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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】安全継手用収容装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20240725BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20240725BHJP
   F16L 37/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16L57/00 C
F16L1/00 F
F16L37/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022095546
(22)【出願日】2022-06-14
(65)【公開番号】P2023182127
(43)【公開日】2023-12-26
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】鶫 雄太
(72)【発明者】
【氏名】大戸 淑生
(72)【発明者】
【氏名】大内 敏彦
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-046453(JP,A)
【文献】特開2019-015387(JP,A)
【文献】特開昭61-142911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00 - 58/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填ホースに接続されたプラグと、水素充填装置側の部材であるソケットを有する安全継手を収容する機能を有し、前記安全継手は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグとソケットが収容されており、
ケーシングの下方先端の開口にはローラー配置構造が設けられ、ローラー配置構造には正面ローラーと正面ローラーに隣接する2個の側方ローラーが設けられ、側方ローラーが変位可能に構成され、
正面ローラーが支持された正面部を有し、正面部には側方ローラーの中心軸の一方が挿入される長孔が形成されていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【請求項2】
充填ホースに接続されたプラグと、水素充填装置側の部材であるソケットを有する安全継手を収容する機能を有し、前記安全継手は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグとソケットが収容されており、
ケーシングの下方先端の開口にはローラー配置構造が設けられ、ローラー配置構造には正面ローラーと正面ローラーに隣接する2個の側方ローラーが設けられ、側方ローラーが変位可能に構成され、
正面ローラーが支持された正面部を有し、正面部にはその一端が正面部の外縁部に到達し、側方ローラーの中心軸の一方が挿入される切欠きを構成する長孔が形成されていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【請求項3】
充填ホースに接続されたプラグと、水素充填装置側の部材であるソケットを有する安全継手を収容する機能を有し、前記安全継手は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグとソケットが収容されており、
ケーシングの下方先端の開口にはローラー配置構造が設けられ、ローラー配置構造には正面ローラーと正面ローラーに隣接する2個の側方ローラーが設けられ、側方ローラーが変位可能に構成され、
正面ローラーが支持された正面部を有し、正面部には側方ローラーの中心軸の一方が挿入される円形の貫通孔が形成されており、当該貫通孔から正面部の外縁部に至る領域は変形可能或いは破断可能に構成されていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【請求項4】
前記ケーシング内に中空形状のガイド部材が設けられ、ソケットから分離したプラグはガイド部材の中空部を通過する様に配置されており、ガイド部材の下方先端の開口はローラー配置構造近傍に位置している請求項1~の何れか1項の安全継手用収容装置。
【請求項5】
ローラー支持部材は全体がコ字状に構成され、コ字状の開放側の空間が正面ローラー及び側方ローラーよりも上方に位置されている請求項1~の何れか1項の安全継手用収容装置。
【請求項6】
充填ホースに接続されたプラグと、水素充填装置側の部材であるソケットを有する安全継手を収容する機能を有し、前記安全継手は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグとソケットが収容されており、
ケーシングの下方先端の開口にはローラー配置構造が設けられ、ローラー配置構造には正面ローラーと正面ローラーに隣接する2個の側方ローラーが設けられ、側方ローラーが変位可能に構成され、
前記ローラー配置構造は正面ローラーと側方ローラーを支持するローラー支持部材を有し、
側方ローラーの中心軸の一端は基部板状部材に支持されており、基部板状部材は第1の弾性部材を介してケーシングの内壁面に固定された突出部材に接続されており、第2の弾性部材を介してケーシングの内壁面に接続されていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【請求項7】
充填ホースに接続されたプラグと、水素充填装置側の部材であるソケットを有する安全継手を収容する機能を有し、前記安全継手は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグとソケットが収容されており、
ケーシングの下方先端の開口にはローラー配置構造が設けられ、ローラー配置構造には正面ローラーと正面ローラーに隣接する2個の側方ローラーが設けられ、側方ローラーが変位可能に構成され、
左右の側方ローラーの各々はローラー支持部材の側方ローラー包囲部により左右の側方ローラーの各々における周囲部の一部が包囲されており、
正面ローラーが支持された正面部は板状部材で構成され、その板状部材の長手方向端部における側方ローラーの中心軸を支持している領域と、板状部材の長手方向中央における領域とは分離しており、側方ローラーの中心軸を支持している領域と、板状部材の長手方向中央における領域はヒンジ機構により接続されていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【請求項8】
充填ホースに接続されたプラグと、水素充填装置側の部材であるソケットを有する安全継手を収容する機能を有し、前記安全継手は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグとソケットが収容されており、
ケーシングの下方先端の開口にはアーム配置構造が設けられ、アーム配置構造には正面アームと正面アームに隣接する2個の側方アームが設けられ、側方アームが変位可能に構成されており、
前記正面アーム及び側方アームの各々は、円滑で且つ断面円形(長円形を含む)の円柱部と、円柱部に固定された板状部を有し、板状部はケーシングの内壁面に回転可能に支持されており、
各々のアームにはケーシング内壁面或いはそれに固定された部材に接続された弾性部材が接続されていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料として用いられる水素ガス等の気体を充填するための充填装置(水素充填装置)で用いられる管継手であって、緊急時に水素充填装置と充填ホースとを分離する機能を有する管継手(安全継手)を収容する安全継手用収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水素を燃料として走行する車両A(例えば燃料電池自動車FCV)では、図16で示す様に、水素充填設備で充填ホース201先端に設けた充填ノズル202と車両側充填口203を接続して、水素ガスを充填する。この充填は、車両Aに搭載された水素タンク204の最高使用圧力に基づいて制御される。
ここで、(極めて稀なケースではあるが)例えば水素充填作業をしている作業員の意識していない状態で、車両A(FCV:燃料電池自動車)が何らかの理由で発進してしまう場合がある。或いは、水素充填中のFCVに他のFCVが衝突してしまう事象が存在する。その様な場合には、充填ホース201が引っ張られ、水素充填装置200が転倒し破損して、可燃性の水素ガスが噴出し、危険な状態になる。その様な事態を回避するため、緊急離脱用の管継手300(安全継手)を水素充填装置200と充填ホース201の間の領域に設け、充填ホース201に一定以上の引張荷重が作用すると管継手300を分離して、水素充填装置200が破損することを防止している。
ただし、管継手300が分離するという事象は極めて稀に発生するものであり、日常的に生じる訳ではない。
【0003】
ところで、充填ホース201に一定以上の引張荷重が掛からない場合であっても、充填ホース201が揺動すると、当該揺動によるモーメントが管継手300の車両側部材(プラグ)の充填ホース取付け部に作用し、当該取付け部を破損して、破損個所から水素ガスが漏出してしまう恐れがある。
それに対して、出願人は、充填ホース201の揺動によるモーメントにより安全継手300のプラグが破損してしまうことを防止する対策を提案している(特許文献1参照)。
【0004】
図17で示す様に、水素充填装置200において、管継手300(図17では破線の引き出し線のみで示す)はケーシング320内に内蔵されている。図17において、符号205は水素充填装置側の構成部材である。
管継手300は、充填ホース201に接続されたプラグ(管継手の車両側の部材)と、水素充填装置側の部材であるソケットを含み、所定以上の引張荷重が作用した時にはプラグがソケットから分離する(管継手300が分離する)。管継手300が分離した場合、充填ホース201及びそれに結合されたプラグが通過するガイド部材(ケーシング320に内蔵される部材:図17では図示せず)の中空部を経由して移動し、ケーシング320の下方の開口320Aから抜け出る。
FCVが予期せぬ発進をした場合や、水素充填中のFCVに他のFCVが衝突した場合において、水素充填装置200を引っ張る力は垂直方向ではなく、水平方向(横方向)に作用する。その結果、管継手300が分離した場合に、車両側部材(プラグ)がケーシング先端の開口320Aに引っ掛かる(係止する)場合が存在する。
FCVが予期せぬ発進をして管継手300が分離した場合に、プラグがケーシング先端の開口320Aに係止してしまうと、プラグとケーシング先端開口320Aとの係止箇所を介して、FCVが充填ホース201を引っ張る力が水素充填装置200に伝達され、水素充填装置200の転倒という危険な事態を生じる恐れがある。
【0005】
また、充填ホース201のホース外周部には、スプリング、赤外線ファイバー、メッシュ等が配置されており、充填ホースのカバーも存在するため、ケーシング320の開口320Aと係止し易い(引っ掛かり易い)。
すなわち、充填ホース201先端のプラグがケーシング先端の開口320Aに係止することに加えて、充填ホース201がケーシング先端の開口320Aに係止する事態が生じる可能性がある。そして充填ホース201或いはプラグがケーシング先端の開口320Aに係止してしまうと、FCVが水素充填装置200を引っ張って、水素充填装置200を転倒、損傷させてしまう恐れが存在する。
上述した従来技術(特許文献1)では、その様な事態に対処することは考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6590159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、安全継手が分離した場合に、安全継手のプラグ或いは充填ホースがケーシング先端の開口部に係止してしまうことを防止して、水素充填装置の転倒、破損を防止することが出来る安全継手用収容装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の安全継手用収容装置(100)は、
充填ホース(61)に接続されたプラグ(10:管継手の車両側の部材)と、水素充填装置側の部材であるソケット(20)を有する安全継手(101:プラグ10とソケット20)を収容する機能を有し、前記安全継手(101)は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグ(10)とソケット(20)が収容されており、
ケーシングの下方先端の開口(FCV側の開口)にはローラー配置構造(50)が設けられ、ローラー配置構造(50)には正面ローラー(30)と正面ローラー(30)に隣接する2個の側方ローラー(40)が設けられ、側方ローラー(40)が変位可能に構成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明において、正面ローラー(30)が支持された正面部(51A)を有し、正面部(51A)には側方ローラー(40)の中心軸の一方が挿入される長孔(52)が形成されているのが好ましい(図1図3)。
或いは、正面ローラー(30)が支持された正面部(51A-2)を有し、正面部(51A-2)にはその一端が正面部(51A-2)の外縁部に到達して切欠きを構成する長孔(52-2)が形成されているのが好ましい(図6図7)。
また、正面ローラー(30)が支持された正面部(51A-3)を有し、正面部(51A-3)には側方ローラー(40)の中心軸の一方が挿入される円形の貫通孔(52-3)が形成されており、当該貫通孔(52-3)から正面部(51A-3)の外縁部に至る領域(51R-3)は変形可能或いは破断可能に構成されているのが好ましい(図8図9)。
【0010】
ここで、前記ケーシング内に中空形状のガイド部材(70A)が設けられ、ソケット(20)から分離したプラグ(10)はガイド部材(70A)の中空部を通過する様に配置されており、ガイド部材(70A)の下方先端の開口(FCV側の開口)はローラー配置構造(50-1)近傍に位置しているのが好ましい。
そして、ローラー支持部材(51-1)は全体がコ字状に構成され、コ字状の開放側の空間(51SP)が正面ローラー(30)及び側方ローラー(40)よりも上方に位置されているのが好ましい(図4図5)。
【0011】
また本発明において、前記ローラー配置構造(50-4)は正面ローラー(30-4)と側方ローラー(40-4)を支持するローラー支持部材(51-4)を有し、
側方ローラー(40-4)の中心軸(41-4)の一端は基部板状部材(54)に支持されており、基部板状部材(54)は第1の弾性部材(スプリングS2R、S2L)を介してケーシング(図17参照)の内壁面(基板80)に固定された突出部材(55R、55L)に接続されており、第2の弾性部材(スプリングS2T)を介してケーシング(図17参照)の内壁面(基板80)に接続されているのが好ましい(図10図12)。
【0012】
或いは本発明において、左右の側方ローラー(40-6)の各々はローラー支持部材(51-6)の側方ローラー包囲部(51B-6)により左右の側方ローラー(40-6)の各々における周囲部の一部が包囲されており、
正面ローラー(30-6)が支持された正面部(51A-6)は板状部材で構成され、その板状部材の長手方向端部における側方ローラー(40-6)の中心軸を支持している領域(51R1-6)と、板状部材の長手方向中央における領域(51R2-6)とは分離しており、側方ローラー(40-6)の中心軸を支持している領域(51R1-6)と、板状部材の長手方向中央における領域(51R2-6)はヒンジ機構(56)により接続されているのが好ましい(図15)。
【0013】
また本発明の安全継手用収容装置(100-5)は、
充填ホース(61)に接続されたプラグ(10:管継手の車両側の部材)と、水素充填装置側の部材であるソケット(20)を有する安全継手(101)を収容する機能を有し、前記安全継手(101:プラグ10とソケット20)は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、ケーシング内にプラグ(10)とソケット(20)が収容されており、
ケーシングの下方先端の開口(FCV側の開口)にはアーム配置構造(50-5)が設けられ、アーム配置構造(50-5)には正面アーム(33)と正面アーム(33)に隣接する2個の側方アーム(43)が設けられ、側方アーム(43)が変位可能に構成されており、
前記正面アーム(33)及び側方アーム(43)の各々は、円滑で且つ断面円形(長円形を含む)の円柱部(33A、43A)と、円柱部(33A、43A)に固定された板状部(33B、43B)を有し、板状部(33B、43B)はケーシング(図17参照)の内壁面(基板80)に回転可能に支持されており、
各々のアーム(33、43)にはケーシング内壁面或いはそれに固定された部材に接続された弾性部材(復位用スプリングS3、S4R、S4L)が接続されていることを特徴としている(図13図14)。
【発明の効果】
【0014】
上述の構成を具備する本発明によれば、例えば水素充填作業中に燃料電池車両(FCV)が発進しても、プラグ(10)とソケット(20)が分離して、水素充填装置本体には充填ホース(61)の引張力が作用しない。
そして、充填ホース(61)或いはその先端のプラグ(10)がケーシングの開口におけるローラー(30、40)と接触しても、ローラー(30、40)の表面は平滑であるため、充填ホース(61)或いはプラグ(10)はローラー(30、40)と係止してしまうことはなく、充填ホース(61)の引張方向に引っ張られて、円滑にケーシングから抜け出る。
或いは、充填ホース(61)或いはその先端のプラグ(10)がケーシングの開口におけるローラー(30、40)と接触しても、ローラー(30、40)が回転することにより、充填ホース(61)或いはプラグ(10)はローラー(30、40)と係止してしまうことはなく、充填ホース(61)の引張方向に引っ張られて、円滑にケーシングから抜け出る。
そのため、充填ホース(61)或いはプラグ(10)がケーシング先端開口に係止せず(引っ掛からず)、充填ホース(61)に作用する引張力により水素充填装置が引っ張られることが防止される。
【0015】
仮に、充填ホース(61)やプラグ(10)がローラー(30、40)間に挟み込まれ、ローラー(30、40)に引っ掛かってしまったとしても(ローラー30、40と係合したとしても)に、ローラー配置構造(50)により側方ローラー(40)が移動して、プラグ(10)或いは充填ホース(61)がローラー(40)と係合した状態を解除するので、水素充填中にFCVが急発進しても、それにより水素充填装置が引っ張られることが防止される。
すなわち、少なくとも側方ローラー(40)が変位することにより、側方ローラー(40)同士或いは正面ローラー(30)と側方ローラー(40)との水平方向距離及び垂直方向距離が大きくなり、ローラー同士の間隔が大きくなるため、プラグ(10)とローラー(30、40)との係合が解除される。それに加えて、ローラー(30、40)が回転することにより、プラグ(10)或いは充填ホース(61)との摩擦は極めて小さくなり、ローラー配置構造(50)でプラグ(10)或いは充填ホース(61)が係合しても、直ちに係合が解除される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態を示す説明図であって、プラグがソケットから分離してケーシング下縁のローラーと接触した状態を示す図である。
図2図1の符号50で示すローラー配置構造の拡大図である。
図3図2と同じくローラー配置構造の拡大図であるが、図2で示す状態から側方ローラーの中心軸が長孔内を上方に移動した状態を示している。
図4】第1実施形態の第1変形例を示す図である。
図5図4の第1変形例におけるローラー配置構造の拡大図である。
図6】第1実施形態の第2変形例におけるローラー配置構造の説明図である。
図7】第1実施形態の第2変形例において、図6で示す状態から側方ローラーの中心軸が切欠き内を上方に移動した状態を示している。
図8】第1実施形態の第3変形例におけるローラー配置構造の説明図である。
図9】第1実施形態の第3変形例において、図8で示す状態から側方ローラーの中心軸を挿入している貫通孔が変形し、当該変形した貫通孔内を前記中心軸が上方に移動した状態を示している。
図10】本発明の第2実施形態の説明斜視図である。
図11】第2実施形態の側面図である。
図12】第2実施形態において、隣接するローラーの中心軸同士が接続されている態様を示す説明図である。
図13】本発明の第3実施形態の説明図であって、プラグがソケットから分離していない状態を示す図である。
図14】第3実施形態において、プラグがソケットから分離してケーシングの開口近傍に到達した状態を示す説明図である。
図15】本発明の第4実施形態におけるローラー配置構造を示す説明図である。
図16】水素充填設備の概要を示す説明図である。
図17】管継手が水素充填装置に取り付けられている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図15を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1図15において、図示の煩雑を防止するため、図17におけるケーシング320の図示は省略されている。
最初に、図1図9を参照して、第1実施形態(各種変形例を含む)を説明する。
図1図3は、変形例を含まない第1実施形態を示している。第1実施形態に係る安全継手用収容装置は、全体を符号100で示されている。
図1において、安全継手用収容装置100は、安全継手101を収容する機能を有しており、安全継手101は、充填ホース61に接続されたプラグ10(管継手の車両側の部材)とソケット20(水素充填装置側の部材)を含んでいる。安全継手101のプラグ10とソケット20は、所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有している。
また、安全継手用収容装置100はローラー配置構造50を備え、ローラー配置構造50は、充填ホース61やプラグ10がローラー30、40間に挟み込まれ、ローラー30、40に引っ掛かってしまった場合(ローラーと係合した場合)に、ローラー40自体を移動して、プラグ10或いは充填ホース61がローラー30、40と係合した状態を解除する機能を有している。
図1において、符号70は中空のガイド部材であり、符号11はプラグ10のロッドである。
【0018】
図1において、ガイド部材70は中空の円筒形状部材で構成され、ソケット20からプラグ10が分離すると、分離したプラグ10及び充填ホース61は、ガイド部材70内の中空部を移動する。
図1図3において、基盤80はケーシング320(図17)の水素充填装置200(図16図17)側の部分であって、プラグ10とソケット20を含む安全継手101をケーシング320と共に水素充填装置200(図16図17)に取り付けるために設けられている。図1において、ガイド部材70は取付部材71を介して基板80に固定されている。なお、図1図3では明示されていないが、プラグ10とソケット20により構成されている安全継手101とガイド部材70は、ケーシング320内に収容されている。
図1において、ガイド部材70の下方であって、ケーシング320(図1では図示せず:図17参照)の下方先端の開口320A(FCV側の開口:図17参照)に設けられたローラー配置構造は、全体を符号50で表示されている。
【0019】
図2及び図3を参照して、ローラー配置構造50について説明する。
図2図3において、ローラー配置構造50には、正面ローラー30と正面ローラー30に隣接する2個の側方ローラー40が設けられている。ローラー30、40を支持するローラー支持部材51は、板金状の材料で構成されており、正面部51A、背面部51B、上面部51Cを有している。正面部51Aには2個の長孔52が形成されており、2個の長孔52は、2個の側方ローラー40をそれぞれ変位可能に支持するために形成されている。
正面ローラー30の中心軸(回転軸)は、正面部51Aに設けられた軸支部51Nにより両端部近傍を回転可能に支持されている。
図2図3において、左右に設けられている2個の側方ローラー40の中心軸は、各々、正面ローラー30側の端部近傍が正面部51Aに形成された長孔52に挿入されており、正面ローラー30側と反対側(基板80側)の端部近傍は背面部51Bに形成された図示されていない長孔に挿入されている。そして、側方ローラー40の中心軸は、支持部材51の正面部51Aの長孔52と背面部51Bの図示しない長孔により、回転可能に支持されている。
図示の実施形態の正面ローラー30、側方ローラー40では、それぞれの中心軸とローラー部分は一体に回転可能に構成されている。これに対して、図示はされていないが、中心軸とローラー部分を別体に構成して、中心軸は回転しないがローラー部分のみが回転可能に構成することも出来る。
【0020】
支持部材51の正面部51Aに形成された長孔52において、図2図3では向かって右側に形成されている長孔52は、図2図3の矢印A方向(斜め右上方)に向かって延在している。一方、図2図3において向かって左側の長孔52は、斜め左上方に向かって延在している。充填ホース61或いはプラグ10が側方ローラー40に係合した(引っ掛かった)場合には、側方ローラー40の中心軸は、長孔52内を矢印A方向に移動することが出来る(変位可能である)。ここで、図2は側方ローラー40が矢印A方向に移動する前の状態を示しており、図3は側方ローラー40が矢印A方向に移動後の状態を示している。
図示の実施形態では、長孔52は左右両方の側方ローラー40の位置に対応して形成される。ただし、何れか一方の側方ローラーの側のみに(例えば右側の側方ローラー40側にのみ)長孔52を形成することも可能である。また、背面部51Bの長孔を省略して長孔52を正面部51A側にのみ形成し、側方ローラー40が正面部51A側で移動する様に構成することも出来る。
ローラー支持部材51の正面部51Aには復位用弾性部材S1R、S1L(スプリング:図示の例では弦巻バネ)が設けられている。復位用スプリングS1R、S1Lの弾性反撥力(引張力)により、側方ローラー40の中心軸が長孔52において矢印A方向に移動し、側方ローラー40と充填ホース61或いはプラグ10との係合を解除(後述)した後に、側方ローラー40の中心軸を長孔52内で矢印Aの逆方向に移動して、図3の位置から図2の位置まで復位する。復位用スプリングS1Rは、正面部51Aに配置された係止部53と、図2図3における右側の側方ローラー40の中心軸の正面ローラー30側の先端部を接続している。復位用スプリングS1Lは、係止部53と図2図3の左側の側方ローラー40の中心軸の正面ローラー30側の先端部を接続している。
【0021】
図2において、ローラー支持部材51の上面部51Cには開口51Dが形成されており、ソケット20から分離したプラグ10及び充填ホース61は、ガイド部材70内の中空部を経由し、開口51Dを通過する。
上面部51Cの開口51Dの幅寸法W(図2)は、側方ローラー40(同一直径の円筒形部分:つば状の部分は含まない)の長手方向長さよりも大きく設定されている。これにより、ソケット20から分離したプラグ10が開口51Dの内縁部に係合する(引っ掛かる)事態を防止するためである。
ローラー支持部材51の正面部51Aの下方縁部51Eに比較して、正面ローラー30の下縁は下方(図2図3における下方向)に突出している。プラグ10が正面部51Aの下方縁部51Eに係合した場合に、プラグ10を正面ローラー30と確実に接触せしめ、正面ローラー30の回転によりプラグ10と下方縁部51Eとの係合が解除される様にするためである。
【0022】
図1図3の第1実施形態において、例えば水素充填作業中に燃料電池車両(FCV)が発進しても、プラグ10とソケット20が分離して、水素充填装置200には充填ホース61の引張力が作用せず、水素充填装置200の破損が防止される。
プラグ10とソケット20が分離した際、充填ホース61或いはプラグ10がケーシング(図17)の開口における回転自在なローラー(特に側方ローラー40)に接触しても、ローラー30、40の表面が平滑であるため、或いは、ローラー30、40が回転するため、充填ホース61或いはプラグ10はローラー30、40に係合してしまうことはない。
仮にプラグ10が側方ローラー40と係合したとしても、充填ホース61の引張力が作用すると図3で示す様に、側方ローラー40の中心軸が、ローラー配置構造50の正面部51Aに形成された長孔52内を矢印A方向(図2図3参照)に移動する。その結果、側方ローラー40の上下方向位置及び左右方向位置が変動して、左右の側方ローラー40間の間隔(水平方向距離及び垂直方向距離)が広がった状態になり、側方ローラー40はプラグ10或いは充填ホース61が抜け易い状態となる。そして、プラグ10或いは充填ホース61と回転自在の側方ローラー40との係合が解除されて、プラグ10或いは充填ホース61がケーシング(図17)から容易に外れて、抜け出すことが出来る。
プラグ10と側方ローラー40との係合が解除された後、復位用スプリングS1R、S1Lの弾性収縮力により、側方ローラー40の回転軸(中心軸)は長孔52内を矢印Aの逆方向に移動して、図3の位置から図2の位置まで復位する。
【0023】
図4図5を参照して、図1図3の第1実施形態の第1変形例を説明する。図4図5を参照して行う第1変形例の説明は、第1実施形態と異なる部分を主に説明し、第1実施形態と同様な部分は説明を省略する。そして図4図5で示す第1実施形態の第1変形例においては、図1図3の第1実施形態と同様な部材(例えばプラグ10、充填ホース61、ローラー30、40、その他)には同一の符号を付して説明する。図6図15についても同様である。
図4において、第1実施形態の第1変形例に係る安全継手用収容装置は全体を符号100-1で示されており、ガイド部材70Aを有している。ガイド部材70Aは、図1の第1実施形態におけるガイド部材70よりも符号70AEで示す領域の分だけ、(図4の)下方(矢印B方向)に延長されている。これにより、ガイド部材70Aの下端の開口は(図1のガイド部材70の下端の開口に比較して)ローラー配置構造50-1に近接している。
これにより、ソケット20から分離したプラグ10が、ローラー配置構造50-1におけるローラー支持部材51-1(図5)に係合する(引っ掛かる)事態を発生し難くしている。
【0024】
図5を参照して、第1変形例におけるローラー配置構造50-1を説明する。
図5において、ローラー支持部材51-1は断面コ字状に構成され、コ字状の開放側の空間51SPが正面ローラー30、側方ローラー40よりも上方に位置されている。
ローラー支持部材51-1は正面部51A-1、背面部51B-1、下面部51C-1を有している。下面部51C-1は第1実施形態における上面部51Cと同様に構成されており、正面部51A-1、背面部51B-1を接続しており、ローラー支持部材51-1の強度を向上している。
図5において、下面部51C-1における開口51D-1はローラー30、40の下方に配置されている。そのため、ローラー支持部材50-1の上方の空間(開放側の空間51SP)の幅寸法W1は、図2で示す開口幅寸法Wよりも更に大きく設定することが出来る。開放側の空間51SPの幅寸法W1を第1実施形態における開口幅寸法W(図2)よりも更に大きく設定することにより、プラグ10がローラー支持部材51-1の開口51D-1の内縁部に係合する(引っ掛かる)事態が、より一層防止される。
図示はされていないが、図4において、図5で示すローラー配置構造50-1に代えて、図1図3で示すローラー配置構造50を設けることが可能である。
図4図5の第1変形例におけるその他の構成及び作用効果は、図1図3の第1実施形態と同様である。
【0025】
次に図6図7を参照して、第1実施形態の第2変形例を説明する。図6図7の第2変形例については、図1図5の実施形態とは異なる部分を主に説明し、図1図5の実施形態と同様な部分は説明を省略する。
第1実施形態の第2変形例に係る安全継手用収容装置100-2は、ローラー配置構造50-2を有している。図1図3の第1実施形態では、ローラー支持部材51の正面部51Aには長孔52が形成されていたが、図6図7の第2変形例では、斜め上方に延在する切欠き52-2が形成されており、側方ローラー40の中心軸は、切欠き52-2に挿入されている。切欠き52-2は、その一端が正面部51A-2の外縁部に到達しているが、切欠きが延在する方向は図1図3における長孔52が延在する方向(長手方向)と同一である。
切欠き52-2は、正面部51A-2において、図6図7における左右の側方ローラー40の中心軸に対応した位置に形成されている。ただし、何れか一方における側方ローラー40に対してのみ切欠き52-2を形成することも出来る。
ここで、明確には図示されていないが、切欠き52-2は、正面部51A-2に加えて、背面部51B-2にも形成している。ただし、正面部51A-2のみ、或いは、背面部51B-2のみに切欠き52-2を形成することも可能である。
【0026】
図6図7の第2変形例では、切欠き52-2はローラー支持部材51-2の正面部51A-2の外部に連通している。プラグ10がソケット20から外れ、プラグ10が側方ローラー40と係合した場合に、側方ローラー40の中心軸の一端部が、図6に示す状態から矢印C方向に移動して、図7に示す様に、正面部51A-2の外縁部に向かって移動し、或いは外縁部に到達する。その結果、側方ローラー40間の間隔が第1実施形態(図1図3)の場合に比較してさらに大きくなり、側方ローラー40からプラグ10がより抜け易い状態になる。
図6図7の第2変形例のその他の構成及び作用効果は、図1図5の実施形態と同様である。
【0027】
次に図8図9を参照して第1実施形態の第3変形例を説明する。図8図9の第3変形例の説明は、図1図7の実施形態とは異なる部分を主に説明し、図1図7の実施形態とは同様な部分は説明を省略する。
図8図9において、第3変形例に係る安全継手用収容装置100-3は、ローラー配置構造50-3を有している。図1図3の第1実施形態では、ローラー支持部材51の正面部51Aには長孔52が形成されていたが、図8図9の第3変形例では、ローラー支持部材51-3の正面部51A-3に長孔ではなく、円形の貫通口52-3(丸穴)が設けられ、側方ローラー40の中心軸の一端は、貫通孔52-3に挿入されている。
図8図9において、正面部51A-3における貫通孔52-3の斜め上方の領域であって外縁部に至る領域51R-3(図8図9でハッチングを付して示す領域)は、変形し易い材料或いは破断し易い材料(例えば、発泡剤、スリット入りゴム、シリコーン材、薄い板金等)で構成されている。領域51R-3が延在する方向は図1図7における長孔52或いは切欠き52-2の長手方向(延在する方向)と同一である。
変形し易い材料或いは破断し易い材料で構成された領域51R-3は、正面部51A-3において、側方ローラー40に対応して左右2箇所に形成されているが、左右何れか1個所にのみに対してのみ形成することも出来る。
ここで、明確には図示されていないが、変形し易い材料或いは破断し易い材料で構成される領域51R-3は、正面部51A-3に形成されることに加えて、背面部51B-3にも形成される。ただし、領域51R-3を正面部51A-3のみ或いは背面部51B-3のみに形成することも可能である。
【0028】
図8図9に示す第1実施形態の第3変形例では、貫通孔52-3の斜め上方であって外縁部に至る領域51R-3が変形し易い材料或いは破断し易い材料で構成されているので、プラグ10がソケット20から外れ、プラグ10が側方ローラー40と係合した場合に、充填ホース61を介して引張力がプラグ10に作用すると、領域51R-3が変形或いは破断して、図9で示す様に、右側の側方ローラー40の中心軸が貫通している貫通孔52-3は斜め上方に延在する長孔の様に変形する。或いは、領域51R-3が破損して、図6図7で示す切欠き52-2と類似した状態となる。
その結果、右側の側方ローラー40の中心軸は、図8に示す状態から矢印D方向に移動し、図9で示す様に、側方ローラー40同士の水平方向距離及び/又は垂直方向距離が大きくなり、プラグ10と側方ローラー40の係合状態が解除され易い状態(ローラー40が抜け易い状態)となる。そのため、プラグ10はケーシング(図17)から容易に抜け出る。
図8図9の第1実施形態の第3変形例のその他の構成及び作用効果は、図1図7の実施形態と同様である。
なお図示はされていないが、図1図9において、ローラー30、40に代えて、横断面が円形或いは長円形で平滑な表面を有するアームを用いることも可能である。
【0029】
次に図10図11を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係る安全継手用収容装置100-4はローラー配置構造50-4を有し、ローラー配置構造50-4は正面ローラー30-4と左右の側方ローラー40-4を支持するローラー支持部材51-4を含んでいる。第2実施形態は図1図9の第1実施形態に対して、ローラー支持部材51-4の構成、特に側方ローラー40-4を変位可能にする構成が相違している。
図10において、ローラー支持部材51-4は基部板状部材54、突出部材55R、55L、第1のスプリングS2R、S2L(第1の弾性部材)、第2のスプリングS2T(第2の弾性部材:図11)を有している。
基部板状部材54は、左右2箇所に配置された第1のスプリングS2R、S2L、突出部材55R、55Lを介して、基板80に支持(接続)されている。突出部材55R、55Lは、基板80(ケーシングの内壁面)に固定されて、図10の左右2箇所に配置されている。また基部板状部材54は、第2のスプリングS2Tを介して基板80に接続(支持)されている。
側方ローラー(40-4)の中心軸の基板80側の端部は基部板状部材54により支持されており、当該支持構造については図12を参照して後述する。
【0030】
図10において、ソケット20から分離したプラグ10が側方ローラー40-4及び/又は正面ローラー30-4に係合した場合には、充填ホース61を介してプラグ10に作用する引張力が、側方ローラー40-4、基部板状部材54を介して第1及び第2のスプリングS2R、S2Lに作用し、第1及び第2のスプリングS2R、S2Lが圧縮変形(弾性変形)する。
図10で示す様に充填ホース61が矢印E方向に引っ張られている場合には、右側の側方ローラー40-4側の第1のスプリングS2Rが左側の側方ローラー40-4側の第1のスプリングS2Lよりも大きく弾性変形する。その結果、基部板状部材54の長手方向の右側領域が左側領域よりも下方に移動し、右側の側方ローラー40-4が左側の側方ローラー40よりも下方に移動して、左右の側方ローラー40-4の間隔(主に垂直方向距離)が大きくなる。そのため、プラグ10がローラー40-4、30-4から抜け易い状態となり、プラグ10とローラー40-4、30-4との係合状態が容易に解除される。
【0031】
図11で示す様に、基部板状部材54と基盤80との間に第2のスプリングS2Tが介装されており、プラグ10に接触している左右のローラー40-4を前後方向(正面及び背後方向:図11における左右方向)に移動可能となっている。
そのため、充填ホース61が正面側から引張力を付加されている場合(図11の矢印F方向に引っ張られている場合)でも、ローラー40-4、30-4の相対位置が変動して間隔が大きくなるため、プラグ10はローラー40-4、30-4との係合状態が解除され易い状態になる。
図10図11の第2実施形態において、明確には図示されていないが、基部板状部材54と基板80を接続(支持)する部材として、スプリングS2L、S2R、S2Tに代えて復元機能付きのボールジョイントを用いることも出来る。
また、正面ローラー30-4に代えて、横断面が円形或いは長円形で、平滑な表面のアームを設けても良い。
【0032】
図10図11において、隣接するローラー、すなわち正面ローラー30-4と左右何れかの側方ローラー40-4は、その中心軸同士が接続されている。その接続の一態様が図12で示されている。図12において、正面ローラー30-4の中心軸31-4、側方ローラー40-4の中心軸41-4は実線で示し、正面ローラー30-4の中空の回転体32-4、側方ローラー40-4の中空の回転体42-4は破線で表現している。また、図12における下方のローラー40-4の中心軸41-4は、半割した円筒形として模式的に示されている。
図12において、正面ローラー30-4は中心軸31-4と中空の回転体32-4を有し、中空の回転体32-4は中心軸31-4と接続しておらず、中心軸31-4が固定されていても回転体32-4は中心軸31-4回りを自在に回転することが出来る。
同様に、側方ローラー40-4も中心軸41-4と中空の回転体42-4を有し、中空の回転体42-4は中心軸41-4と接続しておらず、中心軸41-4が固定されていても回転体42-4は中心軸41-4回りを自在に回転することが出来る。
そして、側方ローラー40-4の正面ローラー30-4側端部において、側方ローラー40-4の中心軸41-4は、締結部材35を介して、正面ローラー30-4の中心軸31-4に対して垂直方向へ延在する様に結合されている。一方、2個の側方ローラー40-4の水素充填装置200側の端部(基板80側の端部:正面ローラー30-4側と反対側の端部)は、締結部材45を介して、基部板状部材54に支持(接続)されている。
【0033】
側方ローラー40-4の中心軸41-4と正面ローラー30-4の中心軸31-4は相互に垂直方向へ延在しており、一方の中心軸に対して他方の中心軸が相対的に回転することは不可能である。
しかし、正面ローラー30-4の中空回転体32-4は中心軸31-4の回りを回転可能であり、側方ローラー40-4の中空回転体42-4は中心軸41-4の回りを回転可能であるため、正面ローラー30-4(の回転体32-4)と側方ローラー40-4(の回転体42-4)は、中心軸が相互に垂直に接続されていても回転自在である。
図12で説明した構造を採用することにより、中心軸が直交する正面ローラー30-4と2個の側方ローラー40-4を隣接して、矩形の3辺の様に配置しても、それぞれの中空の回転体32-4、42-4が中心軸31-4、41-4に対して自在に回転する。
図10図12の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1図9の第1実施形態と同様である。
【0034】
次に、図13図14を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図1図12図15(後述)の実施形態は、安全継手用収容装置100(100~100-4、100-6)はローラー配置構造50(50~50-4、50-6)を有している。それに対して、図13図14の第3実施形態に係る安全継手用収容装置100-5は、ローラー配置構造50に代えてアーム配置構造50-5を有している。
図13において、アーム配置構造50-5には正面アーム33と、正面アーム33に隣接する2個の側方アーム43が設けられている。側方アーム43と正面アーム33は変位可能に構成されている。
正面アーム33は、円滑で且つ断面円形(長円形断面も含む)の円柱部33Aと、円柱部33Aに固定された板状部33Bを有しており、側方アーム43は、円滑で且つ断面円形(長円形断面も含む)の円柱部43Aと、円柱部43Aに固定された板状部43Bを有している。
正面アーム33の板状部33Bには軸支部33Cが設けられており、正面アーム33は軸支部33Cにより、アーム支持部材57を介して基板80(ケーシングの内壁面)に回転可能に支持されている。また、2個の側方アーム43の板状部43Bには軸支部43Cが設けられており、側方アーム43は軸支部43Cにより、基板80に回転可能に支持されている。
【0035】
図13において、アーム配置構造50-5には復位用スプリングS3、S4R、S4Lが設けられている。
正面アーム33の板状部33Bに設けられた係止部33Dと、アーム支持部材57に設けた係止部57Aは、復位用スプリングS3により接続されている。また、図13の右側の側面アーム43の板状部43Bに設けられた係止部43Dと、基板80に設けた係止部80A(図14)は、復位用スプリングS4Rにより接続されている。図13の左側の側面アーム43の板状部43Bに設けられた係止部43Dと、基板80に設けた係止部80Aは、復位用スプリングS4Lにより接続される。
ここで、アーム復位用のスプリングS3、S4R、S4Lのばね定数は、例えば、プラグ10とソケット20が分離する張力の約90%程度でアーム33、43が動く程度であることが好ましい。アーム復位用のスプリングS3、S4R、S4Lのばね定数が小さく、アーム33、43が容易に動いてしまうと(回動してしまうと)、充填ホース61が簡単に移動してしまうので、充填ホース61が引っ張られる方向と、基板80の長手方向(図13の矢印G方向)との角度が大きくなり過ぎて、管継手に作用する水平方向の力が大きくなり、所定の引張荷重ではプラグがソケットから分離しない可能性がある。
ここで、充填ホース61が引っ張られて、図13の右側における側方アーム43が動く方向を、図13の矢印Hで示す。
【0036】
図14において、例えばFCV(図16)が予期せぬ急発進をして充填ホース61が引っ張られると、プラグ10がソケット20から分離し、充填ホース61及びプラグ10が右側の側方アーム43に接触して、係合してしまうと、右側の側方アーム43は、図13の状態よりさらに大きく矢印H方向へ回動する。
右側の側方アーム43が矢印H方向に大きく回動することにより、左右の側方アーム43間の間隔(水平方向距離及び垂直方向距離)が広がり、さらに右側の側方アーム43と正面アーム33間の間隔(水平方向距離及び垂直方向距離)が広がり、プラグ10とアーム43、33との係合が解除され易い状態になる。その結果、プラグ10がケーシング(図17)の下方先端の開口(FCV側の開口)のアーム配置構造50-5から円滑に抜け出ることが出来る。
図示はされていないが、図13図14において、正面アーム33、左右の側方アーム43を、それぞれローラーで構成することが出来る。或いは、何れかのアームを平滑平面で断面円形なアームで構成し、その他のアームをローラーで構成し、アームとローラーとを組み合わせて構成することも出来る。
図13図14の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1図12の実施形態と同様である。
【0037】
図15を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態は、図1図14の実施形態に対して、ローラー配置構造が異なり、側方ローラーを変位可能にする構造が相違している。
第4実施形態に係る安全継手用収容装置100-6はローラー配置構造50-6を有しており、ローラー配置構造50-6は正面ローラーと側方ローラー40-6を支持するローラー支持部材51-6を含んでいる。図15では正面ローラーは図示されておらず、正面ローラーの回転軸の端部30-6Tのみが示されている。
図15において、ローラー支持部材51-6は、全体が板状部材で構成され、正面ローラーを支持する正面部51A―6、左右の側方ローラー40-6をそれぞれ支持する左右の側方ローラー包囲部51B-6を有している。左右の側方ローラー40-6の各々は、側方ローラー包囲部51B-6により、その周囲の一部が包囲されている。
図15では図示されていないが、ローラー支持部材51-6を、ケーシング(図17)の内壁面である基板80(図1等)から正面ローラー30-6側に離隔した位置で支持する支持部材が設けられている。
【0038】
図15に示す様に、ローラー支持部材51-6の正面部51A-6と左右の側方ローラー包囲部51B-6の正面部51BA-6は面一に配置することが可能である様に構成され、正面部51A-6と左右の正面部51BA-6との境界にはそれぞれ従来公知のヒンジ機構56が設けられている。
側方ローラー40-6の中心軸を支持している領域51R1-6と、正面部51A-6の長手方向中央における領域51R2-6とは分離しており、両者はヒンジ機構56により接続されている。そして領域51R1-6は、側方ローラー包囲部51B-6の正面部51BA-6により構成されている。ここで、側方ローラー包囲部51B-6の正面部51BA-6において、側方ローラー40-6の中心軸は正面51BA-6に形成された貫通孔(図示せず)を貫通しており、側方ローラー40-6の中心軸の端部40-6Tは、当該貫通孔から中心軸が抜け出さない様になっている。正面ローラーについても、その中心軸はローラー支持部材51-6に形成された図示しない貫通孔を貫通しており、中心軸の端部30-6Tの外径は前記貫通孔から中心軸が抜け出さない様に設定されている。
明確に図示されていないが、ヒンジ機構56には、復位用の弾性部材(例えばスプリング)が設けられている。
【0039】
側方ローラー40-6の中心軸を支持している領域51R1-6(側方ローラー包囲部51B-6の正面部51BA-6)と、板状部材の長手方向中央における領域51R2-6をヒンジ機構56により接続することにより、ローラー支持部材51-6の側方ローラー包囲部51B-6及び側方ローラー40-6が、ローラー支持部材51-6の正面部51A-6に対して、矢印I方向へ回動可能になる。
プラグ10が側方ローラー40-6及び正面ローラー(図15では図示せず)と係合した場合であっても、側方ローラー包囲部51B-6及び側方ローラー40-6がローラー支持部材51-6の正面部51A-6に対して矢印I方向へ回動することにより、ローラー40-6及び正面ローラーの相対位置関係が変動し、ローラー間の間隔が大きくなるので、プラグ10は側方ローラー40-6及び正面ローラーから外れ易い状態となる。
プラグ10が側方ローラー40-6から外れた後、ヒンジ機構56における図示しない復位用の弾性部材により、側方ローラー包囲部51B-6及び側方ローラー40-6は、側方ローラー包囲部51B-6の正面部51BA-6とローラー支持部材51-6の正面部51A-6が面一となる位置に復位する。
【0040】
図15では、左右の側方ローラー包囲部51B-6(の正面部51BA-6)とローラー支持部材51-6の正面部51A-6の2箇所の境界においてヒンジ機構56を設けているが、何れか一方の境界のみにヒンジ機構を設けても良い。
また、図15では明示されていないが、側方ローラー40-6及び/又は正面ローラーを樹脂(例えばウレタン樹脂)や硬質スポンジで構成することが出来る。
図15の第4実施形態のその他の構成及び作用効果は、図1図14の実施形態と同様である。
【0041】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0042】
10・・・プラグ(管継手の車両側の部材)
20・・・ソケット(管継手の水素充填装置側の部材)
30・・・正面ローラー
33・・・正面アーム
33A・・・正面アームの円柱部
33B・・・正面アームの板状部
40・・・側方ローラー
41・・・側方ローラーの中心軸
43・・・側方アーム
43A・・・側方アームの円柱部
43B・・・側方アームの板状部
50・・・ローラー配置構造
51・・・ローラー支持部材
51A・・・正面部
51B・・・背面部
51B-6・・・側方ローラー包囲部
51R-3・・・貫通孔から正面部の外縁部に至る領域
51R1-6・・・板状部材で側方ローラーの中心軸を支持している領域
51R2-6・・・板状部材の長手方向中央における領域
52・・・長孔
52-2・・・切欠きを構成する長孔
52-3・・・円形の貫通孔
54・・・基部板状部材
55R、55S・・・突出部材
56・・・ヒンジ機構
61・・・充填ホース
70、70A・・・ガイド部材
80・・・基板(ケーシングの内壁面)
100・・・安全継手用収容装置
101・・・安全継手
S2R、S2L・・・・スプリング(第1の弾性部材)
S2T・・・スプリング(第2の弾性部材)
S3、S4R、S4L・・・復位用スプリング
図1
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