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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】紙製ハンガー部材
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/36 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A47G25/36 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024056179
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-03-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513054680
【氏名又は名称】大國段ボール工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503156448
【氏名又は名称】株式会社アルサ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 一光
(72)【発明者】
【氏名】中田 大史
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3019904(JP,U)
【文献】登録実用新案第3207930(JP,U)
【文献】特開平08-191749(JP,A)
【文献】特開2024-016683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/36-25/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状を呈する本体部材と、
挟持部とを備え、
前記本体部材は、前記本体部材の幅方向である第1の方向に沿って延びる棒状部を含み、
前記挟持部は、第1の挟持片と、第2の挟持片と、環状を呈するスライド部材とを含み、
前記第1の挟持片は、
前記棒状部に対して係止可能とされた第1の基端部と、
第1の先端部と、
前記第1の基端部と前記第1の先端部との間において延び、且つ、前記第1の基端部から前記第1の先端部に向かうにつれて前記挟持部の幅方向である第2の方向において前記第2の挟持片から離れる側に張り出すように構成された第1の中間部とを含み、
前記第2の挟持片は、
前記棒状部に対して係止可能とされた第2の基端部と、
第2の先端部と、
前記第2の基端部と前記第2の先端部との間において延びるように構成された第2の中間部とを含み、
前記スライド部材は、前記第1及び第2の中間部の周囲に位置して、前記第1及び第2の先端部が互いに近接した状態となるように前記第1及び第2の中間部を前記第2の方向において拘束する第1の位置と、前記第1及び第2の基端部の周囲に位置して、前記第1及び第2の先端部が前記第2の方向において互いに離隔可能となるように前記第1及び第2の中間部を拘束しない第2の位置との間で、前記挟持部の長手方向である第3の方向において移動するように構成されており、
前記第1の挟持片は、
第1の板状体と、
前記第1の基端部を構成する第1の部分と、前記第1の板状体が積層される第2の部分とを含む第2の板状体とを含み、
前記第1の板状体と前記第2の部分との積層体が、前記第1の中間部と前記第1の先端部とを構成しており、
前記第2の挟持片は、
第3の板状体と、
前記第2の基端部を構成する第3の部分と、前記第3の板状体が積層される第4の部分とを含む第4の板状体とを含み、
前記第3の板状体と前記第4の部分との積層体が、前記第2の中間部と前記第2の先端部とを構成しており、
前記スライド部材が前記第1の位置に位置した状態で、前記第1の板状体の上端面は、前記第4の板状体の周面と当接すると共に、前記第3の板状体の上端面は、前記第2の板状体の周面と当接する、紙製ハンガー部材。
【請求項2】
前記棒状部は、前記本体部の側端部から前記第1の方向の内側に向けて延びる片持ち状を呈しており、
前記棒状部の上縁は、前記第1の方向の外方に向かうにつれて下方に向けて傾斜している、請求項1に記載の紙製ハンガー部材。
【請求項3】
前記本体部材に対して着脱可能に構成されたフック部材をさらに備え、
前記フック部材は、
フック本体部と、
前記フック本体部の基端に設けられ且つ前記フック本体部よりも幅広のベース部とを含み、
前記本体部材は、
前記フック本体部の幅よりも大きく且つ前記ベース部の幅よりも小さい横幅を有する第1の貫通孔と、
前記第1の貫通孔の下方に位置し且つ前記第1の貫通孔の幅よりも大きい横幅を有する、矩形状を呈する第2の貫通孔と、
前記第2の貫通孔の上縁から上方に向けて延びる第1及び第2の切断線とを含み、
前記フック部材は、前記フック本体部が前記第1の貫通孔に挿入され、且つ、前記ベース部が前記第2の貫通孔と係合することにより、前記本体部材に取り付けられる、請求項1に記載の紙製ハンガー部材。
【請求項4】
前記第1及び第2の切断線は、前記第2の貫通孔の上縁のうち両端よりも内側から、上方に向けて延びている、請求項に記載の紙製ハンガー部材。
【請求項5】
前記本体部材は、
前記第1の切断線の上端を通り且つ前記第1の方向に沿って延びる第3の切断線と、
前記第2の切断線の上端を通り且つ前記第1の方向に沿って延びる第4の切断線とをさらに含む、請求項に記載の紙製ハンガー部材。
【請求項6】
前記フック部材は、第1の段ボールと、第2の段ボールと、前記第1の段ボールと前記第2の段ボールとの間に配置された中間紙材とが積層されて構成されており、
前記中間紙材の剛性は、前記第1及び第2の段ボールの剛性よりも高い、請求項に記載の紙製ハンガー部材。
【請求項7】
前記スライド部材が前記第1の位置に位置した状態において、前記挟持部を正面から見たときに、前記スライド部材の両側の外側面は、前記第1及び第2の先端部の外側面と同等かそれよりも内側に位置する、請求項1~のいずれか一項に記載の紙製ハンガー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙製ハンガー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類を吊り下げるハンガーとしては、一般に、軽量でありながら強度に優れる硬質プラスチック製のものが汎用されている。しかしながら、廃棄処理の際の環境負荷の低減、リサイクル促進などの観点から、紙製のハンガーが検討されている(特許文献1,2を参照)。
【0003】
特許文献1に記載のハンガーは、左右方向に延びる長孔と、長孔の下方において両端からそれぞれ内側に向けて延びる一対の片持ち片とが設けられたハンガー本体部を備える。特許文献2に記載のハンガーは、略L字状(略「∧」形状)を呈する肩掛け部と、肩掛け部の両端を接続するように直線状に延びる掛け部と、略C字状を呈し且つ掛け部の上縁に対して引っ掛けられた切欠環状部とを含むハンガー本体部を備える。切欠環状部の両端部はそれぞれ、互いに内側に向けて延びており、スカート、ズボン、スカーフなどを挟み込んで吊り下げるための把持用端部として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3233189号公報
【文献】特開平10-179366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、挟持部によって衣類等をしっかりと挟持可能で且つ挟持部による衣類等の着脱を簡易に行うことが可能な紙製ハンガー部材を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
紙製ハンガー部材の一例は、平板状を呈する本体部材と、挟持部とを備える。本体部材は、本体部材の幅方向である第1の方向に沿って延びる棒状部を含む。挟持部は、第1の挟持片と、第2の挟持片と、環状を呈するスライド部材とを含む。第1の挟持片は、棒状部に対して係止可能とされた第1の基端部と、第1の先端部と、第1の基端部と第1の先端部との間において延び、且つ、第1の基端部から第1の先端部に向かうにつれて挟持部の幅方向である第2の方向において第2の挟持片から離れる側に張り出すように構成された第1の中間部とを含む。第2の挟持片は、棒状部に対して係止可能とされた第2の基端部と、第2の先端部と、第2の基端部と第2の先端部との間において延びるように構成された第2の中間部とを含む。スライド部材は、第1及び第2の中間部の周囲に位置して、第1及び第2の先端部が互いに近接した状態となるように第1及び第2の中間部を第2の方向において拘束する第1の位置と、第1及び第2の基端部の周囲に位置して、第1及び第2の先端部が第2の方向において互いに離隔可能となるように第1及び第2の中間部を拘束しない第2の位置との間で、挟持部の長手方向である第3の方向において移動するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る紙製ハンガー部材によれば、挟持部によって衣類等をしっかりと挟持可能で且つ挟持部による衣類等の着脱を簡易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、紙製ハンガー部材の一例を示す正面図である。
図2図2は、紙製ハンガー部材の片持ち片に取り付けられており且つ一対の挟持片が閉じた状態の挟持部の一例を示す斜視図である。
図3図3は、フック部材の一例を示す正面図である。
図4図4は、本体部材の一例を示す正面図である。
図5図5は、一対の挟持片が閉じた状態を示す正面図である。
図6図6は、一対の挟持片が分離された状態を示す斜視図である。
図7図7は、紙製ハンガー部材の片持ち片に取り付けられており且つ一対の挟持片が開いた状態の挟持部の一例を示す斜視図である。
図8図8(a)は、フック部材を構成する紙材の分解図であり、図8(b)は、本体部材及び挟持部を構成する紙材の分解図である。
図9図9は、紙製ハンガー部材の片持ち片に取り付けられており且つ一対の挟持片が閉じた状態の挟持部の他の例を示す斜視図である。
図10図10は、紙製ハンガー部材の片持ち片に取り付けられており且つ一対の挟持片が開いた状態の挟持部の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0010】
紙製ハンガー部材1の一例について、図1図8を参照して説明する。紙製ハンガー部材1は、全体として平板状を呈するフック部材10と、全体として平板状を呈する本体部材20と、2つの挟持部30とを含む。
【0011】
[フック部材]
フック部材10は、竿やハンガーパイプなどの棒状部材(図示せず)に引っ掛けられるように構成されている。フック部材10は、図1及び図3に例示されるように、フック本体部11と、フック本体部11の基端11aに一体的に設けられたベース部12とを含む。
【0012】
フック本体部11は、先端11b側が略J字状を呈するように湾曲している。フック本体部11は、湾曲する内縁11cの頂部に設けられた突起13を含む。突起13は、例えば、略半円形状を呈していてもよい。突起13の高さは、例えば、内縁11cの頂部を基準として、0.3mm~3mm程度であってもよく、0.5mm~2mm程度であってもよい。
【0013】
フック部材10を棒状部材に引っ掛けたときに、突起13が棒状部材と接することで、フック部材10と棒状部材との接触面積が小さくなる。そのため、紙製ハンガー部材1が棒状部材上を円滑にスライドできる。特に、クリーニング工場においては、一般に、衣類等が掛けられたハンガーを、傾斜している棒状部材の上でスライドさせながら搬送しているため、フック本体部11が突起13を含むことにより、フック部材10の剛性が維持されやすくなる。
【0014】
ベース部12は、略矩形状を呈している。図1及び図3の例では、ベース部12の長辺に対して、フック本体部11の基端11aが設けられている。ベース部12は、フック部材10よりも幅広となるように構成されている。
【0015】
[本体部材]
本体部材20は、図1及び図4に例示されるように、本体部21と、折り曲げ部22と、棒状部23と、一対の棒状部24とを含む。
【0016】
本体部21は、全体として略台形状を呈している。すなわち、本体部21は、その幅方向において、中央部から側部に向かうにつれて下方に向けて傾斜する一対の斜辺21aを含んでいる。なお、本体部21の幅方向は、図1及び図4の左右方向であり、各図に示される矢印Ar1方向でもある。本書において、本体部21の幅方向を、単に「幅方向Ar1」(第1の方向)と称することがある。
【0017】
本体部21は、貫通孔21b(第2の貫通孔)を含む。貫通孔21bは、本体部21の上部近傍で、且つ、幅方向Ar1において本体部21の略中央部に位置している。貫通孔21bは、略矩形状を呈しており、幅方向Ar1に沿って延びている。貫通孔21bの大きさは、フック部材10のベース部12の大きさと同程度であってもよいし、それよりもわずかに大きくてもよいし、それよりもわずかに小さくてもよい。
【0018】
本体部21は、図4に例示されるように、貫通孔21bの下縁21b1に設けられた突起25を含む。突起25は、下縁21b1から、貫通孔21bの上縁21b2に向けて突出している。突起25は、例えば、略弓形状(円の劣弧とその両端を結ぶ弦とで囲まれた形状)を呈していてもよい。突起25の高さは、例えば、下縁21b1を基準として、1mm~4mm程度であってもよく、2mm~3mm程度であってもよい。
【0019】
突起25に対して、貫通孔21bに差し込まれたフック部材10のベース部12が引っ掛かることにより、突起25と貫通孔21bとが係合する。これにより、貫通孔21bからのベース部12の抜けが抑制され、フック部材10が本体部材20に対して取り付けられる。一方、フック部材10を本体部材20から取り外すときには、ベース部12の突起25に対する引っ掛かりを解除する。すなわち、フック部材10は、本体部材20に対して着脱可能に構成されている。
【0020】
なお、突起25に対応する突起が、ベース部12の下縁に設けられていてもよい。この場合、当該突起が貫通孔21bの下縁21b1にと係合することで、フック部材10が本体部材20に対して取り付けられる。あるいは、貫通孔21bやベース部12に突起が設けられていなくてもよい。この場合、ベース部12の大きさを貫通孔21bよりもわずかに大きく設定しておくことで、ベース部12の周縁を変形させながら貫通孔21bに押し込むことで、フック部材10が本体部材20に対して取り付けられる。
【0021】
本体部21は、図4に例示されるように、一対の切断線26,27を含む。一対の切断線26,27はそれぞれ、本体部21の一方の主面(例えば、表面)から他方の主面(例えば、裏面)にかけて貫通し且つ線状を呈する切れ込みである。
【0022】
切断線26は、切断線26a(第1の切断線)と、切断線26b(第3の切断線)とを含む。切断線26aは、上縁21b2の左端近傍において、貫通孔21bの上縁21b2から上方に向けて、直線状に延びている。切断線26aは、図4に例示されるように、上縁21b2の左端よりも内側から上方に向けて延びていてもよい。この場合、切断線26aの始点は、上縁21b2の左端から0.5mm~2mm程度であってもよいし、1mm~1.5mm程度であってもよい。あるいは、切断線26aは、上縁21b2の左端から上方に向けて延びていてもよい。
【0023】
切断線26bは、切断線26aの上端を通り且つ幅方向Ar1に沿って延びている。切断線26bは、本体部21の上縁と略一致していてもよい。切断線26bは、図4に例示されるように、切断線26aの上端から外方に向かうように延びていてもよい。この場合、切断線26は、全体としてL字形状を呈する。あるいは、切断線26bは、切断線26aの上端から内方に向かうように延びていてもよい。この場合も、切断線26は、全体としてL字形状を呈する。あるいは、切断線26bは、切断線26aの上端から外方及び内方の双方に向かうように延びていてもよい。この場合、切断線26は、全体としてT字形状を呈する。
【0024】
切断線27は、切断線27a(第2の切断線)と、切断線27b(第4の切断線)とを含む。切断線27は、本体部材20の高さ方向に延びる仮想線に関して切断線26の線対称であること以外は、切断線26と同様の構成である。そのため、切断線27の説明は省略する。なお、本体部材20の高さ方向は、図1及び図4の上下方向であり、各図に示される矢印Ar2方向でもある。本書において、本体部材20の高さ方向を、単に「高さ方向Ar2」と称することがある。
【0025】
折り曲げ部22は、本体部21の上縁に対して一体的に設けられている。そのため、本体部21の上縁は、折り曲げ部22の折り曲げ線Lとしても機能する。折り曲げ線Lに沿って折り曲げ部22を折ることで、折り曲げ部22が、本体部21に対して傾斜する。折り曲げ線Lは、切り込み線(ハーフカット線)を含んでいてもよい。この場合、折り曲げ部22の折り曲げを円滑に行うことができる。
【0026】
折り曲げ部22は、貫通孔22a(第1の貫通孔)を含む。貫通孔22aは、幅方向Ar1において、折り曲げ部22の中央部に位置している。貫通孔22aは、貫通孔21bの上方に位置している。貫通孔22aは、略矩形状を呈しており、幅方向Ar1に沿って延びている。貫通孔22aの横幅(幅方向Ar1における長さ)は、貫通孔21bの横幅よりも小さく、フック本体部11の幅(延在方向に対する長さ)よりも大きく、且つ、ベース部12の横幅よりも小さくなるように設定されている。そのため、フック本体部11は貫通孔22aを通過することができるが、ベース部12は貫通孔22aを通過することができない。なお、図4の例において、貫通孔22aの下縁は、幅方向Ar1において折り曲げ線Lと略一致するように延びているが、折り曲げ線Lと略一致していなくてもよい。
【0027】
棒状部23は、本体部21の両側端部同士(斜辺21aの下端部同士)を結ぶように、幅方向Ar1に沿って直線状に延びている。そのため、棒状部23と本体部21との間には、幅方向Ar1に沿って直線状に延びる長孔23aが設けられている。例えば、ズボン等の衣類を長孔23aに通して棒状部23に掛けることにより、紙製ハンガー部材1にズボン等の衣類を吊り下げることができる。
【0028】
一対の棒状部24はそれぞれ、本体部21の側端部(斜辺21aの下端部)から内側に向けて、幅方向Ar1に沿って直線状に延びている。そのため、一対の棒状部24は、片持ち状を呈している。例えば、ブラジャーのストリップや、ショーツの脚刳りなどを棒状部24に掛けることにより、紙製ハンガー部材1にブラジャー等の衣類を吊り下げることができる。
【0029】
棒状部24は、図4に例示されるように、棒状部24の先端に設けられた突起24aを含む。突起24aは、棒状部24の先端から上方に向けて突出している。突起24aの存在により、棒状部24に吊り下げられている衣類が棒状部24の先端側から抜け落ちることが抑制される。
【0030】
棒状部24の上縁24bは、図4に例示されるように、幅方向Ar1の外方に向かうにつれて下方に向けて傾斜している。上縁24bの傾斜角は、幅方向Ar1に延びる仮想直線を基準として、1°~3°程度であってもよい。あるいは、上縁24bは、幅方向Ar1に沿って延びていてもよいし、幅方向Ar1の外方に向かうにつれて上方に向けて傾斜していてもよい。
【0031】
[挟持部]
挟持部30は、図1の例において、一対の棒状部24に一つずつ取り付けられている。挟持部30は、図1図2図5及び図6に例示されるように、挟持片31,32と、スライド部材33とを含む。
【0032】
挟持片31(第1の挟持片)は、図2図5及び図6に例示されるように、基端部31a(第1の基端部)と、中間部31b(第1の中間部)と、先端部31c(第1の先端部)とを含む。
【0033】
基端部31aは、挟持部30の長手方向に沿って延びている。基端部31aは、図2図5及び図6の例では長尺状(一対の円弧の端縁同士が直線によって結ばれた形状)を呈しているが、これに限られず、矩形状、楕円状などの他の形状を呈していてもよい。なお、挟持部30の長手方向は、図2図5及び図6の上下方向であり、各図に示される矢印Ar3方向でもある。本書において、挟持部30の長手方向を、単に「長手方向Ar3」(第3の方向)と称することがある。
【0034】
基端部31aは、貫通孔H1を含む。貫通孔H1は、基端部31aの上部近傍に位置している。貫通孔H1は、略矩形状を呈しており、長手方向Ar3に沿って延びている。貫通孔H1の大きさは、棒状部24の延在方向における幅よりも大きくてもよい。そのため、貫通孔H1内に棒状部24を挿通することにより、挟持片31が棒状部24に係止される。
【0035】
中間部31bは、基端部31aと先端部31cとの間において延びている。中間部31bは、基端部31a及び先端部31cと一体的に設けられていてもよい。中間部31bは、図2及び図5に例示されるように、挟持片31,32が組み合わされた状態で、基端部31a側から先端部31c側に向かうにつれて、挟持部30の幅方向において挟持片32の中間部32b(後述する)から離れる側に張り出している。なお、挟持部30の幅方向は、図5の左右方向であり、図2図5及び図6に示される矢印Ar4方向でもある。本書において、挟持部30の幅方向を、単に「幅方向Ar4」(第2の方向)と称することがある。
【0036】
先端部31cは、図2及び図5に例示されるように、先端に向かうにつれて、幅方向Ar4において挟持片32の先端部32c(後述する)に近づく側に突出している。中間部31bと先端部31cとの間において、先端部31cの外側部31dは、挟持部30の幅方向において挟持片32の中間部32bから離れる側(外側)に張り出している。そのため、中間部31bと先端部31cとの間において、先端部31cの外側部31dにより、段差部ST1が形成されている。
【0037】
挟持片31は、図6に例示されるように、板状体P1(第2の板状体)と板状体P2(第1の板状体)とが積層されて構成されている。板状体P1は、基端部31a、中間部31b及び先端部31cに対応する形状を呈している。すなわち、板状体P1は、基端部31aを構成する部分P1a(第1の部分)と、中間部31b及び先端部31cを構成する部分P1b(第2の部分)とを含む。板状体P2は、基端部31a及び中間部31bに対応する形状を呈している。板状体P2は、板状体P1の部分P1aに対して、例えば接着剤などによって接続されている。すなわち、板状体P2と板状体P1の部分P1aとの積層体が、基端部31a及び中間部31bを構成している。
【0038】
挟持片32(第2の挟持片)は、図2図5及び図6に例示されるように、基端部32a(第2の基端部)と、中間部32b(第2の中間部)と、先端部32c(第2の先端部)とを含む。挟持片32は、挟持片31と同様の構成である。そのため、基端部32aは、貫通孔H1に対応する貫通孔H2を含む。また、中間部32bと先端部32cとの間において、先端部32cの外側部32dにより、段差部ST2が形成されている。
【0039】
挟持片32は、図6に例示されるように、挟持片31と同様に、板状体P3(第4の板状体)と板状体P4(第3の板状体)とが積層されて構成されている。板状体P3は、基端部32aを構成する部分P3a(第3の部分)と、中間部32b及び先端部32cを構成する部分P3b(第4の部分)とを含む。板状体P4は、板状体P3の部分P3aに対して、例えば接着剤などによって接続されている。すなわち、板状体P4と板状体P3の部分P3aとの積層体が、基端部32a及び中間部32bを構成している。
【0040】
スライド部材33は、図2に例示されるように、全体として矩形状を呈する環状部材である。すなわち、スライド部材33は、その中央部に位置する貫通孔33aを含む。貫通孔33aは、幅方向Ar4に沿って延びる略矩形状を呈している。幅方向Ar4における貫通孔33aの幅は、例えば、挟持片31,32が組み合わされた状態における中間部31b,32bの幅と同程度であってもよい。
【0041】
スライド部材33は、挟持片31,32が組み合わされた状態において、基端部31a,32a及び中間部31b,32bに対して挿通される。スライド部材33は、基端部31a,32a及び中間部31b,32bに挿通された状態で、長手方向Ar3に沿って、第1の位置(図2参照)と第2の位置(図7参照)との間で移動可能である。
【0042】
スライド部材33が第1の位置にあるとは、図2に例示されるように、スライド部材33が中間部31b,32bの周囲に位置している場合をいう。このとき、段差部ST1,ST2の存在により、スライド部材33が先端部31c,32c側に移動できないようになっている。
【0043】
第1の位置において、スライド部材33が中間部31b,32bを幅方向Ar4において拘束するので、先端部31c,32cの先端同士が近接した状態が維持される。図2の例では、第1の位置において、先端部31c,32cの先端面同士が当接している。
【0044】
図2及び図5に例示されるように、第1の位置において、スライド部材33の一方の外側面S1は、先端部31c(外側部31d)の外側面S3よりも外側に位置していなくてもよい。同様に、第1の位置において、スライド部材33の他方の外側面S2は、先端部32c(外側部32d)の外側面S4よりも外側に位置していなくてもよい。換言すれば、挟持部30を正面から見たときに、外側面S1は、幅方向Ar4において外側面S3と同等かそれよりも内側に位置していてもよい。同様に、挟持部30を正面から見たときに、外側面S3は、幅方向Ar4において外側面S4と同等かそれよりも内側に位置していてもよい。
【0045】
図2図5及び図6に例示されるように、第1の位置において、板状体P2の上端面S5は、板状体P3の周面と当接してもよい。より詳しくは、第1の位置において、板状体P2の上端面S5は、板状体P3のうち基端部32aを構成する部分P3aの下端面S6と当接してもよい。同様に、第1の位置において、板状体P4の上端面S7は、板状体P1の周面と当接してもよい。より詳しくは、第1の位置において、板状体P4の上端面S7は、板状体P1のうち基端部31aを構成する部分P1aの下端面S8と当接してもよい。
【0046】
スライド部材33が第2の位置にあるとは、図7に例示されるように、スライド部材33が基端部31a,32aの周囲に位置している場合をいう。このとき、スライド部材33が中間部31b,32bを拘束していないので、貫通孔H1,H2が棒状部24に挿通された状態の挟持片31,32が棒状部24周りに揺動することで、先端部31c,32c同士が互いに離隔可能となる。
【0047】
[紙製ハンガー部材を構成する紙材]
図8を参照して、紙製ハンガー部材1を構成する紙材の例について説明する。
【0048】
フック部材10は、図8(a)に例示されるように、段ボールB10(第1の段ボール)と、中間紙材CBと、段ボールB10(第2の段ボール)とがこの順に積層されて構成されていてもよい。すなわち、中間紙材CBは、段ボールB10と段ボールB10との間に配置されている。段ボールB10、中間紙材CB及び段ボールB10は、例えば、接着剤などによって互いに接合されていてもよい。
【0049】
段ボールB10は、一対のライナーB11,B12と、中芯B13とを含む。中芯B13は、ライナーB11,B12の間に配置されており、接着剤などによってライナーB11,B12と接合されている。中芯B13は、フルートとも称され、波形に加工されている。そのため、段ボールB10は、トラス構造によって構成されている。
【0050】
中間紙材CBは、段ボールB10,B20よりも高い剛性を有する紙材であってもよい。中間紙材CBは、例えば、チップボールなどの厚紙類であってもよい。そのため、段ボールB10、中間紙材CB及び段ボールB10が積層された積層体B1は、高い耐久力に加えて高い剛性を発揮する。
【0051】
本体部材20及び板状体P1~P4は、図8(b)に例示されるように、段ボールB10と、段ボールB20と、段ボールB10とがこの順に積層されて構成されていてもよい。すなわち、段ボールB20は、段ボールB10と段ボールB10との間に配置されている。段ボールB10、段ボールB20及び段ボールB10は、例えば、接着剤などによって互いに接合されていてもよい。
【0052】
段ボールB20は、一対のライナーB21,B22と、中芯B23とを含む。段ボールB20は、段ボールB10と同様の構造であるが、中芯B23の波形の方向が中芯B13の波形の方向と直交している。そのため、段ボールB10、段ボールB20及び段ボールB10が積層された積層体B2は、高い耐久力を発揮する。
【0053】
なお、フック部材10は、積層体B2によって構成されていてもよい。本体部材20及び板状体P1~P4は、積層体B1によって構成されていてもよい。積層体B1は、段ボールB10と、中間紙材CBと、段ボールB20とがこの順に積層されて構成されていてもよい。
【0054】
[作用]
以上の例によれば、スライド部材33が第2の位置にあるとき、中間部31b,32bが拘束されない。そのため、挟持片31,32はそれぞれ、棒状部24に対して係止されている基端部31a,32aを中心として回転しうる。したがって、先端部31c,32cが幅方向Ar4において互いに離隔可能となる。このときに、先端部31c,32cの間に、衣類等を配置することができる。一方、スライド部材33が第1の位置にあるとき、先端部31c,32cが互いに近接した状態となるように中間部31b,32bが幅方向Ar4において拘束される。そのため、このとき、先端部31c,32cの間に衣類等が配置されていると、先端部31c,32cによって衣類等が挟持される。そして、スライド部材33が第1の位置にある限り、挟持部30による衣類等の挟持が継続されるが、スライド部材33を第2の位置に移動させると、上述のように、先端部31c,32cが互いに離隔可能となり、挟持部30から衣類等を取り外せるようになる。このように、紙製ハンガー部材1によれば、スライド部材33を挟持片31,32に対して長手方向Ar3に移動させるだけで、挟持部30によって衣類等をしっかりと挟持可能で且つ挟持部30による衣類等の着脱を簡易に行うことが可能となる。
【0055】
以上の例によれば、スライド部材33が第1の位置に位置した状態で、板状体P2の上端面S5が、板状体P3の周面(下端面S6)と当接する。そのため、内側に向かおうとする板状体P2が、板状体P3によって支持される。同様に、スライド部材33が第1の位置に位置した状態で、板状体P4の上端面S7が、板状体P1の周面(下端面S8)と当接する。そのため、内側に向かおうとする板状体P4が、板状体P1によって支持される。したがって、部分P1aと部分P1bとの間に対して荷重が集中し難くなると共に、部分P3aと部分P3bとの間に対して荷重が集中し難くなる。その結果、挟持片31,32の変形を抑制することが可能となる。
【0056】
以上の例によれば、棒状部24の上縁24bは、幅方向Ar1の外方に向かうにつれて下方に向けて傾斜している。そのため、挟持部30が衣類等を把持して、その重量が片持ち状の棒状部24に付与されても、棒状部24に作用する荷重の方向は、鉛直下方ではなく、外向き下方となる。そのため、棒状部24に対して鉛直下方に作用する荷重が低減する。したがって、棒状部24の変形を抑制することが可能となる。
【0057】
以上の例によれば、貫通孔21bの上縁21b2から上方に向けて延びる切断線26a,27aが存在することにより、貫通孔21bの上縁21b2側の角部に荷重が集中し難くなる。そのため、貫通孔21bの当該角部からの本体部材20の破れを抑制することが可能となる。また、以上の例によれば、フック部材10が本体部材20に対して着脱可能に構成されているため、使用に伴いフック部材10が変形しやすくなった場合(剛性が低下した場合)には、本体部材20を交換せずとも、フック部材10を交換するだけで、紙製ハンガー部材1を継続して使用できる。そのため、資源の有効利用を図ることができる。
【0058】
以上の例によれば、切断線26a,27aは、貫通孔21bの上縁21b2のうち両端よりも内側から、上方に向けて延びている。そのため、切断線26a,27a及び貫通孔21bを加工用刃物によって形成する際に、切断線26a,27aに対応する加工用刃物が、貫通孔21bの側縁に対応する加工用刃物に対してオフセットして(ずれて)いる。そのため、加工用刃物による紙材の加工時に、加工用刃物が曲がり難くなる。したがって、加工用刃物の折れや欠けなどと抑制することが可能となる。
【0059】
以上の例によれば、切断線26bが、切断線26aの上端を通り且つ幅方向Ar1に沿って延びており、切断線27bが、切断線27aの上端を通り且つ幅方向Ar1に沿って延びている。そのため、折り曲げ部22が、切断線26a,27aの上端を起点として折れ曲がった際に、当該上端よりも先に向けて引き裂きが進行することが、切断線26b,27bによって抑制される。したがって、切断線26a,27aの上端からの本体部材20の破れを抑制することが可能となる。
【0060】
以上の例によれば、段ボールB10,B20と比較して剛性が高い中間紙材BCが段ボールB10,B20の間に配置されているので、フック部材10の全体としての耐久性が高まる。そのため、フック部材10に種々の方向の力がかかっても折れ曲がり難くなる。したがって、紙製でありながら長期にわたって使用できるので、資源の有効利用を図ることが可能となる。
【0061】
以上の例によれば、スライド部材33が第1の位置に位置した状態で、挟持部30を正面から見たときに、スライド部材33の両側の外側面S1,S2は、先端部31c,32cの外側面S3,S4と同等かそれよりも内側に位置している。そのため、第1の位置にあるスライド部材33に対して不意にユーザの手が触れたとしても、手がスライド部材33に引っ掛かり難くなる。そのため、スライド部材33が不意に第2の位置に移動して、挟持部30によって把持されていた衣類等が落下するといった事態を抑制することが可能となる。
【0062】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0063】
(1)本書において、紙製ハンガー部材1は、例えば、フック部材10が本体部材20に一体的に設けられた形態を含んでいてもよいし、フック部材10が本体部材20に対して着脱可能とされた形態を含んでいてもよい。また、本書において、紙製ハンガー部材1は、例えば、本体部材20を備えるがフック部材10を備えていない形態を含んでいてもよい。
【0064】
(2)フック部材10、本体部材20及び板状体P1~P4は、一層の紙材によって構成されていてもよく、2層以上の紙材が積層された積層体によって構成されていてもよい。
【0065】
(3)挟持部30は、図9及び図10に例示されるように、棒状部23に対して取り付けられていてもよい。具体的には、挟持片31は、基端部31aの上端に設けられた係止部31eを含んでいてもよい。係止部31eは、挟持片31,32が組み合わされた状態で、基端部31aのうち挟持片32寄りの側面に設けられおり、基端部31aの上端よりも上方に突出している。そのため、基端部31aの上端及び係止部31eによってクランク形状が構成されている。同様に、挟持片32は、基端部32aの上端に設けられた係止部32eを含んでいてもよい。係止部32eは、挟持片31,32が組み合わされた状態で、基端部32aのうち挟持片31寄りの側面に設けられおり、基端部32aの上端よりも上方に突出している。そのため、基端部32aの上端及び係止部32eによってクランク形状が構成されている。
【0066】
挟持片31,32は、係止部31e,32eがそれぞれ異なる側から長孔23a内に差し込まれた状態で、係止部31e,32eの下縁が棒状部23の上縁に引っ掛かり、係止部31e,32eの上端部が本体部21を挟み込むことにより、棒状部23に係止される。このとき、スライド部材33が第1の位置にあると、図9に例示されるように、スライド部材33が中間部31b,32bを幅方向Ar4において拘束するので、先端部31c,32cの先端同士が近接した状態が維持される。一方、スライド部材33が第2の位置にあると、図10に例示されるように、スライド部材33が中間部31b,32bを拘束していないので、係止部31e,32eの下縁が棒状部23の上縁に引っ掛かった状態の挟持片31,32が棒状部23周りに揺動することで、先端部31c,32c同士が互いに離隔可能となる。
【0067】
[他の例]
例1.紙製ハンガー部材の一例は、平板状を呈する本体部材と、挟持部とを備える。本体部材は、本体部材の幅方向である第1の方向に沿って延びる棒状部を含む。挟持部は、第1の挟持片と、第2の挟持片と、環状を呈するスライド部材とを含む。第1の挟持片は、棒状部に対して係止可能とされた第1の基端部と、第1の先端部と、第1の基端部と第1の先端部との間において延び、且つ、第1の基端部から第1の先端部に向かうにつれて挟持部の幅方向である第2の方向において第2の挟持片から離れる側に張り出すように構成された第1の中間部とを含む。第2の挟持片は、棒状部に対して係止可能とされた第2の基端部と、第2の先端部と、第2の基端部と第2の先端部との間において延びるように構成された第2の中間部とを含む。スライド部材は、第1及び第2の中間部の周囲に位置して、第1及び第2の先端部が互いに近接した状態となるように第1及び第2の中間部を第2の方向において拘束する第1の位置と、第1及び第2の基端部の周囲に位置して、第1及び第2の先端部が第2の方向において互いに離隔可能となるように第1及び第2の中間部を拘束しない第2の位置との間で、挟持部の長手方向である第3の方向において移動するように構成されている。
【0068】
この場合、スライド部材が第2の位置にあるとき、第1及び第2の中間部が拘束されない。そのため、第1及び第2の挟持片はそれぞれ、棒状部に対して係止されている第1及び第2の基端部を中心として回転しうる。したがって、第1及び第2の先端部が第2の方向において互いに離隔可能となる。このときに、第1及び第2の先端部の間に、衣類等を配置することができる。一方、スライド部材が第1の位置にあるとき、第1及び第2の先端部が互いに近接した状態となるように第1及び第2の中間部が第2の方向において拘束される。そのため、このとき第1及び第2の先端部の間に衣類等が配置されていると、第1及び第2の先端部によって衣類等が挟持される。そして、スライド部材が第1の位置にある限り、挟持部による衣類等の挟持が継続されるが、スライド部材を第2の位置に移動させると、上述のように、第1及び第2の先端部が互いに離隔可能となり、挟持部から衣類等を取り外せるようになる。このように、例1の紙製ハンガー部材によれば、スライド部材を第1及び第2の挟持片に対して挟持部の長手方向に移動させるだけで、挟持部によって衣類等をしっかりと挟持可能で且つ挟持部による衣類等の着脱を簡易に行うことが可能となる。
【0069】
例2.例1の紙製ハンガー部材において、第1の挟持片は、第1の板状体と、第1の基端部を構成する第1の部分と、第1の板状体が積層される第2の部分とを含む第2の板状体とを含み、第1の板状体と第2の部分との積層体が、第1の中間部と第1の先端部とを構成しており、第2の挟持片は、第3の板状体と、第2の基端部を構成する第3の部分と、第3の板状体が積層される第4の部分とを含む第4の板状体とを含み、第3の板状体と第4の部分との積層体が、第2の中間部と第2の先端部とを構成しており、スライド部材が第1の位置に位置した状態で、第1の板状体の上端面は、第4の板状体の周面と当接すると共に、第3の板状体の上端面は、第2の板状体の周面と当接してもよい。ところで、スライド部材が第1の位置にあるとき、スライド部材によって第1及び第2の中間部が第2の方向において拘束されるため、第1及び第2の挟持片にはそれぞれ、内側に向かおうとする力が作用する。しかしながら、例2によれば、スライド部材が第1の位置に位置した状態で、第1の板状体の上端面が、第4の板状体の周面と当接する。そのため、内側に向かおうとする第1の板状体が、第4の板状体によって支持される。同様に、スライド部材が第1の位置に位置した状態で、第3の板状体の上端面が、第2の板状体の周面と当接する。そのため、内側に向かおうとする第3の板状体が、第2の板状体によって支持される。したがって、第1の部分と第2の部分との間に対して荷重が集中し難くなると共に、第3の部分と第4の部分との間に対して荷重が集中し難くなる。その結果、第1及び第2の挟持片の変形を抑制することが可能となる。
【0070】
例3.例1又は例2の紙製ハンガー部材において、棒状部は、本体部の側端部から第1の方向の内側に向けて延びる片持ち状を呈しており、棒状部の上縁は、第1の方向の外方に向かうにつれて下方に向けて傾斜していてもよい。この場合、挟持部が衣類等を把持して、その重量が片持ち状の棒状部に付与されても、棒状部に作用する荷重の方向は、鉛直下方ではなく、外向き下方となる。そのため、棒状部に対して鉛直下方に作用する荷重が低減する。したがって、棒状部の変形を抑制することが可能となる。
【0071】
例4.例1~例3のいずれかの紙製ハンガー部材は、本体部材に対して着脱可能に構成されたフック部材をさらに備え、フック部材は、フック本体部と、フック本体部の基端に設けられ且つフック本体部よりも幅広のベース部とを含み、本体部材は、フック本体部の幅よりも大きく且つベース部の幅よりも小さい横幅を有する第1の貫通孔と、第1の貫通孔の下方に位置し且つ第1の貫通孔の幅よりも大きい横幅を有する、矩形状を呈する第2の貫通孔と、第2の貫通孔の上縁から上方に向けて延びる第1及び第2の切断線とを含み、フック部材は、フック本体部が第1の貫通孔に挿入され、且つ、ベース部が第2の貫通孔と係合することにより、本体部材に取り付けられていてもよい。ところで、フック部材を本体部材に対して取り付ける際に、フック本体部を第1の貫通孔に挿通し、ベース部を第2の貫通孔に係合しようとすると、フック本体部のうち第1の貫通孔の周辺部が折れ曲がる。このとき、例4のように、第2の貫通孔の上縁から上方に向けて延びる第1及び第2の切断線が存在することにより、第2の貫通孔の上縁側の角部に荷重が集中し難くなる。そのため、第2の貫通孔の当該角部からの本体部材の破れを抑制することが可能となる。また、例4によれば、フック部材が本体部材に対して着脱可能に構成されているため、使用に伴いフック部材が変形しやすくなった場合(剛性が低下した場合)には、本体部材を交換せずとも、フック部材を交換するだけで、紙製ハンガー部材を継続して使用できる。そのため、資源の有効利用を図ることができる。
【0072】
例5.例4の紙製ハンガー部材において、第1及び第2の切断線は、第2の貫通孔の上縁のうち両端よりも内側から、上方に向けて延びていてもよい。この場合、第1及び第2の切断線及び第2の貫通孔を加工用刃物によって形成する際に、第1及び第2の切断線に対応する加工用刃物が、第2の貫通孔の側縁に対応する加工用刃物に対してオフセットして(ずれて)いる。そのため、加工用刃物による紙材の加工時に、加工用刃物が曲がり難くなる。したがって、加工用刃物の折れや欠けなどと抑制することが可能となる。
【0073】
例6.例4又は例5の紙製ハンガー部材において、本体部材は、第1の切断線の上端を通り且つ第1の方向に沿って延びる第3の切断線と、第2の切断線の上端を通り且つ第1の方向に沿って延びる第4の切断線とをさらに含んでいてもよい。ところで、フック部材を本体部材に対して取り付ける際に、本体部材のうち第1の貫通孔の周辺部が、第1及び第2の切断線の上端を起点として折れ曲がる。そのため、当該周辺部の折り曲げに起因して、第1及び第2の切断線の上端から先に向けて本体部材が引き裂かれてしまうことも考えられる。しかしながら、例6によれば、第3の切断線が、第1の切断線の上端を通り且つ第1の方向に沿って延びており、第4の切断線が、第2の切断線の上端を通り且つ第1の方向に沿って延びている。そのため、当該周辺部が、第1及び第2の切断線の上端を起点として折れ曲がった際に、当該上端よりも先に向けて引き裂きが進行することが、第3及び第4の切断線によって抑制される。したがって、第1及び第2の切断線の上端からの本体部材の破れを抑制することが可能となる。
【0074】
例7.例4~例6のいずれかの紙製ハンガー部材において、フック部材は、第1の段ボールと、第2の段ボールと、第1の段ボールと第2の段ボールとの間に配置された中間紙材とが積層されて構成されており、中間紙材の剛性は、第1及び第2の段ボールの剛性よりも高くてもよい。この場合、段ボールと比較して剛性が高い中間紙材が第1及び第2の段ボールの間に配置されているので、フック部材の全体としての耐久性が高まる。そのため、フック部材に種々の方向の力がかかっても折れ曲がり難くなる。したがって、紙製でありながら長期にわたって使用できるので、資源の有効利用を図ることが可能となる。
【0075】
例8.例1~例7のいずれかの紙製ハンガー部材において、スライド部材が第1の位置に位置した状態で、挟持部を正面から見たときに、スライド部材の両側の外側面は、第1及び第2の先端部の外側面と同等かそれよりも内側に位置していてもよい。この場合、第1の位置にあるスライド部材に対して不意にユーザの手が触れたとしても、手がスライド部材に引っ掛かり難くなる。そのため、スライド部材が不意に第2の位置に移動して、挟持部によって把持されていた衣類等が落下するといった事態を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1…紙製ハンガー部材、10…フック部材、11…フック本体部、11a…基端、12…ベース部、20…本体部材、21b…貫通孔(第2の貫通孔)、21b2…上縁、22a…貫通孔(第1の貫通孔)、23,24…棒状部、26…切断線、26a…切断線(第1の切断線)、26b…切断線(第3の切断線)、27…切断線、27a…切断線(第2の切断線)、27b…切断線(第4の切断線)、30…挟持部、31…挟持片(第1の挟持片)、31a…基端部(第1の基端部)、31b…中間部(第1の中間部)、31c…先端部(第1の先端部)、32…挟持片(第2の挟持片)、32a…基端部(第2の基端部)、32b…中間部(第2の中間部)、32c…先端部(第2の先端部)、33…スライド部材、Ar1…幅方向(第1の方向)、Ar3…長手方向(第3の方向)、Ar4…幅方向(第2の方向)、B10…段ボール(第1の段ボール、第2の段ボール)、CB…中間紙材、P1…板状体(第2の板状体)、P1a…部分(第1の部分)、P1b…部分(第2の部分)、P2…板状体(第1の板状体)、P3…板状体(第4の板状体)、P3a…部分(第3の部分)、P3b…部分(第4の部分)、P4…板状体(第3の板状体)、S1~S4…外側面、S5,S7…上端面、S6,S8…下端面。
【要約】
【課題】本開示は、挟持部によって衣類等をしっかりと挟持可能で且つ挟持部による衣類等の着脱を簡易に行うことが可能な紙製ハンガー部材を説明する。
【解決手段】紙製ハンガー部材は、本体部材と、挟持部とを備える。本体部材は、棒状部を含む。挟持部は、第1の挟持片と、第2の挟持片と、スライド部材とを含む。第1の挟持片は、第1の基端部と、第1の先端部と、第1の中間部とを含む。第2の挟持片は、第2の基端部と、第2の先端部と、第2の中間部とを含む。スライド部材は、第1及び第2の中間部の周囲に位置して、第1及び第2の先端部が互いに近接した状態となるように第1及び第2の中間部を第2の方向において拘束する第1の位置と、第1及び第2の基端部の周囲に位置して、第1及び第2の先端部が第2の方向において互いに離隔可能となる第2の位置との間で、挟持部の長手方向である第3の方向において移動するように構成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10