(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】キチンを含むポリエステル長繊維およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 6/92 20060101AFI20240725BHJP
D01F 1/10 20060101ALI20240725BHJP
D01F 9/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
D01F6/92 307Z
D01F1/10
D01F9/00 A
(21)【出願番号】P 2022500815
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2020097915
(87)【国際公開番号】W WO2021174719
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202010139156.3
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520328257
【氏名又は名称】百事基材料(青島)股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BESTEE MATERIAL (TSINGTAO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 611, Area B, Fenghe Plaza, No.12 Hong Kong Middle Road, South District Qingdao, Shandong 266000, China
(73)【特許権者】
【識別番号】518407652
【氏名又は名称】中科紡織研究院(青島)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sinotech Academy of Textile (Qingdao) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】80-Yi Siliu South Road, (5) #90, Room 210A, Shibei District, Qingdao city, Shandong, China
(73)【特許権者】
【識別番号】522008171
【氏名又は名称】百草辺大生物科技(青島)有限公司
【氏名又は名称原語表記】BYHERB BIGBIO TECHNOLOGY (QINGDAO) CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 611, Area B, Fenghe Plaza, No.12 HongKong Middle Road, South District Qingdao,Shandong China
(73)【特許権者】
【識別番号】521161358
【氏名又は名称】青島百草新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Qingdao Byherb New Material CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】4/F, Building 3, No.151, Huizhiqiao Road, High Tech Zone, Qingdao City, Shandong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】黄 効華
(72)【発明者】
【氏名】劉 彦明
(72)【発明者】
【氏名】黄 効謙
(72)【発明者】
【氏名】劉 宇
(72)【発明者】
【氏名】劉 潔
(72)【発明者】
【氏名】甄 麗
【審査官】山下 航永
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102408628(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109735956(CN,A)
【文献】特開平10-219084(JP,A)
【文献】特開2002-105758(JP,A)
【文献】特開2002-227037(JP,A)
【文献】特開2007-284855(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110054787(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 1/00 - 6/96
D01F 9/00 - 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キチンを含むポリエステル長繊維の製造方法であって、
変性キチンの製造、キチン含有機能変性剤の製造、ポリエステルのマスターバッチの製造、混合紡糸液の製造、および紡糸成形を含み、
前記混合紡糸液の製造において、促進剤をさらに加え、
前記促進剤におけるアミノ変性シリコーンオイルとチタン酸n-ブチルとの重さの混合比は、0.25-0.40:1であり、
促進剤の添加量は、紡糸液総量の3-6wt%であることを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記キチン含有機能変性剤の製造に用いる溶媒は、クエン酸トリエチルであり、
前記変性キチンをクエン酸
トリエチルに溶解させた後、珪藻土を加え、
前記変性キチンと前記珪藻土との質量比は、3.2-5.0:1であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記キチン含有機能変性剤の製造は、ポロゲンおよび沈殿剤を加えるステップを含み、
前記ポロゲンは、CaCl
2、MgCl
2またはNaClであり、ポロゲンの添加量は、総量の1.2-2.8wt%であり、
前記沈殿剤は、EVAであり、その酢酸ビニルの含有量は、25.0-28.5%であり、190℃、2.15kg条件での溶融指数は、22-24g/10minであり、沈殿剤の添加量は、総量の8.0-12.5wt%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ポリエステルのマスターバッチの製造において、ミキサーの回転速度は1000-1200r/minであり、混合時間は60-90minであり、
前記ポリエステルのマスターバッチの原料は、50-60重量部のPETペレット、20-25重量部のキチン含有機能変性剤、3-6重量部の酸化チタン、6-12重量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム、6-12重量部のジイソプロピルトリスルフィドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記紡糸成形において、第1ホットローラの温度は168-175℃、引張速度は1200-1250m/minであり、第2ホットローラの温度は85-90℃、引張速度は3680-3700m/minであり、巻取速度は1560-1860/minであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡糸技術分野に属し、具体的にはキチンを含むポリエステル長繊維およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルの学名は、ポリエチレンテレフタレート繊維であり、ポリエステル繊維と略される。它是以精製テレフタル酸(PTA)およびエチレングリコール(EG)を原料としてエステル化および重縮合反応により製造された繊維形成高分子ポリマー-ポリエチレンテレフタレート(PET)を紡糸および後処理して得られた繊維であり、アパレル生地の分野において幅広く使用されている。
【0003】
キチンは、豊富な天然資源であり、毎年10億近くが自然合成されており、セルロース繊維に次ぐ地球上で最も豊富な天然有機物である。キチンは、天然多糖の一種であり、高等動物組織のコラーゲンと高等織物組織のセルロースの両方の生物学的機能を有し、動物や植物への適応性が高く、生分解性で無毒であるため、近年、幅広く使用されている新素材となっている。ポリエステルに天然甲殻類変性物質を添加することにより、抗菌性ポリエステル繊維を作製し、一連の抗菌性繊維を作製することができる。
【0004】
従来技術では、抗菌剤を織物の表面に均一にスプレーする場合が多い。この方法は、簡単で操作しやすいが、直接スプレーされるキチン抗菌物質は、使用中に流失しやすいため、抗菌効果が低下し、抗菌効果が長持ちしない恐れがある。本発明者は、それを紡糸繊維製品に添加した結果、高温紡糸中に高温炭化が発生しすく、繊維の弾性に影響を与え、高級製品の美観に影響を与える場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する問題を解決するために、従来のプロセスをさらに最適化する。本発明によれば、キチンを含むポリエステル長繊維およびその製造方法が提供される。
【0006】
本発明は、
1、提高海藻抽出物の抽出効率の向上、
2、抗菌物質の流失の低減
3、天然抗菌剤の高温炭化の回避
4、繊維製品の弾性の向上
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は以下の技術的手段を採用する。
【0008】
上記ポリエステル長繊維のキチンの含有量は0.1-3%であるキチンを含むポリエステル長繊維製造方法。
【0009】
上記製造方法は、変性キチンの製造、キチン含有機能変性剤の製造、ポリエステル機能性粒子の製造、混合紡糸液の製造および紡糸成形を含む。
【0010】
上記変性キチンの製造は、脱アセチル化、アミノ化変性および分離精製を含む。上記アミノ化変性において、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムナイトライドの添加量はキチンの重量の0.50-0.58倍であり、添加される触媒はリンモリブデン酸亜鉛であり、その添加濃度は0.11-0.32wt%である。
【0011】
上記脱アセチル化に用いるアルカリ液は、40-45wt%の水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの1:1混合アルカリ液であり、上記キチンは、混合アルカリ液の重量の1/20-1/25であり、アミノ基を含むキトサン懸濁液が得られ、脱アセチル化度は、80-92%である。
【0012】
上記分離精製において、滴下されるアセトンと溶液との体積比は1:3-4である。
【0013】
上記キチン含有機能変性剤の製造に用いる溶媒はクエン酸トリエチルであり、変性キチン結晶と珪藻土との質量比は3.2-5.0:1である。
【0014】
上記キチン含有機能変性剤の製造は、ポロゲンおよび沈殿剤を加えるステップを含み、
上記ポロゲンは、CaCl2、MgCl2またはNaClであり、ポロゲンの添加量は、総量の1.2-2.8wt%であり、
上記沈殿剤は、EVAであり、その酢酸ビニルの含有量は、25.0-28.5%であり、190℃、2.15kg条件での溶融指数は、22-24g/10minであり、沈殿剤の添加量は、総量の8.0-12.5wt%である。
【0015】
上記ポリエステル機能性粒子の製造において、ミキサーの回転速度は1000-1200r/minであり、混合時間は60-90minであり、上記ポリエステル機能性粒子の原料は、50-60重量部のPETペレット、20-25重量部のキチン含有機能変性剤、3-6重量部の酸化チタン、6-12重量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム、6-12重量部のジイソプロピルトリスルフィドを含む。
【0016】
上記混合紡糸液の製造において、機能性粒子は総重量の2-4wt%である。
【0017】
上記混合紡糸液の製造において、促進剤をさらに加える。上記促進剤におけるアミノ変性シリコーンオイルとチタン酸n-ブチルとの混合比は0.25-0.40:1であり、促進剤の添加量は紡糸液の総量の3-6wt%である。
【0018】
上記紡糸成形において、第1ホットローラの温度は168-175℃、引張速度は1200-1250m/minであり、第2ホットローラの温度は85-90℃、引張速度は3680-3700m/minであり、巻取速度は1560-1860/minである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0020】
1、本発明に係るキチンを含むポリエステル長繊維の製造方法により製造されたポリエステル長繊維は優れた抗菌効果を有し、細菌の付着を減少でき、ヒトが感染しやすい黄色ブドウ球菌、大腸菌、カンジダアルビカンスなどの細菌に対する殺菌率は95.0-98.5%に達する。
【0021】
2、本発明の方法により製造されたキチンを含むポリエステル長繊維では、ポリエステル/綿が30/70の比率で製造された編糸を用いて得られた抗菌ポリエステル織物の殺菌率は90-92%に達し、60回標準洗浄した後においても殺菌率は84-86%であるため、抗菌持続性に優れている。
【0022】
3、本発明の方法により製造されたキチンを含むポリエステル長繊維は、色が均一で、光透過率は71-75%であり、肉眼で明らかなカーボンブラックと粒子凝集が観察されない。
【0023】
4、本発明のキチンを含むポリエステル長繊維の製造方法により製造されたポリエステル長繊維は、単繊維繊度が2.0-3.5dtex、破断強度が5.2-5.8cN/dtex、破断伸びが38.5-40.0%、破断伸度CV値が8.5-9.0%である。
【0024】
5、本発明の方法により製造されたキチンを含むポリエステル長繊維は、乾熱収縮率が2.5-3.2%である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに説明する。
【0026】
<実施例1>キチンを含むポリエステル長繊維およびその製造方法
【0027】
1、変性キチンの製造
1)脱アセチル化
キチンを秤量し、40wt%の水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの1:1混合アルカリ液に加え、温度を65℃に昇温し、撹拌の回転速度を260回転数/分間に速くし、10h保温しながら撹拌し、脱アセチル化反応によりアミノ基を含むキトサン懸濁液を精製した。
上記キチンは、混合アルカリ液の重量の1/25であり、
上記キトサンの脱アセチル化度は80%であった。
2)アミノ化変性
上記キトサン懸濁液にヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムナイトライドを加えた後、触媒を加え、温度を70℃に昇温し、この温度で10h反応させ、懸濁液は、透明な黄色の第四級アンモニウム塩溶液徐々になった。
上記ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムナイトライドの添加量は、キチンの重量の0.50倍であった。
上記触媒はリンモリブデン酸亜鉛であり、その添加濃度は0.11wt%であった。
3)分離精製
溶液にアセトンをゆっくりと滴下した後、-20℃の冷蔵庫に置き、一晩静置して沈殿させ、吸引濾過し、濾液が無色になるまで氷酢酸で濾過ケーキを洗浄し、45℃真空乾燥オーブン内で乾燥させ、変性キチン結晶を得た。
上記分離精製において、滴下したアセトンと溶液との体積比は1:3.0であった。
【0028】
2、キチン含有機能変性剤の製造
上記変性キチン結晶を取り、10倍のクエン酸トリエチル溶液に加え、撹拌して溶解させた後、珪藻土を加え、ポロゲンおよび沈殿剤を加え、温度を80℃に昇温し、回転速度1800-2000r/minで撹拌しながら30min混合することでEVA被覆粒子を徐々に沈殿して析出させ、静置して室温で冷却し、キチン含有機能変性剤を得た。
上記変性キチン結晶と珪藻土との質量比は3.2:1であった。
上記ポロゲンはCaCl2、ポロゲンの添加量は総量の1.2wt%であった。
上記沈殿剤はEVAであり、その酢酸ビニルの含有量は25.0%、溶融指数は22.1g/10min(190℃、2.15kg)、沈殿剤の添加量は総量の8.0wt%であった。
【0029】
3、ポリエステル機能性粒子の製造
PETペレット、キチン含有機能変性剤、酸化チタン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジイソプロピルトリスルフィドをミキサーに入れ、撹拌造粒を行い、1000r/minで60min混合し、製造された粒子の直径は1-2mmであった。
上記ポリエステル機能性粒子の原料は、50重量部のPETペレット、25重量部のキチン含有機能変性剤、3重量部の酸化チタン、12重量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム、10重量部のジイソプロピルトリスルフィドを含んだ。
【0030】
4、混合紡糸液の製造
二軸スクリュー装置の中部供給口から普通ポリエステルシート、ポリエステル機能性粒子および促進剤を加え、二軸押出機により320℃で溶融高速混練を行い、混合紡糸液を得た。
上記溶融高速混練の回転速度は1000rad/min、混合時間は60minであった。
上記機能性粒子は、総重量の2.0wt%であった。
上記促進剤におけるアミノ変性シリコーンオイルとチタン酸n-ブチルとの混合比は0.25:1であr,促進剤の添加量は紡糸液の総量の3wt%であった。
【0031】
5、紡糸成形
ポリエステル長繊維の主な紡糸プロセスパラメータ
溶融紡糸の押出温度は250℃、初期圧力は8MPa、サイドブローの冷却風温度は25℃であり、第1ホットローラの温度は168℃、引張速度は1200m/minであり、第2ホットローラの温度は85℃、引張速度は3680m/minであり、ヒートセットの温度は120℃であり、巻取速度は1560/minであり、キチンを含むポリエステル長繊維が得られた。
【0032】
実施例1で製造されたキチンを含むポリエステル長繊維は、ヒトが感染しやすい黄色ブドウ球菌、大腸菌、カンジダアルビカンスなどの細菌に対する殺菌率は95.2%に達した。ポリエステル/綿が30/70の比率で製造された編糸を用いて得られた抗菌ポリエステル織物の殺菌率は91.5%に達することができ、60回標準洗浄した後においても殺菌率は84.6%であるため、抗菌持続性に優れたことを示している。ポリエステル長繊維の単繊維繊度は2.0dtex、破断強度は5.5cN/dtex、破断伸びは40.0%、破断伸度CV値は8.5%であり、色が均一で、光透過率は71.0%に達し、肉眼で明らかなカーボンブラックと粒子凝集が観察されなかった。乾熱収縮率は2.8%であった。高級紡績製品の製造に適用できる。
【0033】
<実施例2>キチンを含むポリエステル長繊維およびその製造方法
【0034】
1、変性キチンの製造
1)脱アセチル化
キチンを秤量し、45wt%の水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの1:1混合アルカリ液に加え、温度を70℃に昇温し、撹拌の回転速度を300回転数/分間に速くし、10h保温しながら撹拌し、脱アセチル化反応によりアミノ基を含むキトサン懸濁液を精製した。
上記キチンは、混合アルカリ液の重量の1/23であり、上記キトサンの脱アセチル化度は85%であった。
2)アミノ化変性
上記キトサン懸濁液にヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムナイトライドを加えた後、触媒を加え、温度を80℃に昇温し、この温度で12h反応させ、懸濁液は、透明な黄色の第四級アンモニウム塩溶液徐々になった。
上記ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムナイトライドの添加量は、キチンの重量の0.55倍であった。
上記触媒はリンモリブデン酸亜鉛であり、その添加濃度は0.22wt%であった。
3)分離精製
溶液にアセトンをゆっくりと滴下した後、-20℃の冷蔵庫に置き、一晩静置して沈殿させ、吸引濾過し、濾液が無色になるまで氷酢酸で濾過ケーキを洗浄し、45℃真空乾燥オーブン内で乾燥させ、変性キチン結晶を得た。
上記分離精製において、滴下したアセトンと溶液との体積比は1:3.4であった。
【0035】
2、キチン含有機能変性剤の製造
上記変性キチン結晶を取り、10倍のクエン酸トリエチル溶液に加え、撹拌して溶解させた後、珪藻土を加え、ポロゲンおよび沈殿剤を加え、温度を85℃に昇温し、回転速度2000r/minで撹拌しながら50min混合することでEVA被覆粒子を徐々に沈殿して析出させ、静置して室温で冷却し、キチン含有機能変性剤を得た。
上記変性キチン結晶と珪藻土との質量比は3.9:1であった。
上記ポロゲンはMgCl2、ポロゲンの添加量は総量の2.0wt%であった。
上記沈殿剤はEVAであり、その酢酸ビニルの含有量は26.8%、溶融指数は22.9g/10min(190℃、2.15kg)、沈殿剤の添加量は総量の10.5wt%であった。
【0036】
3、ポリエステル機能性粒子の製造
PETペレット、キチン含有機能変性剤、酸化チタン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジイソプロピルトリスルフィドをミキサーに入れ、撹拌造粒を行い、1200r/minで90min混合し、製造された粒子の直径は1-2mmであった。
上記ポリエステル機能性粒子の原料は、50重量部のPETペレット、20重量部のキチン含有機能変性剤、6重量部の酸化チタン、12重量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム、12重量部のジイソプロピルトリスルフィドを含んだ。
【0037】
4、混合紡糸液の製造
二軸スクリュー装置の中部供給口から普通ポリエステルシート、ポリエステル機能性粒子および促進剤を加え、二軸押出機により330℃で溶融高速混練を行い、混合紡糸液を得た。
上記溶融高速混練の回転速度は1000rad/min、混合時間は60minであった。
上記機能性粒子は、総重量の3.1wt%であった。
上記促進剤におけるアミノ変性シリコーンオイルとチタン酸n-ブチルとの混合比は0.30:1であr,促進剤の添加量は紡糸液の総量の3.5wt%であった。
【0038】
5、紡糸成形
ポリエステル長繊維の主な紡糸プロセスパラメータ
溶融紡糸の押出温度は265℃、初期圧力は8MPa、サイドブローの冷却風温度は25℃であり、第1ホットローラの温度は175℃、引張速度は1250m/minであり、第2ホットローラの温度は90℃、引張速度は3700m/minであり、ヒートセットの温度は130℃であり、巻取速度は1860/minであり、キチンを含むポリエステル長繊維が得られた。
【0039】
実施例2で製造されたキチンを含むポリエステル長繊維は、ヒトが感染しやすい黄色ブドウ球菌、大腸菌、カンジダアルビカンスなどの細菌に対する殺菌率は97.8%に達した。ポリエステル/綿が30/70の比率で製造された編糸を用いて得られた抗菌ポリエステル織物の殺菌率は90.2%に達することができ、60回標準洗浄した後においても殺菌率は85.5%であるため、抗菌持続性に優れたことを示している。ポリエステル長繊維の単繊維繊度は2.8dtex、破断強度は5.8cN/dtex、破断伸びは39.2%、破断伸度CV値は9.0%であり、色が均一で、光透過率は74.5%に達し、肉眼で明らかなカーボンブラックと粒子凝集が観察されなかった。乾熱収縮率は2.5%であった。高級紡績製品の製造に適用できる。
【0040】
<実施例3>キチンを含むポリエステル長繊維およびその製造方法
【0041】
1、変性キチンの製造
1)脱アセチル化
キチンを秤量し、45wt%の水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの1:1混合アルカリ液に加え、温度を70℃に昇温し、撹拌の回転速度を300回転数/分間に速くし、12h保温しながら撹拌し、脱アセチル化反応によりアミノ基を含むキトサン懸濁液を精製した。
上記キチンは、混合アルカリ液の重量の1/20であり、
上記キトサンの脱アセチル化度は92%であった。
2)アミノ化変性
上記キトサン懸濁液にヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムナイトライドを加えた後、触媒を加え、温度を80℃に昇温し、この温度で12h反応させ、懸濁液は、透明な黄色の第四級アンモニウム塩溶液徐々になった。
上記ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムナイトライドの添加量は、キチンの重量の0.58倍であった。
上記触媒はリンモリブデン酸亜鉛であり、その添加濃度は0.32wt%であった。
3)分離精製
溶液にアセトンをゆっくりと滴下した後、-30℃の冷蔵庫に置き、一晩静置して沈殿させ、吸引濾過し、濾液が無色になるまで氷酢酸で濾過ケーキを洗浄し、45℃真空乾燥オーブン内で乾燥させ、変性キチン結晶を得た。
上記分離精製において、滴下したアセトンと溶液との体積比は1:4であった。
【0042】
2、キチン含有機能変性剤の製造
上記変性キチン結晶を取り、12倍のクエン酸トリエチル溶液に加え、撹拌して溶解させた後、珪藻土を加え、ポロゲンおよび沈殿剤を加え、温度を85℃に昇温し、回転速度2000r/minで撹拌しながら50min混合することでEVA被覆粒子を徐々に沈殿して析出させ、静置して室温で冷却し、キチン含有機能変性剤を得た。
上記変性キチン結晶と珪藻土との質量比は5.0:1であった。
上記ポロゲンはNaCl、ポロゲンの添加量は総量の2.8wt%であった。
上記沈殿剤はEVAであり、その酢酸ビニルの含有量は28.5%、溶融指数は24.1g/10min(190℃、2.15kg)、沈殿剤の添加量は総量の12.5wt%であった。
【0043】
3、ポリエステル機能性粒子の製造
PETペレット、キチン含有機能変性剤、酸化チタン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジイソプロピルトリスルフィドをミキサーに入れ、撹拌造粒を行い、1200r/minで90min混合し、製造された粒子の直径は1-2mmであった。
上記ポリエステル機能性粒子の原料は、60重量部のPETペレット、20重量部のキチン含有機能変性剤、3重量部の酸化チタン、9重量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム、8重量部のジイソプロピルトリスルフィドを含んだ。
【0044】
4、混合紡糸液の製造
二軸スクリュー装置の中部供給口から普通ポリエステルシート、ポリエステル機能性粒子および促進剤を加え、二軸押出機により330℃で溶融高速混練を行い、混合紡糸液を得た。
上記溶融高速混練の回転速度は1200rad/min、混合時間は80minであった。
上記機能性粒子は、総重量の4.0wt%であった。
上記促進剤におけるアミノ変性シリコーンオイルとチタン酸n-ブチルとの混合比は0.40:1であr,促進剤の添加量は紡糸液の総量の6wt%であった。
【0045】
5、紡糸成形
ポリエステル長繊維の主な紡糸プロセスパラメータ
溶融紡糸の押出温度は265℃、初期圧力は8MPa、サイドブローの冷却風温度は30℃であり、第1ホットローラの温度は170℃、引張速度は1250m/minであり、第2ホットローラの温度は90℃、引張速度は3700m/minであり、ヒートセットの温度は125℃であり、巻取速度は1860/minであり、キチンを含むポリエステル長繊維が得られた。
【0046】
実施例3で製造されたキチンを含むポリエステル長繊維は、ヒトが感染しやすい黄色ブドウ球菌、大腸菌、カンジダアルビカンスなどの細菌に対する殺菌率は98.5%に達した。ポリエステル/綿が30/70の比率で製造された編糸を用いて得られた抗菌ポリエステル織物の殺菌率は92%に達することができ、60回標準洗浄した後においても殺菌率は85.7%であるため、抗菌持続性に優れたことを示している。ポリエステル長繊維の単繊維繊度は3.5dtex、破断強度は5.2cN/dtex、破断伸びは38.5%、破断伸度CV値は8.7%であり、色が均一で、光透過率は75.2%に達し、肉眼で明らかなカーボンブラックと粒子凝集が観察されなかった。乾熱収縮率は3.2%であった。高級紡績製品の製造に適用できる。
【0047】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではない。上記実施例により本発明を詳しく説明したが、当業者にとって、上記各実施例に記載の技術的手段を修正し、または一部技術的特徴を同等置換することができる。本発明の思想および原則から逸脱しない範囲で行われるすべての修正、同等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。