレーム66cを有する。各第1横フレーム66cは、幅方向に沿って配置される。複数の第1横フレーム66cは、上下方向に互いに間隔を空けている。
【0069】
複数の横フレーム66c,66d,66eは、2つの第1縦フレーム66aを連結する複数の第2横フレーム66dを有する。各第2横フレーム66dは、前後方向に沿って配置される。複数の横フレーム66c,66d,66eは、2つの第2縦フレーム66bを連結する複数の第3横フレーム66eを有する。各第3横フレーム66eは、前後方向に沿って配置される。
【0070】
図1図2図4図6、及び図7を参照すると、第1吸気ダクト63は、第1縦フレーム66aによって支持される。しかしながら、第1吸気ダクト63は、第1縦フレーム66aの代わりに又は第1縦フレーム66aに加えて、第2横フレーム66dによって支持することもできる。第2吸気ダクト64は、第2縦フレーム66bによって支持される。しかしながら、第2吸気ダクト64は、第2縦フレーム66bの代わりに又は第2縦フレーム66bに加えて、第3横フレーム66eによって支持することもできる。
【0071】
図6及び図7を参照すると、収容部60は、その内部で流出した燃料を検知可能に構成される燃料漏れ検知部67を有する。燃料漏れ検知部67は、燃料電池収容部60c内に配置される。特に、燃料漏れ検知部67は、燃料電池収容部60cの上端かつ後端に配置できる。
【0072】
図1図3及び図5を参照すると、収容部60は、その内部で流出した燃料を収容部60の外部に放出可能とするように構成される換気口68を有する。換気口68は開閉可能に構成される。換気口68の開閉量は調節可能である。
【0073】
換気口68もまた、燃料電池収容部60cに配置される。特に、換気口68は、筐体61の燃料電池側筐体部61cに配置することができる。さらに、換気口68は、燃料電池側筐体部61cの幅方向の側面における上端かつ後端に配置することができる。
【0074】
換気口68は、通常時には閉鎖されている。換気口68は、燃料漏れ検知部67が燃料電池収容部60c内に流出した燃料を検知した場合において、燃料を収容部60の外部に放出可能とするように開放される。
【0075】
「ドレン機構の詳細」
図3及び図5図7を参照すると、ドレン機構70は、詳細には次のように構成することができる。図3及び図5に示すように、ドレンタンク71は、駆動装置32に対して幅方向の一方側に位置する。ドレンタンク71は、駆動装置32のモータ33に対して幅方向の一方側に位置する。駆動装置32のモータ制御装置34は、駆動装置32のモータ33に対して幅方向の他方側に位置する。
【0076】
図6及び図7に示すように、燃料電池ユニット40の燃料電池スタック41は、上方寄りに位置する燃料電池収容部60cの上部内に配置される。図7に示すように、ドレン機構70のドレン管72は、燃料電池スタック41から下方に向かって延びる。ドレン管72は、燃料電池スタック41にて生成される水を、重力によって燃料電池スタック41からドレンタンク71に送ることができるように延びる。
【0077】
ドレン管72は、燃料電池スタック41の下端部に接続される上流端部を有する。ドレン管72はまた、ドレンタンク71の上端部に接続される下流端部を有する。ドレン管72は、可撓性を有するホースとして構成することができる。ドレン管72は、ドレンタンク71に離脱可能に取り付けられるように構成することができる。
【0078】
ドレンタンク71は、車体1に離脱可能に取り付けられるように構成することができる。この場合、ドレンタンク71が車体1から取り外された状態で、ドレンタンク71の内部に溜まった水を捨てることができる。
【0079】
「電力制御部の詳細」
図4図7を参照すると、電力制御部80は、詳細には次のように構成することができる。二次電池ユニット81及び電力調節ユニット82は、収容部60の外部かつ収容部60の上方に配置される。さらに、二次電池ユニット81は、電力調節ユニット82よりも前方寄りに配置される。
【0080】
電力制御部80の二次電池ユニット81は、主電源として構成される二次電池である駆動電池81aを有する。駆動電池81aは、高電圧電池81aと呼ばれることもできる。二次電池ユニット81は、補機電源として構成される二次電池である補機電池81bを有する。典型的に、補機電池81bは、12V(ボルト)電池として構成できる。
【0081】
電力制御部80の電力調節ユニット82は、駆動電池81aの電力を調節可能とするように構成される駆動電力調節ユニット82aを有する。電力調節ユニット82は、補機電池81bの電力を調節可能とするように構成される補機電力調節ユニット82bを有する。駆動電力調節ユニット82aは、駆動電池81a用のDC/DCコンバータ(「DC」は、「Direct Current」の略称である)82aとして構成することができる。補機電力調節ユニット82bは、補機電池81b用のDC/DCコンバータ82bとして構成できる。
【0082】
電力制御部80は、二次電池ユニット81の充電及び放電を制御可能に構成される二次電池制御装置83を有する。二次電池制御装置83は、電力調節ユニット82並びに駆動電力及び補機電力調節ユニット82a,82bを制御可能とするように構成される。
【0083】
電力制御部80は、車両の駆動制御、燃料電池ユニット40の制御等のような複数の制御を実行可能とするように構成される複合制御装置84を有する。複合制御装置84は、操作装置12からの指示に基づいて、モータ制御装置34及び二次電池制御装置83と協働して車両を駆動制御するように構成される。複合制御装置84は、燃料電池ユニット40の燃料電池スタック41、圧縮機42、及び排気ファン43を制御可能とするように構成される。
【0084】
複合制御装置84は、複数の燃料タンク50における主止バルブ52の開閉を制御可能とするように構成することができる。複合制御装置84は、燃料漏れ検知部67の検知に基づいて、必要に応じて主止バルブ52を閉止可能とするように構成される。
【0085】
電力制御部80は、収容部60の筐体61の上端面と一緒になって、この電力制御部80を画定するカバー85を有する。カバー85は、上方から電力制御部80を囲むように形成される。カバー85は、収容部60の筐体61の上端面に離脱可能に取り付けられる。
【0086】
カバー85が筐体61の上端面から取り外された状態では、車両外部に開放された二次電池ユニット81の駆動電池81a及び補機電池81bを容易に交換できる。カバー85が筐体61の上端面から取り外された状態では、車両外部に開放された二次電池ユニット81の駆動電池81a及び補機電池81b、電力調節ユニット82の駆動電力調節ユニット82a及び補機電力調節ユニット82b、二次電池制御装置83、並びに複合制御装置84を容易にメンテナンスできる。
【0087】
駆動電池81aは、補機電池81bに対して前方に配置される。駆動電池81aは、補機電池81bに対して前後方向に隣接する。駆動及び補機電力調節ユニット82a,82bは、補機電池81bに対して後方に配置される。駆動及び補機電力調節ユニット82a,82bは、補機電池81bに対して前後方向に間隔を空けている。
【0088】
二次電池制御装置83は、二次電池ユニット81と幅方向に並んでいる。特に、二次電池制御装置83は、二次電池ユニット81の駆動電池81aと幅方向に並ぶことができる。複合制御装置84は、二次電池制御装置83に対して後方に配置される。複合制御装置84は、電力調節ユニット82と幅方向に並んでいる。特に、複合制御装置84は、電力調節ユニット82の駆動及び補機電力調節ユニット82a,82bと幅方向に並ぶことができる。
【0089】
「燃料電池車両の機能」
本実施形態に係る燃料電池車両は、次のような機能を発揮することができる。ここでは、一例として、燃料電池車両が水素燃料を用いる場合を説明する。燃料電池車両においては、水素燃料を燃料タンク50から燃料電池ユニット40に供給する機構と、燃料電池ユニット40を用いて発電する機構とが、収容部60に収められている。
【0090】
この収容部60におけるタンク収容部60bの幅方向両側の左右側面には、吸気ダクト63,64がそれぞれ配置されている。吸気ダクト63,64は、その下端部にて開口するように形成される吸気口63a,64aを有する。吸気ダクト63,64においては、空気が吸気口63a,64aから上方に向かい、その後、連通口63b,64bを通って収容部60に入る。このように収容部60に入った空気が、燃料電池ユニット40の発電に用いられる。そのため、吸気ダクト63,64は、燃料電池ユニット40の発電に必要な空気を供給する役割を果たしている。
【0091】
このような吸気ダクト63,64の形状について、吸気ダクト63,64は下方から上方に向かって延びている。そのため、吸気ダクト63,64の下端部の吸気口63a,64aからの吸気中において、塵や埃等の異物が空気に混入した場合であっても、このような異物を連通口63b,64bに到達する前に異物の自重によって落下させることができる。収容部60において、燃料電池ユニット40に供給された空気は、水素との反応用空気として圧縮機42から燃料電池スタック41に送られ、次に、燃料電池スタック41自体の冷却のため燃料電池スタック41の前面から吸気され、さらに、反応後や冷却後等においては排気ファン43により排気口62から排出されるように流れる。
【0092】
通常、収容部60の内部は、燃料電池ユニット40の運転中に弱負圧になる一方で、収容部60の内部は、燃料電池ユニット40の停止時には常圧になる。このような収容部60には、燃料タンク50の周辺に位置する燃料供給管53等の配管が収められている。燃料電池車両の運転中において、この配管から水素が漏出した場合、燃料電池車両は、燃料漏れ検知部67にて決められた水素濃度を超えた時点で燃料タンク50の主止バルブ52を閉止し、かつ燃料電池ユニット40の運転を停止するように機能する。
【0093】
燃料電池ユニット40の停止後においては、収容部60内の水素はより上方に集まり、換気口68から収容部60の外部に自然に排出することができる。このような収容部60の天井面は、前方から後方に向けて高くなるように形成されるとよく、さらに、最も高くなった収容部60の天井面の後端部近傍に、換気口68が位置するとよい。燃料漏れ検知部67は、収容部60内にて水素が検知し易い場所に配置されるとよい。収容部60内には、1つの燃料漏れ検知部67を配置してもよいし、複数の燃料漏れ検知部67を配置してもよい。燃料漏れ検知部67を換気口68付近に配置することもまた水素検知には有効ある。
【0094】
以上、本実施形態に係る燃料電池車両は、前方寄りに位置する前輪11と、走行操作に用いられる操作装置12とを有する操作部10と、乗員Pの搭乗を可能とするように構成され、かつ前記操作部10よりも後方寄りに位置する乗車部20と、前記前輪11よりも後方寄りに位置する後輪31と、前記後輪31を駆動可動とするように構成されるモータ33とを有し、かつ前記乗車部20よりも後方寄りに位置する駆動部30と、前記モータ33の駆動に用いられる電力を生成可能とするように構成される燃料電池ユニット40と、前記燃料電池ユニット40の電力の生成に用いられる燃料を貯蔵可能とするように構成される燃料タンク50とを備え、前記燃料タンク50が、前記燃料を貯蔵する容器51と、前記容器51の首部に取り付けられ、かつ前記容器51の内部及び外部間における前記燃料の流通を開放及び閉鎖可能とするように構成される主止バルブ52とを有する、燃料電池車両であって、前記燃料電池ユニット40及び前記燃料タンク50を収容する収容部60を備え、前記収容部60が、前後方向にて前記乗車部20及び前記駆動部30の間に位置するタンク収容部60bと、前記収容部60の内部に空気を流入可能とするように構成される吸気ダクト63,64とを有し、前記燃料タンク50が、前記タンク収容部60b内にて前記主止バルブ52を幅方向の一方に向けるように配置され、前記吸気ダクト63が、前記主止バルブ52よりも車両幅方向の一方寄りに位置し、かつ幅方向で見て、前記主止バルブ52とオーバーラップしており、前記収容部60は、前記吸気ダクト63と前記タンク収容部60bとを連通させるように形成される連通口63bを有している。
【0095】
このような燃料電池車両においては、車両の側突時に車体1の側面に外力が加えられた場合であっても、このような外力を、燃料タンク50、特に、燃料タンク50の主止バルブ52に伝わる前に、中空の吸気ダクト63によって吸収することができる。そのため、燃料タンク50、特に、燃料タンク50の主止バルブ52を効率的に保護することができる。
【0096】
例えば、水素等の燃料を燃料タンク50から燃料電池ユニット40に供給するときには、燃料タンク50の容器51が断熱膨張によって冷却され、さらに、容器51の冷却によって主止バルブ52もまた冷却される。吸気ダクト63は、このように冷却された主止バルブ52の近傍に配置されるので、吸気ダクト63にて流れる空気を、冷却された主止バルブ52によって効率的に冷却することができる。そのため、吸気ダクト63を通って燃料電池ユニット40に送られる空気によって、燃料電池ユニット40を効率的に冷却することができる。すなわち、燃料電池ユニット40の冷却効率を向上させることができる。
【0097】
本実施形態に係る燃料電池車両においては、複数の前記燃料タンク50が上下方向に並んでおり、前記吸気ダクト63が、上下方向に並んだ前記複数の燃料タンク50の主止バルブ52に沿って下方から上方に向かって延びており、前記収容部60が、前記燃料電池ユニット40を収容し、前記タンク収容部60bよりも後方寄りに位置し、かつ前記駆動部30よりも上方に位置する燃料電池収容部60cを有し、前記収容部60が、その内部の気体を前記収容部60の外部に排出可能とするように構成される排気口62を有し、前記排気口62が、前記駆動部30よりも後方寄りに位置する前記収容部60の燃料電池収容部60cの後端部に配置されている。
【0098】
このような燃料電池車両においては、吸気ダクト63にて流れる空気を、冷却された複数の主止バルブ52によって効率的に冷却することができる。また、吸気ダクト63は、収容部60の燃料電池収容部60cの後端部に位置する排気口62に対して前方側に離れている。そのため、収容部60内で暖められた空気が、排気口62から排出された後に吸気ダクト63に流れるのを防ぐことができ、その結果、このような空気に起因する吸気ダクト63に流れる空気の温度上昇を防ぐことができる。よって、吸気ダクト63を通って燃料電池ユニット40に送られる空気によって、燃料電池ユニット40を効率的に冷却することができる。すなわち、燃料電池ユニット40の冷却効率を向上させることができる。ひいては、吸気ダクト63,64が下方から上方に向かって延びているので、吸気時に侵入した塵や埃等の異物をその重力によってスムーズに振り落とすことができる。
【0099】
本実施形態に係る燃料電池車両においては、前記連通口63bが、前記複数の燃料タンク50のうち最も下側に位置する燃料タンク50に対応するように配置されている。
【0100】
このような燃料電池車両においては、空気はその温度が低いほど下方寄りに位置するので、このような低温の空気を連通口63bから収容部60のタンク収容部60b内に効率的に取り入れることができる。また、吸気ダクト63は、すべての燃料タンク50の主止バルブ52近傍を通過するように下方から上方に向かって移動できるので、吸気ダクト63にて流れる空気を、冷却されたすべての主止バルブ52によって効率的に冷却することができる。
【0101】
本実施形態に係る燃料電池車両においては、複数の前記連通口63bが、それぞれ前記複数の燃料タンク50の主止バルブ52と対向するように配置されている。このような燃料電池車両においては、吸気ダクト63からタンク収容部60bに送られる空気を、複数の主止バルブ52によって効率的に冷却することができる。
【0102】
本実施形態に係る燃料電池車両においては、前記燃料電池ユニット40が、前記モータ33の駆動に用いられる電力を生成可能とするように構成される燃料電池スタック41と、前記燃料電池スタック41に圧縮された空気を送ることができるように構成される圧縮機42とを有し、前記圧縮機42が、この圧縮機42に空気を取り入れるように構成される空気取入口42aを有し、前記収容部60が、前記タンク収容部60bと前記燃料電池収容部60cとを接続するように開口する接続口65を有し、前記空気取入口42aが、前記接続口65と対向するように車両前方を向いており、前記接続口65の上端が前記空気取入口42aの下端よりも上方に位置している。
【0103】
このような燃料電池車両においては、吸気ダクト63を通りながら冷却された空気が、タンク収容部60b内に入った後に、接続口65を通って燃料電池収容部60cの圧縮機42の空気取入口42aに確実に送られるので、圧縮機42の作動効率を向上させることができる。さらには、燃料電池ユニット40の冷却効率を向上させることができる。
【0104】
本実施形態に係る燃料電池車両においては、前記収容部60が、幅方向に間隔を空けた2つの縦フレーム66a,66bと、車両幅方向沿って配置される複数の横フレーム66cとを有するフレーム組立体66を含み、前記複数の横フレーム66cが、車両上下方向にて互いに間隔を空けており、かつ前記2つの縦フレーム66a,66bを連結するように延びており、前記燃料タンク50が、前記フレーム組立体66の内側に配置され、前記2つの縦フレーム66a,66bのうち一方側の縦フレーム66aが、前記主止バルブ52を向けた側に配置され、前後方向で見て、前記一方側の縦フレーム66aが、前記主止バルブ52及び前記吸気ダクト63の間に位置している。
【0105】
このような燃料電池車両においては、フレーム組立体66の内側に位置する燃料タンク50の主止バルブ52によって吸気ダクト63を通る空気を効率的に冷却可能とするように、吸気ダクト63を配置することができる。
【0106】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0107】
10…操作部、11…前輪、12…操作装置
20…乗車部
30…駆動部、31…後輪、33…モータ
40…燃料電池ユニット、41…燃料電池スタック、42…圧縮機、42a…空気取入口
50…燃料タンク、51…容器、52…主止バルブ
60…収容部、60b…タンク収容部、60c…燃料電池収容部、62…排気口、63…吸気ダクト、第1吸気ダクト、63b…連通口、65…接続口、66…フレーム組立体、66a…縦フレーム、第1縦フレーム、66b…縦フレーム、第2縦フレーム、66c…横フレーム、第1横フレーム
P…乗員
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7