IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イシダの特許一覧

<>
  • 特許-改善判断システム 図1
  • 特許-改善判断システム 図2
  • 特許-改善判断システム 図3
  • 特許-改善判断システム 図4
  • 特許-改善判断システム 図5
  • 特許-改善判断システム 図6
  • 特許-改善判断システム 図7
  • 特許-改善判断システム 図8
  • 特許-改善判断システム 図9
  • 特許-改善判断システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】改善判断システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/62 20060101AFI20240725BHJP
   G01G 19/387 20060101ALI20240725BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20240725BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G01G19/62
G01G19/387 D
B65B57/10 B
B65B57/00 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019220981
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021089251
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良一
(72)【発明者】
【氏名】岸川 樹
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-229611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0047760(US,A1)
【文献】特開2018-017538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/00-19/64
G01G 11/00-11/20
G01G 23/01
B65B 57/10
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量装置から排出された計量物の重量を検査する重量検査装置と、
前記重量検査装置の検査結果として、基準となる所定重量に対する、正量、過量、及び軽量に基づいて、前記計量装置の改善に関する判断を行う判断部と、
を備え、
前記判断部は、軽量の前記検査結果、及び、これに時間的に連続する少なくとも1つの前記検査結果の判定パターンであって、
軽量の前記検査結果の後に連続する前記検査結果が過量の場合である第1の判定パターン、
軽量の前記検査結果の後に所定回数連続する前記検査結果が全て正量である第2の判定パターン、
及び軽量の前記検査結果の後に連続する前記検査結果が正量でありかつ正量の前記検査結果後の所定回数以内の前記検査結果が過量である第3のパターンに、基づいて前記判断を行う、改善判断システム。
【請求項2】
前記判断を報知する報知部をさらに備える、
請求項1に記載の改善判断システム。
【請求項3】
前記計量物を包装する包装装置をさらに備え、
前記判断部は、前記計量装置及び前記包装装置に関する改善に関する判断を行う、
請求項1または2に記載の改善判断システム。
【請求項4】
前記計量装置は、計量される物品を貯留するホッパを含み、
前記判断部は、前記ホッパの改善に関する前記判断を行う、
請求項1~3のいずれか1項に記載の改善判断システム。
【請求項5】
前記ホッパは、前記計量物を排出するタイミングホッパを有する、
請求項4に記載の改善判断システム。
【請求項6】
前記計量装置は、前記物品を前記タイミングホッパに送るシュートをさらに含み、
前記計量物を包装する包装装置をさらに備え、
前記判断部は、軽量の前記検査結果の後に連続する前記検査結果が過量の場合には、前記タイミングホッパへの前記物品の残留、前記シュートでの前記物品の排出の遅れ、または前記包装装置での前記計量物の詰まりを改善すると判断する、
請求項5に記載の改善判断システム。
【請求項7】
前記ホッパは、前記物品を計量する計量ホッパを有し、
前記判断部は、軽量の前記検査結果の後に所定回数連続する前記検査結果が全て正量の場合には、前記計量ホッパへの前記物品の残留を改善すると判断する、
請求項4~6のいずれか1項に記載の改善判断システム。
【請求項8】
前記ホッパは、前記物品を保持するブースタホッパを有し、
前記判断部は、軽量の前記検査結果の後に連続する前記検査結果が正量であり、かつ正量の前記検査結果後の所定回数以内の前記検査結果が過量の場合には、前記ブースタホッパへの前記物品の残留を改善すると判断する、
請求項4~7のいずれか1項に記載の改善判断システム。
【請求項9】
前記計量装置及び前記重量検査装置と通信する通信部をさらに備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の改善判断システム。
【請求項10】
前記重量検査装置は、機械学習により前記判定パターンを学習し、前記判定パターンによる判定結果を蓄積する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の改善判断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善判断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許4312868号)に開示されているように、計量装置から排出された計量物が包装装置によって包装され、包装後の商品の重量が重量チェッカーによってチェックされる、包装計量システムが知られている。特許文献1には、前回チェックされた商品の過不足量と今回チェックされた商品の過不足量とが補完関係にある場合には、袋をシールするタイミングがずれていると判別してこれを報知することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1には、商品の不足が所定回数以上連続した場合には、ブリッジによる詰まりが発生したとして、包装動作を停止させることがさらに開示されている。この場合、商品の生産が停止するダウンタイムが長くなる。
【0004】
本発明の課題は、ダウンタイム短縮を可能にする改善判断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る改善判断システムは、重量検査装置と、判断部と、を備える。重量検査装置は、計量装置から排出された計量物の重量を検査する。判断部は、重量検査装置の検査結果として、基準となる所定重量に対する、正量、過量、及び軽量に基づいて、計量装置の改善に関する判断を行う。判断部は、軽量の検査結果、及び、これに連続する少なくとも1つの検査結果の判定パターンに基づいて判断を行う。
【0006】
本発明者は、軽量という検査結果をトリガにして、これに連続する少なくとも1つの検査結果に着目することによって、計量装置の改善に関する判断ができることを見出した。第1観点の改善判断システムでは、判断部は、軽量という検査結果、及び、これに連続する少なくとも1つの検査結果の判定パターンに基づいて、計量装置の改善に関する判断を行っている。この判断に基づいて、計量装置の改善を実施することにより、商品の生産を停止させる頻度を低減できる。したがって、改善判断システムは、ダウンタイム短縮を可能にすることができる。
【0007】
第2観点に係る改善判断システムは、第1観点に係る改善判断システムであって、判断を報知する報知部をさらに備える。
【0008】
第2観点の改善判断システムでは、報知部により早期に判断を知ることができるので、早期に計量装置の改善を実施することができる。このため、ダウンタイムをより短縮することができる。
【0009】
第3観点に係る改善判断システムは、第1観点または第2観点に係る改善判断システムであって、計量物を包装する包装装置をさらに備える。判断部は、計量装置及び包装装置に関する改善に関する判断を行う。
【0010】
第3観点の改善判断システムでは、包装装置をさらに備えていても、計量装置及び包装装置に関する改善に関する判断を行うことができる。
【0011】
第4観点に係る改善判断システムは、第1観点から第3観点に係る改善判断システムであって、計量装置は、計量される物品を貯留するホッパを含む。判断部は、ホッパの改善に関する判断を行う。
【0012】
第4観点の改善判断システムでは、ホッパの開閉のタイミング、ホッパへの物品の残留等の不具合を改善することができる。
【0013】
第5観点に係る改善判断システムは、第4観点に係る改善判断システムであって、ホッパは、計量物を排出するタイミングホッパを有する。
【0014】
第5観点の改善判断システムでは、タイミングホッパの改善に関する判断を行うので、タイミングホッパの不具合を改善することができる。
【0015】
第6観点に係る改善判断システムは、第5観点に係る改善判断システムであって、計量装置は、物品をタイミングホッパに送るシュートをさらに含む。改善判断システムは、計量物を包装する包装装置をさらに備える。判断部は、軽量の検査結果の後に連続する検査結果が過量の場合には、タイミングホッパへの物品の残留、シュートでの物品の排出の遅れ、または包装装置での計量物の詰まりを改善すべきと判断する。
【0016】
第6観点の改善判断システムでは、軽量の次に過量の検査結果の場合には、判断部は、改善箇所として、タイミングホッパに物品が残留している、シュートで物品の排出が遅れている、または包装装置で計量物が詰まっている、という判断を行う。このため、タイミングホッパ、シュート、または包装装置の改善を早期に実施することにより、ダウンタイムをより短縮することができる。
【0017】
第7観点に係る改善判断システムは、第4観点から第6観点に係る改善判断システムであって、ホッパは、物品を計量する計量ホッパを有する。判断部は、軽量の検査結果の後に所定回数連続する検査結果が全て正量の場合には、計量ホッパへの物品の残留を改善すべきと判断する。
【0018】
第7観点の改善判断システムでは、軽量の次に正量の場合であって、正量が所定回数連続すると、判断部は、改善箇所として、計量ホッパに物品が残留しているという判断を行う。このため、早期に計量ホッパの改善を実施することにより、ダウンタイムをより短縮することができる。
【0019】
第8観点に係る改善判断システムは、第4観点から第7観点に係る改善判断システムであって、ホッパは、物品を保持するブースタホッパを有する。判断部は、軽量の検査結果の後に連続する検査結果が正量であり、かつ正量の検査結果後の所定回数以内の検査結果が過量の場合には、ブースタホッパへの物品の残留を改善すべきと判断する。
【0020】
第8観点の改善判断システムでは、軽量の次に正量の場合であって、その後所定回数以内に過量となると、判断部は、改善箇所として、ブースタホッパへの物品が残留しているという判断を行う。このため、早期にブースタホッパの改善を実施することにより、ダウンタイムをより短縮することができる。
【0021】
第9観点に係る改善判断システムは、第1観点から第8観点に係る改善判断システムであって、計量装置及び重量検査装置と通信する通信部をさらに備える。
【0022】
第9観点の改善判断システムでは、通信部により、判断部の判断を計量装置に送信することができる。このため、計量装置が改善に関する判断を報知することができる。
【0023】
第10観点に係る改善判断システムは、第1観点から第9観点に係る改善判断システムであって、重量検査装置は、機械学習により判定パターンを学習し、判定パターンによる判定結果を蓄積する。
【0024】
第10観点の改善判断システムでは、種々の判定パターンを学習することにより、計量装置の改善に関する判断を早期に行うことができる。このため、ダウンタイムをより短縮することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ダウンタイム短縮を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態の計量包装検査システムの全体を示す模式図である。
図2】実施形態の改善判断システムのブロック図である。
図3】実施形態の計量装置の断面を示す模式図である。
図4】実施形態の包装装置の斜視図である。
図5】実施形態の重量検査装置の正面を示す模式図である。
図6】重量検査装置の検査結果の一例である。
図7】重量検査装置の検査結果の一例である。
図8】重量検査装置の検査結果の一例である。
図9】実施形態の改善判断方法を示すフローチャートである。
図10】変形例の改善判断システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係る改善判断システム100について、以下に説明する。
【0028】
(1)全体概要
図1に示すように、改善判断システム100は、計量装置1の改善に関する判断を行うシステムである。本実施形態の改善判断システム100は、図1に示すように、計量装置1と、包装装置2と、重量検査装置3と、シール検査装置4と、図2に示すように、記憶部5と、判断部6と、報知部7と、を備えている。
【0029】
図1に示す計量装置1、包装装置2、重量検査装置3、及びシール検査装置4は、物品を計量、包装、及び検査する計量包装検査システムを構成する。計量包装検査システムにおいて、計量される物品は、計量装置1に供給される。計量装置1に供給された物品は、所定重量ずつに分けられた後、計量物として計量装置1から排出され、包装装置2に送り出される。包装装置2では、計量物が所定重量単位で袋詰めされる。袋に充填された計量物(以下、包装体とも言う)は、ベルトコンベアに載せられて重量検査装置3及びシール検査装置4を順に通過する。通過時、包装体は、重量及びシール状態についての検査を受ける。重量検査装置3及びシール検査装置4による検査結果は、下流側の振分機構(図示されない)に送られる。そして、この振分機構は、検査結果に基づいて、良品を正規のラインコンベア(図示されない)に、不良品を不良品回収コンベア(図示されない)に振り分ける。
【0030】
図2に示す記憶部5及び判断部6は、計量包装検査システムに利用される制御装置Cを構成する。記憶部5及び判断部6は、制御装置Cに含まれる。制御装置C、計量装置1、包装装置2、重量検査装置3及びシール検査装置4の制御部は、コンピュータにより実現されるものである。制御部は、制御演算装置と記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)といったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0031】
報知部7は、計量包装検査システムの生産ラインに設けられた監視画面に設けられる。
【0032】
(2)詳細構成
(2-1)計量装置
図3に示すように、計量装置1は、搬送ユニット9から供給される物品を目標計量値となるように計量して、計量物を包装装置2に供給する。物品は、例えば農産物、水産物、加工食品等のように、単体質量にばらつきのある物品である。
【0033】
本実施形態の計量装置1は、組み合わせ計量装置であって、計量される物品を貯留するホッパを含む。具体的には、計量装置1は、分散テーブル11と、供給フィーダ12と、プールホッパPHと、計量ホッパWHと、ブースタホッパBHと、シュート13と、タイミングホッパTHと、を含む。
【0034】
分散テーブル11は、円錐形状を有しており、回転可能に構成される。搬送ユニット9から分散テーブル11上に落下した物品は、回転によって分散テーブル11上を周方向に分散しながら径方向に移動し、分散テーブル11の周囲に配置された供給フィーダ12上へ落下する。
【0035】
供給フィーダ12は、電磁加振装置(図示されない)によって振動される。供給フィーダ12は、分散テーブル11から供給される物品を受け取り、受け取った物品を振動によって外側へ移動させて下流側のプールホッパPHに落下させる。
【0036】
プールホッパPHは、供給フィーダ12から物品を受け取って一時的に貯留する。各プールホッパPHは、本体フレーム14に固定されている支持部材(図示されない)によって支持されている。各プールホッパPHの下方には、当該プールホッパPHの下部の排出口を開閉するゲート15が設けられている。各ゲート15の開閉のタイミングは、コントローラ(図示されない)によって制御されている。ゲート15が開くと、プールホッパPH内に貯留されている物品は、下流側の計量ホッパWHに落下する。
【0037】
計量ホッパWHは、物品を計量する。詳細には、計量ホッパWHは、ゲート15の真下に配置されており、プールホッパPHから物品を受け取って一時的に貯留する。各計量ホッパWHは、本体フレーム14に固定されている支持部材(図示されない)によって支持されている。計量ホッパWH内の商品は、ロードセル16によって重量が計量される。各計量ホッパWHの下方には、当該計量ホッパWHの下部の排出口を開閉する第1ゲート17及び第2ゲート18が設けられている。各ゲート17、18の開閉のタイミングは、コントローラ(図示されない)によって制御されている。第1ゲート17が開くと、計量ホッパWH内に貯留されている物品は、下流側のシュート13内へと落下する。第2ゲート18が開くと、計量ホッパWH内に貯留されている物品は、下流側のブースタホッパBH内へと落下する。
【0038】
各ロードセル16は、当該ロードセル16に対応する計量ホッパWH内に貯留された状態の商品を計量する。なお、各ロードセル16は、当該ロードセル16に対応する計量ホッパWHの内側に配置されている。
【0039】
ブースタホッパBHは、物品を保持する。詳細には、ブースタホッパBHは、第2ゲート18の真下に配置されており、計量ホッパWHから計量後の物品を受け取って一時的に貯留する。各ブースタホッパBHは、本体フレーム14に固定されている支持部材(図示されない)によって支持されている。各ブースタホッパBHの下方には、当該ブースタホッパBHの下部の排出口を開閉するゲート19が設けられている。各ゲート19の開閉のタイミングは、コントローラ(図示されない)によって制御されている。ゲート19が開くと、ブースタホッパBH内に貯留されている物品は、下流側のシュート13内へと落下する。
【0040】
シュート13は、下方に向かって先細りの円錐台の内側表面を有する筒状に形成されている。シュート13は、内側表面が全ての計量ホッパWH及び全てのブースタホッパBHの下方に位置するように配置される。シュート13の内側表面は、計量ホッパWHまたはブースタホッパBH内から排出される物品を受け取り、包装装置2に案内する面である。
【0041】
タイミングホッパTHは、シュート13の下方に配置される。タイミングホッパTHは、計量物を排出する。詳細には、タイミングホッパTHの下方には、当該タイミングホッパTHの下部の排出口を開閉するゲート20が設けられている。ゲート120の開閉のタイミングは、コントローラ(図示されない)によって制御されている。タイミングホッパTHは、ゲート20を閉じた状態で、シュート13から排出された計量物を一時的に貯留し、ゲート20を開くことで、一時的に貯留した計量物を包装装置2に排出する。
【0042】
(2-2)包装装置
包装装置2は、計量装置1で計量された計量物を包装する。詳細には、包装装置2は、計量装置1から所定重量ずつ送られてくる計量物を袋詰めする。図4に示すように、包装装置2は、フィルム供給機構(図示されない)と、成形機構22と、搬送機構23と、縦シール機構24と、横シール機構25とを含む。
【0043】
フィルム供給機構には、フィルムFが巻かれたフィルムロールがセットされる。成形機構22は、フィルム供給機構から送られてくるシート状のフィルムFを筒状に成形する。成形機構22は、チューブ(筒状部)22aと、フォーマ22bとを有している。
【0044】
チューブ22aは、上下端が開口する筒状の部材であり、縦方向に延びている。チューブ22aは、ブラケット(図示しない)を介してフォーマ22bに固定されている。チューブ22aの上端の開口部には、計量装置1から所定重量ずつ落下してくる計量物が投入される。すなわち、計量物が、チューブ22aの内部を通り抜けるように構成されている。
【0045】
フォーマ22bは、チューブ22aの上部付近にチューブ22aを取り囲むように配置されている。このフォーマ22bの形状は、フィルム供給機構から送られてくるシート状のフィルムFがフォーマ22bとチューブ22aとの隙間を通るときに筒状に成形されるような形状とされている。すなわち、シート状のフィルムFは、当該隙間を通り抜ける際にチューブ22aの外側表面に巻きつけられ、筒状に成形される。
【0046】
搬送機構23は、成形機構22によって筒状に成形されたフィルムF(以下、筒状フィルムFcと言う)を下方に搬送する。搬送機構23は、一対のプルダウンベルト26、27を有している。プルダウンベルト26、27は、縦方向に延びるチューブ22aを基準として左右対称に縦方向に延びるように配置されている。プルダウンベルト26、27は、チューブ22aに巻きつけられた状態の筒状フィルムFcに当接し、筒状フィルムFcを吸着しながら下方に搬送する役割を果たす。
【0047】
縦シール機構24は、筒状フィルムFcの重なり部分を縦方向にシールする。縦シール機構24は、チューブ22aに沿って縦方向に延びるように配置されている。縦シール機構24は、チューブ22aに巻きつけられている筒状フィルムFcの縦方向に延びる重なり部分を、一定の加圧力でチューブ22aの側面に押しつけながら熱シールする。縦シール機構24は、ヒータと、ヒータにより加熱されるヒータベルトとを有している。
【0048】
横シール機構25は、筒状フィルムFcの袋の上下端となる部分を横方向にシールすることで袋を封止する。横シール機構25は、チューブ22aの下方に配置されている。横シール機構25は、左右一対のシールジョー25aを有している。
【0049】
シールジョー25aは、内部にヒータを有している。このヒータによってシールジョー25aのシール面(横シール時に対向する面)が加熱され、シールジョー25aによって挟み込まれた筒状フィルムFcが横方向に熱シールされる。シールジョー25aは、アーム部材(図示されない)を介して回転軸(図示されない)に連結されており、当該回転軸の周りを旋回する。当該回転軸は、シールジョー25aを旋回させるとともに、互いに近接したり離反したりするように水平移動をし、シールジョー25aに適当なタイミングで筒状フィルムFcを挟み込む動作を行わせる。
【0050】
(2-3)重量検査装置
図1及び図5に示す重量検査装置3は、計量装置1から排出された計量物の重量を検査する。ここでは、重量検査装置3は、包装装置2から排出された計量物の重量を検査している。重量検査装置3は、良品と判定された計量物のみを選択して、下流側に配置されたシール検査装置4へ搬送する。重量検査装置3は、図5に示す計量コンベア31と、ロードセル(図示されない)と、筐体32と、脚部33と、表示部34と、図2に示す通信部35を含む。
【0051】
計量コンベア31は、計量物Mを下流に搬送する。計量コンベア31は、モータ(図示されない)と、ローラ31aと、ベルト31bとを有する。モータは、駆動源である。
【0052】
一対のローラ31aは、水平方向の両端に、回転自在に配置されている。一方のローラ31aがモータにより駆動されると、他方のローラ31aは従動する。
【0053】
ベルト31bは、一対のローラ31aの間に巻き掛けられている。ここでは、ベルト31bは、平ベルトである。ベルト31bは、モータによりローラ31aが駆動されることで、ベルト31b上に載置された計量物Mを水平方向前方(図5の矢印の方向)に搬送する。
【0054】
なお、重量検査装置3は、計量コンベア31の搬送方向の上下流に配置される別のコンベアをさらに含んでもよい。
【0055】
ロードセルは、計量コンベア31で搬送される計量物Mの重量によって生じる歪みの変化を検出して、計量物Mの重量を計測する。
【0056】
筐体32は、一対の脚部33によって支持されており、計量コンベア31及びロードセルを収容する。
【0057】
表示部34は、計量物Mの重量を検査した結果を表示する。表示部34は、検査した結果を視覚にて認識できるように表示する。例えば、表示部34は、計量物Mの重量の値、基準となる所定重量などを表示する。なお、表示部34は、後述する正量、過量及び軽量の検査結果を表示してもよい。
【0058】
図2に示す通信部35は、判断部6を含む制御装置Cと通信する。ここでは、通信部35は、重量検査装置3の検査結果を、後述する記憶部5に送信する。
【0059】
重量検査装置3は、判定部(図示されない)をさらに含む。判定部は、検査結果として、基準となる所定重量に対する、正量、過量、及び軽量を判定する。基準となる所定重量は、任意に設定される。所定重量は、予め設定される重量であってもよく、計量装置1で測定された重量に基づいてもよい。後者の場合、例えば、計量装置1から排出した計量物の重量を中心として任意の範囲を設定する。所定重量は、重量検査装置3で良品と判定される重量である。そして、重量検査装置3で測定した計量物Mの重量と、所定重量とを比較する。正量は、所定重量の範囲内の重量である。過量は、所定重量を超える重量である。軽量は、所定重量未満の重量である。
【0060】
例えば、図6図8に示す例では、基準となる所定重量を100以上106以下とし、重量検査装置3で検査された重量値が100以上106以下を正量とし、106を超えると過量とし、100未満を軽量としている。
【0061】
(2-4)シール検査装置
図1に示すように、シール検査装置4は、計量物が充填された袋のシール不良を検査する。ここでは、シール検査装置4は、包装装置2で計量物を包装した包装体が密封されているか否かを検査する。
【0062】
シール検査装置4は、搬送部41と、押さえ具42と、平行運動機構43と、回転角検出器(図示されない)を含む。搬送部41は、包装された計量物を搬送する。押さえ具42は、計量物を上から押さえる。平行運動機構43は、押さえ具42を平行運動させる。平行運動機構43は、押さえ具42と接合されたリンクを有する。押さえ具42は、所定の角度の範囲内において平行運動機構43に回転自在に取り付けられている。押さえ具42は、計量物が進入すると、斜め上方に持ち上がり、自重によって計量物の袋を押さえ付ける。
【0063】
回転角検出器は、平行運動機構43の回転中心に設けられ、例えばロータリーエンコーダである。回転角検出器は、平行運動機構43の回転角を検出する。シール検査装置4の制御部は、検出された回転角が基準となる回転角よりも小さい場合には、シールが不良であると判断する。
【0064】
(2-5)記憶部
図2に示す記憶部5は、重量検査装置3の検査結果を記憶する。詳細には、重量検査装置3で検査される連続する計量物の検査結果を、検査した順序とともに記憶する。記憶部5が記憶する検査結果の一例を図6図8に示す。
【0065】
また、記憶部5は、後述する判定パターンをさらに記憶する。判定パターンは、上書きが可能である。
【0066】
(2-5)判断部
図2に示す判断部6は、重量検査装置3の検査結果として、基準となる所定重量に対する、正量、過量、及び軽量に基づいて、計量装置1の改善に関する判断を行う。本実施形態では、判断部6は、重量検査装置3の検査結果としての正量、過量、及び軽量に基づいて、計量装置1及び包装装置2の改善に関する判断を行う。そして、判断部6は、軽量の検査結果、及び、これに連続する少なくとも1つの検査結果の判定パターンに基づいて判断を行う。すなわち、判断部6は、軽量の検査結果をトリガとして、これに連続する1以上の検査結果から、計量装置1及び包装装置2を構成する部材の改善を解析する。
【0067】
なお、計量装置1の改善に関する判断とは、例えば、計量装置1の改善箇所の特定である。包装装置2の改善に関する判断とは、例えば、包装装置2の改善箇所の特定である。改善は、ユーザが実施してもよく、改善判断システム100が実施してもよい。
【0068】
ここでは、計量装置1は計量される物品を貯留するホッパを含むので、判断部6は、ホッパの改善に関する判断を行う。計量装置1は物品をタイミングホッパTHに送るシュート13をさらに含むので、判断部6は、シュート13の改善に関する判断を行う。
【0069】
ここで、判定パターンについて例を挙げて説明する。「軽量」の検査結果の後に連続する検査結果が「過量」の場合を第1の判定パターンとする。第1の判定パターンとして、連続する「軽量」及び「過量」の平均値が正量である場合が典型的であり、「軽量」及び「過量」が交互に連続する場合がより典型的である。具体的には、図6に示すように、第1の判定パターンでは、「軽量」の検査結果のサンプルNo.2の後に連続する検査結果のサンプルNo.3が「過量」である。
【0070】
「軽量」の検査結果の後に所定回数連続する検査結果が全て「正量」の場合を第2の判定パターンとする。所定回数は、任意に設定されるが、典型的には2回以上である。具体的には、図7に示すように、第2の判定パターンでは、「軽量」の検査結果のサンプルNo.2の後に連続する検査結果のサンプルNo.3及びNo.4が「正量」である。
【0071】
「軽量」の検査結果の後に連続する検査結果が「正量」であり、かつ「正量」の検査結果後の所定回数以内の検査結果が「過量」の場合を第3の判定パターンとする。所定回数は、1回以上である。第3の判定パターンとして、「軽量」、及び「正量」後の最初の「過量」の平均値が正量である場合が典型的である。具体的には、図8に示すように、第3の判定パターンでは、「軽量」の検査結果のサンプルNo.2の後に連続する検査結果のサンプルNo.3の検査結果は「正量」であり、No.3に連続するサンプルNo.4の検査結果は「過量」である。またサンプルNo.2の「軽量」とサンプルNo.4の「過量」との平均値が正量である。
【0072】
軽量の検査結果が発生すると、その旨が判断部6に通知される。判断部6は、軽量の検査結果を取得すると、これに連続する少なくとも1つの検査結果をさらに取得する。そして、記憶部5から判定パターンを読みだして、取得した連続する検査結果がどの判定パターンに該当するかを判断する。
【0073】
具体的には、「軽量」の検査結果の後に連続する検査結果が「過量」(第1の判定パターン)の場合、判断部6は、タイミングホッパTHへの物品の残留、シュート13での物品の排出の遅れ、または包装装置2での計量物の詰まりを改善すると判断する。具体的には、判断部6は、図6のサンプルNo.2の「軽量」の検査結果を取得すると、これに連続するサンプルNo.3の検査結果も取得する。2つの連続する検査結果を取得した判断部6は、判定パターンの中から検査結果に該当する第1の判定パターンを抽出する。これにより、判断部6は、タイミングホッパへTWの物品の残留、シュート13での物品の排出の遅れ、または包装装置2での計量物の詰まりを改善すると判断する。
【0074】
また、「軽量」の検査結果に所定回数連続する検査結果が全て「正量」(第2の判定パターン)の場合には、計量ホッパWHへの物品の残留を改善すると判断する。具体的には、判断部6は、図7のサンプルNo.2の「軽量」の検査結果を取得すると、これに連続するサンプルNo.3及びNo.4の検査結果も取得する。3つの連続する検査結果を取得した判断部6は、判定パターンの中から検査結果に該当する第2の判定パターンを抽出する。これにより、判断部6は、計量ホッパWHへの物品の残留を改善すると判断する。
【0075】
また、「軽量」の検査結果に連続する検査結果が「正量」であり、かつ「正量」の検査結果後の所定回数以内の検査結果が「過量」の場合には、判断部6は、ブースタホッパBHへの物品の残留を改善すると判断する。具体的には、判断部6は、図8のサンプルNo.2の「軽量」の検査結果を取得すると、これに連続するサンプルNo.3及びNo.4の検査結果も取得する。3つの連続する検査結果を取得した判断部6は、判定パターンの中から検査結果に該当する第3の判定パターンを抽出する。これにより、判断部6は、ブースタホッパBHへの物品の残留を改善すると判断する。
【0076】
ここでは、判定パターンは、過去の検査結果及び改善に基づき機械学習されてなる。すなわち、機械学習により判定パターンを学習し、判定パターンによる判定結果を蓄積する。本実施形態では、制御装置Cは、機械学習により判定パターンを学習し、判定パターンによる判定結果を蓄積する。
【0077】
(2-6)報知部
図2に示す報知部7は、判断部6の判断を報知する。報知部7は、重量検査装置3に設けられてもよいが、ここでは、計量包装検査システムの生産ラインの監視画面に設けられている。
【0078】
判断部6は、判断部6において行った判断を報知部に送信する。判断を受信した報知部7は、その判断を報知する。ここでは、報知部7は、計量装置1及び包装装置2のうち、改善する箇所を報知する。
【0079】
例えば、図6のような第1の判定パターンの場合には、報知部7は、「タイミングホッパTHへの物品の残留がないか確認して下さい」、「シュート13での物品の排出の遅れがないか確認して下さい」、及び「包装装置2での計量物の詰まりがないか確認して下さい」の少なくとも1つを報知する。図7のような第2の判定パターンの場合には、報知部7は、「計量ホッパWHへの物品の残留がないか確認して下さい」と報知する。図8に示すような第3の判定パターンの場合には、報知部7は、「ブースタホッパBHへの物品の残留がないか確認して下さい」と報知する。
【0080】
(3)計量包装検査システムの動作
(3-1)計量装置の動作
まず、図3に示すように、計量装置1の搬送ユニット9から分散テーブル11上へと、順次適量の物品が投入される。分散テーブル11上に投入された物品は、分散テーブル11の回転によって分散テーブル11上を移動し、分散テーブル11の周囲に円形に配置された供給フィーダ12上に落下する。供給フィーダ12上に落下した物品は、供給フィーダ12の振動によって供給フィーダ12上を移動し、供給フィーダ12の周囲に円形に配置されたプールホッパPH内に落下する。このとき、ゲート15は閉じられた状態にあり、物品はプールホッパPH内に貯留される。
【0081】
そして、各ゲート15は、当該ゲート15の下方に配置された計量ホッパWH内に物品が貯留されていない場合に開くように制御される。これにより、プールホッパPH内に貯留されていた物品が、当該プールホッパPHの下流側の計量ホッパWH内へと排出される。このとき、ゲート17、18はともに閉じられた状態にあり、物品は計量ホッパWH内に貯留される。ロードセル16は、当該ロードセル16に対応する計量ホッパWH内に物品が貯留されているタイミングで測定を行う。
【0082】
各第2ゲート18は、当該ゲート18の下方に配置されたブースタホッパBH内に物品が貯留されていない場合に開くように制御される。これにより、計量ホッパWH内に貯留されていた物品が、当該計量ホッパWHの下流側のブースタホッパBH内へと排出される。このとき、ゲート19は閉じられた状態にあり、物品がブースタホッパBH内に貯留される。
【0083】
そして、物品をブースタホッパBH内に排出したことにより空になった計量ホッパWH内には、その上流のプールホッパPHから新たな物品が投入される。計量ホッパWH内に新たに投入された物品の重量も、ロードセル16によって測定される。
【0084】
なお、組合せ演算処理が実行されて、複数のホッパWH、BHの中から数個のホッパWH、BHが選択される。組合せ演算処理とは、各計量ホッパWH内及び各ブースタホッパBH内に貯留されている物品の重量値を組合せて合算し、その合算重量値が所定範囲内に収まるような物品の組合せを求めることを言う。組合せ演算処理によって数個のホッパWH、BHが選択されると、選択されたホッパWH、BHの排出口を開閉するゲート17、19が開くように制御され、当該ホッパWH、BH内に貯留されていた物品がシュート13内へと排出される。そして、物品をシュート13内に排出したことにより空になったホッパWH、BH内には、順次その上流のホッパPH、WHから新たな物品が補充される。
【0085】
シュート13内を滑り落ちながら集合した物品は、タイミングホッパTH内に排出される。このとき、ゲート20は閉じられた状態にあり、物品がタイミングホッパTH内に貯留される。ゲート20は、当該ゲート20の下方に配置された包装装置2に供給するタイミングに応じて開くように制御される。これにより、タイミングホッパTH内に貯留されていた物品が、計量装置1の後段の包装装置2へ搬送される。
【0086】
(3-2)包装装置の動作
図4に示すように、搬送機構23が駆動され、フィルム供給機構のフィルムロールからフィルムFが巻き出されて成形機構22へと導かれる。成形機構22では、フィルムロールから巻き出されたシート状のフィルムFがフォーマ22bの表面に沿って進み、フォーマ22bとチューブ22aとの隙間を通るときに筒状のチューブ22aの外側表面に巻きつけられて筒状フィルムFcとなる。その後も、筒状フィルムFcは、その内側表面がチューブ22aの外側表面に沿うようにして下方へと搬送される。このとき、縦シール機構24は、筒状フィルムFcの縦シールされるべき重なり部分に熱シールを施す。
【0087】
続いて、筒状フィルムFcは、チューブ22aを抜けて横シール機構25へと降りていく。横シール機構25においては、筒状フィルムFcの袋の下端部となる部分に横方向に熱シールが施される。このとき、物品の固まりが計量装置1からチューブ22a内を通り抜けて落下し、筒状フィルムFc内に溜められる。そして、物品が内部に充填されている状態において筒状フィルムFcの袋の上端部となる部分に横方向に熱シールが施され、その後、シールジョー25aの一方に内蔵されているカッター(図示されない)によってこの熱シール部分が横方向に切断される。これにより、先行する包装体と後続の包装体とが切り離される。切り離された包装体は、後段のベルトコンベア上に落下する。
【0088】
(3-3)重量検査装置の動作
ベルトコンベア上に落下した計量物は、図1及び図5に示す重量検査装置3の計量コンベア31に搬送される。重量検査装置3では、計量コンベア31上に位置する計量物の重量をロードセルによって計測する。
【0089】
(3-4)シール検査装置の動作
重量検査装置3で計量物の重量が計測された計量物は、図1に示すシール検査装置4の搬送部41に搬送される。シール検査装置4では、押さえ具42が平行運動機構43により回転されることで、包装された計量物を上から押さえる。このとき、回転角検出器により、平行運動機構43(リンク)の回転角が検出される。検出された回転角が基準となる回転角以上である場合には、シールが良好であると判断されて、商品として搬送される。検出された回転角が基準となる回転角よりも小さい場合には、シールが不良であると判断されて、生産ラインから取り除かれる。
【0090】
(4)改善判断方法
次に、図1図9を参照して、本実施形態の改善判断方法について説明する。
【0091】
図5及び図9に示すように、重量検査装置3で、計量装置1から排出された計量物の重量を検査する(ステップS1)。このステップS1では、重量検査装置3の検査結果として、正量、過量、及び軽量が出力される。
【0092】
次に、検査結果が正量か否かを検出する(ステップS2)。このステップS2において、検査結果が正量であれば、計量装置1及び包装装置2は正常に動作しているので、重量検査装置3での検査を続行する。
【0093】
一方、ステップS2において検査結果が正量でない場合、すなわち軽量または過量である場合には、計量装置1及び包装装置2の少なくとも一方には改善箇所がある。このため、判断部6により、正量、過量、及び軽量に基づいて、計量装置1及び包装装置2の改善に関する判断を行う(ステップS3)。ステップS3では、判断部6により、軽量の検査結果、及び、これに連続する少なくとも1つの検査結果の判定パターンに基づいて判断を行う。
【0094】
具体的には、軽量の検査結果が生じると、これに連続する少なくとも1つの検査結果が判断部6に送信される。これに伴い、判断部6によって、記憶部5から判定パターンを読み出す。図6に示すように、「軽量」の次に「過量」の検査結果の場合には、判断部6によって、改善箇所として、タイミングホッパTHに物品が残留している、シュート13で物品の排出が遅れている、または包装装置2で計量物が詰まっている、という判断が行われる。図7に示すように、「軽量」の次に「正量」の場合であって、「正量」が所定回数連続すると、判断部6によって、改善箇所とて、計量ホッパWHに物品が残留しているという判断が行われる。図8に示すように、「軽量」の次に「正量」の場合であって、その後所定回数以内に「過量」となると、判断部6によって、改善箇所として、ブースタホッパBHへの物品が残留しているという判断が行われる。
【0095】
次に、報知部7によって、判断部6の判断が報知される(ステップS4)。報知部7によりユーザは、計量装置1及び包装装置2の改善に関する判断を知ることができる。
【0096】
計量ホッパWHまたはタイミングホッパTHに物品が残留していることが報知されると、例えばゲート17、18、20の開閉のタイミングを変更する。シュート13で物品の排出が遅れていることが報知されると、例えばシュート13の角度を変更する。包装装置2で計量物が詰まっていることが報知されると、袋をシールするタイミング、計量装置1との連動タイミングなどを変更する。これらの変更を実施することで、正量の検査結果が連続すれば、改善が解消したと判断できる。なお、これらの変更(改善)は、ユーザが実施してもよく、改善判断システム100の制御部が実施してもよい。
【0097】
(5)特徴
(5-1)
本実施形態の改善判断システム100は、重量検査装置3と、判断部6と、を備える。重量検査装置3は、計量装置1から排出された計量物の重量を検査する。判断部6は、重量検査装置3の検査結果として、基準となる所定重量に対する、正量、過量、及び軽量に基づいて、計量装置1の改善に関する判断を行う。判断部6は、軽量の検査結果、及び、これに連続する少なくとも1つの検査結果の判定パターンに基づいて判断を行う。
【0098】
本発明者は、軽量という検査結果をトリガにして、これに連続する少なくとも1つの検査結果に着目することによって、計量装置1を構成する部材の改善を解析できることを見出した。本実施形態では、判断部6は、軽量という検査結果、及び、これに連続する少なくとも1つの検査結果の判定パターンに基づいて、計量装置1の改善に関する判断を行っている。この判断に基づいて、計量装置1の改善を実施することにより、計量装置1における物品の噛み込みなどによる清掃を省略することで、商品の生産を停止させる頻度を低減できる。したがって、ダウンタイム短縮を可能にすることができる。
【0099】
(5-2)
本実施形態では、判断部6は、軽量の検査結果、及び、これに連続する少なくとも1つの検査結果の判定パターンに基づいて、計量装置1及び包装装置2に関する改善に関する判断を行う。
【0100】
ここでは、包装装置2をさらに備えていても、重量検査装置3の上流に位置する計量装置1及び包装装置2に関する改善に関する判断を行うことができる。このため、包装装置2での袋をシールするタイミングの不良、計量装置1と包装装置2との連動タイミングの不良などの改善を早期に実施することができる。
【0101】
(5-3)
本発明者は、軽量という検査結果をトリガにして、これに連続する検査結果が正量である判定パターン(第2及び第3の判定パターン)にも着目した。そして、「軽量」の次に「過量」の検査結果(第1の判定パターン)と、「軽量」の次に「正量」の検査結果(第2及び第3の判定パターン)とは、改善箇所が異なることを本発明者は見出した。詳細には、「軽量」の次に「過量」の検査結果の場合(第1の判定パターン)には、判断部6は、例えば、包装装置2での詰まり、タイミングホッパTHに残留、シュートでの遅れ等の改善箇所があるという判断を行う。「軽量」の次に「正量」の場合であって、「正量」が所定回数連続する場合(第2の判定パターン)には、判断部6は、計量ホッパWHに残留等の改善箇所があるという判断を行う。「軽量」の次に「正量」の場合であって、その後所定回数以内に「過量」の場合(第3の判定パターン)には、判断部6は、ブースタホッパBHに残留等の改善箇所があるという判断を行う。
【0102】
このように、第2及び第3の判定パターンの場合には、判断部6は、計量ホッパWHまたはタイミングホッパTHへの物品の残留を改善すると判断する。これにより、より早期に計量装置1の改善を実施できる。
【0103】
(6)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の内容の一部または全部は、互いに矛盾しない範囲で上記実施形態の内容や他の変形例の内容と組み合わされてもよい。
【0104】
(6-1)変形例A
上記実施形態では、判断部6は、ホッパの開閉のタイミング、ホッパへの物品の残留等の不具合を改善するなど、非常に高精度な判断を例に挙げて説明した。本変形例では、判断部6は、計量装置1において改善する箇所のみを特定する。計量装置1が複数のホッパ(例えば、計量ホッパWH、ブースタホッパBH及びタイミングホッパTHの少なくとも2つ)を含む場合、判断部6は、複数のホッパのうち、改善すべきホッパを特定する。
【0105】
(6-2)変形例B
上記実施形態では、プールホッパPH、計量ホッパWH、ブースタホッパBH及びタイミングホッパTHを含む計量装置1を例に挙げて説明した。計量装置1は、プールホッパPH、計量ホッパWH、ブースタホッパBH及びタイミングホッパTHの少なくとも1つのホッパを省略してもよい。本変形例の計量装置1は、プールホッパPH及び計量ホッパWHを含み、ブースタホッパBH及びタイミングホッパTHを含んでいない。
【0106】
(6-3)変形例C
上記実施形態では、重量検査装置3が基準となる所定重量に対する、正量、過量、及び軽量の3つに分類する判定を行う。本変形例では、判断部6が、正量、過量、及び軽量の3つに分類する判定を行う。
【0107】
具体的には、重量検査装置3は、計量物の重量を検査して重量値を出力する。そして、判断部6が、重量検査装置3から計量物の重量値を取得して、基準となる所定重量に対する、正量、過量、及び軽量の3つに分類する判定を行う。
【0108】
(6-4)変形例D
上記実施形態では、判定パターンは、機械学習により連続する判定結果のパターンを学習し、判定情報を蓄積する例を説明した。本変形例では、機械学習を利用せずに、取得している判定情報に基づいた判定パターンを用いる。
【0109】
(6-5)変形例E
上記実施形態及び変形例A~Dでは、判断部6は、通信部35によって重量検査装置3と通信している。本変形例では、判断部6は、重量検査装置3の制御部に含まれる。すなわち、本変形例では、判断部6と通信する通信部35は省略されている。
【0110】
具体的には、重量検査装置3は、記憶部5と、判断部6と、報知部7と、を含む。判断部6は、重量検査装置3の正量、過量及び軽量の連続する複数の検査結果と、記憶部5から読み出した判定パターンとに基づいて計量装置1の改善に関する判断を行う。そして、判断部6の判断を報知部7としての重量検査装置3の表示部34に表示する。このように、本変形例では、重量検査装置3単体で、計量装置1の改善に関する判断を行う。
【0111】
また上記実施形態では、制御装置Cが、機械学習により判定パターンを学習し、判定パターンによる判定結果を蓄積する。本変形例では、重量検査装置3は、機械学習により判定パターンを学習し、判定パターンによる判定結果を蓄積する。
【0112】
(6-6)変形例F
上記実施形態では、判断部6の判断を、計量包装検査システムの生産ラインの監視画面に報知している。本変形例では、判断部6の判断を、改善箇所として特定された計量装置1及び包装装置2の少なくとも一方に報知する。計量装置1及び包装装置2は、判断を報知する表示部を有する。
【0113】
本変形例では、図10に示すように、計量装置1及び包装装置2と通信する通信部8を備える。ここでは、通信部8は、制御装置Cに含まれる。具体的には、通信部8によって、判断部6を含む制御装置Cは、計量装置1及び包装装置2と通信する。判断部6が計量装置1の改善に関する判断を行うと、通信部8は、判断部6から計量装置1にその旨を送信する。判断部6が包装装置2の改善に関する判断を行うと、通信部8は、判断部6から包装装置2にその旨を送信する。
【0114】
通信部8は、重量検査装置3とも通信可能である。すなわち、通信部8は、計量装置1、包装装置2及び重量検査装置3と通信する。重量検査装置3の検査結果を通信部8が受信して、受信した検査結果を記憶部5が記憶する。通信部8により重量検査装置3から取得した検査結果を、判断部6が判定パターンに基づいて改善に関する判断を行い、通信部8により改善が特定された計量装置1及び包装装置2の少なくとも一方に報知する。
【0115】
(6-7)変形例G
上記実施形態及び変形例A~Gでは、改善判断システム100は、包装装置2を備えている。本変形例では、包装装置2は省略されている。この場合、判断部6は、包装装置2の改善に関する判断を行わずに、計量装置1の改善に関する判断を行う。
【0116】
なお、変形例F及びGを組み合わせると、通信部8は、計量装置1及び重量検査装置3と通信する。
【符号の説明】
【0117】
1 :計量装置
2 :包装装置
3 :重量検査装置
4 :シール検査装置
5 :記憶部
6 :判断部
7 :報知部
8 :通信部
PH :プールホッパ
WH :計量ホッパ
BH :ブースタホッパ
TH :タイミングホッパ
100 :改善判断システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【文献】特許4312868号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10