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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】安全帯用ショックアブソーバー
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/04 20060101AFI20240725BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20240725BHJP
   D03D 11/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A62B35/04
D03D1/00 D
D03D11/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023193288
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2023071904の分割
【原出願日】2023-04-25
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595054213
【氏名又は名称】株式会社オルセン
(73)【特許権者】
【識別番号】000223687
【氏名又は名称】藤井電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】仲井 邦幸
(72)【発明者】
【氏名】久田 周平
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-068915(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0092738(KR,A)
【文献】特開2022-104676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0179136(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0042165(US,A1)
【文献】登録実用新案第3239463(JP,U)
【文献】特表2009-504312(JP,A)
【文献】特開2017-023881(JP,A)
【文献】特開2003-275333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/04
D03D 1/00
D03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全帯用ショックアブソーバーであって、
当該安全帯用ショックアブソーバーは、上側ベルト層と下側ベルト層とによって構成されていて、
当該安全帯用ショックアブソーバーは、
吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸との両方に織り込まれることによって前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とが縫着された重合部と、
前記吊糸が前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とに跨がって織り込まれないことで前記上側ベルト層と前記下側ベルト層が分離している分離部と、を有し、
前記分離部の前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とを離す方向に引き裂く力が働いたとき、前記重合部が引き裂かれて分離した前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とになるときに衝撃力を吸収するものであり、
前記重合部を引き裂く最初の所定長さである第一領域における第一段階の衝撃吸収力をG1とするとき
前記第一領域より後引き裂かれる第二領域以降において前記重合部を引き裂くときの衝撃吸収力は、前記第一段階の衝撃吸収力G1よりも小さく、
前記第一領域の長さは、前記第二領域以降の長さより短い
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項2】
安全帯用ショックアブソーバーであって、
当該安全帯用ショックアブソーバーは、上側ベルト層と下側ベルト層とによって構成されていて、
当該安全帯用ショックアブソーバーは、
吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸との両方に織り込まれることによって前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とが縫着された重合部と、
前記吊糸が前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とに跨がって織り込まれないことで前記上側ベルト層と前記下側ベルト層が分離している分離部と、を有し、
前記分離部の前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とを離す方向に引き裂く力が働いたとき、前記重合部が引き裂かれて分離した前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とになるときに衝撃力を吸収するものであり、
前記重合部を引き裂く最初の所定長さである第一領域における第一段階の衝撃吸収力G1と、
前記第一領域に続く第二領域において前記重合部を引き裂くときの第二段階の衝撃吸収力G2と、の関係がG1>G2であり、
前記第一領域の長さは、前記第二領域の長さより短い
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記第一領域の長さは5cm以上である
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記第一領域の長さは20cm以下であって、前記第二領域以降の長さは25cm以上である
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項5】
請求項1に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記第一領域の長さは5cm以上25cm以下である
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記吊糸は複数本あり、
前記第一領域において前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む吊糸の本数NS1は、前記第二領域において前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む吊糸の本数NS2よりも多い
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記第一領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW1は、前記第二領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW2よりも多い
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項8】
請求項7に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記第一領域において前記吊糸が前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とを跨がずに同じ層のなかで通過する緯糸の本数K1は、前記第二領域において前記吊糸が前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とを跨がずに同じ層のなかで通過する緯糸の本数K2よりも少ない
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項9】
請求項7に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記第一領域における前記上側ベルト層および前記下側ベルト層の緯糸の密度が、前記第二領域における前記上側ベルト層および前記下側ベルト層の緯糸の密度よりも高いことにより、
前記第一領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW1が、前記第二領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW2よりも多くなっている
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記上側ベルト層は、第一層と第二層との二層からなり、
前記下側ベルト層は、第三層と第四層との二層からなり、
前記吊糸には、A群の吊糸と、B群の吊糸と、があり、
A群の吊糸はさらにA1組の吊糸A1と、A2組の吊糸A2と、を有し、
第一領域において、
吊糸A1は、上側ベルト層の第一層および第二層を貫いていて、下側ベルト層には第三層だけに掛かり、
吊糸A2は、下側ベルト層の第三層および第四層を貫いていて、上側ベルト層には第二層だけに掛かり、
B群の吊糸は、上側ベルト層の第一層および第二層も下側ベルト層の第三層および第四層も貫いて織り込まれている
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記上側ベルト層は、第一層と第二層との二層からなり、
前記下側ベルト層は、第三層と第四層との二層からなり、
前記吊糸には、A群の吊糸と、C群の吊糸と、があり、
A群の吊糸はさらにA1組の吊糸A1と、A2組の吊糸A2と、を有し、
C群の吊糸はさらにC1組の吊糸C1と、C2組の吊糸C2と、を有し、
第一領域において、
吊糸A1は、上側ベルト層の第一層および第二層を貫いていて、下側ベルト層には第三層だけに掛かり、
吊糸A2は、下側ベルト層の第三層および第四層を貫いていて、上側ベルト層には第二層だけに掛かり、
吊糸C1は、上側ベルト層の第一層および第二層を貫いていて、下側ベルト層には第三層だけに掛かり、
吊糸C2は、下側ベルト層の第三層および第四層を貫いていて、上側ベルト層には第二層だけに掛かり、
ただし、
吊糸C1が上側ベルト層に織り込まれるピッチと吊糸A1が上側ベルト層に織り込まれるピッチとは同じであるが、吊糸C1は、吊糸A1に対して、半ピッチ分ずれて織り込まれていて、
吊糸C2が下側ベルト層に織り込まれるピッチと吊糸A2が下側ベルト層に織り込まれるピッチとは同じであるが、吊糸C2は、吊糸A2に対して、半ピッチ分ずれて織り込まれている
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項12】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記吊糸には、A群の吊糸と、B群の吊糸と、があり、
A群の吊糸は、第一領域では上側ベルト層と下側ベルト層とを跨いで織り込まれ、第二領域では、上側ベルト層と下側ベルト層とを跨がず、
B群の吊糸は、第一領域および第二領域において上側ベルト層と下側ベルト層とを跨いで織り込まれ、ただし、第一領域に比べて、第二領域の吊糸Bのピッチは粗い
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記上側ベルト層は、第一層と第二層との二層からなり、
前記下側ベルト層は、第三層と第四層との二層からなり、
前記吊糸には、A群の吊糸と、B群の吊糸と、があり、
第一領域において、
A群の吊糸は、上側ベルト層の第一層および第二層も下側ベルト層の第三層および第四層も貫いて織り込まれ、
B群の吊糸は、上側ベルト層の第二層と下側ベルト層の第三層とに掛かるように織り込まれている
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーにおいて、
前記第一領域における前記第一段階の衝撃吸収力G1の最大値は4kNを超える値である
ことを特徴とする安全帯用ショックアブソーバー。
【請求項15】
請求項1または請求項2に記載の安全帯用ショックアブソーバーを備えた安全帯
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全帯用ショックアブソーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ランヤードは命綱ベルトとショックアブソーバー(衝撃吸収部)とを備える。ショックアブソーバーは、通常は折り畳まれた状態であって、急激な引張力が掛かったときに製織または縫製された糸が伸びて切れるときに衝撃(エネルギー)を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-68915
【文献】特許6925679
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ショックアブソーバーに求められる性能として、これまでは衝撃荷重が規格に定められる値を超えないこととされ(例えば最大荷重値4kN以下と定められていた。)、そのため規格値以下のほぼ一定の引き裂き強力(例えば3.8kNや3.6kN)で落下エネルギーを吸収した後、徐々に弱くなっていくことを理想として設計されてきた。しかしながら、規格値以下のほぼ一定の引き裂き強力(例えば3.8kNや3.6kN)で落下エネルギーを吸収するためにはショックアブソーバーの引き裂き長さを長くとる必要がある。これはショックアブソーバーの大型化に繋がり、高所作業者にとっては大きなショックアブソーバーが付いたランヤードは作業の障害ともなり得る。
【0005】
また、ショックアブソーバーがエネルギーを吸収していくと落下のエネルギーは徐々に小さくなっていく。落下の途中で落下のエネルギーがベルトを引き裂くためのエネルギー(引き裂き強力)よりも小さくなってしまうと、急激に人体(あるいは物体)に大きな衝撃が掛かるという問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、全体的に小型化でき、かつ、人体に大きな衝撃が掛からないようにできるショックアブソーバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の安全帯用ショックアブソーバーは、
安全帯用ショックアブソーバーであって、
当該安全帯用ショックアブソーバーは、上側ベルト層と下側ベルト層とによって構成されていて、
当該安全帯用ショックアブソーバーは、
吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸との両方に織り込まれることによって前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とが縫着された重合部と、
前記吊糸が前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とに跨がって織り込まれないことで前記上側ベルト層と前記下側ベルト層が分離している分離部と、を有し、
前記分離部の前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とを離す方向に引き裂く力が働いたとき、前記重合部が引き裂かれて分離した前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とになるときに衝撃力を吸収するものであり、
前記重合部を引き裂く最初の所定長さである第一領域における第一段階の衝撃吸収力G1と、
前記第一領域に続く第二領域において前記重合部を引き裂くときの第二段階の衝撃吸収力G2と、の関係がG1>G2である
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態では、
前記吊糸は複数本あり、
前記第一領域において前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む吊糸の本数NS1は、前記第二領域において前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む吊糸の本数NS2よりも多い
ことが好ましい。
【0009】
本発明の一実施形態では、
前記第一領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW1は、前記第二領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW2よりも多い
ことが好ましい。
【0010】
本発明の一実施形態では、
前記第一領域において前記吊糸が前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とを跨がずに同じ層のなかで通過する緯糸の本数K1は、前記第二領域において前記吊糸が前記上側ベルト層と前記下側ベルト層とを跨がずに同じ層のなかで通過する緯糸の本数K2よりも少ない
ことが好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態では、
前記第一領域における前記上側ベルト層および前記下側ベルト層の緯糸の密度が、前記第二領域における前記上側ベルト層および前記下側ベルト層の緯糸の密度よりも高いことにより、
前記第一領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW1が、前記第二領域において単位長さ当たりで前記吊糸が前記上側ベルト層の緯糸と前記下側ベルト層の緯糸とに絡む回数NW2よりも多くなっている
ことが好ましい。
【0012】
本発明の一実施形態では、
前記上側ベルト層は、第一層と第二層との二層からなり、
前記下側ベルト層は、第三層と第四層との二層からなり、
前記吊糸には、A群の吊糸と、B群の吊糸と、があり、
A群の吊糸はさらにA1組の吊糸A1と、A2組の吊糸A2と、を有し、
第一領域において、
吊糸A1は、上側ベルト層の第一層および第二層を貫いていて、下側ベルト層には第三層だけに掛かり、
吊糸A2は、下側ベルト層の第三層および第四層を貫いていて、上側ベルト層には第二層だけに掛かり、
B群の吊糸は、上側ベルト層の第一層および第二層も下側ベルト層の第三層および第四層も貫いて織り込まれている
ことが好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態では、
前記上側ベルト層は、第一層と第二層との二層からなり、
前記下側ベルト層は、第三層と第四層との二層からなり、
前記吊糸には、A群の吊糸と、C群の吊糸と、があり、
A群の吊糸はさらにA1組の吊糸A1と、A2組の吊糸A2と、を有し、
C群の吊糸はさらにC1組の吊糸C1と、C2組の吊糸C2と、を有し、
第一領域において、
吊糸A1は、上側ベルト層の第一層および第二層を貫いていて、下側ベルト層には第三層だけに掛かり、
吊糸A2は、下側ベルト層の第三層および第四層を貫いていて、上側ベルト層には第二層だけに掛かり、
吊糸C1は、上側ベルト層の第一層および第二層を貫いていて、下側ベルト層には第三層だけに掛かり、
吊糸C2は、下側ベルト層の第三層および第四層を貫いていて、上側ベルト層には第二層だけに掛かり、
ただし、
吊糸C1が上側ベルト層に織り込まれるピッチと吊糸A1が上側ベルト層に織り込まれるピッチとは同じであるが、吊糸C1は、吊糸A1に対して、半ピッチ分ずれて織り込まれていて、
吊糸C2が下側ベルト層に織り込まれるピッチと吊糸A2が下側ベルト層に織り込まれるピッチとは同じであるが、吊糸C2は、吊糸A2に対して、半ピッチ分ずれて織り込まれている
ことが好ましい。
【0014】
本発明の一実施形態では、
前記吊糸には、A群の吊糸と、B群の吊糸と、があり、
A群の吊糸は、第一領域では上側ベルト層と下側ベルト層とを跨いで織り込まれ、第二領域では、上側ベルト層と下側ベルト層とを跨がず、
B群の吊糸は、第一領域および第二領域において上側ベルト層と下側ベルト層とを跨いで織り込まれ、ただし、第一領域に比べて、第二領域の吊糸Bのピッチは粗い
ことが好ましい。
【0015】
本発明の一実施形態では、
前記上側ベルト層は、第一層と第二層との二層からなり、
前記下側ベルト層は、第三層と第四層との二層からなり、
前記吊糸には、A群の吊糸と、B群の吊糸と、があり、
第一領域において、
A群の吊糸は、上側ベルト層の第一層および第二層も下側ベルト層の第三層および第四層も貫いて織り込まれ、
B群の吊糸は、上側ベルト層の第二層と下側ベルト層の第三層とに掛かるように織り込まれている
ことが好ましい。
【0016】
本発明の一実施形態では、
前記第一領域における前記第一段階の衝撃吸収力G1の最大値は4kNを超える値である
ことが好ましい。
前記第一領域における前記第一段階の衝撃吸収力G1の最大値は4kNを超える値であるが、4.3kNを超えることが好ましく、さらには、4.5kNを超えることが好ましく、さらには4.7kNを超えることが好ましい。
また、前記第一領域における前記第一段階の衝撃吸収力G1の最大値は4kNを超える値であるが、5.5kNを超えないようにし、望ましくは5kNを超えないようにし、望ましくは4.8kNを超えないようにする。
【0017】
本発明の一実施形態では、
前記第一領域の長さは、5cm以上である
ことが好ましい。
また、前記第一領域の長さは、5cm以上25cm以下であってもよく、10cm~25cmとしてもよく、第一領域3100の長さを20cm~25cmとしてもよい。
【0018】
本発明の安全帯は、前記安全帯用ショックアブソーバーを備えた安全帯である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】安全帯(墜落制止用器具)に使用されるランヤード(命綱)の全体図である。
図2】ショックアブソーバーを示す図である。
図3】ショックアブソーバーの概略構成を説明するための長さ方向に沿った断面模式図である。
図4】吊糸を除外して、上側ベルト層を長さ方向に沿って断面した断面模式図である。
図5】吊糸を除外して、上側ベルト層と下側ベルト層とを長さ方向に沿って断面した断面模式図である。
図6】分離部における吊糸の織り込み構造を示す断面模式図である。
図7】第一実施形態において、A群の吊糸の織り込み構造を説明するための断面模式図である。
図8】第一実施形態において、B群の吊糸の織り込み構造を説明するための断面模式図である。
図9】第一実施形態において、C群の吊糸の織り込み構造を説明するための断面模式図である。
図10】第二実施形態における吊糸400Aの織り込み構造の模式図である。
図11】第二実施形態における吊糸400Bの織り込み構造の模式図である。
図12】第二実施形態における吊糸400Cの織り込み構造の模式図である。
図13】第三実施形態における吊糸400Aの織り込み構造の模式図である。
図14】第三実施形態における吊糸400Bの織り込み構造の模式図である。
図15】第三実施形態における吊糸400Cの織り込み構造の模式図である。
図16】第一実施形態に係るショックアブソーバーによる衝撃荷重波形の試験結果の一例を示す図である。
図17】第三実施形態に係るショックアブソーバーによる衝撃荷重波形の試験結果の一例を示す図である。
図18】対比例としての衝撃波形の一例を示す図である。
図19】対比例としての衝撃波形の一例を模式的に示す図である。
図20】変形例として吊糸Bの織り込みパターンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第一実施形態)
図1は、安全帯(墜落制止用器具)に使用されるランヤード10(命綱)の全体図である。
ランヤード10は、両端に設けられた固定具11A、11Bと、命綱ベルト12と、ショックアブソーバー(衝撃吸収部)1000と、を備える。
【0021】
図2は、ショックアブソーバー1000を示す図である。
ショックアブソーバー1000は、例えば、図2に例示するように通常は折り畳まれた状態で例えば薄い透明な樹脂性袋に収納されていて、急激な引張力が掛かったときに製織または縫製された糸が伸びて切れるときに衝撃(エネルギー)を吸収するものである。
【0022】
図3は、本実施形態に係るショックアブソーバー1000の概略構成を説明するための長さ方向に沿った断面模式図である。
【0023】
ショックアブソーバー1000は、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200という二つの層を有している。
なお、説明の都合上、二枚のベルト層を区別するために「上」や「下」という用語を使用するが、上や下といった向きに特別な意味はない。
ショックアブソーバー1000は、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とが分離している分離部2000と、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とが吊糸で縫着された重合部3000と、を有している。分離部2000において、上側ベルト層1100には上側連結部2100が固定的に設けられ、下側ベルト層1200には下側連結部2200が固定的に設けられ、例えば、上側連結部2100が固定具11Aに接続され、下側連結部2200が命綱ベルト12を介して固定具11Bに接続されている。例えば固定具11Bを安定した安全固定構造部に引っ掛け、固定具11Aを人体側のハーネスなどに連結する。
【0024】
ここでは、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とで織り構造は基本的に同じである。
図4は、吊糸を除外して、上側ベルト層1100を長さ方向に沿って断面した断面模式図である。
図5は、吊糸を除外して、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを長さ方向に沿って断面した断面模式図である。
すなわち、図4および図5は、上側ベルト層1100および下側ベルト層1200の経糸1111、1121、1211、1221と緯糸1112、1122、1212、1222とを示す断面模式図である。
【0025】
上側ベルト層1100は、図4に表れるように、二層からなるベルトであり、ここでは、上側ベルト層1100を構成する二つの層を第一層1110と第二層1120とする。同様に、図5に表れるように、下側ベルト層1200は、二層からなるベルトであり、ここでは、下側ベルト層1200を構成する二つの層を第三層1210と第四層1220とする。
【0026】
上側ベルト層1100は二層からなっており、すなわち、上側ベルト層1100を構成する経糸1111、1121が二層になっている。
第一層1110の経糸を第一経糸1111とし、第二層1120の経糸を第二経糸1112とする。そして、第一層1110と第二層1120とには共通の緯糸が織り込まれている。ここでは説明のために、第一層1110の経糸(第一経糸1111)に織り込まれる緯糸を第一緯糸1112とし、第二層1120の経糸(第二経糸1112)に織り込まれる緯糸を第二緯糸1122と称することにする。(なお、図4において緯糸が二本で一対の一つの対のようになっているのは、ニードル織機で織ることを想定して描いているからである。)上側ベルト層1100は、いわゆる平袋織り(平織りの袋織り)である
【0027】
同じく、下側ベルト層1200は二層からなっており、すなわち、下側ベルト層1200を構成する経糸が二層になっている。
第三層1210の経糸を第三経糸1211とし、第四層1220の経糸を第四経糸1221とする。そして、第三層1210と第四層1220とには共通の緯糸が織り込まれている。ここでは説明のために、第三層1210の経糸(第三経糸1211)に織り込まれる緯糸を第三緯糸1212とし、第四層1220の経糸(第四経糸1221)に織り込まれる緯糸を第四緯糸1222と称することにする。下側ベルト層1200も、いわゆる平袋織り(平織りの袋織り)である。
【0028】
ここで、経糸は、例えばポリエチレンで、1670T、94本とし、緯糸は、ポリエチレンで、1100Tの8本/cm(二本で一対の緯糸が8本/cm。細かく数えると16本/cm)とすることが例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0029】
次に、吊糸について説明する。
図6は、分離部2000における吊糸400の織り込み構造を示す断面模式図である。
図6に示されるように、分離部2000においては、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨いで織り込まれる吊糸400は無い。各吊糸400は、上側ベルト層1100だけに織り込まれるか、下側ベルト層1200だけに織り込まれるか、のいずれかである。ここでは、一例として、吊糸400の半分(半数)400は上側ベルト層1100に織り込まれ、吊糸400の残り半分(半数)420は下側ベルト層1200に織り込まれている。
【0030】
すなわち、上側ベルト層1100においては、吊糸410は、第一緯糸1112の上を通り、次に第二緯糸1122の下を通り、これを繰り返す。言い換えると、第一緯糸1112は吊糸410の下を通り、次に第二緯糸1122は吊糸410の上を通り、これを繰り返す。上側ベルト層1100の第一層1110と第二層1120とが吊糸410によって綴じられているといってもよい。
【0031】
同じことであるが、分離部2000の下側ベルト層1200において、吊糸420は、第三緯糸1212の上を通り、次に、第四緯糸1222の下を通り、これを繰り返す。言い換えると、第三緯糸1212は吊糸420の下を通り、第四緯糸1222は吊糸420の上を通り、これを繰り返す。下側ベルト層1200の第三層1210と第四層1220とは吊糸420によって綴じられているといってもよい。
【0032】
なお、上記では、吊糸400を半分に分けて上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とに織り込む例を示したが、吊糸400を半分に分けないで、全ての吊糸400を上側ベルト層1100に織り込むようにしてもよいし、もしくは、全ての吊糸400を下側ベルト層1200に織り込むようにしてもよい。
【0033】
次に重合部3000における吊糸400の織り込み構造について説明する。
そのために、図3に示すように、重合部3000を分離部2000に近い方から第一領域3100、第二領域3200、第三領域3300に分類する。
分離部2000の上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを離す方向に引き裂く力が働いたとき、最初に引き裂かれるのが第一領域3100である。
第二領域3200は、第一領域3100の次に引き裂かれる領域である。
第三領域3300は、第二領域3200の次に引き裂かれる領域である。
第一領域3100、第二領域3200、第三領域3300の違いは後述の説明で明らかになるが、簡略にいうと、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨いで織り込まれる吊糸400の本数の違いである。
【0034】
また、吊糸400をA群、B群、C群という三つの群に分類しておく。
【0035】
図7図8図9を参照して、A群、B群、C群の吊糸400の織り込み構造を説明する。
図7は、A群の吊糸400の織り込み構造を説明するための断面模式図である。
A群の吊糸400は、第一領域3100では上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨いで織り込まれている。そして、A群の吊糸400は、第二領域3200および第三領域3300では、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨がない。したがって、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とが引き裂かれるとき、A群の吊糸400は、第一領域3100においては、糸が切れるときに衝撃吸収作用を発揮する。
【0036】
A群の吊糸400Aは二つの組みに分類される。A群の二つの組みを吊糸400A1と吊糸400A2とする。
図7において、まず、第一領域3100において、吊糸400A1は、上側ベルト層1100(第一層1110、第二層1120)を貫いているが、下側ベルト層1200には半分(第三層1210)だけに掛かっている。
第一領域3100において、吊糸400A1は、第一層1110の緯糸、第二層1120の緯糸の上を通ったあと、下側ベルト層1200に入り、第三層1210の第三緯糸1212の下を通り、これを繰り返す。
第一領域3100が終了して続いて第二領域3200に入ると、吊糸400A1は、上側ベルト層1100だけに織り込まれる。すなわち、第二領域3200において、吊糸400A1は、第一層1110の第一緯糸1112の上を通り、第二層1120の第二緯糸1122の下を通り、これを繰り返し、下側ベルト層1200には入らない。吊糸400A1は、第二領域3200と同じ織り込みパターンを第三領域3300でも継続する。
【0037】
次に、吊糸400A2は、第一領域3100において、下側ベルト層1200(第三層1210、第四層1220)を貫いているが、上側ベルト層1100には半分(第二層1120)だけに掛かっている。
第一領域3100において、吊糸400A2は、第四層1220の第四緯糸1222、第三層1210の第三緯糸1212の下を通ったあと、上側ベルト層1100に入り、第二層1120の第二緯糸1122の上を通り、これを繰り返す。
第一領域3100が終了して続いて第二領域3200に入ると、吊糸400A2は、下側ベルト層1200だけに織り込まれる。すなわち、第二領域3200において、吊糸400A2は、第三層1210の第三緯糸1212の上を通り、第四層1220の第四緯糸1222の下を通り、これを繰り返し、上側ベルト層1100には入らない。吊糸400A2は、第二領域3200と同じ織り込みパターンを第三領域3300でも継続する。
【0038】
次に、吊糸400Bについて説明する。
図8は、B群の吊糸400Bの織り込み構造を説明するための断面模式図である。
B群の吊糸400Bは、第一領域3100および第二領域3200では上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨いで織り込まれている。そして、B群の吊糸400Bは、第三領域3300では、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨がない。したがって、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とが引き裂かれるとき、B群の吊糸400Bは、第一領域3100および第二領域3200においては、糸が切れるときに衝撃吸収作用を発揮する。
【0039】
図8において、まず、第一領域3100において、吊糸400Bは、上側ベルト層1100(第一層1110、第二層1120)も下側ベルト層1200(第三層1210、第四層1220)も貫いて織り込まれている。第一領域3100において、吊糸400Bは、第一層1110の第一緯糸1112の上を通ったあと、第二層1120、第三層1210を貫いて、第四層1220の第四緯糸1222の下を通り、これを繰り返す。
【0040】
ここで、第一領域3100には吊糸400A(A1、A2)も上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とに掛かっていた。
吊糸400A1に注目すると、吊糸400A1は第一層1110の第一緯糸1112に一本飛ばしで掛かり、第三層1210の第三緯糸1212に一本飛ばしで掛かっている。吊糸400Bに注目すると、吊糸400Bは第一層1110と第四層1220の緯糸1112.1222の全てに掛かっている。吊糸400A1と吊糸400Bとでは、第一層1110の第一緯糸1112の一本飛ばしで同じ緯糸に掛かることになるが、それ以外では緯糸1112を共有しない。吊糸400A1と吊糸400Bとを引き裂くときに特定の緯糸だけに強い力が掛かって特定の緯糸が瞬間的に引っ張られ過ぎると、緯糸が撓んだり織り目がずれたりしてうまく吊糸400を切断できない恐れがある。この点、吊糸400A1と吊糸400Bとで、共通して掛かる緯糸を少なくして、緯糸に掛かる力を分散させる工夫である。同じことは、吊糸400A2と吊糸400Bとにも当てはまる。
【0041】
続いて、第二領域3200の吊糸400Bは、第一領域3100と同じく、上側ベルト層1100(第一層1110、第二層1120)も下側ベルト層1200(第三層1210、第四層1220)も貫いて織り込まれている。ただし、第一領域3100に比べて、第二領域3200の吊糸400Bのピッチは粗い。第二領域3200おいて、吊糸400Bは、第一層1110の第一緯糸1112、第二層1120の第二緯糸1122の上を通り、次に、第三層1210の第三緯糸121、第四層1220の第四緯糸1222の下を通り、これを繰り返す。したがって、吊糸400Bは、第二領域3200において糸が切れるときに衝撃吸収作用を発揮する。
【0042】
第三領域3300において、吊糸400Bは二つの組みに分類される。B群の二つの組みを吊糸400B1と吊糸400B2とする。第三領域3300において、吊糸400B1は、上側ベルト層1100だけに織り込まれている。第三領域3300において、吊糸400B2は、下側ベルト層1200だけに織り込まれている。
したがって、吊糸400B(B1、B2)は、第三領域3300においては衝撃吸収作用を発揮しない。
【0043】
次に、吊糸400Cについて説明する。
図9は、C群の吊糸400Cの織り込み構造を説明するための断面模式図である。C群の吊糸400Cは、第一領域3100、第二領域3200、第三領域3300において、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨いで織り込まれている。したがって、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とが引き裂かれるとき、C群の吊糸400Cは、第一領域3100、第二領域3200、第三領域3300において、糸が切れるときに衝撃吸収作用を発揮する。
【0044】
C群の吊糸400Cはさらに二つの組みに分類される。C群の二つの組みを吊糸400C1と吊糸400C2とする。吊糸400C1は、第一領域3100の吊糸400A1と織り込みのパターンは同じである。すなわち、吊糸400C1は、上側ベルト層1100(第一層1110、第二層1120)を貫いているが、下側ベルト層1200には半分(第三層1210)だけに掛かっている。第一領域3100において、吊糸400C1は、第一層1110の第一緯糸1112、第二層1120の第二緯糸1122の上を通ったあと、下側ベルト層1200に入り、第三層1210の第三緯糸1212の下を通り、これを繰り返す。ただし、吊糸400C1は、吊糸400A1に対して、緯糸一本分ずれて織り込まれている。つまり、第一領域3100において、吊糸400C1と吊糸400A1とで共通して掛かっている緯糸は無い。
【0045】
吊糸400C2は、第一領域3100の吊糸400A2と織り込みのパターンは同じである。すなわち、吊糸400C2は、下側ベルト層1200(第三層1210、第四層1220)を貫いているが、上側ベルト層1100には半分(第二層1120)だけに掛かっている。第一領域3100において、吊糸400C2は、第四層1220の第四緯糸1222、第三層1210の第三緯糸1221の下を通ったあと、上側ベルト層1100に入り、第二層1110の第二緯糸1122の上を通り、これを繰り返す。ただし、吊糸400C2は、吊糸400A2に対して、緯糸一本分ずれて織り込まれている。つまり、第一領域3100において、吊糸400C2と吊糸400A2とで共通して掛かっている緯糸は無い。吊糸400C(C1、C2)が、第二領域3200、第三領域3300でも第一領域3100と同じ織り込みパターンをずっと継続する。
【0046】
第二領域3200において、吊糸400Bと吊糸400C(C1、C2)とは、同じ緯糸に掛かることもあるが、吊糸400Bと吊糸400C(C1、C2)とでは周期(ピッチ)が違うし、吊糸400C1、400C2は、内側の層(第二層1120、第三層1210)の緯糸にも掛かるので、吊糸400Bと吊糸400C(C1、C2)とで共通して掛かる緯糸の数(割合)は十分に少ない(小さい)。
【0047】
なお、吊糸400の素材は、A群、B群、C群で同じとしてもよく、例えば、ポリエステル830Tである。あるいは、吊糸400の素材は、A群、B群、C群で違うようにしてもよく、例えば、A群、C群をポリエステル700Tとして、B群をポリエステル830Tとする。
第一実施形態においては、A群の吊糸400Aをポリエステル830Tで10本、B群の吊糸400Bをポリエステル830Tで20本、C群の吊糸400Bをポリエステル830Tで18本、とすることが例として挙げられる。あるいは、A群の吊糸400Aをポリエステル1400T~700Tで6~16本、B群の吊糸400Bをポリエステル1400T~700Tで10~30本、C群の吊糸400Bをポリエステル1400T~700Tで10~30本、としてもよい。
【0048】
第一実施形態においては、第一領域3100の長さを15cmとし、第二領域3200の長さを30cmとし、残りは第三領域3300とすることが例として挙げられるが、これに限定されるものではない。第一領域3100の長さを5cm~25cmとし、第二領域3200の長さを20cm~35cmとし、残りは第三領域3300としてもよいし、 第一領域3100の長さを10cm~20cmとし、第二領域3200の長さを25cm~35cmとし、残りは第三領域3300としてもよいし、第一領域3100の長さを15cm~20cmとし、第二領域3200の長さを25cm~30cmとし、残りは第三領域3300としてもよい。
【0049】
ここにいう第一領域3100の長さというのは、分離部2000の片側にある重合部3000中の第一領域3100の長さをいい、もし分離部2000の両側にある第一領域3100の長さを合計すれば上記の2倍ということになる。
【0050】
このような構成を有する本実施形態に係るショックアブソーバー1000による衝撃吸収作用を説明する。
例えば人(あるいは物体)が高所から落下したときに、固定具11A、11Bが引っ張られて、分離部2000の上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを離す方向に引き裂く力が働く。重合部3000においてまず最初に引き裂かされるのは第一領域3100である。第一領域3100では、上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とは吊糸400A、吊糸400Bおよび吊糸400Cによって綴じられているから、吊糸400A、吊糸400Bおよび吊糸400Cのすべてが衝撃吸収作用を発揮する。また、第一領域3100における吊糸400Bの密度(単位長さ当たりで上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨ぐ回数)は、第二領域3200における吊糸400Bの密度よりも大きい。したがって、第一領域3100を引き裂くときの荷重(力G1)が一番大きく、例えば最大4.4kNの力で第一領域3100は引き裂かれる。
【0051】
この後、第一領域3100を過ぎると、第二領域3200が引き裂かれることになる。第二領域3200は、吊糸400Bと吊糸400Cとで綴じられているが、吊糸400Aは第二領域3200の上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを綴じていない。また、第二領域3200における吊糸400Bの密度は、第一領域3100における吊糸400Bの密度よりも小さい。したがって、第二領域3200を引き裂くときの力G2は、第一領域3100を引き裂くときの力G1よりも一段小さくなり、例えば3.8kNの力で第二領域3200は引き裂かれる。
【0052】
第二領域3200のあと、第三領域3300が引き裂かれることになる。第三領域3300は、吊糸400Cで綴じられているが、吊糸400Aおよび吊糸400Bは第三領域3300の上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを綴じていない。したがって、第三領域3300を引き裂くときの力G3は、第二領域3200を引き裂くときの力G2よりもさらに小さくなる。
【0053】
落下する物体のエネルギーは、重合部3000を引き裂く最初の瞬間が一番大きく、重合部3000が開き出すと落下のエネルギーが徐々に小さくなっていくものである。初期にやや大きな力G1で吊糸400を切断する方が、初期領域で吸収できるエネルギー量が多くなる。このことは、結果として、落下エネルギーの全部を吸収するのに必要なショックアブソーバー1000の長さ(引き裂く長さ)を短くできることに繋がる。
【0054】
また、ショックアブソーバー1000に求められる性能として、従来は、最大荷重が4kNを超えないことと規定されていたが、現在は、2.2kNを超える荷重の平均が4kNになればよいとされている。したがって、荷重(引き裂き強力)が一時的に4kNを超えてもよい。本実施形態では、意図的に引き裂き強力が4kNを超える領域を作ることとし、そして、引き裂き強力が4kNを超えるタイミングを重合部3000が最初に引き裂かれる第一領域3100にすることとした。引き裂き強力が4kNを超えるといっても、これは吊糸400の太さ、本数、吊糸400の有効回数(単位長さ当たりで上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを繋ぐ回数)を調整することにより上限の設定は可能であり、コントロール不能に大きな衝撃が人体に掛かるわけではない。また、引き裂き強力が4kNを超える第一領域3100がずっと続くわけでなく、その後、所定長さの第一領域3100の後は第二領域3200、第三領域3300になり、徐々に引き裂き強力は小さくなる。落下のエネルギーが大きい最初の段階でやや大きな力G1で確実に落下エネルギーを大きく吸収し、その後、第二領域3200、第三領域3300では、徐々に引き裂き強力は小さくしておく。これにより、落下の途中でベルトを引き裂くための力(引き裂き強力)が落下のエネルギーよりも大きくなって急に人体(あるいは物体)に大きな衝撃が掛かるという事態が起こることはなくなる。
【0055】
(第二実施形態)
第二実施形態として、吊糸400A、吊糸400B、吊糸400Cの織り込みパターンの別態様を示す。
図10は、第二実施形態における吊糸400Aの織り込み構造の模式図である。
図11は、第二実施形態における吊糸400Bの織り込み構造の模式図である。
図12は、第二実施形態における吊糸400Cの織り込み構造の模式図である。
【0056】
図10に表れるように、吊糸400Aは、第一領域3100において、上側ベルト層1100(第一層1110、第二層1120)と下側ベルト層1200(第三層1210、第四層1220)とを貫いて織り込まれている。第一領域3100において、吊糸400A1は、第一層1110の第一緯糸1112、第二層1120の第二緯糸1122の上を通ったあと、下側ベルト層1200に入り、第三層1210の第三緯糸1212、第四層1220の第四緯糸1222の下を通り、これを繰り返す。第一領域3100が終了して続いて第二領域3200に入ると、吊糸400A1は、上側ベルト層1100だけに織り込まれる。吊糸400A2は、第一領域3100において、第三層1210の第三緯糸1212、第四層1220の第四緯糸1222の下を通ったあと、上側ベルト層1100に入り、第一層1110の第一緯糸1112、第二層1120の第二緯糸1122の上を通り、これを繰り返す。第一領域3100が終了して続いて第二領域3200に入ると、吊糸400A2は、下側ベルト層1200だけに織り込まれる。
【0057】
図11に表れるように、吊糸400Bは、第一領域3100、第二領域3200および第三領域3300において上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨いで織り込まれている。第二実施形態においては、第一領域3100および第二領域3200における吊糸400Bの織り込みパターンは同じであり、第三領域3300では緯糸の織り込みピッチが粗くなる。すなわち、第一領域3100および第二領域3200において、吊糸400Bは、上側ベルト層1100(第一層1110、第二層1120)も下側ベルト層1200(第三層1210、第四層1220)も貫いて織り込まれている。第一領域3100および第二領域3200において、吊糸400Bは、第一層1110の第一緯糸1112の上を通ったあと、第二層1120、第三層1210を貫いて、第四層1220の第四緯糸1222の下を通り、これを繰り返す。
三領域3300においては、吊糸400Bは二つの組みに分類される。
第三領域3300において、吊糸400B1は、上側ベルト層1100の第二層1200の緯糸1122、第一層1100の緯糸1112の上を通ったあと、下側ベルト層1200に入り、第四層の緯糸1222、第三層の緯糸1212の下を通り、これを繰り返す。また、第三領域3300において、吊糸400B2も、吊糸B1と同じく、上側ベルト層1100の第二層1200の緯糸1122、第一層1100の緯糸1112の上を通ったあと、下側ベルト層1200に入り、第四層の緯糸1222、第三層の緯糸1212の下を通り、これを繰り返す。ただし、吊糸B1と吊糸B2とでは互いに半ピッチずれて経糸1111、1121、1211、1221に織り込まれている。
【0058】
図12に表れるように、吊糸400Cは、上側ベルト層1100(第一層1110、第二層1120)と下側ベルト層1200(第三層1210、第四層1220)とを貫いて織り込まれている。
吊糸400Cは、第一、第二、第三領域3300で織り込みパターンは共通である。吊糸400C1は、第一層1110の緯糸、第二層1120の緯糸の上を通ったあと、下側ベルト層1200に入り、第三層1210の緯糸、第四層1220の緯糸の下を通り、これを繰り返す。吊糸400C2は、第三層1210の緯糸、第四層1220の緯糸の下を通ったあと、上側ベルト層1100に入り、第一層1110の緯糸、第二層1120の緯糸の上を通り、これを繰り返す。
【0059】
この第二実施形態によれば、最初、第一領域3100が引き裂かれるときは吊糸400A、吊糸400Bおよび吊糸400Cのすべてが衝撃吸収作用を発揮する。したがって、第一領域3100を引き裂くときの力G1が一番大きい。続いて、第二領域が引き裂かれるとき、吊糸400Aは第二領域3200の上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを綴じていない。したがって、第二領域3200を引き裂くときの力G2は、第一領域3100を引き裂くときの力G1よりも一段小さくなる。続いて、第三領域が引き裂かれるとき、吊糸400Bと吊糸Cとが上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを綴じていることは第二領域3200と同じであるが、ただし、吊糸400Bのピッチは第二領域3200よりも粗くなっている。したがって、第三領域3300を引き裂くときの力G3は、第二領域3200を引き裂くときの力G2よりもさらに小さくなる。すなわち、第二実施形態においても、初期にやや大きな力G1で確実に落下エネルギーを大きく吸収する。これにより、ショックアブソーバー1000の引き裂き長さを全体的に短くすることができる。そして、その後、第二領域3200、第三領域3300では、徐々に引き裂き強力が小さくなるようにする。これにより、落下の途中でベルトを引き裂くための力(引き裂き強力)が落下のエネルギーよりも大きくなって急に人体(あるいは物体)に大きな衝撃が掛かるという事態が起こることはなくなる。
【0060】
(第三実施形態)
第三実施形態として、吊糸400A、吊糸400B、吊糸400Cの織り込みパターンの別態様を示す。
図13は、第三実施形態における吊糸400Aの織り込み構造の模式図である。
図14は、第三実施形態における吊糸400Bの織り込み構造の模式図である。
図15は、第三実施形態における吊糸400Cの織り込み構造の模式図である。
【0061】
第三実施形態おける吊糸Aの織り込みパターンは第一実施形態(図7)と同じである。
【0062】
第三実施形態における吊糸Bの織り込みパターンは、重合部3000で共通であり、吊糸400Bは、第一層1110の第一緯糸1112の上を通ったあと、第二層1120、第三層1210を貫いて、第四層1220の第四緯糸1222の下を通り、これを繰り返す。
【0063】
第三実施形態における吊糸Cの織り込みパターンは、第一実施形態(図9)と同じである。
【0064】
第三実施形態において、吊糸の織り込み組織としては第二領域と第三領域という区別はない。
第一領域3100は、吊糸400A、400B、400Cで綴じられ、その後、第二領域3200は吊糸400B、吊糸400Cで綴じられている。この構成においても、第一領域3100における吊糸400の本数(単位長さ当たりで有効な吊糸の本数)は第二領域3200よりも多い。したがって、第一領域3100を引き裂くときの力G1が大きく、第二領域3200を引き裂くときの力G2はそれよりも一段小さくなる。
第三実施形態においては、A群の吊糸400Aをポリエステル700Tで10本、B群の吊糸400Bをポリエステル700Tで22本、C群の吊糸400Bをポリエステル830Tで24本、とすることが例として挙げられる。あるいは、A群の吊糸400Aをポリエステル1400T~700Tで6~16本、B群の吊糸400Bをポリエステル1400T~700Tで10~30本、C群の吊糸400Bをポリエステル1400T~700Tで10~30本、としてもよい
【0065】
第三実施形態においては、第一領域3100の長さを20cmとし、残りは第二領域3200とすることが例として挙げられるが、これに限定されるものではない。第一領域3100の長さを5cm~25cmとしてもよいし、第一領域3100の長さを10cm~25cmとしてもよいし、第一領域3100の長さを20cm~25cmとしてもよい。
【0066】
(実験例)
図16は、第一実施形態に係るショックアブソーバー1000による衝撃荷重波形の試験結果の一例である。
ここでは、A群の吊糸400Aをポリエステル830Tで10本、B群の吊糸400Bをポリエステル830Tで20本、C群の吊糸400Bをポリエステル830Tで18本、とした。
図16に表れるように、第一領域3100を引き裂くときの力G1が一番大きく、例えば最大4.35kNの力で第一領域3100は引き裂かれる。次に、第二領域3200を引き裂くときの力G2は、第一領域3100を引き裂くときの力G1よりも一段小さくなり、例えば3.8kNの力で第二領域3200は引き裂かれる。続いて、第三領域3300を引き裂くときの力G3は、第二領域3200を引き裂くときの力G2よりもさらに小さくなる。すると、例えば人(あるいは物体)が落下するときのエネルギーを吸収するときの衝撃波形は図16のようになる。
【0067】
図17は、第三実施形態に係るショックアブソーバー1000による衝撃荷重波形の試験結果の一例である。
ここでは、A群の吊糸400Aをポリエステル700Tで10本、B群の吊糸400Bをポリエステル700Tで22本、C群の吊糸400Bをポリエステル700Tで24本、とした。
図17に表れるように、第一領域3100を引き裂くときの力G1が一番大きく、例えば最大4.72kNの力で第一領域3100は引き裂かれる。次に、第二領域3200を引き裂くときの力G2は、第一領域3100を引き裂くときの力G1よりも一段小さくなり、例えば3.6kNの力で第二領域3200は引き裂かれる。すると、例えば人(あるいは物体)が落下するときのエネルギーを吸収するときの衝撃波形は図17のようになる。また、第三実施形態では、試験後のアブソーバーの伸びは1090mmであった。
【0068】
ここで、図18は対比例としてのショックアブソーバーの衝撃波形である。
図18に例示のように、4kN以下の力(例えば3.9kN)で一定の荷重がかかることを理想とすると、落下エネルギーの全部を吸収するのに必要なショックアブソーバー1000の長さ(引き裂く長さ)がどうしても長くなり、ショックアブソーバーを小型化することは難しかった。
図18の例では、試験後のアブソーバーの伸びは1130mmであった。
図18図17(第三実施形態)とを比較すると、図17(第三実施形態)の方が、最大衝撃荷重および全体の力積は若干大きいものの、平均荷重は小さく、また、その分、伸びも短くなることが示されている。
【0069】
また、重合部3000が開いてエネルギーを吸収すると落下のエネルギーが徐々に小さくなるので、一定の荷重(例えば3.8kN)がかかるようにショックアブソーバーを設計したとしても、途中でベルトを引き裂くための力が落下のエネルギーよりも大きくなってしまうと、例えば図19のように、急激に人体(あるいは物体)に大きな衝撃が掛かっていた。
図19は、最後に衝撃荷重が尻上がりに大きくなる衝撃波形の例を模式的に示した図である。
この点、本実施形態では、第一領域3100、第二領域3200、さらに、第三領域を設けていれば第三領域3300、の順に有効な吊糸400が減っていく設計であり、最後に尻上がりに大きな力が人体(あるいは物体)に掛かることはない。
【0070】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施形態では、吊糸の本数の変化と吊糸の密度(単位長さ当たりで上側ベルト層1100と下側ベルト層1200とを跨ぐ回数)を変化させることで第一領域、第二領域、第三領域の引き裂き強力に違いを設ける例を説明した。
さらに、上側ベルト層および下側ベルト層の緯糸のピッチを変化させることで吊糸の密度を変化させることもできる。
例えば、吊糸の織り込みパターンが同じでも、緯糸のピッチが密(ピッチが短い)ならば吊糸の密度は高くなるし、緯糸のピッチが粗(ピッチが長い)ならば吊糸の密度は低くなる。
これを利用して第一領域、第二領域、第三領域の引き裂き強力に違いを設けることもできる。
【0071】
変形例として、第二実施形態または第三実施形態の吊糸Bを例えば図20に例示のものに代えてもよい。
図20に表れるように、吊糸400Bは、第一領域3100において、上側ベルトの半分(第二層1120)と下側ベルトの半分(第三層1210)とに掛かるように織り込まれている。第二領域3200において、吊糸400Bは、上側ベルトの半分(第二層1120)と下側ベルトの半分(第三層1210)とに掛かるように織り込まれているが、第二領域3200の織り込みピッチは第一領域3100における織り込みピッチの二倍とする。第三領域3300では吊糸Bは上側ベルト層1100だけまたは下側ベルト層1200だけに織り込まれ、有効な吊糸としては機能しないようにしている。
【0072】
上記実施形態の説明では、分離部2000の両側に重合部3000を有する形態を説明したが、重合部3000は分離部2000の片側にだけあってもよいのであり、その場合は経糸、吊糸の太さや本数を適宜調整する。
【符号の説明】
【0073】
10 ランヤード
11A 固定具
11B 固定具
12 命綱ベルト
1000 ショックアブソーバー
1100 上側ベルト層
1110 第一層
1111 第一経糸
1112 第一緯糸
1112 第二経糸
1120 第二層
1121 第二経糸
1122 第二緯糸
1200 下側ベルト層
1210 第三層
1211 第三経糸
1212 第三緯糸
1220 第四層
1221 第四経糸
1222 第四緯糸
2000 分離部
2100 上側連結部
2200 下側連結部
3000 重合部
3100 第一領域
3200 第二領域
3300 第三領域
400 吊糸
410 吊糸
420 吊糸
400A 吊糸A
400B 吊糸B
400C 吊糸C
400A1 吊糸A1
400A2 吊糸A2
400B1 吊糸B1
400B2 吊糸B2
400C1 吊糸C1
400C2 吊糸C2
【要約】
【課題】全体的に小型化でき、かつ、人体に大きな衝撃が掛からないようにできるショックアブソーバーを提供する。
【解決手段】安全帯用ショックアブソーバーは、吊糸が上側ベルト層の緯糸と下側ベルト層の緯糸との両方に織り込まれることによって上側ベルト層と下側ベルト層とが縫着された重合部と、吊糸が上側ベルト層と下側ベルト層とに跨がって織り込まれないことで上側ベルト層と下側ベルト層が分離している分離部と、を有する。重合部を引き裂く最初の所定長さである第一領域における第一段階の衝撃吸収力G1と、第一領域に続く第二領域において重合部を引き裂くときの第二段階の衝撃吸収力G2と、の関係がG1>G2である。
【選択図】図17
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20