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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】販売データ処理装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G07G1/12 361E
G07G1/12 321N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018157859
(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公開番号】P2020030779
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敬行
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】篠塚 隆
【審判官】北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-143159(JP,A)
【文献】特開2008-046737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引に適用されるクーポン券の使用を宣言する使用宣言手段と、
使用された前記クーポン券が回収されたことを宣言する回収宣言手段と、
前記使用宣言手段において前記クーポン券の使用が宣言されると、前記取引の精算を禁止し、前記回収宣言手段で前記クーポン券が回収されたことが宣言されると、前記取引の精算の禁止を解除するよう制御する制御手段と、を備え、
前記回収宣言手段は、前記使用宣言手段で宣言したクーポン券が複数ある場合に、複数のクーポン券の回収をまとめて宣言できることを特徴とする販売データ処理装置。
【請求項2】
会員に紐づいたクーポン券の一覧を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記会員に紐づいた期限切れで使用不可能なクーポン券を含む全てのクーポン券を表示する全表示と、前記会員に紐づいた使用可能なクーポン券のみを表示する一部表示を切り替えて表示可能であることを特徴とする請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
販売データ処理装置を制御するプログラムであって、
コンピュータを、
取引に適用されるクーポン券の使用を宣言する使用宣言手段、
使用された前記クーポン券が回収されたことを宣言する回収宣言手段、
前記使用宣言手段において前記クーポン券の使用が宣言されると、前記取引の精算を禁止し、前記回収宣言手段で前記クーポン券が回収されたことが宣言されると、前記取引の精算の禁止を解除するよう制御する制御手段、
として機能させるためのものであり、
前記回収宣言手段は、前記使用宣言手段で宣言したクーポン券が複数ある場合に、複数のクーポン券の回収をまとめて宣言できることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売データ処理装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願では、特定の価格の金銭と同等に使用できる金券、商品価格を所定の割合で割り引く券、特定の商品を無料で提供する券、来店時に特定の物品の提供又はサービスの提供を得られる抽選に参加できる抽選券などを総称して、クーポン券と称する。また、クーポン券には、使用期限・使用回数が決められているものも存在する。
これらのクーポン券は、商品の販売やサービスの提供を促進するために、広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6090398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クーポン券が使用されて、その使用されたクーポン券がもはや使用の役目を終えた場合には、そのクーポン券は回収されるのが通常である。この理由は、一旦使用の役目を終えたクーポン券が再度使用されてしまうというような不都合を避けるためである。
或いは、一旦使用されて、既に使用できないクーポン券が客の手元に残る場合、使えなくなったクーポン券を再度使用できるものと客が勘違いして使用を試みて、レジでクーポン券が読み込まれて初めて、クーポン券が使用できないことが判明するなどの、客の期待に添わないサービスがなされてしまう場合も発生する可能性があった。
本発明は、上述のような、クーポン券の回収し忘れによる不都合を解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面によれば、取引に適用されるクーポン券の使用を宣言する使用宣言手段と、使用された前記クーポン券が回収されたことを宣言する回収宣言手段と、前記使用宣言手段において前記クーポン券の使用が宣言されると、前記取引の精算を禁止し、前記回収宣言手段で前記クーポン券が回収されたことが宣言されると、前記取引の精算の禁止を解除するよう制御する制御手段と、を備え、前記回収宣言手段は、前記使用宣言手段で宣言したクーポン券が複数ある場合に、複数のクーポン券の回収をまとめて宣言できる販売データ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
回収すべきクーポンの回収忘れを防止することで、繰り返しクーポンを使用するなどの不都合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のクーポン券の例を示す図である。
図2】実施形態のシステムの構成例を示す図である。
図3】実施形態の機能ブロック図である。
図4】クーポン券の回収を促す表示の例を示した図である。
図5】会員に紐づいたクーポン券の一覧を表示させた例を示した図である。
図6】複数のクーポン券を使用する場合の例を示した図である。
図7】店員側操作部における処理フローを示した図である。
図8】客側操作部における処理のフローを示した図である。
図9】実施形態の各ハードウエア構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を用いて複数の実施形態を説明する。各実施形態は、排他的なものでは無く、ある実施形態の一部を他の実施形態と組み合わせることもできることは言うまでもない。また、実施形態の処理のステップは、矛盾の無い限り、順番を入れ替えることができ、或いは、同時に実行することができる。
【0009】
図1は、実施形態のクーポン券の例を示す図である。
図1(A)は、300円の割引のメリットが得られるクーポン券11を示している。また、クーポン券11が使用できる期間は、20XX年5月5日であることが明記されている。
【0010】
図1(B)は、購入金額の10%を割り引くメリットが得られるクーポン券12を示している。クーポン券12には、バーコード120が印字されている。バーコードには、どの店舗で使用できるクーポン券であるかの識別、10%の割引が得られること、有効期限が20XX年5月5日であること等の情報が含まれていることが望ましい。バーコードをスキャナーやCCDカメラなどの読み取り機によって読み取ることによって、店員がキー入力で、上記の情報を入力することを省くことができる。
【0011】
なお、図1に示されたクーポン券は、紙媒体などに印字されたクーポン券である。クーポン券の情報を含む媒体は紙媒体に限られるものでは無く、客の所有するカードなどに記載された会員情報と紐づけられ、スマートフォンの記憶媒体やサーバの記憶装置などに記憶された情報であってもよい。或いは、会員の手の静脈のパターンなどの生体情報に紐づけられて、クーポン券が所定のサーバなどに記憶されていてもよい。
【0012】
また、図1に示されたクーポン券は一例であって、上述のように、特定のカテゴリの商品に対して特定の価格の金銭と同等に使用できる金券、商品価格を所定の割合で割り引く券、特定の商品を無料で提供する引換券、来店時に特定の物品の提供又はサービスの提供を得られる抽選に参加できる抽選券などであってもよい。
【0013】
図2は、実施形態のPOSシステム1の構成例を示す図である。図2に示されたハードウエアは、一例であって、これらのハードウエアの全てが必須であるわけではない。また、必要に応じて、他のシステムやハードウエアが接続されてもよい。
【0014】
管理装置21は、POSシステム1の全体を管理する情報処理装置であり、POSシステム1において、ネットワーク(NW)(29)に接続された以下に詳述する各種の装置を管理し、商品マスタなどの種々の情報を管理する。管理装置21は、各種の装置に、最新の商品マスタの情報を適宜送信する。商品マスタとは、各商品の商品識別情報(例えば、JANコード)、商品名(品名、アイテム名)、販売価格、値引き情報などの商品情報を格納したファイルである。
管理装置21は、最新の商品情報が反映された商品マスタを、外部(例えば、本部のサーバ、リムーバブル形式の記憶媒体)から取得する。
【0015】
商品登録精算装置23は、店員が商品登録処理などを実行するために用いる店員側操作部231と、客が精算処理等を行う客側操作部232とを有する。客側操作部232は商品登録処理の機能を更に有してもよい。
客操作装置24は、客が金銭の支払等を行う客操作部242を有する。客操作部242は商品登録処理の機能を更に有してもよい。
【0016】
携帯端末27は、客が利用するスマートフォン等である。例えば、客自身が、購入する商品のJANコードなどを携帯端末27で撮像することにより、携帯端末27で購入商品の登録を行うことができる。また、精算処理についても、携帯端末27を利用して、電子マネー、クレジットシステムなどを利用して、客自身が精算処理を行えるようにしてもよい。
【0017】
店員用端末28は、店員が操作する端末である。例えば、店員用端末28を利用して、店員は、POSシステム1の状態を把握したり、商品登録精算装置23や客操作装置24における客の操作の補助をしたり、客からのクーポンの回収を行った際の入力操作等が行えるようにしてもよい。
また、NW29には、カード会社又は電子マネー会社等のシステムが接続されていてもよい。
【0018】
<商品登録処理と精算処理の機能の切り分け、及びそのバリエーション>
商品登録処理と精算処理の両者を店員が行う形態は、古くから行われている形態である。客は、金銭を支払うことによって、商品の引き渡しを受けるものであり、この形態以外に例えば以下に示す形態が存在する。なお、以下に示す形態以外であっても、実施例を適用できることは言うまでもない。
【0019】
(1)店員と客が対面し、店員が商品登録を行い客が精算処理を行う形態
店員と客が対面し、店員が商品登録を行い、客が精算処理を行う形態は、例えば、図2に示した商品登録精算装置23を用いて実行することができる。すなわち、店員は、店員側操作部231を用いて商品登録処理を行う。客は、精算処理等を行う客側操作部232を用いて精算処理を行う。
【0020】
(2)店員が商品登録を行い、店員の使用している機器から離れた場所に設置された精算装置を用いて客が精算処理を行う形態
この形態は、例えば、商品登録精算装置23において、店員が商品登録処理などを実行するために用いる店員側操作部231で商品登録を行い、例えば、客は、商品登録精算装置23とは離れた位置にある客操作装置24において、客が金銭の支払等を行う客操作部242を操作する形態である。
【0021】
この形態は、複数の客がそれぞれ精算のための客操作装置24を用いることができるので、客は余裕をもって精算処理を行うことができる。また、精算のための客操作装置24が複数あるため、時間のかかる精算処理に伴う客の行列を解消することができる。
【0022】
なお、精算のための客操作装置24のいずれを選択するかは、店員側操作部231を用いて店員が指定するようにしてもよい。この場合には、客操作装置24の稼働状況を確認できるようにしてもよい。
【0023】
また、精算処理用の媒体(お会計券(登録商標))を店員側操作部231から発行させ、店員から手渡しされたお会計券を、客が1つの客操作装置24に読み取らせてもよい。客が、店員から手渡しされたお会計券を客操作装置24に読み取らせることによって、複数の客操作装置24のうちから精算処理を実行させる客操作装置24を指定することができる。
【0024】
お会計券には、発行元の店員側操作部231を示す登録装置識別情報と精算情報とが、シンボルコードに記録されている。店員側操作部231は、お会計券のコードを読み取ると、読み取ったコードにより示される精算情報から商品登録データを取得する。
【0025】
また、店員側操作部231が、例えば客操作装置24に状態の問合せを行って精算処理が可能な(例えば、障害が発生しておらず、使用中でもない)客操作装置24を認識し、使用中でない客操作装置24のうちから所定の規則(例えば客操作装置番号順)に従って、1つの客操作装置24を決定するようにしてもよい。
【0026】
あるいは、店員側操作部231が、全ての客操作装置24に精算情報を送信する。精算情報を受信した客操作装置24は、自己が受信した精算情報に含まれる精算情報を利用して精算処理を実行可能な状態となると、自己が精算処理を実行することを通知する精算処理実行通知を精算情報の送信元の店員側操作部231に送信する。
【0027】
店員側操作部231は、精算処理実行通知の受信に応じて、精算処理実行通知の送信先の客操作装置24を示す表示(精算処理実行表示)を行う。店員は、精算処理実行表示を見て、精算処理を実行する客操作装置24がいずれであるのかを客に伝えればよい。
【0028】
この際、精算処理実行表示とともに、精算処理実行通知を送信した客操作装置24のサインポール246を所定の態様で点灯させたり、客操作装置24から所定の報知音を出力させたりすることで、自己が精算処理を実行することを報知するようにしてもよい。
【0029】
また、店員側操作部231にて商品登録を終えた商品が容れられた買い物カゴを、店員が、客操作装置24ごとに対応して設置されたカゴ置き場のうちのいずれかに買い物カゴを移動させる。
【0030】
カゴ置き場には、載置された買い物カゴを検出するセンサが備えられる。センサによりカゴ置き場買い物カゴが載置されたことが判定されると、対応の客操作装置24が要求を行って、店員側操作部231から対応の精算情報を取得し、精算処理を実行するようにしてもよい。
【0031】
店員側操作部231は、精算情報と、複数の客操作装置24間での転送順を設定した転送順情報とを含む精算指示情報を、或る1つの客操作装置24に送信する。転送順情報は、客操作装置24間で循環的に転送順を指定するものであってよい。
【0032】
精算指示情報を受信した客操作装置24は、自己が精算処理を実行可能であれば、精算指示情報の送信元の店員側操作部231に対して、精算処理実行通知を送信し、受信された精算指示情報に含まれる精算情報を利用して精算処理を実行する。
【0033】
一方、精算指示情報を受信した客操作装置24は、自己が精算処理を実行不可である場合、受信された精算指示情報に含まれる転送順情報に従って、転送順が次の客操作装置24に対して、受信された精算指示情報を転送する。このようにして、客操作装置24間で精算指示情報が順次転送されるようにすることによっても、精算処理を実行させるべき客操作装置24の指定に相当する手順が実現される。
【0034】
(3)客自身が商品登録及び精算処理を行う形態
この形態は、店員を介在させずに、商品登録精算装置23の客側操作部232で、客自身が商品登録及び精算処理を行う場合が想定される。或いは、商品登録機能を有する客操作装置24を用いて、客自身が商品登録及び精算処理を行う場合が想定される。
或いは、客が所持する携帯端末27を用いて商品登録を行いかつ精算処理を行う場合が想定される。
【0035】
この場合には、クーポン券の処理についても、客が関与する余地があるため、クーポン券の回収処理が必要な場合については、店員の介在があることが望ましい。この点については、後述する。
【0036】
<実施形態1>実施形態の機能構成
図3は、実施形態の機能ブロック図である。
なお、図2に示したように、商品登録処理及び精算処理などの処理は、異なるハードウエアで実現できるため、図3に示した各機能ブロックが特定のハードウエアでのみ実現されなければならないわけではない。実施の状況に応じて、適切なハードウエアにおいて各機能が実現されればよいことは言うまでもない。
【0037】
使用宣言手段30は、取引に適用されるクーポン券の使用の受付けを行う。使用宣言手段30は、クーポン券に識別情報があるときに、識別情報を入力する入力手段301を含んでもよい。
回収宣言手段32は、使用されたクーポン券が回収されたことの情報を受け取る。
【0038】
制御手段34は、使用宣言手段30においてクーポン券の使用が受け付けられると、取引の精算を禁止し、回収宣言手段32でクーポン券が回収されたことが宣言されると、取引の精算の禁止を解除するよう制御する。なお、制御部315の上記の制御は一例であって、後述するように、精算の禁止及びその解除の態様は、複数存在する。
【0039】
なお、クーポン券が回収されないこと或いは回収が不可能であることが使用宣言手段30において受け付けられた場合には、制御手段34は、クーポン券の利益が得られないように、例えば割引の計算を無効として、精算処理が行えるようにしてもよい。
【0040】
制御手段34は、入力手段301でクーポン券の識別情報が入力された場合、クーポン券が回収されたか否かにかかわらず、取引の精算の禁止を機能させないようにするか、精算の禁止がなされている場合には、その禁止を解除するよう制御するようにしてもよい。クーポン券に識別情報があり、入力手段301を用いて店員自身がクーポン券の識別情報を取得する運用を行っている場合が想定される。この場合には、クーポン券の識別情報を読み込ませた店員自身がクーポン券を回収していると想定される。したがって、そのような状況が認識される場合には、回収宣言手段32からのクーポン券の回収に係る情報の有無にかかわらず、制御手段34の指示によって精算処理に移行することが望ましい。或いは、精算の禁止がなされている場合には、その禁止を解除するよう制御するようにしてもよい。
【0041】
なお、クーポン券の識別情報が、クーポン券毎にユニークに付与されている場合には、そのクーポン券のユニークな情報を用いて、管理装置21などで、クーポン券の使用済み状況を管理することも可能である。この場合には、クーポン券が回収できずに客の手元に残ってしまっても、クーポン券の再使用を禁止することができる。したがって、クーポン券の識別情報が、クーポン券毎にユニークに付与されている場合には、管理装置21などにおいて使用済みフラグを立てることでクーポン券の再使用を禁止することで、クーポン券の回収を行わなくてもよい。この場合、客側に設置された表示装置に、「このクーポン券は既に使用済みです」(不図示)などの表示を行い、クーポン券による割引を行わないよう、制御手段34が制御してもよい。
【0042】
<実施形態2>
上述の商品登録処理と精算処理の機能の切り分けとそのバリエーションを考慮すると、クーポン券の取り扱いは、大きく以下の2つに分けられる。
(a)店員が、店員の操作する機器によってクーポン券を取り扱う場合
(b)客が、客の操作する機器によってクーポン券の使用宣言をする場合
以下に、上記の取り扱いに分けて説明する。
【0043】
(a)店員が、店員の操作する機器によってクーポン券を取り扱う場合
店員は、商品を登録して、クーポン券の使用の宣言を行い、小計操作の上、客の決済方法に応じて精算処理を行う。
クーポン券の使用の宣言を行うタイミングは、様々な局面が想定されるが、商品の登録を開始する前に、クーポン券の使用の宣言を行うことが望ましい。なお、すべての商品の登録が終了して「小計キー」を押下した後にも、店員側操作部の預りキー押下までは、クーポン券の使用の宣言を可能としても良い。小計後であっても、店員の操作下にある場合には、クーポン券の使用の入力を行っても、精算の前であるため支障を来すことはないからである。
【0044】
(b)客が、客の操作する機器によってクーポン券の使用宣言をする場合
客が操作する機器において、クーポン券の使用宣言をする場合であって、クーポン券の回収をする必要がある場合には、店員の介在があることが望ましい。店員を介在させるためには、客による機器の操作の初期の段階において店員を呼び出す仕組みを構築しておくことが望ましい。
【0045】
このため、客が機器の操作を開始する際に、例えば、「クーポン券を使用しますか?「はい」、「いいえ」」(不図示)などのポップアップを、客用の表示画面に表示させ、客にクーポン券の使用の有無の宣言を行うよう促すことが望ましい。
したがって、上記ポップアップの表示に対し、客が、クーポン券の使用をすることを宣言した場合に、店員の呼び出しを開始することが望ましい。
【0046】
その理由は、店員は、複数の客に対して対応することとなるのが通常であるから、客の待ち時間を短くするためにも、客による機器の操作の初期の段階での店員の呼び出しを行っておくことが重要だからである。
【0047】
図2の商品登録精算装置23のように、客側操作部232の裏側に、店員側操作部231が存在する場合には、店員は、まずクーポン券を客から受領して、店員側操作部231を利用して、クーポン券に関する情報を入力すればよい。
クーポン券にシンボルコードがあるときは、客側のスキャナーで入力した場合は、店員はクーポン券を回収し、回収の宣言の操作を行えばよい。
【0048】
商品券を自動識別する装置があれば、そちらで識別できれば店員呼出しは不要である。例えば、釣銭釣札機での有価証券識別で可能なクーポン券(例えば商品券)は店員を介したクーポン券の入力及び回収を必要としない。
また、バーコードに使用条件が付されている場合は、その条件が満たされているか否かで判定、報知を行ってもよい。
【0049】
また、上述のようにクーポン券をシリアル管理している場合は、使用回数の制限、使用回数の客への告知なども行える。使用回数を満たした時に、クーポン券を回収する旨を報知すれば良い。回収の際は、店員側でも当該バーコードをスキャンしないと回収完了しないという操作でも良い。その他、会員コードと紐づけることで、使用者が適切であるか否かの判定を行ってもよい(例えば、会員コードから男性であることが分かった場合に、女性がクーポンを使用しようとしている場合に、報知を行ってもよい。)。
【0050】
図4は、クーポン券の回収を促す表示の例を示した図である。クーポン券の回収宣言は、クーポン券をユニークに自動識別できない場合は、店員の操作を介在させることが望ましい。さらに、小計時に再度回収の宣言をさせるなどして回収漏れを防止してもよい。回収の入力がなされていない場合には、必要であれば小計キーの押下を禁止(キーを押下できないように表示)しても良い。その時に報知をおこなっても良い。あるいは、「[10%OFF]のクーポン券を回収しましたか?」(35)などの確認画面を表示しても良い。クーポン券が回収されていれば、店員は、「はい」(351)のボタンを押下すればよい。
【0051】
クーポン券が回収されていない場合には、ポップアップ(35)の「×」(352)のボタンが押されるなど所定の操作で強制的に精算操作に移行するとクーポン券の利益を無効として、精算処理を行う。なお、この所定の操作としては、店員による店員コードの入力、店員コード及びパスワードの入力、管理者権限を取得する操作(例えばNFC送受信部にカードを近づけるなど)による店員の介入操作、店員共通に付与されたパスワードの入力、店員の所持するカードを読み込ませること、店員の所持している形態端末を利用しての精算処理への介入操作、店員の生体認証を行う操作などが挙げられる。
これに対して、クーポン券をユニークに自動識別できる場合であれば、クーポン券の読み取り操作で回収が実行されたこととしても良い。この場合には、上述のように管理装置21の記憶装置に、使用されたクーポン券に対応づけて使用済みのフラグを立てることが望ましい。
【0052】
あるいは、店員側の入力と客側の入力では運用を変更する様にしても良い、ユニークなクーポン券の使用であっても、客側のみの操作に対しては必ず店員の確認操作を必要とするなどすれば不正や操作ミスの軽減に繋がる。
【0053】
シンボルコードがないクーポン券の場合には、客が店員にクーポン券を手渡しして、店員が画面操作でクーポン使用を宣言する。店員は、手入力でクーポン券の情報を入力するか、クーポン券を撮像処理やOCRなどを用いてパターン認識させて、入力するようにしてもよい。
【0054】
図5は、会員に紐づいたクーポン券の一覧(40)を表示させた例である。この一覧は、会員コードなどを入力することで、現在、その会員に適用されるクーポン券(410)とその使用可否等の表示(420)が客側表示部に一覧表示されるようにさせた例である。会員は、紙媒体のクーポン券も含め、この一覧のクーポン券からクーポン券を選択しても良い。これらのクーポン券は、媒体が紙であるか、電子的な媒体に記憶されたクーポン券であるかを問わない。
なお、一覧(40)には、「全クーポン表示」のボタン(401)と、「使用可能クーポンのみ表示」のボタン(402)とが表示されるようにしてもよい。図5では、「全クーポン表示」のボタン(401)が押された状態を示しており、期限切れのクーポン等も含めて表示されている。「使用可能クーポンのみ表示」のボタン(402)が押されれば、現在使用可能なクーポンのみが表示される。終了ボタン(403)を押すことによって、ポップアップされた一覧(40)を消すことができる。また、切替えはひとつのボタンで行っても良い。
【0055】
また、表示するクーポンに条件がある場合は条件を表示し、過去に使用できなかったクーポンを表示してもよい。また、将来獲得可能なクーポンの条件を表示してもよい。(今月にあと1回2000円以上のお買い物で200円引きクーポンを配布します)(不図示)。さらに、使用開始前のクーポンを表示して告知に代えても良い。
【0056】
店員は、どの種類のクーポンを使用したかを操作部で入力する手間が省け、適用する(受領した)ことのみを宣言すれば良い。「クーポンを使用します。適用しますか?OK/NG」(不図示)などのポップアップを表示しても良い。
また、精算時にクーポン使用を宣言するときは、店員呼出しによる操作、または、一旦登録装置へデータを戻して、訂正処理した上で精算を行ってもよい。
【0057】
クーポン券や割引券を画面タッチなどで入力する場合は、入力に続けて「回収宣言」ボタン(不図示)を押下させても良い。クーポン券の入力ボタンを「回収宣言」ボタンと兼用にしても良い。なお、誤って連打することを避けるには、タッチ位置を変えたり、メカキーを別途割り当てたりすることも有効である。(「回収宣言」ボタンを押下しない操作の場合は、現計キー押下時にクーポン券の回収の宣言を行う「確認画面」を表示するようにしてもよい。)
【0058】
なお、店員が到着する前に、客側操作部で「おわり」キーを押下しようとした場合、入金が終了しても、クーポン券の回収の情報が入力されるまでは、おわりキー(支払ボタン)は表示のみで押下を有効にしないなどの設定が行われてもよい。あるいは、エラーの報知や、お釣りが出ない、レシートが出ない、などの処置が行われてもよい。
<実施形態3>複数のクーポン券の使用
【0059】
図6は、複数のクーポン券を使用する場合の例を示した図である。クーポン券50は、レストランなどで、1名につき1枚の使用が可能なクーポン券の例である。この場合には、レジにおいて、使用するグループの人数に応じて、人数と同数のクーポン券を使用することができる。
【0060】
この場合には、レジの店員は、人数に応じて、クーポン券の使用を宣言し割引を行う。そして、店員用の表示画面には、人数に応じたクーポン券が確実に回収されたかを報知するポップアップ(52)が表示される。「200円割引券3枚を回収しましたか?」(521)を表示することによって、回収するクーポンの枚数を確実に知らしめることができる。店員は、「はい」を押下することによって、回収するクーポン券の枚数を再度宣言することを促される。
このような表示を行うことによって、適切な枚数のクーポン券が確実に回収されることを担保することができる。
【0061】
<実施形態4>店員操作部及び客側操作部における処理フロー
図7は、店員側操作部231における処理フローを示した図である。
以下に店員側操作部231における処理フローの各ステップについて説明する。
なお、図7のフローにおいて購入商品の登録処理は明記されていないが、購入商品の登録処理は店員によって図7の処理の前後に或いは並行して行われるよう、当業者は設定することができる。
[ステップS702]店員側操作部231は、クーポン券の使用の宣言を受け付ける。
[ステップS703]クーポン券に識別情報がある場合には、入力手段によって識別情報が入力される。識別情報を含むバーコードをスキャナーやCCDカメラなどの読み取り機によって読み取ることによって、店員がキー入力で、上記の情報を入力することを省くことができる。
[ステップS704]店員側操作部により操作がなされた場合には、無条件に精算を許容する設定がなされているか否かがチェックされる。このチェックが肯定的(「はい」)であれば処理は終了する。このチェックが否定的(「いいえ」)であれば処理はステップS705に移る。
[ステップS705]クーポン券に識別情報があれば精算を許容する設定か否かがチェックされる。このチェックが肯定的(「はい」)であれば処理は終了する。このチェックが否定的(「いいえ」)であれば処理はステップS706に移る。[ステップS706]店員側操作部231は、精算処理に移行するのを禁止し、クーポン券が回収されるべき旨の表示を行う。処理はステップS707に移る。
【0062】
[ステップS707]クーポン券の回収が不可能であるか否かが、店員により入力される。この入力の結果が肯定的(「はい」)である場合には、処理は710に進む。この入力の結果が否定的(「いいえ」)である場合には、処理は708に進む。
[ステップS708]店員側操作部231は、店員により、クーポン券が回収された旨の宣言がなされたか否かをチェックする。このチェックが肯定的(「はい」)であれば、処理は、ステップS712に移る。この処理が否定的(「いいえ」)であれば、処理はステップS707に戻る。
[ステップS710]クーポン券が回収されていない場合には、クーポン券の利益を無効化して、割引を行わない計算を実行するように設定する。
[ステップS712]精算処理の禁止の解除がなされる。
以上の処理によって、店員側操作部におけるクーポン券の扱いの処理が終了する。
【0063】
図8は、客側操作部232における処理のフローを示した図である。
以下に客側操作部232における処理フローの各ステップについて説明する。
なお、図8のフローにおいて購入商品の登録処理は明記されていないが、購入商品の登録処理は店員又は顧客によって図8の処理の前後に或いは並行して行われるよう、当業者は設定することができる。店員側操作部において既に購入商品の登録処理が行われている場合には、客による購入商品の登録処理は不要である。
[ステップS802]客側操作部232は、まず、画面にクーポン券の使用を宣言するか否かの表示を行うことで、客に対して、クーポンの使用を宣言するかを問い合わせる。
【0064】
[ステップS804]客によって、クーポンの使用の宣言が行われたか否かをチェックする。このチェックが肯定的(「はい」)であれば、処理は、ステップS806に移る。この処理が否定的(「いいえ」)であれば、処理は終了する。
[ステップS806]クーポン券の使用が宣言された場合には、店員によるクーポン券の回収の宣言を行わせるために店員を呼び出す。処理は、ステップS808に進む。
[ステップS808]クーポン券の情報が入力される。処理は、ステップS809に進む
[ステップS809]クーポン券の回収が不可能であるか否かが、店員により入力される。この入力の結果が肯定的(「はい」)である場合には、処理は812に進む。この入力の結果が否定的(「いいえ」)である場合には、処理は810に進む。
【0065】
[ステップS810]店員によりクーポン券の回収が宣言されたかがチェックされる。このチェックが肯定的(「はい」)であれば、処理は、ステップS816に移る。この処理が否定的(「いいえ」)であれば、処理はステップS809に戻る。
[ステップS812]クーポン券が不可能であり回収されなかったため、クーポン券の利益の無効化が行われる。処理は、ステップS816に進む。
【0066】
[ステップS816]精算処理の禁止の解除がなされる。
以上の処理によって、客側操作部におけるクーポン券の扱いの処理が終了する。
【0067】
<ハードウエア構成>
図9は、図2に示した実施形態の各ハードウエア構成を示した図である。ハードウエア構成は、CPU901、本実施形態のプログラム及びデータが格納されるROM902、RAM903、ネットワークインターフェース905、入力インタフェース906、表示インタフェース907、外部メモリインタフェース908を有する。これらのハードウエアは、バス904によって相互に接続されている。
【0068】
ネットワークインターフェース905は、ネットワーク915に接続されている。ネットワーク915には、有線LAN、無線LAN、インターネット、電話網などがある。入力インタフェース906には、入力部916が接続されている。表示インタフェース907には、表示部917が接続される。外部メモリインタフェース908には、記憶媒体918が接続される。記憶媒体918は、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、メモリーカード等であってもよい。記憶媒体には、本実施形態を実現するプログラムが格納され得る。
【0069】
上述の実施形態を実現するプログラムは、図2に示されるハードウエア構成を備えるコンピュータにより実行され得る。また,実施形態のプログラムは,コンピュータに実行させる方法として,インプリメントされてもよい。本実施形態のプログラムの一部又は全部は、オペレーティングシステムにより実行されてもよい。また、プログラムの一部がハードウエアにより実現されてもよい。プログラムは記憶媒体918、ROM902、又はRAM903に記憶されてもよい。
【0070】
実施形態は,ハードウエアの装置としてインプリメントされ得る。
以上の実施例は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【0071】
客が商品の登録及び精算処理を行うフルセルフモードで客がクーポンを使用する宣言をしたときに、クーポン券を回収する必要があるときは、画面上に「クーポン券を回収ボックスに投入して下さい」などの報知を行なっても良い。尚、回収ボックスの投入口に検知手段を設けることで不正防止を行っても良いし、回収ボックス内で撮像処理やシンボルコードを読み取ることで、クーポン券を照合した結果で、精算の禁止を解除しても良い。クーポン券の回収を促す報知のみを行っても良い。
【符号の説明】
【0072】
30 使用宣言手段
32 回収宣言手段
34 制御手段
301 入力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9