(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】セルロースアセテートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08B 3/06 20060101AFI20240725BHJP
C08B 3/24 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C08B3/06
C08B3/24
(21)【出願番号】P 2020065915
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(73)【特許権者】
【識別番号】515157758
【氏名又は名称】公立大学法人 富山県立大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 修二
(72)【発明者】
【氏名】島本 周
(72)【発明者】
【氏名】岸本 崇生
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-158664(JP,A)
【文献】特開2016-079161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 3/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料セルロースアセテートを加溶媒分解して脱アシル化する工程を有し、
前記原料セルロースアセテートの加溶媒分解は、溶媒及び触媒の存在下、前記原料セルロースアセテートに周波数300MHz~300GHzのマイクロ波を照射し、
前記溶媒が、前記原料セルロースアセテートのアセチル基の加溶媒分解が可能なアルコール、水、又は前記アルコール及び水を含
み、
前記溶媒が、さらに酢酸エステルを含む、セルロースアセテートの製造方法。
【請求項2】
前記加溶媒分解の反応系内における、前記水の含有量が、前記原料セルロースアセテート1重量部に対し、1.2重量部以下である、請求項1に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項3】
前記加溶媒分解の反応系内における、前記アルコールの含有量が、前記原料セルロースアセテート1重量部に対し、2重量部以上20重量部以下である、請求項1又は2に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【請求項4】
前記アルコールが、メタノール及びエタノールからなる群より選択される少なくとも1以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセルロースアセテートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルロースアセテートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なセルロースアセテートの製造方法として、次の方法がある。まずセルロース材料であるパルプ等を解砕し、硫酸触媒を含むか含まない酢酸を添加する前処理工程を経て、冷却した酢酸、無水酢酸、及び硫酸触媒を添加してニーダーで外部ジャケットにより温度制御をしながら、アセチル化を行う。アセチル化により完全三置換セルロースアセテート(一次セルロースアセテート)を得たのち、酢酸マグネシウム水溶液等の中和剤を添加し、酢酸マグネシウムにより硫酸を中和(完全中和または部分中和)するとともに、酢酸マグネシウム水溶液に含まれる水分により無水酢酸を失活させる。そして、粘調な一次セルロースアセテートドープを熟成槽に投下して、加水分解(脱アシル化)させて、所望する置換度のセルロースアセテートを得る。このセルロースアセテート(二次セルロースアセテート)に多量の溶媒(水、希酢酸水溶液等)を添加してセルロースアセテートを沈殿させる。沈殿したセルロースアセテートを固液分離して洗浄、乾燥させてセルロースアセテートを得る。
【0003】
特許文献1には、キチンのN-アセチル基の脱アセチル化においてマイクロ波を使う技術が開示されており、また、非特許文献1にはヒマシ油のエステル交換においてマイクロ波を使う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Fuel, Volume 87, Issue 12, September 2008, Pages 2838-2841
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、セルロースアセテートの製造において、マイクロ波を用いることは知られておらず、従来の方法では、セルロースアセテートの脱アシル化を短時間で効率的に行うことができなかった。本開示は、所望のアセチル総置換度のセルロースアセテートの製造時間を簡便に短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、原料セルロースアセテートを加溶媒分解して脱アシル化する工程を有し、前記原料セルロースアセテートの加溶媒分解は、溶媒及び触媒の存在下、前記原料セルロースアセテートに周波数300MHz~300GHzのマイクロ波を照射し、前記溶媒が、前記原料セルロースアセテートのアセチル基の加溶媒分解が可能なアルコール、水、又は前記アルコール及び水を含む、セルロースアセテートの製造方法に関する。
【0008】
前記セルロースアセテートの製造方法において、前記加溶媒分解の反応系内における、前記水の含有量が、前記原料セルロースアセテート1重量部に対し、1.2重量部以下であることが好ましい。
【0009】
前記セルロースアセテートの製造方法において、前記加溶媒分解の反応系内における、前記アルコールの含有量が、前記原料セルロースアセテート1重量部に対し、2重量部以上20重量部以下であることが好ましい。
【0010】
前記セルロースアセテートの製造方法において、前記アルコールが、メタノール及びエタノールからなる群より選択される少なくとも1以上であることが好ましい。
【0011】
前記セルロースアセテートの製造方法において、前記溶媒が、さらに酢酸エステルを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、所望のアセチル総置換度のセルロースアセテートの製造時間を簡便に短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示のセルロースアセテートの製造方法は、原料セルロースアセテートを加溶媒分解して脱アシル化する工程を有し、前記原料セルロースアセテートの加溶媒分解は、溶媒及び触媒の存在下、前記原料セルロースアセテートに周波数300MHz~300GHzのマイクロ波を照射し、前記溶媒が、前記原料セルロースアセテートのアセチル基の加溶媒分解が可能なアルコール、水、又は前記アルコール及び水を含む。
【0014】
[脱アシル化工程]
本開示のセルロースアセテートの製造方法における脱アシル化工程では、原料セルロースアセテートを加溶媒分解する。
【0015】
(原料セルロースアセテート)
原料セルロースアセテートとしては、例えば、中乃至高置換度セルロースアセテートを用いることができる。中乃至高置換度セルロースアセテートのアセチル総置換度は、例えば、1.5~3、好ましくは2~3である。原料セルロースアセテートとしては、市販のセルロースジアセテート(アセチル総置換度2.20~2.56)やセルローストリアセテート(アセチル総置換度2.56超~3)を用いることができる。
【0016】
原料セルロースアセテートは、従来公知の製造方法により製造することができる。一具体例をあげると、パルプを解砕する工程、前処理する工程、エステル化(酢化)する工程、加水分解する工程、沈殿する工程、及び安定剤を添加する工程を有する一連の工程を経ることにより製造することができる。なお、一般的なセルロースアセテートの製造方法については、「木材化学」(上)(右田ら、共立出版(株)1968年発行、第180頁~第190頁)を参照できる。
【0017】
また、パルプを解砕する工程、前処理する工程、及びエステル化(酢化)する工程までを経たセルロースアセテートを原料セルロースアセテートとして用いることもできる。
【0018】
パルプのα-セルロース含有率は、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、97重量%以上がさらに好ましい。上限値は特にないが、99重量%以下であってよい。
【0019】
α-セルロース含有率は、以下のようにして求めることができる。重量既知のパルプを25℃で17.5%と9.45%の水酸化ナトリウム水溶液で連続的に抽出し、その抽出液の可溶部分に対して重クロム酸カリウムで酸化し、酸化に要した重クロム酸カリウムの容量からβ,γ-セルロースの重量を決定する。初期のパルプの重量からβ,γ-セルロース重量を引いた値を、パルプの不溶部分の重量、α-セルロースの重量とする(TAPPI T203)。初期のパルプの重量に対する、パルプの不溶部分の重量の割合が、α-セルロース含有率(重量%)である。
【0020】
パルプとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)及び綿花リンター等が使用できる。これらのセルロースは単独で又は二種以上組み合わせてもよく、例えば、針葉樹パルプと、綿花リンター又は広葉樹パルプとを併用してもよい。
【0021】
木材パルプは、原料の安定供給及びリンターに比べコスト的に有利であるため、好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹前加水分解クラフトパルプ等が挙げられる。
【0022】
パルプを解砕する工程では、例えば、ディスクリファイナーを用いて乾式で解砕することができる。
【0023】
前処理する工程においては、解砕したパルプと酢酸又は含硫酢酸とを接触させればよい。酢酸は、96~100重量%酢酸を用いることができ、含硫酢酸は、硫酸を含む酢酸であり、1~10重量%の硫酸を含むことが好ましい。
【0024】
エステル化(酢化)する工程においては、前処理したパルプを酢酸及び無水酢酸の混合溶液と接触させてパルプを無水酢酸でエステル化(酢化)すればよい。混合溶液には、硫酸を含むことが好ましい。エステル化(酢化)工程において、酢酸は96~100重量%酢酸を用いることができ、硫酸は濃硫酸が好ましい。
【0025】
加水分解する工程においては、エステル化(酢化)反応停止のために、水、希酢酸、又は酢酸マグネシウム水溶液等の中和剤を添加する。希酢酸とは、1~50重量%の酢酸水溶液をいう。また、酢酸マグネシウム水溶液の酢酸マグネシウム濃度は、5~30重量%であることが好ましい。
【0026】
沈殿する工程においては、セルロースアセテートを含む混合物と水、希酢酸、希水酸化カルシウム水溶液、又は酢酸マグネシウム水溶液等の沈殿剤とを混合し、生成したセルロースアセテート(沈殿物)を分離して、水洗により遊離の金属成分や硫酸成分等を除去することにより行うことができる。
【0027】
安定剤を添加する工程においては、水洗に加えてさらに、必要に応じて安定剤として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、特に水酸化カルシウム等のカルシウム化合物を添加してもよい。また、水洗の際に安定剤を用いてもよい。
【0028】
(原料セルロースアセテートの加溶媒分解)
原料セルロースアセテートの加溶媒分解は、溶媒及び触媒の存在下、前記原料セルロースアセテートに周波数300MHz~300GHzのマイクロ波を照射し、前記溶媒が、前記原料セルロースアセテートのアセチル基の加溶媒分解が可能なアルコール、水、又は前記アルコール及び水を含むものである。なお、「加溶媒分解」には、水が原料セルロースアセテートのアセチル基と反応する、「加水分解」も含まれる。
【0029】
溶媒としては、原料セルロースアセテートのアセチル基の加溶媒分解が可能なアルコール、水、又は前記アルコール及び水を含んでいればよく、従来公知のセルロースアセテートの脱アシル化で採用される溶媒を用いることができる。
【0030】
アセチル基の加溶媒分解が可能なアルコールは、特に限定されないが、例えば、炭素数4以下のアルコールが挙げられ、炭素数2以下のアルコール(言い換えれば、メタノール及びエタノール)が好ましい。前記アルコールとしては、メタノール及びエタノールからなる群より選択される少なくとも1以上であることが好ましい。
【0031】
ここで、従来の原料セルロースアセテートの脱アシル化では、原料セルロースアセテートを酢酸及び水混合溶媒に溶解し、硫酸触媒を用いて、原料セルロースアセテートを加溶媒分解する。このとき、原料セルロースアセテートの加溶媒分解は、エステル化(酢化)反応と平衡して進行する。加溶媒分解反応の進行により、アセチル基が脱離すると、希酢酸溶媒中の酢酸濃度が上昇することにより溶媒組成が変化し、エステル化反応に平衡が傾く。特に、アセチル総置換度が低下することで、溶媒溶解性が変化し、析出する等の問題がある。
【0032】
一方、本開示のセルロースアセテートの製造方法において、原料セルロースアセテートの加溶媒分解反応の溶媒として、アセチル基の加溶媒分解が可能なアルコールを含む溶媒を用いる場合、原料セルロースアセテートから加溶媒分解により脱離したアセチル基が当該アルコールと反応して、酢酸エステル及び水が生成する。この生成した水は、さらに原料セルロースアセテートの加溶媒分解に利用される。そのため、エステル化反応に平衡が傾くことなく、加溶媒分解反応が進行するため好ましい。また、溶媒中の酢酸エステル濃度の向上により、セルロースアセテートの溶解性は均一又は向上するため、析出する等の問題は生じにくい。
【0033】
加溶媒分解反応系内における、溶媒の含有量は、原料セルロースアセテート1重量部に対して、0.5~99重量部であってよい。好ましくは0.5~50重量部、より好ましくは1~20重量部、さらに好ましくは3~10重量部である。
【0034】
加溶媒分解反応系内における、アセチル基の加溶媒分解が可能なアルコールの含有量は、原料セルロースアセテート1重量部に対して、2重量部以上20重量部以下が好ましく、3重量部以上9重量部以下がより好ましい。アルコールの含有量が少なすぎると原料セルロースアセテート、溶媒、及び触媒を含む反応混合物の攪拌が困難になる場合があり、また、アルコールの含有量が多すぎると、アルコール含有量をより多くしても、セルロースアセテートの脱アシル化の効率化に寄与するものではなく、また、特に、セルロースアセテートを大量に製造する場合に、大規模な製造設備が必要となる等、非経済的である。
【0035】
本開示の製造方法を用いて、特に水溶性のセルロースアセテート(酢化度13%~29%のセルロースアセテート)を製造する場合には、反応終了時の反応混合物中において生成したセルロースアセテートを固体として存在させ分離回収を容易にする観点から、加溶媒分解反応系内における水の含有量は、より少ない方がよく、原料セルロースアセテート1重量部に対して、20重量部以下、10重量部以下、5重量部以下、2重量部以下、1.2重量部以下、1重量部以下、0.4重量部以下、及び0.1重量部以下の順により好ましい。また、原料セルロースアセテートの加溶媒分解が開始及び進行すればよく、加溶媒分解反応系内における水の含有量の下限値はないが、例えば、原料セルロースアセテート1重量部に対して、0重量部以上であってよく、0.01重量部以上であってよい。
【0036】
原料セルロースアセテートの加溶媒分解反応は、水を添加しなくとも(水の含有量が0重量部であっても)、原料セルロースアセテートのアセチル基の加溶媒分解が可能なアルコールが存在すれば、原料セルロースアセテートの脱アシル化反応(アシル移動反応)は進行し、この反応は、反応系内の温度や触媒条件を選べば十分に速やかである。しかしながら、原料セルロースアセテートに元来含まれる水分は除去せずに反応に供することが便利であり、また、少量の水は得られるセルロースアセテートの諸物性の制御の目的で便利なこともある。その水分含量としては、例えば、原料セルロースアセテート中、5重量%以下、4重量%以下、若しくは3重量%以下であってよく、また、1重量%以上であってよい。
【0037】
原料セルロースアセテートに含まれる水分含量は、以下の方法により測定することができる。ケット水分計(METTLER TOLEDO HB43)を用いて測定することができる。ケット水分計のアルミ受け皿に含水状態の試料約2.0gを乗せ、重量が変化しなくなるまで120℃で加熱することで加熱前後の重量変化から試料中の水分含量(重量%)が算出できる。
【0038】
原料セルロースアセテートの水分含有量が非常に少なく、加溶媒分解反応の開始が困難な場合、水を系内に添加してもよい。反応開始時において、使用するする全ての量を系内に存在させてよく、使用する水の一部を反応開始時に系内に存在させ、残りの水を1~数回に分けて系内に添加してもよい。
【0039】
溶媒は、さらに、例えば、酢酸エステル、及びアセトン等を含んでよい。これらの中でも、酢酸エステルが好ましい。酢酸エステルの中でも、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル及び酢酸メチルが特に好ましい。加溶媒分解反応系内の温度を低くすることができ、粘度平均重合度が高いセルロースアセテートが得られるためである。
【0040】
本開示の製造方法で採用できるマイクロ波の周波数は、300MHz~300GHzであるところ、600MHz~33.9GHzであってよく、900MHz~10GHzであってよく、915MHz~10GHzであってよい。ISMバンドとして工業的に使用が許可されている波長を使用することが好ましい。例えば、2.40GHz~2.50GHz、及び910MHz~920MHzである。また、2.45GHzが特に好ましい。当該範囲の波長を用いることにより、所望のアセチル総置換度のセルロースアセテートをより効率的に製造することができる。なお、周波数300MHz~300GHzは、波長約1m~1mmに換算できる。
【0041】
マイクロ波の出力は、10W以上10000W以下であってよく、50W以上1000W以下が好ましく、100W以上850W以下がより好ましい。また、マイクロ波の照射時間は、5分以上200分以下であってよく、35分以上180分以下が好ましく、60分以上120分以下がより好ましい。
【0042】
本開示のセルロースアセテートの製造方法によれば、加溶媒分解反応の時間を短くできるので、アセチル総置換度の低いセルロースアセテートを製造する場合にも脱アシル化工程を短時間で効率的に行うことができる。温水、水蒸気、及び油浴等の従来の加熱方法に比べ、本開示のマイクロ波を用いた加熱方法によれば、10%以上加溶媒分解反応の時間を短くすることができる。
【0043】
なお、加溶媒分解反応(脱アシル化)の時間とは、原料セルロースアセテート、溶媒、及び触媒を含む反応混合物を加熱し、一定温度(一般に、反応温度又は熟成温度等と称することがある。また、±3℃程度の温度範囲を許容する。)に保持し、その後に冷却又は中和剤を添加する操作において、当該一定温度に達した時点から、当該一定温度より低温に冷却するまで、又は中和剤を添加するまでの時間をいう。なお、中和剤を添加する前に、当該一定温度より低温に冷却する場合は、当該一定温度より低温に冷却するまでをいう。
【0044】
原料セルロースアセテートの加溶媒分解は、冷却又は中和剤の添加により終了することができる。硫酸等の強酸を触媒とした場合の中和剤としては、酢酸ナトリウム及び酢酸マグネシウム等の酢酸塩が挙げられる。塩基を触媒とした場合は、酢酸、希酢酸等が挙げられる。なお、希酢酸としては、2.9重量%から3.5重量%程度のものが挙げられる。
【0045】
本開示の原料セルロースアセテートの脱アシル化は、溶媒及び触媒の存在下で進行する。
【0046】
このような触媒としては、一般に脱アシル化触媒として用いられる触媒を使用できる。触媒としては、酸触媒(プロトン触媒)が好ましい。酸触媒としては、無機酸及び有機酸が含まれる。無機酸としては、例えば、リン酸、塩酸、及び硫酸が挙げられる。また、有機酸としては、例えば、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸リチウム、酢酸バリウム、酢酸ニッケル、酢酸亜鉛及び酢酸マグネシウム等の酢酸塩;並びに酢酸等が挙げられる。これらの中でも、酢酸亜鉛又は硫酸がより好ましく、硫酸が最も好ましい。また、硫酸は、濃硫酸として、硫酸濃度が98重量%の硫酸水溶液を用いることができる。触媒は、前記溶媒とともに添加してよい。
【0047】
触媒の使用量は、原料セルロースアセテート1重量部に対して、例えば、0.005~1重量部が好ましく、0.01~0.5重量部がより好ましく、0.02~0.3重量部がさらに好ましい。加溶媒分解の時間を短縮でき、セルロースアセテートの重合度(分子量)の低下を抑制できる。触媒の量が多すぎる場合、加溶媒分解温度に対する解重合速度の変化の度合いが大きくなり、加溶媒分解温度がある程度低くても解重合速度が大きくなり、重合度(分子量)がある程度大きいセルロースアセテートが得られにくくなる。また、一分子内でのアセチル置換度に偏りがある不均一なセルロースアセテートにもなりやすい。
【0048】
[沈殿工程]
本開示のセルロースアセテートの製造方法は、前記脱アシル化する工程の後、前記脱アシル化されたセルロースアセテートを沈殿する工程を有してよい。
【0049】
沈殿の方法としては、例えば、原料セルロースアセテートの加溶媒分解反応終了後、反応系の温度を室温まで冷却することで置換度の低いセルロースアセテートを沈殿させる方法が挙げられる。このように、冷却を用いる沈殿の方法は、沈殿溶媒を加える必要はなく、経済上好ましい。尤も、沈殿溶媒を加えることで置換度の低いセルロースアセテートの沈殿化が促進され、収量が上がることがあるので、沈殿溶媒を加えても良い。
【0050】
沈殿溶媒としては、前記炭素数3以下のアルコールを含む溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル及び酢酸メチル等のエステル;アセトニトリル等の含窒素化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル;並びにこれらの混合溶媒等が挙げられる。これらの沈殿溶媒は1種で用いてよく、2種以上の溶媒を含む混合溶媒を用いても良い。これらの中でも、反応溶媒と同じ溶媒を沈殿溶媒として使えば、廃溶媒の回収再利用が容易になることがあるため、前記炭素数3以下のアルコールを含む溶媒が好ましい。
【0051】
沈殿溶媒は、下記の塩基性物質を含むことが好ましい。中和を沈殿と同時に行えるためである。
【0052】
[洗浄工程、中和工程]
沈殿したセルロースアセテートは、メタノール等のアルコール、及びアセトン等のケトン等の有機溶媒(貧溶媒)で洗浄するのが好ましい。また、塩基性物質を含む有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトン等)で洗浄、中和することも好ましい。洗浄、中和により、加溶媒分解工程で用いた触媒(硫酸等)等の不純物を効率よく除去することができる。
【0053】
前記塩基性物質としては、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属カルボン酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド等);並びにアルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等のアルカリ土類金属カルボン酸塩;及びマグネシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド等)等を使用できる。これらの中でも、特に、酢酸カリウム等のアルカリ金属化合物が好ましい。
【0054】
[安定剤添加]
セルロースアセテートを沈殿させた後、沈殿したセルロースアセテートに安定剤を添加してもよい。セルロースアセテートの熱安定性を高めるためである。安定剤としては、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、特に水酸化カルシウム等のカルシウム化合物が好ましい。
【0055】
安定剤の添加量は、例えば、セルロースアセテートを含む反応混合物と、0.2~1.0重量%に調整した水酸化カルシウム水溶液とを100:1~10の体積比で添加することが好ましい。
【0056】
当該安定剤の添加は、前記沈殿物を水洗により遊離の金属成分や硫酸成分等を除去する際に併せて行ってもよい。
【0057】
前記脱アシル化されたセルロースアセテートを沈殿する工程の後、又は任意工程を含む場合は任意工程の後、セルロースアセテートを乾燥することが好ましい。セルロースアセテートを乾燥させる場合、乾燥の方法としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、熱風乾燥等の送風乾燥、減圧乾燥、及び真空乾燥等の乾燥が挙げられる。温度や圧力は適宜調整すればよい。
【0058】
セルロースアセテートを乾燥させた後、セルロースアセテートを粉砕してもよい。粉砕は、慣用の粉砕機、例えば、サンプルミル、ハンマーミル、ターボミル、アトマイザー、カッターミル、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、ジェットミル、及びピンミル等を用いることができる。また、凍結粉砕、常温での乾式粉砕、又は湿式粉砕でもよい。
【0059】
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【0060】
本開示のセルロースアセテートの製造方法によれば、所望のアセチル総置換度のセルロースアセテートの製造時間を簡便に短縮することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本開示を具体的に説明するが、これらの実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。
【0062】
後述する実施例及び比較例に記載の評価及び物性の測定は、以下のとおり行った。
【0063】
<酢化度/アセチル総置換度>
酢化度は、ASTM D-817-91(セルロースアセテートなどの試験方法)の酢化度の測定方法に準拠して、測定した。まず、乾燥したセルロースアセテート1.9gを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒(容量比4:1)150mlに溶解した後、1N-水酸化ナトリウム水溶液30mlを添加し、25℃で2時間ケン化した。次に、フェノールフタレイン溶液を指示薬として添加し、1N-硫酸で過剰の水酸化ナトリウムで滴定した後、下記式にしたがって酢化度を算出した。なお、同様の方法により、ブランクテストを行った。
【0064】
酢化度(%)=[6.005×(B-A)×F]/W
(式中、Aは試料の滴定に要した1N-硫酸のml数、Bはブランクテストの滴定に要した1N-硫酸のml数、Fは1N-硫酸の濃度ファクター、Wは試料重量を示す)。
【0065】
なお、アセチル総置換度(DSということがある)は、酢化度から次式で求めた。
DS=162.14×酢化度(%)/(6005.2-42.037×酢化度(%))
【0066】
<6%粘度>
三角フラスコに乾燥試料3.00g、95%アセトン水溶液を39.90g入れ、密栓して約1.5時間攪拌した。その後、回転振盪機で約1時間振盪して完溶させた。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温した。計時標線間の流下時間を測定し、次式により6%粘度を算出した。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数
【0067】
粘度計係数は、粘度計校正用標準液[昭和石油社製、商品名「JS-200」(JIS Z 8809に準拠)]を用いて上記と同様の操作で流下時間を測定し、次式より求めた。
粘度計係数
={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm3)}
/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数(s)}
【0068】
<極限粘度数/粘度平均重合度>
セルロースアセテートの重合度は極限粘度数([η]、単位:g/dl、I.V.ということもある)に基づく粘度平均重合度として評価した。
【0069】
具体的には、まず、セルロースアセテートの極限粘度数はJIS-K-7367-1及びISO1628-1に準じて、粘度計としてサイズ番号1Cのウベローデ型粘度計を用い、溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)を用い、25℃の対数相対粘度を濃度で除した値に基づき決定した。
【0070】
次に、セルロースアセテートの分子量(粘度平均分子量)を、Kamideらの文献に従って次の式で求めた。
粘度平均分子量=(極限粘度数[η]/0.00171)(1/0.61)
【0071】
そして、セルロースアセテートの重合度(粘度平均重合度)は次の式で求めた。
重合度(粘度平均重合度)=粘度平均分子量/(162.14+42.037×DS)
【0072】
(実施例1)
サルファイト法溶解パルプを破砕後、含有水分6.7%に乾燥した(解砕工程)。この乾燥破砕パルプ100重量部に対し、氷酢酸24重量部を添加し、常温で20時間前処理活性化した(前処理工程)。
【0073】
無水酢酸239重量部、氷酢酸300重量部、及び硫酸2.5重量部の混合液を予め-2℃に調節して捏和式酢化機に準備しておき、この混合液に前記の前処理活性化セルロースを投入して攪拌混合した(酢化工程)。この前処理活性化セルロースを投入した時間を0分とし、以下この時間を基準に述べる。この前処理活性化セルロースを5分間で投入した。10分目に酢化機内温は15℃に達し、20分目に20℃、30分目に28℃に達した。30分目に酢酸30重量部で希釈した硫酸0.5重量部の計30.5重量部を酢化機内に30秒を要して添加した。酢化機内温は40分目に45℃、50分目にピーク温度65℃に達した。64分目に酢化機内温は63℃まで低下し、このとき25%酢酸マグネシウム水溶液20重量部を添加、混合し、系内の硫酸を中和し、かつ酢酸マグネシウム過剰下とした。なお、酢化反応において酢化機のジャケットに温媒を通し、その酢化機内の反応混合物の温度を0~15分に-2℃としておき、15~45分で65℃まで上昇させ、その後一定とした。
【0074】
この反応混合物を耐圧容器に移し、約90℃の温水98重量部を添加、混合した。熱源としてマイクロ波(Anton Paar社製、Monowave100、周波数2,455MHz)を耐圧容器の外部より反応混合物に照射して加熱し、90分間で148℃に到達せしめ、148℃で12分間保持した(脱アシル化工程)。
【0075】
反応生成物を激しい攪拌の下に、大量の希酢酸水溶液に加えて、フレークス状セルロースアセテートを分離せしめて後、充分水洗して乾燥し製品とした。得られたセルロースアセテートの酢化度は55.2%(アセチル総置換度:2.43)、6%粘度は98mPa・sであった。
【0076】
(比較例1)
反応混合物を耐圧容器に移し、約90℃の温水98重量部を添加、混合する際に、熱源として蒸気を用い外部より加熱し、90分間で148℃に到達せしめ、148℃で27分間保持した以外は実施例1と同様にして、セルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートの酢化度は55.5%(アセチル総置換度:2.45)、6%粘度は95mPa・sであった。
【0077】
(実施例2)
αセルロース含有率98.4重量%の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した(解砕工程)。100重量部の解砕パルプ(含水率8%)に26.8重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、前処理として60時間静置し活性化した(前処理工程)。
【0078】
活性化したパルプを、323重量部の酢酸、245重量部の無水酢酸、13.1重量部の硫酸からなる混合物に加え、40分を要して5℃から40℃の最高温度に調整し、90分間酢化した(酢化工程)。中和剤(24%酢酸マグネシウム水溶液)を、硫酸量(熟成硫酸量)が2.5重量部に調整されるように3分間かけて添加した。
【0079】
さらに、得られた反応混合物を75℃に昇温した後、水を添加し、反応混合物中の水分(熟成水分)を52mol%濃度とした。なお、熟成水分濃度は、反応混合物中の水分の酢酸に対する割合をモル比で表わしたものに100を乗じてmol%で示した。その後、得られた反応混合物を耐圧容器に移し、熱源としてマイクロ波(Anton Paar社製、Monowave100、周波数2,455MHz)を耐圧容器の外部より照射して加熱し85℃で82分間熟成(加溶媒分解)を行ない、酢酸マグネシウムで硫酸を中和することにより熟成(加溶媒分解)を停止し、セルロースアセテートを含む反応混合物を得た(脱アシル化工程)。
【0080】
次に、反応混合物に希酢酸水溶液を加え、セルロースアセテートを分離した後、水洗、乾燥及び水酸化カルシウムによる安定化をして製品とした。得られたセルロースアセテートの酢化度は55.3%(アセチル総置換度:2.44)、6%粘度は128mPa・sであった。
【0081】
(比較例2)
熟成(加溶媒分解)を行う際に、熱源として温水を用い耐圧容器の外部より加熱し85℃で100分間熟成(加溶媒分解)行った以外は実施例2と同様にして、セルロースアセテートを得た。得られたセルロースジアセテートの酢化度は55.4%(アセチル総置換度:2.44)、6%粘度は129mPa・sであった。
【0082】
(実施例3)
セルロースパルプ100重量部に氷酢酸50重量部を散布して、前処理活性化した(前処理工程)。その後、氷酢酸470重量部、無水酢酸260重量部、硫酸8重量部を添加し、酢化処理を行った(酢化工程)。
【0083】
酢化終了後、酢酸マグネシウム15重量%酢酸-水混合溶液を、溶媒中の水の濃度が3.0重量%、硫酸イオン濃度が0.5重量%になるまで添加して無水酢酸を分解させ、酢化反応を停止した。このとき、水と無水酢酸の反応により反応混合物の温度が50℃まで上昇した。
【0084】
この反応混合物を耐圧容器に移し、熱源としてマイクロ波(Anton Paar社製、Monowave100、周波数2,455MHz)を耐圧容器の外部より反応混合物に照射して加熱し、65℃まで加熱した後、同じ温度に30分間保持し、熟成(加溶媒分解)を行い、セルロースアセテートを得た(脱アシル化工程)。得られたセルロースアセテートの酢化度は60.8%(アセチル総置換度:2.86)、粘度平均重合度は297であった。
【0085】
(比較例3)
熟成(加溶媒分解)を行う際に、熱源として耐圧容器の外部より蒸気を用いて加熱し65℃まで加熱した後、同じ温度に40分間保持した以外は実施例3と同様にして、セルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートの酢化度は60.9%(アセチル総置換度:2.87)、粘度平均重合度299であった。
【0086】
(実施例4)
反応混合物として、原料セルロースアセテート:セルローストリアセテート(ダイセル製LT-35、DS2.94) 82.5重量部、触媒:酢酸 346重量部、及び溶媒:エタノール 251重量部を、ガラス反応器に装入した。熱源としてマイクロ波(Anton Paar社製、Monowave100、周波数2,455MHz)をガラス反応器の外部より反応混合物に照射して加熱し、混合物は48分で150℃に加熱し、18時間150℃に保持し、次いで室温に冷却した(脱アシル化工程)。反応混合物を濾過し、セルロースアセテートを単離した。得られたセルロースアセテートの酢化度は15.2%(アセチル総置換度:0.46)、極限粘度数(I.V.)は0.36であった。
(比較例4)
熱源としてオイルを用いガラス反応器の外部より加熱し、混合物は48分で150℃に加熱し、20時間150℃に保持した以外は実施例4と同様にしてセルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートの酢化度は15.8%(アセチル総置換度:0.48)、極限粘度数(I.V.)は0.35であった。
【0087】
(実施例5)
耐圧容器中で、原料セルロースアセテートとして、70重量部のセルロースアセテート(株式会社ダイセル製、商品名「L-50」、含水率3重量%、アセチル総置換度2.43)を、室温下、溶媒として554重量部のメタノールに加え、さらに、触媒として3.5重量部の硫酸を加えた。この反応混合物を攪拌しながら、熱源としてマイクロ波(Anton Paar社製、Monowave100、周波数2,455MHz)を耐圧容器の外部より、反応混合物に照射して加熱し、昇温時間50分を要して90℃に昇温し、90℃で85分間整温(保持)した(脱アシル化工程)。
【0088】
反応混合物を室温に冷却し、14.6重量部の酢酸ナトリウム三水和物と55重量部のメタノールの混合物を加えて硫酸を中和した。この反応混合物中に懸濁している白色固体を吸引ろ過でろ別した。ろ別した白色固体を277重量部のメタノールに懸濁し室温で1時間攪拌した。メタノール中の白色固体は吸引ろ過でろ別した(沈殿工程)。
【0089】
ろ別した白色固体を再度277重量部のメタノールに懸濁し室温で1時間攪拌した。メタノール中の白色固体は吸引ろ過でろ別した。このようにメタノールで洗浄した白色固体を恒量になるまで60℃で減圧乾燥することで、60重量部セルロースを得た。得られたセルロースアセテートの酢化度は18.4%(アセチル総置換度:0.57)、粘度平均重合度は26であった。
【0090】
(比較例5)
脱アシル化工程において、熱源としてオイルを用い外部より加熱し昇温時間50分を要して90℃に昇温し、90℃で100分間整温(保持)した以外は、実施例5と同様にしてセルロースアセテートを得た。得られたセルロースアセテートの酢化度は18.7%(アセチル総置換度:0.58)、粘度平均重合度は26であった。
【0091】
得られるセルロースアセテートのアセチル総置換度の高低にかかわらず、熱源として、蒸気、温水又はオイルを用いて脱アシル化を行った比較例は、いずれも長時間の加熱が必要であった。一方、マイクロ波を用いて脱アシル化を行った実施例は、いずれも加熱時間を短縮でき、セルロースアセテートの製造時間を簡便に短縮することができた。